(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162701
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】切削装置
(51)【国際特許分類】
B24B 45/00 20060101AFI20231101BHJP
B24B 27/06 20060101ALI20231101BHJP
B23B 31/02 20060101ALI20231101BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
B24B45/00 Z
B24B27/06 M
B24B45/00 B
B23B31/02 601A
H01L21/78 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073258
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬路 良吾
【テーマコード(参考)】
3C032
3C034
3C158
5F063
【Fターム(参考)】
3C032FF01
3C034AA13
3C034AA19
3C034DD10
3C034DD20
3C158AA03
3C158AA15
3C158AA18
3C158CB01
3C158DA17
5F063AA23
5F063CA04
5F063DD03
5F063DE17
5F063DE33
(57)【要約】
【課題】切削ブレードの交換時の部品の誤装着を防いで第1切削ユニットと第2切削ユニットによる被加工物の正常で正確な切削を可能とすること。
【解決手段】第1ボス部121を有する第1固定フランジ12と、第1押えフランジ13と、第1固定ナット14とを有する第1切削ユニット10と、第2ボス部221を有する第2固定フランジ22と、第2押えフランジ23と、第2固定ナット24とを有する第2切削ユニット20とを備えた切削装置1において、第1ボス部121と第2ボス部221の各先端部の外径φD1,φD2は、互いに異なる大きさに設定され、第1押えフランジ13の装着孔131と第1固定ナット14の雌ネジ141の内径φd1は、第1ボス部121に装着可能な大きさに設定され、第2押えフランジ23の装着孔231と第2固定ナット24の雌ネジ241の内径φd2は、第2ボス部221に装着可能な大きさに設定されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削する第1切削ユニットと第2切削ユニットを備える切削装置であって、
該第1切削ユニットは、
回転駆動される第1スピンドルと、
該第1スピンドルの先端部に固定される第1ワッシャブレードと、
先端部に雄ネジが形成された円筒状の第1ボス部を有する第1固定フランジと、
該第1ボス部に装着される装着孔を有し、該第1ボス部に装着された該第1ワッシャブレードを該第1固定フランジとの間で挟持する第1押えフランジと、
該第1ボス部の雄ネジに螺合する雌ネジが内周に形成され、該第1ボス部に締結されることによって該第1押えフランジを介して該第1ワッシャブレードを固定する第1固定ナットと、
を備え、
該第2切削ユニットは、
回転駆動される第2スピンドルと、
該第2スピンドルの先端部に固定される第2ワッシャブレードと、
先端部に雄ネジが形成された円筒状の第2ボス部を有する第2固定フランジと、
該第2ボス部に装着される装着孔を有し、該第2ボス部に装着された該第2ワッシャブレードを該第2固定フランジとの間で挟持する第2押えフランジと、
該第2ボス部の雄ネジに螺合する雌ネジが内周に形成され、該第2ボス部に締結されることによって該第2押えフランジを介して該第2ワッシャブレードを固定する第2固定ナットと、
を備え、
該第1ボス部と該第2ボス部の各先端部の外径は、互いに異なる大きさに設定され、
該第1押えフランジの装着孔と該第1固定ナットの雌ネジの内径は、該第1ボス部に装着可能な大きさに設定され、
該第2押えフランジの装着孔と該第2固定ナットの雌ネジの内径は、該第2ボス部に装着可能な大きさに設定されていることを特徴とする切削装置。
【請求項2】
被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削する第1切削ユニットと第2切削ユニットを備える切削装置であって、
該第1切削ユニットは、
回転駆動される第1スピンドルと、
該第1スピンドルの先端部に固定される第1バフブレードと、
先端部に雄ネジが形成された円筒状の第1ボス部を有する第1マウントと、
該第1ボス部の雄ネジに螺合する雌ネジが内周に形成され、該第1ボス部に締結されることによって該第1バフブレードを固定する第1固定ナットと、
を備え、
該第2切削ユニットは、
回転駆動される第2スピンドルと、
該第2スピンドルの先端部に固定される第2バフブレードと、
先端部に雄ネジが形成された円筒状の第2ボス部を有する第2マウントと、
該第2ボス部の雄ネジに螺合する雌ネジが内周に形成され、該第2ボス部に締結されることによって該第2バフブレードを固定する第2固定ナットと、
を備え、
該第1ボス部と該第2ボス部の各先端部の外径は、互いに異なる大きさに設定され、
該第1固定ナットの雌ネジの内径は、該第1ボス部に装着可能な大きさに設定され、
該第2固定ナットの雌ネジの内径は、該第2ボス部に装着可能な大きさに設定されていることを特徴とする切削装置。
【請求項3】
被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削する第1切削ユニットと第2切削ユニットを備える切削装置であって、
該第1切削ユニットは、
回転駆動される第1スピンドルと、
該第1スピンドルを回転可能に保持する第1スピンドルハウジングと、
該第1スピンドルハウジングの端面に固定される第1ロータリジョイントと、
該第1スピンドルの先端部に固定される第1ワッシャブレードと、
先端部に雄ネジが形成された円筒状の第1ボス部を有する第1固定フランジと、
該第1ボス部に装着される装着孔を有し、該第1ボス部に装着された該第1ワッシャブレードを該第1固定フランジとの間で挟持する第1押えフランジと、
該第1押えフランジを該第1固定フランジと該第1ロータリジョイントに形成された吸引通路を経て吸引する第1吸引源と、
を備え、
該第2切削ユニットは、
回転駆動される第2スピンドルと、
該第2スピンドルを回転可能に保持する第2スピンドルハウジングと、
該第2スピンドルハウジングの端面に固定される第2ロータリジョイントと、
該第2スピンドルの先端部に固定される第2ワッシャブレードと、
先端部に雄ネジが形成された円筒状の第2ボス部を有する第2固定フランジと、
該第2ボス部に装着される装着孔を有し、該第2ボス部に装着された該第2ワッシャブレードを該第2固定フランジとの間で挟持する第2押えフランジと、
該第2押えフランジを該第2固定フランジと該第2ロータリジョイントに形成された吸引通路を経て吸引する第2吸引源と、
を備え、
該第1ボス部と該第2ボス部の各先端部の外径は、互いに異なる大きさに設定され、
該第1押えフランジの装着孔の内径は、該第1ボス部に装着可能な大きさに設定され、
該第2押えフランジの装着孔の内径は、該第2ボス部に装着可能な大きさに設定されていることを特徴とする切削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2本の各スピンドルにそれぞれ装着された第1切削ユニットと第2切削ユニットを備える所謂デュアルダイサーと称される切削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程においては、円板状の半導体ウェーハ(以下、単に「ウェーハ」と称する)の表面が格子状に配列されたストリートと称される切断予定ラインによって多数の矩形領域に区画され、各矩形領域にICやLSIなどのデバイスがそれぞれ形成される。そして、このように多数のデバイスが形成されたウェーハをダイサーと称される切削装置の切削ブレードでストリートに沿って切断することによって、複数の半導体チップが形成される。
【0003】
