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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166233
(43)【公開日】2023-11-21
(54)【発明の名称】電気音響変換器
(51)【国際特許分類】
   H04R 17/00 20060101AFI20231114BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
H04R17/00
H05K1/03 610N
H05K1/03 630G
H05K1/03 670
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077145
(22)【出願日】2022-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】情家 智也
(72)【発明者】
【氏名】榎本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】山田 英雄
(72)【発明者】
【氏名】片上 崇治
(72)【発明者】
【氏名】掛札 尚
(72)【発明者】
【氏名】臼井 孝英
【テーマコード(参考)】
5D004
【Fターム(参考)】
5D004AA01
5D004AA02
5D004BB02
5D004CC03
5D004CC10
5D004DD01
5D004DD03
(57)【要約】
【課題】良好なロールオフ周波数特性と良好な感度特性とを両立させる。
【解決手段】電気音響変換器(1)は、振動部(34)とスリット(35)と伸縮膜(4)とを有している。振動部は、固定端部(341)と自由端部(342)とを有し、固定端部から自由端部に向かって指向軸(CA)と直交する延設方向に沿って片持ち梁状に延設されることで自由端部が指向軸に沿って移動する態様で振動可能に設けられている。スリットは、指向軸と直交し且つ延設方向と直交する幅方向における振動部の両端に形成されている。伸縮膜は、指向軸に沿った軸方向についてスリットを閉塞するように設けられている。スリットは、自由端部側に設けられた広幅部(351)と、広幅部よりも幅狭に形成された狭幅部(352)とを有している。伸縮膜は、狭幅部を閉塞しない一方で広幅部を閉塞するように設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気音響変換器(1)であって、
固定端部(34a)と自由端部(34b)とを有し、前記固定端部から前記自由端部に向かって指向軸(CA)と直交する延設方向に沿って片持ち梁状に延設されることで前記自由端部が前記指向軸に沿って移動する態様で振動可能に設けられた、振動部(34)と、
前記指向軸と直交し且つ前記延設方向と直交する幅方向における前記振動部の両端に形成された、スリット(35)と、
前記指向軸に沿った軸方向について前記スリットを閉塞するように設けられた、伸縮膜(4)と、
を有し、
前記スリットは、前記自由端部側に設けられた広幅部(352)と、前記広幅部よりも幅狭に形成された狭幅部(351)とを有し、
前記伸縮膜は、前記狭幅部を閉塞しない一方で前記広幅部を閉塞するように設けられた、
電気音響変換器。
【請求項2】
前記広幅部および/または前記狭幅部は、一定幅に形成された、
請求項1に記載の電気音響変換器。
【請求項3】
前記伸縮膜は、前記広幅部における前記狭幅部側の端部を閉塞しないように設けられた、
請求項1に記載の電気音響変換器。
【請求項4】
前記広幅部における前記狭幅部側の端縁である外端縁(353)と前記伸縮膜との間には、前記狭幅部の幅以下の隙間(G)が形成された、
請求項3に記載の電気音響変換器。
【請求項5】
前記伸縮膜は、前記軸方向に沿って当該伸縮膜を貫通する欠損部(402)を有し、
前記欠損部は、前記狭幅部に向かって開口するように設けられた、
請求項1に記載の電気音響変換器。
【請求項6】
電気音響変換器(1)であって、
固定端部(34a)と自由端部(34b)とを有し、前記固定端部から前記自由端部に向かって指向軸(CA)と直交する延設方向に沿って片持ち梁状に延設されることで前記自由端部が前記指向軸に沿って移動する態様で振動可能に設けられた、振動部(34)と、
前記指向軸と直交し且つ前記延設方向と直交する幅方向における前記振動部の両端に形成された、スリット(35)と、
前記指向軸と平行な軸方向に沿って形成され、前記自由端部側にて前記スリットに連通するように前記軸方向と交差する面内方向について前記スリットに隣接配置された、貫通孔部(354)と、
前記軸方向について前記スリットを閉塞しない一方で前記貫通孔部を閉塞するように設けられた、伸縮膜(4)と、
を有する、
電気音響変換器。
【請求項7】
前記貫通孔部は、前記自由端部にて前記延設方向に向かって開口するように設けられた凹部(R)を含む、
請求項6に記載の電気音響変換器。
【請求項8】
前記伸縮膜は、前記軸方向について貫通する膜貫通孔(404)を有する、
