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特開2023-164516フラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼを用いたグルコースの測定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164516
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】フラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼを用いたグルコースの測定方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/32 20060101AFI20231102BHJP
   C12Q 1/54 20060101ALI20231102BHJP
   C12N 9/04 20060101ALI20231102BHJP
   C12N 15/53 20060101ALN20231102BHJP
   C12N 15/31 20060101ALN20231102BHJP
【FI】
C12Q1/32 ZNA
C12Q1/54
C12N9/04 D
C12N15/53
C12N15/31
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023144354
(22)【出願日】2023-09-06
(62)【分割の表示】P 2021096691の分割
【原出願日】2016-06-03
(31)【優先権主張番号】P 2015113732
(32)【優先日】2015-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004477
【氏名又は名称】キッコーマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鉞 陽介
(57)【要約】
【課題】10mM以下のD-グルコース量を正確に測定すること。
【解決手段】(i)作用:電子受容体存在下でGDH活性を示す、(ii)基質特異性:D-グルコースに対する反応性と比較して、マルトース、D-ガラクトース、D-キシロースに対する反応性が低い、(iii)熱安定性:40℃、15分間の熱処理後に80%以上の残存活性を有する、(iv)フラビン化合物を補酵素とする、(v)温度特性:20~40℃の範囲で最も活性が高い測定温度におけるD-グルコースに対する反応性を100%とした場合に、20~40℃における活性値が74%~100%である、を備えるフラビン結合型GDHをD-グルコースと20~40℃で接触させてD-グルコースを測定する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(i)から(v)の性質:
(i)作用:電子受容体存在下でGDH活性を示す、
(ii)基質特異性:D-グルコースに対する反応性と比較して、マルトース、D-ガラクトース、D-キシロースに対する反応性が低い、
(iii)熱安定性:40℃、15分間の熱処理後に80%以上の残存活性を有する、
(iv)フラビン化合物を補酵素とする、
(v)温度特性:20~40℃の範囲で最も活性が高い測定温度におけるD-グルコースに対する反応性を100%とした場合に、20~40℃における活性値が74%~100%である、かつ20℃における活性値が70%以上である、
を備えるフラビン結合型GDHをD-グルコースと20~40℃で接触させることを含む、D-グルコースの測定方法。
【請求項2】
D-グルコースの濃度が、10mM以下である、請求項1記載の測定方法。
【請求項3】
フラビン結合型GDHが、ケカビ亜門に分類される微生物に由来する、請求項1に記載の測定方法。
【請求項4】
フラビン結合型GDHが、Mucor属またはCircinella属に分類される微生物に由来する、請求項1に記載の測定方法。
【請求項5】
以下の(i)から(v)の性質:
(i)作用:電子受容体存在下でGDH活性を示す、
(ii)基質特異性:D-グルコースに対する反応性と比較して、マルトース、D-ガラクトース、D-キシロースに対する反応性が低い、
(iii)熱安定性:40℃、15分間の熱処理後に80%以上の残存活性を有する、
(iv)フラビン化合物を補酵素とする、
(v)温度特性:20~40℃の範囲で最も活性が高い測定温度におけるD-グルコースに対する反応性を100%とした場合に、20~40℃における活性値が74%~100%である、かつ20℃における活性値が70%以上である、
を備えるフラビン結合型GDHを含む、20~40℃おける、温度補正を含まないグルコース測定方法のための、グルコース測定剤又はセンサ。
【請求項6】
測定試料中のD-グルコースの濃度が、10mM以下である、請求項5に記載のグルコース測定剤又はセンサ。
【請求項7】
フラビン結合型GDHが、ケカビ亜門に分類される微生物に由来する、請求項5に記載のグルコース測定剤又はセンサ。
【請求項8】
フラビン結合型GDHが、Mucor属またはCircinella属に分類される微生物に由来する、請求項5に記載のグルコース測定剤又はセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラビン化合物を補酵素とするケカビ亜門由来フラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼを用いた、温度補正が不要な簡便かつ正確なグルコース測定法に関する。
【背景技術】
【0002】
血中グルコース濃度(血糖値)は、糖尿病の重要なマーカーである。糖尿病患者が自己の血糖値を管理するための装置としては、電気化学的バイオセンサを用いた自己血糖測定(Self Monitoring of Blood Glucose:SMBG)機器が広く利用されている。SMBG機器に用いられるバイオセンサには、従来、グルコースオキシダーゼ(GOD)等のグルコースを基質とする酵素が利用されている。しかしながら、GODは酸素を電子受容体とするという特性を備えているため、GODを用いたSMBG機器では、測定サンプル中の溶存酸素が測定値に影響を与え、正確な測定値が得られない場合が起こりうる。
【0003】
一方、グルコースを基質とするが、酸素を電子受容体としない別の酵素として、各種のグルコースデヒドロゲナーゼ(以下、GDH)が知られている。具体的には、ニコチンアミドジヌクレオチド(NAD)やニコチンアミドジヌクレオチドリン酸(NADP)を補酵素とするタイプのGDH(NAD(P)-GDH)や、ピロロキノリンキノン(PQQ)を補酵素とするGDH(PQQ-GDH)が見出されており、SMBG機器のバイオセンサに使用されている。しかしながら、NAD(P)-GDHは、酵素の安定性が乏しく、かつ、補酵素の添加が必要という問題を有し、また、PQQ-GDHは基質特異性が低く、測定対象であるグルコース以外にも、マルトース、D-ガラクトースおよびD-キシロースなどの糖化合物に対して作用してしまうため、測定サンプル中のグルコース以外の糖化合物が測定値に影響し、正確な測定値が得られないという問題点が存在する。
【0004】
約10年前、PQQ-GDHをバイオセンサとして用いたSMBG機器を用いて、輸液投与を受けていた糖尿病患者の血糖値を測定する際に、PQQ-GDHが輸液中に含まれるマルトースにも作用して、実際の血糖値よりも高い測定値が得られ、この値に基づく処置が原因となって患者が低血糖等を発症した例が報告されている。また、同様の事象はガラクトース負荷試験およびキシロース吸収試験を実施中の患者にも起こり得ることも判明している(例えば、非特許文献1参照)。これを受け、厚生労働省医薬食品局は、グルコース溶液に各糖類を添加した場合における血糖測定値への影響を調査する目的で交差反応性試験を行ったところ、600mg/dLのマルトース、300mg/dLのD-ガラクトース、あるいは、200mg/dLのD-キシロース添加を行った場合には、PQQ-GDH法を用いた血糖測定キットの測定値は、実際のグルコース濃度より2.5~3倍ほど高い値を示した。すなわち、測定試料中に存在し得るマルトース、D-ガラクトース、D-キシロースにより測定値が不正確になることが判明し、このような測定誤差の原因となる糖化合物の影響を受けず、グルコースを特異的に測定可能な基質特異性の高いGDHの開発が切に望まれている。
【0005】
上記のような背景の下、上記以外の補酵素を利用するタイプのGDHが着目されるようになってきており、例えば、特許文献1~3にはAspergillus属由来のフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)を補酵素とするグルコースデヒドロゲナーゼ(FAD-GDH)が開示され、特許文献4にはD-キシロースに対する作用性を低減させたAspergillus属由来のFAD-GDHが開示されている。特許文献1~4には、マルトース、D-ガラクトース、D-キシロースのいずれに対しても反応性が十分に低いという特性を有するとまではいえないものの、D-グルコースではない1種または数種の糖化合物に対し反応性が低いFAD-GDHが開示されている。
【0006】
その後、近年では、D-グルコース、マルトース、D-ガラクトース、D-キシロースが存在する条件下において、それらの糖化合物による影響を受けることなくグルコース濃度を正確に測定することが可能なフラビン結合型GDHとして、ケカビ亜門に属する微生物由来のFAD-GDHが見出されている(例えば、特許文献5参照)。さらに、ブルクホルデリア・セパシア由来、シルシネラ由来のFAD-GDHや、それら開示すみの各種FAD-GDHに変異を導入して基質特異性を向上させた変異酵素や、耐熱性を向上させた変異酵素等が精力的に探索、開発されるようになった(例えば、特許文献6~10参照)。
【0007】
このような背景を受けて、これまでに種々見出されてきたFAD-GDHは、血糖値測定を目的として、液状試薬の成分として、あるいは、センサやストリップ状に固定化された成分として利用されることが想定されているが、こうした測定用試薬や測定用センサの設計においては、上述の「測定サンプル中の溶存酸素をノイズとして測り込みたくない」「補酵素を添加したくない」「測定サンプル中に混在していることが想定されるD-グルコース以外の糖をノイズとして測り込みたくない」という点以外にも、もう1点、重要なニーズが存在している。それは、「測定する際の温度により測定値が変動することを極力回避したい」というニーズである。
【0008】
一般的に、酵素法の原理を利用して測定を行う場合、測定する際の温度により測定値が変動するという現象は、酵素を利用する以上不可避な普遍的課題として当業者に認識されている。酵素には反応至適温度が存在し、反応に最適な温度条件からかけ離れた温度で反応させる時には、酵素反応が十分に発揮できない。したがって、同じ性能で同じ測定値を得たいと思えば、測定時の温度を一定に保ち、かつ、好ましくは反応至適温度付近に設定するべきであることが当業者の技術的常識である。もし、その温度から乖離した温度下で測定された場合には、測定値が大きく変動して、測定誤差や誤った診断につながる恐れがある。
【0009】
測定時の温度設定は、サンプルを恒温槽等の装置の中で予め温度調整するなどの操作を行わせることによって測定時の温度を一定にすることが容易なラボレベルでの測定や、測定機器に保温機能等の温度調整機能が備えられている装置を使って測定を行う場合であれば、容易に設定・管理することができるため、現実的には誤差発生のリスクが生じにくい場合も多い。
一方で、個別事情により、上記のような温度調整を十分に行えないことが見込まれる測定においては、この問題が深刻な誤差発生のリスクを生じることとなる。
【0010】
糖尿病患者が血糖を自己測定する、いわゆるSMBGの場面は、日常生活である。すなわち、このような場面では、患者は、小型で簡便型の測定装置を自宅に保有しており、毎日数回、自分で血液を少量採取して、これをテスト用の紙片(テストストリップ)にしみこませ、直ちに測定装置に挿入して測定を行っている。採取する血液は少量であることから、予め温度調整することはできない。測定装置には温度調整機能は付いていない機種が多く、したがって、真夏の測定時と真冬の寒冷地での測定では、測定温度は数十度も変動することが想定される。さらに、温度調整機能が付いている場合においても、SMBG機器とセンサの温度が異なる場合に、温度補正が適正に行われない可能性が報告されている(例えば、非特許文献2参照)。
【0011】
実際に、簡易型の血糖測定装置による血糖自己測定に与える温度の影響に関しては、測定較差が生じることが確認されており(例えば、非特許文献3参照)、医療関係者からは、値が不正確となることにより患者が間違った判断につながる恐れを懸念して、SMBG機器とテストストリップは共に室温に保管するよう、または測定時には室温に十分戻してから使用するよう、あるいは携帯型の保温ケースを使用する等の工夫が好ましいのではないかとの提言もなされている。これらの工夫は現場から出る対処策として有効であると考えられるが、裏を返せば、簡易型の血糖測定装置による血糖自己測定において、このような誤差の課題が深刻であることを示している。
【0012】
