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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167569
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】ヒートパイプ
(51)【国際特許分類】
   F28D 15/02 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
F28D15/02 106A
F28D15/02 106F
F28D15/02 101K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078851
(22)【出願日】2022-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】町田 洋弘
(57)【要約】
【課題】作動流体を容易に注入できるヒートパイプを提供する。
【解決手段】ループ型ヒートパイプ10は、作動流体を注入する注入口15を有する。注入口15は、金属層31と、金属層33と、金属層31と金属層33との間に設けられた単層の金属層32と、金属層31と金属層32と金属層33とにより画定されるとともに、作動流体が内部を移動する注入路15rとを有する。金属層31は、金属層33と対向し、注入路15rの内面を構成する内面31Aを有する。金属層31の内面31Aは、複数の溝部40を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体を注入する注入口を有するヒートパイプであって、
前記注入口は、
第1外層金属層と、
第2外層金属層と、
前記第1外層金属層と前記第2外層金属層との間に設けられた単層又は複数層の内層金属層と、
前記第1外層金属層と前記第2外層金属層と前記内層金属層とにより画定されるとともに、前記作動流体が内部を移動する注入路と、を有し、
前記第1外層金属層は、前記第2外層金属層と対向し、前記注入路の内面を構成する第1内面を有し、
前記第1外層金属層の前記第1内面は、1つ又は複数の第1溝部を有するヒートパイプ。
【請求項2】
前記第2外層金属層は、前記第1外層金属層と対向し、前記注入路の内面を構成する第2内面を有し、
前記第2外層金属層の前記第2内面は、1つ又は複数の第2溝部を有する請求項1に記載のヒートパイプ。
【請求項3】
前記第2溝部は、平面視において、前記第1溝部と重ならないように設けられている請求項2に記載のヒートパイプ。
【請求項4】
前記第2溝部は、平面視において、前記第1溝部と部分的に重なるように設けられている請求項2に記載のヒートパイプ。
【請求項5】
前記注入口は、未封止部と、前記未封止部に連結する封止部とを有し、
前記第1溝部は、前記封止部には設けられておらず、前記未封止部のみに設けられている請求項1に記載のヒートパイプ。
【請求項6】
前記注入口は、多孔質体を有し、
前記多孔質体は、前記内層金属層の一方の面側から窪む第1有底孔と、前記内層金属層の他方の面側から窪む第2有底孔と、前記第1有底孔と前記第2有底孔とが部分的に連通して形成された細孔とを有し、
前記第1溝部は、前記第1有底孔と前記注入路とを連通するように形成されている請求項1に記載のヒートパイプ。
【請求項7】
前記内層金属層は、前記内層金属層を厚さ方向に貫通する貫通孔と、前記注入口の幅方向において前記貫通孔の両側に設けられた一対の壁部とを有し、
前記注入路は、前記一対の壁部と前記第1外層金属層と前記第2外層金属層とにより画定されており、
前記多孔質体は、前記壁部に設けられている請求項6に記載のヒートパイプ。
【請求項8】
前記作動流体を気化させる蒸発器と、
前記作動流体を液化する凝縮器と、
前記蒸発器と前記凝縮器とを接続する液管と、
前記蒸発器と前記凝縮器とを接続する蒸気管と、
前記作動流体が流れるループ状の流路と、を更に有し、
前記注入路は、前記流路に連通するように設けられている請求項1に記載のヒートパイプ。
【請求項9】
前記注入口は、前記液管に接続されており、
前記液管は、多孔質部を有し、
前記第1溝部は、前記液管に向かって延びるとともに、前記液管の前記多孔質部とは離間している請求項8に記載のヒートパイプ。
【請求項10】
前記第1外層金属層は、複数の前記第1溝部を有し、
前記複数の第1溝部は、前記注入口の幅方向において、互いに連続して形成されている請求項1に記載のヒートパイプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートパイプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器に搭載される半導体デバイス(例えば、CPU等)の発熱部品を冷却するデバイスとしては、作動流体の相変化を利用して熱を輸送するヒートパイプが提案されている(例えば、特許文献1参照)。作動流体は、ヒートパイプに設けられた注入口を介してヒートパイプの内部に注入される。その後、注入口は封止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6146484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、携帯機器等の電子機器は、薄型化が進められている。