(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167195
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】加熱装置、定着装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20231116BHJP
H05B 3/00 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
G03G15/20 510
G03G15/20 555
H05B3/00 310D
H05B3/00 335
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078180
(22)【出願日】2022-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100182453
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 英明
(72)【発明者】
【氏名】古市 祐介
(72)【発明者】
【氏名】南野 茂夫
(72)【発明者】
【氏名】染矢 幸通
【テーマコード(参考)】
2H033
3K058
【Fターム(参考)】
2H033AA03
2H033BA11
2H033BA12
2H033BB05
2H033BB06
2H033BB12
2H033BB14
2H033BB15
2H033BB18
2H033BB29
2H033BB30
2H033CA02
2H033CA27
3K058AA86
3K058BA18
3K058CA23
3K058CA61
3K058CA71
3K058CE02
3K058CE19
3K058DA00
(57)【要約】
【課題】他の領域に比べて温度上昇する可能性がある領域における導電部材の温度上昇を抑制する。
【解決手段】互いに接触してシートを通過させるニップ部を形成する一対の回転体21,22と、一対の回転体21,22のうちの少なくとも一方を加熱する加熱源23と、加熱源23を保持する加熱源保持部材24と、加熱源23の温度を検知する温度検知部材27と、温度検知部材27に接続される可撓性を有する導通部材44と、を備える加熱装置であって、加熱源保持部材24は、加熱源23を保持する面241側とは反対の面240側において導通部材44を支持する導通部材支持部30を有し、導通部材支持部30は、加熱源保持部材24の所定幅W2よりも外側の少なくとも一部の領域において、所定幅W2内の領域に比べて加熱源23に対する導通部材44の距離を大きくするように導通部材44を支持する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接触してシートを通過させるニップ部を形成する一対の回転体と、
一対の前記回転体のうちの少なくとも一方を加熱する加熱源と、
前記加熱源を保持する加熱源保持部材と、
前記加熱源の温度を検知する温度検知部材と、
前記温度検知部材に接続される可撓性を有する導通部材と、
を備える加熱装置であって、
前記加熱源保持部材は、前記加熱源を保持する面側とは反対の面側において前記導通部材を支持する導通部材支持部を有し、
前記導通部材支持部は、前記加熱源保持部材の所定幅よりも外側の少なくとも一部の領域において、前記所定幅内の領域に比べて前記加熱源に対する前記導通部材の距離を大きくするように前記導通部材を支持することを特徴とする加熱装置。
【請求項2】
互いに接触してシートを通過させるニップ部を形成する一対の回転体と、
一対の前記回転体のうちの少なくとも一方を加熱する加熱源と、
前記加熱源を保持する加熱源保持部材と、
前記加熱源の温度を検知する温度検知部材と、
前記温度検知部材に接続される可撓性を有する導通部材と、
を備える加熱装置であって、
前記加熱源保持部材は、前記加熱源を保持する面側とは反対側に突出し前記導通部材を支持する導通部材支持部を複数有し、
複数の前記導通部材支持部のうち、所定幅よりも外側に配置される少なくとも一部の前記導通部材支持部は、その他の前記導通部材支持部よりも前記加熱源保持部材から突出する突出方向の高さが高いことを特徴とする加熱装置。
【請求項3】
互いに接触してシートを通過させるニップ部を形成する一対の回転体と、
一対の前記回転体のうちの少なくとも一方を加熱する加熱源と、
前記加熱源を保持する加熱源保持部材と、
前記加熱源の温度を検知する温度検知部材と、
前記温度検知部材に接続される可撓性を有する導通部材と、
を備える加熱装置であって、
前記加熱源保持部材は、前記加熱源を保持する面側とは反対側に突出し前記導通部材を支持する導通部材支持部を複数有し、
複数の前記導通部材支持部のうち、所定幅よりも外側に配置される少なくとも一部の前記導通部材支持部同士のシート幅方向の間隔は、その他の前記導通部材支持部同士のシート幅方向の間隔よりも小さいことを特徴とする加熱装置。
【請求項4】
前記所定幅は、最小サイズのシート通過幅である請求項1から3のいずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項5】
前記加熱源は、シート幅方向に間隔をあけて配置される複数の発熱体を有し、
前記導電部材支持部は、シート幅方向において前記発熱体同士の間の領域に重なるように配置される請求項1から3のいずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項6】
前記導電部材支持部は、前記加熱源保持部材の前記加熱源を保持する面側とは反対側に突出し、
前記導電部材支持部の前記加熱源保持部材から突出する方向の高さは、前記導電部材が前記温度検知部材に接続される位置よりも高い請求項1から3のいずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項7】
前記導電部材支持部は、前記加熱源保持部材の前記加熱源を保持する面側とは反対側に突出し、
前記加熱源は、シート搬送方向における前記加熱源の中央に発熱体を有し、
前記導電部材支持部は、シート搬送方向における前記加熱源の中央からずれた位置で前記導通部材を支持する請求項1から3のいずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項8】
前記導電部材支持部は、前記加熱源保持部材の前記加熱源を保持する面側とは反対側に突出し、
前記導電部材支持部の前記加熱源保持部材から突出する突出方向の高さは、前記導電部材支持部のシート搬送方向中央において、シート搬送方向両端側よりも高い請求項7に記載の加熱装置。
【請求項9】
前記加熱源保持部材を支持する支持部材を備え、
前記支持部材と前記導電部材との間に、前記支持部材よりも熱伝導率が低い低熱伝導部材が配置される請求項1から3のいずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項10】
請求項1から3のいずれか1項に記載の加熱装置を用いて未定着画像をシートに定着させることを特徴とする定着装置。
【請求項11】
請求項1から3のいずれか1項に記載の加熱装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱装置、定着装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタなどの画像形成装置に搭載される加熱装置の一例として、未定着画像が担持されたシートを加熱することにより未定着画像をシートに定着させる定着装置が知られている。
【0003】
定着装置においては、サーミスタ、サーモスタットなどの温度検知部材が、加熱源を保持する加熱源保持部材に設けられているものがある。温度制御部材は、リード線などの導通部材を介して制御部に接続されており、制御部が温度検知部材によって検知される加熱源の温度に基づいて発熱を制御することにより、加熱源の温度が適切な温度に維持される。
【0004】
温度検知部材に接続される導通部材は、高温になる加熱源の付近に配置されるため、耐熱性を有する材料により構成される、あるいは、耐熱性を有する被覆材により保護されることが好ましい。しかしながら、耐熱性に優れる材料の選択は、製造コストの増大につながるなどの課題があるため、特許文献1(特開2011-118246号公報)においては、加熱源保持部材の加熱源を保持する面とは反対の面側に複数の突起を設け、各突起を介して導電部材を支持する構成が提案されている。この構成によれば、加熱源保持部材に対する導通部材の接触面積が減少するため、加熱源保持部材から導通部材へ伝わる熱が少なくなり、導通部材の温度上昇を抑制できるとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、加熱源の温度は、全体的に均一になる場合に限らず、例えば定着装置にシートが連続して搬送された場合などにばらつきが発生する。すなわち、加熱源の発熱領域よりも小さい幅のシートが搬送された場合、そのシートが通過しない領域において加熱源の熱がシートに奪われないため、シートが通過する領域に比べて蓄熱し温度上昇する。このため、シートが通過する領域とシートが通過しない領域において、加熱源の温度にばらつきが発生する。
【0006】
上記特許文献1においては、複数の突起を設けることにより導電部材へ熱が伝わりにくくしているが、加熱源の温度上昇しやすい部分とそうでない部分とからの導電部材への熱の影響については何ら検討されていない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、互いに接触してシートを通過させるニップ部を形成する一対の回転体と、一対の前記回転体のうちの少なくとも一方を加熱する加熱源と、前記加熱源を保持する加熱源保持部材と、前記加熱源の温度を検知する温度検知部材と、前記温度検知部材に接続される可撓性を有する導通部材と、を備える加熱装置であって、前記加熱源保持部材は、前記加熱源を保持する面側とは反対の面側において前記導通部材を支持する導通部材支持部を有し、前記導通部材支持部は、前記加熱源保持部材の所定幅よりも外側の少なくとも一部の領域において、前記所定幅内の領域に比べて前記加熱源に対する前記導通部材の距離を大きくするように前記導通部材を支持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、他の領域に比べて温度上昇する可能性がある領域における導電部材の温度上昇を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【
図2】本実施形態に係る定着装置の概略構成図である。
【
図3】本実施形態に係る定着ベルトの断面図である。
【
図5】本実施形態に係るヒータに給電部材としてのコネクタが接続された状態を示す斜視図である。
【
図6】本実施形態に係る定着装置において、温度センサに接続されるリード線の支持構造を示す図である。
【
図10】本発明のさらに別の変形例を示す図である。
【
図11】本発明のさらに別の変形例を示す図である。
【
図12】本発明のさらに別の変形例を示す図である。
【
図13】高さの比較対象とはならない突起の例を示す図である。
【
図14】高さの比較対象とはならない突起の例を示す図である。
【
図15】本発明のさらに別の変形例を示す図である。
【
図16】本発明のさらに別の変形例を示す図である。
【
図17】本発明のさらに別の変形例を示す図である。
【
図18】突起の配置について説明するための図である。
【
図19】突起の形状について説明するための図である。
【
図21】突起の形状について説明するための図である。
【
図23】本発明のさらに別の変形例を示す図である。
【
図24】本発明のさらに別の変形例を示す図である。
【
図25】突起がセンサホルダに設けられる例を示す図である。
【
図26】突起がフランジに設けられる例を示す図である。
【
図27】リード線が両端から突出するサーミスタを示す図である。
【
図28】リード線が一端から突出するサーミスタを示す図である。
【
図29】本発明を端部基準搬送方式に適用した例を示す図である。
【
図30】上記実施形態とは異なる定着装置の構成を示す図である。
【
図31】上記実施形態とは異なる定着装置の構成を示す図である。
【
図32】上記実施形態とは異なる定着装置の構成を示す図である。
【
図33】上記実施形態とは異なる定着装置の構成を示す図である。
【
図34】上記実施形態とは異なる画像形成装置の構成を示す図である。
