(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160589
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】搬送スクリュー、粉体搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
G03G15/08 364
G03G15/08 347
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071043
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】吉見 貴博
【テーマコード(参考)】
2H077
【Fターム(参考)】
2H077AA03
2H077AA05
2H077AA25
2H077AA35
2H077AB02
2H077AB07
2H077AB18
2H077AC02
2H077AD02
2H077AD06
2H077AE06
2H077BA02
2H077CA04
2H077DA10
2H077DA12
2H077EA01
(57)【要約】
【課題】粉体搬送方向下流側で粉体の凝集や搬送性の低下を抑制することができる搬送スクリュー、粉体搬送装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】搬送スクリューたるノズル搬送スクリュー164は、軸部たる軸164bと、軸164bに螺旋状に巻き付いた羽根部たる羽根164aとを備え、粉体たるトナーTを搬送する。このノズル搬送スクリュー164は、羽根164aの回転方向の同位置すべてに貫通孔164cが設けられている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部と、
前記軸部に螺旋状に巻き付いた羽根部とを備え、
粉体を搬送する搬送スクリューにおいて、
前記羽根部の回転方向の同位置すべてに貫通孔または切り欠きが設けられていることを特徴とする搬送スクリュー。
【請求項2】
軸部と、
前記軸部に螺旋状に巻き付いた羽根部とを備え、
粉体を搬送する搬送スクリューにおいて、
前記羽根部の径方向の中央よりも外側に貫通孔または切り欠きが設けられていることを特徴とする搬送スクリュー。
【請求項3】
請求項2に記載の搬送スクリューにおいて、
前記羽根部に複数の前記貫通孔または前記切り欠きが設けられていることを特徴とする搬送スクリュー。
【請求項4】
請求項3に記載の搬送スクリューにおいて、
複数の貫通孔または切り欠きは、前記羽根部の回転方向の同位置に設けられていることを特徴とする搬送スクリュー。
【請求項5】
請求項1に記載の搬送スクリューにおいて、
前記貫通孔または切り欠きは、前記羽根部の径方向の中央よりも外側に設けたことを特徴とする搬送スクリュー。
【請求項6】
請求項1または2に記載の搬送スクリューにおいて、
前記貫通孔または前記切り欠きが設けられた位置とは回転方向で異なる位置に第二の貫通孔または切り欠きを設けたことを特徴とする搬送スクリュー。
【請求項7】
請求項6に記載の搬送スクリューにおいて、
前記第二の貫通孔または切り欠きが、複数設けられており、
複数の第二の貫通孔または切り欠きが、前記羽根部の回転方向の同位置に設けられていることを特徴とする搬送スクリュー。
【請求項8】
内部に搬送スクリューを備え、搬送スクリューを回転させて粉体を搬送する搬送路を備えた粉体搬送装置において、
前記搬送スクリューとして、請求項1または2に記載の搬送スクリューを用いたことを特徴する粉体搬送装置。
【請求項9】
請求項8に記載の粉体搬送装置において、
前記貫通孔または切り欠きが、前記軸部よりも鉛直方向上部に位置するように前記搬送スクリューの回転を停止することを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項10】
トナー像を作像する作像手段と、
トナーを搬送するトナー搬送装置とを備える画像形成装置において、
前記トナー搬送装置として、請求項8に記載の粉体搬送装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送スクリュー、粉体搬送装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、軸部と、軸部に螺旋状に巻き付いた羽根部とを備え、粉体を羽根部の一端部に向けて搬送する搬送スクリューが知られている。
【0003】
特許文献1には、上記搬送スクリューとして、粉体たるトナーの搬送方向下流領域の羽根部に搬送スクリューの軸部に達する2つの切り欠き部を設けたものが記載されている。2つの切り欠き部は、搬送スクリューの回転方向で同一の位置に設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、トナーの搬送方向上流側領域の羽根部には切り欠きが形成されておらず、内部に搬送スクリューが配置された搬送経路の粉体搬送方向下流側の内圧が増大し、粉体搬送方向下流側で粉体の凝集や搬送性の低下が発生するおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、軸部と、前記軸部に螺旋状に巻き付いた羽根部とを備え、粉体を搬送する搬送スクリューにおいて、前記羽根部の回転方向の同位置すべてに貫通孔または切り欠きが設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、粉体搬送方向下流側で粉体の凝集や搬送性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】イエローに対応した作像部の概略構成を示す模式図。
【
図3】(a)は、トナー補給装置にトナー容器が設置された状態を示す斜視図であり、(b)は、概略図である。
【
