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特開2023-162993電力ケーブル用中間接続ユニットおよび電力ケーブルの接続方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162993
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】電力ケーブル用中間接続ユニットおよび電力ケーブルの接続方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 15/18 20060101AFI20231101BHJP
   H02G 15/10 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
H02G15/18
H02G15/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073754
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520307713
【氏名又は名称】関西電力送配電株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520320446
【氏名又は名称】中部電力パワーグリッド株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000213297
【氏名又は名称】中部電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 敬祐
(72)【発明者】
【氏名】八木 正史
(72)【発明者】
【氏名】丸一 真二
(72)【発明者】
【氏名】木村 心哉
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 公裕
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 智
(72)【発明者】
【氏名】上野 辰也
(72)【発明者】
【氏名】荒木 克久
(72)【発明者】
【氏名】矢郷 大規
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 臣人
【テーマコード(参考)】
5G375
【Fターム(参考)】
5G375AA02
5G375BA26
5G375CA02
5G375CB04
5G375CB07
5G375CB13
5G375CB35
5G375CB38
5G375DB32
5G375EA17
(57)【要約】
【課題】拡径保持材の引き抜きによって、遮蔽層を短時間で容易に形成できる電力ケーブル用中間接続ユニットおよび電力ケーブルの接続方法を提供する。
【解決手段】電力ケーブル用中間接続ユニットは、第1電力ケーブルの端部および第2電力ケーブルの端部を接続するケーブル中間接続構造を組み立てる電力ケーブル用中間接続ユニットであって、拡径保持材と、前記拡径保持材が挿設され、前記拡径保持材で拡径されているゴムユニットと、前記ゴムユニットの外周に設けられ、互いに離間配置される複数の遮蔽線材から構成される遮蔽層とを備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電力ケーブルの端部および第2電力ケーブルの端部を接続するケーブル中間接続構造を組み立てる電力ケーブル用中間接続ユニットであって、
拡径保持材と、
前記拡径保持材が挿設され、前記拡径保持材で拡径されているゴムユニットと、
前記ゴムユニットの外周に設けられ、互いに離間配置される複数の遮蔽線材から構成される遮蔽層と
を備えることを特徴とする電力ケーブル用中間接続ユニット。
【請求項2】
前記拡径保持材はスパイラルコアである、請求項1に記載の電力ケーブル用中間接続ユニット。
【請求項3】
前記複数の遮蔽線材は、前記拡径保持材の軸方向に沿って延在し、前記拡径保持材の周方向に亘って配置される、請求項1に記載の電力ケーブル用中間接続ユニット。
【請求項4】
前記複数の遮蔽線材は、スパイラル状に巻回される編組である、請求項1に記載の電力ケーブル用中間接続ユニット。
【請求項5】
前記複数の遮蔽線材のうちの1つの遮蔽線材は、一端に端子を有する、請求項1に記載の電力ケーブル用中間接続ユニット。
【請求項6】