【
図37】
図35に示されるヒータ及びヒータホルダの斜視図である。
【
図38】
図35に示されるヒータに対するコネクタの取付方法を示す図である。
【
図39】
図34に示される定着装置が備える温度センサとサーモスタットの配置を示す図である。
【
図41】上記実施形態とは異なる定着装置の構成を示す図である。
【
図42】
図41に示されるヒータ、第1高熱伝導部材、ヒータホルダの斜視図である。
【
図43】第1高熱伝導部材の配置を示すヒータの平面図である。
【
図44】第1高熱伝導部材の配置の他の例を示すヒータの平面図である。
【
図45】第1高熱伝導部材の配置のさらに別の例を示すヒータの平面図である。
【
図46】拡大分割領域を示すヒータの平面図である。
【
図47】上記実施形態とは異なる定着装置の構成を示す図である。
【
図48】
図47に示されるヒータ、第1高熱伝導部材、第2高熱伝導部材、ヒータホルダの斜視図である。
【
図49】第1高熱伝導部材及び第2高熱伝導部材の配置を示すヒータの平面図である。
【
図50】第1高熱伝導部材及び第2高熱伝導部材の配置の他の例を示すヒータの平面図である。
【
図51】第2高熱伝導部材の配置のさらに別の例を示すヒータの平面図である。
【
図52】上記実施形態とは異なる定着装置の構成を示す図である。
【
図53】グラフェンの原子結晶構造を示す図である。
【
図54】グラファイトの原子結晶構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材及び構成部品などの構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0011】
図1は、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。ここで、本明細書中における「画像形成装置」には、プリンタ、複写機、ファクシミリ、印刷機、又は、これらのうちの二つ以上を組み合わせた複合機などが含まれる。また、以下の説明で使用する「画像形成」とは、文字及び図形などの意味を持つ画像を形成するだけでなく、パターンなどの意味を持たない画像を形成することも意味する。まず、
図1を参照して、本実施形態に係る画像形成装置の全体構成及び動作について説明する。
【0012】
図1に示されるように、本実施形態に係る画像形成装置100は、用紙などのシート状の記録媒体に画像を形成する画像形成部200と、記録媒体に画像を定着させる定着部300と、記録媒体を画像形成部200へ供給する記録媒体供給部400と、記録媒体を装置外へ排出する記録媒体排出部500を備えている。
【0013】
画像形成部200には、作像ユニットとしての4つのプロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkと、各プロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkが備える感光体2に静電潜像を形成する露光装置6と、記録媒体に画像を転写する転写装置8が設けられている。
【0014】
各プロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの異なる色のトナー(現像剤)を収容している以外、基本的に同じ構成である。具体的に、各プロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkは、表面に画像を担持する像担持体としての感光体2と、感光体2の表面を帯電させる帯電部材3と、感光体2の表面に現像剤としてのトナーを供給してトナー画像を形成する現像装置4と、感光体2の表面を清掃するクリーニング部材5を備えている。
【0015】
転写装置8は、中間転写ベルト11と、一次転写ローラ12と、二次転写ローラ13を備えている。中間転写ベルト11は、無端状のベルト部材であり、複数の支持ローラによって張架されている。一次転写ローラ12は、中間転写ベルト11の内側に4つ設けられている。各一次転写ローラ12が中間転写ベルト11を介して各感光体2に接触することにより、中間転写ベルト11と各感光体2との間に一次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ13は、中間転写ベルト11の外周面に接触し、二次転写ニップを形成している。
【0016】
定着部300においては、定着装置20が設けられている。定着装置20は、無端状のベルトから成る定着ベルト21と、定着ベルト21に対向する対向部材としての加圧ローラ22などを備えている。定着ベルト21と加圧ローラ22は、それぞれの外周面において互いに接触し、ニップ部(定着ニップ)を形成する。
【0017】
記録媒体供給部400には、記録媒体としての用紙Pを収容する給紙カセット14と、給紙カセット14から用紙Pを送り出す給紙ローラ15が設けられている。以下、「記録媒体」を「用紙」として説明するが、「記録媒体」は紙(用紙)に限定されない。「記録媒体」は、紙(用紙)だけでなくOHPシート又は布帛、金属シート、プラスチックフィルム、あるいは炭素繊維にあらかじめ樹脂を含浸させたプリプレグシートなども含む。また、「用紙」には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙及びアート紙など)、トレーシングペーパなども含まれる。
【0018】
記録媒体排出部500には、用紙Pを画像形成装置外に排出する一対の排紙ローラ17と、排紙ローラ17によって排出された用紙Pを載置する排紙トレイ18が設けられている。
【0019】
次に、
図1を参照しつつ本実施形態に係る画像形成装置100の印刷動作について説明する。
【0020】
画像形成装置100において印刷動作が開始されると、各プロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkの感光体2及び転写装置8の中間転写ベルト11が回転を開始する。また、給紙ローラ15が、回転を開始し、給紙カセット14から用紙Pが送り出される。送り出された用紙Pは、一対のタイミングローラ16に接触することにより静止し、用紙Pに転写される画像が形成されるまで用紙Pの搬送が一旦停止される。
【0021】
各プロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkにおいては、まず、帯電部材3によって、感光体2の表面を均一な高電位に帯電させる。次いで、原稿読取装置によって読み取られた原稿の画像情報、あるいは端末からプリント指示されたプリント画像情報に基づいて、露光装置6が、各感光体2の表面(帯電面)に露光する。これにより、露光された部分の電位が低下して各感光体2の表面に静電潜像が形成される。そして、この静電潜像に対して現像装置4がトナーを供給し、各感光体2上にトナー画像が形成される。各感光体2上に形成されたトナー画像は、各感光体2の回転に伴って一次転写ニップ(一次転写ローラ12の位置)に達すると、回転する中間転写ベルト11上に順次重なり合うように転写される。かくして、中間転写ベルト11上にフルカラーのトナー画像が形成される。なお、画像形成装置100においては、各プロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkのいずれか一つを使用して単色画像を形成したり、いずれか2つ又は3つのプロセスユニットを用いて2色又は3色の画像を形成したりすることもできる。また、感光体2から中間転写ベルト11へトナー画像が転写された後は、クリーニング部材5によって各感光体2上の残留トナーなどが除去される。
【0022】
中間転写ベルト11上に転写されたトナー画像は、中間転写ベルト11の回転に伴って二次転写ニップ(二次転写ローラ13の位置)へ搬送され、タイミングローラ16によって搬送されてきた用紙P上に転写される。その後、用紙Pは、定着装置20へと搬送され、定着ベルト21と加圧ローラ22によって用紙P上のトナー画像が加熱及び加圧されることにより、トナー画像が用紙Pに定着される。そして、用紙Pは、記録媒体排出部500へ搬送され、排紙ローラ17によって排紙トレイ18へ排出される。これにより、一連の印刷動作が終了する。
【0023】
続いて、
図2に基づき、本実施形態に係る定着装置の構成について詳しく説明する。
【0024】
図2に示されるように、本実施形態に係る定着装置20は、定着ベルト21及び加圧ローラ22のほか、ヒータ23と、ヒータホルダ24と、ステー25と、ガイド部材26、温度センサ27などを備えている。
【0025】
定着ベルト21は、用紙Pの未定着トナー担持面に接触して未定着トナー(未定着画像)を用紙Pに定着する回転体(第1回転体又は定着部材)であり、可撓性を有する無端状のベルトにより構成される。定着ベルト21の直径は、例えば15~120mmになるように設定されている。本実施形態においては、定着ベルト21の内径が25mmに設定されている。
【0026】
図3に示されるように、定着ベルト21は、例えば、内周面側から外周面側に向かって順に、基材210、弾性層211、離型層212が積層され、その全体の厚さが1mm以下に設定されている。基材210は、層厚が30~50μmであって、ニッケル、ステンレスなどの金属材料、あるいはポリイミドなどの樹脂材料により形成されている。弾性層211は、層厚が100~300μmであって、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム、フッ素ゴムなどのゴム材料により形成されている。定着ベルト21が弾性層211を有していることにより、ニップ部における定着ベルト21表面の微小な凹凸が形成されなくなるため、用紙P上のトナー画像に熱が均一に伝わりやすくなる。離型層212は、層厚が10~50μmであって、PFA(テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、PES(ポリエーテルサルファイド)などの材料により形成されている。定着ベルト21が、離型層212を有していることにより、トナー(トナー画像)に対する離型性(剥離性)が確保される。
【0027】
図2に示されるように、加圧ローラ22は、定着ベルト21の外周面に対向して配置される回転体(第2回転体又は対向部材)である。加圧ローラ22は、定着ベルト21を介してヒータ23に接触し定着ベルト21との間にニップ部Nを形成する。
【0028】
加圧ローラ22は、例えば、外径が25mmに設定されたローラであり、中空の鉄製芯材220と、この芯材220の外周面に設けられる弾性層221と、弾性層221の外周面に設けられる離型層222を有している。弾性層221は、例えば厚みが3.5mmであり、シリコーンゴムなどにより形成される。離型層222は、例えば厚みが40μm程度であり、フッ素樹脂などにより形成される。
【0029】
ヒータ23は、定着ベルト21をその内側から加熱する加熱源である。ヒータ23は、定着ベルト21の長手方向(用紙搬送方向に交差する用紙幅方向)に渡って長手状に延在する面状又は板状のヒータであり、定着ベルト21の内周面に接触するように配置されている。本実施形態に係るヒータ23は、基材55と、基材55上に設けられた抵抗発熱体56と、抵抗発熱体56を覆う絶縁層57などを有している。
【0030】
図2に示されるように、本実施形態においては、抵抗発熱体56が、基材55の加圧ローラ22側(ニップ部N側)の面に設けられているが、これとは反対側の面に設けられていてもよい。その場合、各抵抗発熱体56の熱が基材55を介して定着ベルト21に伝達されるため、基材55は窒化アルミニウムなどの熱伝導率の高い材料によって構成されることが好ましい。
【0031】
ヒータホルダ24は、定着ベルト21の内側に配置され、ヒータ23を保持する加熱源保持部材である。ヒータホルダ24は、ヒータ23の熱によって高温になりやすいため、耐熱性の材料によって構成されることが好ましい。例えば、ヒータホルダ24が、LCP又はPEEKなどの低熱伝導性の耐熱性樹脂によって構成される場合は、ヒータホルダ24の耐熱性を確保しつつ、ヒータ23からヒータホルダ24への伝熱が抑制されるので、定着ベルト21を効率的に加熱できる。
【0032】
ステー25は、ヒータホルダ24を支持する支持部材である。ステー25によってヒータホルダ24の加圧ローラ22側の面とは反対の面が定着ベルト21の長手方向に渡って支持されることにより、ヒータホルダ24が加圧ローラ22の加圧力によって撓むのが抑制され、定着ベルト21と加圧ローラ22との間に均一な幅のニップ部Nが形成される。ステー25は、その剛性を確保するため、SUS又はSECCなどの鉄系金属材料によって構成されることが好ましい。
