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特開2023-166748マイクロプラスチックの観察方法及びその観察装置
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  • 特開-マイクロプラスチックの観察方法及びその観察装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166748
(43)【公開日】2023-11-22
(54)【発明の名称】マイクロプラスチックの観察方法及びその観察装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20231115BHJP
   G01N 21/359 20140101ALI20231115BHJP
【FI】
G01N21/27 A
G01N21/359
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077489
(22)【出願日】2022-05-10
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム産学共有(本格型)「海洋マイクロプラスチックの迅速分析を可能にする中赤外レーザー分光顕微鏡装置の開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(72)【発明者】
【氏名】島 隆之
(72)【発明者】
【氏名】古川 祐光
(72)【発明者】
【氏名】岡本 有貴
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 渉
(72)【発明者】
【氏名】一木 正聡
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB05
2G059BB09
2G059EE01
2G059FF01
2G059FF10
2G059GG01
2G059HH01
2G059KK04
2G059MM05
(57)【要約】
【課題】 赤外線光を用いた水中のマイクロプラスチックの観察方法及びそのための小型の観察装置の提供。
【解決手段】 観察方法は、軸線に沿って一定の速度で流れる流束を形成させるように水を流した上で、軸線と直交する直線上に光源からの赤外線を線状に照射し、透過してくる透過光について光検出素子を一列に並べた一軸アレイ検出器の上に導いて光検出を行う。観察装置は、軸線に沿って一定の速度で流れる流束を形成させるように水を流すフローセルと、軸線と直交する直線上に光源からの赤外線を線状に照射し、透過してくる透過光について光検出素子を一列に並べた一軸アレイ検出器の上に導いて光検出を行う光学系と、を含む。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線を用いた水中のマイクロプラスチックの観察方法であって、
軸線に沿って一定の速度で流れる流束を形成させるように前記水を流した上で、前記軸線と直交する直線上に光源からの赤外線を線状に照射し、透過してくる透過光について光検出素子を一列に並べた一軸アレイ検出器の上に導いて光検出を行うことを特徴とするマイクロプラスチックの観察方法。
【請求項2】
前記一軸アレイ検出器からの出力を前記流束の前記速度に対応させて前記マイクロプラスチックの形状の画像形成を与えることを特徴とする請求項1記載のマイクロプラスチックの観察方法。
【請求項3】
前記赤外線は波長可変型光源から発せられて波長幅を有し、前記一軸アレイ検出器の前記光検出素子は前記波長幅に対応してスペクトル強度を出力し前記マイクロプラスチックを構成する樹脂種別を与えることを特徴とする請求項1記載のマイクロプラスチックの観察方法。
【請求項4】
前記赤外線は1~10μmの範囲内にあることを特徴とする請求項1乃至3のうちの1つに記載のマイクロプラスチックの観察方法。
【請求項5】
前記水は前記軸線に沿って設けられた流路内を満たすようにして流されることを特徴とする請求項1記載のマイクロプラスチックの観察方法。
【請求項6】
前記流路は、前記軸線と直交する断面を長方形とすることを特徴とする請求項5記載のマイクロプラスチックの観察方法。
【請求項7】
赤外線を用いた水中のマイクロプラスチックの観察装置であって、
軸線に沿って一定の速度で流れる流束を形成させるように前記水を流すフローセルと、
前記軸線と直交する直線上に光源からの赤外線を線状に照射し、透過してくる透過光について光検出素子を一列に並べた一軸アレイ検出器の上に導いて光検出を行う光学系と、を含むことを特徴とするマイクロプラスチックの観察装置。
【請求項8】
前記光学系は、前記赤外線を線状に集光させるシリンドリカルレンズを含むことを特徴とする請求項7記載のマイクロプラスチックの観察装置。
【請求項9】
前記一軸アレイ検出器からの出力を前記流束の前記速度に対応させて前記マイクロプラスチックの形状の画像形成を与える画像処理部を更に含むことを特徴とする請求項7記載のマイクロプラスチックの観察装置。
【請求項10】
前記赤外線は波長可変型光源から発せられて波長幅を有し、前記一軸アレイ検出器の前記光検出素子は前記波長幅に対応してスペクトル強度を出力し前記マイクロプラスチックを構成する樹脂種別を与える分析部を含むことを特徴とする請求項7記載のマイクロプラスチックの観察装置。