この電子機器の薄型化に伴って、ヒートパイプも薄型化が求められている。ヒートパイプを薄型化すると、注入口が小さくなって作動流体を注入し難くなる。このため、作動流体の注入性の向上が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によれば、作動流体を注入する注入口を有するヒートパイプであって、前記注入口は、第1外層金属層と、第2外層金属層と、前記第1外層金属層と前記第2外層金属層との間に設けられた単層又は複数層の内層金属層と、前記第1外層金属層と前記第2外層金属層と前記内層金属層とにより画定されるとともに、前記作動流体が内部を移動する注入路と、を有し、前記第1外層金属層は、前記第2外層金属層と対向し、前記注入路の内面を構成する第1内面を有し、前記第1外層金属層の前記第1内面は、1つ又は複数の第1溝部を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一観点によれば、作動流体を容易に注入できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態のループ型ヒートパイプを示す概略平面図である。
図2】一実施形態の注入口を示す概略横断面である。
図3】一実施形態のループ型ヒートパイプを示す概略断面図である。
図4】一実施形態のループ型ヒートパイプを示す概略断面図である。
図5】一実施形態のループ型ヒートパイプを示す概略断面図である。
図6】(a)~(d)は、一実施形態のループ型ヒートパイプの製造方法を示す概略断面図である。
図7】(a)~(d)は、一実施形態のループ型ヒートパイプの製造方法を示す概略断面図である。
図8】(a),(b)は、一実施形態のループ型ヒートパイプの製造方法を示す概略断面図である。
図9】(a),(b)は、一実施形態のループ型ヒートパイプの製造方法を示す概略断面図である。
図10】変更例のループ型ヒートパイプを示す概略断面図である。
図11】変更例のループ型ヒートパイプを示す概略断面図である。
図12】変更例のループ型ヒートパイプを示す概略断面図である。
図13】変更例のループ型ヒートパイプを示す概略断面図である。
図14】変更例のループ型ヒートパイプを示す概略断面図である。
図15】変更例の注入口を示す概略断面図である。
図16】変更例の注入口を示す概略平面図である。
図17】変更例の注入口を示す概略横断面図である。
図18】(a)~(d)は、変更例のループ型ヒートパイプの製造方法を示す概略断面図である。
図19】(a),(b)は、変更例のループ型ヒートパイプの製造方法を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態について添付図面を参照して説明する。
なお、添付図面は、便宜上、特徴を分かりやすくするために特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率については各図面で異なる場合がある。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部の部材のハッチングを梨地模様に代えて示し、一部の部材のハッチングを省略している。各図面では、相互に直交するX軸、Y軸、Z軸を図示している。以下の説明では、便宜上、X軸に沿って延びる方向をX軸方向と称し、Y軸に沿って延びる方向をY軸方向と称し、Z軸に沿って延びる方向をZ軸方向と称する。なお、本明細書において、「平面視」とは、対象物をZ軸方向から見ることを言い、「平面形状」とは、対象物をZ軸方向から見た形状のことを言う。また、本明細書における「対向」とは、面同士又は部材同士が互いに正面の位置にあることを指し、互いが完全に正面の位置にある場合だけでなく、互いが部分的に正面の位置にある場合を含む。本明細書における「対向」とは、2つの部材が互いに離れている場合だけでなく、2つの部材が互いに接触している場合も含む。
【0009】
(ループ型ヒートパイプ10の全体構成)
図1に示すループ型ヒートパイプ10は、例えば、スマートフォンやタブレット端末等のモバイル型の電子機器M1に収容される。ループ型ヒートパイプ10は、蒸発器11と、蒸気管12と、凝縮器13と、液管14と、注入口15とを有している。
【0010】
蒸発器11と凝縮器13は、蒸気管12と液管14とにより接続されている。蒸発器11は、作動流体Cを気化させて蒸気Cvを生成する機能を有している。蒸発器11で生成された蒸気Cvは、蒸気管12を介して凝縮器13に送られる。凝縮器13は、作動流体Cの蒸気Cvを液化する機能を有している。液化した作動流体Cは、液管14を介して蒸発器11に送られる。蒸気管12及び液管14は、作動流体C又は蒸気Cvを流すループ状の流路16を形成する。
【0011】
蒸気管12は、例えば、長尺状の管体に形成されている。液管14は、例えば、長尺状の管体に形成されている。本実施形態において、蒸気管12と液管14とは、例えば、長さ方向の寸法(つまり、長さ)が互いに等しい。なお、蒸気管12の長さと液管14の長さとは、互いに異なっていてもよい。例えば、液管14の長さに比べて蒸気管12の長さが短くてもよい。ここで、本明細書における蒸発器11、蒸気管12、凝縮器13及び液管14の「長さ方向」とは、各部材における作動流体C又は蒸気Cvが流れる方向(図中矢印参照)に一致する方向のことである。また、本明細書において「等しい」とは、正確に等しい場合の他、寸法公差等の影響により比較対象同士に多少の相違がある場合も含む。
