(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162196
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】エッチング選択性の高いアモルファスカーボン膜
(51)【国際特許分類】
H01L 21/314 20060101AFI20231031BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20231031BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
H01L21/314 A
H01L21/31 C
H01L21/302 105A
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023126244
(22)【出願日】2023-08-02
(62)【分割の表示】P 2020529688の分割
【原出願日】2018-11-13
(31)【優先権主張番号】62/593,668
(32)【優先日】2017-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ボベック, サラ
(72)【発明者】
【氏名】クルシュレシャータ, パラシャント クマール
(72)【発明者】
【氏名】プラサド, ラジェッシュ
(72)【発明者】
【氏名】リー, クァンドゥック ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】ホワイトセル, ハリー
(72)【発明者】
【氏名】押尾 英隆
(72)【発明者】
【氏名】リー, ドン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ミッタル, デベン マシュー ラジ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】基板上にアモルファスカーボン膜を堆積するための技術を提供する。
【解決手段】アモルファスカーボン膜を形成する方法は、第1の処理領域内のサセプタ上に配置された下層の上にアモルファスカーボン膜を堆積することを含む。この方法は、第2の処理領域において、ドーパント又は不活性種をアモルファスカーボン膜に注入することを更に含む。ドーパント又は不活性種は、炭素、ホウ素、窒素、ケイ素、リン、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン又はこれらの組み合わせから選択される。この方法は、ドープされたアモルファスカーボン膜をパターニングすることを更に含む。本方法は、下層をエッチングすることを更に含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アモルファスカーボン膜を形成する方法であって、
第1の処理領域のサセプタ上に配置された下層の上にアモルファスカーボン膜を堆積することと、
炭素、ホウ素、窒素、ケイ素、リン、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン又はこれらの組み合わせから選択されるドーパント又は不活性種を、第2の処理領域内の前記アモルファスカーボン膜に注入することによって、ドープされたアモルファスカーボン膜を形成することと、
前記ドープされたアモルファスカーボン膜をパターニングすることと、
前記下層をエッチングすることと
を含む方法。
【請求項2】
前記下層が、単一の層又は誘電体スタックを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記下層の上に前記アモルファスカーボン膜を堆積することが、
炭化水素含有混合ガスを前記第1の処理領域に流入させることと、
前記第1の処理領域でRFプラズマを発生させて、前記下層の上に前記アモルファスカーボン膜を形成することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の処理領域に配置されたガス分配シャワーヘッドと前記サセプタとの間の距離が、約200ミルと約1000ミルとの間である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の処理領域内の圧力が、約4Torrと約8Torrとの間である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ドーパント又は不活性種を励起するために利用される注入エネルギーが、約5keVと約60keVとの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
イオン線量が、約5×1013イオン/cm2と約5×1016イオン/cm2との間である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ドーパント又は不活性種を注入する間のターゲット温度が、摂氏約-100度と摂氏約500度との間である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
アモルファスカーボン膜を形成する方法であって、
第1の処理領域のサセプタ上に配置された下層の上にアモルファスカーボン膜を堆積することと、
炭素、ホウ素、窒素、ケイ素、リン、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン又はこれらの組み合わせから選択されるドーパント又は不活性種を、第2の処理領域内の前記アモルファスカーボン膜に注入することによって、ドープされたアモルファスカーボン膜を形成することと、
前記ドープされたアモルファスカーボン膜をパターニングすることと、
前記下層をエッチングすることと
を含み、前記ドープされたアモルファスカーボン膜は、633nmでの屈折率が約2.1から約2.2である、方法。
【請求項10】
前記ドープされたアモルファスカーボン膜は、633nmでのk値が1.0未満である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ドープされたアモルファスカーボン膜が、約70GPaから約200GPaのヤング率(GPa)を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ドープされたアモルファスカーボン膜が、約14GPaから約22GPaの硬度(GPa)を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ドープされたアモルファスカーボン膜が、約-600MPaから約0MPaの応力(MPa)を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ドープされたアモルファスカーボン膜が、約1.95g/ccから約2.1g/ccの密度(g/cc)を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ドープされたアモルファスカーボン膜が、約10Åと約50,000Åとの間の厚さを有する、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本明細書に記載される実施態様は、概して、集積回路の製造に関する。より具体的には、本明細書に記載の実施態様は、基板上にアモルファスカーボン膜を堆積するための技術を提供する。
【0002】
[0002]集積回路は、単一チップ上に数百万個ものトランジスタ、コンデンサ及び抵抗器を搭載することができる複雑なデバイスへと進化を遂げている。チップ設計の進化には、より高速な回路及びより高い回路密度が継続的に必要とされる。より高い回路密度を有するより高速な回路に対する要求は、このような集積回路の製造に使用される材料に対応する要求を課す。特に、集積回路構成要素の寸法がサブミクロン規模に縮小されると、低い抵抗の導電性材料、及び低誘電率絶縁材料が、そのような構成要素から適切な電気的性能を得るために使用される。
【0003】
[0003]より大きな集積回路密度に対する要求はまた、集積回路構成要素の製造に使用されるプロセスシーケンスにも要求を課す。例えば、従来のフォトリソグラフィ技術を使用するプロセスシーケンスでは、エネルギー感受性レジストの層が、基板上に堆積された材料層のスタックの上に形成される。エネルギー感受性レジスト層をパターンの像に露光して、フォトレジストマスクを形成する。その後、マスクパターンは、エッチングプロセスを使用して、スタックの材料層のうちの1つ又は複数に転写される。エッチングプロセスで使用される化学エッチング液は、エネルギー感受性レジストのマスクよりもスタックの材料層のエッチング選択性が高くなるように選択される。すなわち、化学エッチング液は、エネルギー感受性レジストよりもはるかに速い速度で材料スタックの1つ又は複数の層をエッチングする。レジスト上のスタックの1つ又は複数の材料層に対するエッチング選択性は、パターン転写の完了前にエネルギー感受性レジストが消費されることを防止する。
【0004】
[0004]パターン寸法が小さくなるにつれて、パターン分解能を制御するために、エネルギー感受性レジストの厚さがそれに対応して小さくなる。このような薄いレジスト層は、化学エッチング液による攻撃のために、パターン転写プロセス中に下にある材料層をマスクするには不十分な可能性がある。ハードマスクと呼ばれる中間層(例えば、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素又はカーボン膜)は、化学エッチング液に対するより大きな抵抗のため、パターン転写を容易にするために、エネルギー感受性レジスト層と下にある材料層との間で使用されることが多い。高いエッチング選択性と高い堆積速度の両方を有するハードマスク材料が望ましい。限界寸法(critical dimension:CD)が減少するにつれて、現在のハードマスク材料は、下にある材料(例えば、酸化物及び窒化物)に対してターゲットとされるエッチングの選択性を欠き、堆積するのが困難になることが多い。
