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特開2023-161395情報処理装置、画像形成装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161395
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】情報処理装置、画像形成装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 9/50 20060101AFI20231030BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
G06F9/50 120Z
H04N1/00 912
H04N1/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071755
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】井川 響
(72)【発明者】
【氏名】柳瀬 雅利
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AA07
5C062AA12
5C062AA14
5C062AA31
5C062AA35
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB25
5C062AB41
5C062AB43
5C062AB44
5C062AB46
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AE15
5C062BD04
(57)【要約】
【課題】バックグラウンド処理の所要時間を短縮化すること。
【解決手段】情報処理装置は、当該情報処理装置が実行する1以上の処理によるCPU使用率の変化に基づいて、バックグラウンド処理に使用するCPU負荷を増加させるか減少させるかを判定するバックグラウンド処理管理部と、前記バックグラウンド処理管理部による判定の結果に応じて、前記CPU負荷を増加又は減少させるための制御を行うバックグラウンド処理実行部と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置であって、
当該情報処理装置が実行する1以上の処理によるCPU使用率の変化に基づいて、バックグラウンド処理に使用するCPU負荷を増加させるか減少させるかを判定するバックグラウンド処理管理部と、
前記バックグラウンド処理管理部による判定の結果に応じて、前記CPU負荷を増加又は減少させるための制御を行うバックグラウンド処理実行部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記バックグラウンド処理管理部は、前記CPU使用率が閾値以上の場合に前記CPU負荷を減少させると判定する、
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記情報処理装置は、本体部とは別のCPUを有する操作部を有し、
前記バックグラウンド処理管理部は、前記本体部において特定の処理が実行される場合に、前記CPUについてバックグラウンド処理に使用するCPU負荷を減少させると判定する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記特定の処理は、前記CPUを高負荷にさせる処理として予め登録されている処理である、
ことを特徴とする請求項3記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記バックグラウンド処理実行部は、前記バックグラウンド処理管理部が前記CPU負荷を減少させると判定した場合に、前記バックグラウンド処理のCPU使用率に応じて前記CPU負荷を減少させるための制御を行う、
ことを特徴とする請求項3記載の情報処理装置。
【請求項6】
画像形成装置であって、
当該画像形成装置が実行する1以上の処理によるCPU使用率の変化に基づいて、バックグラウンド処理に使用するCPU負荷を増加させるか減少させるかを判定するバックグラウンド処理管理部と、
前記バックグラウンド処理管理部による判定の結果に応じて、前記CPU負荷を増加又は減少させるための制御を行うバックグラウンド処理実行部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
情報処理装置が、
当該情報処理装置が実行する1以上の処理によるCPU使用率の変化に基づいて、バックグラウンド処理に使用するCPU負荷を増加させるか減少させるかを判定するバックグラウンド処理管理手順と、
