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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163575
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】巻き取りユニット
(51)【国際特許分類】
   B65H 19/30 20060101AFI20231102BHJP
   B65H 18/06 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
B65H19/30
B65H18/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074552
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉村 寛
【テーマコード(参考)】
3F055
3F064
【Fターム(参考)】
3F055AA05
3F055CA20
3F055FA05
3F064AA03
3F064EB15
3F064FA04
(57)【要約】
【課題】巻き取り部から筒フィルムを確実に抜き取って廃棄することができる巻き取りユニットの提供。
【解決手段】巻き取り機構20,20’と、回転機構30,30’と、進退機構40,40’とを備え、一方の巻き取り機構20には、筒フィルム120を巻き取り部20から抜き取る抜き取り機構を備え、該抜き取り機構は、プレート(押し部)51と、移動機構(進退機構40)とを備え、他方の巻き取り機構20’の把持部がフィルム12を離し、進退機構40,40’で巻き取り機構20,20’を相対的に離間する方向に移動させて他方の巻き取り機構20’から筒フィルム120を抜き取った後、移動機構(進退機構40)によってプレート51が筒フィルム120の側端を押して該筒フィルム120を抜き取る。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のフィルムの幅方向に平行に延在する軸で該フィルムを巻き取る巻き取りユニットであって、
該フィルムの側端部分を把持する把持部を向かい合うように配置した2つの巻き取り機構と、該巻き取り機構をそれぞれ回転させる2つの回転機構と、2つの該巻き取り機構を相対的に該軸方向に接近及び離間させる進退機構と、を備え、
該巻き取り機構は、該把持部を収容し外周面で該フィルムを巻き取る筒状の巻き取り部と、該巻き取り部に形成され該把持部に該フィルムを把持させるために該フィルムを進入させる進入部と、を備え、
該一方の該巻き取り機構には、該巻き取り部が該フィルムを巻き取って筒状に形成された筒フィルムを該巻き取り部から抜き取る抜き取り機構を備え、
該抜き取り機構は、該筒フィルムの側端を該軸方向に押し該把持部から該筒フィルムを離脱させる押し部と、該フィルムを離した該把持部と該押し部とを相対的に該軸方向に移動させる移動機構と、を備え、
該抜き取り機構は、該他方の該巻き取り機構の該把持部が該フィルムを離し、該進退機構で該一方の巻き取り機構と該他方の巻き取り機構とを相対的に離間する方向に移動させて該他方の巻き取り機構から該筒フィルムを抜き取った後、該移動機構によって該押し部が該筒フィルムの側端を押して該筒フィルムを抜き取る、巻き取りユニット。
【請求項2】
該押し部は、該巻き取り部が通過可能な開口を有するプレートであって、
該進退機構が配置される基台には、該プレートを保持するプレート保持部を備え、
該巻き取り機構は、該プレートを該軸方向に移動可能とするガイド部を備え、
該巻き取り機構を該軸方向に移動させることによって、該プレート保持部に該プレートを保持させ、
該プレート保持部に保持された該プレートの該開口から該巻き取り部を抜き、該巻き取り部に巻き取られている該筒フィルムの側端を該プレートが押して、該巻き取り部から該筒フィルムを抜き取る、請求項1記載の巻き取りユニット。
【請求項3】
該押し部は、該巻き取り部が通過可能な開口を有するプレートであって、
該巻き取り部に配置され該プレートを該軸方向に移動させる移動機構を備え、
該移動機構によって該プレートを該軸方向に移動させ、該プレートの該開口から該巻き取り部を抜き、該巻き取り部に巻き取られている該筒フィルムの側端を該プレートが押して、該巻き取り部から該筒フィルムを抜き取る、請求項1記載の巻き取りユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ貼着装置において粘着テープが剥がされた帯状のフィルムを巻き取るための巻き取りユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハなどの板状の被加工物を加工する際には、テープ貼着装置を用いて被加工物とその周囲を囲むリングフレームとを粘着テープで一体化してワークセットとし、このワークセットを加工装置のチャックテーブル上にセットすることが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
