(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164888
(43)【公開日】2023-11-14
(54)【発明の名称】ハイブリッドパワーモジュール
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20231107BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H01L25/04 C
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023138238
(22)【出願日】2023-08-28
(62)【分割の表示】P 2021576829の分割
【原出願日】2020-04-20
(31)【優先権主張番号】62/866,252
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/504,908
(32)【優先日】2019-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】ウルフスピード インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WOLFSPEED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100162846
【弁理士】
【氏名又は名称】大牧 綾子
(72)【発明者】
【氏名】バン ブラント,エドワード・ロバート
(72)【発明者】
【氏名】バークリー,アダム
(72)【発明者】
【氏名】リュー,セイ-ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】コール,ザカリー
(72)【発明者】
【氏名】オレイニチャク,クレイグ・ジェイ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高効率、小設置面積および低コストを維持しながら、高い電圧および電流を処理するシリコンカーバイドパワー半導体デバイスを含むパワーモジュールを提供する。
【解決手段】パワーモジュールの複数のパワー半導体デバイスは、第1の制御端子32と第2の制御端子38との間に並列に結合された絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)28および金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)30を含む。IGBTおよびMOSFETは、シリコンカーバイドデバイスである。IGBTおよびMOSFETをともに提供することにより、パワーモジュールの順方向導通電流と逆方向導通電流との間のトレードオフ、効率およびパワーモジュールの比電流定格を、改善し、IGBTおよびMOSFETを、シリコンカーバイドデバイスとして提供することにより、パワーモジュールの性能を大幅に改善する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のパワースイッチング端子および第2のパワースイッチング端子と、
複数のパワー半導体デバイスとを備え、前記複数のパワー半導体デバイスは、
少なくとも1つの絶縁ゲートバイポーラ接合トランジスタ(IGBT)と、
少なくとも1つの金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)とを備え、
前記少なくとも1つのIGBTおよび前記少なくとも1つのMOSFETは、前記第1のパワースイッチング端子と前記第2のパワースイッチング端子との間に並列に結合され、
前記少なくとも1つのIGBTおよび前記少なくとも1つのMOSFETは、シリコンカーバイド半導体デバイスである、パワーモジュール。
【請求項2】
前記少なくとも1つのIGBTのコレクタ接点、および前記少なくとも1つのMOSFETのドレイン接点は、前記第1のパワースイッチング端子に結合され、
前記少なくとも1つのIGBTのエミッタ接点、および前記少なくとも1つのMOSFETのソース接点は、前記第2のパワースイッチング端子に結合される、請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項3】
前記少なくとも1つのIGBTのゲート接点、および前記少なくとも1つのMOSFETのゲート接点に結合されたスイッチング制御端子をさらに備える、請求項2に記載のパワーモジュール。
【請求項4】
前記少なくとも1つのIGBTのゲート接点に結合された第1のスイッチング制御端子と、
前記少なくとも1つのIGBT、および前記少なくとも1つのMOSFETが独立して制御されるように、前記少なくとも1つのMOSFETのゲート接点に結合された第2のスイッチング制御端子とをさらに備える、請求項2に記載のパワーモジュール。
【請求項5】
前記少なくとも1つのIGBTのゲート接点に結合された第1のスイッチング制御端子と、
前記少なくとも1つのMOSFETのゲート接点に結合された第2のスイッチング制御端子とをさらに備える、請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項6】
前記少なくとも1つのIGBTは、複数のIGBT半導体ダイを備える、請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項7】
前記少なくとも1つのMOSFETは、複数のMOSFET半導体ダイを備える、請求項6に記載のパワーモジュール。
【請求項8】
前記少なくとも1つのMOSFETは、複数のMOSFET半導体ダイを備える、請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項9】
