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特開2023-161964液体吐出装置、液体吐出方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161964
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】液体吐出装置、液体吐出方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
B41J2/01 129
B41J2/01 451
B41J2/01 201
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072632
(22)【出願日】2022-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】丸茂 大樹
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB58
2C056EC72
2C056HA44
(57)【要約】
【課題】クリアインクを用いずに光沢感の制御を行うことにより生産性を向上させ、かつランニングコストを低減することができる液体吐出装置、液体吐出方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】UVインクを吐出する第1吐出ヘッドと、ラテックスインクを吐出する第2吐出ヘッドと、画像データに設定された光沢度を取得する取得部と、光沢度と、UVインクとラテックスインクとの吐出量の割合とを関連付ける光沢度変換情報に基づいて、取得部により取得された光沢度に対応する吐出量の割合を決定する第1決定部と、第1決定部により決定された吐出量の割合に従って、第1吐出ヘッドからUVインクを吐出させ、第2吐出ヘッドからラテックスインクを吐出させることにより画像形成を行う印刷制御部と、を備える。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
UVインクを吐出する第1吐出ヘッドと、
ラテックスインクを吐出する第2吐出ヘッドと、
画像データに設定された光沢度を取得する取得部と、
光沢度と、UVインクとラテックスインクとの吐出量の割合とを関連付ける光沢度変換情報に基づいて、前記取得部により取得された光沢度に対応する前記吐出量の割合を決定する第1決定部と、
前記第1決定部により決定された前記吐出量の割合に従って、前記第1吐出ヘッドからUVインクを吐出させ、前記第2吐出ヘッドからラテックスインクを吐出させることにより画像形成を行う印刷制御部と、
を備えた液体吐出装置。
【請求項2】
前記画像データに対する色変換により、該画像データの画像形成に用いるUVインクおよびラテックスインクの総量を決定する第2決定部を、さらに備え、
前記第1決定部は、前記第2決定部により決定された総量を超えないように、決定した前記吐出量の割合に従って、UVインクおよびラテックスインクそれぞれの吐出量を決定する請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記第1決定部は、前記画像データにおいて、設定された光沢度が高い領域ほどラテックスインクの割合を高くし、設定された光沢度が低い領域ほどUVインクの割合を高くなるように前記吐出量の割合を決定する請求項1または2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記第1吐出ヘッドおよび前記第2吐出ヘッドは、該第1吐出ヘッドの印字可能領域と、該第2吐出ヘッドの印字可能領域とが、副走査方向において少なくとも一部で重複するように配置された請求項1または2に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
UVインクを吐出する第1吐出ヘッドと、ラテックスインクを吐出する第2吐出ヘッドと、を備えた液体吐出装置の液体吐出方法であって、
画像データに設定された光沢度を取得する取得ステップと、
光沢度と、UVインクとラテックスインクとの吐出量の割合とを関連付ける光沢度変換情報に基づいて、取得した光沢度に対応する前記吐出量の割合を決定する決定ステップと、
決定した前記吐出量の割合に従って、前記第1吐出ヘッドからUVインクを吐出させ、前記第2吐出ヘッドからラテックスインクを吐出させることにより画像形成を行う印刷制御ステップと、
を有する液体吐出方法。
【請求項6】
UVインクを吐出する第1吐出ヘッドと、ラテックスインクを吐出する第2吐出ヘッドと、を備えた液体吐出装置のコンピュータに、
画像データに設定された光沢度を取得する取得ステップと、
光沢度と、UVインクとラテックスインクとの吐出量の割合とを関連付ける光沢度変換情報に基づいて、取得した光沢度に対応する前記吐出量の割合を決定する決定ステップと、
決定した前記吐出量の割合に従って、前記第1吐出ヘッドからUVインクを吐出させ、前記第2吐出ヘッドからラテックスインクを吐出させることにより画像形成を行う印刷制御ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置、液体吐出方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
カラーインクの印字する際に光沢感またはマット感を制御するためにクリアインクを使用する技術が既に知られている。
【0003】
