(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023166795
(43)【公開日】2023-11-22
(54)【発明の名称】触媒敷設用ノズル
(51)【国際特許分類】
B01J 8/02 20060101AFI20231115BHJP
F27D 17/00 20060101ALI20231115BHJP
B01J 23/648 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
B01J8/02 A
F27D17/00 104G
B01J23/648 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077582
(22)【出願日】2022-05-10
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】502362758
【氏名又は名称】JX金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110722
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100213540
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 恵庭
(72)【発明者】
【氏名】羽田 圭太
(72)【発明者】
【氏名】末廣 敬
【テーマコード(参考)】
4G070
4G169
4K056
【Fターム(参考)】
4G070AA01
4G070AB07
4G070BB06
4G070CA07
4G070CB07
4G070CB18
4G070DA15
4G169AA03
4G169AA15
4G169BA02A
4G169BB04A
4G169BC54A
4G169CA02
4G169CA07
4G169CA12
4G169CB84
4G169EA06
4G169EB03
4G169EB08
4G169FB13
4K056AA05
4K056CA04
4K056DB04
(57)【要約】
【課題】輸送ホースを用いてガス反応設備の棚板へ固体触媒を敷設する際の作業環境を良好にし、設備の長期操業に貢献することの可能な触媒敷設用ノズルを提供する。
【解決手段】触媒敷設用ノズル101は、固体触媒を吐出するための吐出口を底面側に有した概略有蓋筒状の本体部101Aと、輸送ホースで輸送されてくる固体触媒を本体部の内部へ供給するために当該本体部の側面に取り付けられた供給筒70と、前記固体触媒が供給される際に本体部内で発生した粉塵を集塵ホースで吸引するために当該本体部の蓋面側に取り付けられた集塵筒102と、前記本体部の側面側から供給されてくる前記固体触媒が前記蓋面側の前記集塵筒へ吸引されることを防止して、当該固体触媒を前記吐出口側へ向かうようにするために前記本体部の内部に配置された邪魔板102Aとを備えている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス反応設備へ配置された棚板上へ固体触媒を敷設するための触媒敷設用ノズルであって、
前記固体触媒を吐出するための吐出口を底面側に有した概略有蓋筒状の本体部と、
輸送ホースで輸送されてくる前記固体触媒を前記本体部の内部へ供給するために当該本体部の側面に取り付けられた供給筒と、
前記固体触媒が供給される際に前記本体部内で発生した粉塵を集塵ホースで吸引するために当該本体部の蓋面側に取り付けられた集塵筒と、
前記本体部の側面側から供給されてくる前記固体触媒が前記蓋面側の前記集塵筒へ吸引されることを防止して、当該固体触媒を前記吐出口側へ向かうようにするために前記本体部の内部に配置された邪魔板と、
を備えていることを特徴とする触媒敷設用ノズル。
【請求項2】
請求項1に記載の触媒敷設用ノズルにおいて、
前記邪魔板は、前記供給筒から供給されてくる前記固体触媒の進路と前記集塵筒に吸引される前記粉塵の進路とを仕切るように、当該供給筒の供給口と正対した姿勢で配置されている
ことを特徴とする触媒敷設用ノズル。
【請求項3】
請求項2に記載の触媒敷設用ノズルにおいて、
前記邪魔板は、前記集塵筒と一体で形成されている
ことを特徴とする触媒敷設用ノズル。
【請求項4】
請求項3に記載の触媒敷設用ノズルにおいて、
前記集塵筒及びこれと一体で形成された前記邪魔板は、筒状部材の一部を半割状にしたものである
ことを特徴とする触媒敷設用ノズル。
【請求項5】
請求項4に記載の触媒敷設用ノズルにおいて、
前記本体部は、合成樹脂製である
ことを特徴とする触媒敷設用ノズル。
【請求項6】
請求項5に記載の触媒敷設用ノズルにおいて、
前記供給筒は、
前記輸送ホースによって輸送されてくる前記固体触媒を前記本体部へと案内する多孔状の供給筒である内筒と、
前記内筒を覆うようにして設けられた外筒と、
