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特開2023-165214基板支持アセンブリ、基板支持体、基板処理装置、及び基板処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165214
(43)【公開日】2023-11-15
(54)【発明の名称】基板支持アセンブリ、基板支持体、基板処理装置、及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20231108BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20231108BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20231108BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20231108BHJP
   C23C 14/50 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/302 101G
H01L21/68 R
C23C16/458
C23C14/50 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075991
(22)【出願日】2022-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(72)【発明者】
【氏名】阿彦 優貴
【テーマコード(参考)】
4K029
4K030
5F004
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
4K029AA24
4K029DA05
4K029DA06
4K029DA08
4K029JA01
4K029JA06
4K030CA12
4K030EA05
4K030EA06
4K030FA01
4K030GA02
4K030KA23
4K030KA26
4K030KA46
5F004BA09
5F004BB12
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB25
5F004BB26
5F004BB28
5F004BB29
5F004BD04
5F004CA04
5F004CA06
5F045AA08
5F045AD09
5F045DP03
5F045EF05
5F045EH20
5F045EJ03
5F045EJ09
5F045EK07
5F045EK13
5F045EK25
5F045EM05
5F045EM09
5F131AA02
5F131BA03
5F131BA04
5F131BA19
5F131CA03
5F131EA03
5F131EA04
5F131EB15
5F131EB78
5F131EB79
5F131EB81
5F131EB82
(57)【要約】
【課題】高温領域においても基板支持アセンブリの温度制御性を向上する技術を提供する。
【解決手段】開示される基板支持アセンブリは、基板支持体、スペーサ、第1の基台、第1の熱放射体及び第2の熱放射体を備える。基板支持体は、静電チャックを含む。基板支持体は、第1の面と該第1の面とは反対側の第2の面を含む。スペーサは、断熱部材を含む。第1の基台は、第2の面に対向する第3面を有し、第2面の周縁領域と該第1の基台との間に配置されたスペーサを介して基板支持体を支持する。第1の熱放射体は、第2面の少なくとも一部に配置されている。第2の熱放射体は、第3面の少なくとも一部に配置されている。第1の熱放射体は、第2面の熱放射率よりも高い熱放射率を有する。第2の熱放射体は、第3面の熱放射率よりも高い熱放射率を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電チャックを含む基板支持体であって、基板を支持するための第1面と該第1面とは反対側の第2面とを有する基板支持体と、
断熱部材を含むスペーサと、
前記第2面に対向する第3面を有する第1の基台であって、前記第2面の周縁領域と該第1の基台との間に配置された前記スペーサを介して前記基板支持体を支持する、該第1の基台と、
前記第2面の少なくとも一部に配置された第1の熱放射体と、
前記第3面の少なくとも一部に配置された第2の熱放射体と、
を備え、
前記第1の熱放射体は、前記基台の前記第2面の熱放射率よりも高い熱放射率を有し、前記第2の熱放射体は、前記第3面の熱放射率よりも高い熱放射率を有する、基板支持アセンブリ。
【請求項2】
前記第1の熱放射体の熱放射率及び前記第2の熱放射体の熱放射率の各々は、0.7以上又は0.9以上である、請求項1に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項3】
前記第1の熱放射体と前記第2の熱放射体との間に、赤外線透過性を有する絶縁部材を更に備える、請求項1又は2に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項4】
前記絶縁部材は、サファイア、ソーダガラス、石英、又は樹脂から形成されている、請求項3に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項5】
前記スペーサは、前記周縁領域に沿って延在する環形状を有する、請求項1又は2に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項6】
前記スペーサは、前記第2面及び前記第3面と共に伝熱流体が供給される空間を画成し、該空間を封止するシールを含む、請求項5に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項7】
前記スペーサは、前記空間を周方向及び/又は径方向に配列される複数の空間に分割する少なくとも一つの隔壁を更に有し、
前記伝熱流体の圧力は、前記複数の空間ごとに独立して制御される、
請求項6に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項8】
前記第1の基台は、その内部に冷媒が供給される流路を提供している、請求項1又は2に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項9】
前記断熱部材の熱伝導率は、20W/mK以下である、請求項1又は2に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項10】
