(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162113
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】アルデヒド捕捉組成物、及びその用途
(51)【国際特許分類】
C09K 3/00 20060101AFI20231031BHJP
A61L 9/01 20060101ALI20231031BHJP
B01J 20/22 20060101ALI20231031BHJP
B01D 53/04 20060101ALI20231031BHJP
C01B 33/14 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
C09K3/00 S
A61L9/01 K
B01J20/22 A
B01D53/04
C01B33/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025255
(22)【出願日】2023-02-21
(31)【優先権主張番号】P 2022072044
(32)【優先日】2022-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭介
(72)【発明者】
【氏名】須藤 幸徳
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大地
【テーマコード(参考)】
4C180
4D012
4G066
4G072
【Fターム(参考)】
4C180AA04
4C180BB08
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4C180EA28Y
4C180EB15X
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4D012BA01
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4G072DD07
4G072EE01
4G072GG01
4G072UU11
(57)【要約】
【課題】 本発明は、従来技術に比べて、短時間でも優れたアルデヒド捕捉性能を示すアルデヒド捕捉組成物、及びその用途を提供することを目的とする。
【解決手段】
下記一般式(1)で表されるO-置換ヒドロキシルアミンと、動的光散乱法によって求められる積算粒度分布の平均値(平均粒子径)が1~50nmのナノ粒子と、水を含む組成物であって、前記のO-置換ヒドロキシルアミンと前記のナノ粒子の比率が、前記のナノ粒子 1000質量部に対して、前記のO-置換ヒドロキシルアミン 5~500質量部であり、前記水の含有量が、50~95質量%であることを特徴とする、組成物。
【化1】
(式中、Rは、各々独立して、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す。nは1~6の整数を表す。)
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるO-置換ヒドロキシルアミンと、動的光散乱法によって求められる積算粒度分布の平均値(平均粒子径)が1~50nmのナノ粒子と、水を含む組成物であって、前記のO-置換ヒドロキシルアミンと前記のナノ粒子の比率が、前記のナノ粒子 1000質量部に対して、前記のO-置換ヒドロキシルアミン 5~500質量部であり、前記水の含有量が、50~95質量%であることを特徴とする、組成物。
【化1】
(式中、Rは、各々独立して、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す。nは1~6の整数を表す。)
【請求項2】
前記一般式(1)で表されるO-置換ヒドロキシルアミンにおいて、Rが水素原子であり、nが1~4の整数である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記一般式(1)で表されるO-置換ヒドロキシルアミンが、アミノオキシ酢酸である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ナノ粒子がシリカのナノ粒子である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
記一般式(1)で表されるO-置換ヒドロキシルアミンと、前記ナノ粒子の比率が、前記のナノ粒子 1000質量部に対して、前記のO-置換ヒドロキシルアミン 10~100質量部である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
下記一般式(1)で表されるO-置換ヒドロキシルアミンと、動的光散乱法によって求められる積算粒度分布の平均値(平均粒子径)が1~50nmのナノ粒子とを含有するアルデヒド捕捉材であって、前記のO-置換ヒドロキシルアミンと、前記のナノ粒子の比率が、前記のナノ粒子 1000質量部に対して、前記のO-置換ヒドロキシルアミン 5~500質量部であることを特徴とする、アルデヒド捕捉材。
