(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165357
(43)【公開日】2023-11-15
(54)【発明の名称】微生物燃料電池
(51)【国際特許分類】
H01M 8/16 20060101AFI20231108BHJP
H01M 8/02 20160101ALI20231108BHJP
【FI】
H01M8/16
H01M8/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076291
(22)【出願日】2022-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】504132881
【氏名又は名称】国立大学法人東京農工大学
(71)【出願人】
【識別番号】506150146
【氏名又は名称】ビフレステック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100195877
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻木 伸一郎
(72)【発明者】
【氏名】直井 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】沖田 尚久
(72)【発明者】
【氏名】松村 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】直井 和子
(72)【発明者】
【氏名】太田 謙一
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA01
5H126BB00
5H126GG18
(57)【要約】
【課題】 溶存酸素量の多い環境に設置されても期待される電力が得られるまでの時間が短い微生物燃料電池を提供すること。
【解決手段】 微生物燃料電池は、負極と正極とイオン伝導体と嫌気性条件生成・維持層(嫌気性層)とを備え、負極と正極とはイオン伝導体を介して接続され、嫌気性層は、負極の、有機物が供給される側の面を覆い、嫌気性層は、有機物を透過し、かつ、下記実験を行うと、DO2/DO1が80%以下である。
実験:
第1セルと第2セルとの間の接続管は嫌気性層で隔てられ、第1、第2セルはそれぞれ第1、第2の上部開口を含み、第1の上部開口は開放されて第1セルは大気に常時曝され、第2セルは純水で満たされ、第2の上部開口は開放されて純水は大気に曝され、酸素が飽和量溶け込んだ純水の溶存酸素量(DO1)を測定し、純水を窒素ガスバブリングし、第2の上部開口を閉じ、25時間経過後、純水の溶存酸素量(DO2)を測定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極と、正極と、イオン伝導体と、嫌気性条件生成・維持層とを備え、
前記負極と前記正極とは、前記イオン伝導体を介して接続され、
前記嫌気性条件生成・維持層は、前記負極の、有機物が供給される側の面の少なくとも一部を覆い、
前記嫌気性条件生成・維持層は、前記有機物を透過し、かつ、下記実験を行うと、DO2/DO1が80%以下であることを特徴とする微生物燃料電池。
実験:
第1セルと第2セルとの間の接続管(内径:3.3cm)は、前記嫌気性条件生成・維持層で隔てられ、
前記第1セルは第1の上部開口を含み、前記第2セルは第2の上部開口を含み、
前記第1の上部開口は常時開放されて、前記第1セルは大気に常時曝され、
前記第2セルは、前記第2の上部開口以外の開口は閉じられて純水で満たされ、前記第2の上部開口は開放されて前記純水は大気に曝され、酸素が飽和量溶け込んだ前記純水の溶存酸素量(DO1)を測定し、
前記純水を窒素ガスバブリングして溶存酸素を脱気し、前記第2の上部開口を閉じ、25時間経過後、前記純水の溶存酸素量(DO2)を測定する。
【請求項2】
請求項1に記載の微生物燃料電池において、
前記嫌気性条件生成・維持層が好気性微生物、脱酸素剤、酸素透過抑制フィルター、吸水性ポリマー又は土を含むことを特徴とする微生物燃料電池。
【請求項3】
請求項1に記載の微生物燃料電池において、
前記嫌気性条件生成・維持層が、前記負極の、前記有機物が供給される側の面の全部を覆うことを特徴とする微生物燃料電池。
【請求項4】
請求項1に記載の微生物燃料電池において、
筒状保持体をさらに備え、
