(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163930
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】液体吐出装置、プログラムおよび吐出不良ノズル検出方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
B41J2/01 207
B41J2/01 209
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075165
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】外山 大貴
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA05
2C056EA08
2C056EB27
2C056EB40
2C056EB42
2C056EB59
2C056EC54
2C056EC57
2C056FA04
2C056FA13
(57)【要約】
【課題】画像の記録解像度よりも低い解像度を有する読取装置を用いて複数の色の吐出不良ノズルを同一処理内で検知するとともに、後から着弾する液体の発色の劣化を防ぐ。
【解決手段】吐出ノズルで描画できる画像解像度より低い解像度を有する読取装置と、主走査方向に複数の色を1ドットずつ配置するとともに副走査方向に読取装置で読み取り可能な長さのドットラインを配置したドット群である単位領域を、当該単位領域を構成する複数の色の位置を入れ替えて副走査方向に配置するとともに、主走査方向に複数配置した不良ノズル検出用画像を構成する各々の単位領域を、読取装置で同一処理内で読み取る単位領域読取部と、読み取った単位領域のRGB値を算出するRGB値算出部と、算出した単位領域のRGB値を予め規定したRGB規定値と比較して吐出ノズルにおける吐出不良のノズルを判断する吐出不良判断部と、を備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する吐出ノズルをライン状に備えた吐出ヘッドを有する液体吐出装置において、
前記吐出ノズルで描画できる画像解像度より低い解像度を有する読取装置と、
主走査方向に複数の色を1ドットずつ配置するとともに副走査方向に前記読取装置で読み取り可能な長さのドットラインを配置したドット群である単位領域を、当該単位領域を構成する前記複数の色の位置を入れ替えて副走査方向に配置するとともに、主走査方向に複数配置した不良ノズル検出用画像を構成する各々の前記単位領域を、前記読取装置で同一処理内で読み取る単位領域読取部と、
前記単位領域読取部で読み取った前記単位領域のRGB値を算出するRGB値算出部と、
前記RGB値算出部で算出した前記単位領域のRGB値を予め規定したRGB規定値と比較して前記吐出ノズルにおける吐出不良のノズルを判断する吐出不良判断部と、
を備えることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記不良ノズル検出用画像を印刷する第1画像印刷部を更に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記不良ノズル検出用画像は、前記単位領域を副走査方向に隣接させて配置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記不良ノズル検出用画像は、前記単位領域を主走査方向および副走査方向に格子状にずらして配置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記不良ノズル検出用画像に加えて、前記単位領域と同じ大きさの面積をもつ画像領域にドットラインを1ライン有した判断領域を、当該ドットラインの位置を入れ替えて副走査方向に前記複数の色毎に配置するとともに、主走査方向に複数配置したRGB規定値の決定用画像を構成する各々の前記判断領域および各々の前記単位領域を、前記読取装置で同一処理内で読み取る判断領域読取部と、
前記判断領域読取部で読み取った前記判断領域のドットラインの有無から前記吐出ノズルにおける吐出不良のノズルが存在しないと判断した前記判断領域に対応する前記単位領域のRGB値を、前記RGB規定値として定める規定値設定部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記規定値設定部は、前記読取装置で読み取ったRGB値と、液体を吐出する対象となる媒体の白紙部のRGB値とを比較して、前記判断領域のドットラインの有無を判断する、
ことを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記RGB規定値の決定用画像を印刷する第2画像印刷部を更に備える、
ことを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
液体を吐出する吐出ノズルをライン状に備えた吐出ヘッドと、前記吐出ノズルで描画できる画像解像度より低い解像度を有する読取装置と、を有する液体吐出装置を制御するコンピュータを、
