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特開2023-162699封入装置、封入封緘装置及び画像形成システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162699
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】封入装置、封入封緘装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/26 20060101AFI20231101BHJP
【FI】
B65H1/26 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073256
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】篠田 淳
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 道貴
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 伸宜
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 勇介
(72)【発明者】
【氏名】松田 昂大
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 真悟
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 賢裕
(72)【発明者】
【氏名】森永 拓哉
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA01
3F343FB05
3F343FC18
3F343GA01
3F343GB02
3F343GC01
3F343GD01
3F343GE04
3F343GE09
3F343HB04
3F343HD15
3F343KB03
3F343LA13
(57)【要約】
【課題】封入装置における追い積み機構に関し、封筒保持部材を機外へ引き出すことが可能であり、追加の封筒を積載してから機内へ戻すことによって、容易に追い積みを行える封入装置を提供する。
【解決手段】封筒を積載して保持し、当該封筒を封入位置へ供給する第一封筒積載部と、封筒を保持可能な空間を有し、第一封筒積載部の上方に配置される第二封筒積載部と、を備え、第二封筒積載部は、空間に保持される封筒の位置を規制し、かつ、第一封筒積載部との境界において分離可能な封筒位置規制部材と、空間において封筒を保持可能にする封筒保持部材と、封筒を補充するときの補充位置への移動を可能にするレール部材と、を有する、封入装置による。
【選択図】図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
封筒に封入物を挿入する封入装置であって、
前記封筒を積載して保持し、当該封筒を封入位置へ供給する第一封筒積載部と、
前記封筒を保持可能な空間を有し、前記第一封筒積載部の上方に配置される第二封筒積載部と、
を備え、
第二封筒積載部は、前記空間に保持される前記封筒の位置を規制し、かつ、前記第一封筒積載部との境界において分離可能な封筒位置規制部材と、
前記空間において封筒を保持可能にする封筒保持部材と、
前記封筒を補充するときの補充位置への移動を可能にするレール部材と、
を有する、
ことを特徴とする封入装置。
【請求項2】
前記封筒保持部材は、前記第二封筒積載部が前記補充位置に移動されたときには前記空間において前記封筒を保持可能な位置に移動し、前記補充位置から前記第一封筒積載部の上方に戻されたときには当該封筒を保持しない位置へ移動する、
請求項1に記載の封入装置。
【請求項3】
前記第一封筒積載部は、前記第二封筒積載部が前記第一封筒積載部から分離して前記補充位置へ移動した状態においても、前記封入位置へ前記封筒を供給可能である、
請求項1に記載の封入装置。
【請求項4】
前記第一封筒積載部において保持されている前記封筒の量を検知する封筒残量検知部材と、
当該封筒の量が所定の閾値を下回ったときに当該封筒の補充を促す情報を出力する情報出力手段と、
を備える請求項1に記載の封入装置。
【請求項5】
封入物が挿入された封筒を封緘する封緘装置と、
請求項1に記載の封入装置と、
を備えることを特徴とする封入封緘装置。
【請求項6】
シート状の媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記媒体を封入物として封筒に挿入する請求項1に記載の封入装置と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封入装置、封入封緘装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
封筒に封入物を挿入する封入装置や、封入物を封筒に挿入し封緘する封入封緘装置が知られている。また、封入物としてのシートに画像を形成する画像形成装置と、画像が形成されたシートを封入物として封筒に封入して封緘する封入封緘装置と、を含む画像形成システムも知られている。
【0003】
従来の封入装置などでは、封筒を予め積載しておき、封入位置に排出する機構を備えている。封筒を補充するときには、すでに積載されている封筒の上に新たな封筒を追加する「追い積み」によることが多い。また、封筒を供給するときは、最下段の封筒から排出される。
【0004】
従来技術において、給紙台に積載されたシート束を最下部から順次取り出すためのシート束積載空間領域にて追い積みを行った際に、最下部のシートに圧力がかかり空送りや重送が発生することが知られている。
【0005】
上記のような空送りや重送を防ぐ目的で、追い積みしたシート束が給紙部内の支持部材によって支持され、この支持部材は部材の間から追い積みしたシートが自重によりたわむことで下部のシートと接触するように配置され、下部のシートが給紙動作により減少し追い積みされたシートのたわみが一定以上形成されたときに支持部材の隙間からシートが落下する構成が開示されている(特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている構成は、給紙動作を停止させることなく追い積みを行うことはできる。しかし、追い積みのためには装置外か装置機内へ、追い積みを行う充分な空間を確保が必要になる。すなわち、従来技術は、追い積みのための空間を確保できない環境には適用できないという課題がある。
【0007】
本発明は、封入装置における追い積み機構に関し、封筒保持部材を機外へ引き出すことが可能であり、追加の封筒を積載してから機内へ戻すことによって、容易に追い積みを行える封入装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一態様は、封筒に封入物を挿入する封入装置であって、前記封筒を積載して保持し、当該封筒を封入位置へ供給する第一封筒積載部と、前記封筒を保持可能な空間を有し、前記第一封筒積載部の上方に配置される第二封筒積載部と、を備え、第二封筒積載部は、前記空間に保持される前記封筒の位置を規制し、かつ、前記第一封筒積載部との境界において分離可能な封筒位置規制部材と、前記空間において封筒を保持可能にする封筒保持部材と、前記封筒を補充するときの補充位置への移動を可能にするレール部材と、を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、封入装置における追い積み機構に関し、封筒保持部材を機外へ引き出すことが可能であり、追加の封筒を積載してから機内へ戻すことによって、容易に追い積みを行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る封入システムの実施形態を示す正面外観図。
図2】上記実施形態に係る制御構成の例を示すブロック図。
図3】上記実施形態に適用可能なシート処理装置の例を示す内部構成図。
図4】上記実施形態に適用可能なシート処理装置の別例を示す内部構成図。
図5】本発明に係る封入装置の実施形態の内部構成図。
図6】上記封入装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
図7】上記封入装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
図8】上記封入装置の封入動作におけるフラップ開機構の動作を例示する図。
図9】上記封入装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
図10】上記封入装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
図11】上記封入装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
