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特開2023-165190積層体、積層体の製造方法、及び、接続構造体の製造方法
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  • 特開-積層体、積層体の製造方法、及び、接続構造体の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165190
(43)【公開日】2023-11-15
(54)【発明の名称】積層体、積層体の製造方法、及び、接続構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/30 20180101AFI20231108BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20231108BHJP
   H01R 11/01 20060101ALN20231108BHJP
【FI】
C09J7/30
B32B27/00 M
H01R11/01 501C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075937
(22)【出願日】2022-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100211018
【弁理士】
【氏名又は名称】財部 俊正
(72)【発明者】
【氏名】山崎 裕太
(72)【発明者】
【氏名】富坂 克彦
(72)【発明者】
【氏名】市村 剛幸
(72)【発明者】
【氏名】高山 群基
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
【Fターム(参考)】
4F100AA20
4F100AH02
4F100AK42
4F100AR00B
4F100AR00D
4F100AT00A
4F100AT00C
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA21A
4F100BA21C
4F100CA02
4F100CA02B
4F100CA02D
4F100CA23
4F100CA30
4F100CA30B
4F100CB00B
4F100CB00D
4F100CB01
4F100DE01
4F100DE01B
4F100EH46
4F100GB41
4F100JG01
4F100JG01B
4F100JJ10B
4F100JJ10D
4F100JK06
4F100JK06A
4F100JK06C
4F100JL11
4F100JL11B
4F100JL11D
4F100JL14
4F100JL14A
4F100YY00A
4F100YY00C
4J004AA11
4J004AA13
4J004AA18
4J004AB01
4J004AB05
4J004BA03
4J004DA02
4J004DA03
4J004DA04
4J004DA05
4J004DB02
4J004EA05
4J004FA05
(57)【要約】
【課題】 回路接続用接着剤フィルムの乾燥による劣化を抑制しつつ、運搬時及び裁断時における基材の剥離、及び、使用時に基材を剥離する際の不具合が生じ難い、積層体を提供すること。
【解決手段】 第一の基材2と、該第一の基材2上に設けられた回路接続用接着剤フィルム3と、該接着剤フィルム3上に設けられた第二の基材4と、を備え、第一の基材2の前記接着剤フィルム3に対する密着強度をP1とし、第二の基材4の接着剤フィルム3に対する密着強度をP2とすると、P1/P2が0.25~0.80である、積層体1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の基材と、該第一の基材上に設けられた回路接続用接着剤フィルムと、該接着剤フィルム上に設けられた第二の基材と、を備え、
前記第一の基材の前記接着剤フィルムに対する密着強度をP1とし、前記第二の基材の前記接着剤フィルムに対する密着強度をP2とすると、P1/P2が0.25~0.80である、積層体。
【請求項2】
前記接着剤フィルムが、導電粒子を含有する導電性接着剤フィルムである、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記接着剤フィルムが、導電粒子を含有する第一の接着剤層と、導電粒子を含有しない第二の接着剤層と、を有する、請求項2に記載の積層体。
【請求項4】
前記第一の基材が前記第一の接着剤層に隣接し、前記第二の基材が前記第二の接着剤層に隣接する、請求項3に記載の積層体。
【請求項5】
前記接着剤フィルムが、熱反応性成分と、硬化剤と、を含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項6】
前記密着強度P1が0.5~15N/mであり、前記密着強度P2が1.5~30N/mである、請求項1~4のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項7】
前記第一の基材が、前記接着剤フィルムに接する面が離型処理された基材である、請求項1~4のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項8】
第一の基材と、該第一の基材上に設けられた回路接続用接着剤フィルムと、該接着剤フィルム上に設けられた第二の基材と、を備える積層体の製造方法であって、
前記第一の基材の前記接着剤フィルムに対する密着強度をP1とし、前記第二の基材の前記接着剤フィルムに対する密着強度をP2とすると、P1/P2が0.25~0.80となるように、前記第一の基材と、前記第二の基材と、前記接着剤フィルム又は前記接着剤フィルムを形成するための材料とを用意する工程と、
前記第一の基材と前記第二の基材との間に前記接着剤フィルムを配置又は形成することにより、前記積層体を得る工程と、を備える、積層体の製造方法。
【請求項9】
第一の電極を有する第一の回路部材と、第二の電極を有する第二の回路部材と、第一の回路部材及び第二の回路部材の間に配置され、前記第一の電極及び前記第二の電極を互いに電気的に接続する接続部と、を備える接続構造体の製造方法であって、
請求項1~4のいずれか一項に記載の積層体から前記第一の基材を除去し、前記接着剤フィルムの前記第一の基材に接していた面と前記第一の回路部材の前記第一の電極が設けられた面とが接するように、前記第一の回路部材上に前記積層体の残部を配置する工程と、
前記積層体の残部から前記第二の基材を除去し、前記接着剤フィルムの前記第二の基材に接していた面と前記第二の回路部材の前記第二の電極が設けられた面とが接するように、前記接着剤フィルム上に前記第二の回路部材を配置する工程と、
前記第一の回路部材及び前記第二の回路部材を熱圧着して、前記第一の電極及び前記第二の電極を互いに電気的に接続する工程と、を備える、接続構造体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層体、積層体の製造方法、及び、接続構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、対向する回路部材を加熱及び加圧し、加圧方向の電極間を電気的に接続する接着剤フィルムが使用されている。このような回路接続用途の接着剤フィルムとしては、例えば、接着剤中に導電粒子が分散された回路接続用接着フィルムが知られている(例えば、下記特許文献1~4を参照)。
