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特開2023-166726処理界面観察装置および処理界面観察方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166726
(43)【公開日】2023-11-22
(54)【発明の名称】処理界面観察装置および処理界面観察方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20231115BHJP
   G01N 21/552 20140101ALI20231115BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 622R
H01L21/304 622Q
G01N21/552
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077447
(22)【出願日】2022-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】石橋 知淳
【テーマコード(参考)】
2G059
5F057
5F157
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB20
2G059EE02
2G059FF01
2G059GG01
2G059JJ12
2G059JJ17
2G059KK01
2G059KK02
2G059KK04
5F057AA20
5F057DA03
5F057DA39
5F057FA37
5F057GA13
5F057GB02
5F057GB17
5F157AA29
5F157AB02
5F157AB13
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB90
5F157AB94
5F157BA07
5F157BA08
5F157BA13
5F157BA14
5F157BB22
5F157BB23
5F157BB37
5F157BB53
5F157BB73
5F157CB14
5F157CF16
5F157CF40
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF62
5F157DC21
(57)【要約】
【課題】基板が実際に処理されている条件と同じ条件下で観察基板の処理界面上で起こる現象を観察することができる処理界面観察装置を提供する。
【解決手段】処理界面観察装置は、観察面2を形成する透明部3を持つ観察基板1と、観察面2を移動させる観察面移動機構5と、透明部3を通じて観察面2に光を送り、観察面2で反射した光から画像を生成する全反射蛍光顕微鏡7と、観察面2に対して処理液を用いた物理処理を行う湿式処理装置40を備える。全反射蛍光顕微鏡7は、観察基板1の一方側に配置され、湿式処理装置40は、観察基板1の反対側に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察面を形成する透明部を持つ観察基板と、
前記観察面を移動させる観察面移動機構と、
前記透明部を通じて前記観察面に光を送り、前記観察面で反射した前記光から画像を生成する全反射蛍光顕微鏡と、
前記観察面に対して処理液を用いた物理処理を行う湿式処理装置を備え、
前記全反射蛍光顕微鏡は、前記観察基板の一方側に配置され、前記湿式処理装置は、前記観察基板の反対側に配置されている、処理界面観察装置。
【請求項2】
前記観察基板は、前記透明部から前記全反射蛍光顕微鏡の光出射部に向かって斜めに突出する入射プリズムを有している、請求項1に記載の処理界面観察装置。
【請求項3】
前記入射プリズムの傾斜角度は、前記観察面に対する前記光の臨界角よりも大きい、請求項2に記載の処理界面観察装置。
【請求項4】
前記入射プリズムは、前記観察面に沿って延びている、請求項2に記載の処理界面観察装置。
【請求項5】
前記観察面および前記入射プリズムは、環状である、請求項4に記載の処理界面観察装置。
【請求項6】
前記観察基板は、前記透明部を支持する支持部を有しており、前記透明部の厚さは前記支持部の厚さよりも小さい、請求項1に記載の処理界面観察装置。
【請求項7】
前記全反射蛍光顕微鏡の前面と前記透明部との間の隙間に透明液を供給する透明液供給装置をさらに備えている、請求項6に記載の処理界面観察装置。
【請求項8】
前記全反射蛍光顕微鏡の前面と前記透明部との間に配置された透明板と、
前記透明部と前記透明板との間の隙間に透明液を供給する透明液供給装置をさらに備えている、請求項6に記載の処理界面観察装置。
