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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160267
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】熱伝導性シリコーン組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/04 20060101AFI20231026BHJP
   C08K 3/08 20060101ALI20231026BHJP
   C08K 5/5419 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
C08L83/04
C08K3/08
C08K5/5419
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070495
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】山田 邦弘
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002CP031
4J002CP032
4J002DA117
4J002DC007
4J002DE076
4J002DE106
4J002DE146
4J002DF016
4J002DK006
4J002EX038
4J002FD016
4J002FD017
4J002FD018
4J002FD207
4J002FD208
4J002GQ00
(57)【要約】
【課題】熱伝導性及び耐湿性に優れた熱伝導性シリコーン組成物を提供する。
【解決手段】
下記(A)~(D)成分
(A)25℃での動粘度が10~500,000mm/sであるオルガノポリシロキサン:100質量部
(B)平均粒径が0.01~100μmの熱伝導性充填剤:10~2,000質量部
(C)融点が-20~100℃である、ガリウム又はガリウム合金:1,000~20,000質量部
(D)下記一般式(1):
bSi(OR)4-a-b (1)
(式中、Rは炭素原子数6~20のアルキル基であり、Rは非置換または置換の炭素原子数1~10の1価炭化水素基であり、Rは炭素原子数1~6のアルキル基であり、aは1~3の整数、bは0~2の整数であり、a+bの和は1~3の整数である。)で表されるアルコキシシラン化合物:0.1~100質量部
を含むものである熱伝導性シリコーン組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導性シリコーン組成物であって、下記(A)~(D)成分
(A)25℃での動粘度が10~500,000mm/sであるオルガノポリシロキサン:100質量部
(B)平均粒径が0.01~100μmの熱伝導性充填剤:10~2,000質量部
(C)融点が-20~100℃である、ガリウム又はガリウム合金:1,000~20,000質量部
(D)下記一般式(1):
bSi(OR)4-a-b (1)
(式中、Rは独立に炭素原子数6~20のアルキル基であり、Rは独立に非置換または置換の炭素原子数1~10の1価炭化水素基であり、Rは独立に炭素原子数1~6のアルキル基であり、aは1~3の整数、bは0~2の整数であり、a+bの和は1~3の整数である。)で表されるアルコキシシラン化合物:0.1~100質量部
を含むものであることを特徴とする熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項2】
前記(A)成分がアルケニル基を含まないものであることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項3】
前記(B)成分が、酸化亜鉛粉末、アルミナ粉末、窒化ホウ素粉末、窒化アルミニウム粉末、水酸化アルミニウム粉末、酸化マグネシウム粉末の中から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項4】
前記(B)成分が、酸化亜鉛粉末、アルミナ粉末、窒化ホウ素粉末、窒化アルミニウム粉末、水酸化アルミニウム粉末、酸化マグネシウム粉末の中から選択される1種以上であることを特徴とする請求項2に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項5】
前記(A)成分が下記平均組成式(2)
SiO(4-c)/2 (2)
(式中、Rは、アルケニル基を含まない、互いに独立に、炭素数1~18の、非置換または置換の一価炭化水素基であり、1.8≦c≦2.2である)
で表されるオルガノポリシロキサンであることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項6】
前記(A)成分が下記平均組成式(2)
SiO(4-c)/2 (2)
(式中、Rは、アルケニル基を含まない、互いに独立に、炭素数1~18の、非置換または置換の一価炭化水素基であり、1.8≦c≦2.2である)