例えば、光沢感およびマット感を制御するために、水系クリアインクと、水系カラーインクとを少なくとも有するインクを有する印刷装置であって、被印刷物を加熱する加熱手段と、を有し、当該加熱手段は、マット光沢印刷モードで水系クリアインクを被印刷物に印刷するマット印刷領域の被印刷物の温度と、グロス光沢印刷モードで水系クリアインクを被印刷物に印刷するグロス印刷領域の被印刷物の温度とが、所定式を満たすように加熱する技術が開示されている(例えば特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係る技術のように、クリアインクとカラーインクとを用いる技術では、光沢感を制御するために、用紙にカラーインクを印字させた後に、当該カラーインクの上からクリアインクを印字しなければならないため、生産性が低下してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、クリアインクを用いずに光沢感の制御を行うことにより生産性を向上させることができる液体吐出装置、液体吐出方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、UVインクを吐出する第1吐出ヘッドと、ラテックスインクを吐出する第2吐出ヘッドと、画像データに設定された光沢度を取得する取得部と、光沢度と、UVインクとラテックスインクとの吐出量の割合とを関連付ける光沢度変換情報に基づいて、前記取得部により取得された光沢度に対応する前記吐出量の割合を決定する第1決定部と、前記第1決定部により決定された前記吐出量の割合に従って、前記第1吐出ヘッドからUVインクを吐出させ、前記第2吐出ヘッドからラテックスインクを吐出させることにより画像形成を行う印刷制御部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、クリアインクを用いずに光沢感の制御を行うことにより生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る液体吐出装置の外観斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る液体吐出装置の要部構成の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る液体吐出装置のヒータ構成の一例を示す図である。
図4図4は、UVインクの着弾および固定の状態を説明する図である。
図5図5は、ラテックスインクの着弾、拡張および固定の状態を説明する図である。
図6図6は、光沢度に応じたインクの状態を説明する図である。
図7図7は、インク割合と光沢度との関係を示す図である。
図8図8は、従来の液体吐出ヘッドの構成の一例を示す図である。
図9図9は、実施形態に係る液体吐出装置の液体吐出ヘッドの構成の一例を示す図である。
図10図10は、実施形態に係る液体吐出装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図11図11は、実施形態に係る液体吐出装置の制御部の機能ブロックの構成の一例を示す図である。
図12図12は、実施形態に係る液体吐出装置の印字処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照しながら、本発明に係る液体吐出装置、液体吐出方法およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。また、以下の実施形態によって本発明が限定されるものではなく、以下の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想到できるもの、実質的に同一のもの、およびいわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下の実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換、変更および組み合わせを行うことができる。
【0010】
また、コンピュータソフトウェアとは、コンピュータの動作に関するプログラム、その他コンピュータによる処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものをいう(以下、コンピュータソフトウェアは、ソフトウェアという)。アプリケーションソフトとは、ソフトウェアの分類のうち、特定の作業を行うために使用されるソフトウェアの総称である。一方、オペレーティングシステム(OS)とは、コンピュータを制御し、アプリケーションソフト等がコンピュータ資源を利用可能にするためのソフトウェアのことである。オペレーティングシステムは、入出力の制御、メモリやハードディスク等のハードウェアの管理、プロセスの管理といった、コンピュータの基本的な管理・制御を行っている。アプリケーションソフトウェアは、オペレーティングシステムが提供する機能を利用して動作する。プログラムとは、コンピュータに対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わせたものをいう。また、プログラムに準ずるものとは、コンピュータに対する直接の指令ではないためプログラムとは呼べないが、コンピュータの処理を規定するという点でプログラムに類似する性質を有するものをいう。例えば、データ構造(データ要素間の相互関係で表される、データの有する論理的構造)がプログラムに準ずるものに該当する。
【0011】
(液体吐出装置の全体構成)
図1は、実施形態に係る液体吐出装置の外観斜視図である。図2は、実施形態に係る液体吐出装置の要部構成の一例を示す図である。図1および図2を参照しながら、本実施形態に係る液体吐出装置1の全体構成について説明する。
【0012】
本実施形態に係る液体吐出装置1は、広幅シリアル型のインクジェット記録装置である。図1および図2に示すように、液体吐出装置1は、装置本体10と、装置本体10を支持する支持台11と、制御部100と、を備える。
【0013】
装置本体10は、図1および図2に示すように、カートリッジ装填部2と、維持回復機構3と、側板10a、10bと、ガイドロッド12と、ガイドステー13と、サブ板金ガイド14と、キャリッジ15と、主走査機構部16と、光学センサ21と、液体吐出ヘッド23a、23b、23c(吐出ヘッド)と、供給チューブ24と、紫外線照射ユニット25と、給紙手段40と、搬送ガイド板191と、プラテン192と、を備えている。
【0014】
カートリッジ装填部2は、各色のインクカートリッジ22a、22b、22cを着脱自在に装着すること可能な装填部である。なお、インクカートリッジ22a、22b、22cについて、任意のインクカートリッジを示す場合、または総称する場合、単に「インクカートリッジ22」と称するものとする。インクカートリッジ22には、UVインクおよびラテックスインクが充填されている。UVインクおよびラテックスインクについての詳細は、後述する。インクカートリッジ22に充填されているインクは、図示しない供給ポンプユニットによって各色の供給チューブ24を介してキャリッジ15のサブタンクに補充供給される。なお、インクカートリッジ22は、白色等のインクカートリッジを含んでいてもよい。
