(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161729
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】フレームユニットの処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
H01L21/78 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072248
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 良信
【テーマコード(参考)】
5F063
【Fターム(参考)】
5F063AA18
5F063AA31
5F063DG17
(57)【要約】
【課題】シートの種類に関わらず、フレーム支持部に支持されたフレームユニットのフレームを、ウエーハが上方に突出するように押し下げることが可能なフレームユニットの処理方法を提供する。
【解決手段】本発明のフレームユニットの処理方法は、ウエーハを収容する開口部を中央に備えたフレームの該開口部にウエーハを位置付けてシートによってフレームと一体になったフレームユニットの処理方法であって、ウエーハとフレームとの間に位置するシートに溝を形成する溝形成工程と、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエーハを収容する開口部を中央に備えたフレームの該開口部にウエーハを位置付けてシートによってフレームと一体になったフレームユニットの処理方法であって、
ウエーハとフレームとの間に位置するシートに溝を形成する溝形成工程を含むフレームユニットの処理方法。
【請求項2】
該溝形成工程の後、ウエーハを支持するウエーハテーブルと該ウエーハテーブルの外周に配設されフレームを支持するフレーム支持部とを備える保持手段にフレームユニットを載置し、該フレーム支持部でフレームを支持し、ウエーハを該フレームから突出させるウエーハ突出工程を実施する請求項1に記載のフレームユニットの処理方法。
【請求項3】
該ウエーハ突出工程の後、突出したウエーハに加工を施す加工工程を備える請求項2に記載のフレームユニットの処理方法。
【請求項4】
該ウエーハ突出工程の後、突出したウエーハに他のシートを配設し、ウエーハを他のシートに移し替える移し替え工程を備える請求項2に記載のフレームユニットの処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエーハを収容する開口部を中央に備えたフレームの該開口部にウエーハを位置付けてシートによってフレームと一体になったフレームユニットの処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の複数のデバイスが、分割予定ラインによって区画され表面に形成されたウエーハは、ダイシング装置、レーザー加工装置によって個々のデバイスチップに分割され、携帯電話、パソコン等の電気機器に利用される。
【0003】
ウエーハは、ダイシング装置等によって個々のデバイスチップに分割されてもウエーハの形態を保った状態で次工程に搬送されるように、ウエーハを収容する開口部を中央に備えたフレームの該開口部にウエーハを位置付けてシートによってフレームと一体になったフレームユニットの状態でダイシング装置に搬入される(例えば特許文献1、2を参照)。
【0004】
また、上記のフレームユニットは、ウエーハを支持するウエーハテーブルと、ウエーハテーブルの外周に配設されフレームを支持するフレーム支持部とを備える保持手段に搬送され、ウエーハはウエーハテーブルに吸引保持され、フレームがフレーム支持部によって支持される際に押し下げられて、フレームの位置がウエーハよりも下がり、ウエーハが上方に突出する形態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-201178号公報
【特許文献2】特開2010-036275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記した特許文献1、2に記載されたウエーハとフレームとを一体にするシートとしては、塩化ビニルシート、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、ポリスチレンシート等、様々な種類が使用されており、各シートの伸び率が異なるものであることに起因して、選択されたシートの種類によっては、上記のフレーム支持部によって支持される際に、該シートが適切に伸びず、上記のフレームを適切に押し下げることができないという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事実に鑑みなされたものであり、その主たる技術課題は、シートの種類に関わらず、フレーム支持部に支持されたフレームユニットのフレームを、ウエーハが上方に突出するように押し下げることが可能なフレームユニットの処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、ウエーハを収容する開口部を中央に備えたフレームの該開口部にウエーハを位置付けてシートによってフレームと一体になったフレームユニットの処理方法であって、ウエーハとフレームとの間に位置するシートに溝を形成する溝形成工程を含むフレームユニットの処理方法が提供される。