で表されるオルガノポリシロキサンであることを特徴とする請求項2に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項7】
前記(A)成分が下記平均組成式(2)
SiO(4-c)/2 (2)
(式中、Rは、アルケニル基を含まない、互いに独立に、炭素数1~18の、非置換または置換の一価炭化水素基であり、1.8≦c≦2.2である)
で表されるオルガノポリシロキサンであることを特徴とする請求項3に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項8】
前記(A)成分が下記平均組成式(2)
SiO(4-c)/2 (2)
(式中、Rは、アルケニル基を含まない、互いに独立に、炭素数1~18の、非置換または置換の一価炭化水素基であり、1.8≦c≦2.2である)
で表されるオルガノポリシロキサンであることを特徴とする請求項4に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項9】
前記(A)成分が、下記一般式(3)
【化1】
(式中、Rは、炭素数1~6のアルキル基であり、Rは、アルケニル基を含まない、互いに独立に、炭素数1~18の、非置換または置換の一価炭化水素基であり、dは5~120の整数である)
で表される加水分解性基含有オルガノポリシロキサンを、前記(A)成分の全質量に対して10~100質量%の量で含むものであることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項10】
前記(C)成分のガリウム合金が、Ga-In合金、Ga-Sn-Zn合金、Ga-In-Sn合金、Ga-In-Bi-Sn合金の中から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項11】
前記(C)成分のガリウム合金が、Ga-In合金、Ga-Sn-Zn合金、Ga-In-Sn合金、Ga-In-Bi-Sn合金の中から選択される1種以上であることを特徴とする請求項9に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝導性シリコーン組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、CPU等の発熱性電子部品の多くには、使用時の温度上昇による損傷や性能低下等を防止するため、ヒートシンク等の放熱体が広く用いられている。発熱性電子部品から発生する熱を放熱体に効率よく伝導させるため、一般に発熱性電子部品と放熱体との間に熱伝導性材料が使用される。
【0003】
熱伝導性材料としては、放熱シートや放熱グリースが一般に知られている。放熱シートは、手軽にマウントすることができるが、例えば発熱性電子部品や放熱体との界面に空隙が生じるため、界面熱抵抗が大きくなり熱伝導性能が不十分になる。一方、放熱グリースは、その性状が液体に近いため、発熱性電子部品や放熱体表面の凹凸に影響されることなく両者に密着して界面熱抵抗を小さくすることができるが十分な放熱性能を得ることができていない。
【0004】
そこで、例えば特許文献1~5には、熱伝導性を付与する成分として低融点金属や金属フィラー等を配合したものが提案されているが、それでも近年の発熱性電子部品の高集積化、高速化にともなう発熱量のさらなる増大により、これらの熱伝導性材料では十分な熱伝導性効果を得られていない。特許文献6において、放熱性能が著しく向上したが、耐湿性が弱いという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-176414号公報
【特許文献2】特開2005-112961号公報
【特許文献3】特開2003-218296号公報
【特許文献4】特開2004-039829号公報
【特許文献5】特開2007-106809号公報
【特許文献6】特開2021-169582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、このような課題に対処するためになされたもので、熱伝導性及び耐湿性に優れた熱伝導性シリコーン組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、
熱伝導性シリコーン組成物であって、下記(A)~(D)成分
(A)25℃での動粘度が10~500,000mm/sであるオルガノポリシロキサン:100質量部
(B)平均粒径が0.01~100μmの熱伝導性充填剤:10~2,000質量部
(C)融点が-20~100℃である、ガリウム又はガリウム合金:1,000~20,000質量部
(D)下記一般式(1):
bSi(OR)4-a-b (1)
(式中、Rは独立に炭素原子数6~20のアルキル基であり、Rは独立に非置換または置換の炭素原子数1~10の1価炭化水素基であり、Rは独立に炭素原子数1~6のアルキル基であり、aは1~3の整数、bは0~2の整数であり、a+bの和は1~3の整数である。)で表されるアルコキシシラン化合物:0.1~100質量部