【請求項9】
前記全反射蛍光顕微鏡の前面と前記透明板との間の隙間は、透明液で満たされている、請求項8に記載の処理界面観察装置。
【請求項10】
前記全反射蛍光顕微鏡は、前記観察面に対する前記光の入射角が臨界角よりも大きくなるように構成されている、請求項6に記載の処理界面観察装置。
【請求項11】
観察面を形成する透明部を持つ観察基板を支持しながら、前記観察面を移動させ、
前記移動する観察面に対して処理液を用いた物理処理を湿式処理装置により行いながら、全反射蛍光顕微鏡から前記透明部を通じて前記観察面に光を送り、かつ前記観察面から反射した前記光から画像を生成する工程を含み、
前記全反射蛍光顕微鏡は、前記観察基板の一方側に配置され、前記湿式処理装置は、前記観察基板の反対側に配置されている、処理界面観察方法。
【請求項12】
前記観察面に対する前記光の入射角は、臨界角よりも大きい、請求項11に記載の処理界面観察方法。
【請求項13】
前記全反射蛍光顕微鏡は、前記観察面の移動に対して相対的に静止している、請求項11に記載の処理界面観察方法。
【請求項14】
前記全反射蛍光顕微鏡の前面と前記透明部との間の隙間には、透明液の流れが形成されている、請求項11に記載の処理界面観察方法。
【請求項15】
前記全反射蛍光顕微鏡の前面と前記透明部との間には透明板が配置されており、
前記透明部と前記透明板との間の隙間には、透明液の流れが形成されており、
前記全反射蛍光顕微鏡の前面と前記透明板との間の隙間は、透明液で満たされている、請求項11に記載の処理界面観察方法。
【請求項16】
前記透明板は、前記観察面の移動に対して相対的に静止している、請求項15に記載の処理界面観察方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハ、ディスプレイパネル、メモリなどの微細加工製品に使用される基板の処理中の処理界面を観察する技術に関し、特に基板の表面に対して湿式処理を実行しているときの基板の表面で起こる現象を観察する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程では、異なる材料が基板上に繰り返し形成され、基板の表面はCMP(化学機械研磨)装置により研磨される。特に、ダマシン配線形成工程では、金属膜を基板上に形成して配線溝を金属で埋め、その後に余分な金属をCMP装置により研磨し、除去することで金属配線を形成する。基板の研磨後、基板は洗浄され、さらに洗浄された基板は乾燥される。
【0003】
配線構造の微細化に伴い、基板の研磨のみならず、基板の洗浄および基板の乾燥にもさらなる改良が要求されている。基板の処理技術を向上させるためには、基板処理中に基板の表面で起こるミクロな現象を把握することが必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2010/041560号
【特許文献2】特開2016-161319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
材料膜が形成された基板に代えて、透明基板を用い、静止する透明基板の上面に起こる現象を、透明基板の下から顕微鏡で観察する落射観察方法が従来から行われている。しかしながら、この従来の方法では、以下に述べる3つのすべての条件下で透明基板上の現象を観察することができない。
(1)透明基板の観察面が動いている(例えば、透明基板が回転している)
(2)透明基板の観察面上に物理作用がある(例えば、スクラブ、流体の衝撃、超音波)
(3)透明基板の観察面上に液体が存在する(例えば、洗浄液、スラリー)
【0006】
そこで、本発明は、基板が実際に処理されている条件と同じ条件下で観察基板の処理界面上で起こる現象を観察することができる処理界面観察装置および処理界面観察方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、観察面を形成する透明部を持つ観察基板と、前記観察面を移動させる観察面移動機構と、前記透明部を通じて前記観察面に光を送り、前記観察面で反射した前記光から画像を生成する全反射蛍光顕微鏡と、前記観察面に対して処理液を用いた物理処理を行う湿式処理装置を備え、前記全反射蛍光顕微鏡は、前記観察基板の一方側に配置され、前記湿式処理装置は、前記観察基板の反対側に配置されている、処理界面観察装置が提供される。
【0008】
一態様では、前記観察基板は、前記透明部から前記全反射蛍光顕微鏡の光出射部に向かって斜めに突出する入射プリズムを有している。
一態様では、前記入射プリズムの傾斜角度は、前記観察面に対する前記光の臨界角よりも大きい。