【0009】
該溝形成工程の後、ウエーハを支持するウエーハテーブルと該ウエーハテーブルの外周に配設されフレームを支持するフレーム支持部とを備える保持手段にフレームユニットを載置し、該フレーム支持部でフレームを支持し、ウエーハを該フレームから突出させるウエーハ突出工程を実施するようにしてもよい。また、該ウエーハ突出工程の後、突出したウエーハに加工を施す加工工程を実施してもよい。さらに、該ウエーハ突出工程の後、突出したウエーハに他のシートを配設し、ウエーハを他のシートに移し替える移し替え工程を実施してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のフレームユニットの処理方法は、ウエーハを収容する開口部を中央に備えたフレームの該開口部にウエーハを位置付けてシートによってフレームと一体になったフレームユニットの処理方法であって、ウエーハとフレームとの間に位置するシートに溝を形成する溝形成工程を含んでいることから、シートに形成された溝によって引っ張り応力が緩和され、伸び率が悪いシートを使用している場合であっても、ウエーハをフレームから良好に突出させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態のフレームユニットを形成する態様を示す斜視図である。
【
図2】(a)溝形成工程の実施態様を示す斜視図、(b)シートに溝が形成されたフレームユニットの斜視図である。
【
図3】(a)
図2に示す溝の別の実施形態を示す斜視図、(b)
図2に示す溝のさらに別の実施形態を示す斜視図である。
【
図5】フレームユニットを保持手段に載置する態様を示す斜視図である。
【
図6】(a)
図5の実施態様の一部を断面で示す側面図、(b)突出工程の実施態様を示す斜視図である。
【
図7】加工工程の実施態様の一部を断面で示す側面図である。
【
図8】(a)突出工程が施されたフレームユニット上の移し替えるシートを位置づけた一部を断面で示す側面図、(b)フレームユニットのウエーハに移し替えるシートを貼着した状態の一部を断面で示す側面図、(c)ウエーハの移し替えが完了した状態の一部を断面で示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に基づいて構成されるフレームユニットの処理方法に係る実施形態について、添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0013】
図1の上段には、本実施形態のフレームユニットの処理方法によって処理されるフレームユニットUを形成する態様が示されている。フレームユニットUを形成するに際し、まず、図に示すようなウエーハ10と、フレームFと、シートTとを用意する。ウエーハ10は、例えばシリコンからなり、複数のデバイス12が分割予定ライン14によって区画され表面10aに形成された円形板状のウエーハである。フレームFは、ウエーハ10を収容する開口部Faを中央に備えた、例えばステンレススチールで形成された環状の板状物である。シートTは、例えば表面に粘着層を有する樹脂のシートであり、フレームFの裏面に外周が貼着される。なお、シートTは粘着層を有する樹脂のシートに限定されず、例えば加熱されることにより軟化して粘着力を発揮する熱圧着シートであってもよい。フレームユニットUを形成するに際しては、図示のように、フレームFの開口部Faにウエーハ10を位置付け、外周がフレームFに貼着されたシートTの表面をウエーハ10の裏面10bに貼着する。この結果、
図1の下段に示されているように、ウエーハ10とフレームFとがシートTによって一体とされたフレームユニットUが形成される。
【0014】
上記のようにフレームユニットUを用意したならば、フレームユニットUのシートTのうち、ウエーハ10とフレームFとの間に位置するシートTaの領域に溝を形成する溝形成工程を実施すべく、
