(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160007
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】半導体パッケージ用ステム、半導体パッケージ
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20231026BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20231026BHJP
H01L 23/02 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
H01L23/36 C
H01L23/12 S
H01L23/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069993
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】海沼 正夫
【テーマコード(参考)】
5F136
【Fターム(参考)】
5F136BB07
5F136DA33
5F136FA03
5F136FA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】半導体パッケージを構成したときの伝送特性を向上することが可能な半導体パッケージ用ステム及び半導体パッケージを提供する。
【解決手段】半導体パッケージ用ステム1は、第1面11a及び第1面11aの反対面である第2面11bを備えた平板部11、平板部11の第1面11aに開口するキャビティ部12及び平板部11の第2面11bから突起する金属ブロック13を備えたアイレット10と、第1面11aから第2面11bに貫通するリードと、有する。金属ブロック13の体積は、キャビティ部12の体積と略同一である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び前記第1面の反対面である第2面を備えた平板部、前記平板部の前記第1面に開口するキャビティ部、及び前記平板部の前記第2面から突起する金属ブロック、を備えたアイレットと、
前記第1面から前記第2面に貫通するリードと、有し、
前記金属ブロックの体積は、前記キャビティ部の体積と略同一である、半導体パッケージ用ステム。
【請求項2】
平面視で、前記金属ブロックは、前記キャビティ部と略重複する位置にある、請求項1に記載の半導体パッケージ用ステム。
【請求項3】
前記平板部は金属製であり、
前記金属ブロックは、前記平板部と一体に形成されている、請求項1に記載の半導体パッケージ用ステム。
【請求項4】
前記キャビティ部の内側面は、前記第1面に対して略垂直である、請求項1に記載の半導体パッケージ用ステム。
【請求項5】
前記第1面から前記キャビティ部の底面までの距離は、前記第1面から前記第2面までの距離の1/2以上である、請求項1に記載の半導体パッケージ用ステム。
【請求項6】
前記第1面側に配置された中継基板をさらに有し、
前記中継基板には、中継配線が形成され、
前記中継配線は前記リードと電気的に接続されている、請求項1に記載の半導体パッケージ用ステム。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体パッケージ用ステムと、
少なくとも一部が前記キャビティ部に収容された冷却素子と、
前記冷却素子上に配置された基板と、
前記基板上に実装された発光素子と、を有し、
前記基板上に、前記発光素子と電気的に接続された配線が形成され、
前記配線は、線状部材を介して、前記リードと電気的に接続されている、半導体パッケージ。
【請求項8】
請求項6に記載の半導体パッケージ用ステムと、
前記キャビティ部の底面に配置された冷却素子と、
前記冷却素子上に配置された基板と、
前記基板上に実装された発光素子と、を有し、
前記基板上に、前記発光素子と電気的に接続された配線が形成され、
前記配線は、線状部材を介して、前記中継配線と電気的に接続されている、半導体パッケージ。
【請求項9】
前記基板の上面と前記中継基板の上面は、同一平面上にある、請求項8に記載の半導体パッケージ。
【請求項10】
前記冷却素子の前記第1面からの突出量は、0.1mm以上0.3mm以下である、請求項7乃至9の何れか一項に記載の半導体パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パッケージ用ステム、及び半導体パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子を搭載した半導体パッケージにおいて、搭載される発光素子の発熱が大きい場合には、温度調節用の冷却素子が搭載され、冷却素子上に配置された素子搭載用基板に発光素子が搭載されることがある。
【0003】
