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特開2023-162126特にマイクロリソグラフィのための光学系および光学系を動作するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162126
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】特にマイクロリソグラフィのための光学系および光学系を動作するための方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20231031BHJP
   H01S 3/13 20060101ALI20231031BHJP
   H01S 3/10 20060101ALI20231031BHJP
   H01S 3/00 20060101ALN20231031BHJP
【FI】
G03F7/20 502
H01S3/13
H01S3/10 Z
H01S3/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023051258
(22)【出願日】2023-03-28
(31)【優先権主張番号】10 2022 107 633.4
(32)【優先日】2022-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151987
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 信行
(72)【発明者】
【氏名】コンラート ヴォルケ
(72)【発明者】
【氏名】バーバラ モーザー
(57)【要約】
【課題】特にマイクロリソグラフィのための光学系および光学系を動作するための方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、特にマイクロリソグラフィのための光学系および光学系を動作するための方法に関する。本発明による光学系は、多数の光パルスを生成するためのレーザ光源と、レーザ光源によって生成された光パルス列について、それぞれに連続した光パルス間に存在する時間区分が前記光パルス列にわたって変化するようにレーザ光源を制御するように構成される制御ユニットとを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にマイクロリソグラフィのための光学系であって、
・多数の光パルスを生成するためのレーザ光源と、
・前記レーザ光源によって生成された光パルス列について、それぞれに連続した光パルス間に存在する時間区分が前記光パルス列にわたって変化するように前記レーザ光源を制御するように構成される制御ユニットと
を備える光学系。
【請求項2】
前記制御ユニットは、前記レーザ光源の少なくとも1つの光学部品の位置を操作するための少なくとも1つのアクチュエータを制御するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
複数のミラーを有する光パルス引伸し回路を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の光学系。
【請求項4】
前記光学部品が前記光パルス引伸し回路のミラーであることを特徴とする、請求項2および3に記載の光学系。
【請求項5】
前記制御ユニットが、前記レーザ光源のレーザ媒体へのエネルギー供給をトリガするために生成されたトリガ信号の時間的遅延を可変的に調整するように構成されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の光学系。
【請求項6】
前記レーザ光源によって生成された光のスペックルコントラストの特性である変量を測定するための第1の測定ユニットを更に備えることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の光学系。
【請求項7】
前記制御ユニットは、前記第1の測定ユニットの出力信号に応じて、前記光パルスの時間的なパルスの連続を変化させるように構成されることを特徴とする、請求項6に記載の光学系。
【請求項8】
前記レーザ光源によって生成された光の帯域幅の特性である変量を測定するための第2の測定ユニットを更に備えることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の光学系。
【請求項9】
前記制御ユニットは、前記第2の測定ユニットの出力信号に応じて、前記光パルスの時間的なパルスの連続を変化させるように構成されることを特徴とする、請求項8に記載の光学系。
【請求項10】
前記制御ユニットは、各々の2つの連続した光パルス間に存在する前記時間区分の不規則変化のための乱数発生器を備えることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の光学系。
【請求項11】