請求項1または6に記載の電気音響変換器。
【請求項9】
前記伸縮膜は、合成樹脂により形成された、
請求項1または6に記載の電気音響変換器。
【請求項10】
前記伸縮膜は、ポリイミド樹脂またはポリベンゾオキサゾール樹脂により形成された、
請求項9に記載の電気音響変換器。
【請求項11】
前記振動部は、窒化スカンジウムアルミニウムにより形成された、
請求項1または6に記載の電気音響変換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気音響変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の圧電素子は、圧電素子部と、圧電素子部の周縁部を支持する支持部と、圧電素子部より伸縮性が高い伸縮膜と、を備える。伸縮膜は、圧電素子部の周縁部の内側の振動領域に設けられている。圧電素子部における振動領域には、当該振動領域を厚み方向に貫通するスリットが設けられている。伸縮膜は、振動領域におけるスリットの開口の少なくとも一部を覆い、スリットにより分離された振動領域を一体化させるように配置されている。
【0003】
ところで、圧電膜にスリットを設けて片持ち梁構造としたこの種の圧電素子では、圧電膜または電極膜の湾曲によって、実質的な梁間のギャップが大きくなり、音響抵抗が低下する場合があった。この点、特許文献1に記載の構成によれば、振動領域にスリットが設けられている場合であっても、伸縮膜を設けることで振動領域の湾曲が抑制される。よって、振動領域におけるスリットを介して対向する領域間のギャップの増大が抑制される。また、仮に振動領域が湾曲した場合であっても、スリットの少なくとも一部を覆うように伸縮膜を配置することで、音響抵抗の低下の抑制を図ることができる。したがって、かかる構成によれば、SN比および感度特性の低下を抑制することができる。また、伸縮膜は、圧電素子部より伸縮性が高い。このため、伸縮膜の残留応力による共振周波数への悪影響を抑制することができる。また、圧電素子部における振動領域の振動によって、伸縮膜が破損することも抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2021/024865号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の構成において、スリットの開口面積が大きくなると、ロールオフ周波数特性が悪化することが知られている。この点、特許文献1に記載の構成においては、伸縮膜によってスリットの少なくとも一部を覆うことで、スリットの開口面積を低減してロールオフ周波数特性の悪化を抑制しようとしている。一方、スリットの被覆面積を大きくすると、振動領域の変形が抑制され、これにより感度低下が生じる。本発明は、上記に例示した事情等に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、例えば、良好なロールオフ周波数特性と良好な感度特性とを両立させることを可能とする構成を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の電気音響変換器(1)は、
固定端部(34a)と自由端部(34b)とを有し、前記固定端部から前記自由端部に向かって指向軸(CA)と直交する延設方向に沿って片持ち梁状に延設されることで前記自由端部が前記指向軸に沿って移動する態様で振動可能に設けられた、振動部(34)と、
前記指向軸と直交し且つ前記延設方向と直交する幅方向における前記振動部の両端に形成された、スリット(35)と、
前記指向軸に沿った軸方向について前記スリットを閉塞するように設けられた、伸縮膜(4)と、
を有し、
前記スリットは、前記自由端部側に設けられた広幅部(352)と、前記広幅部よりも幅狭に形成された狭幅部(351)とを有し、
前記伸縮膜は、前記狭幅部を閉塞しない一方で前記広幅部を閉塞するように設けられている。
請求項6に記載の電気音響変換器(1)は、
固定端部(34a)と自由端部(34b)とを有し、前記固定端部から前記自由端部に向かって指向軸(CA)と直交する延設方向に沿って片持ち梁状に延設されることで前記自由端部が前記指向軸に沿って移動する態様で振動可能に設けられた、振動部(34)と、
前記指向軸と直交し且つ前記延設方向と直交する幅方向における前記振動部の両端に形成された、スリット(35)と、
前記指向軸と平行な軸方向に沿って形成され、前記自由端部側にて前記スリットに連通するように前記軸方向と交差する面内方向について前記スリットに隣接配置された、貫通孔部(354)と、
前記軸方向について前記スリットを閉塞しない一方で前記貫通孔部を閉塞するように設けられた、伸縮膜(4)と、
を有する。
【0007】
なお、出願書類中の各欄において、各要素に括弧付きの参照符号が付されている場合がある。この場合、参照符号は、同要素と後述する実施形態に記載の具体的構成との対応関係の単なる一例を示すものである。よって、本発明は、参照符号の記載によって、何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る電気音響変換器の概略的な構成を示す側断面図である。