主走査方向に複数の色を1ドットずつ配置するとともに副走査方向に前記読取装置で読み取り可能な長さのドットラインを配置したドット群である単位領域を、当該単位領域を構成する前記複数の色の位置を入れ替えて副走査方向に配置するとともに、主走査方向に複数配置した不良ノズル検出用画像を構成する各々の前記単位領域を、前記読取装置で同一処理内で読み取る単位領域読取部と、
前記単位領域読取部で読み取った前記単位領域のRGB値を算出するRGB値算出部と、
前記RGB値算出部で算出した前記単位領域のRGB値を予め規定したRGB規定値と比較して前記吐出ノズルにおける吐出不良のノズルを判断する吐出不良判断部と、
として機能させるためのプログラム。
【請求項9】
液体を吐出する吐出ノズルをライン状に備えた吐出ヘッドと、前記吐出ノズルで描画できる画像解像度より低い解像度を有する読取装置と、を有する液体吐出装置における吐出不良ノズル検出方法であって、
主走査方向に複数の色を1ドットずつ配置するとともに副走査方向に前記読取装置で読み取り可能な長さのドットラインを配置したドット群である単位領域を、当該単位領域を構成する前記複数の色の位置を入れ替えて副走査方向に配置するとともに、主走査方向に複数配置した不良ノズル検出用画像を構成する各々の前記単位領域を、前記読取装置で同一処理内で読み取る単位領域読取工程と、
前記単位領域読取工程で読み取った前記単位領域のRGB値を算出するRGB値算出工程と、
前記RGB値算出工程で算出した前記単位領域のRGB値を予め規定したRGB規定値と比較して前記吐出ノズルにおける吐出不良のノズルを判断する吐出不良判断工程と、
を含むことを特徴とする吐出不良ノズル検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置、プログラムおよび吐出不良ノズル検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液体吐出装置は、例えば、高生産性を実現するための吐出対象物の搬送速度の高速度化や、吐出対象物としての幅広いメディアへの対応が求められている。また、従来の液体吐出装置においては、吐出される液体であるインクの増粘や紙紛のような異物の付着などによって一時的に吐出不良になったノズル(吐出不良ノズル)を、インライン検査装置で検知する技術が知られている。そして、従来の液体吐出装置においては、インライン検査装置での検知技術の高速度化対応およびメディア対応力も同様に必要であることが既に知られている。
【0003】
特許文献1には、インクジェット方式の画像形成装置において、記録解像度よりも低い解像度を有する読取手段を用いて、1ノズルごとに吐出異常の有無を判断する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の1ノズルごとに吐出異常の有無を判断する技術では、複数の色を同一処理内で吐出異常を検出するために、吐出したインクを1ドットライン上に重ねるパターンを用いた場合、特に浸透性の高いメディアに対して後から着弾するインクの発色が劣化して検知が困難である、という問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、画像の記録解像度よりも低い解像度を有する読取装置を用いて複数の色の吐出不良ノズルを同一処理内で検知するとともに、後から着弾する液体の発色の劣化を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、液体を吐出する吐出ノズルをライン状に備えた吐出ヘッドを有する液体吐出装置において、前記吐出ノズルで描画できる画像解像度より低い解像度を有する読取装置と、主走査方向に複数の色を1ドットずつ配置するとともに副走査方向に前記読取装置で読み取り可能な長さのドットラインを配置したドット群である単位領域を、当該単位領域を構成する前記複数の色の位置を入れ替えて副走査方向に配置するとともに、主走査方向に複数配置した不良ノズル検出用画像を構成する各々の前記単位領域を、前記読取装置で同一処理内で読み取る単位領域読取部と、前記単位領域読取部で読み取った前記単位領域のRGB値を算出するRGB値算出部と、前記RGB値算出部で算出した前記単位領域のRGB値を予め規定したRGB規定値と比較して前記吐出ノズルにおける吐出不良のノズルを判断する吐出不良判断部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像の記録解像度よりも低い解像度を有する読取装置を用いて複数の色の吐出不良ノズルを同一処理内で検知することができるとともに、後から着弾する液体の発色の劣化を防ぐことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態にかかる印刷装置の概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、印刷装置のヘッドユニットの一例の平面図である。
【
図3】
図3は、液体吐出ヘッドの構成を示す平面図である。
【
図4】
図4は、印刷装置のシステム構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、検出処理部の吐出不良ノズルの検出にかかる機能ブロック図である。