ここで、切削装置においては、切削ブレードは、マウントやフランジと称される固定治具で挟持されてスピンドルに固定される(例えば、特許文献1,2参照)。マウントは、基台の外周に切刃が設けられたバフブレード用の固定治具の名称であり、このマウントと該マウントのボス部に螺着される固定ナットによってバフブレードが挟持されてスピンドルに着脱可能に固定される。
【0004】
他方、フランジは、基台が無いワッシャブレード用の固定治具の名称であり、固定フランジと、押えフランジ及び該押えフランジを固定する固定ナットによってワッシャブレードがスピンドルに着脱可能に固定される。
【0005】
そして、バフブレードの交換時には、マウントをスピンドルに固定した状態で、固定ナットを緩めてマウントから取り外すことによって、バフブレードを新しいものと交換する。また、ワッシャブレードの交換時には、固定フランジをスピンドルに固定した状態で、固定ナットを緩めて該固定ナットと押えフランジを固定フランジから取り外すことによって、ワッシャブレードを新しいものと交換する。
【0006】
また、切削装置には、2本の各スピンドルに第1切削ユニットと第2切削ユニットをそれぞれ装着し、これらの第1切削ユニットと第2切削ユニットにそれぞれ設けられた切削ブレードによってデュアルカットを行って切削効率を上げるようにしたデュアルダイサーと称されるものがある(例えば、特許文献3,4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】号公報
【特許文献2】特開2009-262266号公報
【特許文献3】特開2013-222834号公報
【特許文献4】特開2015-223682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、デュアルダイサーと称される切削装置においては、例えば、バフブレード用の固定治具であるマウントのボス部の外径が第1切削ユニットと第2切削ユニットにおいて同じである場合には、固定ナットが第1切削ユニットと第2切削ユニットの何れのマウントのボス部にも螺合し得るため、バフブレードを取り外してこれを新しいものと交換した後に固定ナットを第1切削ユニットと第2切削ユニットとの間で入れ替えてマウントのボス部に取り付けてしまう誤装着の問題が発生する。
【0009】
また、ワッシャブレード用の固定治具である固定フランジのボス部の外径が第1切削ユニットと第2切削ユニットにおいて同じである場合には、押えフランジと固定ナットが第1切削ユニットと第2切削ユニットの何れの固定フランジのボス部にも装着可能であるため、ワッシャブレードを取り外してこれを新しいものと交換した後に押えフランジと固定ナットを第1切削ユニットと第2切削ユニットとの間で入れ替えて固定フランジのボス部に取り付けてしまう誤装着の問題が発生する。
【0010】
バフブレード用の固定治具においては、マウントと固定ナットとは決まった組み合わせでバランス取りがなされており、ワッシャブレード用の固定治具においては、固定フランジと押えフランジ及び固定ナットは、決まった組み合わせでバランス取りがなされており、バランス取りがされた組み合わせで第1の切削ユニットと、第2の切削ユニットとにそれぞれ装着する。このため、マウントにバランス取りがされていない異なる組み合わせとなる固定ナット、或いは固定フランジにバランス取りがされていない異なる組み合わせとなる押えフランジ及び固定ナットを第1切削ユニットと第2切削ユニットとの間で入れ替えて取り付けた場合には、これらのバランスが崩れて第1切削ユニットと第2切削ユニットに大きな振動が発生し、正常で正確な切削を行うことができないという問題が発生する。
【0011】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的は、切削ブレードの交換時に固定治具の構成部品を第1切削ユニットと第2切削ユニットとの間で入れ替えて異なる組み合わせで取り付ける誤装着の発生を防ぎ、第1切削ユニットと第2切削ユニットの振動を抑えて被加工物の正常で正確な切削を可能とする切削装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成する第1発明は、被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削する第1切削ユニットと第2切削ユニットを備える切削装置であって、該第1切削ユニットは、回転駆動される第1スピンドルと、該第1スピンドルの先端部に固定される第1ワッシャブレードと、先端部に雄ネジが形成された円筒状の第1ボス部を有する第1固定フランジと、該第1ボス部に装着される装着孔を有し、該第1ボス部に装着された該第1ワッシャブレードを該第1固定フランジとの間で挟持する第1押えフランジと、該第1ボス部の雄ネジに螺合する雌ネジが内周に形成され、該第1ボス部に締結されることによって該第1押えフランジを介して該第1ワッシャブレードを固定する第1固定ナットと、を備え、該第2切削ユニットは、回転駆動される第2スピンドルと、該第2スピンドルの先端部に固定される第2ワッシャブレードと、先端部に雄ネジが形成された円筒状の第2ボス部を有する第2固定フランジと、該第2ボス部に装着される装着孔を有し、該第2ボス部に装着された該第2ワッシャブレードを該第2固定フランジとの間で挟持する第2押えフランジと、該第2ボス部の雄ネジに螺合する雌ネジが内周に形成され、該第2ボス部に締結されることによって該第2押えフランジを介して該第2ワッシャブレードを固定する第2固定ナットと、を備え、該第1ボス部と該第2ボス部の各先端部の外径は、互いに異なる大きさに設定され、該第1押えフランジの装着孔と該第1固定ナットの雌ネジの内径は、該第1ボス部に装着可能な大きさに設定され、該第2押えフランジの装着孔と該第2固定ナットの雌ネジの内径は、該第2ボス部に装着可能な大きさに設定されていることを特徴とする。
【0013】
また、第2発明は、被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削する第1切削ユニットと第2切削ユニットを備える切削装置であって、該第1切削ユニットは、回転駆動される第1スピンドルと、該第1スピンドルの先端部に固定される第1バフブレードと、先端部に雄ネジが形成された円筒状の第1ボス部を有する第1マウントと、該第1ボス部の雄ネジに螺合する雌ネジが内周に形成され、該第1ボス部に締結されることによって該第1バフブレードを固定する第1固定ナットと、を備え、該第2切削ユニットは、回転駆動される第2スピンドルと、該第2スピンドルの先端部に固定される第2バフブレードと、先端部に雄ネジが形成された円筒状の第2ボス部を有する第2マウントと、該第2ボス部の雄ネジに螺合する雌ネジが内周に形成され、該第2ボス部に締結されることによって該第2バフブレードを固定する第2固定ナットと、を備え、該第1ボス部と該第2ボス部の各先端部の外径は、互いに異なる大きさに設定され、該第1固定ナットの雌ネジの内径は、該第1ボス部に装着可能な大きさに設定され、該第2固定ナットの雌ネジの内径は、該第2ボス部に装着可能な大きさに設定されていることを特徴とする。
【0014】
