(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160100
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】液滴吐出装置、液滴吐出方法および記憶媒体
(51)【国際特許分類】
B05C 5/00 20060101AFI20231026BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20231026BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20231026BHJP
B05D 1/26 20060101ALI20231026BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20231026BHJP
B41J 2/17 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/10
B05C11/00
B05D1/26 Z
B05D3/00 A
B05D3/00 D
B41J2/17 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070186
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 一仁
(72)【発明者】
【氏名】林 輝幸
(72)【発明者】
【氏名】三根 陽介
【テーマコード(参考)】
2C056
4D075
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056EA15
2C056EC08
2C056EC54
2C056FA04
2C056FA15
2C056FB02
2C056FB05
2C056FD10
2C056FD20
2C056HA58
2C056JC11
2C056JC13
4D075AC06
4D075AC09
4D075AC84
4D075AC88
4D075AC93
4D075AC95
4D075BB56Y
4D075CA47
4D075CA48
4D075DA06
4D075EA05
4D075EA33
4F041AA02
4F041AA05
4F041AB01
4F041BA01
4F041BA10
4F041BA13
4F041BA23
4F042AA02
4F042AA06
4F042AB00
4F042BA08
4F042DE01
4F042DE06
4F042DH01
(57)【要約】
【課題】乾燥による吐出不良を抑制する。
【解決手段】本開示による液滴吐出装置は、ステージと、吐出ヘッドと、移動部と、フラッシング部とを備える。吐出ヘッドは、機能液を吐出する複数のノズルを有し、ノズルからステージの上に位置する基板に対して機能液を吐出する。移動部は、ステージの上に位置する基板と吐出ヘッドとを相対移動させる。フラッシング部は、移動部による相対移動中において吐出ヘッドが基板の上方に位置する前に吐出ヘッドから吐出された機能液を受ける。フラッシング部は、機能液を受けるパッドと、パッドによって受け止められた機能液を排出する排液管とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステージと、
機能液を吐出する複数のノズルを有し、前記ノズルから前記ステージの上に位置する基板に対して前記機能液を吐出する吐出ヘッドと、
前記ステージの上に位置する前記基板と前記吐出ヘッドとを相対移動させる移動部と、
前記移動部による相対移動中において前記吐出ヘッドが前記基板の上方に位置する前に前記吐出ヘッドから吐出された前記機能液を受けるフラッシング部と
を備え、
前記フラッシング部は、
前記機能液を受けるパッドと、
前記パッドによって受け止められた前記機能液を排出する排液管と
を備える、液滴吐出装置。
【請求項2】
前記フラッシング部は、
前記排液管に接続され、前記パッドによって受け止められた前記機能液を負圧を利用して前記排液管に引き込む吸引部
を備える、請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
ステージと、
機能液を吐出する複数のノズルを有し、前記ノズルから前記ステージの上に位置する基板に対して前記機能液を吐出する吐出ヘッドと、
前記ステージの上に位置する前記基板と前記吐出ヘッドとを相対移動させる移動部と、
前記移動部による相対移動中において前記吐出ヘッドが前記基板の上方に位置する前に前記吐出ヘッドから吐出された前記機能液を受けるフラッシング部と
を備え、
前記フラッシング部は、前記機能液を受けるパッドを備え、
前記移動部による相対移動の方向における前記パッドの幅は、0.5mm以上である、液滴吐出装置。
【請求項4】
ステージと、
機能液を吐出する複数のノズルを有し、前記ノズルから前記ステージの上に位置する基板に対して前記機能液を吐出する吐出ヘッドと、
前記ステージの上に位置する前記基板と前記吐出ヘッドとを相対移動させる移動部と、
前記移動部による相対移動中において前記吐出ヘッドが前記基板の上方に位置する前に前記吐出ヘッドから吐出された前記機能液を受けるフラッシング部と
を備え、
前記フラッシング部は、前記機能液を受けるパッドを備え、
前記パッドは、多孔質体または網状体である、液滴吐出装置。
【請求項5】
前記パッドは、多孔質樹脂、金属多孔質体または多孔質セラミックスである、請求項4に記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
前記フラッシング部は、前記相対移動の方向における前記基板の両端部側に位置する、請求項1~5のいずれか一つに記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
前記フラッシング部は、前記相対移動の方向に並べられた複数の前記パッドを備える、請求項1~5のいずれか一つに記載の液滴吐出装置。
【請求項8】
複数の前記パッドは、それぞれ異なる種類の機能液を受ける、請求項7に記載の液滴吐出装置。
【請求項9】
前記フラッシング部は、前記パッドを収容するケーシングを備え、
前記ケーシングは、前記パッドの上方かつ平面視において前記パッドと重なる位置にパッド抑え部を備える、請求項1~5のいずれか一つに記載の液滴吐出装置。
【請求項10】
前記フラッシング部は、
前記パッドを収容するケーシングと、
前記ケーシングの長手方向に沿って複数設けられ、前記ケーシングの高さを調整する高さ調整機構と
を備える、請求項1~5のいずれか一つに記載の液滴吐出装置。
【請求項11】
前記フラッシング部は、
前記相対移動の方向と直交する方向に並べられた複数の前記パッドを備える、請求項1~5のいずれか一つに記載の液滴吐出装置。
【請求項12】
前記フラッシング部は、前記パッドを収容するケーシングを備え、
前記ケーシングの下方に、前記ケーシングから漏洩した前記機能液を検知する漏液センサを備える、請求項1~5のいずれか一つに記載の液滴吐出装置。
【請求項13】
ステージの上に位置する基板と、機能液を吐出する複数のノズルを有する吐出ヘッドとを相対移動させる工程と、
