IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 古河電気工業株式会社の特許一覧 ▶ 古河AS株式会社の特許一覧 ▶ ダイハツ工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電気接続箱 図1
  • 特開-電気接続箱 図2
  • 特開-電気接続箱 図3
  • 特開-電気接続箱 図4
  • 特開-電気接続箱 図5
  • 特開-電気接続箱 図6
  • 特開-電気接続箱 図7
  • 特開-電気接続箱 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160905
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
H02G3/16
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023142111
(22)【出願日】2023-09-01
(62)【分割の表示】P 2020141735の分割
【原出願日】2020-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】田場 淳
(72)【発明者】
【氏名】川上 友也
(72)【発明者】
【氏名】石井 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】フルエルダ ジョマー
(72)【発明者】
【氏名】大橋 洋
(57)【要約】
【課題】この発明は、ハーネス取付部に取り付けたワイヤーハーネスの安定性を向上させることができるとともに、固定部を介して車両本体に安定して固定できる電気接続箱を提供すること
【解決手段】電気接続箱1は、電子部品を収容する収容空間が構成されたロアケース20と、ロアケース20に着脱するアッパーケース10とで構成され、ロアケース20は、底面部21と、底面部21に対して立設する第1側面221と、底面部21に対して立設するとともに、第1側面221と交差する第2側面222とが備えられ、ロアケース20の外側に、第1側面221及び第2側面222に沿い、第1側面221及び第2側面222とで形成する角部を跨いだ補強支持部30が設けられ、ロアケース20を車両に固定する固定部60及びワイヤーハーネス100を取付ける第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50が補強支持部30と一体に構成されている
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を収容する収容空間が構成されたロアケースと、前記ロアケースに着脱するアッパーケースとで構成された電気接続箱であって、
前記ロアケースは、底面と、前記底面に対して立設する第1側面と、前記底面に対して立設するとともに、第1側面と交差する第2側面とが備えられ、
前記ロアケースの外側に、第1側面及び第2側面とに沿って角部を跨いで補強する補強支持部が設けられ、
前記ロアケースを車両に固定する固定部及びワイヤーハーネスを取付けるハーネス取付部が前記補強支持部と一体に構成された
電気接続箱。
【請求項2】
前記ハーネス取付部と前記固定部とが、前記アッパーケースと前記ロアケースとを装着する装着方向と交差する交差方向に所定の間隔を隔てて設けられ、
前記補強支持部に、前記ハーネス取付部と前記固定部とを連結する連結部が設けられた
請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記ハーネス取付部が複数設けられ、
前記ハーネス取付部のうちの一つが、前記固定部に対して前記ロアケースの内外方向に配置され、前記補強支持部と一体に構成されるとともに、前記固定部と連結された
請求項2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記ハーネス取付部と前記固定部とが前記ロアケースの内外方向に配置され、
前記ハーネス取付部と前記固定部とが連結された
請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記ハーネス取付部は、前記固定部の内外方向の内側に配置され、
前記ハーネス取付部に前記ワイヤーハーネスを取り付ける取付方向と交差する方向に、取り外し操作を行う操作窓を設けた
請求項3又は請求項4に記載の電気接続箱。
【請求項6】
前記補強支持部における前記アッパーケース側の端部が、前記アッパーケースよりも突出した
請求項1乃至請求項5のうちのいずれかに記載の電気接続箱。
【請求項7】
前記補強支持部における前記アッパーケース側の端部の一部が、前記ロアケース側に向けて傾斜した
請求項6に記載の電気接続箱。
【請求項8】
前記補強支持部は、
前記第1側面に対応する箇所に前記固定部が設けられ、
前記第2側面に対応する箇所に、ワイヤーハーネスの先端に接続されたコネクタを支持するコネクタ支持部を保持する保持部が設けられた
請求項1乃至請求項7のうちのいずれかに記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、ワイヤーハーネスを取り付けるハーネス取付部を有する電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、インストルメントパネルの運転席側やエンジンルームの奥まった位置には、ワイヤーハーネスを介して車両に搭載された電気機器類とエンジンルームに搭載されたバッテリーなどを電気的に接続する電気接続箱が配設されている。
【0003】
この電気接続箱に接続されているワイヤーハーネスは、他の部材と干渉したりして、ワイヤーハーネスが電気接続箱から離脱することがあるため、対策としてワイヤーハーネスを電気接続箱に取り付けることがある。
【0004】
例えば、特許文献1に開示している電気接続箱は、アッパーケースとロアケースとで構成され、アッパーケースの外周側面に設けられたハーネス取付部にワイヤーハーネスを取り付けることができるとともに、ロアケースの壁面に設けられた固定部を介して電気接続箱を車両本体に固定できる。
【0005】
近年、運転の快適性や安全性を向上させるために、様々な電子機器類が車両に搭載され、電気接続箱に接続されるワイヤーハーネスの数も増加している。このように増加するワイヤーハーネスの配索方向などに合わせてアッパーケースやロアケースの壁面に複数のハーネス取付部が設けられることがある。
【0006】
しかしながら、例えば、複数のワイヤーハーネスを束ねた状態でハーネス取付部に取り付けられた場合、ワイヤーハーネスの自重や車の振動などにより、ワイヤーハーネスを取り付けたハーネス取付部やハーネス取付部を設けた壁面に外力が作用し、ハーネス取付部に取り付けたワイヤーハーネスの取付状態や、固定部を介して車体に固定した電気接続箱の固定状態が不安定になるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012-125117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、上述の問題に鑑み、ハーネス取付部に取り付けたワイヤーハーネスの安定性を向上させることができるとともに、固定部を介して車両本体に安定して固定できる電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、電子部品を収容する収容空間が構成されたロアケースと、前記ロアケースに着脱するアッパーケースとで構成された電気接続箱であって、前記ロアケースは、底面と、前記底面に対して立設する第1側面と、前記底面に対して立設するとともに、前記第1側面と交差する第2側面とが備えられ、前記ロアケースの外側に、前記第1側面及び前記第2側面に沿い、前記第1側面及び前記第2側面とで形成する角部を跨いだ補強支持部が設けられ、前記ロアケースを車両に固定する固定部及びワイヤーハーネスを取付けるハーネス取付部が前記補強支持部と一体に構成されたことを特徴とする。
【0010】
前記ハーネス取付部及び前記固定部は、一又は複数設けていてもよい。なお、前記ハーネス取付部及び前記固定部は、同一側面のみならず異なる側面に設けられていてもよい。
上述の交差するとは、直交及び鈍角、鋭角に構成されている場合を含む。
【0011】
この発明により、ハーネス取付部に取り付けたワイヤーハーネスの安定性を向上させることができるとともに、固定部を介して車両本体に安定して固定できる。
詳述すると、ハーネス取付部及び固定部が、第1側面及び第2側面に沿うとともに、第1側面と第2側面とで形成する角部を跨いで設けられた補強支持部と一体に構成される。これにより、補強支持部で第1側面及び第2側面を補強しつつ、ハーネス取付部及び固定部が設けられた側面と異なる側面における補強支持部でハーネス取付部及び固定部支持することができる。このため、ハーネス取付部や固定部の支持剛性を向上させることができ、ハーネス取付部に取り付けたワイヤーハーネスの安定性を向上させることができるとともに、固定部を介して車両本体に安定して固定できる。
【0012】
より具体的には、第1側面側にハーネス取付部及び固定部を設けた場合、補強支持部における第1側面側で第1側面を補強しつつハーネス取付部を支持することができる。また、第1側面と交差する第2側面側の補強支持部で補強支持部における第1側面側及び第1側面を補強支持することができる。このため、第1側面に設けられたハーネス取付部及び固定部の支持剛性を向上させることができ、ハーネス取付部に取り付けたワイヤーハーネスの安定性を向上させることができるとともに、固定部を介して車両本体に安定して固定できる。
【0013】
また、補強支持部によりハーネス取付部及び固定部の支持剛性を向上させることで、ハーネス取付部及び固定部を補強することができるため、例えばハーネス取付部や固定部を従来よりも外側に突出させることができるなど、複数のワイヤーハーネスに対応するように、電気接続箱の設計の幅を広げることができる。
