(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160021
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】発光装置、光源
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20231026BHJP
H01L 33/60 20100101ALI20231026BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20231026BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L33/60
H01L33/50
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070032
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】池田 忠昭
(72)【発明者】
【氏名】八木 兵庫
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA04
5F142AA36
5F142BA24
5F142BA32
5F142CA02
5F142CA11
5F142CA13
5F142CC27
5F142CD02
5F142CE04
5F142CE08
5F142CE15
5F142CE16
5F142CE17
5F142CE32
5F142CG03
5F142CG04
5F142CG05
5F142CG14
5F142CG24
5F142CG42
5F142CG43
5F142DA12
5F142DA14
5F142DB24
5F142FA21
5F142FA24
5F142FA41
5F142FA48
(57)【要約】
【課題】静電気による破壊を抑制するとともに、光取り出し効率の高い発光装置又は光源を提供する。
【解決手段】発光装置は、第1面1と、第1面1と反対側の第2面2と、第1面1及び第2面2と繋がる側面3と、を有し、第2面2に異なる極性を持つ一対の素子電極7を有する発光素子10と、粉体状の半導電性物質21と粉体状の光反射性物質22と絶縁性の結合材23とを含む光反射部20と、を備え、半導電性物質21は、球状、長球、楕円体、略球状、略長球、略楕円体の少なくともいずれか1種の形状を持つ第1粉体21aと、1方向又は2方向以上に延びる針状の形状を持つ第2粉体21bと、を持ち、光反射部20が一対の素子電極7のそれぞれと接触するように配置され、光反射部20は、450nm以上800nm以下の波長域で50%以上の光反射率を有し、かつ、バリスタ特性を持つ。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、前記第1面及び前記第2面と繋がる側面と、を有し、前記第2面に異なる極性を持つ一対の素子電極を有する発光素子と、
粉体状の半導電性物質と粉体状の光反射性物質と絶縁性の結合材とを含む光反射部と、
を備え、
前記半導電性物質は、球状、長球、楕円体、略球状、略長球、略楕円体の少なくともいずれか1種の形状を持つ第1粉体と、1方向又は2方向以上に延びる針状の形状を持つ第2粉体と、を持ち、
前記光反射部が前記一対の素子電極のそれぞれと接触するように配置され、
前記光反射部は、450nm以上800nm以下の波長域で50%以上の光反射率を有し、かつ、バリスタ特性を持つ、発光装置。
【請求項2】
前記バリスタ特性は、非直線性係数(α)が3以上である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記発光装置は、さらに、前記発光素子の前記第1面と向かい合うように波長変換部材を備える、請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記光反射部は、前記発光素子の前記側面若しくは側方、及び/又は、前記波長変換部材の側面若しくは側方、に配置されている、請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第1粉体、前記第2粉体は、前記結合材100重量部に対し、前記第1粉体は、30以上450重量部以下であり、前記第2粉体は20以上200重量部以下である、請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項6】
前記第1粉体に対し、前記第2粉体の重量比率は、4.4%以上667%以下である、請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項7】
前記第1粉体は、直径若しくは長径が1μm以上50μm以下であり、前記第2粉体は、平均繊維長が1μm以上50μm以下である、請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項8】
前記半導電性物質は、BaTiO3、SrTiO3、ZnO、BiO、CoO、MnO、SbO、CrO、NiO、SiN、SiOから選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項9】
前記第1粉体は、純度95%以上のZnOであり、
前記第1粉体に、Al、Bi、Sb、Co、Mn、又は、これらから選択される少なくとも1種を含む酸化物若しくは窒化物、が含有されていない、又は、0.01重量%以下である、請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項10】
前記第2粉体は、体積固有抵抗が0.1Ω・cm以上1000Ω・cm以下である、請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項11】
前記結合材は、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ変性樹脂、若しくはこれらの少なくとも1種を含むハイブリッド樹脂、ガラス、又は、セラミックスである、請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項12】
前記光反射性物質は、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載に記載の発光装置。
【請求項13】
前記光反射部は、さらに、フュームドシリカ、若しくは、高級脂肪酸アマイドのいずれかを含む、請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項14】
第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、前記第1面及び前記第2面と繋がる側面と、を有し、前記第2面に異なる極性を持つ一対の素子電極を有する発光素子と、
前記一対の素子電極と電気的に接続する、第1リードフレーム配線部と、前記第1リードフレーム配線部から離隔する第2リードフレーム配線部と、
粉体状の半導電性物質と粉体状の光反射性物質と絶縁性の結合材とを含む光反射部と、
を備え、
前記半導電性物質は、球状、長球、楕円体、略球状、略長球、略楕円体の少なくともいずれか1種の形状を持つ第1粉体と、1方向又は2方向以上に延びる針状の形状を持つ第2粉体と、を持ち、
前記光反射部が前記第1リードフレーム配線部と前記第2リードフレーム配線部とのそれぞれと接触するように配置され、
前記光反射部は、450nm以上800nm以下の波長域で50%以上の光反射率を有し、かつ、バリスタ特性を持つ、発光装置。
【請求項15】
