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特開2023-165711基板処理装置、プラズマ生成装置、半導体装置の製造方法およびプログラム
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  • 特開-基板処理装置、プラズマ生成装置、半導体装置の製造方法およびプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165711
(43)【公開日】2023-11-17
(54)【発明の名称】基板処理装置、プラズマ生成装置、半導体装置の製造方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20231110BHJP
   C23C 16/505 20060101ALI20231110BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20231110BHJP
   H01L 21/316 20060101ALN20231110BHJP
【FI】
H01L21/31 C
C23C16/505
H05H1/46 M
H01L21/316 X
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023139511
(22)【出願日】2023-08-30
(62)【分割の表示】P 2021543828の分割
【原出願日】2019-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】竹田 剛
(72)【発明者】
【氏名】原 大介
(57)【要約】
【課題】複数の基板に対する基板処理性能のバラツキを低減するが可能な技術を提供する。
【解決手段】基板を処理する処理室と、プラズマを形成するプラズマ生成部と、前記プラズマ生成部に、高周波電力が印加される長さが異なる少なくとも2本の印加電極と、基準電位が与えられる基準電極と、を備え、前記プラズマ生成部に、前記基準電極を共通に用いる前記少なくとも2つの印可電極の長さが互いに異なり、前記少なくとも2つの印可電極の上端部が異なる高さになるように、前記少なくとも2つの印可電極が配置される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理室と、
プラズマを形成するプラズマ生成部と、
前記プラズマ生成部に、高周波電力が印加される長さが異なる少なくとも2本の印加電極と、基準電位が与えられる基準電極と、を備え、
前記プラズマ生成部に、前記基準電極を共通に用いる前記少なくとも2つの印可電極の長さが互いに異なり、前記少なくとも2つの印可電極の上端部が異なる高さになるように、前記少なくとも2つの印可電極が配置される基板処理装置。
【請求項2】
複数の前記基板を積載して保持する基板保持具を備える請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記少なくとも2本の印加電極の長さが、前記基板を積載する方向に対して長さが異なるよう構成される請求項1記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記印可電極と前記基準電極を保護する電極保護管を備える請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記電極保護管は、前記プラズマ生成部の上部でU字形状をしており、前記U字形状をしている前記電極保護管内で前記印加電極の長さを調整できる構造をしている請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記印加電極は、前記電極保護管の前記U字形状の曲がり部で折り返し、前記印加電極の先端が前記電極保護管の上部に位置するように配置される請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記電極保護管は、前記少なくとも2本の印加電極が接触しないように構成される請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記電極保護管は、前記少なくとも2本の印加電極が接触しないように括れ形状を有する請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記印加電極を保護する電極保護管と前記基準電極を保護する電極保護管とが、前記プラズマ生成部内の上部で接続されるよう構成される請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記印加電極の間に前記基準電極が配置されている請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記プラズマ生成部は、前記処理室内に設けられる請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記プラズマ生成部は、前記処理室内に複数設けられる請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記プラズマ生成部は、前記処理室を形成する反応管の内壁に沿って設けられる請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記基板を加熱する加熱装置を備える請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記印可電極に前記高周波電力を供給する高周波電源を備える請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記少なくとも2本の印可電極のうち1本の印可電極は、前記基準電極より短い請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項17】
前記プラズマ生成部において、前記少なくとも2本の印可電極のうち1本の印可電極は、前記基板を積載する方向に対して前記基準電極より短い請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項18】
プラズマを形成するプラズマ生成部に、高周波電力が印加される長さが異なる少なくとも2本の印加電極と、基準電位が与えられる基準電極と、を備え、前記プラズマ生成部に、前記基準電極を共通に用いる前記少なくとも2つの印可電極の長さが互いに異なり、前記少なくとも2つの印可電極の上端部が異なる高さになるように、前記少なくとも2つの印可電極が配置されるプラズマ生成装置。
【請求項19】
基板を処理する処理室と、プラズマを形成するプラズマ生成部と、を有する反応管と、前記反応管を加熱する加熱装置と、を備え、前記プラズマ生成部に、高周波電力が印加される長さが異なる少なくとも2本の印加電極と、基準電位が与えられる基準電極と、を備え、前記プラズマ生成部に、前記基準電極を共通に用いる前記少なくとも2つの印可電極の長さが互いに異なり、前記少なくとも2つの印可電極の上端部が異なる高さになるように、前記少なくとも2つの印可電極が配置される基板処理装置内に前記基板を搬入する工程と、
前記処理室内に前記プラズマを生成して前記基板を処理する工程と、
前記基板を前記処理室から搬送する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項20】
基板を処理する処理室と、プラズマを形成するプラズマ生成部と、を有する反応管と、前記反応管を加熱する加熱装置と、を備え、前記プラズマ生成部に、高周波電力が印加される長さが異なる少なくとも2本の印加電極と、基準電位が与えられる基準電極と、を備え、前記プラズマ生成部に、前記基準電極を共通に用いる前記少なくとも2つの印可電極の長さが互いに異なり、前記少なくとも2つの印可電極の上端部が異なる高さになるように、前記少なくとも2つの印可電極が配置される基板処理装置内に前記基板を搬入する手順と、
前記処理室内に前記プラズマを生成して前記基板を処理する手順と、
前記基板を前記処理室から搬送する手順と、
をコンピュータによって前基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、プラズマ生成装置、半導体装置の製造方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一工程として、基板処理装置の処理室内に収容した基板に対して、原料ガスや反応ガスなどをプラズマにより活性化させて供給し、基板上に絶縁膜や半導体膜、導体膜等の各種膜を形成したり、各種膜を除去したりする基板処理が行われることがある。
【0003】