前記遮蔽層の一部の外周を拡径状態で覆い、前記遮蔽層に電気的に接続する、少なくとも1つの金属製のロールスプリングをさらに備える、請求項1に記載の電力ケーブル用中間接続ユニット。
【請求項7】
前記遮蔽層の一部の外周を拡径状態で覆う、少なくとも1つの樹脂製の押さえ部をさらに備える、請求項1に記載の電力ケーブル用中間接続ユニット。
【請求項8】
前記押さえ部は、伸縮可能なゴムバンドおよびゴムネットの少なくとも一方を含む、請求項7に記載の電力ケーブル用中間接続ユニット。
【請求項9】
第1電力ケーブルの第1ケーブル導体と第2電力ケーブルの第2ケーブル導体とを導体接続部によって接続する工程(工程1)と、
請求項1~8のいずれか1項に記載の電力ケーブル用中間接続ユニットを用いて、前記導体接続部の外周にゴムユニットおよび遮蔽層を設置する工程(工程2)と
を有することを特徴とする電力ケーブルの接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力ケーブル用中間接続ユニットおよび電力ケーブルの接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電力ケーブルの端部同士を接続したケーブル中間接続構造が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、常温収縮型の絶縁筒体を拡径支持筒で拡径支持してなる拡径支持筒付絶縁筒体が記載されている。特許文献1の拡径支持筒付絶縁筒体では、拡径支持筒は、複数の筒状コアを内外層状に重ね合せてなり、少なくとも絶縁筒体に接触する側の筒状コアが紐状体をスパイラル状に巻回して形成されたスパイラル型コアで構成される。
【0004】
特許文献1のように、従来のケーブル中間接続構造の組み立てでは、まず、電力ケーブルの端部同士を接続する前に、拡径保持材で拡径されたゴムユニットや保護管を、電力ケーブルに通して、電力ケーブルの端部以外の部分で待機させる。電力ケーブルの端部同士を接続した後、事前に電力ケーブルに待機しているゴムユニットを接続部に移動し、拡径保持材をゴムユニットから引き抜いて、ゴムユニットを接続部に装着する。続いて、ゴムユニットの外周に遮蔽層を隙間なく巻回し、遮蔽層の外周に保護層を隙間なく巻回する。その後、事前に電力ケーブルに待機している保護管をゴムユニットの位置まで移動する。続いて、保護管に設けられる注入孔から、液状のコンパウンドを注入し、コンパウンドを硬化させる。
【0005】
しかしながら、上記のように、従来のケーブル中間接続構造の組み立てでは、現場で遮蔽層をゴムユニットに巻回する。このような遮蔽層の巻回作業は、接続した2つの電力ケーブルを支えながら行うため、作業時間が長い。
【0006】
また、拡径保持材で拡径されているゴムユニットの外周に予め遮蔽層を隙間なく巻回する場合、拡径保持材をゴムユニットから引き抜くと、拡径されたゴムユニットは縮径する。ゴムユニットの縮径に伴い、予めゴムユニットに隙間なく装着された遮蔽層の状態が乱れるため、遮蔽層を再度巻回しなおす作業が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001-37065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示の目的は、拡径保持材の引き抜きによって、遮蔽層を短時間で容易に形成できる電力ケーブル用中間接続ユニットおよび電力ケーブルの接続方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1] 第1電力ケーブルの端部および第2電力ケーブルの端部を接続するケーブル中間接続構造を組み立てる電力ケーブル用中間接続ユニットであって、拡径保持材と、前記拡径保持材が挿設され、前記拡径保持材で拡径されているゴムユニットと、前記ゴムユニットの外周に設けられ、互いに離間配置される複数の遮蔽線材から構成される遮蔽層とを備えることを特徴とする電力ケーブル用中間接続ユニット。
[2] 前記拡径保持材はスパイラルコアである、上記[1]に記載の電力ケーブル用中間接続ユニット。
[3] 前記複数の遮蔽線材は、前記拡径保持材の軸方向に沿って延在し、前記拡径保持材の周方向に亘って配置される、上記[1]または[2]に記載の電力ケーブル用中間接続ユニット。
[4] 前記複数の遮蔽線材は、スパイラル状に巻回される編組である、上記[1]または[2]に記載の電力ケーブル用中間接続ユニット。
