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特開2023-163591被加工物の検査方法、及び検査装置、加工方法、加工装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163591
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】被加工物の検査方法、及び検査装置、加工方法、加工装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20231102BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20231102BHJP
【FI】
H01L21/78 Q
B23K26/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074582
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】大久保 広成
【テーマコード(参考)】
4E168
5F063
【Fターム(参考)】
4E168AD02
4E168AD18
4E168CA05
4E168CA06
4E168CB22
4E168CB24
4E168HA01
4E168JA12
4E168JA13
4E168JA14
4E168KA15
5F063AA02
5F063AA48
5F063BA43
5F063BA45
5F063BA47
5F063DE12
5F063DE23
5F063DE33
(57)【要約】
【課題】被加工物に実施された加工の品質の変化を容易かつ正確に評価する。
【解決手段】互いに交差する複数の分割予定ラインが設定され該分割予定ラインで区画された各領域にデバイスが形成されたデバイス領域を表面に有し、該デバイス領域が互いに配置が同じ構造物を含む複数の小区画を有し、該分割予定ラインに沿って加工されて加工痕が形成された被加工物を検査する検査方法であって、該保持テーブルで該被加工物を保持する保持ステップと、該保持テーブルに保持された該被加工物の該デバイス領域が有する複数の該小区画におけるそれぞれ同じ撮像位置で該被加工物を撮像して複数の評価用画像を作成する撮像ステップと、複数の該評価用画像のうち2以上の該評価用画像を表示ユニットに表示させる表示ステップと、を備え、該表示ステップでは、2以上の該評価用画像がそれぞれの該評価用画像に写る該小区画の加工された順番に従って該表示ユニットに表示される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差する複数の分割予定ラインが設定され該分割予定ラインで区画された各領域にデバイスが形成されたデバイス領域を表面に有し、該デバイス領域が互いに配置が同じ構造物を含む複数の小区画を有し、該分割予定ラインに沿って加工されて加工痕が形成された被加工物を検査する検査方法であって、
該被加工物を保持テーブルの保持面に対面させ、該保持テーブルで該被加工物を保持する保持ステップと、
該保持テーブルに保持された該被加工物の該デバイス領域が有する複数の該小区画におけるそれぞれ同じ撮像位置で該被加工物を撮像して複数の評価用画像を作成する撮像ステップと、
複数の該評価用画像のうち2以上の該評価用画像を表示ユニットに表示させる表示ステップと、を備え、
該表示ステップでは、2以上の該評価用画像がそれぞれの該評価用画像に写る該小区画の加工された順番に従って該表示ユニットに表示されることを特徴とする被加工物の検査方法。
【請求項2】
該表示ステップでは、2以上の該評価用画像が該順番で並べられて該表示ユニットに表示されることを特徴とする請求項1に記載の被加工物の検査方法。
【請求項3】
該表示ステップでは、2以上の該評価用画像が該順番で該表示ユニットに順次表示されることを特徴とする請求項1に記載の被加工物の検査方法。
【請求項4】
該保持ステップの後、該撮像ステップの前に、該被加工物の該表面の複数の箇所を撮像して複数の検出用画像を作成し、複数の該検出用画像のそれぞれの該表面における撮像位置と、複数の該検出用画像のそれぞれに写る該構造物と、に基づいて、該デバイス領域が有する複数の該小区画を検出する小区画検出ステップと、
該小区画検出ステップの後、該撮像ステップで撮像される該被加工物の複数の該小区画における該撮像位置を決定する撮像位置決定ステップと、をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の被加工物の検査方法。
【請求項5】
互いに交差する複数の分割予定ラインが設定され該分割予定ラインで区画された各領域にデバイスが形成されたデバイス領域を表面に有し、該デバイス領域が互いに配置が同じ構造物を含む複数の小区画を有し、該分割予定ラインに沿って加工されて加工痕が形成された被加工物を検査する検査装置であって、
保持面を有し、該保持面に接触する該被加工物を保持する保持テーブルと、
該保持テーブルで保持された該被加工物を撮像して撮像画像を作成する撮像ユニットと、
該保持テーブルと、該撮像ユニットと、を該保持面に平行な方向に相対的に移動させる送りユニットと、
該撮像ユニットで作成された該撮像画像を表示する表示ユニットと、
制御ユニットと、を備え、
該制御ユニットは、
該被加工物の該表面における複数の該小区画の配置を記憶する小区画記憶部と、
複数の該小区画における同一の撮像位置を記憶する撮像位置記憶部と、
該保持テーブルと、該撮像ユニットと、該送りユニットと、を制御して、該小区画記憶部に記憶された該配置と、該撮像位置記憶部に記憶された該撮像位置と、を参照し、複数の該小区画の該撮像位置のそれぞれで該撮像ユニットに該被加工物を撮像させ複数の評価用画像を作成させる評価用画像作成指示部と、
複数の該評価用画像のうち2以上の該評価用画像を該表示ユニットに表示させる表示制御部と、を含み、
該表示制御部は、2以上の該評価用画像をそれぞれの該評価用画像に写る該小区画の加工された順番に従って該表示ユニットに表示せることを特徴とする被加工物の検査装置。
【請求項6】
該表示制御部は、2以上の該評価用画像を該順番で並べて該表示ユニットに表示させることを特徴とする請求項5に記載の被加工物の検査装置。
【請求項7】
該表示制御部は、2以上の該評価用画像を該順番で該表示ユニットに順次表示させることを特徴とする請求項5に記載の被加工物の検査装置。
【請求項8】
該制御ユニットは、
該保持テーブルと、該撮像ユニットと、該送りユニットと、を制御して、該保持テーブルで保持された該被加工物の該表面の複数の箇所を該撮像ユニットに撮像させて複数の検出用画像を作成させ、複数の該検出用画像のそれぞれの該表面における撮像位置と、複数の該検出用画像のそれぞれに写る該構造物と、に基づいて、該デバイス領域が有する複数の該小区画を検出する小区画検出部と、
該小区画検出部で検出した該被加工物の複数の該小区画における該撮像位置を決定して該撮像位置を該撮像位置記憶部に記憶させる撮像位置決定部と、をさらに含むことを特徴とする請求項5から請求項7のいずれかに記載の被加工物の検査装置。
【請求項9】
互いに交差する複数の分割予定ラインが設定され該分割予定ラインで区画された各領域にデバイスが形成されたデバイス領域を表面に有し、該デバイス領域が互いに配置が同じ構造物を含む複数の小区画を有する被加工物を該分割予定ラインに沿って加工する加工方法であって、
該被加工物を保持テーブルの保持面に対面させ、該保持テーブルで該被加工物を保持する保持ステップと、
該保持テーブルに保持された該被加工物を複数の該分割予定ラインに沿って加工する加工ステップと、
該加工ステップと同時に、または、該加工ステップの後に、該保持テーブルに保持された該被加工物の該デバイス領域が有する複数の該小区画におけるそれぞれ同じ撮像位置で該被加工物を撮像して複数の評価用画像を作成する撮像ステップと、
複数の該評価用画像のうち2以上の該評価用画像を表示ユニットに表示させる表示ステップと、を備え、
該表示ステップでは、2以上の該評価用画像がそれぞれの該評価用画像に写る該小区画の該加工ステップで加工された順番に従って該表示ユニットに表示されることを特徴とする被加工物の加工方法。
【請求項10】
該表示ステップでは、2以上の該評価用画像が該順番で並べられて該表示ユニットに表示されることを特徴とする請求項9に記載の被加工物の加工方法。
【請求項11】
該表示ステップでは、2以上の該評価用画像が該順番で該表示ユニットに順次表示されることを特徴とする請求項9に記載の被加工物の加工方法。
【請求項12】
該加工ステップでは、該被加工物が切削ブレードで加工されて該被加工物に加工痕が形成され、
該撮像ステップで作成される該評価用画像には、該加工痕が写ることを特徴とする請求項9から請求項11のいずれかに記載の被加工物の加工方法。
【請求項13】
該加工ステップでは、該被加工物にレーザビームが照射されて加工痕が形成され、
該撮像ステップで作成される該評価用画像には、該加工痕、または、該レーザビームが照射されたときに該被加工物から発せられた光が写ることを特徴とする請求項9から請求項11のいずれかに記載の被加工物の加工方法。
【請求項14】
互いに交差する複数の分割予定ラインが設定され該分割予定ラインで区画された各領域にデバイスが形成されたデバイス領域を表面に有し、該デバイス領域が互いに配置が同じ構造物を含む複数の小区画を有する被加工物を該分割予定ラインに沿って加工する加工装置であって、
保持面を有し、該保持面に接触する該被加工物を保持する保持テーブルと、
該保持テーブルで保持された該被加工物を加工する加工ユニットと、
該保持テーブルで保持された該被加工物を撮像して撮像画像を作成する撮像ユニットと、
該保持テーブルと、該撮像ユニットと、を該保持面に平行な方向に相対的に移動させる送りユニットと、
該撮像ユニットで作成された該撮像画像を表示する表示ユニットと、
制御ユニットと、を備え、
該制御ユニットは、
該保持テーブルと、該加工ユニットと、を制御して該加工ユニットに該分割予定ラインに沿って該被加工物を加工させる加工制御部と、
該被加工物の該表面における複数の該小区画の配置を記憶する小区画記憶部と、
複数の該小区画における同一の撮像位置を記憶する撮像位置記憶部と、