図2図1に示された電気音響変換器の第一実施形態に係る概略的な構成を示す平面図である。
図3図1に示された電気音響変換器の第二実施形態に係る概略的な構成を示す平面図である。
図4図1に示された電気音響変換器の第三実施形態に係る概略的な構成を示す平面図である。
図5図1に示された電気音響変換器の第四実施形態に係る概略的な構成を示す平面図である。
図6図1に示された電気音響変換器の第五実施形態に係る概略的な構成を示す平面図である。
図7図1に示された電気音響変換器の第六実施形態に係る概略的な構成を示す平面図である。
図8図1に示された電気音響変換器の第七実施形態に係る概略的な構成を示す平面図である。
図9図1に示された電気音響変換器の第八実施形態に係る概略的な構成を示す平面図である。
図10図1に示された伸縮膜の一変形例に係る概略的な構成を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、一つの実施形態に対して適用可能な各種の変形例については、当該実施形態に関する一連の説明の途中に挿入されると、当該実施形態の理解が妨げられるおそれがある。このため、変形例については、当該実施形態に関する一連の説明の途中には挿入せず、その後にまとめて説明する。また、各図面の記載や、これに対応して以下に説明する装置構成やその機能あるいは動作の記載は、本発明の内容を簡潔に説明するために簡略化されたものであって、本発明の内容を何ら限定するものではない。このため、各図に示された例示的な構成と、実際に製造販売される具体的な構成とは、必ずしも一致するとは限らないということは、云うまでもない。すなわち、出願人が本願の出願経過により明示的に限定しない限りにおいて、本発明は、各図面の記載や、これに対応して以下に説明する装置構成やその機能あるいは動作の記載によって限定的に解釈されてはならないことは、云うまでもない。
【0010】
(第一実施形態)
図1および図2を参照しつつ、第一実施形態に係る電気音響変換器1について説明する。なお、図1は、図2におけるI-I断面図に相当する。また、説明の便宜上、図示の如く、Z軸が指向軸CAと平行となるように、右手系XYZ直交座標系を設定する。指向軸CAは、音波または超音波を送信または受信する電気音響変換器1における指向性の基準となる仮想直線であり、「指向中心軸」とも称され得る。指向軸CAは、典型的には、指向性の範囲、例えば、所定利得あるいは所定音響レベルが得られる範囲を、略円錐形状や略紡錘形状等の立体形状で表した場合の、当該立体形状の軸中心を示す仮想直線に相当するものである。具体的には、例えば、指向軸CAは、音圧半減角の中心軸である。以下、指向軸CAに沿った方向、すなわち、指向軸CAと平行な方向を、「軸方向」と称する。よって、軸方向は、図中Z軸と平行な方向である。また、軸方向と交差する方向、典型的には、軸方向と直交する任意の方向を、「面内方向」と称する。「面内方向」は、図中XY平面と平行な方向である。「面内方向」は、場合によっては、「径方向」とも称され得る。「径方向」は、指向軸CAと直交しつつ当該指向軸CAから離隔する方向である。すなわち、「径方向」は、指向軸CAと直交する仮想平面と指向軸CAとの交点を起点として当該仮想平面内に半直線を描いた場合に、当該半直線が延びる方向である。換言すれば、「径方向」は、指向軸CAと直交する仮想平面と指向軸CAとの交点を中心として当該仮想平面内に円を描いた場合の、当該円の半径方向である。また、「面内方向」は、場合によっては、「周方向」とも称され得る。「周方向」は、指向軸CAと直交する仮想平面と指向軸CAとの交点を中心として当該仮想平面内に円を描いた場合の、当該円の円周方向である。さらに、図1における上方からZ軸と反対方向の視線で電気音響変換器1やその構成要素を見ることを、「平面視」と称する。すなわち、「平面視」における、或る構成要素の形状は、同構成要素を図中XY平面に写像した場合の形状に相当するものである。
【0011】
電気音響変換器1は、いわゆる圧電MEMSマイクとしての構成を有している。MEMSはMicro Electro Mechanical Systemの略である。具体的には、図1に示されているように、電気音響変換器1は、支持部2と、圧電素子部3と、伸縮膜4とを備えている。
【0012】
支持部2は、指向軸CAを囲む筒状あるいは環状に形成されている。本実施形態においては、支持部2は、指向軸CAを対称中心軸とする四角筒状あるいは四角環状の形状を有している。具体的には、支持部2は、一定厚さを有し指向軸CAと平行に配設された4枚の平板状の壁材が継ぎ目なく一体に結合された構造を有していて、平面視における形状が正方形状に形成されている。すなわち、支持部2は、その外壁面21が平面視にて正方形状となるように構成されている。また、支持部2の内壁面22によって囲まれた空間である空洞部23は、平面視における形状が正方形状に形成されている。支持部2の軸方向における一方側すなわち図中Z軸正方向側の端面である上端面24は、圧電素子部3により閉塞されている。支持部2は、例えば、アルミナ等のセラミックスやシリコン系の半導体基板等により形成され得る。