図4】従来のノズル搬送スクリューを備えた搬送ノズルの模式図。
【
図5】本実施形態のノズル搬送スクリューを備える搬送ノズルの模式図。
【
図6】変形例のノズル搬送スクリューを備える搬送ノズルの模式図。
【
図7】貫通孔または切り欠きの配置位置について説明する図。
【
図8】貫通孔または切り欠きの羽根の回転方向の同位置について説明する図。
【
図9】羽根の回転方向異なる位置に、貫通孔を設けたノズル搬送スクリューの構成例を示す模式図。
【
図10】羽根の回転方向の同位置に設けた複数の貫通孔からなる列を、回転方向に複数設けたノズル搬送スクリューの一例を示す模式図。
【
図11】搬送ノズル上部の搬送スクリューの羽根と搬送ノズルの内壁との隙間が内壁に付着したトナーにより埋まるおそれがある箇所が1箇所の場合のノズル搬送スクリューの構成例を示す模式図。
【
図12】搬送ノズル上部の搬送スクリューの羽根と搬送ノズルの内壁との隙間が内壁に付着したトナーにより埋まるおそれがある箇所が2箇所ある場合のノズル搬送スクリューの構成例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を画像形成装置としての複写機(以下、複写機500という)に適用した、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の複写機500の概略構成図である。複写機500は、複写機装置本体(以下、プリンタ部100という)、給紙テーブル(以下、給紙部200という)及びプリンタ部100上に取り付けるスキャナ(以下、スキャナ部400という)から構成される。
【0009】
プリンタ部100の上部に設けられたトナー容器収容部70には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した四つの現像剤収容容器であり、粉体容器であるトナー容器32(Y,M,C,K)が着脱自在(交換自在)に設置されている。トナー容器収容部70の下方には中間転写ユニット85が配設されている。
【0010】
中間転写ユニット85は、中間転写ベルト48、四つの一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)、二次転写バックアップローラ82、複数のテンションローラ、及び、中間転写クリーニング装置等で構成される。中間転写ベルト48は、複数のローラ部材によって張架、支持されるとともに、この複数のローラ部材の1つである二次転写バックアップローラ82の回転駆動によって
図1中の矢印方向に無端移動する。
【0011】
プリンタ部100には、中間転写ベルト48に対向するように、各色に対応した四つの作像手段である作像部46(Y,M,C,K)が並設されている。また、四つのトナー容器32(Y,M,C,K)の下方には、それぞれに対応した四つのトナー補給装置60(Y,M,C,K)が配設されている。そして、トナー容器32(Y,M,C,K)に収容されたトナーは、それぞれに対応するトナー補給装置60(Y,M,C,K)によって、各色に対応した作像部46(Y,M,C,K)の現像手段である現像装置(粉体物使用部)内に供給(補給)される。
【0012】
また、
図1に示すように、プリンタ部100は四つの作像部46の下方に潜像形成手段である露光装置47を備える。露光装置47は、スキャナ部400で読み込んだ原稿画像の画像情報またはパーソナルコンピュータ等の外部装置から入力される画像情報に基づいて、後述する感光体41の表面に対して露光し、感光体41の表面に静電潜像を形成する。プリンタ部100が備える露光装置47は、レーザーダイオードを用いたレーザービームスキャナ方式を用いているが、露光手段としてはLEDアレイを用いるものなど他の構成でも良い。
【0013】
図2は、イエローに対応した作像部46Yの概略構成を示す模式図である。
作像部46Yは、像担持体であるドラム状の感光体41Yを備える。さらに、作像部46Yは、帯電手段である帯電ローラ44Y、現像手段である現像装置50Y、感光体クリーニング装置42Y、除電装置等を感光体41Yの周囲に配設した構成である。そして、感光体41Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)が行われて、感光体41Y上にイエロー画像が形成されることになる。
【0014】
なお、他の三つの作像部46(M,C,K)も、使用されるトナーの色が異なる点以外は、イエローに対応した作像部46Yとほぼ同様の構成となっていて、各感光体41(M,C,K)上にそれぞれのトナーに対応した色の画像が形成される。以下、他の三つの作像部46(M,C,K)の説明を適宜に省略して、イエローに対応した作像部46Yのみの説明を行うことにする。
【0015】
感光体41Yは、駆動モータによって
図2中の時計回り方向に回転駆動する。そして、帯電ローラ44Yと対向する位置で、感光体41Yの表面が一様に帯電される(帯電工程)。その後、感光体41Yの表面は、露光装置47から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程)。その後、感光体41Yの表面は、現像装置50Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程)。
【0016】
中間転写ユニット85の四つの一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)は、それぞれ、中間転写ベルト48を感光体41(Y,M,C,K)との間に挟み込んで一次転写ニップを形成している。そして、一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)に、トナーの極性とは逆の転写バイアスが印加される。
【0017】