第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、前記第1面及び前記第2面と繋がる側面と、を有し、前記第2面に異なる極性を持つ一対の素子電極を有する発光素子と、
前記一対の素子電極と電気的に接続する、少なくとも2つの配線部を備える回路基板と、
粉体状の半導電性物質と粉体状の光反射性物質と絶縁性の結合材とを含む光反射部と、
を備え、
前記半導電性物質は、球状、長球、楕円体、略球状、略長球、略楕円体の少なくともいずれか1種の形状を持つ第1粉体と、1方向又は2方向以上に延びる針状の形状を持つ第2粉体と、を持ち、
前記光反射部が前記2つの配線部のそれぞれと接触するように配置され、
前記光反射部は、450nm以上800nm以下の波長域で50%以上の光反射率を有し、かつ、バリスタ特性を持つ、光源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置、光源に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体発光素子を回路基板に実装しパッケージ化した半導体発光装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1は、半導体発光素子はバンプを介して回路基板とフリップチップ実装して接続された半導体発光素子及び発光装置が記載されている。半導体発光素子は静電気で破壊しやすいため保護素子とともに回路基板に実装されることがある。ところが保護素子を回路基板上にフリップチップ実装すると、保護素子の周辺が暗くなってしまうので保護素子を省きたいということで、n側バンプとp側バンプとの間に、バリスタ粉末を含むペーストを焼結したバリスタである保護部材を配置するというものである。
【0003】
また、サージのバイパス経路を形成することが可能な複合樹脂及びその複合樹脂を用いた電子デバイスが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
さらに、マトリックス樹脂中に充填材を均一に分散させ、優れた非直線抵抗特性が得られる非直線抵抗樹脂材料が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-023328号公報
【特許文献2】特開2016-134605号公報
【特許文献3】特開2015-101714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示に係る実施形態は、静電気による破壊を抑制するとともに、光取り出し効率の高い発光装置又は光源を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る発光装置は、第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、前記第1面及び前記第2面と繋がる側面と、を有し、前記第2面に異なる極性を持つ一対の素子電極を有する発光素子と、粉体状の半導電性物質と粉体状の光反射性物質と絶縁性の結合材とを含む光反射部と、を備え、前記半導電性物質は、球状、長球、楕円体、略球状、略長球、略楕円体の少なくともいずれか1種の形状を持つ第1粉体と、1方向又は2方向以上に延びる針状の形状を持つ第2粉体と、を持ち、前記光反射部が前記一対の素子電極のそれぞれと接触するように配置され、前記光反射部は、450nm以上800nm以下の波長域で50%以上の光反射率を有し、かつ、バリスタ特性を持つ。
【0008】
また、異なる実施形態に係る発光装置は、第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、前記第1面及び前記第2面と繋がる側面と、を有し、前記第2面に異なる極性を持つ一対の素子電極を有する発光素子と、前記一対の素子電極と電気的に接続する、第1リードフレーム配線部と、前記第1リードフレーム配線部から離隔する第2リードフレーム配線部と、粉体状の半導電性物質と粉体状の光反射性物質と絶縁性の結合材とを含む光反射部と、を備え、前記半導電性物質は、球状、長球、楕円体、略球状、略長球、略楕円体の少なくともいずれか1種の形状を持つ第1粉体と、1方向又は2方向以上に延びる針状の形状を持つ第2粉体と、を持ち、前記光反射部が前記第1リードフレーム配線部と前記第2リードフレーム配線部とのそれぞれと接触するように配置され、前記光反射部は、450nm以上800nm以下の波長域で50%以上の光反射率を有し、かつ、バリスタ特性を持つ。
【0009】
さらに、実施形態に係る光源は、第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、前記第1面及び前記第2面と繋がる側面と、を有し、前記第2面に異なる極性を持つ一対の素子電極を有する発光素子と、前記一対の素子電極と電気的に接続する、少なくとも2つの配線部を備える回路基板と、粉体状の半導電性物質と粉体状の光反射性物質と絶縁性の結合材とを含む光反射部と、を備え、前記半導電性物質は、球状、長球、楕円体、略球状、略長球、略楕円体の少なくともいずれか1種の形状を持つ第1粉体と、1方向又は2方向以上に延びる針状の形状を持つ第2粉体と、を持ち、前記光反射部が前記2つの配線部のそれぞれと接触するように配置され、前記光反射部は、450nm以上800nm以下の波長域で50%以上の光反射率を有し、かつ、バリスタ特性を持つ。
【発明の効果】
【0010】
本開示の実施形態によれば、静電気による破壊を抑制するとともに、光取り出し効率の高い発光装置又は光源を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係る発光装置の下面側から見た概略下面図である。
【
図2】第1実施形態に係る発光装置の概略断面図である。
【
図3】第1実施形態の変形例に係る発光装置の下面側から見た概略下面図である。
【
図4】第1実施形態に係る光反射部を例示する概略断面図である。
【
図5】第2実施形態に係る発光装置の上面側から見た概略上面図である。
【
図6】第2実施形態に係る発光装置の下面側から見た概略下面図である。
【
図7】第2実施形態に係る発光装置の概略断面図である。
【
図8】第2実施形態に係る発光装置の製造工程を示す概略断面図である。
【
図9】第2実施形態に係る発光装置の製造工程を示す概略断面図である。
【
図10】第2実施形態に係る発光装置の製造工程を示す概略断面図である。
【
図11】第2実施形態に係る発光装置の製造工程を示す概略断面図である。
【
図12】第2実施形態に係る発光装置の製造工程を示す概略断面図である。
【
図13】第2実施形態に係る発光装置の製造工程を示す概略断面図である。
【
図14】第2実施形態に係る発光装置の製造工程を示す概略断面図である。
【
図15】第2実施形態に係る発光装置の製造工程を示す概略断面図である。
【
図16】第2実施形態に係る発光装置の製造工程を示す概略断面図である。
【
図17】第2実施形態に係る発光装置の製造工程を示す概略断面図である。
【
図18】第3実施形態に係る発光装置の概略断面図である。
【
図19】第3実施形態の変形例に係る発光装置の概略断面図である。
【
図20】第4実施形態に係る発光装置の概略上面図である。
【
図21】第4実施形態に係る発光装置の概略断面図である。
【
図22】第5実施形態に係る光源の概略斜視図である。
【
図23】第5実施形態に係る光源の概略断面図である。
【
図24】実施例に係る回路基板に光反射部を配置した概略断面図である。
【
図25】実施例に係る発光装置の電流-電圧特性を示す測定結果である。
【