【化2】
(式中、Rは、各々独立して、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す。nは1~6の整数を表す。複数のRは同一又は相異なっていてもよい。)
【請求項7】
前記一般式(1)で表されるO-置換ヒドロキシルアミンにおいて、Rが水素原子であり、nが1~4の整数である、請求項6に記載のアルデヒド捕捉材。
【請求項8】
前記一般式(1)で表されるO-置換ヒドロキシルアミンが、アミノオキシ酢酸であることを特徴とする、請求項6に記載のアルデヒド捕捉材。
【請求項9】
前記ナノ粒子がシリカのナノ粒子である、請求項6に記載のアルデヒド捕捉材。
【請求項10】
前記一般式(1)で表されるO-置換ヒドロキシルアミンと、前記ナノ粒子の比率が、前記のナノ粒子 1000質量部に対して、前記のO-置換ヒドロキシルアミン 10~100質量部である、請求項6に記載のアルデヒド捕捉材。
【請求項11】
請求項6乃至10のいずれか一項に記載のアルデヒド捕捉材が基材表面に担持されていることを特徴とする、アルデヒド捕捉構造物。
【請求項12】
請求項11に記載のアルデヒド捕捉構造物をアルデヒド含有気体に曝し、前記アルデヒドを前記アルデヒド捕捉構造物に接触させることを特徴とする、アルデヒドの除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルデヒド捕捉組成物、及びその用途に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アセトアルデヒドやホルムアルデヒド等のアルデヒド類は、生活環境における代表的な臭気物質であり、臭い閾値が極めて低いために低濃度でも不快臭の原因となる。これらのアルデヒド類は屋内や自動車内において合成樹脂、合板、タバコの煙等から発生し、シックハウス症候群やシックカー症候群の原因となることが知られている。また、これらのアルデヒド類は発癌性も疑われており、人が日常的にこれらに曝されると、健康を害するリスクがある。そのため、厚生労働省により室内濃度指針値として、アセトアルデヒドは0.03ppm、ホルムアルデヒドは0.08ppmと規定されている。したがって、アルデヒド類を速やかに且つ持続的に除去する手段が求められている。
【0003】
アセトアルデヒドやホルムアルデヒド等の低級アルデヒドの捕捉材としては、シリカゲルや、活性炭などの無機系多孔質材が広く利用されている。これらの多孔質材料は、大きな比表面積を持つためにガス状成分との接触効率が高く、効率的に対象物質を捕捉できる一方で、捕捉機構は多孔質材料表面に対する物理的な吸着によるものであり、一度吸着されたアルデヒドは濃度勾配や熱によって容易に再放出されてしまうという欠点があった。そこで、ヒドラジン誘導体、アミン、アミノ酸、又は尿素誘導体等からなるアルデヒド捕捉材とアルデヒド類を化学反応させることによりアルデヒド類を捕捉する方法が開示されている(例えば、特許文献1~3参照)。
【0004】
しかし、これら特許文献に記載の方法は、多孔質材料で問題となるアルデヒドの再放出は抑制できるものの、捕捉材自体のアルデヒドとの反応性は十分とはいえず、捕捉速度は不十分であった。
【0005】
そこで、無機系多孔質材料の表面に、化学反応型のアルデヒド捕捉材を担持させることで、捕捉材とアルデヒドガス成分との接触効率を高め、捕捉速度を向上せしめるといった方法も知られている(例えば、特許文献4)が、短時間での高度捕捉が要求される用途(例えば、薬剤を不織布などの繊維上に添着させ、ガスフィルターとし使用する用途)において、十分なアルデヒド低減効果が得られないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4-358536号公報
【特許文献2】特開平11-4879号公報
【特許文献3】特開2012-120708公報
【特許文献4】特願2015-536538号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、従来技術に比べて、短時間でも優れたアルデヒド捕捉性能を示すアルデヒド捕捉組成物、及びその用途を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のO-置換ヒドロキシルアミンと、ナノサイズの粒子状物質と、水を含む組成物を用いたアルデヒド捕捉材が、短時間でのアルデヒド捕捉性能に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち本発明は、以下の実施形態を含むものである。
【0010】
[1]下記一般式(1)で表されるO-置換ヒドロキシルアミンと、動的光散乱法によって求められる積算粒度分布の平均値(平均粒子径)が1~50nmのナノ粒子と、水を含む組成物であって、前記のO-置換ヒドロキシルアミンと前記のナノ粒子の比率が、前記のナノ粒子 1000質量部に対して、前記のO-置換ヒドロキシルアミン 5~500質量部であり、前記水の含有量が、50~95質量%であることを特徴とする、組成物。
