(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164633
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20231102BHJP
H01L 21/677 20060101ALN20231102BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 651Z
H01L21/304 648A
H01L21/68 A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023151908
(22)【出願日】2023-09-20
(62)【分割の表示】P 2022144961の分割
【原出願日】2018-10-26
(31)【優先権主張番号】P 2018000247
(32)【優先日】2018-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】御所 眞高
(72)【発明者】
【氏名】道木 裕一
(72)【発明者】
【氏名】枇杷 聡
(72)【発明者】
【氏名】岡村 聡
(72)【発明者】
【氏名】大川 勝宏
(72)【発明者】
【氏名】桾本 裕一朗
(57)【要約】
【課題】基板の歩留まりを向上させること。
【解決手段】実施形態に係る基板処理装置は、基板上に形成された液膜の液量を検出する液量検出部と、液膜による基板の被覆状態を検出する被覆検出部と、液膜を形成した基板に乾燥処理を行う乾燥部と、基板の重量を計測するロードセルとを備える。乾燥部は、基板を搬入出するための開口部を側面に形成した本体と、本体の外部に設けられ、基板搬送装置から液膜を形成した基板を受け取り、かつ乾燥処理が終了した基板を基板搬送装置に受け渡すリフターとを有する。ロードセルは、リフターに設けられる。
【選択図】
図10A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された液膜の液量を検出する液量検出部と、
前記液膜による前記基板の被覆状態を検出する被覆検出部と、
前記液膜を形成した前記基板に乾燥処理を行う乾燥部と、
前記基板の重量を計測するロードセルと
を備え、
前記乾燥部は、
前記基板を搬入出するための開口部を側面に形成した本体と、
前記本体の外部に設けられ、基板搬送装置から前記液膜を形成した前記基板を受け取り、かつ乾燥処理が終了した前記基板を前記基板搬送装置に受け渡すリフターと
を有し、
前記ロードセルは、前記リフターに設けられる
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記液量検出部は、
前記ロードセルにより計測した前記基板の重量に基づいて、前記基板に形成された液膜の液量を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記液量検出部は、
前記乾燥部に前記基板が搬送される前に前記液量を検出する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記液量検出部は、
前記乾燥部前記基板が搬送された後に前記液量を検出する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記液量検出部は、
前記液膜を形成した前記基板を前記乾燥部に搬入する前に、前記ロードセルにより前記基板の重量を計測し、
前記計測した重量と予め設定された第1所定重量との差を算出し、
前記基板に形成された液膜の液量を検出する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記液量検出部は、
前記乾燥部の本体から搬出された前記基板の重量を前記ロードセルにより計測し、
前記計測した重量と予め設定された第2所定重量との差を算出し、
前記基板の乾燥状態を検出する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記ロードセルは、
前記乾燥部の本体に搬入される前の前記液膜を形成した前記基板の重量と、前記乾燥部の本体から搬出された前記乾燥処理が終了した前記基板の重量とを計測し、
前記液量検出部は、
前記ロードセルにより計測した前記基板の重量に基づいて、前記基板に形成された液膜の液量または前記基板の乾燥状態を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項8】
請求項1または2に記載の基板処理装置を使って行う基板処理方法であって、
乾燥処理前に基板の表面に液膜が形成された前記基板の重量を検出するステップと、
前記乾燥処理前の前記基板における前記液膜による被覆状態を検出するステップと、
前記液膜が形成された前記基板に前記乾燥処理を行う乾燥処理ステップと、
前記乾燥処理後の前記基板の重量を検出するステップと、
前記乾燥処理後の前記基板の表面状態を検出するステップと
を含むことを特徴とする基板処理方法。
【請求項9】
請求項1または2に記載の基板処理装置を使って行う基板処理方法であって、
乾燥処理前に基板の表面に液膜が形成された前記基板の重量を検出するステップと、
前記液膜が形成された前記基板に前記乾燥処理を行う乾燥処理ステップと、
前記乾燥処理後の前記基板の重量を検出するステップと、
を含むことを特徴とする基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板の表面に乾燥防止用の液膜を形成し、液膜が形成された基板を超臨界流体と接触させて乾燥処理を行う基板処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した基板処理装置では、液膜が基板に適切に形成されていない状態で、乾燥処理が行われることがあり、乾燥処理後の基板の歩留まりが低下するおそれがある。
【0005】
実施形態の一態様は、基板の歩留まりを向上させる基板処理装置および基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る基板処理装置は、基板上に形成された液膜の液量を検出する液量検出部と、液膜による基板の被覆状態を検出する被覆検出部と、液膜を形成した基板に乾燥処理を行う乾燥部と、基板の重量を計測するロードセルとを備える。乾燥部は、基板を搬入出するための開口部を側面に形成した本体と、本体の外部に設けられ、基板搬送装置から液膜を形成した基板を受け取り、かつ乾燥処理が終了した基板を基板搬送装置に受け渡すリフターとを有する。ロードセルは、リフターに設けられる。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、基板の歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る基板処理システムの概略構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、受渡部の概略構成を示す断面図である。
【
図3】
図3は、洗浄処理ユニットの概略構成を示す断面図である。
【
図4】
図4は、乾燥処理ユニットの構成を示す外観斜視図である。
【
図5A】
図5Aは、受け渡し位置における乾燥処理ユニットの一部を示す概略断面図である。
【
図5B】
図5Bは、待機位置における乾燥処理ユニットの一部を示す概略断面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る制御装置の概略ブロック図である。
【
図7A】
図7Aは、IPA液体の液膜に不良部が発生していない状態を示す模式図である。
【
図7B】
図7Bは、IPA液体の液膜に不良部が発生した状態を示す模式図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態における基板処理を説明するフローチャートである。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る基板処理システムの概略構成を示す模式図である。
【
図10A】
図10Aは、第2実施形態に係る乾燥処理ユニットの一部を示す概略断面図である。
【
図10B】
図10Bは、ウェハが保持板に載置された状態を示す乾燥処理ユニットの概略断面図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態に係る制御装置の概略ブロック図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態に係る基板処理を説明するフローチャートである。