室温で測定させる、保温ケースを用いる、という、使用時の温度を一定に保たせる指導と併せて、測定装置側に講じることができる従来の対応としては、温度補正がある。すなわち、予め、温度変化による測定値を得ておき、両者の関係式を作成する。そして、測定時の周辺温度を測定し、関係式を用いて実際の測定値から、(たとえば)最適温度で測定した場合の値を算出する、という方法である。この方法を用いれば、測定温度が多少変動しても、補正によって正確な値に近付けることは、理論的には可能である。しかしながら、補正にも限界があり、温度の変動で活性の低下が著しいタイプの酵素では、補正しきれないこと、また、温度補正機能を盛り込むことで、測定装置の大型化や高額化につながってしまうという事情から、全ての測定装置にこの方法を講じることは困難であるという問題がある。
【0013】
上述のような事情から、血糖値測定においては、可能な限り、測定時の温度の変動の影響を受けにくい形で測定が行える測定方法、あるいは、手間のかかる保温の作業や温度補正機構の導入を行う必要性を低減できる測定方法に対するニーズは極めて大きいといえる。
しかし、現実には、そのような測定を達成できる測定試薬や測定装置は今日まで知られておらず、現状で確認されている誤差を元に、使用方法を工夫し、温度補正である程度の対処を行うこと以外に、対応方法がなかったことが実情であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2007-289148号公報
【特許文献2】国際公開第04/058958号パンフレット
【特許文献3】国際公開第07/139013号パンフレット
【特許文献4】特開2008-237210号公報
【特許文献5】特許第4648993号
【特許文献6】特開2012-90563号公報
【特許文献7】国際公開第12/169512号パンフレット
【特許文献8】国際公開第09/084616号パンフレット
【特許文献9】国際公開第13/051682号パンフレット
【特許文献10】国際公開第13/065623号パンフレット
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】医薬品・医療用具等安全性情報206号(Pharmaceuticals and Medical Devices Safety Information No.206)、2004年10月、厚生労働省医薬食品局
【非特許文献2】佐瀬正次郎,高木正義,”血糖自己測定機器の低温環境下における血糖値への影響”,日本臨床検査自動化学会会誌, 34(4), 770 (2009).
【非特許文献3】松崎純子,岡本敏哉,小野百合,”簡易血糖測定器による血糖自己測定に与える温度の影響” ,糖尿病, 45(11), 821-824 (2002).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明では、10mM以下のD-グルコースを測定する際に、幅広い温度範囲で、D-グルコースに特異性が高く、D-グルコース以外の糖化合物の共存条件下においてもD-グルコース量を正確に測定できるGDHを用いたD-グルコース量の測定方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するために、本発明者等は鋭意検討を重ね、種々のGDHのスクリーニングを実施した結果、ケカビ亜門に属する菌株由来GDHは、基質濃度が10mM以下である場合、幅広い温度条件下で測定を行った場合でもグルコースを正確に測定できることを新たに見出し、日本糖尿病学会の血糖コントロール指標である食後2時間血糖値10mM以下のD-グルコース量の新規な測定方法を構築して、本発明を完成した。
【0018】
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)以下の(i)から(v)の性質:
(i)作用:電子受容体存在下でGDH活性を示す、
(ii)基質特異性:D-グルコースに対する反応性と比較して、マルトース、D-ガラクトース、D-キシロースに対する反応性が低い、
(iii)熱安定性:40℃、15分間の熱処理後に80%以上の残存活性を有する、
(iv)フラビン化合物を補酵素とする、
(v)温度特性:20~40℃の範囲で最も活性が高い測定温度におけるD-グルコースに対する反応性を100%とした場合に、20~40℃における活性値が74%~100%である、かつ20℃における活性値が70%以上である、
を備えるフラビン結合型GDHをD-グルコースと20~40℃で接触させることを含む、D-グルコースの測定方法。
(2)D-グルコースの濃度が10mM以下である上記(1)記載の測定方法。
(3)フラビン結合型GDHが、ケカビ亜門に分類される微生物に由来する、上記(1)記載の測定方法。
(4)フラビン結合型GDHが、Mucor属またはCircinella属に分類される微生物に由来する、上記(1)に記載の測定方法。
(5)以下の(i)から(v)の性質:
(i)作用:電子受容体存在下でGDH活性を示す、
(ii)基質特異性:D-グルコースに対する反応性と比較して、マルトース、D-ガラクトース、D-キシロースに対する反応性が低い、
(iii)熱安定性:40℃、15分間の熱処理後に80%以上の残存活性を有する、
(iv)フラビン化合物を補酵素とする、
(v)温度特性:20~40℃の範囲で最も活性が高い測定温度におけるD-グルコースに対する反応性を100%とした場合に、20~40℃における活性値が74%~100%である、かつ20℃における活性値が70%以上である、
を備えるフラビン結合型GDHを含む、20~40℃おける、温度補正を含まないグルコース測定方法のための、グルコース測定剤又はセンサ。
(6)測定試料中のD-グルコースの濃度が、10mM以下である、上記(5)記載のグルコース測定剤又はセンサ。
(7)フラビン結合型GDHが、ケカビ亜門に分類される微生物に由来する、上記(5)に記載のグルコース測定剤又はセンサ。
(8)フラビン結合型GDHが、Mucor属またはCircinella属に分類される微生物に由来する、上記(5)に記載のグルコース測定剤又はセンサ。
【発明の効果】
【0019】
本発明のフラビン結合型GDHを用いた測定方法により、20~40℃において温度補正機能を備えなくとも、正確な血糖測定が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(フラビン結合型GDHの温度特性)
Mucor属由来フラビン結合型GDHは、基質濃度が低くなるにつれ、幅広い測定温度領域において活性の変動が小さくなることを特徴とする。具体的には、本発明の測定方法に用いるフラビン結合型GDHは、20~40℃の範囲で最も活性が高い測定温度における10mM以下の D-グルコースに対する反応性を100%とした場合に、20~40℃における活性値が74%~100%である。本発明のフラビン結合型GDHを用いる測定方法は、このような優れた温度特性を有するため、測定する温度環境の影響を受けることなく、正確にD-グルコース量を測定することが可能である。
【0021】
(本発明のフラビン結合型GDHの酵素化学的特徴)
本発明のフラビン結合型GDHとして好ましい酵素の例としては、以下の酵素化学的特徴を有するものが挙げられる。
(1)作用:電子受容体存在下でGDH活性を示す
(2)基質特異性:D-グルコースに対する反応性と比較して、マルトース、D-ガラクトース、D-キシロースに対する反応性が低い
(3)熱安定性:40℃、15分間の熱処理後に80%以上の残存活性を有する
(4)フラビン化合物を補酵素とする
(5)温度特性:20~40℃の範囲で最も活性が高い測定温度における10mM以下の D-グルコースに対する反応性を100%とした場合に、20~40℃における活性値が74%~100%である。
上記のような酵素化学的特徴を有するGDHであれば、測定試料に含まれるマルトース、D-ガラクトース、D-キシロース等の糖化合物の影響を受けることなく、さらに、測定温度が20~40℃において温度補正機能を有することなく、正確にD-グルコース量を測定することが可能となる。また、血糖値の測定等の臨床診断に応用するために好適なpH範囲、温度範囲で良好に作用するので、診断用測定試薬(測定剤)等の用途に好適に使用することができる。
Km値は一般的には小さくなるほど基質特異性が良いとされるが、本発明の酵素としては、所定の測定条件において実質的に十分な基質の選択が実現される範囲の値を有していればよい。
分子量は、例えば、GENETYX Ver.11(ゼネティックス社製)やExPASy(http://web.expasy.org/compute_pi/)等のプログラムを用いて、一次配列情報から算出する、あるいはSDS-ポリアクリルアミド電気泳動で測定することができる。例えば、GENETYX Ver.11を用いて算出する場合、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有するフラビン結合型GDHの分子量は、70kDaであり、配列番号5で示されるアミノ酸配列を有するフラビン結合型GDHの分子量は、69kDaである。また、例えば、SDS-ポリアクリルアミド電気泳動で測定する場合、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有するフラビン結合型GDHの分子量は、約80kDaであり、配列番号5で示されるアミノ酸配列を有するフラビン結合型GDHの分子量は、約88kDaである。
【0022】
(フラビン結合型GDHの基質特異性)
本発明に用いることができるフラビン結合型GDHは、基質特異性に優れ、D-グルコースに対する選択性が極めて高いことを特徴とする。具体的には、本発明に用いることができるフラビン結合型GDHは、マルトース、D-ガラクトース、D-キシロースに対する反応性が極めて低い。具体的には、D-グルコースに対する反応性を100%とした場合に、マルトース、D-ガラクトースおよびD-キシロースに対する反応性がいずれも5%以下、好ましくは4%以下、さらに好ましくは3%以下、さらに好ましくは2%以下であることを特徴とする。本発明に用いることができるフラビン結合型GDHは、このような高い基質特異性を有するため、マルトースを含む輸液の投与を受けている患者や、ガラクトース負荷試験およびキシロース吸収試験を実施中の患者の試料についても、測定試料に含まれるマルトース、D-ガラクトース、D-キシロース等の糖化合物の影響を受けることなく、正確にD-グルコース量を測定することが可能となる。
【0023】
上記の各種の酵素化学的性質は、酵素の諸性質を特定するための公知の手法、例えば、以下の実施例に記載の方法を用いて調べることができる。酵素の諸性質は、本発明のフラビン結合型GDHを生産する微生物の培養液や、精製工程の途中段階において、ある程度調べることもでき、より詳細には、精製酵素を用いて調べることができる。
精製酵素とは、当該酵素以外の成分、特に当該酵素以外のタンパク質(夾雑タンパク質)を実質的に含まない状態に分離された酵素をいう。具体的には、例えば、夾雑タンパク質の含有量が重量換算で全体の約20%未満、好ましくは約10%未満、更に好ましくは約5%未満、より一層好ましくは約1%未満である。なお、本明細書中に後述する「MpGDH」は、特に断りの無い限り、精製酵素をいう。
【0024】
本発明における、D-グルコース測定実施時のD-グルコース濃度は、10mM以下である。この濃度は、食後2時間血糖値のD-グルコースを測定することを想定したときに該当する温度範囲に該当する。また、こうした測定の際には、場合により、より低濃度のD-グルコースを測定する場合となることがある。例えば、6mM以下、4mM以下、あるいは3mM以下となることがある。
【0025】
本発明のフラビン結合型GDHが利用する電子受容体は、特に限定されず、例えば、血糖値測定に用いるために好適な試薬成分として公知の任意の電子受容体を用いることができる。
【0026】
本発明のフラビン結合型GDHが利用する補酵素は、フラビン化合物であることを特徴とする。フラビン化合物には、例えば、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、フラビンモノヌクレオチド(FMN)等が挙げられる。
【0027】
本発明の測定方法に用いることができるフラビン結合型GDHとして好ましい酵素の例としては、20~40℃の範囲で最も活性が高い測定温度における10mM D-グルコースに対する反応性を100%とした場合に、20~40℃における活性値が74%~100%であるフラビン結合型GDHが挙げられる。さらに好ましくは、20~40℃の範囲で最も活性が高い測定温度における10mM D-グルコースに対する反応性を100%とした場合に、20~40℃における活性値が74%~100%であり、かつ20℃における活性値が70%以上であるフラビン結合型GDHが挙げられる。
【0028】
(フラビン結合型GDHの作用原理および活性測定法)
本発明のフラビン結合型GDHは、電子受容体存在下でグルコースの水酸基を酸化してグルコノ-δ-ラクトンを生成する反応を触媒する。
したがって、この原理を利用して、例えば、電子受容体としてフェナジンメトサルフェート(PMS)および2,6-ジクロロインドフェノール(DCIP)を用いた以下の測定系により、本発明のフラビン結合型GDHの活性を測定することができる。
(反応1) D-グルコ-ス + PMS(酸化型)
→ D-グルコノ-δ-ラクトン + PMS(還元型)
(反応2) PMS(還元型) + DCIP(酸化型)
→ PMS + DCIP(還元型)
【0029】