図12】上記封入装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
図13】上記封入装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
図14】上記封入装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
図15】上記封入装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
図16】上記封入装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
図17】上記封入装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
図18】上記封入装置が備える封筒セットトレイの構成を説明する部分拡大図。
図19】上記封入装置が備える封筒セットトレイの斜視図。
図20】上記封筒セットトレイにおける封筒の追い積みの流れを説明する図。
図21】上記封筒セットトレイが備える封筒保持部材の移動機構の動作を説明する図。
図22】上記封入装置の一実施形態に係る封入動作の処理の流れを示すフローチャート。
図23】上記封入装置が備える封筒残量検知部材の実施形態を説明する図。
図24】上記封入装置の一実施形態に係る追い積み可否判定処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[封入封緘システムの実施形態]
まず、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明に係る画像形成システムの一例としてのプリントシステム1の正面外観図である。プリントシステム1は、画像形成装置200と、折り処理を行うシート処理装置としての折り処理装置300と、封筒Eに封入物を封入し、封筒Eを封緘する封入封緘装置の実施形態としての封筒処理装置100と、後処理装置400と、を有している。プリントシステム1は、本発明に係る画像形成システムの実施形態でもある。
【0012】
画像形成装置200は、所定の画像形成方式により、シート状の媒体に対して画像を形成して搬出する装置である。画像が形成されたシート状の媒体(以下、単に「シートS」とする)は、折り処理装置300に排出される。
【0013】
折り処理装置300は、事前に行われる設定に基づいて、画像形成装置200から排出されてきたシートSに対する折り処理を行い、折りシートSfを形成して排出する。ここで、事前に行われる設定には、少なくとも、所定の折種の選定や、折り寸法の設定が含まれる。なお、折り処理装置300は、設定に基づいて、シートSをそのまま(折り処理を行わずに)、下流側へと排出することもある。
【0014】
折り処理の実施又は不実施に係る設定や、折り処理の実行に用いられる設定は、画像形成装置200側から通知される設定情報(各種調整値)に基づくものである。折り処理を実行する機構は、各種調整値に基づいて、シートSの送り量の調整を行い、調整に合わせた折り位置において折り目を付けた折りシートSfを形成する。所定の折り処理が施された折りシートSfは、封筒処理装置100に搬出される。
【0015】
また、折り処理装置300は、封筒処理装置100において折りシートSfを封筒Eに挿入するときの挿入方向の最後端が、折りシートSfの「折り目」になるように、折り寸法を調整する処理を実行する。
【0016】
封筒処理装置100は、シートSの搬入方向の上流側に配置される装置(折り処理装置300)において折り処理を行ってから搬送されてきた折りシートSfを封筒Eに挿入して封入する封入処理と、折りシートSfが挿入された封筒Eを封緘する封緘処理と、を行う。また、封筒処理装置100は、折りシートSfや、シートSを封筒Eに封入せずに下流側に搬出することもできる。この場合、封筒処理装置100の下流側に配置される後処理装置400へと搬出される。後処理装置400は搬入されたシートSに対するステイプル処理などの後処理を施す装置である。
【0017】
封筒処理装置100は、折り処理を施された折りシートSfを、封筒Eに対して適切な向きで封入するために、封筒E及び折りシートSfを搬送する搬送処理を行う。そこで、封筒処理装置100は、封入された折りシートSfに形成された宛先などの情報が、封筒Eに予め形成されている透明窓ewを透過して視認できる位置に相当するように、折りシートSfの封入時の向きを調整する処理も行う。この調整処理は、搬送処理に含まれる反転搬送処理によって実現される。したがって、封筒処理装置100は、搬入時の折りシートSfにおける画像位置及び封筒Eに形成されている透明窓ewの位置に基づいて、折りシートSfの封入時の向きを搬入時の向きから反転させるか否かを判断する。そして、判断結果に基づいて搬送処理及び反転搬送処理を実行する。
【0018】
ここで、図1を参照しながら、本発明に係る実施形態の説明に共通して用いる「方向」について説明する。図1に示すように、プリントシステム1の載置面と平行する軸をY軸とする。プリントシステム1を構成する各装置の並び方向はY軸に沿っており、図1に示すようにY軸の矢印方向をY方向と定義する。画像形成装置200において画像が形成されたシートSは、Y方向に搬出されて、その後、Y方向の下流側に配置される各装置へと搬送される。
【0019】
同じく載置面と平行する軸であって、Y軸と直交する軸をX軸とする。プリントシステム1の奥行き方向は、X軸の矢印方向であって、これをX方向と定義する。そして、X軸とY軸に直交するZ軸の矢印方向であって、プリントシステム1の高さ方向に相当するものをZ方向と定義する。図1に示すように、封筒処理装置100では、封入物を封筒Eに挿入する位置への搬送する構成、封入するための構成、封緘を行うための構成がZ方向に並ぶように配置されているので、封筒処理装置100の平面寸法を小型にすることができ、狭い設置空間においても運用可能なものを実現できる。以降の図においても同様の軸を付記し、軸の説明を省略する。
【0020】
[プリントシステム1の機能ブロック]
プリントシステム1の全体の機能ブロックについて、図2を用いて説明する。以下の説明において、搬送されて封筒Eに挿入され封入される媒体としての封入対象物は、画像形成装置200において画像が形成され、折り処理装置300において所定の折り処理が行なわれた折りシートSfとする。なお、図2では、シートS及び折りシートSfの移動経路(搬送路)を破線で表示し、各機能ブロック間で信号の送受に用いられる通信路は実線で表示している。
【0021】
画像形成装置200は、例えば、既知の電子写真プロセスによりシートSに画像を形成する装置である。画像形成装置200は、表示部210と、操作部220と、給シート部230と、作像部240と、定着部250と、プリンタ制御部260と、を備える。なお、画像形成装置200における画像形成プロセスは、電子写真プロセスに限定するものではなく、液体インクを媒体に吐出して画像を形成するインクジェット方式のものでもよい。また、これら以外の画像形成プロセスであってもよい。
【0022】
表示部210は、ユーザに各種機能の状態や操作内容を知らせるための表示をする。操作部220は、ユーザが処理動作モードや処理部数の設定を行うための操作インターフェースに相当する。
【0023】
操作部220を介して行われる操作には、折り処理装置300において実行する折り動作の種類(折種)や折り寸法の設定、封筒処理装置100において封入する際に反転搬送を必要とする設定等も含まれる。操作部220を介して行われた設定に関する情報は、プリンタ制御部260から、折り制御部320や、封入封緘制御部150へと伝達される。
【0024】
給シート部230は、シートSをストックして一枚毎に分離して給送するシート給送機構を備える。作像部240は、感光体に潜像を形成しシートSへと画像を転写させる。定着部250は、シートSに転写された画像を定着させる。プリンタ制御部260は、上記の各ブロック機能ブロックの動作を制御する。
【0025】
折り処理装置300は、シート折り部310、折り処理装置300全体を制御する折り制御部320を有する。折り制御部320は、画像形成装置200のプリンタ制御部260から通信ライン207を通じて指定された折種(折り方)、折り寸法に基づいて、シートSに対する折り処理を制御する。折り制御部320は、プリンタ制御部260及び下流に接続された封入封緘制御部150と通信も制御する。シート折り部310は、画像形成装置200から搬送されたシートSに対して、折り制御部320の制御に基づいて、指定された折種(折り方)、折り寸法でも折り処理を実行する。なお、シート折り部310において折り処理を行なわずに封筒処理装置100へと搬出してもよい。
【0026】
[シート折り部310における異なる折り動作の例]