【
図13】
図13は、第3実施形態に係る乾燥処理ユニットの概略平面図である。
【
図14】
図14は、
図13のXIV-XIV断面における乾燥処理ユニットの一部を示す概略断面図である。
【
図15】
図15は、IPA液体の液膜が形成されたウェハにおけるレーザー光の反射状態を示す模式図である。
【
図16A】
図16Aは、IPA液体の液膜に不良部が発生していない状態における反射光を示す模式図である。
【
図16B】
図16Bは、IPA液体の液膜に不良部が発生した状態における反射光を示す模式図である。
【
図17】
図17は、第3実施形態に係る制御装置の概略ブロック図である。
【
図18】
図18は、第4実施形態に係る乾燥処理ユニットの概略平面図である。
【
図19】
図19は、
図18のXIX-XIX断面における乾燥処理ユニットの一部を示す概略断面図である。
【
図21A】
図21Aは、IPA液体の液膜に不良部が発生していない状態のウェハを斜め上方から見た模式図である。
【
図21B】
図21Bは、IPA液体の液膜に不良部が発生していない状態のウェハを斜め上方から見た模式図である。
【
図22】
図22は、変形例に係る基板処理システムの乾燥処理ユニットの概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する基板処理装置および基板処理方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。以下参照する各図面では、説明を分かりやすくするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする直交座標系を示す。
【0010】
(第1実施形態)
<基板処理システム1の概要>
第1実施形態に係る基板処理システム1について
図1を参照し説明する。
図1は、第1実施形態に係る基板処理システム1の概略構成を示す模式図である。
【0011】
基板処理システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは隣接して設けられる。基板処理システム1は、基板処理装置に対応する。
【0012】
搬入出ステーション2は、キャリア載置部11と、搬送部12とを備える。キャリア載置部11には、複数枚の半導体ウェハW(以下、ウェハWと呼称する。)を水平状態で収容する複数のキャリアCが載置される。
【0013】
搬送部12は、キャリア載置部11に隣接して設けられ、内部に基板搬送装置13と、受渡部14とを備える。基板搬送装置13は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置13は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いてキャリアCと受渡部14との間でウェハWの搬送を行う。受渡部14の構成例については後述する。
【0014】
処理ステーション3は、搬送部12に隣接して設けられる。処理ステーション3は、搬送部15と、複数の洗浄処理ユニット16と、複数の乾燥処理ユニット17とを備える。複数の洗浄処理ユニット16と複数の乾燥処理ユニット17とは、搬送部15の両側に並べて設けられる。なお、
図1に示した洗浄処理ユニット16および乾燥処理ユニット17の配置や個数は一例であり、図示のものに限定されない。
【0015】
搬送部15は、内部に基板搬送装置18を備える。基板搬送装置18は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置18は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いて受渡部14と、洗浄処理ユニット16と、乾燥処理ユニット17との間でウェハWの搬送を行う。
【0016】
洗浄処理ユニット16は、基板搬送装置18によって搬送されるウェハWに対して所定の洗浄処理を行う。洗浄処理ユニット16の構成例については後述する。
【0017】
乾燥処理ユニット17は、洗浄処理ユニット16によって洗浄処理されたウェハWに対して所定の乾燥処理を行う。乾燥処理ユニット17の構成例については後述する。
【0018】
また、基板処理システム1は、制御装置4を備える。制御装置4の構成例については後述する。
【0019】
上記のように構成された基板処理システム1では、まず、搬入出ステーション2の基板搬送装置13が、キャリア載置部11に載置されたキャリアCからウェハWを取り出し、取り出したウェハWを受渡部14に載置する。受渡部14に載置されたウェハWは、処理ステーション3の基板搬送装置18によって受渡部14から取り出されて、洗浄処理ユニット16へ搬入される。
【0020】
洗浄処理ユニット16へ搬入されたウェハWは、洗浄処理ユニット16によって洗浄処理が施された後、基板搬送装置18によって洗浄処理ユニット16から搬出される。洗浄処理ユニット16から搬出されたウェハWは、基板搬送装置18によって乾燥処理ユニット17へ搬入され、乾燥処理ユニット17によって乾燥処理が施される。
【0021】
乾燥処理ユニット17によって乾燥処理されたウェハWは、基板搬送装置18によって乾燥処理ユニット17から搬出され、受渡部14に載置される。そして、受渡部14に載置された処理済のウェハWは、基板搬送装置13によってキャリア載置部11のキャリアCへ戻される。
【0022】
<受渡部14の概要>
次に、受渡部14について
図2を参照し説明する。
図2は、受渡部14の概略構成を示す断面図である。
【0023】
受渡部14は、ケース40と、台座41と、複数の昇降部材42と、ロードセル43とを備える。ケース40には、基板搬送装置13、18によってウェハWを搬入出するための開口部40A、40Bが形成される。台座41は、ケース40内に配置される。台座41には、昇降部材42が挿入される挿入孔が形成される。
【0024】
昇降部材42は、昇降駆動部(不図示)によって昇降可能となるように台座41に支持される。昇降部材42は、基板搬送装置13および基板搬送装置18によって搬入されたウェハWが昇降部材42の先端部に載置されると、ウェハWの下面を支持する。昇降部材42がウェハWを支持した状態で、所定の受渡位置から昇降駆動部によって降下されると、ウェハWがロードセル43上に載置される。また、ウェハWがロードセル43上に載置された状態で昇降駆動部によって昇降部材42が上昇すると、昇降部材42はウェハWの下面に当接しウェハWを支持し、ウェハWを受渡位置まで上昇させる。
【0025】
ロードセル43は、キャリアCから搬入されたウェハW、または乾燥処理ユニット17によって乾燥処理されたウェハWの重量を測定し、ウェハWの重量に関する信号を制御装置4に出力する。
【0026】
<洗浄処理ユニット16の概要>
次に、洗浄処理ユニット16について
図3を参照し説明する。
図3は、洗浄処理ユニット16の概略構成を示す断面図である。洗浄処理ユニット16は、例えば、スピン洗浄によりウェハWを1枚ずつ洗浄する枚葉式の洗浄処理ユニット16として構成される。
【0027】
洗浄処理ユニット16は、ウェハ保持機構25と、ノズルアーム26と、赤外線センサ27とを備える。
【0028】
ウェハ保持機構25は、リフター28と、ウェハ保持部29とを備える。ウェハ保持機構25は、処理空間を形成するアウターチャンバー23内に配置され、ウェハ保持部29によってウェハWをほぼ水平に保持し、鉛直軸回りに回転することで、ウェハWを回転させる。
【0029】
リフター28は、複数のリフターピン28aと、リフターピン28aの下端が接続されリフターピン28aを支持する支持部28bと、支持部28bの下面に設けられたロードセル28cとを備える。
【0030】
リフターピン28aは、伸縮駆動部(不図示)によって上下方向に伸縮する。リフターピン28aは、上方の受け渡し位置において基板搬送装置18との間でウェハWの受け渡しを行う。また、リフターピン28aは、下方の受け渡し位置においてウェハ保持部29との間でウェハWの受け渡しを行う。リフターピン28aは、ウェハWの下面に当接し、ウェハWを支持する。リフターピン28aは、ウェハ保持部29にウェハWが保持された状態からさらに縮むと、ウェハWの下面から離間する。
【0031】