前記内筒の多孔を介して前記外筒側へと移動した粉塵を第二の集塵ホースで排出するために前記外筒の途中に設けられた第二の集塵筒と、
を備えていることを特徴とする触媒敷設用ノズル。
【請求項7】
請求項6に記載の触媒敷設用ノズルにおいて、
前記集塵ホース又は前記第二の集塵ホースはバキューム装置に接続可能とされ、
前記輸送ホースは空気輸送装置に接続可能とされていることを特徴とする触媒敷設用ノズル。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の触媒敷設用ノズルにおいて、
前記ガス反応設備は、硫酸製造プラントにおける転化器であり、
前記固体触媒は、SiO2である担体に、SO2ガス(二酸化硫黄ガス)をSO3ガス(三酸化硫黄ガス)に酸化させるためのV2O5(五酸化バナジウム)が少なくとも担持されたものであることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送ホースを用いてガス反応設備の棚板へ固体触媒を敷設する際に用いられる触媒敷設用ノズルに関する。なお、本明細書でいう「ガス反応設備」には、銅等の金属製錬工程で発生するSO2(亜硫酸ガス)を含む排ガスを利用して硫酸を製造する硫酸製造プラントの転化器やプレコンバータなどが含まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
銅製錬工場では、銅製錬工程で発生するSO2を含む排ガスを利用して硫酸の製造が行われている。酸化触媒としてNO2ガスを用いて薄硫酸を製造する方式は硝酸式と呼ばれ、製錬排ガスは不純でSO2濃度も低く、組成や量の変動も激しいことから従来はよく用いられたが、品質や輸送の問題、また窒素酸化物ガスの発生のおそれ等の問題から近年ではV2O5(五酸化バナジウム)を固体触媒とする接触式による濃硫酸製造が一般的となっている。この方法で製造された濃硫酸は純度も濃度も高く商品価値に優れ、発煙硫酸の製造も可能である。
【0003】
排ガス中のSO2ガスを固体触媒であるV2O5と反応させるガス反応設備としての硫酸製造プラント(例えば特許文献1等を参照)では、転化器において外部から導入されたSO2ガスを400℃以上の高温状態で酸素とともに固体触媒と接触させることによってSO3ガスへと転化させ、その後、SO3ガスを水に吸収させている。また、転化器に導入されるSO2ガスの一部をプレコンバータに導入し、同様に固体触媒と接触させることによってSO3ガスへと転化させ、プレコンバータから排出されたSO3ガスを熱交換した後、転化器に導入することも行われる。このような硫酸製造プラントにおいて、転化器やプレコンバータの内部に敷設された固体触媒は、経年劣化により粉化するので、定期的に(例えば隔年で)篩分・入替えを行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-214454号公報
【特許文献2】特開2019-51511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記の硫酸製造プラントを構成する転化器は、例えば、高さ約18m、内径12.8m、プレコンバータは、例えば、高さ約7m、内径8.9mの大型設備であって、しかもいずれも内部には複数段の棚板上にそれぞれ触媒層を配置しているので、従来は篩分・入替え先となる触媒層の高さ位置(高所)にまで固体触媒を運搬するためにコンベヤを設置する必要があり、そのための足場等を必要としていた。
【0006】
しかも、例えば3段分の触媒層を入れ替えるために昼夜作業でも約27日間もの時間を要する上、雨天になるとベルトコンベヤ上の固体触媒に水分が付着してその性状が変化するリスクがあるため作業を中止せざるを得ないという問題があった。
【0007】
そのため、本発明者等は、転化器の棚板の高さまで触媒を輸送する方法として、固体触媒を空気等の流体と共に輸送ホースで輸送する方法を検討した(特許文献2等を参照)。例えば空気輸送方法を利用してフレキシブルな輸送ホースを適切に取り回せば、多数の固体触媒を高所へと効率的に搬送できるからである。
【0008】
しかしながら、発明者等が行った実験によると、輸送ホースによる空気輸送中には、固体触媒同士の接触による摩耗(粉化)や固体触媒と管壁との接触による摩耗(粉化)が生じるので、輸送ホースの先端側から粒状の固体触媒と共に多くの触媒粉(粉塵)が吐出されることが判明した。この場合、輸送ホースで固体触媒を棚板へ敷き詰める際に多くの粉塵が空中を舞うことになるので、作業環境を改善するためには当該粉塵の量をなるべく抑える必要があった。しかも、敷設された触媒層に粉塵が混ざると、敷設直後であるにも関わらず転化器に一定の圧力損失が生じるので、長期間継続して操業する際に設備の圧力損失の上限に達する時期が早まり、操業を停止して触媒の篩別作業が必要となる頻度が多くなるという問題も生じていた。
【0009】