シート折り部310には、複数の種類がある。ここで、異なる折り方を実現するシート折り部310の実施形態を図3及び図4を用いて説明する。図3に示すシート折り部310を、以下の説明において「Aタイプ」と表記する。また、図4に示すシート折り部310を、同様に「Bタイプ」と表記する。なお、図3及び図4において、シートSに△記号を付している。この△記号は、シートSに画像が形成されている印字面(以下、「画像形成面Ps」ともいう)を表している。すなわち、以下の説明ではシートSの一方の面に画像形成処理が行なわれているものとする。
【0027】
図3に例示するように、画像形成装置200からシート折り部310に搬入されてきたシートSは、搬送方向における下面側が画像形成面Psに相当する。
【0028】
まず、図3(a)に示すように、画像形成装置200から搬送ローラ対311に向けてシートSが搬送されてくる。
【0029】
搬送ローラ対311によって下流側に搬送されたシートSは、図3(b)に示すように、第一折りローラ312、第一折り搬送ローラ313,第二折りローラ314により所定位置まで搬送される。
【0030】
その後、図3(c)に示すように、第一折り搬送ローラ313と第二折りローラ314が逆転し、シートSに第一の折り目が形成される。
【0031】
第一の折り目が形成されたシートSは、図3(d)に示すように、第一折りローラ312と第二折りローラ314及び第二折り搬送ローラ316によってシートSが搬入の経路とは別の経路に搬送されて所定の位置で停止する。
【0032】
その後、図3(e)に示すように、第二折り搬送ローラ316が逆転し、第三折りローラ315も回転して、下流方向へと搬送される。この動作によって、第二の折り目が形成されて、外三つ折りの折りシートSfが完成する。この場合、折りシートSfの画像形成面Psは、搬送方向下側の面に位置することになる。
【0033】
Bタイプのシート折り部310の場合について説明する。Bタイプのシート折り部310は、図4に示すように、画像形成装置200から搬入されてきたシートが重力方向に搬送される。このとき、搬送方向における右面が画像形成面Psになっているものとする。
【0034】
まず、図4(a)に示すように、画像形成装置200から第一搬送ローラ対321に向けてシートが搬送されてくる。
【0035】
続いて、図4(b)に示すように、シートは、第一搬送ローラ対321と、第一折りローラ323と、第一折り搬送ローラ322によって所定位置まで下方に搬送されて、その後停止する。
【0036】
その後、図4(c)に示すように、第一折り搬送ローラ322と、第一折りローラ323が逆転し、第二折りローラ324が回転することにより、第一の折り目が形成される。
【0037】
さらに、図4(d)に示すように、第二搬送ローラ対326も回転してシートが搬送されて所定位置で停止する。
【0038】
その後、第二搬送ローラ対326が逆転して、第二折り搬送ローラ325の回転によって折りシートSfは上方に搬送されて、第二折りローラ324と第二折り搬送ローラ325によって第二の折り目が形成されて、外三つ折りが完成する。この場合、折りシートSfの画像形成面Psは、Aタイプとは異なり、搬送方向上側の面に位置することになる。この様に、AタイプとBタイプの異なるタイプのシート折り部310によって、同じ外三つ折りを行っても、折りシートSfの画像形成面Psの位置は、搬送方向に対して異なる面になる。なお、上記は、片面に画像を形成した例である。
【0039】
図2に戻る。封筒処理装置100は、シート搬送部110、封入部120、封緘部130及び封入封緘制御部150を有する。
【0040】
シート搬送部110は、シート折り部310から搬入された折りシートSfを折り制御部320から通信ライン105を通じて封入封緘制御部150に伝えられた制御モード(折り方の種類、折り寸法、画像形成面Psの位置などを含む)により所定の処理を行う。シート搬送部110では、折りシートSfを搬送方向下流へ搬送する搬送処理、折りシートSfの搬送方向端部を入れ替える反転搬送処理などを行う。搬送処理又は反転搬送処理によって折りシートSfは、封入部120もしくは後処理装置400へと搬送される。
【0041】
封入部120は、封筒Eに対して折りシートSfを封入可能な位置に移動させ、封筒Eに封入物を封入させる開口を閉じるためのフラップefを開放した状態で当該封筒Eを保持し、折りシートSfの封入処理を行う。
【0042】
封緘部130は、折りシートSfが封入された封筒Eのフラップefを閉じてから、封緘した封筒Eを排出トレイ137へ排出する処理を行う。
【0043】
封入封緘制御部150は、シート搬送部110、封入部120及び封緘部130を構成する複数の搬送ローラ及び複数の切替爪の動作を制御する。封入封緘制御部150は、プリンタ制御部260及び折り制御部320から、折りシートSfに関する情報(以下、「封入対象情報」とする。)を受け取り、受け取った情報に基づいて折りシートSfに対する制御処理を行う。
【0044】
ここで、折りシートSfに対する制御処理とは、折りシートSfに対して搬送方向端部を搬入時から入れ替えない「搬送処理」や、端部を入れ替える「反転搬送処理」を含む。また、「封入対象情報」とは、封入対象物であるシートS、折りシートSfに係る情報であって、封筒Eへの封入されるときの、折りシートSfの端部が、搬入時の先端とするか後端とするかを判断することになる情報を含む。例えば、折りシートSfに対する折り処理の種類を規定する「折種情報」が含まれる。
【0045】
また、上流側装置の一つである画像形成装置200からの動作指示情報として、後述する反転搬送処理の要否を規定する「反転要否情報」が含まれる。また、例えば、折りシートSfに対し画像が形成されている画像形成面を示す印字面情報が含まれる。また、例えば、折り処理を行ったシート折り部310の種類(AタイプかBタイプか)を示す「処理装置情報」が含まれる。
【0046】
後処理装置400は、後処理部410と、後処理制御部420と、を有する。後処理部410は、上流側から搬送されてきたシートSに対し、後処理制御部420の制御により、所定の後処理を実行する。後処理制御部420は、プリンタ制御部260、折り制御部320、及び封入封緘制御部150から通信ライン403を通じて伝えられた動作モードにより、後処理制御部420における後処理動作を制御する。
【0047】
プリンタ制御部260、折り制御部320、封入封緘制御部150及び後処理制御部420は、相互に連結されていて、各通信ライン(207、105、403)を介して制御に必要な情報のやり取りが行なわれるように構成されている。また、各制御部(260、320、150、420)の連携によって、シートS及び折りシートSfに対してユーザが行うことを要求する処理モードに関する情報や、シートサイズが相互に共有される。これによって、各機構が所定のタイミングと所定の工程によって所定の処理を実行可能とする制御情報がプリントシステム1全体において共有される。したがって、後述するとおり、封筒Eに対する封入物の挿入状態(押し込み量)を調整する手段としての押し込み量調整手段は、各制御部(260、320、150、420)の連携によって構成される。
【0048】
なお、図1及び図2においてプリントシステム1の構成例として、封筒処理装置100の下流に後処理装置400が接続された例を示した。代表的な後処理装置400としてはステイプル処理を行うフィニッシャや、スタッカ、製本機などがある。また、プリントシステム1のシステム構成としては封筒処理装置100が最下流となる構成でもよい。
【0049】
[封筒処理装置100における搬送動作に係る構成]
次に封筒処理装置100が有するシート搬送部110と、封入部120と、フラップ開機構128と、封緘部130と、を構成する搬送ローラや、搬送物の搬送方向を切り替える切替爪、及び、これらが配置される搬送路について、図5を用いて説明する。
【0050】
[シート搬送部110の構成]
図5に示すシート搬送部110は、折り処理装置としても機能する。シート搬送部110は、搬入経路1100、第一搬送路1101、第二搬送路1102、スイッチバック搬送路1103、第四搬送路としての封入物搬送路1104、シート搬出経路1109として区別される複数の搬送路を有する。
【0051】
搬入経路1100には、入口ローラ101が配置されている。搬入経路1100は、上流側に位置する装置(例えば、折り処理装置300)から排出された折りシートSfを受け入れる経路である。封入封緘制御部150が、上流側の制御部(プリンタ制御部260、折り制御部320)から折りシートSfに関する情報としての封入対象情報を受け取り、入口ローラ101の回転開始及び停止を制御する。
【0052】
入口ローラ101の下流側に設けられる複数の搬送路の一つであって、搬入経路1100から分岐する第一搬送路1101には、第一搬送手段としての第一搬送ローラ111と、第一中間搬送ローラ114が配置されている。また、第一搬送路1101には、搬送されてきた折りシートSfの端部(後端)を検知する第一媒体センサとしての第一シート検知センサ118が配置されている。第一シート検知センサ118は、第一中間搬送ローラ114と第一搬送ローラ111との間に配置されている。
【0053】