前記相対移動させる工程において、前記吐出ヘッドが前記基板の上方に位置する前に前記吐出ヘッドから吐出された前記機能液をフラッシング部を用いて受ける工程と、
前記相対移動させる工程中かつ前記受ける工程の後に、前記ノズルから前記ステージの上に位置する基板に対して前記機能液を吐出する工程と
を含み、
前記フラッシング部は、
前記機能液を受けるパッドと、
前記パッドによって受け止められた前記機能液を排出する排液管と
を備える、液滴吐出方法。
【請求項14】
ステージの上に位置する基板と、機能液を吐出する複数のノズルを有する吐出ヘッドとを相対移動させる工程と、
前記相対移動させる工程において、前記吐出ヘッドが前記基板の上方に位置する前に前記吐出ヘッドから吐出された前記機能液をフラッシング部を用いて受ける工程と、
前記相対移動させる工程中かつ前記受ける工程の後に、前記ノズルから前記ステージの上に位置する基板に対して前記機能液を吐出する工程と
を含み、
前記フラッシング部は、前記機能液を受けるパッドを備え、
前記相対移動の方向における前記パッドの幅は、0.5mm以上である、液滴吐出方法。
【請求項15】
ステージの上に位置する基板と、機能液を吐出する複数のノズルを有する吐出ヘッドとを相対移動させる工程と、
前記相対移動させる工程において、前記吐出ヘッドが前記基板の上方に位置する前に前記吐出ヘッドから吐出された前記機能液をフラッシング部を用いて受ける工程と、
前記相対移動させる工程中かつ前記受ける工程の後に、前記ノズルから前記ステージの上に位置する基板に対して前記機能液を吐出する工程と
を含み、
前記フラッシング部は、前記機能液を受けるパッドを備え、
前記パッドは、多孔質体または網状体である、液滴吐出方法。
【請求項16】
コンピュータ上で動作し、液滴吐出装置を制御するプログラムが記憶されたコンピュータ読取可能な記憶媒体であって、
前記プログラムは、実行時に、請求項13~15のいずれか一つに記載の液滴吐出方法が行われるように、コンピュータに前記液滴吐出装置を制御させる、記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液滴吐出装置、液滴吐出方法および記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送される基板に対して機能液の液滴をインクジェット方式で吐出する液滴吐出装置が知られている。たとえば、基板を吸着保持するステージ部と、かかるステージ部に保持される基板に対して上方から機能液の液滴を滴下する複数の吐出ヘッドとを備えた液滴吐出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、乾燥による吐出不良を抑制することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による液滴吐出装置は、ステージと、吐出ヘッドと、移動部と、フラッシング部とを備える。吐出ヘッドは、機能液を吐出する複数のノズルを有し、ノズルからステージの上に位置する基板に対して機能液を吐出する。移動部は、ステージの上に位置する基板と吐出ヘッドとを相対移動させる。フラッシング部は、移動部による相対移動中において吐出ヘッドが基板の上方に位置する前に吐出ヘッドから吐出された機能液を受ける。フラッシング部は、機能液を受けるパッドと、パッドによって受け止められた機能液を排出する排液管とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、乾燥による吐出不良を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る液滴吐出装置の概略構成を示す左側面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る液滴吐出装置の概略構成を示す平面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るキャリッジの平面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る吐出ヘッドを斜め下方から見た斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るフラッシング部の平面図である。
【
図6】
図6は、フラッシング部の一部を拡大した斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るフラッシング部の一部を示す正面図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るフラッシング部の一部を示す正面図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係るフラッシング部の一部を示す正面図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る液滴吐出装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、変形例に係るフラッシング部の平面図である。
【
図14】
図14は、フラッシング部の端部の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する液滴吐出装置、液滴吐出方法および記憶媒体の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本開示が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0009】
インクジェット方式で機能液を吐出する液滴吐出装置では、描画パターンに依存して不使用ノズルが発生する。不使用ノズルとは、液滴の吐出が行われないノズルのことである。不使用ノズルの不使用時間が長くなると不使用ノズルが乾燥し、次にその不使用ノズルを使用するときに吐出不良が発生するおそれがある。このため、乾燥による吐出不良を抑制することができる技術が期待されている。
【0010】
<液滴吐出装置の構成>
まず、実施形態に係る液滴吐出装置1の構成について、
図1および
図2を参照しながら説明する。
図1は、実施形態に係る液滴吐出装置1の概略構成を示す左側面図であり、
図2は、実施形態に係る液滴吐出装置1の概略構成を示す平面図である。
【0011】
なお、以下においては、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を規定し、Y軸方向を基板Sの搬送方向、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
【0012】
液滴吐出装置1は、基板Sを搬送方向(Y軸方向)に沿って搬送しながら、インクジェット方式で基板Sに描画を行う描画装置である。基板Sは、たとえば、フラットパネルディスプレイに用いられる基板である。
【0013】
液滴吐出装置1は、チャンバルーム100に収容される。チャンバルーム100には、不活性ガス(たとえば、窒素ガスなど)が供給される。液滴吐出装置1は、不活性ガス雰囲気で機能液を基板Sに吐出し、基板Sに描画を行う。なお、液滴吐出装置1は、チャンバルーム100に収容されない装置であってもよい。