一態様では、前記入射プリズムは、前記観察面に沿って延びている。
一態様では、前記観察面および前記入射プリズムは、環状である。
【0009】
一態様では、前記観察基板は、前記透明部を支持する支持部を有しており、前記透明部の厚さは前記支持部の厚さよりも小さい。
一態様では、前記処理界面観察装置は、前記全反射蛍光顕微鏡の前面と前記透明部との間の隙間に透明液を供給する透明液供給装置をさらに備えている。
一態様では、前記処理界面観察装置は、前記全反射蛍光顕微鏡の前面と前記透明部との間に配置された透明板と、前記透明部と前記透明板との間の隙間に透明液を供給する透明液供給装置をさらに備えている。
一態様では、前記全反射蛍光顕微鏡の前面と前記透明板との間の隙間は、透明液で満たされている。
一態様では、前記全反射蛍光顕微鏡は、前記観察面に対する前記光の入射角が臨界角よりも大きくなるように構成されている。
【0010】
一態様では、観察面を形成する透明部を持つ観察基板を支持しながら、前記観察面を移動させ、前記移動する観察面に対して処理液を用いた物理処理を湿式処理装置により行いながら、全反射蛍光顕微鏡から前記透明部を通じて前記観察面に光を送り、かつ前記観察面から反射した前記光から画像を生成する工程を含み、前記全反射蛍光顕微鏡は、前記観察基板の一方側に配置され、前記湿式処理装置は、前記観察基板の反対側に配置されている、処理界面観察方法が提供される。
【0011】
一態様では、前記観察面に対する前記光の入射角は、臨界角よりも大きい。
一態様では、前記全反射蛍光顕微鏡は、前記観察面の移動に対して相対的に静止している。
一態様では、前記全反射蛍光顕微鏡の前面と前記透明部との間の隙間には、透明液の流れが形成されている。
一態様では、前記全反射蛍光顕微鏡の前面と前記透明部との間には透明板が配置されており、前記透明部と前記透明板との間の隙間には、透明液の流れが形成されており、前記全反射蛍光顕微鏡の前面と前記透明板との間の隙間は、透明液で満たされている。
一態様では、前記透明板は、前記観察面の移動に対して相対的に静止している。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、膜が形成された基板が実際に物理処理される条件と同じ条件で観察基板の処理界面を観察することができる。すなわち、(1)観察基板の観察面が動いており、(2)観察基板の観察面上に物理作用があり、かつ(3)観察基板の観察面上に液体が存在する条件下で、観察基板の観察面上で起こる現象を観察することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】処理界面観察装置の一実施形態を示す模式図である。
図2】観察基板の一実施形態を示す上面図である。
図3図2に示す観察基板を反対側から見た図である。
図4】処理界面観察装置の他の実施形態を示す模式図である。
図5】処理界面観察装置のさらに他の実施形態を示す模式図である。
図6】処理界面観察装置のさらに他の実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下に説明する処理界面観察装置および処理界面観察方法の実施形態は、半導体デバイスの製造に使用されるウェーハの研磨、ウェーハの洗浄、ウェーハの乾燥、ディスプレイパネルの製造、CMOSやCCDなどのイメージセンサの製造、磁気抵抗メモリ(MRAM)の製造などに適用することができる。
【0015】
図1は、処理界面観察装置の一実施形態を示す模式図である。図1に示すように、処理界面観察装置は、観察面2を形成する透明部3を持つ観察基板1と、観察面2を移動させる観察面移動機構5と、透明部3を通じて観察面2に光を送り、観察面2で反射した光(以下、反射光という)から画像を生成する全反射蛍光顕微鏡7を備えている。処理界面観察装置は、観察基板1の処理界面上で起こる現象を観察するための装置であり、得られた画像は、例えば、基板処理装置やディスプレイパネルの製造装置の動作や性能の検証に使用することができる。
【0016】
全反射蛍光顕微鏡7は、観察基板1の観察面2とは反対側に配置されている。全反射蛍光顕微鏡7は、光を発する光源10と、観察基板1の透明部3に対向する対物レンズ12と、対物レンズ12を通過した反射光を検出し、反射光から画像を生成する光検出部15を備えている。光源10の例としては、レーザー、アーク光源などが挙げられる。光検出部15の例としては、CMOSまたはCCDなどのイメージセンサ、フォトダイオード、光電子増倍管(PMT)などが挙げられる。
【0017】