また、入口ローラ101の下流側に設けられる搬送路の一つであって、第一搬送路1101とは異なる方向に搬入経路1100から分岐する第二搬送路1102には、第二搬送手段としての第二搬送ローラ112と、第二中間搬送ローラ115が配置されている。また第二搬送路1102には、搬送されてきた折りシートSfの端部(後端)を検知する第二媒体センサとしての第二シート検知センサ119が配置されている。第二シート検知センサ119は、第二中間搬送ローラ115と第二搬送ローラ112の間に配置されている。
【0054】
また、シート搬送部110は、スイッチバック搬送路1103を有している。スイッチバック搬送路1103は、第一搬送ローラ111の下流位置において第一搬送路1101に合流する合流位置と、第二中間搬送ローラ115の上流位置において第二搬送路1102から分岐する分岐位置とを繋ぐ搬送路である。スイッチバック搬送路1103によって、第二搬送路1102を下流方向に搬送されていた折りシートSfが搬送方向を切り替えて、スイッチバック搬送によって第一搬送路1101へと搬送される。第三搬送路としてのスイッチバック搬送路1103には、第三搬送手段としてのスイッチバック搬送ローラ113が配置されている。
【0055】
また、第一搬送路1101に続く下流側の搬送路であって、シート搬送部110を通過したシートS又は折りシートSfを下流側の後処理装置400へと搬出するシート搬出経路1109が設けられている。そして、シート搬出経路1109には、出口ローラ102が配置されている。
【0056】
折り処理装置300から搬入された折りシートSfに対して、後述する封入処理を行なわないときは、折りシートSfは搬入経路1100から第一搬送路1101を通過し、シート搬出経路1109を介して下流側の装置へと排出される。以下の説明において、入口ローラ101から搬入されたシートSまたは折りシートSfが、第一搬送路1101を介して出口ローラ102まで搬送されて、さらに下流へと搬出される処理を「通常搬送処理」と表記することがある。シート搬送部110が通常搬送処理を実行するときは、シートSや折りシートSfを封入する「封筒ジョブ」が実行されるときではなく、そのまま後処理装置400へと搬送する「印刷ジョブ」が実行されるときである。
【0057】
また、シート搬送部110には、第一搬送ローラ111の下流において第一搬送路1101から分岐する搬送路であって、折りシートSfが封入される封筒Eを保持する封入ローラ121へと続く第四搬送路としての封入物搬送路1104を有している。封入物搬送路としての封入物搬送路1104は後述するとおり、封筒搬送路1105へと連続するように構成されている。
【0058】
また、シート搬送部110には、搬入経路1100から第一搬送路1101又は第二搬送路1102のいずれかに折りシートSfを搬送するための分岐位置において、分岐手段としての分岐爪10が配置されている。分岐爪10は、搬入経路1100に搬入された折りシートSfに係る封入対象情報に基づいて、当該折りシートSfを第一搬送路1101側に搬送させるか第二搬送路1102側に搬送させるかを切り替える。
【0059】
また、シート搬送部110は、スイッチバック搬送路1103から第一搬送路1101に合流する合流位置に第一切替手段としての第一切替爪11が配置されている。第一切替爪11は、搬入経路1100から第一搬送路1101側に搬送された折りシートSfを第一搬送ローラ111側へ搬送させる状態と、折りシートSfをスイッチバック搬送路1103から第一搬送路1101側へ搬送させる状態と、を切り換える。
【0060】
また、シート搬送部110は、第二搬送路1102からスイッチバック搬送路1103に分岐する分岐位置に第二切替手段としての第二切替爪12が配置されている。第二切替爪12は、搬入経路1100から第二搬送路1102側に搬送された折りシートSfを第二搬送ローラ112へ搬送させる状態と、折りシートSfを第二搬送路1102からスイッチバック搬送路1103へとスイッチバック搬送させる状態を切り換える。
【0061】
また、シート搬送部110は、第一搬送路1101から封入物搬送路1104に分岐する分岐位置に第三切替手段としての第三切替爪13が配置されている。第三切替爪13は、第一搬送路1101によって搬送されてきた折りシートSfを封入物搬送路1104へ搬送させる状態と、シート搬出経路1109へと搬送する状態と、を切り換える。
【0062】
第一搬送路1101に搬送された折りシートSfは、第一中間搬送ローラ114によって第一搬送ローラ111へと搬送される。第一搬送ローラ111は、搬送されてきた折りシートSfを下流へ搬送する。ここで、第三切替爪13が図5に示す状態のとき、すなわち、折りシートSfを搬送する方向として、封入物搬送路1104側を開放し、出口ローラ102側を閉じている状態のときは、折りシートSfが封入物搬送路1104へと搬送される。なお、第一中間搬送ローラ114から第一搬送ローラ111へ搬送されてくる折りシートSfの後端が第一シート検知センサ118で検知された後、所定の距離を搬送されたときには、折りシートSfがすでに封入物搬送路1104へと移動をしている状態になる。この状態に至っていることを封入封緘制御部150が判断したとき、シート搬送部110において回転している各搬送ローラ対の動作を停止する。
【0063】
封筒処理装置100が備える各搬送ローラ対を動作させる駆動源は、各ローラ対に対して個別に駆動力を供給するように構成されている。例えば、各搬送ローラ対に対して対応する駆動源となるモータを個別に備え、各モータの回転制御は個別に行われる。これによって、特定の搬送ローラ対を回転させ、他の搬送ローラ対を停止させるなどの制御を行う。なお、一つのモータにより複数のローラを駆動するように構成してもよい。その場合でも、各ローラ(ローラ対)の回転・非回転の制御を個別に行えるように構成すればよい。
【0064】
第二搬送路1102に搬送された折りシートSfは、第二中間搬送ローラ115によって第二搬送ローラ112へと搬送される。搬送されてきた折りシートSfの後端が第二シート検知センサ119で検知してから所定の距離を搬送されたときに第二搬送ローラ112は、一旦停止した後に逆転する。これによって、折りシートSfは、スイッチバック搬送路1103へスイッチバック搬送をする状態になる。このとき、第二搬送ローラ112の逆転の前、または同時に、折りシートSfの後端が第二切替爪12を通過したタイミングにおいて(これも、第二シート検知センサ119の検知結果に基づいて判断される)、第二切替爪12を回動させる。これによって、折りシートSfがスイッチバック搬送路1103へと搬送される状態に切り換わる。
【0065】
折りシートSfが第二搬送路1102からスイッチバック搬送路1103へと案内されるとき、スイッチバック搬送ローラ113によって折りシートSfは、第一搬送路1101に向けて搬送される。
【0066】
[封入部120の構成]
図5に示す封入部120は、封入装置としても機能する。封入部120には、シート搬送部110が備える第四搬送路としての封入物搬送路1104と連結する縦搬送路としての封筒搬送路1105が設けられている。封筒搬送路1105は、封筒処理装置100の載置面(X-Y平面)に対して、交差する方向、より詳しくは、X-Y平面に対する直交方向(Z方向)に延設されている。言い換えると、封筒搬送路1105は封入物搬送路1104から略鉛直方向に延設されている搬送路である。したがって、封筒処理装置100において、封筒Eを封入位置に搬送するときの搬送方向は、封筒搬送路1105のように縦方向である。
【0067】
封入物が挿入される前の封筒Eは、封筒セットトレイ127に積載されていて、積載されている最下段の封筒Eから、順次、封筒搬送路1105を介して、後述する封筒搬入路1107へと搬出される。搬出された封筒Eは、封筒搬入路1107から封筒搬送路1105へと運ばれて、封筒搬送路1105に沿って配置される封入位置へと搬送される。
【0068】
封筒搬入路1107から封筒搬送路1105へと運ばれるときに、封筒Eの開口部を塞ぐためのフラップefを開き、フラップefが開いた状態の封筒Eが封入位置へと搬送される。この一連の動作については、後述する。
【0069】
封入位置に搬送されて封入物が挿入された後の封入後の封筒Eは、封筒排出トレイ134へと至る途中の封緘搬送路1106において封緘される。封緘された封筒Eは、封筒排出トレイ134へと搬送されて排出される。この排出時の搬送路としても封筒搬送路1105は利用される。
【0070】
この一連の封筒Eの搬送方向の切り替えは、搬送中の封筒Eの位置に応じて適宜動作する爪状部材によって実現される。また、封筒搬送路1105を構成するローラ対によって、封筒Eの位置に応じて搬送方向の切り替えが行われ、一旦搬送された方向とは逆の方向へと搬送されるスイッチバック搬送動作も実現される。また、封入物は、第一搬送路1101から分岐する封入物搬送路1104と直結する封筒搬送路1105へと搬送される。したがって、封筒搬送路1105の一部は、封入物の搬送路も構成する。
【0071】