前記第1のパワースイッチング端子と前記第2のパワースイッチング端子との間に、前記少なくとも1つのIGBT、および前記少なくとも1つのMOSFETと逆並列に結合された少なくとも1つのダイオードをさらに備える、請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項10】
前記少なくとも1つのダイオードは、シリコンカーバイド半導体デバイスである、請求項9に記載のパワーモジュール。
【請求項11】
前記少なくとも1つのIGBTのコレクタ接点、前記少なくとも1つのMOSFETのドレイン接点、および前記少なくとも1つのダイオードのカソードは、前記第1のパワースイッチング端子に結合され、
前記少なくとも1つのIGBTのエミッタ接点、前記少なくとも1つのMOSFETのソース接点、および前記少なくとも1つのダイオードのアノードは、前記第2のパワースイッチング端子に結合される、請求項9に記載のパワーモジュール。
【請求項12】
前記パワーモジュールの比電流定格は、
【数1】
よりも大きく、ここで、V
b(r)は、前記パワーモジュールの定格遮断電圧である、請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項13】
第1のパワースイッチング端子および第2のパワースイッチング端子と、
複数のパワー半導体デバイスとを備え、前記複数のパワー半導体デバイスは、
少なくとも1つの絶縁ゲートバイポーラ接合トランジスタ(IGBT)と、
少なくとも1つのダイオードとを備え、
前記少なくとも1つのIGBTおよび前記少なくとも1つのダイオードは、前記第1のパワースイッチング端子と前記第2のパワースイッチング端子との間に逆並列に結合され、
前記少なくとも1つのIGBT、および前記少なくとも1つのダイオードは、シリコンカーバイド半導体デバイスである、パワーモジュール。
【請求項14】
前記少なくとも1つのIGBTのコレクタ接点、および前記少なくとも1つのダイオードのカソードは、前記第1のパワースイッチング端子に結合され、
前記少なくとも1つのIGBTのエミッタ接点、および前記少なくとも1つのダイオードのアノード接点は、前記第2のパワースイッチング端子に結合される、請求項13に記載のパワーモジュール。
【請求項15】
前記少なくとも1つのダイオードは、接合バリアショットキーダイオードである、請求項14に記載のパワーモジュール。
【請求項16】
前記少なくとも1つのIGBTは、複数のIGBTを備える、請求項13に記載のパワーモジュール。
【請求項17】
前記少なくとも1つのダイオードは、複数のダイオードを備える、請求項16に記載のパワーモジュール。
【請求項18】
パワーモジュールであって、
第1のパワースイッチング端子、第2のパワースイッチング端子、および制御端子と、
前記第1のパワースイッチング端子、前記第2のパワースイッチング端子、および前記制御端子の間に配置された複数の半導体ダイとを備え、
前記パワーモジュールは、前記制御端子において提供される制御信号に基づいて、前記第1のパワースイッチング端子と前記第2のパワースイッチング端子との間で選択的に電流を導通するように構成され、
前記パワーモジュールの比電流定格は、
【数2】
よりも大きく、ここで、V
b(r)は、前記パワーモジュールの定格遮断電圧である、パワーモジュール。
【請求項19】
並列に結合された少なくとも1つのシリコンカーバイド絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)および少なくとも1つの金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を備えるパワーモジュールを動作させる方法であって、前記方法は、
前記少なくとも1つのMOSFETを遮断モードにする前に、前記少なくとも1つのIGBTを遮断モードにすることによって、前記パワーモジュールを順方向導通モードから遮断モードにスイッチするステップと、
前記少なくとも1つのIGBTを順方向導通モードにする前に、前記少なくとも1つのMOSFETを逆方向導通モードにすることによって、前記パワーモジュールを前記遮断モードから前記順方向導通モードにスイッチするステップとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府の支援
[0001]本発明は、国防総省によって授与された契約番号N00014-10-D-0145の下で政府の資金でなされた。米国政府は、本発明に関して一定の権利を有する。
【0002】
[0002]本開示は、パワーモジュール、特に1つまたは複数のシリコンカーバイドパワー半導体デバイスを含むパワーモジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]パワーモジュールは、負荷との間でパワーを選択的に供給するために使用される。パワーモジュールの主な機能は、パワーモジュール内のいくつかのパワー半導体デバイス(たとえば、トランジスタ、ダイオードなど)によって提供される。これらのパワー半導体デバイスは、パワー基板上に取り付けられた1つまたは複数の半導体ダイとして提供される。1つまたは複数の他のパワーモジュールおよび/または1つまたは複数の他の構成要素を備えたパワーシステムに提供される場合、パワーモジュールのパワー半導体デバイスは、ハーフブリッジコンバータ、フルブリッジコンバータ、バックコンバータ、ブーストコンバータなどのパワーコンバータの一部を形成し得る。パワーシステムはしばしば高い電圧および電流を処理するので、パワーモジュールのパワー半導体デバイスは同様に、前記高い電圧および電流を確実にスイッチできなければならない。近年、パワー消費の削減が、パワー用途の主要な関心事になっており、したがって、パワーモジュールが低損失、したがって高効率を提供することが望ましい。いつものように、低コストでそうすることが望ましい。
【0004】
