(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167293
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】シリコンフォトニクス素子、光モジュール及び光モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 6/12 20060101AFI20231116BHJP
G02B 6/125 20060101ALI20231116BHJP
G02B 6/138 20060101ALI20231116BHJP
H01L 31/0232 20140101ALI20231116BHJP
G02B 6/30 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
G02B6/12 301
G02B6/12 341
G02B6/125 301
G02B6/138
H01L31/02 C
G02B6/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078365
(22)【出願日】2022-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】古田 裕司
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
5F149
5F849
【Fターム(参考)】
2H137AB01
2H137AB08
2H137BA15
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5F149AA01
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5F849AA01
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5F849JA14
5F849XB05
(57)【要約】
【課題】シリコンフォトニクス素子と光部品との光接続性を向上できるシリコンフォトニクス素子を提供する。
【解決手段】シリコンフォトニクス素子10は、自己発光能力を有さない光学素子11と、光学素子11とシリコンフォトニクス素子10の外部とを接続する第1光導波路20とを有する。シリコンフォトニクス素子10は、第1光導波路20に近接して設けられるとともに、第1光導波路20と光学的に接続されたリング共振器30と、リング共振器30に近接して設けられるとともに、リング共振器30と光学的に接続された第2光導波路40とを有する。第1光導波路20は、シリコンフォトニクス素子10の外部と接続された第1端面22を有する。第2光導波路40は、シリコンフォトニクス素子10の外部と接続された第2端面42を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンフォトニクス素子であって、
自己発光能力を有さない光学素子と、
前記光学素子と前記シリコンフォトニクス素子の外部とを接続する第1光導波路と、
前記第1光導波路に近接して設けられるとともに、前記第1光導波路と光学的に接続されたリング共振器と、
前記リング共振器に近接して設けられるとともに、前記リング共振器と光学的に接続された第2光導波路と、を有し、
前記第1光導波路は、前記シリコンフォトニクス素子の外部と接続された第1端面を有し、
前記第2光導波路は、前記シリコンフォトニクス素子の外部と接続された第2端面を有するシリコンフォトニクス素子。
【請求項2】
前記リング共振器は、前記第2端面から前記第2光導波路に光が入射された場合に、前記光が前記第1端面から出射されるように、前記光を前記第1光導波路に伝搬可能に設けられている請求項1に記載のシリコンフォトニクス素子。
【請求項3】
前記リング共振器の共振波長は、前記光学素子の光通信に用いられる波長と異なる波長に設定されている請求項1又は請求項2に記載のシリコンフォトニクス素子。
【請求項4】
複数の前記光学素子を有し、
前記複数の光学素子にそれぞれ接続された複数の前記第1光導波路を有し、
前記複数の第1光導波路は、前記第1光導波路の長さ方向と交差する第1方向において、互いに間隔を空けて設けられており、
前記第1方向に隣接する2つの前記第1光導波路の間に設けられたダブルリング共振器を更に有する請求項1に記載のシリコンフォトニクス素子。
【請求項5】
前記第2光導波路は、前記第1光導波路の長さ方向と交差する方向に沿って延びており、
前記リング共振器は、前記第1光導波路の長さ方向の中間部に近接して設けられており、
前記第2光導波路は、前記リング共振器のうち前記光学素子に最も近い端部に近接して設けられている請求項1に記載のシリコンフォトニクス素子。
【請求項6】
シリコンフォトニクス素子と、
前記シリコンフォトニクス素子と離れて設けられた光部品と、
前記シリコンフォトニクス素子と前記光部品との間に設けられ、前記シリコンフォトニクス素子と前記光部品とを光学的に接続する自己形成光導波路と、を有し、
前記シリコンフォトニクス素子は、
自己発光能力を有さない光学素子と、
前記光学素子と前記自己形成光導波路とを光学的に接続する第1光導波路と、
前記第1光導波路に近接して設けられるとともに、前記第1光導波路と光学的に接続可能に設けられたリング共振器と、
前記リング共振器に近接して設けられるとともに、前記リング共振器と光学的に接続可能に設けられた第2光導波路と、を有し、
前記第1光導波路は、前記自己形成光導波路と接続された第1端面を有し、
前記第2光導波路は、前記シリコンフォトニクス素子の外部と接続可能に設けられた第2端面を有する光モジュール。
【請求項7】
前記リング共振器は、前記リング共振器の少なくとも一部が溶解された構造を有している請求項6に記載の光モジュール。
【請求項8】
前記第2端面の全面を被覆する被覆部を更に有し、
前記被覆部は、光透過性を有さない樹脂からなる請求項6又は請求項7に記載の光モジュール。
【請求項9】
自己発光能力を有さない光学素子と、前記光学素子に光学的に接続された第1光導波路と、前記第1光導波路に近接して設けられるとともに前記第1光導波路と光学的に接続されたリング共振器と、前記リング共振器に近接して設けられるとともに前記リング共振器と光学的に接続された第2光導波路とを有するシリコンフォトニクス素子を準備する工程と、
光部品を準備する工程と、
前記シリコンフォトニクス素子と前記光部品とを互いに離れた状態で配置する工程と、
前記シリコンフォトニクス素子と前記光部品との間に光硬化性樹脂を形成する工程と、
前記第1光導波路から前記光硬化性樹脂に向かって第1光を照射するとともに、前記光部品から前記光硬化性樹脂に向かって第2光を照射することにより、前記第1光導波路と前記光部品とを光学的に接続する自己形成光導波路を形成する工程と、を有し、
前記第1光導波路は、前記シリコンフォトニクス素子の外部と接続された第1端面を有し、
前記第2光導波路は、前記シリコンフォトニクス素子の外部と接続された第2端面を有し、
前記自己形成光導波路を形成する工程では、前記第2端面から前記第2光導波路に前記第1光を入射し、前記リング共振器を通じて前記第1光を前記第1光導波路に伝搬し、前記第1端面から前記第1光を出射させる光モジュールの製造方法。
【請求項10】
前記自己形成光導波路を形成する工程の後に、前記第2光導波路に入射する前記第1光の光強度を上げることにより、前記リング共振器の少なくとも一部を熱により溶解する工程を更に有し、