前記断熱部材は、純チタン、64チタン、チタン酸アルミニウム、ステンレス、アルミナ、イットリア、ジルコニア、ガラスセラミックス、又はポリイミドから形成される、請求項9に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項11】
前記基板支持体の前記第2面は、一つ以上の開口を提供し、
前記第2の熱放射体は、前記一つ以上の開口を囲むように設けられている、
請求項1又は2に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項12】
前記基板支持体は、前記基台に締結部材を介して固定されている、請求項1又は2に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項13】
前記基板支持体と前記スペーサは金属接合により互いに固定されており、
前記基台と前記スペーサは金属接合により互いに固定されている、
請求項1又は2に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項14】
前記静電チャックは、
誘電体部と、
静電電極及び該静電電極とは異なる少なくとも一つの電極であって、前記誘電体部の中に配置された、該静電電極及び該少なくとも一つの電極と、
を含む、請求項1又は2に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項15】
前記少なくとも一つの電極は、ヒータ電極、バイアス電極及びソース電極からなる群から選択される少なくとも一つを含む、請求項14に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項16】
前記基板支持体は、第2の基台を更に含み、
前記静電チャックは、前記第2の基台の上面の上に配置される、
請求項1又は2に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項17】
前記基板支持体は、ヒータ電極を含む温調部であって前記第2の基台の前記上面とは反対側の面の下に配置される該温調部を更に含む、請求項16に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項18】
基板を支持するための第1面と該第1面とは反対側の第2面とを有する基板支持体であって、
前記第1面を含む静電チャックと、
前記第2面の少なくとも一部に配置され、前記静電チャックから伝達される熱を放射するように構成された熱放射体と、
を備え、
前記熱放射体は、前記第2面の熱放射率よりも高い熱放射率を有する、
基板支持体。
【請求項19】
チャンバと、
前記チャンバ内に配置される請求項1又は2に記載の基板支持アセンブリと、
を備える基板処理装置。
【請求項20】
請求項19に記載の基板処理装置において行われる基板処理方法であって、
前記基板支持アセンブリの前記静電チャック上に基板を載置する工程と、
前記基板を処理する工程と、
前記基板を処理する前記工程において、前記基板の温度を500℃以上の温度に制御する工程と、
を含む、基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板支持アセンブリ、基板支持体、基板処理装置、及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置が、成膜処理、エッチングのような基板処理において用いられている。下記の特許文献1は、一種の基板処理装置である成膜装置を開示している。成膜装置は、チャンバ内に設けられた載置台を有している。載置台は、冷媒通路を有する基台と、ヒータを有する載置台本体を含む。載置台本体は、断熱材を介して基台上で支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-192661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、高温領域においても基板支持アセンブリの温度制御性を向上する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの例示的実施形態において、基板支持アセンブリが提供される。基板アセンブリは、基板支持体、スペーサ、第1の基台、第1の熱放射体及び第2の熱放射体を備える。基板支持体は、静電チャックを含む。基板支持体は、第1面及び第2面を有する。第1面は、基板を支持するための面である。第2面は、第1面とは反対側の面である。スペーサは、断熱部材を含む。第1の基台は、第3面を有する。第3面は、第2面に対向する。第1の基台は、第2面の周縁領域と該第1の基台との間に配置されるスペーサを介して、基板支持体を支持する。第1の熱放射体は、第2面の少なくとも一部に配置される。第2の熱放射体は、第3面の少なくとも一部に配置される。第1の熱放射体は、基台の第2面の熱放射率よりも高い熱放射率を有する。第2の熱放射体は、第3面の熱放射率よりも高い熱放射率を有する。
【発明の効果】
【0006】
一つの例示的実施形態によれば、高温領域においても基板支持アセンブリの温度制御性を向上する技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】プラズマ処理システムの構成例を説明するための図である。
図2】容量結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
図3】一つの例示的実施形態に係る基板支持アセンブリの断面図である。
図4】一つの例示的実施形態に係る基板支持アセンブリの基板支持体を下方から見た拡大平面図である。
図5】別の例示的実施形態に係る基板支持アセンブリの断面図である。
図6】更に別の例示的実施形態に係る基板支持アセンブリの断面図である。
図7】更に別の例示的実施形態に係る基板支持アセンブリの断面図である。
図8】更に別の例示的実施形態に係る基板支持アセンブリの断面図である。
図9】更に別の例示的実施形態に係る基板支持アセンブリの断面図である。
図10】更に別の例示的実施形態に係る基板支持アセンブリの断面図である。
図11】更に別の例示的実施形態に係る基板支持アセンブリの断面図である。
図12】一つの例示的実施形態に係る基板処理方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0009】