【0005】
[0005]したがって、当技術分野では、改善されたハードマスク層及び改善されたハードマスク層を堆積するための方法が必要とされる。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本明細書に記載される実施態様は、概して、集積回路の製造に関する。より具体的には、本明細書に記載の実施態様は、基板上にアモルファスカーボン膜を堆積するための技術を提供する。一実施態様では、アモルファスカーボン膜を形成する方法が提供される。この方法は、第1の処理領域内のサセプタ上に配置された下層の上にアモルファスカーボン膜を堆積することを含む。この方法は、第2の処理領域においてアモルファスカーボン膜にドーパント又は不活性種を注入することによって、ドープされたアモルファスカーボン膜を形成することを更に含む。ドーパント又は不活性種は、炭素、ホウ素、窒素、窒素二量体、ケイ素、リン、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン又はこれらの組み合わせから選択される。この方法は、ドープされたアモルファスカーボン膜をパターニングすることと、下層をエッチングすることとを更に含む。
【0007】
[0007]別の実施態様では、アモルファスカーボン膜を形成する方法が提供される。この方法は、第1の処理領域内のサセプタ上に配置された下層の上にアモルファスカーボン膜を堆積することを含む。この方法は、第2の処理領域においてアモルファスカーボン膜にドーパントを注入することによってドープされたアモルファスカーボン膜を形成することを更に含む。ドーパント又は不活性種は、炭素、ホウ素、窒素、窒素二量体ケイ素、リン、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン又はこれらの組み合わせから選択される。この方法は、ドープされたアモルファスカーボン膜をパターニングすることを更に含む。この方法は、下層をエッチングすることを更に含み、ドープされたアモルファスカーボン膜は、633nmで約2.1から約2.2の屈折率を有する。
【0008】
[0008]更に別の実施態様では、アモルファスカーボン膜を含むハードマスク層が提供される。アモルファスカーボン膜は、プラズマ増強化学気相堆積プロセスとそれに続く炭素注入プロセスによって形成される。ドーパント又は不活性種は、炭素、ホウ素、窒素、窒素二量体、ケイ素、リン、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン又はこれらの組み合わせから選択される。アモルファスカーボン膜は、半導体用途に使用されるエッチングプロセスにおいてハードマスク層として機能する。
【0009】
[0009]上述の本開示の特徴を詳細に理解できるように、上記で簡単に要約された実施態様のより具体的な説明が、実施態様を参照することによって得られ、それらの一部の実施態様は、添付の図面に例示されている。しかしながら、本開示は他の等しく有効な実施態様も許容しうるため、添付の図面は、本開示の典型的な実施態様のみを示しており、したがって、本発明の範囲を限定すると見なすべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】[0010]本明細書に記載の実施態様を実施するために使用することができる装置の概略図を示す。
【
図2】[0011]本開示の1つ又は複数の実施態様による、基板上に配置された膜スタック上にアモルファスカーボンハードマスク層を形成するための方法のプロセスフロー図を示す。
【
図3】[0012]A-Hは、本開示の1つ又は複数の実施態様によるハードマスク形成シーケンスを示す基板構造の概略断面図を示す。
【
図4】[0013]本開示の1つ又は複数の実施態様による、基板上に配置された膜スタック上にアモルファスカーボンハードマスク層を形成するための方法のプロセスフロー図を示す。
【
図5A】[0014]従来技術を用いて形成されたアモルファスカーボン膜と比較して、本開示の実施態様に従って形成されたアモルファスカーボン膜に対する面内歪み対膜応力(MPa)のプロットを示す。
【
図5B】[0015]
図5Aのアモルファスカーボン膜に対するヤング率(GPa)対膜応力(MPa)のプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0016]理解を容易にするために、可能な場合には、図に共通する同一要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。一実施態様の要素及び特徴は、更なる列挙がなくとも、他の実施態様に有益に組み込まれうることが企図される。
【0012】
[0017]以下の開示は、基板上へのダイヤモンド状カーボン膜堆積のための技術を記載する。本開示の様々な実施態様の完全な理解を提供するために、以下の説明及び
図1-5Bに特定の詳細を記載する。プラズマ処理及びイオン注入に関連することが多い周知の構造及びシステムを説明する他の詳細は、様々な実施態様の説明を不必要に曖昧にすることを避けるために、以下の開示では記載されない。
【0013】
[0018]図面に示される詳細、寸法、角度、及び他の特徴の多くは、特定の実施態様の単なる例示である。したがって、他の実施態様は、本開示の本質又は範囲から逸脱することなく、他の詳細、構成要素、寸法、角度、及び特徴を有することができる。加えて、本開示の更なる実施態様は、以下に記載の詳細のうちのいくつかがなくても、実施することができる。
【0014】
[0019]本明細書に記載の実施態様は、PECVD堆積プロセス、ならびに任意の適切な薄膜堆積及び注入システムを使用して実行することができるイオン注入プロセスを参照して、以下で説明されることになる。適切なシステムの例は、DXZ(登録商標)処理チャンバ、PRECISION 5000(登録商標)システム、PRODUCER(登録商標)システム、PRODUCER(登録商標)GTTMシステム、PRODUCER(登録商標)XP Precision(登録商標)システム、PRODUCER(登録商標)SETMシステム、Sym3(登録商標)処理チャンバ、及びMesa(登録商標)処理チャンバを使用しうるCENTURA(登録商標)システムを含み、これらのすべては、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から市販されている。イオン注入プロセスは、ビームライン又はプラズマ注入ツールによって実行されてもよい。注入プロセスを実行するために利用される例示的なシステムは、例えば、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から入手可能な、VARIAN VIISta(登録商標)TRIDENTシステム、VIISta(登録商標)3000XPシステム、VIISta(登録商標)900XPシステム、VIISta(登録商標)HCPシステム、VIISta(登録商標)Trident Crion(登録商標)システム、及びVIISta(登録商標)PLADシステムを含む。PECVD及び/又はイオン注入プロセスを実行することができる他のツールもまた、本明細書に記載の実施態様から利益を得るように適合されてよい。更に、本明細書に記載のPECVD及び/又はイオン注入プロセスを可能にする任意のシステムが、利益を得るために使用できる。本明細書に記載の装置の説明は、例示的なものであり、本明細書に記載の実施態様の範囲を限定するものとして制約又は解釈されるべきではない。
【0015】
[0020]集積回路の縮小における物理的制約は、平面のウエハ表面に直交する集積回路の拡張、すなわち、高アスペクト比(HAR)、デバイス空間の3次元利用をもたらした。動的エッチング選択性及びますます厳しくなる製造公差に適応するためのナノ製造戦略は、ケイ素、チタン、タングステン又はホウ素でドープされたカーボン膜、並びに誘電体酸化窒化ケイ素(ON/OP)膜といった、ハードマスク(HM)材料のライブラリをもたらした。組み合わせて使用されると、これらの材料は、エッチング選択性及び1Xノードまでのパターニングにおいて利点を提供する。アモルファスカーボンハードマスク材料の革新は、次世代デバイス構造において高アスペクト比(HAR)ベンチマークを達成するために望ましい。金属及び誘電体溶液とは対照的に、アモルファスカーボンは灰化可能であり、下にあるON/OPハードマスク膜に対して高い選択性を提供する。アモルファスカーボンハードマスクの別の利点は、アモルファスカーボンハードマスクの対応する光学特性であり、これは、位置合わせされた、パターニングされた特徴に透明性を提供するように調整可能であり、したがって、部分的なハードマスク開放プロセスの必要性が排除される。しかしながら、アモルファスカーボンハードマスクのための現在の集積ハードウェア及びプロセスは、金属ドープされた対応物及び誘電体ハードマスク対応物に対して、比較的乏しい機械的特性を示している。現世代の純粋なカーボン膜(例えば、ナノ結晶ダイヤモンド、超ナノ結晶ダイヤモンド、ダイヤモンド状炭素、及び、物理的気相堆積炭素)に対する最も高いエッチング選択性は、高いsp3含有量の膜に対して見られ、ダイヤモンドのハイブリッド化に類似している。ダイヤモンド状の炭素ハードマスクにおける長年の高い価値の問題は、sp3混成炭素による1GPaを超える圧縮膜応力であり、これはリソグラフィオーバーレイと静電チャッキングの制約によりパターニング性能を制限する。
【0016】
[0021]64xの層積層用途と100:1のアスペクト比を有する次世代3D NAND製品は、変形に抵抗しながらパターニングを可能にし、同時に改良されたリソグラフィオーバーレイを実証する薄膜を要求する。ダイヤモンド状カーボン膜は、炭素種特異的エッチング選択性を優れた構造的完全性と結びつける。これらのダイヤモンド状カーボン膜は、その機械的特性(その前触れがヤング率である)が、低減された応力及び面内歪み(「IPD」)の値で更に改善できる場合にのみ、競争力を維持することになる。
