(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166136
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】ウェーハ洗浄装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
H01L21/304 644G
H01L21/304 643A
H01L21/304 643C
H01L21/304 644B
H01L21/304 644C
H01L21/304 622Q
H01L21/304 621E
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076948
(22)【出願日】2022-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小木 智史
(72)【発明者】
【氏名】小西 洋輔
【テーマコード(参考)】
5F057
5F157
【Fターム(参考)】
5F057AA14
5F057AA21
5F057CA16
5F057DA39
5F057FA37
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB90
5F157AC01
5F157AC13
5F157BA07
5F157BA13
5F157BA31
5F157BB22
5F157BB37
5F157CE25
5F157CE27
5F157DB02
(57)【要約】
【課題】トリミング部分を含むウェーハの両面を、短時間で洗浄する。
【解決手段】トリミング部分103が形成されているウェーハ100の表面101を洗浄する際、第1スポンジ31を、表面101の中心とトリミング部分103の手前との間で移動させる。第1スポンジ31がトリミング部分103に接触することが抑制されるため、トリミング部分103によって第1スポンジ31が削られることを抑制することができる。このため、第1スポンジ31を交換する頻度を減らすことが可能である。また、第1スポンジ31の削り屑の発生が抑えられるので、この削り屑を洗い流す工程が不要となる。したがって、ウェーハ100を短時間で洗浄することが可能となる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面の外周部分に他方の面に至らない環状のトリミング部分を有するウェーハの外周縁を支持して該ウェーハを回転させ、該ウェーハの一方の面と他方の面と該トリミング部分とを洗浄するウェーハ洗浄装置であって、
ウェーハの外周縁を支持する少なくとも3つの支持ローラと、
該支持ローラのうちの少なくとも1つを回転駆動させ、他を従動回転させて、該ウェーハを従動回転させるウェーハ回転機構と、
該ウェーハの一方の面に接触する第1スポンジと、
該ウェーハの他方の面に接触する第2スポンジと、
該第1スポンジと該第2スポンジとを、該ウェーハを挟むように対向配置させ、該ウェーハの径方向に移動させる径方向移動機構と、
該ウェーハの一方の面に垂直な方向に延在する回転軸で該第1スポンジを回転させる第1回転機構と、
該ウェーハの他方の面に垂直な方向に延在する回転軸で該第2スポンジを回転させる第2回転機構と、
該トリミング部分に水とエアとの混合流体である二流体を噴射して該トリミング部分を洗浄する二流体ノズルと、を備え、
該径方向移動機構によって、該第1スポンジが、ウェーハの一方の面の中心と該トリミング部分の手前との間で移動され、該第2スポンジが、ウェーハの他方の面の中心と外周との間で移動される、ウェーハ洗浄装置。
【請求項2】
該第1回転機構の回転軸と該第2回転機構の回転軸とが同一軸上に配置され、
該径方向移動機構によって、該第1スポンジを、ウェーハの中心から該トリミング部分の手前に移動させた際に、該第2スポンジが、ウェーハの中心から外周に移動するよう、該第2スポンジが該第1スポンジより大きい、
請求項1に記載のウェーハ洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハ洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1~3に開示のように、ウェーハの上下面を洗浄する洗浄装置は、ウェーハの外周縁に接触する複数のローラによってウェーハを支持し、ローラを回転させることによってウェーハを従動回転させる。さらに、ウェーハの上面および下面のそれぞれにスポンジを接触させた状態で、スポンジを回転させつつウェーハの径方向に移動させることにより、ウェーハの上面と下面とを洗浄している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-092278号公報