以上のように、封入動作と封緘動作のために封筒Eを搬送する構成と、封筒Eに対して封入物を搬送する構成を、封筒処理装置100の載置面に対して立設するように設けてある。そして、立設してある搬送構成に対して封筒Eを供給するために積載する封筒供給構成や、封筒Eを封緘した後に保持する封筒回収構成も縦方向に配置しているので、封筒処理装置100は設置面積を省くことができる。そして、封筒処理装置100を含むプリントシステム1においても小型化を図ることもできる。
【0072】
封筒搬送路1105は、封筒Eを所定の位置としての封入位置まで搬送して、封入物が封入されるように封筒Eを保持する封筒保持機構を備える。そして、封筒搬送路1105には、封入物が封入された封筒Eに対して封緘処理を行うための封緘搬送路1106へ連結している。
【0073】
封筒搬送路1105には、折りシートSfを受け入れる位置に封筒Eを搬送するための封筒搬送手段としての第一縦搬送ローラ122と第二縦搬送ローラ123が配置されている。封筒搬送路1105において、第一縦搬送ローラ122の上方(+Z方向)には、封筒Eに封入物を搬送して供給する封入物搬送手段としての封入ローラ121が配置されている。
【0074】
第一縦搬送ローラ122及び第二縦搬送ローラ123によって封入位置に搬送されて保持された封筒Eに対して、封入ローラ121が封入物を封入方向(-Z方向)に搬送して封入動作が行われる。
【0075】
また、封入ローラ121と第一縦搬送ローラ122の間であって、封筒搬送路1105の側方には、封入物押込部160が配置されていて、封入動作時に封筒Eの開口に向けて封入物の後端を押す動作を行う。
【0076】
封筒搬送路1105から封緘搬送路1106へ続く搬送路の連結位置であって、封筒セットトレイ127から取り出した封筒Eを封筒搬送路1105へと搬送する封筒搬入路1107との連結位置には、フラップ開手段としてのフラップ開機構128が配置されている。フラップ開機構128は、封筒保持トレイとしての封筒セットトレイ127から取り出された封筒Eを封筒搬送路1105へと搬送するときに、フラップefを開くための構成を備えている。また、フラップ開機構128は、フラップefが開いた封筒Eを封入位置へと搬送するように搬送方向を切り替えるスイッチバック搬送のための構成も備えている。
【0077】
封筒搬送路1105と封筒搬入路1107が合流する合流点には、フラップ開機構128における搬送ガイド部材としての封筒スイッチバック切替爪21が配置されている。
【0078】
また、封筒スイッチバック切替爪21の下方(-Z方向)であって、封筒搬入路1107と封筒搬送路1105が合流する位置を第一分岐位置として、この第一分岐位置の下方(-Z方向)に、フラップ開機構128を構成するフラップ開ローラ124が配置されている。
【0079】
フラップ開ローラ124は、駆動ローラと従動ローラが対になって構成されていて、駆動ローラと従動ローラの外周面によって封筒Eが挟持され、駆動ローラの回動によって封筒Eが搬送されるように構成されている。そして、駆動ローラ側の回転軸と同軸で回動するように、この駆動軸にフラップ開掬い爪40が取り付けられている。
【0080】
第一分岐位置の下方に配置されているフラップ開ローラ124と、第一分岐位置の上方に配置されている第一縦搬送ローラ122及び第二縦搬送ローラ123と、によって、第一縦搬送ローラ対が構成される。
【0081】
封筒搬送路1105に合流する封筒搬入路1107には、分離ローラ125と封筒搬送ローラ126が配置されている。分離ローラ125によって、封筒セットトレイ127に積載されている封筒Eが、一部ずつ取り出されて、封筒供給手段としての分離ローラ125と封筒搬送ローラ126によって封筒Eは封筒搬送路1105へと供給される。
【0082】
封筒セットトレイ127には、複数の封筒Eが載置されている。封筒Eは、外形、寸法に関わらず、頭部と底部があり、頭部には開口部が形成されていて、さらに開口部を閉じるための蓋として機能するフラップefが備わっている。封筒セットトレイ127に載置されている封筒Eは、フラップefの反対端となる底部を分離ローラ125側に向けた状態になっていて、フラップefは閉じた状態になっている。なお、フラップefが閉じた状態とは、フラップefの先端部が、封筒Eの本体側に接近する態様になるように、封筒Eの本体との境界位置で折り曲げられた状態をいう。
【0083】
封筒セットトレイ127から封筒Eが搬出されるときは、その搬送方向における先端は、封筒Eの底部である。また、搬送方向における後端が、折り曲げられた状態のフラップefとなる。
【0084】
したがって、本実施形態においては、封筒セットトレイ127に積載されている状態から分離されて封筒搬入路1107をフラップ開ローラ124に向けて搬送されるときの封筒Eの搬送方向下流側が封筒Eの底部であり、搬送方向上流側が封筒Eのフラップefである。言い換えると、封筒搬入路1107において搬送される封筒Eの底部が、封筒搬入路1107における「搬送方向先端」に相当し、またフラップefが封筒搬入路1107における「搬送方向後端」に相当する。
【0085】
封筒セットトレイ127から分離ローラ125によって搬出された封筒Eは、封筒搬送ローラ126によって封筒スイッチバック切替爪21を超える位置まで搬送される、封筒Eが越えた封筒スイッチバック切替爪21は、回動して搬送方向を切り替える位置になる。
【0086】
封筒スイッチバック切替爪21は、封筒セットトレイ127から封緘搬送路1106にまで封筒Eを一旦搬送させるための位置と、封筒搬送路1105においてシート搬送部110側に封筒Eを搬送するための位置のいずれかに保持される。すなわち、封筒スイッチバック切替爪21は、封筒Eの搬送方向を切り替える部材である。
【0087】
第一縦搬送ローラ122及び第二縦搬送ローラ123は、封筒Eを封筒搬送路1105の所定の位置に搬送して保持する。ここでの所定の位置は、後述するように、封筒Eの開口の位置(フラップefの位置)が封入ローラ121よりも下方であり、第一縦搬送ローラ122よりも上方に相当する位置である。
【0088】
封入ローラ121は、シート搬送部110から搬送されてきた折りシートSfを封筒Eへと封入する方向に回転する搬送ローラの一種である。
【0089】
[封緘部130の構成]
図5に示すように封緘部130においては、封緘搬送路1106に、スイッチバック搬送手段としての第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132が配置されている。また、封緘搬送路1106から分岐する第二分岐位置から分岐する封筒排出経路としての封筒排出路1108を有している。そして、第二分岐位置には、封筒排出切替爪31が配置されている。封筒排出路1108には、封筒排出ローラ133が配置されていて、端部には、封筒排出路1108は配置されている。
【0090】
第三縦搬送ローラ131及び第四縦搬送ローラ132は、第二縦搬送ローラ対を構成し、封筒Eを封緘搬送路1106の所定の位置に搬送して保持する。
【0091】
封筒排出切替爪31は、封入物搬送路1104においてフラップ開ローラ124側から第三縦搬送ローラ131へと封筒Eを搬送する位置と、封入物搬送路1104から封筒排出路1108へ封筒Eを搬送する位置と、の間で回動する。封筒排出切替爪31は、封筒Eの搬送方向を切り替える部材である。
【0092】
封緘搬送路1106には、フラップefを閉じる「封緘処理」を行う封緘手段としての封緘機構135が配置されている。封緘機構135は、第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132によって搬送されてきた封筒Eのフラップefが開いている状態であれば、これを閉じる処理を行う。
【0093】
封筒排出ローラ133は、封筒排出トレイ134に向けて封筒Eを排出するローラである。
【0094】
封筒積載手段としての封筒排出トレイ134は、排出された封筒Eを載置するトレイである。
【0095】
以上説明したとおり、封筒処理装置100は、シート搬送部110から、封入部120と封緘部130へと折りシートSfを搬送する搬送路が、縦方向(Z方向)において連結されて配置されている。折りシートSfの搬送路でもあり封筒Eの搬送路でもあるこの搬送路は、封入部120の封筒搬送路1105と封緘部130の封緘搬送路1106を、縦方向(Z方向)において連結した縦搬送路に相当する。
【0096】
[封入処理及び封緘処理の流れ]
次に、封筒処理装置100における封入動作及び封緘動作の一連の流れの例について、図6から図17を用いて説明する。なお、各図において、各動作段階の説明に用いられる構成にのみ符号等を付している。また、説明のために、各処理の段階を区別しているが、同時並行により処理が進行してもよい。
【0097】