そこで本発明は、かかる問題点に鑑みなされたもので、輸送ホースを用いてガス反応設備の棚板へ固体触媒を敷設する際の作業環境を良好にし、ガス反応設備の長期操業に貢献することの可能な触媒敷設用ノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため本発明は、ガス反応設備へ配置された棚板上へ固体触媒を敷設するための触媒敷設用ノズルであって、前記固体触媒を吐出するための吐出口を底面側に有した概略有蓋筒状の本体部と、輸送ホースで輸送されてくる前記固体触媒を前記本体部の内部へ供給するために当該本体部の側面に取り付けられた供給筒と、前記固体触媒が供給される際に前記本体部内で発生した粉塵を集塵ホースで吸引するために当該本体部の蓋面側に取り付けられた集塵筒と、前記本体部の側面側から供給されてくる前記固体触媒が前記蓋面側の前記集塵筒へ吸引されることを防止して、当該固体触媒を前記吐出口側へ向かうようにするために前記本体部の内部に配置された邪魔板と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するため本発明の触媒敷設用ノズルにおいて、前記邪魔板は、前記供給筒から供給されてくる前記固体触媒の進路と前記集塵筒に吸引される前記粉塵の進路とを仕切るように、当該供給筒の供給口と正対した姿勢で配置されてもよい。
【0012】
上記目的を達成するため本発明の触媒敷設用ノズルにおいて、前記邪魔板は、前記集塵筒と一体で形成されてもよい。
【0013】
上記目的を達成するため本発明の触媒敷設用ノズルにおいて、前記集塵筒及びこれと一体で形成された前記邪魔板は、筒状部材の一部を半割状にしたものであってもよい。
【0014】
上記目的を達成するため本発明の触媒敷設用ノズルにおいて、前記本体部は、合成樹脂製であってもよい。
【0015】
上記目的を達成するため本発明の触媒敷設用ノズルにおいて、前記供給筒は、前記輸送ホースによって輸送されてくる前記固体触媒を前記本体部へと案内する多孔状の供給筒である内筒と、前記内筒を覆うようにして設けられた外筒と、前記内筒の多孔を介して前記外筒側へと移動した粉塵を第二の集塵ホースで排出するために前記外筒の途中に設けられた第二の集塵筒と、を備えていてもよい。
【0016】
上記目的を達成するため本発明の触媒敷設用ノズルにおいて、前記集塵ホース又は前記第二の集塵ホースはバキューム装置に接続可能とされ、前記輸送ホースは空気輸送装置に接続可能とされていてもよい。
【0017】
上記目的を達成するため本発明の触媒敷設用ノズルにおいて、前記ガス反応設備は、硫酸製造プラントにおける転化器であり、前記固体触媒は、SiO2である担体に、SO2ガス(二酸化硫黄ガス)をSO3ガス(三酸化硫黄ガス)に酸化させるためのV2O5(五酸化バナジウム)が少なくとも担持されたものであってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る触媒敷設用ノズルは、前記固体触媒を吐出するための吐出口を底面側に有した概略有蓋筒状の本体部と、輸送ホースで輸送されてくる前記固体触媒を前記本体部の内部へ供給するために当該本体部の側面に取り付けられた供給筒と、前記固体触媒が供給される際に前記本体部内で発生した粉塵を集塵ホースで吸引するために当該本体部の蓋面側に取り付けられた集塵筒と、前記本体部の側面側から供給されてくる前記固体触媒が前記蓋面側の前記集塵筒へ吸引されることを防止して、当該固体触媒を前記吐出口側へ向かうようにするために前記本体部の内部に配置された邪魔板と、を備えている。よって、吐出口が前方斜め下向きになるように作業者が本体部を支持すれば、供給筒から供給された固体触媒を含む流体(例えば空気)は、最初に邪魔板の方向に向かい、その後、邪魔板の近傍にて進路を変化させて下方の吐出口に向かう。一方、固体触媒同士又は固体触媒及び管壁の衝突で生じた粉塵は、本体部内を浮遊するので、吐出口から下方へ落下することなく、邪魔板の反対側(集塵筒に正対する側)へと回り込むので、集塵筒へと吸引されていく。したがって、本発明に係る触媒敷設用ノズルによれば、吐出口から吐出される粉塵の量を軽減することにより、作業環境を良好にすることができると共に、固体触媒層に混入する粉塵の量が軽減された分だけ、ガス反応設備の初期の圧力損失が抑制されるため、より長期間の操業継続が可能になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、硫酸製造プラントにおけるフロー図である。
【
図2】
図2は、転化器及びプレコンバータの構成を説明する概略断面図である。
【
図3】
図3は、触媒敷設システムの概要を説明する説明図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る触媒敷設用ノズルの一実施形態を説明する概略側面図である。
【
図5】
図5(A)は本体部の正面図(蓋部側から見た図)、
図5(B)は本体部の斜視図(分解図)、