【特許文献2】特開2003-077881号公報
【特許文献3】特開2002-170806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、例えば、ウェーハの上面側の外周部分が砥石によってトリミングされている場合には、トリミングされている部分にスポンジが接触して、そのトリミングされている部分の角でスポンジが削られるため、スポンジを交換する頻度が多くなる。
【0005】
また、削られたスポンジの屑がウェーハの上面に付着しないように、洗浄水をかけて洗い流す時間が必要となるため、洗浄時間が長くなる。
【0006】
したがって、本発明の目的は、トリミング部分を有するウェーハを洗浄する際、トリミング部分を含むウェーハの両面を、短時間で洗浄することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のウェーハ洗浄装置(本ウェーハ洗浄装置)は、一方の面の外周部分に他方の面に至らない環状のトリミング部分を有するウェーハの外周縁を支持して該ウェーハを回転させ、該ウェーハの一方の面と他方の面と該トリミング部分とを洗浄するウェーハ洗浄装置であって、ウェーハの外周縁を支持する少なくとも3つの支持ローラと、該支持ローラのうちの少なくとも1つを回転駆動させ、他を従動回転させて、該ウェーハを従動回転させるウェーハ回転機構と、該ウェーハの一方の面に接触する第1スポンジと、該ウェーハの他方の面に接触する第2スポンジと、該第1スポンジと該第2スポンジとを、該ウェーハを挟むように対向配置させ、該ウェーハの径方向に移動させる径方向移動機構と、該ウェーハの一方の面に垂直な方向に延在する回転軸で該第1スポンジを回転させる第1回転機構と、該ウェーハの他方の面に垂直な方向に延在する回転軸で該第2スポンジを回転させる第2回転機構と、該トリミング部分に水とエアとの混合流体である二流体を噴射して該トリミング部分を洗浄する二流体ノズルと、を備え、該径方向移動機構によって、該第1スポンジが、ウェーハの一方の面の中心と該トリミング部分の手前との間で移動され、該第2スポンジが、ウェーハの他方の面の中心と外周との間で移動される。
本ウェーハ洗浄装置では、該第1回転機構の回転軸と該第2回転機構の回転軸とが同一軸上に配置されていてもよく、該径方向移動機構によって、該第1スポンジを、ウェーハの中心から該トリミング部分の手前に移動させた際に、該第2スポンジが、ウェーハの中心から外周に移動するよう、該第2スポンジが該第1スポンジより大きくてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本ウェーハ洗浄装置では、トリミング部分が形成されているウェーハの一方の面を洗浄する際、第1スポンジを、一方の面の中心とトリミング部分の手前との間で移動させている。したがって、第1スポンジがトリミング部分に接触することが抑制されるため、トリミング部分によって第1スポンジが削られることを抑制することができる。このため、第1スポンジを交換する頻度を減らすことが可能である。また、第1スポンジの削り屑の発生が抑えられるので、この削り屑を洗い流す工程が不要となる。したがって、ウェーハを短時間で洗浄することが可能となる。
【0009】
さらに、本ウェーハ洗浄装置では、第1スポンジおよび第2スポンジをウェーハの径方向に移動させてウェーハの両面を洗浄している際に、二流体ノズルから噴射された二流体によって、トリミング部分を洗浄することが可能である。したがって、ウェーハの両面とトリミング部分とを同時に洗浄することができる。したがって、洗浄時間が長くなることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】洗浄装置の構成および動作を示す説明図である。
【
図3】洗浄装置の構成および動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示すように、本実施形態にかかるウェーハ洗浄装置1は、ウェーハ100を洗浄するための装置である。