本実施形態の観察基板1は、円形形状を有している。本実施形態の観察面移動機構5は、観察面2を含む観察基板1の全体をその軸心CLを中心に回転させる観察基板回転機構である。観察面移動機構5は、観察基板1の外周部を支持する複数のローラーチャック20と、これらローラーチャック20を同期して回転させる少なくとも1つの回転装置21を有している。図1に示す実施形態では、複数の回転装置21が設けられている。回転装置21がローラーチャック20を回転させると、図1に示すように、観察基板1はその軸心CLを中心に回転する。
【0018】
観察面移動機構5の具体的構成は、図1に示す実施形態に限定されない。例えば、観察面移動機構5は、観察基板1を支持する複数のメカニカルチャックと、これらメカニカルチャックを回転させる回転装置を備えてもよい。他の例では、観察面移動機構5は、観察基板1を支持する真空チャックステージと、この真空チャックステージを回転させる回転装置を備えてもよい。さらに、他の例では、観察面移動機構5は、観察基板1を並進移動させるローラコンベヤまたは搬送アームを備えてもよい。
【0019】
観察基板1は、その少なくとも一部に透明部3を有している。観察面2は、透明部3の一方側の面であり、全反射蛍光顕微鏡7は、透明部3の反対側の面に対向している。透明部3を構成する材料の例としては、石英ガラス、有機ガラス(例えば透明なアクリル樹脂)が挙げられる。
【0020】
観察基板1は、透明部3から全反射蛍光顕微鏡7の光出射部25に向かって斜めに突出する入射プリズム31と、透明部3から全反射蛍光顕微鏡7の対物レンズ12に向かって斜めに突出する出射プリズム32を有している。入射プリズム31および出射プリズム32は、透明部3に接続されている。観察面2は、透明部3の一方側の面であり、入射プリズム31および出射プリズム32は、透明部3の反対側の面に接続されている。入射プリズム31および出射プリズム32は、透明部3と一体であってもよい。
【0021】
全反射蛍光顕微鏡7の光出射部25は、入射プリズム31の端部を向いており、入射プリズム31の端部に向かって光を放つ位置に配置されている。全反射蛍光顕微鏡7の対物レンズ12は出射プリズム32の端部を向いており、出射プリズム32の端部から出た光を受ける位置に配置されている。
【0022】
図1に示すように、全反射蛍光顕微鏡7から放射された光は、入射プリズム31内を進行し、観察基板1の透明部3に斜めに入射する。光は、透明部3内を進行しながら、観察面2で反射する。観察面2に垂直な方向に対する入射プリズム31の傾斜角度αは、観察面2に対する光の臨界角よりも大きい。したがって、観察面2に対する光の入射角は臨界角よりも大きく、光は観察面2で全反射する。観察面2からの反射光は、出射プリズム32内を進行し、出射プリズム32の端部から全反射蛍光顕微鏡7の対物レンズ12に向かう。反射光は、対物レンズ12を通過し、光検出部15によって検出される。光検出部15は、観察面2からの反射光から画像を生成する。
【0023】
図2は、観察基板1の一実施形態を示す上面図であり、図3は、図2に示す観察基板1を反対側から見た図である。観察基板1の全体は円形であり、透明部3は環状である。観察基板1は、透明部3を支持する支持部35を有している。支持部35が透明部3を支持できる程度の機械的強度を有している限りにおいて、支持部35の材料は特に限定されない。一実施形態では、観察基板1の全体が透明部3から構成されてもよい。さらに一実施形態では、観察基板1は、四角形、矩形状、多角形状、楕円形などの他の形状を有してもよい。
【0024】
入射プリズム31および出射プリズム32は、観察面2に沿って延びている。より具体的には、図3に示すように、入射プリズム31および出射プリズム32は、観察基板1の軸心CLに一致する中心を持つ環状の形状を有している。さらに、入射プリズム31は径方向外側に向かって傾斜し、出射プリズム32は径方向内側に向かって傾斜している。
【0025】
透明部3、入射プリズム31、および出射プリズム32は、同心状であり、入射プリズム31は、出射プリズム32の径方向外側に位置している。全反射蛍光顕微鏡7が、観察面2からの反射光を受けることができる限りにおいて、出射プリズム32は省略してもよい。一実施形態では、入射プリズム31は、出射プリズム32の径方向内側に位置してもよい。この場合は、入射プリズム31は径方向内側に向かって傾斜し、出射プリズム32は径方向外側に向かって傾斜する。
【0026】