【0014】
機能液には、インクの他に、たとえば、正孔注入層(HIL:Hole Injection Layer)や、正孔輸送層(HTL:Hole Transport Layer)などを形成する液が含まれる。また、機能液には、それぞれ色が異なる複数種類のインクが含まれる。たとえば、機能液には、R(赤)、G(緑)、B(青)のインクが含まれる。
【0015】
図2に示すように、チャンバルーム100には、制御装置9などが収容される電気室101が併設される。また、チャンバルーム100には、機能液が貯留される図示しない機能液タンクを交換するための交換室102が設けられる。
【0016】
図1および
図2に示すように、液滴吐出装置1は、架台2と、2つの第1ガイドレール3と、基板搬送機構4と、2つの第2ガイドレール5と、複数の塗布部6と、検査機構7と、複数(ここでは、2つ)のフラッシング部8と、制御装置9とを備える。
【0017】
架台2は、基板Sの搬送方向(Y軸方向)に沿って延びるように配置される。架台2の上面は水平である。
【0018】
2つの第1ガイドレール3は、架台2の上面に配置される。2つの第1ガイドレール3は、基板Sの搬送方向に沿って直線状に延在する。2つの第1ガイドレール3は、搬送方向と直交する水平方向(X軸方向)に間隔をあけて配置される。
【0019】
基板搬送機構4は、基板Sを保持し、保持した基板Sを搬送方向(Y軸方向)に沿って搬送する。具体的には、基板搬送機構4は、ステージ40と、回転部41と、移動部42とを備える。
【0020】
ステージ40は、たとえば、真空吸着ステージであり、基板Sの下面(描画される面の反対に位置する面)を吸着する。回転部41は、ステージ40の下方に設けられ、鉛直軸(Z軸)まわりにステージ40を回動させる。なお、ステージ40の上方には、ステージ40上の基板Sのアライメントマークを撮像するワークアライメントカメラ(図示せず)が設けられる。回転部41は、ワークアライメントカメラによって撮像された画像に基づいて回動することで、基板Sの位置を補正する。
【0021】
移動部42は、回転部41の下方に設けられ、回転部41およびステージ40を支持する。移動部42は、2つの第1ガイドレール3に取り付けられ、2つの第1ガイドレール3のうち少なくとも一方に設けられた駆動部(図示せず)、たとえば、リニアモータによって一対の第1ガイドレール3に沿って移動可能である。
【0022】
基板搬送機構4は、移動部42を2つの第1ガイドレール3に沿って移動させることにより、ステージ40およびステージ40に吸着保持された基板Sを搬送方向(Y軸方向)に沿って移動させることができる。
【0023】
2つの第2ガイドレール5は、基板Sの搬送方向と直交する方向(X軸方向)に沿って直線状に延在する。2つの第2ガイドレール5は、基板Sの搬送方向(Y軸方向)に間隔をあけて配置される。2つの第2ガイドレール5は、架台2の上方かつステージ40よりも高い位置に配置された支持部5a上に配置される。
【0024】
2つの第2ガイドレール5は、平面視において架台2の外方(側方)にまで延びている。架台2の側方かつ2つの第2ガイドレール5の間には、たとえば、メンテナンス部50が配置される。メンテナンス部50は、後述する吐出ヘッド63のメンテナンスを行い、吐出ヘッド63の吐出不良などを解消、または防止する。後述する塗布部6は、架台2の上方位置である描画位置と、メンテナンス部50の上方であるメンテナンス位置との間で移動可能である。
【0025】
塗布部6は、基板Sの搬送方向と直交する方向(X軸方向)に沿って複数配置される。たとえば、塗布部6は、X軸方向に沿って3個配置される。なお、塗布部6の数は、3個に限定されない。各塗布部6は、キャリッジプレート60と、キャリッジ回動部61と、キャリッジ62と、複数の吐出ヘッド63とを備える。吐出ヘッド63は、吐出ヘッドの一例である。
【0026】
キャリッジプレート60は、2つの第2ガイドレール5に取り付けられる。キャリッジプレート60は、2つの第2ガイドレール5のうち少なくとも一方に設けられた駆動部(図示せず)、たとえば、リニアモータによって2つの第2ガイドレール5に沿って移動可能である。
【0027】
キャリッジ回動部61は、キャリッジプレート60の下方に配置される。キャリッジ回動部61は、搬送方向(Y軸方向)におけるキャリッジプレート60の中央に取り付けられる。キャリッジ回動部61の下端には、キャリッジ62が取り付けられる。キャリッジ回動部61は、キャリッジ62を鉛直軸(Z軸)まわりに回動自在に支持する。
【0028】
なお、キャリッジ回動部61は、ステージ40に設けられたキャリッジアライメントカメラ(図示せず)によって撮像された画像に基づいて、上下方向と平行な軸を中心にキャリッジ62を回動させる。これにより、キャリッジ62の位置が補正される。
【0029】
複数の吐出ヘッド63は、キャリッジ62に設けられる。各吐出ヘッド63は、図示しない供給チューブを介して図示しない機能液タンクに接続され、機能液タンクから供給チューブを介して機能液が供給され、基板Sに機能液の液滴を吐出する。各吐出ヘッド63は、たとえば、複数種類の機能液を吐出することができる。
【0030】
複数の吐出ヘッド63は、基板Sの搬送方向(Y軸方向)および搬送方向と直交する方向(X軸方向)に間隔をあけて配置される(
図3参照)。
【0031】
検査機構7は、検査フィルム73によって機能液の液滴を受けて、液滴の吐出状態を検査する。検査フィルム73は、撥水性の検査フィルムである。具体的には、検査フィルム73は、表面(液滴が吐出される面)が撥水性を有する検査フィルムである。
【0032】
検査機構7は、移動部70と、検査台71と、フィルム送り部72と、検査フィルム73と、撮像部74とを備える。
【0033】
移動部70は、2つの第1ガイドレール3に取り付けられる。移動部70は、2つの第1ガイドレール3のうち少なくとも一方に設けられた駆動部(図示せず)によって2つの第1ガイドレール3に沿って移動可能である。移動部70は、基板Sの搬送方向に沿って設定される吐出位置、撮像位置、および待機位置間を移動する。吐出位置は、複数の吐出ヘッド63の下方となる位置である。撮像位置は、撮像部74の下方となる位置である。待機位置は、塗布部6の外方の位置である。
【0034】
検査台71は、移動部70の上面中央に取り付けられる。検査台71は、移動部70とともに移動する。すなわち、検査台71は、吐出位置、撮像位置、および待機位置の間を移動する。検査台71の長さは、塗布部6によって機能液の液滴が各検査フィルム73に吐出される吐出エリアよりも長い。
【0035】
検査台71は、上面に吸着板(図示せず)を有する。検査台71の吸着板は、たとえば、多孔質の部材によって構成される。また、検査台71の内部には、吸引装置(図示せず)が収容される。検査台71は、吸引装置によって吸着板を吸引することで、検査フィルム73を吸着する。
【0036】
フィルム送り部72は、移動部70の上方に設けられる。フィルム送り部72は、複数の吐出ヘッド63から吐出される検査用の液滴を受ける検査フィルム73(検査用媒体)を左右方向(搬送方向に直交する方向)に送る。
【0037】
撮像部74は、
