(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016345
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】ガスタービン
(51)【国際特許分類】
F02C 3/22 20060101AFI20230126BHJP
F02C 3/24 20060101ALI20230126BHJP
F02C 9/40 20060101ALI20230126BHJP
F02C 7/22 20060101ALI20230126BHJP
F02C 9/00 20060101ALI20230126BHJP
F23R 3/28 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
F02C3/22
F02C3/24 Z
F02C9/40 A
F02C7/22 A
F02C9/00 A
F23R3/28 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021120601
(22)【出願日】2021-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大友 光彰
(72)【発明者】
【氏名】春日 俊相
(72)【発明者】
【氏名】壹岐 典彦
(72)【発明者】
【氏名】范 勇
(57)【要約】
【課題】アンモニアを燃料として用いるガスタービンにおいて、燃焼排ガス以外の熱源を用いてアンモニアを加熱、気化させる。
【解決手段】燃焼室24を画定する燃焼室ライナ26を囲む燃焼器ケーシング28内にケーシング内流路54を形成する。燃料であるアンモニアをケーシング内流路54に送り、ケーシング内流路54内で燃焼器ケーシング28の熱によりアンモニアを気化させる。ケーシング内流路54を通過したアンモニアを第1燃料ノズル40から燃焼室24内に供給する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室を画定する燃焼室ライナと、
前記燃焼室ライナを囲む燃焼器ケーシングと、
前記燃焼室の一端に配置され、前記燃焼室に燃料としてアンモニアを供給する第1燃料ノズルと、
前記燃焼器ケーシングの、前記第1燃料ノズルが配置された側の端壁内に設けられ、前記第1燃料ノズルに送られるアンモニアが通るケーシング内流路と、
前記ケーシング内流路に、液体のアンモニアを送給するアンモニア送給装置と、
を含む、ガスタービン。
【請求項2】
請求項1に記載のガスタービンであって、さらに、
前記燃焼室内に燃料として液体のアンモニアを供給する第2燃料ノズル、
を含み、
前記アンモニア送給装置は、前記第2燃料ノズルには、前記ケーシング内流路を介さずにアンモニアを送給する、
ガスタービン。
【請求項3】
請求項1に記載のガスタービンであって、さらに、
前記燃焼室内に燃料として気体のアンモニアを供給する第3燃料ノズル、
を含み、
前記アンモニア送給装置は、アンモニアを貯蔵するアンモニアボンベを含み、前記アンモニアボンベ内の気体のアンモニアを前記第3燃料ノズルに送給する、
ガスタービン。
【請求項4】
請求項2または3に記載のガスタービンであって、さらに、前記燃焼器ケーシングの温度を検出するケーシング温度センサを含み、アンモニア送給装置は、前記燃焼器ケーシングの前記温度が所定値以上のとき液体のアンモニアを前記ケーシング内流路に送る、ガスタービン。
【請求項5】
請求項1に記載のガスタービンであって、さらに、
前記燃焼室内に、気体燃料またはアンモニアよりも蒸発潜熱の小さい液体燃料である異種燃料を前記燃焼室に供給する異種燃料ノズルと、
前記異種燃料ノズルに前記異種燃料を送給する異種燃料送給装置と、
を含むガスタービン。
【請求項6】
