(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167239
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】給電制御装置、乾燥装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20231116BHJP
G01K 1/14 20210101ALI20231116BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20231116BHJP
B41J 29/46 20060101ALI20231116BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20231116BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
B41J29/38 301
G01K1/14 L
G03G21/00 500
G03G21/00 398
B41J29/46 Z
B41J29/38 104
B41J2/01 125
B41J29/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078269
(22)【出願日】2022-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】菊池 徹
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
2F056
2H270
【Fターム(参考)】
2C056EB14
2C056EB30
2C056FA13
2C056HA46
2C061AQ05
2C061AS06
2C061HK10
2C061HK11
2C061HN08
2C061HN15
2C061HV01
2C061HV32
2C061HV35
2F056CL07
2H270LA01
2H270LA24
2H270LA99
2H270LD05
2H270MG11
2H270NE18
2H270QB07
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】外部電源から装置側に供給される電力を中継する端子部の異常を検知して焼損障害の発生を抑制することができる給電制御装置、乾燥装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】外部電源から電力の給電を受けることにより機能する装置の給電制御装置であって、外部電源から装置へ電力を供給するための給電ケーブルを中継する端子台の温度を検出する温度センサから、端子台の温度を取得し、取得した端子台の温度を外部電源から供給される電流の二乗で除した値と、予め装置の状態により定められた端子台の温度に対する外部電源から供給される電力の比で表される変換係数とを乗算して、給電ケーブルの端子部と、端子部を接続する端子台の取付部との接触抵抗を算出し、接触抵抗が、所定の最大許容接触抵抗以上であるか否かを判定し、接触抵抗が最大許容接触抵抗以上であると判定した場合、接触抵抗の異常の旨を通知する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源から電力の給電を受けることにより機能する装置の給電制御装置であって、
前記外部電源から前記装置へ電力を供給するための給電ケーブルを中継する端子台の温度を検出する温度センサから、該端子台の温度を取得し、
取得した前記端子台の温度を前記外部電源から供給される電流の二乗で除した値と、予め前記装置の状態により定められた前記端子台の温度に対する前記外部電源から供給される電力の比で表される変換係数とを乗算して、前記給電ケーブルの端子部と、該端子部を接続する前記端子台の取付部との接触抵抗を算出し、
前記接触抵抗が、所定の最大許容接触抵抗以上であるか否かを判定し、
前記接触抵抗が前記最大許容接触抵抗以上であると判定した場合、該接触抵抗の異常の旨を通知する給電制御装置。
【請求項2】
前記装置の使用開始時における前記端子台の温度を初期温度として検出した前記温度センサから、該初期温度を取得し、
取得した前記初期温度を前記外部電源から供給される電流の二乗で除した値と、前記変換係数とを乗算して、前記給電ケーブルの端子部と、該端子部を接続する前記端子台の取付部との初期接触抵抗を算出し、
前記初期接触抵抗が、前記最大許容接触抵抗を1以上の所定値で除した値以上であるか否かを判定し、
前記初期接触抵抗が前記最大許容接触抵抗を前記所定値で除した値以上であると判定した場合、該初期接触抵抗の異常の旨を通知する請求項1に記載の給電制御装置。
【請求項3】
前記温度センサから取得した前記端子台の温度が、所定の異常温度以上であるか否かを判定し、
前記端子台の温度が前記異常温度以上であると判定した場合、該端子台の温度の異常の旨を通知する請求項1または2に記載の給電制御装置。
【請求項4】
前記装置は、前記外部電源から前記端子台を介して供給される電力を、該装置の負荷へ通電させるか遮断させるかを切り替えるスイッチング素子を備え、
前記スイッチング素子のオンオフ動作を制御し、
前記スイッチング素子のオンオフ動作のデューティ比に基づいて、前記外部電源から供給される電流としての平均電流を算出し、
取得した前記端子台の温度を前記平均電流の二乗で除した値と、前記変換係数とを乗算して前記接触抵抗を算出し、
前記接触抵抗が前記最大許容接触抵抗以上であると判定した場合、さらに、前記スイッチング素子をオフ状態にすることにより、前記負荷への電力の供給を遮断する請求項1に記載の給電制御装置。
【請求項5】
前記外部電源と、前記端子台の前記取付部とが、前記給電ケーブルの一部である外部給電ケーブルによって接続される請求項1に記載の給電制御装置。
【請求項6】
前記所定の異常温度は、前記給電ケーブルの被膜の定格耐熱温度である請求項3に記載の給電制御装置。