該加工制御部が該加工ユニットにさせる該被加工物の加工の後、または、該加工と同時に、該保持テーブルと、該撮像ユニットと、該送りユニットと、を制御して、該小区画記憶部に記憶された該配置と、該撮像位置記憶部に記憶された該撮像位置と、を参照し、複数の該小区画の該撮像位置のそれぞれで該撮像ユニットに該被加工物を撮像させ複数の評価用画像を作成させる評価用画像作成指示部と、
複数の該評価用画像のうち2以上の該評価用画像を該表示ユニットに表示させる表示制御部と、を含み、
該表示制御部は、2以上の該評価用画像をそれぞれの該評価用画像に写る該小区画の該加工ユニットで加工された順番に従って該表示ユニットに表示せることを特徴とする被加工物の加工装置。
【請求項15】
該表示制御部は、2以上の該評価用画像を該順番で並べて該表示ユニットに表示させることを特徴とする請求項14に記載の被加工物の加工装置。
【請求項16】
該表示制御部は、2以上の該評価用画像を該順番で該表示ユニットに順次表示させることを特徴とする請求項14に記載の被加工物の加工装置。
【請求項17】
該加工ユニットは、該被加工物を切削ブレードで切削する切削ユニットであり、
該撮像ユニットが作成する該評価用画像には、該切削ブレードで切削されて該被加工物に形成された加工痕が写ることを特徴とする請求項14から請求項16のいずれかに記載の被加工物の加工装置。
【請求項18】
該加工ユニットは、該被加工物にレーザビームを照射して該被加工物をレーザ加工するレーザ加工ユニットであり、
該撮像ユニットが作成する該評価用画像には、該レーザビームが照射されて該被加工物に形成された加工痕、または、該レーザビームが照射されたときに該被加工物から発せられた光が写ることを特徴とする請求項14から請求項16のいずれかに記載の被加工物の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状の被加工物を分割予定ラインに沿って加工し加工痕を形成したとき、被加工物を検査する検査方法、及び検査装置に関する。また、板状の被加工物を分割予定ラインに沿って加工して加工痕を形成し、被加工物を検査する被加工物の加工方法、及び加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やコンピュータ等の電子機器に使用されるデバイスチップの製造工程では、シリコン等の半導体からなるウェーハの表面にストリートと呼ばれる格子状の分割予定ラインが設定される。ウェーハの表面の分割予定ラインによって区画される各領域には、例えば、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等のデバイスが形成される。その後、ストリートに沿ってウェーハを分割すると個々のデバイスチップを形成できる。
【0003】
分割予定ラインで区画された各領域に形成されるデバイスは、ステッパーを用いた露光処理を含むプロセスでウェーハの表面に形成される。ステッパーでは、レチクルを通して小区画毎に光を照射して、レジストに回路パターンを転写し、エッチング工程を実施して所定のパターン形状をウェーハの表面に形成する。そのため、ウェーハの表面には、レチクルを単位とする小区画毎に同じ配置の構造物が形成される。
【0004】
ウェーハ等の被加工物の分割は、例えば、切削ブレードを有する切削装置で実施される。切削装置は、切削ブレードを回転させてストリートに沿って被加工物に切り込ませて該被加工物を切削する。また、被加工物の分割は、レーザ加工ユニットを有するレーザ加工装置を使用して実施してもよい。レーザ加工装置は、レーザビームをストリートに沿って該被加工物に照射して該被加工物をレーザ加工する。
【0005】
これらの加工装置は、被加工物を撮影する撮像ユニットを備える。加工装置は、加工ユニットで加工された被加工物に形成された加工痕を撮像ユニットで撮影する。そして、加工痕が予定された位置に形成されているか、また、加工痕のエッジに大きな欠けが生じていないか等の加工痕の良否を判定する(例えば、特許文献1乃至5参照)。この機能は、カーフチェックと呼ばれる。
【0006】
加工装置の制御ユニットには、カーフチェックで用いられる判定条件として、各評価項目や評価手法、各判定項目の許容値等が登録されている。そして、被加工物に形成された加工痕の良否を判定する際には、登録された判定条件が読み出され使用される。さらに、制御ユニットには、カーフチェックのために撮像ユニットに撮像されるべき被加工物の位置が登録される。作業者は、被加工物の表面の任意の位置を撮像箇所として制御ユニットに登録する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005―197492号公報
【特許文献2】特開2013-74198号公報
【特許文献3】特開2010-10445号公報
【特許文献4】特開2016-197702号公報
【特許文献5】特開2009-246015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ウェーハ等の被加工物の分割予定ラインには、TEGや電極等の構造物が形成される。そして、分割予定ラインに沿って被加工物に形成される加工痕の状態や品質は、加工箇所に形成された構造物の影響を受ける。そのため、分割予定ラインの各所が同様に加工される場合でも、各所に形成された加工痕にはその場所に形成された構造物等に起因するばらつきが生じる。
【0009】
カーフチェックのための撮像箇所が作業者の任意で決められる場合において、各撮像箇所でカーフチェックをして当該箇所に形成された加工痕の品質を個別に評価することは可能である。しかしながら、加工装置で被加工物の加工が進行する間における加工の品質の変化について、各撮像箇所に形成された構造物等に起因するばらつきの影響を排除して精密に評価することは容易ではない。
【0010】
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、被加工物を検査して被加工物に実施された加工の品質の変化を容易かつ正確に評価できる検査方法、及び検査装置、加工方法、加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によれば、互いに交差する複数の分割予定ラインが設定され該分割予定ラインで区画された各領域にデバイスが形成されたデバイス領域を表面に有し、該デバイス領域が互いに配置が同じ構造物を含む複数の小区画を有し、該分割予定ラインに沿って加工されて加工痕が形成された被加工物を検査する検査方法であって、該被加工物を保持テーブルの保持面に対面させ、該保持テーブルで該被加工物を保持する保持ステップと、該保持テーブルに保持された該被加工物の該デバイス領域が有する複数の該小区画におけるそれぞれ同じ撮像位置で該被加工物を撮像して複数の評価用画像を作成する撮像ステップと、複数の該評価用画像のうち2以上の該評価用画像を表示ユニットに表示させる表示ステップと、を備え、該表示ステップでは、2以上の該評価用画像がそれぞれの該評価用画像に写る該小区画の加工された順番に従って該表示ユニットに表示されることを特徴とする被加工物の検査方法が提供される。
【0012】
好ましくは、該表示ステップでは、2以上の該評価用画像が該順番で並べられて該表示ユニットに表示される。または、好ましくは、該表示ステップでは、2以上の該評価用画像が該順番で該表示ユニットに順次表示される。
【0013】
また、好ましくは、該保持ステップの後、該撮像ステップの前に、該被加工物の該表面の複数の箇所を撮像して複数の検出用画像を作成し、複数の該検出用画像のそれぞれの該表面における撮像位置と、複数の該検出用画像のそれぞれに写る該構造物と、に基づいて、該デバイス領域が有する複数の該小区画を検出する小区画検出ステップと、該小区画検出ステップの後、該撮像ステップで撮像される該被加工物の複数の該小区画における該撮像位置を決定する撮像位置決定ステップと、をさらに備える。
【0014】
本発明の他の一態様によれば、互いに交差する複数の分割予定ラインが設定され該分割予定ラインで区画された各領域にデバイスが形成されたデバイス領域を表面に有し、該デバイス領域が互いに配置が同じ構造物を含む複数の小区画を有し、該分割予定ラインに沿って加工されて加工痕が形成された被加工物を検査する検査装置であって、保持面を有し、該保持面に接触する該被加工物を保持する保持テーブルと、該保持テーブルで保持された該被加工物を撮像して撮像画像を作成する撮像ユニットと、該保持テーブルと、該撮像ユニットと、を該保持面に平行な方向に相対的に移動させる送りユニットと、該撮像ユニットで作成された該撮像画像を表示する表示ユニットと、制御ユニットと、を備え、該制御ユニットは、該被加工物の該表面における複数の該小区画の配置を記憶する小区画記憶部と、複数の該小区画における同一の撮像位置を記憶する撮像位置記憶部と、該保持テーブルと、該撮像ユニットと、該送りユニットと、を制御して、該小区画記憶部に記憶された該配置と、該撮像位置記憶部に記憶された該撮像位置と、を参照し、複数の該小区画の該撮像位置のそれぞれで該撮像ユニットに該被加工物を撮像させ複数の評価用画像を作成させる評価用画像作成指示部と、複数の該評価用画像のうち2以上の該評価用画像を該表示ユニットに表示させる表示制御部と、を含み、該表示制御部は、2以上の該評価用画像をそれぞれの該評価用画像に写る該小区画の加工された順番に従って該表示ユニットに表示せることを特徴とする被加工物の検査装置が提供される。
【0015】
好ましくは、該表示制御部は、2以上の該評価用画像を該順番で並べて該表示ユニットに表示させる。または、好ましくは、該表示制御部は、2以上の該評価用画像を該順番で該表示ユニットに順次表示させる。
【0016】
また、好ましくは、該制御ユニットは、該保持テーブルと、該撮像ユニットと、該送りユニットと、を制御して、該保持テーブルで保持された該被加工物の該表面の複数の箇所を該撮像ユニットに撮像させて複数の検出用画像を作成させ、複数の該検出用画像のそれぞれの該表面における撮像位置と、複数の該検出用画像のそれぞれに写る該構造物と、に基づいて、該デバイス領域が有する複数の該小区画を検出する小区画検出部と、該小区画検出部で検出した該被加工物の複数の該小区画における該撮像位置を決定して該撮像位置を該撮像位置記憶部に記憶させる撮像位置決定部と、をさらに含む。
【0017】