まず、図6に示すように、に複数の封筒Eが積載されている封筒セットトレイ127から分離ローラ125によって封筒Eを一つずつ分離し、封筒搬送ローラ126によって、フラップ開ローラ124まで搬送する。このとき、封筒スイッチバック切替爪21と封筒排出切替爪31は、図5でも例示した方向に向いている。また、フラップ開ローラ124と第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132は、封筒Eを下方に搬送する方向に回転し、封筒Eを封入物搬送路1104における所定の位置にまで搬送する。
【0098】
続いて、図7に示すように、封筒Eの本体部の搬送方向後端側がフラップ開ローラ124を通過するころには、フラップ開機構128によってフラップefが開けられた状態になっている。その結果、フラップefが開いた状態の封筒Eが、フラップ開ローラ124と第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132の回転によって、続く図8の状態に至る。
【0099】
続いて、図8に示すように、封筒Eのフラップefが開いた状態になった後であってフラップefがフラップ開ローラ124を抜けた位置に至った後において、第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132が逆転する。この動作によって、封筒Eを、封入部120の所定の位置に向けたスイッチバック搬送が実行される。また、スイッチバック搬送が開始される前、または同時に、封筒スイッチバック切替爪21が図8で示す方向に回動する。これによって、封筒搬送路1105の上方に向けて封筒Eを搬送することができる状態になる。フラップ開ローラ124と第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132は、封筒スイッチバックローラを構成する。
【0100】
そして、図9に示すように、スイッチバック搬送手段を構成する第二縦搬送ローラ123と第一縦搬送ローラ122によって封筒Eが封入位置に搬送される。フラップefが第一縦搬送ローラ122を抜けた位置に至れば、第二縦搬送ローラ123と第一縦搬送ローラ122の回転を停止させて、封入待機動作に入る。
【0101】
なお、封筒Eを封入位置まで搬送する制御において、分離ローラ125が封筒Eを取り出してから、各搬送ローラの回転量から封筒Eの搬送量を算出する処理を実行する。合わせて、算出される封筒Eの長さ及びフラップefの長さと、封筒Eの搬送量と、封筒搬入路1107と封筒搬送路1105を通過して搬送する搬送路長と、に基づけば、封入物搬送路1104内での封筒Eの位置を判断することができる。
【0102】
続いて、図10に示すように、封筒Eを封入位置に保持した状態で、封筒処理装置100は、上流側装置(折り処理装置300)から折りシートSfを入口ローラ101で受け入れて第一搬送路1101へと搬送する。
【0103】
続いて、図11に示すように、折りシートSfを第一中間搬送ローラ114と第一搬送ローラ111によって下流に搬送する。このとき、第一切替爪11と第三切替爪13は、図9に示す状態になっているので、折りシートSfは、第一搬送路1101から封入物搬送路1104へと搬送される。
【0104】
その後、図12に示すように、封入物搬送路1104から封筒搬送路1105へと搬送された折りシートSfは、封入ローラ121によって、さらに下方へと搬送される。其の結果、折りシートSfは、第一縦搬送ローラ122などによって、封筒搬送路1105の所定の封入位置で保持され開口が開放された状態の封筒Eへと封入される。この封入動作において、封入物押し込み手段を構成する押込機構としての封入物押込部160によって折りシートSfが封筒Eに押し込まれる。封入物押込部160は、少なくとも、異なる二つの動作モードを有する。例えば、封筒Eの本体部から外側に封入物の一部がはみ出した状態になるように封入動作を行う第一モードと、封筒Eの本体部の外側に封入物がはみ出さない状態になるように封入動作を行う第二モードと、を少なくとも有する。なお、封入物押込部160の動作の詳細は後述する。
【0105】
続いて、図13に示すように、第一縦搬送ローラ122と第二縦搬送ローラ123を回転させて、封筒Eを、封筒搬送路1105に沿って下方へと搬送する。そして、図14に示すように、封筒Eを第四縦搬送ローラ132まで搬送されて、フラップefが封筒排出切替爪31を抜ける位置に至る。
【0106】
フラップefが封筒排出切替爪31を抜ける位置に至った後、図15に示すように、第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132との間で、封緘機構135によってフラップefを閉じて、封筒Eを封緘する。
【0107】
その後、図16に示すように、第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132を逆転して、封緘された封筒Eを第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132によってスイッチバック搬送する。第三縦搬送ローラ131と第四縦搬送ローラ132が逆転する以前に、封筒排出切替爪31を回動させて、図16に示す状態にする。これによって、封入された封筒Eは、封筒搬送路1105から封筒排出路1108へと搬送される。
【0108】
その結果、図17に示すように、封緘された封筒Eが封筒排出ローラ133により、封筒排出トレイ134に排出される。
【0109】
[封入装置の実施形態]
次に、本実施形態に係る封入部120が備える封筒セットトレイ127の詳細な構成について説明する。図18は、封筒セットトレイ127の主な部材の配置部分を拡大した部分拡大図である。図18に示すように、封筒セットトレイ127には、複数の封筒Eが積載されている。そして、封筒セットトレイ127は、封筒Eを積載し、封筒搬入路1107へと搬出する構成として、主に、第一封筒積載部171と、第二封筒積載部172と、を備える。なお、本来は、第一封筒積載部171に積載された封筒Eを前後で挟むように封筒位置規制部材1271が配置されているが、封筒Eとの位置関係を明らかにするために、図18においては、手前側の部材を省略している。
【0110】
第一封筒積載部171は、封筒Eを積載して保持し、封筒Eを封入位置へと搬送する(搬出する)機能を有している。第二封筒積載部172は、第一封筒積載部171の上方に配置され、封筒Eを一時的に保持する空間(封筒積載領域)を有する。封筒Eを補充するときは、第二封筒積載部172に対して一時的に封筒Eを積載し、その後、第二封筒積載部172に積載された封筒Eを第一封筒積載部171にある封筒Eに追い積みする。
【0111】
第一封筒積載部171と第二封筒積載部172は、いずれも、封筒Eを保持する領域における封筒Eの位置を規制する壁部材としての封筒位置規制部材1271を備える。封筒位置規制部材1271は、第一封筒積載部171と第二封筒積載部172にそれぞれ設けられていて、X方向において一対となるように配置されている。
【0112】
また、第一封筒積載部171の封筒位置規制部材1271に相当する第一封筒位置規制部材1711と、第二封筒積載部172の封筒位置規制部材1271に相当する第二封筒位置規制部材1721は、相互の境界に相当する部分で互いに分離可能な構成になっている。
【0113】
第二封筒積載部172は、さらに、封筒保持部材1722と、レール部材1723と、を備える。
【0114】
封筒保持部材1722は、第二封筒積載部172に封筒Eが一時的に保持されるときに底面を構成する部材であって、封筒Eが第二封筒積載部172から搬出される方向(Y方向)において、所定の間隔で配置される一対の板状部材である。封筒保持部材1722を構成する一対の板状部材は、第二封筒積載部172が第一封筒積載部171に対して引き出されたとき(-X方向に移動したとき)に距離が狭まるように構成されている。また、封筒保持部材1722を構成する一対の板状部材は、第二封筒積載部172が第一封筒積載部171に対して閉じたとき(X方向に移動したとき)に、距離が広がるように構成されている。
【0115】
なお、一対の板状部材としての封筒保持部材1722が有する隙間が狭くなったとき、その板状部材間の距離は、封筒Eの搬送方向の長さよりも短い。一方、一対の板状部材としての封筒保持部材1722が有する隙間が広がったとき、その板状部材間の距離は、封筒Eの搬送方向の長さよりも長くなる。
【0116】
レール部材1723は、第二封筒積載部172が第一封筒積載部171に対して、X方向においてスライドして移動する移動動作を保持する部材である。
【0117】
図19は、封筒セットトレイ127の斜視図であって、図19(a)は、封筒セットトレイ127が閉じている状態を示している。図19(b)は、封筒セットトレイ127を引き出して、封筒Eを補充可能な状態を示している。
【0118】