を含むものである熱伝導性シリコーン組成物を提供する。
【0008】
このような熱伝導性シリコーン組成物であれば、熱伝導性及び耐湿性に優れたものとなる。
【0009】
また、本発明では、前記(A)成分がアルケニル基を含まないものであることが好ましい。
【0010】
このような熱伝導性シリコーン組成物であれば、耐熱性に優れたものとなる。
【0011】
また、本発明では、前記(B)成分が、酸化亜鉛粉末、アルミナ粉末、窒化ホウ素粉末、窒化アルミニウム粉末、水酸化アルミニウム粉末、酸化マグネシウム粉末の中から選択される1種以上であることが好ましい。
【0012】
このような熱伝導性シリコーン組成物であれば、熱伝導性をより高めることができる。
【0013】
また、本発明では、前記(A)成分が下記平均組成式(2)
SiO(4-c)/2 (2)
(式中、Rは、アルケニル基を含まない、互いに独立に、炭素数1~18の、非置換または置換の一価炭化水素基であり、1.8≦c≦2.2である)
で表されるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。
【0014】
このような熱伝導性シリコーン組成物であれば、良好な流動性を有することができる。
【0015】
また、本発明では、前記(A)成分が、下記一般式(3)
【化1】

(式中、Rは、炭素数1~6のアルキル基であり、Rは、アルケニル基を含まない、互いに独立に、炭素数1~18の、非置換または置換の一価炭化水素基であり、dは5~120の整数である)
で表される加水分解性基含有オルガノポリシロキサンを、前記(A)成分の全質量に対して10~100質量%の量で含むものであることが好ましい。
【0016】
このような熱伝導性シリコーン組成物であれば、シリコーン組成物中に粉末を高充填することができる。
【0017】
また、本発明では、前記(C)成分のガリウム合金が、Ga-In合金、Ga-Sn-Zn合金、Ga-In-Sn合金、Ga-In-Bi-Sn合金の中から選択される1種以上であることが好ましい。
【0018】
このような熱伝導性シリコーン組成物であれば、組成物調製工程において作業性に優れた熱伝導性シリコーン組成物とすることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明の熱伝導性シリコーン組成物であれば、熱伝導性及び耐湿性に優れた熱伝導性シリコーン組成物とすることができる。このシリコーン組成物は、放熱グリースとして好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
上述のように、熱伝導性及び耐湿性に優れた熱伝導性シリコーン組成物の開発が求められていた。
【0021】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定のオルガノポリシロキサンに、熱伝導性充填剤と融点が-20~100℃の低融点金属、特定のアルコキシシラン化合物を適切な比率で混合することで優れた熱伝導性及び耐湿性能を発揮することを見出し、本発明をなすに至った。
【0022】
即ち、本発明は、
熱伝導性シリコーン組成物であって、下記(A)~(D)成分
(A)25℃での動粘度が10~500,000mm/sであるオルガノポリシロキサン:100質量部
(B)平均粒径が0.01~100μmの熱伝導性充填剤:10~2,000質量部
(C)融点が-20~100℃である、ガリウム又はガリウム合金:1,000~20,000質量部
(D)下記一般式(1):
bSi(OR)4-a-b (1)
(式中、Rは独立に炭素原子数6~20のアルキル基であり、Rは独立に非置換または置換の炭素原子数1~10の1価炭化水素基であり、Rは独立に炭素原子数1~6のアルキル基であり、aは1~3の整数、bは0~2の整数であり、a+bの和は1~3の整数である。)で表されるアルコキシシラン化合物:0.1~100質量部
を含むものである熱伝導性シリコーン組成物である。
【0023】
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0024】
<熱伝導性シリコーン組成物>
本発明の熱伝導性シリコーン組成物は、下記の(A)~(D)成分を含むものであり、例えば放熱グリースとして好適に用いることができるものである。
【0025】
(A)成分
(A)成分は、25℃での動粘度が10~500,000mm/s、好ましくは30~100,000mm/s、更に好ましくは50~10,000mm/sであるオルガノポリシロキサンである。オルガノポリシロキサンの動粘度が上記下限値より低いとグリースにした時にオイルブリードが出やすくなる。また、上記上限値より大きいと、シリコーン組成物の伸展性が乏しくなるため好ましくない。なお、本発明において、オルガノポリシロキサンの動粘度はオストワルド粘度計で測定した25℃の値である。
【0026】
