(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001618
(43)【公開日】2023-01-06
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置及びクリーニング方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20221226BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20221226BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20221226BHJP
H05H 1/46 20060101ALN20221226BHJP
【FI】
H01L21/302 101H
H01L21/302 101B
H01L21/31 C
C23C16/44 J
H05H1/46 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021102449
(22)【出願日】2021-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 和樹
【テーマコード(参考)】
2G084
4K030
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA04
2G084AA05
2G084BB29
2G084CC04
2G084CC05
2G084CC09
2G084CC12
2G084CC33
2G084DD02
2G084DD15
2G084DD23
2G084DD24
2G084DD37
2G084DD38
2G084DD55
2G084FF15
2G084FF20
2G084FF23
4K030DA06
4K030EA11
4K030FA03
4K030KA11
4K030KA41
5F004AA13
5F004BA09
5F004BB13
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB28
5F004CA06
5F004DA00
5F004DA01
5F004DA04
5F004DA26
5F004DB08
5F045BB14
5F045DP03
5F045EF05
5F045EG02
5F045EG06
5F045EH13
5F045EM05
(57)【要約】
【課題】排気空間の堆積物を効率良く除去すること。
【解決手段】チャンバは、内部に基板を配置するステージが設けられ、ステージの周囲に排気系につながる排気口が設けられている。バッフルは、ステージの周囲に設けられ、チャンバ内の空間を基板にプラズマ処理が実施される処理空間と、排気口につながる排気空間とに分ける。切替機構は、バッフルを、プラズマを遮蔽する遮蔽状態とプラズマが通過可能な透過状態に切り替える。制御部は、バッフルが遮蔽状態から透過状態、もしくは透過状態から遮蔽状態となるように切替機構を制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に基板を配置するステージが設けられ、前記ステージの周囲に排気系につながる排気口が設けられたチャンバと、
前記ステージの周囲に設けられ、前記チャンバ内の空間を前記基板にプラズマ処理が実施される処理空間と、前記排気口につながる排気空間とに分けるバッフルと、
前記バッフルを、プラズマを遮蔽する遮蔽状態とプラズマが通過可能な透過状態に切り替える切替機構と、
前記バッフルが遮蔽状態から透過状態、もしくは透過状態から遮蔽状態となるように前記切替機構を制御する制御部と、
を有するプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記チャンバ内でプラズマを生成して前記基板に対してプラズマ処理を実施する場合、前記バッフルが前記遮蔽状態となり、前記チャンバ内のプラズマクリーニングを実施する場合、前記バッフルが前記透過状態となるように前記切替機構を制御する
請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記バッフルは、複数のスリットが形成され、
前記切替機構は、前記複数のスリットの幅を変えることにより、前記バッフルを前記遮蔽状態と前記透過状態に切り替える
請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記バッフルは、ステージの周囲に沿って開口が形成され、それぞれ軸に固定された複数のブレードが前記開口に並べて配置され、各ブレードの間にスリットが形成され、
前記切替機構は、前記複数のブレードの前記軸を回転させて前記スリットの幅を変えることにより、前記遮蔽状態と前記透過状態に切り替える
請求項1~3の何れか1つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記切替機構は、前記スリットの幅をプラズマのシース幅の2倍よりも小さくすることにより前記バッフルを前記遮蔽状態とし、前記スリットの幅を前記シース幅の2倍以上に大きくすることにより前記バッフルを前記透過状態とする、
請求項3又は4に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記切替機構は、前記バッフルを接地電位とフロート状態に切り替え可能とし、前記バッフルを接地電位とすることにより前記バッフルを前記遮蔽状態とし、前記バッフルをフロート状態とすることにより前記バッフルを前記透過状態とする、
請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記切替機構は、接地電位とされた導電部材と前記バッフルとの接続箇所に設けられ、導電部材とバッフルを導通状態と非導通状態に切り替えるスイッチとされた、