【0015】
維持回復機構3は、キャリッジ15の主走査方向の一方側の非印字領域に搭載された、液体吐出ヘッド23a、23b、23cの状態を維持及び回復する機構である。維持回復機構3は、液体吐出ヘッド23a、23b、23cの各ノズル面をキャピングするためのキャップ31と、ノズル面をワイピングするための払拭ユニット32と、を備えている。また、維持回復機構3の下方側には、維持回復動作によって生じる廃液を収容するための交換可能な廃液タンクが設けられている。
【0016】
側板10a、10aは、ガイド部材であるガイドロッド12およびガイドステー13を掛け渡すための板部材である。
【0017】
ガイドロッド12およびガイドステー13は、キャリッジ15を主走査方向に摺動自在に保持するガイド部材である。サブ板金ガイド14は、装置本体10の背面を支持するガイド部材である。
【0018】
キャリッジ15は、主走査機構部16によって主走査方向(図1に示すA方向)に移動する部材である。具体的には、キャリッジ15は、主走査モータ17によって回転駆動されるタイミングベルト20を介して、主走査方向に移動する。また、キャリッジ15は、液体吐出ヘッド23a、23b、23cに対して各色のインクを供給するためサブタンクを搭載する。
【0019】
主走査機構部16は、キャリッジ15を主走査方向(A方向)に往復移動させる機構である。主走査機構部16は、図1に示すように、主走査モータ17と、駆動プーリ18と、従動プーリ19と、タイミングベルト20と、を備えている。
【0020】
主走査モータ17は、主走査方向の一方側に配置され、タイミングベルト20を回転移動させるモータである。駆動プーリ18は、タイミングベルト20が架け渡され、主走査モータ17によって回転駆動されるプーリである。従動プーリ19は、タイミングベルト20が架け渡され、主走査方向の他方側に配置されたプーリである。従動プーリ19は、テンションスプリングによって外方(駆動プーリ18に対して離れる方向)にテンションが掛けられている。タイミングベルト20は、駆動プーリ18と従動プーリ19との間に掛け回され、主走査モータ17の回転駆動により回転移動する牽引部材である。
【0021】
光学センサ21は、キャリッジ15に設置され、用紙41(記録媒体)の端部を検知する光学式のセンサである。
【0022】
液体吐出ヘッド23a、23b、23cは、キャリッジ15に搭載され、インクカートリッジ22に応じて、例えば、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)等の各色のインクをノズル列から吐出する記録ヘッドである。なお、液体吐出ヘッド23a、23b、23cについて、任意の液体吐出ヘッドを示す場合、または総称する場合、単に「液体吐出ヘッド23」と称するものとする。液体吐出ヘッド23は、B方向(副走査方向)に配列した複数のノズル列を有する。ここで、副走査方向とは、用紙41が搬送される方向(図1に示すB方向)であり、主走査方向と直交する方向である。液体吐出ヘッド23は、ノズル列からのインク吐出方向が下方(用紙41に向かう方向)となるように、キャリッジ15に設置されている。液体吐出ヘッド23a、23b、23cは、それぞれ副走査方向にずらされて設置される。
【0023】
供給チューブ24は、インクカートリッジ22に充填されているインクを、キャリッジ15のサブタンクに供給するためのチューブである。
【0024】
紫外線照射ユニット25は、液体吐出ヘッド23の主走査方向の両端に設置され、液体吐出ヘッド23から用紙41に吐出されたUVインクの硬化を促す紫外線を照射するユニットである。
【0025】
給紙手段40は、用紙41をプラテン192上で副走査方向に搬送するための機構である。
【0026】
搬送ガイド板191は、プラテン192上を搬送する用紙41を案内するガイド部材である。プラテン192は、給紙手段40により用紙41が搬送される部材である。
【0027】
制御部100は、液体吐出装置1の動作を制御するコント―ラである。なお、図2では、制御部100は、装置本体10の外部に図示されているが、装置本体10内に搭載されていてもよく、液体吐出装置1とは別個の外部装置であってもよい。
【0028】
(液体吐出装置のヒータ構成)
図3は、実施形態に係る液体吐出装置のヒータ構成の一例を示す図である。図3を参照しながら、本実施形態に係る液体吐出装置1のヒータ構成について説明する。なお、図3に示す例では、説明を簡略にするために、一部の液体吐出ヘッド23に関しては記載を省略している。
【0029】
図3に示すように、液体吐出装置1は、搬送ローラ160と、ファン180と、ヒータ190と、を備えている。
【0030】
搬送ローラ160は、搬送ガイド板191からプラテン192上を副走査方向(B方向)に、記録媒体P(図1に示した用紙41に相当)を搬送し、液体吐出ヘッド23が配置された画像形成部193へ搬送するためのローラ対である。搬送ローラ160によりプラテン192上に搬送された記録媒体Pは、液体吐出ヘッド23からのインクの吐出によって画像形成が行われる。なお、記録媒体Pとしては、ロールタイプの用紙以外にも、軟包装メディアと呼ばれるPET、PVC(Polyvinyl Chloride:ポリ塩化ビニル)、OPP(Oriented Polypropylene)、シート状のメディア等を使用することができる。
【0031】
ファン180は、液体吐出装置1の内部の空気の対流を促し、当該液体吐出装置1の上部における暖められた空気の滞留によって過剰に温度上昇することを防ぐ送風装置である。
【0032】
ヒータ190は、プリヒータ190aと、プリントヒータ190b、190cと、ポストヒータ190dと、乾燥ヒータ190eと、を有する。これらの各ヒータには、温度制御のために例えば、サーミスタ等の温度センサが設けられている。
【0033】