ロードセル28cは、リフターピン28aによってウェハWを支持した状態でウェハWの重量を計測する。ロードセル28cは、ウェハWに洗浄処理を行う前の重量、およびウェハWに洗浄処理を行った後のウェハWの重量を計測する。ロードセル28cは、ウェハWの重量に関する信号を制御装置4に出力する。
【0032】
なお、リフターピン28aは、伸縮しない棒状の部材であってもよい。この場合、リフター28では、リフターピン28a、支持部28b、およびロードセル28cが一体となり、上下方向に移動する。
【0033】
ウェハ保持部29は、ウェハWをほぼ水平に保持する。ウェハ保持機構25は、ウェハ保持部29によってウェハWを保持した状態で、鉛直軸回りに回転することで、ウェハWを回転させる。
【0034】
赤外線センサ27は、洗浄処理が終了したウェハWの温度を計測し、ウェハWの温度に関する信号を制御装置4に出力する。赤外線センサ27は、ウェハWがウェハ保持部29によって保持された状態でウェハWの温度を計測する。なお、赤外線センサ27は、リフターピン28aによってウェハWが支持された状態でウェハWの温度を計測してもよい。
【0035】
また、赤外線センサ27は、複数設けられてもよい。例えば、1つの赤外線センサ27によってウェハWの全領域の温度を検出できない場合であっても、赤外線センサ27を複数設けることで、ウェハWの全領域の温度を検出することができる。
【0036】
ノズルアーム26は、回転するウェハWの上方に進入し、ノズルアーム26の先端部に設けられる薬液ノズル26aから薬液、リンス液、酸性薬液、IPAを予め定められた順に供給することにより、ウェハWの表面の洗浄処理を行う。ノズルアーム26は、複数設けられてもよい。なお、ノズルアーム26は、赤外線センサ27によってウェハWの温度を計測する場合には、赤外線センサ27による計測を妨げないように、後退する。
【0037】
また、洗浄処理ユニット16には、ウェハ保持機構25の内部にも薬液供給路25aが形成されている。そして、かかる薬液供給路25aから供給された薬液やリンス液などによって、ウェハWの裏面洗浄が行われる。
【0038】
上述のウェハWの洗浄処理は、例えば、最初にアルカリ性の薬液であるSC1液(アンモニアと過酸化水素水の混合液)によるパーティクルや有機性の汚染物質の除去が行われ、次に、リンス液である脱イオン水(DeIonized Water:以下、DIWと呼称する。)によるリンス洗浄が行われる。次に、酸性薬液である希フッ酸水溶液(Diluted HydroFluoric acid:以下、DHFと呼称する。)による自然酸化膜の除去が行われ、次に、DIWによるリンス洗浄が行われる。
【0039】
上述の各種薬液は、アウターチャンバー23や、アウターチャンバー23内に配置されるインナーカップ24に受け止められて、アウターチャンバー23の底部に設けられる排液口23aや、インナーカップ24の底部に設けられる排液口24aから排出される。さらに、アウターチャンバー23内の雰囲気は、アウターチャンバー23の底部に設けられる排気口23bから排気される。
【0040】
上述のウェハWのリンス処理の後には、ウェハ保持機構25を回転させながら、ウェハWの表面および裏面に液体状態のIPA(以下、「IPA液体」と呼称する。)を供給し、ウェハWの両面に残存しているDIWと置換する。その後、ウェハ保持機構25の回転を緩やかに停止する。これにより、ウェハWの表面には、IPA液体が液盛りされ、IPA液体による液膜L(
図7A、B参照)が形成される。液膜Lは、ウェハWのパターン全体を覆うように形成される。
【0041】
こうして洗浄処理を終えたウェハWは、表面にIPA液体の液膜Lが形成された状態のまま、リフター28を介して基板搬送装置18に受け渡され、洗浄処理ユニット16から搬出される。
【0042】
ウェハWの表面に液盛りされたIPA液体は、洗浄処理ユニット16から乾燥処理ユニット17へのウェハWの搬送中や、乾燥処理ユニット17への搬入動作中に、ウェハW表面の液体が蒸発(気化)することによってパターン倒れが発生することを防ぐ、乾燥防止用の液体として機能する。
【0043】
洗浄処理ユニット16での洗浄処理を終え、表面にIPA液体の液膜Lが形成されたウェハWは、乾燥処理ユニット17に搬送される。そして、乾燥処理ユニット17内においてウェハW表面のIPA液体に超臨界状態であるCO2の処理流体(以下、「超臨界流体」とも呼称する。)を接触させることにより、かかるIPA液体を超臨界流体に溶解させて除去し、ウェハWを乾燥する処理が行われる。
【0044】
<乾燥処理ユニット17の概要>
次に、乾燥処理ユニット17の構成について
図4を参照し説明する。
図4は、乾燥処理ユニット17の構成を示す外観斜視図である。
【0045】
乾燥処理ユニット17は、本体31と、保持板32と、蓋部材33と、リフター39とを備える。筐体状の本体31には、ウェハWを搬入出するための開口部34が形成される。保持板32は、処理対象のウェハWを水平方向に保持する。蓋部材33は、かかる保持板32を支持するとともに、ウェハWを本体31内に搬入したときに、開口部34を密閉する。
【0046】
本体31は、ウェハWを収容可能な処理空間が内部に形成された容器であり、その壁部には、供給ポート35A、35Bと排出ポート36とが設けられる。供給ポート35Aは、処理空間内に超臨界流体を供給する供給ライン35Cに接続される。供給ポート35Bは、処理空間内に超臨界流体を供給する供給ライン35Dに接続される。排出ポート36は、処理空間から超臨界流体を排出する排出ライン36Aに接続される。
【0047】
供給ポート35Aは、筐体状の本体31において、開口部34とは反対側の側面に接続されている。また、供給ポート35Bは、本体31の底面に接続されている。さらに、排出ポート36は、開口部34の下方側に接続されている。なお、
図4には2つの供給ポート35A、35Bと1つの排出ポート36が図示されているが、供給ポート35A、35Bや排出ポート36の数は特に限定されない。
【0048】
また、本体31の内部には、流体供給ヘッダー37A、37Bと、流体排出ヘッダー38とが設けられる。流体供給ヘッダー37A、37Bと流体排出ヘッダー38とは、いずれも多数の開孔が形成されている。
【0049】
流体供給ヘッダー37Aは、供給ポート35Aに接続され、筐体状の本体31内部において、開口部34とは反対側の側面に隣接して設けられる。また、流体供給ヘッダー37Aに形成される多数の開孔は、開口部34側を向いている。
【0050】
流体供給ヘッダー37Bは、供給ポート35Bに接続され、筐体状の本体31内部における底面の中央部に設けられる。また、流体供給ヘッダー37Bに形成される多数の開孔は、上方を向いている。
【0051】
流体排出ヘッダー38は、排出ポート36に接続され、筐体状の本体31内部において、開口部34側の側面に隣接するとともに、開口部34よりも下方に設けられる。また、流体排出ヘッダー38に形成される多数の開孔は、流体供給ヘッダー37A側を向いている。
【0052】
流体供給ヘッダー37A、37Bは、超臨界流体を本体31内に供給する。また、流体排出ヘッダー38は、本体31内の超臨界流体を本体31の外部に導いて排出する。なお、流体排出ヘッダー38を介して本体31の外部に排出される超臨界流体には、ウェハWの表面から超臨界流体に溶け込んだIPA液体が含まれる。
【0053】
リフター39は、複数のリフターピン39aと、リフターピン39aの下端が接続され受け渡し部材を支持する支持部39bとを備える。リフター39は、昇降駆動部(不図示)によって昇降する。
【0054】
リフター39は、基板搬送装置18との間でウェハWの受け渡しを行う受け渡し位置と、待機位置との間を昇降する。待機位置は、蓋部材33を開閉可能な下方側の位置である。
【0055】
リフター39は、
図5Aに示す受け渡し位置において基板搬送装置18からウェハWを受け取る。リフター39は、リフターピン39aによってウェハWの下面を支持する。リフター39は、ウェハWをリフターピン39aによって支持した状態で、
図5Bに示す待機位置まで降下することでウェハWを保持板32に載置する。
図5Aは、受け渡し位置における乾燥処理ユニット17の一部を示す概略断面図である。
図5Bは、待機位置における乾燥処理ユニット17の一部を示す概略断面図である。
【0056】
また、リフター39は、乾燥処理が終了した後に、