図26】実施例に係る発光装置の光反射率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本開示に係る技術的思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、発明を以下のものに限定しない。一つの実施形態において説明する内容は、他の実施形態及び変形例にも適用可能である。また、図面は実施形態を概略的に示すものであり、説明を明確にするため、各部材のスケールや間隔、位置関係等を誇張し、あるいは、部材の一部の図示を省略している場合がある。各図において示す方向は、構成要素間の相対的な位置を示し、絶対的な位置を示すことを意図したものではない。なお、同一の名称、符号については、原則として、同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。また、実施形態について、「覆う」とは直接接する場合に限らず、間接的に、例えば他の部材を介して覆う場合も含む。
【0013】
<第1実施形態に係る発光装置>
本開示の発光装置について図面を用いて説明する。
図1は、第1実施形態に係る発光装置の下面側から見た概略下面図である。
図2は、第1実施形態に係る発光装置の概略断面図である。
図2は、
図1のII-II線で切断している。
図3は、第1実施形態の変形例に係る発光装置の下面側から見た概略下面図である。
図4は、第1実施形態に係る光反射部を例示する概略断面図である。
【0014】
第1実施形態に係る発光装置は、第1面1と、第1面1と反対側の第2面2と、第1面1及び第2面2と繋がる側面3と、を有し、第2面2に異なる極性を持つ一対の素子電極7を有する発光素子10と、粉体状の半導電性物質21と粉体状の光反射性物質22と絶縁性の結合材23とを含む光反射部20と、を備え、半導電性物質21は、球状、長球、楕円体、略球状、略長球、略楕円体の少なくともいずれか1種の形状を持つ第1粉体21aと、1方向又は2方向以上に延びる針状の形状を持つ第2粉体21bと、を持ち、光反射部20が一対の素子電極7のそれぞれと接触するように配置され、光反射部20は、450nm以上800nm以下の波長域で50%以上の光反射率を有し、かつ、バリスタ特性を持つ。これにより、静電気による破壊を抑制するとともに、光取り出し効率の高い発光装置を提供することができる。「バリスタ特性」とは、「電流-電圧特性がオームの法則に従わない非直線性」のことをいう。
【0015】
より詳細には、発光素子10は、サファイア等の素子基板5上にp、n型の半導体層6が配置されている。半導体層6は保護膜で覆われているが、覆っていなくてもよい。保護膜は絶縁膜である。例えば、素子基板5上にn型半導体層があり、そのn型半導体層の上面にはp型半導体層が形成されている。発光素子10の外周端部を除きn型半導体層及びp型半導体層の表面に形成されている保護膜は、n型半導体層の占める領域とp型半導体層の占める領域とのそれぞれに開口部を備えている。それぞれの開口部では、n型半導体層とn側電極7a、p型半導体層とp側電極7bとが電気的に接続している。n側電極7aとp側電極7bとの間にはバリスタ機能と光反射性機能を有する光反射部20を配置する。n側電極7aおよびp側電極7bは例えば電解メッキ法で形成した銅ポストである。
【0016】
光反射部20は、一対の素子電極7のそれぞれと接触するように配置されていればよく、例えば、一対の素子電極7間に配置されていてもよく、変形例に示すように、一対の素子電極7間及び/又は一対の素子電極7の外周端部に配置されていてもよい。ただし、後述するように、異なる極性を有する電極と接するように配置されていればよく、バンプ、リードフレーム配線部、実装基板側の配線部などの間、又は、これら異なる部材間どうしの間に配置されても良い。
【0017】
発光装置において、バリスタ特性は、非直線性係数(α)が3以上であることが好ましく、4以上が更に好ましく、5以上が特に好ましい。これにより静電気による破壊を大幅に抑制することができる。
【0018】
光反射部20において、結合材23の100重量部に対し、第1粉体21aは、30量部以上450重量部以下であり、第2粉体21bは20重量部以上200重量部以下であることが好ましい。結合材23の100重量部に対し、第1粉体21aは100重量部以上が更に好ましく、350重量部以下が特に好ましい。第1粉体21aの含有量を高くすることで導電性を高めることができるからである。また、結合材23の100重量部に対し、第2粉体21bは70重量部以上180重量部以下であることが更に好ましい。結合材23に対する第1粉体21a、第2粉体21bを所定の範囲にすることで、静電気による破壊を更に抑制することができる。また、製造工程において適度な粘度を保持することで一対の素子電極7間に配置し易くすることができる。第1粉体21a、第2粉体21b、光反射性物質22等の粉体量を増加するに伴い、バリスタ特性を向上させると共に、光反射部20の粘度を高くすることができる。光反射部20の粘度を高くすることで第1粉体21a、第2粉体21b、光反射性物質22等の粉体の分散性を高めることができ、バリスタ特性の安定性や信頼性を向上させることができる。第1粉体21a、第2粉体21b、光反射性物質22等の粉体が偏在するとバリスタ特性が落ちたり、バリスタ特性を発現しなかったりする場合がある。
【0019】
第1粉体21aに対し、第2粉体21bの重量比率は、4.4%以上667%以下であることが好ましく、30%以上240%以下であることがより好ましく、40%以上200%以下であることが特に好ましい。これにより非直線性係数を高くし、静電気による破壊を大幅に抑制するすることができる。第1粉体21aに第2粉体21bを所定量配合することで、導電パスを形成し易くすることができる。球状等の第1粉体21aの粒子間に針状部分を含む第2粉体21bが入り込みやすく、導電パスを形成し易くすることができる。
【0020】
光反射部20は、電流-電圧特性がオームの法則に従わない非直線性を示す。例えば、光反射部20は透光性の樹脂硬化物である結合材23と、結合材23中に分散された半導電性を持つ純度95%以上の白色の酸化亜鉛(ZnO)粉末から成る複数の第1粉体21aと、結合材23中に分散された半導電性を持つ白色の酸化亜鉛(ZnO)粉末から成る複数の第2粉体21bと、を備える。例えば、第1粉体21aは、球状、略球状の粒子であり、第2粉体21bは、4方向に伸びる針状の形状を持つテトラポット状の粒子である。ただし、4方向に伸びる針状の形状のうちの一部が混合工程において、割れや欠けが生じ、1方向、2方向、3方向となる場合もあり、また、針状部分の長さが不均一となることもある。また、第1粉体21a、第2粉体21b、光反射性物質22は、それぞれ凝集することもあるが、凝集体、粉体が均一に分散されていることが好ましい。
【0021】
光反射部20は、450nm以上800nm以下の波長域で50%以上の光反射率を有し、かつ、バリスタ特性を持つ。光反射部20中に光反射性物質22を所定量配合することで、主に可視光領域での光の反射率を高くすることができる。一方で、光反射性物質22が酸化物等の絶縁性である場合、光反射性物質22の配合量を高くするとバリスタ特性を得ることができないため、所定の配合量とすることが好ましい。
【0022】
以下、各構成部材について詳細説明する。
【0023】
(発光素子)