さらに、第3発明は、被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削する第1切削ユニットと第2切削ユニットを備える切削装置であって、該第1切削ユニットは、回転駆動される第1スピンドルと、該第1スピンドルを回転可能に保持する第1スピンドルハウジングと、該第1スピンドルハウジングの端面に固定される第1ロータリジョイントと、該第1スピンドルの先端部に固定される第1ワッシャブレードと、先端部に雄ネジが形成された円筒状の第1ボス部を有する第1固定フランジと、該第1ボス部に装着される装着孔を有し、該第1ボス部に装着された該第1ワッシャブレードを該第1固定フランジとの間で挟持する第1押えフランジと、該第1押えフランジを該第1固定フランジと該第1ロータリジョイントに形成された吸引通路を経て吸引する第1吸引源と、を備え、該第2切削ユニットは、回転駆動される第2スピンドルと、該第2スピンドルを回転可能に保持する第2スピンドルハウジングと、該第2スピンドルハウジングの端面に固定される第2ロータリジョイントと、該第2スピンドルの先端部に固定される第2ワッシャブレードと、先端部に雄ネジが形成された円筒状の第2ボス部を有する第2固定フランジと、該第2ボス部に装着される装着孔を有し、該第2ボス部に装着された該第2ワッシャブレードを該第2固定フランジとの間で挟持する第2押えフランジと、該第2押えフランジを該第2固定フランジと該第2ロータリジョイントに形成された吸引通路を経て吸引する第2吸引源と、を備え、該第1ボス部と該第2ボス部の各先端部の外径は、互いに異なる大きさに設定され、該第1押えフランジの装着孔の内径は、該第1ボス部に装着可能な大きさに設定され、該第2押えフランジの装着孔は、該第2ボス部に装着可能な大きさに設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1発明によれば、第1切削ユニットと第2切削ユニットにおいて、各第1及び第2ワッシャブレードをそれぞれ新しいものと交換する際に取り外した第1及び第2押えフランジを入れ替え、或いは第1及び第2固定ナットを入れ替えて第1及び第2固定フランジの第1及び第2ボス部に装着しようとしても、これらを装着することができない。このため、第1切削ユニットの第1押えフランジと第2切削ユニットの第2押えフランジ及び第1切削ユニットの第1固定ナットと第2切削ユニットの第2固定ナットとを互いに入れ替えて誤装着するという不具合の発生が防がれる。この結果、誤装着に伴う第1切削ユニットと第2切削ユニットの振動の発生を防ぐことができ、これらの第1切削ユニットと第2切削ユニットによる被加工物の正常で正確な切削を行うことができる。
【0016】
第2発明によれば、第1切削ユニットと第2切削ユニットにおいて、各第1及び第2バフブレードをそれぞれ新しいものと交換する際に取り外した第1固定ナットと第2固定ナットとを入れ替え、第1固定ナットを第2マウントの第2ボス部の雄ネジに螺合させ、或いは第2固定ナットを第1マウントの第1ボス部の雄ネジに螺合させることができない。このため、第1固定ナットと第2固定ナットを互いに入れ替えて誤装着するという不具合が起こり得ない。この結果、第1固定ナットと第2固定ナットの誤装着に伴う第1切削ユニットと第2切削ユニットの振動の発生を防ぐことができ、これらの第1切削ユニットと第2切削ユニットによる被加工物の正常で正確な切削を行うことができる。
【0017】
第3発明によれば、第1切削ユニットと第2切削ユニットにおいて、各第1及び第2ワッシャブレードをそれぞれ新しいものと交換する際に取り外した第1押えフランジと第2押えフランジとを入れ替えて第1固定フランジの第1ボス部と第2固定フランジの第2ボス部に装着しようとしても、これらを装着することができない。このため、第1切削ユニットの第1押えフランジと第2切削ユニットの第2押えフランジとを互いに入れ替えて誤装着するという不具合の発生が防がれる。この結果、誤装着に伴う第1切削ユニットと第2切削ユニットの振動の発生を防ぐことができ、これらの第1切削ユニットと第2切削ユニットによる被加工物の正常で正確な切削を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】(a)は第1発明に係る切削装置の第1切削ユニットの分解斜視図、(b)は同切削装置の第2切削ユニットの分解斜視図である。
【
図3】(a)は第1発明に係る切削装置の第1切削ユニットの側断面図、(b)は同切削装置の第2切削ユニットの側断面図である。
【
図4】(a)は第2発明に係る切削装置の第1切削ユニットの分解斜視図、(b)は同切削装置の第2切削ユニットの分解斜視図である。
【
図5】(a)は第2発明に係る切削装置の第1切削ユニットの側断面図、(b)は同切削装置の第2切削ユニットの側断面図である。
【
図6】(a)は第3発明に係る切削装置の第1切削ユニットの分解斜視図、(b)は同切削装置の第2切削ユニットの分解斜視図である。
【
図7】(a)は第3発明に係る切削装置の第1切削ユニットの側断面図、(b)は同切削装置の第2切削ユニットの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0020】
[切削装置の全体構成]
まず、第1発明に係る切削装置の全体構成を
図1に基づいて以下に説明する。なお、以下の説明では、
図1における左右方向をX軸方向、前後方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とする。
【0021】
図1は本発明に係る切削装置の斜視図であり、図示の切削装置1は、所謂デュアルダイサーと称されるものであって、各構成要素を支持する基台2を備えている。この基台2のY軸方向中央部には、X軸方向に長い矩形の開口部3が開口しており、この開口部3の前方(-Y軸方向)の右側(+X軸方向)角部には、不図示の昇降機構によって上下方向(Z軸方向)に昇降するカセット支持台4が設けられている。そして、このカセット支持台4の上面には、被加工物である円板状の複数枚のウェーハ100(
図1には、1枚のみ図示)を収容する矩形ボックス状のカセット5が配置されている。なお、
図1においては、説明の便宜上、カセット5は、その輪郭のみを示している。
【0022】
ここで、ウェーハ100は、その表面(
図1においては、上面)が格子状に配列されたストリートと称される切断予定ラインによって多数の矩形領域に区画されており、各矩形領域にはICやLSIなどのデバイスがそれぞれ形成されている。そして、このように多数のデバイスが形成されたウェーハ100をストリートに沿って切断することによって、複数の半導体チップが形成される。なお、ウェーハ100は、その裏面(
図1においては、下面)に貼着された貼着テープ101が環状フレーム102に接着されることによって、環状フレーム102によって支持されている。
【0023】
ところで、基台2の上面に開口する開口部3には、ウェーハ100を環状フレーム102と共に保持面上に吸引保持する円板状のチャックテーブル6が設けられており、このチャックテーブル6の周囲には、環状フレーム102を四方から固定するための4つのクランプ7が周方向に等角度ピッチ(90°ピッチ)で配設されている。
【0024】
ここで、チャックテーブル6は、その下方に配された不図示の回転駆動機構によって垂直な軸中心回りに回転駆動されるとともに、その下方に配置された不図示のX軸方向移動機構によってX軸方向(左右方向)に沿って往復移動することができる。なお、開口部3のチャックテーブル6の周囲は、該チャックテーブル6と共に移動する矩形板状のカバー8によって覆われており、開口部3のカバー8のX軸方向両側(左右)は、カバー8と共にX軸方向に移動して伸縮する蛇腹状の伸縮カバー9によってそれぞれ覆われている。したがって、開口部3は、チャックテーブル6がX軸上のどの位置にあっても、カバー8と伸縮カバー9によって常に閉じられており、該開口部3から基台2内への異物などの侵入が確実に防がれる。
【0025】
また、基台2上の左側(-X軸側)には、第1切削ユニット10と第2切削ユニット20が開口部3を挟んでこれの前後両側(-Y軸側及び+Y軸側)に相対向するようにそれぞれ配設されており、これらの第1切削ユニット10と第2切削ユニット20には、撮像ユニット71,72がそれぞれ取り付けられている。ここで、各撮像ユニット71,72は、チャックテーブル6の保持面上に吸引保持されたウェーハ100を撮像してストリートの位置を検出するものである。なお、第1切削ユニット10と第2切削ユニット20の構成の詳細については後述する。
【0026】
上記第1切削ユニット10と第2切削ユニット20は、前後一対のZ軸方向移動機構80によってZ軸方向(切り出し送り方向)の上下移動が可能であるとともに、前後一対のY軸方向移動機構90によってY軸方向(割り出し送り方向)の前後移動がそれぞれ可能である。
【0027】