【0014】
さらにまた、ロアケースにハーネス取付部や固定部を集中させることができるため、アッパーケースを共通化させることができ、アッパーケースの汎用性を向上させることができる。これにより、電気接続箱の生産効率を向上させることができる。
【0015】
この発明の態様として、前記ハーネス取付部と前記固定部とが、前記アッパーケースと前記ロアケースとを装着する装着方向と交差する交差方向に所定の間隔を隔てて設けられ、前記補強支持部に、前記ハーネス取付部と前記固定部とを連結する連結部が設けられてもよい。
【0016】
この発明により、交差方向に所定の間隔を隔てて設けられたハーネス取付部及び固定部を連結部で支持することができるため、ハーネス取付部と固定部とが交差方向に並んで配置された場合であっても、ハーネス取付部及び固定部をより強固に補強しながら支持することができる。したがって、ハーネス取付部に取り付けたワイヤーハーネスの取付状態や、車両本体に固定部を介して固定された電気接続箱の安定性をより向上させることができる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記ハーネス取付部が複数設けられ、前記ハーネス取付部のうちの一つが、前記固定部に対して前記ロアケースの内外方向に配置され、前記補強支持部と一体に構成されるとともに、前記固定部と連結されてもよい。
またこの発明の態様として、前記ハーネス取付部と前記固定部とが前記ロアケースの内外方向に配置され、前記ハーネス取付部と前記固定部とが連結されてもよい。
【0018】
これらの発明により、ロアケースの内外方向に配置されたハーネス取付部及び固定部の双方を補強支持部で支持することができ、ハーネス取付部及び固定部の支持剛性を向上させることができる。したがって、ハーネス取付部に取り付けたワイヤーハーネスの取付状態や、車両本体に固定部を介して固定した電気接続箱の固定状態の安定性をより向上させることができる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記ハーネス取付部は、前記固定部の内外方向の内側に配置され、前記ハーネス取付部に前記ワイヤーハーネスを取り付ける取付方向と交差する方向に、取り外し操作を行う操作窓を設けてもよい。
【0020】
この発明により、ハーネス取付部に取り付けられたワイヤーハーネスを容易に取り外すことができる。
詳述すると、ハーネス取付部の外側に固定部が設けられた構成であるため、固定部とハーネス取付部とを連結する他の部材や、固定部とハーネス取付部との間に設けられた他の部材、固定部などによりハーネス取付部に取り付けられたワイヤーハーネスの取り外し作業が阻害されることがある。
【0021】
しかしながら、ハーネス取付部にワイヤーハーネスを取り付ける取付方向と交差する方向に、取り外し操作を行う操作窓を設けることにより、操作窓を介してワイヤーハーネスをハーネス取付部から取り外す取り外し作業を行うことができる。これにより、ワイヤーハーネスをハーネス取付部から容易に取り外すことができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記補強支持部における前記アッパーケース側の端部が、前記アッパーケースよりも突出してもよい。
この発明によると、補強支持部がアッパーケースよりも上方に突出しているため、アッパーケースをロアケースに組み付ける際に、アッパーケースをロアケースに案内する案内部として補強支持部を機能させることができる。したがって、ロアケースにアッパーケースを組み付ける組み付け作業の作業効率を向上させることができる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記補強支持部における前記アッパーケース側の端部の一部が、前記ロアケース側に向けて傾斜してもよい。
この発明により、ロアケース側に補強支持部のアッパーケース側の端部の一部がロアケース側に配置されるため、アッパーケースに接続されたワイヤーハーネスが補強支持部に角当たりすることを防止でき、ワイヤーハーネスが損傷することを防止できる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記補強支持部は、前記第1側面に対応する箇所に前記固定部が設けられ、前記第2側面に対応する箇所に、ワイヤーハーネスに接続されたコネクタを支持するコネクタ支持部を保持する保持部が設けられてもよい。
【0025】
この発明により、第2側面側に設けられたコネクタ支持部にコネクタを支持させた場合、補強支持部における第2側面側で第2側面を補強しつつコネクタ支持部を支持することができる。また、第2側面と交差する第1側面側の補強支持部でコネクタ支持部が設けられた第2側面側及び第2側面を支持することができる。これにより、ハーネス取付部のみならずコネクタ支持部の支持剛性をより向上させることができ、より多くのワイヤーハーネスを電気接続箱に確実に固定することができる。
【発明の効果】
【0026】
この発明により、ワイヤーハーネスの増加に伴うハーネス取付部や固定部の損傷を抑制できる電気接続箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】ワイヤーハーネスを取り付けた電気接続箱の概略斜視図。
図2】電気接続箱の概略斜視図。
図3】電気接続箱の平面図。
図4】第1補強支持部の断面図。
図5】電気接続箱の正面図。
図6】第2補強支持部の断面図。
図7】電気接続箱の部分側面図。
図8】補強支持部及び固定部の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
この発明の一実施態を、以下図面とともに説明する。
図1は複数のワイヤーハーネス100が接続された電気接続箱1の概略斜視図を示し、図2は電気接続箱1の概略斜視図を示す。図3は電気接続箱1の平面図を示し、図4は長手補強支持部31の断面図を示す。図5は電気接続箱1の正面図を示し、図6は短手補強支持部32の断面図を示す。図7は電気接続箱1の-L方向側の一部分を表示した部分側面図を示し、図8は補強支持部30及び固定部60の断面図を示す。
【0029】
詳述すると、図4図3におけるA-A矢視断面図を示し、図6図3におけるB-B矢視断面図を示し、図8図5におけるC-C矢視断面図を示す。なお、図8図7に対応するように電気接続箱1の-L方向側の一部分を表示した断面図である。
【0030】
ここで便宜上、図1中の上下方向を上下方向Hとし、上下方向Hと直交する電気接続箱1の長手方向を長手方向L、長手方向L及び上下方向Hに直交する方向を短手方向Wとする。また、図1中において、長手方向Lに沿って左方を-L方向、右方を+L方向とし、短手方向Wに沿って右方を+W方向、左方を-W方向とする。さらに、図1中の上方を+H方向、下方を-H方向とする。
【0031】
例えば、車両に搭載された様々な電気機器類(図示省略)に接続されているワイヤーハーネス100は、図1に示すように、それぞれのワイヤーハーネス100の一端側に連結されたコネクタ110を介して、電気機器類との結合や分岐などを行う端子や電子部品などが内蔵された電気接続箱1と電気的に接続されている。これらの複数のワイヤーハーネス100はクランプ200を用いて束ねられるとともに、クランプ200のアンカー部210を介して電気接続箱1に固定されている。
【0032】
ワイヤーハーネス100と電気的に接続される電気接続箱1は、図1及び図2に示すように、内部には図示しない端子や電子部品などを収容する収容空間が設けられた筐体である。この電気接続箱1は、上面側を構成するアッパーケース10と、底面側を構成するロアケース20とで構成されている。なお、アッパーケース10とロアケース20とを上下方向Hに組み付け可能に構成されている。
【0033】
アッパーケース10は、下方(-H側)が開口した中空状の逆凹状体であり、外周面にロアケース20と係止可能な係止部11が設けられている。また、上面にはワイヤーハーネス100の一端に接続されたコネクタ110を接続する複数の上方コネクタ接続口12が設けられている。
【0034】
ロアケース20は、上下方向Hに沿った高さがアッパーケース10に比べて高くなるように構成された中空状の凹状体であり、上方が開口している。このロアケース20は、底面を構成する底面部21と、底面部21の外縁部から上方(+H側)に立設する外周面22とで構成され、内部に電子部品を収容する収容空間が構成されている。
【0035】
底面部21には、コネクタ110を接続することができるコネクタ接続口(図示省略)が複数設けられているとともに、ワイヤーハーネス100の配索経路が形成されている(図示省略)。
【0036】
外周面22は、ロアケース20の内部と外部とを区分けする境界であり、底面部21の外周縁から底面部21を囲繞するように立設されている。なお、外周面22は、アッパーケース10とロアケース20とを組み付けた状態における係止部11に対応する箇所に、係止部11と係止する被係止部23が設けられている。
【0037】
ここで、この外周面22のうち、長手方向Lに沿って形成される面を第1側面221,221とし、短手方向Wに沿って形成される面を外周面22のうち、短手方向Wに沿って形成される面を第2側面222、222とする。この第1側面221と第2側面222とは互いに直交している。
【0038】
このように構成されたロアケース20における外周面22の一つの角部分、具体的には、-L方向端部かつ+W方向端部に形成されている角部分には、図2乃至図8に示すように、ロアケース20の外側に突出する補強支持部30と、第1ハーネス取付部40と、第2ハーネス取付部50と、固定部60とが一体に設けられている。
【0039】
補強支持部30は、+W方向側の第1側面221と連結する長手補強支持部31と、-L方向側の第2側面222と連結する短手補強支持部32とで構成されている。