プリヒータ190aは、画像形成に適した温度に記録媒体Pを予熱するヒータである。例えば、プリヒータ190aは、アルミ箔コードヒータである。プリヒータ190aは、プラテン192に対して上流側の搬送ガイド板191の裏面に設置され、当該搬送ガイド板191自体を暖めることにより記録媒体Pを予熱する。
【0034】
プリントヒータ190b、190cは、画像形成部193において、記録媒体Pに画像形成されるとき、記録媒体Pを保温するヒータである。例えば、プリントヒータ190b、190cは、アルミ材であるプラテン192の中に埋め込まれたコードヒータである。プリントヒータ190b、190cは、プラテン192自体を暖めることにより記録媒体Pを暖める。
【0035】
ポストヒータ190dは、インクを乾燥させ定着させるために、画像形成された記録媒体Pを暖めるヒータである。例えば、ポストヒータ190dは、アルミ箔コードヒータである。ポストヒータ190dは、プラテン192に対して下流側の搬送ガイド板191の裏面に設置され、当該搬送ガイド板191自体を暖めることにより記録媒体Pを暖める。
【0036】
乾燥ヒータ190eは、インクを乾燥させ定着させるために、画像形成された記録媒体Pを暖めるヒータである。また、例えば、乾燥ヒータ190eは、赤外線ヒータである。乾燥ヒータ190eは、記録媒体Pの画像形成面に赤外線を放射して乾燥させる。なお、乾燥ヒータ190eは、ファンを備えて記録媒体Pの画像形成面に熱風を送るように構成されていてもよい。
【0037】
(UVインクおよびラテックスインクの定着方式について)
図4は、UVインクの着弾および固定の状態を説明する図である。図5は、ラテックスインクの着弾、拡張および固定の状態を説明する図である。図4および図5を参照しながら、本実施形態に係る液体吐出装置1で使用するUVインクおよびラテックスインクのそれぞれの定着方式の違いについて説明する。
【0038】
UVインクは、粘度が高く、図4(a)に示すように、用紙41に印字された(着弾した)インク滴(以下、ドットと称する場合がある)が用紙41上で広がりにくいという特性がある。さらに、UVインクのドットは、図4(b)に示すように、紫外線(UV)の照射によって速乾性を示し、レベリングが起きないため凹凸が起きやすく、立体感が出やすいため、光沢感が低くマット感が高くなりやすい。ここで、マット感とは、光沢がなく艶のない質感をいうものとする。
【0039】
ラテックスインクは、図5(a)に示すように、水および有機溶剤を含む溶剤1001と、顔料1002と、樹脂1003とを含むインクである。ラテックスインクは、UVインクとは逆に粘度が低く、図5(b)に示すように、用紙41に着弾した後、用紙41上で拡張して広がりやすく、レベリングが起こりやすい。また、ラテックスインクは、図5(c)に示すように、ヒータの熱によってドット中の水分および有機溶剤が揮発する乾燥方式によって用紙41に固定されるため、固定するまでに時間はかかるものの、レベリングにより平滑度が得やすくなるため、マット感が低く光沢感が高くなりやすい。
【0040】
(インク割合と光沢度との関係について)
図6は、光沢度に応じたインクの状態を説明する図である。図7は、インク割合と光沢度との関係を示す図である。図6および図7を参照しながら、液体吐出装置1で使用するUVインクとラテックスインクとを用いることにより光沢を出す原理、およびインク割合と光沢度との関係について説明する。
【0041】
まず、図6(a)に示すように、用紙41上にラテックスインクのドットであるUVインク1100のみで印字された場合、各UVインク1100ではレベリング起きないため、ドットの表面上に凹凸が発生するため、光沢感が低くマット感が高い画像となる。
【0042】
次に、図6(b)に示すように、レベリングが起こりにくいUVインク1100と、レベリングが起きやすいラテックスインク1200と、を組み合わせることによって、レベリングにより光沢感を得やすいラテックスインク1200の機能により、全体として光沢感を向上させることができる。
【0043】
さらに、図6(c)に示すように、用紙41上にレベリングが起きやすいラテックスインク1200のみで印字された場合、高い光沢感を有する画像を得ることができる。
【0044】
以上のことから、図7に示すように、UVインクとラテックスインクとの吐出量の割合(インク割合)を変化させることによって、低光沢から高光沢の質感を自在に制御することが可能となる。具体的には、図7に示すように、UVインクが占める割合が高いほど光沢度が低くなり、マット感の高い印字画像を得ることができる。一方、ラテックスインクが占める割合が高いほど光沢感が高い印字画像を得ることができる。ここで、UVインクとラテックスインクとの割合で光沢度制御する例を記載したが、用紙41上でレベリングしやすいインクとレベリングが起きにくいインクとを組み合わせることで同様の効果が得られる。乾燥速度の異なる溶媒のラテックスインクはレベリングの状態が異なる。乾燥速度の速いラテックスインクはレベリングが発生しづらく、乾燥速度の遅いラテックスインクはレベリングが発生しやすい。また、用紙41へのインクの浸透性やインクの表面張力や粘度等の物性によってもレベリングの状態は異なる。このように用紙41上でレベリングの状態が異なるインクの割合を変えることで印字された画像の光沢度を制御することができる。また、上述の例では、UVインクおよびラテックスインクの2種類で光沢を制御することを記載したが、UVインクと、用紙41上でレベリングの状態が異なる2種類以上のラテックスインクとを組み合わせて光沢を制御することもできる。
【0045】
(液体吐出ヘッドのノズル構成)
図8は、従来の液体吐出ヘッドの構成の一例を示す図である。図9は、実施形態に係る液体吐出装置の液体吐出ヘッドの構成の一例を示す図である。
【0046】