前記バックグラウンド処理管理手順による判定の結果に応じて、前記CPU負荷を増加又は減少させるための制御を行うバックグラウンド処理実行手順と、
を実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
情報処理装置に、
当該情報処理装置が実行する1以上の処理によるCPU使用率の変化に基づいて、バックグラウンド処理に使用するCPU負荷を増加させるか減少させるかを判定するバックグラウンド処理管理手順と、
前記バックグラウンド処理管理手順による判定の結果に応じて、前記CPU負荷を増加又は減少させるための制御を行うバックグラウンド処理実行手順と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、画像形成装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、装置本体とは別のCPUを備える情報処理端末を操作部として有する装置(例えば、画像形成装置)が存在する。このような操作部においても、一般的な情報処理装置と同様にバックグラウンド処理が実行される。バックグラウンド処理によって操作部のCPUが高負荷になると、ユーザ操作に対する応答性が低下してしまう。一方、バックグラウンド処理に対して割り当てるCPUリソースを一律に制限すると、バックグラウンド処理の所要時間が長期化してしまう。
【0003】
なお、特許文献1には、装置本体と通信を行う操作デバイスのアプリケーションが通信路を利用して装置本体と通信を行う場合に、操作デバイスのCPU使用率を抑え装置本体の操作に影響を与えないようにすることを目的として、操作デバイスのCPU使用率に基づき通信を許可するアプリケーション数を変更する構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、バックグラウンド処理を実行するアプリケーション数もCPU負荷によって制限されてしまうため、バックグラウンド処理の所要時間が長期化してしまう可能性が有る。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、バックグラウンド処理の所要時間を短縮化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで上記課題を解決するため、情報処理装置は、当該情報処理装置が実行する1以上の処理によるCPU使用率の変化に基づいて、バックグラウンド処理に使用するCPU負荷を増加させるか減少させるかを判定するバックグラウンド処理管理部と、前記バックグラウンド処理管理部による判定の結果に応じて、前記CPU負荷を増加又は減少させるための制御を行うバックグラウンド処理実行部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
バックグラウンド処理の所要時間を短縮化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施の形態における画像形成装置1のハードウェア構成例を示す図である。
図2】第1の実施の形態における画像形成装置1のソフトウェア構成例を示す図である。
図3】第1の実施の形態における画像形成装置1の機能構成例を示す図である。
図4】第1の実施の形態において画像形成装置1が実行する処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
図5】第2の実施の形態における画像形成装置1の機能構成例を示す図である。
図6】第2の実施の形態において画像形成装置1が実行する処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
図7】負荷情報記憶部218の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、第1の実施の形態における画像形成装置1のハードウェア構成例を示す図である。図1に示すように、画像形成装置1は、本体部10及び操作部20を有する。本体部10は、コピー機能、スキャナ機能、ファクス機能、プリンタ機能等の各種の機能を実現可能な、画像形成装置1の本体部分を構成する情報処理装置である。操作部20は、画像形成装置1の操作者の操作に応じた入力を受け付けたりする情報処理装置である。本体部10と操作部20は専用の通信路39を介して相互に接続される。通信路39としては、例えばUSB規格のものを用いることもできるが、有線か無線かを問わない。図1に示すように、本体部10は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、HDD(ハードディスクドライブ)14と、通信I/F(インタフェース)15と、接続I/F16と、エンジン部17とを備え、これらがシステムバス18を介して相互に接続されている。