【0003】
最近では、ドライバーIC等の半導体チップをフェイスダウンで直接LCDパネル又はプリント配線板に実装する場合でも、従来のワイヤーボンディング法にかえて、半導体チップを基板に直接実装する、いわゆるチップオンガラス(COG)実装方式が採用されており、ここでも回路接続用接着剤フィルムが回路接続材料として用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60-191228号公報
【特許文献2】特開平1-251787号公報
【特許文献3】特開平7-90237号公報
【特許文献4】特開2019-104869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
回路接続用接着剤フィルムは、量産現場では、例えばリールの形態で開放放置されることがあり、乾燥によって劣化して貼り付け性が悪化する場合がある。また、この乾燥劣化を防止するために接着剤フィルムの両面に基材をラミネートして積層体とすることも検討されているが、このような積層体の基材は、運搬時のわずかな衝撃で剥離することがあり、使用に適したサイズに積層体を裁断する際にも剥離することがある。また、使用時においても、基材を除去する際に、接着剤フィルムの一部が基材に転写してしまい、製品として使用できない状態となるといった不具合も生じ得る。
【0006】
本開示の一側面は、上記事情に鑑みてなされたものであり、回路接続用接着剤フィルムの乾燥による劣化を抑制しつつ、運搬時及び裁断時における基材の剥離、及び、使用時に基材を剥離する際の不具合が生じ難い、積層体を提供することを目的とする。また、本開示の他の一側面は、上記積層体の製造方法を提供することを目的とする。また、本開示の他の一側面は、上記積層体を用いた接続構造体の製造方法を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のいくつかの側面は、以下に示す[1]~[9]を提供する。
【0008】
[1] 第一の基材と、該第一の基材上に設けられた回路接続用接着剤フィルムと、該接着剤フィルム上に設けられた第二の基材と、を備え、前記第一の基材の前記接着剤フィルムに対する密着強度をP1とし、前記第二の基材の前記接着剤フィルムに対する密着強度をP2とすると、P1/P2が0.25~0.80である、積層体。
【0009】
[2] 前記接着剤フィルムが、導電粒子を含有する導電性接着剤フィルムである、[1]に記載の積層体。
【0010】
[3] 前記接着剤フィルムが、導電粒子を含有する第一の接着剤層と、導電粒子を含有しない第二の接着剤層と、を有する、[2]に記載の積層体。
【0011】
[4] 前記第一の基材が前記第一の接着剤層に隣接し、前記第二の基材が前記第二の接着剤層に隣接する、[3]に記載の積層体。
【0012】
[5] 前記接着剤フィルムが、熱反応性成分と、硬化剤と、を含有する、[1]~[4]のいずれかに記載の積層体。
【0013】
[6] 前記密着強度P1が0.5~15N/mであり、前記密着強度P2が1.5~30N/mである、[1]~[5]のいずれかに記載の積層体。
【0014】
[7] 前記第一の基材が、前記接着剤フィルムに接する面が離型処理された基材である、[1]~[6]のいずれかに記載の積層体。
【0015】
[8] 第一の基材と、該第一の基材上に設けられた回路接続用接着剤フィルムと、該接着剤フィルム上に設けられた第二の基材と、を備える積層体の製造方法であって、前記第一の基材の前記接着剤フィルムに対する密着強度をP1とし、前記第二の基材の前記接着剤フィルムに対する密着強度をP2とすると、P1/P2が0.25~0.80となるように、前記第一の基材と、前記第二の基材と、前記接着剤フィルム又は前記接着剤フィルムを形成するための材料とを用意する工程と、前記第一の基材と前記第二の基材との間に前記接着剤フィルムを配置又は形成することにより、前記積層体を得る工程と、を備える、積層体の製造方法。
【0016】
[9] 第一の電極を有する第一の回路部材と、第二の電極を有する第二の回路部材と、第一の回路部材及び第二の回路部材の間に配置され、前記第一の電極及び前記第二の電極を互いに電気的に接続する接続部と、を備える接続構造体の製造方法であって、[1]~[7]のいずれかに記載の積層体から前記第一の基材を除去し、前記接着剤フィルムの前記第一の基材に接していた面と前記第一の回路部材の前記第一の電極が設けられた面とが接するように、前記第一の回路部材上に前記積層体の残部を配置する工程と、前記積層体の残部から前記第二の基材を除去し、前記接着剤フィルムの前記第二の基材に接していた面と前記第二の回路部材の前記第二の電極が設けられた面とが接するように、前記接着剤フィルム上に前記第二の回路部材を配置する工程と、前記第一の回路部材及び前記第二の回路部材を熱圧着して、前記第一の電極及び前記第二の電極を互いに電気的に接続する工程と、を備える、接続構造体の製造方法。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、回路接続用接着剤フィルムの乾燥による劣化を抑制しつつ、運搬時及び裁断時における基材の剥離、及び、使用時に基材を剥離する際の不具合が生じ難い、積層体が提供される。また、本開示によれば、上記積層体の製造方法及び上記積層体を用いた接続構造体の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】積層体の一実施形態を示す模式断面図である。
図2】密着強度P1の測定方法を説明する模式断面図である。
図3】密着強度P2の測定方法を説明する模式断面図である。
図4図1の積層体の製造方法の一実施形態を説明する模式断面図である。
図5図1の積層体の製造方法の他の一実施形態を説明する模式断面図である。
図6】接続構造体の一実施形態を示す模式断面図である。
図7図6の接続構造体の製造方法を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、場合により図面を参照しつつ、本開示の実施形態について詳細に説明する。なお、本開示は、以下の実施形態に限定されない。
【0020】
本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。また、数値範囲の下限値及び上限値は、それぞれ他の数値範囲の下限値又は上限値と任意に組み合わせられる。数値範囲「A~B」という表記においては、両端の数値A及びBがそれぞれ下限値及び上限値として数値範囲に含まれる。
【0021】
<積層体>
本開示の一実施形態に係る積層体は、第一の基材と、該第一の基材上に設けられた回路接続用接着剤フィルムと、該接着剤フィルム上に設けられた第二の基材と、を備え、第一の基材の接着剤フィルムに対する密着強度をP1とし、第二の基材の接着剤フィルムに対する密着強度をP2とすると、P1/P2が0.25~0.80である。
【0022】
図1は、積層体の一実施形態を示す模式断面図である。図1に示される積層体1は、第一の基材2と、該第一の基材2上に設けられた回路接続用接着剤フィルム3(以下、単に「接着剤フィルム3」ともいう。)と、該接着剤フィルム3上に設けられた第二の基材4と、を備える。積層体1では、第一の基材2の接着剤フィルム3に対する密着強度をP1とし、第二の基材4の接着剤フィルム3に対する密着強度をP2とすると、P1/P2が0.25~0.80となる。
【0023】