請求項6に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記バッフルは、ステージの周方向に沿って複数の領域に区分され、前記複数の領域が個別に遮蔽状態と透過状態に切り替え可能とされ、
前記切替機構は、前記複数の領域でそれぞれ個別に遮蔽状態と透過状態に切り替える、
請求項1~7の何れか1つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記基板に対して前記プラズマ処理を実施する場合、前記バッフルの前記複数の領域が前記遮蔽状態となり、前記チャンバ内のプラズマクリーニングを実施する場合、前記バッフルの前記複数の領域のうちの一部又は全部が前記透過状態となるように前記切替機構を制御する、
請求項8に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記チャンバ内のプラズマクリーニングを実施する場合、前記バッフルの前記複数の領域を順に前記透過状態となるように前記切替機構を制御する、
請求項9に記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
内部に基板を配置するステージが設けられ、前記ステージの周囲に排気系につながる排気口が設けられたチャンバと、
前記ステージの周囲に設けられ、前記チャンバ内の空間を前記基板にプラズマ処理が実施される処理空間と、前記排気口につながる排気空間とに分けるバッフルと、
前記バッフルを、プラズマを遮蔽する遮蔽状態とプラズマが通過可能な透過状態に切り替え可能な切替機構と、
を備えたプラズマ処理装置のクリーニング方法であって、
前記バッフルが遮蔽状態から透過状態、もしくは透過状態から遮蔽状態となるように前記切替機構を制御する工程、
を有するクリーニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ処理装置及びクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、チャンバの基板を配置するステージの周囲に、真空ポンプにつながる排出口と、コンダクタンス制御構造とを備えたプラズマ処理チャンバシステムを開示する。コンダクタンス制御構造は、スリット形状の開口が形成され、排出口と開口とを揃わせるかずらせるかにより、排気の制御が可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0060404号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、排気空間の堆積物を効率良く除去する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によるプラズマ処理装置は、チャンバと、バッフルと、切替機構と、制御部とを有する。チャンバは、内部に基板を配置するステージが設けられ、ステージの周囲に排気系につながる排気口が設けられている。バッフルは、ステージの周囲に設けられ、チャンバ内の空間を基板にプラズマ処理が実施される処理空間と、排気口につながる排気空間とに分ける。切替機構は、バッフルを、プラズマを遮蔽する遮蔽状態とプラズマが通過可能な透過状態に切り替える。制御部は、バッフルが遮蔽状態から透過状態、もしくは透過状態から遮蔽状態となるように切替機構を制御する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、排気空間の堆積物を効率良く除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るプラズマ処理システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る排気空間への堆積物の堆積を説明する図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るバッフルプレートの構成の一例を説明する図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係るブレードの一例を説明する図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係るスリットの変化の一例を説明する図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係るバッフルプレートによる遮蔽状態と透過状態を説明する図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るクリーニング方法の処理順序の一例を説明する図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係るバッフルプレートの構成の他の一例を説明する図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係るプラズマクリーニングの際の透過状態とする領域18の切り替わりの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係るプラズマ処理装置1の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本願の開示するプラズマ処理装置及びクリーニング方法の実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態により、開示するプラズマ処理装置及びクリーニング方法が限定されるものではない。
【0009】
チャンバ内を減圧して基板に、プラズマエッチングなどのプラズマ処理を実施するプラズマ処理装置が知られている。プラズマ処理装置は、基板を載置するステージがチャンバ内の中央に設けられ、スペースの制限やメンテナンス性を考慮して、チャンバの底面の端付近に排気口が形成されることが多い。このようなプラズマ処理装置は、排気口から排気してチャンバ内を減圧した場合、排気特性の偏りが発生する。このため、プラズマ処理装置では、ステージの周囲にバッフルプレートを設けて排気特性を均一化している。