微細パターンが形成される量産デバイスにおいては、不純物の拡散を抑制したり、有機材料など耐熱性の低い材料を使用できるようにしたりするために、処理温度の低温化が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-92637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような問題を解決するため、プラズマを用いて基板処理を行うことが一般的だが、複数の基板を同時に処理する場合には、プラズマやそれを介して生成される活性種が、各基板に対して同じ供給量である必要がある。バッファ室と呼ばれる空間にプラズマを閉じ込めて、孔を通して活性種を複数の基板へ供給する場合、広い空間が近傍にある基板に対しては活性種の供給不足が生じやすく、基板間で処理性能が異なることがある。
【0006】
本開示の目的は、複数の基板に対する基板処理性能のバラツキを低減することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、
基板を処理する処理室と、
プラズマを形成するプラズマ生成部と、
前記プラズマ生成部に、高周波電力が印加される長さが異なる少なくとも2本の印加電極と、基準電位が与えられる基準電極と、を備え、
前記プラズマ生成部に、前記基準電極を共通に用いる前記少なくとも2つの印可電極の長さが互いに異なり、前記少なくとも2つの印可電極の上端部が異なる高さになるように、前記少なくとも2つの印可電極が配置される
技術が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、複数の基板に対して同じ基板処理性能を同時に発揮する技術を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を縦断面で示す図である。
図2図1に示す基板処理装置におけるA-A断面図である。
図3】本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置のバッファ構造を説明するための横断面拡大図である。
図4】本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置のバッファ構造を説明するための模式図である。
図5】(a)は、本開示のもう一つの実施形態で好適に用いられる基板処理装置のバッファ構造を説明するための模式図であり、(b)は、本開示のもう一つの実施形態で好適に用いられる基板処理装置のバッファ構造を説明するための模式図の縦断面である。
図6図1に示す基板処理装置におけるコントローラの概略構成図であり、コントローラの制御系の一例を示すブロック図である。
図7図1に示す基板処理装置を用いた基板処理プロセスの一例を示すフローチャートである。
図8】本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の変形例1を説明するための概略横断面図である。
図9】本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の変形例2を説明するための概略横断面図である。
図10】本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の変形例3を説明するための概略横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について図1から図5を参照しながら説明する。
(1)基板処理装置の構成
(加熱装置)
図1に示すように、処理炉202は加熱装置(加熱機構)としてのヒータ207を有する。ヒータ207は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース(図示せず)に支持されることにより垂直に据え付けられている。ヒータ207は、後述するようにガスを熱で活性化(励起)させる活性化機構(励起部)としても機能する。
【0011】
(処理室)
ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応管203が配設されている。反応管203は、例えば石英(SiO)や炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料により構成され、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。反応管203の下方には、反応管203と同心円状に、マニホールド209が配設されている。マニホールド209は、例えばステンレス(SUS)等の金属により構成され、上端および下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド209の上端部は、反応管203の下端部に係合しており、反応管203を支持するように構成されている。マニホールド209と反応管203との間には、シール部材としてのOリング220aが設けられている。マニホールド209がヒータベースに支持されることにより、反応管203は垂直に据え付けられた状態となる。主に、反応管203とマニホールド209とにより処理容器(反応容器)が構成されている。処理容器の筒中空部には処理室201が形成されている。処理室201は、複数枚の基板としてのウエハ200を収容可能に構成されている。なお、処理容器は上記の構成に限らず、反応管203のみを処理容器と称する場合もある。
【0012】
(ガス供給部)
処理室201内には、ノズル249a,249bが、マニホールド209の側壁を貫通するように設けられている。ノズル249a,249bには、ガス供給管232a,232bが、それぞれ接続されている。このように、処理容器には2本のノズル249a,249bと、2本のガス供給管232a,232bとが設けられており、処理室201内へ複数種類のガスを供給することが可能となっている。なお、反応管203のみを処理容器とした場合、ノズル249a,249bは反応管203の側壁を貫通するように設けられていてもよい。
【0013】
ガス供給管232a,232bには、上流方向から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)241a,241bおよび開閉弁であるバルブ243a,243bがそれぞれ設けられている。ガス供給管232a,232bのバルブ243a,243bよりも下流側には、不活性ガスを供給するガス供給管232c,232dがそれぞれ接続されている。ガス供給管232c,232dには、上流方向から順に、MFC241c,241dおよびバルブ243c,243dがそれぞれ設けられている。
【0014】
ノズル249aは、図2に示すように、反応管203の内壁とウエハ200との間における空間に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の積載方向上方に向かって立ち上がるように設けられている。すなわち、ノズル249aは、ウエハ200が配列(載置)されるウエハ配列領域(載置領域)の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うように設けられている。すなわち、ノズル249aは、処理室201内へ搬入された各ウエハ200の端部(周縁部)の側方にウエハ200の表面(平坦面)と垂直となる方向に設けられている。ノズル249aの側面には、ガスを供給するガス供給孔250aが設けられている。ガス供給孔250aは、反応管203の中心を向くように開口しており、ウエハ200に向けてガスを供給することが可能となっている。ガス供給孔250aは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれが同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
【0015】
ガス供給管232bの先端部には、ノズル249bが接続されている。ノズル249bは、ガス分散空間であるバッファ室237内に設けられている。バッファ室237は、図2に示すように、反応管203の内壁とウエハ200との間における平面視において円環状の空間に、また、反応管203の内壁の下部より上部にわたる部分に、ウエハ200の積載方向に沿って設けられている。すなわち、バッファ室237は、ウエハ配列領域の側方のウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うようにバッファ構造(隔壁)300によって形成されている。バッファ構造300は、石英またはSiC等の耐熱材料である絶縁物によって構成されており、バッファ構造300の円弧状に形成された壁面には、ガスを供給するガス供給口302,304,306が形成されている。ガス供給口302,304,306は、図2及び図3に示すように、後述する棒状電極269,270間のプラズマ生成領域224a、棒状電極270,271間のプラズマ生成領域224b、棒状電極271とノズル249bとの間の領域において対向するその壁面の位置にそれぞれ反応管203の中心を向くように開口しており、ウエハ200に向けてガスを供給することが可能となっている。ガス供給口302,304,306は、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれが同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