前記嫌気性条件生成・維持層と、前記負極と、前記イオン伝導体と、前記正極とが、前記筒状保持体の内側にて一端から他端に向かって順に配置されることを特徴とする微生物燃料電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、微生物燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、嫌気性の電流生産微生物を利用した微生物燃料電池が知られている。微生物燃料電池では、負極近傍に生息する電流生産微生物が、代謝過程で糖類や有機酸といった有機物(電子供与体)と水を取り込み、二酸化炭素、プロトン及び電子を発生させ、負極に電子を供与する(反応式1)。電子は負極から外部回路を経て正極に伝達される。正極では酸素(電子受容体)とプロトンが電子を受け取って水が生成される(反応式2)。これらの一連の反応によって微生物燃料電池は電力が得られる。
負極:有機物+2H2O→CO2+4H++4e- (反応式1)
正極:O2+4H++4e-→2H2O (反応式2)
【0003】
例えば、特許文献1は、筒状の保持体の内壁面の下部と上部にそれぞれ負極と正極を設置した微生物燃料電池を開示する。この微生物燃料電池の負極は有機物及び嫌気性微生物を含む泥層(ヘドロ層)に配置され、正極は泥層の上に存在する水層に配置される。また、特許文献2は、開口部を有する筒状保持体と、筒状保持体の外表面に設けられる負極と、筒状保持体の内部に設けられる正極とを有し、負極と正極とは開口部とイオン伝導体を介して接続される微生物燃料電池を開示する。この微生物燃料電池は、嫌気性の電流発生菌(電流生産微生物)を含む土や泥に突き立てるだけで容易に設置ができ、かつ、自然の生態系から半永久的に電力を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-84541号公報
【特許文献2】特開2016-54053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2のいずれの微生物燃料電池も、反応式1による発電には、負極近傍の電流生産微生物に有機物を供給しなければならないため、負極は外界に対して開放されている。
【0006】
微生物燃料電池が溶存酸素量の多い環境に設置されると、電流生産微生物は嫌気性であるため、なかなか活性化せず、期待される電力が得られるまでに時間を要することがある。
【0007】
本開示は上記実状を鑑みてなされたものであり、本開示の目的は、溶存酸素量の多い環境に設置されても期待される電力が得られるまでの時間が短い微生物燃料電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一の態様は、
負極と、正極と、イオン伝導体と、嫌気性条件生成・維持層とを備え、
前記負極と前記正極とは、前記イオン伝導体を介して接続され、
前記嫌気性条件生成・維持層は、前記負極の、有機物が供給される側の面の少なくとも一部を覆い、
前記嫌気性条件生成・維持層は、前記有機物を透過し、かつ、下記実験を行うと、DO2/DO1が80%以下であることを特徴とする微生物燃料電池に関する。
実験:
第1セルと第2セルとの間の接続管(内径:3.3cm)は、前記嫌気性条件生成・維持層で隔てられ、
前記第1セルは第1の上部開口を含み、前記第2セルは第2の上部開口を含み、
前記第1の上部開口は常時開放されて、前記第1セルは大気に常時曝され、
前記第2セルは、前記第2の上部開口以外の開口は閉じられて純水で満たされ、前記第2の上部開口は開放されて前記純水は大気に曝され、酸素が飽和量溶け込んだ前記純水の溶存酸素量(DO1)を測定し、
前記純水を窒素ガスバブリングして溶存酸素を脱気し、前記第2の上部開口を閉じ、25時間経過後、前記純水の溶存酸素量(DO2)を測定する。
【0009】
上記実験のDO2/DO1が80%以下である嫌気性条件生成・維持層が、負極の、有機物が供給される側の面の少なくとも一部を覆うことにより、その部分の溶存酸素量が比較的短時間に低減され、電流生産微生物を活性化することができるため、溶存酸素量の多い環境に設置されても期待される電力が得られるまでの時間が短い微生物燃料電池を提供することができる。
【0010】
本開示の一の態様では、
前記嫌気性条件生成・維持層が好気性微生物、脱酸素剤、酸素透過抑制フィルター、吸水性ポリマー又は土を含むことが好ましい。
【0011】
好気性微生物や脱酸素剤によって溶存酸素が消費され、また、酸素透過抑制フィルター、吸水性ポリマー又は土によって酸素の透過が抑制されるため、その部分の溶存酸素量がさらに短時間に低減、電流生産微生物が活性化され、期待される電力が得られるまでの時間をさらに短縮することができる。
【0012】
本開示の一の態様では、
前記嫌気性条件生成・維持層が、前記負極の、前記有機物が供給される側の面の全部を覆うことが好ましい。
【0013】