現像工程でトナー像が形成された感光体41Yの表面は、中間転写ベルト48を挟んで一次転写バイアスローラ49Yと対向する一次転写ニップに達して、この一次転写ニップで感光体41Y上のトナー像が中間転写ベルト48上に転写される(一次転写工程)。このとき、感光体41Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。一次転写ニップでトナー像を中間転写ベルト48に転写した感光体41Yの表面は、感光体クリーニング装置42Yとの対向位置に達する。この対向位置で感光体41Y上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード42aによって機械的に回収される(クリーニング工程)。最後に、感光体41Yの表面は、除電装置との対向位置に達して、この位置で感光体41Y上の残留電位が除去される。こうして、感光体41Y上で行われる一連の作像プロセスが終了する。
【0018】
このような作像プロセスは、他の作像部46(M,C,K)でも、イエロー作像部46Yと同様に行われる。すなわち、作像部46(M,C,K)の下方に配設された露光装置47から、画像情報に基づいたレーザ光Lが、各作像部46(M,C,K)の感光体41(M,C,K)上に向けて照射される。詳しくは、露光装置47は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して各感光体41(M,C,K)上に照射する。その後、現像工程を経て各感光体41(M,C,K)上に形成した各色のトナー像が、中間転写ベルト48上に転写される。
【0019】
このとき、中間転写ベルト48は、
図1中の矢印方向に走行して、各一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)の一次転写ニップを順次通過する。これにより、各感光体41(Y,M,C,K)上の各色のトナー像が、中間転写ベルト48上に重ねて一次転写され、中間転写ベルト48上にカラートナー像が形成される。
【0020】
各色のトナー像が重ねて転写され、カラートナー像が形成された中間転写ベルト48は、二次転写ローラ89との対向位置に達する。この位置では、二次転写バックアップローラ82が、二次転写ローラ89との間に中間転写ベルト48を挟み込んで二次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト48上に形成されたカラートナー像は、二次転写ニップの位置に搬送された転写紙等の記録媒体P上に転写される。このとき、中間転写ベルト48には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。二次転写ニップを通過した中間転写ベルト48は、中間転写クリーニング装置の位置に達し、その表面上の未転写トナーが回収され、中間転写ベルト48上で行われる一連の転写プロセスが終了する。
【0021】
次に、記録媒体Pの動きについて説明する。
上述した二次転写ニップに搬送される記録媒体Pは、プリンタ部100の下方に配設された給紙部200の給紙トレイ26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されるものである。詳しくは、給紙トレイ26には記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が
図1中の反時計回り方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pがレジストローラ対28の二つのローラによって形成されるローラニップに向けて搬送される。
【0022】
レジストローラ対28に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト48上のカラートナー像が二次転写ニップに到達するタイミングに合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、記録媒体Pが二次転写ニップに向けて搬送される。これにより、記録媒体P上に、所望のカラートナー像が転写される。
【0023】
二次転写ニップでカラートナー像が転写された記録媒体Pは、定着装置86の位置に搬送される。定着装置86では、定着ベルト及び加圧ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラートナー像が記録媒体P上に定着される。定着装置86を通過した記録媒体Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対29によって装置外に排出された記録媒体Pは、出力画像として、スタック部30上に順次スタックされる。こうして、複写機500における一連の画像形成プロセスが完了する。
【0024】
次に、作像部46における現像装置50の構成及び動作について、さらに詳しく説明する。なお、ここではイエローに対応した作像部46Yを例に挙げて説明を行うが、他色の作像部46(M,C,K)においても同様である。
【0025】
現像装置50Yは、
図2に示すように、現像ローラ51Y、ドクタブレード52Y、二つの現像剤搬送スクリュー55Y、及び、トナー濃度検知センサ56Y等で構成される。現像ローラ51Yは、感光体41Yに対向し、ドクタブレード52Yは、現像ローラ51Yに対向する。また、二つの現像剤搬送スクリュー55Yは、二つの現像剤収容部(53Y,54Y)内に配設されている。現像ローラ51Yは、内部に固設されたマグネットローラ、及び、マグネットローラの周囲を回転するスリーブ等で構成される。第一現像剤収容部53Y及び第二現像剤収容部54Y内には、キャリアとトナーとからなる二成分の現像剤Gが収容されている。第二現像剤収容部54Yは、その上方に形成された開口を介してトナー補給装置の排出口66(
図3参照)に連通している。また、トナー濃度検知センサ56Yは、第二現像剤収容部54Y内の現像剤G中のトナー濃度を検知する。
【0026】