【0010】
CPU11は、本体部10の動作を統括的に制御する。例えば、CPU11は、RAM13をワークエリア(作業領域)としてROM12またはHDD14などに格納されたプログラムを実行することで、本体部10全体の動作を制御し、上述したコピー機能、スキャナ機能、ファクス機能、プリンタ機能などの各種機能を実現する。
【0011】
通信I/F15は、ネットワークに接続するためのインタフェースである。接続I/F16は、通信路39を介して操作部20と通信するためのインタフェースである。
【0012】
エンジン部17は、コピー機能、スキャナ機能、ファクス機能、および、プリンタ機能を実現させるための、汎用的な情報処理および通信以外の処理を行うハードウェアである。エンジン部17は、例えば、原稿の画像をスキャンして読み取るスキャナ(画像読取部)、用紙などのシート材への印字を行うプリンタ(画像形成部)、ファクス通信を行うファクス部などを含む。エンジン部17は、さらに、印字済みシート材を仕分けるフィニッシャや、原稿を自動給送するADF(自動原稿輸送装置)のような特定のオプションを含んでもよい。
【0013】
操作部20は、CPU21と、ROM22と、RAM23と、フラッシュメモリ24と、通信I/F25と、接続I/F26と、操作パネル27とを備え、これらがシステムバス28を介して相互に接続されている。
【0014】
ユーザは、操作部20を直接操作してアプリを利用することで、本体部10の機能を利用することができる。
【0015】
CPU21は、操作部20の動作を統括的に制御する。すなわち、CPU21は、操作部20の動作を制御する他、RAM23をワークエリア(作業領域)としてROM22またはフラッシュメモリ24などに格納されたプログラムにより各種機能を実現する。
【0016】
通信I/F25は、ネットワークに接続するためのインタフェースである。接続I/F26は、通信路39を介して本体部10と通信するためのインタフェースである。
【0017】
操作パネル27は、透明電極で形成されたタッチ検出部と液晶表示部とを一体的に形成した、いわゆるタッチパネルである。操作パネル27は、操作者のタッチ操作による各種の入力を受け付けると共に、各種の情報(例えば受け付けた入力に応じた情報、画像形成装置1の動作状況を示す情報、設定状態などを示す情報など)を表示する。
【0018】
図2は、第1の実施の形態における画像形成装置1のソフトウェア構成例を示す図である。図2に示すように、本体部10は、アプリ層31と、サービス層32と、OS層33とを有する。アプリ層31、サービス層32、およびOS層33の実体は、ROM12(またはHDD14)に格納されている各種のプログラムである。これらのプログラムがCPU11に実行させる処理により、アプリ層31、サービス層32、およびOS層33の機能が実現される。
【0019】
操作部20は、アプリ層35と、サービス層36と、OS層37とを有する。操作部20が備えるアプリ層35、サービス層36及びOS層37も、階層構造については本体部10側と同様である。アプリ層35と、サービス層36と、OS層37の実体は、ROM22(またはフラッシュメモリ24)に格納されている各種のプログラムである。これらのプログラムがCPU21に実行させる処理により、アプリ層35、サービス層36、およびOS層37の機能が実現される。
【0020】
なお、アプリ層35のアプリにより提供される機能や、サービス層36が受け付け可能な動作要求の種類は、本体部10側とは異なる。アプリ層35のアプリとしては、操作部20が備えるハードウェア資源を動作させて所定の機能を提供するためのソフトウェアであってもよいが、主として、本体部10が備える機能(コピー機能、スキャナ機能、ファクス機能、プリンタ機能)に関する操作や表示を行うためのUI(ユーザインタフェース)の機能を提供するためのソフトウェアが含まれる。
【0021】
図3は、第1の実施の形態における画像形成装置1の機能構成例を示す図である。図3において、操作部20は、操作受付部211、操作処理部212、操作部タスク実行部213、CPU使用率計測部214、バックグラウンド処理管理部215及びバックグラウンド処理実行部216を有する。これら各部は、アプリ層35、サービス層36又はOS層37としてCPU21を機能させる1以上のプログラムがCPU21に実行させる処理により実現される。
【0022】
操作受付部211は、ユーザによる操作を受け付け、当該操作の内容を示す情報(操作情報)を操作処理部212へ通知する。
【0023】