【0013】
圧電素子部3は、軸方向に厚さ方向を有する薄板状に形成されている。すなわち、圧電素子部3における一対の主面である上側表面30aおよび下側表面30bは、指向軸CAと直交する平面状に形成されている。「主面」は、板状の部分または部材における、板厚方向と直交する表面である。圧電素子部3は、下側表面30bの周縁部すなわち径方向における外縁部にて、支持部2における上端面24に接合されることで、支持部2に固定的に支持されている。本実施形態においては、支持部2における四角筒形状に対応して、圧電素子部3は、平面視にて正方形状に形成されている。
【0014】
圧電素子部3は、圧電膜31と電極膜32とによって構成されている。本実施形態においては、圧電膜31は、圧電材料である窒化スカンジウムアルミニウム等により薄膜状に形成されている。また、圧電素子部3は、複数の圧電膜31を軸方向に積層した多層構造を有している。銅箔等の金属薄膜からなる電極膜32は、圧電膜31の両面に設けられている。
【0015】
圧電素子部3は、固定部33と振動部34とを有している。固定部33は、圧電素子部3の周縁部すなわち径方向における外縁部であって、支持部2に固定されている。振動部34は、固定部33よりも径方向における内側に設けられている。振動部34は、固定部33から指向軸CAに向かって延設された片持ち梁状に形成されている。すなわち、振動部34は、固定端部34aと自由端部34bとを有している。そして、圧電素子部3における振動領域である振動部34は、固定端部34aから自由端部34bに向かって指向軸CAと直交する延設方向に沿って片持ち梁状に延設されることで、自由端部34bが指向軸CAに沿って移動する態様で振動可能に設けられている。また、圧電素子部3は、複数の振動部34を有している。本実施形態においては、図2に示されているように、4個の振動部34が、周方向について等間隔に配置されている。なお、図2においては、振動部34および後述するスリット35の平面視における形状を視認しやすくするため、伸縮膜4を想像線で示している。同図における上側の振動部34は、Y軸負方向が延設方向となりX軸方向が幅方向となるように形成されている。同図における下側の振動部34は、Y軸正方向が延設方向となりX軸方向が幅方向となるように形成されている。同図における右側の振動部34は、X軸負方向が延設方向となりY軸方向が幅方向となるように形成されている。同図における左側の振動部34は、X軸正方向が延設方向となりY軸方向が幅方向となるように形成されている。
【0016】
指向軸CAと直交し且つ振動部34の延設方向と直交する、振動部34の幅方向における、振動部34の両端には、スリット35が設けられている。スリット35は、圧電素子部3を厚さ方向に貫通するように形成されている。すなわち、振動部34は、一対のスリット35の間に設けられている。本実施形態においては、振動部34が4個設けられていることに対応して、圧電素子部3には、4本のスリット35が、平面視にて、それぞれ、圧電素子部3における正方形状の角から指向軸CAに向かって延設されている。
【0017】
スリット35は、固定端部34a側すなわち外側に設けられた狭幅部351と、自由端部34b側すなわち内側に設けられた広幅部352とを有している。狭幅部351は、広幅部352よりも幅狭に形成されている。本実施形態においては、狭幅部351および広幅部352は、一定幅に形成されている。すなわち、広幅部352における狭幅部351側の端縁すなわち径方向における外側の端縁である外端縁353は、平面視にて、狭幅部351の延設方向と直交する直線状に形成されている。換言すれば、狭幅部351と広幅部352とは、外端縁353にて設けられた段差部にて互いに接続している。そして、指向軸CAに沿って圧電素子部3を貫通する貫通孔部354は、指向軸CAを挟んで対向する一対の広幅部352を接続した平面視にて長方形状の仮想領域同士が重複する、正方形状の領域として設けられている。すなわち、貫通孔部354は、自由端部34b側(すなわち振動部34の固定端部34aからの延設方向側)にてスリット35に連通するように、面内方向についてスリット35に隣接配置されている。かかる貫通孔部354は、圧電素子部3の面内方向における中央部に設けられている。そして、広幅部352は、貫通孔部354から狭幅部351に向かって延設されている。
【0018】
伸縮膜4は、軸方向についてスリット35を閉塞するように、圧電素子部3に取り付けられている。伸縮膜4は、圧電素子部3よりも高い伸縮性を有している。具体的には、伸縮膜4は、ポリイミド樹脂やポリベンゾオキサゾール樹脂等の合成樹脂により形成されている。本実施形態においては、伸縮膜4は、スリット35の延設方向における全体ではなくその一部を閉塞するように設けられている。すなわち、図2に示されているように、伸縮膜4は、狭幅部351を閉塞しない一方で広幅部352を閉塞するように設けられている。具体的には、伸縮膜4は、広幅部352における狭幅部351側の端部、すなわち、外端縁353およびその近傍部分を、閉塞しないように設けられている。より詳細には、外端縁353と伸縮膜4との間には、隙間Gが形成されている。隙間Gは、好適には、狭幅部351の幅以下に形成されている。そして、伸縮膜4は、圧電素子部3の上側表面30a側から、貫通孔部354と、広幅部352の径方向における外端縁353よりも内側の部分とを閉塞するように設けられている。