現像装置50内の現像剤Gは、二つの現像剤搬送スクリュー55Yによって、攪拌されながら、第一現像剤収容部53Yと第二現像剤収容部54Yとの間を循環する。第一現像剤収容部53Y内の現像剤Gは、現像剤搬送スクリュー55Yの一方に搬送されながら現像ローラ51Y内のマグネットローラにより形成される磁界によって現像ローラ51Yのスリーブ表面上に供給され、担持される。現像ローラ51Yのスリーブは、
図2の矢印で示すように反時計回り方向に回転駆動し、現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、スリーブの回転にともない現像ローラ51Y上を移動する。このとき、現像剤G中のトナーは、現像剤G中のキャリアとの摩擦帯電によりキャリアとは逆極性の電位に帯電して静電的にキャリアに吸着し、現像ローラ51Y上に形成された磁界によって引き寄せられるキャリアとともに現像ローラ51Y上に担持される。
【0027】
現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、
図2中の矢印方向に搬送されて、ドクタブレード52Yと現像ローラ51Yとが対向するドクタ部に達する。現像ローラ51Y上の現像剤Gは、ドクタ部を通過する際にその量が適量化され、その後、感光体41Yとの対向位置である現像領域まで搬送される。現像領域では、現像ローラ51Yと感光体41Yとの間に形成された現像電界によって感光体41Y上に形成された潜像に現像剤G中のトナーが吸着される。現像領域を通過した現像ローラ51Yの表面上に残った現像剤Gはスリーブの回転に伴い第一現像剤収容部53Yの上方に達して、この位置で現像ローラ51Yから離脱される。
【0028】
現像装置50Y内の現像剤Gは、トナー濃度が所定の範囲内になるように調整される。詳しくは、現像装置50Y内の現像剤Gに含まれるトナーの現像による消費量に応じて、トナー容器32Yに収容されているトナーが、後述するトナー補給装置60Yを介して第二現像剤収容部54Y内に補給される。
第二現像剤収容部54Y内に補給されたトナーは、二つの現像剤搬送スクリュー55Yによって、現像剤Gとともに混合、攪拌されながら、第一現像剤収容部53Yと第二現像剤収容部54Yとの間を循環する。
【0029】
プリンタ部100のトナー容器収容部70に設置された各トナー容器32(Y,M,C,K)内のトナーは、各色の現像装置50(Y,M,C,K)内のトナー消費に応じて、適宜に各現像装置50(Y,M,C,K)内に補給される。このとき、各トナー容器32(Y,M,C,K)内のトナーは、トナー色ごとに設けられたトナー補給装置60(Y,M,C,K)によって補給される。
【0030】
次に、トナー補給装置60(Y,M,C,K)について説明する。
図3(a)は、粉体搬送装置たるトナー補給装置60にトナー容器32が設置された状態を示す斜視図であり、
図3(b)は、概略図である。なお、中継搬送路65のトナー搬送方向は、本来、
図3(b)の紙面に直交する方向であるが、
図3(b)では、構成がわかりやすいように、中継搬送路65のトナーの搬送方向を、搬送ノズル61と同一の方向としている。また、四つのトナー補給装置60(Y,M,C,K)やトナー容器32(Y,M,C,K)は、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造である。このため、以下、色符号Y,M,C,Kについては、適宜省略して説明する。
【0031】
トナー補給装置60は、搬送ノズル61、鉛直搬送路64、中継搬送路65を有している。粉体容器たるトナー容器32がプリンタ部100のトナー容器収容部70に装着されると、その装着動作に連動して、トナー容器32の容器先端側からトナー補給装置60の搬送ノズル61が挿入される。これにより、トナー容器32内と搬送ノズル61内とが連通する。
【0032】
トナー容器32は、略円筒状のトナーボトルである。そして、主として、トナー容器収容部70に非回転で保持される容器先端側カバー34と、容器ギヤ301が一体的に形成された容器本体33とから主に構成される。容器本体33は、容器先端側カバー34に対して相対的に回転可能に保持されている。
【0033】
容器本体33に具備された容器ギヤに駆動装置から回転駆動が入力されることで、容器本体33が回転駆動する。容器本体33が回転することで、容器本体33の内周面に螺旋状に形成された螺旋状突起302によって、容器本体33の内部に収容されたトナーが容器本体の長手方向に沿って搬送ノズル61に向かって搬送される。
【0034】
容器本体33の容器先端側カバー側には、容器先端側カバー側に搬送されてきたトナーを、容器本体33の回転によって上方に汲み上げる汲み上げ部が設けられている。この汲み上げ部により、トナー容器に挿入された搬送ノズル61よりも上方にトナーが汲み上げられ、搬送ノズル61のトナー容器側端部に設けられた取り込み口としてのノズル開口62に落下することで、搬送ノズル61内にトナーが供給される。
【0035】
搬送ノズル61内には、ノズル搬送スクリュー164が配置されており、駆動装置から回転駆動が入力されることで、ノズル搬送スクリュー164が回転し、搬送ノズル61内に供給されたトナーを水平方向に搬送する。搬送ノズル61の搬送方向下流端は、鉛直搬送路64に接続されており、ノズル搬送スクリュー164によって搬送されたトナーは、鉛直搬送路64を自重落下して中継搬送路65へ搬送される。
【0036】
中継搬送路65内には、中継搬送スクリュー165が配置されており、駆動装置から回転駆動が入力されることで、中継搬送スクリュー165が回転し、中継搬送路65内に供給されたトナーを水平方向に搬送する。中継搬送路65の搬送方向下流端には、排出口66が設けられており、中継搬送スクリュー165によって搬送されたトナーは、排出口66から自重落下して現像装置50内に補給される。
【0037】
図4は、従来のノズル搬送スクリュー164を備えた搬送ノズル61の模式図である。