[5] 前記複数の遮蔽線材のうちの1つの遮蔽線材は、一端に端子を有する、上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の電力ケーブル用中間接続ユニット。
[6] 前記遮蔽層の一部の外周を拡径状態で覆い、前記遮蔽層に電気的に接続する、少なくとも1つの金属製のロールスプリングをさらに備える、上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の電力ケーブル用中間接続ユニット。
[7] 前記遮蔽層の一部の外周を拡径状態で覆う、少なくとも1つの樹脂製の押さえ部をさらに備える、上記[1]~[6]のいずれか1つに記載の電力ケーブル用中間接続ユニット。
[8] 前記押さえ部は、伸縮可能なゴムバンドおよびゴムネットの少なくとも一方を含む、上記[7]に記載の電力ケーブル用中間接続ユニット。
[9] 第1電力ケーブルの第1ケーブル導体と第2電力ケーブルの第2ケーブル導体とを導体接続部によって接続する工程(工程1)と、上記[1]~[8]のいずれか1つに記載の電力ケーブル用中間接続ユニットを用いて、前記導体接続部の外周にゴムユニットおよび遮蔽層を設置する工程(工程2)とを有することを特徴とする電力ケーブルの接続方法。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、拡径保持材の引き抜きによって、遮蔽層を短時間で容易に形成できる電力ケーブル用中間接続ユニットおよび電力ケーブルの接続方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態の電力ケーブル用中間接続ユニットの一例を示す概略図である。
図2図2は、図1のA-A断面図である。
図3図3は、図1のB-B断面図である。
図4図4は、図1に示す電力ケーブル用中間接続ユニットから拡径保持材を引き抜いた後の状態を示す概略図である。
図5図5は、実施形態の電力ケーブル用中間接続ユニットを用いて組み立てられるケーブル中間接続構造の一例を示す縦断面図である。
図6図6は、実施形態の電力ケーブル用中間接続ユニットの他の例を示す概略図である。
図7図7は、図6に示す電力ケーブル用中間接続ユニットから拡径保持材を引き抜いた後の状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態に基づき詳細に説明する。
【0013】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、遮蔽層の構成に着目することで、拡径保持材の引き抜きによる遮蔽層の形成の容易化および形成時間の短縮化を図った。
【0014】
実施形態の電力ケーブル用中間接続ユニットは、第1電力ケーブルの端部および第2電力ケーブルの端部を接続するケーブル中間接続構造を組み立てる電力ケーブル用中間接続ユニットであって、拡径保持材と、前記拡径保持材が挿設され、前記拡径保持材で拡径されているゴムユニットと、前記ゴムユニットの外周に設けられ、互いに離間配置される複数の遮蔽線材から構成される遮蔽層とを備える。
【0015】
図1は、実施形態の電力ケーブル用中間接続ユニットの一例を示す概略図である。図2は、図1のA-A断面図である。図3は、図1のB-B断面図である。図4は、図1に示す電力ケーブル用中間接続ユニットから拡径保持材を引き抜いた後の状態を示す概略図である。図5は、電力ケーブル用中間接続ユニットを用いて組み立てられるケーブル中間接続構造の一例を示す縦断面図である。図6は、実施形態の電力ケーブル用中間接続ユニットの他の例を示す概略図である。図7は、図6に示す電力ケーブル用中間接続ユニットから拡径保持材を引き抜いた後の状態を示す概略図である。
【0016】
なお、図1、4、6~7では、ゴムユニット3の詳細を省略する。図5では、端子50、ロールスプリング60、押さえ部70を便宜上省略する。また、図5では、第1電力ケーブル10aの第1ケーブル導体11a、第1ケーブル絶縁体12a、第1外部半導電層13a、第1半導電テープ層14a、第1ケーブル遮蔽層15a、第1ケーブルシース16a、および第2電力ケーブル10bの第2ケーブル導体11b、第2ケーブル絶縁体12b、第2外部半導電層13b、第2半導電テープ層14b、第2ケーブル遮蔽層15b、第2ケーブルシース16bは、便宜上、側面図である。
【0017】