図1は、プラズマ処理システムの構成例を説明するための図である。一実施形態において、プラズマ処理システムは、プラズマ処理装置1及び制御部2を含む。プラズマ処理システムは、基板処理システムの一例であり、プラズマ処理装置1は、基板処理装置の一例である。プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、基板支持アセンブリ11及びプラズマ生成部12を含む。プラズマ処理チャンバ10は、プラズマ処理空間を有する。また、プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間に供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。ガス供給口は、後述するガス供給部20に接続され、ガス排出口は、後述する排気システム40に接続される。基板支持アセンブリ11は、プラズマ処理空間内に配置され、基板を支持するための基板支持面を有する。
【0010】
プラズマ生成部12は、プラズマ処理空間内に供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマを生成するように構成される。プラズマ処理空間において形成されるプラズマは、容量結合プラズマ(CCP;CapacitivelyCoupled Plasma)、誘導結合プラズマ(ICP;Inductively Coupled Plasma)、ECRプラズマ(Electron-Cyclotron-resonance plasma)、ヘリコン波励起プラズマ(HWP:HeliconWave Plasma)、又は、表面波プラズマ(SWP:Surface Wave Plasma)等であってもよい。また、AC(Alternating Current)プラズマ生成部及びDC(DirectCurrent)プラズマ生成部を含む、種々のタイプのプラズマ生成部が用いられてもよい。一実施形態において、ACプラズマ生成部で用いられるAC信号(AC電力)は、100kHz~10GHzの範囲内の周波数を有する。従って、AC信号は、RF(RadioFrequency)信号及びマイクロ波信号を含む。一実施形態において、RF信号は、 100kHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。
【0011】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、処理部2a1、記憶部2a2及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aにより実現される。処理部2a1は、記憶部2a2からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することにより種々の制御動作を行うように構成され得る。このプログラムは、予め記憶部2a2に格納されていてもよく、必要なときに、媒体を介して取得されてもよい。取得されたプログラムは、記憶部2a2に格納され、処理部2a1によって記憶部2a2から読み出されて実行される。媒体は、コンピュータ2aに読み取り可能な種々の記憶媒体であってもよく、通信インターフェース2a3に接続されている通信回線であってもよい。処理部2a1は、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0012】
以下に、プラズマ処理装置1の一例としての容量結合型のプラズマ処理装置の構成例について説明する。図2は、容量結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
【0013】
容量結合型のプラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持アセンブリ11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持アセンブリ11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持アセンブリ11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持アセンブリ11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は接地される。シャワーヘッド13及び基板支持アセンブリ11は、プラズマ処理チャンバ10の筐体とは電気的に絶縁される。
【0014】
基板支持アセンブリ11は、基台110(第1の基台)及び基板支持体111を含む。基板支持体111は、基台110によって支持される。基板支持体111は、静電チャック112を含む。静電チャック112は、基板Wを支持するための面112a(第1面)と、リングアセンブリRを支持するための面112bとを有する。ウェハは基板Wの一例である。静電チャック112の面112bは、平面視で静電チャック112の面112aを囲んでいる。基板Wは、静電チャック112の面112a上に配置され、リングアセンブリRは、静電チャック112の面112a上の基板Wを囲むように静電チャック112の面112b上に配置される。従って、面112aは、基板Wを支持するための基板支持面とも呼ばれ、面112bは、リングアセンブリRを支持するためのリング支持面とも呼ばれる。
【0015】
リングアセンブリRは、1又は複数の環状部材を含む。一実施形態において、1又は複数の環状部材は、1又は複数のエッジリングと少なくとも1つのカバーリングとを含む。エッジリングは、導電性材料又は絶縁材料で形成され、カバーリングは、絶縁材料で形成される。
【0016】
また、基板支持アセンブリ11は、静電チャック112、リングアセンブリR及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、1又は複数のヒータ電極、伝熱媒体、流路1101、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路1101には、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。一実施形態において、流路1101は基台110内に形成され、1又は複数のヒータ電極が静電チャック112内に配置される。また、基板支持アセンブリ11は、基板Wの裏面と面112aとの間の間隙に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0017】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、少なくとも1つの上部電極を含む。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0018】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する少なくとも1つの流量変調デバイスを含んでもよい。