[0004]一般に、パワーモジュール内の1つまたは複数のパワー半導体デバイスは、少なくとも1つのスイッチ位置を形成する。パワーモジュールの一般的な構成では、少なくとも1つのスイッチ位置を介して順方向(第1象限導通)と逆方向(第3象限導通)との両方に電流を流すことができる。従来、パワーモジュールのパワー半導体デバイスは、高い電圧および電流を確実にスイッチできるシリコンパワー半導体デバイスを製造するためのよく知られたプロセスのために、シリコンデバイスであった。しかしながら、近年、提供されるスイッチング速度と効率の大幅な向上により、シリコンカーバイドパワー半導体デバイスが普及している。シリコンカーバイドパワー半導体デバイスを備えたパワーモジュールは、対応するシリコンパワー半導体デバイスを備えたパワーモジュールに比べていくつかの性能上の利点を提供するが、シリコンカーバイドパワー半導体デバイスをパワーモジュールに使用すると、シリコンパワー半導体デバイスを含むパワーモジュールに適用される設計原理が、シリコンカーバイドパワー半導体デバイスを含むパワーモジュールに等しく適用されないように、その設計にいくつかの課題がある。要するに、パワーモジュールにシリコンカーバイドパワー半導体デバイスを含めることは、既存のパワーモジュールの対応するシリコンパワー半導体デバイスと単にそれらを交換することの問題ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005]上記に照らして、高効率、小設置面積(small footprint)、および低コストを維
持しながら、高い電圧および電流を処理することができるシリコンカーバイドパワー半導体デバイスを含むパワーモジュールに対する必要性が現在ある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006]1つの実施形態では、パワーモジュールは、複数のパワー半導体デバイスを含む
。複数のパワー半導体デバイスは、第1のパワースイッチング端子と第2のパワースイッチング端子との間に並列に結合された、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)と、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)とを含む。IGBTおよびMOSFETは、シリコンカーバイド半導体デバイスである。IGBTおよびMOSFETをともに提供することにより、パワーモジュールの順方向導通電流と逆方向導通電流との間のトレードオフ、効率、およびパワーモジュールの比電流定格が、改善され得る。さらに、IGBTおよびMOSFETをシリコンカーバイドデバイスとして提供することは、パワーモジュールの性能を大幅に改善し得る。
【0007】
[0007]1つの実施形態では、パワーモジュールは、複数のパワー半導体デバイスを含む。複数のパワー半導体デバイスは、IGBTおよびダイオードを含む。IGBTおよびダイオードは、第1のパワースイッチング端子と第2のパワースイッチング端子との間に逆並列に結合される。IGBTおよびダイオードは、シリコンカーバイド半導体デバイスである。シリコンカーバイド半導体デバイスとしてIGBTおよびダイオードを提供することにより、パワーモジュールの性能が大幅に改善され得る。
【0008】
[0008]1つの実施形態では、パワーモジュールは、複数のパワー半導体ダイを含む。複数のパワー半導体ダイは、パワーモジュールが、
【0009】
【0010】
よりも大きい比電流定格(specific current rating)を提供するように、第1のパワース
イッチング端子と第2のパワースイッチング端子の間に配置され、ここで、Vb(r)は、パワーモジュールの定格遮断電圧(rated blocking voltage)である。比定格電流は、エッジ終端部および非アクティブ構造を含まないパワー半導体ダイのアクティブ領域に対するものである。
【0011】
[0009]1つの実施形態では、並列に結合されたシリコンカーバイドIGBTおよびシリコンカーバイドMOSFETを含むパワーモジュールを動作させる方法は、MOSFETを遮断モードにする前に、IGBTを遮断モードにすることによって、パワーモジュールを順方向導通モードから遮断モードにスイッチすることと、少なくとも1つのIGBTを順方向導通モードにする前に、少なくとも1つのMOSFETを逆方向導通モードにすることによって、パワーモジュールを遮断モードから順方向導通モードにスイッチすることとを含む。このようにパワーモジュールを動作させることにより、パワーモジュールのスイッチング損失が、大幅に低減され得る。
【0012】
[0010]当業者は、本開示の範囲を理解し、添付の図面に関連して好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後、その追加の態様を実現するであろう。
[0011]本明細書に組み込まれ、その一部を形成する添付の図面は、本開示のいくつかの態様を示しており、記載とともに、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】[0012]本開示の1つの実施形態によるパワーモジュールを示す図である。
【
図2A】[0013]本開示の1つの実施形態による、パワーモジュールのスイッチ位置を示す機能概略図である。
【
図2B】[0014]本開示の1つの実施形態による、パワーモジュールのスイッチ位置の例示的な配置を示す図である。
【
図2C】本開示の1つの実施形態による、パワーモジュールのスイッチ位置の例示的な配置を示す図である。
【
図3】[0015]本開示の1つの実施形態による、パワーモジュールの順方向導通電流と逆方向導通電流との間の関係を示すグラフである。
【
図4】[0016]本開示の1つの実施形態による、パワーモジュールのスイッチ位置を示す機能概略図である。
【
図5】[0017]本開示の1つの実施形態による、パワーモジュールの順方向導通電流と逆方向導通電流との間の関係を示すグラフである。
【