図18及び図19に示すように、封筒位置規制部材1271は上下(Z方向)で分割されており、上側の第二封筒位置規制部材1721は、封筒保持部材1722とレール部材1723に接続されている。第二封筒積載部172は、レール部材1723によって第一封筒積載部171に対して、封筒セットトレイ127の奥行き前後方向(X方向)に移動可能になっている。すなわち、第二封筒積載部172が第一封筒積載部171に対して引き出し可能に構成されていて、封筒Eを補充するときの補充位置に移動可能になっている。これによって、封筒Eの追い積みを容易に行うことができる。
【0119】
図19に示すように、封筒セットトレイ127を構成する封筒位置規制部材1271には、規制部材位置検知センサ1274が設けられている。規制部材位置検知センサ1274は、第一封筒位置規制部材1711に設けられている第一規制部材位置検知センサ1714と第二封筒位置規制部材1721に設けられている第二規制部材位置検知センサ1724によって構成されている。規制部材位置検知センサ1274は、第二封筒積載部172が閉じている状態において、第一規制部材位置検知センサ1714と第二規制部材位置検知センサ1724が互いに検知し合える位置(対向位置)に設けられている。
【0120】
図19(b)に示すように、第二封筒積載部172が補充位置に引き出されると、第一規制部材位置検知センサ1714と第二規制部材位置検知センサ1724は互いを検知しない位置に至る。このとき、規制部材位置検知センサ1274が所定の検知信号を発信するように構成されているとする。そうすると、その検知信号を封入封緘制御部150が取得して判定することで、第二封筒積載部172が閉じているのか、引き出されているのか、を判定する。すなわち、規制部材位置検知センサ1274の検知信号を取得して判定することで、封入封緘制御部150において、第二封筒積載部172が補充位置にあるか否かを判定される。
【0121】
次に、封筒セットトレイ127に封筒Eを追い積み(補充)するときの流れについて、図20を用いて説明する。
【0122】
図20(a)は、封筒セットトレイ127が閉じている状態の封筒積載状態を例示している。図20(a)に示す状態において、封筒保持部材1722は、第二封筒位置規制部材1721よりもY方向において外側に広がった位置にあって、一時的に保持していた封筒Eを第一封筒積載部171へと追い積みした後に、封筒Eが封入位置へ供給されるに伴い最下段の封筒Eが搬出されることで、積載されている封筒Eが下方に移動するときの、封筒Eの落下を干渉しない位置へ退避している。
【0123】
積載された封筒Eの最上位面の位置が、第二封筒積載部172の第二封筒位置規制部材1721の下端の位置よりも下方に至ったとき、第二封筒積載部172を補充位置へと引き出すことが可能になる。
【0124】
図20(b)は、第二封筒位置規制部材1721と封筒保持部材1722をレール部材1723に沿って手前側(-X方向)に引き出した状態を示す図である。第二封筒積載部172が補充位置に引き出される間に、封筒保持部材1722は、その隙間が積載する封筒Eよりも狭くなるように移動することで封筒Eを保持可能な状態となる。
【0125】
図20(c)は、引き出した封筒保持部材1722へ封筒Eを積載した図である。このときの、封筒保持部材1722の対向する距離(隙間)は、封筒Eの搬送方向の長さよりも短くなっているので、封筒Eを一時的に保持することができる状態になっている。
【0126】
図20(d)は、第二封筒積載部172を第一封筒積載部171に対して戻した状態を例示している。図20(d)に示すように、封筒保持部材1722は戻り位置に至ると、対向する距離(隙間)が広がって、再び、封筒Eと接触しない位置へと退避する。これによって、図20(c)の状態で一時的に第二封筒積載部172に保持された封筒Eが、第一封筒積載部171側に落下する。以上のように、封筒Eを追い積みするときには、一旦、第二封筒積載部172に封筒Eを積載してから、第一封筒積載部171の上方に第二封筒積載部172を戻すことで、封筒セットトレイ127に対する封筒Eの補充をすることができる。
【0127】
次に、第二封筒積載部172が備える封筒保持部材1722の移動機構について図21を参照しながら説明する。図21は、封筒セットトレイ127を上方から平面的に見た一部拡大図である。図21(a)は第二封筒積載部172が第一封筒積載部171の上方に位置する通常状態を例示している。一方、図21(b)は、第二封筒積載部172が第一封筒積載部171から引き出された状態を例示している。
【0128】
図21に示すように、封筒保持部材1722の移動機構は、第二封筒位置規制部材1721の内部に設けられていて、前後移動部材1725、バネ1726、リンク部材1727から構成される。
【0129】
図21(a)に示すように、通常状態において、前後移動部材1725は第二封筒位置規制部材1721の外側のフレーム等の構造体に接触し内側へ押し込められている。前後移動部材1725が第二封筒位置規制部材1721の内側に押されていると、リンク部材1727が、封筒保持部材1722を外側へ移動させるように開く。これにより、対向する一対の板状部材である封筒保持部材1722の間隔が広がって、積載される封筒Eの幅よりも間隔が広くなる。
【0130】
その結果、第二封筒積載部172が第一封筒積載部171の上方に戻ったときに、第二封筒積載部172と第一封筒積載部171の境界部分よりも封筒Eが積み上がった状態になっても、封筒保持部材1722と封筒Eが接触しない。このように、封筒保持部材1722の間隔は、通常状態では封筒Eの幅よりも広くなるので、重力による封筒Eの下降動作に干渉しない位置へ退避することができる。
【0131】
図21(b)に示すように引き出した状態(補充状態)において、封筒位置規制部材1271は、外側のフレーム等の構造体への接触から離れることによって、前後移動部材1725がバネ1726の付勢で外側へ押し出される。前後移動部材1725が外側に押し出されると、リンク部材1727を介して、封筒保持部材1722の間隔を狭めるように、内側へと移動させる。これにより、対向する一枚の板状部材である封筒保持部材1722の間隔は、封筒Eの幅よりも狭くなる。
【0132】
その結果、追い積みするために、一時的に封筒Eを保持する空間の底部が、封筒保持部材1722によって形成されるので、封筒Eが第二封筒積載部172から落下することなく、保持することができる。
【0133】
[封入動作の処理フロー]
次に、封入封緘制御部150において実行される封入動作の処理の流れについて、図22のフローチャートを用いて説明する。図22は、ユーザが封筒セットトレイ127を開いた際の封入動作の制御について示すフローチャートである。
【0134】
封筒Eへの封入動作が開始された後において、封入封緘制御部150が封筒セットトレイ127の外装が開いていることを検知しないときは(S2201:NO)、封入動作を継続する(S2202)。
【0135】
また、封筒Eへの封入動作が開始された後において、封入封緘制御部150が封筒セットトレイ127の外装が開いていることを検知したとき(S2201:YES)、第二封筒積載部172のみが引き出されている否かを判定する(S2203)。ここで、第二封筒積載部172のみが引き出されているとき(S2203:YES)、封入封緘制御部150は封入動作を継続する(S2202)。第二封筒積載部172のみが引き出されているわけではないとき(S2203:NO)、封筒Eの供給が不能になるので、封入封緘制御部150は封入動作を停止する(S2202)。
【0136】
すなわち、封入部120において、通常、ユーザなどにより筐体の扉や、封筒セットトレイ127が引き出されていなければ、封入動作は継続される。
【0137】
一方、ユーザなどにより筐体の扉や封筒セットトレイ127が引き出された状態になると、封筒Eの供給や搬送不良を防ぐために、封入封緘制御部150は封入動作を停止させる制御信号を発信し、封入部120を含む封筒処理装置100の動作を停止する。
【0138】
封入動作を実行することで封筒Eが搬出されて、封筒セットトレイ127に積載されている封筒Eの量(封筒残量)が低下しているときには、封入封緘制御部150は、操作部220などを介して、ユーザに、追い積みが可能であることを通知する表示を行う。
【0139】
この状態において、封筒Eの追い積みを行うために封筒セットトレイ127の第二封筒積載部172を引き出したとしても、第一封筒積載部171から封筒Eを搬出することは可能な状態である。したがって、第二封筒積載部172における封筒Eの残量が低下して追い積みするときには、筐体の扉や封筒セットトレイ127の一部が引き出されたとしても、例外として封入動作を継続する。
【0140】
この第二封筒積載部172が第一封筒積載部171に対して引き出されているかどうかの判定は、規制部材位置検知センサ1274の検出信号に基づいて封入封緘制御部150が行う。つまり、第二封筒積載部172側の規制部材位置検知センサ1274が、第一封筒積載部171側の規制部材位置検知センサ1274を検知していないことで発せられる信号に基づいて、第二封筒積載部172(上部の封筒位置規制部材1271)が引き出された状態にあると判定される。
【0141】