【0012】
ウェーハ100は、
図1および
図2に示すように、一方の面である表面101側の外周部分に、他方の面である裏面102に至らない環状のトリミング部分103を備えている。このトリミング部分103は、ウェーハ100における表面101の外周縁に形成された、段状に凹んだ部分である。このトリミング部分103により、ウェーハ100では、表面101の径が、裏面102の径よりも小さくなっている。
【0013】
ウェーハ洗浄装置1は、このようなウェーハ100の外周縁を支持してウェーハ100を回転させ、ウェーハ100の表面101と裏面102とトリミング部分103とを洗浄するウェーハ洗浄装置である。なお、ウェーハ100は、トリミング部分103の形成されている表面101が上向きとなるように、ウェーハ洗浄装置1に設置される。
【0014】
ウェーハ洗浄装置1は、
図1に示すように、ウェーハ100の外周縁を支持する支持ローラとして、第1回転ローラ11、第2回転ローラ12、第1従動ローラ21および第2従動ローラ22を有している。
【0015】
第1回転ローラ11および第2回転ローラ12は、ウェーハ100を支持して回転させるための支持ローラである。
図1に示すように、第1回転ローラ11および第2回転ローラ12は、ウェーハ100の外周縁を支持する回転ローラ部13、円柱状のローラ回転軸14、および、ローラ回転軸14を回転駆動させるローラ回転用モータ15を有している。
【0016】
回転ローラ部13は、
図1および
図2に示すように、円柱状のローラ本体16、および、ローラ本体16の上面161の中央に設けられた円柱状の凸部17を備えている。そして、回転ローラ部13は、ウェーハ100の外周縁を、ローラ本体16の上面161および凸部17の側面171によって支持するように構成されている。
【0017】
また、回転ローラ部13は、ローラ回転軸14の先端に固定されており、ローラ回転用モータ15によって、ウェーハ100の外周縁を支持した状態で、
図2に矢印501によって示すように、ローラ回転軸14とともに回転すること可能である。
【0018】
第1従動ローラ21および第2従動ローラ22は、ウェーハ100の回転に伴って回転する従動ローラである。
図1および
図2に示すように、第1従動ローラ21および第2従動ローラ22は、ウェーハ100の外周縁を支持する従動ローラ部23、および、従動ローラ部23を回転可能に支持する従動ローラ台24を有している。
【0019】
従動ローラ部23は、第1回転ローラ11および第2回転ローラ12の回転ローラ部13と同様に、円柱状のローラ本体26、および、ローラ本体26の上面261の中央に設けられた円柱状の凸部27を備えている。そして、従動ローラ部23は、ウェーハ100の外周縁を、ローラ本体26の上面261および凸部27の側面271によって支持するように構成されている。
【0020】
また、従動ローラ台24は、細板形状を有しており、その両端部によって、第1従動ローラ21および第2従動ローラ22の従動ローラ部23を回転可能に支持している。したがって、第1従動ローラ21および第2従動ローラ22の従動ローラ部23は、ウェーハ100を支持した状態で、ウェーハ100の回転に伴って、
図2に矢印502によって示すように回転すること可能である。
【0021】
このように、ウェーハ洗浄装置1は、4つの支持ローラとしての第1回転ローラ11、第2回転ローラ12、第1従動ローラ21および第2従動ローラ22によって、ウェーハ100を支持している。そして、第1回転ローラ11および第2回転ローラ12の回転ローラ部13が回転することにより、ウェーハ100を、ウェーハ100の中心を通る回転軸を中心として従動回転させることが可能である。
【0022】
なお、第1回転ローラ11および第2回転ローラ12のローラ回転用モータ15およびローラ回転軸14、ならびに、第1従動ローラ21および第2従動ローラ22における従動ローラ台24は、支持ローラのうちの少なくとも1つを回転駆動させ、他を従動回転させて、ウェーハ100を従動回転させるウェーハ回転機構の一例である。
【0023】
また、ウェーハ洗浄装置1は、
図1および
図2に示すように、ウェーハ洗浄装置1に支持されているウェーハ100の表面101を洗浄するための第1洗浄機構30、ウェーハ100の裏面102を洗浄するための第2洗浄機構40、ならびに、第1洗浄機構30の第1スポンジ31および第2洗浄機構40の第2スポンジ41を旋回させる径方向移動機構50を備えている。
