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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164119
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】洗浄装置、及び、その監視方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 643A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075465
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】孫 暁征
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AB02
5F157AB16
5F157AB33
5F157AB90
5F157AC01
5F157AC13
5F157BB22
5F157BB45
5F157CB15
5F157CD29
5F157CF20
5F157CF22
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF50
5F157DC21
5F157DC90
(57)【要約】
【課題】 部品点数が少なく、かつ、小型な構成で実現可能な新規な構成の洗浄装置、及び、その監視方法を提供する。
【解決手段】被洗浄物を保持する保持ユニットと、該保持ユニットで保持された被洗浄物に洗浄流体を噴射する噴射部を有した洗浄ノズルと、該保持ユニットと該洗浄ノズルとを収容する収容チャンバと、を備えた洗浄装置であって、該収容チャンバには吸引源に接続された排気口が形成され、該洗浄装置は、該排気口に隣接して配設された圧電素子と、該洗浄ノズルの該噴射部を該被洗浄物に対向する洗浄位置と、該圧電素子に対向する噴射圧検出位置と、該洗浄位置及び該噴射圧検出位置以外の退避位置と、に該噴射部を位置づける位置づけユニットと、を備え、該圧電素子は、該噴射圧検出位置に位置づけられた該洗浄ノズルから噴射される洗浄流体の圧力を検出するとともに、少なくとも被洗浄物の洗浄中に該排気口から排気される排気の圧力を検出する、洗浄装置とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物を保持する保持ユニットと、
該保持ユニットで保持された被洗浄物に洗浄流体を噴射する噴射部を有した洗浄ノズルと、
該保持ユニットと該洗浄ノズルとを収容する収容チャンバと、
を備えた洗浄装置であって、
該収容チャンバには吸引源に接続された排気口が形成され、
該洗浄装置は、
該排気口に隣接して配設された圧電素子と、
該洗浄ノズルの該噴射部を該被洗浄物に対向する洗浄位置と、該圧電素子に対向する噴射圧検出位置と、該洗浄位置及び該噴射圧検出位置以外の退避位置と、に該噴射部を位置づける位置づけユニットと、を備え、
該圧電素子は、該噴射圧検出位置に位置づけられた該洗浄ノズルから噴射される洗浄流体の圧力を検出するとともに、
少なくとも被洗浄物の洗浄中に該排気口から排気される排気の圧力を検出する、
洗浄装置。
【請求項2】
該圧電素子で検出される該排気の圧力が許容値よりも低い場合に異常判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
該圧電素子で検出される該洗浄流体の圧力が上限許容値より高い場合、
又は、
該圧電素子で検出される該洗浄流体の圧力が下限許容値より低い場合、
に異常判定する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
異常判定がされた際に、警告を発信する、
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の洗浄装置。
【請求項5】
該保持ユニットはスピンナテーブルであり、
該スピンナテーブルと該圧力センサ間にカバー壁が設けられる、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の洗浄装置。
【請求項6】
被洗浄物を保持する保持ユニットと、
該保持ユニットで保持された被洗浄物に洗浄流体を噴射する噴射部口を有した洗浄ノズルと、該保持ユニットと該洗浄ノズルとを収容する収容チャンバと、