【0010】
ところで、プラズマ処理装置では、チャンバ内に堆積物が堆積する。例えば、プラズマ処理装置は、チャンバ内のプラズマ処理を実施する処理空間に堆積物が堆積するが、チャンバ内のバッフルプレートよりも排気口側となる排気空間にも堆積物が堆積する。
【0011】
そこで、排気空間の堆積物を効率良く除去する技術が期待されている。
【0012】
[第1実施形態]
[装置構成]
本開示のプラズマ処理装置の一例について説明する。以下に説明する実施形態では、本開示のプラズマ処理装置をシステム構成のプラズマ処理システムとした場合を例に説明する。
図1は、第1実施形態に係るプラズマ処理システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0013】
以下に、プラズマ処理システムの構成例について説明する。プラズマ処理システムは、容量結合プラズマ処理装置1及び制御部2を含む。容量結合プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10sに供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。側壁10aは接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10筐体とは電気的に絶縁される。
【0014】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板(ウェハ)Wを支持するための中央領域(基板支持面)111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域(リング支持面)111bとを有する。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。一実施形態において、本体部111は、基台及び静電チャックを含む。基台は、導電性部材を含む。基台の導電性部材は下部電極として機能する。静電チャックは、基台の上に配置される。静電チャックの上面は、基板支持面111aを有する。リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。1又は複数の環状部材のうち少なくとも1つはエッジリングである。また、図示は省略するが、基板支持部11は、静電チャック、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路には、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と基板支持面111aとの間に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0015】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、導電性部材を含む。シャワーヘッド13の導電性部材は上部電極として機能する。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0016】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する1又はそれ以上の流量変調デバイスを含んでもよい。
【0017】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、ソースRF信号及びバイアスRF信号のような少なくとも1つのRF信号(RF電力)を、基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ処理チャンバ10において1又はそれ以上の処理ガスからプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を基板支持部11の導電性部材に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0018】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、13MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に供給される。第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して基板支持部11の導電性部材に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、400kHz~13.56MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、基板支持部11の導電性部材に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0019】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、基板支持部11の導電性部材に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のバイアスDC信号は、基板支持部11の導電性部材に印加される。一実施形態において、第1のDC信号が、静電チャック内の電極のような他の電極に印加されてもよい。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、シャワーヘッド13の導電性部材に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、シャワーヘッド13の導電性部材に印加される。種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0020】