発光素子10は、光取り出し面となる第1面1と、第1面1と反対側の第2面2と、第1面1及び第2面2と繋がる側面3と、を有し、第2面2に異なる極性を持つ一対の素子電極7を有する。発光素子10は、一例として直方体形状に形成されている。発光素子10は、サファイア等の素子基板5と、n型半導体層とp型半導体層と発光層とからなる半導体層6と、を有する発光ダイオードを用いることが好ましく、目的および用途に応じて任意の波長のものを選択することができる。例えば、紫色(ピーク波長380nm~430nmの光)青色(ピーク波長430nm~490nmの光)、緑色(ピーク波長490nm~570nmの光)の発光素子10としては、ZnSe、窒化物系半導体(InXAlYGa1-X-YN,0≦X,0≦Y,X+Y≦1)、GaP等を用いることができる。
【0024】
また、赤色(波長620nm~750nmの光)の発光素子10としては、GaAlAs,AlInGaP等を用いることができる。なお、蛍光体を用いた発光装置とする場合には、その蛍光体を効率良く励起できる短波長の発光が可能な窒化物系半導体を用いることが好ましい。また、発光素子10の組成や発光色、大きさ等は、目的および用途に応じて適宜選択することができる。
【0025】
発光素子10の素子電極7は、n側電極7a及びp側電極7bが第2面2に間を空けて配置されている。発光素子10は、一対の素子電極7に導電部材を配置して、発光素子10の第2面2と回路基板70との間が所定間隔以上となるようにしている。
【0026】
(光反射部)
光反射部20は、粉体状の半導電性物質21と粉体状の光反射性物質22と絶縁性の結合材23とを含む。半導電性物質21は、球状、長球、楕円体、略球状、略長球、略楕円体の少なくともいずれか1種の形状を持つ第1粉体21aと、1方向又は2方向以上に延びる針状の形状を持つ第2粉体21bと、を持つ。光反射部20は、通常の電圧では高インピーダンスだが、過電在が加わると、高インピーダンスから低インピーダンスへと瞬時に変化する優れた非オーム性を有する。低インピーダンスになることで、過電流を2次側(接地側など)へ流すことができ、その後、すぐに高インピーダンスへと自動復帰する性質を持っている。
【0027】
第1粉体21aは、直径若しくは長径が1μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上30μm以下がより好ましく、10μm以上20μm以下が特に好ましい。ミクロンオーダーの粒子を含むことで、電気抵抗を下げることもできる。また第1粉体21aが凝集せずに分散されていることで光反射部20の厚みを薄くすることができる。光反射部20の厚みは特に限定されないが、10μm以上70μm以下が好ましく、20μm以上60μm以下がさらに好ましく、30μm以上50μm以下が特に好ましい。ただし、第1粉体21aは凝集していない方が好ましいが、凝集していても、光反射部20内において分散されていれば使用することができる。
【0028】
第1粉体21aの粒径測定はレーザー回折・散乱法(JIS Z8825)に準拠した方法で測定を行い、各試料の数平均粒子径として算出した値を用いることができる。
【0029】
第2粉体21bは、平均繊維長が1μm以上50μm以下であることが好ましく、5μm以上30μm以下であることがより好ましく、10μm以上20μm以下であることが特に好ましい。また、この第2粉体21bのアスペクト比(数平均繊維長/数平均繊維径)としては1.5以上5000以下の範囲であることが好ましく、より成形品表面の横方向に対する熱伝導性に優れるさらに2以上の範囲のものが好ましく、さらに10以上の範囲のものがより好ましい。一方、機械的強度、特に、ウェルド部における機械的強度に優れる点から、1000以下の範囲のものが好ましく、さらに500以下の範囲のものがより好ましく、さらに100以下の範囲のものがより好ましい。
【0030】
第2粉体21bの数平均繊維径および数平均繊維長は、キーエンス製「超深度マルチアングル顕微鏡VHX-D500」によりSEM画像(倍率1500倍)を得、当該SEM画像中の任意の繊維20本を選び出し、測定するものでもよい。
【0031】
半導電性物質21は、BaTiO3、SrTiO3、ZnO、BiO、CoO、MnO、SbO、CrO、NiO、SiN、SiOから選ばれる少なくとも1種であることが好ましいが、酸化亜鉛(ZnO)が特に好ましい。また、酸化亜鉛の純度も90%以上が好ましく、95%以上が寄り好ましく、97%以上が特に好ましい。酸化亜鉛は他の酸化物に比べて非常に大きな非直線性の電流-電圧特性を持つため、印加電圧が微小な領域では絶縁体として、一方で電圧が大きい領域では導体として働く。ZnOは、均質性の向上によるサージ電流の均等分担と、高い沿面絶縁性を実現することができる。また回路電圧が常時課電される状態に対して安定性、信頼性が高い。半導電性物質21は、酸化亜鉛が85重量%以上であることが好ましく、90重量%以上であることがより好ましく、95重量%以上であることが特に好ましい。
【0032】
第1粉体21aは、第1粉体21aに、Al、Bi、Sb、Co、Mn、又は、これらから選択される少なくとも1種を含む酸化物若しくは窒化物、が含有されていない、又は、0.01重量%以下であることが好ましい。第1粉体21aにAlやBi等が含まれると着色し、光反射率が低下するためである。例えば、第1粉体21aの酸化亜鉛粉末に、Alが1%程度含有されると導電性を有するようになり、短絡に至るおそれがある。また、第1粉体21aが着色して白色度が低下するおそれがある。また、Al、Bi、Sb、Co、Mn等を数%含むとこれらが結晶粒界に酸化物として偏析して粉末自体がバリスタ機能を有するようになるが、黒色化した粉末となり450nm以上800nm以下の波長域で50%以上の光反射率を有することが出来ない。
【0033】
第2粉体21bは、体積固有抵抗が0.1Ω・cm以上1000Ω・cm以下であることが好ましく、0.5Ω・cm以上500Ω・cm以下がより好ましく、1Ω・cm以上100Ω・cm以下が特に好ましい。これにより光反射部の絶縁性を維持しつつサージ電流を放電するための良好な導電パスを形成することができる。
【0034】
第2粉体21bは、テトラポット型のウィスカー形状である酸化亜鉛が好ましい。テトラポット型の酸化亜鉛粉末は、光反射部20内において、第1粉体21aどうしをつないで良好な導電パスを形成する。また、テトラポット型のウィスカーを光反射部20に高濃度で配合しても樹脂の混合、成形等の作業性を改善する効果も有り、光反射部20に良好なバリスタ特性と光反射効率の向上を得ることができる。
【0035】
結合材23は、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ変性樹脂、若しくはこれらの少なくとも1種を含むハイブリッド樹脂、ガラス、又は、セラミックスから選択される少なくとも1種であることが好ましい。シリコーン等の樹脂は安価で作業性も良く、透光性も高い。また、樹脂は、トランスファー成形、圧縮成形、インジェクション成形法、スクリーン印刷成形等において良好な成形性を有する。一方、ガラスやセラミックスは耐熱性、耐光性が樹脂に比べて高いため、耐熱性、耐光性が求められる箇所においてはこれらを使用することが好ましい。
【0036】
光反射性物質22は、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、炭酸バリウム、硫酸バリウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、ガラスフィラーから選択される少なくとも1種であることが好ましい。光反射性物質22は、酸化亜鉛等の半導電性物質を除く。結合材23は酸化チタン(TiO2)が好ましい。酸化チタンは屈折率が高いため、例えば、結合材23に屈折率が1.40以上1.60以下の樹脂を使用した場合、屈折率が2.70の酸化チタンを使用することで、屈折率の差が大きくなり、光反射率が向上するからである。光反射性物質22の粒径(メジアン径)は、特に限定されないが、0.1μm以上5μm以下が好ましく、0.15μm以上1μm以下がより好ましく、0.2μm以上0.4μm以下が特に好ましい。