前記リング共振器の少なくとも一部を熱により溶解する工程では、前記第1端面から前記第1光が出射されなくなるまで、前記第2光導波路に入射する前記第1光の光強度を上げる請求項9に記載の光モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンフォトニクス素子、光モジュール及び光モジュールの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光通信に使用される光モジュールとしては、2つの光部品と、それら2つの光部品を光学的に接続(光接続)する自己形成光導波路とを有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。2つの光部品としては、光学素子及びその光学素子に接続されたシリコン光導波路を有するシリコンフォトニクス素子と、光ファイバとが挙げられる。上記光モジュールでは、シリコンフォトニクス素子と光ファイバとの間に光硬化性樹脂を塗布し、その光硬化性樹脂に対してシリコン光導波路及び光ファイバのそれぞれからビーム状の光を照射することにより、自己形成光導波路を形成している。ここで、自己形成光導波路とは、光硬化性樹脂中で重合体に閉じ込めながら、連続的に、重合領域を光の進行方向に沿って長尺状に成長させて得られる透明な重合体である。このような自己形成光導波路を形成する技術では、軸ずれのない光導波路を容易に形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、シリコン光導波路に接続された光学素子が自己発光能力を有さない光学素子である場合には、シリコン光導波路から光硬化性樹脂に向かって光を照射することができない。この場合には、シリコン光導波路と光ファイバとを光接続する自己形成光導波路を形成できなくなるため、シリコン光導波路と光ファイバとを光接続することが困難になる。なお、このような問題は、光ファイバ以外の光部品とシリコンフォトニクス素子とを光接続する場合にも同様に生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によれば、シリコンフォトニクス素子であって、自己発光能力を有さない光学素子と、前記光学素子と前記シリコンフォトニクス素子の外部とを接続する第1光導波路と、前記第1光導波路に近接して設けられるとともに、前記第1光導波路と光学的に接続されたリング共振器と、前記リング共振器に近接して設けられるとともに、前記リング共振器と光学的に接続された第2光導波路と、を有し、前記第1光導波路は、前記シリコンフォトニクス素子の外部と接続された第1端面を有し、前記第2光導波路は、前記シリコンフォトニクス素子の外部と接続された第2端面を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一観点によれば、シリコンフォトニクス素子と光部品との光接続性を向上できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態のシリコンフォトニクス素子を示す概略斜視図である。
【
図2】一実施形態のシリコンフォトニクス素子を示す概略平面図である。
【
図3】一実施形態のシリコンフォトニクス素子を示す概略側面図である。
【
図4】一実施形態のシリコンフォトニクス素子を示す概略側面図である。
【
図5】一実施形態のリング共振器の透過特性を示す図である。
【
図6】一実施形態のシリコンフォトニクス素子における光の伝搬経路を示す概略構成図である。
【
図7】一実施形態の光モジュールを示す概略斜視図である。
【
図8】一実施形態の光モジュールを示す概略平面図である。
【
図9】一実施形態の光モジュールの一部を示す拡大平面図である。
【
図10】一実施形態の光モジュールを示す概略側面図である。
【
図11】一実施形態の光モジュールの製造方法を示す概略平面図である。
【
図12】一実施形態の光モジュールの製造方法を示す概略平面図である。
【
図13】一実施形態の光モジュールの製造方法を示す概略平面図である。
【
図14】一実施形態の光モジュールの製造方法を示す概略平面図である。
【
図15】一実施形態の光モジュールの製造方法を示す概略平面図である。
【
図16】一実施形態の光モジュールの製造方法を示す概略平面図である。
【
図17】変更例のシリコンフォトニクス素子を示す概略平面図である。
【
図18】変更例のシリコンフォトニクス素子を示す概略平面図である。
【
図19】変更例のシリコンフォトニクス素子における光の伝搬経路を示す概略構成図である。
【
図20】変更例の光モジュールを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態について添付図面を参照して説明する。
なお、添付図面は、便宜上、特徴を分かりやすくするために特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率については各図面で異なる場合がある。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部の部材のハッチングを梨地模様に代えて示し、一部の部材のハッチングを省略している。各図面では、相互に直交するX軸、Y軸、Z軸を図示している。以下の説明では、便宜上、X軸に沿って延びる方向をX軸方向と称し、Y軸に沿って延びる方向をY軸方向と称し、Z軸に沿って延びる方向をZ軸方向と称する。なお、本明細書において、「平面視」とは、対象物をZ軸方向から見ることを言い、「平面形状」とは、対象物をZ軸方向から見た形状のことを言う。また、本明細書における「対向」とは、面同士又は部材同士が互いに正面の位置にあることを指し、互いが完全に正面の位置にある場合だけでなく、互いが部分的に正面の位置にある場合を含む。本明細書における「対向」とは、2つの部材が互いに離れている場合だけでなく、2つの部材が互いに接触している場合も含む。
【0009】
(シリコンフォトニクス素子10の構成)
図1及び
図2に示すように、シリコンフォトニクス素子10は、自己発光能力を有さない1つ又は複数の光学素子11と、光学素子11と接続された光導波路回路12とを有している。本実施形態のシリコンフォトニクス素子10は、3つの光学素子11を有している。3つの光学素子11は、例えば、Y軸方向に沿って並んで設けられている。3つの光学素子11は、例えば、Y軸方向において互いに間隔を空けて設けられている。各光学素子11は、自己発光できない光学素子である。各光学素子11は、例えば、フォトダイオード(PD)やアバランシェ・フォトダイオード(APD)等の受光素子である。
【0010】
図2に示すように、光導波路回路12は、各光学素子11と光学的に接続(光接続)された第1光導波路20と、第1光導波路20と近接して設けられたリング共振器30と、リング共振器30と近接して設けられた第2光導波路40とを有している。本実施形態の光導波路回路12は、3つの光学素子11とそれぞれ接続された3つの第1光導波路20を有している。以下の説明では、便宜上、図中一番上の第1光導波路20を第1光導波路20Aと称し、図中真ん中の第1光導波路20を第1光導波路20Bと称し、図中一番下の第1光導波路20を第1光導波路20Cと称する場合がある。光導波路回路12は、例えば、隣接する2つの第1光導波路20の間に設けられたダブルリング共振器50を有している。本実施形態の光導波路回路12は、2つのダブルリング共振器50を有している。以下の説明では、便宜上、図中上側のダブルリング共振器50をダブルリング共振器50Aと称し、図中下側のダブルリング共振器50をダブルリング共振器50Bと称する場合がある。各第1光導波路20、リング共振器30、第2光導波路40及び各ダブルリング共振器50は、シリコン光導波路である。
【0011】
図1に示すように、光導波路回路12は、例えば、基材60と、クラッド61と、コア62とを有している。
基材60は、例えば、平板状に形成されている。基材60は、例えば、平面視矩形状に形成されている。基材60は、例えば、上面60Aを有している。基材60は、例えば、Y軸方向における端面60B,60Cと、X軸方向における端面60D,60Eとを有している。基材60の材料としては、例えば、シリコン(Si)を用いることができる。
【0012】
クラッド61は、基材60上に形成されている。クラッド61は、例えば、基材60の上面60Aを被覆するように形成されている。クラッド61の材料としては、例えば、酸化シリコン(SiO2)などを用いることができる。
【0013】
図3及び
図4に示すように、クラッド61は、基材60の上面60Aに形成された第1クラッド層61Aと、コア62を被覆するように第1クラッド層61A上に形成された第2クラッド層61Bとを有している。なお、
図3及び
図4では、第1クラッド層61Aと第2クラッド層61Bとを判り易くするため、それら第1クラッド層61Aと第2クラッド層61Bとを実線にて区別している。但し、光導波路回路12では、第1クラッド層61Aと第2クラッド層61Bとの境界は消失していることがあり、境界は明確ではないことがある。また、
図1及び
図2では、第2クラッド層61Bが透視的に描かれている。
【0014】