このような構造では、冷却素子が比較的厚いため、それに合わせて信号用のリードも長くなる。そのため、信号用のリードから発光素子までの伝送線路長が長くなり、所定の特性インピーダンスが得られず、半導体パッケージの伝送特性が悪化する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、半導体パッケージを構成したときの伝送特性を向上することが可能な半導体パッケージ用ステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本半導体パッケージ用ステムは、第1面及び前記第1面の反対面である第2面を備えた平板部、前記平板部の前記第1面に開口するキャビティ部、及び前記平板部の前記第2面から突起する金属ブロック、を備えたアイレットと、前記第1面から前記第2面に貫通するリードと、有し、前記金属ブロックの体積は、前記キャビティ部の体積と略同一である。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、半導体パッケージを構成したときの伝送特性を向上することが可能な半導体パッケージ用ステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る半導体パッケージ用ステムを例示する図である。
【
図2】第1実施形態に係る半導体パッケージを例示する図である。
【
図3】比較例に係る半導体パッケージを例示する断面図である。
【
図4】第1実施形態の変形例1に係る半導体パッケージ用ステムを例示する図である。
【
図5】第1実施形態の変形例1に係る半導体パッケージを例示する図である。
【
図6】シミュレーションの結果について説明する図(その1)である。
【
図7】シミュレーションの結果について説明する図(その2)である。
【
図8】シミュレーションの結果について説明する図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
〈第1実施形態〉
図1は、第1実施形態に係る半導体パッケージ用ステムを例示する図であり、
図1(a)は平面図、
図1(b)は
図1(a)のA-A線に沿う断面図である。
【0011】
図1を参照すると、第1実施形態に係る半導体パッケージ用ステム1は、アイレット10と、第1リード21と、第2リード22と、第3リード23と、第4リード24と、第5リード25と、第6リード26と、第7リード27と、第8リード28と、封止部30とを有する。半導体パッケージ用ステム1は、例えば、光通信用のステムとして用いることができる。
【0012】
なお、第1リード21と、第2リード22と、第3リード23と、第4リード24と、第5リード25と、第6リード26と、第7リード27と、第8リード28とを特に区別する必要がない場合には、単に、リードと称する。
【0013】
アイレット10は、平板部11と、キャビティ部12と、金属ブロック13とを備えている。
【0014】
平板部11は、円板状の部材であり、第1面11a、及び第1面11aの反対面である第2面11bを備えている。第1面11aと第2面11bは、略平行である。第1面11a及び第2面11bの直径は、特に制限がなく、目的に応じて適宜決定できるが、例えば、φ3.8mmやφ5.6mm等である。第1面11aから第2面11bまでの距離D1、すなわち、平板部11の厚さは、特に制限がなく、目的に応じて適宜決定できる。距離D1は、例えば、1.0mm以上2mm以下程度である。平板部11は、例えば、鉄や鉄ニッケル合金、コバール、銅等の金属材料から形成できる。平板部11の表面に金めっき等を施してもよい。
【0015】
なお、本願において、円板状とは、平面形状が略円形で所定の厚さを有するものを指す。直径に対する厚さの大小は問わない。又、部分的に凹部や凸部、貫通孔等が形成されているものも含むものとする。又、本願において、平面視とは対象物を平板部11の第1面11aの法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物を平板部11の第1面11aの法線方向から視た形状を指すものとする。
【0016】
平板部11の外縁部に、平面視において、外周側から中心側に窪んだ形状の1つ以上の切り欠き部が形成されてもよい。切り欠き部は、例えば、平面形状が略三角状や略四角状の窪みである。切り欠き部は、例えば、半導体パッケージ用ステム1に半導体素子を搭載する際の位置出し等に用いることができる。又、切り欠き部は、例えば、半導体パッケージ用ステム1の回転方向の位置出し等に用いることができる。
【0017】
キャビティ部12は、平板部11の第1面11aに開口する。言い換えれば、キャビティ部12は、平板部11の第1面11aから第2面11b側に窪む凹部である。キャビティ部12は、底面12aと、底面12aの外縁に接続する内側面12bにより形成されている。キャビティ部12は、冷却素子を配置するための領域である。キャビティ部12の平面形状や体積は、配置する冷却素子に合わせて適宜決定できる。
図1の例では、キャビティ部12の平面形状は略長方形であり、キャビティ部12の底面12a及び内側面12bにより画定される空間は略直方体である。
【0018】