【0012】
蒸発器11は、図示しない発熱部品に密着して固定される。蒸発器11内の作動流体Cは、発熱部品にて発生した熱により気化し、蒸気Cvが生成される。なお、蒸発器11と発熱部品との間に、熱伝導部材(TIM:Thermal Interface Material)が介在されていてもよい。熱伝導部材は、発熱部品と蒸発器11の間の接触熱抵抗を低減し、発熱部品から蒸発器11への熱伝導をスムーズにする。
【0013】
蒸気管12は、例えば、蒸気管12の長さ方向と平面視で直交する幅方向の両側に設けられた一対の管壁12wと、一対の管壁12wの間に設けられた流路12rとを有している。流路12rは、蒸発器11の内部空間と連通している。流路12rは、ループ状の流路16の一部である。蒸発器11において発生した蒸気Cvは、蒸気管12を介して凝縮器13へと導かれる。
【0014】
凝縮器13は、例えば、放熱用に面積を大きくした放熱プレート13pと、放熱プレート13pの内部において蛇行した流路13rとを有している。流路13rは、ループ状の流路16の一部である。蒸気管12を介して導かれた蒸気Cvは、凝縮器13において液化する。
【0015】
液管14は、例えば、液管14の長さ方向と平面視で直交する幅方向の両側に設けられた一対の管壁14wと、一対の管壁14wの間に設けられた流路14rとを有している。流路14rは、凝縮器13の流路13rと連通するとともに、蒸発器11の内部空間と連通している。流路14rは、ループ状の流路16の一部である。凝縮器13で液化した作動流体Cは、液管14を通って蒸発器11に導かれる。
【0016】
ループ型ヒートパイプ10では、発熱部品で発生した熱を凝縮器13に移動し、その凝縮器13において放熱する。これにより、発熱部品が冷却され、発熱部品の温度上昇が抑制される。
【0017】
ここで、作動流体Cとしては、蒸気圧が高く、蒸発潜熱が大きい流体を使用することが好ましい。このような作動流体Cを用いることで、蒸発潜熱によって発熱部品を効率的に冷却できる。作動流体Cとしては、例えば、アンモニア、水、フロン、アルコール、アセトン等を用いることができる。
【0018】
(注入口15の構成)
注入口15は、作動流体Cをループ型ヒートパイプ10の内部へと注入するための入り口である。すなわち、注入口15は、作動流体Cを流路16内に注入するための入り口である。注入口15は、例えば、Y軸方向に沿って延びる長さ方向と、X軸方向に沿って延びる幅方向と、Z軸方向に沿って延びる厚さ方向とを有している。本実施形態の注入口15は、注入口15の長さ方向の一端部が液管14に接続されている。本実施形態の注入口15は、作動流体Cを液管14内に注入する。なお、注入口15は、蒸発器11、蒸気管12や凝縮器13に接続されてもよい。この場合には、流路16内に注入された作動流体Cは、注入箇所から液管14内に移動する。
【0019】
注入口15は、作動流体Cの注入後に気密封止されている。封止後の注入口15は、例えば、液管14に連結する未封止部21と、未封止部21に連結する封止部22とを有している。ループ型ヒートパイプ10では、例えば、液管14と未封止部21と封止部22とが連続して一体に形成されている。
【0020】
未封止部21は、例えば、封止前の形状、つまり作動流体Cを液管14内に注入する際の形状がおおよそ保たれている。封止部22は、例えば、作動流体Cを液管14内に注入する際には未封止部21と同様の形状であり、作動流体Cを液管14内に注入した後、潰されて扁平化されたものである。封止部22の扁平化により、液管14内に注入した作動流体Cが外部に漏れないように気密封止することができる。
【0021】
図2図4は、封止前の注入口15、つまり未封止状態の注入口15を示している。図2は、図1の2-2線に対応する位置の注入口15の断面を示している。図2に示した断面は、注入口15の長さ方向(ここでは、Y軸方向)と直交するXZ平面により注入口15を切断した断面である。図3は、図2の3-3線に対応する位置の注入口15及び液管14の断面を示している。図4は、図3の4-4線に対応する位置の注入口15及び液管14の断面を示している。
【0022】
図2及び図3に示すように、注入口15は、作動流体Cが内部を移動する注入路15rと、注入口15の幅方向において注入路15rの両側に設けられた一対の管壁15wとを有している。図3及び図4に示すように、注入路15rは、例えば、Y軸方向に沿って延びている。注入路15rは、注入路15rの長さ方向(ここでは、Y軸方向)の両端部に設けられた第1開口端15A及び第2開口端15Bを有している。第1開口端15Aは、例えば、ループ型ヒートパイプ10の外部と接続されている。本実施形態の第1開口端15Aは、作動流体Cの注入後に封止部22(図1参照)になる部分である。第2開口端15Bは、例えば、液管14の流路14rと接続されている。注入路15rは、例えば、ループ型ヒートパイプ10の外部と液管14の流路14rとを連通するように形成されている。この注入路15rを通じて作動流体Cが液管14に注入される。
【0023】