【0019】
本実施形態においては、伸縮膜4は、圧電素子部3の下側表面30bに達するまで、スリット35の内部に充填されている。また、伸縮膜4には、切欠部401が形成されている。切欠部401は、広幅部352の両側に設けられている。すなわち、伸縮膜4は、4つの広幅部352と貫通孔部354とによって形成された平面視にて略X字状の孔形状に対応して、平面視にて略X字状に形成されている。
【0020】
(効果)
以下、本実施形態の構成による動作概要を、同構成により奏される効果とともに、各図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係る電気音響変換器1は、振動部34における自由端部34bが指向軸CAに沿って移動する態様での撓みによる歪みと、圧電膜31の両面に設けられた一対の電極膜32の間の電圧との変換機能を有する。すなわち、例えば、音波あるいは超音波の受信による振動部34の撓み振動が、電極間電圧として取り出される。あるいは、例えば、外部からの電極間電圧の印加により、振動部34が撓み振動することで、音波あるいは超音波を発信する。
【0021】
本実施形態の構成においては、圧電素子部3の周縁部である固定部33が支持部2に固定されていても、スリット35を設けることで、振動部34の残留応力による共振周波数の変化やSN比の低下や感度特性の低下を抑制することが可能となる。また、伸縮膜4を用いて、スリット35による開口を覆うことで、スリット35により分離された振動部34を一体化させている。これにより、振動部34の片持ち梁構造に起因する圧電膜31または電極膜32の湾曲によって実質的な振動部34間のギャップが大きくなって音響抵抗が低下することを、抑制することが可能となる。また、スリット35の開口面積が低減されるため、ロールオフ周波数特性の悪化が抑制される。したがって、かかる構成によれば、SN比および感度特性の低下を抑制することが可能となる。
【0022】
ここで、スリット35の被覆面積を大きくすると、振動部34の変形が抑制され、これにより感度低下が生じる。この点、スリット35における、伸縮膜4により閉塞される部分を広幅部352とし、伸縮膜4により閉塞されない部分である狭幅部351の幅よりも広幅に形成することで、感度特性の低下が良好に抑制され得る。例えば、本実施形態に係る電気音響変換器1を音声認識用のMEMSマイクとして用いる場合、ロールオフ周波数が100Hz以下となるように、狭幅部351の幅が設定されることが好適である。また、振動部34の片持ち梁構造における梁の長さをLとし、振動部34の厚さをHとし、狭幅部351の幅をgと、スリット抵抗をRslitとした場合、狭幅部351の幅gは、下記の式を満たすように設定されることが好適である。
【数1】
【0023】
そして、本実施形態の構成においては、特許文献1に記載の構成とは異なり、スリット35における広幅部352の一部が、伸縮膜4により閉塞されず、軸方向に開放されている。すなわち、伸縮膜4は、広幅部352における狭幅部351側の端部を閉塞しないように設けられている。さらに、広幅部352における外端縁353と伸縮膜4との間には、狭幅部351の幅以下の隙間Gが形成されている。これにより、良好なロールオフ周波数特性と良好な感度特性とを両立させることが可能となる。
【0024】
本実施形態においては、伸縮膜4は、合成樹脂により形成されている。伸縮膜4を、振動部34を構成する材料よりも伸縮性が高いすなわち低ヤング率の材料である合成樹脂により形成することで、感度低下を良好に抑制することが可能となる。特に、伸縮膜4を、耐熱性や薬品耐性の面で優れたポリイミド樹脂やポリベンゾオキサゾール樹脂により形成することで、工程適合性や信頼性が向上する。さらに、振動部34を、窒化スカンジウムアルミニウムにより形成することで、圧電性が向上し、以て感度特性が向上する。
【0025】
(第二実施形態)
以下、第二実施形態について、図3を参照しつつ説明する。なお、以下の第二実施形態の説明においては、主として、上記第一実施形態と異なる部分について説明する。また、第一実施形態と第二実施形態とにおいて、互いに同一または均等である部分には、同一符号が付されている。したがって、以下の第二実施形態の説明において、第一実施形態と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、上記第一実施形態における説明が適宜援用され得る。後述する他の実施形態についても同様である。
【0026】