請求項5に記載のガスタービンであって、さらに、前記燃焼器ケーシングの温度を検出するケーシング温度センサを含み、アンモニア送給装置は、前記燃焼器ケーシングの前記温度が所定値以上のとき液体のアンモニアを前記ケーシング内流路に送る、ガスタービン。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のガスタービンであって、前記燃焼室ケーシングは円筒形状であり、前記ケーシング内流路は、前記燃焼器ケーシングの半径より長い、ガスタービン。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載ガスタービンであって、前記ケーシング内流路の一部が周壁内に設けられている、ガスタービン。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載のガスタービンであって、前記ケーシング内流路が複数設けられている、ガスタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービン、特に燃料としてアンモニアを用いるガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
アンモニアを燃料として用いるガスタービンにおいては、多くの場合、ボンベに蓄えられた液体アンモニアを気化させた後、圧縮して燃焼器に供給しており、気化器および圧縮機を設ける必要がある。液体のアンモニアを燃焼器に直接供給して噴射し、燃焼させる技術も知られている。この場合、アンモニアの大きい蒸発潜熱のために、十分に気化させることができず燃焼効率が低下する可能性がある。また、燃焼場の温度が低下し、ガスタービンの熱効率が低下する可能性がある。
【0003】
下記特許文献1には、ガスタービンの燃焼排ガスを熱交換器に導き、熱交換器において燃焼排ガスの熱でアンモニアを気化させ、圧縮機に供給する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ガスタービンにおいて、燃焼排ガスの熱を利用して吸気ガスや水を加熱して、総合的なシステム効率を向上させている場合がある。この場合、アンモニアの気化に燃焼排ガスの熱を利用するとシステム効率の低下を招く可能性がある。また、燃焼排ガスでアンモニアを加熱、気化させるための熱交換器を新たに設ける必要がある。
【0006】
本発明は、ガスタービンにおいて、燃焼排ガスを用いずに燃料として用いるアンモニアを加熱、気化させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るガスタービンは、燃焼室を画定する燃焼室ライナと、燃焼室ライナを囲む燃焼器ケーシングと、燃焼室の一端に配置され、燃焼室に燃料としてアンモニアを供給する第1燃料ノズルと、燃焼器ケーシングの、第1燃料ノズルが配置された側の端壁内に設けられ、第1燃料ノズルに送られるアンモニアが通るケーシング内流路と、ケーシング内流路に、液体のアンモニアを送給するアンモニア送給装置とを含む。
【0008】
燃料の燃焼により高温となったケーシング内の流路を流れる過程でアンモニアが気化し、燃焼室内に気体のアンモニアを供給することができる。
【0009】
ガスタービンは、さらに、燃焼室内に燃料として液体のアンモニアを供給する第2燃料ノズルを含んでよく、アンモニア送給装置が、第2燃料ノズルには、ケーシング内流路を介さずにアンモニアを送給するようにしてよい。ケーシング内流路を通過するアンモニアの量を限定することで、当該流路を通過するアンモニアを確実に気化させることができる。
【0010】
また、本発明に係るガスタービンは、燃焼室内に燃料として気体のアンモニアを供給する第3燃料ノズルを含んでよく、アンモニア送給装置は、アンモニアを貯蔵するアンモニアボンベを含み、アンモニアボンベ内の気体のアンモニアを第3燃料ノズルに送給するようにしてよい。
【0011】
ガスタービンは、また、燃焼器ケーシングの温度を検出するケーシング温度センサを含むようにしてよく、アンモニア送給装置は、検出された温度が所定値以上のとき液体のアンモニアをケーシング内流路に送るようにしてよい。燃焼器ケーシングの温度がアンモニアを気化させることができる程度に高温になってから、ケーシング内流路にアンモニアを送るようにすることができる。
【0012】