【
図6】
図6は、RGB規定値の決定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、RGB規定値の決定用画像の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、吐出不良ノズルの検出処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、吐出不良ノズル検出用の画像の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、吐出不良ノズル検出用の画像の別の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、従来技術と比べた本実施形態の効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、液体吐出装置、プログラムおよび吐出不良ノズル検出方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
ここで、
図1は実施の形態にかかる印刷装置1000の概略構成を示す図、
図2は印刷装置1000のヘッドユニット50の一例の平面図である。本実施形態にかかる印刷装置1000は、ライン型ヘッドであるヘッドユニット50を備えたライン型インクジェット記録装置である。
【0011】
液体吐出装置である印刷装置1000は、搬入手段1と、案内搬送手段3と、印刷手段5と、乾燥手段7と、排出手段9と、を備えている。
【0012】
搬入手段1は、記録媒体10を搬入する。案内搬送手段3は、搬入手段1から搬入された記録媒体10を印刷手段5に案内搬送する。印刷手段5は、ヘッドユニット50を備えて、記録媒体10に対して液体を吐出して画像を形成する印刷を行う。乾燥手段7は、記録媒体10を乾燥する。排出手段9は、記録媒体10を排出する。
【0013】
記録媒体10は、搬入手段1の元巻きローラ11から送り出され、搬入手段1、案内搬送手段3、乾燥手段7、排出手段9の各ローラによって案内、搬送されて、排出手段9の巻取りローラ91にて巻き取られる。
【0014】
記録媒体10は、印刷手段5において、搬送ガイド部材59上をヘッドユニット50に対向して搬送される。記録媒体10は、搬送される際に、ヘッドユニット50から吐出される液体によって画像が形成される。
【0015】
印刷手段5は、ヘッドユニット50の不良ノズルの検出を行うための読取装置であるインラインセンサ55を、ヘッドユニット50に対して記録媒体10の搬送方向下流側に設置する。インラインセンサ55は、ヘッドユニット50の印字結果を撮像するためのイメージセンサ(CCDラインセンサ等)を含む。インラインセンサ55は、イメージセンサによって読み取った打滴画像から、ヘッドユニット50のノズルの目詰まりその他の吐出不良をチェックする。
【0016】
ここで、ヘッドユニット50には、例えば、記録媒体10の搬送方向上流側から、3色分のフルライン型ヘッドアレイ51C、51M、51Y(以下、色の区別しないときは「ヘッドアレイ51」という。)が配置されている。
【0017】
各ヘッドアレイ51は、液体吐出手段であり、それぞれ、搬送される記録媒体10に対してシアンC、マゼンタM、イエローYの液体(インク)を吐出する。なお、色の種類及び数はこれに限るものではない。
【0018】
ヘッドアレイ51は、例えば、
図2に示すように、液体を吐出する吐出ヘッドである液体吐出ヘッド(これを、単に「ヘッド」ともいう。)100をベース部材52上に千鳥状に並べて配置したものであるが、これに限らない。
【0019】
ここで、
図3は液体吐出ヘッド100の構成を示す平面図である。
図3に示すように、液体吐出ヘッド100は、液体が吐出される吐出ノズルである複数のノズル150を、整列して備えるライン型ヘッドである。
図3に示すように、液体吐出ヘッド100は、隣り合うノズル150の間の長さxと長さyに対して、x<yになるときのX方向を主走査方向(ノズル列方向)と、Y方向を副走査方向と、定義する。すなわち、液体吐出ヘッド100のノズル列に平行な方向を主走査方向、液体吐出ヘッド100のノズル列に垂直な方向を副走査方向と定義する。
【0020】
なお、
図3に示す液体吐出ヘッド100は、主走査方向に並ぶノズル150の列を2つ有しているが、ノズル150の列の数は2つに限るものではない。また、主走査方向に並ぶノズル150の数も、
図3に示す数に限るものではない。
【0021】
なお、本実施形態においては、印刷装置1000としてライン型インクジェット記録装置を適用した例について説明したが、これに限るものではなく、キャリッジが走査するシリアル型(シャトル型)インクジェット記録装置にも同様に適用することができる。この場合、インラインセンサ55はキャリッジに固定してもよい。
【0022】
次に、印刷装置1000のシステム構成について説明する。
【0023】
ここで、
図4は印刷装置1000のシステム構成例を示すブロック図である。