【0016】
ノズル249bは、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の積載方向上方に向かって立ち上がるように設けられている。すなわち、ノズル249bは、バッファ構造300の内側であって、ウエハ200が配列されるウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うように設けられている。すなわち、ノズル249bは、処理室201内へ搬入されたウエハ200の端部の側方にウエハ200の表面と垂直となる方向に設けられている。ノズル249bの側面には、ガスを供給するガス供給孔250bが設けられている。ガス供給孔250bは、バッファ構造300の円弧状に形成された壁面に対して径方向に形成された壁面に向くように開口しており、壁面に向けてガスを供給することが可能となっている。これにより、反応ガスがバッファ室237内で分散され、棒状電極269~271に直接吹き付けることがなくなり、パーティクルの発生が抑制される。ガス供給孔250bは、ガス供給孔250aと同様に、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられている。
【0017】
このように、本実施形態では、反応管203の側壁の内壁と、反応管203内に配列された複数枚のウエハ200の端部で定義される平面視において円環状の縦長の空間内、すなわち、円筒状の空間内に配置したノズル249a,249bおよびバッファ室237を経由してガスを搬送している。そして、ノズル249a,249bおよびバッファ室237にそれぞれ開口されたガス供給孔250a,250b,ガス供給口302,304,306から、ウエハ200の近傍で初めて反応管203内にガスを噴出させている。そして、反応管203内におけるガスの主たる流れを、ウエハ200の表面と平行な方向、すなわち、水平方向としている。このような構成とすることで、各ウエハ200に均一にガスを供給でき、各ウエハ200に形成される膜の膜厚の均一性を向上させることが可能となる。ウエハ200の表面上を流れたガス、すなわち、反応後の残ガスは、排気口、すなわち、後述する排気管231の方向に向かって流れる。但し、この残ガスの流れの方向は、排気口の位置によって適宜特定され、垂直方向に限ったものではない。
【0018】
ガス供給管232aからは、所定元素を含む原料として、例えば、所定元素としてのシリコン(Si)を含むシラン原料ガスが、MFC241a、バルブ243a、ノズル249aを介して処理室201内へ供給される。
【0019】
シラン原料ガスとは、気体状態のシラン原料、例えば、常温常圧下で液体状態であるシラン原料を気化することで得られるガスや、常温常圧下で気体状態であるシラン原料等のことである。本明細書において「原料」という言葉を用いた場合は、「液体状態である液体原料」を意味する場合、「気体状態である原料ガス」を意味する場合、または、それらの両方を意味する場合がある。
【0020】
シラン原料ガスとしては、例えば、Siおよびアミノ基(アミン基)を含む原料ガス、すなわち、アミノシラン原料ガスを用いることができる。アミノシラン原料とは、アミノ基を有するシラン原料のことであり、また、メチル基やエチル基やブチル基等のアルキル基を有するシラン原料でもあり、少なくともSi、窒素(N)および炭素(C)を含む原料のことである。すなわち、ここでいうアミノシラン原料は、有機系の原料ともいえ、有機アミノシラン原料ともいえる。
【0021】
アミノシラン原料ガスとしては、例えば、ビスターシャリーブチルアミノシラン(SiH[NH(C)]、略称:BTBAS)ガスを用いることができる。BTBASは、1分子中に1つのSiを含み、Si-N結合、N-C結合を有し、Si-C結合を有さない原料ガスであるともいえる。BTBASガスは、Siソースとして作用する。
【0022】
BTBASのように常温常圧下で液体状態である液体原料を用いる場合は、液体状態の原料を気化器やバブラ等の気化システムにより気化して、シラン原料ガス(BTBASガス等)として供給することとなる。
【0023】
ガス供給管232bからは、原料とは化学構造が異なる反応体(リアクタント)として、例えば、酸素(O)含有ガスが、MFC241b、バルブ243b、ノズル249bを介して処理室201内へ供給される。
【0024】
O含有ガスは、酸化剤(酸化ガス)、すなわち、Oソースとして作用する。O含有ガスとしては、例えば、酸素(O)ガスや水蒸気(HOガス)等を用いることができる。酸化剤としてOガスを用いる場合は、例えば、後述するプラズマ源を用いてこのガスをプラズマ励起し、励起ガス(O ガス)として供給することとなる。
【0025】
ガス供給管232c,232dからは、不活性ガスとして、例えば、窒素(N)ガスが、それぞれMFC241c,241d、バルブ243c,243d、ノズル249a,249bを介して処理室201内へ供給される。
【0026】
主に、ガス供給管232a、MFC241a、バルブ243aにより、第1のガス供給系としての原料供給系が構成される。主に、ガス供給管232b、MFC241b、バルブ243bにより、第2のガス供給系としての反応体供給系(リアクタント供給系)が構成される。主に、ガス供給管232c,232d、MFC241c,241d、バルブ243c,243dにより、不活性ガス供給系が構成される。原料供給系、反応体供給系および不活性ガス供給系を単にガス供給系(ガス供給部)とも称する。
【0027】
(基板支持具)
図1に示すように基板支持具(基板支持部)としてのボート217は、複数枚、例えば25~200枚のウエハ200を、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で垂直方向に整列させて多段に支持するように、すなわち、間隔を空けて配列させるように構成されている。ボート217は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される。ボート217の下部には、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される断熱板218が多段に支持されている。この構成により、ヒータ207からの熱がシールキャップ219側に伝わりにくくなっている。但し、本実施形態はこのような形態に限定されない。例えば、ボート217の下部に断熱板218を設けずに、石英やSiC等の耐熱性材料により構成される筒状の部材として構成された断熱筒を設けてもよい。
【0028】
(プラズマ生成部)
次にプラズマ生成部について、図1から図4を用いて説明する。
【0029】
図2に示すように、プラズマは容量結合プラズマ(Capacitively Coupled Plasma、略称:CCP)を用い、反応ガス供給時に石英などで作製された真空隔壁であるバッファ室237の内部で生成する。
【0030】
本実施形態の一例においては、バッファ室237内には、図3および図4に示すように、導電体で構成され、細長い構造を有する3本の棒状電極269,270,271が、反応管203の下部より上部にわたりウエハ200の積載方向に沿って配設されている。棒状電極269,270,271のそれぞれは、ノズル249bと平行に設けられている。棒状電極269,270,271のそれぞれは、上部より下部にわたって電極保護管275により覆われることで保護されている。電極保護管275は、棒状電極269と271の両方を保護し、かつ、バッファ室内237内の上部でU字形状を有する石英管と、棒状電極270を保護する石英管から成っている。本形態では、バッファ室237内において、前述の両石英管がその上部で接続されて一体化されているが、個々に分離した形態でもよく、また、棒状電極269と270が接触しないように、棒状電極270に対してストッパとなるよう括れ形状をその接続部に有した形態でもよい。棒状電極269は、電極保護管275の下部より挿入されて前述のU字形状の曲がり部で折り返して、その先端部が電極保護管275の上部に位置するように配置されている。すなわち、棒状電極269の挿入方向とは逆の方向でU字形状にする。また、棒状電極270は、その先端部が電極保護管275の上部に位置するように、棒状電極271は、その先端部が電極保護管275の下部に位置するように配置されている。棒状電極269と棒状電極271とは長さが異なり、より詳しくはウエハ200の積載方向に対して長さが異なり、例えば、棒状電極269は棒状電極271よりも長い。また、棒状電極269の先端部と棒状電極271の先端部とは間隔を置いて配置されている。棒状電極269の先端部は電極保護管275の上部側に位置するが、先端部を上方に移動させて短くしたり、下方に移動させて長くしたりして長さを調整することが可能である。棒状電極271の先端部は電極保護管275の下部側に位置するが、先端部を上方に移動させて長くしたり、下方に移動させて短くしたりして長さを調整することが可能である。すなわち、棒状電極269および棒状電極271は棒状電極269と棒状電極271とが接触しない範囲で長さを調整することが可能である。
