(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160096
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】表面欠陥検出装置および表面欠陥検出方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/88 20060101AFI20231026BHJP
G01N 21/952 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
G01N21/952
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070175
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 修一
(72)【発明者】
【氏名】駒宮 大介
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA90
2G051AB07
2G051BA08
2G051BA20
2G051BB01
2G051BB07
2G051CA03
2G051CA04
2G051CB01
2G051CC11
(57)【要約】
【課題】被検査体の欠陥の検出精度を確保しながらも、十分な空間分解能を有する欠陥検出装置の提供。
【解決手段】
この発明の表面欠陥検出装置は、被検査体表面に光を照射するための光源と、前記被検査体の表面からの正反射光を前記被検査体の表面と平行になるように配置したスクリーン面と、前記スクリーン面に投影された投影像を画像として取得するための撮像手段と、前記画像に基づいて前記被検査体の表面の欠陥を検知する検出手段と、を有し、前記光源から前記被検査体へと照射される前記光の入射角が、45°より大きく85°未満となることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査体表面に光を照射するための光源と、
前記被検査体の表面からの正反射光を前記被検査体の表面と平行になるように配置したスクリーン面と、
前記スクリーン面に投影された投影像を画像として取得するための撮像手段と、
前記画像に基づいて前記被検査体の表面の欠陥を検知する検出手段と、
を有し、
前記光源から前記被検査体へと照射される前記光の入射角が、45°より大きく85°未満となることを特徴とする表面欠陥検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表面欠陥検出装置において、
前記撮像手段と、前記スクリーン面とは、互いに前記被検査体を挟んで反対側に位置することを特徴とする表面欠陥検出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の表面欠陥検出装置において、
前記光源は、照射する光の範囲を所望の範囲内に制限するためのマスキング構造を有することを特徴とする表面欠陥検出装置。
【請求項4】
請求項1に記載の表面欠陥検出装置において、
前記光源は、照射する光が白色光であることを特徴とする表面欠陥検出装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1つに記載の表面欠陥検出装置において、
前記被検査体は円筒型の形状であることを特徴とする表面欠陥検出装置。
【請求項6】
光源から前記被検査体へと照射される前記光の入射角が、45°より大きく85°未満となるように照射する照射ステップと、
前記照射された光の正反射光を前記被検査体の表面と平行になるように配置したスクリーン面に投影する投影ステップと、
前記スクリーン面に投影された投影像を画像として取得する撮像ステップと、
前記画像に基づいて前記被検査体の表面の欠陥を検知する欠陥検出ステップと、を用いる表面欠陥検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表面欠陥検出装置および表面欠陥検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工業製品の品質管理の1手法として、製品の表面に光を照射して、製品外観の画像を取得し、画像処理によって製品表面の欠陥の有無を検知する検査工程が広く知られている(例えば特許文献1~9等参照)。
こうした画像処理による製品の外観検査において、被検査体の表面上の拡散反射光から得られる色特性を基に欠陥を検出する方法が従来から用いられているものの、色特性による判別が難しい表面上の微小な凹凸に由来する欠陥等の検知が難しいこともまた知られている。
【0003】
このような所謂凹凸欠陥の検知に効果的な手法として、凹凸欠陥のないモデル品と被検査体との表面に光を照射し、2つの画像の差異から正反射光のベクトルのずれを検知する手法が考案され、さらに照射光に周期的な明暗パターンを与えることで、撮影画像における明暗のコントラストから、より精度よく凹凸欠陥を検知する手法も検討されている(特許文献1等参照)。
【0004】