【0033】
ガイド部材26は、定着ベルト21を内側からガイドする部材である。ガイド部材26は、定着ベルト21の内周面に倣って円弧状の断面形状を有し、定着ベルト21の回転方向(
図2中の矢印方向)におけるヒータ23の上流側及び下流側にそれぞれ配置されている。本実施形態においては、各ガイド部材26が、ヒータホルダ24と一体に構成されているが、別体に構成されてもよい。
【0034】
温度センサ27は、ヒータ23の温度を検知する温度検知部材である。温度センサ27としては、サーモパイル、サーモスタット、サーミスタ、又はNCセンサなどの公知の温度センサを適用可能である。本実施形態においては、ヒータ23の加圧ローラ22側とは反対側の面に接触して温度を検知する接触式の温度センサが用いられている。また、温度センサ27は、接触式の温度センサに限らず、ヒータ23に対して非接触に配置され、ヒータ23近傍の雰囲気温度を検知する非接触式の温度センサであってもよい。
【0035】
本実施形態に係る定着装置20は、次のように動作する。
【0036】
図2に示されるように、加圧ローラ22が回転駆動すると、その駆動力が定着ベルト21に伝達されることにより、定着ベルト21が従動回転する。そして、定着ベルト21がヒータ23によって加熱され、定着ベルト21が加熱される。また、このときのヒータ23の温度が温度センサ27によって検知され、その検知された温度に基づきヒータ23の発熱量が制御される。これにより、定着ベルト21の温度が画像を定着可能な温度(定着温度)に維持される。そして、未定着画像を担持する用紙Pが、定着ベルト21と加圧ローラ22との間(ニップ部N)に搬送されると、定着ベルト21と加圧ローラ22によって用紙P上のトナー画像が加熱及び加圧され、画像が用紙Pに定着される。
【0037】
【0038】
図4に示されるように、本実施形態に係るヒータ23は、一方向(
図4中の矢印X方向)に伸びる板状の基材55を有している。基材55は、その長手方向Xが定着ベルト21の長手方向又は加圧ローラ22の軸方向を向くように配置される。基材55の表面には、2つの抵抗発熱体56が、基材55の長手方向Xへ伸び、基材55の短手方向Yに並んで配置されている。なお、この「短手方向」とは、基材55の抵抗発熱体56が設けられる面に沿って長手方向Xとは直交する方向を意味し、用紙が搬送される用紙搬送方向と同じ方向である。
【0039】
図4に示されるように、基材55の長手方向Xの一端側には、一対の電極部58が設けられている。各電極部58は、給電線59を介して各抵抗発熱体56に接続されている。また、各抵抗発熱体56の電極部58に接続される端とは反対側の端は、別の給電線59を介して互いに接続されている。各抵抗発熱体56及び各給電線59は、絶縁性を確保するため、絶縁層57によって覆われている。これに対し、各電極部58は、後述の給電端子としてのコネクタが接続できるように、絶縁層57によって覆われておらず露出している。
【0040】
基材55は、アルミナ又は窒化アルミなどのセラミック、ガラス、マイカ、ポリイミドなどの耐熱性と絶縁性に優れる材料によって構成される。また、基材55は、ステンレス(SUS)、鉄又はアルミニウムなどの金属材料(導電性材料)の上に絶縁層を形成したものであってもよい。特に、基材55の材料が、アルミニウム、銅、銀、グラファイト、グラフェンなどの高熱伝導材料である場合は、ヒータ23の均熱性が向上し、画像品質を高めることができる。絶縁層57は、アルミナ又は窒化アルミなどのセラミック、ガラス、マイカ、ポリイミドなどの耐熱性と絶縁性に優れる材料によって構成される。抵抗発熱体56は、例えば、銀パラジウム(AgPd)及びガラス粉末などを調合したペーストを基材55の表面にスクリーン印刷などにより塗工し、その後、基材55を焼成することによって形成される。また、抵抗発熱体56の材料として、銀合金(AgPt)又は酸化ルテニウム(RuO2)などの抵抗材料を用いることも可能である。また、電極部58及び給電線59は、銀(Ag)もしくは銀パラジウム(AgPd)をスクリーン印刷するなどにより形成される。
【0041】
図5は、ヒータ23に給電部材としてのコネクタ40が接続された状態を示す斜視図である。
【0042】
図5に示されるように、コネクタ40は、樹脂製のハウジング41と、ハウジング41に設けられた複数のコンタクト端子42と、各コンタクト端子42に接続された給電用のハーネス43を有している。各コンタクト端子42は、板バネなどの弾性変形可能な部材によって構成されている。
【0043】
図5に示されるように、コネクタ40は、ヒータ23及びヒータホルダ24を一緒に挟むようにして取り付けられる。これにより、ヒータ23及びヒータホルダ24は、コネクタ40によって一緒に保持される。また、この状態において、コネクタ40の各コンタクト端子42の先端(接触部42a)が、それぞれ対応する電極部58に弾性的に接触(圧接)することにより、各コンタクト端子42と各電極部58とが電気的に接続される。これにより、コネクタ40を介して画像形成装置本体の電源からヒータ23(各抵抗発熱体56)へ給電可能な状態となる。
【0044】
図6は、本実施形態に係る定着装置において、温度センサ27に接続されるリード線44の支持構造を示す図である。
【0045】
図6に示されるように、温度センサ27には、導電部材としての可撓性を有するリード線44が接続されている。リード線44の温度センサ27に接続される端部とは反対側の端部は、画像形成装置本体に設けられる制御部に接続される。リード線44は、絶縁性及び耐熱性確保するため、導線と、導線を被覆する絶縁体によって構成されている。また、リード線44は、ヒータ23の熱の影響が直接的に及ぶのを回避するため、ヒータホルダ24を挟んでヒータ23側とは反対側に配置されている。すなわち、リード線44は、ヒータホルダ24のヒータ23を保持する面241側とは反対側の面240(
図6におけるヒータホルダ24の上面)に這い回されている。ヒータホルダ24のリード線44側の面240には、リード線44を支持する導電部材支持部としての複数の突起30が設けられている。
【0046】
複数の突起30は、ヒータ23の長手方向Xでもあるヒータホルダ24の長手方向に渡って間隔をあけて配置されている。各突起30の先端によってリード線44が支持されることにより、リード線44は、各突起30が設けられたヒータホルダ24のベース部31に対して間隔を介して非接触に配置される。すなわち、ヒータホルダ24は、その第一面241にヒータ23を保持する凹部24aが形成された板状のベース部31と、ベース部31の第一面241とは反対側の第二面240に設けられた複数の突起30とを有している。このように、リード線44が複数の突起30によって支持されることにより、リード線44とベース部31との接触を回避でき、ヒータホルダ24に対するリード線44の接触面積を減らすことができる。そもそも、リード線44は、板金又はジャンパ線などに比べて剛性が低いので、ヒータホルダ24から離れた位置で保持されるには、他の部材による支持が必要である。そのため、本実施形態においては、リード線44を支持する複数の突起30を設け、ヒータホルダ24に対するリード線44の接触面積を減らし、ヒータ23及びヒータホルダ24からのリード線44への熱伝達を抑制できるようにしている。
【0047】
なお、リード線44は、突起30の先端に必ず接触している場合に限らず、接触しない場合であってもよい。すなわち、突起30がリード線44を「支持する」とは、リード線44がヒータホルダ24のベース部31に対して接触しないように支持することを意味し、リード線44と突起30が接触している状態である場合ほか、例えば
図8に示される後述の突起30A2のように、突起30A2がリード線44に対して実際に接触していなくてもリード線44がベース部31に接近した際にベース部31との接触を回避するように支持する場合も含まれる。
【0048】
ここで、複数の突起30のうち、ヒータホルダ24の長手方向における最も端側(
図6における右端側)にある突起30Aは、その他の突起30Bに比べて、ヒータホルダ24(ベース部31)からの突出方向の高さが高く設定されている(t1>t2)。この高さが高い突起30Aは、ヒータ23の温度が高くなる部分に対応して配置される突起30であり、リード線44に対するヒータ23の熱の影響を及びにくくしている。
【0049】
具体的に、本実施形態において、ヒータ23の温度が高くなる部分は、ヒータ23の抵抗発熱体56が配置されている発熱領域60の内側で、かつ、最大幅の用紙P1が通過する最大通紙幅W1(最大シート通過幅)よりも外側の部分(
図6中の符号Hにて示される領域)を意味する。また、本明細書中の「発熱領域」とは、ヒータ23の長手方向Xにおける抵抗発熱体56が配置される領域を意味し、後述の例(
図18参照)に示されるように、複数の抵抗発熱体56が配置される場合は、全ての抵抗発熱体56が配置される領域の一端から他端までの範囲を意味する。また、本明細書中の「最大通紙幅」とは、最大幅の用紙が実際に通過するか否かに関わらず、最大幅の用紙が通過すると想定されるあらかじめ設定された領域を意味する。本実施形態の場合は、各種幅サイズの用紙がそれぞれの幅方向中央を基準に合わせて搬送される、いわゆる中央基準搬送方式が採用されているので、ヒータ23の発熱領域60の長手方向中央mから両端側に向かって用紙の最大幅の半分の距離、あるいは最大幅の半分の距離に5mm加えた距離離れた位置までの範囲が、最大通紙幅である。例えば、最大幅の用紙がA4サイズ(幅:210mm)の用紙である場合は、発熱領域60の長手方向中央mから両端側に向かってA4サイズの半分の距離である105mmずつ離れた位置、あるいは105mmに5mm加えた110mmずつ離れた位置までの範囲が、最大通紙幅となる。また、
図6において、符号W2に示される領域は、最小幅の用紙P2が通過する最小通紙幅(最小シート通過幅)であり、この最小通紙幅も、最大通紙幅と同じように、最小幅の用紙が実際に通過するか否かに関わらず、最小幅の用紙が通過すると想定されるあらかじめ設定された領域を意味する。すなわち、ヒータ23の発熱領域60の長手方向中央mから両端側に向かって用紙の最小幅の半分の距離、あるいは最小幅の半分の距離に5mm加えた距離離れた位置までの範囲が、最小通紙幅である。
【0050】
基本的に、用紙を加熱するには、最大通紙幅W1内における定着ベルト21の温度が所定の温度に維持されていればよいが、定着ベルト21の温度が所定の温度まで上昇した直後は蓄熱量が少ないため、用紙が通過した場合に発熱領域60の両端側において定着ベルト21の温度が低下しやすい傾向にある。そのため、本実施形態においては、ヒータ23の発熱領域60を最大通紙幅W1よりも外側まで延長し、通紙に伴う定着ベルト21の温度低下を抑制している。しかしながら、発熱領域60を最大通紙幅W1よりも外側まで延長すると、特に複数の用紙を連続通紙した場合に、最大幅の用紙P1が通過しない非通紙領域において定着ベルト21及びヒータ23が蓄熱し、過剰に温度上昇することがある。通紙に伴う非通紙領域における温度上昇は、最大幅の用紙P1を通紙する場合に限らず、ヒータ23の発熱領域60よりも小さいサイズの用紙を通紙する場合であれば生じ得るが、一般的に使用頻度が低い小サイズ用紙の場合は、非通紙領域の温度上昇を抑制するために、生産性(印刷速度)を落とす対応が採用されている。これに対して、使用頻度が高い最大幅の用紙P1の場合は、生産性を落とさずに印刷を行う傾向にあるため、連続通紙した場合に非通紙領域における温度上昇が生じやすい。また、近年では、画像形成装置の高速化などに伴うヒータの発熱量増大に伴い、このような最大通紙幅W1の外側における過剰な温度上昇の問題が顕著になりつつある。
【0051】
そこで、本発明の実施形態においては、
図6に示されるように、ヒータ23の発熱領域60の内側で、かつ、最大通紙幅W1よりも外側の領域H(以下、この領域を便宜的に「過昇温領域」という。)に配置される突起30Aを、その他の領域に配置される突起30Bよりも高くし(t1>t2)、過昇温領域Hにおけるヒータ23に対するリード線44の距離を、その他の領域に比べて大きくなるようにしている。
【0052】
これにより、ヒータ23からリード線44へ熱が伝わりにくくなるため、最大幅の用紙P1を連続通紙した場合に、過昇温領域Hにおいてヒータ23が過剰に温度上昇しても、リード線44の温度上昇を抑制でき、リード線44の劣化及び損傷を抑制できるようになる。また、リード線44の劣化及び損傷を抑制できるので、生産性を落とさずに最大幅の用紙P1を連続通紙できるようになる。