【0031】
本実施形態のもう一例においては、バッファ室237内には、図3および図5に示すように、導電体からなり、細長い構造を有する3本の棒状電極269,270,271が、反応管203の下部より上部にわたりウエハ200の積載方向に沿って配設されている。棒状電極269,270,271のそれぞれは、ノズル249bと平行に設けられている。棒状電極269,270,271のそれぞれは、上部より下部にわたって電極保護管275により覆われることで保護されている。電極保護管275は、棒状電極269を保護し、かつ、バッファ室237の上部の内外に渡ってU字形状を有する石英管と、棒状電極270,271をそれぞれ保護する石英管から成っている。本形態では、バッファ室内237内において、前述の複数の石英管がその上部で接続されて一体化されているが、個々に分離した形態でもよい。棒状電極269は、反応管203の外側で電極保護管275の下部より挿入されて前述のU字形状の曲がり部で折り返して、その先端部が電極保護管275の上部に位置するように配置されている。すなわち、棒状電極269の挿入方向とは逆の方向でU字形状にする。また、棒状電極270は、その先端部が電極保護管275の上部に位置するように、棒状電極271は、その先端部が電極保護管275の下部に位置するように配置されている。棒状電極269と棒状電極271とは長さが異なり、より詳しくはウエハ200の積載方向に対して長さが異なり、例えば、棒状電極269は棒状電極271よりも長い。また、棒状電極269の先端部は電極保護管275の上部側に位置するが、先端部を上方に移動させて短くしたり、下方に移動させて長くしたりして長さを調整することが可能である。棒状電極271の先端部は電極保護管275の下部側に位置するが、先端部を上方に移動させて長くしたり、下方に移動させて短くしたりして長さを調整することが可能である。本形態では、棒状電極269は1本しか挿入されていないが、電極保護管275の下部より短い電極をもう1本を挿入して、その先端部が電極保護管275の下部に位置するように合わせて配置されてもよい。
【0032】
上記の両実施形態においても図2に示すように、棒状電極269,270,271のうち両端に配置される印加電極としての棒状電極269,271は、整合器272を介して高周波電源273に接続されて高周波電力が印加され、基準電極としての棒状電極270は、基準電位であるアースに接続され、接地されて基準電位が与えられる。すなわち、高周波電源273に接続される棒状電極と、接地される棒状電極と、が交互に配置され、高周波電源273に接続された棒状電極269,271の間に配置された棒状電極270は、接地された棒状電極として、棒状電極269,271に対して共通して用いられている。換言すると、接地された棒状電極270は、隣り合う高周波電源273に接続された棒状電極269,271に挟まれるように配置され、棒状電極269と棒状電極270、同じく、棒状電極271と棒状電極270がそれぞれ対となるように構成されてプラズマを生成する。つまり、接地された棒状電極270は、棒状電極270に隣り合う2本の高周波電源273に接続された棒状電極269,271に対して共通して用いられている。これにより、基準電極の本数を削減することができる。そして、高周波電源273から棒状電極269,271に高周波(RF)電力を印加することで、棒状電極269,270間のプラズマ生成領域224a、棒状電極270,271間のプラズマ生成領域224bにプラズマが生成される。主に、棒状電極269,270,271、電極保護管275によりプラズマ源としてのプラズマ生成部(プラズマ生成装置)が構成される。整合器272、高周波電源273をプラズマ源に含めて考えてもよい。プラズマ源は、後述するように、ガスをプラズマ励起、すなわち、プラズマ状態に励起(活性化)させるプラズマ励起部(活性化機構)として機能する。印加電極は棒状電極269,271の2本の例を説明したが、印加電極は少なくとも2本あればよい。
【0033】
電極保護管275は、棒状電極269,270,271のそれぞれをバッファ室237内の雰囲気と隔離した状態でバッファ室237内へ挿入できる構造となっている。電極保護管275の内部のO濃度が外気(大気)のO濃度と同程度であると、電極保護管275内へそれぞれ挿入された棒状電極269,270,271は、ヒータ207による熱で酸化されてしまう。このため、電極保護管275の内部にNガス等の不活性ガスを充填しておくか、不活性ガスパージ機構を用いて電極保護管275の内部をNガス等の不活性ガスでパージすることで、電極保護管275の内部のO濃度を低減させ、棒状電極269,270,271の酸化を防止することができる。
【0034】
(排気部)
反応管203には、図1に示すように処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が設けられている。排気管231には、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245および排気バルブ(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ244を介して、真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されている。APCバルブ244は、真空ポンプ246を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室201内の真空排気および真空排気停止を行うことができ、更に、真空ポンプ246を作動させた状態で、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、処理室201内の圧力を調整することができるように構成されているバルブである。主に、排気管231、APCバルブ244、圧力センサ245により、排気系が構成される。真空ポンプ246を排気系に含めて考えてもよい。排気管231は、反応管203に設ける場合に限らず、ノズル249a,249bと同様にマニホールド209に設けてもよい。
【0035】
(周辺装置)
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、マニホールド209の下端に垂直方向下側から当接されるように構成されている。シールキャップ219は、例えばSUS等の金属により構成され、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220bが設けられている。
【0036】
シールキャップ219の処理室201と反対側には、ボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217に接続されている。回転機構267は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は、反応管203の外部に垂直に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115は、シールキャップ219を昇降させることで、ボート217を処理室201内外に搬入および搬出することが可能なように構成されている。
【0037】
ボートエレベータ115は、ボート217すなわちウエハ200を、処理室201内外に搬送する搬送装置(搬送機構)として構成されている。また、マニホールド209の下方には、ボートエレベータ115によりシールキャップ219を降下させている間、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシャッタ219sが設けられている。シャッタ219sは、例えばSUS等の金属により構成され、円盤状に形成されている。シャッタ219sの上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220cが設けられている。シャッタ219sの開閉動作(昇降動作や回動動作等)は、シャッタ開閉機構115sにより制御される。
【0038】
反応管203の内部には、温度検出器としての温度センサ263が設置されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となる。温度センサ263は、ノズル249a,249bと同様に、反応管203の内壁に沿って設けられている。
【0039】
(制御装置)