テープ貼着装置において用いられる粘着テープは、リングフレームの開口部を塞ぐ大きさの円形の基材に粘着層を形成することによって構成されている。そして、この粘着テープは、粘着層が帯状のフィルム上に粘着されることによって該フィルムの延在方向に沿って等間隔で複数配設されており、このように複数の粘着テープが粘着されたフィルムは、ロール状に巻かれた状態でテープ粘着装置にセットされている。
【0004】
テープ貼着装置においては、粘着テープは、フィルムから剥がされてリングフレームと被加工物とに貼着されて両者をワークセットとして一体化するが、粘着テープが剥がされたフィルムは、テープ貼着装置に備えられた巻き取りユニットによって巻き取られる。そして、巻き取りユニットがフィルムを一定量だけ巻き取ると、被加工物とリングフレームに対する粘着テープの貼着が一時的に停止され、ロール状に巻かれたフィルム(以下、「筒フィルム」と称する)が作業者によって巻き取りユニットから取り外されて廃棄される。その後、粘着テープ及びフィルムがロール状に巻かれたテープロールが作業者によってテープ貼着装置に装着され、被加工物とリングフレームへの粘着テープの貼着作業が再開される。
【0005】
上述のように巻き取りユニットによってロール状に巻かれた筒フィルムを廃棄する際には、テープ貼着装置を一時的に停止させた上で、作業者が筒フィルムを巻き取りユニットから取り外す作業が必要であるため、粘着テープの貼着作業の効率が悪化する他、多大な手間と時間を要するという問題があった。
【0006】
そこで、特許文献2には、ロール状に巻かれた筒フィルムを作業者の手作業を要することなく抜き取って廃棄することができる巻き取りユニットが提案されている。
【0007】
上記巻き取りユニットは、帯状のフィルムを把持する把持部を備えて向かい合うように配設された一対の巻き取り部と、これらの巻き取り部を回転させる回転機構と、一方の巻き取り部を他方の巻き取り部に対して接近または離間させる進退手段と、を備えて構成されている。この巻き取りユニットによれば、フィルムを巻き取るときには、把持部でフィルムを把持し、回転機構によって巻き取り部を回転させて巻き取り部にフィルムを巻き取り、巻き取られたロール状の筒フィルムを廃棄するときには、各把持部がフィルムを離し、巻き取り部を、その間の距離がフィルムの幅よりも大きくなるように進退手段で離間させることによって、ロール状に巻かれた筒フィルムを抜き取って廃棄することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015-220365号公報
【特許文献2】特開2019-104563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2において提案された巻き取りユニットにおいては、筒フィルムを廃棄する際には、一対の巻き取り部を進退手段によって互いに離間させるようにしているため、一対の巻き取り部が筒フィルムから必ずしも同時に抜けるとは限らず、場合によっては、一方の巻き取り部が他方の巻き取り部よりも先に筒フィルムから抜けることが起こり得る。このような場合には、筒フィルムが他方の巻き取り部に支持されたまま該巻き取り部と共に移動するため、この筒フィルムを一対の巻き取り部から確実に抜き取って廃棄することができないという問題が発生する。
したがって、巻き取りユニットの巻き取り部から筒フィルムを確実に抜き取ってこれを廃棄したいという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明は、帯状のフィルムの幅方向に平行に延在する軸で該フィルムを巻き取る巻き取りユニットであって、該フィルムの側端部分を把持する把持部を向かい合うように配置した2つの巻き取り機構と、該巻き取り機構をそれぞれ回転させる2つの回転機構と、2つの該巻き取り機構を相対的に該軸方向に接近及び離間させる進退機構と、を備え、該巻き取り機構は、該把持部を収容し外周面で該フィルムを巻き取る筒状の巻き取り部と、該巻き取り部に形成され該把持部に該フィルムを把持させるために該フィルムを進入させる進入部と、を備え、該一方の該巻き取り機構には、該巻き取り部が該フィルムを巻き取って筒状に形成された筒フィルムを該巻き取り部から抜き取る抜き取り機構を備え、該抜き取り機構は、該筒フィルムの側端を該軸方向に押し該把持部から該筒フィルムを離脱させる押し部と、該フィルムを離した該把持部と該押し部とを相対的に該軸方向に移動させる移動機構と、を備え、該抜き取り機構は、該他方の該巻き取り機構の該把持部が該フィルムを離し、該進退機構で該一方の巻き取り機構と該他方の巻き取り機構とを相対的に離間する方向に移動させて該他方の巻き取り機構から該筒フィルムを抜き取った後、該移動機構によって該押し部が該筒フィルムの側端を押して該筒フィルムを抜き取る、巻き取りユニットである。