プラズマ処理チャンバ10は、内部に空間が形成された円筒状に形成され、内部の中央に上述した基板支持部11が配置されている。基板支持部11には、円柱状に形成され、プラズマ処理の対象とされた基板Wが載置される。また、プラズマ処理チャンバ10は、基板支持部11の周囲の基板支持部11よりも低い位置に内部を排気するガス排出口10eが形成されている。第1実施形態に係るプラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10の底部にガス排出口10eが形成されている。
【0021】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0022】
プラズマ処理チャンバ10は、基板支持部11の周囲にバッフルプレート14が設けられている。バッフルプレート14は、平坦な環状とされている。第1実施形態に係るバッフルプレート14は、内周側と外周側に平坦な平面が形成され、内周側よりも外周側が高くなるよう段差が形成されている。なお、バッフルプレート14は、段差の無い平面で形成されてもよい。バッフルプレート14は、基板支持部11の周囲を囲むように配置されている。バッフルプレート14は、内周側が基板支持部11に固定され、外周側がプラズマ処理チャンバ10の内側壁に固定されている。バッフルプレート14は、導電性を有するように形成されている。例えば、バッフルプレート14は、導電性金属などの導電性材料により形成されている。バッフルプレート14は、プラズマ処理チャンバ10の側壁10aと電気的に導通しており、側壁10aを介して接地されている。バッフルプレート14は、多数のスリットが形成されており、ガスが通過可能とされている。プラズマ処理チャンバ10の内部は、バッフルプレート14により、基板Wに対して基プラズマ処理を実施する処理空間であるプラズマ処理空間10sと、ガス排出口10eを含む排気空間10tとに分かれている。プラズマ処理空間10sは、ガス排出口10eへの排気の流れに対して、バッフルプレート14よりも上流側の空間である。排気空間10tは、ガス排出口10eへの排気の流れに対して、バッフルプレート14よりも下流側の空間である。
【0023】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aを含んでもよい。コンピュータ2aは、例えば、処理部(CPU:Central Processing Unit)2a1、記憶部2a2、及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。処理部2a1は、記憶部2a2に格納されたプログラムに基づいて種々の制御動作を行うように構成され得る。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0024】
次に、実施形態に係るプラズマ処理システムにより、基板Wに対してプラズマエッチングなどのプラズマ処理を実施する流れを簡単に説明する。不図示の搬送アーム等の搬送機構により基板Wが基板支持部11に載置される。プラズマ処理装置1は、プラズマ処理を実施する場合、排気システム40により、プラズマ処理チャンバ10内を減圧する。プラズマ処理装置1は、ガス供給部20から処理ガスを供給してシャワーヘッド13からプラズマ処理チャンバ10内に処理ガスを導入する。そして、プラズマ処理装置1は、RF電源31から少なくとも1つのRF信号を供給してプラズマ処理空間10sにプラズマを生成し、基板Wに対して、プラズマ処理を実施する。
【0025】
ところで、プラズマ処理を実施すると、プラズマ処理チャンバ10内に堆積物が堆積する。堆積物は、プラズマ処理空間10sに堆積物が堆積するが、プラズマ処理チャンバ10内のバッフルプレート14のガス排出口10e側となる排気空間10tにも堆積物が堆積しやすい。堆積物には、プラズマ処理により生成される生成物や、熱による灰などが含まれる。
【0026】
プラズマ処理装置1は、プラズマ処理を実施すると、プラズマ処理空間10sや排気空間10tに堆積物が堆積する。そこで、プラズマ処理装置1は、堆積物を除去するクリーニング処理を実施する。プラズマ処理装置1は、クリーニング処理を実施する場合、排気システム40により、プラズマ処理チャンバ10内を減圧する。プラズマ処理装置1は、ガス供給部20からクリーニングガスを供給してシャワーヘッド13からプラズマ処理チャンバ10内にクリーニングガスを導入する。そして、プラズマ処理装置1は、RF電源31から少なくとも1つのRF信号を供給してプラズマ処理空間10sにプラズマを生成し、プラズマクリーニングを実施する。ドライクリーニングは、基板支持部11の表面を保護するため、基板支持部11にダミー基板を載置して実施してもよい。
【0027】
クリーニングガスは、堆積物を除去可能であれば、何れのガス種であってもよい。例えば、堆積物が基板Wのエッチングプロセス時のエッチングガスから生じる有機系の生成物である場合、クリーニングガスとしては、O2、O3、CO、CO2など酸素含有ガスが挙げられる。また、堆積物がW(タングステン)、Ti(チタン)などの金属が含まれる有機膜である場合、クリーニングガスは、O2、CO、O3、CO2など酸素含有ガスや、酸素含有ガスにCF4、Cl2などのハロゲン含有ガスを添加したガス、F2ガス、ClF3ガスが挙げられる。また、堆積物がRu(ルテニウム)、コバルト(Co)、鉄(Fe)などメタルエッチングでの堆積物である場合、クリーニングガスとしては、メタノール(CH3OH)ガスが挙げられる。また、クリーニングガスとして、複数種類のガスを切り替えて供給してもよい。堆積物が複数の生成物や有機膜の積層膜である場合、クリーニングガスは、積層膜の最表面に露出している膜種に応じてガス種を選択して供給すればよい。堆積物となる反応生成物が異なる複数のステップ処理を実施するプラズマ処理と同時にクリーニング処理を行う場合、クリーニングガスは、ステップ処理毎に切り替えてもよい。