まず、図8を参照しながら、従来の液体吐出ヘッドの構成について説明する。上述のように従来の技術では、カラーインクで印字した後に、そのカラーインクのドットのうえからクリアインクを印字(後塗り)するため、図8に示すように、液体吐出ヘッドとしてカラーヘッドCRHと、クリアヘッドCLHとが必要になる。カラーヘッドCRHおよびクリアヘッドCLHが、図8に示すように主走査方向に横並びに配置された構成の場合、クリアインクを後塗りしなければならないため、カラーヘッドCRHの副走査方向の印字可能領域と、クリアヘッドCLHの副走査方向の印字可能領域とをずらす必要がある。このため、1回のスキャンで印字が可能な画像の領域が減少するため、生産性が低下してしまう。ここで、印字可能領域とは、液体吐出ヘッドにおけるインクの吐出による画像形成が可能なノズル群で構成される吐出領域をいうものとする。なお、液体吐出ヘッドを縦に並べることにより、ある程度の速度は確保可能だが、2ヘッドともカラーインクの構成に対しては生産性が半分以下となってしまう。また、従来の液体吐出ヘッドの構成では、カラーインクにより印字された画像の上に、さらにクリアインクを重ねて印字することによって光沢を制御するため、クリアインクの使用量が増大し生産性が低下するのでランニングコストが増大してしまう。
【0047】
一方、図9に示す本実施形態に係る液体吐出装置1の液体吐出ヘッドの構成について説明する。図9に示すカラーヘッドCRH1(第1吐出ヘッド)およびカラーヘッドCRH2(第2吐出ヘッド)は、図2に示した液体吐出ヘッド23a~23cのうち、いずれか2つと考えればよい。なお、図2では、液体吐出ヘッド23a~23cの配置は、副走査方向にずれた配置をしているが、この配置に限定されるものではなく、図9に示す例では、カラーヘッドCRH1およびカラーヘッドCRH2は、主走査方向に横並びに配置された構成であるものとして、説明する。
【0048】
図9に示すように、カラーヘッドCRH1は、UVインクを吐出する液体吐出ヘッドである。また、カラーヘッドCRH2は、ラテックスインクを吐出する液体吐出ヘッドである。図9に示すカラーヘッドCRH1およびカラーヘッドCRH2は、図8に示した構成のように、クリアインクによる後塗りの必要がないため印字可能領域をずらす必要がなく、各カラーヘッドの副走査方向の全域を印字可能領域とすることが可能である。したがって、印字動作(画像形成)についての生産性を向上することができる。なお、図9に示す例では、カラーヘッドCRH1の印字可能領域と、カラーヘッドCRH2の印字可能領域とが、副走査方向の全域で重複しているものを示しているが、これに限定されるものではなく、副走査方向の少なくとも一部で重複するようにしてもよく、これによっても生産性の向上が可能である。
【0049】
(液体吐出装置のハードウェア構成)
図10は、実施形態に係る液体吐出装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図10を参照しながら、本実施形態に係る液体吐出装置1のハードウェア構成について説明する。
【0050】
図10に示すように、液体吐出装置1は、制御部100と、操作パネル120と、センサ130と、ヘッドドライバ140と、主走査モータ17と、副走査モータ150と、ファン180と、ヒータ190と、紫外線照射ユニット25と、を備えている。
【0051】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、NVRAM(Non-Volatile RAM)104と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)105と、印刷制御部106と、モータ駆動部107と、I/O108と、ホストI/F109と、ファン制御部110と、ヒータ制御部111と、紫外線照射制御部112と、を備えている。
【0052】
CPU101は、液体吐出装置1全体の制御を行う演算装置である。ROM102は、CPU101が実行するプログラム等の固定データを記憶する不揮発性記憶装置である。RAM103は、CPU101による演算処理のワークエリアとなる揮発性記憶装置である。また、RAM103は、画像データ等を一時的に記憶する。
【0053】
NVRAM104は、液体吐出装置1の電源が遮断されている間もデータを保持する不揮発性記憶装置である。NVRAM104は、図7に示したようなUVインクとラテックスインクとの吐出量の割合(インク割合)と、光沢度とを関連付けた光沢度変換テーブル(光沢度変換情報の一例)を記憶している。光沢度変換テーブルは、予め液体吐出装置1の特性として、UVインクとラテックスインクとの吐出量の割合と光沢度との関係を測定して生成されたテーブルである。なお、インク割合としては、0[%]の割合、および100[%]の割合も含み、すなわち、光沢度との関係からUVインクのみで吐出する場合およびラテックスインクのみで吐出する場合もある。
【0054】
ASIC105は、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理、その他の液体吐出装置1全体を制御するための入出力信号を処理する集積回路である。
【0055】
印刷制御部106は、ヘッドドライバ140を介して液体吐出ヘッド23の吐出動作を制御する制御回路である。印刷制御部106は、液体吐出ヘッド23を駆動するためのデータをヘッドドライバ140へ転送する。例えば、印刷制御部106は、画像データをシリアルデータで転送すると共に、画像データの転送に要する転送クロック、ラッチ信号、制御信号等をヘッドドライバ140に出力する。ヘッドドライバ140は、シリアルに入力される液体吐出ヘッド23の一行分に相当する画像データに基づいて、印刷制御部106から受信した駆動波形を構成する駆動パルスを、液体吐出ヘッド23の圧力発生手段に対して選択的に与えることにより、液体吐出ヘッド23を駆動してインクを吐出させる。なお、駆動波形を構成するパルスの一部または全部、パルスを形成する波形用要素の一部または全部を選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴等の大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
【0056】
モータ駆動部107は、主走査モータ17および副走査モータ150の動作を制御する駆動回路である。主走査モータ17は、モータ駆動部107による制御に従って、キャリッジ15を主走査方向に移動させる。副走査モータ150は、モータ駆動部107による制御に従って、搬送ローラ160を回転させて記録媒体Pを副走査方向に搬送させる。
【0057】
I/O108は、センサ130からの情報を取得し、液体吐出装置1の各部の制御に利用される情報を抽出するためのインターフェース回路である。センサ130は、例えば、上述の光学センサ21である。