図1に示すように、第2ガイドレール5にベース74aを介して取り付けられる。ベース74aには、撮像部74を左右方向に移動させる移動機構(図示せず)が設けられる。撮像部74は、2つの第2ガイドレール5のうち、後方に配置された第2ガイドレール5に取り付けられる。
【0038】
撮像部74は、検査フィルム73に吐出された機能液の液滴を撮像する。なお、撮像部74を複数設け、検査フィルム73に吐出された機能液の液滴を複数の撮像部74によって撮像してもよい。この場合、撮像部74を左右方向に移動可能とはせずに、第2ガイドレール5に固定してもよい。
【0039】
検査機構7では、検査フィルム73に吐出された機能液の液滴を、撮像部74によって撮像した結果に基づいて、吐出ヘッド63における液滴の吐出状態が検査される。
【0040】
複数(ここでは、2つ)のフラッシング部8は、基板Sの搬送方向(Y軸方向)におけるステージ40の両端部にそれぞれ設けられる。言い換えれば、2つのフラッシング部8は、搬送方向(Y軸方向)における基板Sの両端部側にそれぞれ設けられている。
【0041】
フラッシング部8は、フラッシング処理に用いられる。フラッシング処理は、基板Sに対する液滴吐出処理において基板Sに機能液が吐出される直前に、言い換えれば、吐出ヘッド63が基板Sの上方に位置する直前に、吐出ヘッド63から機能液を吐出する処理である。すなわち、フラッシング部8は、フラッシング処理において吐出ヘッド63から吐出された機能液を受ける部材である。フラッシング部8の詳細については後述する。
【0042】
制御装置9は、たとえば、コンピュータであり、制御部91と記憶部92とを備える。記憶部92は、たとえば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置によって実現される。
【0043】
制御部91は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM、入出力ポート等を含むマイクロコンピュータや各種回路を含む。マイクロコンピュータのCPUは、ROMに記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、液滴吐出装置1内の各部の制御を実現する。
【0044】
なお、プログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されており、記憶媒体から制御装置9の記憶部92にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0045】
<キャリッジの構成>
次に、キャリッジ62の構成について
図3を参照して説明する。
図3は、実施形態に係るキャリッジ62の平面図である。
【0046】
図3に示すように、キャリッジ62は、平板状の部材である。キャリッジ62は、複数の開口部621を有する。たとえば、
図3に示す例において、キャリッジ62には、合計12個の開口部621が主搬送方向および副搬送方向に沿ってマトリクス状に設けられている。なお、ここでは、キャリッジ62に12個の開口部621が設けられる場合の例を示したが、開口部621の個数は、12個より多くてもよいし少なくてもよい。
【0047】
複数の開口部621には、吐出ヘッド63が1つずつ収められている。吐出ヘッド63は、開口部621を覆うようにキャリッジ62に設置される。
【0048】
<吐出ヘッドの構成>
次に、吐出ヘッドの構成例について
図4を参照して説明する。
図4は、実施形態に係る吐出ヘッド63を斜め下方から見た斜視図である。
【0049】
図4に示すように、吐出ヘッド63は、ヘッド本体602と、ヘッド本体602から側方にせり出したフランジ部603とを備える。吐出ヘッド63は、たとえばキャリッジ62の上方から開口部621に差し込まれる。これにより、吐出ヘッド63のうち、ヘッド本体602が開口部621内に配置される。また、吐出ヘッド63のうち、フランジ部603が、キャリッジ62の上面に当接する。これにより、吐出ヘッド63は、キャリッジ62に係止された状態となる。また、吐出ヘッド63は、キャリッジ62に係止された状態で、キャリッジ62に設けられた図示しない固定部によって固定される。
【0050】
吐出ヘッド63は、たとえばピエゾ方式のノズルヘッドである。ヘッド本体602の下面615には、複数のノズル616が形成される。複数のノズル616は、例えば主搬送方向(Y軸方向)に沿って2列に形成される。また、各列には、複数のノズル616が、副搬送方向(X軸方向)に沿って等間隔に配置される。
【0051】
ヘッド本体602は、図示しないポンプ部を有する。ポンプ部は、機能液を貯めるキャビティ、キャビティの体積を変化させる圧電素子や振動板等を含んで構成され、圧電素子に電圧を印加して振動板を振動させることにより、キャビティの体積を変化させて各吐出穴から機能液の液滴を吐出させる。その他、吐出ヘッド63には、供給チューブを介して機能液タンクに接続される機能液導入部や、フレキシブルフラットケーブルを介して制御装置9(
図1参照)に接続されるヘッド基板等が設けられている。
【0052】
<フラッシング部の構成例>
次に、フラッシング部8の構成例について
図5および
図6を参照して説明する。
図5は、実施形態に係るフラッシング部8の平面図である。
図6は、フラッシング部8の一部を拡大した斜視図である。
【0053】
図5に示すように、フラッシング部8は、複数のパッド80と、複数のパッド80を収容するケーシング81とを備える。
【0054】
(パッドについて)
パッド80は、搬送方向と直交する方向(X軸方向)に延在する板状部材である。複数のパッド80は、ケーシング81内において互いに接した状態で搬送方向と直交する方向(X軸方向)に並べられている。これにより、複数のパッド80は、搬送方向と直交する方向(X軸方向)に延在する実質的に1つの長尺状のパッドを構成している。このように、フラッシング部8は、1つの長尺状のパッドを複数のパッド80に分割した構成を有する。個々のパッド80は、1つの長尺状のパッドと比較して、たとえば真直度を確保し易い等の点から製造容易である。
【0055】
パッド80は、ノズル616から吐出された機能液を受ける。パッド80は、機能液を受ける液受面と、液受面の反対に位置する排液面とが1つのまたは複数の孔で連通した構成を有することが好ましい。このようなパッド80を構成する部材としては、たとえば、多孔質体または網状体を用いることができる。
【0056】
多孔質体は、たとえば、多孔質樹脂、金属多孔質体(ポーラスメタル)または多孔質セラミックスであってもよい。多孔質樹脂は、金属多孔質体および多孔質セラミックスと比較してコスト面で優れる。多孔質樹脂としては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタアクリレート、フッ素樹脂等のプラスチック焼結多孔質体を用いることができる。なお、これらの中で、ポリエチレンはコスト面で優れ、フッ素樹脂は耐薬性の面で優れる。
【0057】
金属多孔質体としては、たとえば、多孔質状に形成されたステンレス鋼(ステンレス多孔質体)を用いることができる。なお、金属多孔質体としては、ステンレス多孔質体に限らず、たとえば、チタン多孔質体、ニッケル多孔質体、アルミ多孔質体等であってもよい。多孔質セラミックスとしては、たとえば、多孔質アルミナセラミックス、多孔質SiCセラミックス等を用いることができる。