【請求項7】
前記装置としての乾燥装置であって、
前記端子台と、
前記温度センサと、
請求項1に記載の給電制御装置と、
を備えた乾燥装置。
【請求項8】
請求項7に記載の乾燥装置を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電制御装置、乾燥装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
設備電源から装置へ大電力を供給するシステムにおいて、監視制御部が給電端子部の温度を検出して当該温度に基づきシステムへの電力供給を遮断する技術が知られている。
【0003】
このような給電端子部(電源端子)の温度を検出して当該に温度に基づいて電力供給を遮断する技術として、それぞれコネクタハウジングに収納された一対の電源端子と、コネクタハウジングの少なくとも一方に収納され、対応する前記電源端子と熱的に結合され、当該電源端子の温度を検出して、温度検出信号を出力する温度検出素子と、充放電可能な電池セルを複数備え、一対の電源端子間に接続される電池ユニットと、を備え、監視制御部は、電源端子を介した電源供給制御を行うとともに、温度検出信号に基づいて、遮断制御信号を出力し、電池ユニットに直列に接続された遮断回路は、遮断制御信号の入力に伴って、電池ユニットを電源端子を介した電源供給路から電気的に遮断する技術が開示されている(例えば特許文献1)。
【0004】
このような設備電源から装置へ電力を供給するシステム構成において、給電端子部(電源端子)の温度が異常に上昇し焼損障害が発生する原因は、ケーブルの芯線と端子部との接触抵抗の増大にある。例えば、ネジで圧着するタイプの端子を採用した場合、過熱・冷却による材料の膨張・収縮により、ネジが押し戻されて緩み、徐々に押し付け力の低下が経時的に接触抵抗の増大を進行させ、正帰還のサイクルにより焼損に至るケースが考えられる。また、湿気または汚れが接触部分へ侵入して徐々に接触抵抗が増大して焼損に至るケースが考えられる。また、かしめて圧着する端子である場合、不十分な工具の管理下では当該工具の不良に気付かずに使用して圧着処理の不良が生じたり、不十分な工程の管理下では不慣れな作業者により圧着処理の不良が生じたりして接触抵抗を増大させてしまうケースが考えられる。また、低抵抗の接触抵抗を正確に測定するのは困難であること等の理由により、使用開始時点では不良に気付かずに長期間の使用を通して徐々にまたは偶発的な接触抵抗の増大により発熱して焼損障害に至るケースが考えられる。また、設備から装置へ電力を給電する外部給電ケーブルは、例えば設備所有者が電気工事会社へ発注して製作する。この場合、装置側の設計および製造が十分に配慮されたものであっても、ネジで圧着するタイプの端子を現地の法令または規則が認めていたり、設置場所の環境が劣悪で湿気・汚れが侵入したり、外部給電ケーブルを製作する工場がULワイヤリングハーネスプログラム等の認証を持たなくても安全規格の認可を取得することでき、その様な設備側の状況を装置提供者は知ることができず、設備と装置との境界であるため責任の所在が曖昧となり適切な情報開示および再発防止が打たれることがなく焼損障害に至るケースが考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術においては、状況によっては焼損障害が発生する場合があるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、外部電源から装置側に供給される電力を中継する端子部の異常を検知して焼損障害の発生を抑制することができる給電制御装置、乾燥装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、外部電源から電力の給電を受けることにより機能する装置の給電制御装置であって、前記外部電源から前記装置へ電力を供給するための給電ケーブルを中継する端子台の温度を検出する温度センサから、該端子台の温度を取得し、取得した前記端子台の温度を前記外部電源から供給される電流の二乗で除した値と、予め前記装置の状態により定められた前記端子台の温度に対する前記外部電源から供給される電力の比で表される変換係数とを乗算して、前記給電ケーブルの端子部と、該端子部を接続する前記端子台の取付部との接触抵抗を算出し、前記接触抵抗が、所定の最大許容接触抵抗以上であるか否かを判定し、前記接触抵抗が前記最大許容接触抵抗以上であると判定した場合、該接触抵抗の異常の旨を通知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外部電源から装置側に供給される電力を中継する端子部の異常を検知して焼損障害の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る画像形成装置の全体構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る乾燥装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る乾燥装置の制御部のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、接触抵抗の異常検知を説明する図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る乾燥装置の制御部によるヒータ制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態に係る乾燥装置の制御部による初期接触抵抗の異常検知処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態に係る乾燥装置の制御部による接触抵抗の異常検知処理の流れの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照しながら、本発明に係る給電制御装置、乾燥装置および画像形成装置の実施形態を詳細に説明する。また、以下の実施形態によって本発明が限定されるものではなく、以下の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想到できるもの、実質的に同一のもの、およびいわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下の実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換、変更および組み合わせを行うことができる。