【0011】
【0012】
(式中、Rは、各々独立して、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す。nは1~6の整数を表す。)
[2]前記一般式(1)で表されるO-置換ヒドロキシルアミンにおいて、Rが水素原子であり、nが1~4の整数である、上記[1]に記載の組成物。
【0013】
[3]前記一般式(1)で表されるO-置換ヒドロキシルアミンが、アミノオキシ酢酸である、上記[1]に記載の組成物。
【0014】
[4]前記ナノ粒子がシリカのナノ粒子である、上記[1]に記載の組成物。
【0015】
[5]前記一般式(1)で表されるO-置換ヒドロキシルアミンと、前記ナノ粒子の比率が、前記のナノ粒子 1000質量部に対して、前記のO-置換ヒドロキシルアミン 10~100質量部である、上記[1]に記載の組成物。
【0016】
[6]下記一般式(1)で表されるO-置換ヒドロキシルアミンと、動的光散乱法によって求められる積算粒度分布の平均値(平均粒子径)が1~50nmのナノ粒子とを含有するアルデヒド捕捉材であって、前記のO-置換ヒドロキシルアミンと、前記のナノ粒子の比率が、前記のナノ粒子 1000質量部に対して、前記のO-置換ヒドロキシルアミン 5~500質量部であることを特徴とする、アルデヒド捕捉材。
【0017】
【0018】
(式中、Rは、各々独立して、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す。nは1~6の整数を表す。複数のRは同一又は相異なっていてもよい。)
[7] 前記一般式(1)で表されるO-置換ヒドロキシルアミンにおいて、Rが水素原子であり、nが1~4の整数であることを特徴とする上記[6]に記載のアルデヒド捕捉材。
【0019】
[8] 前記一般式(1)で表されるO-置換ヒドロキシルアミンが、アミノオキシ酢酸である、上記[6]に記載のアルデヒド捕捉材。
【0020】
[9] 前記ナノ粒子がシリカのナノ粒子である、上記[6]に記載のアルデヒド捕捉材。
【0021】
[10]前記一般式(1)で表されるO-置換ヒドロキシルアミンと、前記ナノ粒子の比率が、前記のナノ粒子 1000質量部に対して、前記のO-置換ヒドロキシルアミン 10~100質量部である、上記[6]に記載のアルデヒド捕捉材。
【0022】
[11] 上記[6]乃至[10]のいずれかに記載のアルデヒド捕捉材が基材表面に担持されていることを特徴とする、アルデヒド捕捉構造物。
【0023】
[12] 上記[11]に記載のアルデヒド捕捉構造物をアルデヒド含有気体に曝し、前記アルデヒドを前記アルデヒド捕捉構造物に接触させることを特徴とする、アルデヒドの除去方法。
【発明の効果】
【0024】
本発明のアルデヒド捕捉組成物、及びその用途は、従来技術に比べて、アルデヒド類を速やかに捕捉することができる。その結果、人体に有害なアルデヒド類の低減に有効であり、生活環境改善の効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、「~」はその両端の数値を含む以上以下の数値範囲を意味する。
【0026】
本発明の組成物は、下記一般式(1)で表されるO-置換ヒドロキシルアミンと、動的光散乱法によって求められる積算粒度分布の平均値(平均粒子径を表し、以下「平均粒子径」と記載する)が1~50nmのナノ粒子と、水を含む組成物であって、前記のO-置換ヒドロキシルアミンと前記のナノ粒子の比率が、前記のナノ粒子 1000質量部に対して、前記のO-置換ヒドロキシルアミン 5~500質量部であり、前記水の含有量が、50~95質量%であることを特徴とする。
【0027】
【0028】
(式中、Rは、各々独立して、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す。nは1~6の整数を表す。)
上記一般式(1)で表されるO-置換ヒドロキシルアミンにおいて、Rは、各々独立して、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す。
【0029】
当該炭素数1~4のアルキル基としては、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、又はtert-ブチル基等を例示することができる。
【0030】
上記一般式(1)において、nは、1~6の整数を表す。
【0031】
アルデヒド捕捉能が高い点で、Rは、水素原子が好ましく、nは、1~4の整数であることが好ましく、1であることがより好ましい。
【0032】
また、上記一般式(1)で表されるO-置換ヒドロキシルアミンについては、アルデヒド捕捉能が高い点で、アミノオキシ酢酸であることが好ましい。
【0033】