前記制御ユニットは、各々の2つの連続した光パルス間に存在する前記時間区分を、事前に定義された下限界値と事前に定義された上限界値との間で連続的に増加させる、または連続的に減少させるように構成されること特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の光学系。
【請求項12】
前記レーザ光源は、少なくとも7kHzの繰返し率で前記光パルスを生成するように設計されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の光学系。
【請求項13】
250nm未満の動作波長のために、特に200nm未満の動作波長のために設計されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の光学系。
【請求項14】
特にマイクロリソグラフィのための光学系を動作するための方法であって、前記光学系は、多数の光パルスを生成するためのレーザ光源とを備えており、前記レーザ光源によって生成された光パルス列について、それぞれに連続した光パルス間に存在する時間区分が前記光パルス列にわたって変化するように前記レーザ光源が制御される方法。
【請求項15】
前記レーザ光源によって生成された光のスペックルコントラストの特性である変量の測定値に基づいて、前記変化が調整されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記レーザ光源によって生成された少なくとも1つの光パルスのためのそれぞれの帯域幅の測定値に基づいて、前記変化が調整されることを特徴とする、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記変化なしで得られる平均帯域幅と比較して前記レーザ光源によって生成された前記光パルスの平均帯域幅が減少されるように、前記変化が調整されることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記変化なしで得られる平均帯域幅差と比較して連続した光パルス間の平均帯域幅差が減少されるように、前記変化が調整されることを特徴とする、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記レーザ光源の少なくとも1つの光学部品の位置、特に光パルス引伸し回路の少なくとも1つのミラーの位置を操作することによって、前記変化が少なくとも部分的に起こされることを特徴とする、請求項14~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記レーザ光源のレーザ媒体へのエネルギー供給をトリガするために生成されたトリガ信号の時間的遅延を可変的に調整することによって、前記変化が少なくとも部分的に起こされることを特徴とする、請求項14~19のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にマイクロリソグラフィのための光学系および光学系を動作するための方法に関する。本発明は、有益なことに、特にマイクロリソグラフィ投影露光装置で使用されるレーザ光源において適用可能である。
【背景技術】
【0002】
マイクロリソグラフィは、微細構造化された電子部品を作製するために使用される。マイクロリソグラフィプロセスは、照明デバイスおよび投影レンズを有する投影露光装置として知られているものにおいて実行される。マスク構造を基板の感光性コーティングに転写するために、照明デバイスによって照らされたマスク(=レチクル)の像は、この場合、投影レンズによって、感光性層(フォトレジスト)で被覆され投影レンズの像平面に配置された基板(例えばシリコンウェハ)上へ投影される。
【0003】
DUV範囲(例えば250nm未満、特に200nm未満の動作波長における)での動作用に設計された投影露光装置では、通常、エキシマーレーザ、特に248nmの動作波長におけるフッ化クリプトンエキシマーレーザまたは193nmの動作波長におけるフッ化アルゴンエキシマーレーザの形態のレーザ光源を使用する。
【0004】
投影露光装置の開発中に存在する課題は、第一に、マイクロリソグラフィにおいて常により微細化する構造を作製し、それらをウェハ上に位置決めするための精度要件が増えていることに関し、第二に、それぞれの投影露光装置で達成されるスループットの増加にも関するが、この増加は、コストに関する考慮事項の観点からは望ましい。
【0005】
とりわけ上述したレーザ光源の動作中に満たされるべき精度要件に関して生じる重大な影響は、生成された光の空間的および時間的コヒーレンスに起因するスペックルパターンとして知られるものの発生である。そのようなスペックルパターンは、結果として、とりわけ異なるリソグラフィ工程で作製される構造のオーバーレイ精度を減少させ、それによって最終的に投影露光装置の光学的性能の低下が生じる。
【0006】