長手補強支持部31は、図3及び図4に示すように、第1側面221に沿うとともに、第1側面221の上端やや下方から+W方向に向けて突出している。この長手補強支持部31は、短手方向Wに対する厚みが第1側面221よりも十分に厚くなるように構成され、第1側面221の高さ(上下方向Hの長さ)と略同じ高さを有している。
【0040】
また、この長手補強支持部31は、図4に示すように、+H方向の端部がアッパーケース10をロアケース20に組付けた状態におけるアッパーケース10の上面よりも高くなるように構成されている。なお、長手補強支持部31の底面は、底面部21よりも+H方向側となるように構成され、ワイヤーハーネス100を配索できるように構成されている。
【0041】
このように構成された長手補強支持部31の+L方向側における+W方向側の端部分には、長手補強支持部31から+W方向に突出する連結部33が設けられている。
連結部33は、長手方向Lに所定の長さを有するとともに、高さが長手補強支持部31の3分の2程度であり、上面は長手補強支持部31と面一となるように構成されている。
【0042】
短手補強支持部32は、第2側面222に沿うとともに、第2側面222の上端やや下方から-L方向に向けて突出している。この短手補強支持部32は、長手方向Lに対する厚みが第2側面222よりも十分に厚くなるように構成されている。また、短手補強支持部32の+W方向側端部には+W方向側の第1側面221よりも+W側に突出しており、長手補強支持部31の-L方向側の端部と連結している。
【0043】
このように構成された短手補強支持部32の-L方向側側面には、ワイヤーハーネス100に連結されたコネクタ110(図1参照)を支持するためのコネクタ支持部70を係止させる保持部34が設けられている。
【0044】
また、このように構成された短手補強支持部32の上面(+H方向の面)には、第2側面222と所定の間隔を隔てて+H方向に立設する案内壁35が備えられている。
案内壁35は、図5に示すように、+W方向に向かうに伴い高さが高くなるように構成されており、ロアケース20における角部分(-L方向、+W方向の角)に対応する位置において長手補強支持部31の上面と同じ高さとなる。すなわち、案内壁35の+W方向側の端部は、ロアケース20にアッパーケース10を組み付けた状態におけるアッパーケース10の高さよりも高くなるように構成される。また、案内壁35は、ロアケース20における角部分(-L方向、+W方向の角)において長手補強支持部31と連結している。なお、案内壁35のーW方向側端部は、アッパーケース10とロアケース20との組み付け部分よりも高くなっている。
【0045】
また、短手補強支持部32は、図6に示すように、上面に設けられた案内壁35の+L方向側と-L方向側で上面の高さが異なる。具体的には、案内壁35よりも-L方向側が、+L方向側よりも高くなっている。なお、-L方向側の上面は、アッパーケース10とロアケース20との組み付け部分よりも高くなるように構成されている。
【0046】
このように、第1側面221と一体に連結する長手補強支持部31と、第2側面222と一体に連結する短手補強支持部32とがロアケース20の角部分を跨ぐようにロアケース20に対して連結固定されている。すなわち、補強支持部30は、図3に示すように、平面視においてL字状に構成された、ブロック構造であり、十分な強度を有する。
なお、補強支持部30は適宜肉抜きをした構成や、補強用のリブを設けた構成であってもよい。
【0047】
第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50は、ワイヤーハーネス100に装着されたクランプ200のアンカー部210を着脱自在に装着する箇所である(図1参照)。
第1ハーネス取付部40は、主面が上下方向Hを向いている板状体であり、補強支持部30が設けられたロアケース20の角部分、すなわち、長手補強支持部31と短手補強支持部32との連結部分から+W方向に向けて延出している。
【0048】
より具体的には、第1ハーネス取付部40は、―W方向において短手補強支持部32と連結しているとともに、+L方向において連結部33と連結している。また、第1ハーネス取付部40の上面は長手補強支持部31の上面と同じ高さとなるように構成されている。
このように構成された第1ハーネス取付部40の中央部分には、図3に示すように、アンカー部210を装着可能な長孔41が上下方向Hに沿って貫通している。
【0049】
第2ハーネス取付部50は、図7及び図8に示すように、長手補強支持部31の+L方向の端部と連結した、底面部分が開口した中空上の略四角柱状体であり、上面を構成する係止面51と、第1側面221に沿って立設している内側面52と、―L側に形成される連結側面53と、+W側に形成される外側面54と、+L側に形成される開口側面55で構成されている。
【0050】
係止面51は、主面が上下方向Hを向いている板状体であり、上面がアッパーケース10の上面よりも高くなるように構成されている。この係止面51の中央部分には、図3及び図8に示すように、アンカー部210を装着可能な丸孔511が上下方向Hに沿って貫通している。
【0051】
内側面52は、第1側面221の外面から上下方向Hに沿って立設する壁面であり、内側面52の-L方向の端部は長手補強支持部31と連結され、内側面52の上端(+H方向の端部)は係止面51と連結されている。また、内側面52の+L方向側の側部は-H方向に向かうに伴い+L側に傾斜するように構成されている。なお、内側面52の-H方向の端部にはリブ521が設けられている(図8参照)。
【0052】
連結側面53は、長手補強支持部31の+L方向側の端部から+H方向に立設する壁面であり、-W方向側の端部が内側面52と連結され、上端(+H方向の端部)が、内側面52と同様に、係止面51と連結されている。
【0053】
外側面54は、内側面52と対向している壁面であり、外側面54の―L方向側の端部は長手補強支持部31及び連結側面53と連結され、外側面54の上端(+H方向の端部)は係止面51と連結されている。また、外側面54の+L方向側の側部は、上方部分が-H方向に向かうに伴い+L側に傾斜するように構成されて、下方部分が上下方向Hに沿って構成されている。なお、外側面54の-H方向側の端部は、長手補強支持部31の-H方向側の端部と面一となっている。
【0054】
開口側面55は、長手補強支持部31の-H方向側と対向する壁面であり、上下方向Hに沿って立設している。この開口側面55の-W方向側の端部は第1側面221と連結され、開口側面55の+W方向側の端部が外側面54の下方側(-H方向側)と連結されている。
【0055】
このように構成された係止面51と内側面52と外側面54と開口側面55とで、開口側面55の上方(+H方向側)に長手方向Lに沿って貫通した操作窓56を形成している。すなわち、操作窓56は、クランプ200のアンカー部210が装着される方向及び固定部60が配置された方向と異なる方向に設けられている。なお、操作窓56は、図8に示すように、-H方向側に向かうに伴い+L方向側に傾斜している。
【0056】
固定部60は、ワイヤーハーネス100が第1ハーネス取付部40や第2ハーネス取付部50に取り付けられた電気接続箱1を車両本体(図示省略)に固定するため、ボルトを挿通させる部位であり、中央部分にボルト挿通孔61を有する板状体で構成されている。
【0057】
この固定部60は第2ハーネス取付部50の+W方向側に並んで配置されている。また、固定部60の-L方向側の端部は連結部33と連結しており、固定部60の-W方向側端部は外側面54と連結している。
【0058】
すなわち、固定部60と第2ハーネス取付部50とは、短手方向Wに沿って並んで配置されているとともに、上下方向Hに沿って異なる高さとなるように配置されている。また、固定部60は、第1ハーネス取付部40と長手方向Lに沿って所定の間隔を隔てて設けてあり、連結部33を介して第1ハーネス取付部40と連結されている。
また、このように構成された固定部60は、外側面54及び連結部33とで補強支持されている。なお、固定部60の底面は、連結部33の底面と面一となるように構成されている。
【0059】
このように配置された第1ハーネス取付部40と第2ハーネス取付部50(内側面52)と固定部60とは、それぞれ異なる高さに配置されている。また、第1ハーネス取付部40と固定部60とが長手方向Lに沿って配置されるとともに、第2ハーネス取付部50と固定部60とが短手方向Wに沿って配置されている。すなわち、図3に示すように、第1ハーネス取付部40と第2ハーネス取付部50(内側面52)と固定部60とは、平面視において並んで配置されている。
【0060】
また、第1ハーネス取付部40と第2ハーネス取付部50と固定部60との高さを異なるように構成するとともに、第1ハーネス取付部40と第2ハーネス取付部50と固定部60の3つが直線状に配置されないように構成されている。これにより、ワイヤーハーネス100を第1ハーネス取付部40や第2ハーネス取付部50に取り付けた場合や電気接続箱1を車両本体に固定した場合において、ワイヤーハーネス100の干渉を抑制できる。
【0061】
したがって、補強支持部30で支持剛性を向上させた第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50に取り付けたワイヤーハーネス100の安定性をより向上することや、固定部60を介して固定した電気接続箱1の固定状態の安定性を向上させることができる。
【0062】
このように電気接続箱1は、電子部品を収容する収容空間が構成されたロアケース20と、ロアケース20に着脱するアッパーケース10とで構成されている。このロアケース20は、底面部21と、底面部21に対して立設する第1側面221と、底面部21に対して立設するとともに、第1側面221と交差する第2側面222とが備えられている。また、ロアケース20の外側に、第1側面221及び第2側面222に沿い、第1側面221及び第2側面222とで形成する角部を跨いだ補強支持部30が設けられている。そして、ロアケース20を車両に固定する固定部60及びワイヤーハーネス100を取付ける第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50が補強支持部30と一体に構成されている。