【0019】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、少なくとも1つのRF信号(RF電力)を少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ生成部12の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を少なくとも1つの下部電極に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0020】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、10MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給される。
【0021】
第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。バイアスRF信号の周波数は、ソースRF信号の周波数と同じであっても異なっていてもよい。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号の周波数よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、100kHz~60MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、少なくとも1つの下部電極に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0022】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、少なくとも1つの下部電極に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のDC信号は、少なくとも1つの下部電極に印加される。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、少なくとも1つの上部電極に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、少なくとも1つの上部電極に印加される。
【0023】
種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号がパルス化されてもよい。この場合、電圧パルスのシーケンスが少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に印加される。電圧パルスは、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせのパルス波形を有してもよい。一実施形態において、DC信号から電圧パルスのシーケンスを生成するための波形生成部が第1のDC生成部32aと少なくとも1つの下部電極との間に接続される。従って、第1のDC生成部32a及び波形生成部は、電圧パルス生成部を構成する。第2のDC生成部32b及び波形生成部が電圧パルス生成部を構成する場合、電圧パルス生成部は、少なくとも1つの上部電極に接続される。電圧パルスは、正の極性を有してもよく、負の極性を有してもよい。また、電圧パルスのシーケンスは、1周期内に1又は複数の正極性電圧パルスと1又は複数の負極性電圧パルスとを含んでもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0024】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0025】
以下、図3を参照して、一つの例示的実施形態に係る基板支持アセンブリについて説明する。図3は、一つの例示的実施形態に係る基板支持アセンブリの断面図である。図3に示す基板支持アセンブリ11は、上述した基台110(第1の基台)及び基板支持体111を備えている。基板支持体111は、基台110によって支持されている。
【0026】
基台110は、例えば、金属から形成されている。一実施形態において、基台110は、上述したように、流路1101を提供してもよい。流路1101は、そこに供給される冷媒を受ける。冷媒は、流路1101を通って流れる。
【0027】
上述したように、基板支持体111は、静電チャック112を含む。静電チャック112は、上述したように、面112a(第1面)及び面112bを含む(図2参照)。エッジリングは、面112b上に載置される。基板Wは、面112a上且つエッジリングによって囲まれた領域内に配置される。静電チャック112は、誘電体部112c及び静電電極112dを含む。誘電体部112cは、例えば、セラミック又は樹脂から形成される。静電電極112dは、誘電体部112cの中に設けられている。静電電極112dには、直流電源又は交流電源が電気的に接続される。一例では、静電電極112dには、直流電源が接続される。静電電極112dに直流電源からの電圧が印加されると、基板Wと面112aとの間で静電引力が発生する。その結果、基板Wは面112aによって保持される。
【0028】
一実施形態において、静電チャック112は、静電電極112dとは異なる少なくとも一つの電極を更に含んでいてもよい。少なくとも一つの電極は、誘電体部112cの中に設けられている。少なくとも一つの電極は、ヒータ電極112eを含んでもよい。ヒータ電極112eは、誘電体部112cの中に設けられている。ヒータ電極112eは、上述した温調モジュールを構成する。
【0029】
一実施形態において、基板支持体111は、基台113(第2の基台)を更に含んでもよい。基台113は、静電チャック112と共に基板支持体111を構成している。静電チャック112は、基台113の上面の上に配置される。基台113は、例えば、金属から形成されている。
【0030】
基板支持体111は、面111a(第2面)を含む。面111aは、面112aに対して反対側を向く面である。面111aは、周縁領域111b及び中央領域111cを含む。中央領域111cは、周縁領域111bによって囲まれている。
【0031】
一実施形態において、面111aは、基板支持体111の下面であってもよい。図3に示すように、基板支持アセンブリ11では、面111aは、基台113の下面113aである。周縁領域111bは、下面113aの周縁に位置してもよい。中央領域111cは、下面113aの中央に位置してもよい。
【0032】
基台110は、面110a(第3面)を含む。面110aは、面111a(基板支持体111の第2面)に対向する面である。面110aは、例えば、基台110の上面である。面110aは、領域110b及び領域110cを含む。領域110cは、領域110bによって囲まれている。領域110bは、面110aの周縁に位置してもよい。領域110cは、面110aの中央に位置してもよい。