図5Bに示す待機位置から上昇することでリフターピン39aによってウェハWの下面を支持し、保持板32からウェハWを受け取る。リフター39は、リフターピン39aによってウェハWの下面を支持した状態で、
図5Aに示す受け渡し位置まで上昇し、ウェハWを基板搬送装置18に受け渡す。リフターピン39aは、保持板32の挿入孔32aに挿入可能となるように設けられる。
【0057】
乾燥処理ユニット17は、さらに、不図示の押圧機構を備える。かかる押圧機構は、本体31内部の処理空間内に供給された超臨界状態の超臨界流体によってもたらされる内圧に抗して、本体31に向けて蓋部材33を押し付け、処理空間を密閉する機能を有する。また、かかる処理空間内に供給された超臨界流体が所定の温度を保てるように、本体31の表面には、断熱材やテープヒータなどが設けられていてもよい。
【0058】
乾燥処理ユニット17での乾燥処理を終えたウェハWは、基板搬送装置18によって受渡部14に搬送される。
【0059】
<制御装置4の構成>
次に、制御装置4の構成について
図6を参照し説明する。
図6は、第1実施形態に係る制御装置4の概略ブロック図である。
【0060】
制御装置4は、たとえばコンピュータであり、制御部19と記憶部20とを備える。
【0061】
制御部19は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。かかるマイクロコンピュータのCPUは、ROMに記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、搬送部12(
図1参照)や搬送部15(
図1参照)、洗浄処理ユニット16、乾燥処理ユニット17などの制御を実現する。
【0062】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体に記録されていたものであって、その記録媒体から制御装置4の記憶部20にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記録媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0063】
記憶部20は、たとえば、RAM、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置によって実現される。記憶部20は、ロードセル28c、43によって計測されたウェハWの重量を記憶する。
【0064】
制御部19は、液量検出部19Aと、被覆状態検出部19Bと、判定部19Cと、信号生成部19Dと、出力部19Eとを備える。制御部19には、ロードセル28c、43からウェハWの重量に関する信号が入力される。制御部19には、赤外線センサ27からウェハWの温度に関する信号が入力される。また、制御部19は、洗浄処理ユニット16や、乾燥処理ユニット17などを制御する信号を出力する。
【0065】
液量検出部19Aは、洗浄処理によってウェハWに形成されたIPA液体の液膜Lの液量(以下、「液膜Lの液量」という。)を検出する。具体的には、液量検出部19Aは、ロードセル28cによって計測した洗浄処理後のウェハWの重量と、ロードセル28cによって計測した洗浄処理前のウェハWの重量との差を算出し、算出した差に基づいて、ウェハWに形成された液膜Lの液量を検出する。
【0066】
また、液量検出部19Aは、乾燥処理後のウェハWの乾燥状態を検出する。具体的には、液量検出部19Aは、ロードセル43によって計測した乾燥処理後のウェハWの重量とロードセル28cによって計測した洗浄処理前のウェハWの重量との差を算出し、算出した差に基づいて、ウェハWの乾燥状態を検出する。
【0067】
被覆状態検出部19Bは、IPA液体の液膜Lが形成されたウェハWの被覆状態を検出する。具体的には、被覆状態検出部19Bは、赤外線センサ27によって計測したウェハWの温度から温度分布を検出する。そして、被覆状態検出部19Bは、温度分布に基づいて被覆状態を検出する。
【0068】
液膜Lが形成されたウェハWの温度を計測すると、液膜Lがある箇所と、液膜Lが無い箇所とでは温度が異なる。これは、ウェハWは赤外線を透過し、液膜Lが無い箇所では、ウェハWの下方側の部材、例えば、ウェハ保持機構25の温度が計測されるためである。
【0069】
例えば、ウェハWに液膜Lが適切に形成されている場合には、ウェハWにおいて予め設定された所定領域内では、
図7Aにおいてハッチングで示すように、液膜Lの温度が計測される。
図7Aは、IPA液体の液膜Lに不良部Wa(
図7B参照)が発生していない状態を示す模式図である。所定領域は、パターンが形成された領域を全て含む領域である。
【0070】
一方、ウェハWに液膜Lが適切に形成されておらず、
図7Bに示すように、所定領域内に液膜Lが形成されていない不良部Waが発生した場合には、不良部Waでは、例えば、ウェハ保持機構25の温度が計測される。
図7Bは、IPA液体の液膜Lに不良部Waが発生した状態を示す模式図である。
【0071】
このように、被覆状態検出部19Bは、赤外線センサ27によって計測したウェハWの温度分布に基づいて、ウェハWの被覆状態を検出する。
【0072】
判定部19Cは、ウェハWに形成された液膜Lの液量が正常であるか否かを判定する。具体的には、判定部19Cは、液膜Lの液量が、第1所定範囲内であるか否かを判定する。第1所定範囲は、予め設定された範囲であり、乾燥処理後のウェハWに、不良ウェハとなるパターン倒れや、パーティクルが発生しない範囲である。判定部19Cは、液膜Lの液量が第1所定範囲内である場合には、液膜Lの液量が正常であると判定する。判定部19Cは、液膜Lの液量が第1所定範囲外である場合には、液膜Lの液量が正常ではないと判定する。
【0073】
また、判定部19Cは、ウェハWの乾燥状態が正常であるか否かを判定する。具体的には、判定部19Cは、乾燥処理後のウェハWの重量と、洗浄処理前のウェハWの重量との差が、第2所定範囲内であるか否かを判定する。第2所定範囲は、予め設定された範囲であり、ウェハWが乾燥していると判定できる値である。判定部19Cは、差が第2所定範囲内である場合には、ウェハWが乾燥しており、乾燥状態が正常であると判定する。判定部19Cは、差が第2所定範囲外である場合には、ウェハWが乾燥しておらず、乾燥状態が正常ではないと判定する。
【0074】
また、判定部19Cは、ウェハWの被覆状態が正常であるか否かを判定する。具体的には、判定部19Cは、所定領域内に不良部Waがあるか否かを判定する。判定部19Cは、所定領域内に不良部Waが無い場合には、ウェハWの被覆状態が正常であると判定する。判定部19Cは、所定領域内に不良部Waがある場合には、ウェハWの被覆状態が正常ではないと判定する。
【0075】
信号生成部19Dは、液膜Lの液量が正常ではない場合、または被覆状態が正常ではない場合には、洗浄処理ユニット16に対し、ウェハWの液膜Lを調整するための信号を生成する。例えば、信号生成部19Dは、IPA液体の供給をやり直すための信号を生成する。
【0076】
また、信号生成部19Dは、以降の洗浄処理において、液膜Lの液量や、被覆状態が正常となるように、IPA液体の供給量を調整するための信号を生成してもよい。例えば、信号生成部19Dは、液膜Lの液量が少ない場合には、液膜Lの液量が第1所定範囲内となるように、ウェハWに供給するIPA液体の液量を多くする信号を生成する。これにより、以降の洗浄処理において液膜Lの液量や、被覆状態を正常にすることができ、基板処理を効率よく行うことができる。
【0077】
信号生成部19Dは、ウェハWの乾燥状態が正常ではない場合には、ウェハWを洗浄処理ユニット16に戻し、洗浄処理から処理をやり直すための信号を生成する。また、信号生成部19Dは、以降の乾燥処理において、ウェハWの乾燥状態が正常となるように、乾燥処理を調整するための信号を生成してもよい。信号生成部19Dは、例えば、乾燥処理を長くするための信号を生成する。
【0078】
出力部19Eは、信号生成部19Dによって生成された信号を、洗浄処理ユニット16や、乾燥処理ユニット17などに出力する。
【0079】
<基板処理>
次に、第1実施形態に係る基板処理について
図8を参照し説明する。
図8は、第1実施形態における基板処理を説明するフローチャートである。
【0080】
基板処理システム1は、第1搬送処理を行う(S10)。基板処理システム1は、基板搬送装置13、および基板搬送装置18を用いて、キャリアCから受渡部14を経由してウェハWを洗浄処理ユニット16に搬送する。基板処理システム1は、ウェハWをリフター28のリフターピン28aに載置する。