ガスタービンは、また、燃焼室内に、気体燃料またはアンモニアよりも蒸発潜熱の小さい液体燃料である異種燃料を燃焼室に供給する異種燃料ノズルと、異種燃料ノズルに異種燃料を送給する異種燃料送給装置とを含むものとしてよい。暖機中など燃焼器ケーシングの温度が低いとき、着火性の良い異種燃料を用いることができる。
【0013】
燃焼室ケーシングは円筒形状であってよく、ケーシング内流路は、燃焼器ケーシングの半径より長くしてよい。また、ケーシング内流路の一部を周壁内に設けるようにしてよい。また、ケーシング内流路を複数設けるようにしてよい。
【発明の効果】
【0014】
燃焼排ガスの熱に替えて、燃焼器ケーシングの熱を用いてアンモニアを気化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】ガスタービンの全体構成を模式的に示す図である。
【
図2】燃焼器と燃料供給装置の構成の一例を模式的に示す図である。
【
図3】ケーシング内流路の一例として、半径方向に延びるケーシング内流路を示す図である。
【
図4】ケーシング内流路の一例として、渦巻き状のケーシング内流路を示す図である。
【
図5】燃焼器と燃料供給装置の構成の他の例を模式的に示す図であり、ケーシング内流路が燃焼ケーシングの周壁内にも形成された燃焼器を示す図である。
【
図6】燃焼器と燃料供給装置の構成のさらに他の例を模式的に示す図であり、ケーシング内流路を介さずに燃焼室にアンモニアを供給する流路を設けた燃料供給装置を示す図である。
【
図7】燃焼器と燃料供給装置の構成のさらに他の例を模式的に示す図であり、アンモニアに加えてアンモニアとは異なる燃料を供給する燃料供給装置を示す図である。
【
図8】燃焼器と燃料供給装置の構成のさらに他の例を模式的に示す図であり、アンモニアボンベ内の液体のアンモニアと気体のアンモニアを別個に供給する燃料供給装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
図1は、ガスタービン10の概略構成を示す模式図である。ガスタービン10は、空気を圧縮するコンプレッサ12と、コンプレッサ12で圧縮された空気と燃料を混合して、燃焼させ、燃焼ガスを生成する燃焼器14と、燃焼ガスにより駆動されるタービン16を含む。コンプレッサ12とタービン16のそれぞれのロータは、出力軸18で結合されており、一体となって回転する。燃焼器14には、燃料供給装置20により燃料が供給される。燃料は、アンモニアが用いられる。また、後述するようにアンモニアに加えて、アンモニアよりも蒸発潜熱が小さい液体燃料または気体燃料を用いるようにしてよい。ガスタービン10は、制御装置22を備え、制御装置22は、要求出力や出力軸18の回転速度に基づき、燃料供給装置20を制御して燃料の供給の制御を行う。
【0017】
図2は、燃焼器14および燃料供給装置20の構成の一例を概略的に示す図である。燃焼器14は、燃焼室24を規定する燃焼室ライナ26と、燃焼室ライナ26を囲むように設けられた燃焼器ケーシング28を有する。燃焼室ライナ26および燃焼器ケーシング28は一端に端面を有する略円筒形状であり、両者は、径方向に間隔が空けられて同軸に配置されている。燃焼器ケーシング28は、周壁30と端壁32を有する。端壁32と燃焼室ライナ26の間には、軸方向において間隔が開けられている。端壁32と反対側の端において、燃焼器ケーシング28と燃焼室ライナ26の径方向の間隙は閉じている。燃焼器ケーシング28の周壁30の、端壁32とは反対側の端部には、コンプレッサ12から送られた圧縮空気を受け入れる受入口34が設けられている。
【0018】
コンプレッサ12で圧縮された空気は、燃焼室ライナ26と燃焼器ケーシング28の間を流れ、燃焼室ライナ26の端面の中央部に配置された空気ノズル36から燃焼室24内に送給される。空気ノズル36の出口近傍には、送給された圧縮空気に旋回を与え、燃焼室24に旋回流を形成するスワラ38が配置されている。
【0019】