それぞれの投影露光装置で達成された上述のスループットの増加に関する限り、1つの問題は、パルスエネルギーの増加および/または繰返し率の増加に対して制限が課されるという事実からなるが、それらの増加の各々はレーザ光源の出力パワーを増加させるために望ましい。これに関して、パルスエネルギーの増加は、レーザ光源内の光学部品のより高い放射負荷につながり、また電子アセンブリに対するより大きい応力につながる。この点において知られる一アプローチは、レーザ光源によって生成されたパルス(例えば20nsのパルス長を有する)が光パルス引伸し回路の使用によって、例えば(100~450)nsのより長い持続時間まで引き伸ばされ、したがって、下流の光学部品の劣化がそれに応じて低減されることを伴う。ただし、同様に光パルス引伸し回路に対して存在する構造空間の制約に起因する上記のようなパルス長の引伸しと、反射数が増加するにつれて減少する出力パワーとに対して制限が課される。更に、光ビーム経路に対して光パルス引伸し回路の上流に配置された上記の光学部品の劣化のリスクが依然として存在する。
【0007】
一方、同様にレーザ光源の出力パワーの増加のために考えられる、繰返し率の増加、したがってレーザ光源の共振器内における放電の周波数の増加は、音響共振につながる場合があり、最終的に、許容可能な測定値を上回るスペクトル帯域幅につながる場合がある。
【0008】
先行技術に関して、単に例として、WO2018/132198、米国特許第10,451,890号、米国特許第11,054,665号、米国特許第7,782,922号、およびH.Miyamoto等による刊行物である“Next generation ArF Laser technologies for multiple-patterning immersion lithography supporting leading edge processes”, Optical Microlithography XXXI, Proc. of SPIE Vol. 10587 (2018), 1058710-1 to 1058710-8、およびK.Kakizaki等による刊行物である“Ultra-high-repetition-rate ArF excimer laser with long pulse duration for 193-nm lithography”, Optical Microlithography XIV, Proc. of SPIE Vol. 4346 (2001), pages 1210-1218を参照している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】WO2018/132198
【特許文献2】米国特許第10,451,890号
【特許文献3】米国特許第11,054,665号
【特許文献4】米国特許第7,782,922号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】H.Miyamoto等による刊行物である“Next generation ArF Laser technologies for multiple-patterning immersion lithography supporting leading edge processes”, Optical Microlithography XXXI, Proc. of SPIE Vol.10587 (2018), 1058710-1 to 1058710-8
【非特許文献2】K.Kakizaki等による刊行物である“Ultra-high-repetition-rate ArF excimer laser with long pulse duration for 193-nm lithography”, Optical Microlithography XIV, Proc. of SPIE Vol. 4346 (2001), pages 1210-1218
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、上述した問題を少なくとも部分的に回避しながら、スペックルパターンの発生を減少させ、またレーザ光源の出力パワーを増加させることを可能にする、レーザ光源を備える特にマイクロリソグラフィのための光学系と、光学系を動作させるための方法とを提供することである。
【0012】
この目的は、独立特許請求項1の特徴による光学系と、それに加えて、独立特許請求項14の特徴による方法とによって達成される。
【0013】
本発明によれば、特にマイクロリソグラフィのための光学系は、
- 多数の光パルスを生成するためのレーザ光源と、
- レーザ光源によって生成された光パルス列について、それぞれに連続した光パルス間に存在する時間区分が前記光パルス列にわたって変化するようにレーザ光源を制御するように構成される制御ユニットと
を備える。
【0014】