を備えた洗浄装置の監視方法であって、
該収容チャンバに形成された排気口に隣接して配置された圧電素子により、該排気口から排気される排気の圧力を検出するステップと、
該圧電素子で検出された検出値に基づいて異常判定をするステップと、
異常判定がされた場合に、警告を行うステップと、
を含む、洗浄装置の監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物を洗浄する洗浄装置、及び、その監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1、2に開示されるように、板状の被加工物について切削装置やレーザ加工装置で加工を行った後、洗浄装置にて被加工物の表面に付着した切削屑や保護液などを洗浄して除去することが知られている。
【0003】
洗浄装置には、収容チャンバに収容された被加工物に対して洗浄流体が噴射される洗浄ノズルと、吸引源に排気ダクトを通じて接続された排気口が設けられており、洗浄中に発生する汚染されたミスト(洗浄流体や切削屑等を含む霧)が排気口から吸引して排気される。
【0004】
しかし、吸引源の故障等により充分に排気されないと、汚染されたミストが被洗浄物に付着してしまい被洗浄物を汚染しかねない。また、洗浄流体の供給量が所定の値に満たない場合には、被洗浄物を充分洗浄できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-73930号公報
【特許文献2】特開2015-205262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上の問題に対し、排気ダクトの排気量を監視するとともに、洗浄ノズルに供給される洗浄流体の流量を監視することが検討される。
【0007】
この場合、排気ダクトの排気量を監視する手段や、洗浄ノズルの洗浄流体の流量を監視する手段を設置する必要があるが、各手段を個別に設けて設置する場合には、部品点数の増加や装置全体の大型化が懸念される。
【0008】
以上の問題に鑑み、本発明の目的は、部品点数が少なく、かつ、小型な構成で実現可能な新規な構成の洗浄装置、及び、その監視方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
本発明の一態様によれば、被洗浄物を保持する保持ユニットと、該保持ユニットで保持された被洗浄物に洗浄流体を噴射する噴射部を有した洗浄ノズルと、該保持ユニットと該洗浄ノズルとを収容する収容チャンバと、を備えた洗浄装置であって、該収容チャンバには吸引源に接続された排気口が形成され、該洗浄装置は、該排気口に隣接して配設された圧電素子と、該洗浄ノズルの該噴射部を該被洗浄物に対向する洗浄位置と、該圧電素子に対向する噴射圧検出位置と、該洗浄位置及び該噴射圧検出位置以外の退避位置と、に該噴射部を位置づける位置づけユニットと、を備え、該圧電素子は、該噴射圧検出位置に位置づけられた該洗浄ノズルから噴射される洗浄流体の圧力を検出するとともに、少なくとも被洗浄物の洗浄中に該排気口から排気される排気の圧力を検出する、洗浄装置とする。
【0011】
また、本発明の一態様によれば、該圧電素子で検出される該排気の圧力が許容値よりも低い場合に異常判定する、こととする。
【0012】
また、本発明の一態様によれば、該圧電素子で検出される該洗浄流体の圧力が上限許容値より高い場合、又は、該圧電素子で検出される該洗浄流体の圧力が下限許容値より低い場合、に異常判定する、こととする。
【0013】
また、本発明の一態様によれば、異常判定がされた際に、警告を発信する、こととする。
【0014】
また、本発明の一態様によれば、該保持ユニットはスピンナテーブルであり、該スピンナテーブルと該圧力センサ間にカバー壁が設けられる、こととする。
【0015】