燃焼器14は、燃焼室24内に燃料としてアンモニアを供給する第1燃料ノズル40を有する。第1燃料ノズル40は、燃焼器ケーシング28の端壁32に配置されてよい。第1燃料ノズル40には、アンモニアが燃料供給装置20から供給される。第1燃料ノズル40は、その周囲を空気ノズル36に囲まれ、第1燃料ノズル40から供給されるアンモニアと、空気ノズル36から供給される圧縮された空気が燃焼室24内で混合し、混合気が形成される。燃焼室ライナ26には、点火プラグ42が固定され、点火プラグ42が混合気に着火し、混合気が燃焼する。燃焼ガスは、燃焼室24の開放した端からタービン16に向けて送出される。
【0020】
燃料供給装置20は、アンモニアを貯蔵するアンモニアボンベ44と、アンモニアボンベ44からアンモニアを燃焼器14に送る送給配管46を含む。送給配管46には、アンモニアを送るポンプ48、送給されるアンモニアの流量を計測する流量計50、流量を調整する流量調整弁52が配置されている。送給配管46は、燃焼器ケーシング28に形成されたケーシング内流路54に接続され、燃料供給装置20は、ケーシング内流路54を介して第1燃料ノズル40に燃料を送給する。また、燃料供給装置20は、アンモニアをケーシング内流路54に送給するアンモニア送給装置として機能する。
【0021】
ケーシング内流路54は、燃焼器ケーシング28の壁内に形成された流路である。ケーシング内流路54は、第1燃料ノズル40が配置された側の、燃焼器ケーシング28の端壁32内に形成されている。また、ケーシング内流路54は、
図3に示すように端壁32の径方向に延びて設けられてよい。ケーシング内流路54は、4本が、周方向に均等に配置されてよい。
【0022】
ポンプ48は、液体の、または液相を含んだアンモニアをケーシング内流路54に送出する。液体のアンモニアを送出する場合には、気体のアンモニアの場合に比べて効率的に加圧することができる。液体のアンモニアは、ケーシング内流路54を通過する際、高温の燃焼器ケーシング28により加熱されて全量が、または一部が気化し、気体のアンモニアが第1燃料ノズル40に供給される。第1燃料ノズル40から気体のアンモニアが燃焼室24に供給されることで、アンモニアの蒸発潜熱による燃焼室24内の温度低下を抑制することができる。
【0023】
ケーシング内流路54は、例えば板材の一面に機械加工によって溝を形成し、溝が形成された面を覆うように他の板材を重ねることにより形成してよい。また、断面形状に基づく薄い層を形成しつつ、この薄い層を積層して立体物を形成する積層造形により形成されてもよい。また、ケーシング内流路54内に多孔質金属が配置されるようにしてよい。これにより、アンモニアが多孔質金属からも熱を受け、均質に加熱されて、局所的な気化による流量変動を抑制することができる。
【0024】
ケーシング内流路は、端壁32の半径よりも長く、例えば蛇行させて、流れるアンモニアが、より燃焼器ケーシング28からの熱を受けるようにしてよい。また、端壁32に温度むらが生じないよう、偏りがないように配置されてよい。ケーシング内流路の本数は、4本に限定されず、1本であってもよい。
図4に示すように、渦巻き状のケーシング内流路56を採用してもよい。
【0025】
図5は、他の実施形態の燃焼器60の構成を概略的に示す図である。燃焼器60は、
図1および
図2に示す燃焼器14を代替するものである。
図5において、
図2に示す燃焼器14および燃料供給装置20の構成と同様の構成は、同一の符号を付し説明を省略する。燃焼器60の燃焼器ケーシング62は、端壁32に加え、周壁30内にも延びるケーシング内流路64を有する。周壁30内にもケーシング内流路64が設けられることにより、燃焼器ケーシング62の半径よりも長い流路が燃焼器ケーシング62内に形成される。アンモニアを、長いケーシング内流路64を通過させることで、アンモニアの気化が促進される。
【0026】
図6は、他の実施形態の燃焼器70と燃料供給装置72の構成を概略的に示す図である。燃焼器70と燃料供給装置72は、
図1および
図2に示す燃焼器14と燃料供給装置20を代替するものである。前述の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0027】
燃焼器70は、前述した第1燃料ノズル40に加え、第2燃料ノズル74を備える。また、燃料供給装置72は、前述した送給配管46(