図2及び図3は、それぞれ、密着強度P1及びP2の測定方法を説明する模式断面図である。密着強度P1及びP2は、それぞれ、以下に記載の方法により測定される。なお、以下に記載のない条件は、JISK6854-1に準拠するものとする。
【0024】
[密着強度P1の測定方法]
まず、第一の基材2に、切り込み(スリット)を入れる。切り込みの形状は、例えば長方形状であり、切り込みのサイズは、例えば縦1.5mm×横40mmである。
【0025】
次いで、両面テープ8の一方面を積層体1の第二の基材4に貼り付け、両面テープ8の他方面をスライドガラス9に貼り付けることで、積層体1をスライドガラス9に固定し、測定サンプルを得る。両面テープの厚さは、例えば、0.13mmであり、スライドガラス9の厚さは、例えば、1.3mmである。
【0026】
次いで、得られた測定サンプルを、スライドガラス側から、40℃のホットプレート10上に配置する。
【0027】
次いで、引張試験機(例えば、株式会社エー・アンド・デイ製のテンシロン)を用いて、ピール速度50mm/min、ピール角度90°の条件で第一の基材2を上方(図2の矢印Xで示される方向)に引っ張ることで、第一の基材2を接着剤フィルム3から長手方向に向けて剥離し、第一の基材2の接着剤フィルム3に対する密着強度を測定する。
【0028】
[密着強度P2の測定方法]
まず、粘着フィルム11を用意する。粘着フィルム11は、例えば、フィルム状の基材(例えばポリイミドフィルム)の上に粘着剤層が形成されてなるフィルムである。粘着剤層を構成する粘着剤としては、密着強度P2の測定時に粘着フィルム11と接着剤フィルム3との界面での剥離が生じない程度に、粘着フィルム11を接着剤フィルム3に密着可能とするものであればよい。粘着フィルム11の形状は、例えば長方形状であり、粘着フィルム11のサイズは、例えば縦10mm×横40mmである。粘着フィルムとしては、例えば、オカモト株式会社製のPIテープ(No.1030)を用いることができる。
【0029】
次いで、積層体1から第一の基材2を剥離した後、上記粘着フィルム11を、粘着剤層側から、接着剤フィルム3の第一の基材2が配置されていた表面上に配置する。この際、図3に示されるように、粘着フィルム11の一端を把持可能とするために、粘着フィルム11の一部は接着剤フィルム3の表面上に配置されないようにする。また、これと並行して、両面テープ8の一方面を上記積層体1の第二の基材4に貼り付け、両面テープ8の他方面をスライドガラス9に貼り付けることで、積層体1をスライドガラス9に固定する。以上の操作により、測定サンプルを得る。なお、両面テープ8及びスライドガラス9は、密着強度P1を測定する場合に使用されるものと同じ種類のものを使用することができる。
【0030】
次いで、得られた測定サンプルを、スライドガラス9側から、40℃のホットプレート10上に配置する。
【0031】
次いで、引張試験機(例えば、株式会社エー・アンド・デイ製のテンシロン)を用いて、ピール速度50mm/min、ピール角度90°の条件で粘着フィルム11を上方(図3の矢印Yで示される方向)に引っ張ることで、接着剤フィルム3を第二の基材4から長手方向に向けて剥離し、第二の基材4の接着剤フィルム3に対する密着強度を測定する。
【0032】
上記密着強度P1及びP2の測定は、測定サンプルをホットプレート上に配置してから10秒後に開始する。また、密着強度の測定は、積層体中の無作為に選択された3か所について行い、3か所で得られた密着強度の算術平均値を採用する。なお、密着強度の測定値は、測定開始直後にばらつく傾向があるため、密着強度P1の算出には、測定開始後1~3秒間に得られる測定値の最大値を使用するものとし、密着強度P2の算出には、測定開始後1~3秒間に得られる測定値の最小値を使用するものとする。
【0033】
上記積層体1では、接着剤フィルム3の両面が基材(第一の基材及び第二の基材)により被覆されていることから、該接着剤フィルム3の乾燥による劣化を生じ難い。また、上記密着強度の比(P1/P2)が上述した範囲であることで運搬時及び裁断時における基材の剥離、及び、使用時に基材を剥離する際の不具合が生じ難い。
【0034】
上記効果がさらに得られやすくなる観点では、上記密着強度の比(P1/P2)は、0.30以上、0.40以上又は0.50以上であってもよく、0.75以下又は0.65以下であってもよく、0.40~0.75又は0.50~0.65であってもよい。
【0035】
上記効果がさらに得られやすくなる観点では、密着強度P1が0.5~15N/mであり、密着強度P2が1.5~30N/mであることが好ましい。密着強度P1は、運搬時及び裁断時における基材の剥離、及び、使用時に基材を剥離する際の不具合がさらに抑制される観点から、1.0~15N/m、1.5~6.0N/m又は2.5~4.5N/mであってもよい。密着強度P2は、運搬時及び裁断時における基材の剥離、及び、使用時に基材を剥離する際の不具合がさらに抑制される観点から、2~30N/m、5~25N/m又は10~15N/mであってもよい。上記密着強度は、基材の構成材料の変更、基材への離型処理の種類の変更、接着剤フィルムの構成材料の変更等により調整可能である。
【0036】
上記効果がさらに得られやすくなる観点では、密着強度P1と密着強度P2との差(P2-P1)は、1.5~8.0であってよく、2.0~8.0又は2.0~6.0であってもよい。
【0037】
(第一の基材及び第二の基材)
第一の基材2及び第二の基材4は、同一の基材であっても、互いに種類の異なる基材であってもよい第一の基材2及び第二の基材4としては、例えば、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリアセテート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポリイミド、セルロース、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、合成ゴム系、液晶ポリマー等からなる基材(例えば、フィルム)を用いることができる。これらの中でも、接着剤フィルムの乾燥をさらに抑制する観点では、ポリエチレンテレフタレートが構成材料として好ましい。
【0038】
第一の基材2及び第二の基材4は、その表面(接着剤フィルムに接する面)が離型処理されていてよい。例えば、第一の基材2及び第二の基材4の一方又は両方が、上述した材料からなる基材の表面が剥離処理されたものであってよい。離型処理としては、シリコーン又はフッ素化合物で表面処理する方法等が挙げられる。
【0039】
第一の基材2及び第二の基材4は、上記比P1/P2が得られるように選択される。上述した基材の中でも、第一の基材2が接着剤フィルムに接する面が離型処理された基材であると、上記比P1/P2が得られやすく、第一の基材2及び第二の基材4の両方が接着剤フィルムに接する面が離型処理された基材であると、上記比P1/P2がより得られやすい。
【0040】
第一の基材2の厚さは、5~150μmであってよく、25~100μm又は35~55μmであってもよい。
【0041】
第二の基材4の厚さは、5~150μmであってよく、25~100μm又は35~55μmであってもよい。
【0042】
(接着剤フィルム)