ノズル搬送スクリュー164は、軸164bと、軸164bに螺旋状に巻き付いた羽根164aとを有している。装置の小型化のためにも、ノズル搬送スクリュー164の羽根164aの届かない範囲を減らし滞留するトナーTを減らすためにも、搬送ノズル61とノズル搬送スクリュー164との隙間dは、なるだけ狭い方が望ましい。しかし、隙間dをなくしてしまうとノズル搬送スクリュー164の回転負荷が大きくなるため、1mm程度の隙間は必要となる。
【0038】
搬送ノズル61内は、トナーTにより完全に満たされてはおらず、上部に空気層を有している。搬送ノズル上部の搬送スクリューの羽根164aと搬送ノズル61の内壁との間の隙間を介して、トナー容器32と、搬送ノズルよりもトナー搬送方向下流側のトナー搬送経路(鉛直搬送路64)とが連通している。
【0039】
搬送動作によってトナーTとともにトナー容器32内の空気が鉛直搬送路64へ向けて搬送される。一方、搬送ノズル上部の搬送スクリューの羽根164aと搬送ノズル61の内壁との間の隙間を介して、トナーTとともに鉛直搬送路64へ搬送された空気が、トナー容器へ向けて逆流する。これにより、トナー補給装置内の内圧を均一に維持できる。
【0040】
しかし、羽根164aの頂部によって搬送ノズル61の内壁に押し付けられたトナーが搬送ノズル61の内壁に付着し、経時使用で搬送経路上部の搬送スクリューの羽根164aと搬送ノズル61の内壁との隙間dが埋まる場合があった。この内壁に付着したトナーTxにより、トナー容器32へ向けて逆流する空気が堰き止められてしまう。このような状態で搬送を続けると、トナー補給装置60のトナー搬送方向下流側で内圧が上昇し、トナーTの搬送が妨げられ、トナーの搬送不良や圧縮による凝集が発生するおそれがある。
【0041】
特許文献1には、上述したように、トナー搬送方向下流側の領域の羽根164aの回転方向で同一の位置に切り欠きを設けたものが記載されている。切り欠きを設けることで、この切り欠きを介してトナー搬送方向下流側の空気を上流側へ移動させることができる。しかし、特許文献1では、トナー搬送方向上流側の領域の羽根164aには、切り欠きが設けられていない。そのため、トナー搬送方向下流側の空気がトナー容器32まで逆流せず、トナー搬送方向下流側の内圧上昇を抑制できない。
【0042】
図5は、本実施形態のノズル搬送スクリュー164を備える搬送ノズル61の模式図である。
本実施形態では、ノズル搬送スクリュー164の羽根164aの回転方向の同位置すべてに貫通孔164cが設けられている。これにより、
図5に示すように貫通孔164cが、搬送ノズル61上部の空気層Aに位置すると、貫通孔164cを介して、トナー搬送方向下流側端部から上流側端部まで連通する。これにより、図中矢印に示すように、搬送ノズル内でトナー搬送方向上流側端部から下流側端部まで移動する空気の流れを生じさせることができる。よって、搬送ノズル上部内壁に付着したトナーTxによって搬送スクリューの羽根164aと搬送ノズル61の内壁との隙間dが埋まっても、トナーTともに搬送ノズル61のトナー搬送方向下流へ搬送されたトナー容器32内の空気を、上記貫通孔164cを介して逆流させトナー容器32へ戻すことができる。
【0043】
このように、本実施形態では、ノズル搬送スクリュー164の羽根164aの回転方向の同位置すべてに貫通孔164cを設けることで、トナー補給装置の搬送経路のトナー搬送方向下流側での内圧上昇を抑制できる。よって、トナーTを良好に搬送でき、トナーの搬送不良や圧縮による凝集の発生を抑制することができる。
【0044】
図6は、変形例のノズル搬送スクリュー164を備える搬送ノズル61の模式図である。
この変形例のノズル搬送スクリュー164は、羽根164aの回転方向の同位置すべてに切り欠き164dを設けたものである。この変形例でも、切り欠き164dが、搬送ノズル61上部の空気層Aに位置すると、切り欠き164dを介して、トナー容器32と鉛直搬送路64とが連通する。これにより、搬送ノズル内の図中矢印に示すように、搬送ノズルのトナー搬送方向上流側端部から下流側端部まで空気を移動させることができる。よって、搬送ノズル上部内壁に付着したトナーTxによって、搬送スクリューの羽根164aと搬送ノズル61の内壁との隙間dが埋まっても、トナーTともに搬送ノズル61のトナー搬送方向下流へ搬送されたトナー容器32内の空気を、上記切り欠き164dを介してトナー容器32へ戻すことができる。これにより、トナーTの搬送が妨げられるのを抑制でき、トナーの搬送不良や圧縮による凝集の発生を抑制することができる。
【0045】
図7は、貫通孔164cまたは切り欠き164dの配置位置について説明する図である。
図7(a)が、羽根164aに貫通孔164cを設けた例を示しており、
図7(b)は、羽根164aに切り欠き164dを設けた例を示している。
図7に示すように、羽根164aの径方向中央よりも外側に貫通孔164cや切り欠き164dを設ける。
本実施形態では、装置の小型化のため、搬送ノズル61の径を小さくしており、ノズル搬送スクリュー164の軸164bよりも上方にトナー層の界面がある。そのため、搬送ノズル内の空気層Aは、羽根164aの径方向中央よりも外側にあり、羽根164aの径方向中央よりも外側でしか貫通孔164cまたは切り欠き164dを介した空気の移動ができない。よって、
図7に示すように、羽根164aの径方向中央よりも外側に貫通孔164cや切り欠き164dを設けることで、良好に貫通孔164cまたは切り欠き164dを介して空気を移動させることができる。
【0046】
また、上述した特許文献1の切り欠きは、羽根の根元まで形成されており、羽根を分断している。このように、羽根が切り欠きにより分断されることで、切り欠きの箇所ではトナーが羽根により搬送されなくなり、単位時間当たりのトナー搬送量が低下してしまう。これにより、所定期間までに所定のトナー量を搬送できず、画像面積率の高い画像の連続印刷時に現像装置内のトナーが足りなくなり、画像濃度低下を招くおそれがある。ノズル搬送スクリューの回転速度を速めることで、切り欠きによる単位時間当たりのトナー搬送量の低下を補うことも考えられる。しかしながら、羽根とトナーとの摺擦による摩擦熱が増加しトナーが凝集するおそれがある。