【0033】
基板支持アセンブリ11は、スペーサ114を更に備える。スペーサ114は、断熱部材114aを含む。一実施形態では、スペーサ114は、断熱部材114aのみから構成されていてもよい。スペーサ114は、基板支持体111を基台110から離間させるように設けられる。スペーサ114は、面111aの周縁領域111bと基台110との間に配置される。より詳細には、スペーサ114は、基台110の面110aの領域110bと基板支持体111の面111aの周縁領域111bとの間に設けられる。図3に示すように、基板支持アセンブリ11では、断熱部材114aが基板支持体111を基台110から離間させるように、領域110bと周縁領域111bとの間に設けられている。基台110は、スペーサ114を介して基板支持体111を支持する。スペーサ114は、周縁領域111bに沿って延在する環形状を有してもよい。スペーサ114は、周縁領域111bに配置される複数のスペーサから構成されていてもよい。
【0034】
一実施形態において、断熱部材114aの熱伝導率は、20W/mK以下であってもよい。一実施形態において、断熱部材114aは、純チタン、64チタン、チタン酸アルミニウム、ステンレス、アルミナ、イットリア、ジルコニア、ガラスセラミックス、又はポリイミドから形成されてもよい。
【0035】
一実施形態において、基板支持体111は、基台110に締結部材117を介して固定されていてもよい。図3に示すように、基板支持アセンブリ11では、締結部材117は、クランプリング117a及びねじ117bを含む。ねじ117bは、例えば、六角穴付きボルトである。クランプリング117aは、ねじ117bによって基台110に固定されている。基台110は、ねじ117bが挿通される貫通孔を提供していてもよい。ねじ117bは、基台110の貫通孔を通って、クランプリング117aの下面に形成された雌ねじに螺合される。これにより、クランプリング117aは、基台110に対して固定される。そして、基板支持体111は、クランプリング117aと基台110との間でスペーサ114を介して挟持されることにより固定される。クランプリング117aは、金属から形成されており、基板支持体111の基台113にRF電力及び/又は第1のDC信号を供給する電気的パスを構成してもよい。
【0036】
基板支持アセンブリ11は、熱放射体115(第2の熱放射体)及び熱放射体116(第1の熱放射体)を更に備える。熱放射体115は、面110aの少なくとも一部に配置される。より詳細には、熱放射体115は、領域110cの少なくとも一部に設けられている。熱放射体115は、面110aに貼り付けられていてもよい。熱放射体116は、面111aの少なくとも一部に配置される。より詳細には、熱放射体116は、中央領域111cの少なくとも一部に設けられている。熱放射体116は、面111aに貼り付けられていてもよい。熱放射体115及び熱放射体116は、高温になり易い部分にのみ設けられてもよい。例えば、スペーサ114の近傍には、熱放射体115及び熱放射体116が設けられなくてもよい。
【0037】
熱放射体115は、面110aの熱放射率よりも高い熱放射率を有する。より詳細には、熱放射体115は、基台110の領域110cの熱放射率よりも高い熱放射率を有する。熱放射体116は、面111aの熱放射率よりも高い熱放射率を有する。より詳細には、熱放射体116は、基板支持体111の中央領域111cの熱放射率よりも高い熱放射率を有する。
【0038】
一実施形態において、熱放射体116は、静電チャック112から伝達する熱を放射するように構成されてもよい。熱放射体116は、面111aの熱放射率よりも高い熱放射率を有する。
【0039】
一実施形態において、熱放射体115の熱放射率及び熱放射体116の熱放射率の各々は、0.7以上又は0.9以上であってもよい。熱放射体115及び熱放射体116の各々は、熱放射シートであってもよい。熱放射シートは、例えば、周期的な微細構造が形成されたアルミシート、黒鉛シート、シリコンシート又は黒体テープを含む。熱放射体115及び熱放射体116の各々は、塗布された黒体塗料であってもよい。黒体塗料は、例えば、SiZrO、Cr又は炭素を含む。黒鉛シートの熱放射率は、0.9以上である。黒体テープ及び黒体塗料の熱放射率は、0.93以上0.97以下である。
【0040】
一実施形態において、基板支持体111の中央領域111c、基台110の領域110c、及びスペーサ114によって囲まれた空間11sは、減圧状態、例えば、真空状態に設定されてもよい。空間11sは、大気開放されてもよい。図3に示すように、基板支持アセンブリ11では、基台110は、空間11sと排気システム41とを接続する流路110dを提供してもよい。流路110dは、プラズマ処理空間10sを介して排気システム41に接続されていてもよい。排気システム41は、排気システム40であってもよい。
【0041】
以下、図4を参照する。図4は、一つの例示的実施形態に係る基板支持アセンブリの基板支持体を下方から見た拡大図である。一実施形態において、基板支持体111の面111aは、一つ以上の開口111dを提供してもよい。一例として、一つ以上の開口111dは、複数の開口111dである。熱放射体116は、各開口111dを囲むように設けられていてもよい。
【0042】
各開口111d内には、例えば、端子又はリフタピン52が設けられる。端子は、静電電極112dに電気的に接続される端子51及びヒータ電極112eに電気的に接続され電力を供給する端子53を含む。リフタピンは、静電チャック112の上面から上方に突き出し可能、且つ、静電チャック112の上面から下方に退避可能であるように構成されている。各開口111dを画成する端部には気密部材が設けられている。したがって、各開口111dに対して、空間11sの気密が確保される。
【0043】
基板支持アセンブリ11では、断熱部材114aを含むスペーサ114によって基板支持体111が基台110から離間されているので、スペーサ114を介した基板支持体111と基台110との間の熱交換が抑制される。したがって、基板支持アセンブリ11によれば、基板支持体111に含まれる静電チャック112の温度を高温設定することが可能である。また、基台110と基板支持体111との間では、熱放射体115と熱放射体116を介して熱交換が行われる。したがって、基板支持アセンブリ11によれば、高温領域においても基板支持アセンブリ11の温度制御性が向上される。
【0044】
基板支持アセンブリ11では、基板支持体111の面111aは、複数の開口111dを提供する。熱放射体116は、各開口111dを囲むように設けられている。各開口111dが設けられる部分は、静電チャック112からの熱を放熱し難い部分である。したがって、熱放射体116が各開口111dを囲むように設けられることにより、各開口111dが設けられている部分でも熱交換による静電チャック112の温度制御が可能となる。