【0058】
網状体としては、たとえば、ステンレスメッシュを用いることができる。なお、網状体は、ステンレスメッシュに限らず、チタンメッシュ、ニッケルメッシュ、アルミメッシュ等であってもよい。
【0059】
搬送方向(Y軸方向)におけるパッド80の幅Dは、たとえば0.5mm以上であってもよい。
【0060】
ステージ40の移動速度すなわちスキャン速度は、一般的に、300mm/secである。また、機能液の吐出周波数の最大値は、たとえば30kHz(1秒間に3万ショット)である。また、フラッシング処理において、ノズル616の乾燥を抑制するために必要な各ノズル616からの最低限の吐出回数(ショット数)は、たとえば50ショットである。これらの条件でフラッシング処理を行う場合に必要となるパッド80の幅Dは、最小で0.5mmである(50×(1/30000)×300=0.5mm)。したがって、パッド80の幅Dを0.5mm以上とすることで、ノズル616の乾燥を好適に抑制することができる。なお、
図5に示す構成におけるパッド80の幅Dは、たとえば20mm以上である。
【0061】
(ケーシングについて)
ケーシング81は、たとえば、1つの底部および4つの側壁部を有し、上方が開放された容器形状を有する。ケーシング81は、これら1つの底部および4つの側壁部によって形成される収容空間810に複数のパッド80を収容する。具体的には、収容空間810は、搬送方向と直交する方向(X軸方向)に延在しており、複数のパッド80は、かかる収容空間810において搬送方向と直交する方向(X軸方向)に隙間なく並べられた状態で収容される。ケーシング81は、たとえば金属で形成される。
【0062】
図5および
図6に示すように、ケーシング81の上縁面811には、複数の第1パッド抑え部812と、複数の第2パッド抑え部813とが設けられている。第1パッド抑え部812および第2パッド抑え部813は、収容空間810に収容されたパッド80の上面(液受面)と対向するように設けられている。具体的には、第1パッド抑え部812および第2パッド抑え部813は、パッド80の上方であって平面視において且つパッド80と重なる位置に設けられている。
【0063】
たとえばパッド80の反りがある場合、パッド80がステージ40の上面よりも高い位置にせり上がることでノズル616とパッド80とが接触してしまうおそれがある。これに対し、第1パッド抑え部812および第2パッド抑え部813を設けることで、仮にパッド80に反りがある場合であっても、かかるパッド80の反りを第1パッド抑え部812および第2パッド抑え部813によって抑えることができる。これにより、パッド80とノズル616との接触を好適に抑制しつつ、パッド80をステージ40とほぼ同じ高さに配置することができる。また、パッド80の脱落を防止することができる。
【0064】
第1パッド抑え部812は、たとえば、搬送方向と直交する方向(X軸方向)に延在する2つの側壁部のうち、ステージ40に近い側壁部の上縁面811に設けられており、他方の(ステージ40から遠い)側壁部に向かって水平に突出している。第1パッド抑え部812は、ケーシング81と一体的に形成されている。
【0065】
第2パッド抑え部813は、搬送方向と直交する方向(X軸方向)に延在する2つの側壁部のうち、ステージ40から遠い側壁部の上縁面811に設けられており、他方の(ステージ40に近い)側壁部に向かって水平に突出している。第2パッド抑え部813は、パッド80の上面に当接する第1部位813aと、パッド80の側面に当接する第2部位813bとを有する。第2部位813bを有することで、第2パッド抑え部813は、搬送方向(Y軸方向)におけるパッド80の位置ズレを抑制することができる。
【0066】
第1パッド抑え部812と第2パッド抑え部813とは、互いに向かい合う位置に配置されている。
図5に示す例において、ケーシング81は、1つのパッド80に対して二組の第1パッド抑え部812および第2パッド抑え部813を有する。これに限らず、ケーシング81は、1つのパッド80に対して三組以上の第1パッド抑え部812および第2パッド抑え部813を有していてもよい。また、ケーシング81は、1つのパッド80に対して一組の第1パッド抑え部812および第2パッド抑え部813を有していてもよい。
【0067】
第2パッド抑え部813は、ケーシング81から着脱可能である。たとえば、第2パッド抑え部813は、締結部材813c(たとえば、ネジ)によってケーシング81に固定されている。これにより、ケーシング81は、パッド80の着脱が容易である。すなわち、たとえばパッド80の交換を行う際、第2パッド抑え部813をケーシング81から取り外すことにより、使用済みのパッド80をケーシング81から容易に取り出すことができる。また、新品のパッド80をケーシング81に収容した後で、第2パッド抑え部813をケーシング81に取り付けることで、パッド80をケーシング81に容易に収容することができる。
【0068】
図6に示すように、液滴吐出装置1は、漏液センサ82を備える。漏液センサ82は、たとえば、ケーシング81の下方(直下)に設けられる。漏液センサ82は、フラッシング部8から漏洩した機能液を検知する。漏液センサ82としては、光学式の漏液センサまたは電極間抵抗検知方式の漏液センサ等を用いることができる。
【0069】
漏液センサ82による検知信号は、制御装置9に出力される。これにより、制御部91は、フラッシング部8からの機能液の漏液を検知することができる。
【0070】
(排液部について)
フラッシング部8は、さらに、パッド80によって受け止められた機能液をケーシング81から排出するための排出部を備える。かかる排出部の構成について
図7~
図9を参照して説明する。
図7~
図9は、実施形態に係るフラッシング部8の一部を示す正面図である。
図7~
図9には、フラッシング部8のうち、それぞれ、X軸正方向側の端部領域、X軸負方向側の端部領域、および、X軸方向における中央領域を示している。
【0071】
図7~
図9に示すように、排液部83は、排液管830を備える。排液管830は、複数の個別排液管831と、複数の第1共通排液管832と、第2共通排液管833とを備える。
【0072】
複数の個別排液管831は、複数のパッド80に対応して設けられている。具体的には、ケーシング81の底部には、複数の排液口815が設けられている。各排液口815は、パッド80の下面(排液面)と対向する位置に設けられている。個別排液管831は、排液口815に接続される。
【0073】
複数の第1共通排液管832は、複数の個別排液管831のうち2以上の個別排液管831に接続される。図示の例では、第1共通排液管832は、隣り合う2つの個別排液管831に接続される。この例に限らず、第1共通排液管832は、3つ以上の個別排液管831に接続されてもよい。
【0074】
第1共通排液管832の中途部には、開閉弁835が設けられている。開閉弁835は、第1共通排液管832を開閉する。開閉弁835としては、たとえば、エアオペレートバルブを用いることができる。
【0075】