【0058】
ホストI/F109は、クライアントPC(Personal Computer)等の情報処理装置、画像読取装置、撮影装置等であるホスト170側との間でデータおよび信号の送受信を行うインターフェース回路である。具体的には、ホストI/F109は、ホスト170からケーブルまたはネットワークを介してデータや信号の送受信を行う。ホストI/F109の受信バッファに格納された印刷データは、CPU101によって解析され、ASIC105によって画像処理およびデータの並び替え処理等が行われ、印刷制御部106によって吐出データとしてヘッドドライバ140に転送される。
【0059】
ファン制御部110は、所定の温度および風量の送風が行われるようにファン180の出力を制御する制御回路である。
【0060】
ヒータ制御部111は、設定された温度となるようにヒータ190を制御する制御回路である。
【0061】
紫外線照射制御部112は、紫外線照射ユニット25による紫外線の照射動作を制御する制御回路である。紫外線照射制御部112は、記録媒体P(用紙41)に対して液体吐出ヘッド23から吐出されたUVインクのドットを硬化させるために、紫外線照射ユニット25に紫外線を照射させる。
【0062】
操作パネル120は、各種情報の入力および出力を行う装置である。
【0063】
なお、図10に示した液体吐出装置1のハードウェア構成は一例を示すものであり、図10に示した構成要素を全て含む必要はなく、または、その他の構成要素を含むものとしてもよい。
【0064】
また、副走査モータ150によって記録媒体Pを副走査方向に搬送させる構成に限定されるものではなく、キャリッジ15を主走査方向に移動させるだけでなく、副走査方向に移動する構成であってもよい。すなわち、キャリッジ15の主走査方向への移動時にインクを吐出する動作と、副走査方向へキャリッジ15を所定量移動させる動作と、を交互に行う構成であってもよい。
【0065】
(液体吐出装置の制御部の機能ブロックの構成および動作)
図11は、実施形態に係る液体吐出装置の制御部の機能ブロックの構成の一例を示す図である。図11を参照しながら、本実施形態に係る液体吐出装置1の制御部100の機能ブロックの構成および動作について説明する。
【0066】
図11に示すように、制御部100は、画像データ取得部201と、インク付着量決定部202(第2決定部)と、光沢度取得部203(取得部)と、インク吐出割合決定部204(第1決定部)と、出力部205と、を有する。
【0067】
画像データ取得部201は、例えば、ホストI/F109を介して、外部装置(例えばホスト170)から、予め目標とする光沢度のデータが埋め込まれた、印刷対象の画像データを取得する機能部である。すなわち、画像データには、光沢度が設定されている。
【0068】
インク付着量決定部202は、画像データ取得部201により取得された画像データに対してICC(International Color Consortium)プロファイルによる色変換を行うことによって、当該画像データの画像形成に用いるカラーインク(UVインク、ラテックスインク)の総付着量(総量)を決定する機能部である。例えば、インク付着量決定部202は、画像データがRGB値によって構成されている場合、ICCプロファイルを用いた色変換により、カラーインクの付着量を規定するCMYK値のデータに変換する。ここで、カラーインクの総付着量とは、UVインクおよびラテックスインクの合計の付着量である。
【0069】
光沢度取得部203は、画像データ取得部201により取得された画像データに埋め込まれた光沢度を読み取って取得する機能部である。
【0070】
インク吐出割合決定部204は、NVRAM104に記憶された光沢度変換テーブルを参照し、光沢度取得部203により取得された光沢度に関連付けられたUVインクとラテックスインクとの吐出量の割合(インク割合)を決定する機能部である。例えば、インク吐出割合決定部204は、画像データにおいて、設定された光沢度が高い領域ほどラテックスインクの割合を高くし、設定された光沢度が低い領域ほどUVインクの割合を高くなるように決定する。そして、インク吐出割合決定部204は、インク付着量決定部202により決定された総付着量を超えないように、決定したインク割合に従って、UVインクおよびラテックスインクそれぞれの吐出量を決定する。
【0071】
出力部205は、画像データ取得部201により取得された画像データから、インク吐出割合決定部204により決定された各インクの吐出量に基づくドットデータに変換し、当該ドットデータを印刷制御部106およびモータ駆動部107へ出力する機能部である。各インクのドットデータは、ドットごとにインク滴の大きさまたはドットサイズの情報を有していてもよい。ドットサイズの情報は、例えば液体吐出ヘッド23から吐出されるインク滴の大きさに対応する大滴、中滴、小滴を示す情報であってもよい。ドットデータが、ドットごとにインク滴の大きさまたはドットサイズの情報を有することで、ドットごとに各インクの吐出量を細かく調整することができる。そして、印刷制御部106による液体吐出ヘッド23のインクの吐出動作、およびモータ駆動部107による記録媒体P(用紙41)の副走査方向への搬送動作により、当該記録媒体Pに画像が印字される。すなわち、液体吐出ヘッド23に含まれるカラーヘッドCRH1からドットデータで規定されるUVインクの吐出量に従って、UVインクが吐出され、液体吐出ヘッド23に含まれるカラーヘッドCRH2からドットデータで規定されるラテックスインクの吐出量に従って、ラテックスインクが吐出される。ここで、UVインクおよびラテックスインクの記録媒体Pへの吐出順(印字順)は任意に設定できる。印刷制御部106は、常にUVインクを先に印字するように制御してもよく、キャリッジ15の主走査方向に応じて先に印字するインクを主走査ごとに入れ替えてもよい。また、インク吐出割合決定部204は、UVインクおよびラテックスインクの印字する順番ごとに異なる光沢度変換テーブルを取得し、キャリッジ15の主走査の方向に合わせて異なる光沢度変換テーブルに基づいて、UVインクの吐出量とラテックスインクの吐出量との割合を決定してもよい。これにより、キャリッジ15の主走査の方向および画像データに含まれる光沢度に応じて吐出量の割合を設定することができる。