本発明において(A)成分のオルガノポリシロキサンは上記動粘度を有するものであればよく、従来公知のオルガノポリシロキサンを使用することができる。オルガノポリシロキサンの分子構造は特に限定されず、直鎖状、分岐鎖状、及び環状等のいずれであってもよい。特には、主鎖がジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状構造を有するのがよい。上記オルガノポリシロキサンは、1種単独でも、2種以上の組合せであってもよい。尚、耐熱性の観点から(A)成分はアルケニル基を含まないことが好ましい。
【0027】
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、下記平均組成式(2)で表されるオルガノポリシロキサンであることができる。
SiO(4-c)/2 (2)
(式中、Rは、アルケニル基を含まない、互いに独立に、炭素数1~18の、非置換または置換の一価炭化水素基であり、1.8≦c≦2.2である)
【0028】
上記一般式(2)において、Rは、アルケニルを含まず、互いに独立に、炭素数1~18、好ましくは1~14の、非置換または置換の一価炭化水素基である。該一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、及びオクタデシル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、及びトリル基等のアリール基、2-フェニルエチル基、及び2-メチル-2-フェニルエチル基等のアラルキル基、又は、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えば、3,3,3-トリフロロプロピル基、2-(パーフロロブチル)エチル基、2-(パーフロロオクチル)エチル基、p-クロロフェニル基等が挙げられる。好ましくはメチル基、フェニル基である。
【0029】
上記一般式(2)においてcは1.8~2.2の範囲であり、特には1.9~2.1の範囲にある数であることが好ましい。cが上記範囲内にあることにより、得られる熱伝導性シリコーン組成物は良好な流動性を有することができる。
【0030】
上記平均組成式(2)で表されるオルガノポリシロキサンとしては、下記一般式(4)で表される直鎖状オルガノポリシロキサンが好ましい。
【化2】
【0031】
上記一般式(4)において、Rは、アルケニル基を含まず、互いに独立に、炭素数1~18、好ましくは1~14の、非置換または置換の一価炭化水素基である。該一価炭化水素基としては、Rとして上述した基が挙げられる。中でも、両末端のRは全てメチル基であることが好ましい。mは該オルガノポリシロキサンの25℃での動粘度が10~500,000mm/s、好ましくは30~100,000mm/s、さらに好ましくは50~10,000mm/sとなる数である。
【0032】
具体例としては、下記成分が挙げられる。
【化3】
【0033】
また、(A)成分は、上記平均組成式(4)で示されるオルガノポリシロキサンと併せて、下記一般式(3)で表される、加水分解性基を有するオルガノポリシロキサンを含有してもよい。(A)成分中の下記一般式(3)で示される加水分解性オルガノポリシロキサンの含有量は、(A)成分の全質量に対して10~100質量%の量が好ましく、より好ましくは30~95質量%の量、更に好ましくは50~90質量%の量である。
【化4】
(式中、Rは、炭素数1~6のアルキル基であり、Rは、アルケニル基を含まない、互いに独立に、炭素数1~18の、非置換または置換の一価炭化水素基であり、dは5~120の整数である)
【0034】
上記一般式(3)で示されるオルガノポリシロキサンは、シリコーン組成物中に粉末を高充填することを補助する。さらに、シリコーン組成物が上記オルガノポリシロキサンを含有することにより、粉末の表面が上記オルガノポリシロキサンで覆われ、粉末同士の凝集が起こりにくくなる。この効果は高温下でも持続するため、シリコーン組成物の耐熱性が向上する。また、上記一般式(3)で示される上記オルガノポリシロキサンによって粉末の表面を疎水化処理することもできる。
【0035】
上記一般式(3)中、Rは、炭素数1~6のアルキル基である。例えばメチル基、エチル基、プロピル基などの炭素数1~6のアルキル基等が挙げられるが、特にメチル基、エチル基が好ましい。Rは、アルケニル基を含まず、互いに独立に、炭素数1~18、好ましくは炭素数1~10の、非置換または置換の一価炭化水素基である。該一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、及びオクタデシル基等のアルキル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、及びトリル基等のアリール基、2-フェニルエチル基、及び2-メチル-2-フェニルエチル基等のアラルキル基、又は、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えば、3,3,3-トリフロロプロピル基、2-(パーフロロブチル)エチル基、2-(パーフロロオクチル)エチル基、p-クロロフェニル基等が挙げられる。特にメチル基が好ましい。上記一般式(3)中、dは5~120の整数であることが好ましく、より好ましくは10~90の整数である。なお、dは上記一般式(3)の化合物が25℃での動粘度が10~500,000mm/s、好ましくは30~100,000mm/sを満たす値である。