【0024】
第1洗浄機構30は、ウェーハ100の上方に配置されている。第1洗浄機構30は、ウェーハ100の表面101に接触する第1スポンジ31、第1スポンジ31を支持して回転する第1スポンジシャフト32、第1スポンジ31および第1スポンジシャフト32を支持してウェーハ100の上方で旋回する第1アーム33、ならびに、洗浄水を噴射する第1洗浄水ノズル35を有している。
【0025】
第1スポンジ31は、ウェーハ100の表面101に接触して表面101を洗浄するためのスポンジであり、第1スポンジシャフト32の下端に支持されている。第1スポンジシャフト32は、ウェーハ100の表面101に垂直な方向に延在している。第1スポンジシャフト32は、第1スポンジ31を支持した状態で、第1スポンジ31と一体的に回転可能なように構成されている。
【0026】
第1アーム33は、先端に第1スポンジ31および第1スポンジシャフト32を支持している一方、径方向移動機構50の旋回シャフト51によって基端側を支持されている。
【0027】
第1洗浄水ノズル35は、洗浄水源200に接続されており、ウェーハ洗浄装置1に支持されているウェーハ100の表面101に向けて洗浄水を噴射するために用いられる。
【0028】
一方、第2洗浄機構40は、ウェーハ100の下方に配置されている。第2洗浄機構40は、ウェーハ100の裏面102に接触する第2スポンジ41、第2スポンジ41を支持して回転する第2スポンジシャフト42、第2スポンジ41および第2スポンジシャフト42を支持してウェーハ100の下方で旋回する第2アーム43、ならびに、洗浄水を噴射する第2洗浄水ノズル45を有している。
【0029】
第2スポンジ41は、ウェーハ100の裏面102に接触して裏面102を洗浄するためのスポンジであり、第2スポンジシャフト42の上端に支持されている。第2スポンジ41は、
図2に示すように、第1スポンジ31よりも大きい径を有している。第2スポンジシャフト42は、ウェーハ100の裏面102に垂直な方向に延在している。第2スポンジシャフト42は、第2スポンジ41を支持した状態で、第2スポンジ41と一体的に回転可能なように構成されている。
【0030】
第2アーム43は、先端に第2スポンジ41および第2スポンジシャフト42を支持している一方、旋回シャフト51によって基端側を支持されている。また、第2アーム43は、第1洗浄機構30の第1アーム33と同一方向に延びるように、旋回シャフト51によって支持されている。したがって、第1洗浄機構30の第1スポンジ31と、第2洗浄機構40の第2スポンジ41とは、ウェーハ100を挟むように対向配置されている。
【0031】
また、本実施形態では、第2スポンジ41は、
図2に示すように、第1スポンジ31よりも大きい径を有している。具体的には、第2スポンジ41の直径は、ウェーハ100におけるトリミング部分103の径方向の幅の2倍(すなわち、表面101の直径と裏面102の直径との差)だけ、第1スポンジ31の直径よりも大きく形成されている。
【0032】
第2洗浄水ノズル45は、洗浄水源200に接続されており、ウェーハ洗浄装置1に支持されているウェーハ100の裏面102に向けて洗浄水を噴射するために用いられる。
【0033】
径方向移動機構50は、
図1および
図2に示すように、第1洗浄機構30の第1アーム33および第2洗浄機構40の第2アーム43、これら第1アーム33および第2アーム43を支持する旋回シャフト51、旋回シャフト51を回転させるための旋回用モータ52、旋回用モータ52に取り付けられた主動ギア53、および、旋回シャフト51の下端に取り付けられた従動ギア54を含んでいる。
【0034】
旋回シャフト51は、ウェーハ洗浄装置1に支持されているウェーハ100の表面101に対して垂直に延在している。旋回用モータ52が主動ギア53を回転駆動することで、主動ギア53に歯合されている従動ギア54が回転する。従動ギア54が回転することで、旋回シャフト51が回転する。
【0035】
そして、旋回シャフト51が回転することにより、旋回シャフト51に支持されている第1洗浄機構30の第1アーム33および第2洗浄機構40の第2アーム43が、旋回シャフト51を旋回軸として旋回する。
【0036】