コア62は、クラッド61に埋設されるように形成されている。コア62は、コア62の外周が全周にわたってクラッド61により包囲されている。コア62は、第1クラッド層61A上に形成されている。コア62の下面全面は、第1クラッド層61Aにより被覆されている。コア62の側面全面及び上面全面は、第2クラッド層61Bにより被覆されている。コア62は、例えば、基材60の上面60Aに平行に形成されている。コア62の材料としては、SiO2からなるクラッド61よりも屈折率の高い材料を用いることができる。コア62の材料としては、例えば、シリコン(Si)を用いることができる。コア62は、光信号の伝搬を行うためのものである。コア62に入力された光は、コア62の平面形状に応じた伝搬方向に伝搬される。
【0015】
図2に示すように、コア62は、各第1光導波路20を構成する第1コア21と、リング共振器30を構成するリングコア31と、第2光導波路40を構成する第2コア41とを有している。コア62は、例えば、ダブルリング共振器50を構成するリングコア51を有している。第1コア21と第2コア41とリングコア31とリングコア51とは、互いに離れて設けられている。第1コア21と第2コア41とリングコア31とリングコア51とは、互いに独立して形成されている。
【0016】
(第1光導波路20の構成)
各第1光導波路20は、各光学素子11とシリコンフォトニクス素子10の外部とを接続している。各第1光導波路20は、例えば、長尺状に形成されている。各第1光導波路20の長さ方向の一端部は光学素子11と光学的に接続されており、各第1光導波路20の長さ方向の他端部はシリコンフォトニクス素子10の外部と接続されている。各第1光導波路20は、例えば、光学素子11から基材60の端面60Dまで延びている。各第1光導波路20は、例えば、シリコンフォトニクス素子10の外部から入射された光を光学素子11に伝搬する機能を有している。
【0017】
3つの第1光導波路20A,20B,20Cは、例えば、第1光導波路20の長さ方向と交差する第1方向(ここでは、Y軸方向)に沿って並んで設けられている。3つの第1光導波路20A,20B,20Cは、例えば、Y軸方向において互いに間隔を空けて設けられている。3つの第1光導波路20A,20B,20Cは、Y軸方向に隣接する2つの第1光導波路20の間隔が、光学素子11側よりも端面60D側の方が広くなるように形成されている。
【0018】
各第1光導波路20は、例えば、第1コア21と、第1コア21を包囲するクラッド61とにより構成されている。各第1光導波路20では、光信号の伝搬が第1コア21内のみで行われる。
【0019】
各第1コア21は、長尺状に形成されている。各第1コア21は、例えば、X軸方向に延びている。各第1コア21は、光学素子11から基材60の端面60Dに向かって延びている。各第1コア21は、光学素子11から基材60の端面60Dまで延びている。各第1コア21は、第1コア21の長さ方向の第1端面22を有している。第1端面22は、シリコンフォトニクス素子10の外部と接続されている。第1端面22は、例えば、基材60の端面60Dから露出するように形成されている。第1端面22は、例えば、基材60の端面60Dと面一になるように形成されている。各第1コア21は、例えば、第1コア21の長さ方向の両端部のうち第1端面22側の端部に設けられたエッジ型結合部23を有している。エッジ型結合部23は、エッジ型結合部23以外の部分の第1コア21よりも太く形成されている。本実施形態の第1端面22は、各エッジ型結合部23の長さ方向の端面により構成されている。
【0020】
エッジ型結合部23以外の第1コア21の厚み、つまりZ軸方向の寸法は、例えば、200nm~500nm程度とすることができる。エッジ型結合部23以外の第1コア21の幅、つまりY軸方向の寸法は、例えば、200nm~500nm程度とすることができる。エッジ型結合部23の厚みは、例えば、2000nm~3000nm程度とすることができる。エッジ型結合部23の幅は、例えば、2000nm~3000nm程度とすることができる。
【0021】
(第2光導波路40の構成)
第2光導波路40は、リング共振器30と光学的に接続されている。第2光導波路40は、シリコンフォトニクス素子10の外部と接続されている。第2光導波路40は、例えば、長尺状に形成されている。第2光導波路40は、例えば、第1光導波路20の長さ方向と交差する方向に延びている。第2光導波路40は、例えば、リング共振器30に近接した位置から基材60の端面60Bまで延びている。第2光導波路40は、例えば、シリコンフォトニクス素子10の外部から入射された光をリング共振器30に伝搬する機能を有している。
【0022】
第2光導波路40は、例えば、第2コア41と、第2コア41を包囲するクラッド61とにより構成されている。第2光導波路40では、光信号の伝搬が第2コア41内のみで行われる。
【0023】
第2コア41は、長尺状に形成されている。第2コア41は、例えば、第1コア21の長さ方向と交差する方向に延びている。本実施形態の第2コア41は、Y軸方向に沿って直線状に延びている。第2コア41は、リング共振器30に近接した位置から基材60の端面60Bに向かって延びている。第2コア41は、リング共振器30に近接した位置から基材60の端面60Bまで延びている。第2コア41は、第2コア41の長さ方向の第2端面42を有している。第2端面42は、シリコンフォトニクス素子10の外部と接続されている。第2端面42は、例えば、基材60の端面60Bから露出するように形成されている。第2端面42は、例えば、基材60の端面60Bと面一になるように形成されている。
【0024】
第2コア41の厚みは、例えば、第1コア21の厚みと同程度の厚みとすることができる。第2コア41の厚みは、例えば、200nm~500nm程度とすることができる。第2コア41の幅、つまりX軸方向の寸法は、例えば、第1コア21の幅と同程度の幅とすることができる。第2コア41の幅は、例えば、200nm~500nm程度とすることができる。
【0025】
(リング共振器30の構成)
リング共振器30は、1つの第1光導波路20に近接して設けられるとともに、その第1光導波路20と光学的に接続されている。リング共振器30は、例えば、3つの第1光導波路20のうち最も外側(ここでは、図中上側)に設けられた第1光導波路20、つまり第1光導波路20Aに近接して設けられている。リング共振器30は、第2光導波路40に近接して設けられるとともに、その第2光導波路40と光学的に接続されている。このように、リング共振器30は、第1光導波路20A及び第2光導波路40と離れて設けられるとともに、それら第1光導波路20A及び第2光導波路40と光学的に接続(結合)されている。リング共振器30は、例えば、第2光導波路40から伝搬された光を第1光導波路20Aに伝搬する機能を有している。
【0026】
リング共振器30は、例えば、リングコア31と、リングコア31を包囲するクラッド61とにより構成されている。リング共振器30では、光信号の伝搬がリングコア31内のみで行われる。
【0027】
リングコア31は、リング状に形成されている。リングコア31は、例えば、円環状に形成されている。リングコア31の平面形状は、例えば、円形状に形成されている。なお、リングコア31の平面形状は、楕円形状、長円形状や角丸長方形状等であってもよい。リングコア31の厚みは、例えば、第1コア21及び第2コア41と同程度の厚みとすることができる。リングコア31の厚みは、例えば、200nm~500nm程度とすることができる。リングコア31の幅は、例えば、第1コア21及び第2コア41と同程度の幅とすることができる。リングコア31の幅は、例えば、200nm~500nm程度とすることができる。リングコア31の直径は、例えば、5μm~15μm程度とすることができる。
【0028】
リング共振器30は、リング状の光導波路である。リング共振器30は、光が入力されることにより、所定の自由スペクトル間隔を有する透過スペクトルを生成する共振器である。リング共振器30は、光の周波数に対して周期的な透過特性を有する。すなわち、リング共振器30は、光の波長に対して周期的な透過特性を有する。
【0029】
図5は、リング共振器30の透過特性の一部を示している。
図5では、縦軸がリング共振器30の光の透過率を表し、横軸が光の波長を示している。