図6】[0018]本開示の様々な実施形態による、パワーモジュールのパワー出力を示すグラフである。
【
図7】[0019]本開示の1つの実施形態による、パワーモジュールを動作させる方法を示すフロー図である。
【
図8】[0020]本開示の1つの実施形態による、パワーモジュールのスイッチ位置を示す機能概略図である。
【
図9】[0021]本開示の様々な実施形態による、いくつかのパワーモジュールの正規化出力パワー対正規化パワー損失を示すグラフである。
【
図10】[0022]本開示の1つの実施形態による、パワーモジュールの比電流定格と電圧定格との間の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0023]以下に記載される実施形態は、当業者が実施形態を実施することを可能にするために必要な情報を表し、実施形態を実施する最良のモードを例示する。添付の図面に照らして以下の説明を読むと、当業者は、本開示の概念を理解し、本明細書で特に扱われていないこれらの概念の適用を認識するであろう。これらの概念および適用は、本開示および付随する特許請求の範囲に含まれることを理解されたい。
【0015】
[0024]本明細書では、第1、第2などの用語を使用して様々な要素を説明することができるが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではないことが理解されよう。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。たとえば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の要素は、第2の要素と呼ばれ得、同様に、第2の要素は、第1の要素と呼ばれ得る。本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、関連付けられた列挙された項目のうちの1つまたは複数の、任意の、および、すべての組合せを含む。
【0016】
[0025]層、領域、または基板などの要素が、別の要素の「上に」ある、または「上に」延びていると呼ばれる場合、それは、他の要素の上に、直接ある、または直接延びることができる、あるいは介在する要素も存在し得ると理解されよう。対照的に、要素が別の要素の「上に直接」ある、または「上に直接」延びていると呼ばれる場合、介在する要素は存在しない。同様に、層、領域、または基板などの要素が、別の要素の「上方」にある、または「上方に」延びていると呼ばれる場合、それは、他の要素の上方に直接ある、または直接延びることができる、あるいは介在する要素も存在し得ると理解されよう。対照的に、要素が別の要素の「真上に直接」ある、または「真上に直接」延びていると呼ばれる場合、介在する要素は存在しない。ある要素が別の要素に「接続されている」または「結合されている」と呼ばれる場合、それは他の要素に直接接続または結合され得る、あるいは介在する要素が存在し得ることも理解されよう。対照的に、要素が別の要素に「直接接続されている」または「直接結合されている」と呼ばれる場合、介在する要素は存在しない。
【0017】
[0026]「下方」または「上方」または「上部」または「下部」または「水平」または「垂直」などの相対的な用語は、本明細書では、図に例示されるように、ある要素、層、または領域の、別の要素、層、または領域に対する関係を説明するために使用され得る。これらの用語および上記で論じられた用語は、図に示されている向きに加えて、デバイスの異なる向きを包含することが意図されていることが理解されよう。
【0018】
[0027]本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本開示を限定することは意図されていない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形も含むことが意図される。本明細書で使用される場合、「備える」、「備えている」、「含む」、および/または「含んでいる」という用語は、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことがさらに理解されよう。
【0019】
[0028]別段の定義がない限り、本明細書で使用される(技術用語および科学用語を含む)すべての用語は、本開示が属する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、本明細書および関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的にそのように定義されない限り、理想化された、または過度に形式的な意味で解釈されないことがさらに理解される。
【0020】
[0029]
図1は、本開示の1つの実施形態によるパワーモジュール10を示している。パワーモジュール10は、ハウジング12、ハウジング12内のパワー基板14、およびパワー基板14上のいくつかのパワー半導体ダイ16を含む。図示されないが、ハウジング12は、パワー基板14がハウジング12によって部分的または完全に囲まれるように、パワー基板14を覆い得る。さらに、パワー基板14、ワイヤボンド、および接触端子上のトレースによって形成されるいくつかの信号経路は、パワー半導体ダイ16を互いに接続して、以下で説明するように、パワーモジュール10の所望のトポロジを形成することができる。最後に、パワー基板14は、ハウジング12の底部を通して露出されるベースプレート上に提供され得る。12個のパワー半導体ダイ16が
図1に示されているが、本開示の原理から逸脱することなく、任意の数のパワー半導体ダイ16が、パワーモジュール10に提供され得る。しかしながら、以下で説明するように、パワーモジュール10の設置面積は、一般に、規格および実用性によって制限され、したがって、パワーモジュール10に提供できるパワー半導体ダイ16の総数は制限され得る。様々な実施形態において、パワーモジュール10は、4つのパワー半導体ダイ16、8つのパワー半導体ダイ16、または他の任意の数のパワー半導体ダイ16を含み得る。