【0037】
光反射部20は、さらに、フュームドシリカ、若しくは、高級脂肪酸アマイドのいずれかを含んでもよい。これらを含むことにより光反射部での第1粉体21a、第2粉体21b、光反射性物質22の沈降や凝集を防ぎ均一分散を促進することができる。
光反射部20は、さらに、アルミネート系、シラン系、チタネート系、ジルコネート系の少なくともいずれか1種のカップリング剤を含むことが好ましい。結合材23にカップリング剤を添加することにより、第1粉体21a、第2粉体21b、光反射性物質22のそれぞれの濡れ性を向上させることができるからである。また、カップリング剤は第1粉体21a、第2粉体21b、光反射性物質22を結合材23に混合する前に、表面改質処理を施しておいてもよい。
【0038】
光反射部20は、さらに、イオン捕捉粉末を含むことが好ましい。これにより、光反射部20内にNa+やK+、SO4
2-、NO3―等の不純物が含まれる場合、不純物イオンを捕捉して光反射部20のリーク特性の悪化や樹脂の硬化阻害を防止することができる。イオン捕捉粉末はZr系、Bi系、Bi,Sb系、Mg、Al、Zr系やBi、Zr系等の無機イオン捕捉剤を用いることが好ましい。イオン捕捉粉末は、一次粒子径が1μm以下、好ましくは800nm以下、より好ましくは500nm以下であることが好ましい。
【0039】
光反射部20は、さらに、導電粒子を含んでもよい。光反射部20に導電粒子を少量含有させることで、第1粉体21a、第2粉体21bの含有量を減らせることができる。結合材100重量部に対し、導電粒子は、10重量部以上40重量部以下であってもよく、13重量部以上35重量部以下であってもよい。
【0040】
(第1実施形態に係る発光装置の製造方法)
次に、第1実施形態に係る発光装置の製造方法について概略を説明する。
【0041】
一対の素子電極7を持つ発光素子10を準備した後、一対の素子電極7間に光反射部20を配置する。
【0042】
準備において、一対の素子電極7は、電解めっき法等でめっき処理される。
【0043】
配置において、一対の素子電極7間にスクリーン印刷法や圧縮成形法などにより、光反射部20を配置する。光反射部20はn側電極7a及びp側電極7bのそれぞれと接触している。その後、光反射部20の結合材23を固化又は硬化する。例えば、n側電極7a及びp側電極7bの全体を結合材23で被覆した場合、n側電極7a及びp側電極7bの表面が露出するように、光反射部20の表面をバックサイドグラインダーなどで研削する。これにより、n側電極7a及びp側電極7bが光反射部20から露出される。
【0044】
次に発光装置の集合体をダイシングブレード、またはレーザー光により切断して個別の発光装置に個片化する。なお、発光装置は、ひとつのn型、p型半導体層を含むシングルチップ構造でも良いし、複数のn型、p型半導体層を含むマルチチップ構造であっても良い。
【0045】
このようにして製造された発光装置は、n側電極7a、p側電極7bを通じて、半導体層6に電流が供給され発光する。そして、半導体層6から出射される光は、主に第1面1を透過し、外部に出射される。これにより、静電気による破壊を抑制するとともに、光取り出し効率の高い発光装置を提供することができる。
【0046】
<第2実施形態に係る発光装置>
第2実施形態に係る発光装置について、図面を用いて説明する。
図5は、第2実施形態に係る発光装置の上面側から見た概略上面図である。
図6は、第2実施形態に係る発光装置の下面側から見た概略下面図である。
図7は、第2実施形態に係る発光装置の概略断面図である。
図7は、
図5のVII-VII線で切断している。
【0047】
第2実施形態に係る発光装置は、第1実施形態に係る発光装置に比べて、発光素子10の第1面1と向かい合うように波長変換部材40を備える。発光素子10の第1面1と波長変換部材40との間には接着剤50が配置され、発光素子10と波長変換部材40とを固定している。また、発光素子10の側面3にも断面視で略三角形形状のフィレットとなる接着剤50が配置されており、発光素子10の第1面1と波長変換部材40との間に配置された接着剤50と連続している。光反射部20は、発光素子10の側面3の側方、発光素子10の第2面2に連続して配置されている。光反射部20は一対の素子電極7間及び一対の素子電極7の外周端部にも配置されている。それ以外は概ね第1実施形態に係る発光装置と共通しているため、説明を省略する。このような構成を採ることにより、バリスタ機能を持たせるとともに、発光素子10から側方に放出される光を、発光素子10の側方に配置された光反射部20で反射し、発光装置の上方への光取り出しを向上させることができる。バリスタ機能についても、一対の素子電極7間だけでなく、一対の素子電極7の外周端部においても、光反射部20と一対の素子電極7とが接触しているため、バリスタ機能を高めることができる。この発光装置は、CSP(Chip Size Package)型発光装置として用いることができる。
【0048】
なお、光反射部20は、発光素子10の側面3の側方だけでなく、直接、発光素子10の側面3に配置してもよい。また、光反射部20は、波長変換部材40の側面若しくは側方に配置されていてもよい。波長変換部材40の側面若しくは側方に光反射部20を配置することで、コントラストの良い発光装置を提供することができる。
【0049】
(波長変換部材)
波長変換部材は、蛍光体を含有する。波長変換部材は、無機材料を含有してもよい。波長変換部材は、蛍光体と無機材料とを含むセラミックス複合体を含むことが好ましい。波長変換部材は、蛍光体と無機材料とを含むセラミックス複合体からなる蛍光体層の単層のものであってもよく、蛍光体と無機材料とを含むセラミックス複合体からなる蛍光体層と、樹脂、ガラス及び無機物からなる群から選択される少なくとも1種の材料からなる透光性層とが積層されたものであってもよい。また、蛍光体と無機材料とを含むセラミックス複合体は、1種の第1蛍光体を含むものであってもよく、第1蛍光体とは組成が異なる他種の第2蛍光体を含むものであってもよい。また、1種の第1蛍光体と無機材料とを含む第1セラミックス複合体を第1蛍光体層とし、第1蛍光体とは組成が異なる他種の第2蛍光体と無機材料とを含む第2セラミックス複合体を第2蛍光体層とし、更に蛍光体を含まない透光性層が積層されたものであってもよい。透光性層はセラミックス複合体に含まれる後述する無機酸化物と同様の無機酸化物からなる板状体であってもよい。
【0050】
波長変換部材に含まれる蛍光体は、希土類アルミン酸塩蛍光体を含み、無機材料は無機酸化物を含むことが好ましい。蛍光体としては、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Y3(Al,Ga)5O12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu3(Al,Ga)5O12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb3(Al,Ga)5O12:Ce)、CCA系蛍光体(例えば、Ca10(PO4)6Cl2:Eu)、SAE系蛍光体(例えば、Sr4Al14O25:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えば、Ca8MgSi4O16Cl2:Eu)、βサイアロン系蛍光体(例えば、(Si,Al)3(O,N)4:Eu)若しくはαサイアロン系蛍光体(例えば、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu)等の酸窒化物系蛍光体、SLA系蛍光体(例えば、SrLiAl3N4:Eu)、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN3:Eu)若しくはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(例えば、K2SiF6:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K2Si0.99Al0.01F5.99:Mn)若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn)等のフッ化物系蛍光体、ペロブスカイト構造を有する蛍光体(例えば、CsPb(F,Cl,Br,I)3)、又は、量子ドット蛍光体(例えば、CdSe、InP、AgInS2又はAgInSe2)等を用いることができる。