【0072】
上述の画像データ取得部201、インク付着量決定部202、光沢度取得部203、インク吐出割合決定部204および出力部205は、例えば、図10に示したCPU101によりプログラムが実行されることによって実現される。なお、これらの機能部の一部または全部は、ソフトウェアであるプログラムではなく、FPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC等のハードウェア回路(集積回路)によって実現されてもよい。
【0073】
また、図11に示す液体吐出装置1の制御部100の各機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、図11に示す液体吐出装置1の制御部100で独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、図11に示す液体吐出装置1の制御部100で1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成するものとしてもよい。
【0074】
また、印刷制御部106を制御する機能部、およびモータ駆動部107を制御する機能部がプログラムの実行によって実現されるものとしてもよく、印刷制御部106およびモータ駆動部107自体がプログラムの実行によって実現されるものとしてもよい。
【0075】
(液体吐出装置の印字処理の流れ)
図12は、実施形態に係る液体吐出装置の印字処理の流れの一例を示すフローチャートである。図12を参照しながら、本実施形態に係る液体吐出装置1による印字処理の流れについて説明する。
【0076】
<ステップS11>
制御部100の画像データ取得部201は、ホストI/F109を介して外部装置(例えばホスト170)から入力された、予め目標とする光沢度のデータが埋め込まれた画像データを取得する。そして、ステップS12へ移行する。
【0077】
<ステップS12>
制御部100のインク付着量決定部202は、画像データ取得部201により取得された画像データに対してICCプロファイルによる色変換を行うことによって、カラーインクの総付着量を決定する。そして、ステップS13へ移行する。
【0078】
<ステップS13>
制御部100の光沢度取得部203は、画像データ取得部201により取得された画像データに埋め込まれた光沢度を読み取って取得する。そして、ステップS14へ移行する。
【0079】
<ステップS14>
制御部100のインク吐出割合決定部204は、NVRAM104に記憶された光沢度変換テーブルを読み出す。そして、ステップS15へ移行する。
【0080】
<ステップS15>
インク吐出割合決定部204は、読み出した光沢度変換テーブルから、光沢度取得部203により取得された光沢度に関連付けられたUVインクとラテックスインクとの吐出量の割合(インク割合)を決定する。そして、インク吐出割合決定部204は、インク付着量決定部202により決定された総付着量を超えないように、決定したインク割合に従って、UVインクおよびラテックスインクそれぞれの吐出量を決定する。そして、ステップS16へ移行する。
【0081】
<ステップS16>
制御部100の出力部205は、画像データ取得部201により取得された画像データから、インク吐出割合決定部204により決定された各インクの吐出量に基づくドットデータに変換し、当該ドットデータを印刷制御部106およびモータ駆動部107へ出力する機能部である。そして、印刷制御部106による液体吐出ヘッド23のインクの吐出動作、およびモータ駆動部107による記録媒体P(用紙41)の副走査方向への搬送動作により、当該記録媒体Pに画像が印字される。すなわち、液体吐出ヘッド23に含まれるカラーヘッドCRH1からドットデータで規定されるUVインクの吐出量に従って、UVインクが吐出され、液体吐出ヘッド23に含まれるカラーヘッドCRH2からドットデータで規定されるラテックスインクの吐出量に従って、ラテックスインクが吐出される。
【0082】
以上のステップS11~S16の流れによって、液体吐出装置1による印字処理が実行される。
【0083】
以上のように、本実施形態に係る液体吐出装置1では、液体吐出ヘッド23に含まれるカラーヘッドCRH1は、UVインクを吐出し、カラーヘッドCRH2は、ラテックスインクを吐出し、光沢度取得部203は、画像データに設定された光沢度を取得し、インク吐出割合決定部204は、光沢度と、UVインクとラテックスインクとの吐出量の割合とを関連付ける光沢度変換テーブルに基づいて、光沢度取得部203により取得された光沢度に対応する吐出量の割合を決定し、印刷制御部106は、インク吐出割合決定部204により決定された吐出量の割合に従って、カラーヘッドCRH1からUVインクを吐出させ、カラーヘッドCRH2からラテックスインクを吐出させることにより画像形成を行うものとしている。これによって、クリアインクを用いずに光沢感の制御を行うことにより生産性を向上させることができ、ランニングコストを低減することができる。また、後塗りのためのクリアインクを用いないため、クリアインクを乾燥させるための時間も不要となり、画像形成の処理時間を短縮することができる。
【0084】
また、本実施形態に係る液体吐出装置1では、インク付着量決定部202は、画像データに対する色変換により、当該画像データの画像形成に用いるUVインクおよびラテックスインクの総付着量を決定し、インク吐出割合決定部204は、インク付着量決定部202により決定された総量を超えないように、決定した吐出量の割合に従って、UVインクおよびラテックスインクそれぞれの吐出量を決定するものとしている。これによって、画像データにより規定されるインクの総付着量の範囲内で、決定された割合に基づくUVインクおよびラテックスインクの組み合わせに基づく印字処理による光沢感の制御が可能となる。
【0085】
また、本実施形態に係る液体吐出装置1では、インク吐出割合決定部204は、画像データにおいて、設定された光沢度が高い領域ほどラテックスインクの割合を高くし、設定された光沢度が低い領域ほどUVインクの割合を高くなるように吐出量の割合を決定するものとしている。これによって、必要な光沢度に応じた光沢の制御が可能となる。