ここで、各Z軸方向移動機構80は、矩形プレート状のスライダ91の前後に互いに平行に垂直に配置された一対のZ軸ガイドレール81と、これらのZ軸ガイドレール81に沿って上下に移動可能な昇降板82と、一対のZ軸ガイドレール81の間に垂直に配置された回転可能なZ軸ボールネジ軸83と、該Z軸ボールネジ軸83を回転駆動する正逆転可能なZ軸パルスモータ84をそれぞれ含んで構成されている。そして、第1切削ユニット10及び撮像ユニット71と第2切削ユニット20及び撮像ユニット72は、各昇降板82の下部にそれぞれ取り付けられている。なお、各昇降板82の裏面には不図示のナット部材が突設されており、このナット部材にZ軸ボールネジ軸83がそれぞれ螺合挿通している。
【0028】
上述のように構成されたZ軸方向移動機構80において、Z軸パルスモータ84が駆動されてZ軸ボールネジ軸83が正逆転すると、該Z軸ボールネジ軸83に螺合する不図示のナット部材が突設された昇降板82が一対のZ軸ガイドレール81に沿って上下動するため、各昇降板82にそれぞれ取り付けられた第1切削ユニット10及び撮像ユニット71と第2切削ユニット20及び撮像ユニット72もZ軸方向(切り出し送り方向)に沿って上下移動する。
【0029】
また、前後一対の各Y軸方向移動機構90は、前記スライダ91をそれぞれ備えているが、これらのスライダ91は、基台2上に垂直に立設された門型のコラム92の正面にY軸方向(前後方向)に沿って互いに平行に配置された上下一対のY軸ガイドレール93に沿ってY軸方向に沿ってそれぞれ移動可能である。
【0030】
そして、前後一対のY軸方向移動機構90においては、上下一対のY軸ガイドレール93の間には、Y軸方向(前後方向)に沿って配置された上下一対の回転可能なY軸ボールネジ軸94が配置されており、これらのY軸ボールネジ軸94には、前後一対の各スライダ91の裏面に突設された不図示のナット部材がそれぞれ螺合している。また、各Y軸ボールネジ軸94の軸方向一端は、回転駆動源であるY軸パルスモータ95(
図1には、一方のみ図示)にそれぞれ連結されている。
【0031】
したがって、各Y軸方向移動機構90において、Y軸パルスモータ95を駆動してY軸ボールネジ軸94を正逆転させると、これらのY軸ボールネジ軸94に螺合する不図示のナット部材が突設された前後一対のスライダ91が昇降板82と共にY軸ガイドレール93に沿ってY軸方向(割り出し送り方向)にそれぞれ移動することができる。このため、昇降板82にそれぞれ取り付けられた第1切削ユニット10及び撮像ユニット71と第2切削ユニット20及び撮像ユニット72がY軸ガイドレール93に沿ってY軸方向(割り出し送り方向)にそれぞれ移動することができる。
【0032】
以上のように、
図1に示す切削装置1においては、チャックテーブル6とこれに保持されたウェーハ100がX軸方向(左右方向)に沿って移動可能であり、第1切削ユニット10及び撮像ユニット71と第2切削ユニット20及び撮像ユニット72がY軸方向(前後方向)とZ軸方向(上下方向)に沿ってそれぞれ移動可能である。
【0033】
ところで、
図1に示すように、基台2上の開口部3よりも後方且つ右寄り部分には、切削加工後のウェーハ100を洗浄するための洗浄ユニット75が配設されている。この洗浄ユニット75は、ウェーハ100を吸引保持しながら回転するスピンナテーブル76と、該スピンナテーブル76上に吸引保持されたウェーハ100に上方から洗浄液を噴射する噴射ノズル77を備えている。
【0034】
[第1発明]
次に、第1発明に係る切削装置1に備えられた前記第1切削ユニット10と前記第2切削ユニット20の構成の詳細を
図2及び
図3に基づいて以下に説明する。
【0035】
図2(a)は第1発明に係る切削装置の第1切削ユニットの分解斜視図、
図1(b)は同切削装置の第2切削ユニットの分解斜視図、
図3(a)は同切削装置の第1切削ユニットの側断面図、
図3(b)は同切削装置の第2切削ユニットの側断面図である。
【0036】
先ず、第1切削ユニット10の構成を
図2(a)及び
図3(a)に基づいて説明すると、該第1切削ユニット10は、切削ブレードとしての第1ワッシャブレード11を第1固定フランジ12と第1押えフランジ13及び第1固定ナット14によって第1スピンドル15の先端部に着脱可能に固定することによって構成されている。なお、この第1発明においては、第1ワッシャブレード11は、第2切削ユニット20においても共通に用いられるため、以下の説明においては、これらを区別しないで単に「ワッシャブレード11」と称する。
【0037】
ここで、第1スピンドル15は、第1スピンドルハウジング16に内蔵された不図示のスピンドルモータによって高速で回転駆動されるものであって、該第1スピンドル15のスピンドルハウジング16の一端面から突出する先端部の外周は、先端に向かって外径が次第に細くなるテーパ面151とされている。また、第1スピンドル15の前端部の軸中心にはネジ孔152が形成されている(
図2(a)参照)。
【0038】
前記第1固定フランジ12は、その軸方向一端部に形成された円筒状の第1ボス部121と、該第1ボス部121の基端部から径方向外方に向かって一体に突設された円環状の第1固定フランジ部122を備えており、その軸中心部には、第1スピンドル15の先端部のテーパ面151に篏合するテーパ孔状の装着孔123が軸方向に沿って形成されている。
【0039】
また、第1ボス部121の先端部外周には雄ネジ124(
図2(a)参照)が刻設されており、軸方向において第1ボス部121と第1固定フランジ部122との間には、円環状の篏合段部125が一体に形成されており、この篏合段部125の外周面は、円環状のワッシャブレード11の中心に形成された円孔状の装着孔111が篏合する篏合面を形成している。そして、第1固定フランジ部122の軸方向一端面(図の左端面)の外周部には、ワッシャブレード11に当接する円環状の当接面126が形成されている。
【0040】
ここで、円環状のワッシャブレード11は、ニッケル母材中に分散されたダイヤモンド砥粒を電着させることによって切刃(電着砥石)として構成されるものであって、その形状と寸法は、第1研削ユニット10と第2研削ユニット20において同じである。つまり、前述のように、第1研削ユニット10と第2研削ユニット20においては、同じワッシャブレード11が使用される。
【0041】
前記第1押えフランジ13は、その軸中心部に軸方向に貫通する円孔状の装着孔131(
図2(a)参照)が形成されており、その軸方向一端面(図の右端面)の外周部には、第1固定フランジ12の当接面126と同一幅の円環状の当接面132が形成されている。
【0042】
前記第1固定ナット14は、円環状の締結具であって、その内周には雌ネジ141(
図2(a)参照)が刻設されており、この第1固定ナット14の端面の周方向4箇所には、不図示の工具が係合する係合孔142が等角度ピッチ(90°ピッチ)で形成されている。
【0043】
而して、ワッシャブレード11は、以上のように構成された第1固定フランジ12と第1押えフランジ13及び第1固定ナット14を用いて以下の手順によって第1スピンドル15の先端部に固定される。
【0044】
すなわち、
図3(a)に示すように、先ず、第1固定フランジ12を、その軸中心部に形成されたテーパ孔状の装着孔123を第1スピンドル15の先端部外周のテーパ面151(
図2(a)参照)に嵌め込んで該第1スピンドル151の先端部に装着する。そして、この状態からワッシャ17に挿通するボルト18を第1スピンドル15の軸中心部に形成されたネジ孔152(
図2(a)参照)にねじ込んで締め付けることによって、第1固定フランジ12を第1スピンドル15の先端部に固定する。
【0045】
次に、ワッシャブレード11を、これに形成された装着孔111(
図2(a)参照)を第1固定フランジ12の篏合段部125の外周面(篏合面)に嵌め込んで第1固定フランジ12にセットする。
【0046】
その後、第1押えフランジ13を、その軸中心部に形成された装着孔131(
図2(a)参照)を第1固定フランジ12の第1ボス部121の外周に嵌め込んで第1固定フランジ12に装着し、第1固定フランジ12にセットされているワッシャブレード11を、第1押えフランジ13の当接面132と第1固定フランジ12の当接面126とで挟み込む。
【0047】