図5に示すように、光の波長が共振波長λrに近づくほど、光の透過率が高くなる。そして、光の波長が共振波長λrの場合に、光の透過率が極大となる。リング共振器30の透過特性は、例えば、リング共振器30(リングコア31)の直径及び屈折率などにより調整することができる。例えば、リングコア31の直径を調整することにより、リング共振器30の共振波長λrを調整することができる。ここで、リング共振器30の共振波長λrは、例えば、光学素子11の光通信で用いられる波長λcとは異なる波長に設定されている。
【0030】
図6に示すように、リング共振器30は、所定波長の光が第2光導波路40から入力されると、その波長における透過率で透過して、第1光導波路20Aに光を伝搬する性質を有する。例えば、リング共振器30は、リング共振器30の共振波長λrの光L1が第2光導波路40から入力された場合に共振が生じ、その光L1を第1光導波路20Aに通す性質を有する。このため、第2光導波路40から共振波長λrの光L1が伝搬されてくると、リング共振器30にその光L1が伝搬され、リング共振器30内に伝搬された光L1が第1光導波路20Aに伝搬される。換言すると、第2端面42から第2光導波路40に共振波長λrの光L1が入射されると、リング共振器30によって第2光導波路40と第1光導波路20Aとの間で共振し、第1光導波路20Aから光L1が出射される。
【0031】
ここで、リング共振器30は、第2端面42から第2光導波路40に光L1が入射された場合に、その光L1が第1端面22から出射されるように、光L1を第1光導波路20Aに伝搬可能に設けられている。以下に、リング共振器30と第1光導波路20Aと第2光導波路40との位置関係について詳述する。
【0032】
リング共振器30は、例えば、第1光導波路20Aの長さ方向の中間部に近接して設けられている。リング共振器30は、例えば、第1光導波路20Aの長さ方向において、光学素子11に近い側の第1光導波路20Aに近接して設けられている。リング共振器30は、例えば、リングコア31の円弧の一部が、第1光導波路20Aの長さ方向と交差するY軸方向において、第1光導波路20Aの一部と対向するように設けられている。第2光導波路40は、例えば、第1光導波路20Aの長さ方向において、リング共振器30と光学素子11との間に設けられている。第2光導波路40の長さ方向の一端部は、例えば、リング共振器30のうち光学素子11に最も近い端部に近接して設けられている。第2光導波路40の長さ方向の一端部は、例えば、リング共振器30のX軸方向における両端部のうち光学素子11に近い端部(ここでは、図中左側の端部)に近接して設けられている。ここで、リング共振器30は、例えば、第1光導波路20Aと光学的に接続可能なように、リング共振器30の共振波長λrに応じた所定距離だけ第1光導波路20Aと離れて設けられている。リング共振器30は、例えば、第2光導波路40と光学的に接続可能なように、リング共振器30の共振波長λrに応じた所定距離だけ第2光導波路40と離れて設けられている。
【0033】
(ダブルリング共振器50の構成)
各ダブルリング共振器50は、Y軸方向に隣接する2つの第1光導波路20の間に設けられている。各ダブルリング共振器50は、例えば、入力側となる図中上側の第1光導波路20と、出力側となる図中下側の第1光導波路20との間に設けられている。例えば、ダブルリング共振器50Aは、入力側となる第1光導波路20Aと、出力側となる第1光導波路20Bとの間に設けられている。例えば、ダブルリング共振器50Bは、入力側となる第1光導波路20Bと、出力側となる第1光導波路20Cとの間に設けられている。各ダブルリング共振器50は、入力側の第1光導波路20から伝搬された光を、出力側の第1光導波路20に伝搬する機能を有している。各ダブルリング共振器50は、出力側の第1光導波路20に伝搬される光の伝搬方向が入力側の第1光導波路20に伝搬される光の伝搬方向と同一の方向になるように、出力側の第1光導波路20に光を伝搬する機能を有している。
【0034】
各ダブルリング共振器50は、2つのリング共振器52,53を有している。2つのリング共振器52,53は、2つの第1光導波路20が並ぶY軸方向に沿って並んで設けられている。リング共振器52は、例えば、2つのリング共振器52,53のうちリング共振器30に近い側に設けられたリング共振器である。各リング共振器52,53は、例えば、リング共振器30と同一の構造を有している。各リング共振器52,53は、例えば、リング共振器30と同一の透過特性を有している。例えば、各リング共振器52,53における共振波長は、リング共振器30における共振波長λrと同一の波長に設定されている。このため、以下の説明では、各リング共振器52,53の共振波長を「共振波長λr」と称する。また、各リング共振器52,53における共振周波数は、リング共振器30における共振周波数と同一の周波数となるように設定されている。なお、本明細書において「同一」とは、正確に同一の場合の他、寸法公差等の影響により比較対象同士に多少の相違がある場合も含む。
【0035】
各リング共振器52,53は、例えば、リングコア51と、リングコア51を包囲するクラッド61とにより構成されている。各リング共振器52,53では、光信号の伝搬がリングコア51のみで行われる。各リングコア51は、例えば、リングコア31と同一の構造を有している。各リングコア51は、例えば、リングコア31と同一の大きさに形成されている。このため、ここでは、リングコア51の詳細な説明を省略する。
【0036】
各リング共振器52は、入力側の第1光導波路20に近接して設けられるとともに、その第1光導波路20と光学的に接続されている。例えば、ダブルリング共振器50Aのリング共振器52は、入力側の第1光導波路20Aに近接して設けられるとともに、その第1光導波路20Aと光学的に接続されている。例えば、ダブルリング共振器50Bのリング共振器52は、入力側の第1光導波路20Bに近接して設けられるとともに、その第1光導波路20Bと光学的に接続されている。各リング共振器52は、例えば、入力側の第1光導波路20と光学的に接続可能なように、リング共振器52の共振波長λrに応じた所定距離だけ第1光導波路20と離れて設けられている。各リング共振器52は、各リング共振器53に近接して設けられるとともに、そのリング共振器53と光学的に接続されている。各リング共振器52は、例えば、各リング共振器53と光学的に接続可能なように、リング共振器52,53の共振波長λrに応じた所定距離だけリング共振器53と離れて設けられている。各リング共振器53は、出力側の第1光導波路20に近接して設けられるとともに、その第1光導波路20と光学的に接続されている。例えば、ダブルリング共振器50Aのリング共振器53は、出力側の第1光導波路20Bに近接して設けられるとともに、その第1光導波路20Bと光学的に接続されている。例えば、ダブルリング共振器50Bのリング共振器53は、出力側の第1光導波路20Cに近接して設けられるとともに、その第1光導波路20Cと光学的に接続されている。各リング共振器53は、例えば、出力側の第1光導波路20と光学的に接続可能なように、リング共振器53の共振波長λrに応じた所定距離だけ第1光導波路20と離れて設けられている。
【0037】
ダブルリング共振器50A,50Bは、例えば、X軸方向において、リング共振器30よりも第1端面22側に設けられている。ダブルリング共振器50Bは、例えば、X軸方向において、ダブルリング共振器50Aよりも第1端面22側に設けられている。
【0038】
各ダブルリング共振器50は、所定波長の光が入力側の第1光導波路20から入力されると、その波長における透過率で透過して、出力側(図中下側)の第1光導波路20に光を伝搬する性質を有する。例えば、各ダブルリング共振器50は、リング共振器52,53の共振波長λrの光L1が入力側の第1光導波路20から入力された場合に共振が生じ、その光を出力側の第1光導波路20に通す性質を有する。
【0039】
ここで、リング共振器30,52,53におけるQ値が低くなると、リング共振器30,52,53の透過特性が広帯域となるとともに、リング共振器30,52,53における損失が大きくなる。そこで、リング共振器30,52,53は、例えば、Q値を高めるために、リング共振器30,52,53の表面粗さを小さくするための処理が施されている。リング共振器30,52,53には、例えば、アニール処理が施されている。アニール処理としては、例えば、水素アニール処理を用いることができる。
【0040】
次に、
図6にしたがって、リング共振器30,52,53の共振波長λrの光L1が第2端面42から第2光導波路40に入射された場合の光導波路回路12内における光L1の伝搬経路について説明する。