図1~5に示すように、実施形態の電力ケーブル用中間接続ユニット1は、第1電力ケーブル10aの端部および第2電力ケーブル10bの端部を接続するケーブル中間接続構造1aを組み立てる治具である。電力ケーブル用中間接続ユニット1は、拡径保持材10と、ゴムユニット3と、遮蔽層4とを備える。
【0018】
電力ケーブル用中間接続ユニット1を構成する拡径保持材10は、ゴムユニット3の拡径状態を維持しながら、ゴムユニット3の内周側からゴムユニット3を支持している。拡径保持材10は、中空の筒形状であり、例えば中空の円筒形状である。
【0019】
拡径保持材10の内径は、段剥処理された第1電力ケーブル10aや第2電力ケーブル10bの端部の外径よりも大きい。拡径保持材10の内径が段剥処理された第1電力ケーブル10aや第2電力ケーブル10bの端部の外径よりも小さいまたは同じである場合、電力ケーブルのケーブル中間接続構造1aの組み立て時において、電力ケーブル用中間接続ユニット1を第1電力ケーブル10aや第2電力ケーブル10bに通すことが困難である。
【0020】
段剥処理された第1電力ケーブル10aの端部では、図5に示すように、第1ケーブル導体11a、第1ケーブル絶縁体12a、第1外部半導電層13a、第1半導電テープ層14a、第1ケーブル遮蔽層15aが第1ケーブルシース16aから露出する。同様に、段剥処理された第2電力ケーブル10bの端部では、第2ケーブル導体11b、第2ケーブル絶縁体12b、第2外部半導電層13b、第2半導電テープ層14b、第2ケーブル遮蔽層15bが第2ケーブルシース16bから露出する。
【0021】
ケーブル中間接続構造1aの組み立て時において、電力ケーブル用中間接続ユニット1から拡径保持材10を容易に引き抜くため、拡径保持材10はインナーコアや拡径パイプであることが好ましい。インナーコアのうち、拡径保持材10がスパイラルコアであると、拡径保持材10をさらに容易に引き抜くことができる。
【0022】
電力ケーブル用中間接続ユニット1を構成するゴムユニット3は、拡径保持材10で拡径されている。ゴムユニット3は、中空の筒形状であり、例えば中空の円筒形状である。ゴムユニット3には、拡径保持材10が挿設される。このように、ゴムユニット3に挿設されている拡径保持材10によって、ゴムユニット3は拡径されている状態を維持できる。
【0023】
電力ケーブルのケーブル中間接続構造1aの組み立て時には、拡径したゴムユニット3から拡径保持材10を引き抜くことによって、ゴムユニット3が縮径されて、ゴムユニット3が導体接続部2を含む第1電力ケーブル10aおよび第2電力ケーブル10bの外周、例えば第1ケーブル絶縁体12a、第1外部半導電層13aおよび第2ケーブル絶縁体12b、第2外部半導電層13bの外周に密着される。このように、ゴムユニット3の復元力によって、拡径されていたゴムユニット3が縮径される。拡径状態のゴムユニット3を縮径させるため、ゴムユニット3は、常温、例えば0℃~40℃の温度範囲で径方向の収縮性を有する。
【0024】
電力ケーブル用中間接続ユニット1を構成する遮蔽層4は、複数の遮蔽線材40から構成される。複数の遮蔽線材40は、拡径されているゴムユニット3の外周に設けられる。そして、拡径されているゴムユニット3の外周に設けられる複数の遮蔽線材40は、互いに離間配置される。遮蔽層4は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などの導電性の高い金属から構成される。なお、ゴムユニット3の外面と遮蔽層4の内面との間には、遮蔽層4をゴムユニット3の外面に仮止めするための不図示の接着剤が設けられてもよい。
【0025】
図1に示すように、複数の遮蔽線材40は、拡径保持材10の軸方向に沿って延在し、拡径保持材10の周方向に亘って配置される。例えば、拡径保持材10の軸方向に沿って延在する複数の遮蔽線材40は、拡径保持材10の周方向の全周に亘って配置される。
【0026】
また、図6に示すように、複数の遮蔽線材40は、スパイラル状に巻回される編組であってもよい。
【0027】
図1および図6に示すように、拡径されているゴムユニット3の外周に設けられる複数の遮蔽線材40は互いに離間配置される。複数の遮蔽線材40が互いに離間配置される状態では、遮蔽線材40の長手方向に沿って延在する遮蔽線材40の側面40a同士が互いに密着していない。但し、このような遮蔽線材40の離間配置状態では、複数の遮蔽線材40は交差してもよい。
【0028】