図1に示すように、処理界面観察装置は、観察基板1の観察面2に対して処理液を用いた物理処理を行う湿式処理装置40を備えている。物理処理の具体例としては、観察面2上に処理液(例えば洗浄液)が存在した状態でスクラバなどの洗浄具を観察面2に擦り付けるスクラブ処理、観察面2上に処理液(例えばスラリー)が存在した状態で研磨パッドを観察面2に擦り付けるCMP処理、観察面2上に処理液が存在した状態でバフを観察面2に擦り付けるバフ研磨処理、液体(例えば薬液または純水)を観察面2に噴射する液体処理、液体と気体との混合流体からなる二流体噴流を観察面2に噴射する二流体噴流処理、超音波が加えられた液体を観察面2に噴射する超音波処理、イソプロピルアルコール(IPA)を観察面2に噴射するマランゴニ乾燥処理などが挙げられる。
【0027】
本実施形態では、湿式処理装置40は、円筒状のロールスクラバ41を回転させながら、ロールスクラバ41を観察面2に摺接させるスクラブ処理を実行するように構成されている。すなわち、湿式処理装置40は、観察面2上に配置された円筒状のロールスクラバ41と、観察面2に処理液を供給する処理液ノズル42を備えている。ロールスクラバ41は、PVAスポンジなどの弾性材から構成されている。ロールスクラバ41の軸心(回転軸線)は、観察面2と平行である。
【0028】
湿式処理装置40は、処理液(例えば、純水または薬液)を処理液ノズル42から観察面2に供給しながら、ロールスクラバ41を回転機構(図示せず)によりその軸心を中心に回転させることで、ロールスクラバ41の外周面を観察面2に摺接させる。ロールスクラバ41が観察面2に摺接している間、観察基板1は、その軸心CLを中心に観察面移動機構5によって回転される。一実施形態では、ロールスクラバ41に代えて、ペン型スクラバを観察面2に垂直な軸心周りに回転させながら、ペン型スクラバを観察面2に摺接させてもよい。
【0029】
全反射蛍光顕微鏡7は、観察基板1の一方側に配置され、湿式処理装置40は、観察基板1の反対側に配置されている。全反射蛍光顕微鏡7は、観察基板1の回転に対して相対的に静止している。図1に示す実施形態では、全反射蛍光顕微鏡7は、観察基板1の下方に配置され、湿式処理装置40は観察基板1の上方に配置されているが、一実施形態では、全反射蛍光顕微鏡7は、観察基板1の上方に配置され、湿式処理装置40は観察基板1の下方に配置されてもよい。
【0030】
他の実施形態では、観察面移動機構5は、観察基板1を縦または斜めに支持し、観察基板1を縦姿勢または斜め姿勢で回転させてもよい。この場合でも、全反射蛍光顕微鏡7は、観察基板1の一方側に配置され、湿式処理装置40は、観察基板1の反対側に配置される。
【0031】
湿式処理装置40は、移動する観察面2に対して処理液を用いた物理処理を行いながら、全反射蛍光顕微鏡7は観察基板1の観察面2に向かって光を発し、観察面2からの反射光から画像を生成する。画像は、観察面2と処理液との界面で起こる現象を表していると期待される。特に、上述した実施形態によれば、膜が形成された基板(製品基板)が実際に物理処理される条件と同じ条件で観察基板1の処理界面を観察することができる。すなわち、処理界面観察装置は、(1)観察基板1の観察面2が動いており、(2)観察基板1の観察面2上に物理作用があり、かつ(3)観察基板1の観察面2上に液体が存在する条件下で、観察基板1の観察面2上で起こる現象を観察することができる。画像から得られた観察結果は、上述した研磨処理、洗浄処理、乾燥処理などの各種処理の性能向上のための検証に使用することができる。
【0032】
図4は、処理界面観察装置の他の実施形態を示す模式図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、図1乃至図3を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。図4に示す実施形態の観察面移動機構5は、観察基板1を並進移動させる複数のローラー43を備えたローラコンベヤである。観察基板1は、複数のローラー43上に支持され、これらローラー43が一方向に回転することで、観察基板1は矢印で示す直線方向に移動される。
【0033】
観察基板1は矩形状であり、透明部3および観察面2は、観察基板1の移動方向に沿って延びている。言い換えれば、観察面移動機構5は、観察面2の長手方向に観察基板1を移動させるように構成されている。入射プリズム31および出射プリズム32は、観察面2に沿って延びており、並列に配置されている。本実施形態では、透明部3、観察面2、入射プリズム31、および出射プリズム32は、直線状に延びている。
【0034】
他の実施形態では、観察面移動機構5は、観察基板1を縦または斜めに支持し、観察基板1を縦方向または斜め方向に並進移動させてもよい。この場合でも、全反射蛍光顕微鏡7は、観察基板1の一方側に配置され、湿式処理装置40は、観察基板1の反対側に配置される。