そして、最後に、第1固定ナット14を、その内周に形成された雌ネジ141(
図2(a)参照)を第1固定フランジ12の第1ボス部121の外周に形成された雄ネジ124(
図2(a)参照)に螺合させることによって、第1固定フランジ12の第1ボス部121にセットする。そして、この状態で、第1固定ナット14を、これに形成された係合孔142(
図2(a)参照)に係合する不図示の工具によって回し、該第1固定ナット14を第1固定フランジ12の第1ボス部121にねじ込んで締結する。すると、第1固定ナット14によって第1押えフランジ13がワッシャブレード11に押圧され、ワッシャブレード11が、第1固定フランジ12の当接面126と第1押えフランジ13の当接面132によって軸方向両側から挟持されて第1スピンドル15の先端部に固定される。
【0048】
第2切削ユニット20の構成を
図2(b)及び
図3(b)に示すが、この第2切削ユニット20の基本構成は、第1切削ユニット10の基本構成と同じである。すなわち、第2切削ユニット20は、ワッシャブレード11を第2固定フランジ22と第2押えフランジ23及び第2固定ナット24によって第2スピンドル25の先端部に着脱可能に固定することによって構成されている。
【0049】
以上のように構成された第1切削ユニット10と第2切削ユニット20を備える
図1に示す切削装置1においては、各撮像ユニット71,72によるウェーハ100の表面の撮像によって画像が得られると、その画像に基づくパターンマッチング処理によって切削すべきストリートが検出される。このようにウェーハ100のストリートが検出されると、第1切削ユニット10と第2切削ユニット20の各ワッシャブレード11のY軸方向の位置が前後一対の各Y軸方向移動機構90によってそれぞれ割り出され、これらのワッシャブレード11のY軸方向の位置が切削すべきストリートの位置に合わせられる。
【0050】
そして、上記状態から第1切削ユニット10と第2切削ユニット20の各ワッシャブレード11がそれぞれ高速で回転駆動されながら、前後一対の各Z軸方向移動機構80によって所定の切込量分だけそれぞれ下降するとともに、不図示のX軸方向移動機構によってチャックテーブル6とこれに保持されたウェーハ100がX軸方向に移動する。すると、ウェーハ100は、第1切削ユニット10と第2切削ユニット20の各ワッシャブレード11によってストリートに沿って切断され、このような作業が一方向の全てのストリートに対して行われると、不図示の回転駆動機構によってチャックテーブル6とこれに保持されたウェーハ100が90°だけ回転され、切断が終了したストリートと直交する他方向のストリートに沿う切断が同様になされる。そして、ウェーハ100の全てのストリートに沿う切断が終了すると、個々のデバイスが搭載された複数の半導体チップが得られる。
【0051】
ところで、上述のように第1切削ユニット10と第2切削ユニット20の各ワッシャブレード11によるウェーハ100の切断によって各ワッシャブレード11が摩耗などした場合には、これらのワッシャブレード11がそれぞれ新しいものと交換される。これらのワッシャブレード11の交換に際しては、次の手順によって各ワッシャブレード11が第1スピンドル15と第2スピンドル25からそれぞれ取り外される。
【0052】
すなわち、例えば、第1切削ユニット10において使用されているワッシャブレード11を取り外すには、第1固定ナット14を不図示の工具を用いて回して緩めることによって、該第1固定ナット14を第1固定フランジ12の第1ボス部121から取り外す。次に、第1押えフランジ13を第1固定フランジ12の第1ボス部121から引き抜いて取り外した後、ワッシャブレード11を第1固定フランジ12から抜いて取り外し、このワッシャブレード11を新しいものと交換する。
【0053】
新しいワッシャブレード11は、前記と同様の手順によって第1スピンドル15と第2スピンドル25の各先端部にそれぞれ取り付けられて固定されるが、このとき、第1切削ユニット10の第1押えフランジ13と第1固定ナット14と、第2切削ユニット20の第2押えフランジ23と第2固定ナット24とを入れ替えて誤装着すると、振動などの問題が発生することは前述の通りである。
【0054】
そこで、本発明においては、
図2及び
図3に示すように、第1切削ユニット10における第1固定フランジ12の第1ボス部121の外径φD1と、第2研削ユニット20における第2固定フランジ22の第2ボス部221の外径φD2とを互いに異なる大きさに設定するとともに、これに伴って第1切削ユニット10における第1押えフランジ13の装着孔131と第1固定ナット14の雌ネジ141の内径φd1(
図2(a)参照)を、これらの第1押えフランジ13と第1固定ナット13が第1固定フランジ12の第1ボス部121に装着可能な大きさに設定した。また、第2切削ユニット20における第2押えフランジ23の装着孔231と第2固定ナット24の雌ネジ241の内径φd2(
図2(b)参照)を、これらの第2押えフランジ23と第2固定ナット24が第2固定フランジ22の第2ボス部221に装着可能な大きさに設定した。
【0055】
本実施の形態では、第1固定フランジ12の第1ボス部121の外径φD1を第2固定フランジ22の第2ボス部221の外径φD2よりも小さく設定するとともに(φD1<φD2)、これに伴って第1押えフランジ13の装着孔131と第1固定ナット14の雌ネジ141の内径φd1を第2押えフランジ23の装着孔231と第2固定ナット24の雌ネジ241の内径φd2よりも小さく設定している(φd1<φd2)。なお、ワッシャブレード11は、第1切削ユニット10と第2切削ユニット20において同じものが使用されるため、第1固定フランジ12の篏合段部125の外径と第2固定フランジ22の篏合段部225の外径とは同じ値(ワッシャブレード11の装着孔111の内径)φdに設定されている。
【0056】
したがって、第1切削ユニット10と第2切削ユニット20において、各ワッシャブレード11をそれぞれ新しいものと交換する際に取り外した第1押えフランジ13と第2押えフランジ23とを入れ替え、或いは第1固定ナット14と第2固定ナット24とを入れ替えて第1固定フランジ12の第1ボス部121と第2固定フランジ22の第2ボス部221に装着しようとしても、これらを装着することができない。このため、第1切削ユニット10の第1押えフランジ13と第2切削ユニット20の第2押えフランジ23及び第1切削ユニット10の第1固定ナット14と第2切削ユニット20の第2固定ナット24とを互いに入れ替えて誤装着するという不具合の発生が防がれる。この結果、誤装着に伴う第1切削ユニット10と第2切削ユニット20の振動の発生を防ぐことができ、これらの第1切削ユニット10と第2切削ユニット20によるウェーハ100の正常で正確な切削を行うことができる。
【0057】
なお、本実施の形態では、第1固定フランジ12の第1ボス部121の外径φD1を第2固定フランジ22の第2ボス部221の外径φD2よりも小さく設定したが(φD1<φD2)、これとは逆に第1固定フランジ12の第1ボス部121の外径φD1を第2固定フランジ22の第2ボス部221の外径φD2よりも大きく設定しても(φD1>φD2)、前記と同様の効果が得られる。
【0058】
[第2発明]
次に、第2発明に係る切削装置の第1切削ユニットと第2切削ユニットの構成の詳細を
図4及び
図5に基づいて以下に説明する。
【0059】
第2発明に係る切削装置の基本構成は、
図1に示す第1発明に係る切削装置1のそれと同じであるため、これについての再度の説明は省略し、以下、第1切削ユニット30と第2切削ユニット40の構成を
図4及び
図5に基づいて説明する。
【0060】
図4(a)は第2発明に係る切削装置の第1切削ユニットの分解斜視図、
図4(b)は同切削装置の第2切削ユニットの分解斜視図、
図5(a)は同切削装置の第1切削ユニットの側断面図、
図5(b)は同切削装置の第2切削ユニットの側断面図である。
【0061】
先ず、第1切削ユニット30の構成を
図4(a)及び
図5(a)に基づいて説明すると、該第1切削ユニット30は、切削ブレードとしての第1ハブブレード31を第1マウント32と第1固定ナット33によって第1スピンドル15の先端部に着脱可能に固定することによって構成されている。