【0041】
共振波長λrの光L1が第2端面42から第2光導波路40に入射されると、その光L1が第2光導波路40内をリング共振器30側に向かって伝搬される。すると、第2光導波路40内に伝搬される光L1がリング共振器30に伝搬される。このとき、リング共振器30では、第2光導波路40から伝搬された光L1が反時計回りに伝搬される。そして、リング共振器30内に伝搬された光L1が第1光導波路20Aに伝搬される。このとき、第1光導波路20Aでは、リング共振器30から伝搬された光L1が、リング共振器30から第1端面22に向かって伝搬される。これにより、第1光導波路20Aの第1コア21の第1端面22から光L1が出射される。また、ダブルリング共振器50Aに対して入力側となる第1光導波路20A内において、光L1が第1端面22に向かって伝搬されると、リング共振器52にその光L1が伝搬される。このとき、リング共振器52では、入力側の第1光導波路20Aから伝搬された光L1が時計回りに伝搬される。そして、リング共振器52内に伝搬された光L1がリング共振器53に伝搬される。このとき、リング共振器53では、リング共振器52から伝搬された光L1が反時計回りに伝搬される。さらに、リング共振器53内に伝搬された光L1が出力側の第1光導波路20Bに伝搬される。このとき、第1光導波路20Bでは、ダブルリング共振器50Aのリング共振器53から伝搬された光が、そのリング共振器53から第1端面22に向かって伝搬される。これにより、第1光導波路20Bの第1コア21の第1端面22から光L1が出射される。また、ダブルリング共振器50Bに対して入力側となる第1光導波路20B内において、光L1が第1端面22に向かって伝搬されると、ダブルリング共振器50Bを介して、光L1が第1光導波路20Cに伝搬される。このとき、第1光導波路20Cでは、ダブルリング共振器50Bから伝搬された光が、ダブルリング共振器50Bから第1端面22に向かって伝搬される。これにより、第1光導波路20Cの第1コア21の第1端面22から光L1が出射される。このように、リング共振器30及びダブルリング共振器50を設けたことにより、第2光導波路40の第2端面42に光L1を入力させることによって、3つの第1光導波路20A,20B,20Cの第1端面22の各々から光L1を出射させることができる。
【0042】
次に、
図7~
図10に従って、光モジュール15の構成について説明する。
図7及び
図8に示すように、光モジュール15は、基板16と、基板16に実装されたシリコンフォトニクス素子10と、光ファイバアレイ70と、自己形成光導波路80とを有している。なお、
図7及び
図8では、シリコンフォトニクス素子10における第2クラッド層61B(
図3参照)が透視的に描かれている。
【0043】
図7に示すように、基板16は、例えば、平板状に形成されている。基板16は、例えば、平面視矩形状に形成されている。基板16の上面には、シリコンフォトニクス素子10が実装されている。基板16には、シリコンフォトニクス素子10以外の光機能素子や電子部品が搭載されていてもよい。光機能素子としては、例えば、発光素子、光変調器、光増幅器、光減衰器などを挙げることができる。但し、シリコンフォトニクス素子10の第2光導波路40の第2端面42の近傍における基板16には、光機能素子及び電子部品が搭載されていない。シリコンフォトニクス素子10は、例えば、基材60の下面を基板16の上面に対向させた状態で、基板16の上面に搭載されている。シリコンフォトニクス素子10は、例えば、図示しない接着剤によって基板16の上面に接着されている。
【0044】
光ファイバアレイ70は、例えば、V溝基板71と、カバー72と、複数(ここでは、3つ)の光ファイバ73とを有している。
V溝基板71は、複数(ここでは、3つ)のV溝71Xが設けられている。各V溝71Xの内面は、例えば、V字状に形成されている。複数のV溝71Xは、例えば、Y軸方向に沿って互いに間隔を空けて設けられている。3つの光ファイバ73は、3つのV溝71Xにそれぞれ収容されている。3つの光ファイバ73は、例えば、カバー72によりV溝基板71に向かって押さえつけられて固定されている。なお、図示は省略するが、V溝基板71とカバー72と光ファイバ73との間には接着剤が形成されており、その接着剤によりV溝基板71とカバー72と光ファイバ73とが接着固定されている。これにより、3つの光ファイバ73は、V溝基板71上に整列して設けられている。
【0045】
図8に示すように、各光ファイバ73は、例えば、光信号を伝搬するコア74と、コア74の外周を包囲するクラッド75とを有している。コア74は、例えば、光ファイバ73の長さ方向の全長にわたって延びている。コア74は、コア74の長さ方向の第3端面76を有している。クラッド75は、例えば、光ファイバ73の長さ方向の全長にわたって延びている。なお、
図8では、カバー72が透視的に描かれている。
【0046】
光ファイバアレイ70は、シリコンフォトニクス素子10の第1端面22と対向するように設けられている。光ファイバアレイ70は、X軸方向において、シリコンフォトニクス素子10と離れて設けられている。光ファイバアレイ70は、例えば、各光ファイバ73におけるコア74の第3端面76が各第1コア21の第1端面22に対向するように設けられている。但し、本実施形態の各コア74の中心軸は、各第1コア21のエッジ型結合部23の中心軸とずれている。本実施形態の各コア74の中心軸は、Y軸方向において、各エッジ型結合部23の中心軸よりも図中下側にずれている。
【0047】
シリコンフォトニクス素子10と光ファイバアレイ70との間には、複数(ここでは、3つ)の自己形成光導波路80が設けられている。各自己形成光導波路80は、光ファイバ73と第1光導波路20とを光学的に接続している。各自己形成光導波路80は、光ファイバ73の光入出力部と第1光導波路20の光入出力部とを光学的に接続している。
【0048】
各自己形成光導波路80は、例えば、コア81と、コア81の外周を包囲するクラッド82とを有している。各コア81は、各第1光導波路20の第1コア21の第1端面22から各光ファイバ73のコア74の第3端面76まで延びている。各コア81は、例えば、エッジ型結合部23とコア74の中心軸のずれを吸収するように屈曲して形成されている。各コア81は、例えば、第1端面22からX軸方向に沿って直線状に延びる直線部83と、第3端面76からX軸方向に沿って直線状に延びる直線部84と、それら直線部83と直線部84とを繋ぐ屈曲部85とを有している。各コア81は、例えば、光硬化性樹脂が光硬化されて形成されたものである。
【0049】
クラッド82は、詳細な図示は省略するが、各コア81の外周を全周にわたって包囲するように形成されている。クラッド82は、例えば、3つのコア81をまとめて包囲するように形成されている。クラッド82は、例えば、シリコンフォトニクス素子10と光ファイバアレイ70との間の隙間を充填するように形成されている。クラッド82は、例えば、シリコンフォトニクス素子10と光ファイバアレイ70とを接着する機能を有している。クラッド82は、例えば、光硬化性樹脂が光硬化されて形成されたものである。
【0050】
ここで、光モジュール15では、シリコンフォトニクス素子10の構造が
図2に示したシリコンフォトニクス素子10の構造から一部変更されている。以下に、この変更された部分の構造について説明する。
【0051】
図9に示すように、光モジュール15におけるリング共振器30は、例えば、リング共振器30の少なくとも一部が溶解された構造を有している。リング共振器30は、例えば、リングコア31の周方向の一部が溶解された溶解部32を有している。リング共振器30は、例えば、溶解部32によりリングコア31のリング構造(環状構造)が潰れた構造になっている。このようなリング共振器30は、例えば、第1光導波路20及び第2光導波路40との間で光を伝搬する機能が失われている。
【0052】
図10に示すように、光モジュール15におけるシリコンフォトニクス素子10は、第2光導波路40の第2コア41の第2端面42を被覆する被覆部45を有している。被覆部45は、第2端面42全面を被覆するように形成されている。被覆部45は、例えば、第2端面42の周囲におけるクラッド61の端面を被覆するように形成されている。被覆部45の材料としては、例えば、光透過性を有さない樹脂材料を用いることができる。被覆部45の材料としては、例えば、遮光材を含有させたポリエチレンテレフタラートを用いることができる。このような被覆部45は、第2端面42から第2光導波路40の第2コア41に光が入射されることを抑制する機能を有している。