図4に示すように、印刷装置1000は、通信インターフェース1001、システム制御部1002、画像メモリ1003、検出処理部1004、インラインセンサ55、搬送モータドライバ1005、維持・供給ドライバ1006、プリント制御部1007、ヘッドドライバ1008等を備えている。
【0024】
通信インターフェース1001は、ホストコンピュータHCから送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。ホストコンピュータHCから送出された画像データは、通信インターフェース1001を介して印刷装置1000に取り込まれ、一旦画像メモリ1003に記憶される。
【0025】
画像メモリ1003は、通信インターフェース1001を介して入力された画像データを一旦格納する記憶手段である。画像メモリ1003は、システム制御部1002を通じてデータの読み書きが行われる。
【0026】
システム制御部1002は、中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)及びその周辺回路等から構成される。システム制御部1002は、所定のプログラムに従って印刷装置1000の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。即ち、システム制御部1002は、通信インターフェース1001、画像メモリ1003、検出処理部1004、インラインセンサ55、搬送モータドライバ1005、維持・供給ドライバ1006等の各部を制御している。
【0027】
画像メモリ1003には、システム制御部1002のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。画像メモリ1003は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
【0028】
インラインセンサ55は、イメージセンサを含むブロックである。インラインセンサ55は、記録媒体10に印字された画像を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(RGB値等)を検出する。インラインセンサ55は、検出結果を、システム制御部1002を介して検出処理部1004に提供する。
【0029】
検出処理部1004は、インラインセンサ55から得られる情報に基づいて、液体吐出ヘッド100における吐出不良ノズルの有無を判断する。検出処理部1004は、当該吐出不良ノズルに対して予備吐出や吸引を行うように、システム制御部1002を介して維持・供給ドライバ1006へ制御信号を送出する。即ち、検出処理部1004は、本実施形態に示す印刷装置1000において行われるインライン検査の制御部として機能している。
【0030】
なお、検出処理部1004は、システム制御部1002やプリント制御部1007の機能ブロックとして、これらに内蔵される態様であってもよい。
【0031】
搬送モータドライバ1005は、システム制御部1002からの指示にしたがって、搬入手段1、案内搬送手段3、排出手段9などに設けられるモータ等を駆動するドライバである。
【0032】
維持・供給ドライバ1006は、システム制御部1002からの指示に従って、液体吐出ヘッド100に対する送液ポンプと電磁弁群を駆動制御する供給系ブロックや、液体吐出ヘッド100のキャップに繋がる吸引ポンプと電磁弁群を駆動制御する維持系ブロックを駆動するドライバである。
【0033】
プリント制御部1007は、システム制御部1002の指示に従い、画像メモリ1003内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有する。プリント制御部1007は、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッドドライバ1008に供給する制御部である。プリント制御部1007は、所要の信号処理が施された画像データに基づいて、ヘッドドライバ1008を介して液体吐出ヘッド100の吐出液滴量(打滴量)や吐出タイミングの制御を行う。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
【0034】
ヘッドドライバ1008は、プリント制御部1007から与えられる画像データに基づいて液体吐出ヘッド100の圧電素子に印加される駆動信号を生成するとともに、該駆動信号を圧電素子に印加して圧電素子を駆動する駆動回路を含んで構成される。
【0035】
続いて、印刷装置1000が実現する液体吐出ヘッド100における吐出不良ノズルの回復機能について説明する。
【0036】
ここで、
図5は検出処理部1004の吐出不良ノズルの検出にかかる機能ブロック図である。
図5に示すように、検出処理部1004は、単位領域読取部1011と、RGB値算出部1012と、吐出不良判断部1013と、第1画像印刷部1014と、判断領域読取部1015と、規定値設定部1016と、第2画像印刷部1017と、を備える。
【0037】