図2参照)に対応する、第1燃料ノズル40にアンモニアを供給するための第1送給配管76を有する。さらに、燃料供給装置72は、第2燃料ノズル74にアンモニアを供給するための第2送給配管78を有する。第1送給配管76には、送給配管46と同様、ポンプ48、流量計50、流量調整弁52が備えられ、さらに、第2送給配管78との分岐点より下流に補助流量調整弁80を備える。第2送給配管78は、流量調整弁52より下流で分岐し、燃焼器ケーシング62内の流路を介さずに第2燃料ノズル74に接続している。さらに、燃焼器ケーシング62には、燃焼器ケーシング62の温度を検出するケーシング温度センサ82が設けられ、ケーシング温度センサ82の出力に基づき制御装置22が燃料供給量などの制御を行う。燃料供給装置72は、燃焼室24に気化させて送るアンモニアと、液体で供給するアンモニアの双方を送給するアンモニア送給装置として機能する。
【0028】
第1送給配管76により送られたアンモニアは、ケーシング内流路54を通過する際、加熱されて気化し、第1燃料ノズル40から燃焼室24内に供給される。一方、第2送給配管78により送られたアンモニアは、液体の状態で第2燃料ノズル74から燃焼室24内に供給される。第1燃料ノズル40から供給されるアンモニアが気液混合状態であると、流量の調節が難しい場合があるので、アンモニアがケーシング内流路54で全て気化するように補助流量調整弁80によって第1送給配管76で送られるアンモニアの流量を調整する。例えば、暖機時において、ケーシング温度センサ82で検出された温度が所定の温度まで上昇してから、送給配管76によるアンモニアの供給を開始するよう、制御装置22は補助流量調整弁80を制御する。また、ケーシング温度が高くなると徐々に、または段階的に流量が増加するように補助流量調整弁80の調整を行ってよい。この場合、例えば、ケーシング温度と、ケーシング内流路54を通過する全量を気化可能な流量とを対応付けた対応表を制御装置22にあらかじめ記憶しておき、この対応表に従って流量が、すなわち補助流量調整弁80の開度が調整されてよい。また、ケーシング温度と全量気化可能な流量の関係を示す式を制御装置22に記憶しておき、この関係式に基づき補助流量調整弁80の開度が調整されてもよい。
【0029】
図7は、さらに他の実施形態の燃焼器90と燃料供給装置92の構成を概略的に示す図である。燃焼器90と燃料供給装置92は、
図1および
図2に示す燃焼器14と燃料供給装置20を代替するものである。前述の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0030】
燃焼器90は、
図6に示す燃焼器70の第2燃料ノズル74に代えて、アンモニア以外の燃料(以下、異種燃料と記す。)を燃焼室24に供給する異種燃料ノズル94を備えた燃焼器である。
【0031】
燃料供給装置92は、アンモニアを送給するアンモニア送給装置96と、異種燃料を送給する異種燃料送給装置98を含む。異種燃料は、アンモニアより蒸発潜熱の小さい液体燃料(例えば、灯油)、またはアンモニア以外の気体燃料(例えば、メタン)であってよい。アンモニア送給装置96は、アンモニアを貯蔵するアンモニアボンベ44と、アンモニアボンベ44からアンモニアを燃焼器14に送るアンモニア送給配管100を含む。アンモニア送給配管100には、ポンプ48、流量計50および流量調整弁52が配置されている。アンモニア送給配管100は、燃焼器ケーシング28に形成されたケーシング内流路54に接続され、アンモニア送給装置96は、ケーシング内流路54を介して第1燃料ノズル40にアンモニアを送給する。異種燃料送給装置98は、異種燃料を貯蔵する異種燃料ボンベ102と、異種燃料ボンベ102から異種燃料をケーシング内流路を介さずに異種燃料ノズル94に送る異種燃料送給配管104を含む。異種燃料送給配管104には、流量計106および流量調整弁108が配置されている。異種燃料が気体であれば、異種燃料は異種燃料ボンベ102内の圧力で送給される。異種燃料が液体の場合は、異種燃料送給配管104にポンプを配置する。
【0032】