図2に示すように、注入口15は、例えば、3層の金属層31,32,33を積層した構造を有している。換言すると、注入口15は、一対の外層金属層となる金属層31,33の間に、内層金属層となる金属層32を積層した構造を有している。本実施形態の注入口15の内層金属層は、1層の金属層32のみによって構成されている。
【0024】
各金属層31~33は、例えば、熱伝導性に優れた銅(Cu)層である。複数の金属層31~33は、例えば、拡散接合、圧接、摩擦圧接や超音波接合等の固相接合により互いに直接接合されている。なお、図2では、金属層31~33を判り易くするため、実線にて区別している。例えば、金属層31~33を拡散接合により一体化した場合、各金属層31~33の界面は消失していることがあり、境界は明確ではないことがある。ここで、固相接合とは、接合対象物同士を溶融させることなく固相(固体)状態のまま加熱して軟化させ、更に加熱して塑性変形を与えて接合する方法である。なお、金属層31~33は、銅層に限定されず、ステンレス層、アルミニウム層やマグネシウム合金層等から形成してもよい。また、積層した金属層31~33のうちの一部の金属層について、他の金属層と異なる材料が用いられてもよい。金属層31~33の各々の厚さは、例えば、50μm~200μm程度とすることができる。なお、金属層31~33のうちの一部の金属層を他の金属層と異なる厚さとしてもよく、また全ての金属層を互いに異なる厚さとしてもよい。
【0025】
(金属層32の構成)
金属層32は、金属層31と金属層33との間に積層されている。金属層32の上面は、金属層31に接合されている。金属層32の下面は、金属層33に接合されている。金属層32は、金属層32を厚さ方向に貫通する貫通孔32Xと、注入口15の幅方向において貫通孔32Xの両側に設けられた一対の壁部32wとを有している。貫通孔32Xは、注入路15rを構成している。
【0026】
(金属層31の構成)
金属層31は、金属層32の上面に積層されている。金属層31は、金属層33と対向する内面31A(ここでは、下面)と、金属層31の厚さ方向(ここでは、Z軸方向)において内面31Aと反対側に設けられる外面31B(ここでは、上面)とを有している。金属層31は、平面視において壁部32wと重なる位置に設けられた壁部31wと、平面視において注入路15rと重なる位置に設けられた上壁31uとを有している。壁部31wの内面31Aは、壁部32wの上面に接合されている。上壁31uは、一対の壁部31wの間に設けられている。上壁31uの内面31Aは、注入路15rに露出している。換言すると、上壁31uの内面31Aは、注入路15rの内面を構成している。
【0027】
金属層31は、内面31Aに設けられた1つ又は複数の溝部40を有している。本実施形態の金属層31は、4つの溝部40を有している。各溝部40は、注入路15rに連通するように形成されている。各溝部40は、平面視において、注入路15rと重なるように設けられている。各溝部40は、例えば、上壁31uの内面31A、つまり注入路15rの内面を構成する部分の内面31Aに設けられている。本実施形態の各溝部40は、金属層31の内面31Aのうち上壁31uの内面31Aのみに設けられている。換言すると、本実施形態の各溝部40は、壁部31wの内面31Aには設けられていない。各溝部40は、例えば、金属層31の内面31Aから金属層31の厚さ方向の中間部まで凹むように形成されている。各溝部40は、例えば、金属層31の内面31Aから金属層31の厚さ方向の中央部まで延びるように形成されている。各溝部40の深さは、例えば、25μm~100μm程度とすることができる。各溝部40のX軸方向に沿う幅寸法は、注入路15rのX軸方向に沿う幅寸法よりも十分に小さく形成されている。各溝部40の幅寸法は、例えば、25μm~100μm程度とすることができる。このように、注入路15rの内面を構成する部分における内面31Aには、幅の細い溝部40が複数設けられている。
【0028】
各溝部40の内面の横断面形状は、任意の形状とすることができる。各溝部40の底面は、例えば、円弧状に湾曲した曲面に形成されている。各溝部40の内側面は、例えば、金属層31の内面31Aに対して垂直に延びるように形成されている。
【0029】
複数の溝部40は、金属層31の厚さ方向と直交する平面方向の一方向(ここでは、X軸方向)に沿って並んで設けられている。複数の溝部40は、例えば、X軸方向に沿って所定の間隔を空けて設けられている。
【0030】
図3に示すように、各溝部40は、例えば、注入口15の長さ方向に沿って延びている。各溝部40は、例えば、金属層31の厚さ方向と直交する平面方向の一方向に沿って延びている。各溝部40は、例えば、複数の溝部40が並ぶ方向(ここでは、X軸方向)と直交する方向(ここでは、Y軸方向)に沿って延びている。各溝部40は、例えば、作動流体Cの移動方向に応じた方向に延びている。複数の溝部40は、例えば、互いに平行に延びるように形成されている。
【0031】