図5(C)は本体部の背面図(吐出口側から見た図)である。
【
図6】
図6(A)は供給筒の正面図(輸送ホース側から見た図)、
図6(B)は供給筒の側面図、
図6(C)は供給筒の背面図(本体部側から見た図)である。
【
図7】
図7(A)は外筒の正面図(輸送ホース側から見た図)、
図7(B)は外筒の側面図、
図7(C)は外筒の背面図(本体部側から見た図)である。
【
図8】
図8(A)は内筒の正面図(輸送ホース側から見た図)、
図8(B)は内筒の側面図、
図8(C)は内筒の背面図(本体部側から見た図)である。
【
図9】
図9は、
図8とは別の周位置から見た内筒の側面図である。
【
図10】
図10(A)は本体部の変形例の正面図、
図10(B)は本体部の変形例の斜視図(分解図)、
図10(C)は本体部の変形例の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るガス反応設備における触媒敷設に用いられる触媒敷設用ノズルについて好ましい一実施形態に基づいて説明する。ここでは、硫酸製造プラントに配置されたガス反応設備の一例として、転化器及びプレコンバータについて説明する。この硫酸製造プラントは、銅等の金属製錬工程で発生するSO2(亜硫酸ガス)を含む排ガスを利用して硫酸を製造するものである。
【0021】
[硫酸製造プラントの構成]
はじめに、
図1を参照して硫酸製造プラントの全体構成について説明する。
図1は硫酸製造プラントにおけるフロー図である。
図1に示すとおり、硫酸製造プラント1には、転化器10、プレコンバータ20、廃熱ボイラー11、SO
3クーラー30、吸収塔25,26、熱交換器13a~13f、ミストエリミネータ27,28、ブロワ12,29などが備えられる。
【0022】
転化器10は、円筒縦型の塔として構成されたガス反応設備であって、その内部にV2O5等の触媒を保有する3~5層の段(本実施形態は4層)を有している。この転化器10の各段には仕切りが設けられており、各層に存在する反応ガスが混ざらないようになっている。外部から転化器10に導入されたSO2ガスは、第1層、第2層、第3層、第4層の触媒へ順に接触し、反応熱を放出しつつSO3ガスへと転化される。
【0023】
プレコンバータ20は、転化器10に供給される前のSO2ガスの一部をSO3ガスに転化するものであり、転化器10と同様に円筒縦型の塔として構成されたガス反応設備である。このプレコンバータ20の内部には、V2O5等の触媒を保有する複数層の段(本実施形態は2層)が備えられ、外部からプレコンバータ20に導入されたSO2ガスは上層及び下層の触媒の作用によりSO3ガスへと転化される。
【0024】
廃熱ボイラー11は、プレコンバータ20の出口に配置され、当該プレコンバータ20から排出されるガスの熱を蒸気として回収する装置である。この廃熱ボイラー11によって回収された蒸気は、例えば発電用の蒸気タービンにおいて再利用される。
【0025】
SO
3クーラー30は、転化器10の第2層の出口に配置され、当該転化器10のいずれかの層から排出されるガス(以下、「出口ガス」と称す。)の熱を高温空気として回収する装置である。このSO
3クーラー30によって回収された高温空気は、例えば乾燥設備や加温設備の熱源として再利用される。なお、
図1の符号29は、SO
3クーラー30が高温空気を回収する際に用いられるブロワである。
【0026】
吸収塔25,26は、H2O+SO3=H2SO4+133kJ/molの反応を生じる装置であって、併せて転化器10のいずれかの層の出口ガスから熱を回収する装置としても機能する。
【0027】
熱交換器13a~13dは、転化器10に供給される前のSO2ガスの熱交換を行うための熱交換器であり、熱交換器13e,13fは、転化器10のいずれかの層の出口ガスの熱交換を行うための熱交換器である。これらの熱交換器13a~13fの作用(後述)によって転化器10の各層の温度が適正に維持される。
【0028】
ミストエリミネータ27,28は、吸収塔25,26から個別に排出されるガスに含まれるミストを除去する装置である。
【0029】
[転化器及びその周辺]
次に、転化器10及びその周辺のフローを説明する。
図1に示す硫酸製造プラント1には、自溶炉や転炉(いずれも図示せず)の排ガスであって、SO
2を含有したもの(SO
2含有ガス)が導入される。このSO
2含有ガスは、ブロワ12で圧送された後に、原料ガスとして転化器10へ供給される。そして、転化器10の各層へ導入される原料ガスの入口温度は、熱交換器13a~13fによって各層の反応に適した温度にそれぞれ維持される。