【0081】
基板処理システム1は、ロードセル28cを用いて、洗浄処理を行う前、すなわちIPA液体の液膜Lが形成される前のウェハWの重量を計測する(S11)。
【0082】
基板処理システム1は、洗浄処理を行う(S12)。基板処理システム1は、IPA液体の液膜Lが形成される前のウェハWの重量を計測した後に、ウェハWをリフターピン28aからウェハ保持部29に受け渡し、ウェハ保持部29によってウェハWを保持する。基板処理システム1は、汚染物質の除去を行った後に、リンス洗浄を行う。そして、基板処理システム1は、設定された時間および流量でIPA液体を供給し、ウェハWの表面にIPA液体の液膜Lを形成する。
【0083】
基板処理システム1は、被覆状態を検出する(S13)。基板処理システム1は、赤外線センサ27を用いてウェハWの温度を計測し、ウェハWの温度分布に基づいて被覆状態を検出する。
【0084】
基板処理システム1は、被覆状態が正常であるか否かを判定する(S14)。基板処理システム1は、被覆状態が正常である場合には(S14;Yes)、IPA液体の液膜Lが形成されたウェハWの重量を、ロードセル28cを用いて計測する(S15)。基板処理システム1は、ウェハWをウェハ保持部29からリフターピン28aに受け渡し、リフターピン28aによってウェハWを支持し、IPA液体の液膜Lが形成されたウェハWの重量を計測する。
【0085】
基板処理システム1は、液膜Lの液量が正常であるか否かを判定する(S16)。基板処理システム1は、被覆状態が正常ではない場合(S14;No)、または液膜Lの液量が正常ではない場合には(S16;No)、ウェハWに形成されたIPA液体の液膜Lを調整する(S17)。基板処理システム1は、IPA液体の液膜Lの調整を行った後に、被覆状態を検出する(S13)。
【0086】
基板処理システム1は、液膜Lの液量が正常である場合には(S16;Yes)、第2搬送処理を行う(S18)。基板処理システム1は、基板搬送装置18を用いてウェハWを洗浄処理ユニット16から乾燥処理ユニット17に搬送し、ウェハWを乾燥処理ユニット17に搬入する。
【0087】
基板処理システム1は、乾燥処理を行い(S19)、乾燥処理後に、第3搬送処理を行う(S20)。基板処理システム1は、基板搬送装置18を用いてウェハWを乾燥処理ユニット17から受渡部14に搬送し、ウェハWを受渡部14に搬入する。
【0088】
基板処理システム1は、ロードセル43を用いて乾燥処理後のウェハWの重量を計測する(S21)。
【0089】
基板処理システム1は、ウェハWの乾燥状態が正常であるか否かを判定する(S22)。基板処理システム1は、ウェハWの乾燥状態が正常ではない場合には(S22;No)、再び洗浄処理を行う(S12)。基板処理システム1は、基板搬送装置18を用いてウェハWを受渡部14から洗浄処理ユニット16に搬送し、ウェハWの表面にIPA液体の液膜Lを形成する。
【0090】
基板処理システム1は、ウェハWの乾燥状態が正常である場合には(S22;Yes)、第4搬送処理を行う(S23)。基板処理システム1は、基板搬送装置13を用いてウェハWを受渡部14からキャリアCに搬送する。
【0091】
基板処理システム1は、ウェハWに形成された液膜Lの液量を液量検出部19Aによって検出し、IPA液体の液膜Lが形成されたウェハWの被覆状態を被覆状態検出部19Bによって検出する。これにより、基板処理システム1は、ウェハWにIPA液体の液膜Lが適切に形成されているか否かを検知することができ、乾燥処理後のウェハWの歩留まりを向上させることができる。
【0092】
基板処理システム1は、同一のロードセル28cを用いて、IPA液体の液膜Lを形成する前後におけるウェハWの重量を計測し、計測した重量に基づいて液膜Lの液量を検出する。これにより、異なるロードセルを用いて液膜Lの液量を検出する場合と比較して、ロードセルにおける測定誤差の影響を抑制し、液膜Lの液量を正確に検出することができる。
【0093】
基板処理システム1は、IPA液体の液膜Lを形成したウェハWに乾燥処理を行う。具体的には、基板処理システム1は、ウェハWの被覆状態が正常であり、かつ液膜Lの液量が正常である場合に、乾燥処理を行う。これにより、基板処理システム1は、乾燥処理後のウェハWにおけるパターン倒れの発生を抑制し、乾燥処理後のウェハWにおけるパーティクルの発生を抑制することができ、ウェハWの歩留まりを向上させることができる。
【0094】
基板処理システム1は、ウェハWが乾燥処理ユニット17に搬送される前、具体的には、洗浄処理ユニット16内にウェハWがある状態で、液膜Lの液量を検出する。これにより、基板処理システム1は、液膜Lの液量が正常ではない場合には、洗浄処理ユニット16においてIPA液体の液膜Lの調整を行うことができる。そのため、基板処理システム1は、ウェハWを洗浄処理ユニット16から搬送することなく、IPA液体の液膜Lの調整を行うことができ、調整時間を短くすることができる。
【0095】
基板処理システム1は、ウェハWが乾燥処理ユニット17に搬送される前、具体的には、洗浄処理ユニット16内にウェハWがある状態で、ウェハWの被覆状態を検出する。これにより、基板処理システム1は、ウェハWの被覆状態が正常ではない場合には、洗浄処理ユニット16においてIPA液体の液膜Lの調整を行うことができる。そのため、基板処理システム1は、ウェハWを洗浄処理ユニット16から搬送することなく、IPA液体の液膜Lの調整を行うことができ、調整時間を短くすることができる。
【0096】
基板処理システム1は、赤外線センサ27を用いてウェハWの被覆状態を検出する。これにより、IPA液体の液膜Lに不良部Waが発生した場合に、不良部Waの発生を正確に検出することができる。
【0097】
(第2実施形態)
<基板処理システム1の概要>
次に、第2実施形態に係る基板処理システム1について
図9を参照し説明する。
図9は、第2実施形態に係る基板処理システム1の概略構成を示す模式図である。ここでは、第1実施形態に係る基板処理システム1と異なる箇所について説明し、第1実施形態と同じ構成についての説明は省略する。
【0098】
基板処理システム1は、IPA液体の液膜Lを調整する調整ユニット50を備える。調整ユニット50は、液膜Lの液量が正常ではない場合や、被覆状態が正常ではない場合に、IPA液体の液膜Lを調整する。
【0099】
調整ユニット50は、搬送部15に隣接して設けられており、基板搬送装置18によりウェハWが搬送可能に構成される。
【0100】
受渡部14に設けられたロードセル43(
図2参照)は、キャリアCから搬送されたウェハWの重量を計測する。すなわち、ロードセル43は、洗浄処理が行われる前のウェハWの重量を計測する。
【0101】
また、第2実施形態に係る基板処理システム1の洗浄処理ユニット16は、第1実施形態に係る洗浄処理ユニット16に対して、ロードセル28c、および赤外線センサ27を備えていない。
【0102】
<乾燥処理ユニット17の概要>
【0103】
乾燥処理ユニット17は、
図10Aに示すように、ロードセル39cと、赤外線センサ60とをさらに備える。
図10Aは、第2実施形態に係る乾燥処理ユニット17の一部を示す概略断面図である。
【0104】
ロードセル39cは、リフター39の支持部39bの下面に設けられ、
図10Aに示すように、リフターピン39aによってウェハWを支持した状態でウェハWの重量を計測する。ロードセル39cは、IPA液体の液膜Lが形成されたウェハWの重量、および乾燥処理後のウェハWの重量を計測する。
【0105】
赤外線センサ60は、支持アーム61を介して本体31の上部側に取り付けられる。赤外線センサ60は、
図10Bに示すように、ウェハWが保持板32に載置された状態でウェハWの温度を計測する。
図10Bは、ウェハWが保持板32に載置された状態を示す乾燥処理ユニット17の概略断面図である。
【0106】
<制御装置4の概要>
制御装置4の制御部19には、
図11に示すように、ロードセル39c、43からウェハWの重量に関する信号が入力される。また、制御部19には、赤外線センサ60からウェハWの温度に関する信号が入力される。
図11は、第2実施形態に係る制御装置4の概略ブロック図である。
【0107】
液量検出部19Aは、ロードセル39cによって計測した洗浄処理後のウェハWの重量と、ロードセル43によって計測した洗浄処理前のウェハWの重量との差を算出し、ウェハWに形成された液膜Lの液量を検出する。