接着剤フィルム3は、導電粒子5を含有する第一の接着剤層6と、導電粒子を含有しない第二の接着剤層7と、を有する。第一の接着剤層6及び第二の接着剤層7は、それぞれ、第一の基材2が第一の接着剤層6に隣接し、第二の基材4が第二の接着剤層7に隣接するように配置されている。第一の接着剤層6は第一の接着剤組成物で形成されており、第二の接着剤層7は第二の接着剤組成物で形成されている。以下の説明において、第一の接着剤層6は、第一の接着剤組成物といいかえてよく、第二の接着剤層7は、第二の接着剤組成物といいかえてよい。
【0043】
[第一の接着剤層]
第一の接着剤層6は、接着剤成分と、該接着剤成分中に分散された導電粒子5と、を含有する。本明細書中、「接着剤成分」とは、接着剤層を構成する導電粒子以外の成分を指す。接着剤成分は、例えば、熱反応性成分及び硬化剤を含み、場合により、フィルム形成成分、非導電性フィラー、カップリング剤等を更に含む。
【0044】
(a)導電粒子
導電粒子5は、導電性を有する粒子であれば特に制限されず、Au、Ag、Pd、Ni、Cu、はんだ等の金属で構成された金属粒子、導電性カーボンで構成された導電性カーボン粒子などであってよい。導電粒子5は、非導電性のガラス、セラミック、プラスチック(ポリスチレン等)などを含む核と、上記金属又は上記導電性カーボンを含み、核を被覆する被覆層とを備える被覆導電粒子であってもよい。導電粒子5には、各種導電粒子の1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0045】
導電粒子5の平均粒径は、分散性及び導電性に優れる観点から、1.0μm以上、2.0μm以上、2.5μm以上、又は3.0μm以上であってよい。導電粒子5の平均粒径は、分散性及び導電性に優れる観点から、20.0μm以下、10.0μm以下、7.0μm以下、又は5.0μm以下であってよい。本明細書では、第一の接着剤層6中から無作為に選択した導電粒子300個(pcs)について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により粒径を測定し、得られた粒径の平均値を平均粒径とする。
【0046】
第一の接着剤層6中の導電粒子5の含有量は、導電性をより向上させることができる観点から、第一の接着剤層6の全質量を基準として、1質量%以上、5質量%以上、又は10質量%以上であってよい。第一の接着剤層6中の導電粒子5の含有量は、短絡を抑制し易い観点から、第一の接着剤層6の全質量を基準として、60質量%以下、50質量%以下、又は40質量%以下であってよい。
【0047】
(b)熱反応性成分
熱反応性成分は、加熱環境下で硬化剤と反応する成分である。熱反応性成分としては、接続抵抗の低減効果により優れる観点では、カチオン重合性化合物が好ましい。
【0048】
カチオン重合性化合物は、接続抵抗の低減効果が更に向上し、接続信頼性により優れる観点から、環状エーテル基を有する化合物であってよい。環状エーテル基を有する化合物の中でも、脂環式エポキシ化合物及びオキセタン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる場合、接続抵抗の低減効果が一層向上する傾向がある。
【0049】
脂環式エポキシ化合物は、脂環式エポキシ基(例えば、エポキシシクロヘキシル基)を有する化合物であれば特に制限なく使用することができる。脂環式エポキシ化合物の市販品としては、セロキサイド8010(商品名、ビ-7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン、株式会社ダイセル製)の他、例えば、EHPE3150、EHPE3150CE、セロキサイド2021P、セロキサイド2081(商品名、株式会社ダイセル製)等が挙げられる。これらは、1種の化合物を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。カチオン重合性化合物は、所望の溶融粘度が得られ易い観点では、脂環式エポキシ化合物及びオキセタン化合物の両方を含んでいてよい。
【0050】
オキセタン化合物は、オキセタニル基を有する化合物であれば特に制限なく使用することができる。オキセタン化合物の市販品としては、例えば、ETERNACOLL OXBP(商品名、4,4’-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、宇部興産株式会社製)、OXSQ、OXT-121、OXT-221、OXT-101、OXT-212(商品名、東亜合成株式会社製)等が挙げられる。これらは、1種の化合物を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
第一の接着剤層6中の熱反応性成分の含有量は、第一の接着剤層6の硬化性を担保する観点から、第一の接着剤層6の全質量を基準として、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、又は20質量%以上であってよい。第一の接着剤層6中の熱反応性成分の含有量は、第一の接着剤層6の形成性を担保する観点から、第一の接着剤層6の全質量を基準として、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、又は40質量%以下であってよい。
【0052】
(c)硬化剤
硬化剤は、熱反応性成分と反応して第一の接着剤層6を硬化させる。熱反応性成分としてカチオン重合性化合物が用いられる場合、硬化剤としては、加熱により酸等を発生して重合を開始する熱カチオン重合開始剤を用いることができる。
【0053】
熱カチオン重合開始剤はカチオンとアニオンとから構成される塩化合物であってよい。塩化合物としては、例えば、BF 、BR (Rは、2以上のフッ素原子又は2以上のトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基を示す。)、PF 、SbF 、AsF 等のアニオンを有する、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、アンモニウム塩、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、アニリニウム塩、ピリジウム塩等のオニウム塩などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0054】
熱カチオン重合開始剤は、保存安定性の観点から、構成元素としてホウ素を含むアニオンを有する塩化合物であることが好ましく、BF 又はBR (Rは、2以上のフッ素原子又は2以上のトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基を示す。)を有する塩化合物であることがより好ましく、BR を有する塩化合物であることが更に好ましく、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを有する塩化合物であることが特に好ましい。また、熱カチオン重合開始剤は、カチオン硬化に対する硬化阻害を起こし得る物質に対する耐性を有する観点では、アニリニウム塩(例えば、構成元素としてホウ素を含むアニオンを有するアニリニウム塩)であってよい。アニリニウム塩としては、例えば、N,N-ジメチルアニリニウム塩、N,N-ジエチルアニリニウム塩等のN,N-ジアルキルアニリニウム塩などが挙げられる。このような塩化合物の市販品としては、例えば、CXC-1821(商品名、King Industries社製)等が挙げられる。
【0055】