【0053】
上記のような高さが高い突起30Aは、
図6に示される過昇温領域H内に配置される場合に限らず、過昇温領域H外に配置される場合であってもよい。
【0054】
例えば、
図7に示される例のように、高さが高い突起30Aを、過昇温領域Hの両外側にそれぞれ配置してもよい。この場合も、過昇温領域Hにおいて、その他の領域に比べて、ヒータ23に対するリード線44の距離を大きく確保することができるため、リード線44の温度上昇を抑制できる。また、
図7に示される例の場合は、突起30Aが過昇温領域H内に設けられていないため、突起30A自体の温度上昇も抑制できる。これにより、突起30Aからリード線44へ伝わる熱の量も低減できるため、リード線44の温度上昇を効果的に抑制できる。また、リード線44の温度上昇を効果的に抑制できるため、リード線44又はリード線44を被覆する絶縁体の材料として、安価な材料(耐熱性がそれほど高くない材料)を選択できるようになり、低コスト化も図れる。一方、
図6に示される例のように、突起30Aが過昇温領域Hに配置される場合は、突起30Aが過昇温領域Hよりもヒータホルダ24の長手方向端部側に配置されないため、その突起30A分の設置スペースを省略でき、ヒータホルダ24の長手方向のサイズを小型化できる利点がある。
【0055】
また、
図8に示される例のように、高さが高い突起30Aのうち、右側の突起30A1を左側の突起30A2より高くしてもよい(t3>t4)。この例の場合、リード線44は、主に高い方の突起30A1によって支持される。また、高い方の突起30A1は、発熱領域60の外側に配置されるため、発熱領域60内に配置される突起30A2に比べてヒータ23の熱の影響を受けにくい。このため、高い方の突起30A1からリード線44へ伝わる熱の量も少なくなり、リード線44の温度上昇を効果的に抑制できる。
【0056】
また、反対に、
図9に示される例のように、高さが高い突起30Aのうち、左側の突起30A2を右側の突起30A1より高くしてもよい(t3<t4)。この場合は、ヒータホルダ24の長手方向端部側における突起30A1の高さの増大が抑えられるので、リード線44の這い回しの自由度が向上する。
【0057】
続いて、
図10に示される例は、過昇温領域Hよりもヒータホルダ24の長手方向端部側に配置される突起30A1が、加圧ローラ22のローラ部62(弾性層を有する部分)の端620よりもさらにヒータホルダ24の長手方向端部側(
図10における右側)に配置されている例である。このように、長手方向外側の突起30A1が、加圧ローラ22のローラ部62よりも長手方向外側にある場合は、加圧ローラ22の熱がヒータホルダ24を介して長手方向外側の突起30A1に伝わるのを抑制でき、突起30A1の温度上昇を抑制できる。従って、突起30A1からリード線44に伝わる熱の量を低減でき、リード線44の温度上昇を効果的に抑制できる。
【0058】
また、
図10に示される例のように、ヒータ23とヒータホルダ24との間に、熱移動補助部材としての均熱板28がある場合は、この均熱板28からの突起30A1への熱の影響も抑制できるようにすることが好ましい。均熱板28は、ヒータホルダ24よりも熱伝導率が高い材料(例えば、銅、アルミニウム、銀など)により構成され、ヒータ23の熱を定着ベルト21の長手方向に移動させて均熱化を図る部材である。
図10に示されるように、過昇温領域Hよりもヒータホルダ24の長手方向端部側に配置される突起30A1が、均熱板28の長手方向端部280よりもさらにヒータホルダ24の長手方向端部側(
図10における右側)に配置されることにより、均熱板28の熱が長手方向外側の突起30A1に伝わるのを抑制でき、突起30A1の温度上昇を効果的に抑制できるようになる。
【0059】
上記のように、本発明の実施形態である各例においては、一部の突起30の高さを高くすることにより、最大幅通紙時の過昇温領域Hにおけるヒータ23に対するリード線44の距離を大きくするようにしている。しかしながら、連続通紙時の非通紙領域における温度上昇は、最大幅の用紙P1が通紙される場合に限らず、ヒータ23の発熱領域60よりも小さいサイズの用紙であれば、いずれのサイズの用紙を通紙する場合であっても生じ得る。
【0060】
そのため、
図11に示される例のように、最大通紙幅W1よりも外側に配置される突起30Aだけでなく、最大通紙幅W1の内側に配置される突起30Aも、その他の領域に配置される突起30Bに比べて高くしてもよい。具体的に、
図11に示される例においては、最小通紙幅W2よりも外側にある突起30Aを、最小通紙幅W2内にある突起30Bよりも高くしている(t6>t5)。この場合、最小通紙幅W2よりも外側において、ヒータ23に対するリード線44の距離を(最小通紙幅W2内に比べて)大きくできるため、いずれのサイズの用紙の非通紙領域においてもリード線44の温度上昇を抑制できる。
【0061】
また、
図12に示される例のように、最大通紙幅W1の外側と内側において突起30A1,30A2の高さを異ならせてもよい。具体的に、
図12に示される例においては、最大通紙幅W1の内側で、かつ、最小通紙幅W2よりも外側にある突起30A2の高さt7を、最大通紙幅W1よりも外側にある突起30A1の高さt8よりも低くしている。従って、
図12に示される例においては、最大通紙幅W1よりも外側にある突起30A1が最も高く、次いで最大通紙幅W1の内側で、かつ、最小通紙幅W2よりも外側にある突起30A2が高く、最小通紙幅W2内の突起30Bが最も低く形成されている(t8>t7>t5)。
【0062】
このように、最小通紙幅W2よりも外側で、かつ、最大通紙幅W1内にある突起30A2の高さt7を、最大通紙幅W1よりも外側にある突起30A1の高さt8よりも低くすることにより、レイアウトの自由度を高めることができる。また、最小通紙幅W2よりも外側で、かつ、最大通紙幅W1内においては、突起30A2の高さを低くする分、リード線44への熱伝達抑制効果が多少低減するが、必要に応じて小サイズ用紙(最大幅よりも小さいサイズの用紙)を通紙する際の生産性を落とすことにより、非通紙領域における温度上昇を抑制できるので、リード線44の温度上昇を許容範囲内に制御できる。
【0063】
ここで、上記本発明の各例において、高さを高くする突起30A(30A1,30A2)は、少なくとも最小通紙幅W2に配置される突起30Bよりも高ければよい。ただし、比較対象とする最小通紙幅W2内の突起30Bは、リード線44が配置される領域内にあるものとする。仮に、最小通紙幅W2内であっても、
図13に示されるようなリード線44の無い領域に配置される突起32は、高さの比較対象とはしない。このような突起32は、そもそもリード線44を支持する導電部材支持部材(突起30)ではないからである。
【0064】
また、
図14に示されるようなヒータホルダ24から突出するガイド部材26などの突起も、リード線44を支持する導電部材支持部材(突起30)ではないので、高さの比較対象とはならない。従って、高さの比較対象となる突起は、
図14に示される通紙方向Y(シート搬送方向)において、リード線44が存在し得る領域、すなわち、温度センサ27が存在する領域J内に配置される突起とする。
【0065】
また、リード線44を支持する突起30は、必ず最小通紙幅W2内に存在する場合に限らず、リード線44を支持する突起30が最小通紙幅W2内に存在しない場合であってもよい。その場合、例えば、
図6に示される最大通紙幅W1よりも内側で、最小通紙幅W2よりも外側の突起30(30B)を、高さの比較対象としてもよい。従って、本発明において、高さを比較する対象は、最小通紙幅W2内に配置される突起と、最小通紙幅W2よりも外側に配置される突起に限らず、最小通紙幅W2以外の所定幅内の突起と、前記所定幅の外側に配置される突起であってもよい。すなわち、高さを比較する対象は、最小通紙幅W2、最大通紙幅W1などの中から任意に設定された所定幅内の突起30と、その所定幅よりも外側の突起30でもよい。また、所定幅よりも外側に配置される少なくとも一部の突起30が、所定幅外のその他の突起30より高くてもよい。そして、その高さが高い突起30によって、前記所定幅外に配置されるリード線44が、前記所定幅内に配置されるリード線44に比べて、ヒータ23に対するリード線44の距離が大きくなるように支持されることにより、前記所定幅外におけるリード線44の温度上昇を抑制できるようになる。
【0066】
上記各例においては、一部の突起30の高さを高くすることによりリード線44の温度上昇を抑制する構成について説明したが、本発明には、突起30の高さを高くする構成のほか、下記のような例も含まれる。
【0067】
図15に示される例は、上記各例とは異なり、一部の突起30同士の間隔d1を、他の突起30同士の間隔d2よりも小さくした例である(d1<d2)。具体的に、この例においては、最大通紙幅W1よりも外側で、ヒータ23の発熱領域60内に配置される突起30同士の間隔d1を、最大通紙幅W1内に配置される突起30同士の間隔d2に比べて小さくしている。この場合、突起30同士の間隔が最も大きい箇所(間隔d2の箇所)においては、突起30同士の間でリード線44が下方へ撓み、ヒータホルダ24に対するリード線44の高さs2が低くなる。これに対して、突起30同士の間隔が小さい箇所(間隔d1の箇所)においては、突起30同士の間でリード線44が下方へ撓みにくくなるので、ヒータホルダ24に対するリード線44の高さを高く保てる(s1>s2)。なお、ここでいうヒータホルダ24に対するリード線44の高さs1,s2、及び、後述の高さs3とは、ヒータホルダ24のリード線44側の面(ヒータ23を保持する面とは反対側の面)に対するリード線44の最短距離を意味する。このように、突起30同士の間隔を小さくすることにより、間隔が小さい領域(間隔d1の箇所)においては、ヒータホルダ24に対するリード線44の高さs1を高く保つことができ、リード線44がヒータホルダ24のベース部31に接近しにくくなる。このため、最大幅の用紙P1を連続通紙した際に温度上昇し得る過昇温領域Hにおいては、その他の領域に比べて、ヒータ23に対するリード線44の接近が抑制され、ヒータ23とリード線44との間の距離を確保しやすくなるので、リード線44の温度上昇を抑制できるようになる。
【0068】
また、間隔が狭く設定される突起30は、最大通紙幅W1よりも外側に配置される突起30だけに限らない。例えば、
図16に示される例のように、最大通紙幅W1よりも外側にある突起30同士の間隔d1と、最大通紙幅W1内で、かつ、最小通紙幅W2よりも外側にある突起30同士の間隔d3を、その他の領域の突起30同士の間隔d2に比べて狭くしてもよい(d1,d3<d2)。
【0069】
このように、最小通紙W2よりも外側にある突起30同士の間隔d1,d3を、最小通紙幅W2内にある突起30同士の間隔d2よりも小さくすることにより(d1,d3<d2)、最小通紙幅W2よりも外側の領域(間隔d1,d3の箇所)においては、最小通紙幅W2内の領域(間隔d2の箇所)に比べて、ヒータホルダ24に対するリード線44の高さを高く保てる(s1,s3>s2)。この場合、最大幅の用紙P1が通紙される場合に限らず、全てのサイズの用紙が通紙される際の非通紙領域における温度上昇に対応できる。すなわち、いずれのサイズの用紙が通紙される場合も、温度上昇し得る非通紙領域(最小通紙幅W2よりも外側の領域)においてヒータ23及びヒータホルダ24(ベース部31)に対するリード線44の接近を阻止できるので、リード線44の温度上昇を効果的に抑制できる。
【0070】
さらに、最大通紙幅W1よりも外側における温度上昇が顕著になりやすい場合は、
図16に示される例のように、最大通紙幅W1よりも外側にある突起30同士の間隔d1を、最大通紙幅W1内で、かつ、最小通紙幅W2よりも外側にある突起30同士の間隔d3よりも小さくすることにより(d1<d3)、特に温度上昇しやすい箇所(間隔d1の箇所)に配置されるリード線44の温度上昇をより確実に抑制できるようになる。すなわち、本実施形態においては、温度上昇が顕著になりやすいヒータ23の長手方向端側の領域ほど、突起30同士の間隔を小さくすることにより(d1<d3<d2)、リード線44が下方へ撓みにくくなり、ヒータホルダ24に対するリード線44の高さを高く保てるので(s1>s3>s2)、リード線44の温度上昇が生じにくくなる。
【0071】