【0053】
(光モジュール15の製造方法)
次に、
図11~
図16にしたがって、光モジュール15の製造方法について説明する。なお、
図11~
図16では、
図8と同様に、シリコンフォトニクス素子10における第2クラッド層61Bと光ファイバアレイ70におけるカバー72とが透視的に描かれている。
【0054】
図11に示す工程では、基板16に実装されたシリコンフォトニクス素子10と、光ファイバアレイ70とを準備する。続いて、シリコンフォトニクス素子10と光ファイバアレイ70とを互いに離れた状態で配置する。例えば、シリコンフォトニクス素子10の第1端面22と光ファイバアレイ70の第3端面76とを互いに対向させた状態で、それらシリコンフォトニクス素子10及び光ファイバアレイ70を所望の位置に位置合わせする。なお、本工程におけるシリコンフォトニクス素子10は、
図2に示したシリコンフォトニクス素子10と同じ構造を有する。換言すると、本工程におけるシリコンフォトニクス素子10は、
図8に示した溶解部32及び被覆部45が設けられていない構造である。
【0055】
次に、
図12に示す工程では、シリコンフォトニクス素子10と光ファイバアレイ70との間に光硬化性樹脂86を形成する。光硬化性樹脂86は、シリコンフォトニクス素子10と光ファイバアレイ70との間の隙間を充填するように形成される。光硬化性樹脂86は、第1光導波路20の第1コア21(エッジ型結合部23)の第1端面22全面を被覆するとともに、光ファイバ73のコア74の第3端面76全面を被覆するように形成される。光硬化性樹脂86は、光硬化により光が透過する樹脂となるものである。光硬化性樹脂86としては、例えば、モノマー又はオリゴマーに光重合開始剤を添加した溶液を用いることができる。光硬化性樹脂86としては、例えば、光硬化後の屈折率が相対的に高いモノマーAと、屈折率が相対的に低いモノマーBとを含有した混合液を用いることができる。モノマーAとしては、例えば、ラジカル重合型のアクリル系モノマーを用いることができる。モノマーBとしては、例えば、カチオン重合型のエポキシ系モノマーを用いることができる。また、モノマーAとモノマーBとの混合液には、例えば、特定の第1波長λ1に対して感度を有するラジカル用の重合開始剤と、第1波長λ1に対して感度を有さないカチオン用の重合開始剤がそれぞれ所定量添加される。これらラジカル用の重合開始剤及びカチオン用の重合開始剤は、例えば、紫外線に感度を有するものを用いることができる。
【0056】
続いて、
図13に示す工程では、各第1光導波路20の第1端面22から光硬化性樹脂86に向かって第1波長λ1の光L1を照射するとともに、各光ファイバ73の第3端面76から光硬化性樹脂86に向かって第1波長λ1の光L2を照射する。すると、光硬化性樹脂86内のモノマーAが選択的に重合硬化し、第1端面22から第3端面76まで延びるコア81が形成される。このとき、光強度の最も強い各第1コア21の中心部及び各コア74の中心部からモノマーAの重合(硬化)が始まる。重合領域は、光の進行方向に沿って連続的に軸状に延びるように成長する。これにより、第1端面22から軸状に延びる直線部83が形成され、第3端面76から軸状に延びる直線部84が形成される。ここで、本例では、第1コア21の中心軸とコア74の中心軸とが互いにずれている。この場合であっても、第1コア21の第1端面22から出射される出射光L1aとコア74の第3端面76から出射される出射光L2aとが重畳されることにより、その重畳された部分の光強度が高まり、その光強度の強い方向にコア81が湾曲成長する。これにより、直線部83と直線部84とを接続するように湾曲する屈曲部85が形成され、第1コア21の第1端面22からコア74の第3端面76まで延びるコア81が形成される。
【0057】
次に、本工程において、各第1コア21の第1端面22から第1波長λ1の光L1を出射させる方法を説明する。
まず、シリコンフォトニクス素子10が有する光学素子11は、自己発光できない受光素子である。このため、光学素子11から第1波長λ1の光を出射することはできない。そこで、本実施形態のシリコンフォトニクス素子10は、各第1コア21の第1端面22から第1波長λ1の光L1を出射させるために、リング共振器30と第2光導波路40とダブルリング共振器50(リング共振器52,53)とを設けるようにした。また、リング共振器30,52,53の共振波長λr(
図5参照)と第1波長λ1とが等しくなるように、リング共振器30,52,53の直径や光硬化性樹脂86の組成等を設定した。そして、本工程では、第2光導波路40の第2端面42の近傍に光源90が設けられ、その光源90から第2光導波路40の第2端面42に向かって第1波長λ1の光L1が出射される。なお、光源90としては、例えば、レーザ光源やコリメート光源を用いることができる。本実施形態の光源90は、コリメート光源である。光源90としてコリメート光源を採用した場合には、光源90からコリメート光が出射されるため、光源90と第2光導波路40との位置合わせ精度を緩和することができる。
【0058】
第1波長λ1、つまりリング共振器30,52,53の共振波長λrの光L1が第2端面42から第2光導波路40に入射された場合の光導波路回路12内における光の伝搬経路は、
図6を参照した前述の説明の通りである。このため、ここでは簡単に説明する。光源90から出射される光L1は、第2端面42から第2光導波路40の第2コア41に入射される。第2光導波路40内に第1波長λ1(つまり、リング共振器30,52,53の共振波長λr)の光L1が伝搬されると、その光L1がリング共振器30及びダブルリング共振器50によって3つの第1光導波路20A,20B,20Cに伝搬される。そして、各第1光導波路20A,20B,20Cに伝搬された光L1は、第1コア21の長さ方向に沿って第1端面22に向かって伝搬され、第1端面22から光硬化性樹脂86に向かって出射光L1aとして出射される。これにより、各第1光導波路20と接続される光学素子11が自己発光能力を有さない受光素子であっても、各第1光導波路20の第1端面22から光硬化性樹脂86に向かって第1波長λ1の光L1を出射させることができる。この結果、各第1光導波路20と各光ファイバ73とを光学的に接続するコア81を好適に形成することができる。
【0059】
続いて、
図14に示す工程では、コア81の外周を包囲するクラッド82を形成し、コア81とクラッド82とを有する自己形成光導波路80を形成する。例えば、コア81の形成後に、光硬化性樹脂86に対して紫外線を照射することにより、クラッド82を形成する。例えば、光硬化性樹脂86に紫外線を照射すると、光硬化性樹脂86中の紫外線に感度を有するモノマーA及びモノマーBが重合硬化する。これにより、クラッド82が形成される。
【0060】
次いで、自己形成光導波路80(コア81)が正常に形成されたか否かを確認する。例えば
図14に示すように、第1端面22及び第3端面76のうち第1端面22のみから光を出射させ、光ファイバ73の第3端面76とは反対側の端面(以下、「反対端面」と称する。)から光が出射されるか否かを確認する。ここで、第1光導波路20と光ファイバ73とを光学的に接続する自己形成光導波路80が正常に形成されている場合には、第1端面22のみから光を出射させた場合に光ファイバ73の反対端面から光が出射される。このため、光ファイバ73の反対端面から光が出射されるか否かを確認するという簡易な方法によって、自己形成光導波路80(コア81)が正常に形成されたか否かを確認することができる。なお、第1端面22から光を出射させる方法は、
図13に示した工程と同様の方法を用いることができる。すなわち、光源90から第1波長λ1の光L1を出射し、第2光導波路40及びリング共振器30,52,53によって3つの第1光導波路20に光L1を伝搬することにより、3つの第1光導波路20の第1端面22から光L1を出射する。
【0061】
次に、