嫌気性条件生成・維持層で覆われる部分が増えるため、溶存酸素量がさらに短時間に低減、電流生産微生物が活性化され、期待される電力が得られるまでの時間をさらに短縮することができる。
【0014】
本開示の一の態様では、
筒状保持体をさらに備え、
前記嫌気性条件生成・維持層と、前記負極と、前記イオン伝導体と、前記正極とが、前記筒状保持体の内側にて一端から他端に向かって順に配置されることが好ましい。
【0015】
筒状保持体を土等に埋め込んで設置すると、筒状保持体の一端から嫌気性条件生成・維持層を透過して負極に有機物が供給され、筒状保持体の他端から正極に酸素が供給され、発電を行うことができる。筒状保持体に収納されたユニットとして微生物燃料電池を取り扱うことができるため、設置や配線が簡単である。したがって、複数の微生物燃料電池を直列や並列に接続して起電力を増やすことも容易である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成のすべてが本開示の解決手段として必須であるとは限らない。
【0018】
図1は本開示の微生物燃料電池10の一実施形態を示す。微生物燃料電池10は、負極11と、正極12と、イオン伝導体13と、嫌気性条件生成・維持層14と、筒状保持体15とを備える。嫌気性条件生成・維持層14と、負極11と、イオン伝導体13と、正極12とが、筒状保持体15の内側にて一端から他端に向かって順に配置される。負極11と正極12とは、イオン伝導体13を介して接続され、嫌気性条件生成・維持層14は、負極11の、有機物が供給される側の面の全部を覆う。なお、嫌気性条件生成・維持層14は、負極11の、有機物が供給される側の面の少なくとも一部を覆えばよい。嫌気性条件生成・維持層14は、有機物を透過し、かつ、下記実験を行うと、DO2/DO1が80%以下である。
【0019】
微生物燃料電池10の一端が土や泥の中に設置されると、土や泥の中の有機物が水の流れに従って筒状保持体15の一端から嫌気性条件生成・維持層14を透過して負極11に供給される。負極11近傍に生息する電流生産微生物が反応式1に従って二酸化炭素、プロトン及び電子を発生させ、負極11に電子を供与する。電子は、負極11から負極リード線16を経て外部回路に伝達され、さらに、外部回路から正極リード線17を経て正極12に伝達される。電流生産微生物が発生させたプロトンは、イオン伝導体13を介して正極12に伝達される。筒状保持体15の他端は大気に開放され、他端から正極12に酸素が供給される。正極12では酸素(電子受容体)とプロトンが電子を受け取り、反応式2に従って水が生成される。
【0020】
負極11としては、電流生産微生物が生息しやすい表面構造を持ち、導電性を有するものが好ましい。材料としては、例えば、カーボン、ステンレス鋼、鉄、チタン、白金、金、銀、銅、ニッケル、コバルト、ルテニウム等及びこれらの合金、並びに、酵素や微生物を電極触媒としたバイオカソード及びこれらとカーボンを複合化した物質等を用いることができる。形態としては、例えば、シート、ブラシ、メッシュ等の平面状、フェルト、不織布等の綿状及びロッド等の棒状のものを用いることができる。電流生産微生物を予め負極11表面で集積培養させておいてもよい。
【0021】
正極12としては、大気との接触面積が広く、導電性を有するものが好ましい。材料としては、例えば、カーボン、ステンレス鋼、鉄、チタン、白金、金、銀、銅、ニッケル、コバルト、ルテニウム等及びこれらの合金、並びに、鉄フタロシアニン系有機金属錯体等の非白金触媒、酵素や微生物を電極触媒としたバイオカソード及びこれらとカーボンを複合化した物質等を用いることができる。形態としては、シート、ブラシ、メッシュ等の平面状、フェルト、不織布等の綿状及びロッド等の棒状のものを用いることができる。
【0022】
イオン伝導体13は、電流生産微生物が発生させたプロトンを正極12に伝達する。材料としては、例えば、多孔質膜、デュポン製ナフィオン等のイオン交換高分子膜、アラミド不織紙、セルロース繊維、和紙及びガラス繊維等の繊維、塩化ナトリウムや塩化カリウム等のイオン性塩を含有させた電解質溶液、ゲル(寒天等)及び土壌、並びに、水等を用いることができる。
【0023】