単位領域読取部1011は、主走査方向に複数の色を1ドットずつ配置するとともに副走査方向にインラインセンサ55で読み取り可能な長さのドットラインを配置したドット群である単位領域を、当該単位領域を構成する複数の色の位置を入れ替えて副走査方向に配置するとともに、主走査方向に複数配置した不良ノズル検出用画像を構成する各々の単位領域を、インラインセンサ55で同一処理内で読み取る。不良ノズル検出用画像については、後述する。
【0038】
RGB値算出部1012は、単位領域読取部1011で読み取った単位領域のRGB値を算出する。
【0039】
吐出不良判断部1013は、RGB値算出部1012で算出した単位領域のRGB値を予め規定したRGB規定値と比較して吐出ノズルにおける吐出不良のノズルを判断する。
【0040】
第1画像印刷部1014は、不良ノズル検出用画像を印刷する。
【0041】
判断領域読取部1015は、不良ノズル検出用画像に加えて、単位領域と同じ大きさの面積をもつ画像領域にドットラインを1ライン有した判断領域を、当該ドットラインの位置を入れ替えて副走査方向に複数の色毎に配置するとともに、主走査方向に複数配置したRGB規定値の決定用画像を構成する各々の判断領域および各々の単位領域を、インラインセンサ55で同一処理内で読み取る。
【0042】
規定値設定部1016は、判断領域読取部1015で読み取った判断領域のドットラインの有無から吐出ノズルにおける吐出不良のノズルが存在しないと判断した判断領域に対応する単位領域のRGB値を、RGB規定値として定める。
【0043】
第2画像印刷部1017は、RGB規定値の決定用画像を印刷する。
【0044】
まず、RGB規定値の決定に関する処理について説明する。
【0045】
ここで、
図6はRGB規定値の決定処理の流れを示すフローチャートである。
【0046】
図6に示すように、検出処理部1004(第2画像印刷部1017)は、まず、画像メモリ1003に予め格納したRGB規定値の決定用画像について、システム制御部1002およびプリント制御部1007を介して印刷を実行する(ステップS1)。
【0047】
ここで、RGB規定値の決定用画像について説明する。ここで、
図7はRGB規定値の決定用画像I1の一例を示す図である。なお、ここでは、例として3色CMYの液体吐出ヘッド100での画像について説明する。ただし、2色以下または4色以上で行ってもよいことは言うまでもない。
【0048】
図7に示すように、RGB規定値の決定用画像I1は、シアンドットライン101、マゼンタドットライン102、イエロードットライン103を主走査方向に隣接して配置する。RGB規定値の決定用画像I1は、副走査方向におけるインラインセンサ55で読み取り可能な長さLの範囲を、単位領域とする。印刷装置1000は、この単位領域のRGB値を読み取り、検出処理部1004で基準値と比較して液体吐出ヘッド100における吐出不良ノズルを検知する。
【0049】
RGB規定値の決定用画像I1は、
図7に示す単位領域104、105、106のように、単位領域を構成する複数の色の位置を入れ替えて副走査方向に配置する。こうすることで、単位領域104、105、106に着弾することができる全ての色のノズルの吐出状態を確認することができる。
【0050】
RGB規定値の決定用画像I1は、
図7に示すように、単位領域104、105、106の組み合わせを、主走査方向に隙間なく配置する。
図7に示すように、単位領域104、105、106の組み合わせを、主走査方向に隙間なく配置したRGB規定値の決定用画像I1を用いることで、読み取り解像度を一定に保ちつつ全てのノズルで吐出不良ノズルの検知が可能となる。
【0051】
また、RGB規定値の決定用画像I1は、
図7に示すように、単位領域104と同じ大きさの面積をもつ画像領域にシアンドットラインを1ライン有した判断領域107と、判断領域107と同様でシアンドットラインの位置を1ドット分だけ主走査方向にずらした判断領域108と、判断領域107と同様でシアンドットラインの位置を更に1ドット分だけ主走査方向にずらした判断領域109と、を単位領域104、105、106の副走査方向に配置する。
【0052】
ここで、判断領域107,108,109には1つの正常なノズルから吐出されたドットラインが存在するか、吐出不良ノズルにより全く存在しないかのいずれかの状態になる。すなわち、検査範囲内にあるドットラインの有無でノズル異常を判断することができる。
【0053】
例えば、判断領域107にシアンドットラインの存在をインラインセンサ55で読み取るか、もしくは判断領域107にシアンドットが目視で確認できる場合、シアンドット101は正常に吐出していると判断する。同様に、判断領域108で確認した場合は単位領域105のシアンドットが正常に吐出できているかを、判断領域109で確認した場合は単位領域106のシアンドットが正常に吐出できているかを確認することができる。
【0054】
なお、
図7のRGB規定値の決定用画像I1は、判断領域107,108,109にシアンドットラインのみを示しているが、実際には、単位領域を構成するすべての色で判断領域107,108,109に対応する判断領域を配置するものとする。
【0055】
以上のように、
図7のRGB規定値の決定用画像I1は、単位領域と判断領域の組み合わせを主走査方向に隙間なく配置したものである。