上記第一実施形態においては、感度特性の最適化のため、伸縮膜4に切欠部401を設けていた。しかしながら、本発明は、かかる態様に限定されない。すなわち、図2に示されていた、伸縮膜4における切欠部401は、省略され得る。そこで、本実施形態においては、図3に示されているように、伸縮膜4は、平面視にて矩形状、具体的には正方形状に形成されている。かかる構成においても、上記第一実施形態と同様の効果が奏され得る。同様に、伸縮膜4は、平面視にて多角形状に形成され得る。
【0027】
(第三実施形態)
以下、第三実施形態について、図4を参照しつつ説明する。本実施形態においては、伸縮膜4は、平面視にて楕円形状、具体的には円形状に形成されている。かかる構成においても、上記第一実施形態と同様の効果が奏され得る。なお、本実施形態においても、図2に示されていた、伸縮膜4における切欠部401は、省略されている。しかしながら、図4に示された構成において、伸縮膜4における、図中0時、3時、6時、および9時の位置に、図2に示されているような切欠部401を設けても差し支えない。
【0028】
(第四実施形態)
以下、第四実施形態について、図5を参照しつつ説明する。本実施形態においては、狭幅部351は、幅が変化するように形成されている。具体的には、狭幅部351は、指向軸CAに向かうにつれて幅が連続的すなわち直線的に増加するテーパ状に形成されている。一方、広幅部352は、一定幅に形成されている。かかる構成においても、上記第一実施形態と同様の効果が奏され得る。なお、図5に示された構成とは逆に、狭幅部351が一定幅に形成される一方で広幅部352の幅が変化するようになっていてもよい。
【0029】
(第五実施形態)
以下、第五実施形態について、図6を参照しつつ説明する。本実施形態においては、広幅部352と貫通孔部354とが一体化されている。すなわち、平面視にて矩形状すなわち正方形状の貫通孔部354によって、広幅部352が形成されている。この場合、伸縮膜4における、狭幅部351と広幅部352との接続部に対応する位置には、狭幅部351に向かって開口する凹部402が設けられている。かかる凹部402を設けることで、狭幅部351における広幅部352と接続する側の端部、および、広幅部352における狭幅部351との接続部の近傍部分が、伸縮膜4により閉塞されず、軸方向に開放される。これにより、良好なロールオフ周波数特性と良好な感度特性とを両立させることが可能となる。
【0030】
(第六実施形態)
以下、第六実施形態について、図7を参照しつつ説明する。本実施形態においては、上記第五実施形態における、広幅部352を構成する貫通孔部354の平面視における形状を、楕円形状、具体的には円形状に変更したものである。かかる構成においても、上記第五実施形態と同様の効果が奏され得る。なお、図7は、狭幅部351が一定幅に形成される一方で広幅部352の幅が変化する構成を開示するものと評価され得る。また、広幅部352を構成する貫通孔部354の平面視における形状は、上記各例のような矩形状や楕円形状に限定されず、例えば、多角形状であってもよい。
【0031】
(第七実施形態)
以下、第七実施形態について、図8を参照しつつ説明する。本実施形態に係る構成は、伸縮膜4の構成以外は、上記第一実施形態と同様である。本実施形態においては、伸縮膜4は、欠損部403を有している。欠損部403は、軸方向に沿って伸縮膜4を貫通するように設けられている。具体的には、欠損部403は、軸方向に沿って伸縮膜4に形成された溝あるいはスリット部としての構成を有している。また、欠損部403は、狭幅部351に向かって開口するように設けられている。すなわち、欠損部403は、平面視にて狭幅部351と連続するように配設されている。かかる構成によれば、伸縮膜4による振動部34の変形抑制に伴う感度低下を良好に抑制することが可能となる。なお、ロールオフ周波数特性の悪化を抑制するため、欠損部403は、狭幅部351と同等程度あるいはそれ以下の幅を有していることが好適である。
【0032】
(第八実施形態)
以下、第八実施形態について、図9を参照しつつ説明する。本実施形態においては、スリット35は、狭幅部351のみを有している。なお、かかる狭幅部351は、図9に示されているように一定幅に形成されてもよいし、図5に示されているようにテーパ状に形成されてもよい。一方、貫通孔部354は、自由端部34b側すなわち振動部34の延設方向側にてスリット35に連通するように、面内方向についてスリット35に隣接配置されている。さらに、図9に示された一構成例においては、貫通孔部354は、自由端部34bにて延設方向に向かって(すなわち指向軸CAに向かって)開口するように設けられた凹部Rを含むように形成されている。換言すれば、貫通孔部354は、図中略X字状に形成されたスリット35(すなわち狭幅部351)と重ならないように、図中略十字状に形成されている。なお、凹部Rは、図9に示されているような矩形状であってもよいし、半円状であってもよいし、多角形状であってもよい。そして、伸縮膜4は、指向軸CAと平行な軸方向についてスリット35を閉塞しない一方で貫通孔部354を閉塞するように設けられている。伸縮膜4は、振動部34の幅方向における貫通孔部354のほぼ全体を覆うように設けられてもよい。あるいは、伸縮膜4は、振動部34の幅方向における貫通孔部354の両端部を被覆せず露出させてもよい。かかる構成においても、上記各実施形態と同様の効果が奏され得る。