第一の接着剤層6中の硬化剤の含有量は、第一の接着剤層6の形成性及び硬化性を担保する観点から、第一の接着剤層6中の熱反応性成分100質量部に対して、例えば、0.1~20質量部、1~18質量部、3~15質量部、又は5~12質量部であってよい。
【0056】
(d)フィルム形成成分
フィルム形成成分は、第一の接着剤層6の形成性(形状保持性)に寄与する。フィルム形成成分としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、アクリルゴム、エポキシ樹脂(25℃で固形)等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。第一の接着剤層6中のフィルム形成成分の含有量は、第一の接着剤層6の全質量を基準として、1質量%以上、5質量%以上、又は10質量%以上であってよく、70質量%以下、50質量%以下、又は30質量%以下であってよい。
【0057】
(e)非導電性フィラー
非導電性フィラーは、非導電性の無機フィラー及び有機フィラーのいずれであってもよい。無機フィラーとしては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、シリカ-アルミナ微粒子、チタニア微粒子、ジルコニア微粒子等の金属酸化物微粒子;金属窒化物微粒子などの無機微粒子が挙げられる。有機フィラーとしては、例えば、シリコーン微粒子、メタアクリレート・ブタジエン・スチレン微粒子、アクリル・シリコーン微粒子、ポリアミド微粒子、ポリイミド微粒子等の有機微粒子が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。第一の接着剤層6中の非導電性フィラーの含有量は、第一の接着剤層6の全質量を基準として、0.1~10質量%であってよい。
【0058】
(f)カップリング剤
カップリング剤は接着性のさらなる向上に寄与する。カップリング剤としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、アミノ基、イミダゾール基、エポキシ基等の有機官能基を有するシランカップリング剤、テトラアルコキシシラン等のシラン化合物、テトラアルコキシチタネート誘導体、ポリジアルキルチタネート誘導体などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。第一の接着剤層6中のカップリング剤の含有量は、第一の接着剤層6の全質量を基準として、0.1~10質量%であってよい。
【0059】
(g)その他の添加剤
第一の接着剤層6は、上述した成分以外に、軟化剤、促進剤、劣化防止剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤等のその他の添加剤をさらに含有していてもよい。第一の接着剤層6中のその他の添加剤の含有量は、第一の接着剤層6の全質量を基準として、例えば、0.1~10質量%であってよい。
【0060】
第一の接着剤層6の厚さは、3μm以上又は10μm以上であってよく、30μm以下又は20μm以下であってもよい。
【0061】
[第二の接着剤層]
第二の接着剤層7は、導電粒子5を含有しない点を除き、第一の接着剤層6が含み得る成分と同じ成分を含んでいてよい。例えば、第二の接着剤層7は、熱反応性成分と、硬化剤と、フィルム形成成分と、非導電性フィラーと、カップリング剤とを含有してよい。第二の接着剤層7に含まれる成分は、第一の接着剤層6に含まれる成分と同じであっても異なっていてもよい。
【0062】
第二の接着剤層7中の熱反応性成分の含有量は、第二の接着剤層7の硬化性を担保する観点から、第二の接着剤層7の全質量を基準として、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、又は20質量%以上であってよい。第二の接着剤層7中の熱反応性成分の含有量は、第二の接着剤層7の形成性を担保する観点から、第二の接着剤層7の全質量を基準として、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、又は40質量%以下であってよい。
【0063】
第二の接着剤層7中の硬化剤の含有量は、第二の接着剤層7の形成性及び硬化性を担保する観点から、第二の接着剤層7中の熱反応性成分100質量部に対して、例えば、0.1~20質量部、1~18質量部、3~15質量部、又は5~12質量部であってよい。
【0064】
第二の接着剤層7中のフィルム形成成分の含有量は、第二の接着剤層7の全質量を基準として、1質量%以上、3質量%以上、又は5質量%以上であってよく、60質量%以下、40質量%以下、又は20質量%以下であってよい。
【0065】
第二の接着剤層7中の非導電性フィラーの含有量は、第二の接着剤層7の全質量を基準として、1質量%以上、10質量%以上、又は30質量%以上であってよく、90質量%以下、70質量%以下、又は50質量%以下であってよい。
【0066】
第二の接着剤層7中のカップリング剤の含有量は、第二の接着剤層7の全質量を基準として、0.1~10質量%であってよい。
【0067】
第二の接着剤層7の厚さは、3μm以上又は10μm以上であってよく、30μm以下又は20μm以下であってもよい。
【0068】
接着剤フィルム3の総厚は、6μm以上又は20μm以上であってよく、60μm以下又は40μm以下であってもよい。
【0069】
上記接着剤フィルム3は、異方導電性を有する導電性接着剤フィルム(異方導電フィルム)であってもよく、異方導電性を有しない導電性接着剤フィルムであってもよい。
【0070】
以上、一実施形態の積層体1について説明したが、本開示の積層体は、上記実施形態に限定されない。
【0071】
例えば、接着剤フィルム3における第一の接着剤層6及び第二の接着剤層7は、第一の基材2が第二の接着剤層7に隣接し、第二の基材4が第一の接着剤層6に隣接するように第一の接着剤層6及び第二の接着剤層7が配置されていてもよい。
【0072】
また、例えば、接着剤フィルム3が、第一の接着剤層6のみからなる単層構成の接着剤フィルムであってもよい。また、例えば、接着剤フィルム3が、三層以上の接着剤層からなる多層構成の接着剤フィルムであってもよい。
【0073】
また、例えば、接着剤フィルム3が導電粒子5を含有しなくてもよい。
【0074】
<積層体の製造方法>
本開示の他の一実施形態に係る積層体の製造方法は、第一の基材と、該第一の基材上に設けられた回路接続用接着剤フィルムと、該接着剤フィルム上に設けられた第二の基材と、を備える積層体の製造方法であって、第一の基材の前記接着剤フィルムに対する密着強度をP1とし、第二の基材の接着剤フィルムに対する密着強度をP2とすると、P1/P2が0.25~0.80となるように、第一の基材と、第二の基材と、接着剤フィルム又は接着剤フィルムを形成するための材料を用意する工程(以下、「用意工程」という。)と、第一の基材と第二の基材との間に接着剤フィルムを配置又は形成することにより、積層体を得る工程(以下、「積層工程」という。)と、を備える。以下、各工程について説明する。なお、第一の基材、第二の基材及び接着剤フィルム及び接着剤フィルムを形成するための材料の詳細は積層体1について説明したものと同じである。
【0075】
(用意工程)
用意工程では、P1/P2が0.25~0.80となるように、第一の基材と、第二の基材と、接着剤フィルム又は接着剤フィルムを形成するための材料とを用意する。用意工程で接着剤フィルムを用意する場合、用意工程が接着剤フィルムを形成する工程を含んでいてもよい。