該押し部は、該巻き取り部が通過可能な開口を有するプレートであって、該進退機構が配置される基台には、該プレートを保持するプレート保持部を備え、該巻き取り機構は、該プレートを該軸方向に移動可能とするガイド部を備え、該巻き取り機構を該軸方向に移動させることによって、該プレート保持部に該プレートを保持させ、該プレート保持部に保持された該プレートの該開口から該巻き取り部を抜き、該巻き取り部に巻き取られている該筒フィルムの側端を該プレートが押して、該巻き取り部から該筒フィルムを抜き取るように、巻き取りユニットを構成してもよい。
また、該押し部は、該巻き取り部が通過可能な開口を有するプレートであって、該巻き取り部に配置され該プレートを該軸方向に移動させる移動機構を備え、該移動機構によって該プレートを該軸方向に移動させ、該プレートの該開口から該巻き取り部を抜き、該巻き取り部に巻き取られている該筒フィルムの側端を該プレートが押して、該巻き取り部から該筒フィルムを抜き取るように、巻き取りユニットを構成してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、筒フィルムを一対の巻き取り機構から抜き取って廃棄する際には、他方の巻き取り機構の把持部がフィルムを離した後、進退機構によって両巻き取り機構を互いに離間する方向に移動させ、他方の巻き取り機構から筒フィルムを抜き取り、その後、抜き取り機構に設けられた移動機構によって一方の巻き取り機構とこれに保持された筒フィルムを両巻き取り機構が離間する方向に移動させるようにしたため、一方の巻き取り機構に保持された筒フィルムの側端が押し部によって抜け方向に押される。このため、他方の巻き取り機構に保持された筒フィルムが一方の巻き取り機構からも強制的に確実に抜き取られ、両巻き取り機構から抜き取られた筒フィルムが自重によって落下して廃棄される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る巻き取りユニットを備えるテープ貼着装置の基本構成を示す破断側面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る巻き取りユニットのフィルム巻き取り時の状態を示す斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る巻き取りユニットの筒フィルム抜き取り時の状態を示す斜視図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る巻き取りユニットのフィルム巻き取り時の状態を示す斜視図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る巻き取りユニットの筒フィルム抜き取り時の状態を示す斜視図である。
図6】本発明の第3実施形態に係る巻き取りユニットのフィルム巻き取り時の状態を示す斜視図である。
図7】本発明の第3実施形態に係る巻き取りユニットの筒フィルム抜き取り時の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[テープ貼着装置]
図1に示すテープ貼着装置100は、被加工物であるウェーハ201とその周囲に配置されたリングフレーム202とを粘着テープ11によって一体化してワークユニット200を連続して次々に形成するためのものであって、例えば、箱状の筐体300を備えている。そして、この筐体300の内部には、ウェーハ201とリングフレーム202を支持するチャックテーブル400と、円筒状の巻筒13に巻回されたテープロール10を支持する支持ローラ410と、剥離板420と、押圧ローラ430と、本発明に係る巻き取りユニット1が配設されている。なお、巻き取りユニット1の詳細については後述する。
【0014】
チャックテーブル400の上面に載置された被加工物であるウェーハ201は、例えば、円板状の半導体ウェーハであり、SUSなどの金属によってリング状に成形されたリングフレーム202の中央に開口する円形の開口部内に配置されている。ここで、チャックテーブル400の上面中央部には、ウェーハ201を支持する第1支持面401が形成されており、この第1支持面401の周囲には、ウェーハ201を囲むリングフレーム202を支持する第2支持面402が形成されているが、ウェーハ201の厚さは、リングフレーム202に厚さよりも薄いため、両者の厚さの差分だけ第1支持面401の高さが第2支持面402の高さよりも僅かに高く設定されている。このため、チャックテーブル400上に載置されたウェーハ201の上面とリングフレーム202の上面とが面一(同一高さ位置)となる。なお、チャックテーブル400の下方には、不図示の移動機構が設けられており、該チャックテーブル400は、移動機構によって水平方向(X軸方向)に移動することができる。