第2共通排液管833は、複数の第1共通排液管832に接続される。ここでは、フラッシング部8が3つの第1共通排液管832を備えており、第2共通排液管833がこれら3つの第1共通排液管832に接続される場合の例を示している。なお、第2共通排液管833に接続される第1共通排液管832の数、言い換えれば、フラッシング部8が備える第1共通排液管832の数は、3つに限定されず、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0076】
第2共通排液管833は、吸引部836に接続される。吸引部836としては、たとえば真空ポンプ等を用いることができる。吸引部836および上述した複数の開閉弁835は、制御部91によって制御される。
【0077】
パッド80によって受け止められた機能液は、パッド80が有する孔を通ってパッド80の上面(液受面)から下面(排液面)に案内される。その後、機能液は、ケーシング81に設けられた排液口815から個別排液管831に流入する。個別排液管831に流入した機能液は、第1共通排液管832を通過し、さらに第2共通排液管833を通過して外部に排出される。
【0078】
制御部91は、全ての開閉弁835を閉じた状態で、吸引部836を駆動させることにより、複数の開閉弁835と吸引部836との間に位置する複数の第1共通排液管832および第2共通排液管833を負圧にする。そして、制御部91は、開閉弁835を開くことにより、開かれた開閉弁835の上流側に位置する個別排液管831に、負圧を利用して機能液を引き込む。
【0079】
制御部91は、上述した処理、すなわち、全ての開閉弁835を閉じた状態で吸引部836を駆動させて開閉弁835よりも下流側を負圧にする準備処理と、開閉弁835を開いて機能液を個別排液管831に引き込む吸引処理とを、開閉弁835ごとに行う。これにより、全ての開閉弁835を一斉に開く場合と比較して、個別排液管831をより強力に吸引することができるとともに、複数の個別排液管831管で吸引力にバラツキが生じることを抑制することができる。
【0080】
(高さ調整機構について)
図7~
図9に示すように、フラッシング部8は、さらに、複数の高さ調整機構84を備える。複数の高さ調整機構84は、ケーシング81の長手方向すなわち搬送方向と直交する方向(X軸方向)に沿って互いに間隔をあけて配置される。複数の高さ調整機構84は、ケーシング81の下部に設けられており、ケーシング81の底部を上方へ引き上げたり下方へ引き下げたりすることで、ケーシング81およびケーシング81に収容された複数のパッド80の高さを調整することができる。
【0081】
このように、フラッシング部8は、複数の高さ調整機構84を備えることで、搬送方向と直交する方向(X軸方向)におけるケーシング81および複数のパッド80の高さのバラツキを抑制することができる。すなわち、ケーシング81および複数のパッド80を水平に保つことができるとともに、ケーシング81および複数のパッド80がノズル616と衝突することを抑制することができる。
【0082】
(液滴吐出装置の動作)
次に、実施形態に係る液滴吐出装置1の動作について
図10を参照して説明する。
図10は、実施形態に係る液滴吐出装置1が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【0083】
図10に示す各処理手順は、制御装置9による制御に従って実行される。なお、
図10では、液滴吐出処理を2回行う(第1液滴吐出処理および第2液滴吐出処理)場合の例を示している。すなわち、
図10では、基板Sを往復移動させつつ、往路および復路の各々において液滴吐出処理を行う場合の例を示している。これに限らず、液滴吐出処理の回数は1回でもよい。また、液滴吐出処理の回数は、3回以上であってもよい。
【0084】
図10に示すように、液滴吐出装置1では、まず、搬入処理が行われる(ステップS101)。
【0085】
搬入処理の開始時において、基板搬送機構4は、液滴吐出処理の開始位置よりもさらに搬送方向上流の搬入位置に配置されている(
図1参照)。
図1に示す例において、搬入位置は、基板Sの搬送経路の最上流の位置である。
【0086】
搬入処理において、制御部91は、搬送ロボット等の図示しない搬送手段を制御して、基板Sをステージ40上に載置する。つづいて、制御部91は、ステージ40を制御して基板Sをステージ40の上面に吸着させる。
【0087】
つづいて、第1フラッシング処理が行われる(ステップS102)。第1フラッシング処理において、制御部91は、基板搬送機構4の移動部42を制御して、ステージ40をY軸正方向に移動させる。その後、制御部91は、ステージ40のY軸正方向側に設けられたフラッシング部8が吐出ヘッド63の直下に到達するタイミングで、吐出ヘッド63を制御して、パッド80の直上に位置する複数のノズル616からパッド80に対して機能液を吐出させる。複数のノズル616は、搬送方向(Y軸方向)および搬送方向と直交する方向(X軸方向)に並べられている。機能液の吐出は、たとえば、搬送方向と直交する方向(X軸方向)に並べられた1列分のノズル616ごとに行われる。また、機能液の吐出は、最もY軸負方向側に位置する列のノズル616から順に行われる。制御部91は、全てのノズル616から機能液を吐出させる。
【0088】
機能液のパッド80への吐出位置(着弾位置)は、各ノズル列で同じであっても良いし、ノズル列ごとに異ならせても良い。着弾位置をノズル列ごとに異ならせた場合、パッド80の局所的な劣化や機能液の漏液を好適に抑制することができる。
【0089】
つづいて、第1液滴吐出処理が行われる(ステップS103)。第1液滴吐出処理において、制御部91は、第1フラッシング処理に引き続きステージ40をY軸正方向に移動させつつ、吐出ヘッド63を制御して、所定のノズル616から基板Sに対して機能液を吐出させる。第1液滴吐出処理では、塗布部6が有する複数のノズル616のうち一部のノズル616が使用される。第1液滴吐出処理において何れのノズル616が使用されるかは、描画パターンに依る。
【0090】
つづいて、第2フラッシング処理が行われる(ステップS104)。第1液滴吐出処理の終了時点において、ステージ40は、塗布部6よりもY軸正方向に位置した状態となっている。第2フラッシング処理において、制御部91は、基板搬送機構4の移動部42を制御して、ステージ40をY軸負方向に移動させる。その後、制御部91は、ステージ40のY軸負方向側に設けられたフラッシング部8が吐出ヘッド63の直下に到達するタイミングで、吐出ヘッド63を制御して、パッド80の直上に位置する複数のノズル616からパッド80に対して機能液を吐出させる。機能液の吐出は、たとえば、最もY軸正方向側に位置する列のノズル616から順に行われる。制御部91は、全てのノズル616から機能液を吐出させる。
【0091】
つづいて、第2液滴吐出処理が行われる(ステップS105)。第2液滴吐出処理において、制御部91は、第2フラッシング処理に引き続きステージ40をY軸負方向に移動させつつ、吐出ヘッド63を制御して、所定のノズル616から基板Sに対して機能液を吐出させる。第2液滴吐出処理では、塗布部6が有する複数のノズル616のうち一部のノズル616が使用される。第2液滴吐出処理において何れのノズル616が使用されるかは、描画パターンによって変化する。