これにより、第1アーム33に第1スポンジシャフト32を介して支持されている第1スポンジ31が、ウェーハ100の表面101上で、表面101の中心を通るように、ウェーハ100の径方向に移動する。さらに、第2アーム43に第2スポンジシャフト42を介して支持されている第2スポンジ41も、ウェーハ100の裏面102上で、裏面102の中心を通るように、ウェーハ100の径方向に移動する。
【0037】
このように、径方向移動機構50は、第1スポンジ31と第2スポンジ41とを、ウェーハ100を挟むように対向配置させ、ウェーハ100の径方向に移動させるように構成されている。
【0038】
また、ウェーハ洗浄装置1は、
図2に示すように、第1スポンジ31をウェーハ100の表面101に垂直な方向に延在する回転軸で回転させる第1回転機構60、および、第2スポンジ41をウェーハ100の裏面102に垂直な方向に延在する回転軸で回転させる第2回転機構70を有している。
【0039】
第1回転機構60は、
図2に示すように、スポンジ回転用モータ61、スポンジ回転用モータ61に取り付けられた回転シャフト62、回転シャフト62の先端に取り付けられた第1主動プーリ63、第1主動プーリ63に対して第1無端ベルト64を介して接続されている第1従動プーリ65、および、第1従動プーリ65に取り付けられた上述の第1スポンジシャフト32を含んでいる。
【0040】
スポンジ回転用モータ61が回転シャフト62を回転駆動することで、その先端の第1主動プーリ63が回転され、第1主動プーリ63の回転に伴って第1無端ベルト64が回動する。そして、第1無端ベルト64が回動することで、第1従動プーリ65および第1スポンジシャフト32が回転する。これにより、第1スポンジシャフト32の先端に取り付けられた第1スポンジ31が、ウェーハ100の表面101に垂直な方向に延在する第1スポンジシャフト32を回転軸として、矢印503に示すように回転される。
【0041】
第2回転機構70は、
図2に示すように、上述したスポンジ回転用モータ61および回転シャフト62に加えて、回転シャフト62の基端側に取り付けられた第2主動プーリ73、第2主動プーリ73に対して第2無端ベルト74を介して接続されている第2従動プーリ75、および、第2従動プーリ75に取り付けられた上述の第2スポンジシャフト42を含んでいる。
【0042】
スポンジ回転用モータ61が回転シャフト62を回転駆動することで、第2主動プーリ73が回転され、第2主動プーリ73の回転に伴って第2無端ベルト74が回動する。そして、第2無端ベルト74が回動することで、第2従動プーリ75および第2スポンジシャフト42が回転する。これにより、第2スポンジシャフト42の先端に取り付けられた第2スポンジ41が、ウェーハ100の裏面102に垂直な方向に延在する第2スポンジシャフト42を回転軸として、矢印504に示すように回転される。
【0043】
なお、本実施形態では、第1回転機構60の回転軸である第1スポンジシャフト32と、第2回転機構70の回転軸である第2スポンジシャフト42とは、同一軸上に配置されている。
【0044】
また、ウェーハ洗浄装置1は、ウェーハ100のトリミング部分103に水とエアとの混合流体である二流体を噴射してトリミング部分103を洗浄する二流体ノズル80を備えている。
図1および
図2に示すように、二流体ノズル80は、第1洗浄機構30の第1アーム33の基端側に、取付板37を介して下向きに取り付けられている。
【0045】
二流体ノズル80は、水とエアとの混合流体である二流体を噴射するように構成されている。すなわち、
図1および
図2に示すように、二流体ノズル80は、エア源91に連通可能なエア配管81、および、水源92に連通可能な水配管82を有している。二流体ノズル80は、エア配管81介して供給されるエアと水配管82を介して供給される水とを混合することにより、二流体を生成することができる。また、二流体ノズル80は、その下端に、二流体を下向きに噴射する噴射口83を備えている。
【0046】
二流体ノズル80は、第1回転機構60による第1アーム33の旋回に伴って、ウェーハ100の表面101上で移動することにより、ウェーハ100のトリミング部分103の上方に配置されて、噴射口83からトリミング部分103に、二流体を噴射することが可能である。
【0047】