しかしながら、照射光に周期パターンを付与する方式では、検知可能な凹凸欠陥の解像度はパターンの大きさに依存してしまう。また、被検査体に平行光を照射して正反射光をレンズ面に垂直に受光するような撮影装置によって撮影する方法では、入射角及び反射角が大きくなるほど画像面における被検査体の正射影の長さは短くなるため、拡大倍率が1倍未満となり空間分解能が不足する虞がある。
このような問題を解決するために、例えば平行光を入射角90°近くの大きな角度で照射して反射光をスクリーンに投影し、スクリーンに投影された画像を撮影する方法が提案されている(例えば特許文献6等参照)が、十分な光量の確保が難しく、得られた画像の輝度の低下が問題になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる課題を解決するために、被検査体の欠陥の検出精度を確保しながらも、十分な空間分解能を有する欠陥検出装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の表面欠陥検出装置は、被検査体表面に光を照射するための光源と、前記被検査体の表面からの正反射光を前記被検査体の表面と平行になるように配置したスクリーン面と、前記スクリーン面に投影された投影像を画像として取得するための撮像手段と、前記画像に基づいて前記被検査体の表面の欠陥を検知する検出手段と、を有し、前記光源から前記被検査体へと照射される前記光の入射角が、45°より大きく85°未満となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、被検査体の欠陥の検出精度を確保しながらも、十分な空間分解能を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明における表面検査装置の構成の一例を示す模式図である。
【
図2】本発明における表面検査装置の概略構成の一例を示す図である。
【
図3】
図1に示した表面検査装置を用いて行う表面欠陥の検知方法の動作を示す図である。
【
図4】スクリーン面上に投射される明暗画像の一例と、欠陥の一例とを示す図である。
【
図5】点光源を用いた場合のスクリーン面上の投射画像と被検査体2の表面上の位置との関係性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を説明する。
図1には、本発明による実施形態の一例として、表面欠陥検出装置として用いられる表面検査装置100の概略構成が示されている。
【0010】
表面検査装置100は、被検査体2に光を照射するための照明手段1と、スクリーン3と、撮像手段であるカメラ5と、カメラ5によって撮影された画像から被検査体2の欠陥を検知するための検出器7と、検出器7とカメラ5とを接続する接続ケーブル6と、を有している。
なお、
図1に示すのは概略構成であって、上下左右の向きはかかる方向に限定されるものではない。すなわち、
図1においては被検査体2とスクリーン3とを床面である載置面に対して水平に配置された態様で示しているが、
図2に示すように垂直方向であっても良いし、何らかの保持部材を用いて一定の角度を保って保持される形態であっても良い。
また、これらの表面検査装置100を構成するそれぞれの要素を固定する架台や、保持用アーム等を設けても良い。
【0011】
照明手段1は、点光源であればLED等の任意の点光源を用いて良いが、本実施形態では、白色光の光源を用いている。また、照明手段1は、発光部8と、マスキング構造9とを有しており、発光部8において生成された検査光Lをマスキング構造9で遮ることで、照明手段1から出射される検査光Lの出射面積を制限し、後述するようにスクリーン3への投影像における明暗の強調に寄与している。
マスキング構造9は、本実施形態ではレンズの絞りのように、発光部8の中心軸と同心円状であって、発光部8を外周側から狭めていくような円形の遮蔽物で構成されている。このように、発光部8をマスキング構造9で遮蔽するように形成すれば、発光部8において点光源とはみなせないような任意の光源であっても、発光部8から出射される光束のうち、マスキング構造9によって中心部の現実的に点とみなせる所望の範囲の光だけを検査光Lとして取り出すことができるから、任意の点光源を容易に形成することができる。
照明手段1は、照度については投射面であるスクリーン3の投影像の輝度を高めるために、なるべく高い方が好ましく、またデジタルまたはアナログのどちらでも良いが調光機能を備えていればより好ましい。また、後述するように、被検査体2に対する検査光Lの入射角を制御するために、入射角θを平易に調整可能とすべく、出射位置を制御するための機構を備えることがより好ましい。
【0012】
ここで、照明手段1には一般的な平行光線を用いても良い。しかしながら、照明手段1を平行光の光源とした場合には、1次元方向にしか拡散特性を持たず、被検査体2に照射された光は、基本的には長さ方向には拡大倍率1倍のままスクリーン3へと照射される。他方、本実施形態のように、点光源とした場合には、3次元方向に拡散特性を持つため、スクリーン3における拡大倍率が1倍以上となることにより、被検査体2の表面における微小な欠陥を拡大して投影することができる。