【0021】
[0030]
図2Aは、本開示の1つの実施形態による、パワーモジュール10内のスイッチ位置SWを示す機能概略図である。スイッチ位置SWは、パワー半導体ダイ16の全部または一部を含み得、これらは、図示されるように、いくつかのパワー半導体デバイスを形成するためにともに結合され得る。特に、パワー半導体ダイ16は、ともに結合されて、ダイオード20と逆並列に結合された絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)18を提供し得る。IGBT18は、制御端子22に結合されたベース接点(B)、第1のパワースイッチング端子24に結合されたコレクタ接点(C)、および第2のパワースイッチング端子26に結合されたエミッタ接点(E)を含む。ダイオード20は、第2のパワースイッチング端子26に結合されたアノードと、第1のパワースイッチング端子24に結合されたカソードとを含む。
【0022】
[0031]IGBT18は、並列に結合された、各々がIGBT半導体ダイである、いくつかのパワー半導体ダイ16によって提供され得る。同様に、ダイオード20は、並列に結合された、各々がダイオード半導体ダイである、いくつかのパワー半導体ダイ16によっ
て提供され得る。IGBT18のために使用される半導体ダイ16の数は、(たとえば、各デバイスの電流容量に応じて)ダイオード20のために使用される半導体ダイ16の数とは異なる場合がある。パワー半導体ダイ16の各々は、特定の遮断電圧および特定の順方向導通電流について定格化され得る。IGBT18およびダイオード20の各々に、複数のパワー半導体ダイ16を提供することは、その順方向導通電流を(追加のパワー半導体ダイ16ごとに整数倍)増加させる。したがって、スイッチ位置SWは、IGBT18を通過する(第1のパワースイッチング端子24から第2のパワースイッチング端子26への)順方向と、ダイオード20を通過する(第2のパワースイッチング端子26から第1のパワースイッチング端子24への)逆方向との両方で、高電圧を遮断し、高電流を導通でき得る。
【0023】
[0032]いくつかの実施形態では、パワーモジュール10は、複数のスイッチ位置SWを含み得る。スイッチ位置SWは、パワーモジュール10の用途に応じて、第1のパワースイッチング端子24と第2のパワースイッチング端子26との間で直列または並列にともに結合され得る。いくつかの実施形態では、スイッチ位置SWは、決してともに結合されないことがある。たとえば、
図2Bは、直列に結合された2つのスイッチ位置SWを示し、これは、ハーフブリッジパワー変換器のスイッチング部分を形成するために使用され得る。
図2Cは、4つのスイッチ位置SWを示し、ここで、4つのスイッチ位置SWの2つのペアが直列に結合されている。直列結合されたスイッチ位置SWの2つのペアは、並列に結合され、フルブリッジパワー変換器のスイッチング部分を形成するか、または結合されないままとされ得る。特に、パワーモジュール10は、任意の所望の方式で構成された任意の数のスイッチ位置SWを提供し得る。
【0024】
[0033]1つの実施形態では、IGBT18およびダイオード20は、シリコンカーバイド半導体デバイスである。シリコンカーバイドデバイスとしてIGBT18およびダイオード20を提供することは、同じサイズの従来のパワーモジュールと比較して、パワーモジュール10に、増加された遮断電圧、順方向導通電流、および逆方向導通電流のみならず、低減されたスイッチングおよび導通損失などのいくつかの性能上の利点を提供し得る。たとえば、パワーモジュール10は、遮断動作モードにおいて、第1のパワースイッチング端子24と第2のパワースイッチング端子26との間の1kVよりも大きい電圧を遮断でき得る。様々な実施形態において、パワーモジュール10は、2kVよりも大きい、3kVよりも大きい、4kVよりも大きい、5kVよりも大きい、6kVよりも大きい、7kVよりも大きい、8kVよりも大きい、9kVよりも大きい、10kVよりも大きい、11kVよりも大きい、12kVよりも大きい、13kVよりも大きい、14kVよりも大きい、15kVよりも大きい、16kVよりも大きい、17kVよりも大きい、18kVよりも大きい、19kVよりも大きい、20kVよりも大きい、21kVよりも大きい、22kVよりも大きい、23kVよりも大きい、24kVよりも大きい、25kVよりも大きい、そして最大26kVの電圧を遮断でき得る。パワーモジュール10の遮断電圧は、上記の遮断電圧のいずれかを始点および終点とする範囲としてさらに表され得る。たとえば、パワーモジュール10は、2kVから26kVの間、10kVから26kVの間、20kVから26kVの間、2kVから12kVの間、10kVから15kVの間、11kVから26kVの間などの電圧を遮断でき得る。上記の遮断電圧の場合、(第1のパワースイッチング端子24と第2のパワースイッチング端子26との間の)順方向導通電流および(第2のパワースイッチング端子26と第1のパワースイッチング端子24との間の)逆方向導通電流は、半導体ダイの面積、したがって、IGBT18およびダイオード20の各々に専用のパワー半導体ダイ16の数にそれぞれ依存する。
【0025】
[0034]
図3は、IGBT18に使用されるパワー半導体ダイ16の数対ダイオード20に使用されるパワー半導体ダイ16の数に基づく、パワーモジュール10の順方向導通電流および逆方向導通電流を示すグラフである。図示されるように、最大逆方向導通電流は
、パワー半導体ダイ16の12個すべてがダイオード20のために使用されるときに発生する。しかしながら、パワーモジュール10は、このシナリオでは順方向導通電流を提供することができない。IGBT18のために使用されるパワー半導体ダイ16の数が増加すると、パワーモジュール10の順方向導通電流も同様に増加し、パワーモジュール10の逆方向導通電流は減少する。パワーモジュール10は、