各溝部40は、例えば、液管14に向かって延びている。各溝部40は、例えば、注入路15rの第1開口端15Aから液管14に向かって延びている。各溝部40は、例えば、第1開口端15Aから注入路15rの長さ方向の途中まで延びている。換言すると、各溝部40は、注入路15rの長さ方向において、第2開口端15Bまで延びていない。すなわち、各溝部40は、液管14の流路14rまで延びていない。各溝部40は、例えば、流路14rに接続されていない。各溝部40は、例えば、流路14rと直接連通しないように形成されている。各溝部40は、例えば、注入路15rの長さ方向のうちX軸方向において液管14の管壁14wの一部と重なる位置まで延びている。
【0032】
(金属層33の構成)
図2に示すように、金属層33は、金属層32の下面に積層されている。金属層33は、金属層31と対向する内面33A(ここでは、上面)と、金属層33の厚さ方向において内面33Aと反対側に設けられる外面33B(ここでは、下面)とを有している。金属層33は、平面視において壁部32wと重なる位置に設けられた壁部33wと、平面視において注入路15rと重なる位置に設けられた下壁33dとを有している。壁部33wの内面33Aは、壁部32wの下面に接合されている。下壁33dは、一対の壁部33wの間に設けられている。下壁33dの内面33Aは、注入路15rに露出している。換言すると、下壁33dの内面33Aは、注入路15rの内面を構成している。
【0033】
金属層33は、内面33Aに設けられた1つ又は複数の溝部50を有している。本実施形態の金属層33は、5つの溝部50を有している。各溝部50は、注入路15rに連通するように形成されている。各溝部50は、例えば、下壁33dの内面33A、つまり注入路15rの内面を構成する部分の内面33Aに設けられている。本実施形態の各溝部50は、金属層33の内面33Aのうち下壁33dの内面33Aのみに設けられている。換言すると、本実施形態の各溝部50は、壁部33wの内面33Aには設けられていない。各溝部50は、例えば、金属層33の内面33Aから金属層33の厚さ方向の中間部まで凹むように形成されている。各溝部50は、例えば、金属層33の内面33Aから金属層33の厚さ方向の中央部まで延びるように形成されている。各溝部50の深さは、例えば、25μm~100μm程度とすることができる。各溝部50のX軸方向に沿う幅寸法は、注入路15rのX軸方向に沿う幅寸法よりも十分に小さく形成されている。各溝部50のX軸方向に沿う幅寸法は、例えば、各溝部50のX軸方向に沿う幅寸法と等しい。各溝部50の幅寸法は、例えば、25μm~100μm程度とすることができる。このように、注入路15rの内面を構成する部分における内面33Aには、幅の細い溝部50が複数設けられている。
【0034】
各溝部50の内面の横断面形状は、任意の形状とすることができる。各溝部50の底面は、例えば、円弧状に湾曲した曲面に形成されている。各溝部50の内側面は、例えば、金属層33の内面33Aに対して垂直に延びるように形成されている。
【0035】
図3に示すように、複数の溝部50は、金属層31の厚さ方向と直交する平面方向の一方向(ここでは、X軸方向)に沿って並んで設けられている。複数の溝部50は、例えば、X軸方向に沿って所定の間隔を空けて設けられている。各溝部50は、例えば、平面視において、溝部40と重ならないように設けられている。各溝部50は、例えば、平面視において、溝部40の全体と重ならないように設けられている。複数の溝部50は、X軸方向に沿って溝部40と重ならない間隔にて並んでいる。例えば、X軸方向に隣接する2つの溝部50の間の間隔は、各溝部40,50の幅寸法よりも大きい。また、X軸方向に隣接する2つの溝部40の間の間隔は、各溝部40,50の幅寸法よりも大きい。
【0036】
各溝部50は、例えば、金属層31の厚さ方向と直交する平面方向の一方向に沿って延びている。各溝部50は、例えば、複数の溝部50が並ぶ方向(ここでは、X軸方向)と直交する方向(ここでは、Y軸方向)に沿って延びている。各溝部50は、例えば、作動流体Cの移動方向に応じた方向に延びている。複数の溝部50は、例えば、互いに平行に延びるように形成されている。各溝部50は、例えば、平面視において、溝部40と平行に延びるように形成されている。各溝部50のY軸方向に沿う長さ寸法は、例えば、各溝部40のY軸方向に沿う長さ寸法と等しい。
【0037】
各溝部50は、例えば、液管14に向かって延びている。各溝部50は、例えば、注入路15rの第1開口端15Aから液管14に向かって延びている。各溝部50は、例えば、第1開口端15Aから注入路15rの長さ方向の途中まで延びている。換言すると、各溝部50は、注入路15rの長さ方向において、第2開口端15Bまで延びていない。すなわち、各溝部50は、液管14の流路14rまで延びていない。各溝部50は、例えば、流路14rに接続されていない。各溝部50は、例えば、流路14rと直接連通しないように形成されている。各溝部50は、例えば、注入路15rの長さ方向のうちX軸方向において液管14の管壁14wの一部と重なる位置まで延びている。
【0038】
(注入路15rの具体的構造)
図2に示すように、注入路15rは、金属層31と金属層32と金属層33とにより画定されている。注入路15rは、一対の壁部32wと、上壁31uの内面31Aと、下壁33dの内面33Aとによって画定されている。注入路15rは、例えば、金属層32の貫通孔32Xにより構成されている。
【0039】
(管壁15wの具体的構造)
各管壁15wは、例えば、金属層31の壁部31wと、金属層32の壁部32wと、金属層33の壁部33wとにより構成されている。