【0056】
図6に戻り、検出処理部1004(規定値設定部1016)は、インラインセンサ55を用いて、印刷したRGB規定値の決定用画像I1の各々の単位領域のRGB値を算出して記憶するとともに(ステップS2)、各々の判断領域のドットラインの有無を読み取る(ステップS3)。なお、判断領域のドットラインの有無を目視で判断する場合には、ステップS3の処理は不要である。
【0057】
なお、検出処理部1004(規定値設定部1016)は、判断領域のドットラインの有無の判断について、例えば、インラインセンサ55で読み取ったRGB値と、記録媒体10の白紙部のRGB値とを比較して判断する制御を行う。
【0058】
次いで、検出処理部1004(規定値設定部1016)は、RGB規定値の決定用画像I1の判断領域のドットラインの有無から液体吐出ヘッド100における吐出不良ノズルの有無を判断する(ステップS4)。
【0059】
RGB規定値の決定用画像I1の判断領域のドットラインの有無から吐出不良ノズルが存在すると判断した場合(ステップS4のYes)、維持・供給ドライバ1006は、システム制御部1002を介して吐出不良ノズルの回復動作を行う(ステップS5)。
【0060】
ここで、吐出不良ノズルの回復動作について説明する。液体吐出ヘッド100における吐出不良ノズルは、クリーニング動作を行うことで回復させることができる。クリーニング動作とは、例えば、ノズルからインク受け部に向けて強くインクを吐出させるフラッシング動作や、インク受け部の底面に接続したチューブにポンプを設けて圧力室内のインクを吸引する動作などがある。回復動作は、液体吐出ヘッド100における吐出不良ノズルを検出した場合に自動で行っても良いし、ユーザーに警告灯などで液体吐出ヘッド100における吐出不良ノズルの有無を知らせる仕組みでも良い。
【0061】
ステップS5における吐出不良ノズルの回復動作が終了した場合、ステップS1に戻り、検出処理部1004(第2画像印刷部1017)は、再度、RGB規定値の決定用画像I1を印刷した後、ステップS2~S4の処理を行う。
【0062】
一方、RGB規定値の決定用画像I1の判断領域のドットラインの有無から吐出不良ノズルが存在しないと判断した場合(ステップS4のNo)、検出処理部1004(規定値設定部1016)は、その判断領域と対応する単位領域のRGB値を規定値として定め、保存する(ステップS6)。
【0063】
なお、吐出不良ノズルを目視で判断する場合においては、吐出不良ノズルの回復動作を行った後に、再度RGB規定値の決定用画像I1の印刷を行うか、単位領域のRGB値を規定値として保存するかを、通信インターフェース1001を介して選択および命令するようにすればよい。
【0064】
続いて、液体吐出ヘッド100における吐出不良ノズルの検出処理について説明する。
【0065】
ここで、
図8は吐出不良ノズルの検出処理の流れを示すフローチャートである。
図8に示すように、検出処理部1004(第1画像印刷部1014)は、まず、画像メモリ1003に予め格納した不良ノズル検出用画像である吐出不良ノズル検出用の画像について、システム制御部1002およびプリント制御部1007を介して印刷を実行する(ステップS11)。
【0066】
ここで、吐出不良ノズル検出用の画像について説明する。ここで、
図9は吐出不良ノズル検出用の画像I2の一例を示す図である。なお、ここでは、例として3色CMYの液体吐出ヘッド100での画像について説明する。ただし、2色以下または4色以上で行ってもよいことは言うまでもない。
【0067】
図9に示すように、吐出不良ノズル検出用の画像I2は、シアンドットライン101、マゼンタドットライン102、イエロードットライン103を主走査方向に隣接して配置する。吐出不良ノズル検出用の画像I2は、副走査方向におけるインラインセンサ55で読み取り可能な長さLの範囲を、単位領域とする。印刷装置1000は、この単位領域のRGB値を読み取り、検出処理部1004で基準値と比較して液体吐出ヘッド100における吐出不良ノズルを検知する。
【0068】
吐出不良ノズル検出用の画像I2は、
図9に示す単位領域104、105、106のように、単位領域を構成する色の位置を入れ替えて副走査方向に配置する。こうすることで、単位領域104、105、106に着弾することができる全ての色のノズルの吐出状態を確認することができる。
【0069】
吐出不良ノズル検出用の画像I2は、
図9に示すように、単位領域104、105、106の組み合わせを、主走査方向に隙間なく配置する。
図9に示すように、単位領域104、105、106の組み合わせを、主走査方向に隙間なく配置した吐出不良ノズル検出用の画像I2を用いることで、読み取り解像度を一定に保ちつつ全てのノズルで吐出不良ノズルの検知が可能となる。このように単位領域104、105、106を副走査方向に隣接させて配置する構成の場合、紙面に隙間なく配置するため吐出不良ノズルの検出に必要な紙量を最小限にすることができ、吐出不良ノズルの検出による損紙を最小限にすることができる。
【0070】