上記一般式(1)で表されるO-置換ヒドロキシルアミンは、その一部又は全てが、無機酸又は有機酸と一緒になって塩を形成していてもよい前記の塩としては、特に限定されないが、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、過塩素酸塩、ケイ酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、安息香酸塩、p-トルエンスルホン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。前記の塩については、安価である点で無機酸塩が好ましく、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩がより好ましい。
【0034】
上記一般式(1)で表されるO-置換ヒドロキシルアミンは、分子内にカルボキシ基を有するため、当該カルボキシ基が分子内のアミノ基と分子内塩を形成してもよい。また、上記一般式(1)で表されるO-置換ヒドロキシルアミンは、そのカルボキシ基とそのアミノ基が分子間で塩を形成していてもよい。
【0035】
また、上記一般式(1)で表されるO-置換ヒドロキシルアミンについては、そのカルボキシ基の一部又は全てがカルボン酸塩となっていてもよい。カルボン酸塩の種類としては、特に限定されないが、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩等のアルカリ金属塩、又はアンモニウム塩等が挙げられる。
【0036】
本発明におけるナノ粒子としては、特に限定するものでは無いが繊維などに添着させた際の色調の変化が起こりにくい点、比表面積が大きい点から、シリカのナノ粒子であることが好ましい。シリカのナノ粒子は、固体状態の物を使用することもできるし、水分散物(コロイダルシリカ)を使用することができる。コロイダルシリカとしては、特に限定するものではないが、例えば、「LUDOX」(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製)「スノーテックス」(日産化学工業(株)製)、「シリカドール」(日本化学工業(株)製)、「クォートロンPLシリーズ」(扶桑化学工業(株))等が挙げられ、市販品として容易に入手できる。
【0037】
コロイダルシリカについては、そのシリカ粒子表面の電荷が、カチオン性を帯びているもの又は、アニオン性を帯びているものが存在するが、本発明においては、どのような表面電荷性のものでも使用することができる。
【0038】
本発明のナノ粒子については、動的光散乱法によって求められる積算粒度分布の平均値(平均粒子径)が、1~50nmであることを特徴とする。当該平均粒子径については、アルデヒド捕捉性能に優れる点で、1~40nmであることが好ましく、1~30nmであることがより好ましい。
【0039】
尚、前記の平均粒子径とは、1次粒子径のことを表しており、前記のナノ粒子の粒子形状については、球状であることが好ましい。
【0040】
上記の通り、本発明の組成物は、前記のナノ粒子と前記の前記のO-置換ヒドロキシルアミンの比率が、ナノ粒子 1,000質量部に対して、前記のO-置換ヒドロキシルアミン 5~500質量部であることを特徴とする。当該比率については、アルデヒド捕捉性能に優れる点で、ナノ粒子 1,000質量部に対して、前記のO-置換ヒドロキシルアミン 10~200質量部であることが好ましく、10~100質量部であることがより好ましい。
【0041】
上記の通り、本発明の組成物は、水の含有量が、50~95質量%であることを特徴とする。当該水の含有量については、アルデヒド捕捉性能に優れる点で、60~93質量%であることが好ましく、70~91質量%であることがより好ましい。
【0042】
なお、本発明の組成物は、アルデヒド捕捉性能に優れる点で、前記のナノ粒子と水の比率が、ナノ粒子 1,000質量部に対して、水 1,000~1,000,000質量部であることが好ましく、水 1,000~100,000質量部であることがより好ましく、水 1,000~10,000質量部であることがより好ましい。
【0043】
本発明の組成物については、上記以外の成分を含んでいてもよい。上記以外の成分としては、特に限定するものではないが、有機溶媒、バインダー、界面活性剤、抗菌剤、又は防腐剤等が挙げられる。当該、上記以外の成分を含む場合、その含有量としては、特に限定するものではないが、例えば、本発明の組成物全量に対して、0.1~30質量%とすることができ、0.2~25質量%であることが好ましい。
【0044】
本発明のアルデヒド捕捉材は、下記一般式(1)で表されるO-置換ヒドロキシルアミンと、動的光散乱法によって求められる積算粒度分布の平均値(以下、平均粒子径と呼ぶ)が1~50nmのナノ粒子とを含有するアルデヒド捕捉材であって、前記のO-置換ヒドロキシルアミンと、前記のナノ粒子の比率が、前記のナノ粒子 1000質量部に対して、前記のO-置換ヒドロキシルアミン 5~500質量部であることを特徴とする。
【0045】
【0046】