【0036】
この加水分解性基を有するオルガノポリシロキサンの具体例としては、下記成分が挙げられる。
【化5】
【0037】
(B)成分
(B)成分は、熱伝導性充填剤である。熱伝導性充填剤の種類は特に制限されず、従来放熱用(熱伝導性)グリースに使用されている粉末を使用できる。特には、熱伝導率の高いものがよく、酸化亜鉛粉末、アルミナ粉末、窒化ホウ素粉末、窒化アルミニウム粉末、水酸化アルミニウム粉末、酸化マグネシウム粉末の中から選択される少なくとも1種又は2種以上が好ましい。これら熱伝導性充填剤(無機化合物粉体)は、必要に応じてオルガノシラン、オルガノシラザン、オルガノポリシロキサン、有機フッ素化合物等により、その表面に疎水化処理を施したものを使用しても良い。疎水化処理は上記一般式(3)で示されるオルガノポリシロキサンで行うこともできる。
【0038】
熱伝導性充填剤の平均粒径は0.01~100μmであり、より好ましくは0.1~80μm、さらに好ましくは0.5~50μmを有するものがよい。熱伝導性充填剤の平均粒径が上記下限値より小さくても、上記上限値より大きくても、得られるシリコーン組成物への充填率を上げられないため好ましくない。これらの熱伝導性充填剤は1種単独でも、平均粒径の異なる2種以上を混合して使用してもよい。上記平均粒径は体積基準の累積平均径である。該平均粒径は日機装株式会社製の粒度分析計であるマイクロトラックMT3300EXを用いて測定できる。
【0039】
熱伝導性充填剤の配合量は、(A)成分100質量部に対し10~2,000質量部の範囲であり、好ましくは50~1,500質量部の範囲が良い。更に好ましくは100~1,000質量部の範囲である。上記下限値未満ではシリコーン組成物に十分な熱伝導率を付与することが出来ない。また上記上限値超ではシリコーン組成物の粘度が高くなり扱いにくくなる。そのため、上記下限値未満でも、上記上限値超でも、グリース状のものとすることが困難である。
【0040】
(C)成分
本発明の(C)成分はガリウム又はガリウム合金であって、その融点は、-20~100℃の範囲とすることが必要である。-20℃を下回るものは作製が難しいため経済的に好ましくなく、100℃を超えると組成物調製工程において速やかに融解しないため作業性に劣る結果となるし、製造中に析出して不均一になる。よって、融点が-20~100℃の範囲であるガリウム又はガリウム合金であることが、経済的にも、取り扱い上必要な条件であるとともに適切な範囲である。特に、-10~50℃の範囲内のものが好ましい。
【0041】
金属ガリウムの融点は29.8℃である。また、上記範囲の融点を有する代表的なガリウム合金としては、例えば、ガリウム-インジウム合金;例えば、Ga-In(質量比=75.4:24.6、融点=15.7℃)、ガリウム-スズ-亜鉛合金;例えば、Ga-Sn-Zn(質量比=82:12:6、融点=17℃)、ガリウム-インジウム-スズ合金;例えば、Ga-In-Sn(質量比=21.5:16.0:62.5、融点=10.7℃や、質量比=62.0:25.0:13.0、融点=5℃、質量比=68.5:21.5:10、融点=-19℃)、ガリウム-インジウム-ビスマス-スズ合金;例えば、Ga-In-Bi-Sn(質量比=9.4:47.3:24.7:18.6、融点=48.0℃)等が挙げられる。
【0042】
この(C)成分は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0043】
本発明の組成物中に存在するガリウム又はその合金の液状微粒子又は固体微粒子の形状は、通常略球状であるが、不定形のものが含まれていてもよい。また、その平均粒径が、通常、0.1~200μm、特に10~100μmであることが好ましい。上記平均粒径が上記下限値以上であれば組成物の粘度が高くなりすぎず、伸展性に優れたものとなるので塗工作業性に優れ、また、逆に上記上限値以下であれば分離することがない。なお、上記形状及び平均粒径である微粒子の分散状態は、本組成物が適度な粘度を保有することから常温で保管された場合でも維持される。
【0044】
なお、この(C)成分の粒径は、測定する粒子をマイクロスコープで撮影した画像を、画像2値化による自動面積計測にて、平均粒径を自動的に測定した値である。例えば、株式会社キーエンスのマイクロスコープVHX-8000で測定することができる。測定する粒子を2枚のスライドガラスで挟み込み、それをマイクロスコープで撮影し、付随した画像処理機能(画像2値化による自動面積計測)にて平均粒径を自動的に測定することができる。
【0045】
この(C)成分の配合量は、上記(A)成分100質量部に対して、1,000~20,000質量部であり、好ましくは2,000~15,000質量部であり、更に好ましくは3,000~10,000質量部である。上記配合量が1,000質量部未満であると熱伝導率が低くなり、組成物が厚い場合に、十分な放熱性能が得られない。20,000質量部より多いと均一組成物とすることが困難となり、また、組成物の粘度が高すぎるものとなるため、伸展性があるグリース状のものとして組成物を得ることができないという問題がある。