【0011】
(画像形成装置の全体構成)
図1は、実施形態に係る画像形成装置の全体構成の一例を示す図である。
図1を参照しながら、本実施形態に係る画像形成装置1の全体構成について説明する。
【0012】
図1に示す画像形成装置1は、例えばインクジェット記録装置である。画像形成装置1は、
図1に示すように、液体付与部101と、元巻きローラ102と、搬送部103と、乾燥装置104(装置の一例)と、巻取りローラ105と、を備えている。
【0013】
液体付与部101は、乾燥対象となる搬送される部材である連帳紙110に対して所定の色の液体であるインクを吐出付与する機構である。液体付与部101は、
図1に示すように、連帳紙110の搬送方向の上流側からの順で、4色分のフルライン型ヘッド111A、111B、111C、111Dを備えている。
【0014】
フルライン型ヘッド111A、111B、111C、111Dは、それぞれ連帳紙110に対してブラックK、シアンC、マゼンタM、イエローYの液体を付与する液体吐出ヘッドである。なお、色の種類および数はこれに限るものではない。
【0015】
元巻きローラ102は、連帳紙110を、搬送ローラ112を介して液体付与部101側へ繰り出すローラである。連帳紙110は、搬送部103の搬送ローラ112によって、液体付与部101に対向して配置された搬送ガイド部材113上に送り出され、搬送ガイド部材113で案内されて搬送(移動)される。
【0016】
搬送部103は、元巻きローラ102から繰り出された連帳紙110を搬送する機構である。搬送部103は、
図1に示すように、元巻きローラ102から繰り出された連帳紙110を搬送ガイド部材113へ送り出す搬送ローラ112と、連帳紙110を案内して搬送する搬送ガイド部材113と、を有する。
【0017】
乾燥装置104は、連帳紙110を加熱して連帳紙110に付与された液体を乾燥させる装置である。乾燥装置104は、
図1に示すように、加熱ローラ11と、加熱ドラム12と、案内ローラ13と、案内ローラ17と、を備えている。
【0018】
加熱ローラ11は、連帳紙110に接触して加熱する曲面形状の接触面を有する複数のローラであり、加熱ドラム12よりも小径のローラである。
【0019】
加熱ドラム12は、曲面形状の接触面を有するドラム形状の接触加熱手段である。
【0020】
案内ローラ13は、加熱ドラム12の下流側で、連帳紙110を加熱ローラ11に案内するための接触案内部材である。
【0021】
案内ローラ17は、乾燥装置104内の加熱ローラ11への連帳紙110の搬入を案内するローラである。
【0022】
巻取りローラ105は、乾燥装置104により液体が乾燥され、排出ローラ118によって送られてきた連帳紙110を巻き取るためのローラである。
【0023】
(乾燥装置のハードウェア構成)
図2は、実施形態に係る乾燥装置の構成の一例を示す図である。
図3は、実施形態に係る乾燥装置の制御部のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2および
図3を参照しながら、本実施形態に係る乾燥装置104のハードウェア構成について説明する。
【0024】
図2に示すように、乾燥装置104は、端子台21と、端子台温度センサ21aと、ヒータランプ駆動部22と、乾燥部23と、制御部24(給電制御装置)と、表示部25と、を備えている。
【0025】
端子台21は、交流電源である設備電源106と外部給電ケーブル31により接続され、ヒータランプ駆動部22と内部給電ケーブル32により接続されることにより、設備電源106(外部電源)からの電力をヒータランプ駆動部22へ供給するための中継を行う端子台である。
【0026】
端子台温度センサ21aは、端子台21の温度を検出するセンサである。端子台温度センサ21aは、例えば非接触式のセンサであるとよい。ここで、端子台21の温度(後述する端子台温度T)とは、端子台21自体の温度であってもよく、端子台21の周囲温度等であってもよい。端子台温度センサ21aは、制御部24へ接続され、検出した端子台21の温度を制御部24へ出力する。端子台温度センサ21aを非接触式のセンサとすることによって、接触式のセンサよりも検出温度の不安定性を低減することができ、乾燥装置104の取り付け、交換等の作業において乾燥装置104の状態に影響を与えることがなく作業性を向上できる。
【0027】
ヒータランプ駆動部22は、設備電源106から端子台21を介して供給される電力について、スイッチング動作により乾燥部23への通電を制御する駆動回路である。具体的には、ヒータランプ駆動部22は、
図2に示すように、スイッチング素子であるSSR(Solid State Relay)22aを備えている。
【0028】
SSR22aは、制御部24からの制御信号に従って、設備電源106からの電力を乾燥部23へ通電させるか遮断させるかをオンオフ動作により切り替えるスイッチン素子である。なお、SSR22aとして、SSRの代わりに、フォトカプラまたはサイリスタ等のスイッチング素子を用いてもよい。
【0029】
乾燥部23は、連帳紙110を加熱して連帳紙110に付与された液体を乾燥させる機構である。乾燥部23は、
図2に示すように、加熱ドラム12と、ヒータランプ23aと、ドラム温度センサ23bと、を有する。なお、加熱ドラム12については、