(式中、Rは、各々独立して、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す。nは1~6の整数を表す。)
上記のアルデヒド捕捉材における、O-置換ヒドロキシルアミン、及びナノ粒子の定義及び好ましい範囲については、上記の組成物におけるO-置換ヒドロキシルアミン、及びナノ粒子の定義及び好ましい範囲と同義である。
【0047】
上記の通り、本発明のアルデヒド捕捉材は、前記のナノ粒子と前記の前記のO-置換ヒドロキシルアミンの比率が、ナノ粒子 1000質量部に対して、前記のO-置換ヒドロキシルアミン 5~500質量部であることを特徴とする。当該比率については、アルデヒド捕捉性能に優れる点で、ナノ粒子 1000質量部に対して、前記のO-置換ヒドロキシルアミン 10~200質量部であることが好ましく、10~100質量部であることがより好ましい。
【0048】
本発明のアルデヒド捕捉材については、本発明の組成物を乾燥させることによって製造することができる。このような方法で製造された本発明のアルデヒド捕捉材については、前記のO-置換ヒドロキシルアミンが前記のナノ粒子の表面に添着された状態で存在している。また、逆に、本発明のアルデヒド捕捉材を水に分散させることによって、本発明の組成物を製造することもできる。
【0049】
本発明のアルデヒド捕捉材は、目的、用途に応じて任意の形態で使用することができる。例えば、任意の溶媒に分散させて分散液状の材として使用することもできるし、繊維などの基材表面に担持させて使用することもできるし、ゴム等の樹脂に練り込んで使用することもできる。
【0050】
使用例の一例として、例えば、前記の分散液状の材を、合板や自動車天井材等のアルデヒド発生源となる材料に噴霧又は塗布等することによって、当該材料から環境中へのアルデヒド類放出を抑制することができる。
【0051】
前記の溶媒としては、特に限定されないが、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、トルエン、テトラヒドロフラン、又はジエチルエーテル等が挙げられる。これらのうち、環境負荷が低い点で、水が好ましい。
【0052】
前記の溶媒を用いて分散液状の材として使用する場合、分散液状の材全量のうち、前記のアルデヒド捕捉材の含有量は、目的に応じて任意に調節可能であり、特に限定するものではないが、1~50質量%の範囲が好ましく、5~30質量%の範囲がより好ましい。
【0053】
また、本発明のアルデヒド捕捉材を繊維などの基材表面に担持させることによって、アルデヒド捕捉構造物を製造することがでる。この時、特に限定するものではないが、例えば、前記の組成物、又は前記の分散液状の剤を前記の基材に付着させ、次いで前記基材を乾燥させることによって、当該アルデヒド捕捉構造物を製造することができる。
【0054】
前記の基材としては、特に限定されないが、例えば、繊維、布、紙、糸、紐、ロープ、板、シート、壁紙、スポンジ、ビーズ、木材、又はボード等が挙げられる。
【0055】
前記の基材の素材としては、特に限定するものではないが、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、フッ素系樹脂、アラミド樹脂、サルフォン系樹脂、ポリイミド樹脂、天然ゴム、レーヨン、アセテート、木綿、羊毛、絹、麻、ガラス、炭素、シリコーン樹脂、セラミックス、ポリウレタン、石膏、木材、金属等が挙げられる。
【0056】
前記のアルデヒド捕捉構造物としては、特に限定するものではないが、例えば、フィルター、衣類、カーテン、カーペット、壁装材、自動車内装材、家具等を挙げることができる。
【0057】
前記のアルデヒド捕捉構造物をアルデヒド含有気体に曝し、前記アルデヒドを前記アルデヒド捕捉構造物に接触させることによって、前記アルデヒドが前記アルデヒド捕捉構造物に捕捉される。このような操作を行うことによって、環境中のアルデヒドを除去することができる。
【実施例0058】
以下に実施例に基づき本発明をさらに詳しく説明するが、これらは本発明の理解を助けるための例であって、本発明はこれらの実施例により何等の制限を受けるものではない。なお、用いた試薬等は断りのない限り市販品を用いた。
【0059】
本実施例で用いた分析機器、評価方法を以下に列記する。
【0060】
<アセトアルデヒド捕捉速度の評価試験>
後述する組成物(例えば、本発明の組成物)を、蒸留水を用いて、後述する希釈倍率に希釈し、含浸液を調製した。ポリエステル製の布(縦5cm、横5cm、本発明の基材に該当)に、前記含浸液を、後述する分量用いて、含浸させ、次いで、圧搾し、捕捉材含浸布を作製した。前記の圧搾後の捕捉材含浸布の質量を測定し、前記のポリエステル製の布の質量との質量差を求めた。次いで、前記の圧搾後の捕捉材含浸布を130℃で5分間乾燥させることによって、本発明のアルデヒド捕捉材が担持されたアルデヒド捕捉フィルター(本発明のアルデヒド捕捉構造物に該当)を作製した。前記の質量差と、含浸液中の各成分の濃度に基づいて、アルデヒド捕捉フィルターの基材表面に担持されたアルデヒド捕捉材の各成分の担持量を算出した。