操作処理部212は、操作受付部211から通知される操作情報に応じたタスクの実行を操作部タスク実行部213に要求する。なお、タスクとは、CPU使用率を消費する処理の実行単位をいう。例えば、タスクはプロセスであってもよい。
【0024】
操作部タスク実行部213は、操作処理部212から要求されたタスク(操作部20におけるフォアグラウンドのタスク(以下、「操作部タスク」という。))を実行する。操作部タスク実行部213は、また、操作部20のCPU21の使用率(CPU使用率)を把握する。
【0025】
CPU使用率計測部214は、操作部20が実行する1以上の処理によるCPU使用率(の合計)を操作部タスク実行部213に定期的に照会し、応答として得られるCPU使用率をリスナーの登録元に通知する。リスナーとは、CPU使用率の通知の要求元から予め登録される、CPU使用率の通知先の識別情報である。なお、第1の実施の形態において、CPU使用率は、CPU21の使用率をいう。
【0026】
バックグラウンド処理管理部215は、バックグラウンドで実行されるタスク(以下、「バックグラウンド処理」という。)を管理及び制御する。例えば、バックグラウンド処理管理部215は、バックグラウンド処理の実行をバックグラウンド処理実行部216へ要求する。バックグラウンド処理管理部215は、また、CPU使用率計測部214から通知されるCPU使用率の変化に基づいて、操作部20が実行する1以上のタスク(処理)のうちバックグラウンド処理に使用するCPU負荷を増加させるか減少させるかを判定する。例えば、バックグラウンド処理管理部215は、CPU使用率が閾値以上の場合に、バックグラウンド処理に使用するCPU負荷を減少させると判定する。
【0027】
バックグラウンド処理実行部216は、バックグラウンド処理管理部215からの命令に応じた処理を実行する。例えば、バックグラウンド処理実行部216は、バックグラウンド処理に使用するCPU負荷についてのバックグラウンド処理管理部215による判定の結果に応じて、当該CPU負荷を増加または減少させるための制御を行う。
【0028】
以下、画像形成装置1が実行する処理手順について説明する。図4は、第1の実施の形態において画像形成装置1が実行する処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。図4は、バックグラウンド処理の実行中に、CPU高負荷の操作部タスクの実行がユーザによって指示される場合の処理手順の一例を示す。
【0029】
ステップS100において、バックグラウンド処理管理部215は、バックグラウンド処理の実行前に、操作部20のCPU使用率をCPU使用率計測部214から通知してもらうためのリスナーをCPU使用率計測部214に登録する。
【0030】
その後、CPU使用率計測部214が、CPU使用率を操作部タスク実行部213に照会すると(S101)、操作部タスク実行部213は、CPU使用率をCPU使用率計測部214に応答する(S102)。当該CPU使用率には、フォアグラウンドで実行されているタスク(操作部タスク)のCPU使用率だけでなく、バックグラウンドで実行されているタスクのCPU使用率も加算された値である。すなわち、ここでのCPU使用率は、操作部20が実行する1以上のタスク(処理)によるCPU21の使用率の合計値である。但し、当該CPU使用率は、操作部タスクのCPU使用率の合計値であってもよい。
【0031】
続いて、CPU使用率計測部214は、登録されているリスナーを介してCPU使用率をバックグラウンド処理管理部215へ通知する(S103)。なお、ステップS101~S103は定期的(例えば、1秒ごと)に実行される。
【0032】
続いて、バックグラウンド処理管理部215は、バックグラウンド処理実行部216に対してバックグラウンド処理の実行を要求する(S104)。実行対象とされるバックグラウンド処理は、例えば、タスクのスケジュールや操作部20の状態等に基づいて特定されてもよい。バックグラウンド処理実行部216は、要求されたバックグラウンド処理を実行する(S105)。この際、CPU使用率の高い操作部タスクは実行されていないため(CPU使用率は閾値以上ではないため)、バックグラウンド処理に使用するCPU負荷については特段の制限は指定されない。したがって、ここでは、CPU負荷について特段の制限は無く高負荷でバックグラウンド処理が実行される。
【0033】
続いて、ユーザが、操作部タスクの実行指示に相当する操作を行うと(S110)、操作受付部211は、当該操作を示す操作情報を操作処理部212へ通知する(S111)。操作処理部212は、当該操作情報に基づいて、操作部タスクの実行要求を操作部タスク実行部213へ通知する(S112)。操作部タスク実行部213は、当該実行要求に応じ操作部タスクを実行する(S113)。