【0045】
以下、図5を参照する。図5は、別の例示的実施形態に係る基板支持アセンブリの断面図である。以下、別の例示的実施形態に係る基板支持アセンブリ11Aと、図3に示す基板支持アセンブリ11との相違点の観点から基板支持アセンブリ11Aについて説明する。
【0046】
図5に示すように、基板支持アセンブリ11Aでは、熱放射体115は、領域110cの一部にのみ設けられている。基板支持アセンブリ11Aでは、熱放射体115は、熱放射体115A及び熱放射体115Bを含んでいる。熱放射体115A及び熱放射体115Bは、領域110cに設けられている。熱放射体115Aは、熱放射体115Bよりも領域110bの近くで延在している。熱放射体115Aと熱放射体115Bとの間では、面110aが露出している。
【0047】
基板支持アセンブリ11Aでは、熱放射体116は、中央領域111cの一部にのみ設けられている。基板支持アセンブリ11Aでは、熱放射体116は、熱放射体116A及び熱放射体116Bを含んでいる。熱放射体116A及び熱放射体116Bは、中央領域111cに設けられている。熱放射体116Aは、熱放射体116Bよりも周縁領域111bの近くで延在している。熱放射体116Aと熱放射体116Bとの間では、面111aが露出している。なお、基板支持アセンブリ11Aでは、基台110は、流路110dを提供しなくてもよい。
【0048】
以下、図6を参照する。図6は、更に別の例示的実施形態に係る基板支持アセンブリの断面図である。以下、更に別の例示的実施形態に係る基板支持アセンブリ11Bと、図3に示す基板支持アセンブリ11との相違点の観点から基板支持アセンブリ11Bについて説明する。
【0049】
基板支持アセンブリ11Bは、絶縁部材118を更に備える。絶縁部材118は、熱放射体115と熱放射体116との間に設けられる。空間11sは、絶縁部材118で充填されていてもよい。絶縁部材118は、赤外線透過性を有し得る。絶縁部材118の4μm以上15μm以下の波長を有する赤外線の透過率は、0.8以上であり得る。かかる絶縁部材118は、サファイア、ソーダガラス、石英、又は樹脂から形成されていてもよい。なお、基板支持アセンブリ11Bでは、基台110は、流路110dを提供しなくてもよい。
【0050】
基板支持アセンブリ11Bでは、絶縁部材118が熱放射体115と熱放射体116との間に設けられているので、基台110と基板支持体111との間の異常放電が抑制される。さらに、赤外線の絶縁部材118における透過率が0.8以上であるので、基板支持体111と基台110との間で絶縁部材118を介した熱交換が効率的に行われ得る。
【0051】
以下、図7を参照する。図7は、更に別の例示的実施形態に係る基板支持アセンブリの断面図である。以下、更に別の例示的実施形態に係る基板支持アセンブリ11Cと、図3に示す基板支持アセンブリ11との相違点の観点から基板支持アセンブリ11Cについて説明する。
【0052】
基板支持アセンブリ11Cは、基板支持体111Cを含む。基板支持体111Cは、基台113及び静電チャック112に加えて、温調部119を更に含む。温調部119は、上述した温調モジュールを構成する。基台113は、温調部119の上に設けられている。温調部119は、基台113の上面とは反対側の面の下に配置される。基板支持アセンブリ11Cにおいて、面111aは、温調部119の下面119aであってもよい。基板支持アセンブリ11Cでは、静電チャック112は、ヒータ電極112eを含まない。温調部119は、誘電体及びヒータ電極119cを含む。ヒータ電極119cは、該誘電体の中に設けられる。なお、基板支持アセンブリ11Cでは、基台110は、流路110dを提供しなくてもよい。
【0053】
以下、図8を参照する。図8は、更に別の例示的実施形態に係る基板支持アセンブリの断面図である。以下、更に別の例示的実施形態に係る基板支持アセンブリ11Dと、図7に示す基板支持アセンブリ11Cとの相違点の観点から基板支持アセンブリ11Dについて説明する。
【0054】
基板支持アセンブリ11Dでは、スペーサ114に代えてスペーサ114Dを含んでいる。スペーサ114Dは、断熱部材114b、シール114c、及びシール114dを含む。断熱部材114bは、断熱部材114aの材料と同様の材料から形成されている。シール114cは、例えば、金属から形成されるOリングである。シール114cは、メタルガスケットであってもよい。シール114dは、例えば、ゴムから形成されるOリングである。基板支持アセンブリ11Dでは、基台110は、環状の溝110eを提供する。シール114d及び断熱部材114bは、溝110eの中に配置される。断熱部材114bは、シール114dの上に配置される。シール114dは、基台110と断熱部材114bとの間に挟持される。シール114cは、断熱部材114bの上に配置される。シール114cは、周縁領域111bと断熱部材114bとの間に挟持される。すなわち、シール114cは、温調部119の下面119aと断熱部材114bとの間に挟持される。
【0055】
スペーサ114Dは、面110a及び面111aと共に空間11sを画成する。空間11sには、伝熱流体が供給される。シール114cは、空間11sを封止する。例えば、基板支持アセンブリ11Dでは、基台110は、空間11sと流体導入システム42とを接続する流路110dを提供する。伝熱流体は、伝熱ガスであってもよい。伝熱ガスは、例えば、Heガス又はArガスのような貴ガス又は不活性ガスであってもよい。伝熱流体は、伝熱液体であってもよい。伝熱液体は、例えば、シリコーンオイル又はフッ素化合物から構成されていてもよい。
【0056】
基板支持アセンブリ11Dでは、空間11sに伝熱流体が供給されるので、基台110と基板支持体111との間の熱伝導率が向上する。したがって、基板支持アセンブリ11Dによれば、その温度制御性がより一層向上される。
【0057】
更に別の例示的実施形態に係る基板支持アセンブリでは、スペーサ114Dは、少なくとも一つの隔壁を有してもよい。該隔壁は、複数の隔壁から構成されていてもよい。該隔壁は、空間11sを複数の空間に分割する。該複数の空間は、周方向及び/又は径方向に配列される。伝熱流体は、該複数の空間の各々に供給されてもよい。伝熱流体の圧力は、該複数の空間ごとに独立して制御されてもよい。この基板支持アセンブリによれば、隔壁によって分割された複数の空間の各々の熱伝導率が独立して制御されるので、その温度制御性がより一層向上される。
【0058】