次に制御装置について図7を用いて説明する。図67に示すように、制御部(制御装置)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0040】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する成膜処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する各種処理(成膜処理)における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、プロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。また、プロセスレシピを、単に、レシピともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0041】
I/Oポート121dは、上述のMFC241a~241d、バルブ243a~243d、圧力センサ245、APCバルブ244、真空ポンプ246、ヒータ207、温度センサ263、回転機構267、ボートエレベータ115、シャッタ開閉機構115s、高周波電源273等に接続されている。
【0042】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピを読み出すように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、回転機構267の制御、MFC241a~241dによる各種ガスの流量調整動作、バルブ243a~243dの開閉動作、APCバルブ244の開閉動作および圧力センサ245に基づくAPCバルブ244による圧力調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、回転機構267によるボート217の正逆回転、回転角度および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作、シャッタ開閉機構115sによるシャッタ219sの開閉動作、高周波電源273の電力供給等を制御するように構成されている。
【0043】
コントローラ121は、外部記憶装置(例えば、ハードディスク等の磁気ディスク、CD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ)123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0044】
(2)基板処理工程
上述の基板処理装置を用い、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、基板上に膜を形成するプロセス例について、図7を用いて説明する。以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0045】
本明細書では、図7に示す成膜処理のシーケンスを、便宜上、以下のように示すこともある。以下の変形例や他の実施形態の説明においても、同様の表記を用いることとする。
【0046】
(BTBAS→O )×n ⇒ SiO
【0047】
本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのもの」を意味する場合や、「ウエハとその表面に形成された所定の層や膜等との積層体」を意味する場合がある。本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのものの表面」を意味する場合や、「ウエハ上に形成された所定の層等の表面」を意味する場合がある。本明細書において「ウエハ上に所定の層を形成する」と記載した場合は、「ウエハそのものの表面上に所定の層を直接形成する」ことを意味する場合や、「ウエハ上に形成されている層等の上に所定の層を形成する」ことを意味する場合がある。
【0048】
また、本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0049】
(搬入ステップ:S1)
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、シャッタ開閉機構115sによりシャッタ219sが移動させられて、マニホールド209の下端開口が開放される(シャッタオープン)。その後、図1に示すように、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内へ搬入(ボートロード)される。この状態で、シールキャップ219は、Oリング220bを介してマニホールド209の下端をシールした状態となる。
【0050】
(圧力・温度調整ステップ:S2)
処理室201の内部、すなわち、ウエハ200が存在する空間が所望の圧力(真空度)となるように、真空ポンプ246によって真空排気(減圧排気)される。この際、処理室201内の圧力は圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ244がフィードバック制御される。真空ポンプ246は、少なくとも後述する成膜ステップが終了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。
【0051】
また、処理室201内のウエハ200が所望の温度となるようにヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合がフィードバック制御される。ヒータ207による処理室201内の加熱は、少なくとも後述する成膜ステップが終了するまでの間は継続して行われる。但し、成膜ステップを室温以下の温度条件下で行う場合は、ヒータ207による処理室201内の加熱は行わなくてもよい。なお、このような温度下での処理だけを行う場合には、ヒータ207は不要となり、ヒータ207を基板処理装置に設置しなくてもよい。この場合、基板処理装置の構成を簡素化することができる。
【0052】
続いて、回転機構267によるボート217およびウエハ200の回転を開始する。回転機構267によるボート217およびウエハ200の回転は、少なくとも後述する成膜ステップが終了するまでの間は継続して行われる。
【0053】
(成膜ステップ:S3,S4,S5,S6)
その後、ステップS3,S4,S5,S6を順次実行することで成膜ステップを行う。
【0054】
(原料ガス供給ステップ:S3,S4)
ステップS3では、処理室201内のウエハ200に対してBTBASガスを供給する。
【0055】
バルブ243aを開き、ガス供給管232a内へBTBASガスを流す。BTBASガスは、MFC241aにより流量調整され、ノズル249aを介してガス供給孔250aから処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してBTBASガスが供給されることとなる。このとき同時にバルブ243cを開き、ガス供給管232c内へNガスを流す。Nガスは、MFC241cにより流量調整され、BTBASガスと一緒に処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。
【0056】
また、ノズル249b内へのBTBASガスの侵入を防止するため、バルブ243dを開き、ガス供給管232d内へNガスを流す。Nガスは、ガス供給管232d、ノズル249bを介して処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。
【0057】
MFC241aで制御するBTBASガスの供給流量は、例えば1sccm以上、2000sccm以下、好ましくは10sccm以上、1000sccm以下の範囲内の流量とする。MFC241c,241dで制御するNガスの供給流量は、それぞれ例えば100sccm以上、10000sccm以下の範囲内の流量とする。処理室201内の圧力は、上述した通り、例えば1以上、2666Pa以下、好ましくは67Pa以上、1333Pa以下の範囲内の圧力とする。BTBASガスをウエハ200に対して供給する時間は、例えば1秒以上、100秒以下、好ましくは1秒以上、50秒以下の範囲内の時間とする。
【0058】
ヒータ207の温度は、ウエハ200の温度が、例えば0℃以上150℃以下、好ましくは室温(25℃)以上100℃以下、より好ましくは40℃以上90℃以下の範囲内の温度となるような温度に設定する。BTBASガスは、ウエハ200等へ吸着し易く反応性の高いガスである。このため、例えば室温程度の低温下であっても、ウエハ200上にBTBASガスを化学吸着させることができ、実用的な成膜レートを得ることができる。本実施形態のように、ウエハ200の温度を150℃以下、さらには100℃以下、さらには90℃以下とすることで、ウエハ200に加わる熱量を低減させることができ、ウエハ200が受ける熱履歴の制御を良好に行うことができる。また、0℃以上の温度であれば、ウエハ200上にBTBASを十分に吸着させることができ、十分な成膜レートが得られることとなる。よって、ウエハ200の温度は0℃以上150℃以下、好ましくは室温以上100℃以下、より好ましくは40℃以上90℃以下の範囲内の温度とするのがよい。
【0059】