【0108】
また、液量検出部19Aは、ロードセル39cによって計測した乾燥処理後のウェハWの重量と、ロードセル43によって計測した洗浄処理前のウェハWの重量との差を算出し、ウェハWの乾燥状態を検出する。
【0109】
第2実施形態に係る基板処理システム1は、IPA液体の液膜Lが形成されウェハWが基板搬送装置18によって乾燥処理ユニット17に搬送された後に、液膜Lの液量および被覆状態を計測する。
【0110】
次に、第2実施形態に係る基板処理について
図12を参照し説明する。
図12は、第2実施形態に係る基板処理を説明するフローチャートである。
【0111】
基板処理システム1は、第1搬送処理を行う(S30)。基板処理システム1は、基板搬送装置13を用いて、ウェハWをキャリアCから受渡部14に搬送する。
【0112】
基板処理システム1は、ロードセル43を用いて、洗浄処理を行う前、すなわちIPA液体の液膜Lを形成する前のウェハWの重量を計測する(S31)。
【0113】
基板処理システム1は、第2搬送処理を行う(S32)。基板処理システム1は、基板搬送装置18を用いて、ウェハWを受渡部14から洗浄処理ユニット16に搬送する。
【0114】
基板処理システム1は、洗浄処理を行う(S33)。基板処理システム1は、汚染物質の除去を行った後に、リンス洗浄を行う。そして、基板処理システム1は、IPA液体をウェハWに供給し、ウェハWの表面にIPA液体の液膜Lを形成する。
【0115】
基板処理システム1は、第3搬送処理を行う(S34)。基板処理システム1は、基板搬送装置18を用いて、ウェハWを洗浄処理ユニット16から乾燥処理ユニット17に搬送する。基板処理システム1は、ウェハWを基板搬送装置18からリフター39のリフターピン39aに受け渡す。
【0116】
基板処理システム1は、ロードセル39cを用いて、IPA液体の液膜Lが形成されたウェハWの重量を計測する(S35)。
【0117】
基板処理システム1は、液膜Lの液量が正常であるか否かを判定する(S36)。基板処理システム1は、液膜Lの液量が正常である場合には(S36;Yes)、被覆状態を検出する(S37)。基板処理システム1は、赤外線センサ60を用いてウェハWの温度を計測し、ウェハWの温度分布に基づいて被覆状態を検出する。
【0118】
基板処理システム1は、被覆状態が正常であるか否かを判定する(S38)。基板処理システム1は、被覆状態が正常である場合には(S38;Yes)、乾燥処理を行う(S39)。
【0119】
基板処理システム1は、IPA液体の液量が正常ではない場合(S36;No)、または被覆状態が正常ではない場合には(S38;No)、ウェハWを調整ユニット50に搬送し、ウェハWに形成されたIPA液体の液膜Lを調整する(S40)。基板処理システム1は、調整が終わったウェハWを乾燥処理ユニット17に搬送し、ウェハWの重量を計測する(S35)。
【0120】
基板処理システム1は、乾燥処理後に、ロードセル39cによって乾燥処理後のウェハWの重量を計測する(S41)。
【0121】
基板処理システム1は、乾燥状態が正常であるか否かを判定する(S42)。基板処理システム1は、ウェハWの乾燥状態が正常ではない場合には(S42;No)、再び洗浄処理を行う(S33)。
【0122】
基板処理システム1は、ウェハWの乾燥状態が正常である場合には(S42;Yes)、第4搬送処理を行う(S43)。基板処理システム1は、基板搬送装置18を用いてウェハWを受渡部14に搬送し、基板搬送装置13を用いてウェハWを受渡部14からキャリアCに搬送する。
【0123】
基板処理システム1は、IPA液体の液膜Lが形成されたウェハWが乾燥処理ユニット17に搬送された後に液膜Lの液量を検出する。これにより、基板処理システム1は、乾燥処理を行う直前の液膜Lの液量を検出することができる。そのため、例えば、基板搬送装置18によって乾燥処理ユニット17までウェハWを搬送している間に、IPA液体がこぼれた場合や、IPA液体が揮発した場合など液膜Lの液量が少ない状態で、乾燥処理が行われることを抑制することができる。従って、基板処理システム1は、パターン倒れの発生を抑制することができる。
【0124】
基板処理システム1は、IPA液体の液膜Lが形成されたウェハWが乾燥処理ユニット17に搬送された後にウェハWの被覆状態を検出する。これにより、基板処理システム1は、乾燥処理を行う直前のウェハWの被覆状態を検出することができる。そのため、例えば、基板搬送装置18によって乾燥処理ユニット17までウェハWを搬送している間に、IPA液体がこぼれた場合や、IPA液体が揮発した場合などIPA液体の液膜Lに不良部Wa(
図7B参照)が発生した状態で、乾燥処理が行われることを抑制することができる。従って、基板処理システム1は、パターン倒れの発生を抑制することができる。
【0125】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る基板処理システム1について説明する。ここでは、第2実施形態に係る基板処理システム1に対して異なる箇所を中心に説明し、第2実施形態に係る基板処理システム1と同じ構成についての説明は省略する。第3実施形態に係る基板処理システム1は、赤外線センサ60の代わりに、撮像装置72を用いてIPA液体の液膜Lが形成されたウェハWの被覆状態を検出する。
【0126】
<乾燥処理ユニット17の概要>
乾燥処理ユニット17は、
図13、14に示すように、レーザー照射部70と、スクリーン71と、撮像装置72とをさらに備える。
図13は、第3実施形態に係る乾燥処理ユニット17の概略平面図である。
図14は、
図13のXIV-XIV断面における乾燥処理ユニット17の一部を示す概略断面図である。
【0127】
レーザー照射部70は、IPA液体の液膜Lが形成され、保持板32に保持されたウェハWに向けてレーザー光を照射する。レーザー照射部70は、複数のレーザー光をウェハWに向けて照射する。レーザー照射部70は、保持板32に保持されたウェハWに対し、斜め上方からレーザー光を照射する。
【0128】
スクリーン71は、保持板32に保持されたウェハWを挟んでレーザー照射部70と対峙するように配置される。スクリーン71には、ウェハW、および保持板32によって反射されたレーザー光の反射光が映される。
【0129】
撮像装置72は、例えば、レーザー照射部70の上方に配置される。撮像装置72は、例えば、デジタルカメラであり、スクリーン71に映された反射光を撮影する。撮像装置72によって撮影された反射光の画像データは、制御装置4に送信される。
【0130】
レーザー照射部70、および撮像装置72と、スクリーン71とは、X軸方向に沿って並んで配置される。なお、レーザー照射部70、および撮像装置72と、スクリーン71との位置は、これに限られることはなく、例えば、Y軸方向に沿ってレーザー照射部70、および撮像装置72と、スクリーン71とが配置されてもよい。
【0131】
乾燥処理ユニット17は、IPA液体の液膜Lが形成されたウェハWをリフター39(
図10Aなど参照)によって保持板32に載置した後に、レーザー照射部70からレーザー光をウェハWに向けて照射する。そして、乾燥処理ユニット17は、スクリーン71に映された反射光を撮像装置72によって撮影する。
【0132】
なお、乾燥処理ユニット17は、リフター39によって支持されたウェハWに対してレーザー光を照射し、反射光を撮影してもよい。
【0133】
IPA液体の液膜Lが形成されたウェハWに対し、斜め上方からレーザー光を照射すると、レーザー光は、IPA液体と空気との境界で屈折し、ウェハWによって反射する。そして、反射光は、
図15において実線で示すようにIPA液体から出射される。
図15は、IPA液体の液膜Lが形成されたウェハWにおけるレーザー光の反射状態を示す模式図である。
【0134】
IPA液体の液膜Lの縁部L1に入射したレーザー光は、縁部L1よりもウェハWの中心側に入射したレーザー光に対し、入射角や、屈折角など各種光学条件が異なる。そのため、例えば、レーザー照射部70側のIPA液体の液膜Lの縁部L1から入射したレーザー光は、
図15において破線で示すように、IPA液体の液膜Lと空気との境界面で全反射する。
【0135】