また、ウェーハ洗浄装置1は、その内部に、ウェーハ洗浄装置1の制御のための制御部7を有している。制御部7は、制御プログラムに従って演算処理を行うCPU、および、メモリ等の記憶媒体等を備えている。制御部7は、各種の処理を実行し、ウェーハ洗浄装置1の各構成要素を統括制御する。たとえば、制御部7は、ウェーハ洗浄装置1の上述した各部材を制御して、ウェーハ100に対する洗浄処理を実行する。
【0048】
以下に、本実施形態におけるウェーハ洗浄装置1による洗浄処理について説明する。
【0049】
ウェーハ洗浄装置1による洗浄処理では、まず、作業者が、ウェーハ100を、トリミング部分103の形成されている表面101が上向きとなるように、ウェーハ洗浄装置1の第1回転ローラ11、第2回転ローラ12、第1従動ローラ21および第2従動ローラ22に支持させる。次に、制御部7が、径方向移動機構50を制御して、第1洗浄機構30の第1スポンジ31をウェーハ100の表面101に接触させるとともに、第2洗浄機構40の第2スポンジ41を裏面102に接触させる。
【0050】
次に、制御部7が、第1回転ローラ11および第2回転ローラ12の回転ローラ部13を、ローラ回転用モータ15を用いて回転させる。これにより、ウェーハ100が、ウェーハ100の中心を通る回転軸を中心として従動回転する。
【0051】
さらに、制御部7は、第1洗浄機構30の第1洗浄水ノズル35および第2洗浄機構40の第2洗浄水ノズル45を、洗浄水源200に連通させる。これにより、ウェーハ100の表面101および裏面102のそれぞれに向けて、洗浄水が噴射される。
【0052】
次に、制御部7は、第1回転機構60および第2回転機構70のスポンジ回転用モータ61を駆動することにより、ウェーハ100の表面101に接触している第1洗浄機構30の第1スポンジ31、および、裏面102に接触している第2洗浄機構40の第2スポンジ41を回転させる。
【0053】
続いて、制御部7は、二流体ノズル80のエア配管81にエア源91を連通させるとともに、水配管82に水源92を連通させる。これにより、二流体ノズル80の噴射口83から、水とエアとの混合流体である二流体が噴射される。
【0054】
次に、制御部7は、径方向移動機構50の旋回用モータ52を駆動することにより、
図3に矢印505によって示すように、旋回シャフト51を回転させる。これにより、第1洗浄機構30の第1アーム33および第2洗浄機構40の第2アーム43が、旋回シャフト51を旋回軸として旋回する。
【0055】
これにより、第1アーム33に支持されて回転している第1スポンジ31が、ウェーハ100の表面101上で、表面101の中心を通るように、ウェーハ100の径方向に移動する。さらに、第2アーム43に支持されて回転している第2スポンジ41も、ウェーハ100の裏面102上で、裏面102の中心を通るように、ウェーハ100の径方向に移動する。
【0056】
この際、制御部7は、径方向移動機構50を用いて、第1スポンジ31を、ウェーハ100の表面101の中心とトリミング部分103の手前との間で移動させる。
【0057】
ここで、上述したように、第1スポンジ31と第2スポンジ41とは、ウェーハ100を挟むように対向配置されているとともに、第2スポンジ41の直径は、トリミング部分103の径方向の幅の2倍分だけ、第1スポンジ31の直径よりも大きい。したがって、第1スポンジ31をウェーハ100の表面101の中心とトリミング部分103の手前との間で移動させることによって、第2スポンジ41を、ウェーハ100の裏面102の中心と外周との間で移動させることができる。
【0058】
このようにして、本実施形態では、制御部7の制御により、径方向移動機構50によって、第1スポンジ31が、ウェーハ100の表面101の中心とトリミング部分103の手前との間で移動され、第2スポンジ41が、ウェーハ100の裏面102の中心と外周との間で移動される。これにより、洗浄水が噴射されている表面101および裏面102の全面に、回転している第1スポンジ31および第2スポンジ41を接触させて、表面101および裏面102の全面を洗浄することができる。
【0059】
また、第1回転機構60による第1アーム33の旋回に伴って、二流体ノズル80も、ウェーハ100の表面101上で移動する。そして、二流体ノズル80がトリミング部分103の上方に配置されたときに、噴射口83の二流体がトリミング部分103に噴射される。これにより、トリミング部分103が二流体により洗浄される。
【0060】