【0063】
これにより、ワイヤーハーネス100を第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50に安定して取り付けることができるとともに、固定部60を介して電気接続箱1を安定して車両本体に固定できる。
【0064】
詳述すると、第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50,固定部60が、第1側面221に沿うとともに、第1側面221と第2側面222とで形成する角部を跨いで設けられた補強支持部30と一体に構成されている。これにより、補強支持部30で第1側面221及び第2側面222を補強しつつ、長手補強支持部31と短手補強支持部32とで第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50,固定部60を補強支持することができる。
【0065】
このため、第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50,固定部60の支持剛性を向上させることができ、第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50に取り付けたワイヤーハーネス100の安定性を向上することができるとともに、固定部60を介して車両本体に電気接続箱1を安定して固定できる。
【0066】
より具体的には、長手補強支持部31は、第1側面221を補強するとともに、第1側面221とで第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50、固定部60を支持することができる。また、第1側面221と交差する短手補強支持部32で長手補強支持部31及び第1側面221を支持することができる。このように、ロアケース20の角部分を跨ぐように連結された長手補強支持部31と短手補強支持部32とで、第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50、固定部60の支持剛性をより向上させることができる。さらに支持剛性を向上させることにより、第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50、固定部60近傍の損傷を抑制できる。
【0067】
また、上述のように、補強支持部30により第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50,固定部60の支持剛性を向上させることで、第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50,固定部60を補強することができる。このため、第1ハーネス取付部40を従来よりも外側に突出させることができるなど、複数のワイヤーハーネス100に対応するように、電気接続箱1の設計の幅を広げることができる。
【0068】
さらにまた、ロアケース20に第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50や固定部60を集中させることができるため、アッパーケース10を共通化させることができ、アッパーケース10の汎用性を向上させることができる。これにより、電気接続箱1の生産効率も向上させることができる。
【0069】
また、第1ハーネス取付部40と固定部60とが、アッパーケース10とロアケース20とを装着する装着方向(上下方向H)と交差する長手方向Lに所定の間隔を隔てて設けられ、補強支持部30に、第1ハーネス取付部40と固定部60とを連結する連結部33が設けられている。
【0070】
これにより、長手方向Lに所定の間隔を隔てて設けられた第1ハーネス取付部40及び固定部60を連結部33でも支持することができるため、長手方向Lに並んで配置された第1ハーネス取付部40と固定部60とをより強固に補強しながら支持することができる。したがって、第1ハーネス取付部40に取り付けたワイヤーハーネス100の取付状態や、車両本体に固定部60を介して固定された電気接続箱1の安定性をより向上させることができる。
【0071】
さらにまた、ワイヤーハーネス100を取付ける箇所として第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50が設けられ、第2ハーネス取付部50が、固定部60に対してロアケース20の内外方向(短手方向W)に配置され、補強支持部30と一体に構成されるとともに、第2ハーネス取付部50と固定部60とが連結されている。
【0072】
これにより、ロアケース20の内外方向に配置された第2ハーネス取付部50と固定部60の双方を補強支持部30で支持することができ、第2ハーネス取付部50と固定部60の支持剛性をより向上させることができる。したがって、第2ハーネス取付部50に取り付けたワイヤーハーネス100の取付状態や、車両本体に固定部60を介して固定した電気接続箱1の固定状態の安定性をより向上させることができる。
【0073】
また、第2ハーネス取付部50は、固定部60の内外方向の内側(-W方向側)に配置され、第2ハーネス取付部50にワイヤーハーネス100を取り付ける取付方向と交差する方向(長手方向L)に、ワイヤーハーネス100の取り外し操作を行うことができる操作窓56を設けられている。
【0074】
これにより、第2ハーネス取付部50に取り付けられたワイヤーハーネス100を容易に取り外すことができる。
詳述すると、第2ハーネス取付部50にワイヤーハーネス100を取り付ける取付方向(上下方向H)と交差する長手方向Lに、取り外し操作を行う操作窓56を設けられている。このため、操作窓56を介してワイヤーハーネス100を第2ハーネス取付部50から取り外す取り外し作業を行うことができ、ワイヤーハーネス100を第2ハーネス取付部50から容易に取り外すことができる。
【0075】
また、第2ハーネス取付部50の+W方向側に固定部60が設けられた構成であるため、固定部60と第2ハーネス取付部50とを連結する外側面54や固定部60により第2ハーネス取付部50に取り付けられたワイヤーハーネス100の取り外し作業が阻害されることがない。
【0076】
さらにまた、補強支持部30におけるアッパーケース10側の端部が、アッパーケース10とロアケース20との装着方向である上下方向Hに沿ってアッパーケース10よりも突出している。このように、補強支持部30がアッパーケース10よりも上方に突出しているため、アッパーケース10をロアケース20に装着させる際に、アッパーケース10をロアケース20に案内する案内部として補強支持部30を機能させることができる。したがって、ロアケース20にアッパーケース10を装着させる装着作業の作業効率を向上させることができる。
【0077】
また、補強支持部30におけるアッパーケース10側の端部の一部である案内壁35が、ロアケース20側に向けて傾斜していることにより、アッパーケース10に接続されたワイヤーハーネス100が補強支持部30に角当たりすることを防止できる。これにより、ワイヤーハーネス100が損傷することを防止できる。
【0078】
さらにまた、補強支持部30は、第1側面221に対応する箇所に固定部60が設けられ、第2側面222に対応する箇所に、ワイヤーハーネス100に接続されたコネクタ110を支持するコネクタ支持部70を保持する保持部34が設けられている。
【0079】
これにより、短手補強支持部32は、第2側面222を補強しつつ、第2側面222とともにコネクタ支持部70を支持することができる。また、第2側面222と交差する長手補強支持部31でコネクタ支持部70が設けられた短手補強支持部32及び第2側面222を補強支持される。これにより、第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50のみならずコネクタ支持部70の支持剛性をより向上させることができ、より多くのワイヤーハーネス100を電気接続箱1に確実に固定することができる。
【0080】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、ロアケースは、ロアケース20に対応し、同様に
アッパーケースは、アッパーケース10に対応し、
電気接続箱は、電気接続箱1に対応し、
底面は、底面部21に対応し、
第1側面は、第1側面221に対応し、
第2側面は、第2側面222に対応し、
補強支持部は、補強支持部30に対応し、
固定部は、固定部60に対応し、
ハーネス取付部は、第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50に対応し、
連結部は、連結部33に対応し、
操作窓は、操作窓56に対応し、
ワイヤーハーネスは、ワイヤーハーネス100に対応し、
コネクタは、コネクタ110に対応し、
コネクタ支持部は、コネクタ支持部70に対応し、
保持部は、保持部34に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0081】
例えば、本実施形態において、第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50、固定部60を補強支持部30と一体となるように、+W方向側に設けているが、必ずしもこのような構成である必要はない。例えば、第1ハーネス取付部40を-L方向側に設け、第2ハーネス取付部50と固定部60のみを+W方向側に設けてもよい。
【0082】
また、本実施形態において、ワイヤーハーネス100を取り付ける箇所を第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50としているが、2つに限らず、一方だけでもよい。また、第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50の他にワイヤーハーネス100を取り付ける箇所を適宜設けてもよい。