本発明の根底にある概念、特に、多数の光パルスを生成するためのレーザ光源を備える光学系における概念は、パルスの連続内の2つの連続した光パルス間に存在する時間区分を従来のように一定となるように選択されるのではなく、にむしろ変化させることである。この点に関して、本発明は、特に、レーザ光源の計画的な離調(連続した光パルス間の単発の「最適化された」時間間隔を有する動作状態からの離脱という意味における)を含み、第一に、スペックルコントラストの減少(したがって、光学系のオーバーレイ性能の改善であり、これはスペックルコントラストによって決定的に判断される)を実現することと、第二に、レーザ光源における不要な共振(チャンバ共振)の励起を回避しながら、レーザ光源の繰返し率の増加も可能にする(したがって、光学系の動作中のスループットを増加させる)ことを目指す。特に、パルスの連続または光パルス列内の2つの連続した光パルス間に存在する時間区分の本発明による変化は、光照射野が関連光パルスごとに異なるという効果を有し、その結果として、スペックルコントラストに対して決定的である時間的および空間的コヒーレンスが消失される。
【0015】
一実施形態によれば、制御ユニットは、レーザ光源の少なくとも1つの光学部品の位置を操作するための少なくとも1つのアクチュエータを制御するように構成される。
【0016】
一実施形態によれば、光学系は、複数のミラーを有する光パルス引伸し回路を備える。この場合、アクチュエータにおいて制御された光学部品は、特に、前記光パルス引伸し回路のミラーであり得る。
【0017】
一実施形態によれば、制御ユニットが、レーザ光源のレーザ媒体へのエネルギー供給をトリガするために生成されたトリガ信号の時間的遅延を可変的に調整するように構成される。とりわけ、レーザ光源によって生成された光が例えば光パルス引伸し回路などの更なる構成要素に到達する前に、導入部分で説明したような音響共振のあらゆる不利益な発生が既に効率的に防止され得る限り、本実施形態は有益である。レーザ媒体は、レーザ光源の主発振器のレーザ媒体および/またはレーザ光源の1つまたは複数の電力増幅段(「電力増幅器」)のレーザ媒体であり得る。
【0018】
一実施形態によれば、光学系は、レーザ光源によって生成された光のスペックルコントラストの特性である変量を測定するための第1の測定ユニットを更に備える。この場合、制御ユニットは、前記第1の測定ユニットの出力信号に応じて、光パルスの時間的なパルスの連続を変化させるように特に構成されることが可能である。
【0019】
一実施形態によれば、光学系は、レーザ光源によって生成された光の帯域幅の特性である変量を測定するための第2の測定ユニットを更に備える。制御ユニットは、特に、ここで、前記第2の測定ユニットの出力信号に応じて、光パルスの時間的なパルスの連続を変化させるように構成されることが可能である。
【0020】
一実施形態によれば、制御ユニットは、各々の2つの連続した光パルス間に存在する時間区分の不規則変化のための乱数発生器を備える。
【0021】
一実施形態によれば、制御ユニットは、各々の2つの連続した光パルス間に存在する時間区分を、事前に定義された下限界値と事前に定義された上限界値との間で連続的に増加させる、または連続的に減少させるように構成される。
【0022】
一実施形態によれば、レーザ光源は、少なくとも7kHzの繰返し率で光パルスを生成するように設計される。
【0023】
一実施形態によれば、光学系は、250nm未満の動作波長のために、特に200nm未満の動作波長のために設計される。
【0024】
本発明は、更に、特にマイクロリソグラフィのための光学系を動作するための方法であって、光学系は、多数の光パルスを生成するためのレーザ光源を備えており、レーザ光源は、レーザ光源によって生成された光パルス列について、それぞれに連続した光パルス間に存在する時間区分が前記光パルス列にわたって変化するように制御される方法にも関する。
【0025】
一実施形態によれば、レーザ光源によって生成された光のスペックルコントラストの特性である変量の測定値に基づいて、上記の変化が調整される。
【0026】
一実施形態によれば、レーザ光源によって生成された少なくとも1つの光パルスのためのそれぞれの帯域幅の測定値に基づいて、変化が調整される。
【0027】
一実施形態によれば、この変化なしで得られる平均帯域幅と比較して、レーザ光源によって生成された光パルスの平均帯域幅が減少されるように、変化が調整される。
【0028】
一実施形態によれば、この変化なしで得られる平均帯域幅差と比較して連続した光パルス間の平均帯域幅差が減少されるように、変化が調整される。
【0029】
一実施形態によれば、レーザ光源の少なくとも1つの光学部品の位置、特に光パルス引伸し回路の少なくとも1つのミラーの位置を操作することによって、変化が少なくとも部分的に起こされる。
【0030】
一実施形態によれば、レーザ光源のレーザ媒体へのエネルギー供給をトリガするために生成されたトリガ信号の時間的遅延を可変的に調整することによって、変化が少なくとも部分的に起こされる。
【0031】
本発明の更なる実施形態は、本明細書および従属請求項から明らかである。
【0032】
本発明は、添付図面に図示された例示的な実施形態に基づいて以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】第1の実施形態による光学系における連続した光パルス間に存在する時間区分の本発明による変化を説明するための図である。