【0033】
なお、図2に示された第一実施形態においても、スリット35における広幅部352は、貫通孔部354の一部として把握することが可能である。そうすると、図2に示された第一実施形態においても、広幅部352を含む貫通孔部354は、面内方向についてスリット35(すなわち狭幅部351)に隣接配置されていると解釈することが可能である。そして、伸縮膜4は、指向軸CAと平行な軸方向について、スリット35(すなわち狭幅部351)を閉塞しない一方で、広幅部352を含む貫通孔部354を閉塞するように設けられていると解釈することが可能である。図3に示された第二実施形態~図8に示された第七実施形態についても同様である。この場合、図6に示された第五実施形態は、図9に示された凹部Rが三角形状である場合に対応する。
【0034】
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。故に、上記実施形態に対しては、適宜変更が可能である。以下、代表的な変形例について説明する。以下の変形例の説明においては、上記実施形態との相違点を主として説明する。また、上記実施形態と変形例とにおいて、互いに同一または均等である部分には、同一符号が付されている。したがって、以下の変形例の説明において、上記実施形態と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、上記実施形態における説明が適宜援用され得る。
【0035】
本発明は、上記実施形態に記載された具体的な装置構成に限定されない。すなわち、上述した通り、上記実施形態の記載は、本発明の内容を簡潔に説明するために簡略化されたものである。このため、実際に製造販売される製品に通常設けられる構成要素、例えば、ケーシングや接合材や端子や配線等は、上記実施形態やこれに対応する図面において、図示や説明が適宜省略されている。
【0036】
支持部2は、指向軸CAを囲む円筒状、楕円筒状、三角筒状、五角筒状、六角筒状、八角筒状、等の形状を有していてもよい。あるいは、支持部2は、指向軸CAを囲む円環状、楕円環状、三角環状、五角環状、六角環状、八角環状、等の形状を有していてもよい。同様に、圧電素子部3は、平面視にて円状、楕円状、三角形状、五角形状、六角形状、八角形状、等の形状を有していてもよい。
【0037】
上記実施形態においては、圧電素子部3は、支持部2における上端面24に固定されているが、本発明は、かかる態様に限定されない。すなわち、例えば、圧電素子部3の面内方向あるいは径方向における外端縁が、支持部2における内壁面22に設けられた溝や接着層等により固定されていてもよい。
【0038】
圧電素子部3に設けられる振動部34の個数についても、特段の限定はない。すなわち、例えば、圧電素子部3は、国際公開第2007/060768号に記載の構成と同様に、互いに向き合う一対の振動部34を備えていてもよい。あるいは、例えば、圧電素子部3は、3個あるいは5個以上の振動部34を備えていてもよい。
【0039】
伸縮膜4は、圧電素子部3の上側表面30a上に接合された一定膜厚を有する平坦な膜状に形成されていてもよい。すなわち、伸縮膜4は、軸方向すなわち圧電素子部3の厚さ方向についてスリット35の内部に進入していなくてもよく、スリット35を外側から被覆するように設けられていてもよい。また、伸縮膜4は、圧電素子部3の上側表面30a側に設けられる態様に限定されない。すなわち、例えば、伸縮膜4は、圧電素子部3の下側表面30b側に設けられていてもよい。
【0040】
図2等において、広幅部352における外端縁353は、平面視にて、曲線状に形成されていてもよいし、狭幅部351の延設方向に対して傾斜する直線状に形成されていてもよい。また、広幅部352は、指向軸CAに近づくにつれて幅が広がるテーパ状に形成されていてもよい。その他、スリット35における平面形状については、特段の限定はない。
【0041】
図10に示されているように、伸縮膜4は、軸方向について貫通する膜貫通孔404を有していてもよい。膜貫通孔404の形成個数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。膜貫通孔404の平面視における形状も、円形であってもよいし、楕円形であってもよいし、多角形状であってもよい。膜貫通孔404が複数設けられる場合の、面内方向における配置態様についても、特段の限定はない。なお、膜貫通孔404の面積(例えば膜貫通孔404が複数設けられている場合は総面積)は、良好なロールオフ周波数特性を維持するため、狭幅部351の面積と同等以下であることが好適である。
【0042】
上記の説明において、互いに継ぎ目無く一体に形成されていた複数の構成要素は、互いに別体の部材を貼り合わせることによって形成されてもよい。同様に、互いに別体の部材を貼り合わせることによって形成されていた複数の構成要素は、互いに継ぎ目無く一体に形成されてもよい。
【0043】