本発明のさらに他の一態様によれば、互いに交差する複数の分割予定ラインが設定され該分割予定ラインで区画された各領域にデバイスが形成されたデバイス領域を表面に有し、該デバイス領域が互いに配置が同じ構造物を含む複数の小区画を有する被加工物を該分割予定ラインに沿って加工する加工方法であって、該被加工物を保持テーブルの保持面に対面させ、該保持テーブルで該被加工物を保持する保持ステップと、該保持テーブルに保持された該被加工物を複数の該分割予定ラインに沿って加工する加工ステップと、該加工ステップと同時に、または、該加工ステップの後に、該保持テーブルに保持された該被加工物の該デバイス領域が有する複数の該小区画におけるそれぞれ同じ撮像位置で該被加工物を撮像して複数の評価用画像を作成する撮像ステップと、複数の該評価用画像のうち2以上の該評価用画像を表示ユニットに表示させる表示ステップと、を備え、該表示ステップでは、2以上の該評価用画像がそれぞれの該評価用画像に写る該小区画の該加工ステップで加工された順番に従って該表示ユニットに表示されることを特徴とする被加工物の加工方法が提供される。
【0018】
好ましくは、該表示ステップでは、2以上の該評価用画像が該順番で並べられて該表示ユニットに表示される。または、好ましくは、該表示ステップでは、2以上の該評価用画像が該順番で該表示ユニットに順次表示される。
【0019】
また、好ましくは、該加工ステップでは、該被加工物が切削ブレードで加工されて該被加工物に加工痕が形成され、該撮像ステップで作成される該評価用画像には、該加工痕が写る。または、好ましくは、該加工ステップでは、該被加工物にレーザビームが照射されて加工痕が形成され、該撮像ステップで作成される該評価用画像には、該加工痕、または、該レーザビームが照射されたときに該被加工物から発せられた光が写る。
【0020】
本発明のなおさらに他の一態様によれば、互いに交差する複数の分割予定ラインが設定され該分割予定ラインで区画された各領域にデバイスが形成されたデバイス領域を表面に有し、該デバイス領域が互いに配置が同じ構造物を含む複数の小区画を有する被加工物を該分割予定ラインに沿って加工する加工装置であって、保持面を有し、該保持面に接触する該被加工物を保持する保持テーブルと、該保持テーブルで保持された該被加工物を加工する加工ユニットと、該保持テーブルで保持された該被加工物を撮像して撮像画像を作成する撮像ユニットと、該保持テーブルと、該撮像ユニットと、を該保持面に平行な方向に相対的に移動させる送りユニットと、該撮像ユニットで作成された該撮像画像を表示する表示ユニットと、制御ユニットと、を備え、該制御ユニットは、該保持テーブルと、該加工ユニットと、を制御して該加工ユニットに該分割予定ラインに沿って該被加工物を加工させる加工制御部と、該被加工物の該表面における複数の該小区画の配置を記憶する小区画記憶部と、複数の該小区画における同一の撮像位置を記憶する撮像位置記憶部と、該加工制御部が該加工ユニットにさせる該被加工物の加工の後、または、該加工と同時に、該保持テーブルと、該撮像ユニットと、該送りユニットと、を制御して、該小区画記憶部に記憶された該配置と、該撮像位置記憶部に記憶された該撮像位置と、を参照し、複数の該小区画の該撮像位置のそれぞれで該撮像ユニットに該被加工物を撮像させ複数の評価用画像を作成させる評価用画像作成指示部と、複数の該評価用画像のうち2以上の該評価用画像を該表示ユニットに表示させる表示制御部と、を含み、該表示制御部は、2以上の該評価用画像をそれぞれの該評価用画像に写る該小区画の該加工ユニットで加工された順番に従って該表示ユニットに表示せることを特徴とする被加工物の加工装置が提供される。
【0021】
好ましくは、該表示制御部は、2以上の該評価用画像を該順番で並べて該表示ユニットに表示させる。または、好ましくは、該表示制御部は、2以上の該評価用画像を該順番で該表示ユニットに順次表示させる。
【0022】
また、好ましくは、該加工ユニットは、該被加工物を切削ブレードで切削する切削ユニットであり、該撮像ユニットが作成する該評価用画像には、該切削ブレードで切削されて該被加工物に形成された加工痕が写る。または、好ましくは、該加工ユニットは、該被加工物にレーザビームを照射して該被加工物をレーザ加工するレーザ加工ユニットであり、該撮像ユニットが作成する該評価用画像には、該レーザビームが照射されて該被加工物に形成された加工痕、または、該レーザビームが照射されたときに該被加工物から発せられた光が写る。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一態様に係る被加工物の検査方法、検査装置、加工方法、及び加工装置では、表面のデバイス領域が互いに配置が同じ構造物を含む複数の小区画を有する被加工物を検査する。被加工物は保持テーブルで保持され、表面側が撮像される。表示ユニットには、作成された複数の評価用画像のうち2以上の評価用画像が表示される。このとき、各評価用画像は、当該評価用画像に写る小区画の加工された順番に従って表示ユニットに表示される。
【0024】
評価用画像は、被加工物の複数の小区画におけるそれぞれ同じ撮像位置で被加工物が撮像されて作成される。そのため、表示ユニットに表示される複数の評価用画像には、被加工物が同様に加工されて形成された加工痕等が写る。したがって、各撮像箇所における構造物等に起因するばらつきの影響が排除された状態で、加工装置で被加工物の加工が進行する間における加工の品質の変化を検証できる。
【0025】
また、表示ユニットに表示される複数の評価用画像は背景となる構造物等の配置が同じとなるため、各評価用画像に写る加工痕等の比較が容易となる。そのため、表示ユニットを視認して被加工物の加工結果の良否を検査する作業者は、極めて容易にかつ高精度に検査を実施できる。
【0026】
したがって、本発明により被加工物を検査して被加工物に実施された加工の品質の変化を容易かつ正確に評価できる検査方法、及び検査装置、加工方法、加工装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】検査装置として機能できる加工装置を模式的に示す斜視図である。
図2】加工ユニットで加工されている被加工物を模式的に示す斜視図である。
図3】被加工物の表面側を模式的に示す平面図である。
図4】被加工物の表面のデバイス領域を拡大して部分的に示す平面図である。
図5】評価用画像の一例を模式的に示す平面図である。
図6】表示ユニットの表示の一例を模式的に示す平面図である。
図7】表示ユニットの表示の他の一例を模式的に示す平面図である。
図8】他の加工ユニットで加工されている被加工物を模式的に示す平面図である。
図9】被加工物の加工方法及び検査方法の各ステップの流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。本実施形態に係る検査方法、検査装置、加工方法、及び加工装置では、例えば、半導体でなるウェーハ等の被加工物が検査される。図2は、加工装置で加工されている被加工物1を模式的に示す斜視図であり、図3は、被加工物1の表面1a側を模式的に示す平面図である。図4は、被加工物1の表面1aの一部を拡大して模式的に示す平面図である。まず、被加工物1について説明する。
【0029】
被加工物1は、例えば、Si(シリコン)、SiC(シリコンカーバイド)、GaN(ガリウムナイトライド)、GaAs(ヒ化ガリウム)、若しくは、その他の半導体等の材料から形成されるウェーハである。または、LT(タンタル酸リチウム)、若しくは、LN(ニオブ酸リチウム)等の複酸化物から形成されるウェーハである。
【0030】
または、被加工物1は、サファイア、ガラス、石英等の材料からなる略円板状の基板等である。該ガラスは、例えば、アルカリガラス、無アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス等である。または、被加工物1は、複数のデバイスチップが縦横に配置されて樹脂で封止されて形成されたパッケージ基板でもよい。以下、被加工物1が半導体ウェーハである場合を例に説明するが、被加工物1はこれに限定されない。
【0031】
被加工物1の表面1aは、互いに交差する複数の分割予定ライン3により区画される。そして、被加工物1の表面1aの分割予定ライン3で区画された各領域には、それぞれ、IC、LSI等のデバイス5が形成されている。デバイス5の種類、数量、配置等にも制限はない。被加工物1を分割予定ライン3に沿って分割すると、それぞれデバイス5を含む個々のデバイスチップを形成できる。被加工物1の表面1aのデバイス5が並ぶ領域は、デバイス領域5aと呼ばれ、その周囲は外周余剰領域5bと呼ばれる。
【0032】
デバイス5は、例えば、一般的なフォトリソグラフィー工程により形成される。すなわち、被加工物1の表面1aに絶縁膜や金属膜等を成膜し、または、成膜せず、被加工物1の上にフォトレジストを塗布する。次に、ステッパーと呼ばれる露光装置を用いて、回路等のパターンが描かれたレチクルと呼ばれるフォトマスクを通してフォトレジストに光を照射する。その後、現像工程を実施して所定の箇所で被加工物1の表面1aを露出して、エッチングして不要部分を除去する。
【0033】
デバイス5は、このフォトリソグラフィー工程を繰り返すことで形成される。また、フォトリソグラフィー工程が繰り返される間に、被加工物1の表面1aの分割予定ライン3には、被加工物1が分割される前に使用されるTEGや電極等の構造物13が形成される。
【0034】
ここで、被加工物1の表面1aにフォトレジストを塗布した後、レチクルを使用してフォトレジストを露光するとき、露光領域を次々に移動させながら表面1aの各所を順次露光する。そのため、被加工物1の表面1aには、図4に示す通り、各種の構造物が同じに配置された複数の小区画15が互いに隣接しつつ形成される。換言すると、被加工物1の表面1aのデバイス領域5aは、レチクルを単位とする互いに配置が同じ構造物を含む複数の小区画15を有する。
【0035】
図4に示す例では、各小区画15は、一つの方向に沿った4本の分割予定ライン3と、他の方向に沿った5本の分割予定ライン3と、により区画され、12個のデバイス5と、3つの構造物13と、を含む。ただし、小区画15の構成はこれに限定されない。すなわち、一つの小区画15に含まれる分割予定ライン3、デバイス5、TEG等の構造物13の数及び配置は、これに限定されない。