【0076】
接着剤フィルムを形成する工程は、例えば、第一の接着剤層を形成する工程(A)と、第二の接着剤層を形成する工程(B)とを含む。工程(A)では、例えば、まず、上述した第一の接着剤層に含まれ得る各成分(導電粒子、熱反応性成分、硬化剤等)を有機溶媒中で混合することによって第一の接着剤組成物の溶液(第一のワニス組成物)を調製する。その後、離型処理を施した基材上に、第一のワニス組成物をナイフコーター、ロールコーター、アプリケーター、コンマコーター、ダイコーター等を用いて塗布して第一のワニス組成物からなる層を形成した後、加熱によって有機溶媒を揮発させて、基材上に第一の接着剤層を形成する。このとき、第一のワニス組成物の塗布量を調整することによって、最終的に得られる第一の接着剤層の厚さを調整することができる。
【0077】
第一のワニス組成物の調製において使用される有機溶媒は、各成分を均一に溶解又は分散し得る特性を有するものであれば特に制限されない。このような有機溶媒としては、例えば、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。第一のワニス組成物の調製の際の混合(撹拌混合又は混練)は、例えば、撹拌機、らいかい機、3本ロール、ボールミル、ビーズミル、ホモディスパー等を用いて行うことができる。
【0078】
基材は、有機溶媒を揮発させる際の加熱条件に耐え得る耐熱性を有するものであれば特に制限されない。このような基材としては、例えば、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリアセテート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポリイミド、セルロース、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、合成ゴム系、液晶ポリマー等からなる基材(例えば、フィルム)を用いることができる。
【0079】
基材へ塗布した第一のワニス組成物から有機溶媒を揮発させる際の加熱条件は、使用する有機溶媒等に合わせて適宜設定することができる。加熱条件は、例えば、40~120℃で0.1~10分間であってよい。
【0080】
工程(B)では、上述した第二の接着剤層に含まれ得る各成分(熱反応性成分、硬化剤等)を有機溶媒中で混合することによって第二の接着剤組成物の溶液(第二のワニス組成物)を調製すること、及び、第一のワニス組成物に代えて第二のワニス組成物を用いることを除き、工程(A)と同様にして、第二の接着剤層を形成することができる。
【0081】
上記方法では、工程(B)において、工程(A)で得られた第一の接着剤層又は第一のワニス組成物上に第二のワニス組成物を塗布し乾燥させることで第二の接着剤層を形成し、これにより接着剤フィルムを得てよい。また、工程(B)の後に工程(A)を実施する場合には、第二の接着剤層又は第二のワニス組成物上に第一のワニス組成物を塗布し乾燥させることで第一の接着剤層を形成し、これにより接着剤フィルムを得てもよい。また、工程(A)及び工程(B)において、第一のワニス組成物及び第二のワニス組成物を互いに異なる基材上に塗布し乾燥させることで第一の接着剤層及び第二の接着剤層を互いに異なる基材上に形成する場合には、これらを貼り合わせることにより接着剤フィルムを得てもよい。
【0082】
第一の接着剤層と第二の接着剤層とを貼り合わせる方法としては、例えば、加熱プレス、ロールラミネート、真空ラミネート等の方法が挙げられる。ラミネートは、例えば、0~80℃の温度条件下で行うことができる。
【0083】
(積層工程)
積層工程では、用意工程で接着剤フィルムを用意する場合は、第一の基材と第二の基材との間に接着剤フィルムを配置することにより積層体を得る。また、用意工程で接着剤フィルムを形成するための材料を用意する場合は、第一の基材と第二の基材との間に接着剤フィルムを形成することにより積層体を得る。
【0084】
積層工程は、第一の基材及び第二の基材のうちの一方の基材の上に接着剤フィルムを配置又は形成することと、接着剤フィルム上に第一の基材及び第二の基材のうちの他方の基材を配置することと、を含む方法によって、第一の基材と第二の基材との間に接着剤フィルムを配置又は形成する工程であってよい。例えば、積層体1を製造する場合には、図4に示されるように、第一の基材2の上に第一の接着剤層6及び第二の接着剤層7をこの順に形成することで第一の基材2の上に接着剤フィルム3を形成した後、接着剤フィルム3の上(第二の接着剤層7の上)に第二の基材4を配置して積層体1を得てよい。
【0085】
積層工程は、第一の基材及び第二の基材のうちの一方の基材の上に第一の接着剤層を形成して第一の積層フィルムを得ることと、第一の基材及び第二の基材のうちの他方の基材の上に第二の接着剤層を形成して第二の積層フィルムを得ることと、第一の積層フィルムと第二の積層フィルムとを、第一の接着剤層と第二の接着剤層とが互いに対向するように積層することと、を含む方法によって、第一の基材と第二の基材との間に接着剤フィルムを形成する工程であってもよい。例えば、積層体1を製造する場合には、図5に示されるように、第一の基材2の上に第一の接着剤層6を形成して第一の積層フィルム12を得て、第二の基材4の上に第二の接着剤層7を形成して第二の積層フィルム13を得た後、これらの積層フィルムを、第一の接着剤層6と第二の接着剤層7とが互いに対向するように積層することで、積層体1を得てよい。
【0086】
上記いずれの方法においても、基材として第一の基材又は第二の基材を用いること以外は用意工程で説明した方法により接着剤フィルム3を形成することができる。
【0087】
<接続構造体>
本開示の他の一実施形態に係る接続構造体は、第一の電極を有する第一の回路部材と、第二の電極を有する第二の回路部材と、第一の回路部材及び第二の回路部材の間に配置され、第一の電極及び第二の電極を互いに電気的に接続する接続部と、を備える。接続部は、上記積層体における回路接続用接着剤フィルムの硬化物を含む。
【0088】
図6は、接続構造体の一実施形態を示す模式断面図である。図6に示される接続構造体20は、相互に対向する第一の回路部材21及び第二の回路部材24と、第一の回路部材21及び第二の回路部材24の間において第一の回路部材21及び第二の回路部材24を接続する接続部27と、を備えている。
【0089】
第一の回路部材21は、第一の回路基板22と、第一の回路基板22の主面22a上に形成された第一の電極23とを備えている。第二の回路部材24は、第二の回路基板25と、第二の回路基板25の主面25a上に形成された第二の電極26とを備えている。
【0090】
第一の回路部材21及び第二の回路部材24は、電気的接続を必要とする電極が形成された部材であれば特に制限はない。電極が形成された部材(回路部材等)としては、半導体、ガラス、セラミック等の無機基板;TCP、FPC、COF等に代表されるポリイミド基板;ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテルスルホン等のフィルム上に電極を形成した基板;プリント配線板などが用いられ、これらのうちの複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0091】