【0092】
つづいて、搬出処理が行われる(ステップS106)。第2液滴吐出処理の終了時点において、ステージ40は、塗布部6よりもY軸負方向に位置した状態となっている。搬出処理において、制御部91は、基板搬送機構4の移動部42を制御して、ステージ40をY軸正方向に移動させる。これにより、制御部91は、塗布部6よりもY軸正方向に位置する搬出位置にステージ40を配置させる。つづいて、制御部91は、ステージ40による基板Sの吸着保持を解除する。つづいて、制御部91は、図示しない搬送ロボットを制御して、基板Sをステージ40から取り出す。その後、制御部91は、基板搬送機構4の移動部42を制御して、ステージ40を搬入位置に戻す。
【0093】
このように、液滴吐出処理が開始される直前にフラッシング処理を行うことで、ノズル616の乾燥を抑制することができる。したがって、実施形態に係る液滴吐出装置1によれば、ノズル616の乾燥による吐出不良を抑制することができる。また、基板Sが吐出ヘッド63の直下に位置するタイミングよりも所定時間前から、機能液の液滴の吐出を開始することにより、液滴吐出処理時における機能液の吐出を安定化させることができる。
【0094】
また、フラッシング処理において機能液を受けるフラッシング部8は、排液部83を備えており、パッド80で受けた機能液をケーシング81から排出することができる。したがって、実施形態に係るフラッシング部8によれば、たとえば人手による排液作業を減らすことができる。
【0095】
フラッシング部8が備えるパッド80は、多孔質体である。かかるパッド80は、液受面で受けた機能液をケーシング81の底面に導くことができる。特に、金属多孔質体からなるパッド80は、耐久性が高いことから交換頻度が低いためメンテナンスが容易である。
【0096】
ここでは、第1フラッシング処理および第2フラッシング処理のいずれにおいても、全てのノズル616から機能液を吐出することとした。これに限らず、制御部91は、第1フラッシング処理において、塗布部6が備える全てのノズル616のうちの一部から機能液を吐出させ、第2フラッシング処理において、残りのノズル616から機能液を吐出させてもよい。すなわち、第1フラッシング処理と第2フラッシング処理とで機能液を吐出させるノズル616を分けてもよい。また、第1フラッシング処理と第2フラッシング処理とで異なる種類の機能液を吐出させてもよい。
【0097】
(フラッシング部の変形例)
次に、上述したフラッシング部8の変形例について説明する。
図11は、変形例に係るフラッシング部8Aの平面図である。
図12は、
図11に示すXII部の拡大図である。
【0098】
図11および
図12に示すように、変形例に係るフラッシング部8Aは、複数のパッド80Aと、ケーシング81Aとを備える。
【0099】
複数のパッド80Aは、吐出ヘッド63から吐出される異なる種類の機能液に対応している。たとえば、
図11に示す例において、フラッシング部8Aは、3つのパッド80Aを備えている。これら3つのパッド80Aは、たとえば、吐出ヘッド63から吐出されるR(赤)のインク、G(緑)のインク、B(青)のインクにそれぞれ対応している。
【0100】
このように、フラッシング部8Aは、異なる種類の機能液を受ける複数のパッド80Aを備えていてもよい。機能液の種類によっては、異なる種類の機能液と混ざり合うことでゲル化するものがある。これに対し、変形例に係るフラッシング部8Aによれば、種類が異なる機能液を異なるパッド80Aで受けることで、機能液同士が混ざり合うことによる機能液のゲル化を抑制することができる。
【0101】
なお、ここでは図示を省略するが、フラッシング部8Aは、複数のパッド80Aに対応する複数の排液部83を備えている。かかる構成とすることにより、排液部83において異なる種類の機能液が混ざり合うことを抑制することができる。
【0102】
パッド80Aは、搬送方向と直交する方向(X軸方向)に延在する部材である。パッド80Aは、上述した多孔質体または網状体を用いることができる。
【0103】
パッド80Aの上面(液受面)の搬送方向(Y軸方向)における幅Dは、たとえば0.5mm以上であってもよい。具体的には後述するように、変形例に係るフラッシング部8Aには、ケーシング81Aの本体部814に形成された溝にパッド80Aを側方から挿入する方式が採用されている。かかる構成とすることにより、たとえば実施形態に係るケーシング81が有する第2パッド抑え部813のように取り外し可能な固定部を設ける必要がなくなる。このため、パッド80Aの幅Dをたとえば0.5mm以上1mm未満の薄型に形成した場合であっても、かかる薄型のパッド80Aを比較的簡易な構成で固定することができる。また、複数のパッド80Aを比較的狭い間隔で配置することが可能となるため、フラッシング部8A全体を薄型化することができる。
【0104】
ケーシング81Aは、本体部814と、2つの側壁部817とを備える。
【0105】
本体部814は、搬送方向と直交する方向(Y軸方向)に延在する部材である。本体部814は、複数の溝部814aを有する。各溝部814aは、搬送方向と直交する方向(Y軸方向)に延在している。溝部814aの一端は、本体部814の長手方向(Y軸方向)の一端に到達しており、溝部814aの他端は、本体部814の長手方向(Y軸方向)の他端に到達している。複数の溝部814aは、搬送方向(X軸方向)に互いに間隔をあけて並べられている。
【0106】
ここで、パッド80Aおよび溝部814aの構成例について
図13を参照して説明する。
図13は、
図12に示すXIII-XIII線矢視における断面図である。
【0107】
図13に示すように、パッド80Aは、上端に段差部85を有する。段差部85は、パッド80AのY軸正方向側の上端およびY軸負方向側の端部にそれぞれ設けられている。段差部85は、搬送方向と直交する方向(X軸方向)に沿って延在している。
【0108】
溝部814aは、断面視においてパッド80Aと略同形状かつパッド80Aよりも僅かに大きく形成される。具体的には、ケーシング81Aの本体部814は、パッド抑え部814bを有する。パッド抑え部814bは、溝部814aの上方開口縁部に設けられている。本体部814は、搬送方向(Y軸方向)における両方の開口縁部正方向側の開口縁部に設けられている。各パッド抑え部814bは、搬送方向と直交する方向(X軸方向)に沿って延在しており、パッド80Aの段差部85と対向する。
【0109】
このように、パッド80Aに段差部85を設けるとともに、ケーシング81Aにパッド抑え部814bを設けることで、仮にパッド80Aに反りがある場合でも、かかるパッド80Aの反りを溝部814aによって抑えることができる。これにより、パッド80Aとノズル616との接触を好適に抑制することができる。
【0110】
各溝部814aの底部には、少なくとも1つの排液口815が設けられており、排液口815には、排液部83の個別排液管831が接続される。
【0111】
図11および
図12に示すように、側壁部817は、搬送方向と直交する方向(X軸方向)における溝部814aの開口端を封鎖する部材である。側壁部817は、本体部814に対して着脱自在である。たとえば、側壁部817は、図示しない締結部材(ネジ等)によって本体部814に固定される。