図2に示すレーザー加工装置20(一部のみ示している)に、フレームユニットUを搬送する。レーザー加工装置20に搬送されたフレームユニットUは、図示を省略する保持手段に載置する。該保持手段は、フレームユニットU全体を支持する平坦面を保持面とし、該保持面には、複数の吸引孔を有する吸着手段が配設されている。該保持手段は、該保持手段とレーザー光線照射手段22とを相対的にX軸方向に加工送りするX軸送り手段と、該保持手段とレーザー光線照射手段22とを相対的にX軸方向と直交するY軸方向に加工送りするY軸送り手段と、該保持手段を回転させる回転駆動手段とを備えている(いずれも図示は省略する)。
【0015】
レーザー加工装置20に搬送されたフレームユニットUは、該保持手段に載置された後、図示を省略する吸引手段を作動することにより、該保持手段の保持面に吸引保持される。該保持手段に吸引保持されたフレームユニットUは、レーザー加工装置20に配設される撮像手段(図示は省略する)を用いて撮像され、アライメントが実施される。該アライメントによりフレームユニットUにおいてウエーハ10とフレームFの開口部Faとの間に位置するシートTaの領域、形状を検出する。
【0016】
上記したアライメントにより、ウエーハ10とフレームFの開口部Faとの間に位置するシートTaの形状を検出したならば、上記したX軸送り手段、Y軸送り手段を作動して、シートTaの領域における所定の加工開始位置の上方にレーザー光線照射手段22を位置付ける。次いで、シートTaの表面に該シートTaに対し吸収性を有する波長のレーザー光線LBの集光点を位置付けて照射すると共に、フレームユニットUをX軸方向に加工送りして所定の加工予定ラインに沿って、シートTaの領域にアブレーション加工を施して、図示のように所定の溝100を形成する。該溝100は、シートTaの裏面側には貫通しない溝であり、後述するウエー突出工程を実施して該シートTaを拡張しても破断しない程度の深さに形成される。
【0017】
所定の加工予定ラインに上記の溝100を形成したならば、フレームユニットUをY軸方向に予め定められた所定の間隔だけY軸送り手段によって割り出し送りして、Y軸方向で隣接する所定の加工予定ラインに沿って、上記したのと同様にしてレーザー光線LBをシートTaに照射し、フレームユニットUをX軸方向に加工送りして、溝100を形成する。同様にして、フレームユニットUをX軸方向加工送りすると共に、Y軸方向に割り出し送りして、シートTaの領域に対して複数の溝100を形成する。シートTaの全域に複数の溝100を平行に形成したならば、フレームユニットUを90度回転させて、既に溝100を形成した方向に直交する方向をX軸方向に整合させる。そして、シートTaの領域に、上記したのと同様にしてレーザー光線LBの集光点を位置付けて照射して、先に形成した溝100と直交する方向に、上記した所定の間隔で複数の溝100を形成する。以上により本実施形態の溝形成工程が完了する。この溝形成工程により、
図2(b)に示すように、フレームユニットUのシートTaの領域に対して複数の溝100が格子状に形成される。このように、シートTaに溝100を格子状に形成することにより、仮に該シートTが、伸び率の低い素材で形成されていた場合であっても、シートTaの領域を拡張する際の引張力が緩和されて、該シートTaを適切に伸長させることができる。
【0018】
なお、上記した実施形態における溝形成工程では、複数の溝100を格子状に形成したが、本発明の溝形成工程により形成される溝の形態はこれに限定されない。例えば、
図3(a)に示すように、ウエーハ10とフレームFとの間に位置するシートTaの領域全体に環状の溝110を多重に形成するようにしてもよい。該溝110を形成する場合には、上記したレーザー光線照射手段22を、シートTaの領域内であってフレームユニットUの中心位置から所定の半径位置に位置付け、集光点位置をシートTaの表面に位置づけてレーザー光線LBを照射すると共に、フレームユニットUを矢印R1で示す方向に回転して環状の溝110を形成する。該溝110を形成したならば、フレームユニットUの中心位置からレーザー光線LBを照射する位置までの距離を所定の間隔で変更しながら照射して、複数の該溝110を形成し、
図3(a)に示すような多重の環状の溝110とすることができる。
【0019】
さらに、本発明の溝形成工程により形成される溝の形態は、
図3(b)に示す形態であってもよい。
図3(b)に示す形態では、シートTaの領域内であって、フレームユニットUの中心を基端とする放射状方向に複数の溝120を形成する。該溝120を形成する際にも、上記のレーザー加工装置20のレーザー光線照射手段22、X軸送り手段、Y軸送り手段等を作動して形成することが可能であり、詳細についての説明は省略する。なお、本発明の溝形成工程により形成される溝の形態は、上記した形態に限定されず、上記の溝100~120の組み合わせであってもよい。
【0020】