図3に例示されるシナリオのいずれかで、上記で論じられた電圧を遮断することが可能であり、したがって、200Aよりも大きい順方向および逆方向導通電流の両方が可能であり、また、例示される他のシナリオも可能である。様々な実施形態において、パワーモジュールは、100Aから6kA、150Aから6kA、200Aから6kA、250Aから6kA、300Aから6kA、500Aから6kA、1kAから6000kAの範囲、および上記の範囲のいずれかによって形成された任意のサブ範囲において、順方向および逆方向導通電流を提供することができる。
図3のグラフによって説明される例示的な状況では、12個のパワー半導体ダイ16のうちの3個がIGBT18のために使用され、12個のパワー半導体ダイ16のうちの残りの9個がダイオード20のために使用される場合、パワーモジュール10の順方向導通電流および逆方向導通電流は比較的等しい。
【0026】
[0035]上記で論じたように、パワーモジュール10の設置面積は、規格および実用性の両方によって制限されている。同じ設置面積の場合、パワーモジュール10は、パワー半導体デバイスがシリコンであるパワーモジュールよりも、上記の順方向導通電流および逆方向導通電流で、はるかに大きな遮断電圧を達成することができる。
【0027】
[0036]上記に例示したように、パワーモジュール10の順方向導通電流と逆方向導通電流との間にはトレードオフが存在する。パワーモジュール10の設置面積が制限されるので、パワーモジュール10の達成可能な順方向および逆方向導通電流は、パワー半導体ダイ16のために利用可能なスペースによって同様に制限される。これは、IGBT18が通過できる電流(順方向導通電流)の量が、IGBT18専用の半導体ダイの面積の関数であり、同様に、ダイオード20が通過できる電流(逆方向導通電流)の量が、ダイオード20専用の半導体ダイの面積の関数であるからである。いくつかの実施形態では、ダイオード20は、接合バリアショットキー(JBS)ダイオードであり得る。したがって、半導体ダイの所与の領域について、ダイオード20は、IGBT18よりもはるかに少ない電流を導通することができ、それにより、所望の逆方向導通電流を達成するために、IGBT18専用よりも、ダイオード20専用のはるかに多くの半導体ダイの面積(したがって、パワー半導体ダイ16の数)を必要とする。パワー半導体ダイ16の総数は、パワーモジュール10の設置面積によって制限されるので、パワーモジュール10の順方向導通電流および逆方向導通電流も制限される。上記のパワーモジュール10は、以前に達成可能であったよりも高い遮断電圧、順方向導通電流、および逆方向導通電流を達成することができるが、パワーモジュール10の順方向導通電流および逆方向導通電流をさらに増加させることが常に望ましい。
【0028】
[0037]
図4は、本開示の追加の実施形態による、パワーモジュール10内のスイッチ位置SWを示す機能概略図である。スイッチ位置SWは、パワー半導体ダイ16の全部または一部を含み得、これらは、図示されるように、いくつかのパワー半導体デバイスを形成するためにともに結合され得る。特に、パワー半導体ダイ16は、ともに結合されて、IGBT28および金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)30を提供し得る。IGBT28は、第1の制御端子32に結合されたゲート接点(G)、第1のパワースイッチング端子34に結合されたコレクタ接点(C)、および第2のパワースイッチング端子36に結合されたエミッタ接点(E)を含む。MOSFET30は、第2の制御端子38に結合されたゲート接点(G)、第1のパワースイッチング端子34に結合されたドレイン接点(D)、および第2のパワースイッチング端子36に結合されたソース接点(S)を含む。
【0029】
[0038]IGBT28は、並列に結合された、各々がIGBT半導体ダイであるいくつかのパワー半導体ダイ16によって提供され得る。同様に、MOSFET30は、並列に結合された、各々がMOSFET半導体ダイであるいくつかのパワー半導体ダイ16によって提供され得る。1つの実施形態では、半導体ダイ16のうちの1つまたは複数は、ディスクリートに(すなわち、ダイ自体に電気的に結合されていない)、または任意の所望の方式で互いに統合されて、同じダイ上にIGBTデバイスおよびMOSFETデバイスの両方を提供する。パワー半導体ダイ16の各々は、特定の遮断電圧および特定の順方向導通電流について定格化され得る。IGBT28およびMOSFET30の各々に複数のパワー半導体ダイを提供することは、その順方向導通電流を(追加の各パワー半導体ダイ16ごとに整数倍)増加させる。したがって、スイッチ位置SWは、(第1のパワースイッチング端子34から第2のパワースイッチング端子36への)順方向と、(第2のパワースイッチング端子36から第1のパワースイッチング端子34への)逆方向との両方で、高電圧を遮断し、高電流を導通でき得る。
【0030】
[0039]上記で論じたように、いくつかの実施形態では、パワーモジュール10は、複数のスイッチ位置SWを含み得る。スイッチ位置SWは、パワーモジュール10の用途に応じて、第1のパワースイッチング端子34と第2のパワースイッチング端子36との間で直列または並列に結合され得る。いくつかの実施形態では、スイッチ位置SWは、決してともに結合されないことがある。
【0031】