したがって、照明手段1は、点光源を用いることがより好ましい。
【0013】
スクリーン3は、投影された画像の輝度の明暗を強調可能なように、プロジェクター等に用いられる被投影面を備えたスクリーン面として機能する。スクリーン3は、具体的には白色のマグネットスクリーンであることが好ましい。
かかる構成とすることにより、後に説明する明暗画像が投影された際に、明暗画像の輝度の差異をはっきりと映し出すことで、検出器7による画像解析の精度が向上する。
【0014】
カメラ5は、複数のレンズが撮像光学系を構成するレンズ系4を備えるCCDカメラを用いている。なお、かかる構成に限定されるものではなく、産業用途で用いられる一般的なデジタルカメラであって、CCD、CMOSカメラ等であって良い。また、センサーサイズについても自由に設定して良いが、撮像範囲を大きく、検知精度を向上させるためには、所謂フルサイズ等の大きいセンサーサイズであることが好ましい。
また、被検査体2が円筒型やシート型等の場合には、センサーの配列が1次元的なラインスキャンカメラを用いることが好ましく、被検査体2を回転や移動動作をさせながら走査することによって、より少ないセンサー数で、高精度に撮影することが可能である。このような場合には、表面検査装置100は、
図2に示すように、被検査体2を駆動するための駆動手段として、搬送機構や回転機構21の他、駆動源22を備えている。
【0015】
レンズ系4は、ズームレンズ、固定焦点距離レンズ、ティルト機能付レンズ、テレセントリックレンズなど、一般的な如何なる形態のレンズであっても投射光学系として使用することができるが、本実施形態ではスクリーン3における投影像を広く撮影する目的で、焦点距離が短い、広角の固定焦点距離レンズを用いている。
ただし、焦点距離が短すぎる場合には、レンズ外縁における受光量が減少し、撮影画像の両端部が暗くなる傾向にある。そのような問題を防ぐために、レンズ系4を被検査体2から遠ざけることで、撮影画像の中央部付近のみを解析に用いたり、レンズ系4の焦点距離を長くして複数のカメラ5やレンズ系4を用いて撮影することとしても良い。
レンズ系4を構成するレンズとスクリーン3とは、互いに平行になるように配置されることが好ましい。すなわち、レンズ系4の光軸は、スクリーン3に対して垂直になるように配置されることが好ましい。
【0016】
接続ケーブル6は、使用されるカメラ5のインターフェース形式に応じて自由に選択可能な情報通信ケーブルである。
【0017】
検出器7は、画像データを収集するとともに画像データからプログラムに従って被検査体2の表面状態を解析する解析手段であり、カメラ5に接続されたコンピュータなどの電子計算機と、当該コンピュータ上で実行されるプログラムとで構成される。検出器7は、カメラ5によって撮影された画像を受け取って、画像中の輝度の明暗に基づいた画像解析により、被検査体2の表面の欠陥を検出する検出手段としても機能する。
【0018】
これらの構成を用いて、円筒状の被検査体2の表面の欠陥を検知する方法について
図3に沿って説明する。なお、本実施形態では被検査体2は円筒形状としているが、その他の形状であっても良く、また被検査体2の形状に合わせて適宜設計の変更を行っても良い。
まず操作者は、本発明における光源である照明手段1と、被検査体2との間の角度を調整する(ステップS101)。
ステップS101においては、例えば照明手段1を固定する治具やアーム等の保持部材の角度によって調整するのでも良いし、回転機構21の位置を変えることで調整するのでも良い。
照明手段1が点灯すると、被検査体2の表面に向かって検査光Lが照射される(ステップS102)。
ここで、被検査体2と、照明手段1とは、検査光Lの入射角θが
図1に示したように45°<θ<85°を満足するように配置されている。
なお、かかる入射角θは、当然、被検査体2が円筒であれば、被検査体2の測定可能な範囲のうち、照明手段1に近い側の端部23と、照明手段1から遠い側の端部24と、で検査光Lの角度が異なるため、入射角も異なる。そのため本実施形態では点光源である照明手段1からの検査光Lの入射角θを、45°<θ<85°の範囲内に収まるように規制している。
これは、45°よりも入射角が小さい場合には、表面の微小な凹凸による反射光L′の影響が十分に出ずに検出感度が悪化してしまうためである。また入射角θが85°よりも大きい場合には、検出感度自体は向上するものの、照明手段1による被検査体2の表面の照度はθ=0°の場合に比べてcosθ倍に低下してしまうことが知られている。入射角θを85°以上にしてしまうと、cosθ<0.1となってしまい、被検査体2の表面に十分な照度を与えられなくなるため、入射角θは上述の範囲とすることが好ましい。
【0019】
また、スクリーン3と、被検査体2とは平行に配置されており、
図2に示したように、検査光Lの反射光L′がスクリーン3に入射するような位置に、スクリーン3が固定されている。
したがって、スクリーン3上には、ステップS102と略同時に、被検査体2の表面の凹凸をなぞるような明暗画像が形成されることとなる(ステップS103)。かかる明暗画像の一例としては、