【0017】
[0022]本開示のいくつかの実施態様は、スループット又は実装コストにほとんど影響を与えずに、既存のハードウェアを使用するプロセスを提供する。本開示のいくつかの実施態様は、リソグラフィオーバーレイの高い価値問題、及び低いヤング率(E)に関連する高い応力を解決する。本開示のいくつかの実施態様は、プラズマ堆積メカニズムを調整することによって、アモルファスカーボンのヤング率を約2倍(例えば、約64GPaから約138GPaに)増加させる特有のプロセスを提供する。重要な膜特性の更なる改善は、イオン注入によって達成され、それにより、アモルファスカーボン膜のヤング率を更に30%(~180GPa)増加させ、その一方で、圧縮応力を75%(約-1200MPaから約-300MPaまで)減少させる。更に、PECVDとイオン注入との組み合わせにより、現世代の純粋なカーボンハードマスク膜と比較して、かなり低い面内歪み(3ナノメートル未満のオーバーレイ誤差)を達成したアモルファスカーボン膜がもたらされた。
【0018】
[0023]アモルファスカーボンハードマスク膜の性能を改善する際に、本開示の第1の態様は、新しいプロセスウィンドウを定義する。この新しいプロセスウィンドウは、高い応力(例えば、約-1200GPa)にもかかわらず、低い面内歪みをターゲットとし、しかもヤング率が改善されている。理論に束縛されるものではないが、これらの改善は、圧力を減少させることによってプラズマのシースサイズを増加させ、プロセス間隔を増大させ、結果的にプラズマ温度を低下させることによって、達成されると考えられる。合成温度の低下にもかかわらず、堆積速度の著しい減少により、より高いシース電位とBohm速度が確認された。これは、膜中の水素含有量を減少させながら、炭素と炭素の結合のより多くの形成に有利である。1つの実施態様では、633nmの後の堆積において測定された吸光係数の値は、0.72であり、より高いC=C、グラファイト特性を示した。更に、プラズマの密度を減少させると、平均自由行程、衝撃エネルギーが増加し、ウエハ表面にわたるイオンエネルギー分布関数の均一性が改善した。衝撃によるアモルファス化を最小化した、より弱いプラズマのための膜内特性は、ヤング率(E)、硬度、及び密度の増加を示す。理論によって束縛されるものではないが、増加した平均自由行程が、より低い面内歪み(IPD)をもたらし、これは、リソグラフィオーバーレイのターゲットとされると考えられる。
【0019】
[0024]本開示の第2の態様である、インラインイオン注入は、アモルファスカーボン膜の応力成分を約75%まで(例えば、約-1200MPaから約-300MPaまで)減少させ、ヤング率を更に改善し(例えば、約138GPaから約177GPaまで)、面内歪みプロファイルをより中心対称にするのに役立つ。イオン注入は、ある範囲の温度(例えば、摂氏約-100度から摂氏約500度)で行うことができる。ここで、アモルファスカーボン膜のイオン注入温度を下げると、注入されたドーパントの再配列が最小限に抑えられ、高密度化、sp3強化及び水素還元などの注入の有益な効果が確認されることが立証される。理論によって束縛されるものではないが、イオン注入は、局所的な応力を再配分し、全体的なウエハ応力を、例えば、後の膜堆積の値の約25%まで低下させるのに役立つと考えられる。応力を低下させつつ、ヤング率を最適に高めるための注入の正しいプロセス形態が、膜改良の飽和のHVPをバイパスするために進入するウエハのヤング率に基づいて開発されている。
【0020】
[0025]得られたアモルファスカーボン膜は、現在入手可能な純粋なカーボンハードマスク膜と比較して、30-50%のエッチング選択性の改善を示す一方で、以前のオーバーレイ要件にも適合する。
【0021】
[0026]本開示のいくつかの実施態様では、アモルファスカーボン膜は、むき出しのケイ素ブランケットウエハ上に、プラズマ増強化学気相堆積を介して堆積された。いくつかの実施態様では、炭素前駆体は、C3H6であり、プラズマプロファイル及び均一性はアルゴンガス及びヘリウムガスによって維持される。本作業の範囲は、とりわけ、C4H8、C2H6、C2H4、C2H2、CO2及びCF4の使用も包含する。この用途の高周波RFは、13.56MHzである。単一ウエハハードウェアは、摂氏650度の温度までの堆積を可能にし、ガスボックス、平面のヒータエッジリング構成とのシャワーヘッドの組み合わせを用いて、中心からエッジまでプラズマ安定性を維持する。プラズマプロファイル及びウエハ表面への結合は、ウエハ表面に対して横方向及び直交方向に分布するようにRFの層化によって更に調整されてもよい。
【0022】
[0027]いくつかの実施態様では、イオン注入は、単一ウエハ処理ツールで実行される。熱交換器は、温度制御及び摂氏-100度までの冷注入技術の開発を可能にする。本開示に示される高性能をもたらす種は、灰化可能なイオンであり、膜の純粋な炭素特性を維持する。
【0023】
[0028]
図1は、本開示の様々な実施態様にしたがって構成されたプラズマ処理チャンバ100の概略断面図である。例として、
図1のプラズマ処理チャンバ100の実施態様は、PECVDシステムに関して説明されるが、他のプラズマ堆積チャンバ又はプラズマエッチングチャンバを含む、任意の他のプラズマ処理チャンバが、実施態様の範囲内に入ってもよい。プラズマ処理チャンバ100は、サセプタ105及び処理領域146を共に囲む壁102、底部104、及びチャンバリッド124を含む。プラズマ処理チャンバ100は、真空ポンプ114と、第1のRF発生器151と、第2のRF発生器152と、RF整合器153と、ガス源154と、頂部RF電流チューナ155と、底部RF電流チューナ157と、システムコントローラ158とを更に含み、図示されるように、各々がプラズマ処理チャンバ100に外部的に結合される。
【0024】
[0029]壁102及び底部104は、アルミニウム又はステンレス鋼などの導電性材料を含んでもよい。壁102のうちの1つ又は複数を通して、基板110のプラズマ処理チャンバ100への挿入、及び基板110のプラズマ処理チャンバ100からの除去を容易にするように構成されるスリットバルブ開口部が存在してもよい。スリットバルブ開口部を密閉するように構成されたスリットバルブが、プラズマ処理チャンバ100の内側又は外側のいずれかに配置されてもよい。分かりやすくするために、スリットバルブ又はスリットバルブ開口は、
図1に示されていない。
【0025】
[0030]真空ポンプ114は、プラズマ処理チャンバ100に結合され、その中の真空レベルを調節するように構成される。示されるように、バルブ116は、プラズマ処理チャンバ100と真空ポンプ114との間で結合されてもよい。真空ポンプ114は、基板処理の前に、プラズマ処理チャンバ100を排気し、バルブ116を通る処理の間、そこからプロセスガスを除去する。バルブ116は、プラズマ処理チャンバ100の排気速度の調整を容易にするために調節可能でありうる。バルブ116を通る排気速度及びガス源154からの流入ガス流量は、プラズマ処理チャンバ100内のチャンバ圧力及びプロセスガス滞留時間を決定する。
【0026】
[0031]ガス源154は、チャンバリッド124を貫通するチューブ123を介して、プラズマ処理チャンバ100に結合される。チューブ123は、バッキング板106とチャンバリッド124に含まれるガス分配シャワーヘッド128との間のプレナム148に流体連結される。動作中、ガス源154からプラズマ処理チャンバ100内に導入されたプロセスガスは、プレナム148を充填し、次いで、ガス分配シャワーヘッド128内に形成されたガス通路129を通過して、処理領域146に均一に進入する。代替的実施態様では、プロセスガスは、ガス分配シャワーヘッド128に加えて又はその代わりに、壁102に取り付けられた入口及び/又はノズル(図示せず)を介して、処理領域146に導入されてもよい。
【0027】
[0032]サセプタ105は、
図1の基板110など、プラズマ処理チャンバ100による処理中に基板を支持するための任意の技術的に実現可能な装置を含みうる。いくつかの実施態様では、サセプタ105は、サセプタ105を昇降させるように構成されるシャフト112上に配置される。一実施態様では、シャフト112及びサセプタ105は、タングステン、銅、モリブデン、アルミニウム、又はステンレス鋼のような導電性材料から少なくとも部分的に形成されてもよく、又は導電性材料を含んでもよい。代替的に又は追加的には、サセプタ105は、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、窒化アルミニウム(AlN)、二酸化ケイ素(SiO
2)などのセラミック材料から少なくとも部分的に形成されてもよく、又はセラミック材料を含んでもよい。プラズマ処理チャンバ100が容量結合プラズマチャンバである実施態様において、サセプタ105は、電極113を含むように構成されてもよい。このような実施態様では、金属ロッド115又は他の導体が電極113に電気的に結合され、プラズマ処理チャンバ100に供給されるRF電力のための接地経路の一部を提供するように構成される。すなわち、金属ロッド115により、プラズマ処理チャンバ100に供給されたRF電力が、電極113を通過し、プラズマ処理チャンバ100から接地に送出できるようになる。
【0028】