[0040]1つの実施形態では、IGBT28およびMOSFET30は、シリコンカーバイド半導体デバイスである。シリコンカーバイドデバイスとしてIGBT28およびMOSFET30を提供することは、従来のパワーモジュールと比較して、パワーモジュール10に、増加された遮断電圧、順方向導通電流、および逆方向導通電流、ならびに低減されたスイッチングおよび導通損失などのいくつかの性能上の利点を提供し得る。たとえば、パワーモジュール10は、第1のパワースイッチング端子34と第2のパワースイッチング端子36との間の1kVよりも大きい電圧を遮断することができ得る。様々な実施形態において、パワーモジュール10は、2kVよりも大きい、3kVよりも大きい、4kVよりも大きい、5kVよりも大きい、6kVよりも大きい、7kVよりも大きい、8kVよりも大きい、9kVよりも大きい、10kVよりも大きい、11kVよりも大きい、12kVよりも大きい、13kVよりも大きい、14kVよりも大きい、15kVよりも大きい、16kVよりも大きい、17kVよりも大きい、18kVよりも大きい、19kVよりも大きい、20kVよりも大きい、21kVよりも大きい、22kVよりも大きい、23kVよりも大きい、24kVよりも大きい、25kVよりも大きい、そして最大26kVの電圧を遮断でき得る。パワーモジュール10の遮断電圧は、上記の遮断電圧のいずれかを始点および終点とする範囲としてさらに表され得る。たとえば、パワーモジュール10は、2kVから26kVの間、10kVから26kVの間、20kVから26kVの間、2kVから12kVの間、10kVから15kVの間、11kVから26kVの間などの電圧を遮断でき得る。上記の遮断電圧の場合、(第1のパワースイッチング端子34と第2のパワースイッチング端子36との間の)順方向導通電流、および(第2のパワースイッチング端子36と第1のパワースイッチング端子34との間の)逆方向導通電流は、半導体ダイの面積、したがって、IGBT28およびMOSFET30の各々に専用のパワー半導体ダイ16の数に依存する。
【0032】
[0041]
図5は、IGBT28に使用されるパワー半導体ダイ16の数対MOSFET30に使用されるパワー半導体ダイ16の数に基づく、パワーモジュール10の順方向導通電流および逆方向導通電流を示すグラフである。
図5におけるグラフに例示される例示的な状況では、最大逆方向導通電流は、パワー半導体ダイ16の12個すべてがMOSFET30のために使用されるときに発生する。このシナリオでは、パワーモジュール10は依然として順方向導通電流が可能であるが、逆方向導通電流と順方向導通電流との間のトレードオフは、1つまたは複数のIGBTを導入することによって改善される。IGBT28のために使用されるパワー半導体ダイ16の数が増加すると、パワーモジュール10の順方向導通電流も同様に増加し、パワーモジュール10の逆方向導通電流は減少する。パワーモジュール10は、
図3に例示されているシナリオのいずれかで上記で論じられた電圧を遮断することが可能であり、したがって、250Aよりも大きい順方向および逆方向導通電流が可能であり、また、例示される他のシナリオも可能である。様々な実施形態において、パワーモジュールは、100Aから6kA、150Aから6kA、200Aから6kA、250Aから6kA、300Aから6kA、500Aから6kA、1kAから6kAの範囲、および上記の範囲のいずれかによって形成された任意のサブ範囲において順方向および逆方向導通電流を提供することができる。12個のパワー半導体ダイ16のうちの3個がIGBT28のために使用され、12個のパワー半導体ダイ16のうちの残りの9個がMOSFET30のために使用される場合、パワーモジュール10の順方向導通電流および逆方向導通電流は比較的等しい。
【0033】
[0042]上記で論じたように、パワーモジュール10の設置面積は、制限されている。同じ設置面積の場合、パワーモジュール10は、デバイスがシリコンであるパワーモジュールよりも、上記の順方向導通電流および逆方向導通電流ではるかに大きな遮断電圧を達成することができる。さらに、
図4および
図5に関して論じられたパワーモジュール10は、
図2および
図3に関して論じられたパワーモジュール10よりも、同じ逆方向導通電流に対して、より高い順方向導通電流を達成することができる。
【0034】
[0043]上記で論じたように、パワーモジュール10における順方向導通電流と逆方向導通電流との間にはトレードオフが存在する。パワーモジュール10の設置面積は、規格および実用性によって制限されるので、パワーモジュールの達成可能な順方向および逆方向導通電流は、パワー半導体ダイ16のために利用可能なスペースによって同様に制限される。これは、IGBT28が通過できる電流(順方向導通電流)の量が、IGBT28専用の半導体ダイの面積の関数であり、同様に、MOSFET30が通過できる電流(順方向導通電流と逆方向導通電流との両方)の量が、MOSFET30専用の半導体ダイの面積の関数であるからである。MOSFETは、半導体ダイの同じ面積で、JBSダイオード(アノードからカソード)よりも逆方向(ソースからドレイン)に多くの電流を流す。さらに、MOSFETは、その内部ボディダイオードにより、電流を双方向(ソースからドレインおよびドレインからソース)に流すことができる。IGBTは、半導体ダイの同じ面積で、MOSFET(ドレインからソース)よりも順方向(コレクタからエミッタ)に多くの電流を流す。したがって、パワーモジュール10のスイッチ位置SWにおいてIGBT28およびMOSFET30を使用することは、以前に達成可能であったよりも、順方向導通電流と逆方向導通電流との間に、より良好なトレードオフを可能にする。1つの実施形態では、パワーモジュール10は、
【0035】
【0036】
よりも大きい、1平方センチメートル当たりのアンペア(A/cm2)で測定される比電流定格を提供し、ここで、Vb(r)は、パワーモジュールの定格遮断電圧である。1つの実施形態では、比電流定格は、順方向および逆方向の両方に適用される。
【0037】
[0044]
図6に例示するように、順方向導通電流と逆方向導通電流との間のより良いトレードオフに加えて、パワーモジュール10のスイッチ位置SWでIGBT28およびMOSFET30を使用すると、パワーモジュール10の効率が向上する。図示されるように、IGBT28およびMOSFET30を含むパワーモジュール10は、特に軽負荷状態において、上記で論じたIGBT18およびダイオード20を含む、対応するパワーモジュール10よりも著しく高いDC効率を提供する。図示されていないが、上記で論じたパワーモジュール10の両方の実施形態は、それらの効率においてシリコンデバイスを利用する従来のパワーモジュールと同様に、MOSFETのみを含むパワーモジュールを著しく凌駕する。