具体的に、第1層の出口ガスは、熱交換器13dにおける250℃~350℃の原料ガスとの熱交換により390℃~460℃に冷却された後、第2層に導入される。当該第2層の出口ガスは、熱交換器13e又は熱交換器13fを経由することにより180℃~230℃に調整されてから、吸収塔25へと送られる。そして、吸収塔25から排出される低温の戻りガスは、ミストエリミネータ27を経由した後に熱交換器13e,13fに流入し、第2層の出口ガスとの熱交換に用いられ、430℃~460℃になった後に第3層に流入する。当該第3層の出口ガスは、熱交換器13cにおける250℃~300℃の原料ガスとの熱交換により410℃~440℃となり、第4層に流入する。当該第4層の出口ガスは、熱交換器13
bおよび熱交換器13aを経由し、ブロワ12から圧送される原料ガスを250℃~350℃に加熱した後、吸収塔26に送られる。当該吸収塔26から排出されるガスは、ミストエリミネータ28を経由して排出される。
以上の結果、
図1の硫酸製造プラント1は、転化器10内の温度を適正に維持しつつ硫酸を製造し、転化により生ずる余剰な熱を回収して再利用することが可能となる。
【0030】
[転化器の構成]
次に、ガス反応設備としての転化器10の構成について説明する。
図2は転化器及びプレコンバータ20の構成を説明する概略断面図である。
図2(1-1)に示すとおり、転化器10は、高さ方向に4段の棚板10B,10B,10B,10Bを有しており、各棚板10B上に触媒層10Aが形成されている。そして、各触媒層10Aの上下には、
図2(1-2)に示すとおり触媒層10Aを挟持するようにして保護層10C,10Cが形成されている。
触媒層10Aの構成要素は、
図2(2)に示すとおり高さが15~20mmの中空状の略筒体からなる固体触媒100Aであって、その側面には、表面積を大きくするために波板の凹凸が設けられており、固体触媒100Aの断面形状は例えば概略星形である。また、固体触媒100Aの材質は、SiO
2(二酸化ケイ素)である担体に、SO
2ガス(二酸化硫黄ガス)をSO
3ガス(三酸化硫黄ガス)に酸化させるためのV
2O
5(五酸化バナジウム)が少なくとも担持されたものである。また、この固体触媒100Aのバナジウム品位(V品位)は、5%以下の範囲内で触媒の強度に影響しない程度の割合に設定してある(例えば2.8~5.0%程度)。
保護層10Cの構成要素である保護材は、例えば、
図2(3)に示すような直径が15~25mm(例えば、19mm)の略球形状のセラミック製の磁器ボール100Cである。このような磁器ボール100Cを積層した保護層10Cには、触媒層10Aの固体触媒100Aが飛散するのを防止する働きがある。
【0031】
[プレコンバータの構成]
次に、ガス反応設備としてのプレコンバータ20の構成について説明する。
図2(2-1)に示すとおり、プレコンバータ20は、高さ方向に2段の棚板10B,10Bを有しており、各棚板10B上に触媒層10Aが形成されている。そして、各触媒層10Aの上下には、
図2(2-2)に示すとおり触媒層10Aを挟持するようにして保護層10C,10Cが形成されている。なお、プレコンバータ20における触媒層10A,保護層10Cの構成は、転化器10における触媒層10A,保護層10Cの構成と基本的に同じである(層のサイズが異なるのみである)。
【0032】
[触媒敷設方法の概要]
次に、転化器10又はプレコンバータ20の各棚板10Bに対する触媒敷設方法の概要について説明する。転化器10又はプレコンバータ20の各棚板10Bに固体触媒100Aを敷設する手順は、概略として以下の工程(1)~(7)を含む。
(1)上部の保護層10Cの構成要素である磁器ボール100Cの搬出
(2)触媒層10Aの構成要素である固体触媒100Aの搬出・篩別
(3)下部の保護層10Cの構成要素である磁器ボール100Cの搬出
(4)棚板10B及びレンガの補修
(5)下部の保護層10Cの構成要素である磁器ボール100Cの敷設
(6)触媒層10Aの構成要素である固体触媒100Aの敷設
(7)上部の保護層10Cの構成要素である磁器ボール100Cの敷設
このうち工程(5),(6),(7)に本実施形態の触媒敷設用ノズル(後述)を適用することが可能である。特に工程(6)に適用した場合には作業環境の改善だけでなく反応効率アップという効果が得られるので有効である。以下、触媒敷設用ノズル(後述)が工程(6)に適用される場合を想定する。
【0033】
[触媒敷設システムの概要]
以下、本実施形態の触媒敷設システムの概要について説明する。
図3は、触媒敷設システムの概要を説明する説明図である。
図3に示すとおり、本実施形態の触媒敷設システム2には、例えば流動型圧送方式の空気輸送装置60、バキューム車などのバキューム装置40,40、空気輸送装置60に接続された輸送ホース61、バキューム装置40,40に接続される集塵ホース73,73、輸送ホース61及び集塵ホース73,73の先端側に接続される触媒敷設用ノズル101が備えられる。なお、
図3の符号300は、触媒敷設用ノズル101の吐出口101Bの下側端を支持する支持台である。この支持台300は必要に応じて用いられるものであって必須ではない。
【0034】
[触媒敷設用ノズルの構成]
以下、触媒敷設用ノズル101の構成について説明する。