【0061】
作製したアルデヒド捕捉フィルターを2本の円形ステンレス製配管(内径50mm)で挟んで固定し、前記配管内に3ppm(5,503ng/L)のアセトアルデヒド含有窒素ガスを6L/分の流速で30秒間流通させ、前記アセトアルデヒド含有窒素ガスを前記アルデヒド捕捉フィルターに通過させた。前記アセトアルデヒド含有窒素ガス流通開始から起算して30秒~50秒の間に前記配管から流出したアルデヒド含有窒素ガスを5Lのテドラーバッグに捕集した(捕集量=2L)。テドラーバック内のガスを2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)を担持したカートリッジ(富士フィルム和光純薬株式会社製、プレセップ-C DNPH)に吸着させた。このカートリッジをアセトニトリルで処理し、DNPH-アルデヒド縮合体を溶出させた。続いて、溶出液を液体クロマトグラフ(島津製作所社製、LC-2030C Plus)を用いてアセトアルデヒド濃度を定量した。さらに、アルデヒド捕捉率を下式から算出した。
【0062】
アセトアルデヒド捕捉速度[ng/秒]=(アセトアルデヒド初濃度[ng/L]-残存アセトアルデヒド濃度[ng/L])×流通ガス流速[L/秒]
<アルデヒド捕捉構造物からの粉脱落の評価試験>
上記の<アセトアルデヒド捕捉速度の評価試験>で作製したアルデヒド捕捉フィルターを、2本の円形ステンレス製配管(内径50mm)で挟んで固定し、前記配管内に窒素ガスを24L/分の流速で30秒間流通させた後に、ガス出口側の配管内を布で拭き取った。拭き取った布を目視で確認し、粉体の付着が確認されなければ「無し」、粉体の付着が確認された場合は「有り」とした。「有り」の場合、アルデヒド捕捉構造物からアルデヒド捕捉材が脱落していることを示しており、産業上好ましくない。
【0063】
実施例1
本発明のナノ粒子として、平均粒子径が3.5nmのナノシリカの水分散液(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製 LUDOX HS-40 コロイド状シリカ、pH=9.8、固形分濃度40質量%)と、含有量3.0質量%のアミノオキシ酢酸水溶液と、水とを混合し、ナノ粒子 37質量%、アミノオキシ酢酸(本発明のO-置換ヒドロキシルアミンに該当) 0.37質量%、及び水 62.2質量%からなる組成物(本発明の組成物に該当)を調製した。この組成物において、アミノオキシ酢酸の含有量は、ナノ粒子 1,000質量部に対し、10質量部であった。
【0064】
前記組成物を、蒸留水を用いて2.0倍に希釈して含浸液を調製した。当該含浸液 1gを用い、上記の<アセトアルデヒド捕捉速度の評価試験>に従って、本発明のアルデヒド捕捉構造物を作製し、アルデヒド捕捉評価を実施した。さらに、<アルデヒド捕捉構造物からの粉脱落の評価試験>を実施した。なお、本実施例で作製したアルデヒド捕捉構造物における前記アミノオキシ酢酸と、前記ナノ粒子の担持量は、それぞれ1.9mg/25cm2、および187mg/25cm2であった。組成及び評価結果を表1に示した。
【0065】
実施例2
本発明のナノ粒子として平均粒子径が3.5nmのナノシリカの水分散液(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製 LUDOX HS-40 コロイド状シリカ、pH=9.8、固形分濃度40質量%)と、含有量3.0質量%のアミノオキシ酢酸水溶液と、水とを混合し、ナノ粒子 24質量%、アミノオキシ酢酸 1.2質量%、及び水 74.8質量%からなる組成物(本発明の組成物に該当)を調製した。この組成物において、アミノオキシ酢酸の含有量は、ナノ粒子 1,000質量部に対し、50質量部であった。
【0066】
前記組成物を、蒸留水を用いて6.3倍に希釈して含浸液を調製し、当該含浸液 1gを用いて、実施例1と同様の操作を行った。
【0067】
実施例3
本発明のナノ粒子として平均粒子径が3.5nmのナノシリカの水分散液(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製 LUDOX HS-40 コロイド状シリカ、pH=9.8、固形分濃度40質量%)と、含有量3.0質量%のアミノオキシ酢酸水溶液と、水とを混合し、ナノ粒子 6.7質量%、アミノオキシ酢酸 2.5質量%、及び水 90.8質量%からなる組成物(本発明の組成物に該当)を調製した。この組成物において、アミノオキシ酢酸の含有量は、ナノ粒子 1,000質量部に対し、380質量部であった。
【0068】
前記組成物を、蒸留水を用いて14.3倍に希釈して含浸液を調製し、当該含浸液 1gを用いて、実施例1と同様の操作を行った。
【0069】
実施例4