図4に示したようなものが挙げられる。
ステップS103は、照射された検査光Lの正反射光を被検査体2の表面と平行になるように配置したスクリーン3の面上に投影する投影ステップである。
ここで、A、Bで示したように、スクリーン3上に投影された明暗画像には、線状の「ゆがみ」が生じる場合があり得る。
被検査体2が表面に判別可能な凹凸が見られない正常品のときには、このような明暗画像の「ゆがみ」が存在せず、検査光Lは被検査体2の表面において正反射されて反射光L′として入射する。他方、被検査体2の表面に判別可能なサイズの凹凸がある異常品のときには、かかる表面上の凹凸が、検査光Lを遮り/あるいは反射することによって、反射光L′はスクリーン3上には凹凸の分だけずれて「ゆがみ」として明暗画像に反映される。
【0020】
そこで、本発明においては、カメラ5を用いてスクリーン3上に生じた明暗画像を撮影する(ステップS104)とともに、検出器7を用いてかかる明暗画像を画像解析することによって、所定量以上の「ゆがみ」が生じていた場合に、当該被検査体2の表面に所定のサイズ以上の凹凸の欠陥があることとして判定し(ステップS105)、異常品を検知することができる(ステップS106、S107)。
ステップS104は、スクリーン3上の面に投影された投影像を画像として取得する撮像ステップである。
また、ステップS105は、ステップS104の画像に基づいて被検査体2の表面の欠陥を検知する欠陥検出ステップである。
【0021】
図5は、被検査体2の端部を原点O(0,0)とし、点光源である照明手段1の座標P(-s,h)として、被検査体2の表面における任意の点X(X,0)で反射された検査光Lが、スクリーン3上の座標(U,t)の位置に反射されるときの光線の反射の様子を模式的に示す図である。
かかる模式図は、スクリーン3が被検査体2と平行に距離tだけ離れて配置された場合を模擬していることに等しく、照明手段1の中心を通る断面図であると解して良い。
図5から明らかなように、被検査体2の表面の任意の点X(X,0)において凹凸の欠陥があると、スクリーン3上において対応する位置座標(U,t)に欠陥を示す明暗が生じる。このとき、入射角=反射角=θであって、tanθは傾斜を表すので、入射光Lの光線を示す直線の傾きを計算して、tanθ=(X+s)/hである。
同様に、反射光L′の傾きから、関係式(1)が成立する。
【0022】
【0023】
UとXとの微分を取ると、関係式(2)が導出される。
【0024】
【0025】
関係式(2)で示したUとXとの微分は、被検査体2とスクリーン3との間の拡大倍率を表す量である。ここでスクリーン3と、照明手段1とを被検査体2に対して同一の側に配置すれば、tとhとはどちらも正なので、1以上の値を保って空間分解能の低下を生じることがない。
また、被検査体2の検査対象となる面とスクリーン3の投影面とを平行に配置することによって、かかる拡大倍率が一定になるから、被検査体2の表面上の位置によってスクリーン3の面上における投影の映り方が変化することも抑制される。
このように、照明手段1に点光源を用いること、スクリーン3と被検査体2の表面とが平行に位置するように配置すること、の2点によって、被検査体2の表面の何れの位置に凹凸欠陥が生じていたとしても、見え方の差異を生じにくく、画像解析による検査が容易となる効果がある。
また、カメラ5がスクリーン3に対して斜めに配置されていると、カメラ5の位置によっても空間分解能が変化してしまう。そこで、
図1で示したように、レンズ系4を構成するレンズの光軸が、スクリーン3に対して垂直となるように配置されることが最も好ましい。
【0026】
検出器7は、ステップS105においてカメラ5によって撮影された明暗画像を、複数の領域に分割して各領域ごとに検査しても良いし、一括で行っても良い。
また、検出器7が行う画像解析の例としては、周波数フィルタリングを用いた画像処理、時間変化法、位相シフト法、その他のルールベースに基づいた画像処理法全般の他、ディープラーニング等の機械学習によって欠陥の有無の教師データを読み込ませる等、種々の方法を取ることができる。
最も好ましくは、予め正常品について明暗画像を検出器7に記憶しておき、スクリーン3の面上に投影された像の輝度の明暗の変化から、被検査体2の表面の凹凸の位置を割り出す方法が、最も単純かつ精度良く凹凸の欠陥を検知することが可能である。
【0027】
このような表面検査装置100を用いて、ステップS101~ステップS107のような工程を経ることによって、表面検査装置100は、被検査体2の表面上に位置する凹凸の欠陥を精度よく検知することができる。また、従来の装置では検出が困難であった、塗膜上の微小な膜厚段差や、異物による凹凸を容易に精度よく検査することができる。
また、被検査体2は、検査光Lの正反射光が検知可能であれば良いため、かかる表面検査装置100は、光沢のある塗装面や、金属面、ガラス面等の検査にも用いることができる。