【0040】
(封止部22の構成)
図5に示すように、封止部22は、作動流体Cを液管14の流路14r内に注入した後に、金属層31~33を潰して扁平化して形成される。封止部22の形成には、例えば、超音波接合を用いることができる。超音波接合は、超音波を印加しながら対象物を加圧することにより、対象物を接合する。なお、接合の促進のため、対象物を加熱してもよい。封止部22では、金属層31~33が潰れて注入路15rが閉塞されている。この封止部22により、ループ型ヒートパイプ10の外部と注入路15rとが分断される。なお、封止部22における金属層31~33の間等において部分的に隙間が生じていても、その隙間がループ型ヒートパイプ10の外部と注入路15rとを繋ぐものでなければ、気密封止は成立する。
【0041】
(液管14の構成)
液管14は、注入口15と同様に、3層の金属層31~33が積層されて形成されている。図3に示すように、液管14は、液管14の長さ方向(ここでは、X軸方向)と直交する幅方向(ここでは、Y軸方向)の両側に設けられた一対の管壁14wを有している。液管14は、例えば、多孔質部60と、流路61とを有している。本実施形態の液管14は、一対の管壁14wと、一対の管壁14wに設けられた一対の多孔質部60と、一対の多孔質部60の間に設けられた流路61とを有している。各多孔質部60は、例えば、各管壁14wと連続して一体に形成されている。各多孔質部60は、微細な孔を有する構造体である。各多孔質部60は、例えば、内層金属層である金属層32の上面から窪む有底孔と、金属層32の下面から窪む有底孔と、それら有底孔同士が部分的に連通して形成される細孔とを有するように構成されている。多孔質部60は、例えば、多孔質部60に生じる毛細管力によって、凝縮器13で液化した作動流体Cを蒸発器11(図1参照)へと導く。多孔質部60の一部は、注入路15rの第2開口端15Bに露出している。多孔質部60は、例えば、注入路15rと連通している。但し、多孔質部60は、例えば、各溝部40,50と接続していない。換言すると、各溝部40,50は、多孔質部60と接続していない。すなわち、各溝部40,50は、多孔質部60と離間している。このため、各溝部40,50は、多孔質部60と直接連通していない。
【0042】
図4に示すように、流路61の横断面積は、例えば、多孔質部60の有する流路の横断面積よりも大きく形成されている。流路61は、内層金属層である金属層32を厚さ方向に貫通する貫通孔32Yにより構成されている。例えば、流路61は、多孔質部60の有する流路と連通している。本実施形態の液管14では、多孔質部60の有する流路と流路61とによって液管14の流路14rが構成されている。
【0043】
(ループ型ヒートパイプ10の構成)
図1に示す蒸発器11、蒸気管12及び凝縮器13は、図2に示した注入口15と同様に、3層の金属層31~33(図2参照)が積層されて形成される。蒸発器11は、例えば、液管14の多孔質部60(図4参照)と同様の多孔質部を有していてもよい。例えば、蒸発器11では、蒸発器11に設けられた多孔質部が櫛歯状に形成されている。蒸発器11内において、多孔質部の設けられていない領域は、空間が形成されている。例えば、蒸気管12では、内層金属層である金属層32(図2参照)を厚さ方向に貫通する貫通孔を形成することにより、流路12rが形成されている。例えば、凝縮器13は、内層金属層である金属層32(図2参照)を厚さ方向に貫通する貫通孔を形成することにより、流路13rが形成されている。
【0044】
このように、ループ型ヒートパイプ10は、3層の金属層31~33(図2参照)が積層されて構成される。なお、金属層の積層数は、3層に限定されず、4層以上とすることができる。
【0045】
なお、本実施形態において、ループ型ヒートパイプ10はヒートパイプの一例、金属層31は第1外層金属層の一例、内面31Aは第1内面の一例、金属層32は内層金属層の一例、金属層33は第2外層金属層の一例、内面33Aは第2内面の一例である。また、溝部40は第1溝部の一例、溝部50は第2溝部の一例である。
【0046】
(ループ型ヒートパイプ10の作用)
次に、ループ型ヒートパイプ10の作用について説明する。
ループ型ヒートパイプ10は、作動流体Cを気化させる蒸発器11と、気化した作動流体C(つまり、蒸気Cv)を凝縮器13に流入させる蒸気管12と、蒸気Cvを液化する凝縮器13と、液化した作動流体Cを蒸発器11に流入させる液管14とを有している。発熱部品の熱に起因して蒸発器11において発生した蒸気Cvは、蒸気管12を通じて凝縮器13に導かれる。蒸気Cvは、凝縮器13において液化される。すなわち、発熱部品で発生した熱が凝縮器13で放熱される。これにより、発熱部品が冷却され、発熱部品の温度上昇が抑制される。
【0047】
ループ型ヒートパイプ10は、作動流体Cを流路16内に注入する注入口15を有している。注入口15は、作動流体Cが内部を移動する注入路15rと、注入路15rの内面に設けられた複数の溝部40,50とを有している。各溝部40,50は、注入口15の長さ方向に沿って液管14に向かって延びている。溝部40,50は、注入口15を通じてループ型ヒートパイプ10の内部に作動流体Cを注入する際に、作動流体Cに毛細管力を生じさせる。これにより、作動流体Cは、各溝部40,50によってループ型ヒートパイプ10の外部から注入路15rの内部へと容易に導かれる。そして、作動流体Cは、各溝部40,50によって注入路15r内を移動し、注入路15rの第2開口端15Bから液管14の流路14rへと注入される。