[0033]いくつかの実施態様では、電極113はまた、プラズマ処理中にサセプタ105上への基板110の静電クランプを可能にするために、DC電源(図示せず)からの電気バイアスを提供するように構成される。そのような実施態様では、サセプタ105は、概して、上述のセラミック材料などの1つ又は複数のセラミック材料、又は静電チャックに使用するのに適した他の任意のセラミック材料を含む本体を備える。このような実施態様では、電極113は、RFメッシュなどのメッシュ、又はモリブデン(Mo)、タングステン(W)、若しくはサセプタ105の本体に含まれる1つ又は複数のセラミック材料の熱膨張係数と実質的に類似する熱膨張係数を有する他の材料から作られる穿孔シートでありうる。電極113とガス分配シャワーヘッド128は、共に、プラズマが形成される処理領域146の境界を画定する。例えば、処理中に、サセプタ105及び基板110を上昇させて、ガス分配シャワーヘッド128の下面の近く(例えば、10-30mmの範囲内)に配置して、処理領域146を少なくとも部分的に包囲するように形成することができる。
【0029】
[0034]第1のRF発生器151は、RF整合器153を介して第1のRF周波数で高周波電力を放電電極126に供給するように構成された高周波(RF)電源である。同様に、第2のRF発生器152は、RF整合器153を介して第2のRF周波数で高周波電力を放電電極126に供給するように構成されたRF電源である。いくつかの実施態様では、第1のRF発生器151は、例えば約13.56MHzの高周波(HF)でRF電流を発生することができるRF電源を含む。代替的に又は追加的には、第1のRF発生器151は、約20MHzから200MHz以上の間の周波数でVHF電力などのVHF電力を生成することができるVHF発生器を含む。対照的に、第2のRF発生器152は、いわゆる低周波(LF)RF、例えば約350kHzでRF電流を発生することができるRF電源を含む。代替的又は追加的には、第2のRF発生器152は、約1kHzと約1MHzとの間の周波数でRF電力を発生することができるRF発生器を含む。第1のRF発生器151及び第2のRF発生器152は、放電電極126とサセプタ105との間のプラズマの発生を容易にするように構成される。
【0030】
[0035]放電電極126は、ガス分配シャワーヘッド128(
図1に示すような)のようなプロセスガス分配要素、及び/又はプロセスガスが処理領域146に導入されるガス噴射ノズルのアレイを含むことができる。放電電極126、すなわちガス分配シャワーヘッド128は、基板110の表面に実質的に平行に配向されてもよく、基板110とガス分配シャワーヘッド128との間に配置される処理領域146内にプラズマ源電力を容量結合する。
【0031】
[0036]RF整合器153は、第1のRF発生器151とプラズマ処理チャンバ100の給電電極、すなわちガス分配シャワーヘッド128との間に結合される任意の技術的に実現可能なインピーダンス整合装置であってもよい。また、RF整合器153は、第2のRF発生器152とプラズマ処理チャンバ100の給電電極との間に結合される。RF整合器153は、負荷インピーダンス(プラズマ処理チャンバ100)を駆動源(第1のRF発生器151、第2のRF発生器152)の源又は内部インピーダンスに整合させて、第1のRF発生器151及び第2のRF発生器152からプラズマ処理チャンバ100へのRF電力の最大伝達を可能にするように構成される。
【0032】
[0037]壁102の一部を形成するのは、上部アイソレータ107、調整リング108、及び下部アイソレータ109である。上部アイソレータ107は、導電性材料から形成される調整リング108を、いくつかの実施態様において、動作中にRF電力でエネルギー供給されるバッキング板106から電気的に絶縁するように構成される。したがって、上部アイソレータ107は、バッキング板106と調整リング108との間に配置され、調整リング108がバッキング板106を介してRF電力で付勢されるのを防止する。いくつかの実施態様では、上部アイソレータ107は、処理領域146の周りに同心円状に配置されるセラミックリング又は環帯として構成される。同様に、下部アイソレータ109は、調整リング108を壁102から電気的に絶縁するように構成される。壁102は、典型的には、導電性材料から形成され、したがって、処理中にプラズマ処理チャンバ100に供給されるRF電力の一部の接地経路として作用することができる。したがって、下部アイソレータ109により、調整リング108は、プラズマ処理チャンバ100に供給されるRF電力のための、壁102のものとは異なる接地経路の一部になりうる。いくつかの実施態様では、上部アイソレータ107は、セラミックリングとして構成されるか、又は処理領域146の周りに同心円状に配置されるセラミックリングを含むように構成される。
【0033】
[0038]調整リング108は、上部アイソレータ107と下部アイソレータ109との間に配置され、導電性材料から形成され、処理領域146に隣接して配置される。例えば、いくつかの実施態様では、調整リング108は、アルミニウム、銅、チタン、又はステンレス鋼などの適切な金属から形成される。いくつかの実施態様では、調整リング108は、基板110の処理中にサセプタ105及び基板110の周りに同心円状に配置される金属リング又は環帯である。加えて、調整リング108は、図示のように、導体156を介して頂部RF電流チューナ155を介して接地に電気的に結合される。したがって、調整リング108は、給電電極ではなく、概して、処理領域146の外側及び周囲に配置される。一例では、調整リング108は、基板110と実質的に平行な平面内に位置決めされ、処理領域146内にプラズマを形成するために使用されるRFエネルギーのための接地経路の一部である。その結果、追加のRF接地経路141が、頂部RF電流チューナ155を介して、ガス分配シャワーヘッド128と接地との間に確立される。したがって、特定の周波数における頂部RF電流チューナ155のインピーダンスを変化させることによって、その特定の周波数におけるRF接地経路141に対するインピーダンスが変化し、その周波数における調整リング108に結合されるRF場に変化を生じさせる。したがって、処理領域146内のプラズマの形状は、第1のRF発生器151又は第2のRF発生器152のいずれかに関連するRF周波数に対して、+/-X方向及びY方向に沿って独立して変調されてもよい。すなわち、処理領域146内に形成されるプラズマの形状、体積又は均一性は、例えば、調整リング108の使用によって、又は電極113を使用して基板110とガス分配シャワーヘッド128との間を垂直に、基板110の表面にわたる複数のRF周波数について独立して変調されてもよい。
【0034】
[0039]システムコントローラ158は、真空ポンプ114、第1のRF発生器151、第2のRF発生器152、RF整合器153、ガス源154、頂部RF電流チューナ155、及び底部RF電流チューナ157といった、プラズマ処理チャンバ100の構成要素及び機能を制御するように構成される。よって、システムコントローラ158は、頂部RF電流チューナ155及び底部RF電流チューナ157からセンサ入力、例えば電圧-電流入力を受け取り、プラズマ処理チャンバ100の動作のための制御出力を送信する。システムコントローラ158の機能は、ソフトウェア、ハードウェア、及び/又はファームウェアを介することを含む、任意の技術的に実現可能な実施態様を含むことができ、プラズマ処理チャンバ100に関連する複数の別個のコントローラの間で分割することができる。
【0035】
[0040]理論によって束縛されるものではないが、プラズマ増強堆積プロセス中に、プラズマ処理チャンバの処理領域に異なる周波数のRF電力を供給することによって、堆積膜の特性を調節することができると考えられる。例えば、処理領域146に供給される低周波RFプラズマ出力及び/又は周波数を調節すること、すなわち、1kHzから1MHzの形態でRFプラズマを形成することは、膜応力のようないくつかの堆積膜特性を調節するのに有益なことがあり、その一方で、処理領域146に供給される高周波RFプラズマ出力及び/又は周波数を調節すること、すなわち、1MHzから200MHzの形態でRFプラズマを形成することは、厚さの均一性のような他の堆積膜特性を調節するのに有益なことがある。本開示の様々な実施態様によれば、調整装置は、複数のRF周波数におけるプラズマ処理チャンバ100内のRF電流の流れの独立した制御を可能にする。いくつかの実施態様では、そのような調整装置は、プラズマ処理チャンバ100内の複数の位置、すなわち、頂部RF電流チューナ155及び底部RF電流チューナ157で用いられる。
【0036】
[0041]上述のように、頂部RF電流チューナ155は、調整リング108に電気的に結合され、接地に終端され、したがって、プラズマ処理チャンバ100のための制御可能なRF接地経路141を提供する。同様に、底部RF電流チューナ157は、金属ロッド115に電気的に結合され、接地に終端され、したがって、プラズマ処理チャンバ100のための異なる制御可能なRF接地経路142を提供する。本明細書に記載されるように、頂部RF電流チューナ155及び底部RF電流チューナ157は、それぞれ、複数のRF周波数で接地へのRF電流の流れを制御するように構成される。したがって、調整リング108と金属ロッド115との間の第1のRF周波数におけるRF電流の分配は、調整リング108と金属ロッド115との間の第2のRF周波数におけるRF電流の分配から独立して制御することができる。
【0037】
[0042]プラズマ180は、電極113と放電電極126との間の処理領域146内に形成される。電極113の底面とサセプタ105の頂面との間の距離又は「間隔」は、「x」で表される。
【0038】
[0043]他の堆積チャンバもまた、本開示から利益を得ることができ、上記に列挙したパラメータは、アモルファスカーボン層を形成するために使用される特定の堆積チャンバに従って変化することがある。例えば、他の堆積チャンバは、より大きな又はより小さな容積を有してもよく、アプライドマテリアルズ社から入手可能な堆積チャンバについて記載されたものよりも大きい又は小さいガス流速を必要とする。一実施態様では、ホウ素-カーボン膜は、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から市販されている、PRODUCER(登録商標)XP PrecisionTM処理システムを使用して堆積することができる。