このように、IPA液体の液膜Lの縁部L1から入射したレーザー光の反射光は、縁部L1よりもウェハWの中心側から入射したレーザー光の反射光に対して、異なる挙動を示す。そのため、スクリーン71に映される反射光には、IPA液体の液膜Lの縁部L1に応じて光の強度が小さい領域や、反射光の乱れが生じる領域(以下、「乱れ領域」と称する。)が現れる。
【0136】
例えば、IPA液体の液膜Lに不良部Waが発生していない場合には、スクリーン71には、
図16Aにおいてドットで示すように、円形のIPA液体の液膜Lの縁部L1に応じて略楕円形状の乱れ領域が映される。
図16Aは、IPA液体の液膜Lに不良部Waが発生していない状態における反射光を示す模式図である。なお、
図16Aでは、IPA液体の液膜Lの縁部L1よりも中心側における反射光を点線で示し、保持板32によって反射した反射光を実線で示す。
【0137】
これに対し、IPA液体の液膜Lに不良部Waが発生している場合には、乱れ領域が略楕円形状とはならず、
図16Bにおいて丸で囲むように、不良部Waに応じた凹凸状の乱れ領域が現れる。
図16Bは、IPA液体の液膜Lに不良部Waが発生した状態における反射光を示す模式図である。なお、
図16Bでは、乱れ領域をドットで示し、IPA液体の液膜Lの縁部L1よりも中心側における反射光を点線で示し、保持板32またはウェハWによって反射した反射光を実線で示す。
【0138】
このように、IPA液体の液膜Lが形成されたウェハWにレーザー光を照射し、スクリーン71に映された反射光を撮影することで、不良部Waの発生の有無を検出することができる。
【0139】
<制御装置4の構成>
制御装置4の制御部19には、
図17に示すように、反射光を撮影して得られた画像データが撮像装置72から入力される。
図17は、第3実施形態に係る制御装置4の概略ブロック図である。
【0140】
被覆状態検出部19Bは、撮像装置72によって得られた反射光の画像データに基づいてウェハWの被覆状態を検出する。具体的には、被覆状態検出部19Bは、IPA液体の液膜Lに不良部Waが発生していない状態で撮影された反射光の画像データと、今回の処理で撮影された反射光の画像データとを比較し、ウェハWの被覆状態を検出する。なお、IPA液体の液膜Lに不良部Waが発生していない状態で撮影された反射光の画像データは、予め記憶部20に記憶されている。
【0141】
判定部19Cは、ウェハWの被覆状態が正常であるか否かを判定する。具体的には、判定部19Cは、被覆状態検出部19Bによる検出結果に基づいて所定領域に不良部Waがあるか否かを判定する。
【0142】
<基板処理>
第3実施形態に係る基板処理については、
図12のフローチャートを用い、第2実施形態に係る基板処理とは異なる箇所について説明し、第2実施形態に係る基板処理と同じ処理についての説明は省略する。
【0143】
第3実施形態に係る基板処理では、基板処理システム1は、被覆状態を検出する場合に(S37)、撮像装置72によって撮影して得られた反射光の画像データに基づいて被覆状態を検出する。
【0144】
基板処理システム1は、IPA液体の液膜Lが形成されたウェハWにレーザー照射部70によってレーザー光を照射し、スクリーン71に映された反射光を撮像装置72によって撮影する。そして、基板処理システム1は、得られた反射光の画像データに基づいてウェハWの被覆状態を検出する。
【0145】
これにより、基板処理システム1は、IPA液体の液膜Lに不良部Waが発生した場合に、不良部Waの発生を正確に検出することができる。また、基板処理システム1は、IPA液体の液膜Lに不良部Waが発生した状態で、乾燥処理が行われることを抑制することができる。従って、基板処理システム1は、パターン倒れの発生を抑制することができる。
【0146】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る基板処理システム1について説明する。ここでは、第2実施形態に係る基板処理システム1に対して異なる箇所を中心に説明し、第2実施形態に係る基板処理システム1と同じ構成についての説明は省略する。第4実施形態に係る基板処理システム1は、赤外線センサ60の代わりに、撮像装置72を用いてIPA液体の液膜Lが形成されたウェハWの被覆状態を検出する。
【0147】
<乾燥処理ユニット17の概要>
乾燥処理ユニット17は、
図18、19に示すように、単色光照射部75と、撮像装置72とをさらに備える。
図18は、第4実施形態に係る乾燥処理ユニット17の概略平面図である。
図19は、
図19のXIX-XIX断面における乾燥処理ユニット17の一部を示す概略断面図である。
【0148】
単色光照射部75は、例えば、ナトリウムランプである。単色光照射部75は、IPA液体の液膜Lが形成され、保持板32に保持されたウェハWに向けて単色光を照射する。単色光照射部75は、保持板32に保持されたウェハWに対し、斜め上方から単色光を照射する。
【0149】
撮像装置72は、保持板32に保持されたウェハWを挟んで単色光照射部75と対峙するように配置される。撮像装置72は、IPA液体の液膜Lが形成されたウェハWを撮影する。撮像装置72によって撮影されたウェハWの画像データは、制御装置4に送信される。
【0150】
乾燥処理ユニット17は、IPA液体の液膜Lが形成されたウェハWをリフター39(
図10Aなど参照)によって保持板32に載置した後に、単色光照射部75から単色光をウェハWに向けて照射する。そして、乾燥処理ユニット17は、ウェハWを撮像装置72によって撮影する。
【0151】
なお、乾燥処理ユニット17は、リフター39によって支持されたウェハWに対して単色光を照射し、ウェハWを撮影してもよい。
【0152】
IPA液体の液膜Lが形成されたウェハWに対し、斜め上方から単色光を照射すると、IPA液体の液膜Lの表面で反射した反射光と、ウェハWによって反射し、IPA液体の液膜Lから出射した反射光との干渉により、干渉縞が生じる。撮像装置72は、IPA液体の液膜Lによって生じた干渉縞を撮影する。
【0153】
例えば、
図20に示すE点の先に撮像装置72が配置された場合には、経路差(ACD-BD)に応じて干渉縞が発生する。
図20は、干渉縞の発生原理を説明する図である。
【0154】
上記した経路差に応じた光路差は、液膜Lの膜厚を「d」とし、液膜Lの屈折率を「n」とし、空気の屈折率を「1.0」とし、入射角を「θ」とすると、光路差は、「2ndcosθ」となる。
【0155】
光路差が、式(1)の条件を満たす場合には、IPA液体の液膜Lの表面で反射する反射光と、ウェハWによって反射し、IPA液体の液膜Lから出射する反射光との干渉により、明線が生じる。
【0156】
2ndcosθ=(m+1/2)λ・・・(1)
【0157】
なお、「λ」は、単色光の波長である。「m」は、整数である。
【0158】
一方、光路差が、式(2)の条件を満たす場合には、IPA液体の液膜Lの表面で反射する反射光と、ウェハWによって反射し、IPA液体の液膜Lから出射する反射光との干渉により、暗線が生じる。
【0159】
2ndcosθ=mλ・・・(2)
【0160】
このように、光路差が、単色光の波長λの整数倍となる箇所に暗線が生じ、単色光の波長λから半波長ずれた箇所に明線が生じる。これにより、干渉縞が生じる。また、干渉縞は、ウェハWに形成されるIPA液体の膜厚dに応じて生じる。
【0161】
そのため、IPA液体の液膜Lに不良部Waが発生していない場合には、円形のウェハWに形成されたIPA液体に単色光を照射すると、
図21Aにおいて一点鎖線で示すように、略楕円形の干渉縞が生じる。
図21Aは、IPA液体の液膜Lに不良部Waが発生していない状態のウェハWを斜め上方から見た模式図である。
【0162】
これに対し、IPA液体の液膜Lに不良部Waが発生している場合には、円形のウェハWに形成されたIPA液体に単色光を照射すると、
図21Bにおいて一点鎖線で示すように、不良部Waに応じてウェハWの中心側に向けて一部が窪んだ干渉縞が生じる。
図21Bは、IPA液体の液膜Lに不良部Waが発生していない状態のウェハWを斜め上方から見た模式図である。
【0163】
このように、IPA液体の液膜Lが形成されたウェハWに単色光を照射し、発生する干渉縞を撮影することで、不良部Waの発生の有無を検出することができる。
【0164】
<制御装置4の構成>
第4実施形態に係る制御装置4の構成については、
図17のブロック図を用い、第3実施形態に係る制御装置4とは異なる箇所について説明し、第3実施形態に係る制御装置4と同じ構成についての説明は省略する。
【0165】