【0048】
(ループ型ヒートパイプ10の製造方法)
次に、ループ型ヒートパイプ10の製造方法について説明する。
まず、図6(a)に示す工程では、平板状の金属シート71を準備する。金属シート71は、最終的に金属層31(図2参照)となる部材である。金属シート71は、例えば、銅、ステンレス、アルミニウム、マグネシウム合金等から構成されている。金属シート71の厚さは、例えば、50μm~200μm程度とすることができる。
【0049】
続いて、金属シート71の下面にレジスト層72を形成し、金属シート71の上面にレジスト層73を形成する。レジスト層72,73としては、例えば、感光性のドライフィルムレジスト等を用いることができる。
【0050】
次に、図6(b)に示す工程では、レジスト層72を露光及び現像して、金属シート71の下面を選択的に露出する開口部72Xを形成する。開口部72Xは、図2に示した溝部40に対応するように形成される。
【0051】
続いて、図6(c)に示す工程では、開口部72X内に露出する金属シート71を、金属シート71の下面側からエッチング(ハーフエッチング)する。これにより、金属シート71の下面に溝部40が形成される。溝部40は、例えば、レジスト層72,73をエッチングマスクとして金属シート71をウェットエッチングすることにより形成できる。金属シート71の材料として銅を用いる場合には、エッチング液として塩化第二鉄水溶液や塩化第二銅水溶液を用いることができる。
【0052】
次いで、レジスト層72,73を剥離液により剥離する。これにより、図6(d)に示すように、内面31Aに溝部40を有する金属層31を形成することができる。
次に、図7(a)に示す工程では、平板状の金属シート74を準備する。金属シート74は、最終的に金属層32(図2参照)となる部材である。金属シート74は、例えば、銅、ステンレス、アルミニウム、マグネシウム合金等から構成されている。金属シート74の厚さは、例えば、50μm~200μm程度とすることができる。
【0053】
続いて、金属シート74の下面にレジスト層75を形成し、金属シート74の上面にレジスト層76を形成する。レジスト層75,76としては、例えば、感光性のドライフィルムレジスト等を用いることができる。
【0054】
次いで、図7(b)に示す工程では、レジスト層75を露光及び現像して、金属シート74の下面を選択的に露出する開口部75Xを形成する。同様に、レジスト層76を露光及び現像して、金属シート74の上面を選択的に露出する開口部76Xを形成する。開口部75X,76Xは、図2に示した貫通孔32Xに対応するように形成される。開口部75Xと開口部76Xは、平面視において互いに重なる位置に設けられている。
【0055】
次に、図7(c)に示す工程では、レジスト層75,76から露出する金属シート74を、金属シート74の上下両面からエッチングする。開口部75X,76Xにより、金属シート74に貫通孔32Xが形成される。貫通孔32Xは、例えば、レジスト層75,76をエッチングマスクとして金属シート74をウェットエッチングすることにより形成できる。金属シート74の材料として銅を用いる場合には、エッチング液として塩化第二鉄水溶液や塩化第二銅水溶液を用いることができる。
【0056】
次に、レジスト層75,76を剥離液により剥離する。これにより、図7(d)に示すように、貫通孔32Xを有する金属層32を形成することができる。
続いて、図8(a)に示す工程では、図6(a)~図6(d)に示した工程と同様の方法により、内面33Aに溝部50を有する金属層33を形成する。次いで、金属層31と金属層33との間に金属層32を配置する。
【0057】
次に、図8(b)に示す工程では、所定温度(例えば、900℃程度)に加熱しながら積層した金属層31~33をプレスすることにより、固相接合にて金属層31~33を接合する。これにより、積層方向に隣接する金属層31,32,33が直接接合される。
【0058】
以上説明した工程により、金属層31,32,33が積層された構造体が形成される。そして、封止前の注入口15が形成されるとともに、図1に示した蒸発器11、蒸気管12、凝縮器13及び液管14が形成される。
【0059】
次に、図9(a)及び図9(b)に示す工程では、真空ポンプ等を用いて液管14内を排気した後、注入口15から液管14内に作動流体Cを注入する。このとき、注入口15では、注入路15rの内面に設けられた溝部40,50により毛細管力が生じる。この溝部40,50による毛細管力により、作動流体Cをループ型ヒートパイプ10の内部に引き込みやすくなる。これにより、ループ型ヒートパイプ10が薄型化されることに伴って作動流体Cを注入するための注入口15が狭くなった場合であっても、微量の作動流体Cを安定して内部へ引き込むことができる。
【0060】
続いて、作動流体Cの注入が完了した後に、注入口15の長さ方向の一部を潰して扁平化することにより図5に示した封止部22を形成し、液管14内に注入した作動流体Cが外部に漏れないように気密封止する。例えば、注入口15の長さ方向の一部において金属層31,32,33(図8(b)参照)を積層方向に加圧して封止部22を形成することにより、注入口15を気密封止する。