【0062】
ここで、第1スピンドル15は、前記第1発明において説明したものと同じであるため、これについての再度の説明は省略し、同一要素には同一符号を付している。また、この第2発明においては、第1バフブレード31は、第2切削ユニット40においても共通に用いられるため、以下の説明においては、これらを区別しないで単に「バフブレード31」と称する。
【0063】
前記第1マウント32は、その軸方向一端部に形成された円筒状の第1ボス部321と、該第1ボス部321の基端部から径方向外方に向かって一体に突設された円環状の第1固定フランジ部322を備えており、その軸中心部には、第1スピンドル15の先端部に篏合するテーパ孔状の装着孔323が軸方向に沿って貫設されている。また、第1ボス部321の先端部外周には雄ネジ324(
図4(a)参照)が刻設されており、第1マウント32の軸方向一端面(図の左端面)の外周部には、バフブレード31の基台311に当接する当接面325が形成されている。
【0064】
ここで、円環状のバフブレード31は、円形フランジ状の基台311の外周に、ニッケル母材中に分散されたダイヤモンド砥粒を電着させることによって構成された円環状の切刃(電着砥石)312を取り付けて構成されており、その基台311の軸中心には、円孔状の装着孔313(
図4(a)参照)が形成されている。なお、バフブレード31は、前述のように、第1研削ユニット30と第2研削ユニット40において同じものが使用され、その形状と寸法は同じである。
【0065】
前記第1固定ナット33は、円環状の締結具であって、その内周には雌ネジ331(
図4(a)参照)が刻設されている。なお、この第1固定ナット33の端面の周方向4箇所には、不図示の工具が係合する係合孔332(
図4(a)参照)が等角度ピッチ(90°ピッチ)で形成されている。
【0066】
而して、ワッシャブレード31は、以上のように構成された第1マウント32と第1固定ナット33を用いて以下の手順によって第1スピンドル15の先端部に固定される。
【0067】
すなわち、
図5(a)に示すように、先ず、第1マウント32を、その軸中心部に形成されたテーパ孔状の装着孔313に第1スピンドル15の先端部外周のテーパ面151(
図4(a)参照)を嵌め込んで第1スピンドル15の先端部に装着する。そして、この状態からワッシャ34に挿通するボルト35を第1スピンドル15の軸中心部に形成されたネジ孔152(
図4(a)参照)にねじ込んで締め付けることによって、第1マウント32を第1スピンドル15の先端部に固定する。
【0068】
次に、バフブレード31を、その軸中心部に形成された装着孔313(
図4(a)参照)を第1マウント32の第1ボス部321の外周面に嵌め込んで第1マウント32にセットする。
【0069】
最後に、第1固定ナット33を、その内周に形成された雌ネジ331(
図4(a)参照)を第1マウント32の第1ボス部321の外周に形成された雄ネジ324(
図4(a)参照)に螺合させることによって、第1マウント32の第1ボス部321にセットする。そして、この状態で、第1固定ナット33を、これに形成された係合孔332(
図4(a)参照)に係合する不図示の工具によって回して第1マウント32の第1ボス部321にねじ込んで締結する。すると、第1固定ナット33によってバフブレード31が第1マウント32の当接面325に押圧され、該バフブレード31が第1マウント32と第1固定ナッ33とによって軸方向に挟持されて第1スピンドル15の先端部に固定される。
【0070】
第2切削ユニット40の構成を
図4(b)及び
図5(b)に示すが、この第2切削ユニット40の基本構成は、第1切削ユニット30の基本構成と同じである。すなわち、第2切削ユニット40は、ハブブレード31を第2マウント42と第2固定ナット43によって第2スピンドル25の先端部に着脱可能に固定することによって構成されている。
【0071】
ところで、上述のように構成された第1切削ユニット30と第2切削ユニット40の各ハブブレード31によるウェーハ100の切断によって各ハブブレード31が摩耗などしたためにこれらのハブブレード31を新しいものと交換する必要があるときには、次の手順によって各ハブブレード31が第1スピンドル15と第2スピンドル25からそれぞれ取り外される。
【0072】
すなわち、例えば、第1切削ユニット30において使用されているハブブレード31を取り外すには、第1固定ナット33を不図示の工具を用いて回して緩めることによって、該第1固定ナット33を第1マウント32の第1ボス部321から取り外す。次に、第1マウント32を第1スピンドル15に残したまま、バフブレード31を第1マウント32の第1ボス部321から引き抜いて取り外した後、このバフブレード31を新しいものと交換する。
【0073】
第2切削ユニット40のバフブレード31も上述と同様の手順によって新しいものと交換されるが、このとき、第1切削ユニット30の第1固定ナット33と、第2切削ユニット40の第2固定ナット43とを入れ替えて誤装着すると、振動などの問題が発生することは前述の通りである。
【0074】
そこで、本発明においては、
図4及び
図5に示すように、第1固定マウント32の第1ボス部321の雄ネジ324が形成された先端部の外径φD3と、第2マウント42の第2ボス部421の雄ネジ424が形成された先端部の外径φD4とを互いに異なる大きさに設定するとともに、これに伴って第1固定ナット33の雌ネジ331の内径φd3(
図4(a)参照)と第2固定ナット43の雌ネジ431の内径φd4(
図4(b)参照)を、これらの雌ネジ331,431が第1マウント32の第1ボス部321の雄ネジ324と第2マウント42の第2ボス部421の雄ネジ431にそれぞれ螺合可能な大きさに設定した。
【0075】
本実施の形態では、第1マウント32の第1ボス部321の先端部の外径φD3を第2マウント42の第2ボス部421の先端部の外径φD4よりも大きく設定するとともに(φD3>φD4)、これに伴って第1固定ナット33の雌ネジ331の内径φd3を第2固定ナット43の雌ネジ431の内径φd4よりも大きく設定している(φd3>φd4)。なお、本実施の形態では、第2マウント42の第2ボス部421の外径φD4は、バフブレード31の装着孔313の内径φdよりも小さく設定されているため(φD4<φd)、第1切削ユニット30と第2切削ユニット40に共通に使用されるバフブレード31が第2マウント42の第2ボス部421に装着されるように、該第2ボス部421には、該第2ボス部421の外径φD4よりも大きな外径φdを有する篏合段部425が一体に形成されており、この篏合段部425の外周面にバフブレード31の装着孔313が篏合するようにしている。
【0076】
したがって、第1切削ユニット30と第2切削ユニット40において、各バフブレード31をそれぞれ新しいものと交換する際に取り外した第1固定ナット33と第2固定ナット43とを入れ替え、第1固定ナット33を第2マウント42の第2ボス部421の雄ネジ424に螺合させ、或いは第2固定ナット43を第1マウント32の第1ボス部321の雄ネジ324に螺合させることができない。このため、第1固定ナット33と第2固定ナット43を互いに入れ替えて誤装着するという不具合が起こり得ない。この結果、第1固定ナット33と第2固定ナット43の誤装着に伴う第1切削ユニット30と第2切削ユニット40の振動の発生を防ぐことができ、これらの第1切削ユニット30と第2切削ユニット40によるウェーハ100の正常で正確な切削を行うことができる。
【0077】
なお、本実施の形態では、第1マウント32の第1ボス部321の先端部の外径φD3を第2マウント42の第2ボス部421の先端部の外径φD4よりも大きく設定したが(φD3>φD4)、これとは逆に第1ボス部321の先端部の外径φD3を第2ボス部421の先端部の外径φD4よりも小さく設定しても(φD3<φD4)、前記と同様の効果が得られる。
【0078】
[第3発明]
次に、第3発明に係る切削装置の第1切削ユニットと第2切削ユニットの構成の詳細を