図4は、本発明に係る触媒敷設用ノズルの一実施形態を説明する概略側面図、
図5(A)は本体部の正面図(蓋部側から見た図)、
図5(B)は本体部の斜視図(分解図)、
図5(C)は本体部の背面図(吐出口側から見た図)である。これらの
図4,
図5に示すとおり、触媒敷設用ノズル101は、本体部101Aと、供給筒70と、集塵筒102と、邪魔板102Aとを備えている。
【0035】
本体部101Aは、固体触媒100Aを吐出するための吐出口101B(開口)を底面側に有した概略有蓋筒状の部材である。この本体部101Aとしては例えば既製品のドラム缶を用いることができ、ドラム缶の材質としては合成樹脂を用いることができる。合成樹脂製のドラム缶を用いれば、触媒敷設用ノズル101に必要な強度を確保しつつ、その軽量化を図ることができるからである。
【0036】
供給筒70は、輸送ホース61で輸送されてくる固体触媒100Aを本体部101Aの内部へ供給するために当該本体部101Aの側面に取り付けられた概略筒状の部材である。供給筒70の取り付け先は、
図5に示すとおり、本体部101Aの側面の蓋部101C寄りに設けられた楕円孔Hin(円筒側面と円筒側面とが交わる閉曲線状の孔)である。この楕円孔Hinと供給筒70のつなぎ目は、流体(空気)や粉塵200の漏れがないようビニールテープやコーキング材などで隙間なく埋められている。なお、供給筒70の詳細な構成については後述する。
【0037】
集塵筒102は、固体触媒100Aが供給される際に本体部101A内で発生した粉塵200を集塵ホース73で吸引するために当該本体部101Aの蓋面101C側に取り付けられた筒状の部材である。集塵筒102の取り付け先は、蓋部101Cの中央よりも供給筒70から離れた側に設けられた円孔Houtである(
図5(B)参照)。この円孔Houtと集塵筒102のつなぎ目は、流体(空気)や粉塵200の漏れがないようビニールテープやコーキング材などで隙間なく埋められている。
邪魔板102Aは、供給筒70から本体部101A内へ供給されてくる固体触媒100Aを含む流体(ここでは空気)の進路を吐出口101Bの側へ向ける(折り曲げる)と共に、当該吐出口101Bに向かう当該固体触媒100Aが集塵筒102から吸引されることを防止するために本体部101Aの内部に配置された部材である。そのために邪魔板102Aは、供給筒70から供給されてくる固体触媒100Aの進路と集塵筒102に吸引される粉塵200の進路とを仕切るようにして、当該供給筒70の開口(供給口)と正対し、且つ当該集塵筒102の中心線に沿った姿勢で配置されている。
【0038】
なお、
図4,
図5に例示した邪魔板102Aは、集塵筒102と一体で形成されており、集塵筒102及び邪魔板102Aの全体は、筒状部材の一部を半割状にした形状となっている。このようにして集塵筒102及び邪魔板102Aを一体で形成すれば、触媒敷設用ノズル101の部品点数を抑えてメンテナンス性を高めることができる。
【0039】
したがって、例えば、
図3のとおり吐出口101Bが前方斜め下向きになるように作業者Uが本体部101Aを保持すれば、供給筒70から供給された固体触媒100Aを含む流体(ここでは空気)は、
図4に示すとおり最初に邪魔板102Aの方向に向かい、その後、邪魔板102Aにて進路を変化させて下方の吐出口101Bに向かう。
【0040】
一方、固体触媒100A同士又は固体触媒100A及び管壁の衝突で生じた粉塵200は、本体部101A内を浮遊するので、吐出口101Bから下方へ落下することなく、邪魔板102の反対側(集塵筒102に正対する側)へと回り込むので(
図5(C))、集塵筒102へと吸引されていく。
【0041】
なお、邪魔板102Aの長さは本体部101Aの長さの半分程度に設定されており、邪魔板102Aの先端が本体部101Aの内部中央に位置するようになっているので、吐出口101B寄りの略半分の空間は、邪魔板12Aの存在しない空間となっている。この空間では、吐出口101Bへ向かって落下する固体触媒100Aと、落下せずに浮遊して集塵筒102の側へ吸引されていく粉塵200とが、互いに分離されるので(
図5(C))、固体触媒100Aと共に吐出口101Bから外部へ出てしまう粉塵200の量を少なく抑えることが可能である。
【0042】
[供給筒の構成]
次に、
図4,
図6~
図9を参照して、本体部101Aの上流側に位置する供給筒70の構成について説明する。
図6(A)は供給筒の正面図(輸送ホース側から見た図)、
図6(B)は供給筒の側面図、
図6(C)は供給筒の背面図(本体部側から見た図)、
図7(A)は外筒の正面図(輸送ホース側から見た図)、
図7(B)は外筒の側面図、
図7(C)は外筒の背面図(本体部側から見た図)、
図8(A)は内筒の正面図(輸送ホース側から見た図)、
図8(B)は内筒の側面図、
図8(C)は内筒の背面図(本体部側から見た図)、
図9は、
図8とは別の周位置から見た内筒の側面図である。これらの