なお、突起30同士の間隔の大小関係を比較する対象は、上記突起30同士の高さの比較対象と同じ基準にて決定される。すなわち、最小通紙幅W2よりも外側に配置される突起30同士の間隔のいずれかが、最小通紙幅W2内に配置される突起30同士の間隔より小さければよい。ただし、最小通紙幅W2内の突起30は、リード線44が配置される領域内にあるものとする。また、最小通紙幅W2内の突起30は、通紙方向Y(シート搬送方向)において、リード線44が存在し得る領域、すなわち、温度センサ27が存在する領域J(
図14参照)内に配置されるものとする。また、突起30同士の間隔の大小関係を比較する対象は、最小通紙幅W2内に配置される突起と、最小通紙幅W2よりも外側に配置される突起に限らず、最小通紙幅W2以外の所定幅内の突起と、前記所定幅の外側に配置される突起であってもよい。また、所定幅よりも外側に配置される少なくとも一部の突起30同士の間隔が、所定幅外のその他の突起30同士の間隔より小さくてもよい。なお、ここでいう「所定幅」には、最小通紙幅、又は最大通紙幅のほか、その他の任意に設定される幅が含まれる。
【0072】
以上の例においては、複数の突起30のうち、一部の突起30の高さを高くしたり、一部の突起30同士の間隔を小さくしたりする構成について説明したが、一部の突起30の高さを高くし、さらに、その突起30同士の間隔を小さくしてもよい。また、リード線44を支持する突起30は、複数設けられる場合に限らず、1つのみ設けられる場合であってもよい。
【0073】
例えば、
図17に示される例のように、最大通紙幅W1よりも外側で、かつ、ヒータ23の発熱領域60内において、突起30を1つだけ設けてもよい。また、突起30の高さtは、リード線44が温度センサ27に接続される位置(高さ)zよりも高いことが好ましい(t>z)。この例の場合、温度上昇しやすい最大通紙幅W1よりも外側において、リード線44が突起30によって支持されるため、最大通紙幅W1内に比べてリード線44をヒータ23及びヒータホルダ24(ベース部31)から遠ざけることができる。これにより、温度上昇しやすい領域におけるヒータ23からリード線44への熱の伝達を抑制できるようになる。なお、1つの突起30が配置される位置は、最大通紙幅W1よりも外側である場合に限らず、使用頻度の高い用紙のサイズなどに応じて、温度上昇しやすい領域である最小通紙幅W2よりも外側であれば、適宜変更可能である。
【0074】
続いて、上記突起30の配置及び形状についてさらに説明する。以下に説明する突起30の配置及び形状は、上記各例のいずれの突起30においても適用可能である。
【0075】
図18は、ヒータホルダ24をヒータ23側から見た平面図である。
図18に示されるように、ヒータ23が長手方向X(用紙幅方向)に間隔をあけて配置される複数の抵抗発熱体56を有する場合、
図18における右側の突起30の少なくとも一部は、ヒータ23の長手方向X(用紙幅方向)において抵抗発熱体56同士の間の領域Eに重なるように配置される、あるいは抵抗発熱体56とずれた位置に配置されることが好ましい。ここで、「重なる」とは、ヒータ23を抵抗発熱体56が設けられている面とは直交する方向から見て(
図18の紙面直交方向から見て)、突起30の少なくとも一部が、抵抗発熱体56同士の間の領域Eに重なる状態をいう。
【0076】
このように、突起30が抵抗発熱体56同士の間の領域Eに重なるように配置されることにより、突起30の温度上昇を抑制できる。すなわち、抵抗発熱体56同士の間の領域Eにおいては、抵抗発熱体56が配置される領域に比べて温度上昇しにくい傾向にあるので、この領域Eに重なるように突起30が配置されることにより、その突起30の温度上昇を抑制できる。これにより、突起30からリード線44に伝わる熱の量も低減でき、リード線44の温度上昇も抑制できるようになる。また、温度センサが複数設けられる場合など、
図18における右側のほかに左側においても、リード線44を這い回す必要がある場合は、左側の抵抗発熱体56同士の間の領域Eにも突起30が重なるように配置されてもよい(
図18中の二点鎖線参照)。
【0077】
また、
図18に示される例のように、ガイド部材26がヒータ23の長手方向X(用紙幅方向)に間隔をあけて複数設けられている場合、突起の30少なくとも一部は、ヒータ23の長手方向X(用紙幅方向)においてガイド部材26とずれた位置(
図18中の符号Fにて示される範囲)に配置されることが好ましい。この場合、ガイド部材26に蓄えられる熱の影響が突起30に及ぶのを抑制できるので、突起30の温度上昇が抑制され、ひいては、リード線44の温度上昇を抑制できるようになる。また、
図18中の二点鎖線にて示されるように、図の左側においても同じように、突起の30少なくとも一部が、ヒータ23の長手方向X(用紙幅方向)においてガイド部材26とずれた位置に配置されてもよい。
【0078】
また、
図19に示される例のように、ヒータ23が、用紙搬送方向Uにおけるヒータ23又はニップ部Nの中央Mに抵抗発熱体56を有する場合は、突起30の用紙搬送方向中央部30m(シート搬送方向中央部)が、それよりも両端側の部分に比べて高く形成されることが好ましい。これにより、リード線44が突起30の用紙搬送方向中央部30mに配置される場合は、ヒータ23に対するリード線44の距離を大きく確保でき、リード線44の温度上昇を抑制しやすくなる。また、突起30の用紙搬送方向中央部30mが高く形成されていることにより、リード線44が重力に従って突起30の用紙搬送方向中央部30mから両端側へずれて配置される場合は、リード線44が抵抗発熱体56から遠ざけられるため、この場合もリード線44の温度上昇を抑制できる。
【0079】
突起30の形状は、
図19に示されるような突起30の先端面が用紙搬送方向中央部30mに向かって次第に高くなる凸曲面状である場合に限らず、
図20に示されるような用紙搬送方向中央部30m及びその近傍部分において先端面が急激に高くなる凸段差状であってもよい。
【0080】
また、
図21に示される例のように、抵抗発熱体56が、用紙搬送方向におけるヒータ23又はニップ部Nの中央Mよりも両端側に配置される場合は、突起30の用紙搬送方向中央部30mが、それよりも両端側の部分に比べて低く形成されることが好ましい。この場合、リード線44が重力に従って突起30の用紙搬送方向中央部30m側へ集まるように配置されるため、リード線44を抵抗発熱体56から遠ざけて配置でき、リード線44の温度上昇を抑制できる。
【0081】
また、突起30の形状は、
図21に示されるような突起30の先端面が用紙搬送方向中央部30mに向かって次第に低くなる凹曲面状である場合に限らず、
図22に示されるような用紙搬送方向中央部30m及びその近傍部分において先端面が急激に低くなる凹段差状であってもよい。
【0082】
また、上記本発明の各例における追加の変形例として、次のような構成も採用できる。
【0083】
図23に示される例は、ステー25の内側(リード線44側)に、低熱伝導部材63が設けられている例である。ステー25によってヒータホルダ24が支持されている構成においては、ヒータホルダ24の変形が抑制され、ニップ部Nを所望の形状に形成できる。さらに、ステー25が、
図23に示されるような断面U字形である場合は、ステー25の断面二次モーメント(曲げ力に対する抵抗性)を大きく確保でき、ステー25の小型化を図りつつ剛性を確保できると共に、定着ベルト21及びヒータホルダ24の突起に対するステー25の干渉も生じにくくすることができる。
【0084】
しかしながら、ステー25がヒータホルダ24に対して接触していると、ヒータホルダ24を介してヒータ23の熱がステー25に伝わり、ステー25が温度上昇する。特に、ステー25が金属製の材料により構成される場合は、熱伝導性が良いため、ステー25の温度上昇が生じやすくなる。従って、リード線44の温度上昇を抑制するには、リード線44がステー25に対して接触しないようにすることが好ましい。
【0085】
そこで、
図23に示される例においては、ステー25の内面とリード線44との間に、ステー25よりも熱伝導性が低い低熱伝導部材63を配置している。これにより、リード線44がステー25に直接接触するのを回避できる。また、リード線44が低熱伝導部材63に接触したとしても、リード線44がステー25に直接接触する場合に比べてリード線44への熱の伝達が抑制されるため、リード線44の温度上昇を抑制できる。低熱伝導部材63は、ステー25の内面にねじ又はスナップフィット機構を介して固定されてもよいし、後述の温度センサ保持部材又はベルト保持部材に設けられていてもよい。
【0086】
また、ステー25自体の温度上昇を抑制する対策として、
図24に示されるように、ステー25のヒータホルダ24側の端部に、複数の凹部250を設けてもよい。この場合、ヒータホルダ24に対するステー25の接触面積が減少するので、ヒータホルダ24からステー25への熱の伝達が抑制され、ステー25を介するリード線44の温度上昇が生じにくくなる。また、ステー25の凹部250同士の間隔は、均等である場合に限らず、
図24に示されるように、ヒータ23の温度上昇が生じやすい領域、すなわち、発熱領域60内で最小通紙幅W2よりも外側の領域において、最小通紙幅W2より小さくてもよい(g1<g2)。
【0087】
続いて、本発明には含まれないが、リード線44の温度上昇を抑制する別の例について説明する。
【0088】
図25に示される例は、リード線44を支持する突起30が、ヒータホルダ24ではなく、温度センサ27を保持するセンサホルダ50(温度検知部材保持部材)に設けられている例である。センサホルダ50は、ヒータホルダ24などに取り付けられる本体部50aと、本体部50aに設けられる付勢部材としてのバネ50bを有している。ばね50bによって温度センサ27がヒータ23側へ加圧されることにより、温度センサ27がヒータ23に接触した状態で保持される。突起30は、センサホルダ50の本体部50aからヒータ23側とは反対側へ突出するように設けられている。
【0089】
次に、
図26に示される別の例は、リード線44を支持する突起30が、定着ベルト21の長手方向両端部を保持するフランジ70(ベルト保持部材)に設けられている例である。フランジ70は、定着ベルト21の内側に挿入されるC字状又は円筒状の保持部70aと、定着ベルト21の長手方向(矢印X方向)の移動を規制する規制部70bを有している。保持部70aは、定着ベルト21の内径よりも小さい径の外周面を有しており、定着ベルト21内に挿入されることにより、定着ベルト21が静止時(非回転時)において基本的に周方向の張力が付与されない、いわゆるフリーベルト方式で保持される。一方、規制部70bは、定着ベルト21の内径よりも大きい外径に形成されており、定着ベルト21に長手方向Xの移動(片寄り)が生じた場合は、規制部70bによってそれ以上の定着ベルト21の移動が規制される。突起30は、保持部70aの内周面からヒータ23側とは反対側へ突出するように設けられている。
【0090】
上記のように、突起30がセンサホルダ50又はフランジ70に設けられている場合も、突起30によってリード線44が支持されることにより、ヒータ23の温度上昇しやすい領域、すなわち、発熱領域60内で最小通紙幅W2よりも外側の領域において、ヒータ23に対するリード線44の距離を大きく確保できる。このため、これらの例においても、リード線44の温度上昇を抑制できるようになる。なお、突起30の数は、1つのみである場合に限らず、上記本発明の各例と同じように、複数であってもよい。また、突起30の配置及び形状についても、上記本発明の各例と同じ構成を適用可能である。
【0091】
以上、本発明について説明したが、本発明は上記実施形態及び各例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能である。
【0092】
定着装置に用いられる温度センサ27の一例であるサーミスタとしては、一般的に、
図27に示されるようなリード線44がサーミスタ39の互いに反対側の両端から突出するものと、
図28に示されるようなリード線44がサーミスタ39の一端のみから突出するものとがある。本発明においては、いずれのサーミスタを採用することも可能であるが、特に、リード線44が両端から突出するタイプ(
図27)は、リード線44が一端のみから突出するタイプ(
図28)に比べて、用紙搬送方向Uのサイズが小さいので(i1<i2)、前者のサーミスタ39を採用することにより用紙搬送方向Uにおける小型化を図れる。また、リード線44が両端から突出するサーミスタ39を用いた場合、