キャビティ部12の内側面12bは、平板部11の第1面11aに対して略垂直であることが好ましい。これにより、平板部11の第1面11aに開口する部分のキャビティ部12の面積を小さくできるため、冷却素子を配置する領域を必要以上に大きくしなくて済む。その結果、平板部11を小型化することができる。なお、略垂直とは、対象物同士のなす角度が90±5度の場合を意味する。また、キャビティ部12の底面12aは、平板部11の第1面11aと略平行であることが好ましい。これにより、キャビティ部12の内部に冷却素子を配置することが容易となる。なお、略平行とは、対象物同士のなす角度が180±5度の場合を意味する。
【0019】
また、平板部11の第1面11aからキャビティ部12の底面12aまでの距離D2は、平板部11の第1面11aから第2面11bまでの距離D1の1/2以上であることが好ましい。これにより、キャビティ部12内に比較的高さの高い冷却素子を配置することができる。距離D2は、距離D1の2/3以上であることがより好ましく、3/4以上であることがさらに好ましい。距離D2が大きいほど、キャビティ部12内に高さのさらに高い冷却素子を配置することができる。
【0020】
金属ブロック13は、平板部11の第2面11bから下方に突起する。平板部11の第2面11bに対する金属ブロック13の突起量Pは、平板部11の第1面11aからキャビティ部12の底面12aまでの距離D2と同程度である。突起量Pは、例えば、距離D2に対して±20%以内である。金属ブロック13の体積は、キャビティ部12の体積と略同一である。なお、略同一とは、金属ブロック13の体積が、キャビティ部12の体積に対して±10%以内である場合を意味する。平面視で、金属ブロック13は、キャビティ部12と略重複する位置にある。なお、略重複するとは、平面視で、金属ブロック13の面積の80%以上がキャビティ部12と重複することを意味する。
【0021】
金属ブロック13は、平板部11が金属製である場合、平板部11と一体に形成することができる。金属ブロック13は、金属板をプレス加工することにより、平板部11及びキャビティ部12と同時に形成することができる。金属板を、金属板の下面側に突起する金属ブロック13を設けるようにプレス加工することにより、キャビティ部12の位置に元々存在していた材料が金属板の下面側に逃げることができる。そのため、キャビティ部12の内側面12bを平板部11の第1面11aに対して略垂直に形成することが容易となる。
【0022】
金属ブロック13は、GND用のリードの代わりに用いてもよい。すなわち、金属ブロック13は平板部11と導通しているため、金属ブロック13をGNDと接続することにより、平板部11をGND電位にすることができる。これにより、GND用のリードは不要となる。
【0023】
各リードは、平板部11の第1面11aから第2面11bに貫通する。詳細には、各リードは、平板部11を第1面11aから第2面11bに貫通する貫通孔11x内に、長手方向を平板部11の厚さ方向に向けて挿入され、周囲を封止部30に封止されている。封止部30は、例えば、ガラス等の絶縁材料から構成されている。ガラスとしては、例えば、比誘電率が約5.5に代表される硬質ガラスや、比誘電率が約6.7に代表される軟質ガラスを用いることができる。なお、1本のリードを1つの貫通孔11x内に配置してもよいし、複数本のリードを1つの貫通孔11x内に配置してもよい。
図1の例では、2本又は4本のリードを1つの貫通孔11x内に配置している。
【0024】
第1リード21及び第2リード22の上端は、平板部11の第1面11aと面一であってもよい。あるいは、第1リード21及び第2リード22は、平板部11の第1面11aから上側に突出してもよい。この場合、第1面11aからの第1リード21及び第2リード22の突出量は、0.1mm~0.3mm程度であることが好ましい。第1リード21及び第2リード22以外のリードも、平板部11の第1面11aと面一であってもよい。あるいは、第1リード21及び第2リード22以外のリードは、平板部11の第1面11aから上側に突出してもよい。
【0025】
各リードは、平板部11の第2面11bから下側に突出している。各リードの平板部11の第2面11bからの突出量は、例えば、6~10mm程度である。各リードは、例えば、鉄ニッケル合金やコバール等の金属から構成されており、各リードの表面に、金めっき等が形成されてもよい。
【0026】
第1リード21及び第2リード22は、隣接して配置され、半導体パッケージ用ステム1に発光素子が搭載されて半導体パッケージとして使用される際に、発光素子と電気的に接続される差動信号が通る経路となる。第1リード21及び第2リード22以外のリードは、例えば、半導体パッケージ用ステム1に搭載される冷却素子と電気的に接続される信号や、半導体パッケージ用ステム1に搭載される温度センサと電気的に接続される信号等が通る経路となる。なお、リードの本数は限定されず、必要に応じて増減してよい。
【0027】
図2は、第1実施形態に係る半導体パッケージを例示する図であり、
図2(a)は平面図、
図2(b)は
図2(a)のB-B線に沿う部分断面図である。
【0028】
図2を参照すると、第1実施形態に係る半導体パッケージ2は、半導体パッケージ用ステム1(
図1参照)と、冷却素子100と、素子搭載用基板110と、発光素子120とを有している。なお、半導体パッケージ2において、半導体パッケージ用ステム1には、発光素子120の出射光を取り出すためのレンズや窓等と一体になったキャップが抵抗溶接等により固定されるが、周知の構造であるため、ここでは図示を省略している。キャップは、例えば、コバールやステンレス鋼等の金属から形成され、内側に半導体パッケージ用ステム1の発光素子120等の主要部品を気密封止する。