図15に示す工程では、自己形成光導波路80の形成を確認した後に、リング共振器30を破壊する。例えば、第1光導波路20A及び第2光導波路40との間で光を伝搬する機能が失われるように、リング共振器30を破壊する。例えば、光源90から出射する光L1の光強度を上げることにより、リング共振器30に過剰なエネルギーを溜めることによってリング共振器30を破壊する。例えば、リング共振器30に過剰なエネルギーが溜まると、リング共振器30のリングコア31の一部が熱によって溶解される。これにより、リングコア31の周方向の一部が熱により溶解されて溶解部32が形成される。この溶解部32によりリングコア31のリング構造が潰れ、リング共振器30が破壊される。ここで、リング共振器30が破壊されると、リング共振器30から第1光導波路20に光L1が伝搬されなくなるため、第1光導波路20の第1端面22から光L1が出射されなくなり、光ファイバ73の反対端面から光L1が出射されなくなる。そこで、本工程では、第1光導波路20の第1端面22及び光ファイバ73の反対端面から光L1が出射されなくなるまで、光源90から出射される光L1の光強度を上げる。
【0062】
続いて、
図16に示す工程では、第2光導波路40の第2コア41の第2端面42を被覆する被覆部45を形成する。被覆部45は、第2端面42全面を被覆するように形成される。被覆部45は、例えば、光透過性を有さない樹脂を塗布することにより形成される。
【0063】
以上の工程により、
図8に示した光モジュール15を製造することができる。
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
(1)シリコンフォトニクス素子10は、自己発光能力を有さない光学素子11と、光学素子11とシリコンフォトニクス素子10の外部とを接続する第1光導波路20とを有する。シリコンフォトニクス素子10は、第1光導波路20に近接して設けられるとともに、第1光導波路20と光学的に接続されたリング共振器30を有する。シリコンフォトニクス素子10は、リング共振器30に近接して設けられるとともに、リング共振器30と光学的に接続された第2光導波路40を有する。第1光導波路20は、シリコンフォトニクス素子10の外部と接続された第1端面22を有する。第2光導波路40は、シリコンフォトニクス素子10の外部と接続された第2端面42を有する。この構成によれば、リング共振器30及び第2光導波路40を設けたことにより、第2光導波路40の第2端面42から光L1を入射させた場合に、その光L1を第1光導波路20の第1端面22からシリコンフォトニクス素子10の外部に出射させることができる。具体的には、リング共振器30の共振波長λrの光L1を第2端面42から第2光導波路40に入射させると、その光L1がリング共振器30に伝搬され、リング共振器30に伝搬された光L1が第1光導波路20に伝搬される。そして、第1光導波路20内に伝搬された光L1が第1端面22に向かって伝搬され、第1端面22から光L1が出射される。これにより、第1光導波路20と接続される光学素子11が自己発光能力を有さない場合であっても、シリコンフォトニクス素子10の外部と接続される第1光導波路20の第1端面22から光L1を出射させることができる。このため、第1光導波路20の第1端面22から出射される光L1を利用することにより、第1光導波路20と光ファイバ73とを光学的に接続する自己形成光導波路80を容易に形成することができる。したがって、第1光導波路20の第1端面22から出射される光L1を利用することにより、第1光導波路20と光ファイバ73とを容易に光接続することができる。この結果、シリコンフォトニクス素子10と光ファイバ73との光接続性を向上させることができる。
【0064】
(2)第2光導波路40は、第1光導波路20の長さ方向と交差する方向に沿って延びている。リング共振器30は、第1光導波路20の長さ方向の中間部に近接して設けられている。第2光導波路40は、リング共振器30のうち光学素子11に最も近い端部に近接して設けられている。この構成によれば、リング共振器30の共振波長λrの光L1が第2端面42から第2光導波路40に入射された場合に、リング共振器30によって、光L1が第1端面22から出射されるように、光L1を第1光導波路20に好適に伝搬することができる。
【0065】
(3)シリコンフォトニクス素子10は、複数の光学素子11と、複数の光学素子11にそれぞれ接続された複数の第1光導波路20とを有する。複数の第1光導波路20は、第1光導波路20の長さ方向と交差する第1方向(ここでは、Y軸方向)において、互いに間隔を空けて設けられている。第1方向に隣接する2つの第1光導波路20の間には、ダブルリング共振器50が設けられている。この構成によれば、リング共振器30と第2光導波路40とダブルリング共振器50とを設けたことにより、第2光導波路40の第2端面42から光L1を入射させた場合に、その光L1を複数の第1光導波路20の各々の第1端面22から出射させることができる。具体的には、第2光導波路40からリング共振器30を通じて第1光導波路20Aに伝搬された光L1がダブルリング共振器50に伝搬され、ダブルリング共振器50に伝搬された光L1が第1光導波路20B,20Cに順に伝搬される。そして、第1光導波路20B,20C内に伝搬された光L1が第1端面22に向かって伝搬され、第1光導波路20B,20Cの各々の第1端面22から光L1が出射される。これにより、複数の第1光導波路20が設けられる場合であっても、それら複数の第1光導波路20の各々の第1端面22から光L1を出射させることができる。このため、複数の第1端面22から出射される光L1を利用することにより、複数の第1光導波路20と複数の光ファイバ73とをそれぞれ光接続する複数の自己形成光導波路80を容易に形成することができる。
【0066】
また、第2光導波路40からリング共振器30を通じて第1光導波路20Aに伝搬された光L1を、ダブルリング共振器50によって第1光導波路20B,20Cに光L1を伝搬させることができる。このため、1つの第2光導波路40のみに光L1を入射することによって、複数の第1光導波路20A,20B,20Cの第1端面22から光L1を出射させることができる。したがって、第2光導波路40に光L1を入射させるための光源90を1つとすることができ、光源90と第2光導波路40との位置合わせ作業が増えることを抑制できる。
【0067】
(4)リング共振器30の共振波長λrを、光学素子11の光通信に用いられる波長λcと異なる波長に設定した。この構成によれば、光学素子11と光ファイバ73との間で実際に光通信する際に、波長λcの光信号がリング共振器30を通じて第2光導波路40に伝搬されることを抑制できる。この結果、光学素子11と光ファイバ73との間で実際に光通信する際に、リング共振器30を設けたことに起因して伝送損失等の悪影響が生じることを抑制できる。
【0068】
(5)光モジュール15では、リング共振器30の少なくとも一部が溶解されている。この構成では、自己形成光導波路80が形成された後の光モジュール15、つまりリング共振器30が不要となった後の光モジュール15において、リング共振器30が破壊されている。このため、光学素子11と光ファイバ73との間で実際に光通信する際に、光ファイバ73から光学素子11に向かって伝搬される光信号が、リング共振器30を通じて第2光導波路40に伝搬されることを抑制できる。この結果、光学素子11と光ファイバ73との間で実際に光通信する際に、リング共振器30を設けたことに起因して伝送損失等の悪影響が生じることを抑制できる。
【0069】
(6)光モジュール15では、第2光導波路40の第2端面42の全面を被覆する被覆部45が設けられている。被覆部45は、光透過性を有さない樹脂からなる。この構成では、自己形成光導波路80が形成された後の光モジュール15、つまり第2光導波路40が不要となった後の光モジュール15において、第2端面42の全面が被覆部45によって覆われている。このため、光学素子11と光ファイバ73との間で実際に光通信する際に、第2端面42から第2光導波路40に不要な光が入射されることを抑制できる。
【0070】
(7)ところで、第1光導波路20と光ファイバ73とを光学的に接続する自己形成光導波路80が形成されたか否かを確認する方法としては、例えば、以下のような方法が考えられる。すなわち、光ファイバ73から自己形成光導波路80及び第1光導波路20を通じて光学素子11に向かって光信号を伝搬し、光学素子11により光電気変換された電気信号を検知することにより、自己形成光導波路80が形成されたか否かを確認できる。しかし、この確認方法では、光学素子11により生成される電気信号を検知するためのプローブが必要になる。