【0035】
図5は、処理界面観察装置の他の実施形態を示す模式図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、図1乃至図3を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。図5に示す実施形態では、観察基板1は、図1に示す入射プリズム31および出射プリズム32を有していない。観察基板1は、透明部3を支持する支持部35を有しており、透明部3の厚さは支持部35の厚さよりも小さい。
【0036】
全反射蛍光顕微鏡7は、光源10および光検出部15の前方に配置された対物レンズ44を有している。この対物レンズ44は、観察基板1の透明部3に近接して配置されている。全反射蛍光顕微鏡7の前面7aは、透明部3に対向する対物レンズ44の前面から構成されている。光源10および光検出部15は対物レンズ44の裏側に配置されている。光源10は、対物レンズ44を通じて光を観察基板1の透明部3に放射し、光検出部15は、対物レンズ44を通過した観察基板1からの反射光を検出する。
【0037】
処理界面観察装置は、全反射蛍光顕微鏡7の前面7a(すなわち対物レンズ44の前面)と観察基板1の透明部3との間の隙間に透明液を供給する透明液供給装置45を備えている。図5に示す透明液供給装置45は、液体吐出ノズルの形態を有しているが、透明液を供給できるのであれば、他の構造を有してもよい。液体吐出ノズルの具体例としては、多孔ノズル、スリットノズル、扇型ノズル、単孔ノズルなどが挙げられる。透明液は、例えば、屈折率1.200以上の液体である。透明液の具体例としては、純水、透明な油が挙げられる。透明液は、全反射蛍光顕微鏡7の前面7aと観察基板1の透明部3との間の隙間Gを流れ、この隙間Gを満たす。
【0038】
処理界面観察装置は、全反射蛍光顕微鏡7の前面7aと観察基板1の透明部3との間の隙間Gを通過した透明液を吸引する透明液吸引装置46をさらに備えている。図5に示す透明液吸引装置46は、スリットノズルのような液体吸引ノズルの形態を有しているが、透明液を供給できるのであれば、他の構造を有してもよい。
【0039】
光源10は、対物レンズ44に向かって光を発し、光は対物レンズ44によりその進行方向を変える。光は、対物レンズ44を出て、透明液内を進行し、観察基板1の透明部3に斜めに入射する。光は、透明部3内を進行し、観察面2で反射する。観察面2に対する光の入射角は臨界角よりも大きく、光は観察面2で全反射する。観察面2で反射した光、すなわち反射光は、透明部3および透明液を進行して、対物レンズ44に入射する。反射光は、対物レンズ44によりその進行方向を変える。反射光は、対物レンズ44を通過し、光検出部15によって検出される。光検出部15は、観察面2からの反射光から画像を生成する。
【0040】
光源10が光を発し、光検出部15が画像を生成している間、観察基板1は観察面移動機構5により回転される。全反射蛍光顕微鏡7の前面7aと観察基板1の透明部3との間の隙間Gを流れる透明液の一部は、回転する観察基板1により強制的に隙間Gの外に移動されるが、透明液供給装置45は透明液を隙間Gに供給し続けるので、隙間Gは常に透明液で満たされる。
【0041】
全反射蛍光顕微鏡7により生成される画像の解像度を向上させるために、透明部3の厚さは、0.10mm~1.5mm、好ましくは0.11mm~0.23mm、より好ましくは0.12mm~0.18mmの範囲内にある。例えば、透明部3の厚さは、0.17mmである。このように薄い透明部3は、観察面2からの反射光を実質的にそのまま透過させることができる。さらに、全反射蛍光顕微鏡7の前面7aと観察基板1の透明部3との間の隙間Gは、透明液で満たされる。結果として、全反射蛍光顕微鏡7は、反射光から解像度の高い画像を生成することができる。
【0042】
図4を参照して説明した矩形状の観察基板1と、観察基板1を並進移動させる観察面移動機構5は、図5を参照して説明した実施形態にも適用できる。
【0043】
図6は、処理界面観察装置の他の実施形態を示す模式図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、図5を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。処理界面観察装置は、全反射蛍光顕微鏡7の前面7aと観察基板1の透明部3との間に配置された透明板50と、観察基板1の透明部3と透明板50との間の隙間G1に透明液を供給する透明液供給装置51を備えている。
【0044】