【0086】
本発明の態様は、以下の通りである。
<1>UVインクを吐出する第1吐出ヘッドと、
ラテックスインクを吐出する第2吐出ヘッドと、
画像データに設定された光沢度を取得する取得部と、
光沢度と、UVインクとラテックスインクとの吐出量の割合とを関連付ける光沢度変換情報に基づいて、前記取得部により取得された光沢度に対応する前記吐出量の割合を決定する第1決定部と、
前記第1決定部により決定された前記吐出量の割合に従って、前記第1吐出ヘッドからUVインクを吐出させ、前記第2吐出ヘッドからラテックスインクを吐出させることにより画像形成を行う印刷制御部と、
を備えた液体吐出装置である。
<2>前記画像データに対する色変換により、該画像データの画像形成に用いるUVインクおよびラテックスインクの総量を決定する第2決定部を、さらに備え、
前記第1決定部は、前記第2決定部により決定された総量を超えないように、決定した前記吐出量の割合に従って、UVインクおよびラテックスインクそれぞれの吐出量を決定する<1>に記載の液体吐出装置である。
<3>前記第1決定部は、前記画像データにおいて、設定された光沢度が高い領域ほどラテックスインクの割合を高くし、設定された光沢度が低い領域ほどUVインクの割合を高くなるように前記吐出量の割合を決定する<1>または<2>に記載の液体吐出装置である。
<4>前記第1吐出ヘッドおよび前記第2吐出ヘッドは、該第1吐出ヘッドの印字可能領域と、該第2吐出ヘッドの印字可能領域とが、副走査方向において少なくとも一部で重複するように配置された<1>~<3>のいずれか一項に記載の液体吐出装置である。
<5>UVインクを吐出する第1吐出ヘッドと、ラテックスインクを吐出する第2吐出ヘッドと、を備えた液体吐出装置の液体吐出方法であって、
画像データに設定された光沢度を取得する取得ステップと、
光沢度と、UVインクとラテックスインクとの吐出量の割合とを関連付ける光沢度変換情報に基づいて、取得した光沢度に対応する前記吐出量の割合を決定する決定ステップと、
決定した前記吐出量の割合に従って、前記第1吐出ヘッドからUVインクを吐出させ、前記第2吐出ヘッドからラテックスインクを吐出させることにより画像形成を行う印刷制御ステップと、
を有する液体吐出方法である。
<6>UVインクを吐出する第1吐出ヘッドと、ラテックスインクを吐出する第2吐出ヘッドと、を備えた液体吐出装置のコンピュータに、
画像データに設定された光沢度を取得する取得ステップと、
光沢度と、UVインクとラテックスインクとの吐出量の割合とを関連付ける光沢度変換情報に基づいて、取得した光沢度に対応する前記吐出量の割合を決定する決定ステップと、
決定した前記吐出量の割合に従って、前記第1吐出ヘッドからUVインクを吐出させ、前記第2吐出ヘッドからラテックスインクを吐出させることにより画像形成を行う印刷制御ステップと、
実行させるためのプログラムである。
【0087】
なお、上述の実施形態において、液体吐出装置1の機能の少なくともいずれかがプログラムの実行によって実現される場合、そのプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。また、上述の実施形態において、液体吐出装置1で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD-R(Compact Disk-Recordable)、またはDVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。また、上述の実施形態において、液体吐出装置1で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上述の実施形態において、液体吐出装置1で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、上述の実施形態において、液体吐出装置1で実行されるプログラムは、上述した各機能部のうち少なくともいずれかを含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPUが上述の記憶装置からプログラムを読み出して実行することにより、上述の各機能部が主記憶装置上にロードされて生成されるようになっている。
【符号の説明】
【0088】
1 液体吐出装置
2 カートリッジ装填部
3 維持回復機構
10 装置本体
10a、10b 側板
11 支持台
12 ガイドロッド
13 ガイドステー
14 サブ板金ガイド
15 キャリッジ
16 主走査機構部
17 主走査モータ
18 駆動プーリ
19 従動プーリ
20 タイミングベルト
21 光学センサ
22、22a~22c インクカートリッジ
23、23a~23c 液体吐出ヘッド
24 供給チューブ
25 紫外線照射ユニット
31 キャップ
32 払拭ユニット
40 給紙手段
41 用紙
100 制御部
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 NVRAM
105 ASIC
106 印刷制御部
107 モータ駆動部
108 I/O
109 ホストI/F
110 ファン制御部
111 ヒータ制御部
112 紫外線照射制御部
120 操作パネル
130 センサ
140 ヘッドドライバ
150 副走査モータ
160 搬送ローラ
170 ホスト
180 ファン
190 ヒータ
190a プリヒータ
190b、190c プリントヒータ
190d ポストヒータ
190e 乾燥ヒータ
191 搬送ガイド板
192 プラテン
193 画像形成部
201 画像データ取得部
202 インク付着量決定部
203 光沢度取得部
204 インク吐出割合決定部
205 出力部
1001 溶剤
1002 顔料
1003 樹脂
1100 UVインク
1200 ラテックスインク
CLH クリアヘッド
CRH、CRH1、CRH2 カラーヘッド
【先行技術文献】
【特許文献】
【0089】
【特許文献1】特開2020-093538号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12