【0071】
これに対し、本実施形態では、第1端面22及び第3端面76のうち第1端面22のみから光を出射させ、その光が光ファイバ73の反対端面から出射されるか否かを確認することにより、自己形成光導波路80が形成されたか否かを確認するようにした。この確認方法では、自己形成光導波路80を形成する際に使用した光源90をそのまま利用して、自己形成光導波路80が形成されたか否かを確認することができる。このため、光学素子11により生成される電気信号を検知する方法よりも簡単に、自己形成光導波路80が形成されたか否かを確認することができる。
【0072】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0073】
・上記実施形態の各第1光導波路20において、エッジ型結合部23を、スポットサイズコンバータ、リブ型導波路やシリコン細線導波路に変更してもよい。
・上記実施形態の第1光導波路20におけるエッジ型結合部23を省略してもよい。
【0074】
・
図17に示すように、第2光導波路40の第2コア41の一端部にエッジ型結合部43を設けるようにしてもよい。エッジ型結合部43は、第2コア41の長さ方向の両端部のうちシリコンフォトニクス素子10の外部と接続される端部に設けられている。エッジ型結合部43は、例えば、エッジ型結合部23と同様の構造に形成できる。エッジ型結合部43は、例えば、エッジ型結合部43以外の部分における第2コア41よりも太く形成されている。
【0075】
・
図17に示した変更例におけるエッジ型結合部43を、スポットサイズコンバータやリブ型導波路に変更してもよい。
・上記実施形態のシリコンフォトニクス素子10では、1つの第2光導波路40を設けるようにしたが、第2光導波路40の個数は特に限定されない。例えば、シリコンフォトニクス素子10に、2つ以上の第2光導波路40を設けるようにしてもよい。この場合には、各第2光導波路40の端部に近接してリング共振器30が設けられる。また、この場合には、例えば、自己形成光導波路80を形成する際に、複数の第2光導波路40の各々の近傍に光源90が設けられ、その光源90から光L1が各第2光導波路40に入射される。
【0076】
なお、3つの第1光導波路20と同数の第2光導波路40が設けられ、3つの第1光導波路20の各々に対して第2光導波路40及びリング共振器30が設けられる場合には、ダブルリング共振器50を省略することができる。
【0077】
・上記実施形態の光モジュール15において、リングコア31の溶解部32を省略してもよい。
・上記実施形態の光モジュール15において、被覆部45を省略してもよい。
【0078】
・上記実施形態では、自己形成光導波路80のクラッド82を、光硬化性樹脂86に対して紫外線を照射することにより形成した。クラッド82の形成方法はこれに限定されない。例えば、コア81を形成した後に、未反応の光硬化性樹脂86を除去し、光硬化性樹脂86とは別の低屈折率の光硬化性樹脂によりクラッド82を形成するようにしてもよい。また、コア81を形成した後に、未反応の光硬化性樹脂86を除去し、空気層によりクラッド82を形成するようにしてもよい。
【0079】
・上記実施形態の光モジュール15の製造方法において、自己形成光導波路80が正常に形成されたか否かを確認する工程を省略してもよい。
・上記実施形態における光硬化性樹脂86の組成は適宜変更することができる。
【0080】
・上記実施形態の光モジュール15では、エッジ型結合部23の中心軸と光ファイバ73のコア74の中心軸とが互いにずれた状態で、シリコンフォトニクス素子10及び光ファイバアレイ70を配置するようにしたが、これに限定されない。例えば、エッジ型結合部23の中心軸と光ファイバ73のコア74の中心軸とが一致するように、シリコンフォトニクス素子10及び光ファイバアレイ70を配置するようにしてもよい。
【0081】
・上記実施形態の光ファイバアレイ70の構造は適宜変更することができる。例えば、複数の光ファイバ73を整列した状態で固定できる構造を有していれば、V溝基板71及びカバー72の構造は適宜変更できる。
【0082】
・上記実施形態の光モジュール15では、シリコンフォトニクス素子10の光学素子11と光通信する光部品を光ファイバアレイ70に具体化したが、これに限定されない。例えば、光学素子11と光通信可能な光部品であれば、光ファイバアレイ70以外の光部品に具体化してもよい。このような光部品としては、例えば、発光素子を有する光部品等を挙げることができる。
【0083】
・上記実施形態の光モジュール15において、光ファイバアレイ70とシリコンフォトニクス素子10とを共に基板16に搭載するようにしてもよい。
・上記実施形態のシリコンフォトニクス素子10では、3つの光学素子11と、それら3つの光学素子11にそれぞれ接続された3つの第1光導波路20とを設けるようにした。しかし、シリコンフォトニクス素子10に搭載される光学素子11及び第1光導波路20の個数は特に限定されない。例えば、シリコンフォトニクス素子10に、2つの光学素子11と2つの第1光導波路20とを設けるようにしてもよい。例えば、シリコンフォトニクス素子10に、4つ以上の光学素子11と4つ以上の第1光導波路20とを設けるようにしてもよい。
【0084】
例えば
図18に示すように、シリコンフォトニクス素子10Aに、1つの光学素子11と、1つの第1光導波路20とを設けるようにしてもよい。本変更例のシリコンフォトニクス素子10Aは、1つの光学素子11と、1つの光学素子11に接続された1つの第1光導波路20と、リング共振器30と、第2光導波路40とを有する。シリコンフォトニクス素子10Aでは、
図2に示したダブルリング共振器50が省略されている。
【0085】
図19に示すように、シリコンフォトニクス素子10Aにおいて、リング共振器30の共振波長λrの光L1が第2端面42から第2光導波路40に入射されると、その光L1がリング共振器30に伝搬される。そして、リング共振器30内に伝搬された光L1が第1光導波路20に伝搬される。このとき、第1光導波路20では、リング共振器30から伝搬された光L1が、リング共振器30から第1端面22に向かって伝搬される。これにより、第1光導波路20の第1コア21の第1端面22から光L1を出射させることができる。
【0086】
・例えば
図20に示すように、光モジュール15Aを、
図18に示したシリコンフォトニクス素子10Aを有するように構成してもよい。本変更例の光モジュール15Aは、基板16と、基板16に実装されたシリコンフォトニクス素子10Aと、1つの光ファイバ73と、第1光導波路20と光ファイバ73とを光学的に接続する自己形成光導波路80とを有する。自己形成光導波路80のコア81は、上記実施形態と同様に、第1光導波路20の第1端面22と光ファイバ73の第3端面76とのそれぞれから光硬化性樹脂86(
図13参照)に向かって第1波長λ1の光L1,L2を照射することにより形成できる。
【0087】
・
図20に示した光モジュール15Aでは、シリコンフォトニクス素子10の光学素子11と光通信する光部品を光ファイバ73に具体化したが、これに限定されない。例えば、光学素子11と光通信可能な光部品であれば、光ファイバ73以外の光部品に具体化してもよい。このような光部品としては、例えば、発光素子を有する光部品等を挙げることができる。
【0088】
・上記実施形態及び上記各変更例のシリコンフォトニクス素子10,10Aに、光学素子11及び光導波路回路12以外の部品、例えば光機能素子や電子部品を搭載するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0089】
10,10A シリコンフォトニクス素子
11 光学素子
12 光導波路回路
15,15A 光モジュール
16 基板
20,20A,20B,20C 第1光導波路
21 第1コア
22 第1端面
23 エッジ型結合部
30 リング共振器
31 リングコア
32 溶解部
40 第2光導波路
41 第2コア
42 第2端面
43 エッジ型結合部
45 被覆部
50,50A,50B ダブルリング共振器
52,53 リング共振器
61 クラッド
62 コア
70 光ファイバアレイ(光部品)
73 光ファイバ(光部品)
74 コア
75 クラッド
80 自己形成光導波路
81 コア
82 クラッド
86 光硬化性樹脂
90 光源
λc 波長
λr 共振波長
L1 光(第1光)
L2 光(第2光)