遮蔽層4は、拡径されているゴムユニット3の外周に設けられる。そして、ケーブル中間接続構造1aの組み立て時に、拡径したゴムユニット3から拡径保持材10を引き抜くことによって、ゴムユニット3が縮径される。このとき、ゴムユニット3の縮径に伴い、離間配置されていた複数の遮蔽線材40が互いに密着される。こうして、複数の遮蔽線材40の側面40a同士を互いに密着した状態の遮蔽層4を形成できる。遮蔽層4の状態は乱れていないので、遮蔽層4を再度形成しなおすことが不要である。このように、拡径保持材10の引き抜きによって、遮蔽層4を短時間で容易に形成できる。
【0029】
一方で、電力ケーブル用中間接続ユニット1において、仮に複数の遮蔽線材40が互いに離間配置されずに互いに密着配置される場合、ゴムユニット3の縮径に伴い、密着配置されていた複数の遮蔽線材40がランダムに重なり合う。そのため、形成される遮蔽層4の状態が乱れる。遮蔽層4の状態によっては、遮蔽層4を再度形成しなおすこともある。
【0030】
離間配置されている複数の遮蔽線材40の離間距離は、ゴムユニット3の拡径率に応じて、適宜設定される。
【0031】
また、複数の遮蔽線材40のうちの1つの遮蔽線材40は、一端41に端子50を有してもよい。1つの遮蔽線材40の一端41に設けられる端子50は、図5に示す保護管7と接続する。なお、便宜上、図5では、端子50と保護管7の接続状態を示さない。
【0032】
電力ケーブル用中間接続ユニット1の遮蔽線材40には、端子50が予め取り付けられる。そのため、ケーブル中間接続構造1aの組み立て現場では、端子50を遮蔽線材40に取り付ける作業が不要になる。
【0033】
また、電力ケーブル用中間接続ユニット1は、遮蔽層4の一部の外周を拡径状態で覆い、遮蔽層4に電気的に接続する、少なくとも1つの金属製のロールスプリング60をさらに備えてもよい。ロールスプリング60は、金属製の円筒状の部材である。拡径されているロールスプリング60は、遮蔽層4の外周の全周を覆う。
【0034】
ロールスプリング60は、図示するように、拡径保持材10の軸方向において、遮蔽層4の一部の外周を覆う。ここでは、3つロールスプリング60が、拡径保持材10の軸方向に亘って、所定の間隔で離間配置される。
【0035】
ケーブル中間接続構造1aの組み立て時に、拡径したゴムユニット3から拡径保持材10を引き抜くことによって、ゴムユニット3が縮径される。このとき、ゴムユニット3の縮径に伴い、複数の遮蔽線材40が互いに密着されると共に、ロールスプリング60が複数の遮蔽線材40を外面側から支持しながら、互いに密着された全ての遮蔽線材40の外面に密着する。こうして、複数の遮蔽線材40を互いに密着できると共に、ロールスプリング60を全ての遮蔽線材40の外面に装着できる。遮蔽層4を構成する全ての遮蔽線材40は、ロールスプリング60を介して、確実に電気的に接続される。
【0036】
また、電力ケーブル用中間接続ユニット1は、遮蔽層4の一部の外周を拡径状態で覆う、少なくとも1つの樹脂製の押さえ部70をさらに備えてもよい。押さえ部70は、環状である。拡径されている押さえ部70は、遮蔽層4の外周の全周を覆う。
【0037】
押さえ部70は、図示するように、拡径保持材10の軸方向において、遮蔽層4の一部の外周を覆う。ここでは、2つ押さえ部70が、拡径保持材10の軸方向に亘って、所定の間隔で離間配置される。
【0038】
拡径状態の押さえ部70は、外周側から遮蔽層4を覆う。押さえ部70は、複数の遮蔽線材40をゴムユニット3の外周に向かって押さえる。そのため、押さえ部70は、ゴムユニット3の外周からの遮蔽線材40の外れをさらに抑制できる。
【0039】
電力ケーブル用中間接続ユニット1が押さえ部70を備える場合、電力ケーブル用中間接続ユニット1は、ロールスプリング60を備えてもよいし、ロールスプリング60を備えなくてもよい。電力ケーブル用中間接続ユニット1がロールスプリング60および押さえ部70を備える場合、図示するように、遮蔽層4に対する、ロールスプリング60の装着位置および押さえ部70の装着位置は、互いに重複せずに、離間する。
【0040】
ケーブル中間接続構造1aの組み立て時に、拡径したゴムユニット3から拡径保持材10を引き抜くことによって、ゴムユニット3が縮径される。このとき、ゴムユニット3の縮径に伴い、複数の遮蔽線材40が互いに密着されると共に、押さえ部70が複数の遮蔽線材40を外面側から押さえる。こうして、押さえ部70で遮蔽線材40の落下をさらに抑制しながら、互いに密着した複数の遮蔽線材40を形成できる。