上述の条件下でウエハ200に対してBTBASガスを供給することにより、ウエハ200(表面の下地膜)上に、例えば1原子層(1分子層)未満から数原子層(数分子層)程度の厚さのSi含有層が形成される。Si含有層はSi層であってもよいし、BTBASの吸着層であってもよいし、それらの両方を含んでいてもよい。
【0060】
Si層とは、Siにより構成される連続的な層の他、不連続な層や、これらが重なってできるSi薄膜をも含む総称である。Si層を構成するSiは、アミノ基との結合が完全に切れていないものや、Hとの結合が完全に切れていないものも含む。
【0061】
BTBASの吸着層は、BTBAS分子で構成される連続的な吸着層の他、不連続な吸着層をも含む。BTBASの吸着層を構成するBTBAS分子は、Siとアミノ基との結合が一部切れたものや、SiとHとの結合が一部切れたものや、NとCとの結合が一部切れたもの等も含む。すなわち、BTBASの吸着層は、BTBASの物理吸着層であってもよいし、BTBASの化学吸着層であってもよいし、それらの両方を含んでいてもよい。
【0062】
ここで、1原子層(1分子層)未満の厚さの層とは不連続に形成される原子層(分子層)のことを意味しており、1原子層(1分子層)の厚さの層とは連続的に形成される原子層(分子層)のことを意味している。Si含有層は、Si層とBTBASの吸着層との両方を含み得る。但し、上述の通り、Si含有層については「1原子層」、「数原子層」等の表現を用いることとし、「原子層」を「分子層」と同義で用いる。
【0063】
BTBASが自己分解(熱分解)する条件下、すなわち、BTBASの熱分解反応が生じる条件下では、ウエハ200上にSiが堆積することでSi層が形成される。BTBASが自己分解(熱分解)しない条件下、すなわち、BTBASの熱分解反応が生じない条件下では、ウエハ200上にBTBASが吸着することでBTBASの吸着層が形成される。但し、本実施形態では、ウエハ200の温度を例えば150℃以下の低温としているので、BTBASの熱分解は生じにくい。結果として、ウエハ200上へは、Si層ではなく、BTBASの吸着層の方が形成されやすくなる。
【0064】
ウエハ200上に形成されるSi含有層の厚さが数原子層を超えると、後述する改質処理での改質の作用がSi含有層の全体に届かなくなる。また、ウエハ200上に形成可能なSi含有層の厚さの最小値は1原子層未満である。よって、Si含有層の厚さは1原子層未満から数原子層程度とするのが好ましい。Si含有層の厚さを1原子層以下、すなわち、1原子層または1原子層未満とすることで、後述する改質処理での改質の作用を相対的に高めることができ、改質処理の改質反応に要する時間を短縮することができる。また、成膜処理のSi含有層の形成に要する時間を短縮することもできる。結果として、1サイクルあたりの処理時間を短縮することができ、トータルでの処理時間を短縮することも可能となる。すなわち、成膜レートを高くすることも可能となる。また、Si含有層の厚さを1原子層以下とすることで、膜厚均一性の制御性を高めることも可能となる。
【0065】
Si含有層が形成された後、バルブ243aを閉じ、処理室201内へのBTBASガスの供給を停止する。このとき、APCバルブ244を開いたままとし、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくはSi含有層の形成に寄与した後のBTBASガスや反応副生成物等を処理室201内から排除する(S4)。また、バルブ243c,243dは開いたままとして、処理室201内へのNガスの供給を維持する。Nガスはパージガス(不活性ガス)として作用する。なお、このステップS4を省略し、原料ガス供給ステップとしてもよい。
【0066】
原料ガスとしては、BTBASガスのほか、テトラキスジメチルアミノシラン(Si[N(CH、略称:4DMAS)ガス、トリスジメチルアミノシラン(Si[N(CHH、略称:3DMAS)ガス、ビスジメチルアミノシラン(Si[N(CH、略称:BDMAS)ガス、ビスジエチルアミノシラン(Si[N(C、略称:BDEAS)ガス等を好適に用いることができる。このほか、原料ガスとしては、ジメチルアミノシラン(DMAS)ガス、ジエチルアミノシラン(DEAS)ガス、ジプロピルアミノシラン(DPAS)ガス、ジイソプロピルアミノシラン(DIPAS)ガス、ブチルアミノシラン(BAS)ガス、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)ガス等の各種アミノシラン原料ガスや、モノクロロシラン(SiHCl、略称:MCS)ガス、ジクロロシラン(SiHCl、略称:DCS)ガス、トリクロロシラン(SiHCl、略称:TCS)ガス、テトラクロロシランすなわちシリコンテトラクロライド(SiCl、略称:STC)ガス、ヘキサクロロジシラン(SiCl、略称:HCDS)ガス、オクタクロロトリシラン(SiCl、略称:OCTS)ガス等の無機系ハロシラン原料ガスや、モノシラン(SiH、略称:MS)ガス、ジシラン(Si、略称:DS)ガス、トリシラン(Si、略称:TS)ガス等のハロゲン基非含有の無機系シラン原料ガスを好適に用いることができる。
【0067】
不活性ガスとしては、Nガスの他、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いることができる。
【0068】
(反応ガス供給ステップ:S5,S6)
成膜処理が終了した後、処理室201内のウエハ200に対して反応ガスとしてのプラズマ励起させたOガスを供給する(S5)。
【0069】
このステップでは、バルブ243b~243dの開閉制御を、ステップS3におけるバルブ243a,243c,243dの開閉制御と同様の手順で行う。Oガスは、MFC241bにより流量調整され、ノズル249bを介してバッファ室237内へ供給される。このとき、高周波電源273から棒状電極269,270,271へ高周波電力(本実施の形態では周波数13.56MHz)を供給(印加)する。バッファ室237内へ供給されたOガスは処理室201の内部でプラズマ状態に励起され、活性種(O、O 、O)としてウエハ200に対して供給され、排気管231から排気される。なお、プラズマ状態に励起されたOガスを、酸素プラズマとも称する。
【0070】
MFC241bで制御するOガスの供給流量は、例えば100sccm以上、10000sccm以下の範囲内の流量とする。高周波電源273から棒状電極269,270,271へ印加する高周波電力は、例えば50W以上、1000W以下の範囲内の電力とする。処理室201内の圧力は、例えば10Pa以上、300Pa以下の範囲内の圧力とする。プラズマを用いることで、処理室201内の圧力をこのような比較的低い圧力帯としても、Oガスを活性化させることが可能となる。Oガスをプラズマ励起することにより得られた活性種をウエハ200に対して供給する時間は、例えば1秒以上、100秒以下、好ましくは1秒以上、50秒以下の範囲内の時間とする。その他の処理条件は、上述のステップS3と同様な処理条件とする。
【0071】
酸素プラズマ中で生成されたイオンと電気的に中性な活性種はウエハ200の表面に形成されたSi含有層に対して後述する酸化処理を行う。
【0072】
上述の条件下でウエハ200に対してOガスを供給することにより、ウエハ200上に形成されたSi含有層がプラズマ酸化される。この際、プラズマ励起されたOガスのエネルギーにより、Si含有層が有するSi-N結合、Si-H結合が切断される。Siとの結合を切り離されたN、H、および、Nに結合するCは、Si含有層から脱離することとなる。そして、N等が脱離することで未結合手(ダングリングボンド)を有することとなったSi含有層中のSiが、Oガスに含まれるOと結合し、Si-O結合が形成されることとなる。この反応が進行することにより、Si含有層は、SiおよびOを含む層、すなわち、シリコン酸化層(SiO層)へと変化させられる(改質される)。
【0073】
なお、Si含有層をSiO層へと改質させるには、Oガスをプラズマ励起させて供給する必要がある。Oガスをノンプラズマの雰囲気下で供給しても、上述の温度帯では、Si含有層を酸化させるのに必要なエネルギーが不足しており、Si含有層からNやCを充分に脱離させたり、Si含有層を充分に酸化させてSi-O結合を増加させたりすることは、困難なためである。
【0074】
Si含有層をSiO層へ変化させた後、バルブ243bを閉じ、Oガスの供給を停止する。また、棒状電極269,270,271への高周波電力の供給を停止する。そして、ステップS4と同様の処理手順、処理条件により、処理室201内に残留するOガスや反応副生成物を処理室201内から排除する(S6)。なお、このステップS6を省略して反応ガス供給ステップとしてもよい。
【0075】
酸化剤、すなわち、プラズマ励起させるO含有ガスとしては、Oガスの他、亜酸化窒素(NO)ガス、一酸化窒素(NO)ガス、二酸化窒素(NO)ガス、オゾン(O)ガス、過酸化水素(H)ガス、水蒸気(HO)、水酸化アンモニウム(NH(OH))ガス、一酸化炭素(CO)ガス、二酸化炭素(CO)ガス等を用いてもよい。