図4及び
図6~
図9に示すとおり、供給筒70は、内筒70A、外筒70B、集塵筒72を備えている。
【0043】
内筒70Aは、輸送ホース61によって輸送されてくる固体触媒100Aを本体部101へと案内する多孔状(メッシュ状)の筒状部材である。内筒70Aの周面に設けられた多孔70Cの各々の孔径は、固体触媒100Aの最小辺の長さより十分に小さく、かつ、除去すべき不要な粉塵200の粒径より十分に大きいサイズに設定されている。
【0044】
外筒70Bは、内筒70Aを覆うようにして設けられた概略筒状の部材である。ここで、
図3,
図4に示すとおり、触媒敷設用ノズル101の使用時には、本体部101Aの吐出口101Bが作業者Uの前方斜め下向きの姿勢に設定されるので、外筒70Bは、内筒70Aと共に作業者Uの前方斜め上向きの姿勢に設定される。この外筒70Bは、内筒70Aと中心線を一致させた状態(同軸)で固定される。但し、使用時における内筒70Aと外筒70Bとの隙間の上方側の空間Aが大きくなるように、外筒70Bと内筒70Aとが互いに偏心した状態で固定されてもよい(固定方法の例は後述する。)。
【0045】
集塵筒72は、内筒70Aの多孔70Cを介して外筒70Bの空間Aへと移動した粉塵200を集塵ホース73で排出するために、外筒70Bの上部外壁の途中に設けられた筒状の部材である。輸送される固体触媒100A同士の接触による摩耗(粉化)や、固体触媒100Aと管壁との接触によって生じた粉塵200は、内筒70Aの内部を浮遊するので、内筒70Aの多孔70Cから上記の空間Aへと入りこみ、集塵筒72を介して集塵ホース73へ吸引されていく。なお、当該空間Aから集塵筒72へと集塵200をスムーズに吸引するために、集塵筒72の姿勢は適当な角度だけ傾斜した姿勢に設定されている。
【0046】
因みに、触媒敷設用ノズル101の使用時には、供給筒70の内筒70A及び外筒80Bは、斜め上向きの姿勢に設定され、集塵筒72姿勢は略水平に設定される。
また、
図7~
図9に示すとおり、内筒70Aの上流寄りには鍔部70A-1が設けられ、外筒70Bの上流寄りには鍔部70B-1が設けられており、
図6に示すとおり外筒70Bの内部に内筒70Aが挿入された状態では、互いの鍔部70A-1,70B-1が重なり合うので、内筒70Aと外筒70Bの位置決めを行うことが容易になっている。
【0047】
また、内筒70Aと外筒70Bは、鍔部70A-1,70B-1に設けられた複数のボルト孔HB,HB,…を介して同軸となるようボルトで固定される。なお、鍔部70A-1と鍔部70B-1とは、ボルトで固定される代わりに、クランプで挟んで固定されてもよいし、溶接により固定されてもよい。特に、内筒70Aと外筒70Bとを意図的に偏心させる場合には、内筒70Aと外筒70Bとを偏心させた状態で、鍔部70A-1と鍔部70B-1とをクランプ又は溶接により固定してもよい。
【0048】
そして、
図3に示したバキューム装置40,40から吸引される粉塵200を含む流体(ここでは空気)の流量(m
3/h)と、輸送装置60による固体触媒100Aの輸送速度(t/h)とは、それぞれ適切に設定されており、その結果として、吐出口101Bから単位時間当たりに吐出される粉塵200の量が許容範囲に収まるようになっている。
【0049】
[触媒敷設用ノズルの仕様]
以下、触媒敷設用ノズル101の仕様の一例について説明する。
触媒敷設用ノズル101の材質:超高分子量ポリエチレン
触媒敷設用ノズル101の外径:464mm
触媒敷設用ノズル101の内径:445mm
吐出口101Bの径:445mm
触媒敷設用ノズル101の長さ:750mm
集塵筒102の材質:塩化ビニル
集塵筒102の外径:114mm
集塵筒102の内径:107mm
集塵筒102の長さ(邪魔板102除く):100mm
集塵筒102の長さ(邪魔板102含む):370mm
外筒70Bの材質:SS400
外筒70Bの外径:165mm
外筒70Bの内径:161.8mm
外筒70Bの長さ:500mm
内筒70Aの材質:SS400
内筒70Aの外径:101mm
内筒70Aの内径:97.8mm
内筒70Aの長さ:600mm
集塵筒72の材質:SS400
集塵筒72の外径:75.3mm
集塵筒72の内径:72.1mm
集塵筒72の長さ:300mm
1台分のバキューム装置40の流量:80m3/h
輸送装置60の輸送速度:1.5(t/h)
【0050】
[実施形態の効果]
以上説明したとおり、本実施形態に係る触媒敷設用ノズル101によれば、供給筒70から供給された固体触媒100Aを含む流体(ここでは空気)は、最初に邪魔板102Aの方向に向かい、その後、邪魔板102Aにて進路を変化させて下方の吐出口に向かう(
図4)。一方、固体触媒100A同士又は固体触媒100A及び管壁の衝突で生じた粉塵200は、本体部101A内を浮遊するので、吐出口101Bから下方へ落下することなく、邪魔板102の反対側(集塵筒102に正対する側)へと回り込むので、集塵筒102へと吸引されていく(