上記の説明において、互いに同一の材料によって形成されていた複数の構成要素は、互いに異なる材料によって形成されてもよい。同様に、互いに異なる材料によって形成されていた複数の構成要素は、互いに同一の材料によって形成されてもよい。
【0044】
上記実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に本発明が限定されることはない。同様に、構成要素等の形状、方向、位置関係等が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に特定の形状、方向、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、方向、位置関係等に本発明が限定されることはない。
【0045】
変形例も、上記の例示に限定されない。すなわち、例えば、複数の実施形態が複合的に適用され得る。換言すれば、一の実施形態の一部と、他の一の実施形態の一部とが、組み合わされ得る。複数の実施形態の組み合わせの際の個数や態様についても特段の限定はない。また、複数の実施形態のうちの任意の1つと、複数の変形例のうちの任意の1つとが、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わされ得る。同様に、複数の変形例のうちの1つと他の1つとが、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わされ得る。
【0046】
(開示内容)
上記の通りの実施形態および変形例についての説明から明らかなように、本明細書には、少なくとも以下の開示事項が開示されている。
[請求項1]
電気音響変換器(1)であって、
固定端部(34a)と自由端部(34b)とを有し、前記固定端部から前記自由端部に向かって指向軸(CA)と直交する延設方向に沿って片持ち梁状に延設されることで前記自由端部が前記指向軸に沿って移動する態様で振動可能に設けられた、振動部(34)と、
前記指向軸と直交し且つ前記延設方向と直交する幅方向における前記振動部の両端に形成された、スリット(35)と、
前記指向軸に沿った軸方向について前記スリットを閉塞するように設けられた、伸縮膜(4)と、
を有し、
前記スリットは、前記自由端部側に設けられた広幅部(352)と、前記広幅部よりも幅狭に形成された狭幅部(351)とを有し、
前記伸縮膜は、前記狭幅部を閉塞しない一方で前記広幅部を閉塞するように設けられた、
電気音響変換器。
[請求項2]
前記広幅部および/または前記狭幅部は、一定幅に形成された、
請求項1に記載の電気音響変換器。
[請求項3]
前記伸縮膜は、前記広幅部における前記狭幅部側の端部を閉塞しないように設けられた、
請求項1または2に記載の電気音響変換器。
[請求項4]
前記広幅部における前記狭幅部側の端縁である外端縁(353)と前記伸縮膜との間には、前記狭幅部の幅以下の隙間(G)が形成された、
請求項3に記載の電気音響変換器。
[請求項5]
前記伸縮膜は、前記軸方向に沿って当該伸縮膜を貫通する欠損部(402)を有し、
前記欠損部は、前記狭幅部に向かって開口するように設けられた、
請求項1~4のいずれか1つに記載の電気音響変換器。
[請求項6]
電気音響変換器(1)であって、
固定端部(34a)と自由端部(34b)とを有し、前記固定端部から前記自由端部に向かって指向軸(CA)と直交する延設方向に沿って片持ち梁状に延設されることで前記自由端部が前記指向軸に沿って移動する態様で振動可能に設けられた、振動部(34)と、
前記指向軸と直交し且つ前記延設方向と直交する幅方向における前記振動部の両端に形成された、スリット(35)と、
前記指向軸と平行な軸方向に沿って形成され、前記自由端部側にて前記スリットに連通するように前記軸方向と交差する面内方向について前記スリットに隣接配置された、貫通孔部(354)と、
前記軸方向について前記スリットを閉塞しない一方で前記貫通孔部を閉塞するように設けられた、伸縮膜(4)と、
を有する、
電気音響変換器。
[請求項7]
前記貫通孔部は、前記自由端部にて前記延設方向に向かって開口するように設けられた凹部(R)を含む、
請求項6に記載の電気音響変換器。
[請求項8]
前記伸縮膜は、前記軸方向について貫通する膜貫通孔(404)を有する、
請求項1~7のいずれか1つに記載の電気音響変換器。
[請求項9]
前記伸縮膜は、合成樹脂により形成された、
請求項1~8のいずれか1つに記載の電気音響変換器。
[請求項10]
前記伸縮膜は、ポリイミド樹脂またはポリベンゾオキサゾール樹脂により形成された、
請求項9に記載の電気音響変換器。
[請求項11]
前記振動部は、窒化スカンジウムアルミニウムにより形成された、
請求項1~10のいずれか1つに記載の電気音響変換器。
【符号の説明】
【0047】
1 電気音響変換器
3 圧電素子部
34 振動部
34a 固定端部
34b 自由端部
35 スリット
351 狭幅部
352 広幅部
4 伸縮膜
CA 指向軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10