【0041】
電力ケーブル用中間接続ユニット1がロールスプリング60や押さえ部70を備える場合、1つの遮蔽線材40の一端41および一端41に設けられる端子50は、図示するように、ロールスプリング60や押さえ部70によって拘束されない。
【0042】
押さえ部70は、伸縮可能なゴムバンドおよびゴムネットの少なくとも一方を含むことが好ましい。押さえ部70がゴムバンドやゴムネットで構成されると、押さえ部70の取り付けが容易であると共に、ケーブル中間接続構造1aの組み立て時に遮蔽線材40の状態を目視できる。
【0043】
図5は、電力ケーブル用中間接続ユニット1を用いて組み立てられるケーブル中間接続構造1aの一例を示す縦断面図である。第1電力ケーブル10aは、中心から、第1ケーブル導体11a、第1ケーブル導体11aの外周を覆う第1ケーブル絶縁体12a、第1ケーブル絶縁体12aの外周を覆う第1ケーブル遮蔽層15a、第1ケーブル遮蔽層15aの外周を覆う第1ケーブルシース16aを有する。第1ケーブル絶縁体12aの内周部分には、不図示の内部半導電層が設けられる。第1ケーブル絶縁体12aの外周部分には、内側から順に、第1外部半導電層13a、第1半導電テープ層14aが設けられる。
【0044】
第1電力ケーブル10aと同様に、第2電力ケーブル10bについても、中心から、第2ケーブル導体11b、第2ケーブル絶縁体12b、第2ケーブル遮蔽層15b、第2ケーブルシース16bを有する。第2ケーブル絶縁体12bの内周部分には、不図示の内部半導電層が設けられる。第2ケーブル絶縁体12bの外周部分には、内側から順に、第2外部半導電層13b、第2半導電テープ層14bが設けられる。
【0045】
第1ケーブル導体11aおよび第2ケーブル導体11bは、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などの導電性の高い金属から構成される。第1ケーブル絶縁体12aおよび第2ケーブル絶縁体12bは、架橋ポリエチレンなどの電気絶縁性の高い樹脂から構成される。内部半導電層、第1外部半導電層13aおよび第2外部半導電層13b、第1半導電テープ層14aおよび第2半導電テープ層14bは、半導電性を有する樹脂などから構成される。第1ケーブル遮蔽層15aおよび第2ケーブル遮蔽層15bは、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などの導電性の高い金属から構成される。第1ケーブルシース16aおよび第2ケーブルシース16bは、ポリエチレンまたはポリ塩化ビニルなどの樹脂から構成される。
【0046】
第1電力ケーブル10aや第2電力ケーブル10bは、例えばCVケーブル(架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)である。このような、第1電力ケーブル10aや第2電力ケーブル10bは、高圧用ケーブルや超高圧用ケーブルに好適に用いられる。
【0047】
ケーブル中間接続構造1aは、中心から外側に向かって、導体接続部2と、ゴムユニット3と、遮蔽層4と、保護層5と、コンパウンド部6と、保護管7とを備える。ケーブル中間接続構造1aを構成する導体接続部2は、第1電力ケーブル10aの第1ケーブル導体11aの端部および第2電力ケーブル10bの第2ケーブル導体11bの端部を接続する。ケーブル中間接続構造1aは、例えば、ケーブル中間接続構造1aの中心軸に対して概ね対称であると共に、第1ケーブル導体11aおよび第2ケーブル導体11bの接続部において、ケーブル中間接続構造1aの軸方向に垂直な方向に対して概ね対称である。
【0048】
導体接続部2は、第1電力ケーブル10aおよび第2電力ケーブル10bの各々の端部の段剥処理によって露出している、第1ケーブル導体11aの端部および第2ケーブル導体11bの端部を接続する。例えば、導体接続部2は、円筒状である。導体接続部2の一端側から第1電力ケーブル10aを挿入し、導体接続部2の他端側から第2電力ケーブル10bを挿入した状態で、導体接続部2を圧縮することによって、導体接続部2は第1電力ケーブル10aの第1ケーブル導体11aおよび第2電力ケーブル10bの第2ケーブル導体11bを電気的に接続する。
【0049】