【0015】
巻筒13に巻回された前記テープロール10は、ポリエステルなどの樹脂から成る帯状のフィルム12の外面に、円形の複数の粘着テープ11を該フィルム12の延在方向(長手方向)に所定の等間隔で貼着して構成されている。ここで、粘着テープ11は、樹脂製の基材層と、この基材層の片面に設けられた粘着層(何れも不図示)とで構成されており、粘着層がフィルム12の片面(外面)に貼着されることによって、前述のように複数の粘着テープ11がフィルム12の外面にフィルム12の延在方向に沿って等間隔で貼着されている。したがって、ウェーハ201及びリングフレーム202に貼着される前の粘着テープ11の粘着層がフィルム12によって保護されている。なお、リングフレーム202の開口部の内径は、ウェーハ201の外径よりも大きく設定されており、粘着テープ11の外径は、リングフレーム202の開口部の内径よりも大きく且つフィルム12の幅よりも小さく設定されている。
【0016】
テープロール20の巻筒13には、筐体300の天井に支持部材440を介して取り付けられた支持ローラ410が挿通しており、テープロール10は、図1の紙面垂直方向(Y軸方向)に配された支持ローラ410によって回転可能に支持されている。なお、支持ローラ410の軸方向(Y軸方向)一端側には、モータなどの不図示の回転駆動源が連結されており、支持ローラ410及びテープロール10は、支持ローラ410のY軸方向の軸心を中心として回転する。
【0017】
支持ローラ410の斜め下方のチャックテーブル400の近傍には、図1の紙面垂直方向(Y軸方向)に延在する剥離板420が配置されており、この剥離板420の近傍には押圧ローラ430が回転可能に配置されている。
【0018】
上記剥離板420は、粘着テープ11からフィルム12を剥がすためのものであって、その+X軸方向端部(図1の右端部)が下方に位置するようにXY平面(水平面)に対して傾斜して配置されている。また、この剥離板420の+X軸方向端部(図1の右端部)は、先端に向かって先細となるように成形されている。なお、剥離板420のY軸方向の幅は、粘着テープ11の外径よりも大きく設定されている。そして、この剥離板420の先端部近傍に押圧ローラ430が回転可能に配置されている。
【0019】
また、筐体300内のテープロール10の下方であって、剥離板420から-X軸方向(図1の左方)に所定距離だけ離れた位置には、本発明に係る巻き取りユニット1が配設されている。
【0020】
以上のように構成されたテープ貼着装置100においては、不図示のフィルム引き出し機構によってフィルム12の先端がテープロール10から斜め下方に向かって引き出される。そして、引き出されたフィルム12は、剥離板420の先端に掛けられて-X軸方向に向かって折り返されて巻き取りユニット1へと導かれる。そして、図1の矢印10a方向(時計方向)に回転するテープロール10からフィルム12とその外面に貼着された複数の粘着テープ11とが剥離板420と押圧ローラ430に向かって繰り出されると、フィルム12が剥離板420によって粘着テープ11から剥がされる。すなわち、フィルム12が剥離板420の先端部で折り返されて巻き取りユニット1に矢印1a方向に巻き取られることによって、該フィルム12が粘着テープ11から剥がされ、フィルム12が剥がされた粘着テープ11は、矢印430a方向(反時計方向)に回転する押圧ローラ430によってリングフレーム202とウェーハ201の上面に端部から順次貼着されてゆく。そして、チャックテーブル400を図1に鎖線にて示すように+X方向(図1の右方)へと水平移動させると、フィルム12が剥がされた貼着テープ11がリングフレーム202とウェーハ201の全面に亘って貼着されるため、ウェーハ201とリングフレーム202とが粘着テープ11によって結合一体化されてワークユニット200が形成される。
【0021】
なお、図示しないが、剥離板420から-X軸方向に少なくともリングフレーム202の外径以上離れた位置には、Y軸方向に延在する一対の弛み防止ローラが配設されており、粘着テープ11が剥がされたフィルム12は、一対の弛み防止ローラによって上下から挟持されることによって、弛むことなく巻き取りユニット1に巻き取られてゆく。
【0022】
以上のように、テープ貼着装置100によってウェーハ201とリングフレーム202とが一体化されたワークユニット200は、例えば、研削装置などの不図示の加工装置へと搬送され、被加工物であるウェーハ201が研削加工などの加工に供される。
【0023】
[巻き取りユニット]