【0036】
なお、一つのレチクルにより複数の小区画15で被加工物1の表面1aが同時に露光されてもよい。すなわち、各小区画15は、レチクルを単位としなくてもよい。換言すると、各小区画15と、レチクルで一度に同時に露光される領域と、は必ずしも一致していなくてもよい。いずれにせよ、被加工物1の表面1aのデバイス領域5aは、互いに同じ配置及び形状の構造物を含む小区画15を有する。
【0037】
図2には、加工装置で加工される被加工物1を含むフレームユニット11の斜視図が模式的に示されている。被加工物1が加工装置に搬入される際には、被加工物1と、粘着テープ7と、リングフレーム9と、が一体化されてフレームユニット11が形成される。そして、被加工物1は、フレームユニット11の状態で加工装置に搬入され加工される。
【0038】
フレームユニット11は、リングフレーム9と、リングフレーム9の開口を塞ぐように貼られた粘着テープ7と、を含む。被加工物1の裏面1b側には、リングフレーム9の該開口に露出した粘着テープ7が貼着されている。すなわち、被加工物1は、粘着テープ7を介してリングフレーム9に支持されている。なお、粘着テープ7に代えて、ポリオレフィン系またはポリエステル系材料等の粘着性を有さない樹脂シートが熱圧着により被加工物1及びリングフレーム9に一体化されてフレームユニット11が形成されてもよい。
【0039】
次に、本実施形態に係る検査方法を実施する検査装置及び加工装置について説明する。被加工物1を検査する検査装置及び加工装置は、例えば、分割予定ライン3に沿って加工され加工痕が形成された被加工物1を検査する。または、本実施形態に係る検査装置及び加工装置は、被加工物1を分割予定ライン3に沿って加工し、加工された被加工物1を検査する。
【0040】
以下、本実施形態に係る検査方法を実施する検査装置及び加工装置の一例として、被加工物1を加工し検査するために使用される加工装置について説明する。図1は、加工装置の一例である切削装置2を模式的に示す斜視図である。以下、加工装置が切削装置2である場合を例に説明するが、加工装置は切削装置2に限定されない。
【0041】
切削装置(検査装置、加工装置)2は、各構成要素を支持する基台4を備える。基台4の前方の角部には開口4aが形成されており、この開口4a内には昇降機構(不図示)によって昇降するカセット支持台8が設けられている。カセット支持台8の上面には、複数の被加工物1を収容するカセット10が搭載される。なお、図1では説明の便宜上、カセット10の輪郭のみを示している。
【0042】
カセット支持台8の側方には、長手方向がX軸方向(前後方向、加工送り方向)に沿うように矩形の開口4bが形成されている。開口4b内には、ボールネジ式のX軸移動機構(不図示)と、X軸移動機構の上部を覆うテーブルカバー14及び防塵防滴カバー16と、が配置されている。X軸移動機構は、テーブルカバー14によって覆われたX軸移動テーブル(不図示)を備えており、このX軸移動テーブルをX軸方向に移動させる。
【0043】
X軸移動テーブルの上面にはテーブルカバー14から露出するように保持テーブル18が配設されている。保持テーブル18は、例えば、上方に露出した保持面18aに載せられた被加工物1を吸引保持するチャックテーブルとして機能する。保持テーブル18は、モータ等の回転駆動源(不図示)に連結されており、Z軸方向(鉛直方向)に概ね平行な回転軸の周りに回転する。
【0044】
保持テーブル18は、被加工物1と同様の径のポーラス部材18cと、該ポーラス部材18cを覆う枠体と、を備える。保持テーブル18の内部には、保持テーブル18の外部に設けられたエジェクタ等の吸引源(不図示)に一端が接続された吸引路(不図示)が形成されている。吸引路の他端は、ポーラス部材18cに達している。
【0045】
保持テーブル18の保持面18aには、ポーラス部材18cの上面が露出されている。ポーラス部材18cの上面は、被加工物1と同等の径を有し、X軸方向及びY軸方向に対して概ね平行に形成されている。さらに、保持テーブル18の周囲には、被加工物1を支持するリングフレーム9を周囲から固定するための複数のクランプ18bが設けられている。
【0046】
被加工物1を保持テーブル18で保持する際には、まず、保持面18aに被加工物1を対面させ、フレームユニット11を保持テーブル18の保持面18a上に載せる。そして、吸引路を介して吸引源と、ポーラス部材18cと、を接続し、粘着テープ7を介して被加工物1に負圧を作用させる。すると、保持テーブル18で被加工物1が保持される。
【0047】
切削装置2は、開口4bに隣接する領域に、被加工物1を保持テーブル18等へと搬送する搬送ユニット(不図示)を備える。カセット支持台8の側方に近接する位置には、被加工物1を仮置きするための仮置き機構が設けられている。仮置き機構は、例えば、Y軸方向(割り出し送り方向)に平行な状態を維持しながら接近、離隔される一対のガイドレール12を含む。一対のガイドレール12は、搬送ユニットによりカセット10から引き出された被加工物1をX軸方向に沿って挟み込んで所定の位置に合わせる。
【0048】
所定の位置に合わされた被加工物1は、搬送ユニットにより引き上げられ保持テーブル18へと搬送される。このとき、一対のガイドレール12を互いに離隔させ、被加工物1を一対のガイドレール12の間に通す。
【0049】
保持テーブル18の上方には、環状の切削ブレードによって被加工物1を切削(加工)する第1の加工ユニット24aと、第2の加工ユニット24bと、が設けられている。基台4の上面には、第1の加工ユニット24a,第2の加工ユニット24bと、を支持するための門型の支持構造20が、開口4bを跨ぐように配置されている。
【0050】
支持構造20の前面上部には、第1の加工ユニット24aをY軸方向及びZ軸方向に移動させる第1の移動ユニット22aと、第2の加工ユニット24bをY軸方向及びZ軸方向に移動させる第2の移動ユニット22bとが設けられている。第1の移動ユニット22aはY軸移動プレート28aを、第2の移動ユニット22bはY軸移動プレート28bをそれぞれ備える。2つのY軸移動プレート28a,28bは、支持構造20の前面にY軸方向に沿って配置された一対のY軸ガイドレール26にスライド可能に装着されている。
【0051】
Y軸移動プレート28aの裏面側(後面側)にはナット部(不図示)が設けられており、このナット部にはY軸ガイドレール26に対して概ね平行なY軸ボールネジ30aが螺合されている。また、Y軸移動プレート28bの裏面側(後面側)にはナット部(不図示)が設けられており、このナット部にはY軸ガイドレール26に対して概ね平行なY軸ボールネジ30bが螺合されている。
【0052】
Y軸ボールネジ30aの一端部には、Y軸パルスモータ32aが連結されている。Y軸パルスモータ32aによってY軸ボールネジ30aを回転させることにより、Y軸移動プレート28aがY軸ガイドレール26に沿ってY軸方向に移動する。また、Y軸ボールネジ30bの一端部には、Y軸パルスモータ(不図示)が連結されている。該Y軸パルスモータによってY軸ボールネジ30bを回転させることにより、Y軸移動プレート28bがY軸ガイドレール26に沿ってY軸方向に移動する。
【0053】
Y軸移動プレート28aの表面(前面)側には、一対のZ軸ガイドレール34aがZ軸方向に沿って設けられており、Y軸移動プレート28bの表面(前面)側には、Z軸方向に沿って一対のZ軸ガイドレール34bが設けられている。また、一対のZ軸ガイドレール34aにはZ軸移動プレート36aがスライド可能に取り付けられ、一対のZ軸ガイドレール34bにはZ軸移動プレート36bがスライド可能に取り付けられている。
【0054】
Z軸移動プレート36aの裏面側(後面側)にはナット部(不図示)が設けられており、このナット部にはZ軸ガイドレール34aに対して概ね平行な方向に沿うように設けられたZ軸ボールネジ38aが螺合されている。Z軸ボールネジ38aの一端部にはZ軸パルスモータ40aが連結されており、このZ軸パルスモータ40aによってZ軸ボールネジ38aを回転させることにより、Z軸移動プレート36aがZ軸ガイドレール34aに沿ってZ軸方向に移動する。
【0055】
Z軸移動プレート36bの裏面側(後面側)にはナット部(不図示)が設けられており、このナット部にはZ軸ガイドレール34bに対して概ね平行な方向に沿うように設けられたZ軸ボールネジ38bが螺合されている。Z軸ボールネジ38bの一端部にはZ軸パルスモータ40bが連結されており、このZ軸パルスモータ40bによってZ軸ボールネジ38bを回転させることにより、Z軸移動プレート36bがZ軸ガイドレール34bに沿ってZ軸方向に移動する。
【0056】
Z軸移動プレート36aの下部には第1の加工ユニット24aが設けられている。第1の加工ユニット24aに隣接する位置には、保持テーブル18によって吸引保持された被加工物1を撮影するための撮像ユニット46aが設けられている。また、Z軸移動プレート36bの下部には第2の加工ユニット24bが設けられている。第2の加工ユニット24bに隣接する位置には、保持テーブル18によって吸引保持された被加工物1を撮影するための撮像ユニット46bが設けられている。
【0057】
撮像ユニット46a,46bは、例えば、光を受光して電気信号に変換する光電変換素子と、保持テーブルで保持された被加工物1の上面にフォーカスを合わせるレンズと、を備える。光電変換素子は、例えば、CMOSセンサー、または、CCDセンサーである。撮像ユニット46a,46bは、被加工物1の上面(例えば、表面1a)を撮像して撮像画像を作成し、後述の制御ユニット56に撮像画像を送信する機能を有する。
【0058】
第1の移動ユニット22aによって第1の加工ユニット24a及び撮像ユニット46aのY軸方向及びZ軸方向の位置が制御され、第2の移動ユニット22bによって第2の加工ユニット24b及び撮像ユニット46bのY軸方向及びZ軸方向の位置が制御される。第1の加工ユニット24a等の位置と、第2の加工ユニット24b等の位置と、はそれぞれ独立に制御される。
【0059】
別の視点から説明すると、切削装置2は、保持テーブル18と、加工ユニット24a,24b及び撮像ユニット46a,46bと、を保持テーブルに18の保持面18aに平行な方向(X軸方向、Y軸方向)に相対的に移動させる送りユニットを備える。この送りユニットは、上述のX軸移動機構及び移動ユニット22a,22bにより構成される。