図6及び
図7に基づいて以下に説明する。
【0079】
第3発明に係る切削装置の基本構成は、
図1に示す第1発明に係る切削装置1のそれと同じであるため、これについての再度の説明は省略し、以下、第1切削ユニット50と第2切削ユニット60の構成を
図6及び
図7に基づいて説明する。
【0080】
図6(a)は第3発明に係る切削装置の第1切削ユニットの分解斜視図、
図6(b)は同切削装置の第2切削ユニットの分解斜視図、
図7(a)は同切削装置の第1切削ユニットの側断面図、
図7(b)は同切削装置の第2切削ユニットの側断面図である。
【0081】
先ず、第1切削ユニット50の構成を
図6(a)及び
図7(a)に基づいて説明すると、該第1切削ユニット50は、切削ブレードとしてのワッシャブレード11を、真空吸着によって第1固定フランジ51と第1押えフランジ52によって挟持することによって、第1スピンドル15の先端部に着脱可能に固定して構成されている。
【0082】
ここで、第1スピンドル15は、前記第1及び第2発明において説明したものと同じであるため、これについての再度の説明は省略するが、この第1スピンドル15は、スピンドルハウジング16内に設けられた不図示のエアベアリングによって回転可能に支持されて高速で回転する。また、第1スピンドルハウジング16の軸方向一端面には、第1ロータリジョイント53が複数のネジ19によって取り付けられている。
【0083】
上記第1ロータリジョイン53は、円環状の部材であって、その軸中心部には、大小異径の円孔531,532が軸方向に貫設されている(
図7(a)参照)。そして、大径側の円孔531の内周には、環状溝533が全周に亘って形成されており、当該第1ロータリジョイント53の内部には円環状の吸引通路534が形成されている。ここで、環状溝533は、第1ロータリジョイント53の内部に径方向に沿って形成された複数の吸引通路535(
図7には1つのみ図示)を介して吸引通路534に連通しており、吸引通路534には、第1ロータリジョイント53の頂部に形成された径方向の1つの連通孔536が開口している。そして、第1ロータリジョイント53の頂部に開口する連通孔536には、吸引パイプ54が接続されており、この吸引パイプ54は、電磁開閉弁55を介して真空ポンプなどの第1吸引源56に接続されている。なお、第1ロータリジョイント53の小径側の円孔532には、
図7(a)に示すように、第1スピンドル15の先端部が挿入されている。
【0084】
前記第1固定フランジ51は、その軸方向中間部に、径方向外方に向かって一体に突設された第1フランジ部511を備えており、この第1フランジ部511の軸方向両側には、大径の第1円筒部512と小径の第1ボス部513がそれぞれ一体に形成されている。そして、この第1固定フランジ51の軸中心部には、第1スピンドル15の先端部が篏合するテーパ孔状の装着孔514が軸方向に沿って形成されており、第1円筒部512は、第1ロータリジョイント53の大径側の円孔531内に挿入されている。
【0085】
さらに、第1固定フランジ51の内部には、クランク状に屈曲する複数の吸引通路515(
図7(a)には、1つのみ図示)が形成されており、各吸引通路515の一端(
図7の左端)は、第1円筒部512の外周に円孔状にそれぞれ開口している(
図6参照)。また、各吸引通路515の他端(
図7の右端)は、第1円筒部512の外周に形成された環状溝516に円孔状の開口孔として開口している(
図6参照)。ここで、
図7(a)に示すように、第1固定フランジ51と第1押えフランジ52との間には、負圧室を構成する円環状の軸方向隙間517が形成されており、この軸方向隙間517は、不図示の切り欠きを介して吸引通路515に連通している。
【0086】
なお、
図7(a)に示すように、第1固定フランジ51の第1円筒部512の外周に形成された環状溝516とロータリジョイント53の大径側の円孔531の内周に形成された環状溝533とは、径方向において互いに対向して配置されている。また、第1固定フランジ51の第1円筒部512内には、第1スピンドルハウジング16内に配置された不図示のエアベアリングから排出されるエアを大気中に排出するためのエア排出通路518がL字状に屈曲して形成されている。
【0087】
さらに、第1固定フランジ51の第1フランジ部511の軸方向一端面(
図6(a)及び
図7(a)の左端面)には、円環状の篏合段部519が一体に形成されており、この篏合段部519の外周面は、ワッシャブレード11の装着孔111が篏合する篏合面を構成している(
図7(a)参照)。また、第1フランジ部511の軸方向一端面の外周部には、ワッシャブレード11に当接する円環状の当接面520が形成されている。
【0088】
ここで、円環状のワッシャブレード11の形状と寸法は、第1研削ユニット50と第2研削ユニット60において同じである。つまり、第1研削ユニット50と第2研削ユニット60においては、同じワッシャブレード11が使用される。
【0089】
前記第1押えフランジ52は、その軸中心部に軸方向に貫通する円孔状の装着孔521が形成されており、この第1押えフランジ52の軸方向一端面(
図7(a)の右端面)には、環状溝522(
図7(a)参照)が形成されている。そして、この環状溝522の外周側には、円環状の当接面523が形成されている。ここで、
図7(a)に示すように、第1押えフランジ52の環状溝522には、第1固定フランジ51の篏合段部519が篏合しており、両者の間には、負圧室を構成する前記軸方向隙間517が形成されている。
【0090】
而して、第1切削ユニット50において、ワッシャブレード11は、以上のように構成された第1固定フランジ51と第1押えフランジ52に真空吸着によって挟持されて固定される。
【0091】
すなわち、
図7(a)に示すように、先ず、第1固定フランジ51を、その軸中心部に形成されたテーパ孔状の装着孔514を第1スピンドル15の先端部外周のテーパ面151(
図6(a)参照)に嵌め込んで第1スピンドル15の先端部に装着する。そして、この状態からワッシャ57に挿通するボルト58を第1スピンドル15の軸中心部に形成されたネジ孔152(
図6(a)参照)にねじ込んで締め付けることによって、第1固定フランジ51を第1スピンドル15の先端部に固定する。
【0092】
次に、ワッシャブレード11を、これに形成された装着孔111を第1固定フランジ51の篏合段部519の外周面(篏合面)に嵌め込んで第1固定フランジ51にセットする。
【0093】
その後、第1押えフランジ52を、その軸中心部に形成された装着孔521(
図6(a)参照)を第1固定フランジ51の第1ボス部513の外周に嵌め込んで該第1固定フランジ51に装着し、第1固定フランジ51にセットされているワッシャブレード11を、第1押えフランジ52の当接面523と第1固定フランジ51の当接面520とで挟み込む(
図7(a)参照)。
【0094】
そして、上記状態から
図7(a)に示す吸引源56を駆動して電磁開閉弁55を図示のように開く。すると、第1固定フランジ51と第1押えフランジ52との間に形成された軸方向隙間517内のエアが
図7(a)に矢印にて示すように吸引通路515から環状溝516,533、吸引通路535、吸引通路534,535、連通孔536及び吸引パイプ54を経て第1吸引源56へと吸引されるため、軸方向隙間517に負圧が発生し、この負圧に引かれて第1押えフランジ52が第1固定フランジ51に押圧されるため、ワッシャブレード11が第1固定フランジ51と第1押えフランジ52によって挟持されて固定される。
【0095】
第2切削ユニット60の構成を
図6(b)及び
図7(b)に示すが、この第2切削ユニット60の基本構成は、第1切削ユニッ50の基本構成と同じである。すなわち、第2切削ユニット60は、ワッシャブレード11を第2固定フランジ61と第2押えフランジ62によって挟持することによって構成されている。この第2切削ユニット60においても、第2ロータリジョイント63が複数のネジ19によって第2スピンドルハウジング26の軸方向一端面に取り付けられており、この第2ロータリジョイント63は、電磁開閉弁65を介して第2吸引源66に接続されている。なお、第2ロータリジョイント63の構成は、第1ロータリジョイント53の構成と同じであるため、これについての説明は省略する。