以下、図9を参照する。図9は、更に別の例示的実施形態に係る基板支持アセンブリの断面図である。以下、更に別の例示的実施形態に係る基板支持アセンブリ11Eと、図3に示す基板支持アセンブリ11との相違点の観点から基板支持アセンブリ11Eについて説明する。
【0059】
基板支持アセンブリ11Eでは、スペーサ114及び締結部材117に代えて、スペーサ114E及び締結部材117Eを含んでいる。スペーサ114Eは、断熱部材114eを含んでいる。断熱部材114eは、断熱部材114aの材料と同様の材料から形成されている。スペーサ114Eは、断熱部材114eのみから構成されていてもよい。
【0060】
締結部材117Eは、クランプリング117aを含んでいない。締結部材117Eは、ねじ117cを含む。ねじ117cは、基台110の上方から、基板支持体111(基台113)及びスペーサ114Eの貫通孔を通って、基台110に螺合される。基板支持体111は、ねじ117cの頭部と基台110との間でスペーサ114Eを介して挟持されることにより、基台110に対して固定される。
【0061】
基板支持アセンブリ11Eは、基台113にRF電力及び/又は第1のDC信号を供給する電気的パスを構成する給電体54を更に備える。給電体54は、基台110が提供する貫通孔110fに挿通されている。給電体54は、開口111d内に設けられた端子を介して基台113に接続されている。
【0062】
以下、図10を参照する。図10は、更に別の例示的実施形態に係る基板支持アセンブリの断面図である。以下、更に別の例示的実施形態に係る基板支持アセンブリ11Fと、図9に示す基板支持アセンブリ11Eとの相違点の観点から基板支持アセンブリ11Fについて説明する。
【0063】
基板支持アセンブリ11Eは、締結部材117Eを含んでいない。基板支持体111は、基台に締結部材を介さずに固定されている。基板支持アセンブリ11Eは、スペーサ114Eに代えてスペーサ114Fを含んでいる。基板支持体111とスペーサ114Fは金属接合により互いに固定されていてもよい。また、基台110とスペーサ114Fは金属接合により互いに固定されていてもよい。例えば、スペーサ114Fは、断熱部材114fと、その上面及び下面に設けられた接合層114gを含んでもよい。断熱部材114fは、断熱部材114aの材料と同様の材料から形成されている。各接合層114gは、例えば、ろう材又は拡散接合用の金属材である。
【0064】
以下、図11を参照する。図11は、更に別の例示的実施形態に係る基板支持アセンブリの断面図である。以下、更に別の例示的実施形態に係る基板支持アセンブリ11Gと、図10に示す基板支持アセンブリ11Fとの相違点の観点から基板支持アセンブリ11Gについて説明する。
【0065】
基板支持アセンブリ11Gは、基板支持体111に代えて基板支持体111Gを含んでいる。基板支持体111Gは、基台113を含んでいない。基板支持体111Gは、静電チャック112から構成されている。一実施形態において、静電チャック112は、静電電極112d、少なくとも一つの電極、及び誘電体部112cを含んでいてもよい。静電電極112d及び少なくとも一つの電極は、誘電体部112cの中に配置される。基板支持体111Gにおいて、面111aは、静電チャック112の誘電体部112cの下面112gである。基板支持体111Gとスペーサ114Fは金属接合により互いに固定されている。
【0066】
一実施形態において、静電チャック112の少なくとも一つの電極は、ヒータ電極、バイアス電極及びソース電極からなる群から選択される少なくとも一つ含んでもよい。図11の例では、静電チャック112の少なくとも一つの電極は、ヒータ電極112e及び電極112fを含んでいる。電極112fは、バイアス電極及び/又はソース電極であり得る。給電体54は、電極112fのバイアス電極及び/又はソース電極にRF電力及び/又は第1のDC信号を供給する電気的パスを構成する。
【0067】
以下、図12を参照して、一つの例示的実施形態に係る基板処理方法について説明する。図12は、一つの例示的実施形態に係る基板処理方法の流れ図である。図12に示す基板処理方法(以下、「方法MT」という)は、基板処理装置に適用される。以下、基板処理装置としてプラズマ処理装置1に適用される場合を例にとって、方法MTについて説明する。方法MTを行うために、プラズマ処理装置1の各部は制御部2によって制御される。以下では、一例として、処理されるべき基板Wが基板支持アセンブリ11上に載置される場合について説明する。なお、基板Wは、基板支持アセンブリ11A,11B,11C,11D,11E,11F,11G上に載置されてもよい。
【0068】
方法MTは、工程STa及び工程STbを含む。工程STaでは、基板支持アセンブリ11の静電チャック112上に基板Wが載置される。例えば、基板Wは、静電チャック112の面112a上に載置される。
【0069】
工程STbでは、載置された基板Wが処理される。工程STbにおいて、プラズマがプラズマ処理チャンバ10内で生成されて、当該プラズマからの化学種により基板Wが処理されてもよい。この処理は、プラズマエッチングのようなプラズマ処理であってもよい。工程STbにおいては、ガス供給部20からガスが、プラズマ処理チャンバ10内に供給される。また、排気システム40によって、プラズマ処理チャンバ10内の圧力が指定された圧力に調整される。また、プラズマ生成部12により、プラズマ処理チャンバ10内のガスからプラズマが生成される。
【0070】
方法MTは、更に工程STcを含む。工程STcは、工程STbの実行中に行われ得る。工程STcでは、基板Wの温度が500℃以上の温度に制御される。工程STcにおいては、基板Wの温度は、基板支持アセンブリの上述したヒータ電極及び/又はチラーユニットから流路1101に供給される冷媒により、調整される。
【0071】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0072】
熱放射体115は、領域110cの全部に設けられていてもよい。熱放射体116は、中央領域111cの全部に設けられていてもよい。
【0073】
また、別の実施形態において、基板処理装置は、上述した種々の例示的実施形態のうち何れかの基板支持アセンブリを含んでいれば、プラズマ処理装置1とは別の基板処理装置であってもよい。
【0074】
ここで、本開示に含まれる種々の例示的実施形態を、以下の[E1]~[E20]に記載する
【0075】
[E1]
静電チャックを含む基板支持体であって、基板を支持するための第1面と該第1面とは反対側の第2面とを有する基板支持体と、
断熱部材を含むスペーサと、
前記第2面に対向する第3面を有する第1の基台であって、前記第2面の周縁領域と該第1の基台との間に配置された前記スペーサを介して前記基板支持体を支持する、該第1の基台と、