【0083】
具体的には、第1ハーネス取付部40がなく、第2ハーネス取付部50が固定部60と内外方向(短手方向W)に沿って並んだ構成としてもよい。あるいは、長手補強支持部31と連結部33との間にワイヤーハーネス100を取り付ける箇所を設けてもよい。
【0084】
また、本実施形態において、電気接続箱1は平面視四角形状としているが、この形状に限定されない。すなわち、第1側面221と第2側面222とで形成する角部を跨ぐように補強支持部30が設けられていれば、電気接続箱1の形状を特定の形状に限定する必要はない。
【符号の説明】
【0085】
1 電気接続箱
10 アッパーケース
20 ロアケース
21 底面部
221 第1側面
222 第2側面
30 補強支持部
33 連結部
34 保持部
40 第1ハーネス取付部
50 第2ハーネス取付部
56 操作窓
60 固定部
70 コネクタ支持部
100 ワイヤーハーネス
120 コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-09-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を収容する収容空間が構成されたロアケースと、前記ロアケースに着脱するアッパーケースとで構成された電気接続箱であって、
前記ロアケースは、底面と、前記底面に対して立設する第1側面と、前記底面に対して立設するとともに、第1側面と交差する第2側面とが備えられ、
前記ロアケースの外側に、第1側面及び第2側面とに沿って角部を跨いで補強する補強支持部が設けられ、
前記ロアケースを車両に固定する固定部及びワイヤーハーネスを取付けるハーネス取付部が前記補強支持部と一体に構成され
前記補強支持部に、前記ハーネス取付部と前記固定部とを連結する連結部が設けられ、
前記ハーネス取付部は、前記ワイヤーハーネスに装着されたクランプのアンカー部を着脱自在に装着する箇所であるとともに、複数設けられ、
前記ハーネス取付部のうちの一つが、前記固定部に対して前記ロアケースの内外方向に配置されるとともに、前記固定部と連結され、
前記ハーネス取付部のうち他の一つが、前記固定部に対して、前記アッパーケースと前記ロアケースとを装着する装着方向と交差する交差方向に所定の間隔を隔てて設けられ、
前記ハーネス取付部同士が、前記内外方向及び前記交差方向に所定の間隔を隔てて配置された
電気接続箱。
【請求項2】
前記ハーネス取付部は、前記固定部の内外方向の内側に配置され、
前記ハーネス取付部に前記ワイヤーハーネスを取り付ける取付方向と交差する方向に、取り外し操作を行う操作窓を設けた
請求項に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記補強支持部における前記アッパーケース側の端部が、前記アッパーケースよりも突出した
請求項1又は請求項2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記補強支持部における前記アッパーケース側の端部の一部が、前記ロアケース側に向けて傾斜した
請求項に記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記補強支持部は、
前記第1側面に沿って前記固定部が設けられ、
前記第2側面に沿って、ワイヤーハーネスの先端に接続されたコネクタを支持するコネクタ支持部を保持する保持部が設けられた
請求項1乃至請求項のうちのいずれかに記載の電気接続箱。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、ワイヤーハーネスを取り付けるハーネス取付部を有する電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、インストルメントパネルの運転席側やエンジンルームの奥まった位置には、ワイヤーハーネスを介して車両に搭載された電気機器類とエンジンルームに搭載されたバッテリーなどを電気的に接続する電気接続箱が配設されている。
【0003】
この電気接続箱に接続されているワイヤーハーネスは、他の部材と干渉したりして、ワイヤーハーネスが電気接続箱から離脱することがあるため、対策としてワイヤーハーネスを電気接続箱に取り付けることがある。
【0004】
例えば、特許文献1に開示している電気接続箱は、アッパーケースとロアケースとで構成され、アッパーケースの外周側面に設けられたハーネス取付部にワイヤーハーネスを取り付けることができるとともに、ロアケースの壁面に設けられた固定部を介して電気接続箱を車両本体に固定できる。
【0005】
近年、運転の快適性や安全性を向上させるために、様々な電子機器類が車両に搭載され、電気接続箱に接続されるワイヤーハーネスの数も増加している。このように増加するワイヤーハーネスの配索方向などに合わせてアッパーケースやロアケースの壁面に複数のハーネス取付部が設けられることがある。
【0006】
しかしながら、例えば、複数のワイヤーハーネスを束ねた状態でハーネス取付部に取り付けられた場合、ワイヤーハーネスの自重や車の振動などにより、ワイヤーハーネスを取り付けたハーネス取付部やハーネス取付部を設けた壁面に外力が作用し、ハーネス取付部に取り付けたワイヤーハーネスの取付状態や、固定部を介して車体に固定した電気接続箱の固定状態が不安定になるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012-125117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、上述の問題に鑑み、ハーネス取付部に取り付けたワイヤーハーネスの安定性を向上させることができるとともに、固定部を介して車両本体に安定して固定できる電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、電子部品を収容する収容空間が構成されたロアケースと、前記ロアケースに着脱するアッパーケースとで構成された電気接続箱であって、前記ロアケースは、底面と、前記底面に対して立設する第1側面と、前記底面に対して立設するとともに、第1側面と交差する第2側面とが備えられ、前記ロアケースの外側に、第1側面及び第2側面とに沿って角部を跨いで補強する補強支持部が設けられ、前記ロアケースを車両に固定する固定部及びワイヤーハーネスを取付けるハーネス取付部が前記補強支持部と一体に構成され、前記補強支持部に、前記ハーネス取付部と前記固定部とを連結する連結部が設けられ、前記ハーネス取付部は、前記ワイヤーハーネスに装着されたクランプのアンカー部を着脱自在に装着する箇所であるとともに、複数設けられ、前記ハーネス取付部のうちの一つが、前記固定部に対して前記ロアケースの内外方向に配置されるとともに、前記固定部と連結され、前記ハーネス取付部のうち他の一つが、前記固定部に対して、前記アッパーケースと前記ロアケースとを装着する装着方向と交差する交差方向に所定の間隔を隔てて設けられ、前記ハーネス取付部同士が、前記内外方向及び前記交差方向に所定の間隔を隔てて配置されたことを特徴とする。
【0010】
前記ハーネス取付部及び前記固定部は、一又は複数設けていてもよい。なお、前記ハーネス取付部及び前記固定部は、同一側面のみならず異なる側面に設けられていてもよい。
上述の交差するとは、直交及び鈍角、鋭角に構成されている場合を含む。
【0011】
この発明により、ハーネス取付部に取り付けたワイヤーハーネスの安定性を向上させることができるとともに、固定部を介して車両本体に安定して固定できる。
詳述すると、ハーネス取付部及び固定部が、第1側面及び第2側面に沿うとともに、第1側面と第2側面とで形成する角部を跨いで設けられた補強支持部と一体に構成される。これにより、補強支持部で第1側面及び第2側面を補強しつつ、ハーネス取付部及び固定部が設けられた側面と異なる側面における補強支持部でハーネス取付部及び固定部支持することができる。このため、ハーネス取付部や固定部の支持剛性を向上させることができ、ハーネス取付部に取り付けたワイヤーハーネスの安定性を向上させることができるとともに、固定部を介して車両本体に安定して固定できる。
【0012】
より具体的には、第1側面側にハーネス取付部及び固定部を設けた場合、補強支持部における第1側面側で第1側面を補強しつつハーネス取付部を支持することができる。また、第1側面と交差する第2側面側の補強支持部で補強支持部における第1側面側及び第1側面を補強支持することができる。このため、第1側面に設けられたハーネス取付部及び固定部の支持剛性を向上させることができ、ハーネス取付部に取り付けたワイヤーハーネスの安定性を向上させることができるとともに、固定部を介して車両本体に安定して固定できる。
【0013】
また、補強支持部によりハーネス取付部及び固定部の支持剛性を向上させることで、ハーネス取付部及び固定部を補強することができるため、例えばハーネス取付部や固定部を従来よりも外側に突出させることができるなど、複数のワイヤーハーネスに対応するように、電気接続箱の設計の幅を広げることができる。
【0014】
さらにまた、ロアケースにハーネス取付部や固定部を集中させることができるため、アッパーケースを共通化させることができ、アッパーケースの汎用性を向上させることができる。これにより、電気接続箱の生産効率を向上させることができる。
【0015】
また、前記ハーネス取付部と前記固定部とが、前記アッパーケースと前記ロアケースとを装着する装着方向と交差する交差方向に所定の間隔を隔てて設けられ、前記補強支持部に、前記ハーネス取付部と前記固定部とを連結する連結部が設けられている
【0016】