【0076】
不活性ガスとしては、Nガスの他、例えば、ステップS4で例示した各種希ガスを用いることができる。
【0077】
(所定回数実施:S7)
上述したステップS3,S4,S5,S6をこの順番に沿って非同時に、すなわち、同期させることなく行うことを1サイクルとし、このサイクルを所定回数(n回)、すなわち、1回以上行うことにより、ウエハ200上に、所定組成および所定膜厚のSiO膜を形成することができる。上述のサイクルは、複数回繰り返すことが好ましい。すなわち、1サイクルあたりに形成されるSiO層の厚さを所望の膜厚よりも小さくし、SiO層を積層することで形成されるSiO膜の膜厚が所望の膜厚になるまで、上述のサイクルを複数回繰り返すことが好ましい。
【0078】
(大気圧復帰ステップ:S8)
上述の成膜処理が完了したら、ガス供給管232c,232dのそれぞれから不活性ガスとしてのNガスを処理室201内へ供給し、排気管231から排気する。これにより、処理室201内が不活性ガスでパージされ、処理室201内に残留するOガス等が処理室201内から除去される(不活性ガスパージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰:S8)。
【0079】
(搬出ステップ:S9)
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されて、マニホールド209の下端が開口されるとともに、処理済のウエハ200が、ボート217に支持された状態でマニホールド209の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)される。ボートアンロードの後は、シャッタ219sが移動させられ、マニホールド209の下端開口がOリング220cを介してシャッタ219sによりシールされる(シャッタクローズ)。処理済のウエハ200は、反応管203の外部に搬出された後、ボート217より取り出されることとなる(ウエハディスチャージ)。なお、ウエハディスチャージの後は、処理室201内へ空のボート217を搬入するようにしてもよい。
【0080】
ここで、基板処理時の炉内圧力は、10Pa以上、300Pa以下の範囲で制御されることが好ましい。これは、炉内の圧力が10Paより低い場合、プラズマのデバイ長よりもガス分子の平均自由工程が長くなってしまい、炉壁を直接叩くプラズマが顕著化するため、パーティクルの発生を抑制することが困難となってしまうためである。また、炉内の圧力が300Paより高い場合、プラズマの生成効率が飽和してしまうため、反応ガスを供給してもプラズマの生成量は変化することがなく、反応ガスを無駄に消費することとなってしまうと同時に、ガス分子の平均自由行程が短くなることで、ウエハまでのプラズマ活性種の輸送効率が悪くなってしまうためである。
【0081】
(3)本実施形態による効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果が得られる。
(a)棒状電極269と棒状電極271との長さが異なることにより、バッファ室内237で生成されて処理室201内へ供給される活性種の供給量を複数の基板間で均等にすることが可能となる。
(b)棒状電極269、271の長さを調整することで、バッファ室内237で生成されて処理室201内へ供給される活性種の供給量を複数の基板間で均等になるように調整することが可能となる。
(c)棒状電極269、271の長さを調整することで、バッファ室内237で生成されて処理室201内へ供給される活性種の供給量を上下対称に調整することが可能となる。
【0082】
(変形例1)
次に、本実施形態の変形例を図8に基づいて説明する。本変形例において、上述した実施形態と異なる部分のみ以下に説明し、同じ部分は説明を省略する。
【0083】
上述した実施形態では、反応管203の内壁にバッファ構造300を設け、このバッファ構造300の内側にそれぞれ電極保護管275に覆われた棒状電極269,270,271及びノズル249bを設けた構成について詳述したが、本変形例では、反応管203の内壁に、さらにバッファ構造300と同様の構成であるバッファ構造400を設ける。
【0084】
バッファ構造400の内側には、それぞれ電極保護管275に覆われた棒状電極369,370,371及びノズル249cが設けられている。棒状電極369,370,371のうち両端に配置される印加電極としての棒状電極369,371は、整合器372を介して高周波電源373に接続され、基準電極としての棒状電極370は、基準電位であるアースに接続され、接地されている。ノズル249cは、ガス供給管232bに接続され、ノズル249bと同一のガスを供給することが可能となっている。ノズル249cの側面には、ガスを供給するガス供給孔250cが反応管203の下部から上部にわたって複数設けられている。ガス供給孔250cは、バッファ構造400の円弧状に形成された壁面に対して径方向に形成された壁面に向くように開口しており、壁面に向けてガスを供給することが可能となっている。バッファ構造400の円弧状に形成された壁面には、バッファ室237内のガスを供給するガス供給口402,404,406が設けられている。ガス供給口402,404,406は、棒状電極369,370間、棒状電極370,371間、棒状電極371とノズル249cとの間のプラズマ生成領域324a、324bに対向する位置にそれぞれ反応管203の中心を向くように開口し、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれが同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
【0085】
図8に示すように、平面視において、バッファ構造300とバッファ構造400は、排気管231を挟んで、排気管231と反応管203の中心を通る直線に対して線対称に設けられている。また、平面視において、ノズル249aは、排気管231のウエハ200を挟んで対向する位置に設けられている。また、ノズル249bとノズル249cは、それぞれバッファ室237内の排気管231から遠い位置に設けられている。
【0086】
本変形例では、プラズマ生成部を備えたバッファ構造が2つ設けられ、各バッファ構造300,400がそれぞれ高周波電源273,373及び整合器272,372を備えている。それぞれの高周波電源273,373はそれぞれコントローラ121に接続され、バッファ構造300,400のバッファ室237ごとのプラズマ制御が可能となる。すなわち、コントローラ121は、各バッファ室237ごとに活性種量の偏りが生じないよう、それぞれのプラズマ生成部のインピーダンスを監視してそれぞれの高周波電源273,373を独立して制御し、インピーダンスが大きい場合には、高周波電源の電源が高くなるように制御する。これにより、プラズマ生成部が1つの場合と比較して、各プラズマ生成部の高周波電力を小さくしてもウエハに対して充分な量の活性種を供給することができ、ウエハの面内均一性を向上させることができる。また、2つのプラズマ生成部に対して1つの高周波電源によってプラズマ制御を行うのに対し、プラズマ生成部ごとに高周波電源を設けることによって、各プラズマ生成部に断線等の異常が生じた場合に把握し易くなる。さらに、高周波電源と各電極間の距離を調整し易くなるため、各電極と高周波電源との距離が異なることによって生じるRF電力印加の差異を抑制し易くすることができる。
【0087】
(変形例2)
次に、本実施形態の変形例2を図9に基づいて説明する。本変形例2では、反応管203の内壁に、プラズマ生成部を備えたバッファ構造を3つ設け、原料ガスを供給するノズルを2つ設ける。
【0088】
バッファ構造500の内側には、バッファ構造300,400と同様に、それぞれ電極保護管275に覆われた棒状電極469,470,471及びノズル249d、が設けられ、印加電極としての棒状電極469,471は、不図示の整合器を介して高周波電源に接続され、基準電極としての棒状電極470は、基準電位であるアースに接続され、接地されている。ノズル249dは、ガス供給管232bに接続され、ノズル249bと同一のガスを供給することが可能となっている。バッファ構造500の円弧状に形成された壁面の電極間には、ガスを供給するガス供給口502,504,506が設けられている。ガス供給口502,504,506は、棒状電極469,470間、棒状電極470,471間、棒状電極471とノズル249dとの間のプラズマ生成領域に対向する位置にそれぞれ反応管203の中心を向くように開口し、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれが同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。また、ノズル249eは、ガス供給管232aに接続され、ノズル249aと同一のガスを供給することが可能となっている。
【0089】