【0038】
[0045]
図4に示すように、スイッチ位置SWは、第1の制御端子32および第2の制御端子38を有する。IGBT28およびMOSFET30に別個の制御端子を提供することは、パワーモジュール10によって実現されるいくつかの性能上の利点を可能にし得る。特に、IGBT28およびMOSFET30は、パワーモジュール10におけるスイッチング損失を最小化するスイッチング制御スキームが使用され得るように(たとえば、図示されていないスイッチング制御回路構成からのスイッチング制御信号によって)個別に制御され得る。
【0039】
[0046]
図7は、本開示の1つの実施形態による、スイッチング損失を最小化するためにパワーモジュール10内のIGBT28およびMOSFET30を制御するための方法を例示するフロー図である。第1に、パワーモジュール10は、MOSFET30を遮断モードにする前に、IGBT28を遮断モードにすることによって、第1のパワースイッチング端子34と第2のパワースイッチング端子36との間で電流が導通される順方向導通モードから、第1のパワースイッチング端子34と第2のパワースイッチング端子36との間で電流が導通されない遮断モードへ切り替えられ得る(ステップ100)。MOSFET30の前にIGBT28を遮断モードにすると、パワーモジュール10におけるスイッチング損失が減少する。なぜなら、IGBT28は一般に、デバイス内の少数キャリアの再結合時間のために、順方向導通モードから遮断モードに移行するのに、はるかに長い時間がかかるからである。
【0040】
[0047]第2に、パワーモジュール10は、IGBT28を順方向導通モードにする前に、MOSFET30を逆方向導通モードにすることによって、遮断モードから順方向導通モードへ切り替えることができる(ステップ102)。IGBT28を順方向導通モードにする前にMOSFET30を逆方向導通モードにすることによって、逆回復プロセスによってドリフト領域から掃引されるのではなく、電荷が再結合することを可能にすることによって逆回復損失を軽減し、それによって、パワーモジュール10におけるスイッチング損失が減少する。
【0041】
[0048]いくつかの実施形態では、
図4に関して上記で論じたスイッチ位置SWにダイオードも含めることが望ましい場合がある。したがって、
図8は、ダイオード40がIGBT28およびMOSFET30と並列に提供される代替実施形態によるスイッチ位置SWを示す機能概略図である。特に、ダイオード40は、第2のパワースイッチング端子36に結合されたアノード接点と、第1のパワースイッチング端子34に結合されたカソードとを含む。ダイオード40は、上記で論じたように並列に結合された任意の数のパワー半導体ダイ16によって提供され得る。
【0042】
[0049]
図9は、スイッチ位置がいくつかのシリコンIGBTおよびシリコンPiNダイオードで形成された従来のパワーモジュール(実線)と、逆方向電流導通のために、その内部ボディダイオードを使用するいくつかのシリコンカーバイドMOSFETによってスイッチ位置が形成されたパワーモジュール(太い破線)と、スイッチ位置がいくつかのシリコンカーバイドIGBTおよびシリコンカーバイドJBSダイオードによって形成された本開示の1つの実施形態によるパワーモジュール10(細い破線)と、スイッチ位置が
いくつかのシリコンカーバイドIGBTおよびいくつかのシリコンカーバイドMOSFETによって形成される本開示の1つの実施形態によるパワーモジュール10(破線および点線)との、正規化出力パワー対正規化パワー損失を示すグラフである。図示されるように、シリコンカーバイドを利用するすべてのパワーモジュールは、シリコンを利用するパワーモジュールよりもはるかに少ない損失を与える。さらに、シリコンカーバイドIGBTおよびJBSのダイオードを使用するパワーモジュールは、シリコンカーバイドMOSFETのみを使用するパワーモジュールよりも、低出力パワーにおいてはるかに低い損失しか与えない。全体において最も低い損失は、ここで説明するように、IGBTおよびMOSFETを使用するパワーモジュールによって与えられる。
【0043】
[0050]
図10は、パワーモジュール10の1平方センチメートル当たりのアンペア(A/cm
2)での比電流定格を示すグラフである。図示されるように、パワーモジュール10の比電流定格は、パワーモジュール10の電圧定格が増加するにつれて減少する。1つの実施形態では、パワーモジュールの比電流定格は、
【0044】
【0045】
よりも大きく、ここで、Vb(r)は、パワーモジュールの定格遮断電圧である。
[0051]当業者は、本開示の好ましい実施形態に対する改善および変更を認識するであろう。そのようなすべての改善および変更は、本明細書に開示される概念および以下の特許請求の範囲内で考慮される。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のパワースイッチング端子および第2のパワースイッチング端子と、
複数のパワー半導体デバイスとを備え、前記複数のパワー半導体デバイスは、
少なくとも1つの絶縁ゲートバイポーラ接合トランジスタ(IGBT)と、
少なくとも1つの金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)とを備え、
前記少なくとも1つのIGBTおよび前記少なくとも1つのMOSFETは、前記第1のパワースイッチング端子と前記第2のパワースイッチング端子との間に並列に結合され、
前記少なくとも1つのIGBTおよび前記少なくとも1つのMOSFETは、シリコンカーバイド半導体デバイスである、パワーモジュール。
【外国語明細書】