まず、(反応1)において、グルコースの酸化に伴いPMS(還元型)が生成する。続いて進行する(反応2)により、PMSの酸化と共にDCIPが還元されるため、酸化型DCIPの消失を600nmの波長の吸光度変化量から測定することができる。
具体的には、本発明において、フラビン結合型GDHの活性は、以下の手順に従って測定する。100mM リン酸緩衝液(pH7.0) 1.79mL、5.0M D-グルコース溶液 0.08mLおよび20mM DCIP溶液 0.01mLを混合し、37℃で5分間保温する。次いで、20mM PMS溶液 0.02mLおよび酵素サンプル溶液0.1mLを添加し、反応を開始する。反応開始時、および、経時的な吸光度を測定し、酵素反応の進行に伴う600nmにおける吸光度の1分間あたりの減少量(ΔA600)を求め、次式に従いフラビン結合型GDH活性を算出する。この際、フラビン結合型GDH活性は、37℃において濃度50mMのD-グルコース存在下で1分間に1μmolのDCIPを還元する酵素量を1Uと定義する。
【0030】
【数1】
【0031】
なお、式中の2.0は反応試薬+酵素試薬の液量(mL)、16.3は本活性測定条件におけるミリモル分子吸光係数(cm/μmol)、0.1は酵素溶液の液量(mL)、1.0はセルの光路長(cm)、ΔA600blankは10mM 酢酸緩衝液を酵素サンプル溶液の代わりに添加して反応開始した場合の600nmにおける吸光度の1分間あたりの減少量、dfは希釈倍数を表す。
【0032】
(フラビン結合型GDHの由来)
上記の特徴を有する本発明のフラビン結合型GDHは、ケカビ亜門に分類される微生物から得ることができる。ケカビ亜門に分類される微生物としては、例えば、Mucor属、Absidia属、Actinomucor (Circinella)属等が挙げられる。Mucor属に分類される微生物であって、本発明のフラビン結合型GDHを生産する具体的な好ましい微生物の例としては、Mucor prainii、Mucor javanicus、Mucor circinelloides f. circinelloides、Mucor subtilissimus、Mucor guilliermondiiもしくはMucor hiemalisが挙げられる。より具体的には、Mucor prainii NISL0103、Mucor javanicus NISL0111もしくはMucor circinelloides f. circinelloides NISL0117が挙げられる。Absidia属に分類される微生物であって、本発明のフラビン結合型GDHを生産する具体的な好ましい微生物の例としては、Absidia cylindrospora、Absidia hyalosporaを挙げることができる。より具体的には、Absidia cylindrospora NISL0211、Absidia hyalospora NISL0218を挙げることができる。Actinomucor (Circinella)属に分類される微生物であって、本発明のフラビン結合型GDHを生産する具体的な好ましい微生物の例としては、Actinomucor elegans もしくはCircinella simplexを挙げることができる。より具体的には、Actinomucor elegans NISL9082を挙げることができる。
【0033】
本発明の測定方法に用いることができるフラビン結合型GDHは、上述の通り、「ケカビ亜門に分類される微生物に由来し、上述の各種性質を具備するフラビン結合型GDH」である。さらにまた、それらのフラビン結合型GDH生産微生物から公知の遺伝子工学的手法によって取得したフラビン結合型GDHをコードする遺伝子を利用し、必要によりそれを一部改変して、適当な宿主微生物に各種公知の手法により導入して生産された組換えフラビン結合型GDHもまた、本発明の「ケカビ亜門に分類される微生物に由来し、上述の各種性質を具備するフラビン結合型GDH」に含まれる。同様に、「Mucor属に分類される微生物」もしくは「Actinomucor (Circinella)属に分類される微生物」、あるいは、特定の生産微生物菌株名を記載したフラビン結合型GDHについても、各々に由来する遺伝子情報を元に取得される、上述の各種性質を具備するフラビン結合型GDHをも本発明に包含する。
【0034】
(フラビン結合型GDHのアミノ酸配列)
本発明のフラビン結合型GDHは、配列番号1又は配列番号5で示されるアミノ酸配列、又は該アミノ酸配列と70%以上相同なアミノ酸配列を有することを特徴とする。配列番号1又は配列番号5で示されるアミノ酸配列を有するフラビン結合型GDHは、上述の各種の性質を有する。また、配列番号1又は配列番号3で示されるアミノ酸配列と70%以上の同一性、好ましくは75%、より好ましくは80%、より好ましくは85%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、配列番号1又は配列番号5で示されるアミノ酸配列を有するフラビン結合型GDHと同様な諸性質を有するGDHも、本発明の測定方法に用いるフラビン結合型GDHに含まれる。
【0035】
(フラビン結合型GDHをコードする遺伝子配列)
本発明のフラビン結合型GDHをコードする遺伝子とは、配列番号1又は配列番号5で示されるアミノ酸配列、あるいは該アミノ酸配列と70%以上相同なアミノ酸配列を有するフラビン結合型GDHをコードするDNAをいう。または、本発明のフラビン結合型GDHをコードする遺伝子とは、配列番号2又は配列番号6で示される塩基配列からなるDNAをいう。あるいは、本発明のフラビン結合型GDHをコードする遺伝子とは、配列番号2又は配列番号6で示される塩基配列と70%以上の同一性、好ましくは、75%以上の同一性、より好ましくは、80%以上の同一性、より好ましくは85%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%以上の同一性を有する塩基配列を有し、且つフラビン結合型GDH酵素活性をもつタンパク質をコードするDNAをいう。
【0036】
(フラビン結合型GDHをコードする遺伝子配列を含むベクター、形質転換体)
本発明のフラビン結合型GDHをコードする遺伝子は、適当な公知の各種ベクター中に挿入することができる。さらに、このベクターを適当な公知の各宿主に導入して、フラビン結合型GDH遺伝子を含む組換え体DNAが導入されている形質転換体を作製することができる。これらの遺伝子の取得方法や、遺伝子配列、アミノ酸配列情報の取得方法、各種ベクターの製造方法や形質転換体の作製方法は、当業者にとって公知であり、一例を後述する。
【0037】
フラビン結合型GDHを生産する微生物からフラビン結合型GDH遺伝子を取得するには、通常一般的に用いられている遺伝子のクローニング方法が用いられる。例えば、フラビン結合型GDH生産能を有する微生物菌体や種々の細胞から常法、例えば、Current Protocols in Molecular Biology (WILEY Interscience,1989)記載の方法により、染色体DNAまたはmRNAを抽出することができる。さらにmRNAを鋳型としてcDNAを合成することができる。このようにして得られた染色体DNAまたはcDNAを用いて、染色体DNAまたはcDNAのライブラリーを作製することができる。
【0038】
次いで、フラビン結合型GDHのアミノ酸配列に基づき、適当なプローブDNAを合成して、これを用いて染色体DNAまたはcDNAのライブラリーからスクリーニングする方法、あるいは、上記アミノ酸配列に基づき、適当なプライマーDNAを作製して、5’RACE法や3’RACE法などの適当なポリメラーゼ連鎖反応(PCR法)により、目的の遺伝子断片を含むDNAを増幅させ、これらを連結させて全長の目的遺伝子を含むDNAを得ることができる。
【0039】
このようにして得られたフラビン結合型GDHをコードする遺伝子の好ましい一例として、Mucor属由来のフラビン結合型GDH遺伝子が挙げられる。これらの遺伝子は、常法通り各種ベクターに連結されていることが、取扱い上好ましく、例えば、単離したMucor属由来のフラビン結合型GDHをコードする遺伝子を含む組換え体プラスミドを作製し、そこから例えば、QIAGEN(キアゲン社製)を用いることにより、抽出、精製して得ることができる。本発明において用いることのできるベクターDNAとしては、例えば、プラスミドベクターDNA、バクテリオファージベクターDNA等を用いることができる。具体的には、例えば、pBluescriptII SK+ (STRATAGENE社製)等が好ましい。
【0040】
上記方法により得られたフラビン結合型GDH遺伝子の塩基配列の決定・確認は、例えば、マルチキャピラリーDNA解析システムCEQ2000(ベックマン・コールター社製)等を用いることにより行い得る。
上述のように得られたフラビン結合型GDH遺伝子を、常法により、バクテリオファージ、コスミド、または原核細胞若しくは真核細胞の形質転換に用いられるプラスミド等のベクターに組み込み、各々のベクターに対応する宿主を常法により形質転換または形質導入することができる。宿主としては、例えば、Escherichia属に属する微生物、例えば、大腸菌K-12、好ましくは大腸菌JM109、DH5α(ともにタカラバイオ社製)等が挙げられ、これらの宿主を形質転換して、またはそれらに形質導入してそれぞれの菌株を得る。こうして得られた上記形質転換体を培養することによって、フラビン結合型GDHを大量に生産することができる。
【実施例0041】
(MpGDHの製造と精製)
MpGDH遺伝子(配列番号2)を含むカセットを用いて形質転換したAspergillus sojae株(特許第4648993号公報参照)を培養し、粗酵素液のGDH活性を確認した。得られた粗酵素を用いて、緩衝液A(10mM 酢酸緩衝液、2M 硫酸アンモニウム、pH5.0)にて予め平衡化したブチルトヨパール650C(東ソー社製)カラム(26φ×28.5cm)にかけ、緩衝液Aから緩衝液B(10mM 酢酸緩衝液、pH5.0)のリニアグラジエントによって溶出させた。溶出された活性画分をセントリコンプラス-70(ミリポア社製)で濃縮後、緩衝液C(10mM 酢酸緩衝液、pH4.5)で透析し、予め緩衝液Cで平衡化したSPセファロースFastFlow(GEヘルスケア社製)カラム(26φ×28.5cm)にかけ、緩衝液Cから緩衝液D(10mM 酢酸緩衝液、200mM 塩化カリウム、pH4.5)のリニアグラジエントで溶出させた。溶出された活性画分を濃縮し、精製酵素を得た。
【実施例0042】
(MpGDHの温度特性評価)
実施例1により得られたMpGDH精製標品の温度特性を調べた。
上記に示したGDH活性測定法において、加温温度および測定温度を20℃、25℃、30℃、35℃もしくは40℃で活性測定を行った。また、添加する基質は5Mグルコース、0.25M、0.1Mもしくは0.075Mで行った。
【0043】
【表1】
【0044】
表1中のかっこ内に示す割合は、最も活性が高かった測定温度における活性値を基準とした相対値である。表1に示す通り、基質の終濃度が200mMの場合、MpGDHが最大活性を示す測定温度における活性値を100%とした際に、20℃における相対活性は57%であった。一方で、基質の終濃度が10mMの場合、MpGDHが最大活性を示す測定温度における活性値を100%とした際に、20℃における相対活性は78%であり、非常に変動が小さいことが明らかとなった。
【0045】
続いて、低血糖患者を想定し、3mMおよび4mMのグルコースを基質として上記と同様の温度特性評価を行い、最大活性を示す測定温度における活性値を100%とした際の相対活性を算出した(表2)。
【0046】
【表2】
【0047】
表2に示す通り、3mMおよび4mMのグルコースを基質とした際には、10mMの時と比べて、さらに測定温度による活性変動が小さくなった。特に、25℃~35℃間においては、ほぼ一定の活性値を示すことが分かり、このように良好な活性値が維持されている状態であれば、温度補正機能を有しない測定装置を用いた場合でも正確なグルコース量を測定できることが示された。
【0048】
このように、基質濃度が低くなるほど、測定温度による活性の変動が小さくなるという傾向を示す酵素が存在することは、当業者にとっては技術的常識とはいえない。一般的には、測定温度による活性の変動が、測定時の基質濃度の多少の変動によって大きく変化を生じるとは考えがたく、そのような報告も知られていない。それゆえに、いわゆる酵素製品の販売カタログや酵素の諸性質を示す学術文献中の記載を参照しても、温度と活性の関係を示すグラフにおいて、基質の濃度条件は1点に固定されていることがほとんどである。そして、ほとんどの場合、酵素の諸性質を確認するための活性測定法における基質濃度は、酵素の活性測定法の原則に則して、反応初速度を算出する場合は十分に過剰な濃度に設定されていることが多い(生化学実験化学講座5,酵素研究法(上),1975参照)。
【0049】
フラビン結合型GDH公知の文献においても、この当業者の認識は同様であり、測定温度と活性を確認する際のグルコース濃度は十分に高いものに固定されており、その濃度範囲は、実際に血糖値を測定するために想定されるグルコース濃度からは、大きくかけ離れたものであった(例えば、特許第4494978号、特開2011-152129号公報、特開2011-115156号公報、国際公開第13/051682号パンフレット、国際公開第13/065623号パンフレット、国際公開第13/118798号パンフレット参照)。