【0034】
その後にCPU使用率計測部214がCPU使用率を操作部タスク実行部213に照会すると(S114)、操作部タスク実行部213は、ステップS103と同様にCPU使用率をCPU使用率計測部214に応答する(S115)。但し、ここでは、バックグラウンド処理及び操作部タスクの実行によりCPU使用率が増加している。続いて、CPU使用率計測部214は、登録されているリスナーを介してCPU使用率をバックグラウンド処理管理部215へ通知する(S116)。
【0035】
バックグラウンド処理管理部215は、当該CPU使用率に基づいて、バックグラウンド処理に使用するCPU負荷を増加させるか減少させるかを判定する。具体的には、バックグラウンド処理管理部215は、当該CPU使用率を閾値と比較することで当該CPU負荷を増加させるか減少させるかを判定する。ここでは、高負荷な操作部タスクの実行により、当該CPU使用率が閾値以上であるとする。この場合、バックグラウンド処理に使用するCPU負荷を減少させると判定し、当該CPU負荷の減少をバックグラウンド処理実行部216に要求する(S117)。
【0036】
バックグラウンド処理実行部216は、バックグラウンド処理管理部215からの要求に応じ、バックグラウンド処理のCPU負荷(例えば、CPU使用率)を減少(低下)させるための制御を行う(S118)。例えば、バックグラウンド処理実行部216は、バックグラウンド処理のCPU使用率に対して上限を設定することで、バックグラウンド処理のCPU使用率が当該上限を超えないようにしてもよい。又は、バックグラウンド処理実行部216は、バックグラウンド処理にスリープを設けることで、平均的にCPU使用率を下げるように(予め設定された上限を超えないように)してもよい。その他の公知の方法によってバックグラウンド処理に使用するCPU負荷が下げられてもよい。また、CPU負荷として、CPU使用率以外の公知の指標が用いられてもよい。
【0037】
その後、操作部タスクが終了した後に(S119)、CPU使用率計測部214がCPU使用率を操作部タスク実行部213に照会すると(S120)、操作部タスク実行部213は、ステップS103と同様にCPU使用率をCPU使用率計測部214に応答する(S121)。この際、操作部タスクは終了しているため、CPU使用率は低下している。続いて、CPU使用率計測部214は、登録されているリスナーを介してCPU使用率をバックグラウンド処理管理部215へ通知する(S122)。
【0038】
バックグラウンド処理管理部215は、当該CPU使用率に基づいて、バックグラウンド処理に使用するCPU負荷を増加させるか減少させるかを判定する。ここでは、高負荷な操作部タスクの終了により、当該CPU使用率が閾値未満であるとする。この場合、バックグラウンド処理管理部215は、この場合、バックグラウンド処理に使用するCPU負荷を増加させると判定し、当該CPU負荷の増加をバックグラウンド処理実行部216に要求する(S123)。
【0039】
バックグラウンド処理実行部216は、バックグラウンド処理管理部215からの要求に応じ、バックグラウンド処理に使用するCPU負荷を増加させるための制御を行う(S124)。例えば、バックグラウンド処理実行部216は、ステップS118において開始した、バックグラウンド処理に使用するCPU負荷を減少させるための制御を終了することで、バックグラウンド処理に使用するCPU負荷を増加させる(S124)。例えば、バックグラウンド処理は、現時点における残りのCPU使用率の全部を使用することが許容される。
【0040】
その後、バックグラウンド処理が終了すると、バックグラウンド処理実行部216は、バックグラウンド処理の終了をバックグラウンド処理実行部216へ通知する(S125)。
【0041】
上述したように、第1の実施の形態によれば、操作部20のCPU使用率が相対的に高い場合は、バックグラウンド処理に使用するCPU負荷を減少させる一方で、操作部20のCPU使用率が相対的に低い場合は、バックグラウンド処理に使用するCPU負荷を増加させる。したがって、バックグラウンド処理の所要時間を短縮化することができる。
【0042】
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では第1の実施の形態と異なる点について説明する。したがって、特に言及されない点については、第1の実施の形態と同様でもよい。
【0043】
図5は、第2の実施の形態における画像形成装置1の機能構成例を示す図である。図5中、図3と同一又は対応する部分には同一符号を付与し、その説明は適宜省略する。図5において、操作部20は、操作受付部211、操作処理部212、バックグラウンド処理管理部215、バックグラウンド処理実行部及び通信部217を有する。これら各部は、アプリ層35、サービス層36又はOS層37としてCPU21を機能させる1以上のプログラムがCPU21に実行させる処理により実現される。