次に、本発明に係る巻き取りユニット1の実施形態について説明する。
【0024】
<第1実施形態>
本実施形態に係る巻き取りユニット1は、図2に示すように、帯状のフィルム12の幅方向(Y軸方向)に配置された一対の巻き取り機構20,20’と、各巻き取り機構20,20’をそれぞれ回転させる一対の回転機構30,30’と、一対の巻き取り機構20,20’をY軸方向に沿って相対的に接近及び離間させる進退機構40,40’とを備えている。
【0025】
例えば、一方の巻き取り機構20には、フィルム12の一方の側端部分を把持する把持部21が設けられており、他方の巻き取り機構20’にも他方の側端部分を把持する不図示の把持部が設けられており、両巻き取り機構20,20’は、これらに設けられた把持部21(他方は不図示)が向かい合うように配置されている。なお、両巻き取り機構20,20’の構成は同じであるため、以下、一方の巻き取り機構20の構成についてのみ図示及び説明する。
【0026】
巻き取り機構20には、把持部21を収容し且つ外周面でフィルム12を巻き取る略円筒状の巻き取り部22が設けられている。そして、巻き取り部22は、把持部21と、回転軸23と、内部に把持部21を収容するケーシング24と、回転軸23の先端部に固定された支持台25とを備えている。なお、支持台25は、側面視L字状に屈曲する部材であって、不図示の固定ボルトによってケーシング24に固定されており、把持部21をケーシング24の内部で支持している。
【0027】
ケーシング24は、略円筒状に成形されており、その外周面にフィルム12の側端部が巻き付けられるが、その先端部分は、長手方向(Y軸方向)中間部から先端側(-Y軸側)に向かって外径が縮径するテーパ円筒状に成形されている。そして、ケーシング24の先端部には、フィルム12が把持部21によって把持される際に通される一対の進入部26が形成されている。ここで、進入部26は、ケーシング24の先端から長手方向中間位置まで切り欠かれたスリットとして形成されている。
【0028】
また、把持部21は、支持台25に固定されたクランプ板27と、支持台25に上下動可能に支持されたクランプ板28と、クランプ板28を上下動させる不図示のシリンダ機構とを備えており、両クランプ板27,28の間に進入したフィルム12の側端部を両クランプ板27,28によって把持する。
【0029】
一方の巻き取り部22を回転させる一方の回転機構30は、駆動源であるモータ31を備えており、このモータ31は、支持板32の端部内面に取り付けられている。このモータ31の出力軸(モータ軸)311は、支持板32に形成された不図示の円孔を貫通して支持板32の外面側に突出しており、その突出端には駆動プーリ33が取り付けられている。
【0030】
また、支持板32の内面側には、前記巻き取り部22が配置されており、この巻き取り部22の回転軸23は、支持板32に形成された不図示の円孔を貫通して支持板32の外面側に突出しており、その突出端には従動プーリ34が取り付けられている。そして、この従動プーリ34と前記駆動プーリ33との間には無端状の伝動ベルト35が巻き掛けられている。したがって、モータ31が駆動されると、該モータ31の出力軸311の回転は、駆動プーリ33から伝動ベルト35を経て従動プーリ34へと伝達され、従動プーリ34と回転軸23及び巻き取り部22が所定の速度で回転駆動される。
【0031】
なお、他方の巻き取り部22’を回転させる他方の回転機構30’は、その構成が一方の回転機構30の構成と同じである。すなわち、図2に示すように、回転機構30’は、支持板32’に取り付けられたモータ31’、駆動プーリ33’、従動プーリ34’及び伝動ベルト35’によって構成されている。
【0032】
次に、前記進退機構40,40’について説明する。
【0033】
一方(図2の右側(+Y軸側))の進退機構40は、同側の巻き取り部20を他方(図2の左側(-Y側))の巻き取り部20’に対して相対的にY軸方向に接近または離間させるものであって、Y軸方向に延在する板状の支持基台41の前面側に配設されている。具体的には、この進退機構40は、支持基台41の前面側にY軸方向に沿って水平に延びる回転可能なボールねじ軸42と、支持基台41の前面のボールねじ軸42を挟んでこれの上下にY軸方向に沿って互いに平行に配置された上下一対のガイドレール43と、駆動源であるモータ44と、ガイドレール43に沿ってY軸方向に摺動可能な摺動ブロック部321とを含んで構成されている。なお、摺動ブロック部321は、支持板32の基端部に一体に形成されており、この摺動ブロック部321には、ボールねじ軸42が螺合挿通している。
【0034】
上記ボールねじ軸42の軸方向一端(図2の左端)は、軸受46によって回転可能に支持されており、同ボールねじ軸42の他端(図2の右端)部には、モータ44が連結されている。
【0035】