なお、本実施形態では、特に被検査体2の表面上の凹凸のような欠陥を検知する目的で表面検査装置100を用いたが、その他、3次元的な形状の差異を求めることにも用いることができるし、被検査体2の表面に光を当て、その射影から判断が可能なものであれば、傷や凹凸その他の欠陥の他、刻印の判別など形状の判定に用いても構わない。
【0028】
<1>
本実施形態では、被検査体2の表面に光を照射するための照明手段1と、被検査体2の表面からの正反射光L′を被検査体2の表面と平行になるように配置した面に投影するスクリーン3と、スクリーン3に投影された投影像を画像として取得するためのカメラ5と、前記画像に基づいて被検査体2の表面の欠陥を検知する検出器7と、を有している。
また、照明手段1から被検査体2へと照射される検査光Lの入射角θが、45°より大きく85°未満となるように配置される。
かかる構成により、表面検査装置100は、被検査体2の欠陥の検出精度を確保しながらも、十分な空間分解能を有する。
【0029】
<2>
また、本実施形態では、上記<1>の構成に加え、撮像手段であるカメラ5と、スクリーン3の投射面とは、互いに被検査体2を挟んで反対側に位置する。
かかる構成により、表面検査装置100は、被検査体2の欠陥の検出精度を確保しながらも、十分な空間分解能を有する。
さらに、スクリーン3に対して透過で撮影する場合には、スクリーン3内面の屈折率により色収差が生じて、画像がボケる可能性がある。そのため、撮像手段であるカメラ5と、スクリーン3の投射面とは、互いに被検査体2を挟んで反対側に位置させることで、こうしたスクリーン3内面の影響を受けずに、反射光によって被検査体2の欠陥を検出することができる。
【0030】
<3>
また、本実施形態では、上記<1>あるいは上記<2>の構成に加え、照明手段1は、照射する検査光Lの範囲を所望の範囲内に制限するためのマスキング構造9を有する。
かかる構成により、照明手段1から出射される検査光Lは、点光源から出射される3次元方向に拡散特性を有する光となるから、被検査体2の表面上のどの位置に凹凸の欠陥が生じているかによらず、一定の精度で表面の欠陥を検知することができる。
【0031】
<4>
また、本実施形態では、上記<1>乃至<3>の何れか1つに挙げた構成に加え、照明手段1は、照射する光が白色光である。
かかる構成により、スクリーン3に投射された際の明暗の輝度の確保が容易となり、高精度に表面の欠陥を検知することができる。
【0032】
また、本実施形態では、上記<1>乃至<4>の何れか1つに挙げた構成に加え、被検査体2は円筒型の形状である。
かかる構成により、カメラ5としてセンサーの配列が1次元的なラインスキャンカメラを用いることができて、被検査体2を回転や移動動作をさせながら走査することによって、より少ないセンサー数で、高精度に明暗画像を撮影することが可能となるため、表面検査装置100の精度を維持したまま、コストの削減にも寄与する。
【0033】
また本実施形態では、表面検査装置100は、検出器7を用いて、照明手段1から被検査体2へと照射される検査光Lの入射角θが、45°より大きく85°未満となるように照射する照射ステップS102と、照射された検査光Lの正反射光L′を被検査体2の表面と平行になるように配置したスクリーン3の投射面に投影する投影ステップS103と、スクリーン3上の面に投影された投影像を画像として取得する撮像ステップS104と、ステップS104の画像に基づいて被検査体2の表面の欠陥を検知する欠陥検出ステップS105と、を用いて被検査体2の表面上の欠陥を検出する検出方法を実行する。
かかる構成により、表面検査装置100は、被検査体2の欠陥の検出精度を確保しながらも、十分な空間分解能を有する。
【0034】
以上、本発明の好ましい実施の形態について述べたが、この発明は上述した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨の範囲内において種々の構成をとることが可能である。
【0035】
例えば、本発明の表面検査装置100は、照明手段1として可視光領域の光源を用いる場合についてのみ述べたが、その他様々な波長の光を用いても良い。
【0036】
この発明の実施形態に記載された効果は、発明から生じる好適な効果を列挙したに過ぎず、発明による効果は、「実施の形態に記載されたもの」に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0037】
1 光源(照明手段)
2 被検査体
3 スクリーン(投影手段)
4 レンズ系
5 カメラ(撮像手段)
6 接続ケーブル
7 検出器(検出手段)
100 表面検査装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0038】
【特許文献1】特開2006-242828号公報
【特許文献2】特許第4775492号公報
【特許文献3】特許第4492275号公報
【特許文献4】特許第3824059号公報
【特許文献5】特開2011-174942号公報
【特許文献6】特開2000-298102号公報
【特許文献7】特許第3007849号公報
【特許文献8】特開2001-108424号公報
【特許文献9】特開平11-211442号公報