【0060】
図2は、加工具として切削ブレード44を備える加工ユニット24(第1の加工ユニット24aまたは第2の加工ユニット24b)で切削される被加工物1を模式的に示す斜視図である。なお、図2では保持テーブル18のクランプ18bや撮像ユニット46a,46b等が省略されている。加工ユニット(切削ユニット)24は、円環状の切削ブレード44と、切削ブレード44の中央の貫通孔に突き通されるスピンドル(不図示)と、を備える。スピンドルを回転させると切削ブレード44を回転できる。
【0061】
切削ブレード44は、ダイヤモンド等の無数の砥粒と、該砥粒を分散固定するボンドと、を含む砥石部を外周に備える。切削ブレード44を回転させながら、分割予定ライン3に沿って該砥石部を被加工物1に接触させると、被加工物1が切削されて加工痕3aが形成される。
【0062】
被加工物1を加工する際には、まず、保持テーブル18で保持された被加工物1の表面1aを撮像ユニット46a,46bで撮影し、分割予定ライン3を検出する。そして、分割予定ライン3の伸長方向と、加工送り方向(X軸方向)と、が合致するように保持テーブル18を保持面18aに垂直な軸の周りに回転させる。その後、分割予定ライン3の端部上方に切削ブレード44を位置付け、切削ブレード44を回転させる。
【0063】
その後、切削ブレード44の下端が被加工物1の裏面1bよりも下側の粘着テープ7に達するように加工ユニット24を下降させる。そして、被加工物1をX軸方向に沿って加工送りすると、被加工物1が切削されて分割予定ライン3に沿って加工痕(切削溝)3aが形成される。一つの分割予定ライン3に沿って被加工物1を加工した後、加工ユニット24をX軸方向に直交するY軸方向に割り出し送りし、他の分割予定ライン3に沿って同様に被加工物1を加工する。
【0064】
こうして次々に被加工物1を加工し、一つの方向に沿った全ての分割予定ライン3に沿って被加工物1を加工した後、保持テーブル18を保持面18aに垂直な軸の周りに回転させ、他の方向に沿った分割予定ライン3を加工送り方向に合わせる。その後、他の方向に沿った分割予定ライン3に沿って被加工物1を次々に加工する。すべての分割予定ライン3に沿って被加工物1が加工され加工痕3aが形成されると、切削装置2による被加工物1の加工が完了する。
【0065】
加工ユニット24は、さらに、加工される被加工物1に純水等の切削水を供給する切削水供給ノズル24cを備える。被加工物1を切削ブレード44で切削すると、被加工物1及び切削ブレード44から切削屑が発生する。また、被加工物1と切削ブレード44の摩擦により熱が生じる。被加工物1が加工される間、切削水供給ノズル24cが供給されると、切削屑や熱が切削水により除去される。
【0066】
図1を用いて切削装置(加工装置)2についてさらに説明する。開口4bに対して開口4aと反対側の位置には、開口4cが形成されている。開口4c内には被加工物1を洗浄するための洗浄ユニット48が配置されており、保持テーブル18上で加工された被加工物1は、洗浄ユニット48によって洗浄される。洗浄ユニット48で洗浄された被加工物1は、再びカセット10に収納される。
【0067】
さらに、切削装置2は、各種の情報等を表示できる表示ユニット50を備える。表示ユニット50は、切削装置2や被加工物1の状態を示す情報、加工の進行状況を示す情報、または、異常の有無を示す情報等を表示し、これらの情報を切削装置2の使用者または管理者等に報知する。また、表示ユニット50は、撮像ユニット46a,46bで撮影した撮影画像を表示する機能を有する。表示ユニット50は、例えば、液晶ディスプレイ等のモニターである。
【0068】
また、表示ユニット50には、タッチパネル等の入力装置(入力インターフェース)が組み込まれていてもよい。表示ユニット50がタッチパネル付きディスプレイであると、切削装置2の使用者等は表示ユニット50を使用して各種の指令等を切削装置2に入力して切削装置2を操作できる。この場合、表示ユニット50には、操作画面が表示される。
【0069】
また、切削装置(検査装置、加工装置)2は、該切削装置2の各構成要素を制御する制御ユニット56を備える。制御ユニット56は、X軸方向移動機構及び移動ユニット22a,22bで構成される送りユニット、加工ユニット24a,24b、撮像ユニット46a,46b、保持テーブル18、洗浄ユニット48、表示ユニット50、各種の搬送装置等を制御する。
【0070】
そして、制御ユニット56は、各構成要素を制御して切削装置2における被加工物1の加工を進行させる。また、切削装置2が検査装置として機能する際、制御ユニット56は、各構成要素を制御して被加工物1の検査を進行させる。
【0071】
制御ユニット56は、例えば、CPUまたはマイクロプロセッサ等の処理装置と、フラッシュメモリまたはハードディスクドライブ等の記憶装置と、を含むコンピュータによって構成される。そして、記憶装置に記憶されるプログラム等のソフトウェアに従い処理装置を動作させることによって、ソフトウェアと処理装置(ハードウェア資源)とが協働した具体的手段として機能する。
【0072】
制御ユニット56は、各種の被加工物1を加工ユニット24a,24bで加工する加工条件や、各種の情報等を記憶する記憶部58を備える。すなわち、記憶部58は、加工条件を記憶する加工条件記憶部58aを含む。
【0073】
加工条件記憶部58aに記憶される加工条件は、加工の対象となる被加工物1の種別や大きさ、切削ブレード44の回転速度や切り込み深さ、加工送り速度、切削水の噴射条件、加工に使用される切削ブレード44の種別等の情報を含む。加工条件記憶部58aには、複数の加工条件が予め登録されており、加工対象となる被加工物1を加工するのに適した条件が適宜選択され、参照される。
【0074】
制御ユニット56は、加工条件記憶部58aに保存された加工条件を読み出して、加工条件に従ってX軸方向移動機構、移動ユニット22a,22b、加工ユニット24a,24b、保持テーブル18等を制御する加工制御部60を備える。加工制御部60は、所定の加工条件に従って各構成要素を制御して、被加工物1の加工を遂行する。
【0075】
切削装置2では、加工ユニット24a,24bにより加工された被加工物1を撮像ユニット46a,46bで撮影すると、形成された加工痕3aを解析できる。加工痕3aの解析作業は、カーフチェックと呼ばれる。カーフチェックを実施すると、被加工物1に形成される加工痕3aの品質を監視できる。そして、切削装置2は、例えば、被加工物1に許容されない形状の加工痕3aが形成された場合に、加工を中断したり切削装置2の管理者等に警告を発して点検を促したりできる。
【0076】
制御ユニット56の記憶部58には、カーフチェックで用いられる判定条件として、各評価項目や評価手法、各判定項目の許容値等が登録されている。そして、被加工物1に形成された加工痕の良否を判定する際には、登録された判定条件が読み出され使用される。制御ユニット56は、記憶部58に登録された判定条件等を読み出し、撮像ユニット46a,46b及び送りユニット等を制御してカーフチェックを実施する判定部66を備えてもよい。
【0077】
ここで、ウェーハ等の被加工物1の分割予定ライン3には、TEGや電極等の構造物13(図4参照)が形成される。そして、分割予定ライン3に沿って被加工物1に形成される加工痕3aの状態や品質は、加工箇所に形成された構造物13の影響を受ける。そのため、分割予定ライン3の各所が同様に加工される場合でも、各所に形成された加工痕3aにはその場所に形成された構造物13等に起因するばらつきが生じる。
【0078】
カーフチェックのための撮像箇所が作業者の任意で決められる場合において、各撮像箇所でカーフチェックをして当該箇所に形成された加工痕3aの品質を個別に評価することは可能である。しかしながら、切削装置(加工装置)2で被加工物1の加工が進行する間における加工の品質の変化について、各撮像箇所に形成された構造物13等に起因するばらつきの影響を排除して評価することは容易ではない。
【0079】
そこで、本実施形態に係る検査装置及び加工装置(切削装置2)では、被加工物1に実施された加工の品質の変化を容易かつ正確に評価できるように、被加工物1に含まれる複数の小区画15における同じ撮像位置で被加工物1を撮像して複数の評価用画像を作成する。この場合、各評価用画像に写る箇所が同じ構造物13等を有するため、各箇所では同様に被加工物1が加工され同様に加工痕3aが形成される。すなわち、各被加工箇所で構造物13による加工状態の差は生じないため、各評価用画像を比較することで、加工の品質の変化を容易かつ精密に評価できる。
【0080】
以下、切削装置(検査装置、加工装置)2における加工の品質の変化を検査する構成を中心に、切削装置2の説明を続ける。制御ユニット56は、被加工物1の表面1aにおける複数の小区画15の配置を記憶する小区画記憶部58bと、複数の小区画15における同一の撮像位置を記憶する撮像位置記憶部58cと、を備える。
【0081】
切削装置2の管理者等は、制御ユニット56の小区画記憶部58bに予め被加工物1の表面1aにおける小区画15の配置を登録してもよい。例えば、レチクルを通して光が照射されてフォトリソグラフィー工程が実施されてデバイス5等が形成される場合、レチクル単位で同様の配置の構造物が被加工物1の表面1aに形成されることとなる。この場合、一度に光が照射される各被照射領域が小区画15として小区画記憶部58bに登録されるとよい。
【0082】
ただし、小区画記憶部58bには、他の方法で小区画15の位置が記憶されてもよい。例えば、切削装置2の制御ユニット56は、保持テーブル18に保持された被加工物1を撮像ユニット46a,46bに撮像させ、得られた撮像画像から繰り返し単位を小区画15として検出する小区画検出部70を有してもよい。
【0083】
より詳細には、小区画検出部70は、保持テーブル18と、撮像ユニット46a,46bと、上述の送りユニットと、を制御して、保持テーブル18で保持された被加工物1の表面1aの複数の箇所を撮像ユニット46a,46bに撮像させる。そして、撮像ユニット46a,46bに複数の検出用画像を作成させる。小区画検出部70は、作成された各検出用画像を比較して各検出用画像に写る同じ構造物等を検出する。