以上のように、本実施形態では、トリミング部分103が形成されているウェーハ100の表面101を洗浄する際、第1スポンジ31を、表面101の中心とトリミング部分103の手前との間で移動させている。したがって、第1スポンジ31がトリミング部分103に接触することが抑制されるため、トリミング部分103によって第1スポンジ31が削られることを抑制することができる。このため、第1スポンジ31を交換する頻度を減らすことが可能である。また、第1スポンジ31の削り屑の発生が抑えられるので、この削り屑を洗い流す工程が不要となる。したがって、ウェーハ100を短時間で洗浄することが可能となる。
【0061】
さらに、本実施形態では、第1スポンジ31および第2スポンジ41をウェーハ100の径方向に移動させて表面101および裏面102を洗浄している際に、二流体ノズル80から噴射した二流体によって、トリミング部分103を洗浄している。したがって、表面101および裏面102とトリミング部分103とを同時に洗浄することができる。したがって、洗浄時間が長くなることを抑制することができる。
【0062】
また、本実施形態では、二流体ノズル80が、第1洗浄機構30の第1アーム33の基端側に取り付けられている。したがって、二流体ノズル80と第1スポンジ31および第2スポンジ41とが離れているため、二流体ノズル80から噴出される二流体によってトリミング部分103が洗浄されたときに、トリミング部分103を洗浄した汚れを含む二流体が、第1スポンジ31または第2スポンジ41にかかることを抑制することができる。
【0063】
また、本実施形態では、径方向移動機構50によって、第1スポンジ31をウェーハ100の中心からトリミング部分103の手前に移動させた際に、第2スポンジ41が、ウェーハ100の中心から外周に移動するよう、第2スポンジ41が第2スポンジ41よりも大きく形成されている。したがって、第1スポンジ31がウェーハ100のトリミング部分103に接触することを回避しながら、ウェーハ100の表面101の全面および裏面102の全面を、第1スポンジ31および第2スポンジ41によって容易に洗浄することが可能である。
【0064】
なお、制御部7は、二流体ノズル80がトリミング部分103の上方に配置されていないときには、二流体ノズル80から水のみを噴出させるか、二流体ノズル80からの流体の噴出を停止してもよい。
【0065】
また、本実施形態では、ウェーハ洗浄装置1は、ウェーハ100の外周縁を支持する支持ローラとして、4つの支持ローラ、すなわち、第1回転ローラ11、第2回転ローラ12、第1従動ローラ21および第2従動ローラ22を有している。これに関し、ウェーハ洗浄装置1には、少なくとも3つの支持ローラが備えられていればよい。したがって、ウェーハ100の外周縁を支持する支持ローラの数は、3つであってもよいし、5つ以上であってもよい。なお、支持ローラにおける少なくとも1つは、ローラ回転用モータ15を含む回転ローラである。
【0066】
また、本実施形態では、二流体ノズル80が第1洗浄機構30の第1アーム33の基端側に取り付けられている一方、第1スポンジ31が、第1アーム33の先端に取り付けられており、二流体ノズル80と第1スポンジ31とが比較的に離れている。これに関し、たとえば先端が2つに分かれたV字状あるいはY字状の第1アーム33を用いることなどにより、第1スポンジ31と二流体ノズル80とが互いに隣接するように配置されてもよい。
【0067】
この場合、制御部7は、二流体ノズル80がトリミング部分103の上方に配置されていないときには、二流体ノズル80から水のみを噴出させるか、二流体ノズル80からの流体の噴出を停止する一方、二流体ノズル80がトリミング部分103の上方に配置されたときには、二流体ノズル80から二流体を噴射させて、トリミング部分103を洗浄するような制御を実施してもよい。
【0068】
また、本実施形態では、第1スポンジ31がウェーハ100のトリミング部分103に接触することを回避しながら、表面101および裏面102の全面を洗浄するために、第2スポンジ41が第1スポンジ31よりも大きく形成されている。これに関し、第2スポンジ41を第1スポンジ31よりも大きく形成することに代えて、第1スポンジ31を支持している第1アーム33を、第2スポンジ41を支持している第2アーム43よりも短くしてもよい。
【0069】