そのため、交差方向に所定の間隔を隔てて設けられたハーネス取付部及び固定部を連結部で支持することができるため、ハーネス取付部と固定部とが交差方向に並んで配置された場合であっても、ハーネス取付部及び固定部をより強固に補強しながら支持することができる。したがって、ハーネス取付部に取り付けたワイヤーハーネスの取付状態や、車両本体に固定部を介して固定された電気接続箱の安定性をより向上させることができる。
【0017】
た、前記ハーネス取付部が複数設けられ、前記ハーネス取付部のうちの一つが、前記固定部に対して前記ロアケースの内外方向に配置され、前記補強支持部と一体に構成されるとともに、前記固定部と連結されている
【0018】
そのため、ロアケースの内外方向に配置されたハーネス取付部及び固定部の双方を補強支持部で支持することができ、ハーネス取付部及び固定部の支持剛性を向上させることができる。したがって、ハーネス取付部に取り付けたワイヤーハーネスの取付状態や、車両本体に固定部を介して固定した電気接続箱の固定状態の安定性をより向上させることができる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記ハーネス取付部は、前記固定部の内外方向の内側に配置され、前記ハーネス取付部に前記ワイヤーハーネスを取り付ける取付方向と交差する方向に、取り外し操作を行う操作窓を設けてもよい。
【0020】
この発明により、ハーネス取付部に取り付けられたワイヤーハーネスを容易に取り外すことができる。
詳述すると、ハーネス取付部の外側に固定部が設けられた構成であるため、固定部とハーネス取付部とを連結する他の部材や、固定部とハーネス取付部との間に設けられた他の部材、固定部などによりハーネス取付部に取り付けられたワイヤーハーネスの取り外し作業が阻害されることがある。
【0021】
しかしながら、ハーネス取付部にワイヤーハーネスを取り付ける取付方向と交差する方向に、取り外し操作を行う操作窓を設けることにより、操作窓を介してワイヤーハーネスをハーネス取付部から取り外す取り外し作業を行うことができる。これにより、ワイヤーハーネスをハーネス取付部から容易に取り外すことができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記補強支持部における前記アッパーケース側の端部が、前記アッパーケースよりも突出してもよい。
この発明によると、補強支持部がアッパーケースよりも上方に突出しているため、アッパーケースをロアケースに組み付ける際に、アッパーケースをロアケースに案内する案内部として補強支持部を機能させることができる。したがって、ロアケースにアッパーケースを組み付ける組み付け作業の作業効率を向上させることができる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記補強支持部における前記アッパーケース側の端部の一部が、前記ロアケース側に向けて傾斜してもよい。
この発明により、ロアケース側に補強支持部のアッパーケース側の端部の一部がロアケース側に配置されるため、アッパーケースに接続されたワイヤーハーネスが補強支持部に角当たりすることを防止でき、ワイヤーハーネスが損傷することを防止できる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記補強支持部は、前記第1側面に沿って箇所に前記固定部が設けられ、前記第2側面に沿って箇所に、ワイヤーハーネスに接続されたコネクタを支持するコネクタ支持部を保持する保持部が設けられてもよい。
【0025】
この発明により、第2側面側に設けられたコネクタ支持部にコネクタを支持させた場合、補強支持部における第2側面側で第2側面を補強しつつコネクタ支持部を支持することができる。また、第2側面と交差する第1側面側の補強支持部でコネクタ支持部が設けられた第2側面側及び第2側面を支持することができる。これにより、ハーネス取付部のみならずコネクタ支持部の支持剛性をより向上させることができ、より多くのワイヤーハーネスを電気接続箱に確実に固定することができる。
【発明の効果】
【0026】
この発明により、ワイヤーハーネスの増加に伴うハーネス取付部や固定部の損傷を抑制できる電気接続箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】ワイヤーハーネスを取り付けた電気接続箱の概略斜視図。
図2】電気接続箱の概略斜視図。
図3】電気接続箱の平面図。
図4】第1補強支持部の断面図。
図5】電気接続箱の正面図。
図6】第2補強支持部の断面図。
図7】電気接続箱の部分側面図。
図8】補強支持部及び固定部の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
この発明の一実施態を、以下図面とともに説明する。
図1は複数のワイヤーハーネス100が接続された電気接続箱1の概略斜視図を示し、図2は電気接続箱1の概略斜視図を示す。図3は電気接続箱1の平面図を示し、図4は長手補強支持部31の断面図を示す。図5は電気接続箱1の正面図を示し、図6は短手補強支持部32の断面図を示す。図7は電気接続箱1の-L方向側の一部分を表示した部分側面図を示し、図8は補強支持部30及び固定部60の断面図を示す。
【0029】
詳述すると、図4図3におけるA-A矢視断面図を示し、図6図3におけるB-B矢視断面図を示し、図8図5におけるC-C矢視断面図を示す。なお、図8図7に対応するように電気接続箱1の-L方向側の一部分を表示した断面図である。
【0030】
ここで便宜上、図1中の上下方向を上下方向Hとし、上下方向Hと直交する電気接続箱1の長手方向を長手方向L、長手方向L及び上下方向Hに直交する方向を短手方向Wとする。また、図1中において、長手方向Lに沿って左方を-L方向、右方を+L方向とし、短手方向Wに沿って右方を+W方向、左方を-W方向とする。さらに、図1中の上方を+H方向、下方を-H方向とする。
【0031】
例えば、車両に搭載された様々な電気機器類(図示省略)に接続されているワイヤーハーネス100は、図1に示すように、それぞれのワイヤーハーネス100の一端側に連結されたコネクタ110を介して、電気機器類との結合や分岐などを行う端子や電子部品などが内蔵された電気接続箱1と電気的に接続されている。これらの複数のワイヤーハーネス100はクランプ200を用いて束ねられるとともに、クランプ200のアンカー部210を介して電気接続箱1に固定されている。
【0032】
ワイヤーハーネス100と電気的に接続される電気接続箱1は、図1及び図2に示すように、内部には図示しない端子や電子部品などを収容する収容空間が設けられた筐体である。この電気接続箱1は、上面側を構成するアッパーケース10と、底面側を構成するロアケース20とで構成されている。なお、アッパーケース10とロアケース20とを上下方向Hに組み付け可能に構成されている。
【0033】
アッパーケース10は、下方(-H側)が開口した中空状の逆凹状体であり、外周面にロアケース20と係止可能な係止部11が設けられている。また、上面にはワイヤーハーネス100の一端に接続されたコネクタ110を接続する複数の上方コネクタ接続口12が設けられている。
【0034】
ロアケース20は、上下方向Hに沿った高さがアッパーケース10に比べて高くなるように構成された中空状の凹状体であり、上方が開口している。このロアケース20は、底面を構成する底面部21と、底面部21の外縁部から上方(+H側)に立設する外周面22とで構成され、内部に電子部品を収容する収容空間が構成されている。
【0035】
底面部21には、コネクタ110を接続することができるコネクタ接続口(図示省略)が複数設けられているとともに、ワイヤーハーネス100の配索経路が形成されている(図示省略)。
【0036】
外周面22は、ロアケース20の内部と外部とを区分けする境界であり、底面部21の外周縁から底面部21を囲繞するように立設されている。なお、外周面22は、アッパーケース10とロアケース20とを組み付けた状態における係止部11に対応する箇所に、係止部11と係止する被係止部23が設けられている。
【0037】
ここで、この外周面22のうち、長手方向Lに沿って形成される面を第1側面221,221とし、短手方向Wに沿って形成される面を外周面22のうち、短手方向Wに沿って形成される面を第2側面222、222とする。この第1側面221と第2側面222とは互いに直交している。
【0038】
このように構成されたロアケース20における外周面22の一つの角部分、具体的には、-L方向端部かつ+W方向端部に形成されている角部分には、図2乃至図8に示すように、ロアケース20の外側に突出する補強支持部30と、第1ハーネス取付部40と、第2ハーネス取付部50と、固定部60とが一体に設けられている。
【0039】
補強支持部30は、+W方向側の第1側面221と連結する長手補強支持部31と、-L方向側の第2側面222と連結する短手補強支持部32とで構成されている。
長手補強支持部31は、図3及び図4に示すように、第1側面221に沿うとともに、第1側面221の上端やや下方から+W方向に向けて突出している。この長手補強支持部31は、短手方向Wに対する厚みが第1側面221よりも十分に厚くなるように構成され、第1側面221の高さ(上下方向Hの長さ)と略同じ高さを有している。
【0040】
また、この長手補強支持部31は、図4に示すように、+H方向の端部がアッパーケース10をロアケース20に組付けた状態におけるアッパーケース10の上面よりも高くなるように構成されている。なお、長手補強支持部31の底面は、底面部21よりも+H方向側となるように構成され、ワイヤーハーネス100を配索できるように構成されている。
【0041】
このように構成された長手補強支持部31の+L方向側における+W方向側の端部分には、長手補強支持部31から+W方向に突出する連結部33が設けられている。
連結部33は、長手方向Lに所定の長さを有するとともに、高さが長手補強支持部31の3分の2程度であり、上面は長手補強支持部31と面一となるように構成されている。
【0042】