【0050】
MpGDHは、200mMという高いグルコース濃度条件下においては、30℃以下、25℃、20℃と低温にするに従って、大きく活性が低下することが確認された。しかし、同じ温度条件下で測定を行った場合でも、10mMという低いグルコース濃度条件下で測定を行った時には、活性の低下は著しく改善され、30℃ではほぼ100%の活性が維持され、25℃でも90%を超える活性が維持され、20℃においても、約80%の活性が維持されることが見出された。
【0051】
比較例1
アスペルギルスオリゼ由来グルコース脱水素酵素(以下、AoGDHと表記)(特開2008-228740参照)を用いて、実施例2と同様の温度特性評価を試みた。
AoGDHのアミノ酸配列であり、配列番号3で示される593アミノ酸をコードし、且つ、特開2008-228740で示される塩基配列と全く同様である、配列番号4で示す1782bpの遺伝子(終止コドンTAAを含む)を、定法である遺伝子断片のPCRにより、cDNAを取得した。このとき、配列番号4の5´末端、3´末端にはそれぞれNdeIサイトとBamHIサイトを付加した。
【0052】
続いて、取得した配列番号4に示される遺伝子を大腸菌で発現させるために、以下の手順を行った。まず、上記で全合成した遺伝子をNdeIサイトBamHI(タカラバイオ社製)の2種類の制限酵素で処理し、pET22b(+)- Vector(Novagen社製)のNdeI-BamHIサイトに挿入することで、組換え体プラスミドpET22b(+)-AoGDHを取得し、実施例1と同様の条件で、用いる大腸菌をJM109株の代わりにBL21(DE3)株として形質転換し、大腸菌BL21(DE3)(pET22b(+)-AoGDH)株を得た。
【0053】
上記のようにして得られたAoGDH生産能を有する大腸菌BL21(DE3)(pET22b(+)-AoGDH)株をLB-amp培地に0.5% グリセロール、0.05% グルコース、0.2% α-ラクトース、25mM (NH4)2SO4、100mM KH2PO4、100mM NaHPO4、1 mM MgSO4を添加した培地100mlにおいて、30℃で24時間培養した(F. William Studier et.al., Protein Expression and Purification (2005)を改変)。その後、菌体をpH6.0の0.02Mリン酸カリウム緩衝液で洗浄、超音波破砕、9,000rpmで10分間遠心分離し、AoGDH粗酵素液20mlを調製した。得られた粗酵素液をサンプルとし、実施例1に準じた活性測定方法に従ってGDHの活性を確認した。
【0054】
得られた粗酵素を用いて、緩衝液A(10mM リン酸カリウム緩衝液、2M 硫酸アンモニウム、pH6.5)にて予め平衡化したブチルトヨパール650C(東ソー社製)カラムにかけ、緩衝液Aから緩衝液B(10mM リン酸カリウム、pH6.5)のリニアグラジエントによって溶出させた。溶出された活性画分をセントリコンプラス-70(ミリポア社製)で濃縮後、緩衝液C(10mM リン酸カリウム緩衝液、pH6.5)で透析し、予め緩衝液Cで平衡化したCaptoQ(GEヘルスケア社製)カラムにかけ、緩衝液Cから緩衝液D(10mM リン酸カリウム緩衝液、1M 塩化カリウム、pH6.5)のリニアグラジエントで溶出させた。溶出された活性画分を濃縮し、精製酵素を得た。
【0055】
得られたAoGDH精製酵素を用いて、実施例2と同様に、加温温度および測定温度を20℃、25℃、30℃、35℃もしくは40℃で活性測定を行った。また、添加する基質は5Mグルコースもしくは0.25Mで行った。
【0056】
【表3】
【0057】
表3に示す通り、AoGDHの温度特性、すなわち、測定温度と活性の関係は、基質であるグルコース濃度には全く影響されなかった。このような傾向は、測定温度による活性の変動が、測定時の基質濃度の多少の変動によって大きく変化を生じるとは考えがたいという、当業者の一般的認識と合致している。
【0058】
比較例2
アスペルギルステレウス由来グルコース脱水素酵素(以下、AtGDHと表記)(特許第5020070号参照)を用いて、実施例2と同様の温度特性評価を試みた。
特許第5020070号で示されるAtGDHのアミノ酸配列である配列番号5で示される592アミノ酸をコードする、配列番号6で示す1779bpの遺伝子(終止コドンTAAを含む)を、定法である遺伝子断片のPCRにより、cDNAを取得した。
【0059】
実施例1と同様の手法により、AtGDH遺伝子を含むカセットを用いて形質転換することでAtGDH発現麹菌株を取得し、粗酵素液を得た。得られた粗酵素を用いて、緩衝液A(10mM リン酸カリウム緩衝液、2M 硫酸アンモニウム、pH6.5)にて予め平衡化したブチルトヨパール650C(東ソー社製)カラムにかけ、緩衝液Aから緩衝液B(10mM リン酸カリウム、pH6.5)のリニアグラジエントによって溶出させた。溶出された活性画分をAmicon Ultra-15、 30K NMWL(メルク社製)で濃縮後、緩衝液C(10mM リン酸カリウム緩衝液、150mM NaCl、pH6.5)で透析し、予め緩衝液Cで平衡化したHiLoad 26/60 Superdex 200pg(GEヘルスケア社製)カラムにかけ、溶出させた。溶出された活性画分を濃縮し、精製酵素を得た。
得られた粗酵素液を用いて、実施例2と同様に温度特性評価を行った。ただし、加温温度および測定温度を20℃、25℃、30℃、35℃もしくは40℃で活性測定を行った。また、添加する基質は5Mグルコースもしくは0.25Mで行った。
【0060】
【表4】
【0061】
表4に示す通り、AtGDHの温度特性、すなわち、測定温度と活性の関係は、基質であるグルコース濃度には全く影響されなかった。このような傾向は、測定温度による活性の変動が、測定時の基質濃度の多少の変動によって大きく変化を生じるとは考えがたいという、当業者の一般的認識と合致している。
【0062】
比較例3
アスペルギルスニガー由来グルコース酸化酵素(以下、AnGODと表記)(BBI社製、GO3B2)を用いて、実施例2と同様に温度特性評価を行った。ただし、加温温度および測定温度を20℃、25℃、30℃、35℃もしくは40℃で活性測定を行った。また、添加する基質は5Mグルコースもしくは0.05Mで行った。
【0063】
【表5】
【0064】
表5に示す通り、AnGODの温度特性、すなわち、測定温度と活性の関係は、基質であるグルコース濃度には全く影響されなかった。このような傾向は、測定温度による活性の変動が、測定時の基質濃度の多少の変動によって大きく変化を生じるとは考えがたいという、当業者の一般的認識と合致している。
【実施例0065】
Mucor guilliermondii由来グルコース脱水素酵素(以下、MgGDHと表記)を用いて、実施例2と同様の温度特性評価を試みた。まず、Mucor guilliermondii NBRC9403株をDPY培地(2%グルコース、1%ポリペプトン、0.5%酵母エキス、0.5%リン酸2水素1カリウム、0.05%硫酸マグネシウム7水和物)で、30℃で24時間培養した。培養後、菌体を回収し、菌体の水分を除いた後、液体窒素中で菌体を破砕し、DNeasy Plant Mini Kit(QIAGEN社)を用いて添付のプロトコールに従って、ゲノムDNAを取得した。次に、取得したゲノムDNAを鋳型にし、配列番号7、8の縮重プライマーを用いて、DNAポリメラーゼPrimeSTAR Max(タカラバイオ社製)によりPCRを行い、アガロースゲル電気泳動により約1.9kbのDNAが増幅されていることを確認した。この増幅されたDNA断片を精製し、マルチキャピラリーDNA解析システムCEQ2000(ベックマン・コールター社製)を用いて塩基配列を解析した。その配列情報を基に下記で用いるインバースPCR用のプライマー(配列番号9、10)を設計した。次に、上記で回収したゲノムDNAを制限酵素NcoIで処理し、フェノール・クロロホルム処理とエタノール沈殿を行った後に、Ligation High ver.2(東洋紡社製)を用いてライゲーション反応を16℃で8時間行った。エタノール沈殿を行った該反応液を鋳型にし、上記で設計した配列番号9、10のプライマーを用いて、DNAポリメラーゼPrimeSTAR Max(タカラバイオ社製)により、インバースPCRを行った。増幅したDNA断片の配列解析を上記と同様に行い、上流と下流の塩基配列を解析し、MgGDHの塩基配列全長(配列番号11)が明らかとなった。さらに、MpGDHの配列情報を基に、イントロン配列を除いたエキソン配列(配列番号12)を予測し、MgGDHのアミノ酸配列(配列番号13)を決定した。なお、MgGDHとMpGDHのアミノ酸配列の同一性は78%であった。
【0066】
実施例1と同様の手法により、MgGDH遺伝子(配列番号12)を含むカセットを用いて形質転換することでMgGDH発現麹菌株を取得し、粗酵素液を得た。得られた粗酵素液を用いて、実施例2と同様に温度特性評価を行った。ただし、加温温度および測定温度を25℃もしくは37℃で活性測定を行った。また、添加する基質は5Mグルコースもしくは0.25Mで行った。
【0067】
【表6】
【0068】
表6に示す通り、MgGDHについても、基質濃度が低くなるほど、測定温度による活性変動が小さくなることが明らかとなった。このような傾向は、測定温度による活性の変動が、測定時の基質濃度の多少の変動によって大きく変化を生じるとは考えがたいという、当業者の一般的認識と合致しない。
【0069】
MgGDHは、200mMという高いグルコース濃度条件下においては、37℃で測定した場合と25℃で測定した場合で、40%近くも活性に差を生ずる。しかし、同じ温度条件下で測定を行った場合でも、10mMという低いグルコース濃度条件下で測定を行った時には、活性の低下は著しく改善され、その差は約20%にとどまった。すなわち、MgGDHを用いて、10mM程度やそれより低濃度のグルコース濃度条件下で測定を行う場合には、温度補正機能を有しない測定装置を用いた場合でも、正確なグルコース量を測定できることが示された。
【0070】
配列番号14で示されるアミノ酸配列であるMucor RD056860由来グルコース脱水素酵素(以下、MrdGDHと表記)(国際公開2013/118798号参照)を用いて、実施例2と同様の温度特性評価を試みた。
【0071】
実施例1と同様の手法により、MrdGDH遺伝子(配列番号15)を含むカセットを用いて形質転換することでMrdGDH発現麹菌株を取得し、粗酵素液を得た。得られた粗酵素液を用いて、実施例1と同様の手法により精製し、実施例2と同様に温度特性評価を行った。ただし、加温温度および測定温度を20℃、25℃、30℃、35℃もしくは40℃で活性測定を行った。また、添加する基質は5Mグルコースもしくは0.05Mで行った。
【0072】
【表7】
【0073】
表7に示す通り、MrdGDHについても、基質濃度が低いほど、測定温度による活性変動が小さくなることが明らかとなった。
【0074】
配列番号16で示されるアミノ酸配列であるMucor hiemalis f. silvaticus NBRC6754由来グルコース脱水素酵素(以下、MhGDHと表記)(国際公開2013/065623号参照)を用いて、実施例2と同様の温度特性評価を試みた。
【0075】
実施例1と同様の手法により、MhGDH遺伝子(配列番号17)を含むカセットを用いて形質転換することでMhGDH発現麹菌株を取得し、粗酵素液を得た。得られた粗酵素液を用いて、実施例1と同様の手法により精製し、実施例2と同様に温度特性評価を行った。ただし、加温温度および測定温度を20℃、25℃、30℃、35℃もしくは40℃で活性測定を行った。また、添加する基質は5Mグルコースもしくは0.05Mで行った。
【0076】
【表8】
【0077】
表8に示す通り、MhGDHについても、基質濃度が低いほど、測定温度による活性変動が小さくなることが明らかとなった。
【0078】
これまで、ケカビ亜門由来GDHが、基質濃度が低くなるほど、測定温度による活性変動を受けにくい酵素であることは知られていなかった。今回得られた知見により、ケカビ亜門由来GDHのMpGDH、MgGDH、MdrGDHとMhGDHが血糖値の日常的簡易的測定という特定実用用途において非常に有利である特筆すべき性質を有し、それを活用することにより、温度補正機能を有しない測定装置の実現が可能になりうるという新たな着想が導かれることとなった。
【0079】
MpGDH、MgGDH、MdrGDHとMhGDHは同じケカビ亜門に則し、これらのアミノ酸配列同一性は73~79%であるから、同様のケカビ亜門由来の各種GDH、特にはMpGDHもしくはMgGDHと配列同一性が73%以上であるGDHは、その近縁性、酵素としての構造同一性の高さから推測して、グルコース濃度が低いほど、測定温度による活性変動が小さくなるという良好な性質を有している蓋然性が高い。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明のフラビン結合型GDHを用いた、D-グルコースの測定方法は、幅広い温度範囲において、D-グルコース濃度を精度良く定量することができるので、血糖値の測定や食品中のグルコース濃度の定量等の分野において有用である。
【0081】
本開示は以下の配列情報を包含する。
SEQUENCE LISTING