図1で上述した通りである。
【0030】
ヒータランプ23aは、ヒータランプ駆動部22によるスイッチング動作により設備電源106からの電力の供給を受けて、近赤外線~遠赤外線領域の電磁波を放射することにより加熱ドラム12を加熱する部材である。
図2に示すように、内部給電ケーブル32は、端子台21の端子からヒータランプ23aの一端へ接続し、ヒータランプ23aの他端からSSR22aの出力端子の一方へ接続し、SSR22aの出力端子の他方から端子台21の他の端子へ接続されている。また、SSR22aの制御端子(入力端子)は、制御部24へ接続されている。これによって、制御部24からの制御信号に従ってSSR22aがオン状態になると、設備電源106からの電力が負荷であるヒータランプ23aに通電し、SSR22aがオフ状態になると、ヒータランプ23aへの当該電力の通電が遮断される。
【0031】
ドラム温度センサ23bは、加熱ドラム12の表面温度を検出するセンサである。ドラム温度センサ23bは、制御部24へ接続され、検出した加熱ドラム12の表面温度を制御部24へ出力する。
【0032】
制御部24は、ドラム温度センサ23bにより検出される加熱ドラム12の表面温度が目標温度となるように、SSR22aのオンオフ動作を制御するコントローラである。また、制御部24は、端子台温度センサ21aで検出される端子台21の温度(以下、端子台温度と称する場合がある)を監視し、異常を検知した場合には、SSR22aをオフ状態にして、表示部25に異常発生の旨を表示させる。表示部25は、
図3に示すディスプレイ26に対応する。なお、表示部25は、ディスプレイに限定されず、例えば液晶表示器またはランプ表示器等であってもよい。制御部24は、
図3に示すように、CPU(Central Processing Unit)241と、メモリ242と、タイマ243と、I/Oポート244と、を備えている。
【0033】
CPU241は、メモリ242に記憶されたプログラムを実行することにより、順次・分岐・反復処理等を実行する演算装置である。CPU241は、ディスプレイ26の表示動作を制御する。
【0034】
メモリ242は、プログラムおよび各種データを記憶する記憶装置である。
【0035】
タイマ243は、時間を計測する計測装置である。
【0036】
I/Oポート244は、端子台温度センサ21aおよびドラム温度センサ23bから検出された温度を入力し、SSR22aのオンオフ制御を行うための制御信号を出力するインターフェースである。
【0037】
ここで、制御部24によるヒータランプ23aの加熱制御の処理(ヒータ制御処理)の概要について説明する。I/Oポート244は、ドラム温度センサ23bにより検出された加熱ドラム12の表面温度Thを受信し、CPU241は、I/Oポート244により受信された当該表面温度Thを読み出すことによって取得する。また、表面温度Thについての目標温度Tbは、予めメモリ242に記憶されている。CPU241は、ドラム温度センサ23bにより検出された表面温度Thが目標温度Tbとなるように、すなわち差分Tb-Thが0になるように、SSR22aに対するオンオフ制御を行う。具体的には、CPU241は、差分Tb-Thが正値でありその絶対値が大きいほど、SSR22aのデューティ比ton/(ton+toff)を1に近づける。一方、CPU241は、差分Tb-Thが負値でありその絶対値が大きいほど、SSR22aのデューティ比ton/(ton+toff)を0に近づける。ここで、tonは所定時間中にSSR22aをオン状態にする時間(オン時間)であり、toffは所定時間中にSSR22aをオフ状態にする時間(オフ時間)である。また、所定時間が単位時間と考えた場合、ton+toff=1となる。なお、tonは所定時間中においてSSR22aをオン状態にする時間の割合とし、toffは所定時間中においてSSR22aをオフ状態にする時間の割合と考えてもよい。この場合においても、ton+toff=1となる。
【0038】
(端子台の接触抵抗および異常検知について)
図4は、接触抵抗の異常検知を説明する図である。
【0039】
まず、上述の
図2および
図3を参照しながら、端子台21の接触抵抗について説明する。外部給電ケーブル31または内部給電ケーブル32の端子部と、当該端子部を電気的に接続する端子台21の取付部との接触抵抗をRとし、設備電源106から供給される電流をIとした場合に、I
2・Rで表されるエネルギー(電力)Pは端子台21の端子台温度Tに比例するため、エネルギーPが大きいほど端子台温度Tが高くなる。ここで、エネルギーPと端子台温度Tとの関係は、外部給電ケーブル31または内部給電ケーブル32を伝わることによる放熱状態、または設置場所の気流の状態等のような乾燥装置104の個別の構成によって予め定まるため、変換係数A=P/Tを定義する。また、CPU241は、スイッチング素子であるSSR22aのデューティ比に基づいて平均電流として電流Iを求めることができる。
【0040】
以上のことから、CPU241は、電流I、端子台温度Tおよび変換係数Aから、下記の式(1)により、接触抵抗Rを算出することができる。
【0041】
R=A・T/I2 ・・・(1)
【0042】
また端子台21の端子台温度Tの初期温度をT_iniとすると、CPU241は、下記の式(2)により、接触抵抗Rの初期値である初期接触抵抗R_iniを算出することができる。
【0043】
R_ini=A・T_ini/I2 ・・・(2)
【0044】
また、接触抵抗Rとして許容される最大値である最大許容接触抵抗R_maxは既知の値であるものとすると、接触抵抗が上記の式(1)で表されることから、CPU241は、下記の式(3)を満たすか否かによって端子台21の接触抵抗Rに対する異常判定を行い、式(3)を満たすことにより端子台21の接触抵抗Rの異常を検知することができる。すなわち、CPU241は、