【0039】
[0044]アモルファスカーボン膜中のドーパント又は不活性種の取り込みの原子パーセントは、以下のように計算される(1cm-3のドーパント濃度を、特定の密度のC膜に対して予想される1cm-3あたりのC原子数で除算する)。アモルファスカーボン膜は、少なくとも0.1、1、又は10原子パーセントのドーパント又は不活性種を含有することがある。アモルファスカーボン膜は、1、10、又は30原子パーセントまでのドーパント又は不活性種を含有することがある。アモルファスカーボン膜は、約1~約30原子パーセントのドーパント又は不活性種を含有することがある。アモルファスカーボン膜は、約10~約30原子パーセントのドーパント又は不活性種を含有することがある。アモルファスカーボン膜は、少なくとも3、5、又は10原子パーセントの水素を含有することがある。アモルファスカーボン膜は、5、10、又は15原子パーセントまでの水素を含有することがある。アモルファスカーボン膜は、約3~約15原子パーセントの水素を含有することがある。
【0040】
[0045]ドーパントが炭素である一実施態様では、アモルファスカーボン膜中の炭素取り込みの原子パーセントは、以下のように計算される。
((C/(H+C))%)
アモルファスカーボン膜は、少なくとも85、90、又は95原子パーセントの炭素を含有することがある。アモルファスカーボン膜は、90、95、又は97原子パーセントまでの炭素を含有することがある。アモルファスカーボン膜は、約85~約97原子パーセントの炭素を含有することがある。アモルファスカーボン膜は、約90~約97原子パーセントの炭素を含有することがある。アモルファスカーボン膜は、少なくとも3、5、又は10原子パーセントの水素を含有することがある。アモルファスカーボン膜は、5、10、又は15原子パーセントまでの水素を含有することがある。アモルファスカーボン膜は、約3~約15原子パーセントの水素を含有することがある。
【0041】
[0046]概して、以下の例示的な堆積プロセスパラメータは、本明細書に記載のアモルファスカーボン膜堆積プロセスのPECVD部分に使用されることがある。プロセスパラメータは、摂氏約100度から摂氏約700度(例えば、摂氏約300度から摂氏約700度)のウエハ温度の範囲にありうる。チャンバ圧力は、約1Torrから約20Torr(例えば、約2Torrと約8Torrとの間、又は約5Torrと約8Torrとの間)のチャンバ圧力の範囲にありうる。炭化水素含有ガスの流量は、約100sccmから約5,000sccm(例えば、約100sccmと約2,000sccmとの間、又は約160sccmと約500sccmとの間)でありうる。希釈ガスの流量は、個々に約0sccmから約5,000sccm(例えば、約2,000sccmから約4,080sccm)の範囲にありうる。不活性ガスの流量は、個々に、約0sccmから約10,000sccm(例えば、約0sccmから約2,000sccm、約200sccmから約2,000sccm)の範囲にありうる。RF電力は、1,000ワットと3,000ワットとの間でありうる。基板110の頂面とガス分配シャワーヘッド128との間のプレート間隔は、約200ミルから約1,000ミル(例えば、約200ミルから約600ミル、約300ミルから約1,000ミル、又は約400ミルから約600ミル)の間に設定されることがある。アモルファスカーボン膜は、約10Åと約50,000Åとの間(例えば、約300Åと約3,000Åとの間、又は約500Åから約1,000Åとの間)の厚さを有するように堆積されてもよい。上記のプロセスパラメータは、約100Å/分から約5,000Å/分(例えば、約1,400Å/分から約3,200Å/分)の範囲のアモルファスカーボン膜の典型的な堆積速度を提供し、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から入手可能な堆積チャンバ内の300mm基板上で実施することができる。
【0042】
[0047]注入前の堆積されたままのアモルファスカーボン膜は、1.9より大きい、例えば約2.2(例えば、約2.1から約2.5)の屈折率(n)(633nm)を有することがある。堆積されたままのアモルファスカーボン膜は、例えば、1.0未満(例えば、約0.6から約0.8)のk値(k(633nmで))を有することがある。堆積されたままのアモルファスカーボン膜は、約50~約200GPa(例えば、約60~約140GPa、又は約100~約140GPa)のヤング率(GPa)を有することがある。堆積されたままのアモルファスカーボン膜は、約10GPaから約22GPa(例えば、約10GPaから約15GPa、又は約12GPa~約14GPa)の硬度(GPa)を有することがある。堆積されたままのアモルファスカーボン膜は、約-1300MPaから約0MPa(例えば、約-1300MPaから約-250MPa、約-1250MPaから約-1000MPa)の応力(MPa)を有することがある。堆積されたままのアモルファスカーボン膜は、約1.7g/ccから約1.87g/cc(例えば、約1.74g/ccから約1.85g/cc)の密度(g/cc)を有することがある。
【0043】
[0048]炭素注入後の堆積されたままのアモルファスカーボン膜は、2.04より大きい、例えば約2.2(例えば、約2.1から約2.2)の屈折率(n)(633nm)を有することがある。堆積されたままのアモルファスカーボン膜は、例えば1.0未満(例えば、約0.5から約0.8、約0.6から約0.7)のk値(k(633nmにおいて))を有することがある。注入後の堆積されたままのアモルファスカーボン膜は、約70~約200GPa(例えば、約120~約180GPa、又は約130~約170GPa)のヤング率(GPa)を有することがある。注入後の堆積されたままのアモルファスカーボン膜は、約14GPa~約22GPa(例えば、約15GPa~約20GPa、又は約16GPa~約19GPa)の硬度(GPa)を有することがある。注入後の堆積されたままのアモルファスカーボン膜は、約-600MPaから約0MPa(例えば、約-400MPaから約0Pa、約-350MPaから約0MPa)の応力(MPa)を有することがある。堆積されたままのアモルファスカーボン膜は、1.9g/ccより大きい、例えば約2.1g/cc(例えば、約1.95g/ccから約2.1g/cc)の密度(g/cc)を有することがある。
【0044】
[0049]
図2は、本開示の1つ又は複数の実施態様による、基板上に配置された膜スタック上にアモルファスカーボンハードマスク層を形成するための方法200のプロセスフロー図を示す。
図3A~3Hは、方法200によるハードマスク形成シーケンスを示す基板構造の概略断面図を示す。方法200は、3次元半導体デバイスのための膜スタック内に階段状の構造体を製造するために利用される膜スタック上に形成されうるハードマスク層を参照して以下に説明されるが、方法200は、他のデバイス製造用途において利点を得るためにも使用されることがある。更に、また、
図2に示される工程は、同時に実行されてもよく、及び/又は
図2に示される順序と異なる順序で実行されてもよいと理解すべきである。
【0045】
[0050]方法200は、
図1に示すプラズマ処理チャンバ100のような処理チャンバ内に基板302を配置することによって、工程210で開始する。基板302は、
図1に示す基板110であってもよい。基板302は、その上に形成された膜スタック300の一部であってもよい。
【0046】
[0051]一実施態様では、基板110の表面は、
図1に示すように、実質的に平面である。代替的には、基板110は、パターニングされた構造、例えば、その中に形成されたトレンチ、孔、又はビアを有する表面を有してもよい。基板110はまた、その上又はその中にターゲットとされる高さで形成された構造を有する実質的に平面の表面を有してもよい。基板110は単一の本体として示されているが、基板110は、金属コンタクト、トレンチアイソレーション、ゲート、ビット線、又は任意の他の相互接続特徴などの半導体デバイスを形成する際に使用される1つ又は複数の材料を含みうると理解される。基板110は、半導体デバイスを製造するために利用される、1つ又は複数の金属層、1つ又は複数の誘電体材料、半導体材料、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。例えば、基板110は、用途に応じて、酸化物材料、窒化物材料、ポリシリコン材料等を含んでもよい。メモリ用途がターゲットとされる一実施態様では、基板110は、ケイ素基板材料、酸化物材料、及び窒化物材料を含んでもよく、ポリシリコンが間に挟まれていてもよく、挟まれていなくてもよい。
【0047】
[0052]別の実施態様において、基板110は、基板110の表面上に堆積された複数の交互の酸化物及び窒化物材料(すなわち、酸化物-窒化物-酸化物(ONO))(図示せず)を含んでもよい。様々な実施態様では、基板110は、複数の交互の酸化物及び窒化物材料、1つ又は複数の酸化物又は窒化物材料、ポリシリコン又はアモルファスケイ素材料、アモルファスケイ素と交互の酸化物、ポリシリコンと交互の酸化物、ドープされたケイ素と交互のドープされていないケイ素、ドープされたポリシリコンと交互のドープされていないポリシリコン、又はドープされたアモルファスケイ素と交互のドープされていないアモルファスケイ素を含んでもよい。基板110は、膜処理が行われる任意の基板又は材料表面であってもよい。例えば、基板110は、結晶性ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素、歪みシリコン、シリコンゲルマニウム、タングステン、窒化チタン、ドープされた又はドープされていないポリシリコン、ドープされた又はドープされていないケイ素ウエハ、及びパターニングされた又はパターニングされていないウエハ、シリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素がドープされた酸化ケイ素、窒化ケイ素、ドープされたケイ素、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイア、低誘電率(low k)誘電体、及びそれらの組合せなどの材料でありうる。