<110> Kikkoman Corporation

<120> Method of measuring glucose using flavin-binding glucose
dehydrogenase

<130> P23-0540

<160> 17

<170> PatentIn version 3.5

<210> 1
<211> 641
<212> PRT
<213> Mucor prainii

<400> 1

Met Lys Ile Thr Ala Ala Ile Ile Thr Val Ala Thr Ala Phe Ala Ser
1 5 10 15


Phe Ala Ser Ala Gln Gln Asp Thr Asn Ser Ser Ser Thr Asp Thr Tyr
20 25 30


Asp Tyr Val Ile Val Gly Gly Gly Val Ala Gly Leu Ala Leu Ala Ser
35 40 45


Arg Ile Ser Glu Asn Lys Asp Val Thr Val Ala Val Leu Glu Ser Gly
50 55 60


Pro Asn Ala Asn Asp Arg Phe Val Val Tyr Ala Pro Gly Met Tyr Gly
65 70 75 80


Gln Ala Val Gly Thr Asp Leu Cys Pro Leu Ile Pro Thr Thr Pro Gln
85 90 95


Glu Asn Met Gly Asn Arg Ser Leu Thr Ile Ala Thr Gly Arg Leu Leu
100 105 110


Gly Gly Gly Ser Ala Ile Asn Gly Leu Val Trp Thr Arg Gly Gly Leu
115 120 125


Lys Asp Tyr Asp Ala Trp Glu Glu Leu Gly Asn Pro Gly Trp Asn Gly
130 135 140


Ala Asn Leu Phe Lys Tyr Phe Lys Lys Val Glu Asn Phe Thr Pro Pro
145 150 155 160


Thr Pro Ala Gln Ile Glu Tyr Gly Ala Thr Tyr Gln Lys Ser Ala His
165 170 175


Gly Lys Lys Gly Pro Ile Asp Val Ser Phe Thr Asn Tyr Glu Phe Ser
180 185 190


Gln Ser Ala Ser Trp Asn Ala Ser Leu Glu Thr Leu Asp Phe Thr Ala
195 200 205


Leu Pro Asp Ile Leu Asn Gly Thr Leu Ala Gly Tyr Ser Thr Thr Pro
210 215 220


Asn Ile Leu Asp Pro Glu Thr Val Gln Arg Val Asp Ser Tyr Thr Gly
225 230 235 240


Tyr Ile Ala Pro Tyr Thr Ser Arg Asn Asn Leu Asn Val Leu Ala Asn
245 250 255


His Thr Val Ser Arg Ile Gln Phe Ala Pro Lys Asn Gly Ser Glu Pro
260 265 270


Leu Lys Ala Thr Gly Val Glu Trp Tyr Pro Thr Gly Asn Lys Asn Gln
275 280 285


Lys Gln Ile Ile Lys Ala Arg Tyr Glu Val Ile Ile Ser Ser Gly Ala
290 295 300


Ile Gly Ser Pro Lys Leu Leu Glu Ile Ser Gly Ile Gly Asn Lys Asp
305 310 315 320


Ile Val Ser Ala Ala Gly Val Glu Ser Leu Ile Asp Leu Pro Gly Val
325 330 335


Gly Ser Asn Met Gln Asp His Val His Ala Ile Thr Val Ser Thr Thr
340 345 350


Asn Ile Thr Gly Tyr Thr Thr Asn Ser Val Phe Val Asn Glu Thr Leu
355 360 365


Ala Gln Glu Gln Arg Glu Glu Tyr Glu Ala Asn Lys Thr Gly Ile Trp
370 375 380


Ala Thr Thr Pro Asn Asn Leu Gly Tyr Pro Thr Pro Glu Gln Leu Phe
385 390 395 400


Asn Gly Thr Glu Phe Val Ser Gly Lys Glu Phe Ala Asp Lys Ile Arg
405 410 415


Asn Ser Thr Asp Glu Trp Ala Asn Tyr Tyr Ala Ser Thr Asn Ala Ser
420 425 430


Asn Val Glu Leu Leu Lys Lys Gln Tyr Ala Ile Val Ala Ser Arg Tyr
435 440 445


Glu Glu Asn Tyr Leu Ser Pro Ile Glu Ile Asn Phe Thr Pro Gly Tyr
450 455 460


Glu Gly Ser Gly Asn Val Asp Leu Gln Asn Asn Lys Tyr Gln Thr Val
465 470 475 480


Asn His Val Leu Ile Ala Pro Leu Ser Arg Gly Tyr Thr His Ile Asn
485 490 495


Ser Ser Asp Val Glu Asp His Ser Val Ile Asn Pro Gln Tyr Tyr Ser
500 505 510


His Pro Met Asp Ile Asp Val His Ile Ala Ser Thr Lys Leu Ala Arg
515 520 525


Glu Ile Ile Thr Ala Ser Pro Gly Leu Gly Asp Ile Asn Ser Gly Glu
530 535 540


Ile Glu Pro Gly Met Asn Ile Thr Ser Glu Asp Asp Leu Arg Ser Trp
545 550 555 560


Leu Ser Asn Asn Val Arg Ser Asp Trp His Pro Val Gly Thr Cys Ala
565 570 575


Met Leu Pro Lys Glu Leu Gly Gly Val Val Ser Pro Ala Leu Met Val
580 585 590


Tyr Gly Thr Ser Asn Leu Arg Val Val Asp Ala Ser Ile Met Pro Leu
595 600 605


Glu Val Ser Ser His Leu Met Gln Pro Thr Tyr Gly Ile Ala Glu Lys
610 615 620


Ala Ala Asp Ile Ile Lys Asn Phe Tyr Lys Thr Gln His Lys Asn Gln
625 630 635 640


Asn



<210> 2
<211> 1926
<212> DNA
<213> Mucor prainii

<400> 2
atgaagatca cagctgccat tatcactgtt gccacagcat ttgcttcttt tgcttctgct 60

caacaagaca caaattcttc ctcaactgat acttatgatt atgttatcgt tggcggcggt 120

gtagctggtt tggctttggc tagtcgtatc tctgaaaaca aggatgtcac tgttgctgtt 180

ctcgagtccg gtcctaatgc caatgataga tttgttgttt atgctcctgg catgtatggc 240

caagctgttg gcactgatct ctgtcctctc attcctacta ctcctcaaga aaatatgggc 300

aacagaagtc tcacaatcgc tactggtaga ttgctcggtg gtggcagtgc tattaatggt 360

ctcgtttgga cccgtggtgg cttgaaggat tacgatgctt gggaggagct cggtaaccct 420

ggatggaacg gtgccaactt gttcaagtac tttaagaagg tcgaaaactt cactcctcct 480

actcctgccc aaattgaata cggcgctact tatcagaaaa gtgctcatgg caagaaggga 540

cctattgatg tctctttcac gaactacgag ttctctcaat ctgctagctg gaacgcctca 600

ctcgaaaccc ttgatttcac tgcacttcct gatatcttga acggtacttt ggccggttac 660

tctaccactc ccaacatttt ggaccctgag actgttcaac gtgttgattc ctatactggt 720

tacattgctc cttacactag ccgtaacaac ctcaatgttt tggccaacca taccgtctcc 780

cgcattcaat ttgctcccaa gaatggtagc gaacctctca aggctaccgg tgttgaatgg 840

tatcccactg gcaacaagaa tcaaaagcaa attatcaagg cccgttatga agttatcatc 900

tcatctggtg ccattggtag tcctaagctt ttggaaatct ctggtatcgg taataaggat 960

atcgtctctg ctgctggtgt cgagtccttg attgacttgc ctggcgttgg ttccaacatg 1020

caagatcacg ttcatgctat cactgtctct actaccaata ttactggcta tactaccaac 1080

agcgtctttg tcaatgaaac ccttgcccaa gaacaaagag aagaatatga agccaacaag 1140

actggtatct gggctactac tcccaacaac ctcggttatc ctacgcccga acaactcttc 1200

aatggcaccg aattcgtttc tggaaaggag tttgctgaca agattcgtaa ctctactgat 1260

gaatgggcca actattatgc ttccaccaac gcctccaatg tcgagttatt aaagaagcaa 1320

tatgctattg tcgcctctcg ttacgaagag aactacttgt ctcctattga aatcaacttc 1380

actcctggtt atgagggtag cggtaatgtc gatttgcaaa acaacaagta ccaaactgtc 1440

aaccatgtct tgattgctcc tttaagtcgt ggttatactc acattaactc ttctgatgtg 1500

gaggatcatt ctgtcattaa tccccaatac tactctcatc ctatggatat tgatgtccat 1560

atcgcttcca ctaaacttgc tcgcgaaatc atcactgcct ctcccggtct tggtgacatt 1620

aacagtggcg aaatcgaacc cggtatgaat attacttctg aagacgacct tagatcttgg 1680

ttgagtaata atgtccgttc tgactggcat cctgttggta cttgtgctat gcttcccaag 1740

gaattaggtg gtgttgtcag ccccgctctc atggtttacg gcacttccaa cttgcgtgtt 1800

gttgatgctt cgattatgcc cctcgaagtc tcttctcatt tgatgcaacc cacctacggt 1860

attgctgaga aggctgctga cattattaag aatttctaca agactcaaca caagaaccaa 1920

aattag 1926


<210> 3
<211> 593
<212> PRT
<213> Aspergillus oryzae

<400> 3

Met Leu Phe Ser Leu Ala Phe Leu Ser Ala Leu Ser Leu Ala Thr Ala
1 5 10 15


Ser Pro Ala Gly Arg Ala Lys Asn Thr Thr Thr Tyr Asp Tyr Ile Val
20 25 30


Val Gly Gly Gly Thr Ser Gly Leu Val Val Ala Asn Arg Leu Ser Glu
35 40 45


Asn Pro Asp Val Ser Val Leu Leu Leu Glu Ala Gly Ala Ser Val Phe
50 55 60


Asn Asn Pro Asp Val Thr Asn Ala Asn Gly Tyr Gly Leu Ala Phe Gly
65 70 75 80


Ser Ala Ile Asp Trp Gln Tyr Gln Ser Ile Asn Gln Ser Tyr Ala Gly
85 90 95


Gly Lys Gln Gln Val Leu Arg Ala Gly Lys Ala Leu Gly Gly Thr Ser
100 105 110


Thr Ile Asn Gly Met Ala Tyr Thr Arg Ala Glu Asp Val Gln Ile Asp
115 120 125


Val Trp Gln Lys Leu Gly Asn Glu Gly Trp Thr Trp Lys Asp Leu Leu
130 135 140


Pro Tyr Tyr Leu Lys Ser Glu Asn Leu Thr Ala Pro Thr Ser Ser Gln
145 150 155 160


Val Ala Ala Gly Ala Ala Tyr Asn Pro Ala Val Asn Gly Lys Glu Gly
165 170 175


Pro Leu Lys Val Gly Trp Ser Gly Ser Leu Ala Ser Gly Asn Leu Ser
180 185 190


Val Ala Leu Asn Arg Thr Phe Gln Ala Ala Gly Val Pro Trp Val Glu
195 200 205


Asp Val Asn Gly Gly Lys Met Arg Gly Phe Asn Ile Tyr Pro Ser Thr
210 215 220


Leu Asp Val Asp Leu Asn Val Arg Glu Asp Ala Ala Arg Ala Tyr Tyr
225 230 235 240


Phe Pro Tyr Asp Asp Arg Lys Asn Leu His Leu Leu Glu Asn Thr Thr
245 250 255


Ala Asn Arg Leu Phe Trp Lys Asn Gly Ser Ala Glu Glu Ala Ile Ala
260 265 270


Asp Gly Val Glu Ile Thr Ser Ala Asp Gly Lys Val Thr Arg Val His
275 280 285


Ala Lys Lys Glu Val Ile Ile Ser Ala Gly Ala Leu Arg Ser Pro Leu
290 295 300


Ile Leu Glu Leu Ser Gly Val Gly Asn Pro Thr Ile Leu Lys Lys Asn
305 310 315 320


Asn Ile Thr Pro Arg Val Asp Leu Pro Thr Val Gly Glu Asn Leu Gln