【0028】
ここで、従来のプラズマ処理装置1は、プラズマ処理の処理効率の向上や、基板Wに対する均一性を良くするため、プラズマ処理空間10sに生成されたプラズマが排気空間10tへ流れないようにバッフルプレート14でプラズマを遮蔽する。
【0029】
しかし、従来のプラズマ処理装置1は、プラズマクリーニングの際のクリーニングガスのプラズマもバッフルプレート14で遮蔽されるため、排気空間10tでの堆積物のクリーニングレートが低く、堆積物を完全に取り切ることはできていない。
【0030】
図2は、第1実施形態に係る排気空間10tへの堆積物の堆積を説明する図である。
図2には、プラズマ処理チャンバ10の基板支持部11の側面付近が拡大して示されている。
図2は、プラズマは、バッフルプレート14で遮蔽される。このため、従来のプラズマ処理装置1では、プラズマ処理の累積時間が長くなると、例えば、バッフルプレート14下の基板支持部11や側壁10aの壁面に堆積物50が堆積する。排気空間10tに堆積物50が堆積すると、例えば、次のような問題が発生する。排気空間10tの堆積物50は、パーティクルの発塵源となる。また、排気空間10tの堆積物50が、排気システム40の圧力調整弁に落ちて圧力調整弁の開度が変わり、プラズマ処理チャンバ10内の圧力が変わってしまう場合がある。従来のプラズマ処理装置1は、メンテナンスサイクル毎に、手動で堆積物50を除去する必要があり、メンテナンスに時間がかかる。
【0031】
そこで、実施形態に係るプラズマ処理装置1では、バッフルプレート14を、プラズマを遮蔽する遮蔽状態とプラズマが通過可能な透過状態に切り替え可能な構成としている。例えば、第1実施形態に係るバッフルプレート14は、複数のスリットが形成されており、複数のスリットの幅を変えることにより、遮蔽状態と透過状態に切り替え可能とされている。バッフルプレート14は、基板支持部11の周方向に沿って開口が形成されている。第1実施形態に係るバッフルプレート14は、内周側の平坦な平面に開口が形成されている。なお、バッフルプレート14は、外周側の平坦な平面や段差となる面に、後述する開口14bやブレード15が設けられてもよい。
【0032】
図3は、第1実施形態に係るバッフルプレート14の構成の一例を説明する図である。
図3には、バッフルプレート14の内周側の平坦な平面14aが示されている。平面14aには、バッフルプレート14の周方向に沿って開口14bが形成されている。開口14bには、複数のブレード15が並べて配置されている。各ブレード15は、棒状の軸15aに固定されており、軸15aを回転軸として回転可能とされている。各ブレード15の間には、スリット16として機能する隙間が形成される。各ブレード15の軸15aは、バッフルプレート14の開口14bを挟んだ平面14aに回転可能に支持されている。各ブレード15の軸15aは、切替機構により回転する。バッフルプレート14の平面14aには、切替機構として、シャフト17が設けられている。各ブレード15の軸15aは、ウォームギヤが設けられ、ウォームギヤを介してシャフト17と回転が伝達されて回転する。シャフト17は、不図示のサーボモータなどの動力源の駆動力により回転する。制御部2は、動力源を制御してシャフト17の回転を制御することで、各ブレード15の回転角度を制御可能とされている。なお、第1実施形態に係る切替機構は、軸15aを回転軸として各ブレード15を回転可能な構成であればどのような構成を用いてもよい。
【0033】
図4は、第1実施形態に係るブレード15の一例を説明する図である。上述のように、各ブレード15は、軸15aを回転軸として回転可能とされている。バッフルプレート14は、各ブレード15の回転角度を変えることで、ブレード15間のスリット16(隙間)の幅が変化する。
図5は、第1実施形態に係るスリット16の変化の一例を説明する図である。例えば、バッフルプレート14は、各ブレード15の平面を水平な状態とすることでスリット16の幅が狭くなり、各ブレード15の平面を垂直な状態とすることでスリット16の幅が広くなる。
【0034】
第1実施形態に係るバッフルプレート14は、各ブレード15の回転角度を制御してスリット16の幅を変えることで、プラズマを遮蔽する遮蔽状態とプラズマが通過可能な透過状態に切り替え可能とされている。
図6は、第1実施形態に係るバッフルプレート14による遮蔽状態と透過状態を説明する図である。バッフルプレート14は、スリット16の幅がプラズマのシース幅の2倍よりも小さくなると、プラズマがスリット16を通過できず、プラズマを遮蔽する。また、バッフルプレート14は、スリット16の幅がプラズマのシース幅の2倍以上に大きくと、プラズマがスリット16を通過でき、プラズマが透過する。バッフルプレート14は、各ブレード15の平面を水平にすると、スリット16の幅d
1がプラズマのシース幅d
shの2倍よりも小さくなり、各ブレード15の平面を垂直にすると、スリット16の幅d
2がシース幅d
shの2倍以上となるように構成されている。
【0035】
制御部2は、基板Wに対してプラズマ処理を実施する場合、バッフルプレート14を遮蔽状態に制御し、プラズマ処理チャンバ10内のプラズマクリーニングを実施する場合、バッフルプレート14を透過状態に制御する。
【0036】
例えば、制御部2は、動力源を制御することで各ブレード15の回転角度を制御して、バッフルプレート14のスリット16の幅を制御する。制御部2は、プラズマ処理を実施する場合、バッフルプレート14のスリット16の幅をプラズマのシース幅の2倍よりも小さくしてバッフルプレート14を遮蔽状態とする。例えば、制御部2は、プラズマ処理を実施する場合、各ブレード15の平面が水平な状態となるように回転角度を制御してバッフルプレート14を遮蔽状態とする。これにより、プラズマ処理装置1は、基板Wに対するプラズマ処理でプラズマ処理空間10sに生成されたプラズマがバッフルプレート14で遮蔽されてプラズマ処理空間10s内に留まるため、プラズマ処理の処理効率が向上する。また、プラズマ処理装置1は、基板Wに対して均一性を良くプラズマ処理を実施できる。