図4に示すように、接触抵抗Rが初期接触抵抗R_iniから上昇していき、最大許容接触抵抗R_max以上となったと判定した場合、接触抵抗Rに異常があることを検知し、表示部25に異常の旨を表示すること等によって異常を通知する。
【0045】
R_max≦A・T/I2 ・・・(3)
【0046】
上記の式(3)を用いた異常判定により、高温度・大電流によらず低温度・小電流であっても端子台21の接触抵抗Rの異常を検知することができる。
【0047】
また、構成する部品の最大定格温度を異常温度Taとした場合、異常温度Taは、例えば下記の式(4)によって定義することができる。
【0048】
Ta=R_max/A・I2 ・・・(4)
【0049】
なお、構成する部品の最大定格温度としては、例えば、外部給電ケーブル31または内部給電ケーブル32の被覆の耐熱温度を採用することもできる。すなわち、焼損障害を未然に防ぐ対象となる部品の温度定格(ここでは外部給電ケーブル31または内部給電ケーブル32の定格耐熱温度)とするものである。部品の温度定格は、例えば外部給電ケーブル31または内部給電ケーブル32の被膜の定格耐熱温度である。
【0050】
CPU241は、上述の式(3)による接触抵抗Rに対する異常判定に並行して、端子台温度Tが異常温度Ta以上になったか否かの判定を行い、端子台温度Tが異常温度Ta以上となることにより端子台温度Tの異常を検知することができる。すなわち、CPU241は、端子台温度Tが初期温度T_iniから上昇していき、異常温度Ta以上となったと判定した場合、端子台温度Tに異常があることを検知し、表示部25に異常の旨を表示すること等によって異常を通知する。このように端子台温度Tの異常を監視することによって、端子台21および端子台21に接続された電気部品等の焼損障害の発生を直接的に抑制することができる。
【0051】
また、画像形成装置1の製造時、端子台21の交換時、または外部給電ケーブル31もしくは内部給電ケーブル32の交換時等の後に乾燥装置104の使用開始時に、CPU241は、上述の式(2)により初期接触抵抗R_iniを算出し、下記の式(5)を満たすか否かによって初期接触抵抗R_iniに対する異常判定を行い、式(5)を満たすことにより端子台21の初期接触抵抗R_iniの異常を検知することができる。すなわち、CPU241は、初期接触抵抗R_iniが、最大許容接触抵抗R_maxをmで割った値以上となったと判定した場合、初期接触抵抗R_iniに異常があることを検知し、表示部25に異常の旨を表示すること等によって異常を通知する。
【0052】
R_max/m≦R_ini ・・・(5)
【0053】
なお、式(5)におけるmは1以上の数値であり、数値mはメモリ242に記憶されている。
【0054】
上記の式(5)を用いた異常判定により、画像形成装置1の製造時、稼働開始時、端子台21の交換時、または外部給電ケーブル31もしくは内部給電ケーブル32の交換時等に、端子台21の接触抵抗(初期接触抵抗)の異常を検知することができる。
【0055】
なお、最大許容接触抵抗R_maxは上述の式(3)を構成する、電流Iと端子台温度Tと構成によって定まる変換係数Aの最大値から求めてもよい。
【0056】
また、接触抵抗R、端子台温度T、および初期接触抵抗R_iniの異常の通知の態様については、表示部25に表示させることに限定されず、例えば、警報音による通知、または管理者等へのメール送信による通知等であってもよい。
【0057】
(ヒータ制御処理の流れ)
図5は、実施形態に係る乾燥装置の制御部によるヒータ制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5を参照しながら、本実施形態に係る乾燥装置104の制御部24によるヒータ制御処理の流れについて説明する。
【0058】
<ステップS11>
制御部24は、ヒータランプ23aに対するヒータ制御処理を開始すると、カウンタ変数hを0にする。そして、ステップS12へ移行する。
【0059】
<ステップS12>
次に、制御部24は、カウンタ変数hをインクリメントする。そして、ステップS13へ移行する。
【0060】
<ステップS13>
次に、制御部24は、ドラム温度センサ23bにより検出された加熱ドラム12の表面温度Thを取得する。そして、ステップS14へ移行する。
【0061】
<ステップS14>
制御部24は、目標温度Tbと表面温度Thとの差分が0であるか否かを判定する。差分Tb-Thが0である場合(ステップS14:No)、制御部24はSSR22aのデューティ比を変更せず、ステップS18へ移行し、0でない場合(ステップS14:Yes)、ステップS15へ移行する。
【0062】
<ステップS15>
また、制御部24は、差分Tb-Thが正値であるか否かを判定する。正値である場合(ステップS15:Yes)、ステップS16へ移行し、負値である場合(ステップS15:No)、ステップS17へ移行する。
【0063】
<ステップS16>
制御部24は、現在のカウンタ変数hの1つ前、すなわちh-1の時のオン時間tonに所定時間aを加算して、新たなオン時間tonとして更新し、オン時間tonを長くする。この場合、加算する所定時間aは、差分Tb-Thの絶対値が大きいほど、大きくするものとしてもよい。なお、ここではオン時間tonは、単位時間においてSSR22aがオン状態になっている時間であるものとする。そして、ステップS18へ移行する。
【0064】
<ステップS17>
制御部24は、現在のカウンタ変数hの1つ前、すなわちh-1の時のオン時間tonに所定時間aを減算して、新たなオン時間tonとして更新し、オン時間tonを短くする。この場合、加算する所定時間aは、差分Tb-Thの絶対値が大きいほど、大きくするものとしてもよい。なお、ここではオン時間tonは、単位時間においてSSR22aがオン状態になっている時間であるものとする。そして、ステップS18へ移行する。
【0065】
<ステップS18>