【0044】
操作部20は、また、負荷情報記憶部218を利用する。負荷情報記憶部218は、フラッシュメモリ24、又は操作部20にネットワークを介して接続する記憶装置等を用いて実現可能である。
【0045】
第2の実施の形態において、操作処理部212は、本体部10が実行するジョブについて、本体部10のジョブ実行部111へジョブの実行を要求する。例えば、ユーザがスキャンの実行を指示した場合、操作処理部212は、スキャンの実行要求をジョブ実行部111へ通知する。なお、ジョブとは、例えば、ユーザによる入力に応じた出力を得るまでに本体部10において実行される一連の処理をいう。
【0046】
バックグラウンド処理管理部215は、バックグラウンド処理を管理及び制御する。第1の実施の形態との違いとして、バックグラウンド処理管理部215は、本体部10において特定のジョブ(処理)が実行されているか否かに基づいて操作部20が実行する1以上のタスク(処理)のうちバックグラウンド処理に使用するCPU負荷を増加させるか減少させるかを判定する。例えば、バックグラウンド処理管理部215は、本体部10において特定のジョブが実行されている場合に、バックグラウンド処理に使用するCPU負荷を減少させると判定する。特定のジョブとは、操作部20のCPU21を高負荷にさせるジョブとして予め登録されているジョブである。
【0047】
負荷情報記憶部218は、ジョブごとに、操作部20のCPU21を高負荷にさせるか否かを示す情報(以下、「負荷情報」という。)を予め記憶する。負荷情報は、本体部10において実行されているジョブが、バックグラウンド処理の負荷を制御する必要のあるジョブであるか否かを判定するために用いられる。
【0048】
本体部10は、ジョブ実行部111及び通信部112を有する。これら各部は、アプリ層31、サービス層32又はOS層33としてCPU11を機能させる1以上のプログラムがCPU11に実行させる処理により実現される。
【0049】
ジョブ実行部111は、本体部10におけるジョブを実行する。
【0050】
通信部112は、通信路39を介した操作部20との通信を制御する。
【0051】
図6は、第2の実施の形態において画像形成装置1が実行する処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。図6は、操作部20においてバックグラウンド処理の実行中に本体部10にて操作部20のCPU21を高負荷にさせるジョブが実行される場合における操作部20のバックグラウンド処理の制御に関する処理手順の一例を示す。
【0052】
ステップS200において、バックグラウンド処理管理部215は、バックグラウンド処理実行部216に対してバックグラウンド処理の実行を要求する。続いて、バックグラウンド処理実行部216は、要求されたバックグラウンド処理をCPU21を使用して実行する(S201)。
【0053】
操作部20がバックグラウンド処理を実行中において、本体部10側のジョブの実行指示に相当する操作をユーザが行うと(S210)、操作受付部211は、当該操作を示す操作情報を操作処理部212へ通知する(S211)。操作処理部212は、当該操作情報に基づいて、ジョブの実行要求を本体部10のジョブ実行部111へ通知する(S212)。ジョブ実行部111は、当該実行要求において要求されたジョブを実行する。
【0054】
ここで、ジョブ実行部111は、ジョブの実行の開始時に、ジョブの実行の開始と共に実行対象のジョブ(以下、「対象ジョブ」という。)の種別の識別情報(以下、「ジョブ名」という。)をバックグラウンド処理管理部215へ通知する(S213)。
【0055】
バックグラウンド処理管理部215は、対象ジョブの実行の開始の通知に応じ、高負荷のジョブ(操作部20のCPU21を高負荷にさせるジョブ)であるか否かを判定する。具体的には、バックグラウンド処理管理部215は、対象ジョブのジョブ名に対して負荷情報記憶部218に記憶されている情報を参照して、対象ジョブが高負荷のジョブであるか否かを判定する(S214、S215)。
【0056】
図7は、負荷情報記憶部218の構成例を示す図である。図7に示すように、負荷情報記憶部218には、ジョブ名ごとに、当該ジョブ名に係るジョブの実行によって操作部20のCPU21が高負荷となるか否かを示す負荷情報が記憶されている。負荷情報の値はYes又はNoである。Yesは、CPU21が高負荷となるジョブであることを示す。Noは、CPU21が高負荷となるジョブではないことを示す。高負荷か否かは、例えば、CPU使用率の増加分を閾値と比較することで定められてもよい。