【0048】
[0053]膜スタック300は、基板302及び下層304を含む。下層304は、本明細書で利用されるように、アモルファスカーボンハードマスクの下に配置される任意の層を含む。例えば、アモルファスカーボンハードマスク306は、アモルファスカーボンハードマスク306と下層304とが互いに物理的に接触するように、下層304の真上に配置されてもよい。一実施態様では、下層304は、単一層を含む。別の実施態様では、下層304は、誘電体スタックを含む。
【0049】
[0054]工程220では、
図3Bに示すように、基板302上に配置された下層304の上にアモルファスカーボンハードマスク306が形成される。アモルファスカーボンハードマスク306は、下層304の上にブランケット堆積プロセスによって堆積される。いくつかの実施態様では、アモルファスカーボンハードマスク306は、
図4のプロセスフロー図に記載される方法400に従って堆積される。アモルファスカーボンハードマスク306は、下層304の後続のエッチング要件に対応する厚さまで堆積されてもよい。一例では、アモルファスカーボンハードマスクは、約0.5μmと約1.5μmとの間、例えば約1.0μmなど、の厚さを有する。
【0050】
[0055]工程230では、イオン注入プロセスが、アモルファスカーボンハードマスク306にドーパントをドープし、
図3Cに示すように、ドーパントでドープされた、ドープされたアモルファスカーボンハードマスク312を形成する。任意の適切なドーピング技術が使用されてもよい。一実施態様では、ドーパント又は不活性種を注入するために、プラズマ浸漬イオン注入技術が用いられる。一実施態様では、ドーパント又は不活性種を注入するために、ビームライン注入技術が用いられる。一実施態様では、ドーパント又は不活性種を注入するために、プラズマドーピング(PLAD)技術などの共形ドーピング技術が用いられてもよい。
【0051】
[0056]適切なイオン種は、炭素、ホウ素、窒素、ケイ素、リン、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、及びキセノン含有材料などの様々な前駆体材料から生成されうる。一実施態様では、ドーパント又は不活性種は、炭素、ホウ素、窒素、ケイ素、リン、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、又はこれらの組合せから選択される。炭素含有前駆体ガスの例は、CH4を含む。一実施態様では、様々な前駆体材料は、例えば、CH4/N2、CH4/He、N2/He、CH4/Ne、CH4/Ar、CH4/Ne、CH4/Kr、CH4/Xeを含む前駆体材料の組み合わせから生成される。
【0052】
[0057]概略図において、イオン310は、アモルファスカーボンハードマスク306に衝突し、概して、アモルファスカーボンハードマスク306を貫通して、ドーパント又は不活性種が注入された、ドープされたアモルファスカーボンハードマスク312を形成する。イオン310は、イオンのタイプ及びサイズ、ならびにイオン310を励起するために利用される電力及びバイアスに応じて、様々な深さまでアモルファスカーボンハードマスク306を貫通する。イオン310の種は、下層304のエッチング選択性を高めるように調整されうる。したがって、注入される種は、アモルファスカーボンハードマスク306のエッチング選択性を高めるように適合される任意のモノマー又は分子イオンでありうる。
【0053】
[0058]イオン注入プロセスは、ビームライン又はプラズマ注入ツールによって実行されてもよい。注入プロセスを実行するために利用される例示的なシステムは、例えば、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から入手可能な、VARIAN VIISta(登録商標)Tridentシステム、VIISta(登録商標)3000XPシステム、VIISta(登録商標)900XPシステム、VIISta(登録商標)HCPシステム、及びVIISta(登録商標)PLADシステムを含む。上述のシステムに関して説明したが、イオン注入プロセスを実行するために、他の製造業者からのシステムもまた利用できることが企図される。
【0054】
[0059]一実施態様では、イオン注入プロセスは、ドーパント又は不活性種をアモルファスカーボンハードマスク306に注入する。ドーパント又は不活性種は、炭素、ホウ素、窒素、ケイ素、リン、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、又はこれらの組み合わせから選択される。一実施態様では、ドーパントを励起するために利用される注入エネルギーは、利用されるドーパントのタイプ、アモルファスカーボンハードマスク306として利用される材料のタイプ、及びターゲットとされる注入の深さに応じて、約1keVと約60keVとの間(例えば、約5keVと約60keVとの間、約1keVと約15keVとの間、約10keVと約35keVとの間、約20keVと約30keVとの間、又は約20keVと約25keVとの間)である。一実施態様では、イオン線量(イオン/cm2)は、利用されるドーパントのタイプ、アモルファスカーボンハードマスク306として利用される材料のタイプ及びターゲットとされる注入の深さに応じて、約5×1013イオン/cm2と約5×1017イオン/cm2との間(例えば、約1×1015イオン/cm2と約3×1017イオン/cm2との間、約1×1014イオン/cm2と約5×1016イオン/cm2との間、約1×1014イオン/cm2と約2×1016イオン/cm2との間、約1×1015イオン/cm2と約1×1016イオン/cm2との間、約5×1015イオン/cm2と約1×1016イオン/cm2との間)である。一実施態様では、PLAD注入技術が使用される場合、ドーパント又は不活性種を励起するために利用される注入エネルギーは、約5×1013イオン/cm2と約5×1017イオン/cm2との間(例えば、約1×1015イオン/cm2と約3×1017イオン/cm2との間、約1×1014イオン/cm2と約5×1016イオン/cm2との間、約1×1014イオン/cm2と約2×1016イオン/cm2との間、約1×1015イオン/cm2と約1×1016イオン/cm2との間、約5×1015イオン/cm2と約1×1016イオン/cm2との間)のイオン線量範囲で、約1kVと約60kVとの間(例えば、約5kVと約60kVとの間、約1kVと約15kVとの間、約10kVと約35kVとの間、約20kVと約30kVとの間、又は約20kVと約25kVとの間)である。ドーパントがヘリウムである一実施態様では、ドーパントを励起するために利用される注入エネルギーは、約1×1015イオン/cm2と約3×1017イオン/cm2との間のイオン線量範囲で、約1kVと約15kVとの間である。一実施態様では、ターゲット温度は、摂氏約-100度と摂氏約500度との間(例えば、摂氏約-100度と摂氏約200度との間、摂氏約-100度と摂氏約0度との間、摂氏約-100度と摂氏約50度との間、摂氏約0度と摂氏約50度との間、又は摂氏約50度と摂氏約400度との間)である。
【0055】
[0060]概して、アモルファスカーボンハードマスク306の硬度を高めることにより、アモルファスカーボンハードマスク306を開いた後の下層304における高アスペクト比構造の線曲げを低減することができる。注入されたイオン310は、アモルファスカーボンハードマスク306のダングリング炭素-水素ボンドから残留水素原子を抽出し、アモルファスカーボンハードマスク306内に炭化物構造を形成すると考えられる。炭化物構造は、ドープされていないハードマスクと比較した時に、硬度が増加していることを示す。更に、注入されたイオン310は、アモルファスカーボンハードマスク306内に存在する格子間ボイドを占拠し、その結果、アモルファスカーボンハードマスク306の密度が増加すると考えられる。密度が増加すると、アモルファスカーボンハードマスク306の機械的完全性が更に増大する。
【0056】
[0061]一実施態様では、イオン注入プロセスに続いて、膜スタック300が熱処理される。適切なイオン注入後熱処理技術は、UV処理、熱アニーリング、及びレーザアニーリングを含む。ドープされたアモルファスカーボンハードマスク312の熱処理は、更に、注入されたイオン310を、ドープされたアモルファスカーボンハードマスク312のフレームワーク内に組み込む。例えば、注入されたイオン310は、より均一なドーピングプロファイルを形成するために、ドープされたアモルファスカーボンハードマスク312内に再分配されてもよい。熱処理は、ドープされたアモルファスカーボンハードマスク312のアモルファスカーボンと注入されたイオン310との間の相互作用及び結合を増大させることがあると考えられる。注入されたイオン310の再分配及び結合は、ドープされたアモルファスカーボンハードマスク312の硬度、密度、及びエッチング選択性を更に増加させるように機能することがある。一実施態様では、アニールプロセスは、プラズマ処理チャンバ100などのプラズマ処理チャンバ内で実行される。別の実施態様では、アニールプロセスは、別個のアニールチャンバ内で実行される。
【0057】
[0062]工程240では、