なお、他方(図2の左側)の進退機構40’は、同側の巻き取り部22’を一方(図2の右側)の巻き取り部22に対して相対的にY軸方向に接近または離間させるものであって、その基本構成は、一方の進退機構40の構成と同じである。すなわち、進退機構40’は、ボールねじ軸42’、ガイドレール43’、モータ44’、摺動ブロック部321’、軸受46’などを含んで構成されている。
【0036】
ところで、本実施の形態に係る巻き取りユニット1においては、一方の巻き取り機構20には、一対の巻き取り部22,22’がフィルム12を巻き取って筒状に形成された筒フィルム120(図3に鎖線にて図示)を当該巻き取り機構20の巻き取り部22から強制的に抜き取るための抜き取り機構が設けられている。この抜き取り機構は、筒フィルム120の側端を-Y方向に押して巻き取り部22から筒フィルム120を離脱させる押し部である円板状のプレート51と、フィルム12を離した把持部21とプレート51とを相対的にY軸方向に移動させる移動機構とによって構成されているが、本実施形態では、移動機構は、一方の進退機構40によって構成されている。
【0037】
図2に示すように、プレート51の中心部には、一方の巻き取り部22が通過可能な円孔状の開口511が形成されており、プレート51のY軸方向の位置は固定されている。すなわち、プレート51は、支持基台41に取り付けられた上下一対のプレート保持部52,53に磁石54を介して保持されている。より詳細には、上下一対のプレート保持部52,53は、L字状に屈曲する部材であって、これらの各先端部に磁石54がそれぞれ取り付けられている。そして、プレート51は、上下一対の磁石54の磁力によってプレート保持部52,53に吸着保持されており、プレート保持部52,53に対して自由に回転することができる。
【0038】
なお、図2に示すように、他方の巻き取り機構20’の巻き取り部22’には、プレート51と同径のプレート51’が設けられているが、このプレート51’は、巻き取り部22’と共にY軸方向に移動可能である。
【0039】
次に、以上のように構成された巻き取りユニット1の作用について説明する。
【0040】
図2に示すように、フィルム12の先端部が巻き取りユニット1へと導かれると、一方の巻き取り部22が進退機構40によってフィルム12の側端部分に近づくように-Y方向に移動し、進入部26内にフィルム12の側端部分が進入してゆく。また、他方の巻き取り部22’が進退機構40’によってフィルム12の側端部分に近づくように+Y方向に移動し、不図示の進入部内にフィルム12の側端部分が進入してゆく。その後、例えば一方の巻き取り機構20において、不図示のシリンダ機構がクランプ板28を下降させ、フィルム12の両側端部がクランプ板27,28によって挟み込まれることによって、巻き取り部22の把持部21がフィルム12の一方の側端部分を挟持する。同様に、他方の巻き取り機構20’においても、巻き取り部22’の不図示の把持部がフィルム12の他方の側端部分を挟持する。
【0041】
次に、一方の進退機構40が巻き取り部22を+Y方向に移動させ、また、他方の進退機構40’が巻き取り部22’を-Y方向に移動させることによって、2つの巻き取り部22,22’を互いに遠ざかる方向に移動させる。これは、フィルム引き出し機構がフィルム12の先端側を巻き取りユニット1へと導いた際に、フィルム12が巻き取り部22,22’に対して適切に位置決めされていないために巻き取り部22,22’の各把持部21,22’がフィルム12の側端部分を把持していない事態の発生を防ぐためであり、巻き取り部22,22’の各把持部21(他方は不図示)がフィルム12の側端部分を把持していない状態で、これらの巻き取り部22,22’の回転が開始されてしまう不具合の発生が防がれる。
【0042】
2つの巻き取り部22,22’の把持部21(他方は不図示)がフィルム12の側端部分を把持している状態において、回転機構30,30’の各モータ31,31’がそれぞれ起動されると、各モータ31,31’の回転は、駆動プーリ33,33’、伝動ベルト35,35’及び従動プーリ34,34’を経て各巻き取り部22,22’にそれぞれ伝達され、これらの巻き取り部22,22’が図3に矢印にて示すように同一方向(フィルム12の巻き取り方向)に同一速度で回転駆動される。すると、巻き取り部22,22’の各把持部21(他方は不図示)に側端部が把持されたフィルム12が各巻き取り部22,22’に巻き付けられてゆき、このようにフィルム12が巻き付けられることによってロール状の筒フィルム120が形成されてゆく。なお、このとき、筒フィルム120の軸方向両側にはプレート51,51’が配置されているため、これらのプレート51,51’がフィルム12の巻き付けのガイドとなり、巻き付け時のフィルム12のY軸方向の蛇行が防がれる。
【0043】