図8に戻り、検出処理部1004(単位領域読取部1011、RGB値算出部1012)は、インラインセンサ55を用いて、印刷した吐出不良ノズル検出用の画像I2の各々の単位領域を同一処理内で読み取って、読み取った単位領域のRGB値を算出して記憶し、検出処理部1004へデータを送出する(ステップS12)。
【0071】
次いで、検出処理部1004(吐出不良判断部1013)は、ステップS12で取得したRGB値と
図6のステップS6で予め決定したRGB規定値とを比較する(ステップS13)。
【0072】
検出処理部1004(吐出不良判断部1013)は、ステップS12で取得したRGB値がそれぞれRGB規定値であれば(ステップS13のYes)、液体吐出ヘッド100における吐出不良ノズルはないと判断し、吐出不良ノズルの検出処理を終了する。
【0073】
一方、検出処理部1004(吐出不良判断部1013)は、ステップS12で取得したRGB値がそれぞれRGB規定値でなければ(ステップS13のNo)、液体吐出ヘッド100における吐出不良ノズルの検出を行う(ステップS14)。吐出不良ノズルの検出は、例えば以下のように判断する。
【0074】
・ステップS12で取得したR値がR規定値を超えている場合、シアン以外のマゼンタドットとイエロードットによって赤の色成分が強く検出されている状態となっている。そのため、該単位領域を構成するシアンのノズルが吐出不良ノズルであると特定できる。
・ステップS12で取得したG値がG規定値を超えている場合、マゼンタ以外のシアンドットとイエロードットによって緑の色成分が強く検出されている状態となっている。そのため、該単位領域を構成するマゼンタのノズルが吐出不良ノズルであると特定できる。
・ステップS12で取得したB値がB規定値を超えている場合、イエロー以外のシアンドットとマゼンタドットによって青の色成分が強く検出されている状態となっている。そのため、該単位領域を構成するイエローのノズルが吐出不良ノズルであると特定できる。
【0075】
続いて、維持・供給ドライバ1006は、検出した吐出不良ノズルに対してシステム制御部1002を介して吐出不良ノズルの回復動作を行う(ステップS15)。吐出不良ノズルの回復動作については、前述したステップS5における吐出不良ノズルの回復動作と同じである。
【0076】
ステップS15における吐出不良ノズルの回復動作が終了した場合、ステップS11に戻り、検出処理部1004(第1画像印刷部1014)は、再度、吐出不良ノズル検出用の画像I2を印刷した後、ステップS12~S13の処理を行う。
【0077】
以上説明したS11~S15の処理は、吐出不良ノズルが検出されなくなるまで(ステップS13のYes)、繰り返される。
【0078】
例えば、従来の1ノズルごとに吐出異常の有無を判断する技術では、複数の色を同一処理内で吐出異常を検出するために、吐出したインクを1ドットライン上に重ねるパターンを用いた場合、特に浸透性の高いメディアに対して後から着弾するインクの発色が劣化して検知が困難である、という問題があった。
【0079】
この点、本実施形態によれば、液体吐出ヘッド100(3色CMY)について、以下の構成を有する吐出不良ノズル検出用の画像I2を用いる。
・シアンドットラインとマゼンタドットラインとイエロードットラインを主走査方向に1ドットずつ隣接するように配置した画像領域(単位領域)を有する。
・構成するドットの配置を入れ替えた単位領域を上記単位領域の副走査(印刷)方向下流部に有する。
【0080】
そして、本実施形態によれば、印刷した単位領域のRGB値をインラインセンサ55で読み取り、予め取得した規定値と比較することで吐出不良ノズルを検知する。
【0081】
このようにすることで、1ドットラインのRGB値ではなく複数の色で構成された1ドットラインより主走査方向に広い画像領域のRGB値で判断するため、画像の記録解像度よりも低い解像度を有するインラインセンサ55を用いて複数の色の吐出不良ノズルを同一処理内で検知することができる。ここで、
図11は従来技術と比べた本実施形態の効果を示す図である。
図11(a)に示すように、従来技術のように1ドットラインで判断する場合には長さaの範囲の色の違いを識別できなくてはならない。一方、
図11(a)に示すように、本実施形態によれば、3色の色を隣り合わせた場合、長さb全体の色の違いを識別できれば良い。つまり、長さaに比べて長さbは1/3の読み取り解像度を有するインラインセンサ55で行うことができる。
【0082】
加えて、
図11(b)に示すように、本実施形態によれば、インラインセンサ55が読み取る領域は副走査方向で同じであるため、読み取り解像度を一定に保ちつつ全てのノズルで吐出不良ノズルを検知することができる。一方、
図11(b)に示すように、従来技術によれば読取領域を長さaだけ主走査方向にシフトさせる必要があるため、インラインセンサ55に長さaの読み取り解像度が必要となる。
【0083】
また、本実施形態によれば、複数の色のドットを隣接した位置に着弾させるため、従来技術のように複数の色のドットを1ラインになるように同一位置に着弾することによる後から着弾するインクの発色の劣化を防ぐことができる。また、本実施形態によれば、ドットがあるかないかではなく、記録媒体に発色があるかないかを判断するので、ドット形状の確認は行わないため普通紙等のドット形状が不定形なメディアでも使用することができる。