【0096】
ところで、第1切削ユニット50と第2切削ユニット60の各ワッシャブレード11によるウェーハ100の切断によって各ワッシャブレード11が摩耗などした場合には、これらのワッシャブレード11がそれぞれ新しいものと交換されるが、各ワッシャブレード11は、次の手順によって第1固定フランジ51と第2固定フランジ61からそれぞれ取り外される。
【0097】
すなわち、例えば、第1切削ユニット50において使用されているワッシャブレード11を取り外すには、電磁開閉弁55を閉じて第1固定フランジ51と第1押えフランジ52との間に形成された軸方向隙間517(
図7(a)参照)からのエアの吸引を停止する。すると、軸方向隙間517が大気に開放されて該軸方向隙間517の圧力が大気圧となるため、第1押えフランジ52の真空吸引力が消滅する。このため、第1押えフランジ52を第1固定フランジ51の第1ボス部513から容易に取り外し、新しいワッシャブレード11を前記手順にしたがって取り付けて固定することができる。なお、第2切削ユニット60において使用されたワッシャプレート11も同様の要領で取り外して新しいものと交換することができる。
【0098】
以上のように、新しいワッシャブレード11は、第1切削ユニット50と第2切削ユニット60にそれぞれ簡単に取り付けられるが、このとき、第1切削ユニット50の第1押えフランジ52と、第2切削ユニット60の第2押えフランジ62とを入れ替えて誤装着すると、振動などの問題が発生することは前述の通りである。
【0099】
そこで、本発明においては、
図6及び
図7に示すように、第1切削ユニット50における第1固定フランジ51の第1ボス部513の外径φD5と、第2切削ユニット60における第2固定フランジ61の第2ボス部613の外径φD6とを互いに異なる大きさに設定するとともに、これに伴って第1切削ユニット50における第1押えフランジ52の装着孔521の内径φd5(
図6(a)参照)を、この第1押えフランジ52が第1固定フランジ51の第1ボス部513に装着可能な大きさに設定した。また、第2切削ユニット60における第2押えフランジ62の装着孔621の内径φd6(
図6(a)参照)を、この第2押えフランジ62が第2固定フランジ61の第2ボス部613に装着可能な大きさに設定した。
【0100】
本実施の形態では、第1固定フランジ51の第1ボス部513の外径φD5を第2固定フランジ61の第2ボス部613の外径φD6よりも小さく設定するとともに(φD5<φD6)、これに伴って第1押えフランジ52の装着孔521の内径φd5を第2押えフランジ62の装着孔621の内径φd6よりも小さく設定している(φd5<φd6)。なお、ワッシャブレード11は、第1切削ユニット50と第2切削ユニット60において同じものが使用されるため、第1固定フランジ51の篏合段部519の外径と第2固定フランジ61の篏合段部619の外径とは同じ値φdに設定されている。
【0101】
したがって、第1切削ユニット50と第2切削ユニット60において、各ワッシャブレード11をそれぞれ新しいものと交換する際に取り外した第1押えフランジ52と第2押えフランジ62とを入れ替えて第1固定フランジ51の第1ボス部513と第2固定フランジ60の第2ボス部613に装着しようとしても、これらを装着することができない。このため、第1切削ユニット50の第1押えフランジ52と第2切削ユニット60の第2押えフランジ62とを互いに入れ替えて誤装着するという不具合の発生が防がれる。この結果、誤装着に伴う第1切削ユニット50と第2切削ユニット60の振動の発生を防ぐことができ、これらの第1切削ユニット50と第2切削ユニット60によるウェーハ100の正常で正確な切削を行うことができる。
【0102】
なお、本実施の形態では、第1固定フランジ51の第1ボス部513の外径φD5を第2固定フランジ61の第2ボス部613の外径φD6よりも小さく設定したが(φD5<φD6)、これとは逆に第1固定フランジ51の第1ボス部513の外径φD5を第2固定フランジ61の第2ボス部613の外径φD6よりも大きく設定しても(φD5>φD6)、前記と同様の効果が得られる。
【0103】
また、以上においては、第1~第3発明に係る切削装置は、被加工物としてウェーハを切削するものとして説明したが、第1~第3発明は、ウェーハ以外の任意の被加工物を切削する切削装置もその適用対象に含むものである。
【0104】
その他、本発明は、以上説明した実施の形態に適用が限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0105】
1:切削装置、2:基台、3:開口部、4:カセット支持台、5:カセット、
6:チャックテーブル、7:クランプ、8:カバー、9:伸縮カバー、
10:第1切削ユニット、11:ワッシャブレード、111:装着孔、
12:第1固定フランジ、121:第1ボス部、122:第1固定フランジ部、
123:装着孔、124:雄ネジ、125:篏合段部、126:当接面、
13:第1押えフランジ、131:装着孔、132:当接面、14:第1固定ナット、 141:雌ネジ、142:係合孔、15:第1スピンドル、151:テーパ面、
152:ネジ孔、16:第1スピンドルハウジング、17:ワッシャ、
18:ボルト、19:ネジ、20:第2切削ユニット、22:第2固定フランジ、
221:第2ボス部、225:篏合段部、23:第2押えフランジ、231:装着孔、 24:第2固定ナット、241:雌ネジ、25:第2スピンドル、
26:第2スピンドルハウジング、
30:第1切削ユニット、31:バフブレード、311:基台、313:切刃、
32:第1マウント、321:第1ボス部、322:第1固定フランジ部、
323:装着孔、324:雄ネジ、325:当接面、33:第1固定ナット、
331:雄ネジ、332:係合孔、34:ワッシャ、35:ボルト、
40:第2切削ユニット、42:第2マウント、421:第2ボス部、
424:雄ネジ、425:篏合段部、43:第2固定ナット、431:雌ネジ、
50:第1切削ユニット、51:第1固定フランジ、511:第1フランジ部、
512:第1円筒部、513:第1ボス部、514:装着孔、515:吸引通路、
516:環状溝、517:軸方向隙間、518:エア排出通路、519:篏合段部、
520:当接面、52:第1押えフランジ、521:装着孔、522:環状溝、
523:当接面、53:第1ロータリジョイント、531,532:円孔、
533:環状溝、534,535:吸引通路、536:連通孔、54:吸引パイプ、
55:電磁開閉弁、56:第1吸引源、57:ワッシャ、58:ボルト、
60:第2切削ユニット、61:第1固定フランジ、613:第2ボス部、
619:篏合段部、62:第2押えフランジ、621:装着孔、
63:第2ロータリジョイント、65:電磁開閉弁、66:第2吸引源、
71,72:撮像ユニット、75:洗浄ユニット、76:スピンナテーブル、
77:噴射ノズル、80:Z軸方向移動機構、81:Z軸ガイドレール、
82:昇降板、83:Z軸ボールネジ軸、84:Z軸パルスモータ、
90:Y軸方向移動機構、91:スライダ、92:コラム、
93:Y軸ガイドレール、94:Y軸ボールネジ軸、95:Y軸パルスモータ、
100:ウェーハ(被加工物)、101:貼着テープ、102:環状フレーム、
φD1:第1固定フランジの第1ボス部の外径、
φD2:第2固定フランジの第2ボス部の外径、
φD3:第1マウントの第1ボス部の外径、
φD4:第2マウントの第2ボス部の外径、
φD5:第1固定フランジの第1ボス部の外径、
φD6:第2固定フランジの第2ボス部の外径、
φd:切削ブレード(ワッシャブレード、バフブレード)の装着孔の内径、
φd1:第1押えフランジの装着孔と第1固定ナットの雌ネジの内径、
φd2:第2押えフランジの装着孔と第2固定ナットの雌ネジの内径、
φd3:第1固定ナットの雌ネジの内径、φd4:第2固定ナットの雌ネジの内径、
φd5:第1押えフランジの装着孔の内径、φd6:第2押えフランジの装着孔の内径