【0046】
(D)成分
(D)成分は本発明のシリコーン組成物中に粉末を高充填することを補助するだけでなく、(C)成分の耐湿性を向上させることが出来る。元来ガリウム及びガリウム合金そのものは高湿度下に長時間曝されると酸化が進行した結果、シリコーン組成物の熱抵抗が上昇してしまうという欠点があったが、成分(D)を含有することで高湿下でも熱抵抗の上昇がみられず、性能を維持することが出来る。
【0047】
成分(D)は下記一般式(1)で表されるアルコシキシラン化合物である。
bSi(OR)4-a-b (1)
(式中、Rは独立に炭素原子数6~20のアルキル基であり、Rは独立に非置換または置換の炭素原子数1~10の1価炭化水素基であり、Rは独立に炭素原子数1~6のアルキル基であり、aは1~3の整数、bは0~2の整数であり、a+bの和は1~3の整数である。)
【0048】
は独立に炭素原子数6~20のアルキル基であり、好ましくは炭素数10~20、更に好ましくは16~20のアルキル基である。
【0049】
上記一般式中のRとしては、例えば、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。好ましくはデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基、更に好ましくはヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基である。
【0050】
炭素原子数が6未満であると上記(B)成分および(C)成分の濡れ性の向上が充分でなく、21以上であるとオルガノシランが常温で固化するので、取り扱いが不便な上、得られた組成物の低温特性が低下する。特に耐湿性向上には炭素数10~20が好ましく、炭素数16~20が特に好ましい。
【0051】
また、上記Rとしては、独立に非置換または置換の炭素原子数1~10、好ましくは炭素原子数1~8の1価炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;2-フェニルエチル基、2-メチル-2-フェニルエチル基等のアラルキル基;3,3,3-トリフロロプロピル基、2-(ナノフルオロブチル)エチル基、2-(へプタデカフルオロオクチル)エチル基、p-クロロフェニル基等のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。これらの中では、特に、メチル基、エチル基が好ましい。
【0052】
また、上記Rとしては、独立に炭素原子数1~6のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基が挙げられる。これらの中では、特に、メチル基、エチル基が好ましい。
【0053】
この(D)成分の好適な具体例としては、下記のものを挙げることができる。
13Si(OCH
1225Si(OCH
1021Si(CH)(OCH
1021Si(C)(OCH
1021Si(CH)(OC
1021Si(CH=CH)(OCH
1021Si(CHCHCF)(OCH
1021Si(OCH
1225Si(OC
1633Si(OCH
1837Si(OCH
2041Si(OCH
1837Si(OC
【0054】
なお、この(D)成分は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。また、その配合量は、(A)成分100質量部に対して、0.1~100質量部、より好ましくは1~50質量部である。更に好ましくは、10~50質量部である。上記配合量が多すぎると、耐湿性向上効果が増大することがなく不経済であり、多少揮発性があるので開放系で放置しておくと本発明組成物が徐々に硬くなってしまう場合がある。また、上記配合量が少なすぎると、酸化の進行を十分に防ぐことができず、熱抵抗の値が悪化する。
【0055】
(その他の成分)
また、本発明のシリコーン組成物は、必要に応じて、従来公知の酸化防止剤、染料、顔料、難燃剤、沈降防止剤、又はチクソ性向上剤等を、目的に応じた量で配合することができる。
【0056】
本発明の熱伝導性シリコーン組成物の製造方法は、従来公知のシリコーングリース組成物の製造方法に従えばよく、特に制限されるものでない。例えば、上記(A)~(D)成分、及び必要に応じてその他の成分を、トリミックス、ツウィンミックス、プラネタリミキサー(いずれも井上製作所(株)製混合機、登録商標)、ウルトラミキサー(みずほ工業(株)製混合機、登録商標)、ハイビスディスパーミックス(特殊機化工業(株)製混合機、登録商標)等の混合機にて30分~4時間混合することにより製造することができる。(C)成分が室温にて固体の場合は、あらかじめオーブンなどにて溶解させておいてから配合することが望ましい。また、必要に応じて、50~150℃の範囲の温度で加熱しながら混合してもよい。
【0057】