図2】第2の実施形態による光学系における連続した光パルス間に存在する時間区分の本発明による変化を説明するための図である。
図3】第3の実施形態による光学系における連続した光パルス間に存在する時間区分の本発明による変化を説明するための図である。
図4】本発明による光学系の可能な構成を説明するための概略図である。
図5】本発明による光学系の可能な機能を更に説明するためのブロック図である。
図6】DUVにおける動作のために設計されたマイクロリソグラフィ投影露光装置の可能な構成を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の実施形態は、図1図3における図、また図4図5における概略図を参照して以下で説明される。
【0035】
これらの実施形態は、多数の光パルスを生成するレーザ光源を備える光学系において、パルスの連続または光パルス列内の2つの連続した光パルス間に存在する時間区分が、従来のように一定となるようには選択されず、むしろ変化させるという点で共通しており、第一に、スペックルコントラストの減少(それによる光学系のオーバーレイ性能の改善)を達成すること、第二に、レーザ光源の繰返し率を増加させる(それにより光学系の動作中にスループットを増加させる)ことを可能にし、同時に不要な共振(チャンバ共振)の励起を回避することを目指す。
【0036】
最初に図1を参照すると、第1の実施形態では、レーザ光源によって出射される2つの連続した光パルス間の時間区分は、光パルス列にわたって無作為に変化させることが可能である。この場合、下限界値および上限界値が事前に定義可能であり、特にその範囲内で上記の無作為な変化が実行され得る。垂直破線は、図示のための等距離線を表す。
【0037】
図2による第2の実施形態において、レーザ光源によって出射される2つの連続した光パルス間の時間区分はまた、光パルス列にわたって連続的に増加される、または連続的に減少され得、この場合再び、下限界値および上限界値が事前に定義可能である。
【0038】
図3による第3の実施形態において、不要なチャンバ共振を避けるために適したパルスの連続も対象として決定され、次いで、レーザ光源の更なる動作のために事前に定義されることが可能である。
【0039】
図3によれば、最初に、レーザ光源の具体的な構成のために、現在生成されるパルスの連続310(レーザ出力パワーの時間的プロファイルとして)がここで決定される。次いで、高速フーリエ変換(FFT)によって、上記のパルスの連続310に対する振幅スペクトル320が決定される。更に、レーザ繰返し率に応じたレーザ光源の結果的なレーザ帯域幅が決定され、図3において、例示的なプロファイルが同様に図示され、「330」として示される。レーザ帯域幅のこのプロファイル330において、発生する共振と関連する周波数帯域(図3では一例として「331」、「332」として示される)が次いで識別される。それに基づいて、これらの共振331、332を除去するために適した「最適化された」振幅スペクトル320が、高速フーリエ変換(FFT)に従って決定され、前記振幅スペクトルは、「340」で示される。レーザ繰返し率に応じたレーザ光源の結果的として得られるレーザ帯域幅は、「350」として示される。これから、対象として修正されたパルスの連続360(レーザ出力パワーの時間的プロファイルに対応する)が次いで決定され、図3による、単に一例としての本シナリオでは、光パルスの時間的位置が「361」から「362」へ移動する。
【0040】
図4は、単に概略図に過ぎず、本発明が実現可能な、エキシマーレーザの形態におけるガス放電レーザシステムの原理的に可能な構成を示す。
【0041】
図4によるガス放電レーザシステムは、特に、シードレーザ410と、中継光学ユニット420と、増幅段430と、レーザ出力サブシステム440とを備える。
【0042】
シードレーザ410は、特に、線幅減少モジュール411と、主発振器チャンバ(MO=master oscillator chamber)412と、主発振器出力結合ユニット(MO OC=「master oscillator output coupler」)413と、線中心分析モジュール414とを備える。
【0043】
中継光学ユニット420は、とりわけ、増幅段430に関してシードレーザ410の出力信号を適合または整列させる効果を有し、特に、適切なプリズム構成、また適切な光学的遅延経路を有するビーム拡大ユニットを備え得る。
【0044】
増幅段430は、特に、レーザ媒体を有するチャンバ432と、ビーム反転モジュール431と、レーザビームの一部を結合して出力するユニット433とを備える。
【0045】