短手補強支持部32は、第2側面222に沿うとともに、第2側面222の上端やや下方から-L方向に向けて突出している。この短手補強支持部32は、長手方向Lに対する厚みが第2側面222よりも十分に厚くなるように構成されている。また、短手補強支持部32の+W方向側端部には+W方向側の第1側面221よりも+W側に突出しており、長手補強支持部31の-L方向側の端部と連結している。
【0043】
このように構成された短手補強支持部32の-L方向側側面には、ワイヤーハーネス100に連結されたコネクタ110(図1参照)を支持するためのコネクタ支持部70を係止させる保持部34が設けられている。
【0044】
また、このように構成された短手補強支持部32の上面(+H方向の面)には、第2側面222と所定の間隔を隔てて+H方向に立設する案内壁35が備えられている。
案内壁35は、図5に示すように、+W方向に向かうに伴い高さが高くなるように構成されており、ロアケース20における角部分(-L方向、+W方向の角)に対応する位置において長手補強支持部31の上面と同じ高さとなる。すなわち、案内壁35の+W方向側の端部は、ロアケース20にアッパーケース10を組み付けた状態におけるアッパーケース10の高さよりも高くなるように構成される。また、案内壁35は、ロアケース20における角部分(-L方向、+W方向の角)において長手補強支持部31と連結している。なお、案内壁35のーW方向側端部は、アッパーケース10とロアケース20との組み付け部分よりも高くなっている。
【0045】
また、短手補強支持部32は、図6に示すように、上面に設けられた案内壁35の+L方向側と-L方向側で上面の高さが異なる。具体的には、案内壁35よりも-L方向側が、+L方向側よりも高くなっている。なお、-L方向側の上面は、アッパーケース10とロアケース20との組み付け部分よりも高くなるように構成されている。
【0046】
このように、第1側面221と一体に連結する長手補強支持部31と、第2側面222と一体に連結する短手補強支持部32とがロアケース20の角部分を跨ぐようにロアケース20に対して連結固定されている。すなわち、補強支持部30は、図3に示すように、平面視においてL字状に構成された、ブロック構造であり、十分な強度を有する。
なお、補強支持部30は適宜肉抜きをした構成や、補強用のリブを設けた構成であってもよい。
【0047】
第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50は、ワイヤーハーネス100に装着されたクランプ200のアンカー部210を着脱自在に装着する箇所である(図1参照)。
第1ハーネス取付部40は、主面が上下方向Hを向いている板状体であり、補強支持部30が設けられたロアケース20の角部分、すなわち、長手補強支持部31と短手補強支持部32との連結部分から+W方向に向けて延出している。
【0048】
より具体的には、第1ハーネス取付部40は、―W方向において短手補強支持部32と連結しているとともに、+L方向において連結部33と連結している。また、第1ハーネス取付部40の上面は長手補強支持部31の上面と同じ高さとなるように構成されている。
このように構成された第1ハーネス取付部40の中央部分には、図3に示すように、アンカー部210を装着可能な長孔41が上下方向Hに沿って貫通している。
【0049】
第2ハーネス取付部50は、図7及び図8に示すように、長手補強支持部31の+L方向の端部と連結した、底面部分が開口した中空上の略四角柱状体であり、上面を構成する係止面51と、第1側面221に沿って立設している内側面52と、―L側に形成される連結側面53と、+W側に形成される外側面54と、+L側に形成される開口側面55で構成されている。
【0050】
係止面51は、主面が上下方向Hを向いている板状体であり、上面がアッパーケース10の上面よりも高くなるように構成されている。この係止面51の中央部分には、図3及び図8に示すように、アンカー部210を装着可能な丸孔511が上下方向Hに沿って貫通している。
【0051】
内側面52は、第1側面221の外面から上下方向Hに沿って立設する壁面であり、内側面52の-L方向の端部は長手補強支持部31と連結され、内側面52の上端(+H方向の端部)は係止面51と連結されている。また、内側面52の+L方向側の側部は-H方向に向かうに伴い+L側に傾斜するように構成されている。なお、内側面52の-H方向の端部にはリブ521が設けられている(図8参照)。
【0052】
連結側面53は、長手補強支持部31の+L方向側の端部から+H方向に立設する壁面であり、-W方向側の端部が内側面52と連結され、上端(+H方向の端部)が、内側面52と同様に、係止面51と連結されている。
【0053】
外側面54は、内側面52と対向している壁面であり、外側面54の―L方向側の端部は長手補強支持部31及び連結側面53と連結され、外側面54の上端(+H方向の端部)は係止面51と連結されている。また、外側面54の+L方向側の側部は、上方部分が-H方向に向かうに伴い+L側に傾斜するように構成されて、下方部分が上下方向Hに沿って構成されている。なお、外側面54の-H方向側の端部は、長手補強支持部31の-H方向側の端部と面一となっている。
【0054】
開口側面55は、長手補強支持部31の-H方向側と対向する壁面であり、上下方向Hに沿って立設している。この開口側面55の-W方向側の端部は第1側面221と連結され、開口側面55の+W方向側の端部が外側面54の下方側(-H方向側)と連結されている。
【0055】
このように構成された係止面51と内側面52と外側面54と開口側面55とで、開口側面55の上方(+H方向側)に長手方向Lに沿って貫通した操作窓56を形成している。すなわち、操作窓56は、クランプ200のアンカー部210が装着される方向及び固定部60が配置された方向と異なる方向に設けられている。なお、操作窓56は、図8に示すように、-H方向側に向かうに伴い+L方向側に傾斜している。
【0056】
固定部60は、ワイヤーハーネス100が第1ハーネス取付部40や第2ハーネス取付部50に取り付けられた電気接続箱1を車両本体(図示省略)に固定するため、ボルトを挿通させる部位であり、中央部分にボルト挿通孔61を有する板状体で構成されている。
【0057】
この固定部60は第2ハーネス取付部50の+W方向側に並んで配置されている。また、固定部60の-L方向側の端部は連結部33と連結しており、固定部60の-W方向側端部は外側面54と連結している。
【0058】
すなわち、固定部60と第2ハーネス取付部50とは、短手方向Wに沿って並んで配置されているとともに、上下方向Hに沿って異なる高さとなるように配置されている。また、固定部60は、第1ハーネス取付部40と長手方向Lに沿って所定の間隔を隔てて設けてあり、連結部33を介して第1ハーネス取付部40と連結されている。
また、このように構成された固定部60は、外側面54及び連結部33とで補強支持されている。なお、固定部60の底面は、連結部33の底面と面一となるように構成されている。
【0059】
このように配置された第1ハーネス取付部40と第2ハーネス取付部50(内側面52)と固定部60とは、それぞれ異なる高さに配置されている。また、第1ハーネス取付部40と固定部60とが長手方向Lに沿って配置されるとともに、第2ハーネス取付部50と固定部60とが短手方向Wに沿って配置されている。すなわち、図3に示すように、第1ハーネス取付部40と第2ハーネス取付部50(内側面52)と固定部60とは、平面視において並んで配置されている。
【0060】
また、第1ハーネス取付部40と第2ハーネス取付部50と固定部60との高さを異なるように構成するとともに、第1ハーネス取付部40と第2ハーネス取付部50と固定部60の3つが直線状に配置されないように構成されている。これにより、ワイヤーハーネス100を第1ハーネス取付部40や第2ハーネス取付部50に取り付けた場合や電気接続箱1を車両本体に固定した場合において、ワイヤーハーネス100の干渉を抑制できる。
【0061】
したがって、補強支持部30で支持剛性を向上させた第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50に取り付けたワイヤーハーネス100の安定性をより向上することや、固定部60を介して固定した電気接続箱1の固定状態の安定性を向上させることができる。
【0062】
このように電気接続箱1は、電子部品を収容する収容空間が構成されたロアケース20と、ロアケース20に着脱するアッパーケース10とで構成されている。このロアケース20は、底面部21と、底面部21に対して立設する第1側面221と、底面部21に対して立設するとともに、第1側面221と交差する第2側面222とが備えられている。また、ロアケース20の外側に、第1側面221及び第2側面222に沿い、第1側面221及び第2側面222とで形成する角部を跨いだ補強支持部30が設けられている。そして、ロアケース20を車両に固定する固定部60及びワイヤーハーネス100を取付ける第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50が補強支持部30と一体に構成されている。
【0063】
これにより、ワイヤーハーネス100を第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50に安定して取り付けることができるとともに、固定部60を介して電気接続箱1を安定して車両本体に固定できる。
【0064】
詳述すると、第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50,固定部60が、第1側面221に沿うとともに、第1側面221と第2側面222とで形成する角部を跨いで設けられた補強支持部30と一体に構成されている。これにより、補強支持部30で第1側面221及び第2側面222を補強しつつ、長手補強支持部31と短手補強支持部32とで第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50,固定部60を補強支持することができる。