本発明の熱伝導性シリコーン組成物は、25℃にて測定される絶対粘度が10~500Pa・sが好ましく、より好ましくは30~450Pa・s、更に好ましくは50~400Pa・sを有するのがよい。絶対粘度が上記上限値以下であれば、作業性が良くなり、絶対粘度が上記下限値以上であれば、各種基材上に塗布した後、組成物が流れ出してしまうことがなく、良好なグリースを提供できる。上記絶対粘度は、各成分を上述した配合量で調製することにより得ることができる。上記絶対粘度は、株式会社マルコム社製の型番PC-1TL(10rpm)を用いて測定できる。
【0058】
本発明の熱伝導性シリコーン組成物は、25℃にて好ましくは3.0W/mK以上、より好ましくは4.0W/mK以上、さらに好ましくは5.0W/mK以上の高い熱伝導率を有することができる。
【0059】
また、本発明の熱伝導性シリコーン組成物は、高温高湿下に置いた後でも熱抵抗の値が高くなりにくいという性質を示す。具体的には、130℃/85%RH条件下で100時間曝した後の熱抵抗値が、初期に比べ2倍以上高くならないため、高温高湿下の信頼性が高いと言える。
【0060】
本発明の熱伝導性シリコーン組成物はグリースとして使用することができる。本発明のシリコーン組成物をグリースとして使用する態様は特に制限されるものでなく、従来の放熱用(熱伝導性)シリコーングリースと同様の方法で使用すればよい。例えば、LSI等の電気・電子部品やその他の発熱部材と、冷却部材または放熱部材との間に該グリースを挟み、発熱部材からの熱を冷却部材や放熱部材に伝熱して放熱する態様にて好適に用いることができる。本発明のシリコーン組成物は、低粘度であり、熱伝導率が高く、かつ耐湿性が極めて優れているため、高品位機種の半導体装置等に対する放熱用(熱伝導性)グリースとして好適に使用することができる。
【実施例0061】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0062】
(A)成分
(A-1)両末端がトリメチルシリル基で封鎖され、25℃における動粘度が1,000mm2/sのジメチルポリシロキサン。
(A-2)両末端がトリメチルシリル基で封鎖され、25℃における動粘度が5,000mm2/sのジメチルポリシロキサン。
(A-3)25℃における動粘度が35mm2/sの下記式(7)で示されるオルガノポリシロキサン
【化6】
【0063】
(B)成分
(B-1)酸化亜鉛粉末:平均粒径1.0μm
(B-2)アルミナ粉末:平均粒径8.9μm
(B-3)窒化ホウ素粉末:平均粒径2.0μm
(B-4)窒化アルミニウム粉末:平均粒径6.8μm
(B-5)水酸化アルミニウム粉末:平均粒形25μm
(B-6)酸化マグネシウム粉末:平均粒形45μm
【0064】
<粒径測定>
熱伝導性充填剤((B)成分)の粒径測定は、日機装株式会社製の粒度分析計であるマイクロトラックMT3300EXにより測定した体積基準の累積平均径である。
【0065】
(C)成分
(C-1)金属ガリウム〔融点=29.8℃〕
(C-2)Ga-In合金〔質量比=75.4:24.6、融点=15.7℃〕
(C-3)Ga-In-Sn合金〔質量比=62.0:25.0:13.0、融点=5.0℃〕
(C-4)Ga-In-Sn合金〔質量比=68.5:21.5:10、融点=-19℃〕
(C-5)金属インジウム〔融点=156.2℃〕<比較用>
【0066】
(D)成分
(D-1)C1021Si(OCH
(D-2)C1633Si(OCH
(D-3)C1837Si(OCH
(D-4)CHSi(OCH) <比較用>
【0067】
[実施例1-7及び比較例1-8]
シリコーン組成物の調製
上記(A)~(D)成分を、下記表1、2に示す組成及び配合量に従い、容量5リットルのプラネタリーミキサー(井上製作所(株)製、登録商標)に投入し、室温にて1時間撹拌してシリコーン組成物を調製した。
【0068】
尚、融点が室温より高い(C-1)、(C-5)はオーブンであらかじめ溶解させておいてから投入した。
【0069】
<粘度の測定>
組成物の25℃における絶対粘度の測定は、株式会社マルコム社製の型番PC-1TL(10rpm)にて行った。
【0070】
<熱伝導率の測定>
熱伝導率は、京都電子工業株式会社製のTPS-2500Sにより、いずれも25℃において測定した。
【0071】
<組成物中のガリウムまたは合金の粒径測定>
組成物を2枚のマイクロスコープで挟み込み、それを株式会社キーエンスのマイクロスコープVHX-8000撮影し、付随した画像処理機能(画像2値化による自動面積計測)にて平均粒径を自動測定した。
【0072】
<組成物の厚み>
上記で得られた各組成物(比較例1,2,4,6,7を除く)を、標準アルミニウムプレート(直径1.26mm、厚み1.0mm)の全面に塗布し、他の標準アルミニウムプレートを上から重ねて、2kgfの荷重を15分間かけ組成物を押しつぶした。尚、各組成物の厚みは、全体(アルミプレート2枚分及び組成物の厚み)の厚みから、標準アルミニウムプレート2枚分の厚みを差し引くことで算出した。
【0073】
尚、アルミニウムプレートの厚み及び組成物の厚み測定は、マイクロメーター(株式会社ミツトヨ、型式;M820-25VA)を用いて行った。