嫌気性条件生成・維持層14は、有機物を透過し、かつ、下記実験を行うと、DO2/DO1が80%以下であり、好ましくは75%以下であり、より好ましくは65%以下であり、さらに好ましくは55%以下であり、特に好ましくは51%以下である。DO2/DO1が小さいほど、負極11の、嫌気性条件生成・維持層14に覆われる面では溶存酸素量が短時間に低減され、電流生産微生物を活性化することができるため、微生物燃料電池10を溶存酸素量の多い環境に設置しても期待される電力が得られるまでの時間を短縮することができる。嫌気性条件生成・維持層14は、有機物を透過し、かつ、下記実験を行うと、DO2/DO1が小さければ、材料や形態は特に限定されない。DO2/DO1を小さくする方法としては、酸素の消費と、酸素の透過抑制がある。前者の嫌気性条件生成・維持層14は、例えば、好気性微生物又は脱酸素剤等を含んでもよい。後者の嫌気性条件生成・維持層14は、例えば、窒素ガスや二酸化炭素ガスを吹きつけて脱気した土、酸素透過抑制フィルター、吸水性ポリマー又は土(腐植物質・フミン質)等を含んでもよい。好気性微生物や脱酸素剤は、単体で嫌気性条件生成・維持層14に含まれてもよいし、土、溶液又はゲル等に添加されて嫌気性条件生成・維持層14に含まれてもよい。脱酸素剤としては、例えば、二価の鉄イオン(FeO)、アスコルビン酸、シュウ酸等の還元剤を用いることができる。酸素透過抑制フィルターとしては、例えば、透析管を用いることができる。
【0024】
図2~4を用いて、実験の内容を説明する。実験装置20は、第1セル21と、第2セル22と、内径:3.3cmの接続管23と、嫌気性条件生成・維持層14とを備える。第1セル21と第2セル22と接続管23とはいわゆるH型セルを構成し、第1セル21と、第2セル22との間の接続管23は、嫌気性条件生成・維持層14で隔てられる。第1セル21は第1の上部開口24を含み、第2セル22は第2の上部開口25を含む。第1の上部開口24は常時開放されて、第1セル21は大気に常時曝される。第2セル22は、第2の上部開口25以外の開口は閉じられて純水26で満たされる。第2の上部開口25は開放されて純水26は大気に曝され(
図2)、酸素が飽和量溶け込んだ純水26の溶存酸素量(DO1)を溶存酸素計で測定する。その後、純水26を窒素ガスバブリングして溶存酸素を脱気し(
図3)、第2の上部開口25をフタ27で閉じる(
図4)。大気は第1の上部開口24、第1セル21、接続管23を通して嫌気性条件生成・維持層14と接するため、酸素は嫌気性条件生成・維持層14を透過して第2セル22内の純水26に徐々に溶け込む。25時間経過後、純水26の溶存酸素量(DO2)を溶存酸素計で測定する。
【0025】
上記の実験の実施例として、何も装入されない透析管を嫌気性条件生成・維持層14に用いた場合(実施例1)と、好気性微生物を含む土が装入された透析管を嫌気性条件生成・維持層14に用いた場合(実施例2)の結果を表1に示す。比較例として、接続管23を透過性のないフタで遮蔽し、かつ、第2セル22の第2の上部開口25を常時開放した、つまり、フタ27で閉じなかった場合(比較例)の結果を表1に示す。
【表1】
【0026】
比較例は、第2の上部開口25を透過して酸素が第2セル22内の純水26に溶け込むため、25時間経過後の溶存酸素量が飽和量の96%まで上昇した。一方、実施例1は、25時間経過後の溶存酸素量を飽和量の74%程度に抑えることができた。これは、透析管を透過して酸素が第2セル22内の純水26に徐々に拡散したためと考えられる。実施例2は、25時間経過後の溶存酸素量を飽和量の50%程度まで抑えることができた。これは、嫌気性条件生成・維持層14に含まれる好気性微生物が酸素を消費したためと考えられる。この嫌気性条件生成・維持層14は、透析管を用いているため、電流生産微生物に供給される有機物を透過し、かつ、好気性微生物を保持することができる。したがって、この嫌気性条件生成・維持層14で負極11の、有機物が供給される側の面の少なくとも一部を覆った微生物燃料電池10を用いると、その部分の溶存酸素量が比較的短時間に低減され、電流生産微生物を活性化することができ、溶存酸素量の多い環境に設置されても期待される電力が得られるまでの時間を短縮することができる。
【0027】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれる。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語とともに記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、本実施形態の構成も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0028】
10 微生物燃料電池、11 負極、12 正極、13 イオン伝導体、14 嫌気性条件生成・維持層、15 筒状保持体、16 負極リード線、17 正極リード線、20 実験装置、21 第1セル、22 第2セル、 23 接続管、24 第1の上部開口、25 第2の上部開口、26 純水、27 フタ