レーザ出力サブシステム440は、特に、帯域幅分析モジュール441と、光パルス引伸し回路442と、更なるモジュール443とを備える。光パルス引伸し回路442は、下流の光学部品の劣化を避けるために、例えば循環経路を経由して電磁放射を偏向することによって、レーザ光源によって生成された光パルスのパルス長を、(100~450)nsの大きさのオーダのより長い持続時間まで引き伸ばすように機能する。更なるモジュール443は、最初に、出力レーザ放射を適正にする(例えば偏光度、近視野または遠視野特性、ポインティングベクトルなどに関する)ように機能する。本発明によれば、このモジュール443の機能性は、ここでは、モジュール443が更にまたスペックルコントラストを測定するために設計されるように拡張される。更に、本発明によれば、モジュール443は、光パルスの時間長を測定するためにも設計され得る。
【0046】
本発明によれば、モジュール443によって供給される信号(センサ信号)に基づいて、光パルス引伸し回路442は、ここでは、スペックルコントラストの求められる減少を達成するために離調され得る。
【0047】
図5は、概略的に過ぎず、対応する閉ループ制御概念を説明するためのブロック図を示す。この場合、図5では、光パルス引伸し回路が「510」として示され、更なるモジュールが「520」として示される。モジュール520によって供給されるセンサ信号に基づいて、閉ループ制御ユニット530は、アクチュエータ540を制御し、それによりスペックルコントラストを減少させるのに適した光パルス引伸し回路510の上述の離調を生じさせる。例えば、光パルス引伸し回路510における1つまたは複数のミラーは、アクチュエータ530によって機械的に調整され得る。
【0048】
本発明は、所望のスペックルコントラスト減少を実現するために、光パルス引伸し回路の上述の制御または離調に限定されない。更なる実施形態では、帯域幅分析モジュール441または線中心分析モジュール414によって供給される信号(センサ信号)に基づいて、例えばガス放電をトリガするためのトリガ信号が数ナノ秒(ns)またはマイクロ秒(μs)だけ早くまたは遅く生成可能なように、前記トリガ信号の生成も時間的に制御可能である。
【0049】
図6は、DUVにおける動作のために設計されたマイクロリソグラフィ投影露光装置600の原理的に可能な構成を示す。
【0050】
図6による投影露光装置600は、照明デバイス610と、投影レンズ620とを備える。照明デバイス610は、光源ユニット605からの光で構造担持マスク(レチクル)615を照らす役割を果たし、例えば193nmの動作波長用のArFエキシマーレーザの形態(若しくは、248nmの動作波長のためのKrFエキシマーレーザの形態)のレーザ光源と、平行光ビームを生成するビーム整形光学ユニットとを備える。この場合、レーザ光源は、本発明にしたがう手法で設計され得る。
【0051】
照明デバイス610は、図示された例において、とりわけ偏向ミラー612を備える光学ユニット611を備える。光学ユニット611は、例えば、回折光学部品(DOE)と、異なる照明設定(すなわち照明デバイス610の瞳面における強度分布)を生成するためのズームアキシコン系とを備え得る。光伝搬方向における光学ユニット611の下流で、光混合デバイス(不図示)がビーム路に配置され、例えば、光混合デバイスは、それ自体が知られた手法で、光混合を実現するために適した微小光学素子の構成と、レンズ素子群613とを備えることができ、その下流に、レチクルマスキング系によって視野平面が配置され、この視野平面は、光伝搬方向の下流に配置されたレンズ614によって更なる視野平面に配置される構造担持マスク(レチクル)615上に結像され(image)、それによりレチクル上の照明領域の範囲を定める。構造担持マスク615は、投影レンズ620によって、感光性層(フォトレジスト)が設けられた基板またはウェハ630上に結像される(image)。特に、投影レンズ620は、液浸動作のために設計されることができ、その場合、光伝搬方向に関して、液浸媒体は、ウェハまたはその感光性層の上流に配置される。更に、投影レンズ620は、例えば、0.85より大きい開口数NA、特に1.1より大きい開口数NAを有することができる。
【0052】
本発明はまた特定の実施形態に基づいて説明されたが、例えば個々の実施形態の特徴の組み合わせおよび/または交換による多くの変形および代替の実施形態が、当業者にとって明らかであろう。したがって、当業者にとって、そのような変形および代替の実施形態が本発明によって付随して包含されることは言うまでもなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその等価物の意味内においてのみ限定される。
【符号の説明】
【0053】
410 シードレーザ
411 線幅減少モジュール
412 主発振器チャンバ
413 主発振器出力結合ユニット
414 線中心分析モジュール
420 中継光学ユニット
430 増幅段
431 ビーム反転モジュール
432 チャンバ
433 ユニット
440 レーザ出力サブシステム
441 帯域幅分析モジュール
442 光パルス引伸し回路
443 更なるモジュール
510 光パルス引伸し回路
520 更なるモジュール
530 閉ループ制御ユニット、アクチュエータ
600 マイクロリソグラフィ投影露光装置