透明板50は、透明部3の観察面2とは反対側に配置され、観察面2と平行である。透明板50は、透明部3と、全反射蛍光顕微鏡7の前面7a(すなわち対物レンズ44の前面)との間に配置されている。透明板50は、図示しない支持部材により支持されており、透明板50は、観察面2の移動に対して相対的に静止している。透明板50と透明部3との間には隙間G1があり、透明板50と全反射蛍光顕微鏡7の前面7aとの間にも隙間G2がある。透明板50を構成する材料の例としては、石英ガラス、有機ガラス(例えば透明なアクリル樹脂)が挙げられる。
【0045】
図6に示す透明液供給装置51は、液体吐出ノズルの形態を有しているが、透明液を供給できるのであれば、他の構造を有してもよい。液体吐出ノズルの具体例としては、多孔ノズル、スリットノズル、扇型ノズル、単孔ノズルなどが挙げられる。透明液の具体例としては、純水、透明な油が挙げられる。透明液は、透明板50と観察基板1の透明部3との間の隙間G1を流れ、この隙間G1を満たす。
【0046】
処理界面観察装置は、透明板50と観察基板1の透明部3との間の隙間G1を通過した透明液を吸引する透明液吸引装置52をさらに備えている。図6に示す透明液吸引装置52は、スリットノズルのような液体吸引ノズルの形態を有しているが、透明液を供給できるのであれば、他の構造を有してもよい。
【0047】
透明板50と全反射蛍光顕微鏡7の前面7aとの間の隙間G2は、透明液で満たされている。透明液の具体例としては、純水、透明な油が挙げられる。観察基板1の観察面2は移動するが、透明板50と対物レンズ44の両方は静止している。したがって、隙間G2内の透明液も実質的に静止した状態にある。透明液は、表面張力の作用により、隙間G2内に保持される。この隙間G2を満たす透明液は、隙間G1を満たす透明液と同じ種類の液体であってもよいし、または異なる種類の液体であってもよい。隙間G1,G2を満たす透明液は、例えば、屈折率1.200以上の液体である。
【0048】
光源10は、対物レンズ44に向かって光を発し、光は対物レンズ44によりその進行方向を変える。光は、対物レンズ44を出て、透明液の二重層および透明板50内を進行し、観察基板1の透明部3に斜めに入射する。光は、透明部3内を進行し、観察面2で反射する。観察面2に対する光の入射角は臨界角よりも大きく、光は観察面2で全反射する。観察面2で反射した光、すなわち反射光は、透明部3、透明液の二重層、および透明板50を進行して、対物レンズ44に入射する。反射光は、対物レンズ44によりその進行方向を変える。反射光は、対物レンズ44を通過し、光検出部15によって検出される。光検出部15は、観察面2からの反射光から画像を生成する。
【0049】
光源10が光を発し、光検出部15が画像を生成している間、観察基板1は観察面移動機構5により回転される。全反射蛍光顕微鏡7の前面7aと観察基板1の透明部3との間の隙間G1を流れる透明液の一部は、回転する観察基板1により強制的に隙間G1の外に移動されるが、透明液供給装置51は透明液を隙間G1に供給し続けるので、隙間G1は常に透明液で満たされる。
【0050】
全反射蛍光顕微鏡7の前面7aと観察基板1の透明部3との間の隙間G1,G2は、透明板50の両側に形成された透明液の二重層で満たされ、空気層は存在しない。結果として、全反射蛍光顕微鏡7は、反射光から解像度の高い画像を生成することができる。
【0051】
図4を参照して説明した矩形状の観察基板1と、観察基板1を並進移動させる観察面移動機構5は、図6を参照して説明した実施形態にも適用できる。
【0052】
上述したそれぞれの実施形態における処理界面観察装置は、スタンドアローン型の装置として設けてもよく、あるいは基板研磨装置(例えばCMP装置、バフ研磨装置)、基板洗浄装置、基板乾燥装置、ディスプレイパネルの製造装置などの各種処理装置に組み込んでもよい。
【0053】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0054】
1 観察基板
2 観察面
3 透明部
5 観察面移動機構
7 全反射蛍光顕微鏡
10 光源
12 対物レンズ
15 光検出部
20 ローラーチャック
21 回転装置
25 光出射部
31 入射プリズム
32 出射プリズム
35 支持部
40 湿式処理装置
41 ロールスクラバ
42 処理液ノズル
43 ローラー
44 対物レンズ
45 透明液供給装置
46 透明液吸引装置
50 透明板
51 透明液供給装置
52 透明液吸引装置
G,G1,G2 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6