【0065】
このため、第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50,固定部60の支持剛性を向上させることができ、第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50に取り付けたワイヤーハーネス100の安定性を向上することができるとともに、固定部60を介して車両本体に電気接続箱1を安定して固定できる。
【0066】
より具体的には、長手補強支持部31は、第1側面221を補強するとともに、第1側面221とで第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50、固定部60を支持することができる。また、第1側面221と交差する短手補強支持部32で長手補強支持部31及び第1側面221を支持することができる。このように、ロアケース20の角部分を跨ぐように連結された長手補強支持部31と短手補強支持部32とで、第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50、固定部60の支持剛性をより向上させることができる。さらに支持剛性を向上させることにより、第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50、固定部60近傍の損傷を抑制できる。
【0067】
また、上述のように、補強支持部30により第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50,固定部60の支持剛性を向上させることで、第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50,固定部60を補強することができる。このため、第1ハーネス取付部40を従来よりも外側に突出させることができるなど、複数のワイヤーハーネス100に対応するように、電気接続箱1の設計の幅を広げることができる。
【0068】
さらにまた、ロアケース20に第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50や固定部60を集中させることができるため、アッパーケース10を共通化させることができ、アッパーケース10の汎用性を向上させることができる。これにより、電気接続箱1の生産効率も向上させることができる。
【0069】
また、第1ハーネス取付部40と固定部60とが、アッパーケース10とロアケース20とを装着する装着方向(上下方向H)と交差する長手方向Lに所定の間隔を隔てて設けられ、補強支持部30に、第1ハーネス取付部40と固定部60とを連結する連結部33が設けられている。
【0070】
これにより、長手方向Lに所定の間隔を隔てて設けられた第1ハーネス取付部40及び固定部60を連結部33でも支持することができるため、長手方向Lに並んで配置された第1ハーネス取付部40と固定部60とをより強固に補強しながら支持することができる。したがって、第1ハーネス取付部40に取り付けたワイヤーハーネス100の取付状態や、車両本体に固定部60を介して固定された電気接続箱1の安定性をより向上させることができる。
【0071】
さらにまた、ワイヤーハーネス100を取付ける箇所として第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50が設けられ、第2ハーネス取付部50が、固定部60に対してロアケース20の内外方向(短手方向W)に配置され、補強支持部30と一体に構成されるとともに、第2ハーネス取付部50と固定部60とが連結されている。
【0072】
これにより、ロアケース20の内外方向に配置された第2ハーネス取付部50と固定部60の双方を補強支持部30で支持することができ、第2ハーネス取付部50と固定部60の支持剛性をより向上させることができる。したがって、第2ハーネス取付部50に取り付けたワイヤーハーネス100の取付状態や、車両本体に固定部60を介して固定した電気接続箱1の固定状態の安定性をより向上させることができる。
【0073】
また、第2ハーネス取付部50は、固定部60の内外方向の内側(-W方向側)に配置され、第2ハーネス取付部50にワイヤーハーネス100を取り付ける取付方向と交差する方向(長手方向L)に、ワイヤーハーネス100の取り外し操作を行うことができる操作窓56を設けられている。
【0074】
これにより、第2ハーネス取付部50に取り付けられたワイヤーハーネス100を容易に取り外すことができる。
詳述すると、第2ハーネス取付部50にワイヤーハーネス100を取り付ける取付方向(上下方向H)と交差する長手方向Lに、取り外し操作を行う操作窓56を設けられている。このため、操作窓56を介してワイヤーハーネス100を第2ハーネス取付部50から取り外す取り外し作業を行うことができ、ワイヤーハーネス100を第2ハーネス取付部50から容易に取り外すことができる。
【0075】
また、第2ハーネス取付部50の+W方向側に固定部60が設けられた構成であるため、固定部60と第2ハーネス取付部50とを連結する外側面54や固定部60により第2ハーネス取付部50に取り付けられたワイヤーハーネス100の取り外し作業が阻害されることがない。
【0076】
さらにまた、補強支持部30におけるアッパーケース10側の端部が、アッパーケース10とロアケース20との装着方向である上下方向Hに沿ってアッパーケース10よりも突出している。このように、補強支持部30がアッパーケース10よりも上方に突出しているため、アッパーケース10をロアケース20に装着させる際に、アッパーケース10をロアケース20に案内する案内部として補強支持部30を機能させることができる。したがって、ロアケース20にアッパーケース10を装着させる装着作業の作業効率を向上させることができる。
【0077】
また、補強支持部30におけるアッパーケース10側の端部の一部である案内壁35が、ロアケース20側に向けて傾斜していることにより、アッパーケース10に接続されたワイヤーハーネス100が補強支持部30に角当たりすることを防止できる。これにより、ワイヤーハーネス100が損傷することを防止できる。
【0078】
さらにまた、補強支持部30は、第1側面221に対応する箇所に固定部60が設けられ、第2側面222に対応する箇所に、ワイヤーハーネス100に接続されたコネクタ110を支持するコネクタ支持部70を保持する保持部34が設けられている。
【0079】
これにより、短手補強支持部32は、第2側面222を補強しつつ、第2側面222とともにコネクタ支持部70を支持することができる。また、第2側面222と交差する長手補強支持部31でコネクタ支持部70が設けられた短手補強支持部32及び第2側面222を補強支持される。これにより、第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50のみならずコネクタ支持部70の支持剛性をより向上させることができ、より多くのワイヤーハーネス100を電気接続箱1に確実に固定することができる。
【0080】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、ロアケースは、ロアケース20に対応し、同様に
アッパーケースは、アッパーケース10に対応し、
電気接続箱は、電気接続箱1に対応し、
底面は、底面部21に対応し、
第1側面は、第1側面221に対応し、
第2側面は、第2側面222に対応し、
補強支持部は、補強支持部30に対応し、
固定部は、固定部60に対応し、
ハーネス取付部は、第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50に対応し、
連結部は、連結部33に対応し、
操作窓は、操作窓56に対応し、
ワイヤーハーネスは、ワイヤーハーネス100に対応し、
コネクタは、コネクタ110に対応し、
コネクタ支持部は、コネクタ支持部70に対応し、
保持部は、保持部34に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0081】
例えば、本実施形態において、第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50、固定部60を補強支持部30と一体となるように、+W方向側に設けているが、必ずしもこのような構成である必要はない。例えば、第1ハーネス取付部40を-L方向側に設け、第2ハーネス取付部50と固定部60のみを+W方向側に設けてもよい。
【0082】
また、本実施形態において、ワイヤーハーネス100を取り付ける箇所を第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50としているが、2つに限らず、一方だけでもよい。また、第1ハーネス取付部40及び第2ハーネス取付部50の他にワイヤーハーネス100を取り付ける箇所を適宜設けてもよい。
【0083】
具体的には、第1ハーネス取付部40がなく、第2ハーネス取付部50が固定部60と内外方向(短手方向W)に沿って並んだ構成としてもよい。あるいは、長手補強支持部31と連結部33との間にワイヤーハーネス100を取り付ける箇所を設けてもよい。
【0084】
また、本実施形態において、電気接続箱1は平面視四角形状としているが、この形状に限定されない。すなわち、第1側面221と第2側面222とで形成する角部を跨ぐように補強支持部30が設けられていれば、電気接続箱1の形状を特定の形状に限定する必要はない。
【符号の説明】
【0085】
1 電気接続箱
10 アッパーケース
20 ロアケース
21 底面部
221 第1側面
222 第2側面
30 補強支持部
33 連結部
34 保持部
40 第1ハーネス取付部
50 第2ハーネス取付部
56 操作窓
60 固定部
70 コネクタ支持部
100 ワイヤーハーネス
120 コネクタ