【0037】
また、制御部2は、プラズマクリーニングを実施する場合、バッフルプレート14のスリット16の幅をプラズマのシース幅の2倍以上に大きくしてバッフルプレート14を透過状態とする。例えば、制御部2は、プラズマ処理を実施する場合、各ブレード15の平面が垂直な状態となるように回転角度を制御してバッフルプレート14を透過状態とする。これにより、プラズマ処理装置1は、プラズマクリーニングでプラズマ処理空間10sに生成されたプラズマがバッフルプレート14を透過して排気空間10tに流れるため、排気空間10tの堆積物を効率良く除去できる。
【0038】
次に、実施形態に係るプラズマ処理装置1が実施するクリーニング方法の処理の流れについて説明する。
図7は、実施形態に係るクリーニング方法の処理順序の一例を説明する図である。
図7に示すクリーニング方法の処理は、基板Wに対するプラズマ処理又はプラズマクリーニングを実施する際に実行される。
【0039】
制御部2は、実施する処理がプラズマ処理であるか判定する(S10)。実施する処理がプラズマ処理である場合(S10:Yes)、制御部2は、バッフルプレート14を遮蔽状態に制御し(S11)、処理を終了する。例えば、制御部2は、動力源を制御することで各ブレード15の回転角度を制御し、バッフルプレート14のスリット16の幅をプラズマのシース幅の2倍よりも小さくしてバッフルプレート14を遮蔽状態とする。
【0040】
一方、制御部2は、実施する処理がプラズマクリーニングであり、プラズマ処理ではない場合(S10:No)、制御部2は、バッフルプレート14を透過状態に制御し(S12)、処理を終了する。例えば、制御部2は、動力源を制御することで各ブレード15の回転角度を制御し、バッフルプレート14のスリット16の幅をプラズマのシース幅の2倍以上に大きくしてバッフルプレート14を透過状態とする。
【0041】
なお、上記第1実施形態では、バッフルプレート14の全周を一様に遮蔽状態と透過状態に切り替え可能な構成とした場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。バッフルプレート14は、基板支持部11の周方向に沿って複数の領域に区分され、複数の領域を個別に遮蔽状態と透過状態に切り替え可能な構成とされてもよい。
図8は、第1実施形態に係るバッフルプレート14の構成の他の一例を説明する図である。バッフルプレート14は、平坦な環状とされている。バッフルプレート14は、周方向に沿って例えば4つの領域18(18a-18d)に区分されている。4つの領域18には、それぞれ開口19が形成され、開口19には、複数のブレード15が並べて配置されている。バッフルプレート14は、領域18ごとに、ブレード15の回転角度を切替機構により制御可能とされている。
【0042】
制御部2は、基板Wに対してプラズマ処理を実施する場合、バッフルプレート14の全ての領域18を遮蔽状態に制御し、プラズマ処理チャンバ10内のプラズマクリーニングを実施する場合、バッフルプレート14の領域18の一部又は全部を透過状態に制御する。例えば、制御部2は、プラズマ処理チャンバ10内のプラズマクリーニングを実施する場合、バッフルプレート14の4つの領域18を順に透過状態に制御する。
図9は、第1実施形態に係るプラズマクリーニングの際の透過状態とする領域18の切り替わりの一例を示す図である。
図9では、遮蔽状態の領域18に斜線のパターンを付し、透過状態の領域18にドットのパターンを付している。
図9(A)では、領域18a-18dが何れも遮蔽状態とされている。
図9(B)では、領域18b-18dが遮蔽状態とされ、領域18aの遮蔽がOFFとされて透過状態とされている。
図9(C)では、領域18を順に透過状態に制御しており、
図9(B)から領域18bが遮蔽状態に切り替わり、領域18cが透過状態に切り替わっている。これにより、プラズマ処理装置1は、プラズマクリーニングの際に、クリーニングガスのプラズマを透過状態とされた領域18の排気空間10tに局所的に集中して流すことができる。これにより、プラズマ処理装置1は、透過状態とされた領域18の排気空間10tの堆積物を効率良く、高レートで除去できる。また、プラズマ処理装置1は、バッフルプレート14の領域18を順に透過状態に制御することで、透過状態の領域18が順に切り替わり、排気空間10t全体をクリーニングできる。
【0043】
また、プラズマ処理装置1は、バッフルプレート14を
図8のような構成とすることで、各領域18のブレード15の傾きを調整することにより、プラズマ処理チャンバ10内で部分的な圧力調整に使用できる。例えば、プラズマ処理中に、基板W面上の圧力を周方向で部分的に調整できるため、エッチングレートの偏りの解消にも使用できる。また、プラズマ処理中に、部分的に透過状態にするとバッフルプレート14上のプラズマ密度が低下するため、基板W面上のプラズマ密度を周方向で部分的に調整でき、エッチングレートの偏りの解消にも使用できる。
【0044】
なお、
図8では4つの領域に区分されているが、これに限定されない。例えば2つ以上であればよく、更に8つの領域,12個の領域など多くの領域に区分することによって、透過状態とされた領域18の排気空間10tの堆積物をさらに効率良く、高レートで除去できる。また、プラズマ処理中の圧力もしくはプラズマ密度の周方向において、より細かく部分的な調整ができ、よりよいエッチングレートの偏りの解消にも使用できる。
【0045】