高い導電性および圧縮性の観点から、導体接続部2は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金から構成されることが好ましい。導体接続部2の外周面や、露出している第1ケーブル導体11aおよび第2電力ケーブル10bの外周面には、半導電テープ層などが設けられてもよい。
【0050】
ケーブル中間接続構造1aを構成するゴムユニット3は、導体接続部2の外周を覆う。ゴムユニット3は、円筒状であり、ケーブル中間接続構造1aの主絶縁部である。ここでは、ゴムユニット3は、第1電力ケーブル10aの第1外部半導電層13aから第2電力ケーブル10bの第2外部半導電層13bまでの外周部分を連続して覆う。ゴムユニット3は、拡径した状態で、導体接続部2を含む第1電力ケーブル10aおよび第2電力ケーブル10bの外周を被覆して装着される。そのため、ゴムユニット3の内周面は、ゴムユニット3の復元力によって、導体接続部2を含む外周に密着する。
【0051】
ゴムユニット3は、主絶縁部31、ケーブル中間接続構造1aの軸方向における主絶縁部31の中央部の内周部分に設けられる円筒状の内周半導電部32、主絶縁部31の両端部に設けられる端部半導電部33、および主絶縁部31の軸方向中央部の外周部分に設けられる円筒状の外周半導電部34を有する。
【0052】
ゴムユニット3の主絶縁部31は、第1電力ケーブル10aの第1ケーブル絶縁体12aから第2電力ケーブル10bの第2ケーブル絶縁体12bまでの外周部分を覆う。主絶縁部31は、電気絶縁性の高いゴム、好ましくは絶縁性シリコーンゴムや絶縁性エチレンプロピレンゴムから構成される。
【0053】
内周半導電部32は、導体接続部2の外周を覆う。各端部半導電部33は、第1外部半導電層13aおよび第2外部半導電層13bにそれぞれ接続される。各端部半導電部33と外周半導電部34との間には、主絶縁部31の一部が介在されている。端部半導電部33および外周半導電部34は電気的に絶縁されている。内周半導電部32、端部半導電部33、および外周半導電部34は、半導電性を有するゴム、好ましくは半導電性シリコーンゴムや半導電性エチレンプロピレンゴムから構成される。
【0054】
また、ゴムユニット3の両端部には、台座スペーサ36がそれぞれ設けられる。台座スペーサ36は、第1外部半導電層13aまたは第2外部半導電層13bの外周面と主絶縁部31の外周面との間に傾斜面を形成する。台座スペーサ36の周囲の隙間には、半導電テープ層35が設けられる。
【0055】
ケーブル中間接続構造1aを構成する遮蔽層4は、ゴムユニット3の外周を覆う。ゴムユニット3を被覆する遮蔽層4は、第1電力ケーブル10aの第1ケーブル遮蔽層15aまたは第2電力ケーブル10bの第2ケーブル遮蔽層15bとゴムユニット3の外周半導電部34とを接続する。
【0056】
ケーブル中間接続構造1aを構成する保護層5は、遮蔽層4の外周を覆う。遮蔽層4を被覆する保護層5は、遮蔽層4を保護する。保護層5は、ブチルゴムなどの電気絶縁性の高いゴムから構成される。
【0057】
ケーブル中間接続構造1aを構成する樹脂製のコンパウンド部6は、保護層5の外周を覆う。コンパウンド部6は、熱放散性および電気絶縁性の高い熱硬化性樹脂から構成されることが好ましく、絶縁性シリコーンゴム、ウレタン樹脂、または絶縁性エチレンプロピレンゴムから構成されることがより好ましい。
【0058】
コンパウンド部6の外周には、保護管7が装着される。保護管7は、円筒状であり、コンパウンド部6の外周を覆う。ここでは、保護管7は、第1電力ケーブル10aの第1ケーブル遮蔽層15aから第2電力ケーブル10bの第2ケーブル遮蔽層15bまでの外周部分を連続して覆う。
【0059】
次に、実施形態の電力ケーブルの接続方法について説明する。
【0060】
実施形態の電力ケーブルの接続方法は、第1電力ケーブルの第1ケーブル導体と第2電力ケーブルの第2ケーブル導体とを導体接続部によって接続する工程(工程1)と、上記の電力ケーブル用中間接続ユニットを用いて、導体接続部の外周にゴムユニットおよび遮蔽層を設置する工程(工程2)とを有する。
【0061】
工程1では、第1電力ケーブル10aの端部から露出している第1ケーブル導体11aと第2電力ケーブル10bの端部から露出している第2ケーブル導体11bとを導体接続部2に挿入した状態で、導体接続部2を圧縮することによって、第1電力ケーブル10aの第1ケーブル導体11aおよび第2電力ケーブル10bの第2ケーブル導体11bを接続する。
【0062】