上記した溝形成工程では、レーザー加工装置20の保持手段に対し、フレームユニットUのウエーハ10が貼着された側を上方に、シートT側を下方に向けて保持し、ウエーハ10とフレームFとの間に位置するシートTaに上記の溝100~120を形成するように説明したが、本発明はこれに限定されず、シートT側を上方に、ウエーハ10が貼着された側を下方に向けて保持し、上記したシートTにおけるシートTaの領域に溝を形成するようにしてもよい。
【0021】
また、上記した実施形態では、レーザー加工装置20のレーザー光線照射手段22を使用して溝100~120を形成したが、本発明はこれに限定されず、図示を省略する切削加工装置を使用して、環状の切り刃を有する切削ブレードにより溝を形成するものであってもよい。該切削ブレードにより上記のフレームユニットUのシートTaの領域に溝を形成する際には、
図1の下段に示すフレームユニットUの天地を反転し、シートT側を上方に向けて該切削装置の保持手段に保持させることが好ましく、該切削装置の切削ブレードにより、ウエーハ10とフレームFとの間に位置するシートTaの領域に切削ブレードにより形成される溝を、例えば、上記した溝100~120により形成された形態で形成するようにしてもよい。
【0022】
上記した溝形成工程により、フレームユニットUにおけるウエーハ10とフレームFとの間に位置するシートTaに溝を形成したならば、以下に説明するウエーハ突出工程を実施することができる。
【0023】
本実施形態におけるウエーハ突出工程は、
図4に示す切削装置30によって、ウエーハ10に対する切削加工を施すために実施される工程である。切削装置30は、略直方体形状のハウジング31を備え、ハウジング31のカセットテーブル32aに載置されるカセット32と、カセット32からフレームユニットUを仮置きテーブル33に搬出する搬出入手段34と、仮置きテーブル33に搬出されたフレームユニットUを、ウエーハテーブル36aを備えた保持手段36に搬送する旋回アームを有する搬送手段35と、ウエーハテーブル36aに保持されたウエーハ10に切削加工を施す切削ブレード38aを回転自在に備える切削手段38と、上記したウエーハテーブル36a上に保持されたウエーハ10を撮像して、切削手段38よって切削すべき領域を検出するためのアライメント手段37と、
図4においてウエーハテーブル36aが位置付けられた搬出入位置からウエーハ10を含むフレームユニットUを洗浄装置39(詳細については省略されている)に搬送する洗浄搬出手段39aと、を備えている。ウエーハテーブル36aは、上面にウエーハ10を保持する保持面を備えており、該保持面は、ウエーハ10の直径に対応する寸法である。該保持面は、通気性を有する部材により形成され、図示を省略する吸引手段に接続されている。該吸引手段を作動させることにより、該保持面に吸引負圧を生成して、ウエーハ10を吸引保持することができる。さらに、切削装置30には、図示を省略する制御手段、及び表示手段等が配設される。
【0024】
図5に示すように、切削装置30のウエーハテーブル36aの外周には、ウエーハテーブル36aにフレームユニットUを載置して保持する際に、フレームFを支持するフレーム支持部36bが均等な間隔で複数(本実施形態では4つ)配設されている。フレーム支持部36bには、該フレームFを把持する回動自在に配設された把持プレート36cが配設されている。
【0025】
該ウエーハ突出工程を実施するに際しては、
図5に示すように、フレーム支持部36bの把持プレート36cを開いた状態にし、フレームユニットUをウエーハテーブル36aに載置する。次いで、フレーム支持部36bの把持プレート36cを、
図6(a)に矢印R2で示す方向に回動させる。これにより、
図6(a)に示すように、回動する把持プレート36cがフレームFに係合し、
図6(b)に示すようにフレームFが矢印R3で示す方向に下降して、フレーム支持部36bによってフレームFが支持され、側方から見て、ウエーハ10がフレームFから上方に突出した状態となり、突出工程が完了する。
【0026】
本実施形態においては、フレームユニットUに対して、予め溝形成工程が施されていることにより、ウエーハ10とフレームFとの間に位置するシートTaの領域に適宜の溝(例えば、溝100~120のいずれか、又は組み合わせ)が形成されていることから、該突出工程において、フレーム支持部36bの把持プレート36cによってフレームFを押し下げる際に、シートTに形成された上記の溝によって突出工程における引っ張り応力が緩和されて、シートTが伸び率の低い素材によって形成されていた場合であっても、ウエーハ10をフレームFから適正に突出させることができる。
【0027】