325 330 335


Asp Gln Phe Asn Asn Gly Met Ala Gly Glu Gly Tyr Gly Val Leu Ala
340 345 350


Gly Ala Ser Thr Val Thr Tyr Pro Ser Ile Ser Asp Val Phe Gly Asn
355 360 365


Glu Thr Asp Ser Ile Val Ala Ser Leu Arg Ser Gln Leu Ser Asp Tyr
370 375 380


Ala Ala Ala Thr Val Lys Val Ser Asn Gly His Met Lys Gln Glu Asp
385 390 395 400


Leu Glu Arg Leu Tyr Gln Leu Gln Phe Asp Leu Ile Val Lys Asp Lys
405 410 415


Val Pro Ile Ala Glu Ile Leu Phe His Pro Gly Gly Gly Asn Ala Val
420 425 430


Ser Ser Glu Phe Trp Gly Leu Leu Pro Phe Ala Arg Gly Asn Ile His
435 440 445


Ile Ser Ser Asn Asp Pro Thr Ala Pro Ala Ala Ile Asn Pro Asn Tyr
450 455 460


Phe Met Phe Glu Trp Asp Gly Lys Ser Gln Ala Gly Ile Ala Lys Tyr
465 470 475 480


Ile Arg Lys Ile Leu Arg Ser Ala Pro Leu Asn Lys Leu Ile Ala Lys
485 490 495


Glu Thr Lys Pro Gly Leu Ser Glu Ile Pro Ala Thr Ala Ala Asp Glu
500 505 510


Lys Trp Val Glu Trp Leu Lys Ala Asn Tyr Arg Ser Asn Phe His Pro
515 520 525


Val Gly Thr Ala Ala Met Met Pro Arg Ser Ile Gly Gly Val Val Asp
530 535 540


Asn Arg Leu Arg Val Tyr Gly Thr Ser Asn Val Arg Val Val Asp Ala
545 550 555 560


Ser Val Leu Pro Phe Gln Val Cys Gly His Leu Val Ser Thr Leu Tyr
565 570 575


Ala Val Ala Glu Arg Ala Ser Asp Leu Ile Lys Glu Asp Ala Lys Ser
580 585 590


Ala



<210> 4
<211> 1782
<212> DNA
<213> Aspergillus oryzae

<400> 4
atgctcttct cactggcatt cctgagtgcc ctgtcgctgg ccacggcatc accggctgga 60

cgggccaaga acactacgac atacgactac atcgttgtgg gaggcggcac aagtggtctt 120

gtggtcgcaa atcgcctttc tgagaacccc gatgtctccg ttcttctgct tgaggccggt 180

gcttctgtgt tcaacaaccc ggacgtaacc aacgctaacg gttatggatt ggcctttggc 240

tcggccatcg actggcagta ccagtctatt aaccaaagct atgcaggagg taaacagcaa 300

gttctgcgtg ctggtaaggc ccttggagga accagtacaa tcaatggaat ggcctatacc 360

cgcgcagagg atgtccagat tgacgtttgg cagaaacttg gaaacgaagg ttggacgtgg 420

aaagatctcc taccatacta cctgaagagt gaaaacttga cggcccctac cagctctcag 480

gttgctgctg gcgctgctta taaccctgcc gtgaatggaa aagaaggtcc tctcaaggtc 540

ggctggtcgg gaagcctggc ctccggtaat ctgtcagttg ctctgaaccg tacgttccaa 600

gccgctggtg ttccatgggt tgaggatgtc aatggaggca agatgcgtgg cttcaacatc 660

tacccatcca ccctcgacgt tgacctcaat gtccgcgaag atgcagcccg ggcatactac 720

ttcccttatg atgacaggaa gaaccttcac ctgctggaga acaccactgc caaccgcctt 780

ttctggaaga acggctctgc tgaggaagct attgcggatg gtgtcgagat cacctccgct 840

gatggcaagg tcactcgtgt gcatgcaaag aaagaggtca tcatctctgc tggtgccctg 900

cggtctcctc tcattctcga gctttcagga gttggaaacc caaccatcct caaaaagaac 960

aacataaccc cacgtgtcga tctccccacc gttggggaga acctccaaga ccagttcaac 1020

aacggcatgg ctggcgaagg atacggcgtc cttgccggtg cctcaaccgt gacctaccct 1080

tccatctccg acgtcttcgg taacgagact gactctatcg ttgcatctct ccgatctcaa 1140

ctctccgact acgccgccgc gaccgtcaag gtcagcaacg gccacatgaa gcaggaggac 1200

cttgagcgcc tctaccagct ccaatttgac ctcatcgtca aggacaaggt ccctatcgcc 1260

gagatcctct tccaccccgg tggtggaaac gccgtgtcct ccgaattctg gggcttgctt 1320

cccttcgccc gtggcaacat ccacattagc tccaatgacc cgactgctcc cgccgccatc 1380

aaccctaact actttatgtt cgaatgggac ggcaagagcc aggccggtat cgccaagtac 1440

atcaggaaga ttctccgcag cgcaccattg aacaaactta ttgcgaagga aaccaagccc 1500

ggtctctctg agattccggc cactgctgcg gatgagaagt gggttgaatg gctcaaggct 1560

aactatcgtt ccaacttcca ccccgtcgga actgctgcca tgatgcctcg ttccattggt 1620

ggcgttgttg ataaccgtct ccgggtctat ggtaccagca atgttcgcgt cgtagatgcg 1680

tctgtcctgc ccttccaggt ttgcggccac ttggttagca cgctttatgc cgttgccgag 1740

cgcgcttccg acttgattaa ggaggatgcg aagagtgctt aa 1782


<210> 5
<211> 592
<212> PRT
<213> Aspergillus terreus

<400> 5

Met Leu Gly Lys Leu Ser Phe Leu Ser Ala Leu Ser Leu Ala Val Ala
1 5 10 15


Ala Pro Leu Ser Asn Ser Thr Ser Ala Lys Tyr Asp Tyr Ile Val Ile
20 25 30


Gly Gly Gly Thr Ser Gly Leu Ala Val Ala Asn Arg Leu Ser Glu Asp
35 40 45


Pro Asn Val Asn Val Leu Ile Leu Glu Ala Gly Gly Ser Val Trp Asn
50 55 60


Asn Pro Asn Val Thr Asn Val Asp Gly Tyr Gly Leu Ala Phe Gly Ser
65 70 75 80


Asp Ile Asp Trp Gln Tyr Gln Ser Val Asn Gln Pro Tyr Gly Gly Asn
85 90 95


Leu Ser Gln Val Leu Arg Ala Gly Lys Ala Leu Gly Gly Thr Ser Thr
100 105 110


Ile Asn Gly Met Ala Tyr Thr Arg Ala Glu Asp Val Gln Ile Asp Ala
115 120 125


Trp Glu Thr Ile Gly Asn Thr Gly Trp Thr Trp Lys Asn Leu Phe Pro
130 135 140


Tyr Tyr Arg Lys Ser Glu Asn Phe Thr Val Pro Thr Lys Ser Gln Thr
145 150 155 160


Ser Leu Gly Ala Ser Tyr Glu Ala Gly Ala His Gly His Glu Gly Pro
165 170 175


Leu Asp Val Ala Phe Thr Gln Ile Glu Ser Asn Asn Leu Thr Thr Tyr
180 185 190


Leu Asn Arg Thr Phe Gln Gly Met Gly Leu Pro Trp Thr Glu Asp Val
195 200 205


Asn Gly Gly Lys Met Arg Gly Phe Asn Leu Tyr Pro Ser Thr Val Asn
210 215 220


Leu Glu Glu Tyr Val Arg Glu Asp Ala Ala Arg Ala Tyr Tyr Trp Pro
225 230 235 240


Tyr Lys Ser Arg Pro Asn Leu His Val Leu Leu Asn Thr Phe Ala Asn
245 250 255


Arg Ile Val Trp Asp Gly Glu Ala His Asp Gly His Ile Thr Ala Ser
260 265 270


Gly Val Glu Ile Thr Ser Arg Asn Gly Thr Val Arg Val Ile Asn Ala
275 280 285


Glu Lys Glu Val Ile Val Ser Ala Gly Ala Leu Lys Ser Pro Ala Ile
290 295 300


Leu Glu Leu Ser Gly Ile Gly Asn Pro Ser Val Leu Asp Lys His Asn
305 310 315 320


Ile Pro Val Lys Val Asn Leu Pro Thr Val Gly Glu Asn Leu Gln Asp
325 330 335


Gln Val Asn Ser His Met Asp Ala Ser Gly Asn Thr Ser Ile Ser Gly
340 345 350


Thr Lys Ala Val Ser Tyr Pro Asp Val Tyr Asp Val Phe Gly Asp Glu
355 360 365


Ala Glu Ser Val Ala Lys Gln Ile Arg Ala Asn Leu Lys Gln Tyr Ala
370 375 380


Ala Asp Thr Ala Lys Ala Asn Gly Asn Ile Met Lys Ala Ala Asp Leu
385 390 395 400


Glu Arg Leu Phe Glu Val Gln Tyr Asp Leu Ile Phe Lys Gly Arg Val
405 410 415


Pro Ile Ala Glu Val Leu Asn Tyr Pro Gly Ser Ala Thr Ser Val Phe
420 425 430


Ala Glu Phe Trp Ala Leu Leu Pro Phe Ala Arg Gly Ser Val His Ile
435 440 445


Gly Ser Ser Asn Pro Ala Glu Phe Pro Val Ile Asn Pro Asn Tyr Phe
450 455 460


Met Leu Asp Trp Asp Ala Lys Ser Tyr Val Ala Val Ala Lys Tyr Ile
465 470 475 480


Arg Arg Ser Phe Glu Ser Tyr Pro Leu Ser Ser Ile Val Lys Glu Ser
485 490 495


Thr Pro Gly Tyr Asp Val Ile Pro Arg Asn Ala Ser Glu Gln Ser Trp
500 505 510


Lys Glu Trp Val Phe Asp Lys Asn Tyr Arg Ser Asn Phe His Pro Val
515 520 525


Gly Thr Ala Ala Met Met Pro Arg Glu Ile Gly Gly Val Val Asp Glu
530 535 540


Arg Leu Asn Val Tyr Gly Thr Thr Asn Val Arg Val Val Asp Ala Ser
545 550 555 560


Val Leu Pro Phe Gln Val Cys Gly His Leu Val Ser Thr Leu Tyr Ala
565 570 575


Val Ala Glu Arg Ala Ala Asp Leu Ile Lys Ala Asp Ala Gly Arg Arg
580 585 590


<210> 6
<211> 1779
<212> DNA
<213> Aspergillus terreus

<400> 6
atgctgggga aactgagctt tctgagcgcg ctgagcctgg cggtggcggc ccctctgagc 60

aatagcacca gcgctaagta cgactatatc gtgatcggcg gtggaaccag cggtcttgcc 120

gttgctaacc gcttgtcgga ggatcccaac gtcaatgtgc tcatcctgga agccggcggt 180

tccgtctgga acaatccaaa cgtgactaat gttgacggtt acggactcgc tttcggctcc 240

gatatcgact ggcagtacca gtctgttaac cagccgtatg gaggcaatct ttcccaggtc 300

ttgcgtgccg gaaaggctct gggtggaacc tctactatca acggcatggc ctatacccgg 360

gctgaggatg tccagatcga cgcctgggaa actatcggca acaccggttg gacttggaag 420

aatctgttcc cctactatcg taagtccgag aatttcaccg tgccaactaa gagccagacc 480

tcgcttggtg cctcttacga ggccggagct catggccacg aaggtccttt ggatgttgct 540

ttcactcaga tcgagtctaa caatctcacc acttatctga accgcacctt ccagggcatg 600

ggtcttccgt ggactgaaga tgtcaatggc ggcaagatgc gtggcttcaa cctctaccct 660

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gatggcgagg cccatgacgg acacatcact gcttccggtg ttgaaatcac ctctcgcaac 840