また、本発明の一態様によれば、被洗浄物を保持する保持ユニットと、該保持ユニットで保持された被洗浄物に洗浄流体を噴射する噴射部口を有した洗浄ノズルと、該保持ユニットと該洗浄ノズルとを収容する収容チャンバと、を備えた洗浄装置の監視方法であって、該収容チャンバに形成された排気口に隣接して配置された圧電素子により、該排気口から排気される排気の圧力を検出するステップと、該圧電素子で検出された検出値に基づいて異常判定をするステップと、異常判定がされた場合に、警告を行うステップと、を含む、洗浄装置の監視方法とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明の一態様によれば、1つの圧電素子により、ミストの排気の圧力や洗浄流体の圧力や流量を検出することができ、部品点数が少なく、かつ、小型な構成を実現することができる。また、圧電素子の出力から排気圧力や排気ダクトの排気量を算出して、適正な排気圧力や排気量が維持されているかを監視することも可能である。また、圧電素子の出力から洗浄流体の圧力や噴射量を算出して、適正な圧力や流量の洗浄流体が噴射されているかを監視することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る洗浄装置の構成について示す斜視図。
図2】本発明の一実施形態に係る洗浄装置の構成について示す平面図。
図3】排気口と圧電素子の配置について説明する図。
図4】排気口と圧電素子の配置について説明する図。
図5】洗浄流体の圧力の検出について説明する図。
図6】洗浄ノズルが噴射圧検出位置に位置づけられた状態について説明する図。
図7】監視の方法の一例を示すフローチャート。
図8】排気の圧力の検出ステップにて圧電素子で検出される電圧の変化について説明する図。
図9】洗浄流体の圧力の検出ステップにて噴射圧力不足が生じた場合の例について説明する図。
図10】洗浄流体の圧力の検出ステップにて噴射圧力が高すぎる場合の例について説明する図。
図11】洗浄流体の圧力の検出ステップにて噴射圧力が適正な範囲内にあることが確認される場合の例について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施の形態に係る洗浄装置の斜視図であり、図2は平面図である。
【0019】
図1に示すように、洗浄装置1は、保持ユニット3に保持される被洗浄物の表面を洗浄するように構成される。図2に示すように、被洗浄物Wは、例えば円板状の板状物であるウェーハであり、被洗浄物Wには、格子状に配置される分割予定ラインに沿って切削溝Sが形成され、複数のデバイスチップCに分割されている。
【0020】
なお、被洗浄物Wは特に限定されるものではなく、例えば、シリコン、ガリウムヒ素等の半導体基板にIC、LSI等のデバイスが形成された半導体ウェーハでもよいし、サファイア系の無機材料基板にLED等の光デバイスが形成された光デバイスウェーハでもよい。また、セラミック、ガラス等の基板でもよい。図2に示す被洗浄物Wは、テープTを介して環状フレームFに支持される。
【0021】
図1に示すように、洗浄装置1は、円筒状の周壁部21と底壁部22とを有する有底筒状の収容チャンバ2を有している。収容チャンバ2は、底壁部22の下面から延びる複数(本実施の形態では3本)の脚部23によって支持されている。収容チャンバ2内には、保持ユニット3と、洗浄ノズル4が収容される。なお、洗浄ノズル4に加え、洗浄後の被洗浄物Wの表面を乾燥させるためのエアーノズルが設けられることとしてもよい。
【0022】
図1及び図2に示すように、保持ユニット3は、高速回転する円盤状のスピンナテーブルとして構成されており、その上面に多孔質材料からなる保持面3aが形成されている。保持面3aは図示せぬ吸引源に接続されており、保持面3a上に生じる負圧によって被洗浄物W(図2)がテープT(図2)を介して吸引保持される。
【0023】
図1及び図2に示すように、保持ユニット3の側面には、4箇所に振り子式のクランプ3b,3bが設けられており、図2に示すように、保持ユニット3の回転に伴ってクランプ3b,3bが傾倒し、環状フレームFをクランプして保持する。
【0024】
図1に示すように、保持ユニット3の下部中央には、電動モータ31の駆動軸32の上端部が固定されている。駆動軸32は、収容チャンバ2の下方に位置する電動モータ31から上方に延在し、底壁部22の中心部に貫通形成された開口部22kを通って保持ユニット3に接続される。また、駆動軸32の上端側には、底壁部22に形成された開口部22kを覆うように下方に開口された筒状のカバー33が設けられている。
【0025】
図1に示すように、電動モータ31の外周面には、複数(本実施の形態では3つ)のエアシリンダ34が取り付けられている。電動モータ31は、各エアシリンダ34を介してピストンロッド35によって支持されており、ピストンロッド35の伸縮によって昇降駆動される。以上のようにして、保持ユニット3は、電動モータ31によって収容チャンバ2内で高速回転されるように構成されるとともに、複数のエアシリンダ34によって被洗浄物W(図2)を載置する載置位置(上昇位置)と洗浄が行われる洗浄位置(下降位置)との間で昇降駆動されるように構成される。