【0112】
図14は、フラッシング部8Aの端部の拡大斜視図である。なお、
図14では、本体部814から側壁部817が取り外された状態におけるフラッシング部8Aの端部を示している。パッド80Aは、本体部814から側壁部817を取り外すことで、本体部814から着脱が可能である。
図14に示すように、パッド80Aは、搬送方向と直交する方向(X軸方向)における溝部814aの開口端から溝部814aに挿入することができる。
【0113】
なお、パッド80Aは、複数のパッド片に分割されていてもよい。かかる構成とすることにより、パッド80Aの反りの影響を低減することができる。
【0114】
(その他の変形例)
上述してきた実施形態では、吸着式のステージ40を用いて基板Sを保持する場合の例について説明したが、液滴吐出装置1は、吸着式のステージ40に代えて、浮上式のステージを備えていてもよい。浮上式のステージを備えた液滴吐出装置としては、たとえば、特開2022-11083号公報に記載された構成を用いることができる。この場合、たとえば、浮上ステージの外方に配置されたレールに沿ってフラッシング部8を移動可能に構成してもよい。
【0115】
液滴吐出装置1は、ステージ40のY軸正方向側の端部またはY軸負方向側の端部に、
図5~
図9に示すフラッシング部8を機能液の種類ごとに複数備えていてもよい。
【0116】
上述してきたように、実施形態に係る液滴吐出装置(一例として、液滴吐出装置1)は、ステージ(一例として、ステージ40)と、吐出ヘッド(一例として、吐出ヘッド63)と、移動部(一例として、移動部42)と、フラッシング部(一例として、フラッシング部8,8A)とを備える。吐出ヘッドは、機能液を吐出する複数のノズル(一例として、ノズル616)を有し、ノズルからステージの上に位置する基板(一例として、基板S)に対して機能液を吐出する。移動部は、ステージの上に位置する基板と吐出ヘッドとを相対移動させる。フラッシング部は、移動部による相対移動中において吐出ヘッドが基板の上方に位置する前に吐出ヘッドから吐出された機能液を受ける。フラッシング部は、機能液を受けるパッド(一例として、パッド80,80A)と、パッドによって受け止められた機能液を排出する排液管(一例として、排液管830)とを備える。
【0117】
また、実施形態に係る液滴吐出装置は、ステージと、吐出ヘッドと、移動部と、フラッシング部とを備える。吐出ヘッドは、機能液を吐出する複数のノズルを有し、ノズルからステージの上に位置する基板に対して機能液を吐出する。移動部は、ステージの上に位置する基板と吐出ヘッドとを相対移動させる。フラッシング部は、移動部による相対移動中において吐出ヘッドが基板の上方に位置する前に吐出ヘッドから吐出された機能液を受ける。フラッシング部は、機能液を受けるパッドを備える。移動部による相対移動の方向におけるパッドの幅は、0.5mm以上である。
【0118】
また、実施形態に係る液滴吐出装置は、ステージと、吐出ヘッドと、移動部と、フラッシング部とを備える。吐出ヘッドは、機能液を吐出する複数のノズルを有し、ノズルからステージの上に位置する基板に対して機能液を吐出する。移動部は、ステージの上に位置する基板と吐出ヘッドとを相対移動させる。フラッシング部は、移動部による相対移動中において吐出ヘッドが基板の上方に位置する前に吐出ヘッドから吐出された機能液を受ける。フラッシング部は、機能液を受けるパッドを備える。パッドは、多孔質体または網状体である。
【0119】
したがって、実施形態に係る液滴吐出装置によれば、ノズルの乾燥による機能液の吐出不良を抑制することができる。
【0120】
フラッシング部は、相対移動の方向(一例として、Y軸方向)における基板の両端部側に位置していてもよい。かかる構成とすることにより、たとえば吐出ヘッドに対して基板を往復させて液滴吐出処理を行う場合に、往路および復路の両方においてフラッシング処理を行うことができる。また、異なる種類の機能液のフラッシング処理を往路と復路とで分けて実行することも可能である。
【0121】
フラッシング部は、相対移動の方向に並べられた複数のパッド(一例として、パッド80A)を備えていてもよい。かかる構成とすることにより、種類が異なる機能液を異なるパッドで受けることができ、これにより、たとえば機能液同士が混ざり合うことによる機能液のゲル化を抑制することができる。
【0122】
フラッシング部は、パッドを収容するケーシング(一例として、ケーシング81,81A)を備えていてもよい。ケーシングは、パッドの上方かつ平面視においてパッドと重なる位置にパッド抑え部(一例として、第1パッド抑え部812、第2パッド抑え部813、パッド抑え部814b)を備えていてもよい。かかる構成とすることにより、仮にパッドに反りがある場合であっても、かかるパッドの反りをパッド抑え部によって抑えることができる。これにより、パッドとノズルとの接触を好適に抑制しつつ、パッドをステージとほぼ同じ高さに配置することができる。また、パッドの脱落を防止することができる。
【0123】
フラッシング部は、パッドを収容するケーシングと、ケーシングの長手方向(一例として、X軸方向)に沿って複数設けられ、ケーシングの高さを調整する高さ調整機構(一例として、高さ調整機構84)とを備えていてもよい。かかる構成とすることにより、ケーシング81およびパッド80を水平に保つことができ、ケーシングおよびパッドがノズルと衝突することを抑制することができる。
【0124】
フラッシング部は、相対移動の方向と直交する方向(一例として、X軸方向)に並べられた複数のパッド(一例として、複数のパッド80)を備えていてもよい。これにより、1つの長尺状のパッドを用いる場合と比較して、反りの影響を小さくすることができる。
【0125】
フラッシング部は、パッドを収容するケーシングを備えていてもよい。また、実施形態に係る液滴吐出装置は、ケーシングの下方に、ケーシングから漏洩した機能液を検知する漏液センサを備えていてもよい。これにより、仮にケーシングから機能液が漏洩したとしても、かかる機能液の漏洩を即座に検知することができる。
【0126】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の請求の範囲およびその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0127】
1 液滴吐出装置
2 架台
3 第1ガイドレール
4 基板搬送機構
5 第2ガイドレール
6 塗布部
7 検査機構
8 フラッシング部
9 制御装置
40 ステージ
41 回転部
42 移動部
50 メンテナンス部
60 キャリッジプレート
61 キャリッジ回動部
62 キャリッジ
63 吐出ヘッド
70 移動部
80 パッド
81 ケーシング
82 漏液センサ
83 排液部
84 調整機構
85 段差部
91 制御部
92 記憶部
616 ノズル
812 第1パッド抑え部
813 第2パッド抑え部
814 本体部
815 排液口
817 側壁部
830 排液管
831 個別排液管
832 第1共通排液管
833 第2共通排液管
835 開閉弁
836 吸引部
S 基板