【0047】
これに対し、本実施形態では、羽根164aの径方向中央よりも外側に貫通孔164cや切り欠き164dを設け、羽根164aの径方向中央よりも内側は、羽根164aが存在している。これにより、貫通孔や切り欠きの箇所でも、羽根によりトナーを搬送でき、単位時間当たりのトナー搬送量の低下を抑制できる。これにより、ズル搬送スクリューの回転速度を速めずに、所定期間までに所定のトナー量を現像装置へ搬送できる。
【0048】
図8は、貫通孔164cまたは切り欠き164dの羽根164aの回転方向の同位置について説明する図である。
図8(a)、(b)に示すように、本実施形態では、軸方向から見たとき、貫通孔164cまたは切り欠き164dの一部が重なっていれば、貫通孔164cまたは切り欠き164dの羽根164aの回転方向の同位置にあると定義する。
【0049】
また、本実施形態では、羽根164aに設けた貫通孔164cまたは切り欠き164dが、
図5、
図6に示すように、軸164bよりも鉛直方向上部に位置するようにノズル搬送スクリュー164の停止制御を行っている。具体的には、ノズル搬送スクリュー164の回転位置を検出する回転位置検出手段を設け、この回転位置検出手段の検出結果に基づいて、ノズル搬送スクリュー164を回転駆動するモータを停止する。回転位置検出手段としては、公知のものを用いることができ、例えば、ノズル搬送スクリューとともに回転するフィラーと、フィラーを検知する光学センサで構成することができる。
【0050】
ノズル搬送スクリュー164の回転時においては、貫通孔164cまたは切り欠き164dが空気層Aに位置するのは短い期間である。そのため、貫通孔164cまたは切り欠きを通ってトナー搬送方向下流側の空気が上流側へ十分に移動できないおそれがある。よって、装置の構成によっては、貫通孔164cまた切り欠きを通ってトナー搬送方向上流側へ流れる空気量がトナーともに搬送される空気量を下回り、トナー搬送方向下流側の内圧上昇を十分に抑制できないおそれがある。
【0051】
一方、羽根164aに設けた貫通孔164cまたは切り欠き164dが、軸164bよりも鉛直方向上部に位置するようにノズル搬送スクリュー164の停止制御を行うことで、停止時に貫通孔164cまたは切り欠き164dを搬送ノズル61内の空気層Aに位置させることができる。これにより、停止時に、トナーTともに搬送ノズル61のトナー搬送方向下流へ搬送されたトナー容器32内の空気を、上記切り欠き164dを介してトナー容器32へ戻すことができる。よって、良好にトナー搬送方向下流側での内圧上昇を抑制できる。
【0052】
上述では、ノズル搬送スクリュー164の羽根164aの回転方向の同位置すべてに貫通孔164cまたは切り欠き164dを設けている。しかし、ノズル開口62と対向する箇所、鉛直搬送路64に対向する箇所の羽根には、貫通孔164cまたは切り欠き164dは、設けなくてもよい。すなわち、搬送ノズル61のノズル開口62のトナー搬送方向下流側端部から鉛直搬送路64への連通口の上流側端部までの
図3に示す領域L内の羽根164a回転方向の同位置に貫通孔164cまたは切り欠き164dを設ける構成でもよい。かかる構成でも、搬送ノズル内の空気層に貫通孔164cまたは切り欠き164dが位置したときに、貫通孔164cまたは切り欠き164dを介してトナー容器32と鉛直搬送路64とを連通することができる。
【0053】
例えば、搬送ノズル61が一直線状でない場合、搬送ノズル61の曲がり部分では空気の流れが悪くなる。このように、搬送ノズル61に空気の流れが悪い部分がある場合は、
図9に示すように、搬送ノズル61の空気の流れが悪い箇所の羽根部分には、回転方向で異なる位置に複数の貫通孔164cを設けるのが好ましい。これにより、貫通孔164cが一つの場合に比べて、貫通孔164cを介した空気の移動量を多くできる。よって、搬送路の形状による空気の流れの悪さを、複数の貫通孔または切り欠きによりフォローすることができ、良好にトナー搬送方向下流側での内圧上昇を抑制できる。なお、
図9では、貫通孔164cを例にして説明しているが、切り欠きであってもよい。
【0054】
また、搬送路の空気の流れが悪い箇所の羽根に設けられた切り欠きの回転方向の範囲を他の切り欠きの回転方向の範囲よりも大きくして、切り欠き164dを介した空気の移動量を多くしてもよい。また、搬送路の空気の流れが悪い箇所の羽根に設けられた貫通孔を他の貫通孔よりも回転方向に長い長孔として貫通孔を介した空気の移動量を多くしてもよい。
【0055】
また、
図10に示すように、ノズル搬送スクリュー164の羽根164aの回転方向の同位置に設けた複数の貫通孔164cからなる列を、回転方向に複数設けてもよい。このように、回転方向の同位置に設けた複数の貫通孔164cからなる列を、複数設けることで、貫通孔を介した空気の移動の機会を増やすことができ、トナー搬送方向下流側での内圧上昇の抑制効果を高めることができる。
【0056】
また、
図10に示す構成とすることで、ノズル搬送スクリュー164の羽根164aの回転方向の同位置に設けた複数の貫通孔164cからなる列が、軸164bよりも鉛直方向上部に位置するようにノズル搬送スクリュー164を停止させる停止制御の時間を短縮することができる。これは、上記貫通孔164cの列が一列の場合は、停止制御開始時におけるこの列の回転方向の位置によっては、3/4回転以上、ノズル搬送スクリューを回転させる必要がある。これに対し、
図10に示すように、上記貫通孔164cの列が180°の間隔を開けて配置されている場合は、1/2回転以下で、複数の貫通孔の列のうちいずれかを、軸164bよりも鉛直方向上部に位置させることができる。よって、停止制御の時間を短縮することができる。