制御装置4の制御部19には、ウェハWを撮影して得られた画像データが撮像装置72から入力される。
【0166】
被覆状態検出部19Bは、撮像装置72によって得られたウェハWの画像データに基づいてウェハWの被覆状態を検出する。具体的には、被覆状態検出部19Bは、IPA液体の液膜Lに不良部Waが発生していない状態で撮影されたウェハWの画像データと、今回の処理で撮影されたウェハWの画像データとを比較し、ウェハWの被覆状態を検出する。なお、IPA液体の液膜Lに不良部Waが発生していない状態で撮影されたウェハWの画像データは、予め記憶部20に記憶されている。
【0167】
基板処理システム1は、ナトリウムランプなどの単色光照射部75から単色光をIPA液体の液膜Lが形成されたウェハWに照射し、撮像装置72によってウェハWを撮影する。そして、基板処理システム1は、得られた画像データに基づいてウェハWの被覆状態を検出する。
【0168】
これにより、基板処理システム1は、IPA液体の液膜Lに不良部Waが発生した場合に、不良部Waの発生を正確に検出することができる。また、基板処理システム1は、IPA液体の液膜Lに不良部Waが発生した状態で、乾燥処理が行われることを抑制することができる。従って、基板処理システム1は、パターン倒れの発生を抑制することができる。
【0169】
<変形例>
変形例に係る基板処理システム1は、液膜Lの液量が少なすぎる場合や、IPA液体の液膜Lに発生した不良部Waが大きい場合や、IPA液体の液膜Lに発生した不良部Waが多い場合などには、ウェハWにパターン倒れが発生していると判定し、そのウェハWを不良ウェハとして処理してもよい。例えば、変形例に係る基板処理システム1は、設定された各閾値と比較することで、パターン倒れの発生を判定する。これにより、パターン倒れが発生したウェハWに対してIPA液体の調整が行われることを抑制し、基板処理を効率よく行うことができる。
【0170】
変形例に係る基板処理システム1は、例えば、液膜Lの液量が第1所定範囲の上限値よりも多い場合には、乾燥処理ユニット17における超臨界流体の排気量を多くしてもよい。これにより、変形例に係る基板処理システム1は、IPA液体の調整を行うことなく、パーティクルの発生を抑制することができる。
【0171】
変形例に係る基板処理システム1は、洗浄処理ユニット16および乾燥処理ユニット17にロードセルおよび赤外線センサなどを設けてもよい。これにより、変形例に係る基板処理システム1は、液膜Lの液量および被覆状態が正常な状態で、ウェハWを洗浄処理ユニット16から搬送することができる。そのため、乾燥処理ユニット17にウェハWが搬送された後に、液膜Lの液量、または被覆状態が正常ではない場合には、洗浄処理ユニット16から乾燥処理ユニット17までの間で不具合が発生していると判断することができる。すなわち、不具合の発生原因を容易に特定することができる。
【0172】
変形例に係る基板処理システム1は、ロードセルを、基板搬送装置18に設けてもよい。これにより、基板処理システム1で使用されるロードセルを少なくすることができる。また、変形例に係る基板処理システム1は、洗浄処理ユニット16に赤外線センサ27や、撮像装置72などを設け、乾燥処理ユニット17にロードセル39cを設けてもよい。
【0173】
変形例に係る基板処理システム1は、IPA液体の液膜Lが形成されたウェハWの重量と、予め設定された第1所定重量とを比較することで、液膜Lの液量が正常であるか否かを判定してもよい。また、変形例に係る基板処理システム1は、乾燥処理後のウェハWの重量と、予め設定された第2所定重量とを比較することで、乾燥状態が正常であるか否かを判定してもよい。これにより、受渡部14にロードセル43を設けずに、液膜Lの液量や、乾燥状態が正常であるか否かを判定することができ、基板処理システム1で使用されるロードセルを少なくすることができる。
【0174】
変形例に係る基板処理システム1は、例えば、第2実施形態の乾燥処理ユニット17においてウェハWを本体31に収容しながら、赤外線センサ60によってウェハWの温度を計測してもよい。これにより、ウェハWを保持板32に載置した状態でウェハWの全領域の温度を計測できない場合であっても、1つの赤外線センサ60によってウェハWの全領域の温度を計測することができる。
【0175】
また、変形例に係る基板処理システム1は、例えば、第3実施形態の乾燥処理ユニット17においてウェハWを本体31に収容しながら、レーザー照射部70によってウェハWに向けてレーザー光を照射してもよい。この場合、レーザー照射部70は、
図22に示すように、本体31側のウェハWの先端に1本のレーザー光を照射可能となるように配置されればよい。
図22は、変形例に係る基板処理システム1の乾燥処理ユニット17の概略平面図である。
【0176】
そして、変形例に係る基板処理システム1は、ウェハWを本体31に収容しながら、スクリーン71に映った反射光を撮像装置72によって連続して撮影する。変形例に係る基板処理システム1は、このようにして得られた画像データをつなげることで、ウェハW全体における反射光の画像データを得ることができる。これにより、1本のレーザー光を照射するレーザー照射部70を用いてウェハWの被覆状態を検出することができる。
【0177】
また、変形例に係る基板処理システム1は、IPA液体の液膜Lが形成されたウェハWを保持板32に載置する前、例えば、リフター39(
図10Aなど参照)に載置した状態で、撮像装置72によって、例えば、スクリーン71に映った反射光を撮影してもよい。
【0178】
また、変形例に係る基板処理システム1は、第4実施形態の乾燥処理ユニット17において、干渉縞の変化に応じて被覆状態を検出してもよい。ウェハWに形成されたIPA液体は、時間の経過に従って蒸発するため、IPA液体の液膜Lの膜厚dは、時間が経過すると薄くなる。すなわち、IPA液体の液膜Lの膜厚dに応じて発生する干渉縞は、時間が経過すると発生する位置が変化する。これに対し、不良部Waは、IPA液体がなく、干渉縞が発生しないため、時間が経過しても画像上の変化がない。
【0179】
このように、変形例に係る基板処理システム1は、干渉縞の変化に基づいて被覆状態を検出してもよい。これにより、変形例に係る基板処理システム1は、ウェハWの被覆状態を検出することができる。
【0180】
また、変形例に係る基板処理システム1は、撮像装置72によりIPA液体の液膜Lが形成されたウェハWを撮影し、撮影して得られた画像データに基づいてウェハWの被覆状態を検出してもよい。また、変形例に係る基板処理システム1は、乾燥処理後のウェハWをカメラなどの撮像装置によって撮影し、撮影して得られた画像データに基づいて乾燥処理後のウェハWの表面状態を検出してもよい。これにより、基板処理システム1は、乾燥処理後のウェハWの表面状態、具体的には、ウェハWが十分に乾燥しているか否かをより正確に判定することができる。
【0181】
さらに、変形例に係る基板処理システム1は、IPA液体の液膜Lが形成されたウェハWをカメラにより撮影し、撮影して得られた画像データに基づいてウェハWに盛られた液膜Lの液量を推定してもよい。
【0182】
変形例に係る基板処理システム1は、ウェハWの乾燥状態が正常ではない場合には、乾燥状態が正常ではないウェハWを不良ウェハとして廃棄してもよい。また、変形例に係る基板処理システム1は、ウェハWの乾燥状態が正常ではない場合、例えば、ウェハWが十分に乾燥していない場合には、再び乾燥処理を行ってもよい。
【0183】
また、上記した液量の検出方法、被膜状態の検出方法、ウェハWの乾燥状態の検出方法の適用は、超臨界流体を用いた乾燥処理ユニット17を有する基板処理システム1に限定されることはない。ウェハWに液体の液膜を形成して乾燥させる種々の基板処理システムに適用することができる。
【0184】
また、上記実施形態に係る基板処理システム1と、変形例に係る基板処理システム1との構成を適宜組み合わせてもよい。
【0185】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0186】
1 基板処理システム(基板処理装置)
16 洗浄処理ユニット
17 乾燥処理ユニット(乾燥部)
19 制御部
19A 液量検出部
19B 被覆状態検出部(被覆検出部)
27 赤外線センサ
28c ロードセル
39c ロードセル
43 ロードセル
60 赤外線センサ
70 レーザー照射部
71 スクリーン
72 撮像装置
75 単色光照射部