図27に示されるように、一方のリード線44を屈曲させて這い回すことにより、各リード線44をサーミスタ39の片側に集約して配置できる。また、本発明によれば、リード線44の温度上昇を抑制できるため、リード線44として、耐熱温度が低く可撓性に優れるリード線を採用できるようになり、リード線44を屈曲させて這い回すレイアウトも容易になる。
【0093】
また、本発明は、各種幅サイズの用紙がそれぞれの幅方向中央を基準に合わせて搬送される中央基準搬送方式の画像形成装置に適用される場合に限らず、各種サイズの用紙がその幅方向一端を基準に合わせて搬送される、いわゆる端部搬送基準方式の画像形成装置にも適用可能である。その場合、
図29に示されるように、各種用紙P1,P2の搬送基準となる位置rから用紙の最大幅W1及び最小幅W2の距離、あるいはこれらの幅W1,W2に5mm加えた距離離れた位置までの範囲が、最大通紙幅W1及び最小通紙幅W2となる。従って、このような端部搬送基準方式の場合も、最小通紙幅W2よりも外側で、かつ、ヒータ23の発熱領域60内において、ヒータ23に対するリード線44の距離を大きく確保できる突起30を設けることにより、上記実施形態と同じように、リード線44の温度上昇を抑制できるようになる。
【0094】
また、本発明に係る定着装置に用いられる加熱源として、PTC特性を有するヒータが用いられてもよい。PTC特性とは、温度が高くなると抵抗値が高くなる(一定電圧をかけた場合に、ヒータ出力が下がる)特性である。抵抗発熱体がPTC特性を有するヒータを用いることにより、低温では高出力によって高速で立ち上がり、高温では低出力により過昇温を抑制することができる。従って、このようなPTC特性を有するヒータを用いることにより、非通紙領域における抵抗発熱体の発熱を効果的に抑制できるので、リード線の温度上昇もより一層抑制できるようになる。例えば、PTC特性のTCR係数を300~4000ppm/度程度にすれば、ヒータに必要な抵抗値を確保しながら、低コスト化を図れる。より好ましくは、TCR係数を500~2000ppm/度とするのがよい。TCR係数は、25度と125度とで抵抗値を測定することにより算出することができる。例えば、100度温度上昇して抵抗値が10%上昇していれば、TCR係数は1000ppm/度である。
【0095】
また、本発明は、
図30~
図33に示されるような構成の定着装置にも適用可能である。以下、
図30~
図33に示される各定着装置の構成について説明する。
【0096】
図30に示される定着装置20は、上記
図2に示される定着装置20と比べて、ヒータ23の温度を検知する温度センサ27の位置が異なる。それ以外の部分は、同じ構成である。
図30に示される定着装置20においては、通紙方向におけるニップ部Nの中央Mよりも通紙方向上流側(ニップ入口側)に配置されている。一方、
図2に示される定着装置20においては、温度センサ27が、ニップ部Nの中央Mに配置されている。
図30に示されるように、温度センサ27がニップ部Nの中央Mよりも通紙方向上流側に配置されている場合は、温度センサ27によってニップ入口側の温度を精度良く検知できる。ニップ入口側においては、ニップ部Nに進入する用紙Pによって定着ベルト21の熱が特に奪われやすい領域であるため、温度センサ27によってニップ入口側の温度を精度良く検知することにより、画像の定着性を確保でき、定着オフセット(トナー画像を十分に加熱できない状態)の発生を効果的に抑制できる。
【0097】
次に、
図31に示される実施形態においては、ヒータ23によって定着ベルト21を加熱する加熱用のニップ部N1と、用紙Pを通過させる定着用のニップ部N2が、それぞれ別の位置に形成されている。具体的に、本実施形態においては、定着ベルト21の内側に、ヒータ23のほかニップ形成部材68が配置され、ヒータ23とニップ形成部材68に対してそれぞれ加圧ローラ69,70が定着ベルト21を介して押し当てられることにより、加熱用のニップ部N1と定着用のニップ部N2が形成されている。この場合、加熱用のニップ部N1において定着ベルト21が加熱され、定着用のニップ部N2において定着ベルト21の熱が用紙Pへ付与されることにより、未定着画像が用紙Pに定着される。
【0098】
続いて、
図32に示される定着装置20は、上記
図31に示される定着装置において、ヒータ23側の加圧ローラ69が省略され、ヒータ23が定着ベルト21の曲率に合わせて円弧状に形成された例である。それ以外は、
図31に示される構成と同じである。この場合、ヒータ23が円弧状に形成されていることにより、定着ベルト21とヒータ23とのベルト回転方向の接触長さを確保し、定着ベルト21を効率良く加熱できる。
【0099】
続いて、
図33に示される定着装置20は、一対の回転体としてのベルト71,72の間に、別の回転体としてのローラ73が配置された例である。この例においては、
図33における左側のベルト71内にヒータ23が配置され、右側のベルト72内にニップ形成部材74が配置されている。ヒータ23が左側のベルト71を介してローラ73に接触し、ニップ形成部材74が右側のベルト72を介してローラ73に接触することにより、加熱用のニップ部N1と定着用のニップ部N2が形成されている。この場合、ヒータ23は、左側のベルト71を介してローラ73を加熱する。
【0100】
また、本発明に係る画像形成装置は、
図1に示されるカラー画像形成装置に限らず、
図34に示されるような構成の画像形成装置にも適用可能である。以下、本発明を適用可能な他の実施形態に係る画像形成装置の構成について説明する。
【0101】
図34に示される画像形成装置100は、感光体ドラムなどから成る画像形成手段80と、一対のタイミングローラ81などから成る用紙搬送部と、給紙装置82と、定着装置83と、排紙装置84と、読取部85を備えている。給紙装置82は複数の給紙トレイを備え、それぞれの給紙トレイが異なるサイズの用紙を収容する。
【0102】
読取部85は原稿Qの画像を読み取る。読取部85は、読み取った画像から画像データを生成する。給紙装置82は、複数の用紙Pを収容し、搬送路へ用紙Pを送り出す。タイミングローラ81は搬送路上の用紙Pを画像形成手段80へ搬送する。
【0103】
画像形成手段80は、用紙Pにトナー画像を形成する。具体的には、画像形成手段80は、感光体ドラムと、帯電ローラと、露光装置と、現像装置と、補給装置と、転写ローラと、クリーニング装置と、除電装置を含む。定着装置83は、トナー画像を加熱及び加圧して、用紙Pにトナー画像を定着させる。トナー画像の定着された用紙Pは、搬送ローラなどにより排紙装置84へ搬送される。排紙装置84は、画像形成装置100の外部に用紙Pを排出する。
【0104】
次に、
図35に基づき、本実施形態に係る定着装置83について説明する。なお、
図35に示される構成において、
図2に示される上記実施形態の定着装置20と共通する構成の部分については、同一の符号を付すことによりその説明を省略する。
【0105】
図35に示されるように、定着装置83は、定着ベルト21と、加圧ローラ22と、ヒータ23と、ヒータホルダ24と、ステー25と、温度センサ27などを備えている。
【0106】
定着ベルト21と加圧ローラ22との間にニップ部Nが形成される。ニップ部Nのニップ幅は10mm、定着装置83の線速は240mm/sである。
【0107】
定着ベルト21は、ポリイミドの基体と離型層とを備え、弾性層を有していない。離型層は、例えばフッ素樹脂から成る耐熱性のフィルム材によって形成される。定着ベルト21の外径は約24mmである。
【0108】
加圧ローラ22は、芯金と弾性層と離型層とを含む。加圧ローラ22の外径は24~30mmであり、弾性層の厚みは3~4mmである。
【0109】
ヒータ23は、基材と、断熱層と、抵抗発熱体などを含む導体層と、絶縁層とを含み、全体の厚みが1mmに設定される。また、ヒータ23の用紙搬送方向の幅は13mmである。
【0110】
図36に示されるように、ヒータ23の導体層は、複数の抵抗発熱体56と、給電線59と、電極部58A~58Cを備えている。複数の抵抗発熱体56は、ヒータ23の長手方向(矢印X方向)に互いに間隔をあけて配置されている。ここで、各抵抗発熱体56同士の間の部分を、「分割領域」と称すると、
図36の拡大図に示されるように、各抵抗発熱体56の間は、それぞれ分割領域Bが形成されている(
図36においては、拡大図の範囲のみで分割領域Bを図示しているが、実際は全ての抵抗発熱体56同士の間に分割領域Bが設けられている)。また、
図36において、矢印Y方向は、ヒータ23の長手方向Xに交差又は直交する方向(長手交差方向)で、基材55の厚み方向と異なる方向である。また、矢印Y方向は、複数の抵抗発熱体56の配列方向に交差する方向(配列交差方向)、又は、基材55の抵抗発熱体56が設けられた面に沿う方向でヒータ23の短手方向、あるいは、定着装置に通紙される用紙の搬送方向と同じ方向でもある。
【0111】
また、複数の抵抗発熱体56により、中央の発熱部35Bと、これとは独立して発熱可能な両端側の発熱部35A,35Cが構成されている。例えば、3つの電極部58A~58Cのうち、
図36の左端の電極部58Aと中央の電極部58Bに通電すると、両端側の発熱部35A,35Cが発熱する。また、両端の電極部58A,58Cに通電すると、中央の発熱部35Bが発熱する。例えば、小サイズ用紙に定着動作を行う場合は、中央の発熱部35Bのみを発熱させ、大サイズ用紙に定着動作を行う場合は、全ての発熱部35A~35Cを発熱させることにより、用紙のサイズに応じた加熱が可能である。
【0112】
また、
図37に示されるように、本実施形態に係るヒータホルダ24は、ヒータ23を収容して保持する凹部24aを有している。凹部24aは、ヒータホルダ24のヒータ23側に形成されている。また、凹部24aは、ヒータ23とほぼ同じサイズの矩形(長方形)に形成された面(底面)24fと、その面24fの外郭を形成する4つの辺に沿って面24fと交差するように設けられた4つの壁部(側面)24b,24c,24d,24eにより構成されている。なお、
図37において、右側の壁部24eは、図示省略されている。また、ヒータ23の長手方向X(抵抗発熱体56の配列方向)に対して交差する一対(左右)の壁部24d,24eのうち、一方の壁部を省略し、凹部24aがヒータ23の長手方向の一端部において開口するように構成してもよい。
【0113】
図38に示されるように、本実施形態に係るヒータ23及びヒータホルダ24は、コネクタ86によって保持される。コネクタ86は、樹脂製(例えばLCP)のハウジングと、ハウジング内に設けられた複数のコンタクト端子などを有している。
【0114】
コネクタ86は、ヒータ23及びヒータホルダ24に対して、ヒータ23の長手方向X(抵抗発熱体56の配列方向)とは交差する方向に取り付けられる(
図38のコネクタ86からの矢印方向参照)。また、コネクタ86は、ヒータ23の長手方向X(抵抗発熱体56の配列方向)におけるいずれか一方の端部側であって、加圧ローラ22の駆動モータが設けられる側とは反対側において、ヒータ23及びヒータホルダ24に取り付けられる。なお、コネクタ86のヒータホルダ24に対する取り付け時に、コネクタ86とヒータホルダ24のうちの一方に設けられた凸部が、他方に設けられた凹部に係合し、凸部が凹部内を相対移動する構成としてもよい。
【0115】
コネクタ86が取り付けられた状態においては、ヒータ23とヒータホルダ24がその表側と裏側からコネクタ86によって挟まれるようにして保持される。この状態において、各コンタクト端子がヒータ23の各電極部に接触(圧接)されることにより、コネクタ86を介して各抵抗発熱体56と画像形成装置に設けられた電源とが電気的に接続される。これにより、電源から各抵抗発熱体56へ電力が供給可能な状態となる。
【0116】
また、
図38に示されるフランジ87は、定着ベルト21の長手方向における両端部に設けられ、定着ベルト21の両端部を内側から保持するベルト保持部材である。フランジ87は、ステー25の両端に挿入され、定着装置のフレーム部材である一対の側板に固定される。
【0117】
図39は、本実施形態に係る温度センサ27と、通電遮断部材であるサーモスタット88の配置を示す図である。
【0118】
図39に示されるように、本実施形態に係る温度センサ27は、定着ベルト21の長手方向(矢印X方向)における中央Xm側と端部側のそれぞれの内周面に対向するように配置されている。また、これらの温度センサ27のうちいずれか一方は、ヒータ23の抵抗発熱体同士間の上記分割領域B(