なお、
図10に示す構成は、貫通孔であるが、切り欠きであってもよい。
【0057】
また、装置構成によっては、搬送ノズル上部の搬送スクリューの羽根164aと搬送ノズル61の内壁との隙間dが内壁に付着したトナーTxにより埋まるおそれがある箇所が、トナー搬送方向の一部である場合がある。このような場合は、
図11(a)、(b)に示すように、搬送ノズル上部の搬送スクリューの羽根164aと搬送ノズル61の内壁との隙間dが内壁に付着したトナーTxにより埋まる箇所に対応する羽根164aの部分にのみ、貫通孔164cや切り欠き164dを設けてもよい。
【0058】
これにより、
図11の矢印に示すように、搬送ノズル上部の搬送スクリューの羽根164aと搬送ノズル61の内壁との隙間dが内壁に付着したトナーTxにより埋まった箇所では、貫通孔164cまたは切り欠き164dを通って、空気がトナー搬送方向上流側へ移動する。一方、内壁に付着したトナーTxで搬送ノズル上部の搬送スクリューの羽根164aと搬送ノズル61の内壁との隙間dが埋まるおそれがほぼない箇所では、搬送ノズル上部の搬送スクリューの羽根164aと搬送ノズル61の内壁との隙間から空気がトナー搬送方向上流側へと移動する。これにより、トナー補給装置の搬送経路下流側の内圧上昇を抑制できる。
【0059】
なお、
図11に示す構成においても、貫通孔164cまたは切り欠き164dは、羽根の径方向中央よりも外側に設けている。よって、貫通孔164cや切り欠き164dが設けられた箇所でも羽根164aによりトナーが搬送され、単位時間当たりのトナー搬送量の低下を抑制することができる。
【0060】
図12は、搬送ノズル上部の搬送スクリューの羽根164aと搬送ノズル61の内壁との隙間が内壁に付着したトナーTxにより埋まるおそれがある箇所が2箇所ある例を示す図である。この場合は、埋まるおそれがある箇所それぞれに対応する羽根の箇所に、貫通孔または切り欠きを設ける。また、上記埋まるおそれがある箇所の搬送方向の位置によっては、
図12に示すように、各貫通孔または切り欠きの回転方向の位置が同一でない場合もある。
【0061】
なお、上述では、搬送ノズル61内に設けたノズル搬送スクリュー164に本発明を適用した例について説明したが、中継搬送スクリュー165に本発明を適用してもよい。また、クリーニング装置により除去した廃トナーを廃トナータンクへ搬送する搬送スクリューや、現像装置内の現像剤を搬送する搬送スクリュー等にも本発明を適用することができる。
【0062】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
軸164bなどの軸部と、軸部に螺旋状に巻き付いた羽根164aなどの羽根部とを備え、トナーなどの粉体を羽根部の一端部に向けて搬送するノズル搬送スクリュー164などの搬送スクリューにおいて、羽根部の回転方向の同位置すべてに貫通孔164cまたは切り欠き164dが設けられている。
一般的に搬送スクリューの羽根部の頂部と搬送経路の内壁との間には所定の隙間があり、搬送経路の上部まではトナーTなどの粉体が満たされていない。そのため、通常時は、搬送経路上部の搬送スクリューの羽根部の頂部と搬送経路の内壁との間の隙間から、搬送スクリューによって粉体とともに搬送された空気が粉体搬送上流側に抜けている。しかしながら、経時の使用で粉体が内壁に付着していき、搬送スクリューの羽根部の頂部と搬送経路の上部内壁との間の隙間が粉体により埋まる場合がある。その結果、搬送スクリューによって粉体とともに搬送された空気の行き場が無くなり、搬送経路の粉体搬送方向下流側の内圧が増大し、粉体搬送方向下流側で粉体の凝集や搬送性の低下が発生するおそれがあった。
特許文献1には、搬送スクリューの粉体の搬送方向下流側の領域の羽根部の回転方向の同位置に切り欠きが設けられているものが記載されている。切り欠きを設けることで、粉体の搬送方向下流側の領域で、搬送スクリューの羽根部の頂部と搬送経路の上部内壁との間の隙間が内壁に付着した粉体により埋まっても、切り欠きが搬送経路内の粉体層よりも上方の空気層に位置したときに、切り欠きを介して粉体搬送方向の下流側から上流側へ空気が移動し、搬送経路の空気を抜くことができ、搬送経路の粉体搬送方向下流側の内圧の増大を抑制できる。しかし、特許文献1では、羽根部の粉体搬送方向上流側の領域には切り欠きが設けられていない。そのため、羽根部の粉体搬送方向上流側の領域で、内壁に付着した粉体により搬送経路上部の搬送スクリューの羽根部の頂部と搬送経路の内壁との隙間が埋められてしまうと、搬送経路内の空気が供給開口部から抜けなくなる。その結果、搬送経路の粉体搬送方向下流側の内圧増大が抑制できないおそれがある。
これに対し、態様1では、羽根部の回転方向の同位置すべてに貫通孔または切り欠きが設けられている。これにより、貫通孔または切り欠きが設けられた羽根部の回転方向の箇所が、搬送経路内の粉体層よりも上部の空気層に位置すると、これらの貫通孔または切り欠きを介して、粉体搬送方向の下流側端部から上流側端部の粉体が供給される供給開口部まで連通する。これにより、粉体搬送方向下流側の空気を、これら貫通孔または切り欠きを介して供給開口部へ移動させることができ、搬送経路内の空気を抜くことができる。よって、内壁に付着した粉体による搬送経路上部の搬送スクリューの羽根部の頂部と搬送経路の内壁との隙間の埋まりが、粉体搬送方向のどの位置で発生しても、搬送スクリューによって粉体とともに搬送された粉体経路内の空気を抜くことができる。その結果、経時にわたり搬送経路の粉体方向下流側の内圧の上昇を良好に抑制することができる経時にわたり粉体搬送方向下流側で粉体の凝集や搬送性の低下を抑制することができる。
【0063】
(態様2)