【0084】
そして、小区画検出部70は、複数の検出用画像のそれぞれの表面1aにおける撮像位置と、複数の検出用画像のそれぞれに写る該構造物と、に基づいて、デバイス領域5aが有する複数の小区画15を検出する。この場合、小区画検出部70は、検出された小区画15の配置を記憶部58の小区画記憶部58bに記憶させる。
【0085】
なお、切削装置2で被加工物1が加工される場合、小区画検出部70は、被加工物1が保持テーブル18で保持された後、加工ユニット24a,24bに加工される前に被加工物1の表面1aの小区画15を検出するとよい。
【0086】
このように、切削装置(検査装置、加工装置)2は、撮像ユニット46a,46b等を使用して自力で被加工物1の小区画15を検出してもよい。この場合、予め小区画記憶部58bに小区画15の配置等が記憶されていなくてもよい。
【0087】
制御ユニット56の撮像位置記憶部58cには、後述の評価用画像を作成する際に撮像ユニット46a,46bが撮像するべき撮像位置が記憶されている。図4には、撮像位置15aの一例が模式的に示されている。図4に示す通り、各撮像位置15aは、いずれの小区画15においても同じ位置となるように決定される。
【0088】
切削装置2の管理者等は、制御ユニット56の撮像位置記憶部58cに予め好適な撮像位置15aを登録してもよい。例えば、管理者等は、制御ユニット56に指示を入力して小区画15が写る画像を表示ユニット50に表示させ、画像に写る領域のうち加工の品質の変化に関する情報を得るのに好適な位置を撮像位置15aとして選択する。そして、選択した位置を撮像位置15aとして指定し、撮像位置記憶部58cに登録する。
【0089】
ただし、撮像位置記憶部58cには、予め撮像位置15aが記憶されていなくてもよい。例えば、制御ユニット56は、小区画検出部70で検出した被加工物1の複数の小区画15における撮像位置15aを決定して該撮像位置15aを撮像位置記憶部58cに記憶させる撮像位置決定部72をさらに備えてもよい。すなわち、制御ユニット56は、自身で撮像位置15aを決定してもよい。
【0090】
撮像位置決定部72は、例えば、被加工物1の分割予定ライン3においてTEG等の構造物13が形成されている領域と、構造物13が形成されていない領域と、の両方を撮像できる位置を撮像位置15aとして決定する。これにより、各評価用画像から様々な加工状況における加工の品質を同時に評価できる。ただし、撮像位置15aはこれに限定されない。撮像位置決定部72が決定した小区画15における撮像位置15aは、撮像位置記憶部58cに記憶される。
【0091】
制御ユニット56は、保持テーブル18と、撮像ユニット46a,46bと、上述の送りユニットと、を制御して所定の位置で被加工物1の表面1aを撮像ユニット46a,46bに撮像させて評価用撮像を形成させる評価用画像作成指示部62を備える。
【0092】
評価用画像作成指示部62は、小区画記憶部58bに記憶された小区画15の配置と、撮像位置記憶部58cに記憶された撮像位置15aと、を読み出す。そして、これらを参照して複数の小区画15の撮像位置15aのそれぞれで撮像ユニット46a,46bに被加工物1を撮像させ、複数の評価用画像を作成させる。
【0093】
図5は、評価用画像17の一例を模式的に示す平面図である。図5に示す評価用画像17には、上下に配された2つのデバイス5と、この2つのデバイス5の間の分割予定ライン3と、分割予定ライン3に沿って被加工物1に形成された加工痕3aの形成領域21と、が写る。また、図5に示す評価用画像17には、デバイス5を構成する電極パターンや素子等の構造物19a,19bも写る。加工痕3aは、分割予定ライン3に形成されたTEG等の構造物13にも形成される。
【0094】
切削装置(加工装置、検査装置)2では、この評価用画像17を使用してカーフチェックが実施されてもよい。すなわち、加工痕3aの幅や位置、チッピング等の発生状況等が評価されてもよい。例えば、切削装置2は評価用画像17を表示ユニット50に表示させてもよく、切削装置2の使用者等は表示ユニット50に表示された評価用画像17に基づいて加工結果の良否を判定してもよい。
【0095】
または、制御ユニット56は、評価用画像17に基づいて加工結果等の良否を判定する判定部66を備えてもよい。記憶部58には、判定部66が加工結果等の良否を判定するための判定条件が予め記憶される。
【0096】
ここで、加工された被加工物1の加工痕3aのカーフチェックについて説明する。カーフチェックの過程では、例えば、分割予定ライン3の中心線及び加工痕3aの中心線のずれを示すオフセンター量や、最小カーフ幅や最大カーフ幅が評価される。また、加工痕3aの外縁に形成されるチッピングと呼ばれる欠けの大きさが評価される。それぞれの判定項目には、許容値が設定される。判定部66は、評価用画像17に基づいて、これらの判定項目について許容値に収まるか否かを判定することで加工痕3aの良否を判定する。
【0097】
制御ユニット56の記憶部58は、作成された評価用画像17を保存し蓄積できる画像記憶部58dをさらに備える。そして、画像記憶部58dには、例えば、被加工物1の表面1aにおける撮像位置に関する情報がそれぞれの評価用画像17とともに保存されるとよい。各評価用画像17の撮像位置は、後述の通り、各評価用画像17に写る小区画15の加工された順番を導出する上で有用である。また、画像記憶部58dに保存される評価用画像17には、撮像位置に関する情報に代えて写る小区画15の加工された順番が紐づけられて登録されてもよい。
【0098】
そして、制御ユニット56は、複数の評価用画像17のうち2以上の評価用画像17を表示ユニット50に表示させる表示制御部64をさらに含む。表示制御部64は、画像記憶部58dに記憶されたすべての評価用画像17を表示対象として表示ユニット50に表示させる必要はないが、すべての評価用画像17を表示対象として表示ユニット50に表示させてもよい。
【0099】
そして、表示制御部64は、表示ユニット50への表示対象となる2以上の評価用画像17をそれぞれの評価用画像17に写る小区画15の加工された順番に従って表示ユニット50に表示させる。ここで、表示ユニット50に各評価用画像17をこの順番に従って表示させることについて詳述する。
【0100】
図6は、4つの評価用画像17a,17b,17c,17dを含む結果表示画面50aを映す表示ユニット50を模式的に示す平面図である。結果表示画面50aでは、それぞれに写る小区画15の加工された順番に従って評価用画像17a,17b,17c,17dが並べられる。
【0101】
例えば、それぞれに写る小区画15のうち最も早期に加工された小区画15が写る評価用画像17aが結果表示画面50aの上段左側に表示され、次に加工された小区画15が写る評価用画像17bが評価用画像17aの上段右側に表示される。また、さらに次に加工された小区画15が写る評価用画像17cが評価用画像17bの次の画像として結果表示画面50aの下段左側に表示され、最も後に加工された小区画15が写る評価用画像17dが下段右側に表示される。このように、結果表示画面50aでは、左から右に、そして、上から下に、それぞれに写る小区画15の加工された順番に従って評価用画像17a,17b,17c,17dが並べられる。
【0102】
ここで、各評価用画像17a,17b,17c,17dは、各小区画15における同じ撮像位置15aで撮像されて得られた画像である。そのため、各評価用画像17a,17b,17c,17dでは、それぞれ写る加工痕21a,21b,21c,21d以外の構造物は同じとなり、これを背景とした加工痕21a,21b,21c,21dのみが異なる。この場合、各加工痕21a,21b,21c,21dを極めて容易にかつ高精度に比較できる。
【0103】
そして、写る小区画15の加工された順番で表示ユニット50に各評価用画像17a,17b,17c,17dが並ぶ。そのため、TEG等の構造物13に起因するばらつきの影響が排除された状態で、被加工物1の加工が進行する間における加工の品質の変化を検証できる。
【0104】
なお、写る小区画15の加工された順番に従って表示ユニット50に評価用画像17が表示される態様は、これに限定されない。例えば、表示制御部64は、写る小区画15の加工された順番で2以上の評価用画像17を表示ユニット50に順次表示させてもよい。図7は、当該順番で評価用画像17が順次表示される結果表示画面50bが映る表示ユニット50を模式的に示す平面図である。
【0105】
表示ユニット50に表示された結果表示画面50bでは、例えば、複数の評価用画像17が一枚ずつ当該順番で一定時間毎に切り替わりつつ表示される。そして、結果表示画面50bには、表示ユニット50に表示される画像の切り替わりを一時的に停止させて一つの評価用画像17を表示させ続ける指令を制御ユニット56に入力するための操作ボタン54bが表示されてもよい。
【0106】
さらに、結果表示画面50bには、表示された評価用画像17の次の評価用画像17を表示させる指令の入力に使用される操作ボタン54cが表示されてもよい。表示ユニット50に表示された操作ボタン54cが作業者等によりタッチされたとき、表示制御部64は、当該順番において次の評価用画像17を表示ユニット50に表示させる。
【0107】
また、結果表示画面50bには、表示された評価用画像17の前の評価用画像17を表示させる指令の入力に使用される操作ボタン54aが表示されてもよい。表示ユニット50に表示された操作ボタン54aが作業者等によりタッチされたとき、表示制御部64は、当該順番において前の評価用画像17を表示ユニット50に表示させる。
【0108】
このように、表示ユニット50に写る小区画15の加工された順番に従って表示ユニット50に評価用画像17が順次表示される態様では、表示ユニット50を見る作業者等が加工痕の形成領域21の変化、すなわち、加工品質の変化を直感的かつ高精度に把握しやすい。
【0109】
次に、切削装置(加工装置、検査装置)2で被加工物1が加工され検査される手順について説明する。すなわち、本実施形態に係る被加工物の加工方法(検査方法)ついて説明する。図9は、本実施形態に係る被加工物の加工方法の各ステップの流れを示すフローチャートである。当該加工方法では、このフローチャートに示されないステップが実施されてもよい。以下、切削装置2で本実施形態に係る被加工物の加工方法が実施される場合を例に説明するが、当該加工方法(検査方法)は他の加工装置(検査装置)等で実施されてもよい。