605 光源ユニット
610 照明デバイス
611 光学ユニット
612 偏向ミラー
613 レンズ素子群
614 レンズ
615 構造担持マスク
620 投影レンズ
630 ウェハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-07-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にマイクロリソグラフィのための光学系であって、
・多数の光パルスを生成するためのレーザ光源と、
・前記レーザ光源によって生成された光パルス列について、それぞれに連続した光パルス間に存在する時間区分が前記光パルス列にわたって変化するように前記レーザ光源を制御するように構成される制御ユニットと
を備えており、
・前記光学系は、前記レーザ光源によって生成された光のスペックルコントラストの特性である変量を測定するための第1の測定ユニットを備えており、前記制御ユニットは、前記第1の測定ユニットの出力信号に応じて、前記光パルスの時間的なパルスの連続を変化させるように構成され、および/または
・前記光学系は、前記レーザ光源によって生成された光の帯域幅の特性である変量を測定するための第2の測定ユニットを備えており、前記制御ユニットは、前記第2の測定ユニットの出力信号に応じて、前記光パルスの時間的なパルスの連続を変化させるように構成される
ことを特徴とする光学系。
【請求項2】
前記制御ユニットは、前記レーザ光源の少なくとも1つの光学部品の位置を操作するための少なくとも1つのアクチュエータを制御するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
複数のミラーを有する光パルス引伸し回路を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の光学系。
【請求項4】
前記光学部品が前記光パルス引伸し回路のミラーであることを特徴とする、請求項2に記載の光学系。
【請求項5】
前記制御ユニットが、前記レーザ光源のレーザ媒体へのエネルギー供給をトリガするために生成されたトリガ信号の時間的遅延を可変的に調整するように構成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の光学系。
【請求項6】
前記制御ユニットは、各々の2つの連続した光パルス間に存在する前記時間区分の不規則変化のための乱数発生器を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の光学系。
【請求項7】
前記制御ユニットは、各々の2つの連続した光パルス間に存在する前記時間区分を、事前に定義された下限界値と事前に定義された上限界値との間で連続的に増加させる、または連続的に減少させるように構成されること特徴とする、請求項1または2に記載の光学系。
【請求項8】
前記レーザ光源は、少なくとも7kHzの繰返し率で前記光パルスを生成するように設計されることを特徴とする、請求項1または2に記載の光学系。
【請求項9】
250nm未満の動作波長のために、特に200nm未満の動作波長のために設計されることを特徴とする、請求項1または2に記載の光学系。
【請求項10】
特にマイクロリソグラフィのための光学系を動作するための方法であって、前記光学系は、多数の光パルスを生成するためのレーザ光源とを備えており、前記レーザ光源によって生成された光パルス列について、それぞれに連続した光パルス間に存在する時間区分が前記光パルス列にわたって変化するように前記レーザ光源が制御され、
前記レーザ光源によって生成された光のスペックルコントラストの特性である変量の測定値に基づいて、前記変化が調整され、および/または
前記レーザ光源によって生成された少なくとも1つの光パルスのためのそれぞれの帯域幅の測定値に基づいて、前記変化が調整される
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記変化なしで得られる平均帯域幅と比較して前記レーザ光源によって生成された前記光パルスの平均帯域幅が減少されるように、前記変化が調整されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記変化なしで得られる平均帯域幅差と比較して連続した光パルス間の平均帯域幅差が減少されるように、前記変化が調整されることを特徴とする、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記レーザ光源の少なくとも1つの光学部品の位置、特に光パルス引伸し回路の少なくとも1つのミラーの位置を操作することによって、前記変化が少なくとも部分的に起こされることを特徴とする、請求項10または11に記載の方法。
【請求項14】
前記レーザ光源のレーザ媒体へのエネルギー供給をトリガするために生成されたトリガ信号の時間的遅延を可変的に調整することによって、前記変化が少なくとも部分的に起こされることを特徴とする、請求項10または11に記載の方法。
【外国語明細書】