【0051】
KSAF系蛍光体としては、下記式(I)で表される組成を有していてよい。
M2[SipAlqMnrFs] (I)
【0052】
式(I)中、Mはアルカリ金属を示し、少なくともKを含んでよい。Mnは4価のMnイオンであってよい。p、q、r及びsは、0.9≦p+q+r≦1.1、0<q≦0.1、0<r≦0.2、5.9≦s≦6.1を満たしていてよい。好ましくは、0.95≦p+q+r≦1.05又は0.97≦p+q+r≦1.03、0<q≦0.03、0.002≦q≦0.02又は0.003≦q≦0.015、0.005≦r≦0.15、0.01≦r≦0.12又は0.015≦r≦0.1、5.92≦s≦6.05又は5.95≦s≦6.025であってよい。例えば、K2[Si0.946Al0.005Mn0.049F5.995]、K2[Si0.942Al0.008Mn0.050F5.992]、K2[Si0.939Al0.014Mn0.047F5.986]で表される組成が挙げられる。このようなKSAF系蛍光体によれば、輝度が高く、発光ピーク波長の半値幅の狭い赤色発光を得ることができる。本明細書において、蛍光体の組成を示す組成式中、カンマ(,)で区切られて記載されている複数の元素は、これら複数の元素のうち少なくとも1種の元素を組成式中に含むことを意味し、複数の元素から2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。また、蛍光体の組成を示す式中、コロン(:)の前は母体結晶を構成する元素及びそのモル比を表し、コロン(:)の後は賦活元素を表す。「モル比」は、蛍光体の組成の1モル中の元素のモル量を表す。
【0053】
波長変換部材に含まれる無機酸化物は、発光素子からの光及び蛍光体で波長変換された光を透過する透光性を有する無機酸化物であることが好ましい。無機酸化物としては、例えばSiO2、Al2O3、ZrO2、MgO、TiO2、CeO2、ZnO、SnO2及びY2O3からなる群から選択される少なくとも1種の無機酸化物が挙げられる。本明細書において、透光性とは、発光素子から出射される光及び蛍光体で波長変換された光の60%以上を透過するものであることを意味し、透光性を有するものとしては、例えば発光素子から出射される光の透過率が70%以上のものでもよく、80%以上のものでもよく、90%以上のものでもよい。セラミックス複合体に含まれる蛍光体が、希土類アルミン酸塩蛍光体である場合、無機材料は、Al2O3を含むことが好ましい。
【0054】
なお、波長変換部材40は、蛍光体100%である必要はなく、蛍光体に酸化アルミニウム等の熱伝導性の良い部材を0.01重量%以上10重量%以下混合したものであってもよい。また、ガラスやセラミックスのような透光性部材に蛍光体層を配置したものであってもよい。透光性部材への蛍光体の配置は印刷、ディスペンス等の手法を使用することができる。
【0055】
(接着剤)
接着剤50は、その一部により波長変換部材40と発光素子10とを接着する接着層を形成すると共に、他の一部によりフィレットを形成するように配置される。フィレットを構成する接着剤50としては、発光素子10からの出射光を波長変換部材40へと有効に導光でき、発光素子10と波長変換部材40とを光学的に連結できる透光性材料を用いることが好ましい。接着剤50としては、例えばエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等の有機樹脂を用いることができ、耐熱性の高いシリコーン樹脂を用いることが好ましい。なお、発光素子10と波長変換部材40との間に形成された接着層の厚さは薄ければ薄い程好ましく、これにより放熱性が向上するとともに、発光素子10と波長変換部材40との間の接着剤50を透過する光の損失が少なくなるため、発光装置の光出力が向上する。また、接着剤50の屈折率は発光素子10よりも小さく、波長変換部材40よりも高いことが好ましい。屈折率を所定の関係にすることで、発光素子10からの出射光を効率良く接着剤50及び波長変換部材40を介して外部に放出することができる。
【0056】
接着剤50は、波長変換部材40の下面周縁と発光素子10の側面3との間に配置される。フィレットは、外側に向かって断面視で外形線が略直線あるいは凸曲線となるように配置されることが好ましいが、凹曲線となっていてもよい。さらに、フィレットは、発光素子10の側面3の一部又は全部を覆うように配置されている。
【0057】
接着剤50は、波長変換部材40と発光素子10の第1面1との接着に必要な接着層の量以外の余剰分の接着剤50を発光素子10の側面3まで延在させることで、フィレットを形成することができる。なお、フィレットの断面三角形状は、接着層に連続して波長変換部材40の下面及び発光素子10の側面3が直交する位置に形成される。このフィレットの断面三角形状の部分は、シリコーン樹脂等と発光素子10の側面3や波長変換部材40の下面との濡れ性や粘度を適正化することによって形成することができる。
【0058】
(第2実施形態に係る発光装置の製造方法)
次に、第2実施形態に係る発光装置の製造方法について図面を用いて概略を説明する。
図8乃至
図17は、第2実施形態に係る発光装置の製造工程を示す概略断面図である。
【0059】
まず、金属プレート61に貼り付けられた両面テープ62を用いて、透光性シート63と蛍光体シート64を貼り付ける。目的に応じてどちらか一方のシートでも良い。なお蛍光体シート64は最終的に個片化された後は波長変換部材40となる。
【0060】
次に蛍光体シート64及び透光性シート63の一部へダイシングブレードAでハーフカット溝を付ける。この溝は透光性シート63の途中まで溝が形成される。
【0061】
次に接着剤50を用いて、発光素子10の第1面1と蛍光体シート64とが向かい合うように接着する。この場合、発光素子10は、蛍光体シート64の溝部分でのセルフアライメント効果により波長変換部材40の中心に配置され、また、接着剤50で発光素子10の側面3にフィレットが形成される。
【0062】
次に、発光素子10の側方に光反射部20を配置する。このとき、発光素子10の第2面2に設けた一対の素子電極7を覆うように光反射部20を配置する。また、接着剤50の表面、及び、蛍光体シート64の溝に光反射部20を配置する。この配置方法は、トランスファー成形、圧縮成形、インジェクション成形法、スクリーン印刷成形、ディスペンス、噴霧等でも良い。配置した光反射部20を固化若しくは硬化する。圧縮成形における金型温度は、樹脂の硬化温度付近、例えば、樹脂の硬化温度よりも-30℃以上50℃以下の間の金型温度を使用することが好ましい。例えば、樹脂の硬化温度が130℃であれば、金型温度が120℃以上140℃以下とする。硬化温度は、30秒以上30分以下、好ましくは1分以上10分以下である。樹脂は、一次硬化、二次硬化と二段階で硬化させてもよく、一段階で硬化させてもよい。光反射部20は樹脂やガラスやセラミックス等の固化、硬化により簡易に固形化することができる。特に焼結のような1000℃以上の工程を経ることなく光反射部20を形成することができる。