本発明のナノ粒子として平均粒子径が12.4nmのナノシリカの水分散液(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製 LUDOX CL コロイド状シリカ、pH=4.5、固形分濃度30質量%)と、含有量3.0質量%のアミノオキシ酢酸水溶液と、水とを混合し、ナノ粒子 18質量%、アミノオキシ酢酸 1.3質量%、及び水 80.8質量%からなる組成物(本発明の組成物に該当)を調製した。この組成物において、アミノオキシ酢酸の含有量は、ナノ粒子 1,000質量部に対し、70質量部であった。
【0070】
前記組成物を、蒸留水を用いて6.7倍に希釈して含浸液を調製し、当該含浸液 1gを用いて、実施例1と同様の操作を行った。
【0071】
実施例5
本発明のナノ粒子として平均粒子径が5nmのナノシリカの水分散液(日産化学株式会社製 スノーテックス ST-XS コロイド状シリカ、pH=9.2、固形分濃度20質量%)と、含有量3.0質量%のアミノオキシ酢酸水溶液と、水とを混合し、ナノ粒子 10質量%、アミノオキシ酢酸 0.2質量%、及び水 89.8質量%からなる組成物(本発明の組成物に該当)を調製した。この組成物において、アミノオキシ酢酸の含有量は、ナノ粒子 1,000質量部に対し、20質量部であった。
【0072】
前記組成物を、蒸留水を用いて1.1倍に希釈して含浸液を調製し、当該含浸液 1gを用いて、実施例1と同様の操作を行った。
【0073】
実施例6
本発明のナノ粒子として平均粒子径が12nmのナノシリカの水分散液(日産化学株式会社製 スノーテックス ST-30 コロイド状シリカ、pH=9.9、固形分濃度31質量%)と、含有量3.0質量%のアミノオキシ酢酸水溶液と、水とを混合し、ナノ粒子 10質量%、アミノオキシ酢酸 0.2質量%、及び水 89.8質量%からなる組成物(本発明の組成物に該当)を調製した。この組成物において、アミノオキシ酢酸の含有量は、ナノ粒子 1,000質量部に対し、20質量部であった。
【0074】
前記組成物を、蒸留水を用いて1.1倍に希釈して含浸液を調製し、当該含浸液 1gを用いて、実施例1と同様の操作を行った。
【0075】
実施例7
本発明のナノ粒子として平均粒子径が22nmのナノシリカの水分散液(日産化学株式会社製 スノーテックス ST-50-T コロイド状シリカ、pH=9.0、固形分濃度48質量%)と、含有量3.0質量%のアミノオキシ酢酸水溶液と、水とを混合し、ナノ粒子 10質量%、アミノオキシ酢酸 0.2質量%、及び水 89.8質量%からなる組成物(本発明の組成物に該当)を調製した。この組成物において、アミノオキシ酢酸の含有量は、ナノ粒子 1,000質量部に対し、20質量部であった。
【0076】
前記組成物を、蒸留水を用いて1.1倍に希釈して含浸液を調製し、当該含浸液 1gを用いて、実施例1と同様の操作を行った。
【0077】
実施例8
本発明のナノ粒子として平均粒子径が3.5nmのナノシリカの水分散液(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製 LUDOX HS-40 コロイド状シリカ、pH=9.8、固形分濃度40質量%)と、含有量3.0質量%のアミノオキシ酢酸水溶液と、水とを混合し、ナノ粒子 10質量%、アミノオキシ酢酸 0.2質量%、及び水 89.8質量%からなる組成物(本発明の組成物に該当)を調製した。この組成物において、アミノオキシ酢酸の含有量は、ナノ粒子 1,000質量部に対し、20質量部であった。
【0078】
前記組成物を、蒸留水を用いて1.1倍に希釈して含浸液を調製し、当該含浸液 1gを用いて、実施例1と同様の操作を行った。
【0079】
実施例9
本発明のナノ粒子として平均粒子径が3.5nmのナノシリカの水分散液(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製 LUDOX HS-40 コロイド状シリカ、pH=9.8、固形分濃度40質量%)と、含有量3.0質量%のアミノオキシ酢酸水溶液と、水とを混合し、ナノ粒子 10質量%、アミノオキシ酢酸 0.3質量%、及び水 89.7質量%からなる組成物(本発明の組成物に該当)を調製した。この組成物において、アミノオキシ酢酸の含有量は、ナノ粒子 1,000質量部に対し、30質量部であった。
【0080】
前記組成物を、蒸留水を用いて1.6倍に希釈して含浸液を調製し、当該含浸液 1gを用いて、実施例1と同様の操作を行った。
【0081】
実施例10
本発明のナノ粒子として平均粒子径が3.5nmのナノシリカの水分散液(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製 LUDOX HS-40 コロイド状シリカ、pH=9.8、固形分濃度40質量%)と、含有量3.0質量%のアミノオキシ酢酸水溶液と、水とを混合し、ナノ粒子 10質量%、アミノオキシ酢酸 1.0質量%、及び水 89質量%からなる組成物(本発明の組成物に該当)を調製した。この組成物において、アミノオキシ酢酸の含有量は、ナノ粒子 1,000質量部に対し、100質量部であった。
【0082】
前記組成物を、蒸留水を用いて5.3倍に希釈して含浸液を調製し、当該含浸液 1gを用いて、実施例1と同様の操作を行った。
【0083】