第1電力ケーブル10aの端部では、段剥処理により、第1ケーブル導体11a、第1ケーブル絶縁体12a、第1外部半導電層13a、第1半導電テープ層14a、第1ケーブル遮蔽層15aが第1ケーブルシース16aから露出している。同様に、第2電力ケーブル10bの端部では、段剥処理により、第2ケーブル導体11b、第2ケーブル絶縁体12b、第2外部半導電層13b、第2半導電テープ層14b、第2ケーブル遮蔽層15bが第2ケーブルシース16bから露出している。
【0063】
第1電力ケーブル10aおよび第2電力ケーブル10bを接続する前に、電力ケーブル用中間接続ユニット1を第1電力ケーブル10aまたは第2電力ケーブル10bに通して、電力ケーブルの端部以外の部分で待機させる。
【0064】
工程1の後に実施する工程2では、電力ケーブル用中間接続ユニット1を用いて、導体接続部2の外周にゴムユニット3および遮蔽層4を設置して、ゴムユニット3で導体接続部2の外周を覆う。導体接続部2で第1電力ケーブル10aおよび第2電力ケーブル10bを接続した後、電力ケーブル用中間接続ユニット1を導体接続部2の外周まで移動する。続いて、電力ケーブル用中間接続ユニット1から拡径保持材10を取り去る。こうして、拡径されていたゴムユニット3の復元力によって、ゴムユニット3が縮径するため、ゴムユニット3は導体接続部2を含む第1電力ケーブル10aおよび第2電力ケーブル10bの外周、例えば第1ケーブル絶縁体12a、第1外部半導電層13aおよび第2ケーブル絶縁体12b、第2外部半導電層13bの外周に密着する。
【0065】
さらに、ゴムユニット3の縮径に伴い、離間配置されていた複数の遮蔽線材40が互いに密着する。そのため、電力ケーブル用中間接続ユニット1から拡径保持材10を取り去ることによって、ゴムユニット3が導体接続部2を含む第1電力ケーブル10aおよび第2電力ケーブル10bの外周に装着されると共に、互いに密着した遮蔽線材40から構成される遮蔽層4がゴムユニット3の外周に装着される。こうして、電力ケーブル用中間接続ユニット1を用いることによって、第1電力ケーブル10aおよび第2電力ケーブル10bが接続されると共に、ゴムユニット3および遮蔽層4を備える電力ケーブルのケーブル中間接続構造を短時間で容易に組み立てることができる。
【0066】
遮蔽線材40は、その全てが確実に電気的に接続するように、ロールスプリング60にて互いに密着させてもよい。
【0067】
また、ゴムユニット3上の遮蔽線材40の端部から、第1電力ケーブル10aの第1ケーブル遮蔽層15aおよび第2電力ケーブル10bの第2ケーブル遮蔽層15bまでを電気的に接続させるため、必要に応じ、遮蔽線材40を互いに密着させるよう巻いて遮蔽層4を構成する。
【0068】
遮蔽線材40の一端41に設けられる端子50を保護管7と接続する。
【0069】
工程2の後、必要に応じて、保護層5、コンパウンド部6、保護管7が適宜装着される。
【0070】
上記したように、実施形態の電力ケーブル用中間接続ユニットおよび電力ケーブルの接続方法によれば、遮蔽層の構成に着目し、拡径状態のゴムユニットの外周に複数の遮蔽線材を離間配置することによって、遮蔽層を短時間で容易に形成可能である。
【0071】
以上、実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本開示の範囲内で種々に改変することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 電力ケーブル用中間接続ユニット
1a ケーブル中間接続構造
2 導体接続部
3 ゴムユニット
4 遮蔽層
5 保護層
6 コンパウンド部
7 保護管
10 拡径保持材
10a 第1電力ケーブル
10b 第2電力ケーブル
11a 第1ケーブル導体
11b 第2ケーブル導体
12a 第1ケーブル絶縁体
12b 第2ケーブル絶縁体
13a 第1外部半導電層
13b 第2外部半導電層
14a 第1半導電テープ層
14b 第2半導電テープ層
15a 第1ケーブル遮蔽層
15b 第2ケーブル遮蔽層
16a 第1ケーブルシース
16b 第2ケーブルシース
31 主絶縁部
32 内周半導電部
33 端部半導電部
34 外周半導電部
35 半導電テープ層
36 台座スペーサ
40 遮蔽線材
40a 遮蔽線材の側面
41 遮蔽線材の一端
50 端子
60 ロールスプリング
70 押さえ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7