すなわち、本実施形態では、径方向移動機構50によって、第1スポンジ31をウェーハ100の中心からトリミング部分103の手前に移動させた際に、第2スポンジ41が、ウェーハ100の中心から外周に移動するよう、第1スポンジ31を支持している第1アーム33が、第2スポンジ41を支持している第2アーム43よりも短く形成されていてもよい。
【0070】
あるいは、制御部7は、第1スポンジ31がウェーハ100のトリミング部分103に接触することを回避しながら、表面101および裏面102の全面を洗浄できるように、第1スポンジ31を支持している第1アーム33と、第2スポンジ41を支持している第2アーム43とを、個別に旋回させてもよい。
【0071】
また、本実施形態では、ウェーハ100が、トリミング部分103の形成されている表面101が上向きとなるように、ウェーハ洗浄装置1に設置されている。
これに関し、ウェーハ100は、トリミング部分103の形成されている表面101が下向きとなるように、ウェーハ洗浄装置1に設置されてもよい。この場合、表面101を洗浄する第1スポンジ31を含む第1洗浄機構30がウェーハ100の下方に配置される一方、裏面102を洗浄する第2スポンジ41を含む第2洗浄機構40がウェーハ100の上方に配置される。そして、二流体ノズル80は、第1洗浄機構30の第1アーム33に、噴射口83から上方に向けて二流体を噴射するように、上向きに配置される。
【0072】
また、本実施形態では、第2スポンジ41の直径は、
図2に示すように、ウェーハ100におけるトリミング部分103の径方向の幅の2倍(すなわち、表面101の直径と裏面102の直径との差)だけ、第1スポンジ31の直径よりも大きく形成されている。これに関し、
図4に示すように、第2スポンジ41の直径は、ウェーハ100におけるトリミング部分103の径方向の幅(すなわち、表面101の半径と裏面102の半径との差)D1だけ、第1スポンジ31の直径よりも大きく形成されていてもよい。
【0073】
この場合、第1スポンジ31の外周の一部と第2スポンジ41の外周の一部とが、径方向において同じ位置になるように、第1スポンジ31および第2スポンジ41が配置されているとよい。たとえば、
図4に示す例では、第1スポンジ31および第2スポンジ41がウェーハ100の中央付近に配置されているときに、第1スポンジ31および第2スポンジ41の外周における+Y方向側の端部が重なっている。すなわち、このような重なりが生じるように、第1スポンジ31および第2スポンジ41の中心どうしが互いにずれている。
【0074】
この場合にも、
図4に矢印506によって示すように、旋回シャフト51が回転することにより、第1アーム33に支持されている第1スポンジ31が、ウェーハ100の表面101の中心とトリミング部分103の手前との間で移動されたときに、第2アーム43に支持されている第2スポンジ41が、ウェーハ100の裏面102の中心と外周との間で移動されて、表面101および裏面102の全面を洗浄することができる。したがって、第1スポンジ31がウェーハ100のトリミング部分103に接触することを回避しながら、ウェーハ100の表面101の全面および裏面102の全面を、第1スポンジ31および第2スポンジ41によって容易に洗浄することが可能である。
【符号の説明】
【0075】
1:ウェーハ洗浄装置、7:制御部、11:第1回転ローラ、12:第2回転ローラ、
13:回転ローラ部、14:ローラ回転軸、15:ローラ回転用モータ、
16:ローラ本体、17:凸部、21:第1従動ローラ、22:第2従動ローラ、
23:従動ローラ部、24:従動ローラ台、26:ローラ本体、27:凸部、
30:第1洗浄機構、31:第1スポンジ、32:第1スポンジシャフト、
33:第1アーム、35:第1洗浄水ノズル、37:取付板、40:第2洗浄機構、
41:第2スポンジ、42:第2スポンジシャフト、43:第2アーム、
45:第2洗浄水ノズル、50:径方向移動機構、51:旋回シャフト、
52:旋回用モータ、53:主動ギア、54:従動ギア、60:第1回転機構、
61:スポンジ回転用モータ、62:回転シャフト、63:第1主動プーリ、
64:第1無端ベルト、65:第1従動プーリ、70:第2回転機構、
73:第2主動プーリ、74:第2無端ベルト、75:第2従動プーリ、
80:二流体ノズル、81:エア配管、82:水配管、83:噴射口、
91:エア源、92:水源、200:洗浄水源、
100:ウェーハ、101:表面、102:裏面、103:トリミング部分