【0029】
冷却素子100は、少なくとも一部がキャビティ部12に収容されている。冷却素子100は、全部がキャビティ部12に収容されてもよい。冷却素子100の上面の、平板部11の第1面11aからの突出量は、0.1mm以上0.3mm以下であることが好ましい。これにより、第1リード21及び第2リード22の平板部11の第1面11aからの突出量を抑制できるため、後述のように半導体パッケージ2の伝送特性の向上に有利となる。
【0030】
冷却素子100は、例えば、熱伝導性の高い接着剤等により、キャビティ部12の底面12aに固定されている。冷却素子100は、発光するとことで発熱した発光素子120を冷却する冷却素子であり、例えば、ペルチェ素子である。冷却素子100は、外部から印加する電圧を変えることにより冷却能力が調整される。冷却素子100の高さは、例えば、1mm~2mm程度である。
【0031】
素子搭載用基板110は、冷却素子100上に配置されている。素子搭載用基板110は、例えば、熱伝導性の高い接着剤等により、冷却素子100上に固定されている。素子搭載用基板110上には、発光素子120が実装されている。発光素子120は、例えば、波長が1310nm等の半導体レーザチップである。
【0032】
素子搭載用基板110上に、発光素子120の端子と電気的に接続された配線111及び112が形成されている。配線111及び112は、素子搭載用基板110上の第1リード21及び第2リード22に近い側まで延伸している。配線111は、線状部材130を介して、第1リード21と電気的に接続されている。また、配線112は、線状部材130を介して、第2リード22と電気的に接続されている。線状部材130としては、例えば、ボンディングワイヤが挙げられるが、線状の部材であれば特に限定されない。
【0033】
配線111及び112は、差動配線である。例えば、配線111には、第1リード21及び線状部材130を介して正相信号が入力される。また、配線112には、第2リード22及び線状部材130を介して正相信号を反転した逆相信号が入力される。
【0034】
なお、発光素子120の端子と電気的に接続される配線は、差動配線には限定されない。例えば、リードが1本の同軸構造から配線することもできる。その場合の配線は、コプレナー構造による信号線と信号線両側のGND配線からなることを好適とする。ここで、GND配線は、素子搭載用基板110の裏面と、ビアや側面メタライズによって導通させることができる。
【0035】
半導体パッケージ用ステム1は、半導体パッケージを構成したときの伝送特性を向上することが可能である。これに関し、
図3の比較例を参照しながら、以下に説明する。
【0036】
図3は、比較例に係る半導体パッケージを例示する断面図である。なお、比較例に係る半導体パッケージを例示する平面図は
図1(a)と同様であるため、図示は省略する。
図3は、
図1のA-A線に沿う断面に対応する。
【0037】
図3を参照すると、比較例に係る半導体パッケージ2Xは、アイレット10が平板部11のみから形成され、キャビティ部12及び金属ブロック13を有していない。冷却素子100は、平板部11の第1面11aに固定されている。そのため、冷却素子100上に配置される素子搭載用基板110の位置が平板部11の第1面11aから遠くなる。素子搭載用基板110の位置に対応するように、第1リード21及び第2リード22の第1面11aから突出する部分の長さが、半導体パッケージ2に比べて長くなっている。
【0038】
差動線路を構成する第1リード21及び第2リード22において、貫通孔11x内において周囲を封止部30に封止されている部分は、所定の差動インピーダンスを満足する構造となっている。これに対して、第1リード21及び第2リード22の第1面11aから突出する部分は、インピーダンスミスマッチングを起こして、高周波の伝送に障害を及ぼす。半導体パッケージ2Xは、第1リード21及び第2リード22の第1面11aから突出する部分が長いため、インピーダンスミスマッチングを起こしやすい。
【0039】
一方、キャビティ部12に冷却素子100を配置できる半導体パッケージ2は、半導体パッケージ2Xと比較して、第1リード21及び第2リード22の第1面11aから突出する部分の長さを大幅に短くすることができる。そのため、半導体パッケージ2は、インピーダンスミスマッチングを起こしにくく、特性インピーダンスを整合させて反射損失を低減することが容易である。その結果、半導体パッケージ2の伝送特性を向上することができる。すなわち、半導体パッケージ2では、発光素子120に高周波信号を良好に伝送することができる。
【0040】
〈第1実施形態の変形例1〉
第1実施形態の変形例1では、半導体パッケージ用ステムに中継基板を設ける例を示す。なお、第1実施形態の変形例1において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0041】
図4は、第1実施形態の変形例1に係る半導体パッケージ用ステムを例示する図であり、