軸164bなどの軸部と、軸部に螺旋状に巻き付いた羽根164aなどの羽根部とを備え、トナーなどの粉体を搬送するノズル搬送スクリュー164などの搬送スクリューにおいて、羽根部の径方向の中央よりも外側に貫通孔または切り欠きが設けられている。
特許文献1では、切り欠きは羽根全部を切り欠いて羽根を分断している。このように、羽根が切り欠きにより分断されることで、切り欠きの箇所ではトナーなどの粉体が羽根部により搬送されなくなり、単位時間当たりのトナー搬送量が低下してしまう。その結果、所定期間までに所定量の粉体を搬送できないおそれがある。
これに対し、態様2では、羽根部の径方向中央よりも外側に貫通孔や切り欠きを設け、上記中央より内側には、羽根部がある。これにより、貫通孔や切り欠きの箇所でも、径方向中央よりも内側の羽根部によりトナーを搬送することができ、単位時間当たりのトナー搬送量の低下を抑制できる。
また、少なくとも、搬送経路内の空気層Aは、搬送経路の上部に形成される。そのため、羽根部の径方向中央よりも外側に貫通孔や切り欠きを設けることで、搬送経路の上部の空気層Aに貫通孔や切り欠きを位置させることができ、貫通孔や切り欠きを介して空気の移動を行うことができる。これにより、搬送スクリューによって粉体とともに搬送された空気を、貫通孔や切り欠きを介して搬送経路の粉体搬送方向上流側へ戻すことができ、粉体搬送方向下流側での内圧上昇を抑制することができる。よって、粉体の凝集や搬送性の低下を抑制することができる。
【0064】
(態様3)
態様2において、羽根164aなどの羽根部に複数の貫通孔164cまたは切り欠き164dが設けられている。
これによれば、貫通孔164cまたは切り欠き164dを介して搬送経路内の粉体搬送方向下流側から上流側への空気の移動を良好に行うことができる。
【0065】
(態様4)
態様3において、複数の貫通孔164cまたは切り欠き164dは、羽根164aなどの羽根部の回転方向の同位置に設けられている。
これによれば、実施形態で説明したように、同時に複数の貫通孔164cまたは切り欠き164dが、搬送経路の上部の空気層Aに位置でき、下流側の空気が、複数の貫通孔164cまたは切り欠き164dを介して上流へ移動することができる。これにより、搬送経路下流側の内圧上昇を良好に抑制することができる。
【0066】
(態様5)
態様1において、貫通孔164cまたは切り欠き164dは、羽根164aなどの羽根部の径方向の中央よりも外側に設けた。
これによれば、実施形態で説明したように、搬送経路の上部の空気層Aに貫通孔や切り欠きを位置させることができ、貫通孔や切り欠きを介して空気の移動を行うことができる。これにより、搬送スクリューによって粉体とともに搬送された空気を、貫通孔や切り欠きを介して搬送経路の粉体搬送方向上流側へ戻すことができ、粉体搬送方向下流側での内圧上昇を抑制することができる。よって、粉体の凝集や搬送性の低下を抑制することができる。
また、羽根部が分断されないため、貫通孔や切り欠きの箇所でも、羽根によりトナーを搬送することができ、単位時間当たりのトナー搬送量の低下を抑制できる。
【0067】
(態様6)
態様1乃至5いずれかにおいて、貫通孔164cまたは切り欠き164dが設けられた位置とは回転方向で異なる位置に第二の貫通孔または切り欠きを設けた。
これによれば、
図9を用いて説明したように、第二の貫通孔または切り欠きを設けた箇所では、貫通孔または切り欠きを介した空気の移動の機会が増える。よって、その箇所の貫通孔または切り欠きを介した粉体搬送下流側から上流側への空気の移動を良好に行うことができる。
【0068】
(態様7)
態様6において、第二の貫通孔または切り欠きが、複数設けられており、複数の第二の貫通孔または切り欠きが、羽根部の回転方向の同位置に設けられている。
これによれば、
図10を用いて説明したように、複数の貫通孔164cまたは切り欠き164dを介した空気の移動の機会を増やすことができ、トナー搬送方向下流側での内圧上昇の抑制効果を高めることができる。
【0069】
(態様8)
内部にノズル搬送スクリュー164などの搬送スクリューを備え、搬送スクリューを回転させてトナーなどの粉体を搬送する搬送ノズルなどの搬送路を備えたトナー補給装置60などの粉体搬送装置において、搬送スクリューとして、態様1乃至7いずれかの搬送スクリューを用いた。
これによれば、トナー補給装置60などの粉体搬送装置の粉体搬送方向下流側の内圧上昇を抑制することができ、粉体の凝集や搬送性の低下を抑制することができる。
【0070】
(態様9)
態様8において、貫通孔164cまたは切り欠き164dが、軸164bなどの軸部よりも鉛直方向上部に位置するようにノズル搬送スクリュー164などの搬送スクリューの回転を停止する。
これによれば、実施形態で説明したように、ノズル搬送スクリュー164などの搬送スクリューの回転停止時に、貫通孔164cまたは切り欠きを介して粉体搬送方向下流側の空気を上流側へ移動させることができる。これにより、良好に粉体搬送方向下流側の内圧上昇を抑制することができる。
【0071】
(態様10)
トナー像を作像する作像手段と、トナーを搬送するトナー補給装置60などのトナー搬送装置とを備える画像形成装置において、トナー搬送装置として、態様7または8に記載の粉体搬送装置を用いた。
これによれば、トナーを良好に搬送することができる。
【符号の説明】
【0072】
32 :トナー容器
33 :容器本体
34 :容器先端側カバー
46 :作像部
50 :現像装置
60 :トナー補給装置
61 :搬送ノズル
62 :ノズル開口
64 :鉛直搬送路
65 :中継搬送路
66 :排出口
70 :トナー容器収容部
164 :ノズル搬送スクリュー
164a :羽根
164b :軸
164c :貫通孔
164d :切り欠き
165 :中継搬送スクリュー
500 :複写機
A :空気層
P :記録媒体
T :トナー
Tx :内壁に付着したトナー
d :ノズル搬送スクリューの羽根の頂部と搬送ノズルの内壁との隙間
【先行技術文献】
【特許文献】
【0073】