前記第2面の少なくとも一部に配置された第1の熱放射体と、
前記第3面の少なくとも一部に配置された第2の熱放射体と、
を備え、
前記第1の熱放射体は、前記基台の前記第2面の熱放射率よりも高い熱放射率を有し、前記第2の熱放射体は、前記第3面の熱放射率よりも高い熱放射率を有する、基板支持アセンブリ。
【0076】
[E1]の実施形態では、断熱部材を含むスペーサによって基板支持体が基台から離間されているので、スペーサを介した基板支持体と基台との間の熱交換が抑制される。したがって、上記実施形態によれば、基板支持体に含まれる静電チャックの温度を高温に設定することが可能である。また、基台と基板支持体との間では、第1の熱放射体と第2の熱放射体を介して熱交換が行われる。したがって、上記実施形態によれば、高温領域においても基板支持アセンブリの温度制御性が向上される。
【0077】
[E2]
前記第1の熱放射体の熱放射率及び前記第2の熱放射体の熱放射率の各々は、0.7以上又は0.9以上である、[E1]に記載の基板支持アセンブリ。
【0078】
[E3]
前記第1の熱放射体と前記第2の熱放射体との間に、赤外線透過性を有する絶縁部材を更に備える、[E1]又は[E2]に記載の基板支持アセンブリ。
【0079】
[E4]
前記絶縁部材は、サファイア、ソーダガラス、石英、又は樹脂から形成されている、[E1]~[E3]の何れか一項に記載の基板支持アセンブリ。
【0080】
[E5]
前記スペーサは、前記周縁領域に沿って延在する環形状を有する、[E1]~[E4]の何れか一項に記載の基板支持アセンブリ。
【0081】
[E6]
前記スペーサは、前記第2面及び前記第3面と共に伝熱流体が供給される空間を画成し、該空間を封止するシールを含む、[E1]~[E5]の何れか一項に記載の基板支持アセンブリ。
【0082】
[E6]の実施形態では、第2面及び第3面の間に伝熱流体が供給されるので、基台と基板支持体との間の熱伝導率が向上する。したがって、上記実施形態によれば、基板支持アセンブリの温度制御性がより一層向上される。
【0083】
[E7]
前記スペーサは、前記空間を周方向及び/又は径方向に配列される複数の空間に分割する少なくとも一つの隔壁を更に有し、
前記伝熱流体の圧力は、前記複数の空間ごとに独立して制御される、
[E6]に記載の基板支持アセンブリ。
【0084】
[E8]
前記第1の基台は、その内部に冷媒が供給される流路を提供している、[E1]~[E7]の何れか一項に記載の基板支持アセンブリ。
【0085】
[E9]
前記断熱部材の熱伝導率は、20W/mK以下である、[E1]~[E8]の何れか一項に記載の基板支持アセンブリ。
【0086】
[E10]
前記断熱部材は、純チタン、64チタン、チタン酸アルミニウム、ステンレス、アルミナ、イットリア、ジルコニア、ガラスセラミックス、又はポリイミドから形成される、[E1]~[E9]の何れか一項に記載の基板支持アセンブリ。
【0087】
[E11]
前記基板支持体の前記第2面は、一つ以上の開口を提供し、
前記第2の熱放射体は、前記一つ以上の開口を囲むように設けられている、
[E1]~[E10]の何れか一項に記載の基板支持アセンブリ。
【0088】
[E12]
前記基板支持体は、前記基台に締結部材を介して固定されている、[E1]~[E11]の何れか一項に記載の基板支持アセンブリ。
【0089】
[E13]
前記基板支持体と前記スペーサは金属接合により互いに固定されており、
前記基台と前記スペーサは金属接合により互いに固定されている、
[E1]~[E12]の何れか一項に記載の基板支持アセンブリ。
【0090】
[E14]
前記静電チャックは、
誘電体部と、
静電電極及び該静電電極とは異なる少なくとも一つの電極であって、前記誘電体部の中に配置された、該静電電極及び該少なくとも一つの電極と、
を含む、[E1]~[E13]の何れか一項に記載の基板支持アセンブリ。
【0091】
[E15]
前記少なくとも一つの電極は、ヒータ電極、バイアス電極及びソース電極からなる群から選択される少なくとも一つを含む、[E14]に記載の基板支持アセンブリ。
【0092】
[E16]
前記基板支持体は、第2の基台を更に含み、
前記静電チャックは、前記第2の基台の上面の上に配置される、
[E1]~[E15]の何れか一項に記載の基板支持アセンブリ。
【0093】
[E17]
前記基板支持体は、ヒータ電極を含む温調部であって、前記第2の基台の前記上面とは反対側の面の下に配置される該温調部を更に含む、[E16]に記載の基板支持アセンブリ。
【0094】
[E18]
基板を支持するための第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有する基板支持体であって、
前記第1面を含む静電チャックと、
前記第2面の少なくとも一部に配置され、前記静電チャックから伝達される熱を放射するように構成された熱放射体と、
を備え、
前記熱放射体は、前記第2面の熱放射率よりも高い熱放射率を有する、
基板支持体。
【0095】
[E19]
チャンバと、
前記チャンバ内に配置される[E1]~[E17]の何れか一項に記載の基板支持アセンブリと、
を備える基板処理装置。
【0096】
[E20]
請求項19に記載の基板処理装置において行われる基板処理方法であって、
前記基板支持アセンブリの前記静電チャック上に基板を載置する工程と、
前記基板を処理する工程と、
前記基板を処理する前記工程において、前記基板の温度を500℃以上の温度に制御する工程と、
を含む、基板処理方法。
【0097】
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0098】
1…プラズマ処理装置、11,11A,11B,11C,11D,11E,11F,11G…基板支持アセンブリ、110…基台、110a…面、110b…領域、110c…領域、110d…流路、1101…流路、111,111C,111G…基板支持体、111a…面、111b…周縁領域、111c…中央領域、111d…開口、112…静電チャック、112c…誘電体部、112d…静電電極、112e…ヒータ電極、112f…電極、112g…下面、113…基台、113a…下面、114,114D,114E,114F…スペーサ、114a,114b,114e,114f…断熱部材、114c,114d…シール、115…熱放射体、115A,115B…熱放射体、116…熱放射体、116A,116B…熱放射体、117,117E…締結部材、118…絶縁部材、119…温調部、119a…下面、119c…ヒータ電極、W…基板。
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