接続部27は、接着剤フィルム1の硬化物を含む。接続部27は、例えば、第一の回路部材21と第二の回路部材24とが互いに対向する方向における第一の回路部材21側に位置する第一の領域28と、上記方向(第一の回路部材21と第二の回路部材24とが互いに対向する方向)における第二の回路部材24側に位置する第二の領域29と、少なくとも第一の電極23及び第二の電極26の間に介在して第一の電極23及び第二の電極26を互いに電気的に接続する導電粒子5と、を有する。第一の領域28は、例えば、上記第一の接着剤層6の導電粒子以外の部分が硬化してなる領域である。第二の領域29は、例えば、上記第二の接着剤層7が硬化してなる領域である。
【0092】
<接続構造体の製造方法>
本開示の他の一実施形態に係る接続構造体の製造方法は、第一の電極を有する第一の回路部材と、第二の電極を有する第二の回路部材と、第一の回路部材及び第二の回路部材の間に配置され、第一の電極及び第二の電極を互いに電気的に接続する接続部と、を備える接続構造体の製造方法であって、上記実施形態に係る積層体から第一の基材を除去し、接着剤フィルムの第一の基材に接していた面と第一の回路部材の第一の電極が設けられた面とが接するように、第一の回路部材上に積層体の残部(積層体から第一の基材を除いたもの)を配置する工程(以下、「第一の配置工程」という。)と、積層体の残部から第二の基材を除去し、接着剤フィルムの第二の基材に接していた面と第二の回路部材の第二の電極が設けられた面とが接するように、接着剤フィルム上に第二の回路部材を配置する工程と、第一の回路部材及び第二の回路部材を熱圧着して、第一の電極及び第二の電極を互いに電気的に接続する工程と、を備える。
【0093】
図7は、接続構造体の製造方法の一実施形態を示す模式断面図である。図7に示される製造方法では、まず、第一の回路部材21と、積層体1を用意し、積層体1から第一の基材2を除去した後、接着剤フィルム3の第一の基材に接していた面3aと第一の回路部材21の第一の電極23が設けられた面21aとが接するように、積層体1の残部30を第一の回路部材21上に配置する(図7の(a)参照。)。この際、必要に応じて、積層体1の残部30の配置後、又は、積層体1の残部30の配置と同時に、図7の(a)の矢印A1及びB1で示される方向に加圧を行ってよく、加圧とともに加熱を行ってもよい。
【0094】
上記操作により、接着剤フィルム3が第一の回路部材21に仮接続される。第一の基材2が第一の接着剤層6に隣接するように積層体1が構成されている場合、図7の(a)に示されるように、接着剤フィルム3の第一の接着剤層6が第一の回路部材21と接することとなり、対向する電極間に捕捉される導電粒子数を向上させることができる。
【0095】
続いて、図7の(b)に示されるように、第二の基材4を除去した後、接着剤フィルム3の第二の基材4に接していた面3bと第二の回路部材24の第二の電極26が設けられた面24aとが接するように、接着剤フィルム3上に第二の回路部材24を配置する。そして、図7の(b)の矢印A2及びB2で示される方向に第一の回路部材21及び第二の回路部材24を熱圧着する。これにより、第一の電極23及び第二の電極26が互いに電気的に接続されるとともに、接着剤フィルム3が硬化されて接続部27が形成されることで、第一の回路部材21及び第二の回路部材24が接続部27によって接着される。その結果、図6に示すような接続構造体20が得られる。
【実施例0096】
以下、実施例により本開示を具体的に説明する。但し、本開示は下記の実施例のみに限定されるものではない。
【0097】
<フェノキシ樹脂の合成>
4,4’-(9-フルオレニリデン)-ジフェノール45g(シグマアルドリッチジャパン株式会社製)、及び3,3’,5,5’-テトラメチルビフェノールジグリシジルエーテル50g(YX-4000H、三菱化学株式会社製)を、ジムロート冷却管、塩化カルシウム管、及び攪拌モーターに接続されたPTFE製攪拌棒を装着した3000mLの3つ口フラスコ中でN-メチルピロリドン1000mLに溶解して反応液とした。これに炭酸カリウム21gを加え、マントルヒーターで110℃に加熱しながら攪拌した。3時間攪拌後、1000mLのメタノールが入ったビーカーに反応液を滴下し、生成した沈殿物を吸引ろ過することによってろ取した。ろ取した沈殿物をさらに300mLのメタノールで3回洗浄して、フェノキシ樹脂P-1を75g得た。
【0098】
<基材の準備>
以下の基材1~8を用意した。
・基材1:PETフィルムの片面に離型処理が施されてなるフィルム(密着強度:490~980mN/25mm)
・基材2:PETフィルムの片面に離型処理が施されてなるフィルム(密着強度:10~100mN/25mm)
・基材3:PETフィルムの片面に離型処理が施されてなるフィルム(密着強度:980~1960mN/25mm)
・基材4:PETフィルムの片面に離型処理が施されてなるフィルム(密着強度:200~600mN/25mm)
・基材5:PETフィルムの片面に離型処理が施されてなるフィルム(密着強度:400~1200mN/25mm)
・基材6:A7100(東洋紡フィルムソリューション株式会社製、密着強度:40~250mN/25mm)
・基材7:A5300(東洋紡フィルムソリューション株式会社製、密着強度:500~1000mN/25mm)
・基材8:A5400(東洋紡フィルムソリューション株式会社製、密着強度:100~400mN/25mm)
【0099】
上記基材1~8の密着強度は、以下の方法で測定した。
まず、基材の表面(離型処理が施されている表面)に日東電工株式会社製の31B粘着テープを貼り、圧着ローラーで1往復荷重をかけることで積層サンプルを得た。粘着テープの幅は、25mmとした。次いで、積層サンプルを、粘着テープの長手方向が長手方向となるように、長方形状(幅50mm×長さ150mmの長方形状)に切り出した。次いで、両面テープを用いて、切り出された積層サンプルを基材側からアルミ板に貼り付けて固定した。次いで、アルミ板に固定された上記積層サンプルを張試験機に固定し、ピール速度300mm/min、ピール角度180°の条件で粘着テープを基材から長手方向に向けて剥離し、基材の粘着テープに対する密着強度を測定し、測定開始後1~3秒間に得られる測定値の最大値及び最小値を得た。以上の操作を無作為に選択された3か所で行い、3か所で得られた密着強度の最小値の算術平均値を上記数値範囲の最小値とし、3か所で得られた密着強度の最大値の算術平均値を上記数値範囲の最大値とした。
【0100】
<実施例1~5及び比較例1~3>
(接着剤組成物の調製)
表1に示す材料を表1に示す組成比(表1の数値は不揮発分量を意味する。)で混合して第一の接着剤組成物及び第二の接着剤組成物を得た。
【0101】
【表1】
【0102】
表1に示す材料の詳細は以下のとおり。
(a)導電粒子
・導電粒子1:ポリスチレンを核とする粒子の表面に、厚さ0.1μmのパラジウム/ニッケル層を設けた導電粒子(平均粒径:3.0μm、比重:2.9の導電粒子)
(b)熱反応性成分
・OXBP:4,4’-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル(二官能オキセタン化合物、宇部興産株式会社製)
・CEL8010:ビ-7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン(セロキサイド8010、株式会社ダイセル製)
(c)硬化剤
・CXC-1821:4級アンモニウムカチオンとボレートアニオンからなる塩(熱カチオン重合開始剤、King Industries社製)
(d)フィルム形成成分