図36参照)に対応する位置に配置される。
【0119】
また、定着ベルト21の中央Xm側と端部側においては、通電遮断部材としてのサーモスタット88が定着ベルト21の内周面に対向するように配置されている。各サーモスタット88は、定着ベルト21の内周面の温度又は内周面近傍の雰囲気温度を検知する。サーモスタット88によって検知された温度があらかじめ設定された閾値を超えた場合は、ヒータ23への通電が遮断される。
【0120】
また、
図39及び
図40に示されるように、定着ベルト21の両端部を保持するフランジ87には、スライド溝87aが設けられている。スライド溝87aは、定着ベルト21の加圧ローラ22に対する接離方向に延在する。スライド溝87aには定着装置の筐体の係合部が係合する。この係合部がスライド溝87a内を相対移動することにより、定着ベルト21は加圧ローラ22に対する接離方向へ移動可能に構成されている。
【0121】
また、本発明は、次のような構成の定着装置にも適用可能である。
【0122】
図41は、本発明を適用可能な別の実施形態に係る定着装置の概略構成図である。
【0123】
図41に示すように、本実施形態に係る定着装置20は、回転体あるいは定着部材としての定着ベルト21と、対向回転体あるいは加圧部材としての加圧ローラ22と、加熱源としてのヒータ23と、加熱源保持部材としてのヒータホルダ24と、支持部材としてのステー25と、温度検知部材としての温度センサ(サーミスタ)27と、第1高熱伝導部材89を備えている。定着ベルト21は、無端状のベルトから成る。加圧ローラ22は、定着ベルト21の外周面に接触して、定着ベルト21との間にニップ部Nを形成する。ヒータ23は、定着ベルト21を加熱する。ヒータホルダ24は、ヒータ23を保持する。ステー25は、ヒータホルダ24を支持する。温度センサ27は、第1高熱伝導部材89の温度を検知する。すなわち、本実施形態に係る定着装置20は、上記
図2に示される定着装置と比べて、第1高熱伝導部材89を備えている以外、基本的に同じ構成である。なお、
図41の紙面に直交する方向は、定着ベルト21、加圧ローラ22、ヒータ23、ヒータホルダ24、ステー25、第1高熱伝導部材89の長手方向であり、以下、この方向を単に長手方向と呼ぶ。また、この長手方向は搬送される用紙の幅方向、定着ベルト21のベルト幅方向、そして、加圧ローラ22の軸方向でもある。
【0124】
ここで、本実施形態におけるヒータ23は、上記
図36に示されるヒータと同じように、複数の抵抗発熱体56が、ヒータ23の長手方向に互いに間隔をあけて配置されている。しかしながら、複数の抵抗発熱体56が互いに間隔をあけて配置される構成においては、抵抗発熱体56同士の間隔である分割領域Bにおけるヒータ23の温度が、抵抗発熱体56が配置される部分に比べて低くなる傾向にある。このため、分割領域Bにおいては、定着ベルト21の温度も低くなり、定着ベルト21の温度が長手方向に渡って不均一になる虞がある。
【0125】
そのため、本実施形態においては、分割領域Bにおける温度落ち込みを抑制して、定着ベルト21の長手方向の温度ムラを抑制するために、上記第1高熱伝導部材89を設けている。以下、第1高熱伝導部材89についてより詳細に説明する。
【0126】
図41に示されように、第1高熱伝導部材89は、図の左右方向において、ヒータ23とステー25との間に配置され、特にヒータ23とヒータホルダ24との間に挟まれる。つまり、第1高熱伝導部材89の一方の面は、ヒータ23の基材55の裏面に当接し、第1高熱伝導部材89の他方の面(一方の面とは反対側の面)は、ヒータホルダ24に当接している。
【0127】
ステー25は、ヒータ23などの厚み方向に延在する二つの垂直部25aの当接面25a1をヒータホルダ24に当接させ、ヒータホルダ24、第1高熱伝導部材89、ヒータ23を支持する。長手交差方向(
図41の上下方向)において、当接面25a1は抵抗発熱体56が設けられる範囲よりも外側に設けられる。これにより、ヒータ23からステー25への伝熱を抑制でき、ヒータ23が定着ベルト21を効率よく加熱できる。
【0128】
図42に示されるように、第1高熱伝導部材89は、一定の厚みを有する板状の部材であり、例えば、その厚みが0.3mm、長手方向方向の長さが222mm、長手交差方向の幅が10mmに設定される。本実施形態においては、第1高熱伝導部材89が単一の板材により構成されるが、複数の部材からなってもよい。なお、
図42においては、
図41に記載のガイド部材26が省略されている。
【0129】
第1高熱伝導部材89は、ヒータホルダ24の凹部24aに嵌め込まれ、その上からヒータ23が取り付けられることで、ヒータホルダ24とヒータ23とに挟み込まれて保持される。本実施形態においては、第1高熱伝導部材89の長手方向の幅がヒータ23の長手方向の幅と略同じに設定されている。第1高熱伝導部材89及びヒータ23は、凹部24aの長手方向と交差する方向に配置される両側壁(長手方向規制部)24d,24eによって、長手方向の移動が規制される。このように、第1高熱伝導部材89の定着装置内における長手方向の位置ずれが規制されることにより、長手方向の狙いの範囲に対して熱伝導効率を向上させることができる。また、第1高熱伝導部材89及びヒータ23は、凹部24aの長手方向に配置される両側壁(配列交差方向規制部)24b,24cによって、長手交差方向の移動が規制される。
【0130】
第1高熱伝導部材89が配置される長手方向(矢印X方向)の範囲は、
図42に示される範囲に限らない。例えば、
図43に示されるように、抵抗発熱体56が配置される長手方向の範囲のみに第1高熱伝導部材89が配置されてもよい(
図43におけるハッチング部参照)。また、
図44に示される例のように、長手方向(矢印X方向)の間隔(分割領域)Bに対応する位置で、その全域のみに第1高熱伝導部材89を配置することもできる。なお、
図44においては、便宜上、抵抗発熱体56と第1高熱伝導部材89が
図44の上下方向にずらして示されているが、両者は長手交差方向(矢印Y方向)のほぼ同じ位置に配置される。また、第1高熱伝導部材89は、抵抗発熱体56の長手交差方向(矢印Y方向)の一部に渡って配置されてもよいし、
図45に示される例のように、第1高熱伝導部材89が抵抗発熱体56の長手交差方向(矢印Y方向)の全体に渡って配置されていてもよい。さらに、
図45に示されるように、第1高熱伝導部材89を、長手方向の間隔Bに対応する位置に加えて、その間隔Bを間にはさむ両側の抵抗発熱体56にまたがって配置することもできる。この「第1高熱伝導部材89を両側の抵抗発熱体56にまたがって配置する」とは、第1高熱伝導部材89が両側の抵抗発熱体56と長手方向の位置が少なくとも一部重なることを意味する。また、第1高熱伝導部材89は、ヒータ23の全ての間隔Bに対応する位置に配置されてもよいし、
図45に示される例のように、一部の間隔B(この場合1箇所)に対応する位置だけ配置されてもよい。ここで、「第1高熱伝導部材89が間隔Bに対応する位置に配置される」とは、間隔Bと第1高熱伝導部材89の少なくとも一部が長手方向において重なることを意味する。
【0131】
加圧ローラ22の加圧力により、第1高熱伝導部材89はヒータ23とヒータホルダ24との間に挟み込まれてこれらの部材に密着する。第1高熱伝導部材89がヒータ23に接触することにより、ヒータ23の長手方向の熱伝導効率が向上する。そして、第1高熱伝導部材89が、長手方向において、ヒータ23の間隔Bに対応する位置に配置されることにより、間隔Bにおける熱伝導効率を向上させることができ、間隔Bへ伝達される熱量を増やし、間隔Bにおける温度を上昇させることができる。これにより、ヒータ23の長手方向の温度ムラを抑制でき、定着ベルト21の長手方向の温度ムラを抑制できる。その結果、用紙に定着される画像の定着ムラ及び光沢ムラを抑制できる。また、間隔Bにおいて十分な定着性能を確保するために、ヒータ23の発熱量を多くする必要が無くなり、定着装置の省エネ化を実現できる。特に、抵抗発熱体56が配置される長手方向全域に渡って第1高熱伝導部材89が配置される場合は、ヒータ23による主な加熱領域(つまり、通紙される用紙の画像形成領域)全域において、ヒータ23の伝熱効率を向上させ、ヒータ23ひいては定着ベルト21の長手方向の温度ムラを抑制できる。
【0132】
さらに、第1高熱伝導部材89とPTC特性を有する抵抗発熱体56との組み合わせにより、小サイズ用紙通紙時の非通紙領域による過昇温をより効果的に抑制できる。このPTC特性とは、温度が高くなると抵抗値が高くなる(一定電圧をかけた場合に、ヒータ出力が下がる)特性である。すなわち、抵抗発熱体56がPTC特性を有していることにより、非通紙領域における抵抗発熱体56の発熱量を効果的に抑制できると共に、第1高熱伝導部材89によって、温度が上昇した非通紙領域の熱量を通紙領域へ効率的に伝達できるので、これらの相乗効果により非通紙領域による過昇温を効果的に抑制できる。
【0133】
また、間隔Bの周辺においても、間隔Bの発熱量が小さいことによりヒータ23の温度が低くなるため、第1高熱伝導部材89を配置することが好ましい。例えば、
図46に示される間隔Bの周辺の領域を含む拡大分割領域Cに対応する位置に、第1高熱伝導部材89を配置することにより、間隔B及びその周辺における長手方向の熱伝達効率を向上させ、ヒータ23の長手方向の温度ムラをより効果的に抑制できる。また、第1高熱伝導部材89が、全ての抵抗発熱体56が配置される領域の長手方向全体に渡って配置されている場合は、ヒータ23(定着ベルト21)の長手方向の温度ムラをより確実に抑制できる。
【0134】
続いて、定着装置のさらに別の実施形態について説明する。
【0135】
図47に示される定着装置20は、ヒータホルダ24と第1高熱伝導部材89との間に第2高熱伝導部材90を有している。第2高熱伝導部材90は、ヒータホルダ24、ステー25、第1高熱伝導部材89などの部材の積層方向(
図47における左右方向)において、第1高熱伝導部材89と異なる位置に設けられる。より詳しくは、第2高熱伝導部材90は、第1高熱伝導部材89に重ね合わせされて設けられる。また、本実施形態においては、上記
図41に示される実施形態と同じように、温度センサ(サーミスタ)27が設けられているが、
図47は、温度センサ27が配置されていない断面を示している。
【0136】
第2高熱伝導部材90は、基材55よりも熱伝導率の高い部材、例えばグラフェン又はグラファイトにより構成される。本実施形態においては、第2高熱伝導部材90が、厚み1mmのグラファイトシートにより構成される。また、第2高熱伝導部材90は、アルミニウム、銅、銀などの板材により構成されてもよい。
【0137】
図48に示されるように、第2高熱伝導部材90は、ヒータホルダ24の凹部24aに複数配置され、各第2高熱伝導部材90同士の間には長手方向の間隔が介在している。ヒータホルダ24の第2高熱伝導部材90が設けられる部分には、その他の部分よりも一段深い窪みが形成されている。第2高熱伝導部材90は、長手方向の両側において、ヒータホルダ24との間に隙間が設けられている。これにより、第2高熱伝導部材90からヒータホルダ24への伝熱が抑制され、ヒータ23によって定着ベルト21が効率的に加熱される。なお、
図48においては、
図41に記載のガイド部材26が省略されている。
【0138】
図49に示されるように、第2高熱伝導部材90(ハッチング部参照)は、長手方向(矢印X方向)において、間隔Bに対応する位置で、隣り合う抵抗発熱体56の少なくとも一部に重なる位置に配置されている。特に、本実施形態においては、第2高熱伝導部材90が、間隔B全域に渡って配置されている。なお、
図49(および後述の
図51)においては、第1高熱伝導部材89が、全ての抵抗発熱体56が配置される領域の長手方向全体に渡って配置されている場合を示しているが、第1高熱伝導部材89の配置範囲はこれに限らない。
【0139】
本実施形態のように、第1高熱伝導部材89に加えて、長手方向の間隔Bに対応する位置で、隣り合う抵抗発熱体56の少なくとも一部に重なる位置に第2高熱伝導部材90が配置されていることにより、間隔Bにおける長手方向の熱伝達効率をより一層向上させ、ヒータ23の長手方向の温度ムラをより効果的に抑制できる。また、最も好ましくは、
図50に示されるように、間隔Bに対応する位置でその全域にのみ第1高熱伝導部材89及び第2高熱伝導部材90を設ける。これにより、間隔Bに対応する位置において、その他の領域と比較して特に熱伝達効率を向上させることができる。なお、