【請求項11】
前記赤外線は1~10μmの範囲内にあることを特徴とする請求項7乃至10のうちの1つに記載のマイクロプラスチックの観察装置。
【請求項12】
前記フローセルは、前記水を前記軸線に沿って設けられた流路内を満たすようにして流されるものであることを特徴とする請求項7記載のマイクロプラスチックの観察装置。
【請求項13】
前記流路は、前記軸線と直交する断面を長方形とすることを特徴とする請求項12記載のマイクロプラスチックの観察装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線を用いた水中のマイクロプラスチックの観察方法及びその観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックゴミが環境中で細かく分断され、例えば、大きさ5mm以下の「マイクロプラスチック」と称されるような微小なプラスチック片となって海洋や河川に漂い、これをヒトや動物が体内に取り込んで健康被害を受けるといった報告がなされている。かかるマイクロプラスチックの観察には、海洋等から採取した液体(以下、単に「水」と称する。)を前処理してマイクロプラスチックを分離した後に、これを必要に応じた手法で観察をしている(例えば、特許文献1や、非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-183933号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】"Characterization of microplastics on filter substrates based on hyperspectral imaging: Laboratory assessments", Chunmao Zhu, Yugo Kanaya, Ryota Nakajima, Masashi Tsuchiya, Hidetaka Nomaki, Tomo Kitahashi, Katsunori Fujikura, Environmental Pollution, Volume 263, Part B, August 2020, 114296
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した文献では、水を濾過しフィルタ上に捕捉されたマイクロプラスチックの観察を行っており、例えば、非特許文献1では、赤外線ランプを用いてフィルタ上を照射し分光器にて分光測定を行っている。一方、採取された水の中のマイクロプラスチックを直接、観察でき、かつ、洋上船舶のような場所でも簡便に観察できる小型の装置が望まれた。そこで、マイクロプラスチックの樹脂種別を光学的に識別可能な赤外線を利用することが考慮されるが、水中での赤外線の光吸収は非常に大きく、マイクロプラスチックのような微小で動きのある小片を観察することは難しい。
【0006】
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、赤外線を用いた水中のマイクロプラスチックの観察方法及びそのための小型の観察装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の観察方法は、赤外線を用いた水中のマイクロプラスチックの観察方法であって、軸線に沿って一定の速度で流れる流束を形成させるように前記水を流した上で、前記軸線と直交する直線上に光源からの赤外線を線状に照射し、透過してくる透過光について光検出素子を一列に並べた一軸アレイ検出器の上に導いて光検出を行うことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の観察装置は、赤外線を用いた水中のマイクロプラスチックの観察装置であって、軸線に沿って一定の速度で流れる流束を形成させるように前記水を流すフローセルと、前記軸線と直交する直線上に光源からの赤外線を線状に照射し、透過してくる透過光について光検出素子を一列に並べた一軸アレイ検出器の上に導いて光検出を行う光学系と、を含むことを特徴とする。
【0009】
かかる特徴によれば、照射面積を減じて同じ光源でも面積あたりの光強度を高められるから、水中での光吸収の大きい赤外線であっても光源を大型にすることなく、小型の観察装置とすることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明による実施例としての観察装置のブロック図(一部斜視図)である。
図2】実証試験における(a)管路内の外観写真、及び、(b)観察装置により得た2次元画像である。
図3】実証試験における(a)管路内の外観写真、及び、(b)観察装置により得た2次元画像である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明による1つの実施例であるマイクロプラスチックの観察装置及び観察方法について、図1を用いて説明する。
【0012】
図1に示すように、観察装置1は、水中に浮遊するマイクロプラスチックを観察する装置であり、観察する水を流すための流路(管路)11を内部に備えるフローセル10とフローセル10に赤外線を照射するための照射側光学系20と、フローセル10を透過した透過光を観察するための受光側光学系30とを備える。