この燃焼器90においては、ガスタービン10の暖機中は、異種燃料送給装置98により異種燃料を燃焼器90に供給し、ケーシング温度センサ82で検出された温度が所定の温度まで上昇してから、アンモニア送給装置96によるアンモニアの供給を開始するよう、制御装置22は流量調整弁52,108を制御する。燃焼器ケーシング28の温度がまだ低温のときには、気体燃料、または気化しやすい液体燃料を用いることで暖機運転の安定性を確保することができる。
【0033】
また、このアンモニア送給装置96を、
図6に示す燃料供給装置72、つまり気体のアンモニアと液体のアンモニアを別個に燃焼室24に供給する装置に置き換えてもよい。
【0034】
図8は、さらに他の実施形態の燃焼器110と燃料供給装置112の構成を概略的に示す図である。燃焼器110と燃料供給装置112は、
図1および
図2に示す燃焼器14と燃料供給装置20を代替するものである。前述の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0035】
燃焼器110は、
図7に示す燃焼器90の異種燃料ノズル94に代えて、気体のアンモニアを燃焼室に供給する第3燃料ノズル114を備えた燃焼器である。
【0036】
燃料供給装置112は、
図7に示す実施形態の気体の異種燃料に代えて、気体のアンモニア、特にアンモニアボンベ44内の気体のアンモニアを燃焼室24に供給可能な装置である。燃料供給装置112は、アンモニアボンベ44から液体のアンモニアをケーシング内流路54に送給する液体アンモニア送給配管116と、アンモニアボンベ44内の気体のアンモニアをケーシング内流路を介さずに第3燃料ノズル114に送給する気体アンモニア送給配管118とを含む。液体アンモニア送給配管116には、ポンプ48、流量計50および流量調整弁52が配置されている。液体アンモニア送給配管116は、燃焼器ケーシング28に形成されたケーシング内流路54に接続され、燃料供給装置112は、液体アンモニア送給配管116からケーシング内流路54を介して第1燃料ノズル40にアンモニアを送給する。気体アンモニア送給配管118には、流量計120および流量調整弁122が配置されている。気体アンモニア送給配管118は、ケーシング内流路を介さずに第3燃料ノズル114に接続され、第3燃料ノズル114から燃焼室24内に気体のアンモニアが供給される。気体のアンモニアは、アンモニアボンベ44内の圧力により、第3燃料ノズル114に送給される。燃料供給装置112は、アンモニアボンベ44内の液体のアンモニアと気体のアンモニアを別個に第1燃料ノズル40と第3燃料ノズル114に送給するアンモニア送給装置として機能する。
【0037】
この燃焼器110においては、ガスタービン10の暖機中は、気体のアンモニアが気体アンモニア送給配管118を通って第3燃料ノズル114から燃焼室24に供給され、ケーシング温度センサ82で検出された温度が所定の温度まで上昇してから、液体アンモニア送給配管116を通り、ケーシング内流路54内を介して第1燃料ノズル40から液体のアンモニアが燃焼室24に供給が開始されるよう、制御装置22は流量調整弁52,122を制御する。燃焼器ケーシング28の温度がまだ低温のときには、気体のアンモニアを用いることで暖機運転の安定性を確保することができる。
【符号の説明】
【0038】
10 ガスタービン、12 コンプレッサ、14,60,70,90,110 燃焼器、16 タービン、18 出力軸、20,72,92,112 燃料供給装置、22 制御装置、24 燃焼室、26 燃焼室ライナ、28,62 燃焼器ケーシング、30 周壁、32 端壁、36 空気ノズル、40 第1燃料ノズル、42 点火プラグ、44 アンモニアボンベ、46 送給配管、54,56,64 ケーシング内流路、74 第2燃料ノズル、76 第1送給配管、78 第2送給配管、80 補助流量調整弁、82 ケーシング温度センサ、94 異種燃料ノズル、96 アンモニア送給装置、98 異種燃料送給装置、100 アンモニア送給配管、102 異種燃料ボンベ、104 異種燃料送給配管、114 第3燃料ノズル、116 液体アンモニア送給配管、118 気体アンモニア送給配管。