・P-1:上記方法で合成したフェノキシ樹脂P-1
・YP-70:フェノキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)
(e)非導電性フィラー
・シリカ粒子1:R805(シリカ微粒子、Evonik Industries AG社製)、有機溶媒で不揮発分10質量%に希釈したもの
・シリカ粒子2:表面処理されたシリカ粒子(シリカとビス(トリメチルシリル)アミンとの加水分解生成物)
(f)カップリング剤
・SH-6040:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング株式会社製)
【0103】
(積層体の作製)
第一の基材及び第二の基材として、表2に示す基材を用意した。次いで、第一の基材の離型処理された表面上に第一の接着剤組成物を塗布し、乾燥させることで、第一の基材と、該第一の基材上に形成された第一の接着剤層(厚さ:7μm)とを備える第一の積層フィルムを得た。また、第二の基材の離型処理された表面上に第二の接着剤組成物を塗布し、乾燥させることで、第二の基材と、該第二の基材上に形成された第二の接着剤層(厚さ:9μm)とを備える第二の積層フィルムを得た。次いで、得られた第一の積層フィルムと第二の積層フィルムとを、50℃に加熱したホットロールラミネータで貼り合わせ、第一の基材、第一の接着剤層、第二の接着剤層及び第二の基材をこの順で備える積層体を得た。
【0104】
(密着強度の測定)
図2及び図3に例示される方法で、第一の基材の接着剤フィルム(第一の接着剤層)に対する密着強度P1と、第二の基材の接着剤フィルム(第二の接着剤層)に対する密着強度P2とを測定した。具体的な測定方法は以下のとおりとした。
【0105】
[密着強度P1の測定方法]
まず、第一の基材に、縦1.5mm×横40mmのサイズの長方形状の切り込み(スリット)を入れた。次いで、厚さ0.13mmの両面テープ(商品名:11-583、昭和電工マテリアルズ株式会社製)と厚さ1.3mmのスライドガラスを用意し、両面テープの一方面を積層体の第二の基材に貼り付け、両面テープの他方面をスライドガラスに貼り付けることで、積層体をスライドガラスに固定し、測定サンプルを得た。次いで、得られた測定サンプルを、スライドガラス側から40℃のホットプレート上に配置した後、配置から10秒経過に、引張試験機(テンシロン、株式会社エー・アンド・デイ製)を用いて、ピール速度50mm/min、ピール角度90°の条件で第一の基材を上方に引っ張ることで、第一の基材を接着剤フィルムから長手方向に向けて剥離し、第一の基材の接着剤フィルムに対する密着強度を測定した。測定開始後1~3秒間に得られた測定値の最大値を、上記測定箇所における密着強度とした。
【0106】
上記測定を無作為に選択された3か所で行い、3か所で得られた密着強度(測定開始後1~3秒間に得られた測定値の最大値)の算術平均値を密着強度P1とした。
【0107】
[密着強度P2の測定方法]
まず、縦10mm×横40mmのサイズの長方形状の粘着フィルム(オカモト株式会社製のPIテープ、No.1030)を用意した。次いで、積層体から第一の基材を剥離した後、上記粘着フィルムを、粘着剤層側から、接着剤フィルムの第一の基材が配置されていた表面上に配置し、粘着フィルムの一端に把持部を有する粘着フィルム付き積層体を得た。次いで、厚さ0.13mmの両面テープ(商品名:11-583、昭和電工マテリアルズ株式会社製)と厚さ1.3mmのスライドガラスを用意し、両面テープの一方面を上記積層体の第二の基材に貼り付け、両面テープの他方面をスライドガラスに貼り付けることで、積層体をスライドガラスに固定し、測定サンプルを得た。次いで、得られた測定サンプルを、スライドガラス側から40℃のホットプレート上に配置した。次いで、引張試験機(テンシロン、株式会社エー・アンド・デイ製)を用いて、ピール速度50mm/min、ピール角度90°の条件で粘着フィルムを上方に引っ張ることで、接着剤フィルムを第二の基材から長手方向に向けて剥離し、第二の基材の接着剤フィルムに対する密着強度を測定した。測定開始後1~3秒間に得られた測定値の最小値を、上記測定箇所における密着強度とした。
【0108】
上記測定を無作為に選択された3か所で行い、3か所で得られた密着強度(測定開始後1~3秒間に得られた測定値の最小値)の算術平均値を密着強度P2とした。
【0109】
(評価1)
得られた積層体に対し、下記(1)の処理行った後、(2)の処理を行い、(1)の後及び(2)の後の積層体の状態を評価した。
(1)第一の基材に1.5mm×40mmのサイズの長方形状のスリットを形成する
(2)第一の基材を剥離する
評価基準を以下に示し、結果を表2に示す。
A(極めて良好):第一の基材のスリット時及び剥離時に全く問題が生じない。
B(良好):第一の基材の剥離時に軽微なハンチング(局所的に密着力が高い部分で接着剤フィルムの短手方向に線状の傷が入る現象)が生じる。
C(良好):スリット形成後にわずかに第一の基材の端部に浮きが生じる。
D(不良):第一の基材の剥離時に第二の基材と接着剤フィルムとの界面に浮きが生じる。
E(不良):わずかな衝撃やスリットの形成時に第一の基材が浮いてしまう。
【0110】
(評価2)
実施例3の積層体から第一の基材を剥離して得られた評価サンプルAと、実施例3の積層体の第一の基材に1.5mm×40mmのサイズの長方形状の切り込み(スリット)を入れて得られた評価サンプルBとを用意した。評価サンプルAは第一の接着剤層が露出しているサンプルであり、評価サンプルBは第一の接着剤層が第一の基材によって保護されているサンプルである。
【0111】
次いで、上記評価サンプルA及びBを、30℃の恒温槽に入れ、扇風機で風をあてながら4時間乾燥処理した。処理前後の評価サンプルA及びBを、セラミックヒータからなるステージとツール(8mm×50mm)とから構成される熱圧着装置(LD-06、株式会社大橋製作所製)を用いて、第一の接着剤層側からガラス基板上に貼り付けた。貼り付け条件は、温度:70℃、圧力:1MPa、加圧時間:1秒間とした。次いで、第二の基材を剥離し、第二の接着剤層上に1.3mm×40mmのサイズの長方形状の粘着フィルム(日東電工株式会社製のビニールテープ、No.21S)を貼り付け、引張試験機(テンシロン、株式会社エー・アンド・デイ製)を用いて、ピール速度50mm/min、ピール角度90°の条件で粘着フィルムを上方に引っ張ることで接着剤フィルムをガラス基板から剥離し、接着剤フィルム(第一の接着剤層)のガラス基板に対する密着強度を測定した。測定開始後1~3秒間に得られた測定値の平均値を求めたところ、評価サンプルAでは、処理前の測定値が85.8N/mであったのに対し、処理後は接着剤フィルムがガラス基板に貼り付かず測定不可という結果であった。一方、評価サンプルBでは、処理前の値が74.0N/mであり、処理後の値が75.0N/mであり、乾燥劣化が抑制されて密着強度が維持されていることが確認された。
【0112】
【表2】
【符号の説明】
【0113】
1…積層体、2…第一の基材、3…回路接続用接着剤フィルム、4…第二の基材、5…導電粒子、6…第一の接着剤層、7…第二の接着剤層、20…接続構造体、21…第一の回路部材、22…第一の回路基板、23…第一の電極、24…第二の回路部材、25…第二の回路基板、26…第二の電極、27…接続部、30…積層体の残部。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7