実施例11
本発明のナノ粒子として平均粒子径が3.5nmのナノシリカの水分散液(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製 LUDOX HS-40 コロイド状シリカ、pH=9.8、固形分濃度40質量%)と、含有量3.0質量%のアミノオキシ酢酸水溶液と、水とを混合し、ナノ粒子 10質量%、アミノオキシ酢酸 2質量%、及び水 88質量%からなる組成物(本発明の組成物に該当)を調製した。この組成物において、アミノオキシ酢酸の含有量は、ナノ粒子 1,000質量部に対し、200質量部であった。
【0084】
前記組成物を、蒸留水を用いて10.5倍に希釈して含浸液を調製し、当該含浸液 1gを用いて、実施例1と同様の操作を行った。
【0085】
実施例12
本発明のナノ粒子として平均粒子径が3.5nmのナノシリカの水分散液(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製 LUDOX HS-40 コロイド状シリカ、pH=9.8、固形分濃度40質量%)と、含有量3.0質量%のアミノオキシ酢酸水溶液と、水とを混合し、ナノ粒子 10質量%、アミノオキシ酢酸 5質量%、及び水 85質量%からなる組成物(本発明の組成物に該当)を調製した。この組成物において、アミノオキシ酢酸の含有量は、ナノ粒子 1,000質量部に対し、100質量部であった。
【0086】
前記組成物を、蒸留水を用いて26.3倍に希釈して含浸液を調製し、当該含浸液 1gを用いて、実施例1と同様の操作を行った。
【0087】
実施例13
本発明のナノ粒子として平均粒子径が3.5nmのナノシリカの水分散液(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製 LUDOX HS-40 コロイド状シリカ、pH=9.8、固形分濃度40質量%)と、含有量3.0質量%のアミノオキシ酢酸水溶液と、水とを混合し、ナノ粒子 10質量%、アミノオキシ酢酸 0.05質量%、及び水 89.95質量%からなる組成物(本発明の組成物に該当)を調製した。この組成物において、アミノオキシ酢酸の含有量は、ナノ粒子 1,000質量部に対し、5質量部であった。
【0088】
前記組成物を、蒸留水を用いて1.1倍に希釈して含浸液を調製し、当該含浸液 4gを用いて、実施例1と同様の操作を行った。
【0089】
比較例1
固形分3質量%のアミノオキシ酢酸水溶液を、蒸留水を用いて16.7倍に希釈して含浸液を調製し、当該含浸液 1gを用いて、実施例1と同様の操作を行った。
【0090】
比較例2
平均粒子径が3.5nmのナノシリカの水溶液(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製 LUDOX HS-40 コロイドシリカ、pH=9.8)と水とを混合し、ナノ粒子 40質量%、及び水 60質量%からなる組成物を調製した。
【0091】
前記組成物を、蒸留水を用いて2.0倍に希釈して含浸液を調製し、当該含浸液 1gを用いて、実施例1と同様の操作を行った。
【0092】
比較例3
平均粒子径が3.5nmのナノシリカの水溶液(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製 LUDOX HS-40 コロイドシリカ、pH=9.8)と、アジピン酸ジヒドラジドと、水とを混合し、ナノ粒子 24質量%、アジピン酸ジヒドラジド 1.2質量%、及び水 74.8質量%からなるアルデヒド捕捉組成物を調製した。
【0093】
前記組成物を、蒸留水を用いて6.3倍に希釈して含浸液を調製し、当該含浸液 1gを用いて、実施例1と同様の操作を行った。
【0094】
比較例4
固形分3質量%のアジピン酸ジヒドラジド水溶液を、蒸留水を用いて16.7倍に希釈して含浸液を調製し、当該含浸液 1gを用いて、実施例1と同様の操作を行った。
【0095】
比較例5
平均粒子径が50μmの球状シリカの水分散液(関東化学(株)製 シリカゲル60N(球状、中性))と、アミノオキシ酢酸と、水とを混合し、球状シリカ 6.3質量%、アミノオキシ酢酸 0.38質量%、及び水 93.3質量%からなるアルデヒド捕捉組成物を調製した。
【0096】
前記組成物を、蒸留水を用いて2.0倍に希釈して含浸液を調製し、当該含浸液 1gを用いて、よく振とうして球状シリカ分散状態を保ちながら、実施例1と同様の操作を行った。
【0097】
比較例6
平均粒子径が80nmのナノシリカの水溶液(日産化学株式会社製 スノーテックス ST-ZL コロイド状シリカ、pH=9.6、固形分濃度41質量%)と、アミノオキシ酢酸と、水とを混合し、ナノシリカ 10質量%、アミノオキシ酢酸 0.2質量%、及び水 89.8質量%からなるアルデヒド捕捉組成物を調製した。
【0098】
前記組成物を、蒸留水を用いて1.1倍に希釈して含浸液を調製し、当該含浸液 1gを用いて、よく振とうしてナノシリカ分散状態を保ちながら、実施例1と同様の操作を行った。
【0099】