ggaactgttc gtgtcatcaa tgccgagaag gaagtgatcg tttctgctgg tgctctcaag 900

tctcctgcta tccttgagtt gtccggaatc ggcaatcctt ctgtcctgga taagcataac 960

atcccggtca aagtgaatct tcctaccgtc ggtgaaaact tgcaggatca agtgaatagc 1020

cacatggacg cctcgggaaa caccagcatc tcgggcacta aggctgttag ctacccggat 1080

gtctatgacg tgttcggaga tgaggccgaa tcggtcgcta agcagatccg tgccaatctc 1140

aagcagtacg ccgctgacac cgccaaggct aacggcaata tcatgaaggc cgctgatctc 1200

gagcgcctgt tcgaagtcca gtacgacctt atcttcaagg gtcgtgttcc gatcgccgag 1260

gtcttgaact atcctggatc cgctacctct gtgttcgccg aattctgggc tctcctgcca 1320

ttcgctcgtg gatctgtgca cattggtagc tcgaatccag ctgagtttcc ggttatcaac 1380

cctaactact tcatgcttga ttgggacgcc aagagctacg ttgccgtcgc taagtatatc 1440

cgccgtagct tcgagtcgta cccattgtcc tctatcgtta aggaatcgac ccccggttat 1500

gatgtcatcc cacggaacgc ttccgagcag tcttggaagg aatgggtctt cgacaagaac 1560

taccgctcta atttccatcc cgtgggaact gccgctatga tgccacggga gatcggaggc 1620

gtcgtggatg aacgcctgaa cgtctatggc accactaatg tgcgcgttgt cgacgcttcc 1680

gtgctccctt tccaggtttg cggtcacctg gtctctactc tctacgcagt ggcagaacga 1740

gcggcggatc ttatcaaggc ggacgcaggt cgcaggtaa 1779


<210> 7
<211> 26
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> primer

<400> 7
taygattayg ttatcgtygg yggygg 26


<210> 8
<211> 26
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> primer

<400> 8
acacgcaagt trgaagtrcc rtavac 26


<210> 9
<211> 28
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> primer

<400> 9
gcccctggtc ttggtgatct taacagtg 28


<210> 10
<211> 28
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> primer

<400> 10
tgccaggagc atagacaatg aattcgtc 28


<210> 11
<211> 2123
<212> DNA
<213> Mucor guilliermond

<400> 11
atgaagattt ctgctgctat cgttaccatt gcaactgcat tcgcctcatt ggtttctgct 60

caaagtaaca ctgatactta cgattatgtt atcgtcggtg gtggtgttgg tggtaattat 120

tcttgcactt tcaaataata tctttctttt ttagactaac ttttttcttt tctgcattgt 180

aggtttggct ttagctaacc gtctttctga aaacaagcag gttactgttg ctgttctcga 240

agctggcccc aacgctaatg acgaattcat tgtctatgct cctggcatgt aagtttcatt 300

gtttattcga aaaaaaagtt taaccttaat tgagattatg taaattaaac tttattttaa 360

ctttaaggta tggtcaagct gtcggtactt acctcgctcc tctccgtcct accgttcctc 420

aagaaaacat gaacaacaga tctctcagta tcgctactgg taaattatta ggtggtggtt 480

ctgctgttaa cggtcttgtc tgggtaagtt gaataatgtt atcgctaaaa tcctcaatta 540

ataattaaca atttgttatc tttgtgaatg aatagactcg tggtgctact aaggatttcg 600

atgcctggga ggaacttggt aaccctggtt ggaatggtgc tagtatgttc aagtacttca 660

agaaggtcga gaacttcact gctcctactc cttatcaagt caactatggt gctacttatc 720

aaaagaacac tcacggttat aaaggtcccg ttcaagtttc tttcaccaac tatgaattcc 780

ctcaatctgc tcactggaac caatctcttg cttctcttgg cttcgatcat cttcccgatc 840

tcttgaacgg tactcttagt ggttactcta ctacccctaa cattttggac cctaatactg 900

atcaacgttg tgatgcttat gctgcttata ttgctcctta cactgctcgt actaatcttc 960

atgtcttggc caaccacacc gtttctcgta tcgaattcaa ccaaaccaac gctaaccaac 1020

ctcttgttgc ctctggtgtt gaatggtacc ctactggtga taacaccaag aagcaaacta 1080

ttaaggctcg tttggaagtc attgtttcct ccggttctat tggtagtccc aagcttctcg 1140

aaatttccgg tattggtaat aaggacattg tcactgctgc tggtgtcaag tctttgctcg 1200

atttgcctgg tgttggctcc aacatgcaag atcatgtcca cgctgtcact gtttccacca 1260

ctaacattac cggttatact actgatagtg tctttgtcaa ctctactctt gcttctgaac 1320

aaagagaaca atacgaaaag gataagtctg gtatctggac caccaccccc aataaccttg 1380

gttatcctac tcctgctcaa cttttcaacg gtactgaatt catggatggt aaggcctttg 1440

ctgccagaat ccgtaactct tctcaagaat gggctcaata ctatgcttcc aagaacgctt 1500

ctactgttga attgttgatg aagcaatacg aaatcgttgc cagccgttac gaagaaaact 1560

acttgtctcc tattgaaatt aacttgactc ccggttatgg tggtgttggt accgttgata 1620

agactaagaa caagtatcaa actgtcaacc acgtcttgat tgctcccttg tctcgtggtt 1680

tcactcatat taactcttct gatatcgaag accccgttaa cattaaccct caatactact 1740

ctcaccctat ggatattgat gtccatgttg cctctactaa gcttgctcgt cgaatcatta 1800

atgcccctgg tcttggtgat cttaacagtg gtgaagttga acccggtatg gatatcacct 1860

ctgattctga tgtcagagct tggttagcta acaacgttcg ttctgactgg catcccgtcg 1920

gtacttgtgc tatgcttccc aaggaacttg gtggtgttgt tgattcttct cttaaggtct 1980

acggtactgc taacttgaga gttgttgatg cctccatcat gcctcttgaa gtttcttctc 2040

acttgatgca acctaccttt ggtgttgctg aaaaggctgc tgatattatc aaggctgaat 2100

acaagaagca aaaggcccaa taa 2123


<210> 12
<211> 1902
<212> DNA
<213> Mucor guilliermond

<400> 12
atgaagattt ctgctgctat cgttaccatt gcaactgcat tcgcctcatt ggtttctgct 60

caaagtaaca ctgatactta cgattatgtt atcgtcggtg gtggtgttgg tggtttggct 120

ttagctaacc gtctttctga aaacaagcag gttactgttg ctgttctcga agctggcccc 180

aacgctaatg acgaattcat tgtctatgct cctggcatgt atggtcaagc tgtcggtact 240

tacctcgctc ctctccgtcc taccgttcct caagaaaaca tgaacaacag atctctcagt 300

atcgctactg gtaaattatt aggtggtggt tctgctgtta acggtcttgt ctggactcgt 360

ggtgctacta aggatttcga tgcctgggag gaacttggta accctggttg gaatggtgct 420

agtatgttca agtacttcaa gaaggtcgag aacttcactg ctcctactcc ttatcaagtc 480

aactatggtg ctacttatca aaagaacact cacggttata aaggtcccgt tcaagtttct 540

ttcaccaact atgaattccc tcaatctgct cactggaacc aatctcttgc ttctcttggc 600

ttcgatcatc ttcccgatct cttgaacggt actcttagtg gttactctac tacccctaac 660

attttggacc ctaatactga tcaacgttgt gatgcttatg ctgcttatat tgctccttac 720

actgctcgta ctaatcttca tgtcttggcc aaccacaccg tttctcgtat cgaattcaac 780

caaaccaacg ctaaccaacc tcttgttgcc tctggtgttg aatggtaccc tactggtgat 840

aacaccaaga agcaaactat taaggctcgt ttggaagtca ttgtttcctc cggttctatt 900

ggtagtccca agcttctcga aatttccggt attggtaata aggacattgt cactgctgct 960

ggtgtcaagt ctttgctcga tttgcctggt gttggctcca acatgcaaga tcatgtccac 1020

gctgtcactg tttccaccac taacattacc ggttatacta ctgatagtgt ctttgtcaac 1080

tctactcttg cttctgaaca aagagaacaa tacgaaaagg ataagtctgg tatctggacc 1140

accaccccca ataaccttgg ttatcctact cctgctcaac ttttcaacgg tactgaattc 1200

atggatggta aggcctttgc tgccagaatc cgtaactctt ctcaagaatg ggctcaatac 1260

tatgcttcca agaacgcttc tactgttgaa ttgttgatga agcaatacga aatcgttgcc 1320

agccgttacg aagaaaacta cttgtctcct attgaaatta acttgactcc cggttatggt 1380

ggtgttggta ccgttgataa gactaagaac aagtatcaaa ctgtcaacca cgtcttgatt 1440

gctcccttgt ctcgtggttt cactcatatt aactcttctg atatcgaaga ccccgttaac 1500

attaaccctc aatactactc tcaccctatg gatattgatg tccatgttgc ctctactaag 1560

cttgctcgtc gaatcattaa tgcccctggt cttggtgatc ttaacagtgg tgaagttgaa 1620

cccggtatgg atatcacctc tgattctgat gtcagagctt ggttagctaa caacgttcgt 1680

tctgactggc atcccgtcgg tacttgtgct atgcttccca aggaacttgg tggtgttgtt 1740

gattcttctc ttaaggtcta cggtactgct aacttgagag ttgttgatgc ctccatcatg 1800

cctcttgaag tttcttctca cttgatgcaa cctacctttg gtgttgctga aaaggctgct 1860

gatattatca aggctgaata caagaagcaa aaggcccaat aa 1902


<210> 13
<211> 633
<212> PRT
<213> Mucor guilliermond

<400> 13

Met Lys Ile Ser Ala Ala Ile Val Thr Ile Ala Thr Ala Phe Ala Ser
1 5 10 15


Leu Val Ser Ala Gln Ser Asn Thr Asp Thr Tyr Asp Tyr Val Ile Val
20 25 30


Gly Gly Gly Val Gly Gly Leu Ala Leu Ala Asn Arg Leu Ser Glu Asn
35 40 45


Lys Gln Val Thr Val Ala Val Leu Glu Ala Gly Pro Asn Ala Asn Asp
50 55 60


Glu Phe Ile Val Tyr Ala Pro Gly Met Tyr Gly Gln Ala Val Gly Thr
65 70 75 80


Tyr Leu Ala Pro Leu Arg Pro Thr Val Pro Gln Glu Asn Met Asn Asn
85 90 95


Arg Ser Leu Ser Ile Ala Thr Gly Lys Leu Leu Gly Gly Gly Ser Ala
100 105 110


Val Asn Gly Leu Val Trp Thr Arg Gly Ala Thr Lys Asp Phe Asp Ala
115 120 125


Trp Glu Glu Leu Gly Asn Pro Gly Trp Asn Gly Ala Ser Met Phe Lys
130 135 140


Tyr Phe Lys Lys Val Glu Asn Phe Thr Ala Pro Thr Pro Tyr Gln Val
145 150 155 160


Asn Tyr Gly Ala Thr Tyr Gln Lys Asn Thr His Gly Tyr Lys Gly Pro
165 170 175


Val Gln Val Ser Phe Thr Asn Tyr Glu Phe Pro Gln Ser Ala His Trp
180 185 190


Asn Gln Ser Leu Ala Ser Leu Gly Phe Asp His Leu Pro Asp Leu Leu
195 200 205


Asn Gly Thr Leu Ser Gly Tyr Ser Thr Thr Pro Asn Ile Leu Asp Pro
210 215 220


Asn Thr Asp Gln Arg Cys Asp Ala Tyr Ala Ala Tyr Ile Ala Pro Tyr
225 230 235 240


Thr Ala Arg Thr Asn Leu His Val Leu Ala Asn His Thr Val Ser Arg
245 250 255


Ile Glu Phe Asn Gln Thr Asn Ala Asn Gln Pro Leu Val Ala Ser Gly
260 265 270


Val Glu Trp Tyr Pro Thr Gly Asp Asn Thr Lys Lys Gln Thr Ile Lys
275 280 285


Ala Arg Leu Glu Val Ile Val Ser Ser Gly Ser Ile Gly Ser Pro Lys
290 295 300


Leu Leu Glu Ile Ser Gly Ile Gly Asn Lys Asp Ile Val Thr Ala Ala
305 310 315 320


Gly Val Lys Ser Leu Leu Asp Leu Pro Gly Val Gly Ser Asn Met Gln
325 330 335


Asp His Val His Ala Val Thr Val Ser Thr Thr Asn Ile Thr Gly Tyr
340 345 350


Thr Thr Asp Ser Val Phe Val Asn Ser Thr Leu Ala Ser Glu Gln Arg
355 360 365


Glu Gln Tyr Glu Lys Asp Lys Ser Gly Ile Trp Thr Thr Thr Pro Asn
370 375 380


Asn Leu Gly Tyr Pro Thr Pro Ala Gln Leu Phe Asn Gly Thr Glu Phe
385 390 395 400


Met Asp Gly Lys Ala Phe Ala Ala Arg Ile Arg Asn Ser Ser Gln Glu
405 410 415


Trp Ala Gln Tyr Tyr Ala Ser Lys Asn Ala Ser Thr Val Glu Leu Leu
420 425 430


Met Lys Gln Tyr Glu Ile Val Ala Ser Arg Tyr Glu Glu Asn Tyr Leu
435 440 445


Ser Pro Ile Glu Ile Asn Leu Thr Pro Gly Tyr Gly Gly Val Gly Thr
450 455 460


Val Asp Lys Thr Lys Asn Lys Tyr Gln Thr Val Asn His Val Leu Ile
465 470 475 480


Ala Pro Leu Ser Arg Gly Phe Thr His Ile Asn Ser Ser Asp Ile Glu
485 490 495


Asp Pro Val Asn Ile Asn Pro Gln Tyr Tyr Ser His Pro Met Asp Ile
500 505 510


Asp Val His Val Ala Ser Thr Lys Leu Ala Arg Arg Ile Ile Asn Ala
515 520 525


Pro Gly Leu Gly Asp Leu Asn Ser Gly Glu Val Glu Pro Gly Met Asp
530 535 540


Ile Thr Ser Asp Ser Asp Val Arg Ala Trp Leu Ala Asn Asn Val Arg
545 550 555 560


Ser Asp Trp His Pro Val Gly Thr Cys Ala Met Leu Pro Lys Glu Leu
565 570 575


Gly Gly Val Val Asp Ser Ser Leu Lys Val Tyr Gly Thr Ala Asn Leu
580 585 590


Arg Val Val Asp Ala Ser Ile Met Pro Leu Glu Val Ser Ser His Leu
595 600 605


Met Gln Pro Thr Phe Gly Val Ala Glu Lys Ala Ala Asp Ile Ile Lys
610 615 620


Ala Glu Tyr Lys Lys Gln Lys Ala Gln
625 630


<210> 14
<211> 631
<212> PRT
<213> Mucor RD056860

<400> 14

Met Arg Leu Ser Val Ala Ile Leu Thr Leu Thr Ser Ala Leu Ala Ser
1 5 10 15


Val Thr Ser Ala Gln Gln Asn Asn Thr Asp Thr Tyr Asp Tyr Val Ile
20 25 30


Val Gly Gly Gly Val Gly Gly Leu Ala Leu Ala Ser Arg Leu Ser Glu
35 40 45


Asp Lys Asn Val Thr Val Ala Val Leu Glu Ser Gly Pro Tyr Ala Asp
50 55 60


Asp Lys Phe Val Val Tyr Ala Pro Gly Met Tyr Gly Gln Ala Val Gly
65 70 75 80


Thr Asp Leu Cys Pro Leu Leu Pro Thr Val Pro Gln Pro Ser Met Asn
85 90 95


Asn Arg Thr Ile Thr Ile Ala Thr Gly Arg Leu Leu Gly Gly Gly Ser
100 105 110


Ala Val Asn Gly Leu Val Trp Thr Arg Gly Ala Met Lys Asp Phe Asp
115 120 125


Ala Trp Gln Glu Leu Gly Asn Pro Gly Trp Asn Gly Thr Thr Met Phe
130 135 140


Lys Tyr Phe Lys Lys Ile Glu Asn Phe His Pro Pro Thr Glu Glu Gln
145 150 155 160


Ile Gln Tyr Gly Ala Thr Tyr Asn Lys Ser Val His Gly Phe Asn Gly
165 170 175


Pro Ile Asp Ile Ala Phe Pro Val Phe Glu Phe Pro Gln Ser Ala Asn
180 185 190


Trp Asn Ala Ser Leu Ala His Leu Asn Phe Thr Arg Arg Gln Asp Leu
195 200 205


Leu Asp Gly Ser Leu His Gly Tyr Ser Thr Thr Pro Asn Thr Leu Asn
210 215 220


Pro Gln Thr Ala Arg Arg Ala Asp Ala Tyr Ala Gly Tyr Ile Gln Pro
225 230 235 240