以上のように、第1実施形態に係るプラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10(チャンバ)と、バッフルプレート14と、切替機構(シャフト17、シャフト17を回転駆動するモータ等)と、制御部2と、を有する。プラズマ処理チャンバ10は、内部に基板Wを配置する基板支持部11(ステージ)が設けられ、基板支持部11の周囲に排気系につながるガス排出口10e(排気口)が設けられている。バッフルプレート14は、基板支持部11の周囲に設けられ、プラズマ処理チャンバ10内の空間を基板Wにプラズマ処理が実施されるプラズマ処理空間10sと、ガス排出口10eにつながる排気空間10tとに分ける。切替機構は、バッフルプレート14を、プラズマを遮蔽する遮蔽状態とプラズマが通過可能な透過状態に切り替える。制御部2は、プラズマ処理チャンバ10内でプラズマを生成して基板Wに対してプラズマ処理を実施する場合、バッフルプレート14が遮蔽状態となるように切替機構を制御する。また、制御部2は、プラズマ処理チャンバ10内のプラズマクリーニングを実施する場合、バッフルプレート14が透過状態となるように切替機構を制御する。これにより、プラズマ処理装置1は、排気空間10tの堆積物を効率良く除去できる。
【0046】
また、バッフルプレート14は、複数のスリット16が形成されている。切替機構は、複数のスリット16の幅を変えることにより、遮蔽状態と透過状態に切り替える。このように、プラズマ処理装置1は、バッフルプレート14のスリット16の幅を変えることで、バッフルプレート14を遮蔽状態と透過状態に切り替えることができる。
【0047】
また、バッフルプレート14は、基板支持部11の周囲に沿って開口14bが形成され、それぞれ軸15aに固定された複数のブレード15が開口14bに並べて配置され、各ブレード15の間にスリット16が形成されている。切替機構は、複数のブレード15の軸15aを回転させてスリット16の幅を変えることにより、バッフルプレート14を遮蔽状態と透過状態に切り替える。これにより、プラズマ処理装置1は、開口14bに配置された複数のブレード15を回転させることにより、バッフルプレート14を遮蔽状態と透過状態に切り替えることができる。
【0048】
また、切替機構は、スリット16の幅をプラズマのシース幅の2倍よりも小さくすることによりバッフルプレート14を遮蔽状態とし、スリット16の幅をシース幅の2倍以上に大きくすることによりバッフルプレート14を透過状態とする。これにより、プラズマ処理装置1は、バッフルプレート14を遮蔽状態と透過状態に切り替えることができる。
【0049】
また、バッフルプレート14は、基板支持部11の周方向に沿って複数の領域18に区分され、複数の領域18が個別に遮蔽状態と透過状態に切り替え可能とされている。切替機構は、複数の領域18でそれぞれ個別に遮蔽状態と透過状態に切り替える。これにより、プラズマ処理装置1は、クリーニングガスのプラズマを排気空間10tに局所的に集中して流すことができ、局所的にクリーニングを行うことができる。
【0050】
また、制御部2は、基板Wに対してプラズマ処理を実施する場合、バッフルプレート14の複数の領域18が遮蔽状態となるように切替機構を制御する。また、制御部2は、プラズマ処理チャンバ10内のプラズマクリーニングを実施する場合、バッフルプレート14の複数の領域18のうちの一部又は全部が透過状態となるように切替機構を制御する。これにより、プラズマ処理装置1は、クリーニングガスのプラズマを透過状態とされた領域18の排気空間10tに流すことができ、排気空間10tの一部を局所的に又は全部をクリーニングすることができる。
【0051】
また、制御部2は、プラズマ処理チャンバ10内のプラズマクリーニングを実施する場合、バッフルプレート14の複数の領域18を順に透過状態となるように切替機構を制御する。これにより、プラズマ処理装置1は、クリーニングガスのプラズマを透過状態とされた領域18の排気空間10tに局所的に集中して流すことができるため、透過状態とされた領域18の排気空間10tの堆積物を効率良く、高レートで除去できる。また、プラズマ処理装置1は、バッフルプレート14の領域18を順に透過状態に制御することで、透過状態の領域18が順に切り替わり、排気空間10t全体をクリーニングできる。
【0052】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態に係るプラズマ処理システム、プラズマ処理装置1及び制御部2は、第1実施形態と同様の構成であるため、同一部分の説明を省略し、主に異なる点を説明する。
【0053】
図10は、第2実施形態に係るプラズマ処理装置1の構成を説明する図である。
図10
には、プラズマ処理チャンバ10の基板支持部11の側面付近が拡大して示されている。
【0054】
基板支持部11の周囲には、第2実施形態と同様に、バッフルプレート14が設けられている。バッフルプレート14は、多数のスリットが形成されており、ガスが通過可能とされている。各スリットは、プラズマのシース幅の2倍よりも小さい幅で形成されている。
【0055】
バッフルプレート14は、プラズマを遮蔽する遮蔽状態とプラズマが通過可能な透過状態に切り替え可能な構成とされている。例えば、第2実施形態に係るバッフルプレート14は、接地電位とフロート状態に切り替え可能とされている。バッフルプレート14は、基板支持部11と接する内周部、及び側壁10aと接する外周部に誘電体などの絶縁部材が設けられ、基板支持部11及び側壁10aと絶縁されている。また、バッフルプレート14の周方向に沿って1又は複数箇所に、基板支持部11及び側壁10aとバッフルプレート14を導通状態と非導通状態に切り替えるスイッチ60(60a、60b)が設けられている。制御部2は、スイッチ60のオン、オフを制御することで、接地電位とフロート状態に切り替える。
【0056】
バッフルプレート14は、スイッチ60がオンされ、接地電位とされた側壁10aと導通して接地電位とされることにより遮蔽状態となり、スイッチ60がオフされ、フロート状態とされることにより透過状態となる。
【0057】