図3Dに示されるように、ドーパント又は不活性種がドープされた、ドープされたアモルファスカーボンハードマスク312の上に、パターニングされたフォトレジスト層320が形成される。特徴又はパターンは、光エネルギーなどのエネルギー源を利用するフォトマスクからフォトレジスト層320に転写されてもよい。一実施態様では、フォトレジスト層320は、ポリマー材料であり、パターニングプロセスは、193ナノメートルの浸漬フォトリソグラフィプロセス、又は他の類似したフォトリソグラフィプロセスによって実行される。同様に、パターニングプロセスを実行するために、また、レーザを利用してもよい。
【0058】
[0063]工程250において、ドープされたアモルファスカーボンハードマスク312は、例えば、プラズマエッチングプロセスによって開かれ、
図3Eに示されるように、パターニングされドープされたアモルファスカーボンハードマスク322を形成する。プラズマエッチングプロセスは、
図3Cに関して説明したチャンバに類似したチャンバ内で実行されてもよい。
【0059】
[0064]工程260では、
図3Fに示すように、フォトレジスト層320が除去される。フォトレジスト層320は、様々な有利なフォトレジスト除去プロセスによって除去されうる。
【0060】
[0065]工程270では、
図3Gに示すように、下層304がエッチングされる。下層304のエッチングは、
図1Bに関して記載されたチャンバ及びシステムなどのプラズマ処理チャンバ内で行われてもよい。フッ化炭素のようなエッチング液は、下層304の露出部分を除去する。エッチング液の活性種は、パターニングされ、ドープされたアモルファスカーボンハードマスク322の材料、注入イオン310と実質的に反応しない。したがって、エッチング液は、下層304の材料に対して選択的である。エッチング液の適切な例は、とりわけ、CF
4、CHF
3、HBr、BCl
3、及びCl
2を含む。エッチング液は、不活性キャリアガスと共に供給されてもよい。
【0061】
[0066]工程280では、パターニングされ、ドープされたアモルファスカーボンハードマスク322が除去される。パターニングされ、ドープされたアモルファスカーボンハードマスク322は、任意の有利なハードマスク除去プロセスによって除去されうる。一例では、酸素プラズマは、パターニングされ、ドープされたアモルファスカーボンハードマスク322を除去するために利用される。結果として得られる膜スタック300は、その中に形成された、高アスペクト比特徴などの特徴324を有する下層304を含む。次に、膜スタック300に更なる処理を施して、機能性半導体デバイスを形成することができる。
【0062】
[0067]
図4は、本明細書に記載の実施態様による、アモルファスカーボン膜を堆積するための方法400の一実施態様を示すプロセスフロー図である。一実施態様では、工程220のアモルファスカーボン膜を堆積するために、方法400が使用されうる。方法400は、処理チャンバの処理領域に基板を提供することによって、工程410で始まる。処理チャンバは、
図1に示すプラズマ処理チャンバ100でありうる。基板は、また、
図1に示される基板110、又は
図3A-3Hに示される基板302であってもよい。
【0063】
[0068]工程420では、炭化水素含有混合ガスが処理領域146に流入する。炭化水素含有混合ガスは、ガス源154から、ガス分配シャワーヘッド128を通って、処理領域146に流入することがある。混合ガスは、少なくとも1つの炭化水素源及び/又は炭素含有源を含みうる。混合ガスは、不活性ガス、希釈ガス、窒素含有ガス、又はこれらの組み合わせを更に含んでもよい。炭化水素及び/又は炭素含有源は、任意の液体又は気体とすることができるが、好ましい前駆体は、材料の計量、制御、及びチャンバへの供給に必要とされるハードウェアを単純化するために、室温では蒸気であろう。
【0064】
[0069]一実施態様では、炭化水素源は、線形炭化水素などの気体炭化水素である。一実施態様では、炭化水素化合物は、一般式CxHyを有し、ここで、xは1と20との間の範囲を有し、yは1と20との間の範囲を有する。一実施態様では、炭化水素化合物はアルカンである。適切な炭化水素化合物は、例えば、メタン(CH4)、アセチレン(C2H2)、エチレン(C2H4)、エタン(C2H6)、プロピレン(C3H6)、及びブチレン(C4H8)、シクロブタン(C4H8)、及びメチルシクロプロパン(C4H8)を含む。適切なブチレンは、1-ブテン、2-ブテン、及びイソブチレンを含む。他の適切な炭素含有ガスは、二酸化炭素(CO2)及び四フッ化炭素(CF4)を含む。1つの例では、C3H6は、より安定した中間種形成のために好ましく、これは、より多くの表面移動度を可能にする。
【0065】
[0070]とりわけ、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、水素(H2)、窒素(N2)、アンモニア(NH3)、又はこれらの組み合わせなどの適切な希釈ガスが、混合ガスに加えられてもよい。Ar、He、及びN2は、アモルファスカーボン層の密度及び堆積速度を制御するために使用される。いくつかの場合において、N2及び/又はNH3の追加は、以下に議論されるように、アモルファスカーボン層の水素比を制御するために使用することができる。代替的には、堆積中に、希釈ガスを使用しなくてもよい。
【0066】
[0071]窒素含有ガスが、炭化水素含有混合ガスと共に、プラズマ処理チャンバ100内に供給されてもよい。適切な窒素含有化合物は、例えば、ピリジン、脂肪族アミン、アミン、ニトリル、アンモニア及び類似の化合物を含む。
【0067】
[0072]アルゴン(Ar)及び/又はヘリウム(He)などの不活性ガスが、炭化水素含有混合ガスと共に、プラズマ処理チャンバ100内に供給されてもよい。窒素(N2)及び一酸化窒素(NO)などの他の不活性ガスもまた、アモルファスカーボン層の密度及び堆積速度を制御するために使用されてもよい。更に、アモルファスカーボン材料の特性を改変するために、様々な他の処理ガスが、混合ガスに加えられてもよい。一実施態様では、処理ガスは、水素(H2)、アンモニア(NH3)、水素(H2)及び窒素(N2)の混合物、又はこれらの組み合わせなどの反応性ガスであってもよい。H2及び/又はNH3の追加は、堆積したアモルファスカーボン層の水素比(例えば、炭素対水素の比)を制御するために使用されてもよい。アモルファスカーボン膜中に存在する水素比は、反射率などの層特性の制御を提供する。
【0068】
[0073]オプションで、工程430において、処理領域内の圧力は、所定のRFオン遅延期間中に安定化される。所定のRFオン遅延期間は、工程430における、処理領域への炭化水素含有混合ガスの導入と、プラズマの衝突又は生成との間の期間として定義される固定された時間遅延である。任意の適切な固定時間遅延が、ターゲットとされた条件を達成するために、使用されてもよい。RFオン遅延期間の長さは、典型的には、炭化水素含有又は炭素含有混合ガスが、処理領域において熱分解し始めないか、又は実質的に熱分解し始めないように、選択される。
【0069】
[0074]工程440では、RFプラズマを処理領域内で生成して、アモルファスカーボンハードマスク306などのアモルファスカーボン膜を堆積する。プラズマは、容量性又は誘導性手段によって形成されてもよく、RF電力を前駆体混合ガスに結合することによって励起されてもよい。RF電力は、高周波成分及び低周波成分を有するデュアル周波数RF電力であってもよい。RF電力は、典型的には、約50Wと約2,500Wとの間(例えば、約2,000Wと約2,500Wとの間)の電力レベルで印加され、これは、例えば、約13.56MHzの周波数における全ての高周波RF電力であり、又は例えば、約300kHzの周波数における高周波電力と低周波電力の混合物でありうる。大部分の用途のために、プラズマは、約100Åと約5,000Åとの間の厚さを有するアモルファスカーボン層を堆積するために、ある期間維持される。炭化水素含有混合ガスの流れは、アモルファスカーボン膜のターゲットとされる厚さに達する。工程440のプロセスは、工程420及び工程430のプロセスと同時に、連続して、又は部分的に重複して実行されてもよい。
【0070】
[0075]本明細書に記載されるPECVD実施態様のいずれにおいても、アモルファスカーボン膜の堆積中に、チャンバ、ウエハ、又はその両方が、摂氏約200度と摂氏約700度との間(例えば、摂氏約400度と摂氏約700度との間、又は摂氏約500度と摂氏約700度との間)の温度に維持されうる。チャンバ圧力は、約1Torrから約10Torr(例えば、約2Torrと約8Torとの間、又は約4Torrと約8Torrとの間)のチャンバ圧力の範囲にありうる。サセプタとガス分配シャワーヘッドとの間の距離(すなわち、「間隔」)は、約200ミルと約1,000ミルとの間(例えば、約200ミルと約600ミルとの間、約300ミルと約1,000ミルとの間、又は約400ミルと約600ミルとの間)に設定されうる。
【0071】
[0076]アモルファスカーボン膜は、約10Åと約50,000Åとの間(例えば、約300Åと約30,000Åとの間、約500Åと約1,000Åとの間)の厚さを有するように堆積されてもよい。
【0072】
[0077]次いで、シーズン層の堆積からの過剰なプロセスガス及び副産物が、オプションのパージ/排気プロセスを実行することによって、処理領域から除去されてもよい。
【0073】
[0078]
図5Aは、従来技術を用いて形成されたアモルファスカーボン膜(510、512及び514)と比較した、本開示の実施態様に従って形成されたアモルファスカーボン膜(520、522及び530、532)についての面内歪み対膜応力(MPa)のプロット500を示す。本開示の実施態様に従って形成されたアモルファスカーボン膜(520、522及び530、532)は、炭素ドーパント注入の前に示されていることに留意されたい。
図5Bは、
図5Aのアモルファスカーボン膜に対するヤング率(GPa)対膜応力(MPa)のプロット550を示す。
図5A-5Bに示すように、本明細書に記載の実施態様に従って形成されたアモルファスカーボン膜(520、522及び530、532)は、高い応力(例えば、-1200MPa)にもかかわらず、低い面内歪み及び改善されたヤング率を達成した。本明細書に記載される後続の炭素ドーパント注入プロセスは、約1.4倍だけヤング率を増加させながら、約4倍だけ圧縮膜応力を減少させた。