【0013】
フローセル10は、軸線Aに沿って一定の速度で流れる流束を形成させるように水を流すことができる。例えば、流路11の軸線Aに直交する断面の形状を一定とすることでこのような流束を形成し得る。本実施例においては、流路11の軸線Aに直交する断面を長方形とする。また、赤外線の透過する方向に対して軸線Aを垂直にしつつ、かかる長方形のうちの短片を赤外線の透過する方向に平行となるように配置した。
【0014】
なお、赤外線は水に吸収されやすいため、光源強度にもよるが、赤外線の減衰を抑制する観点からは、かかる短片の長さを短くして赤外線の透過可能なように流路11内の水の厚さを薄くすることが好ましい。また、流路11の軸線Aに直交する断面形状を長方形としたことで、流路11の幅方向において赤外線の流路11内を透過する距離を一定にでき、均一な条件で透過光を得られて好ましい。さらに、水は流路11内を満たすように流されていると、同様に流路11の幅方向に均一な条件で透過光を得られて好ましい。
【0015】
なお、流路11について、その軸線Aの重力に対する向きに制限はないが、水と浮遊するマイクロプラスチックとの比重差を考慮すると、軸線Aを水平に向けることが好ましい。軸線Aを水平にすると、比重差によりマイクロプラスチックに水との相対速度を生じた場合であっても、流路11の流束の流れる方向には速度差を生じない。そのため、観察装置1で観察されるマイクロプラスチックの形状に影響を与えないようにできる。
【0016】
よって、ここでは軸線Aを水平に向けるようにフローセル10を配置した。また、流路11の上記した断面の長方形のうち、短片を鉛直方向に向けて、赤外線をフローセル10の上側から照射させ、下側に向けて透過させることとした。以降は、この配置の場合について説明する。
【0017】
一方、照射側光学系20は、波長を変化させながら赤外線を出射する光源21と、出射された赤外線の光束を拡大するビームエクスパンダ22と、これを反射させるミラー23と、ミラー23からの光束を線状に集光させるシリンドリカルレンズ24とを含む。光源21としては、波長を変化させながら赤外線を出射できるものであり、例えば、出射波長を高速に変化させ得る量子カスケードレーザーを用い得る。上記したように、ビームエクスパンダ22、ミラー23、及び、シリンドリカルレンズ24は、これらを通過させることで赤外線を線状に照射させることができ、これをフローセル10の流路11の上面に導くことができるよう配置されている。つまり、照射側光学系20は、いわゆるレーザーラインジェネレータとして機能する。特に、流路11に照射された赤外線は、軸線Aに垂直で水平な直線上に集光するようにされる。その結果、赤外線は、軸線Aに垂直な面に沿って流路11を上から下へ向けて透過するように照射される。ここで、特に、ミラー23、及び、シリンドリカルレンズ24は、その目的において公知の光学要素で代替し得る。
【0018】
また、光源21の出射する赤外線のうち、波長1~10μmの範囲では、波長を短くするほど水に吸収されづらくなる傾向にある。よって、赤外線の減衰を抑制する観点からは、波長1~2μm程度の近赤外線を用いることが好ましい。一方で、マイクロプラスチックの樹脂種別を識別する観点からは、これに適した波長域の赤外線を用いることも重要である。マイクロプラスチックにより吸収される波長は赤外線の波長域内に多いが、波長によって得られる情報量が異なるためである。ここで、観察装置1では、赤外線の吸収による減衰を前提として赤外線を集光する光学系を有している。よって、観察装置1に用いる赤外線の波長域は、赤外線の減衰を抑制する観点よりも、樹脂種別の識別に適する観点を優先して選択されることが好ましい。
【0019】
受光側光学系30は、フローセル10に照射された赤外線による流路11を透過した透過光を受光する一軸アレイ検出器32と、かかる透過光を一軸アレイ検出器32上に導く受光側レンズ31とを含む。受光側レンズ31は、透過光による流路11内の像を一軸アレイ検出器32上で結像できるように焦点位置に合わせて配置を調整される。一軸アレイ検出器32は、複数の光検出素子33を一列に並べた光検出器であり、流路11からの透過光を受光し、光検出を行うことができる。一軸アレイ検出器32は、複数の光検出素子33を水平面内で軸線Aに垂直な方向に並べ、線状になって透過してきた透過光を流路11の幅方向に広く受光できるように配置されている。また、一軸アレイ検出器32は、解析装置40に接続されており、受光した透過光の強度に関する情報を電気信号として解析装置40に向けて出力できる。
【0020】
解析装置40は、一軸アレイ検出器32の出力に基づき、光検出素子33のそれぞれの位置におけるスペクトルを得ることができる。また、得られたスペクトルを既知の樹脂種別によるプラスチック片を用いて同様の観察装置で得た透過光のスペクトルと比較することで、流路11内の水中に浮遊するマイクロプラスチックを構成する樹脂種別を判定することができる。つまり、解析装置40は、観察装置1の分析部として用いられる。
【0021】
このようなスペクトルの比較においては、例えば、スペクトルの範囲にある各波長条件で全測定するのではなく、スペクトルのうち樹脂種別の違いによる特徴がある波長部分を抜き出して測定することは、より短時間で樹脂種別の判定ができるため好ましい。この特徴がある波長部分を選択する方法として、例えば、主成分分析が挙げられる。またスペクトルの比較を行う方法として、例えば、相関係数を用いる方法が挙げられる。