バッファ構造300とバッファ構造400は、排気管231を挟んで、排気管231と反応管203の中心を通る直線に対して線対称に設けられている。また、バッファ機構500は、ウエハ200を挟んで排気管231と対向する位置に設けられている。原料ガスを供給するノズル249a,249eは、それぞれバッファ構造300とバッファ構造500の間と、バッファ構造400とバッファ構造500の間に設けられている。また、反応ガスを供給するノズル249b、ノズル249c、ノズル249dは、それぞれバッファ室237内において同じ側に配置され、ノズル249b、ノズル249c、ノズル249dのガス供給孔は、それぞれバッファ構造300,400,500の円弧状に形成された壁面に対して径方向に形成された壁面に向くように開口している。
【0090】
本変形例2によっても、上述した実施形態及び変形例1と同様の効果が得られる。
【0091】
(変形例3)
次に、本実施形態の変形例3を図10に基づいて説明する。本変形例3では、反応管203の内壁に、プラズマ生成部を備えたバッファ構造を4つ設ける。
【0092】
バッファ構造600の内側には、バッファ構造300,400,500と同様に、それぞれ電極保護管275に覆われた棒状電極569,570,571及びノズル249f、が設けられ、印加電極としての棒状電極569,571は、不図示の整合器を介して高周波電源に接続され、基準電極としての棒状電極570は、基準電位であるアースに接続され、接地されている。ノズル249fは、ガス供給管232bに接続され、ノズル249bと同一のガスを供給することが可能となっている。バッファ構造600の円弧状に形成された壁面の電極間には、ガスを供給するガス供給口602,604,606が設けられている。ガス供給口602,604,606は、棒状電極569,570間、棒状電極570,571間、棒状電極571とノズル249fとの間のプラズマ生成領域に対向する位置にそれぞれ反応管203の中心を向くように開口し、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれが同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
【0093】
バッファ構造300,400,500,600は、等間隔に設けられている。ノズル249aは、ウエハ200を挟んで排気管231と対向する位置に設けられている。ノズル249bとノズル249cは、それぞれバッファ室237内の排気管231から遠い側に設けられている。また、ノズル249dとノズル249fは、それぞれバッファ室237内の排気管231側に設けられ、ノズル249b、ノズル249c、ノズル249d、ノズル249fのガス供給孔は、それぞれバッファ構造300,400,500,600の円弧状に形成された壁面に対して径方向に形成された壁面に向くように開口している。
【0094】
本変形例3によっても、上述した実施形態及び変形例1と同様の効果が得られる。
【0095】
以上、本開示の実施形態について具体的に説明した。しかしながら、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0096】
また、例えば、上述の実施形態では、一箇所のバッファ構造300にてガスをプラズマ状態に励起(活性化)させて、活性種をウエハに供給する例について説明した。本開示ではこのような態様に限定されず、複数箇所のバッファ構造にてプラズマ状態を作り、活性種をウエハに供給する形態を有してもよい。すなわち、バッファ構造を複数有することで活性種の供給量を増大させて、成膜速度を高めることが可能となる。
【0097】
また、例えば、上述の実施形態では、原料を供給した後に反応体を供給する例について説明した。本開示はこのような態様に限定されず、原料、反応体の供給順序は逆でもよい。すなわち、反応体を供給した後に原料を供給するようにしてもよい。供給順序を変えることにより、形成される膜の膜質や組成比を変化させることが可能となる。
【0098】
上述の実施形態等では、ウエハ200上にSiO膜を形成する例について説明した。本開示はこのような態様に限定されず、ウエハ200上に、シリコン酸炭化膜(SiOC膜)、シリコン酸炭窒化膜(SiOCN膜)、シリコン酸窒化膜(SiON膜)等のSi系酸化膜を形成する場合にも、好適に適用可能である。
【0099】
例えば、上述したガスの他、もしくは、これらのガスに加え、アンモニア(NH)ガス等の窒素(N)含有ガス、プロピレン(C)ガス等の炭素(C)含有ガス、三塩化硼素(BCl)ガス等の硼素(B)含有ガス等を用い、例えば、SiN膜、SiON膜、SiOCN膜、SiOC膜、SiCN膜、SiBN膜、SiBCN膜、BCN膜等を形成することができる。なお、各ガスを流す順番は適宜変更することができる。これらの成膜を行う場合においても、上述の実施形態と同様な処理条件にて成膜を行うことができ、上述の実施形態と同様の効果が得られる。これらの場合、反応ガスとしての酸化剤には、上述した反応ガスを用いることができる。
【0100】
また、本開示は、ウエハ200上に、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等の金属元素を含む金属系酸化膜や金属系窒化膜を形成する場合においても、好適に適用可能である。すなわち、本開示は、ウエハ200上に、TiO膜、TiOC膜、TiOCN膜、TiON膜、TiN膜、TiSiN膜、TiBN膜、TiBCN膜、ZrO膜、ZrOC膜、ZrOCN膜、ZrON膜、ZrN膜、ZrSiN膜、ZrBN膜、ZrBCN膜、HfO膜、HfOC膜、HfOCN膜、HfON膜、HfN膜、HfSiN膜、HfBN膜、HfBCN膜、TaO膜、TaOC膜、TaOCN膜、TaON膜、TaN膜、TaSiN膜、TaBN膜、TaBCN膜、NbO膜、NbOC膜、NbOCN膜、NbON膜、NbN膜、NbSiN膜、NbBN膜、NbBCN膜、AlO膜、AlOC膜、AlOCN膜、AlON膜、AlN膜、AlSiN膜、AlBN膜、AlBCN膜、MoO膜、MoOC膜、MoOCN膜、MoON膜、MoN膜、MoSiN膜、MoBN膜、MoBCN膜、WO膜、WOC膜、WOCN膜、WON膜、WN膜、WSiN膜、WBN膜、WBCN膜等を形成する場合にも、好適に適用することが可能となる。
【0101】
これらの場合、例えば、原料ガスとして、テトラキス(ジメチルアミノ)チタン(Ti[N(CH、略称:TDMAT)ガス、テトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウム(Hf[N(C)(CH)]、略称:TEMAH)ガス、テトラキス(エチルメチルアミノ)ジルコニウム(Zr[N(C)(CH)]、略称:TEMAZ)ガス、トリメチルアルミニウム(Al(CH、略称:TMA)ガス、チタニウムテトラクロライド(TiCl)ガス、ハフニウムテトラクロライド(HfCl)ガス等を用いることができる。
【0102】
すなわち、本開示は、半金属元素を含む半金属系膜や金属元素を含む金属系膜を形成する場合に、好適に適用することができる。これらの成膜処理の処理手順、処理条件は、上述の実施形態や変形例に示す成膜処理と同様な処理手順、処理条件とすることができる。これらの場合においても、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0103】
成膜処理に用いられるレシピは、処理内容に応じて個別に用意し、電気通信回線や外部記憶装置123を介して記憶装置121c内に格納しておくことが好ましい。そして、各種処理を開始する際、CPU121aが、記憶装置121c内に格納された複数のレシピの中から、処理内容に応じて適正なレシピを適宜選択することが好ましい。これにより、1台の基板処理装置で様々な膜種、組成比、膜質、膜厚の薄膜を汎用的に、かつ、再現性よく形成することができるようになる。また、オペレータの負担を低減でき、操作ミスを回避しつつ、各種処理を迅速に開始できるようになる。
【0104】
上述のレシピは、新たに作成する場合に限らず、例えば、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを変更することで用意してもよい。レシピを変更する場合は、変更後のレシピを、電気通信回線や当該レシピを記録した記録媒体を介して、基板処理装置にインストールしてもよい。また、既存の基板処理装置が備える入出力装置122を操作し、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを直接変更するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0105】
200…ウエハ(基板)、201…処理室、203…反応管、207…ヒータ(加熱装置)、269、271…棒状電極(印加電極)、270…棒状電極(基準電極)、275…電極保護管、237…バッファ室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10