制御部24は、前回(h-1)までのオン時間tonの累積値に対して、今回(h)のオン時間tonを加算して、今回(h)までのオン時間tonの累積値を算出する。そして、ステップS19へ移行する。
【0066】
<ステップS19>
カウンタ変数hが所定値Nとなった場合(ステップS19:Yes)、ステップS20へ移行し、カウンタ変数hが所定値N未満である場合(ステップS19:No)、ステップS12へ戻る。なお、所定数はサンプリング数である。
【0067】
<ステップS20>
制御部24は、カウンタ変数hを0にクリアする。そして、ステップS21へ移行する。
【0068】
<ステップS21>
制御部24は、ステップS18で算出した今回(h)までのオン時間tonの累積値をデューティ比Duとして設定し、当該デューティ比DuによりSSR22aのオンオフ制御を実行する。すなわち、上述のようにオン時間tonは単位時間におけるオン状態の時間であるため、単位時間からオン時間tonの累積値を引いた時間がオフ時間toffであり、当該累積時間自体が、単位時間におけるSSR22aがオン状態でいる時間の割合であるデューティ比となる。そして、ステップS22へ移行する。
【0069】
<ステップS22>
制御部24は、デューティ比Duのパラメータu(u=1~∞)をインクリメントする。デューティ比Duはメモリ242に順次確認して参照される。
【0070】
以上のステップS11~S22の流れによって、制御部24によるヒータ制御処理が実行される。
【0071】
(制御部による初期接触抵抗の異常検知処理の流れ)
図6は、実施形態に係る乾燥装置の制御部による初期接触抵抗の異常検知処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6を参照しながら、本実施形態に係る乾燥装置104の制御部24の初期接触抵抗の異常検知処理の流れについて説明する。
【0072】
<ステップS31>
制御部24は、端子台21についての初期接触抵抗の異常検知処理を開始すると、カウンタ変数iを0にする。そして、ステップS32へ移行する。
【0073】
<ステップS32>
次に、制御部24は、カウンタ変数iをインクリメントする。そして、ステップS33へ移行する。
【0074】
<ステップS33>
次に、制御部24は、端子台温度センサ21aにより検出された端子台21の端子台温度Tiを取得する。そして、ステップS34へ移行する。
【0075】
<ステップS34>
カウンタ変数iが1である場合(ステップS34:Yes)、ステップS35へ移行し、カウンタ変数iが1でない場合(ステップS34:No)、ステップS36へ移行する。
【0076】
<ステップS35>
制御部24は、取得した端子台温度Tiを最大端子台温度T_maxとして設定する。すなわち、制御部24は、当該最大端子台温度T_maxをメモリ242に書き込む。そして、ステップS36へ移行する。
【0077】
<ステップS36>
制御部24は、取得した端子台温度Tiが最大端子台温度T_maxよりも大きいか否かを判定する。端子台温度Tiが最大端子台温度T_maxよりも大きい場合(ステップS36:Yes)、ステップS37へ移行し、端子台温度Tiが最大端子台温度T_max以下である場合(ステップS36:No)、ステップS38へ移行する。
【0078】
<ステップS37>
制御部24は、取得した端子台温度Tiで最大端子台温度T_maxを更新する。すなわち、制御部24は、メモリ242に既に書き込まれている最大端子台温度T_maxを、当該取得した端子台温度Tiで更新する。そして、ステップS38へ移行する。
【0079】
<ステップS38>
制御部24は、設備電源106の電圧Vと、負荷であるヒータランプ23aのインピーダンスZから、定常電流Ia(=V/Z)を算出し、メモリ242に書き込む。そして、制御部24は、上述の
図5のヒータ制御処理で算出したデューティ比Duに、算出した定常電流Iaを乗算して平均電流I_avgを算出する。そして、ステップS39へ移行する。
【0080】
<ステップS39>
制御部24は、上述の式(2)において、初期温度T_iniを最大端子台温度T_maxとし、電流Iを平均電流I_avgとして、初期接触抵抗R_iniを算出する。そして、ステップS40へ移行する。
【0081】
<ステップS40>
制御部24は、最大端子台温度T_maxが、上述の式(4)等により算出される異常温度Ta未満であるか否かを判定する。最大端子台温度T_maxが異常温度Ta未満である場合(ステップS40:Yes)、ステップS41へ移行し、最大端子台温度T_maxが異常温度Ta以上である場合(ステップS40:No)、ステップS43へ移行する。
【0082】
<ステップS41>
制御部24は、さらに、算出した初期接触抵抗R_iniが最大許容接触抵抗R_maxの1/m(mは1以上の数値)未満であるか否かを判定する。初期接触抵抗R_iniが最大許容接触抵抗R_maxの1/m未満である場合(ステップS41:Yes)、ステップS42へ移行し、初期接触抵抗R_iniが最大許容接触抵抗R_maxの1/m以上である場合(ステップS41:No)、ステップS43へ移行する。
【0083】
<ステップS42>
カウンタ変数iが所定値Nとなった場合(ステップS42:Yes)、初期接触抵抗の異常検知処理を終了し、カウンタ変数iが所定値N未満である場合(ステップS42:No)、ステップS32へ戻る。なお、所定値Nは、サンプリング数であり、初期接触抵抗R_iniに対する異常の有無を精度よく判定できる程度の繰り返し処理が可能な回数に設定されるものとすればよい。
【0084】
<ステップS43>
制御部24は、最大端子台温度T_maxが異常温度Ta以上であると判定した場合、端子台21の端子台温度に異常があることを検知し、SSR22aをオフ状態とし、表示部25に異常の旨を表示して異常を通知する。また、制御部24は、初期接触抵抗R_iniが最大許容接触抵抗R_maxの1/m以上であると判定した場合、端子台21の初期接触抵抗R_iniの異常を検知し、SSR22aをオフ状態とし、表示部25に異常の旨を表示して異常を通知する。そして、初期接触抵抗の異常検知処理を終了する。このように、異常検知の際にSSR22aをオフ状態にすることによって、端子台21および端子台21に接続された電気部品等の焼損障害の発生を未然に抑制することができる。