【0084】
なお、本実施形態においては、吐出不良ノズル検出用の画像I2は、
図9に示すように、単位領域104、105、106の組み合わせを、主走査方向に隙間なく配置するものとしたが、これに限るものではない。ここで、
図10は吐出不良ノズル検出用の画像I2の別の一例を示す図である。例えば、
図10に示すように、吐出不良ノズル検出用の画像I2は、単位領域104、105、106を他の単位領域に接しないように千鳥状に配置する構成としてもよい。このように単位領域104、105、106を主走査方向および副走査方向に格子状にずらして配置する構成の場合、記録媒体10の種類がドットが広がりやすい普通紙などである場合に、隣接する単位領域が合一して濃度が変化するのを防ぐことで、液体吐出ヘッド100における吐出不良ノズルを検出しやすくすることができる。
【0085】
なお、本実施の形態の液体吐出装置である印刷装置1000で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
【0086】
本実施の形態の液体吐出装置である印刷装置1000で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0087】
さらに、本実施の形態の液体吐出装置である印刷装置1000で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態の液体吐出装置である印刷装置1000で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0088】
本実施の形態の印刷装置1000で実行されるプログラムは、上述した各部(単位領域読取部1011、RGB値算出部1012、吐出不良判断部1013、第1画像印刷部1014、判断領域読取部1015、規定値設定部1016、第2画像印刷部1017)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、単位領域読取部1011、RGB値算出部1012、吐出不良判断部1013、第1画像印刷部1014、判断領域読取部1015、規定値設定部1016、第2画像印刷部1017が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0089】
また、上記で説明した実施形態の各機能(単位領域読取部1011、RGB値算出部1012、吐出不良判断部1013、第1画像印刷部1014、判断領域読取部1015、規定値設定部1016、第2画像印刷部1017)は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0090】
本願において、「液体吐出装置」は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体吐出装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0091】
この「液体吐出装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0092】
例えば、「液体吐出装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0093】
また、「液体吐出装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0094】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0095】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0096】
また、「液体」は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0097】
また、「液体吐出装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0098】
また、「液体吐出装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液をノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0099】
最後に、上述の実施の形態は、一例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことも可能である。また、実施の形態及び実施の形態の変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0100】
55 読取装置
100 吐出ヘッド
150 吐出ノズル
1000 液体吐出装置
1011 単位領域読取部
1012 RGB値算出部
1013 吐出不良判断部
1014 第1画像印刷部
1015 判断領域読取部
1016 規定値設定部
1017 第2画像印刷部
I1 RGB規定値の決定用画像
I2 不良ノズル検出用画像
【先行技術文献】
【特許文献】
【0101】