図4(a)は部分平面図、
図4(b)は
図4(a)のC-C線に沿う部分断面図である。
【0042】
図4を参照すると、第1実施形態の変形例1に係る半導体パッケージ用ステム1Aは、平板部11の第1面11a側に配置された中継基板140をさらに有する点が、半導体パッケージ用ステム1(
図1参照)と相違する。
【0043】
中継基板140は、例えば、AuSn等のはんだや接着剤等により、平板部11の第1面11aに固定されている。中継基板140の上面には中継配線141及び142が形成されている。中継配線141は、導電性接合材150(はんだ等)により第1リード21と電気的に接続されている。また、中継配線142は、導電性接合材150(はんだ等)により第2リード22と電気的に接続されている。中継基板140としては、例えば、ガラス基板やセラミック基板を用いることができる。中継基板140として、樹脂基板(ガラスエポキシ基板等)を用いてもよい。
【0044】
図5は、第1実施形態の変形例1に係る半導体パッケージを例示する図であり、
図5(a)は部分平面図、
図5(b)は
図5(a)のD-D線に沿う部分断面図である。
【0045】
図5を参照すると、第1実施形態の変形例1に係る半導体パッケージ2Aは、
図4と同様に中継基板140を有している。そして、素子搭載用基板110の配線111は、線状部材130を介して、中継基板140の中継配線141と電気的に接続されている。また、素子搭載用基板110の配線112は、線状部材130を介して、中継基板140の中継配線142と電気的に接続されている。
【0046】
中継基板140を設けることにより、所望のインピーダンスを実現すると共に、差動線路のピッチ変換を行うことができる。これにより、第1リード21及び第2リード22と、素子搭載用基板110の配線111及び112を少ない損失により結線することができる。
【0047】
また、半導体パッケージ2Aでは、半導体パッケージ2と比較して、線状部材130を短くできるため、寄生インダクタンスを低減することができる。この点でも、高周波信号の伝送に有利となる。素子搭載用基板110の上面と中継基板140の上面は、同一平面上にあることが好ましい。つまり、素子搭載用基板110と中継基板140とが同じ厚さである場合、冷却素子100の上面は、平板部11の第1面11aと面一であることが好ましい。これにより、線状部材130を一層短くできる。
【0048】
〈シミュレーション〉
次に、半導体パッケージ2A及び2Xについて、シミュレーションを行った結果について説明する。シミュレーションには、解析ソフト:ANSYS Electromagnetics Suite 2019 R3を使用した。
【0049】
半導体パッケージ2Aでは、第1リード21及び第2リード22の第1面11aからの突出量を0.4mmとし、半導体パッケージ2Xでは、第1リード21及び第2リード22の第1面11aからの突出量を1.0mmとしてシミュレーションを行った。なお、半導体パッケージ2Aでは、中継基板140の厚さを0.2mm、第1リード21及び第2リード22の中継基板140の上面からの突出量を0.2mmとした。
【0050】
半導体パッケージ2A及び2Xについて、特性インピーダンス(Ω)を求めたところ、
図6に示す結果が得られた。
図6より、半導体パッケージ2Xでは、40ps時付近の特性インピーダンスが120Ω程度である。これに対して、半導体パッケージ2Aでは、全体を通して特性インピーダンスが50Ω付近であり、理想に近い特性インピーダンスが得られることが確認できる。
【0051】
また、半導体パッケージ2A及び2Xについて、挿入損失(dB)を求めたところ、
図7に示す結果が得られた。
図7より、半導体パッケージ2Xに比べて、半導体パッケージ2Aでは、0~50GHz程度での挿入損失(dB)が大きく改善されていることがわかる。
【0052】
また、半導体パッケージ2A及び2Xについて、反射損失(dB)を求めたところ、
図8に示す結果が得られた。
図8より、半導体パッケージ2Xに比べて、半導体パッケージ2Aでは、10~50GHz程度での反射損失(dB)が大きく改善されていることがわかる。
【0053】
また、
図7及び
図8の結果から、半導体パッケージ2Xでは数GHz程度の信号しか伝送できないのに対し、半導体パッケージ2Aでは30~40GHz程度の信号を良好に伝送できるといえる。
【0054】
以上、好ましい実施形態等について詳説したが、上述した実施形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0055】
1,1A 半導体パッケージ用ステム
2,2A 半導体パッケージ
10 アイレット
11 平板部
11a 第1面
11b 第2面
11x 貫通孔
12 キャビティ部
12a 底面
12b 内側面
13 金属ブロック
21 第1リード
22 第2リード
23 第3リード
24 第4リード
25 第5リード
26 第6リード
27 第7リード
28 第8リード
30 封止部
100 冷却素子
110 素子搭載用基板
111,112 配線
120 発光素子
130 線状部材
140 中継基板
141,142 中継配線
150 導電性接合材