【0085】
以上のステップS31~S43の流れによって、制御部24による初期接触抵抗の異常検知処理が実行される。
【0086】
(制御部による接触抵抗の異常検知処理の流れ)
図7は、実施形態に係る乾燥装置の制御部による接触抵抗の異常検知処理の流れの一例を示す図である。
図7を参照しながら、本実施形態に係る乾燥装置104の制御部24の接触抵抗の異常検知処理の流れについて説明する。
【0087】
<ステップS51>
制御部24は、端子台21についての接触抵抗の異常検知処理を開始すると、カウンタ変数iを0にする。そして、ステップS52へ移行する。
【0088】
<ステップS52>
次に、制御部24は、カウンタ変数iをインクリメントする。そして、ステップS53へ移行する。
【0089】
<ステップS53>
次に、制御部24は、端子台温度センサ21aにより検出された端子台21の端子台温度Tiを取得する。そして、ステップS54へ移行する。
【0090】
<ステップS54>
カウンタ変数iが1である場合(ステップS54:Yes)、ステップS55へ移行し、カウンタ変数iが1でない場合(ステップS54:No)、ステップS56へ移行する。
【0091】
<ステップS55>
制御部24は、取得した端子台温度Tiを最大端子台温度T_maxとして設定する。すなわち、制御部24は、当該最大端子台温度T_maxをメモリ242に書き込む。そして、ステップS56へ移行する。
【0092】
<ステップS56>
制御部24は、取得した端子台温度Tiが最大端子台温度T_maxよりも大きいか否かを判定する。端子台温度Tiが最大端子台温度T_maxよりも大きい場合(ステップS56:Yes)、ステップS57へ移行し、端子台温度Tiが最大端子台温度T_max以下である場合(ステップS56:No)、ステップS58へ移行する。
【0093】
<ステップS57>
制御部24は、取得した端子台温度Tiで最大端子台温度T_maxを更新する。すなわち、制御部24は、メモリ242に既に書き込まれている最大端子台温度T_maxを、当該取得した端子台温度Tiで更新する。そして、ステップS58へ移行する。
【0094】
<ステップS58>
制御部24は、設備電源106の電圧Vと、負荷であるヒータランプ23aのインピーダンスZから、定常電流Ia(=V/Z)を算出し、メモリ242に書き込む。そして、制御部24は、上述の
図5のヒータ制御処理で算出したデューティ比Duに、算出した定常電流Iaを乗算して平均電流I_avgを算出する。そして、ステップS59へ移行する。
【0095】
<ステップS59>
制御部24は、上述の式(1)において、端子台温度Tを最大端子台温度T_maxとし、電流Iを平均電流I_avgとして、接触抵抗Riを算出する。そして、ステップS60へ移行する。
【0096】
<ステップS60>
制御部24は、最大端子台温度T_maxが、上述の式(4)等により算出される異常温度Ta未満であるか否かを判定する。最大端子台温度T_maxが異常温度Ta未満である場合(ステップS60:Yes)、ステップS61へ移行し、最大端子台温度T_maxが異常温度Ta以上である場合(ステップS60:No)、ステップS63へ移行する。
【0097】
<ステップS61>
制御部24は、さらに、算出した接触抵抗Riが最大許容接触抵抗R_max未満であるか否かを判定する。すなわち、制御部24は、上述の式(3)を満たすか否かを判定する。ここで、上述の式(3)の右辺の値は、ステップS59で算出した接触抵抗Riに対応する。接触抵抗Riが最大許容接触抵抗R_max未満である場合(ステップS61:Yes)、ステップS62へ移行し、接触抵抗Riが最大許容接触抵抗R_max以上である場合(ステップS61:No)、ステップS63へ移行する。
【0098】
<ステップS62>
制御部24による接触抵抗および端子台温度の監視を終了する場合(ステップS62:Yes)、接触抵抗の異常検知処理を終了し、当該監視を継続する場合(ステップS62:No)、ステップS52へ戻る。
【0099】
<ステップS63>
制御部24は、最大端子台温度T_maxが異常温度Ta以上であると判定した場合、端子台21の端子台温度に異常があることを検知し、SSR22aをオフ状態とし、表示部25に異常の旨を表示して異常を通知する。また、制御部24は、接触抵抗Riが最大許容接触抵抗R_max以上であると判定した場合、端子台21の接触抵抗Riの異常を検知し、SSR22aをオフ状態とし、表示部25に異常の旨を表示して異常を通知する。このように、異常検知の際にSSR22aをオフ状態にすることによって、端子台21および端子台21に接続された電気部品等の焼損障害の発生を未然に抑制することができる。そして、接触抵抗の異常検知処理を終了する。
【0100】
以上のステップS51~S63の流れによって、制御部24による接触抵抗の異常検知処理が実行される。
【0101】
以上のように、本実施形態に係る制御部24は、設備電源106から乾燥装置104へ電力を供給するための給電ケーブルを中継する端子台21の温度を検出する端子台温度センサ21aから、当該端子台21の温度を取得し、取得した端子台21の温度を設備電源106から供給される電流の二乗で除した値と、予め乾燥装置104の状態により定められた端子台21の温度に対する設備電源106から供給される電力の比で表される変換係数Aとを乗算して、給電ケーブルの端子部と、当該端子部を接続する端子台21の取付部との接触抵抗Rを算出し、接触抵抗Rが、所定の最大許容接触抵抗R_max以上であるか否かを判定し、接触抵抗Rが最大許容接触抵抗Rmax以上であると判定した場合、当該接触抵抗Rの異常の旨を通知するものとしている。これによって、外部電源(設備電源106)から装置(乾燥装置104)側に供給される電力を中継する端子部の異常を検知して焼損障害の発生を抑制することができる。また、本実施形態に係る制御部24によれば、異常な温度が発生し得る電力が供給される前、または実際に異常温度に達する前に端子部の異常を検知することができるので、焼損損害の発生を抑制することができる。また、異常温度に達する前に異常を検知することができるので構成物品の劣化を抑制することができる。