【0063】
次に、一対の素子電極7が露出するように光反射部20を研削する。
【0064】
次に、研削して露出した一対の素子電極7に金等のスパッタ膜をコーティングして、必要な部分以外をレーザーで除去して被膜7cを形成する。これにより一対の素子電極7の母材である銅の変色を抑制することができる。
【0065】
次に、隣り合う発光素子10の間における蛍光体シート64の溝部分にダイシングブレードBを用いてハーフカット溝を形成する。
【0066】
溝を形成した後、金属プレート61を両面テープ62から剥がす。
【0067】
最後に、透光性シート63の全部及び蛍光体シート64の一部を研削してハーフカット溝を露出させ、各発光装置を個片化することにより、第2実施形態に係る発光装置を製造することができる。蛍光体シート64は個片化されると波長変換部材に相当する。ただし、蛍光体シート64を研削せずに、透光性シート63の一部のみを研削して透光性部材を持つ発光装置とすることもできる。
【0068】
(第3実施形態に係る発光装置)
第3実施形態に係る発光装置について図面を用いて概略を説明する。
図18は、第3実施形態に係る発光装置の概略断面図である。第1実施形態に係る発光装置、第2実施形態に係る発光装置と、同じような構成を採る部分については説明を省略することもある。
【0069】
第1面1と、第1面1と反対側の第2面2と、第1面1及び第2面2と繋がる側面3と、を有し、第2面2に異なる極性を持つ一対の素子電極7を有する発光素子10と、一対の素子電極7と電気的に接続する、第1リードフレーム配線部8aと、第1リードフレーム配線部8aから離隔する第2リードフレーム配線部8bと、粉体状の半導電性物質21と粉体状の光反射性物質22と絶縁性の結合材23とを含む光反射部20と、を備え、半導電性物質21は、球状、長球、楕円体、略球状、略長球、略楕円体の少なくともいずれか1種の形状を持つ第1粉体21aと、1方向又は2方向以上に延びる針状の形状を持つ第2粉体21bと、を持ち、光反射部20が第1リードフレーム配線部8aと第2リードフレーム配線部8bとのそれぞれと接触するように配置され、光反射部20は、450nm以上800nm以下の波長域で50%以上の光反射率を有し、かつ、バリスタ特性を持つ。一対の素子電極7は第1リードフレーム配線部8a、第2リードフレーム配線部8bとそれぞれ電気的に接続されているが、ワイヤや半田等の導電部材を介して配置されていてもよく、又は、直接接続されていてもよい。パッケージ8は、第1リードフレーム配線部8a及び第2リードフレーム配線部8bが樹脂やセラミックス等の固定部8cにより固定されている。パッケージ8は底平面と側面を持つ凹部が形成され、凹部の底平面に発光素子10がフェイスアップ実装されている。発光素子10は蛍光体が含有された透光性の封止部材8dで封止されている。光反射部20は、第1リードフレーム配線部8aと第2リードフレーム配線部8bとのそれぞれと接触するように配置されていればよく、例えば、パッケージ8の凹部の底平面を構成する第1リードフレーム配線部8aと第2リードフレーム配線部8bと固定部8c上に配置している。これにより発光素子10から放出された光が、第1リードフレーム配線部8aと第2リードフレーム配線部8bとの間の固定部8cを透過して、パッケージ8の裏面側に放出されるのを抑制することができ、パッケージ8の表面側への光取り出しを向上させることができる。光反射部20は、固定部8c上の第1リードフレーム配線部8aと第2リードフレーム配線部8bとの外縁に沿った形状、例えば直線状に形成されている。また、光反射部20の幅は、第1リードフレーム配線部8aと第2リードフレーム配線部8bとの幅の1.1倍以上3倍以下が好ましい。なお、第1粉体21a、第2粉体21b、光反射性物質22を結合材23中に高濃度にした光反射部20を使用することもできるが、光反射部20を配置した後、第1粉体21a、第2粉体21b、光反射性物質22を沈降若しくは遠心沈降させたものであってもよい。これにより、光反射部20の厚みを均一に、光反射効率を高くすることができる。発光素子10は半田等の金属部材や樹脂等の接着剤50を介してパッケージ8の凹部の底平面に実装される。接着剤50に樹脂を使用し、光反射部20にも樹脂を使用する場合は、同じ材質であるため、接着剤50と光反射部20との密着性を高くすることができる。
【0070】
第3実施形態に係る発光装置は、第1実施形態に係る発光装置と異なり、発光素子10は、パッケージ8に配置されている。発光素子10の実施形態もフェイスダウンからフェイスアップに変わっている。一対の素子電極7は第1リードフレーム配線部8a、第2リードフレーム配線部8bとワイヤを介して接続されている。さらに光反射部20は凹部の底平面に配置されている。特に第1リードフレーム配線部8aと第2リードフレーム配線部8bとに接触するように光反射部20が配置されている。
【0071】
第3実施形態の変形例に係る発光装置について図面を用いて概略を説明する。
図19は、第3実施形態の変形例に係る発光装置の概略断面図である。第3実施形態の変形例に係る発光装置は、第3実施形態に係る発光装置と光反射部の形態が異なる以外は概ね同じであるため、同じような構成を採る部分については説明を省略する。
【0072】
光反射部20は、発光素子10が実装される部分を除く、凹部の底平面の全面に配置されている。光反射部20は、発光素子10が実装される部分だけでなく、ワイヤ等の導電部材と第1リードフレーム配線部8a等との接続部分を除いてもよい。さらに、光反射部20の部分配置や複数回配置を用いて、光反射部20を凹部の底平面の全面に配置しても良い。これにより発光素子10から放出された光が、第1リードフレーム配線部8aと第2リードフレーム配線部8bとの間の固定部8cを透過して、パッケージ8の裏面側に放出されるのを抑制するのに加え、光反射率やバリスタ特性を向上させることができる。
【0073】
(第4実施形態に係る発光装置)
第4実施形態に係る発光装置について図面を用いて概略を説明する。
図20は、第4実施形態に係る発光装置の概略上面図である。
図21は、第4実施形態に係る発光装置の概略断面図であり、
図20のXXI-XXI線で切断している。第1実施形態乃至第3実施形態に係る発光装置と、同じような構成を採る部分については説明を省略することもある。
【0074】
第4実施形態に係る発光装置は、基板9cに第1配線部9a、第2配線部9bを備え、回路基板としてもよい。発光素子10は、素子基板5に半導体層6が配置され、半導体層6にn側電極7a、p側電極7bが配置されている。半導体層6が配置されている側と反対側の素子基板5に波長変換部材40が配置されている。素子基板5と波長変換部材40との間は接着剤50が配置され、素子基板5に波長変換部材40が固定されている。また波長変換部材40上には透光性部材42が配置されている。発光素子10は基板9c上にフリップチップ実装されており、発光素子10のn側電極7a、p側電極7bは、第1配線部9a、第2配線部9bと、直接又は半田若しくは金属層等を介して電気的に接続されている。n側電極7aとp側電極7bの間、第1配線部9aと第2配線部9bとの間、半導体層6の側面若しくは側方、素子基板5の側面若しくは側方、波長変換部材40の側面若しくは側方に光反射部20が配置されているが、異なる電極間を接続するように配置されていれば一部でもよい。この光反射部20は、トランスファー成形や圧縮成形等により形成してもよい。第1配線部9aと第2配線部9bとの間に光反射部20を設ける場合は、基板9cにめっき等で突起を形成し、突起以外の基板9c上に光反射部20を配置し、研削等で突起を露出させ、第1配線部9aと第2配線部9bを形成する。その後、発光素子10を配置した後、光反射部20を基板9c上に配置してもよい。第1配線部9aと第2配線部9bとの間は、0.15mm以上0.25mm以下が好ましく、配線部の突起の高さは25μm以上50μm以下が好ましいが、これに限定されない。