【0057】
例えば、対象ジョブのジョブ名が「スキャナ」又は「ファクス」であれば、バックグラウンド処理管理部215は、対象ジョブが高負荷のジョブであると判定する。
【0058】
バックグラウンド処理管理部215は、対象ジョブが高負荷のジョブである場合、バックグラウンド処理に使用するCPU負荷を減少させると判定する。そこで、バックグラウンド処理管理部215は、当該CPU負荷の減少をバックグラウンド処理実行部216に要求する(S216)。バックグラウンド処理実行部216は、バックグラウンド処理管理部215からの要求に応じ、バックグラウンド処理のCPU負荷を減少させるための制御を行う(S217)。斯かる制御の方法は、第1の実施の形態と同様でよい。
【0059】
その後、対象ジョブが終了すると、本体部10のジョブ実行部111は、対象ジョブの実行の終了をバックグラウンド処理管理部215へ通知する(S218)。
【0060】
バックグラウンド処理管理部215は、対象ジョブの実行の終了の通知に応じ、バックグラウンド処理に使用するCPU負荷を増加させると判定する。そこで、バックグラウンド処理管理部215は、当該CPU負荷の増加をバックグラウンド処理実行部216へ要求する(S219)。バックグラウンド処理実行部216は、バックグラウンド処理管理部215からの要求に応じ、バックグラウンド処理に使用するCPU負荷を増加させるための制御を解除する(S220)。
【0061】
なお、対象ジョブが高負荷のジョブでない場合、ステップS213~S216の代わりにステップS230~S232が実行される。
【0062】
ステップS230~232は、ステップS213~S215と処理手順は同じである。但し、ステップS232において、低負荷であることを示す負荷情報が取得される。この場合、バックグラウンド処理管理部215は、ステップS216に相当する処理を実行しない。したがって、バックグラウンド処理に使用するCPU負荷を減少させるための制御は実行されない。
【0063】
その後、バックグラウンド処理が終了する(S233)。
【0064】
上述したように、第2の実施の形態によれば、本体部10において操作部20のCPU21の負荷を高負荷とさせる特定のジョブが実行される場合に限って、操作部20のバックグラウンド処理に使用するCPU負荷を減少させる。したがって、バックグラウンド処理の所要時間を短縮化することができる。
【0065】
また、CPU使用率を取得できない場合もバックグラウンド処理に使用するCPU負荷を制御することができる。
【0066】
なお、上記では、特定のジョブの実行の開始及び終了に伴ってバックグラウンド処理に使用するCPU負荷を増減させる例を示したが、特定のジョブの一部の処理の実行や特定のジョブの画面の表示等に伴って、当該CPU負荷を増減させるようにしてもよい。この場合、負荷情報は、ジョブごとではなく、画面ごとや一部の処理ごとに設定されればよい。ジョブ実行部111は、画面の表示の開始及び終了の際や、一部の処理の開始及び終了の際に、当該開始又は当該終了をバックグラウンド処理管理部215に通知すればよい。バックグラウンド処理管理部215は、当該通知に応じて、上記した処理を実行すればよい。
【0067】
次に、第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態では第2の実施の形態と異なる点について説明する。したがって、特に言及されない点については、第2の実施の形態と同様でもよい。
【0068】
第2の実施の形態において特定のジョブが実施された場合にバックグラウンド処理のCPU負荷を減少させていた条件に加えて、そのバックグラウンド処理のCPU使用率が高い場合に当該バックグラウンド処理のCPU使用率を下げるようにしてもよい。
【0069】
具体的には、図6のステップS217において、バックグラウンド処理実行部216は、バックグラウンド処理管理部215からの要求に応じ、バックグラウンド処理のCPU使用率を計測し、当該CPU使用率が閾値以上であればバックグラウンド処理のCPU使用率を低下させるための制御を行う。
【0070】
こうすることで、例えば、スキャナのジョブが実行された場合に、プレビューを表示している期間において操作部20のCPU使用率が高くなるため、その期間のみバックグラウンド処理のCPU使用率を下げるといった制御を可能とすることができる。
【0071】