【0074】
<熱抵抗測定>
上記の熱抵抗用試料を用いて、各組成物の熱抵抗(mm2・K/W)を熱抵抗測定器(NETZSCH社製モデル:LFA447)を用いて測定した。
【0075】
尚、熱抵抗は、熱抵抗用試料を調整した直後、及びこれら熱抵抗用試料をエスペック株式会社製高度加速寿命試験装置(モデル:EHS-212M)にて、130℃/85%RH条件下100時間曝したものの熱抵抗も測定した。
【0076】
判定として、130℃/85%RH条件下で100時間曝した後の熱抵抗値が、初期に比べ2倍以上高くなるものは高温高湿下の信頼性が低いと言える。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
表1の結果から、本発明の熱伝導性シリコーン組成物は高い熱伝導性と十分に低い熱抵抗の値を示し、高温高湿下に置いた後の熱抵抗の値が高温高湿下に置く前と比較して変化したものであっても約1.13倍程度と十分に低いままであった。一方、比較例1、2、4、6、7ではグリース状にすることができなかった。また、比較例3は熱伝導率が不十分であった。更に、比較例5、8においては熱伝導率こそ十分であったが、高温高湿下に置いた後の熱抵抗の値がそれぞれ20倍、約16倍に高くなった。
【0080】
本明細書は、以下の態様を包含する。
[1]:熱伝導性シリコーン組成物であって、下記(A)~(D)成分
(A)25℃での動粘度が10~500,000mm/sであるオルガノポリシロキサン:100質量部
(B)平均粒径が0.01~100μmの熱伝導性充填剤:10~2,000質量部
(C)融点が-20~100℃である、ガリウム又はガリウム合金:1,000~20,000質量部
(D)下記一般式(1):
bSi(OR)4-a-b (1)
(式中、Rは独立に炭素原子数6~20のアルキル基であり、Rは独立に非置換または置換の炭素原子数1~10の1価炭化水素基であり、Rは独立に炭素原子数1~6のアルキル基であり、aは1~3の整数、bは0~2の整数であり、a+bの和は1~3の整数である。)で表されるアルコキシシラン化合物:0.1~100質量部
を含むものであることを特徴とする熱伝導性シリコーン組成物。
[2]:前記(A)成分がアルケニル基を含まないものであることを特徴とする上記[1]の熱伝導性シリコーン組成物。
[3]:前記(B)成分が、酸化亜鉛粉末、アルミナ粉末、窒化ホウ素粉末、窒化アルミニウム粉末、水酸化アルミニウム粉末、酸化マグネシウム粉末の中から選択される1種以上であることを特徴とする上記[1]又は上記[2]の熱伝導性シリコーン組成物。
[4]: 前記(A)成分が下記平均組成式(2)
SiO(4-c)/2 (2)
(式中、Rは、アルケニル基を含まない、互いに独立に、炭素数1~18の、非置換または置換の一価炭化水素基であり、1.8≦c≦2.2である)
で表されるオルガノポリシロキサンであることを特徴とする上記[1]から[3]のいずれかの熱伝導性シリコーン組成物。
[5]:前記(A)成分が、下記一般式(3)
【化7】
(式中、Rは、炭素数1~6のアルキル基であり、Rは、アルケニル基を含まない、互いに独立に、炭素数1~18の、非置換または置換の一価炭化水素基であり、dは5~120の整数である)
で表される加水分解性基含有オルガノポリシロキサンを、前記(A)成分の全質量に対して10~100質量%の量で含むものであることを特徴とする上記[1]から[4]のいずれかの熱伝導性シリコーン組成物。
[6]:前記(C)成分のガリウム合金が、Ga-In合金、Ga-Sn-Zn合金、Ga-In-Sn合金、Ga-In-Bi-Sn合金の中から選択される1種以上であることを特徴とする上記[1]から[5]のいずれかの熱伝導性シリコーン組成物。
【0081】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
この(D)成分の好適な具体例としては、下記のものを挙げることができる。
13Si(OCH
1225Si(OCH
1021Si(CH)(OCH
1021Si(C)(OCH
1021Si(CH)(OC
1021Si(CH=CH)(OCH
1021Si(CHCHCF)(OCH
1021Si(OCH
1225Si(OC
1633Si(OCH
1837Si(OCH
2041Si(OCH
1837Si(OC
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
<組成物中のガリウムまたは合金の粒径測定>
組成物を2枚のマイクロスコープで挟み込み、それを株式会社キーエンスのマイクロスコープVHX-8000撮影し、付随した画像処理機能(画像2値化による自動面積計測)にて平均粒径を自動測定した。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0075】
尚、熱抵抗は、熱抵抗用試料を調製した直後、及びこれら熱抵抗用試料をエスペック株式会社製高度加速寿命試験装置(モデル:EHS-212M)にて、130℃/85%RH条件下100時間曝したものの熱抵抗も測定した。