上記したように、切削装置30のウエーハテーブル36aにおいて突出工程を実施したならば、突出させたウエーハ10に加工を施す加工工程を実施する。本実施形態では、上記の撮像手段37を使用してアライメントを実施し、該アライメントによってウエーハ10の表面10aに形成された分割予定ライン14の位置を検出する。次いで、撮像手段37によって検出した分割予定ライン14の位置情報に基づいて、ウエーハテーブル36aと切削手段38とをX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向に相対的に移動させる移動手段(図示は省略する)を作動して、
図7に示すように、切削手段38の切削ブレード38aを矢印R4で示す方向に高速回転させると共に、
図7に示すように、ウエーハ10の表面10aから切込み送りして、ウエーハテーブル36aをX軸方向、Y軸方向に加工送りすることで、ウエーハ10の全ての分割予定ライン14に沿って切削溝を形成して加工工程が完了する。本実施形態では、フレーム支持部36bでフレームFを支持することでフレームユニットUに対して突出工程を実施していることから、ウエーハ10がフレームFから上方に突出しており、切削ブレード38aにより切削加工を実施する際に、フレームFが邪魔になることがない。
【0028】
なお、上記した実施形態では、本発明の突出工程及び加工工程を、上記の切削装置30によって実施したが、本発明はこれに限定されない。本発明の突出工程、及び加工工程は、例えば、上記した保持手段36と同様の保持手段を備えた他の加工装置、例えば、図示を省略するレーザー加工装置によって実施することができる。その場合も、保持手段によって突出工程を実施し、該レーザー加工装置に配設された図示を省略するレーザー光線照射手段によって、ウエーハ10に対するレーザー加工を実施する加工工程を実施することができる。
【0029】
さらに、上記した実施形態では、
図6に基づき説明した突出工程を実施した後、突出したウエーハ10に加工を施す加工工程を実施したが、本発明はこれに限定されず、上記した突出工程により突出させたウエーハ10に、別の移し替え用のシートT’を貼着し、ウエーハ10を該シートT’に移し替える移し替え工程を実施するようにしてもよい。
【0030】
該移し替え工程を実施するに際しては、例えば、ウエーハ10を収容することが可能な開口部を中央に備えたフレームF’と、該フレームF’の該開口部を塞ぐようにフレームF’の裏面に貼着された粘着層を有する移し替え用のシートT’とを用意し、フレームFから突出したウエーハ10の表面10aに上記のシートT’の粘着層が形成された面(図中下面側)を対向させる(
図8(a)を参照)。なお、
図8(a)には説明の都合上、フレームF’及びシートT’の断面のみを示すが、本実施形態のフレームF’及びシートT’は、
図1の中段に示すフレームF及びシートTと同様の形態を備えている。
【0031】
上記したシートT’及びフレームF’を用意したならば、
図8(b)に示すように、て、矢印R5で示す方向に下降させて、シートT’をウエーハ10の表面10aに貼着する。次いで、
図8(c)に示すように、シートT’と共にウエーハ10を矢印R6で示す方向に上昇させて、ウエーハ10の裏面10bをフレームユニットUのシートTから剥離して、上記のシートT’に移し替える。以上により本発明の移し替え工程が完了する。なお、この移し替え工程を良好に実施すべく、上記した突出工程を実施する前に、シートTのウエーハ10に対する粘着力を低下させる粘着力低下工程を実施しておくことが好ましい。該粘着力低下工程を実施する方法としては、例えば、上記の突出工程を実施すべくウエーハテーブル36aにフレームユニットUを保持する前に、シートTの裏面側から紫外線を照射したり、該シートTを冷却したりする等の処理を施しておくことが好ましい。また、該粘着力低下工程を実施しない場合は、ウエーハ10の裏面10bに貼着されるシートTの粘着層の粘着力と比較し、シートT’に付与される粘着層の粘着力をより強いものに設定しておくとよい。上記したように、フレームユニットUに対して本実施形態により溝形成工程及び突出工程が施されていることで、上記の移し替え工程においても、剥離される側のシートTが、移し替えられるシートT’に触れることなく、適切に移し替え工程が実施される。
【符号の説明】
【0032】
10:ウエーハ
12:デバイス
14:分割予定ライン
20:レーザー加工装置
22:レーザー光線照射手段
30:切削装置
31:ハウジング
32:カセット
33:仮置きテーブル
34:搬出入手段
35:搬送手段
36:保持手段
36a:ウエーハテーブル
36b:フレーム支持部
36c:把持プレート
37:撮像手段
38:切削手段
38a:切削ブレード
39:洗浄装置
39a:洗浄搬送手段
100、110、120:溝
F、F’:フレーム
T、T’:シート