制御部2は、基板Wに対してプラズマ処理を実施する場合、バッフルプレート14を遮蔽状態に制御し、プラズマ処理チャンバ10内のプラズマクリーニングを実施する場合、バッフルプレート14を透過状態に制御する。例えば、制御部2は、スイッチ60をオンに制御して、バッフルプレート14を遮蔽状態とする。これにより、プラズマ処理装置1は、基板Wに対するプラズマ処理でプラズマ処理空間10sに生成されたプラズマがバッフルプレート14で遮蔽されてプラズマ処理空間10s内に留まるため、プラズマ処理の処理効率が向上する。また、プラズマ処理装置1は、基板Wに対して均一性を良くプラズマ処理を実施できる。また、制御部2は、プラズマクリーニングを実施する場合、スイッチ60をオフに制御して、バッフルプレート14を透過状態とする。これにより、プラズマ処理装置1は、プラズマクリーニングでプラズマ処理空間10sに生成されたプラズマがバッフルプレート14を透過して排気空間10tに流れるため、排気空間10tの堆積物を効率良く除去できる。
【0058】
なお、上記第2実施形態では、バッフルプレート14の全周を一様に遮蔽状態と透過状態に切り替え可能な構成とした場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。第2実施形態でも、バッフルプレート14は、基板支持部11の周方向に沿って複数の領域に区分され、複数の領域を個別に遮蔽状態と透過状態に切り替え可能な構成としてよい。バッフルプレート14は、基板支持部11の周方向に沿って複数の領域に区分され、複数の領域を個別に接地電位とフロート状態に切り替え可能な構成とすることにより、複数の領域を個別に遮蔽状態と透過状態に切り替え可能とする。
【0059】
また、スイッチ60は、基板支持部11とバッフルプレート14との間のスイッチ60aと側壁10aとバッフルプレート14との間のスイッチ60bの二つ備えているが、これに限定されない。例えば、スイッチ60aとスイッチ60bのいずれか一方のみで、スイッチではない他方は絶縁物によって固定されてもよい。また、基板支持部11とバッフルプレート14との間、側壁10aとバッフルプレート14の間は、ともに絶縁物によって固定され、バッフルプレート14からリード線によって、他の接地電位の箇所と他のスイッチを介して接続され、そのスイッチのオン/オフによってバッフルプレート14が遮蔽状態と透過状態とが切り替えられてもよい。
【0060】
以上のように、第2実施形態に係るプラズマ処理装置1は、切替機構を有する。切替機構は、バッフルプレート14を接地電位とフロート状態に切り替え可能とする。切替機構は、バッフルプレート14を接地電位とすることによりバッフルプレート14を遮蔽状態とし、バッフルプレート14をフロート状態とすることによりバッフルプレート14を透過状態とする。このように、プラズマ処理装置1は、バッフルプレート14を接地電位とフロート状態に切り替えることで、バッフルプレート14を遮蔽状態と透過状態に切り替えることができる。
【0061】
また、切替機構は、接地電位とされた導電部材とバッフルプレート14との接続箇所に設けられ、導電部材とバッフルプレート14を導通状態と非導通状態に切り替えるスイッチ60とする。これにより、プラズマ処理装置1は、スイッチ60により、バッフルプレート14を接地電位とフロート状態に簡易に切り替えることができる。
【0062】
以上、実施形態について説明してきたが、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上述した実施形態は、多様な形態で具現され得る。また、上述した実施形態は、請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0063】
例えば、上記の実施形態では、基板Wとして半導体ウェハにプラズマ処理を行う場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。基板Wは、何れであってもよい。
【0064】
また、制御部2が、プラズマ処理時にバッフルプレート14が遮蔽状態となり、クリーニング処理時にバッフルプレート14が透過状態となるように切替機構を制御する場合を例に説明したが、これに限定されない。例えば、同じクリーニング処理時であっても基板W上や基板支持部11上、およびプラズマ処理空間10sの側壁10aの壁面にある堆積物50を主にクリーニングするときは、バッフルプレート14を遮蔽状態としてもよい。すなわち、制御部2は、クリーニング処理時にバッフルプレート14が透過状態となるように切替機構を制御してもよい。また、プラズマ処理であっても、例えば基板W上のマスクの除去を行うアッシング時に、バッフルプレート14を透過状態にすることによって、排気空間の側壁10aの壁面のクリーニングを同時に行うことができ、スループットの改善が図れる。また、プラズマ処理中に、部分的に透過状態にするとバッフルプレート14上のプラズマ密度が低下するため、基板W面上のプラズマ密度を周方向で部分的に調整でき、エッチングレートの偏りの解消にも使用できる。すなわち、制御部2は、プラズマ処理時にバッフルプレート14が透過状態となるように切替機構を制御してもよい。
【0065】
また、上記の実施形態では、プラズマ処理装置を、プラズマ処理としてプラズマエッチングを実施する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。プラズマ処理装置は、基板Wに対してプラズマ処理を実施する装置であれば何れであってもよい。例えば、プラズマ処理装置は、プラズマを生成して成膜する成膜装置等であってもよい。
【0066】
なお、今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 プラズマ処理装置
2 制御部
10 プラズマ処理チャンバ
10a 側壁
10e ガス排出口
10s プラズマ処理空間
10t 排気空間
11 基板支持部
14 バッフルプレート
14a 平面
14b 開口
15 ブレード
15a 軸
16 スリット
17 シャフト
18 領域
50 堆積物
60、60a、60b スイッチ