【0074】
[0079]方法200及び方法400は、半導体デバイス製造プロセスにおけるメタライゼーションプロセスの前に、フロントエンドオブラインプロセス(FEOL)で使用されるプロセスに有用である。方法200によって形成されたアモルファスカーボン膜は、それらの高いエッチング選択性のために、エッチングプロセス中にハードマスク層としての機能を果たしうる。適切なプロセスは、ゲート製造用途、接触構造用途、シャロートレンチアイソレーション(STI)プロセスなどを含む。いくつかの実施態様では、アモルファスカーボン膜がエッチング停止層として使用されるか、又は異なるプロセス目的のための異なる膜として使用される場合、アモルファスカーボン膜の機械的又は光学的特性は、特定のプロセスの必要性を満たすように同様に調整されてもよい。
【0075】
[0080]したがって、ターゲットとされる面内歪み及び低応力のヤング率の両方を有する高エッチング選択性アモルファスカーボン膜を形成するための方法は、本明細書に記載の実施態様による、プラズマ堆積プロセスと、それに続く炭素注入プロセスによって提供される。本方法は、有利には、低応力及び高ヤング率、炭素と炭素の結合及び水素取り込みの変化、並びに高いエッチング選択性などの、ターゲットとされる機械的特性を有するアモルファスカーボン膜を提供する。本開示の実施態様は、スループット又は実装コストにほとんど影響を与えずに、既存のハードウェアを使用するプロセス設計を更に提供する。本開示のいくつかの実施態様は、プラズマ堆積メカニズムを調整することによって、アモルファスカーボン膜のヤング率を約2倍(例えば、約64GPaから約138GPaに)増加させる特有のプロセスを提供する。重要な膜特性の更なる改善は、イオン注入によって達成され、これは、アモルファスカーボン膜のヤング率を更に30%(例えば、180GPaまで)増加させ、一方、圧縮応力を約75%(例えば、約-1200MPaから約-300MPaまで)減少させる。更に、PECVDとイオン注入との組み合わせにより、現世代の純粋なカーボンハードマスク膜と比較して、かなり低い面内歪み(3ナノメートル未満のオーバーレイ誤差)を達成したアモルファスカーボン膜がもたらされた。本明細書に記載の得られた膜は、現世代の元素的に純粋なアモルファスカーボンハードマスク膜と比較して、約30-50%のエッチング選択性の改善を実証し、一方、以前のオーバーレイ要件にも適合する。
【0076】
[0081]本開示の要素、又はその例示的な態様又は実施態様を紹介するとき、冠詞「1つの(a、an)」、「その(the)」、及び「前記(said)」は、要素のうちの1つ又は複数が存在することを意味すると意図される。
【0077】
[0082]「備える/含む(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、包括的であることが意図され、列挙された要素以外の追加の要素が存在しうることを意味する。
【0078】
[0083]以上の記述は本開示の実施態様を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施態様及び更なる実施態様が考案されてもよく、本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲によって決定される。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アモルファスカーボン膜を形成する方法であって、
第1の処理領域のサセプタ上に配置された下層の上にアモルファスカーボン膜を堆積することと、
炭素、ホウ素、窒素、ケイ素、リン、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン又はこれらの組み合わせから選択されるドーパント又は不活性種を、第2の処理領域内の前記アモルファスカーボン膜に注入することによって、ドープされたアモルファスカーボン膜を形成することであって、前記ドーパント又は不活性種を注入する間のターゲット温度が、摂氏約-100度と摂氏約500度との間である、ドープされたアモルファスカーボン膜を形成することと、
前記ドープされたアモルファスカーボン膜をパターニングすることと、
前記下層をエッチングすることと、
を含む方法。
【請求項2】
前記下層が、単一の層又は誘電体スタックを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記下層の上に前記アモルファスカーボン膜を堆積することが、
炭化水素含有混合ガスを前記第1の処理領域に流入させることと、
前記第1の処理領域でRFプラズマを発生させて、前記下層の上に前記アモルファスカーボン膜を形成することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の処理領域に配置されたガス分配シャワーヘッドと前記サセプタとの間の距離が、約200ミルと約1000ミルとの間である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の処理領域内の圧力が、約4Torrと約8Torrとの間である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ドーパント又は不活性種を励起するために利用される注入エネルギーが、約5keVと約60keVとの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
イオン線量が、約5×1013イオン/cm2と約5×1016イオン/cm2との間である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ドーパントが炭素である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
アモルファスカーボン膜を形成する方法であって、
第1の処理領域のサセプタ上に配置された下層の上にアモルファスカーボン膜を堆積することと、
炭素、ホウ素、窒素、ケイ素、リン、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン又はこれらの組み合わせから選択されるドーパント又は不活性種を、第2の処理領域内の前記アモルファスカーボン膜に注入することによって、ドープされたアモルファスカーボン膜を形成することであって、前記ドーパント又は不活性種を注入する間のターゲット温度が、摂氏約-100度と摂氏約500度との間である、ドープされたアモルファスカーボン膜を形成することと、
前記ドープされたアモルファスカーボン膜をパターニングすることと、
前記下層をエッチングすることであって、前記ドープされたアモルファスカーボン膜は633nmでの屈折率が約2.1から約2.2である、前記下層をエッチングすることと、
を含む方法。
【請求項10】
前記ドープされたアモルファスカーボン膜は、633nmでのk値が1.0未満である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ドープされたアモルファスカーボン膜が、約70GPaから約200GPaのヤング率を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ドープされたアモルファスカーボン膜が、約14GPaから約22GPaの硬度を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ドープされたアモルファスカーボン膜が、約-600MPaから約0MPaの応力を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ドープされたアモルファスカーボン膜が、約1.95g/ccから約2.1g/ccの密度を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ドープされたアモルファスカーボン膜が、約10Åと約50,000Åとの間の厚さを有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
アモルファスカーボン膜を形成する方法であって、
第1の処理領域のサセプタ上に配置された下層の上にアモルファスカーボン膜を堆積することと、
炭素ドーパントを、第2の処理領域内の前記アモルファスカーボン膜に注入することによって、ドープされたアモルファスカーボン膜を形成することであって、前記炭素ドーパントを注入する間のターゲット温度が摂氏約-100度と摂氏約500度との間である、ドープされたアモルファスカーボン膜を形成することと、
前記ドープされたアモルファスカーボン膜をパターニングすることと、
前記下層をエッチングすることであって、前記ドープされたアモルファスカーボン膜が約14GPaから約22GPaの硬度を有する、前記下層をエッチングすることと、
を含む方法。
【請求項17】
前記ドープされたアモルファスカーボン膜は633nmでの屈折率が約2.1から約2.2である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ドープされたアモルファスカーボン膜は、633nmでのk値が1.0未満である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ドープされたアモルファスカーボン膜が、約70GPaから約200GPaのヤング率を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記ドープされたアモルファスカーボン膜が、
約-600MPaから約0MPaの応力、
約1.95g/ccから約2.1g/ccの密度、及び
約10Åと約50,000Åとの間の厚さ、
を有する、請求項19に記載の方法。
【外国語明細書】