なお、上記各実施の形態は、画像形成装置1以外の情報処理装置に適用されてもよい。例えば、PJ(Projector:プロジェクタ)、IWB(Interactive White Board:相互通信が可能な電子式の黒板機能を有する白板)、デジタルサイネージ等の出力装置、HUD(Head Up Display)装置、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、ノートPC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ウェアラブルPCまたはデスクトップPC等の情報処理装置に上記各実施の形態が適用されてもよい。
【0072】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0073】
本発明の態様は、例えば、以下の通りである。
<1>
情報処理装置であって、
当該情報処理装置が実行する1以上の処理によるCPU使用率の変化に基づいて、バックグラウンド処理に使用するCPU負荷を増加させるか減少させるかを判定するバックグラウンド処理管理部と、
前記バックグラウンド処理管理部による判定の結果に応じて、前記CPU負荷を増加又は減少させるための制御を行うバックグラウンド処理実行部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
<2>
前記バックグラウンド処理管理部は、前記CPU使用率が閾値以上の場合に前記CPU負荷を減少させると判定する、
ことを特徴とする<1>記載の情報処理装置。
<3>
前記情報処理装置は、本体部とは別のCPUを有する操作部を有し、
前記バックグラウンド処理管理部は、前記本体部において特定の処理が実行される場合に、前記CPUについてバックグラウンド処理に使用するCPU負荷を減少させると判定する、
ことを特徴とする<1>又は<2>記載の情報処理装置。
<4>
前記特定の処理は、前記CPUを高負荷にさせる処理として予め登録されている処理である、
ことを特徴とする<3>記載の情報処理装置。
<5>
前記バックグラウンド処理実行部は、前記バックグラウンド処理管理部が前記CPU負荷を減少させると判定した場合に、前記バックグラウンド処理のCPU使用率に応じて前記CPU負荷を減少させるための制御を行う、
ことを特徴とする<3>又は<4>記載の情報処理装置。
<6>
画像形成装置であって、
当該画像形成装置が実行する1以上の処理によるCPU使用率の変化に基づいて、バックグラウンド処理に使用するCPU負荷を増加させるか減少させるかを判定するバックグラウンド処理管理部と、
前記バックグラウンド処理管理部による判定の結果に応じて、前記CPU負荷を増加又は減少させるための制御を行うバックグラウンド処理実行部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
<7>
情報処理装置が、
当該情報処理装置が実行する1以上の処理によるCPU使用率の変化に基づいて、バックグラウンド処理に使用するCPU負荷を増加させるか減少させるかを判定するバックグラウンド処理管理手順と、
前記バックグラウンド処理管理手順による判定の結果に応じて、前記CPU負荷を増加又は減少させるための制御を行うバックグラウンド処理実行手順と、
を実行することを特徴とする情報処理方法。
<8>
情報処理装置に、
当該情報処理装置が実行する1以上の処理によるCPU使用率の変化に基づいて、バックグラウンド処理に使用するCPU負荷を増加させるか減少させるかを判定するバックグラウンド処理管理手順と、
前記バックグラウンド処理管理手順による判定の結果に応じて、前記CPU負荷を増加又は減少させるための制御を行うバックグラウンド処理実行手順と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0074】
1 画像形成装置
10 本体部
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 HDD
15 通信I/F
16 接続I/F
17 エンジン部
18 システムバス
20 操作部
21 CPU
22 ROM
23 RAM
24 フラッシュメモリ
25 通信I/F
26 接続I/F
27 操作パネル
28 システムバス
31 アプリ層
32 サービス層
33 OS層
35 アプリ層
36 サービス層
37 OS層
111 ジョブ実行部
112 通信部
211 操作受付部
212 操作処理部
213 操作部タスク実行部
214 CPU使用率計測部
215 バックグラウンド処理管理部
216 バックグラウンド処理実行部
217 通信部
218 負荷情報記憶部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0075】
【特許文献1】特開2017-117243号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7