図50においては、便宜上、抵抗発熱体56と第1高熱伝導部材89及び第2高熱伝導部材90が、図の上下方向にそれぞれずらして示されているが、これらは長手交差方向(矢印Y方向)のほぼ同じ位置に配置される。ただし、これに限るものではなく、第1高熱伝導部材89及び第2高熱伝導部材90は、抵抗発熱体56の長手交差方向の一部に配置されていてもよいし、長手交差方向の全体を覆うようにして配置されていてもよい。
【0140】
また、第1高熱伝導部材89及び第2高熱伝導部材90の両方が上記グラフェンシートにより構成されてもよい。この場合、グラフェンの面に沿う所定の方向、つまり、厚み方向ではなく長手方向に熱伝導率の高い第1高熱伝導部材89及び第2高熱伝導部材90を形成できる。このため、ヒータ23及び定着ベルト21の長手方向の温度ムラを効果的に抑制できる。
【0141】
グラフェンは薄片状の粉体である。グラフェンは、
図53に示されるように、炭素原子の平面状の六角形格子構造から成る。グラフェンシートとは、シート状のグラフェンであり、通常、単層である。また、グラフェンシートは、炭素の単一層に不純物を含んでいてもよいし、フラーレン構造を有するものであってもよい。フラーレン構造は、一般的に、同数の炭素原子が5員環および6員環でかご状に縮環した多環体を形成して成る化合物として認識されており、例えば、C60、C70およびC80フラーレン又は3配位の炭素原子を有する他の閉じたかご状構造である。
【0142】
グラフェンシートは、人工物であり、例えば化学気相蒸着(CVD)法により作製され得る。
【0143】
グラフェンシートには市販品を用いることができる。グラフェンシートの大きさ、厚み、あるいは後述するグラファイトシートの層数などは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定される。
【0144】
また、グラフェンを多層化したグラファイトは大きな熱伝導異方性を持つ。グラファイトは、
図54に示すように、炭素原子の縮合六員環層面が平面状に広がった層を有し、この層が何重にも重なった結晶構造を有する。この結晶構造における炭素原子間は、層内での隣接する炭素原子同士は共有結合をなし、層間の炭素原子同士はファン・デル・ワールス結合をなす。そして、共有結合はファン・デル・ワールス結合に比べてその結合力が大きく、層内での結合と層間での結合とでは大きな異方性を持つ。つまり、第1高熱伝導部材89あるいは第2高熱伝導部材90をグラファイトにより構成することにより、第1高熱伝導部材89あるいは第2高熱伝導部材90における長手方向の伝熱効率が厚み方向(つまり、部材の積層方向)に比べて大きくなり、ヒータホルダ24への伝熱を抑制できる。従って、ヒータ23の長手方向の温度ムラを効率よく抑制するとともに、ヒータホルダ24側へ流出する熱を最小限に抑えることができる。また第1高熱伝導部材89あるいは第2高熱伝導部材90をグラファイトにより構成することにより、700度程度まで酸化しない優れた耐熱性を第1高熱伝導部材89あるいは第2高熱伝導部材90に持たせることができる。
【0145】
グラファイトシートの物性や寸法は、第1高熱伝導部材89あるいは第2高熱伝導部材90に求められる機能に応じて適宜変更できる。例えば、高純度のグラファイトあるいは単結晶グラファイトを用いる、あるいは、グラファイトシートの厚みを大きくすることにより、その熱伝導の異方性を高めることができる。また、定着装置を高速化するために、厚みの小さいグラファイトシートを用いて定着装置の熱容量を小さくしてもよい。また、ニップ部N及びヒータ23の幅が大きい場合には、それに合わせて第1高熱伝導部材89あるいは第2高熱伝導部材90の長手方向の幅を大きくしてもよい。
【0146】
機械的強度を高める観点から、グラファイトシートの層数は11以上であることが好ましい。またグラファイトシートは部分的に単層と多層の部分とを含んでいてもよい。
【0147】
第2高熱伝導部材90は、長手方向において、間隔B(さらに拡大分割領域C)に対応する位置で、隣り合う抵抗発熱体56の少なくとも一部に重なる位置に設けられればよく、
図49の配置に限らない。例えば、
図51に示される例のように、第2高熱伝導部材90Aは、長手交差方向(矢印Y方向)において、基材55よりも長手交差方向の両側へ飛び出して設けられていてもよい。また、第2高熱伝導部材90Bは、長手交差方向において、抵抗発熱体56が設けられる範囲に設けられていてもよい。また、第2高熱伝導部材90Cは、間隔Bの一部に設けられていてもよい。
【0148】
また、
図52に示される別の実施形態においては、第1高熱伝導部材89とヒータホルダ24との間に厚み方向(
図52における左右方向)の隙間が設けられている。つまり、ヒータ23、第1高熱伝導部材89、及び第2高熱伝導部材90が配置されるヒータホルダ24の凹部24a(
図48参照)の一部の領域に、断熱層としての逃げ部24gが設けられている。逃げ部24gは、第2高熱伝導部材90(
図52においては図示省略)が設けられる部分以外の長手方向の一部の領域に設けられる。また、逃げ部24gは、ヒータホルダ24の凹部24aの深さをその他の部分よりも深くすることにより形成されている。これにより、ヒータホルダ24と第1高熱伝導部材89との接触面積を最小限にとどめることができるので、第1高熱伝導部材89からヒータホルダ24への伝熱が抑制され、ヒータ23によって定着ベルト21を効率的に加熱できるようになる。なお、長手方向の第2高熱伝導部材90が設けられる断面においては、上記
図47に示される実施形態のように、第2高熱伝導部材90がヒータホルダ24に当接する。
【0149】
また、本実施形態においては、逃げ部24gが、長手交差方向(
図52における上下方向)において、抵抗発熱体56が設けられた範囲全域に渡って設けられている。これにより、第1高熱伝導部材89からヒータホルダ24への伝熱が効果的に抑制され、ヒータ23による定着ベルト21の加熱効率が向上する。なお、断熱層として、逃げ部24gのように空間を設ける構成の他、ヒータホルダ24よりも熱伝導率の低い断熱部材を設ける構成であってもよい。
【0150】
また、本実施形態においては、第2高熱伝導部材90を第1高熱伝導部材89とは異なる部材として設けたが、これに限らない。例えば、第1高熱伝導部材89の間隔Bに対応する部分を、その他の部分よりも厚みを大きくすることにより、第1高熱伝導部材89が第2高熱伝導部材90の機能を兼ねるようにしてもよい。
【0151】
以上、本発明を適用可能な他の定着装置及び画像形成装置の構成について説明したが、斯かる構成の定着装置及び画像形成装置においても本発明を適用することにより、上記実施形態と同様の効果を得られる。すなわち、本発明を適用することにより、非通紙領域におけるリード線の温度上昇を抑制でき、リード線の耐久性を向上させることができる。
【0152】
また、以上の説明においては、本発明を、加熱装置の一例である定着装置に適用する場合を例に説明した。しかしながら、本発明は、定着装置に限らず、用紙に塗布されたインクなどの液体を乾燥させる乾燥装置、被覆部材としてのフィルムを用紙などのシートの表面に熱圧着させるラミネータ、包材のシール部を熱圧着するヒートシーラーなどの加熱装置にも適用可能である。
【0153】
以上説明した本発明の態様をまとめると、本発明には、少なくとも下記の構成を備える加熱装置、定着装置、画像形成装置が含まれる。
【0154】
[第1の構成]
第1の構成は、互いに接触してシートを通過させるニップ部を形成する一対の回転体と、一対の前記回転体のうちの少なくとも一方を加熱する加熱源と、前記加熱源を保持する加熱源保持部材と、前記加熱源の温度を検知する温度検知部材と、前記温度検知部材に接続される可撓性を有する導通部材と、を備える加熱装置であって、前記加熱源保持部材は、前記加熱源を保持する面側とは反対の面側において前記導通部材を支持する導通部材支持部を有し、前記導通部材支持部は、前記加熱源保持部材の所定幅よりも外側の少なくとも一部の領域において、前記所定幅内の領域に比べて前記加熱源に対する前記導通部材の距離を大きくするように前記導通部材支持を支持する加熱装置である。
【0155】
[第2の構成]
第2の構成は、互いに接触してシートを通過させるニップ部を形成する一対の回転体と、一対の前記回転体のうちの少なくとも一方を加熱する加熱源と、前記加熱源を保持する加熱源保持部材と、前記加熱源の温度を検知する温度検知部材と、前記温度検知部材に接続される可撓性を有する導通部材と、を備える加熱装置であって、前記加熱源保持部材は、前記加熱源を保持する面側とは反対側に突出し前記導通部材を支持する導通部材支持部を複数有し、複数の前記導通部材支持部のうち、所定幅よりも外側に配置される少なくとも一部の前記導通部材支持部は、その他の前記導通部材支持部よりも前記加熱源保持部材から突出する突出方向の高さが高い加熱装置である。
【0156】
[第3の構成]
第3の構成は、互いに接触してシートを通過させるニップ部を形成する一対の回転体と、一対の前記回転体のうちの少なくとも一方を加熱する加熱源と、前記加熱源を保持する加熱源保持部材と、前記加熱源の温度を検知する温度検知部材と、前記温度検知部材に接続される可撓性を有する導通部材と、を備える加熱装置であって、前記加熱源保持部材は、前記加熱源を保持する面側とは反対側に突出し前記導通部材を支持する導通部材支持部を複数有し、複数の前記導通部材支持部のうち、所定幅よりも外側に配置される少なくとも一部の前記導通部材支持部同士のシート幅方向の間隔は、その他の前記導通部材支持部同士のシート幅方向の間隔よりも小さい加熱装置である。
【0157】
[第4の構成]
第4の構成は、前記第1から第3のいずれか1つの構成において、前記所定幅は、最小サイズのシート通過幅の加熱装置である。
【0158】
[第5の構成]
第5の構成は、前記第1から第4のいずれか1つの構成において、前記加熱源は、シート幅方向に間隔をあけて配置される複数の発熱体を有し、前記導電部材支持部は、シート幅方向において前記発熱体同士の間の領域に重なるように配置される加熱装置である。
【0159】
[第6の構成]
第6の構成は、前記第1から第5のいずれか1つの構成において、前記導電部材支持部は、前記加熱源保持部材の前記加熱源を保持する面側とは反対側に突出し、前記導電部材支持部の前記加熱源保持部材から突出する方向の高さは、前記導電部材が前記温度検知部材に接続される位置よりも高い加熱装置である。
【0160】
[第7の構成]
第7の構成は、前記第1から第6のいずれか1つの構成において、前記導電部材支持部は、前記加熱源保持部材の前記加熱源を保持する面側とは反対側に突出し、前記加熱源は、シート搬送方向における前記加熱源の中央に発熱体を有し、前記導電部材支持部は、シート搬送方向における前記加熱源の中央からずれた位置で前記導通部材を支持する加熱装置である。
【0161】
[第8の構成]
第8の構成は、前記第7の構成において、前記導電部材支持部は、前記加熱源保持部材の前記加熱源を保持する面側とは反対側に突出し、前記導電部材支持部の前記加熱源保持部材から突出する突出方向の高さは、前記導電部材支持部のシート搬送方向中央において、シート搬送方向両端側よりも高い加熱装置である。
【0162】
[第9の構成]
第9の構成は、前記第1から第8のいずれか1つの構成において、前記加熱源保持部材を支持する支持部材を備え、前記支持部材と前記導電部材との間に、前記支持部材よりも熱伝導率が低い低熱伝導部材が配置される加熱装置である。
【0163】
[第10の構成]
第10の構成は、前記第1から第9のいずれか1つの構成の加熱装置を用いて未定着画像をシートに定着させる定着装置である。
【0164】
[第11の構成]
第11の構成は、前記第1から第9のいずれか1つの構成の加熱装置、又は前記第10の構成の定着装置を備える画像形成装置である。
【符号の説明】
【0165】
20 定着装置(加熱装置)
21 定着ベルト(第1回転体)
22 加圧ローラ(第2回転体)
23 ヒータ(加熱源)
24 ヒータホルダ(加熱源保持部材)
25 ステー(支持部材)
27 温度センサ(温度検知部材)
30 突起(導通部材支持部)
30m 用紙搬送方向中央部(シート搬送方向中央部)
44 リード線(導通部材)
56 抵抗発熱体(発熱体)
63 低熱伝導部材
100 画像形成装置
N ニップ部
P 用紙(シート)
W1 最大通紙幅(最大シート通過幅)
W2 最小通紙幅(最小シート通過幅)
X 長手方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0166】