【0075】
なお、第4実施形態に係る発光装置の製造方法は、上記及び特許第6217705号公報を参照することにより製造することができる。
【0076】
(第5実施形態に係る光源)
第5実施形態に係る光源について図面を用いて概略を説明する。
図22は、第5実施形態に係る光源の概略斜視図である。
図23は、第5実施形態に係る光源の概略断面図であり、
図22のXXIII―XXIII線で切断している。
【0077】
光源は、第1面1と、第1面1と反対側の第2面2と、第1面1及び第2面2と繋がる側面3と、を有し、第2面2に異なる極性を持つ一対の素子電極7を有する発光素子10と、一対の素子電極7と電気的に接続する、少なくとも2つの配線部を備える回路基板70と、粉体状の半導電性物質21と粉体状の光反射性物質22と絶縁性の結合材23とを含む光反射部20と、を備え、半導電性物質21は、球状、長球、楕円体、略球状、略長球、略楕円体の少なくともいずれか1種の形状を持つ第1粉体21aと、1方向又は2方向以上に延びる針状の形状を持つ第2粉体21bと、を持ち、光反射部20が2つの配線部のそれぞれと接触するように配置され、光反射部20は、450nm以上800nm以下の波長域で50%以上の光反射率を有し、かつ、バリスタ特性を持つ。少なくとも2つの配線部は第1配線部9a、第2配線部9bが含まれている。回路基板70は、基板9c上に第1配線部9a、第2配線部9bを備える。一対の素子電極7はn側電極7a、p側電極7bの異なる極性を持ち、n側電極7a及びp側電極7bは、第1配線部9a及び第2配線部9bにそれぞれ電気的に接続されている。光反射部20は、一対の素子電極7間及び第1配線部9a、第2配線部9b間に配置されている。発光素子10の第1面1に配置され発光素子10からの光を波長変換する波長変換部材41と透光性部材42とを備える。発光素子10の第1面1と波長変換部材41との間、及び、発光素子10の側面3に、接着剤50を配置する。接着剤50は光反射部20の一部を覆うように発光素子10の側方に配置される。光反射部20上に、酸化チタンのような光反射性物質を含有させた光反射層43を形成する。さらに、透光性部材42及び光反射層43に接するように、半球状のレンズ44が配置されている。光反射部20は、アンダーフィルのように使用されるが、所定の流動性を持たせたとしても、結合材23中に、第1粉体21a、第2粉体21b、光反射性物質22を所定量含むため、バリスタ特性と所定の光反射率とを有する。
【実施例0078】
以下、実施例に係る光反射部、発光装置について説明する。
【0079】
(光反射部の調整)
光反射部として、粉体状の半導電性物質と粉体状の光反射性物質と絶縁性の結合材とを含む。半導電性物質は、球状若しくは略球状の形状を持つ第1粉体と、4方向に延びる針状の形状を持つ第2粉体と、を持つ。
【0080】
結合材として、フェニルシリコーン樹脂(デュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル社製ダウコーニング株式会社製:製品型番OE7660)、第1粉体として、酸化亜鉛(ZnO)、第2粉体としてテトラポット型の酸化亜鉛(ZnO)(パナソニック株式会社製:パナテトラ酸化亜鉛単結晶)、光反射性物質としては酸化チタン(TiO2)、有色マイクロバリスタ材として酸化亜鉛(ZnO)(音羽電機工業株式会社製)、カップリング剤としてシランカップリング剤(信越シリコーン株式会社製:製品型番KBM-1083)を使用する。表1には、これら粉体の配合比、及び、物性値を記載する。これら粉体の混合は自転公転式ミキサー、ディソルバー、三本ロールミル、回転式混合機、二軸ミキサー等の公知の混合機を使用することができる。
【0081】
実施例及び比較例ではフェニルシリコーン樹脂とシランカップリング剤とを予め調合し、その後、自転公転式ミキサー(シンキー製自転公転式ミキサー 品名 ARV―310LED)を用いて回転数1200rpm、攪拌時間約3分で混合を実施する。その後、粉体を所定量配合し、3分程度実施後、自転公転式ミキサーで3分程度混錬を実施する。
【0082】
【0083】
(電極間封止)
上記光反射部の組成物を用いて、電極間封止を行う。一対の素子電極間に光反射部を配置した場合のバリスタ特性、光反射率を確認するため、測定の便宜上、電極間封止を使用する。
図24は、実施例に係る回路基板に光反射部を配置した概略断面図である。比較例も同様の構成を採る。評価用の回路基板として、基板9gに2つの配線部9fを備える。基板9gは厚さ0.3mmのビスマレイミドトリアジンレジンを用い、配線部9fは厚さ0.018mmの銅箔を用い、2つの配線部9fの距離は0.2mmである。この2つの配線部9fと接触するように、光反射部20fを配置する。光反射部20fは圧縮成形法を用いて、厚さ0.3mmの被膜を形成する。圧縮成形法の成形条件は、金型温度120℃以上140℃以下、硬化時間約4分で行う。圧縮成形機を用いて光反射部20fを一次硬化させた後、樹脂の反応を完結するために、ポストキュアー(二次硬化)を150℃で約4時間の条件で実施する。
【0084】
(電流-電圧特性の評価)
オシロスコープを用いて評価基板上の2つの配線間に0Vから400Vまでの電圧を印加した時に流れた電流値を測定する。
図25は、実施例に係る発光装置の電流-電圧特性を示す測定結果である。
【0085】
この測定結果において、実施例1乃至5、比較例3は、電流-電圧特性からバリスタ特性が得られているが、特に実施例2、3、5は、高いバリスタ特性が得られている。一方、比較例1及び2は、バリスタ特性が得られていない。実施例1乃至5について、バリスタ電流-電圧特性から非直線性係数(α値)を算出した。具体的にはグラフのカーブからI=K・Vαに適合するαを求めた。その結果から実施例3、実施例2、実施例5の順に良好であり、実施例3が最も良好であった。
【0086】
(光反射率)
次に、実施例、比較例に係る光反射部の表面の光反射率を測定した。光反射率は、村上色彩技術研究所製高速分光光度計(CMS-35SP)を用いて測定する。
図26は、実施例に係る発光装置の光反射率を示す図である。
【0087】
この結果から、実施例1から5は、比較例3に比べて高い光反射率を示す。具体的には実施例1から5は、450nm以上800nm以下の波長域で少なくとも50%以上の光反射率を有していた。
【0088】
これらから、実施例1から5に係る光反射部は、450nm以上800nm以下の波長域で少なくとも50%以上の光反射率を有し、かつ、バリスタ特性を持つ。特に実施例3、実施例2、実施例5は、非直線性係数(α値)が4以上と高いバリスタ特性を持っている。実施例1から5に係る光反射部は、450nmの波長に対して60%以上の光反射率を有し、730nmの波長に対して75%以上の光反射率を有する。
本開示の実施形態に係る発光装置及び光源は、液晶ディスプレイのバックライト光源、車載用又は一般屋内外照明等の各種照明器具、屋内外用ディスプレイ、広告や行き先案内等の各種表示装置等に利用することができる。