【0022】
また、照射された赤外線は一定の波長幅を有するが、光検出素子33において受光した透過光をかかる波長幅に対応して予め分光するようにしてもよい。詳細には、光検出素子33において赤外線の波長幅のうちの樹脂種別によって特徴となり得る波長部分に分光して波長幅に対応してスペクトル強度を出力させる。つまり、分光した波長部分のそれぞれの強度を出力させる。そして、これに基づき解析装置40において樹脂種別を判定するのである。これによっても短時間で樹脂種別の判定をすることができて好ましい。
【0023】
解析装置40は、さらに、水中に浮遊するマイクロプラスチックの形状の画像形成を行うこともできる。すなわち、所定の時間間隔で上記した樹脂種別の判定を連続的に行い、時間と光検出素子33の位置とによる2次元画像を作成する。例えば、流路11の中を流れる水の流束の速度と上記した時間間隔との積を流路11内の軸線Aに沿った方向の距離に対応するようにして、一列に並んだ光検出素子33のそれぞれの位置を流路11の幅方向の距離に対応するようにする。そして、上記した樹脂種別の判定に基づき色分けして画像化すると、光検出素子33の上を水とともに通過する流路11内のマイクロプラスチックの形状の画像を形成することができる。なお、流束の速度に対応させて光検出素子33からの出力を間欠的に行い、出力を受ける度に樹脂種別の判定を行って同様に画像を形成してもよい。つまり、解析装置40は、観察装置1の画像処理部としても機能する。
【0024】
なお、一軸アレイ検出器32及び解析装置40としては、公知の機器を用いることができる。例えば、解析装置40としては、スペクトル解析ソフトウェアを搭載したパーソナルコンピュータなどを用い得る。
【0025】
[実証試験]
上記した観察装置1によって既知の樹脂種別によるプラスチック片を観察した結果について説明する。用意したプラスチック片は、樹脂種別として、ポリメタクリル酸メチル樹脂(アクリル)、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂の4種である。
【0026】
まず、それぞれの樹脂種別のプラスチック片を約5mm角、厚み1mmに成形し、水の中に浸した。セル10の幅はおよそ10mmであり、上下方向の寸法は3mmである。水は流路11内を満たすようにしたので、プラスチック片がある箇所での水の厚みは2mmとなる。
【0027】
図2(a)に示すように、外観で4種のプラスチック片が観察でき、同図(b)に示すように、観察装置1により得た2次元画像において、外観と同様の形状を得られることが観察された。なお、点線で囲んだ範囲が同図(a)(b)のそれぞれで互いに対応する。
【0028】
また、この2次元画像は解析装置40による樹脂種別の判定に基づいて色分けされている。かかる判定による色分けも同図(a)の外観上に示した樹脂種別の符号(PMMA:ポリメタクリル酸メチル樹脂(アクリル)、PS:ポリスチレン樹脂、PE、ポリエチレン樹脂、PP:ポリプロピレン樹脂)と対応していることが判った。このように、観察装置1により得た2次元画像は、少なくとも上記した4種のプラスチック片の樹脂種別と形状とをほぼ正確に表すことができた。
【0029】
次に、それぞれの樹脂種別のプラスチック片の寸法を約1mm角、厚み1mmに成形し、セル10の上下方向の寸法を2mmに変えて、すなわちプラスチック片がある箇所での水の厚みを1mmに変えて同様の観察を行った。
【0030】
図3(a)に示すように、外観で4種のプラスチック片が観察でき、同図(b)に示すように、観察装置1により得た2次元画像において、外観と同様の形状を得られることが観察された。
【0031】
また、樹脂種別の判定による色分けにおいても、同図(a)の外観上に示した樹脂種別の符号と対応していることが判った。このように観察装置1により得た2次元画像は、少なくとも1mm角程度の大きさのプラスチック片であれば同様に樹脂種別と形状とをほぼ正確に表すことが可能であることが判った。
【0032】
以上のように、観察装置1によれば、赤外線を用いた上での水中のマイクロプラスチックの観察が可能となる。特に、照射側光学系20により赤外線を直線上に集光することでその照射面積を減じており、同じ光源でも面積あたりの光強度を高められる。そのため、水中での光吸収の大きい赤外線であっても光源を大型にせずとも観察ができ、小型の観察装置とすることができる。このような観察装置1によれば、例えば、船舶上で海水中のマイクロプラスチックを観察することも容易となる。
【0033】
以上、本発明による代表的な実施例を説明したが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の主旨又は添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、様々な代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。
【符号の説明】
【0034】
1 観察装置
10 フローセル
11 流路
20 照射側光学系
30 受光側光学系
40 解析装置
A 軸線
図1
図2
図3