またこの追い積みによって封筒Eの積載量が増加し、引き出し時の搬送不良が発生する積載量になった場合は追い積み可能の表示を消灯し、第二封筒位置規制部材1721と封筒保持部材1722の引き出し時の動作停止の例外も同時に解除する。
【0142】
以上のように、封入封緘制御部150において実行される封入動作において、封筒Eの追い積みを容易に行うことができ、また、封入動作を継続しながら封筒Eの追い積み(補充)を行うことができ、生産性を向上できる。
【0143】
[封筒残量検知]
次に、本実施形態に係る封筒処理装置100において実行される封筒残量検知について説明する。図23は、封筒Eの積載量の残り(封筒残量)を検知するための封筒残量検知部材1718の実施形態について説明する。図23に示すように、封筒残量検知部材1718は、第一封筒積載部171の封筒位置規制部材1271としての第一封筒位置規制部材1711の内側に設けられている。
【0144】
封筒残量検知部材1718は、反射型センサである。図23(b)のように、封筒残量検知部材1718の感知範囲に封筒Eが存在している場合、封筒残量検知部材1718から所定の検知信号が封入封緘制御部150に通知される。したがって、封筒残量検知部材1718から所定の検知信号を取得したとき、封入封緘制御部150は、封筒Eの残量が十分にあると判定する。封筒残量検知部材1718から所定の検知信号を取得しないとき、封入封緘制御部150は、封筒Eの残量が低下していて、補充タイミングに至っていると判定する。
【0145】
なお、封筒位置規制部材1271が封筒Eを検知しているときは、封筒セットトレイ127に積載された封筒Eの一部が第二封筒積載部172の空間にあり、第二封筒積載部172を引き出したときに、封筒Eと干渉する可能性が高い。そのため、封筒残量検知部材1718からの検知信号を取得した情報出力手段としての封入封緘制御部150は、画像形成装置200が備える表示部210等の表示装置に対し、「引き出し不可能」である旨を表示させるための、情報を出力する。
【0146】
一方、図23(c)に示すように、封筒セットトレイ127に積載された封筒Eの最上位置が、封筒残量検知部材1718のセット位置よりも下位にあるときは、第二封筒積載部172を引き出しても、封筒Eと干渉する可能性は低い。そのため、封筒残量検知部材1718からの検知信号を取得しない封入封緘制御部150は、画像形成装置200が備える表示部210等の表示装置に対し、「引き出し可能」である旨を表示させるための情報を出力する。
【0147】
図23(d)は、封筒セットトレイ127に積載されていた封筒Eが全て供給されて空になった状態を例示している。このとき、封筒Eと接触していたことで下がっていた封筒検知部材1719は上昇する。封筒検知部材1719が上昇すると、それに応じた検知信号を封入封緘制御部150に通知する。この検知信号の有無に基づいて、封入封緘制御部150は、画像形成装置200が備える表示部210等の表示装置に対し、「引き出し可能」である旨を表示させるための情報ではなく、「封筒補充が必要」である旨を表示させるための情報を出力する。
【0148】
すなわち、封筒検知部材1719が上昇したことで出力される検知信号に基づいて、封入封緘制御部150は、追い積み可能の通知ではなく、通常の封筒補充を促す通知を優先して表示し、機械の動作も通常の封筒補充時の動作を行う。
【0149】
[追い積み可否の判断フロー]
図24は、封筒残量検知部材1718の検知信号に基づく追い積み可否判断処理の流れを示すフローチャートである。
【0150】
まず、センサとしての封筒残量検知部材1718が封筒Eを検知しているか否かを判定する(S2401)。封筒残量検知部材1718が封筒Eを検知しているとき(S2401:YES)、封入封緘制御部150は、封入部120の動作モードを「追い積み不可状態」に設定する(S2402)。なお、「追い積み不可状態」とは、上記のように、表示部210等に「引き出し不能」である旨を表示させるための情報を、封入封緘制御部150が出力している状態である。
【0151】
封筒残量検知部材1718が封筒Eを検知していないとき(S2401:NO)、封入封緘制御部150は、封入部120の動作モードを「追い積み可能状態」に設定する(S2403)。なお、「追い積み可能状態」とは、上記のように、表示部210等に「引き出し可能」である旨を表示させるための情報を、封入封緘制御部150が出力している状態である。
【0152】
「追い積み可能状態」に設定された後、封入封緘制御部150は封筒検知部材1719の上昇に応じた検知信号の有無を判定する(S2404)。封筒検知部材1719が最上位まで上昇しているとき、積載されている封筒Eが無いと判定し(S2404:YES)、通常の封筒補充処理を実行する(S2405)。
【0153】
封筒検知部材1719が最上位まで上昇していないときは、積載されている封筒Eの量は減っているが、まだ、残数があると判定し(S2404:NO)、追い積み可能状態を継続する処理を行う(S2406)。
【0154】
以上説明したとおり、本実施形態に係る封筒処理装置100は、稼働中において、封筒残量検知部材1718により封筒Eの最上位の位置のチェックを行う。このときの封筒セットトレイ127の内部の封筒Eが、追い積み可能な量よりも少なく、センサとしての封筒残量検知部材1718の検知位置に封筒Eがなかった場合、追い積みが可能になっていると判定する。
【0155】
また追い積み可能な状態となった後に、ユーザが追い積みを行ったことで封筒Eの量が増加しセンサの検知位置に封筒Eがある場合は追い積み不可状態へ移行し、表示部210では追い積み可能であるという表示を消灯させ、ユーザに追い積みができないことを表示する。
【0156】
追い積み可能な状態のまま、封筒検知部材1719が上昇し封筒セットトレイ127内部の封筒Eがすべてなくなった場合は通常の封筒補充処理を優先し、ユーザへは封筒Eの残量がゼロになった旨を知らせる通知を行う。
【0157】
[本発明の態様]
本発明の内容は、例えば、以下のとおりである。
【0158】
<1>封筒に封入物を挿入する封入装置であって、前記封筒を積載して保持し、当該封筒を封入位置へ供給する第一封筒積載部と、前記封筒を保持可能な空間を有し、前記第一封筒積載部の上方に配置される第二封筒積載部と、を備え、第二封筒積載部は、前記空間に保持される前記封筒の位置を規制し、かつ、前記第一封筒積載部との境界において分離可能な封筒位置規制部材と、前記空間において封筒を保持可能にする封筒保持部材と、前記封筒を補充するときの補充位置への移動を可能にするレール部材と、を有する、ことを特徴とする封入装置である。
【0159】
<2>前記封筒保持部材は、前記第二封筒積載部が前記補充位置に移動されたときには前記空間において前記封筒を保持可能な位置に移動し、前記補充位置から前記第一封筒積載部の上方に戻されたときには当該封筒を保持しない位置へ移動する、前記<1>に記載の封入装置である。
【0160】
<3>前記第一封筒積載部は、前記第二封筒積載部が前記第一封筒積載部から分離して前記補充位置へ移動した状態においても、前記封入位置へ前記封筒を供給可能である、前記<1>又は<2>に記載の封入装置である。
【0161】
<4>前記第一封筒積載部において保持されている前記封筒の量を検知する封筒残量検知部材と、当該封筒の量が所定の閾値を下回ったときに当該封筒の補充を促す情報を出力する情報出力手段と、を備える前記<1>から<3>のいずれか一つに記載の封入装置である。
【0162】
<5>封入物が挿入された封筒を封緘する封緘装置と、前記<1>から<4>のいずれか一つに記載の封入装置と、を備えることを特徴とする封入封緘装置である。
【0163】
<6>シート状の媒体に画像を形成する画像形成装置と、前記媒体を封入物として封筒に挿入する前記<1>から<4>のいずれか一つに記載の封入装置と、を備えることを特徴とする画像形成システムである。
【0164】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0165】
1 :プリントシステム
100 :封筒処理装置
120 :封入部
127 :封筒セットトレイ
130 :封緘部
150 :封入封緘制御部
171 :第一封筒積載部
172 :第二封筒積載部
210 :表示部
300 :折り処理装置
400 :後処理装置
1271 :封筒位置規制部材
1274 :規制部材位置検知センサ
1711 :第一封筒位置規制部材
1714 :第一規制部材位置検知センサ
1718 :封筒残量検知部材
1719 :封筒検知部材
1721 :第二封筒位置規制部材
1722 :封筒保持部材
1723 :レール部材
1724 :第二規制部材位置検知センサ
1725 :移動部材
1726 :バネ
1727 :リンク部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0166】
【特許文献1】特開2003-335424号公報
図1
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