【0110】
この加工方法は、互いに交差する複数の分割予定ライン3で区画された各領域にデバイス5が形成されたデバイス領域5aを表面1aに有し、デバイス領域5aが互いに配置が同じ構造物を含む複数の小区画15を有する被加工物1を加工する加工方法である。この加工方法では、カセット支持台8に置かれたカセット10から被加工物1を搬出し、被加工物1を保持テーブル18の保持面18aに対面させ、保持テーブル18で被加工物1を保持する保持ステップS10を実施する。
【0111】
保持ステップS10では、フレームユニット11(図2参照)の状態の被加工物1が保持テーブル18に搬送されてもよい。このとき、被加工物1の裏面1b側に粘着テープ7が貼着されて表面1aが露出されてもよく、被加工物1の表面1a側に粘着テープ7が貼着されて裏面1bが露出されてもよい。
【0112】
粘着テープ7を介して被加工物1を保持テーブル18の保持面18aに載せ、リングフレーム9をクランプ18bで把持し、保持面18aを通して被加工物1に負圧を作用させると、保持テーブル18で被加工物1を吸引保持できる。
【0113】
次に、保持テーブル18に保持された被加工物1を複数の分割予定ライン3に沿って加工する加工ステップS20を実施する。加工ステップS20は、例えば、制御ユニット56の加工制御部60の機能により遂行されるとよい。加工制御部60は、記憶部58の加工条件記憶部58aに記憶された所定の加工条件を読み出し、この加工条件に従って切削装置2の各構成要素を制御して被加工物1の加工を進める。
【0114】
加工ステップS20では、まず、保持テーブル18を回転させて、被加工物1の一つの分割予定ライン3の向きをX軸方向(加工送り方向)に合わせる。そして、一つの分割予定ライン3の延長線上に切削ブレード44を位置付けるようにX軸移動機構等を作動させる。このとき、撮像ユニット46a,46bで被加工物1を撮像して分割予定ライン3の位置及び向きを確認するとよい。
【0115】
そして、切削ブレード44の回転を開始し、移動ユニット22a,22bを作動させて回転する切削ブレード44を下降させ、粘着テープ7の上端と下端の間に切削ブレード44の下端を位置付ける。そして、X軸移動機構を作動させて被加工物1を保持する保持テーブル18と、加工ユニット24と、を相対的にX軸方向に沿って移動させる。すると、分割予定ライン3に沿って切削ブレード44が被加工物1を切削し、被加工物1に加工痕3aが形成される。
【0116】
一つの分割予定ライン3に沿って被加工物1が切削された後、切削ブレード44を上昇させ、保持テーブル18と、加工ユニット24と、を相対的にX軸方向の逆向きに移動させる。そして、当該分割予定ライン3に平行な他の分割予定ライン3に沿って被加工物1を同様に切削ブレード44で切削して、次々に加工痕3aを被加工物1に形成する。すなわち、各分割予定ライン3では切削ブレード44が同じ方向から被加工物1に切り込む。
【0117】
そして、一つの方向に沿ったすべての分割予定ライン3に沿って被加工物1を切削した後、保持テーブル18を保持面18aに垂直な軸の周りに回転させ、他の方向に沿った分割予定ライン3に沿って同様に被加工物1を切削する。全ての分割予定ライン3に沿って被加工物1を切削して、全ての分割予定ライン3に沿って加工痕3aが形成されたとき、被加工物1の切削が完了する。
【0118】
加工ステップS20を実施して被加工物1に加工痕3aを形成すると、被加工物1が個々のチップに分割される。形成された個々のチップは、粘着テープ7に引き続き支持される。ここで、被加工物1に形成された加工痕3aの品質が悪い場合、チップが不良品となる。そこで、形成された加工痕3aに対するカーフチェックや、加工痕3aが写る撮像画像が表示ユニット50に表示されて作業者等が加工品質を評価する検査が実施される。
【0119】
次に、撮像ステップS30について説明する。撮像ステップS30は、例えば、加工ステップS20が実施されて被加工物1に加工痕3aが形成された後に実施される。撮像ステップS30では、保持テーブル18に保持された被加工物1のデバイス領域5aが有する複数の小区画15におけるそれぞれ同じ撮像位置で被加工物1を撮像して複数の評価用画像17(図5参照)を作成する。撮像ステップS30では、例えば、撮像ユニット46a,46bが利用される。
【0120】
制御ユニット56の評価用画像作成指示部62は、撮像位置記憶部58cから撮像位置に関する情報を読み出し、保持テーブル18と撮像ユニット46a,46bの位置を調整しつつ、被加工物1における各撮像位置で次々に被加工物1を撮像する。すると、複数の評価用画像17が得られる。
【0121】
得られた評価用画像17は、例えば、制御ユニット56の画像記憶部58dに保存される。後に説明する通り、各評価用画像17に写る小区画15の加工された順番に従って表示ユニット50に各評価用画像17を表示させるため、画像記憶部58dには、それぞれの評価用画像17とともに各評価用画像17が作成された際の撮像位置が保存されるとよい。この場合、各評価用画像17の撮像位置に基づいて各評価用画像17に写る小区画15の加工された順番を導出できる。
【0122】
または、撮像ユニット46a,46bにより各評価用画像17が作成され画像記憶部58dに各評価用画像が保存される際に、画像記憶部58dには、各評価用画像17に写る小区画15の加工された順番が各評価用画像17とともに保存されてもよい。
【0123】
ここで、加工ステップS20で被加工物1の各小区画15の加工される順番と、撮像ステップS30で各小区画15の撮像される順番と、について詳述する。加工ステップS20では、互いに平行なすべての分割予定ライン3において、回転する切削ブレード44が加工送り方向の一方から他方に向けて切り込んで被加工物1を切削(加工)する。この理由の一つは、一定の回転方向で回転し続ける切削ブレード44を加工送り方向の他方から一方に向けて切り込ませると、加工品質が変わるためである。
【0124】
そのため、一つの分割予定ライン3に沿って加工送り方向の一方から他方にかけて切削ブレード44で被加工物1を切削した後、切削ブレード44を上昇させて、切削ブレード44を加工送り方向の一方側に戻す。そして、次の分割予定ライン3に沿って加工送り方向の一方から他方にかけて切削ブレード44で被加工物1が切削される。
【0125】
その一方で、撮像ステップS30では、被加工物1及び撮像ユニット46a,46bの相対的な移動方向は、作成される評価用画像17の内容に影響しない。そのため、まず、加工送り方向に沿って並ぶ一群の撮像位置において加工送り方向の一方から他方に順番に撮像をした後、加工送り方向に沿って並ぶ次の一群の撮像位置で撮像する際には、加工送り方向の他方から一方に順番に撮像をしてもよい。この場合、被加工物1と、撮像ユニット46a,46bと、の相対的な移動距離を低減できる。
【0126】
したがって、各評価用画像17に写る小区画15の加工ステップS20で加工された順番と、撮像ステップS30で撮像された順番と、は一致するとは限らない。そのため、後に各評価用画像17に写る小区画15の加工された順番を特定するための情報が各評価用画像17とともに画像記憶部58dに保存される。各評価用画像17の撮像位置に関する情報は、各評価用画像17に写る小区画15の加工された順番を特定するための情報といえる。
【0127】
なお、撮像ステップS30は、加工ステップS20と同時に実施されてもよい。例えば、一つの分割予定ライン3に沿って加工送り方向の一方から他方にかけて被加工物1を切削ブレード44で切削する。その後、切削ブレード44を加工送り方向の一方側に相対的に戻す際に、この分割予定ライン3に沿って撮像ユニット46a,46bが各撮像位置で被加工物1を順次撮像する。
【0128】
または、一つの分割予定ライン3に沿って被加工物1を切削ブレード44で切削する間に、加工ユニット24を追いかける撮像ユニット46a,46bでこの分割予定ライン3に沿って各撮像位置を撮像してもよい。または、一つの分割予定ライン3に沿って被加工物1を切削ブレード44で切削する間に、既に切削(加工)された他の分割予定ライン3に沿って撮像ユニット46a,46bを移動させつつ各撮像位置を撮像してもよい。
【0129】
これらの方法では、各分割予定ライン3に沿って被加工物1が次々に切削される間に各撮像位置で被加工物1が撮像される。このように、加工ステップS20と、撮像ステップS30と、が同時に実施されると、各撮像位置に撮像ユニット46a,46bを位置付けるためだけの専用の移動動作が不要となる。換言すると、加工ステップS20及び撮像ステップS30を通した被加工物1と、加工ユニット24及び撮像ユニット46a,46bと、の相対的な総移動距離が短くなり、効率的である。
【0130】
次に、複数の評価用画像17のうち2以上の該評価用画像17を表示ユニット50に表示させる表示ステップS40を実施する。表示ステップS40は、例えば、制御ユニット56の表示制御部64の機能により遂行される。表示制御部64は、画像記憶部58dに記憶された複数の評価用画像17のうちすべての評価用画像17を表示ユニット50に表示させてもよい。または、表示制御部64は、複数の評価用画像17のうち一部の評価用画像17を表示ユニット50に表示させなくてもよい。
【0131】
ここで、表示ステップS40では、それぞれの評価用画像17に写る小区画15の加工ステップS20で加工された順番に従って2以上の評価用画像17が表示ユニット50に表示される。例えば、図6を使用して説明した通り、表示ステップS40では、2以上の評価用画像17が写る小区画15の加工された順番で並べられて表示ユニット50に表示されてもよい。または、図7を使用して説明した通り、表示ステップでS40は、2以上の評価用画像17が該順番で表示ユニット50に順次表示されてもよい。
【0132】
このように表示ステップS40により、写る小区画15の加工された順番に従って2以上の評価用画像17が表示ユニット50に表示されると、作業者が表示ユニット50に表示された各評価用画像17に基づいて加工品質の変化の様子を容易に把握できる。特に、各評価用画像17は、背景となる各種の構造物は同様に写るため、加工痕3aの変化を容易に把握できる。さらに、各撮像位置で構造物に差がないため、被加工物1の構造物に起因する加工状況の変化を排除して加工の品質の変化を容易かつ正確に評価できる。