Asn Val Asn Arg Thr Asn Leu Ala Val Leu Ala Asn His Thr Val Ser
245 250 255


Arg Ile Gln Phe Glu Ala Arg Asn Gly Ser Gln Pro Leu Lys Ala Ile
260 265 270


Gly Val Glu Trp Tyr Thr Thr Gly Gly Asp Lys Thr Ser Lys Gln Thr
275 280 285


Ile Lys Ala Arg Arg Glu Ile Ile Leu Ser Ser Gly Ala Ile Gly Ser
290 295 300


Pro Lys Leu Leu Glu Val Ser Gly Ile Gly Asn Lys Ala Ile Val Thr
305 310 315 320


Ala Ala Gly Val Gln Ser Leu Ile Asp Leu Pro Gly Val Gly Ser Asn
325 330 335


Met Gln Asp His Val His Ala Val Thr Val Ser Thr Thr Asn Ile Asp
340 345 350


Gly Tyr Thr Thr Asn Ser Val Phe Thr Asn Glu Thr Leu Ala Gln Glu
355 360 365


Gln Lys Asp Leu Tyr Tyr Asn Asn Lys Thr Gly Ile Trp Thr Thr Thr
370 375 380


Pro Asn Asn Leu Gly Tyr Pro Ser Pro Ser Gln Leu Phe Thr Asn Thr
385 390 395 400


Thr Phe Lys Ser Gly Lys Glu Phe Ala Ala Met Ile Arg Asn Ser Thr
405 410 415


Asp Lys Tyr Ala Gln Tyr Tyr Ala Ala Asn Asn Ala Thr Asn Val Glu
420 425 430


Leu Leu Lys Lys Gln Tyr Ser Ile Val Ala Arg Arg Tyr Glu Glu Asn
435 440 445


Tyr Ile Ser Pro Ile Glu Ile Asn Phe Thr Pro Gly Tyr Gly Gly Thr
450 455 460


Gly Met Ala Asp Leu Gln Asn Lys Lys Tyr Gln Thr Val Asn His Val
465 470 475 480


Leu Val Ala Pro Leu Ser Arg Gly Tyr Thr His Ile Asn Ser Ser Asp
485 490 495


Ile Glu Asp Pro Val Val Ile Asp Pro Gln Tyr Tyr Ser His Pro Leu
500 505 510


Asp Val Asp Val His Val Ala Ser Thr Gln Leu Ala Arg Ser Ile Leu
515 520 525


Asn Ala Pro Gly Leu Ala Ser Ile Asn Ser Gly Glu Val Glu Pro Gly
530 535 540


Glu Lys Val Gln Ser Asp Glu Asp Val Arg Lys Trp Leu Ser Asp Asn
545 550 555 560


Val Arg Ser Asp Trp His Pro Val Gly Thr Cys Ala Met Leu Pro Arg
565 570 575


Lys Leu Gly Gly Val Val Asp Ser Lys Leu Lys Val Tyr Gly Thr Ala
580 585 590


Asn Leu Arg Ile Val Asp Ala Ser Ile Ile Pro Leu Glu Ile Ser Ser
595 600 605


His Leu Met Gln Pro Val Tyr Ala Val Ser Glu Arg Ala Ala Asp Ile
610 615 620


Ile Lys Ser Ser Ser Lys Lys
625 630


<210> 15
<211> 1896
<212> DNA
<213> Mucor RD056860

<400> 15
atgcgtctct ctgtggcgat cctcactctc acttcggctc tggcttcggt tacctcggcc 60

caacaaaaca atactgatac ttatgactac gtgatcgtcg gaggaggagt gggtggactg 120

gctctcgctt cgcgcctctc cgaggataag aacgttaccg tggctgtcct ggaatcgggc 180

ccttatgcgg atgacaaatt cgtggtctac gccccaggga tgtatggtca ggctgtcgga 240

actgacctgt gtcctctgct cccaacggtt cctcaaccat ctatgaacaa tcgaaccatc 300

actattgcta cgggacgtct gctcggagga ggttcagctg tgaacggact ggtctggacc 360

cgtggagcta tgaaggattt cgacgcttgg caggagctgg gaaacccagg atggaatggg 420

accactatgt tcaagtactt caagaaaatc gaaaacttcc atcccccgac cgaggaacag 480

attcaatacg gcgctactta taacaagtct gtccacggtt tcaatggccc gatcgatatt 540

gcctttcccg tgttcgagtt tccgcagtct gctaactgga atgcgtcact ggcccatctc 600

aacttcaccc gccggcaaga tctgctcgac ggtagtctcc acggctacag cacgacccct 660

aacaccctga atccacagac tgcccgacgt gcggatgcct acgctggata tatccaacct 720

aacgtcaatc gaacgaacct ggctgtcctc gcgaatcata ccgttagtcg catccagttt 780

gaggcgcgga acggtagcca accactgaag gccattggcg tggaatggta tactacgggc 840

ggagacaaga ctagtaaaca gacgatcaag gcgcgccggg agatcattct gagtagcgga 900

gccattgggt cgcctaagct gctcgaagtg tccgggatcg gtaacaaagc cattgttacc 960

gccgctggag tgcagtctct gatcgatctc ccaggcgttg gatcaaacat gcaagaccat 1020

gtgcacgctg ttaccgtgtc gaccactaat atcgatgggt acacgaccaa ctccgtgttc 1080

acgaatgaga ccctcgccca ggaacaaaag gacctgtact acaacaacaa gactggaatc 1140

tggactacga cccctaacaa tctcgggtat cccagtccga gccagctgtt caccaacact 1200

acgtttaagt ctggcaaaga gtttgcggcc atgatccgca acagtactga taagtacgcc 1260

cagtactatg ctgcgaacaa tgctacgaac gtcgagctgc tcaagaaaca atatagtatc 1320

gtggcccgac gttacgagga aaactacatc agccctatcg aaatcaactt cacgccagga 1380

tacgggggta ccgggatggc tgatctgcag aacaagaaat atcaaaccgt gaatcatgtc 1440

ctggttgccc ccctcagtcg gggctacact cacatcaact cgtccgatat tgaggacccc 1500

gttgtgatcg acccgcagta ctatagccat ccgctggatg tggacgtcca cgttgcgagt 1560

acccaactgg cccgaagcat cctcaacgcc cccggactgg cttctattaa ttcaggcgag 1620

gtggaaccgg gcgagaaggt ccagagcgat gaagacgttc gcaaatggct gtcggataac 1680

gtgcgttccg actggcatcc agtcggaacc tgcgctatgc tgccacgaaa gctcggagga 1740

gtcgttgatt cgaagctcaa agtctacggc accgcgaatc tgcgtatcgt tgacgcctcc 1800

atcattccgc tcgagatttc ttcacacctg atgcaaccag tctatgcggt ctccgaacgg 1860

gctgccgaca tcatcaaatc ctcctctaaa aaataa 1896


<210> 16
<211> 635
<212> PRT
<213> Mucor Hiemalis f. silvaticus

<400> 16

Met Lys Ile Ser Val Ala Ile Val Thr Ile Ala Ala Ala Phe Ala Ser
1 5 10 15


Phe Ala Asn Ala Gln Lys Thr Ala Thr Ser Asn Thr Tyr Asp Tyr Val
20 25 30


Ile Val Gly Gly Gly Val Gly Gly Leu Ala Leu Ala Ser Arg Leu Ser
35 40 45


Glu Asp Lys Ser Val Thr Val Ala Val Leu Glu Ala Gly Pro Asn Ala
50 55 60


Asp Glu Gln Phe Val Val Tyr Ala Pro Gly Met Tyr Gly Gln Ala Val
65 70 75 80


Gly Thr Asp Leu Cys Pro Leu Arg Pro Thr Val Pro Gln Glu Ala Met
85 90 95


Asn Asn Arg Thr Leu Thr Ile Ala Thr Gly Lys Leu Leu Gly Gly Gly
100 105 110


Ser Ala Ile Asn Gly Leu Val Trp Thr Arg Gly Ala Leu Lys Asp Phe
115 120 125


Asp Ala Trp Glu Glu Leu Gly Asn Pro Gly Trp Asn Gly Arg Thr Met
130 135 140


Phe Lys Tyr Phe Lys Lys Val Glu Arg Phe His Pro Pro Thr Lys Ala
145 150 155 160


Gln Val Gln Tyr Gly Ala Thr Tyr Gln Lys Gly Val His Gly Lys Asn
165 170 175


Gly Arg Ile Asp Ile Ser Phe Pro Glu Phe Gln Phe Pro Gln Ser Ala
180 185 190


Asn Trp Asn Ala Ser Leu Ala Thr Leu Asp Phe Thr His Gln Gln Asp
195 200 205


Leu Leu Asn Gly Ser Leu His Gly Tyr Ser Thr Thr Pro Asn Thr Leu
210 215 220


Asp Pro Lys Thr Ala Arg Arg Val Asp Ser Tyr Thr Gly Tyr Ile Ala
225 230 235 240


Pro Phe Val Ser Arg Lys Asn Leu Phe Val Leu Ala Asn His Thr Val
245 250 255


Ser Arg Ile Gln Phe Lys Pro Lys Asn Gly Thr Glu Leu Leu Lys Ala
260 265 270


Val Gly Val Glu Trp Tyr Thr Thr Gly Asp Asn Ser Asn Lys Gln Thr
275 280 285


Ile Lys Ala Arg Arg Glu Val Ile Val Ser Ser Gly Ser Ile Gly Ser
290 295 300


Pro Lys Leu Leu Glu Ile Ser Gly Ile Gly Asn Lys Asp Ile Val Thr
305 310 315 320


Ala Ala Gly Val Gln Ser Leu Ile Asp Leu Pro Gly Val Gly Ser Asn
325 330 335


Met Gln Asp His Val His Ala Val Thr Val Ser Thr Thr Asn Ile Thr
340 345 350


Gly Phe Thr Thr Asp Ser Val Phe Gln Asn Glu Thr Leu Ala Glu Glu
355 360 365


Gln Arg Gln Gln Tyr Tyr Asn Asn Lys Thr Gly Ile Trp Thr Thr Thr
370 375 380


Pro Asn Asn Leu Gly Tyr Pro Ser Pro Ser Gln Leu Phe Asp Gly Thr
385 390 395 400


Ser Phe Glu Ser Gly Gln Ala Phe Ala Asn Arg Ile Arg Asn Ser Thr
405 410 415


Asp Gln Trp Ala Glu Tyr Tyr Ala Ser Thr Asn Ala Thr Asn Ile Glu
420 425 430


Leu Leu Lys Lys Gln Tyr Ala Ile Val Ala Ser Arg Tyr Glu Glu Asn
435 440 445


Tyr Leu Ser Pro Ile Glu Ile Asn Phe Thr Pro Gly Tyr Gly Gly Thr
450 455 460


Thr Asp Val Asp Leu Lys Asn Asn Lys Tyr Gln Thr Val Asn His Val
465 470 475 480


Leu Ile Ala Pro Leu Ser Arg Gly Tyr Thr His Ile Asn Ser Ser Asn
485 490 495


Ile Glu Asp Pro Val Val Ile Asn Pro Gln Tyr Tyr Thr His Pro Met
500 505 510


Asp Val Asp Val His Ile Ala Ser Thr Lys Leu Ala Arg Arg Ile Leu
515 520 525


Gly Ala Glu Pro Gly Leu Ala Ser Ile Asn Ser Gly Glu Ile Gln Pro
530 535 540


Gly Ser Asn Ile Thr Ser Asp Glu Asp Val Lys Gln Trp Leu Ala Asp
545 550 555 560


Asn Val Arg Ser Asp Trp His Pro Val Gly Thr Cys Ala Met Leu Pro
565 570 575


Arg Glu Leu Gly Gly Val Val Asp Pro Asn Leu Leu Val Tyr Gly Thr
580 585 590


Ala Asn Leu Arg Val Val Asp Ala Ser Ile Met Pro Leu Glu Ile Ser
595 600 605


Ser His Leu Met Gln Pro Thr Tyr Gly Val Ala Glu Lys Ala Ala Asp
610 615 620


Ile Ile Lys Met Ser Arg Lys Asn Asn Asn Asn
625 630 635


<210> 17
<211> 1908
<212> DNA
<213> Mucor Hiemalis f. silvaticus

<400> 17
atgaaaatct cagtagccat tgtcactatc gccgccgcct tcgcttcctt cgccaacgcc 60

caaaagaccg caaccagtaa tacctatgat tatgtaattg ttggtggtgg tgttggtggt 120

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ggtaccgatt tgtgtccatt aagacctact gtcccacaag aagctatgaa taacagaaca 300

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atttcttttc ctgaatttca attcccacaa tctgctaatt ggaacgcctc attggctacc 600

ttagatttca ctcatcaaca agacttgtta aatggttcct tgcacggtta tagtactaca 660

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ggtgacaact caaacaaaca aacaattaag gcaagaagag aagttatcgt ctcttcaggt 900

tccattggta gtcctaaatt gttggaaata tccggtatcg gtaataagga tatcgtaact 960

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gttcacgctg taactgtttc cacaaccaac ataacaggtt ttactacaga tagtgttttc 1080

caaaacgaaa cattggcaga agaacaaaga caacaatact acaacaacaa aaccggtatc 1140

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tctttcgaat caggtcaagc atttgcaaac agaattagaa actctaccga ccaatgggct 1260

gaatattacg catcaactaa tgccacaaac atcgaattgt tgaagaaaca atacgcaatc 1320

gttgcctcca gatacgaaga aaactacttg agtcctatcg aaatcaactt cactccaggt 1380

tatggtggta ccactgatgt tgatttgaaa aataacaagt accaaactgt taatcatgtc 1440

ttgatcgctc ctttatcaag aggttataca cacatcaatt ccagtaacat agaagatcct 1500

gtagttataa atccacaata ctacacccat ccaatggatg tcgacgtaca cattgcttct 1560

actaaattgg caagaagaat attaggtgcc gaacctggtt tggcttccat aaatagtggt 1620

gaaatccaac caggttctaa cattacatca gatgaagacg ttaagcaatg gttagcagat 1680

aatgttagat ctgactggca tcctgtcggt acatgcgcca tgttgccaag agaattaggt 1740

ggtgtcgtag atccaaattt gttggtttac ggtactgcaa acttaagagt tgtcgacgcc 1800

tctataatgc ctttggaaat ctcttcacat ttgatgcaac caacttacgg tgttgctgaa 1860

aaagccgctg atattattaa gatgtctaga aagaataaca ataactaa 1908
【配列表】
2023164516000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2023-09-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(i)から(v)の性質:
(i)作用:電子受容体存在下でGDH活性を示す、
(ii)基質特異性:D-グルコースに対する反応性と比較して、マルトース、D-ガラクトース、D-キシロースに対する反応性が低い、
(iii)熱安定性:40℃、15分間の熱処理後に80%以上の残存活性を有する、
(iv)フラビン化合物を補酵素とする、および
(v)温度特性:20~40℃の範囲で最も活性が高い測定温度におけるD-グルコースに対する反応性を100%とした場合に、20~40℃における活性値が74%~100%である、かつ20℃における活性値が70%以上である、
を備えMucor属に分類される微生物に由来するフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)をD-グルコースと20~40℃で接触させることを含む、D-グルコースの測定方法であって、
D-グルコースの濃度が、4mM以下である前記測定方法。
【請求項2】
D-グルコースの濃度が、3mM以下である、請求項1に記載の測定方法。
【請求項3】
D-グルコースの濃度が、2mM以下である、請求項1に記載の測定方法。
【請求項4】
前記フラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)をD-グルコースと20~35℃で接触させることを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の測定方法。
【請求項5】
4mM以下のD-グルコースを測定することができるフラビン結合型GDHを用いることを含む、グルコース測定剤又はセンサの製造方法であって、
フラビン結合型GDHを用意する工程、
用意したフラビン結合型GDHが、以下の(i)から(v)の性質:
(i)作用:電子受容体存在下でGDH活性を示す、
(ii)基質特異性:D-グルコースに対する反応性と比較して、マルトース、D-ガラクトース、D-キシロースに対する反応性が低い、
(iii)熱安定性:40℃、15分間の熱処理後に80%以上の残存活性を有する、
(iv)フラビン化合物を補酵素とする、および
(v)温度特性:20~40℃の範囲で最も活性が高い測定温度におけるD-グルコースに対する反応性を100%とした場合に、20~40℃における活性値が74%~100%である、かつ20℃における活性値が70%以上である、
を備えるか否かを調べる工程、
該フラビン結合型GDHが(i)から(vi)の性質を有する場合、当該フラビン結合型GDHを、D-グルコースと20~40℃で接触させるためのグルコース測定剤に配合する、又はセンサに組み入れる工程、
を含む、4mM以下のD-グルコースを測定するためのグルコース測定剤又はセンサの製造方法。
【請求項6】
3mM以下のD-グルコースを測定することができるフラビン結合型GDHを用いることを含み、前記グルコース測定剤又はセンサが3mM以下のD-グルコースを測定するためのものである、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
2mM以下のD-グルコースを測定することができるフラビン結合型GDHを用いることを含み、前記グルコース測定剤又はセンサが2mM以下のD-グルコースを測定するためのものである、請求項5に記載の製造方法。
【請求項8】
前記グルコース測定剤又はセンサが、フラビン結合型GDHをD-グルコースと20~35℃で接触させるためのものである、請求項5~7のいずれか1項に記載の製造方法。