そして、巻き取りユニット1によるフィルム12の巻き取りが開始されると、これに連動して図1に示す支持ローラ410が回転し、この支持ローラ410に支持されたテープロール10からフィルム12とその外面に貼着された複数の粘着テープ11が剥離板420と押圧ローラ430に向かって繰り出され、前述のように、フィルム12が粘着テープ11から剥がされて巻き取りユニット1に巻き取られるとともに、フィルム12から剥がされた粘着テープ11がウェーハ201とリングフレーム202に貼着されてワークユニット200が形成される。
【0044】
例えば、図1に示す支持ローラ410に支持されたテープロール10から全てのフィルム12が繰り出されると、巻き取りユニット1の巻き取り部22,22’に所定の長さ分のフィルム12が巻き取られて所定の外径の筒フィルム120が図3に示すように形成されが、この筒フィルム120は、以下の手順によって巻き取り部22,22’から取り外されて廃棄される。
【0045】
すなわち、先ず他方(図2の左側)の巻き取り部22’の不図示の把持部によるフィルム12の側端部の把持が解除された後、進退機構40,40’が駆動され、一方の巻き取り機構20と他方の巻き取り機構20’が相対的に離間する方向(巻き取り部22,22’が筒フィルム120から抜ける方向)に移動する。すなわち、一方の巻き取り機構20は、+Y方向に移動し、他方の巻き取り機構20’は、-Y方向に移動する。このとき、前述のように、他方の不図示の把持部によるフィルム12の側端部の把持が解除されているため、他方の巻き取り機構20’が-Y方向に移動すると、他方の巻き取り部22’の方が先に筒フィルム120から抜ける。
【0046】
上記状態においては、筒フィルム120は、一方の巻き取り部22に保持されたままの状態で巻き取り部22と共に+Y方向に移動するが、プレート51は、移動しないため、巻き取り部22と共に移動する筒フィルム120は、その側端面がプレート51に突き当たり、プレート51によって-Y方向へと押される。このため、筒フィルム120は、一方の巻き取り部22から強制的に抜き取られ、自重によって落下した廃棄される。
【0047】
以上のように、本実施の形態に係る巻き取りユニット1によれば、巻フィルム120を一対の巻き取り機構20,20’から抜き取って廃棄する際には、他方の巻き取り機構22’の不図示の把持部がフィルム12を離した後、進退機構40,40’によって両巻き取り機構20,20’を互いに離間する方向に移動させ、他方の巻き取り機構20’から筒フィルム120を先に抜き取り、その後、抜き取り機構に設けられた移動機構(本実施の形態では、進退機構40)によって一方の巻き取り部22とこれに保持された筒フィルム120とを両巻き取り機構20,20’が離間する方向に移動させるようにしたため、一方の巻き取り機構20に保持された筒フィルム120側端がプレート51によって抜け方向に押される。このため、一方の巻き取り機構20に保持された筒フィルム120が該一方の巻き取り機構20からも抜き取られ、両巻き取り機構20,20’から抜き取られた筒フィルム120が図3に示すように自重によって落下して廃棄される。
【0048】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る巻き取りユニット1’を図4及び図5に基づいて説明する。なお、図4及び図5においては、図2及び図3に示したものと同一要素には同一符号を付しており、以下、それらについての再度の説明は省略する。
【0049】
本実施の形態に係る巻き取りユニット1’においては、図4に示すように、一方(図4の右側)の巻き取り機構20の外周であって、Y軸方向においてプレート51と支持板32との間には、ガイド板60が取り付けられている。そして、プレート51のガイド板60と対向する面には、4本(図4には3本のみ図示)のガイドピン61がガイド板60に向かって水平に突設されており、これらのガイドピン61は、ガイド板60に形成された不図示の円孔にそれぞれ摺動可能に挿通している。ここで、ガイド板60とガイドピン61は、巻き取り機構20のY軸方向に沿う移動をガイドするガイド部を構成している。
【0050】
本実施の形態に係る巻き取りユニット1’においても、筒フィルム120を一対の巻き取り機構20,20’から抜き取って廃棄する際には、他方の巻き取り部22’の不図示の把持部がフィルム12を離した後、図5に矢印にて示すように、進退機構40,40’によって両巻き取り機構20,20’を互いに離間する方向に移動させ、他方の巻き取り部22’から筒フィルム120を先に抜き取り、その後、移動機構(本実施の形態では、進退機構40)によって一方の巻き取り部22とこれに保持された筒フィルム120を両巻き取り機構20,20’が離間する方向に移動させるようにしている。したがって、本実施形態に係る巻き取りユニット1’においても、巻き取り部22,22’に巻き取られた筒フィルム120(図5参照)を抜き取る際、一方の巻き取り機構20の+Y軸方向の移動がガイド部を構成するガイド板60とガイドピン61に案内されてスムーズになされる。