【0133】
なお、加工ステップS20で被加工物1が切削ブレード44で加工されて被加工物1に加工痕3aが形成され、撮像ステップS30で作成される評価用画像17には加工痕3aが写る場合について主に説明した。しかしながら、加工ステップS20及び撮像ステップS30はこれに限定されない。
【0134】
例えば、本実施形態に係る被加工物1の加工方法は、切削装置2に代えてレーザ加工ユニットを備えるレーザ加工装置で実施されてもよい。レーザ加工ユニットは、例えば、レーザ発振器と、レーザ発振器から出たレーザビームを被加工物に集光するレンズを含む光学系と、を備える。
【0135】
例えば、加工ステップS20では、被加工物1に吸収される波長のレーザビームを該被加工物1に照射し、分割予定ライン3に沿って被加工物1をレーザ加工(アブレーション加工)して分割溝等の加工痕3aを形成してもよい。または、加工ステップS20では、被加工物1を透過できる波長のレーザビームを該被加工物に集光し、分割予定ライン3に沿って被加工物1をレーザ加工して改質層等の加工痕3aを形成してもよい。これらの場合、撮像ステップS30で作成される評価用画像17には、加工痕3aが写る
【0136】
また、加工ステップS20で被加工物1にレーザビームを照射すると、加工点から特定の波長の光(プラズマ光)が放出される。この光は、加工点に設けられた被加工物1の構造物の材質や、照射されるレーザビームの出力等により変化する。そのため、この光に基づいて加工が予定された通りに進行しているか否かの判定が可能となる。すなわち、この光は、加工の品質の判定に有用である。
【0137】
そこで、加工ステップS20及び撮像ステップS30を同時に実施して、レーザ加工されている加工点を撮像ユニット46a,46bで撮像し、この光が写る評価用画像17を作成してもよい。
【0138】
図8は、分割予定ライン3に沿ってレーザビームで加工されている被加工物1を撮像して作成された評価用画像68を模式的に示す平面図である。図8に示す通り、評価用画像68には、加工により形成された加工痕23と、レーザビームが照射されたときに被加工物1の加工点から発せられた光(プラズマ光)25と、が写る。光25を解析すると、予定された通りに加工が進行しているか否かを判別できる。
【0139】
図8に示す例では、レーザビームが分割予定ライン3に適切に照射されず、デバイス5の外縁にレーザビームが照射されている。この場合、光25には、分割予定ライン3に存在する構造物に由来する成分だけでなく、デバイス5に存在する構造物に由来する成分が含まれる。そのため、評価用画像68に写る光25から加工位置のエラーが検出される。
【0140】
また、加工位置が適切である場合においても、レーザビームの出力等が許容された範囲を満たさない場合、評価用画像68に写る光25が通常とは異なる態様となる。そのため評価用画像68に写る光25から、レーザビームの出力不足や光学系の異常等の様々な加工異常の検出が可能であり、レーザ加工ユニットの調整が可能となる。また、本実施形態に係る加工方法では、複数の評価用画像68にそれぞれ写る光25の変化の様子を判別しやすいため、加工の品質の変化を容易かつ正確に評価できる。
【0141】
なお、本発明は、上記の実施形態の記載に限定されず、種々変更して実施可能である。例えば、上記の実施形態においては、切削装置2等の加工装置で被加工物1が加工され、被加工物1が撮像されて評価用画像17が形成される場合を例に説明した。しかしながら、本発明の一態様はこれに限定されない。すなわち、被加工物1を加工せず撮像して評価用画像を作成する検査装置と、被加工物1を加工せず撮像して評価用画像を作成する検査方法と、も本発明の一態様である。
【0142】
本発明の一態様に係る検査装置は、被加工物1を保持する保持テーブルと、被加工物1の表面1a側を撮像して撮像画像を作成する撮像ユニットと、保持テーブル及び撮像ユニットを相対的に移動させる送りユニットと、表示ユニットと、を備える。その一方で、本発明の一態様に係る検査装置は、加工ユニットを備えなくてもよい。
【0143】
この検査装置は、例えば、他の加工装置で加工された被加工物1を検査する際に使用される。検査装置の制御ユニットは、上記実施形態に係る切削装置2の制御ユニット56の小区画記憶部58bと、撮像位置記憶部58cと、評価用画像作成指示部62と、表示制御部64と、を含む。すなわち、切削装置2の制御ユニット56に関する上述の説明は、この検査装置の制御ユニットの説明に適宜読み替えられる。
【0144】
本発明の一態様に係る検査装置の制御ユニットの表示制御部は、2以上の評価用画像17をそれぞれの評価用画像17に写る小区画15の加工された順番に従って表示ユニット50に表示せる。そのため、他の加工装置等で加工された被加工物1を検査して被加工物1に実施された加工の品質の変化を容易かつ正確に評価できる。
【0145】
また、本発明の一態様に係る検査方法は、保持テーブルで該被加工物を保持する保持ステップS10と、被加工物1を撮像して複数の評価用画像を作成する撮像ステップS30と、2以上の該評価用画像を表示ユニットに表示させる表示ステップS40と、を備える。その一方で、本発明の一態様に係る検査方法は、加工ステップS20を備えなくてもよい。
【0146】
この検査方法には、上記実施形態に係る切削装置2等の加工装置、または、前述の検査装置等を使用できる。そして、本発明の一態様に係る検査方法の表示ステップS40では、2以上の評価用画像17がそれぞれの評価用画像17に写る小区画15の加工された順番に従って表示ユニット50に表示される。そのため、加工装置等で加工された被加工物1を検査して被加工物1に実施された加工の品質の変化を容易かつ正確に評価できる。
【0147】
なお、本発明の一態様に係る検査方法及び加工方法では、保持ステップS10の後、撮像ステップS30の前に、被加工物1の表面1aのデバイス領域5aが有する複数の小区画15を検出する小区画検出ステップが実施されてもよい。この小区画検出ステップは、例えば、上記実施形態で説明した制御ユニット56の小区画検出部70の機能により遂行される。そのため、小区画検出ステップの説明として、上述の小区画検出部70に関する説明を適宜参照できる。
【0148】
小区画検出ステップでは、被加工物1の表面1aの複数の箇所を撮像して複数の検出用画像を作成する。そして、複数の該検出用画像のそれぞれの該表面1aにおける撮像位置と、複数の該検出用画像のそれぞれに写る構造物と、に基づいて、デバイス領域が有する複数の該小区画を検出する。検出用画像は、例えば、撮像ユニット46a,46bにより被加工物1が撮像されることにより作成される。小区画検出ステップで検出された小区画15の配置は、例えば、記憶部58の小区画記憶部58bに記憶されるとよい。
【0149】
さらに、本発明の一態様に係る検査方法及び加工方法では、小区画検出ステップの後、撮像ステップS30で撮像される被加工物1の複数の小区画15における撮像位置を決定する撮像位置決定ステップが実施されてもよい。この撮像位置決定ステップは、例えば、上記実施形態で説明した制御ユニット56の撮像位置決定部72の機能により遂行される。そのため、撮像位置決定ステップの説明として、上述の撮像位置決定部72に関する説明を適宜参照できる。
【0150】
撮像位置決定ステップでは、例えば、被加工物1の分割予定ライン3においてTEG等の構造物13が形成されている領域と、構造物13が形成されていない領域と、の両方を撮像できる位置を撮像位置15aとして決定する。これにより、各評価用画像から様々な加工状況における加工の品質を同時に評価できる。ただし、撮像位置15aはこれに限定されない。撮像位置決定ステップで決定された小区画15における撮像位置15aは、例えば、記憶部58の撮像位置記憶部58cに記憶されるとよい。
【0151】
また、上記実施形態では、評価用画像17に被加工物1の分割予定ライン3が写る場合について説明したが、本発明の一態様はこれに限定されない。すなわち、評価用画像17の撮像位置が分割予定ライン3上に設定されなくてもよく、評価用画像17に分割予定ライン3が写らなくてもよい。
【0152】
例えば、被加工物1を分割予定ライン3に沿って加工すると、被加工物1等から加工屑が発生して周囲に飛散しデバイス5に付着することがある。本発明の一態様に係る加工装置(検査装置)及び加工方法(検査方法)では、撮像ユニット46a,46bでデバイス5を撮像して評価用画像17を作成することにより、加工の品質として加工屑の飛散状況を検査できる。
【0153】
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0154】
1 被加工物
1a 表面
1b 裏面
3 分割予定ライン
3a,21a,21b,21c,21d 加工痕
5 デバイス
5a デバイス領域
5b 外周余剰領域
7 粘着テープ
9 リングフレーム
11 フレームユニット
13 構造物
15 小区画
17,17a,17b,17c,17d 評価用画像
19a,19b 構造物
21 形成領域
23 加工痕
25 光
2 切削装置
4 基台
4a,4b,4c 開口
8 カセット支持台
10 カセット
12 ガイドレール
14 テーブルカバー
16 防塵防滴カバー
18 保持テーブル
18a 保持面
18b クランプ
18c ポーラス部材
20 支持構造
22a,22b 移動ユニット
24,24a,24b 加工ユニット
26,34a,34b ガイドレール
28a,28b,36a,36b 移動プレート
30a,30b,38a,38b ボールネジ
32a,40a,40b パルスモータ
44 切削ブレード
46a,46b 撮像ユニット
48 洗浄ユニット
50 表示ユニット
50a,50b 結果表示画面
54a,54b,54c 操作ボタン
56 制御ユニット
58 記憶部
58a 加工条件記憶部
58b 小区画記憶部
58c 撮像位置記憶部
58d 画像記憶部
60 加工制御部
62 評価用画像作成指示部
64 表示制御部
66 判定部
68 評価用画像
70 小区画検出部
72 撮像位置決定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9