【0026】
図1に示すように、洗浄ノズル4は、保持ユニット3の上方で旋回可能な旋回アーム41と、旋回アーム41の先端に構成される噴射部42を有して構成される。図2に示すように、旋回アーム41は位置づけユニット47によって旋回するように駆動され、洗浄時においては、噴射部42が保持ユニット3の保持面3aの上方を移動するように旋回アーム41が旋回されるとともに、噴射部42から被洗浄物Wに向けて洗浄流体が噴射される。洗浄がされないときには、噴射部42は、保持ユニット3の保持面3aの上方から外れた退避位置P1(図2)に位置づけられる。
【0027】
図2に示すように、位置づけユニット47は、例えば、旋回アーム41を水平面内で旋回させる駆動モータにて構成することができ、洗浄ノズル4の噴射部42を被洗浄物Wに対向する洗浄位置と、後述する圧電素子61に対向する噴射圧検出位置P2(図6)と、洗浄位置及び噴射圧検出位置以外の退避位置P1(図2)と、に噴射部42を位置づける。
【0028】
図1に示すように、収容チャンバ2の底壁部22に形成された排水穴22aにはドレインホース28が接続されており、洗浄時に生じた排液がドレインホース28を介して外部へと排出される。
【0029】
図1及び図2に示すように、収容チャンバ2には吸引源27bに接続された排気口26が形成される。本実施例では、排気口26は、収容チャンバ2の周壁部21に形成される円形の貫通穴で構成される。図1に示すように、排気口26は、収容チャンバ2の外部に設けられる制御弁27aを介して吸引源27bに接続される。洗浄装置1の稼働中は制御弁27aが常時開かれており、収容チャンバ2内からのミストや空気などの排気が行われる。
【0030】
図3及び図4に示すように、排気口26に隣接して圧電素子61が設けられる。圧電素子61は、例えば、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、タンタル酸リチウム等の圧電セラミックスを用いた市販の薄型力センサにて構成することができ、防水用フィルムなどのカバーで覆った状態で設置されることができる。また、圧電素子は、圧縮によりマイナス電圧が出力されて基準電圧よりも低い電圧が出力されるものであり、逆に圧縮が開放されることでプラス電圧が出力される。このように、圧電素子では、検知する圧力が高くなるほど、低い電圧(マイナス電圧)が出力され、検知する圧力が低くなるほど、高い電圧(プラス電圧)が出力される。
【0031】
図3及び図4に示すように、圧電素子61は、周壁部21の内壁面21aから水平方向に突出するように設けられる支持板24の上面に載置され、圧電素子61の上面に形成される感圧面61aが上方に露出しつつ水平となるように配設される。感圧面61aは、図4に示すように、側面視において排気口26の開口の範囲内に収まるように配設される。
【0032】
図3及び図4に示すように、支持板24には、圧電素子61を挟んで排気口26に対向するように設けられる正面壁部25aと、正面壁部25aの一側端部に連続し正面壁部25aと内壁面21aの間の隙間を埋めるように設けられる側壁部25bと、が立設される。本実施例では、正面壁部25aと側壁部25bにより平面視において略L字状のカバー壁25が形成され、このカバー壁25(正面壁部25a,側壁部25b)と支持板24と周壁部21の内壁面21aによって囲まれるセンサ収容空間29が形成される。
【0033】
図3及び図4に示すように、カバー壁25の側壁部25bは、正面壁部25aにおいて保持ユニット3(図2)の回転方向Lの上流側に配置され、センサ収容空間29の上流側が側壁部25bによって閉じられる。一方で、正面壁部25aの下流側は開放されて吸引路25cが形成される。
【0034】
以上の構成により、スピンナテーブルで構成される保持ユニット3と圧力センサ51間にカバー壁25が形成され、保持ユニット3(図2)が回転方向Lに回転することにより生じる気流がカバー壁25(側壁部25b)によって遮られ、センサ収容空間29に気流が進入することが防止される。これにより、圧電素子61の計測値が気流の影響によって変動することを防止できる。
【0035】
一方で、図3及び図4に示すように、吸引路25cからは収容チャンバ2内に漂うミストMがセンサ収容空間29内の負圧によって吸引され、排気口26を通じて収容チャンバ2の外部へと排出される。