【0102】
本発明の態様は、以下の通りである。
<1>外部電源から電力の給電を受けることにより機能する装置の給電制御装置であって、
前記外部電源から前記装置へ電力を供給するための給電ケーブルを中継する端子台の温度を検出する温度センサから、該端子台の温度を取得し、
取得した前記端子台の温度を前記外部電源から供給される電流の二乗で除した値と、予め前記装置の状態により定められた前記端子台の温度に対する前記外部電源から供給される電力の比で表される変換係数とを乗算して、前記給電ケーブルの端子部と、該端子部を接続する前記端子台の取付部との接触抵抗を算出し、
前記接触抵抗が、所定の最大許容接触抵抗以上であるか否かを判定し、
前記接触抵抗が前記最大許容接触抵抗以上であると判定した場合、該接触抵抗の異常の旨を通知する給電制御装置である。
<2>前記装置の使用開始時における前記端子台の温度を初期温度として検出した前記温度センサから、該初期温度を取得し、
取得した前記初期温度を前記外部電源から供給される電流の二乗で除した値と、前記変換係数とを乗算して、前記給電ケーブルの端子部と、該端子部を接続する前記端子台の取付部との初期接触抵抗を算出し、
前記初期接触抵抗が、前記最大許容接触抵抗を1以上の所定値で除した値以上であるか否かを判定し、
前記初期接触抵抗が前記最大許容接触抵抗を前記所定値で除した値以上であると判定した場合、該初期接触抵抗の異常の旨を通知する<1>に記載の給電制御装置である。
<3>前記温度センサから取得した前記端子台の温度が、所定の異常温度以上であるか否かを判定し、
前記端子台の温度が前記異常温度以上であると判定した場合、該端子台の温度の異常の旨を通知する<1>または<2>に記載の給電制御装置である。
<4>前記装置は、前記外部電源から前記端子台を介して供給される電力を、該装置の負荷へ通電させるか遮断させるかを切り替えるスイッチング素子を備え、
前記スイッチング素子のオンオフ動作を制御し、
前記スイッチング素子のオンオフ動作のデューティ比に基づいて、前記外部電源から供給される電流としての平均電流を算出し、
取得した前記端子台の温度を前記平均電流の二乗で除した値と、前記変換係数とを乗算して前記接触抵抗を算出し、
前記接触抵抗が前記最大許容接触抵抗以上であると判定した場合、さらに、前記スイッチング素子をオフ状態にすることにより、前記負荷への電力の供給を遮断する<1>~<3>のいずれか一項に記載の給電制御装置である。
<5>前記外部電源と、前記端子台の前記取付部とが、前記給電ケーブルの一部である外部給電ケーブルによって接続される<1>~<4>のいずれか一項に記載の給電制御装置である。
<6>前記所定の異常温度は、前記給電ケーブルの被膜の定格耐熱温度である<3>に記載の給電制御装置である。
<7>前記装置としての乾燥装置であって、前記端子台と、前記温度センサと、<1>~<6>のいずれか一項に記載の給電制御装置と、を備えた乾燥装置である。
<8><7>に記載の乾燥装置を備えた画像形成装置である。
【0103】
なお、上記で説明した実施形態の乾燥装置104の制御部24の機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0104】
また、上述の実施形態において、乾燥装置104の制御部24の機能の少なくともいずれかがプログラムの実行によって実現される場合、そのプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。また、上述の実施形態において、乾燥装置104の制御部24で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD-R(Compact Disk-Recordable)、またはDVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。また、上述の実施形態において、乾燥装置104の制御部24で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上述の実施形態において、乾燥装置104の制御部24で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、上述の実施形態において、乾燥装置104の制御部24で実行されるプログラムは、上述した各機能部のうち少なくともいずれかを含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPUが上述の記憶装置からプログラムを読み出して実行することにより、上述の各機能部が主記憶装置上にロードされて生成されるようになっている。
【符号の説明】
【0105】
1 画像形成装置
11 加熱ローラ
12 加熱ドラム
13 案内ローラ
17 案内ローラ
21 端子台
21a 端子台温度センサ
22 ヒータランプ駆動部
22a SSR
23 乾燥部
23a ヒータランプ
23b ドラム温度センサ
24 制御部
25 表示部
26 ディスプレイ
31 外部給電ケーブル
32 内部給電ケーブル
101 液体付与部
102 元巻きローラ
103 搬送部
104 乾燥装置
105 巻取りローラ
106 設備電源
110 連帳紙
111A~111D フルライン型ヘッド
112 搬送ローラ
113 搬送ガイド部材
118 排出ローラ
241 CPU
242 メモリ
243 タイマ
244 I/Oポート
【先行技術文献】
【特許文献】
【0106】