図5(C))。したがって、本実施形態に係る触媒敷設用ノズル101によれば、吐出口101Bから吐出される粉塵200の量を軽減することにより、作業環境を良好にすることができると共に、固体触媒層10Aに混入する粉塵200の量が軽減された分だけ、転化器10の初期の圧力損失が抑制されるため、より長期間の操業継続が可能になるという効果がある。
【0051】
[邪魔板の第一の変形例]
なお、上述した実施形態では、集塵筒102及び邪魔板102Aの全体が筒状部材の一部を半割状にした形状となっていたが、
図10に示すとおり集塵筒102と邪魔板102とは別体で構成されてもよい。
図10の例では、邪魔板102Aの形状は板状とされており、邪魔板102Aの幅は集塵筒102の径よりやや大きい程度に設定されており、
図4,
図5に示した邪魔板102Aと同様に、
図10の邪魔板102Aの左右端と本体部101Aの内壁との間には隙間が設けられる。邪魔板102Aの長さは、本体部101Aの長さの半分程度に設定されており、邪魔板102Aの取り付け先は、集塵筒102又は本体部101Aの少なくとも一方である。
【0052】
[邪魔板の第二の変形例]
なお、
図4,
図5の例又は
図10の例では、邪魔板102Aの左右端と本体部101Aの内壁との間に隙間を設け、邪魔板102の反対側(集塵筒102に正対する側)へ回り込む粉塵を増やして吸引効果を高めたが、このような隙間を介して一部の固体触媒が粉塵と共に吸引されてしまう可能性もある。そこで、粉塵の吸引効果の低下を許容して固体触媒の輸送効率を向上させたい場合には、邪魔板102Aの幅を拡大して本体部101Aの内壁に近接又は密接させてもよい。
つまり、本実施形態において、邪魔板102Aの左右端と本体部101Aとの間の隙間の大きさは、粉塵の吸引効果と固体触媒の輸送効率とのバランスが所望のバランスになるよう適切に設定されることが望ましい。
同様に、本実施形態において、本体部101Aの吐出口寄りに設けられる邪魔板102Aの存在しない空間の大きさ(邪魔板102Aの長さによって決まる大きさ)は、粉塵の吸引効果と固体触媒の輸送効率とのバランスが所望のバランスになるよう適切に設定されることが望ましい。
【0053】
[邪魔板の第三の変形例]
また、
図4,
図5に示す邪魔板102A、又は、
図10に示す邪魔板102Aには、固体触媒200Aが通過できずに粉塵200が通過可能なサイズの多孔が形成されていてもよい。また、その場合は、邪魔板102の長さを本体部101Aの長さと同じ程度まで延在させ、邪魔板102Aの幅を本体部101Aの内壁に近接する程度まで延在させてもよい。なぜなら、邪魔板102Aに多孔を設けた場合には、吐出口101B寄りに邪魔板12Aの存在しない空間や、本体部101Aの内壁と邪魔板102Aとの間の隙間を設けなかったとしても、邪魔板102Aの多孔を介して集塵筒102の側へ粉塵のみを送ることができるので、固体触媒の輸送効率と粉塵の吸引効果との両立を図ることができるからである。
【0054】
[固体触媒の変形例]
上述した実施形態では、空気輸送の対象を断面星形の中空状の固体触媒100Aとしたが、固体触媒の形状はこれに限定されることはなく、複数の中空部を有した固体触媒(例えば井桁状の固体触媒)や、星形以外の断面形状を有した固体触媒や、側面に多数の溝を形成した固体触媒など、様々な形状の固体触媒を適用することができる。また、固体触媒の性状(V品位など)も上述したものに限定されることはない。
【0055】
[敷設対象の変形例]
上述した実施形態では、転化器10の触媒層10Aを敷設対象としたが、転化器10の保護層10Cとしてもよい。
【0056】
[ガス反応設備の変形例]
また、上述した実施形態では、固体触媒又は磁器ボールの敷設先となるガス反応設備を転化器10をとしたが、プレコンバータ20を敷設先とすることも可能である。
【0057】
[その他の変形例]
以上のように、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0058】
1 硫酸製造プラント
10 転化器
100A 固体触媒
100C 磁器ボール
101 触媒敷設用ノズル
101A 本体部
101B 吐出口
101C 蓋部
102 集塵筒
102A 邪魔板
10A 触媒層
10B 棚板
10C 保護層
11 廃熱ボイラー11
12 ブロワ
13a~13f 熱交換器
2 触媒敷設システム
20 プレコンバータ
200 触媒粉(粉塵)
25,26 吸収塔
27,28 ミストエリミネータ
29 ブロワ29
30 篩別器
30 SO3クーラー
300 支持台
40 バキューム装置
60 空気輸送装置
61 輸送ホース(輸送配管)
70 供給筒
70 集塵ノズル
70A 内筒
70A-1 鍔部
70B 外筒
70B-1 鍔部
70C 多孔
71 外筒
72 集塵筒
73 集塵ホース
HB ボルト孔
Hin 楕円孔
Hout 円孔