【0036】
圧電素子61では、センサ収容空間29を通じて排気口26に流れ込む排気の圧力が常時検出され、コントローラ80にて検出された圧力が監視される。
【0037】
図5に示すように、洗浄ノズル4の噴射部42には、流体噴射ノズル44と、エアーノズル46と、が設けられる。流体噴射ノズル44は、エア供給源71と液体供給源72に接続されており、エア(空気)と液体(純水などの洗浄液)を混合してなる洗浄流体45(二流体)が流体噴射ノズル44から噴射され、被洗浄物の表面が洗浄流体45により洗浄される。
【0038】
図5では、洗浄ノズル4が噴射圧検出位置P2に位置づけられており、この際、流体噴射ノズル44が圧電素子61と対向するように位置づけられる。流体噴射ノズル44から洗浄流体45を圧電素子61に向けて噴射すると、圧電素子61では洗浄流体45の圧力(洗浄圧力)が検出され、コントローラ80にて検出された圧力が監視される。
【0039】
図5に示すように、エアーノズル46は、エア供給源73と接続され、乾燥空気がエアーノズル46から噴出されることで、洗浄後の被洗浄物の表面を乾燥することができる。
【0040】
なお、以上の構成において、センサ収容空間29の上方は開放されることとする他、センサ収容空間29の上側を覆う上部カバーを設け、吸引路25cのみが開放される構成としてもよい。この場合、洗浄流体45の圧力を検出する際に上部カバーが開かれる機構を設けることとし、圧電素子61を露出させる構成とする。
【0041】
以上の構成において、次のようにして監視を行うことができる。図7は、監視の方法の一例について示すフローチャートである。
【0042】
<排気の圧力の検出ステップ>
図4に示すように、圧電素子61により、被洗浄物の洗浄中に排気口26から排気される排気の圧力を検出する、ステップである。
【0043】
これにより、排気口26を通じてミストの排気が正常に行われているかを監視することができる。排気の圧力の検出ステップは洗浄流体の圧力の検出ステップを実施する間を除いた常時行うこととする他、任意のタイミングで行うこととしてもよい。
【0044】
<洗浄流体の圧力の検出ステップ>
図5及び図6に示すように、噴射圧検出位置P2に位置づけられた洗浄ノズル4から噴射される洗浄流体45の圧力を検出する、ステップである。
【0045】
これにより、図5に示すように、洗浄ノズル4(流体噴射ノズル44)から所定の圧力の洗浄流体45が正常に噴射されているかを監視することができる。洗浄流体の圧力の検出ステップは、被洗浄物の洗浄前に行う。または被洗浄物の洗浄を終える度に行うこととする他、所定の洗浄回数や時間の経過後や、任意のタイミングで行うこととしてもよい。
【0046】
<異常判定ステップ>
圧電素子61で検出された検出値に基づいて、異常判定をするステップである。
【0047】
図8コントローラ80(図5)は、予め設定される所定の許容値(上限許容値、下限許容値)を参照し、圧電素子で検出される排気の圧力が許容値よりも低い場合に異常判定するものである。
【0048】
図8は、排気の圧力の検出ステップがされる際の圧電素子より検出される電圧と、この電圧に基づいて算出される排気の圧力の時間変化のグラフの例である。
図8の縦軸において、圧電素子より検出される電圧は、上側がマイナス電圧で下側がプラス電圧であり、排気の圧力は、上側が高く、下側が低いことを示す。
【0049】
排気の圧力の検出ステップが実行される際には、コントローラ(図5)は、予め設定された上限許容値J1と下限許容値K1を参照し、圧電素子の出力に基づいて排気の圧力を算出し、排気の圧力が上限許容値J1よりも低下し、更に、下限許容値K1よりも低下して所定時間T1を経過した際に、異常判定を行う。この例では、排気口26から排出されるミストの圧力が低すぎることで、圧電素子によって出力される電圧に基づいて算出される排気の圧力が低下下限許容値K1を下回った場合を示しており、十分な排気がされていないとして、異常判定されるものである。
【0050】
例えば、図1に示す構成において、排気口26の目詰まり、制御弁27aや吸引源27bに通じる経路の目詰まり、制御弁27aや吸引源27bに異常等が発生した場合には、図8に示される挙動が確認され、異常判定されることになる。
【0051】
図9乃至図11に示すように、コントローラ80(図5)は、
予め設定される所定の許容値(上限許容値、下限許容値)を参照し、