【0051】
そして、他方の巻き取り部22’から先に抜き取られた筒フィルム20は、その側端がプレート51によって抜け方向(-Y軸方向)に押され、一方の巻き取り部22に保持された筒フィルム120が該一方の巻き取り部22からも抜き取られ、両巻き取り部22,22’から抜き取られた筒フィルム120が図5に示すように自重によって落下して廃棄される。なお、本実施の形態では、ガイド部を構成するガイドピン61の数を4本としたが、このガイドピン61の数は、複数であれば任意である。
【0052】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る巻き取りユニット1”を図6及び図7に基づいて説明する。なお、図6及び図7においても、図2及び図3に示したものと同一要素には同一符号を付しており、以下、それらについての再度の説明は省略する。
【0053】
前記実施の形態1,2においては、筒フィルム120を保持する一方の巻き取り機構20をプレート51に対して+Y軸方向に移動させる移動機構として進退機構40を併用したが、本実施形態に係る巻き取りユニット1”においては、移動機構は、エアシリンダ70で構成されており、押し部を構成するプレート51は、巻き取り部22に対してY軸方向に移動可能に保持されている。ここで、一方の巻き取り部22の外周には、3つのエアシリンダ70が周方向に等角度ピッチ(120°ピッチ)で配設されおり、各エアシリンダ70から-Y軸方向に延びるロッド71の各先端は、プレート51にそれぞれ連結されている。
【0054】
本実施の形態に係る巻き取りユニット1”においては、筒フィルム120を一対の巻き取り部22,22’から抜き取って廃棄する際には、他方の巻き取り部22’の不図示の把持部がフィルム12を離した後、図7に矢印にて示すように、進退機構40,40’によって両巻き取り機構20,20’を互いに離間する方向に移動させ、他方の巻き取り部22’から筒フィルム120を先に抜き取り、その後、移動機構である3つのエアシリンダ70の各ロッド71を図7の矢印方向(-Y軸方向)にそれぞれ伸長させる。すると、プレート51が矢印方向(-Y軸方向)に移動し、このプレート51に側端面が当接している筒フィルム120が一方の巻き取り部22から強制的に抜き取られ、両巻き取り部22,22’から抜き取られた筒フィルム120が図7に示すように自重によって落下して廃棄される。なお、本実施の形態では、移動機構を構成するエアシリンダ70の数を3つとしたが、このエアシリンダ70の数は、複数であれば任意である。また、本実施形態では、移動機構をエアシリンダ70で構成したが、エアシリンダ70に代えて油圧シリンダなどの他の任意のものを使用しても良い。
【0055】
なお、以上は、テープ貼着装置において被加工物であるウェーハとリングフレームとをワークユニットとして一体化する粘着テープから剥がされたフィルムを巻き取る巻き取りユニットに対して本発明を適用した形態について説明したが、本発明は、テープ貼着装置以外の他の任意の装置においてフィルムを巻き取るための巻き取りユニットに対しても同様に適用可能である。
【0056】
その他、本発明は、以上説明した実施の形態に適用が限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0057】
1,1’,1”:巻き取りユニット、10:テープロール、11:粘着テープ、
12:フィルム、13:巻筒、
20,20’:巻き取り機構、21:把持部、22,22’:巻き取り部、
23:回転軸、24:ケーシング、25:支持台、26:進入部、
27,28:クランプ板、30,30’:回転機構、31,31’:モータ、
311:出力軸(モータ軸)、32,32’:支持板、
321,321’:摺動ブロック部、33,33’:駆動プーリ、
34,34’:従動プーリ、35,35’:伝動ベルト、
40,40’:進退機構、41:支持基台、42,42’:ボールねじ軸、
43,43’:ガイドレール、44,44’:モータ、45,45’:軸受、
51:プレート(押し部)、511:開口、52,53:プレート保持部、
54:磁石、60:ガイド板、61:ガイドピン、70:エアシリンダ(移動機構)、
71:ロッド、100:テープ貼着装置、200:ワークユニット、
201:ウェーハ、 202:リングフレーム、300:筐体、
400:チャックテーブル、401:第1支持面、402:第2支持面、
410:支持ローラ、420:剥離板、 430:押圧ローラ、
440:支持部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7