圧電素子で検出される洗浄流体の圧力が上限許容値より高い場合、
又は、
圧電素子で検出される洗浄流体の圧力が下限許容値より低い場合、
に異常判定するものである。
【0052】
図9乃至図11は、洗浄流体の圧力の検出ステップがされる際の圧電素子より検出される電圧と、この電圧に基づいて算出される洗浄流体の圧力の時間変化のグラフの例であり、図9乃至図11においてそれぞれ異なった検出がされることを示している。
図9乃至図11の縦軸において、圧電素子より検出される電圧は、上側がマイナス電圧で下側がプラス電圧であり、洗浄流体の圧力は、上側が高く、下側が低いことを示す。
【0053】
図9に示すように、洗浄流体の圧力の検出ステップが実行される際には、コントローラ(図5)は、予め設定された上限許容値J2と下限許容値K2を参照し、グラフD1に示すように、電圧に基づいて算出される洗浄流体の圧力が下限許容値K2より低い場合には、噴射圧力不足として異常と判定する。
【0054】
また、図10のグラフD2に示すように、電圧に基づいて算出される洗浄流体の圧力が上限許容値J2より高い場合には、噴射圧力が高すぎる(噴射圧力過多)として異常と判定する。
【0055】
一方で、図11のグラフD3に示すように、上限許容値J2と下限許容値K2の間に流体圧力が収まる場合には、噴射圧力が適正な範囲内にあることが確認され、適正な噴射圧力が確保されるものとして異常判定はしない。
【0056】
例えば、図5に示す構成において、流体噴射ノズル44に目詰まりが生じて洗浄流体45の圧力が低すぎる、流量が少なすぎる、などの異常等が発生した場合には、図9に示されるグラフD1の挙動が確認され、異常判定されることになる。
【0057】
なお、図9乃至図11では、洗浄流体の圧力の検出ステップが実行される際に、洗浄流体が圧電素子に対して噴射されることで電圧が急激に下がる(圧力が急に上昇する)ことを示している。
【0058】
また、上述のように、図8に示す上限許容値J1と下限許容値K1は、排気の圧力の検出ステップが行われるときに異常判定の基準値として参照され、図9乃至図11に示す上限許容値J2と下限許容値K2は、洗浄流体の圧力の検出ステップが行われるときに異常判定の基準値として参照され、各許容値は異なる値に設定されるものである。
【0059】
<警告ステップ>
異常判定がされた場合に、警告を行うステップである。具体的には、コントローラ(図5)は異常判定した際に警告信号を発信し、図示せぬスピーカーから警告音を発報することや、図示せぬ警告ライトを発光させることや、図示せぬモニターに異常表示をさせることなどである。
【0060】
これにより、オペレータは、異常を認識することができ、排気の圧力低下による排気不良とそれに伴う被加工物へのミストの付着のおそれ、洗浄流体の圧力低下による洗浄不足、あるいは、洗浄流体の圧力上昇や流量過多による過剰洗浄、などといった不具合に対処することができる。また、コントローラ(図5)は、警告と同時に装置を自動停止することとしてもよい。
【0061】
以上に説明したように、本発明によれば、1つの圧電素子により、ミストの排気の圧力や洗浄流体の圧力や流量を検出することができ、部品点数が少なく、かつ、小型な構成を実現することができる。
【0062】
また、例えば、図8に示ように、圧電素子の出力から排気圧力や排気ダクトの排気量を算出して、適正な排気圧力や排気量が維持されているかを監視することも可能である。また、例えば、図9乃至図11に示すように、圧電素子の出力から洗浄流体の圧力や、洗浄流体の噴射量を算出して、適正な圧力や流量の洗浄流体が噴射されているかを監視することも可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 洗浄装置
2 収容チャンバ
3 保持ユニット
3a 保持面
3b クランプ
4 洗浄ノズル
21 周壁部
21a 内壁面
24 支持板
25 カバー壁
25a 正面壁部
25b 側壁部
25c 吸引路
26 排気口
29 センサ収容空間
41 旋回アーム
42 噴射部
44 流体噴射ノズル
45 洗浄流体
46 エアーノズル
61 圧電素子
61a 感圧面80 コントローラ
C デバイスチップ
F 環状フレーム
L 回転方向
M ミスト
S 切削溝
T テープ
W 被洗浄物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11