【0061】
次に、本実施形態の効果を説明する。
(1)ループ型ヒートパイプ10は、作動流体Cを流路16内に注入する注入口15を有している。注入口15は、作動流体Cが内部を移動する注入路15rと、その注入路15rの内面を構成する部分における金属層31の内面31Aに設けられた溝部40とを有している。溝部40は、注入口15の長さ方向に沿って液管14に向かって延びている。溝部40は、注入口15を通じて流路16内に作動流体Cを注入する際に、作動流体Cに毛細管力を生じさせる。この溝部40による毛細管力により、作動流体Cをループ型ヒートパイプ10の内部に引き込みやすくなる。これにより、溝部40が設けられていない場合に比べて、作動流体Cをループ型ヒートパイプ10の内部に容易に注入することができる。このため、ループ型ヒートパイプ10が薄型化されることに伴って注入口15が狭くなった場合であっても、微量の作動流体Cを安定して内部へ引き込むことができる。また、微量の作動流体Cを安定して内部へ引き込むことができるため、作動流体Cの注入量の制御性を向上することが可能となり、狙った量の作動流体Cを容易に注入することができる。
【0062】
(2)注入口15は、注入路15rの内面を構成する部分における金属層33の内面33Aに設けられた溝部50を有している。溝部50は、注入口15の長さ方向に沿って液管14に向かって延びている。溝部50は、注入口15を通じて流路16内に作動流体Cを注入する際に、作動流体Cに毛細管力を生じさせる。この溝部50による毛細管力により、作動流体Cをループ型ヒートパイプ10の内部に引き込みやすくなる。これにより、溝部50が設けられていない場合に比べて、作動流体Cをループ型ヒートパイプ10の内部に容易に注入することができる。
【0063】
(3)ここで、注入口15が厚さ方向に薄型化された場合であっても、注入口15の厚さ方向の両側において注入路15rの内面を構成する内面31A,33Aの表面積は変わらない。このため、溝部40,50が形成される内面31A,33Aの表面積は、注入口15の薄型化に関わらず、所定の表面積を維持できる。これにより、注入口15が薄型化された場合であっても、溝部40,50の形成領域を維持できる。したがって、それら溝部40,50による毛細管力によって、作動流体Cをループ型ヒートパイプ10の内部に好適に引き込むことができる。
【0064】
(4)ところで、溝部40と溝部50とが平面視において重なるように設けられる場合には、それら溝部40,50が形成される部分では、注入路15rの管壁を構成する上壁31u及び下壁33dが同じ位置で共に薄くなるため、剛性が低下し、作動流体Cを注入する際の圧力により破損するおそれがある。これに対し、本実施形態の注入口15では、溝部50を、平面視において、溝部40と重ならないように設けるようにした。すなわち、溝部40と溝部50とを、平面視において、互いにずれた位置に設けるようにした。これにより、溝部40と溝部50とが平面視において重なるように設けられる場合に比べて、注入路15rの管壁を構成する上壁31u及び下壁33dのいずれか一方は壁の厚さが厚く確保されるため、作動流体Cを注入する際の圧力により破損することを抑制できる。
【0065】
(5)溝部40,50は、液管14に向かって延びるとともに、液管14に設けられた多孔質部60と離間している。すなわち、溝部40,50は、多孔質部60と直接連通しないように形成されている。このため、溝部40,50を、多孔質部60のデザイン設計と切り離して設計することができる。すなわち、溝部40,50を、多孔質部60とは独立した任意の形状に設計することができ、配置する位置も自由に設定することができる。これにより、溝部40,50の設計自由度を向上させることができる。
【0066】
また、溝部40,50は、多孔質部60と直接連通しないように、多孔質部60と離間して形成されている。このため、多孔質部60と離間された領域である溝部40,50において作動流体Cを溜めることができる。
【0067】
(6)金属層31の内面31Aには、幅寸法の小さい溝部40が多数設けられている。ここで、各溝部40の幅寸法が小さく形成されることにより、溝部40による毛細管力を高めることができる。このため、幅寸法の小さい溝部40が多数設けられることにより、作動流体Cをループ型ヒートパイプ10の内部により引き込みやすくなる。これにより、作動流体Cをループ型ヒートパイプ10の内部に容易に注入することができる。
【0068】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0069】
・上記実施形態では、複数の溝部40の長さ方向の寸法が互いに等しくなるように形成し、複数の溝部50の長さ方向の寸法が互いに等しくなるように形成したが、これに限定されない。例えば、複数の溝部40の長さ方向の寸法を個別に設定するようにしてもよい。例えば、複数の溝部50の長さ方向の寸法を個別に設定するようにしてもよい。
【0070】
例えば図10に示すように、複数の溝部40は、溝部41と、溝部41よりも長さ方向の寸法が小さい溝部42とを有してもよい。本変更例の複数の溝部40は、2つの溝部41と、2つの溝部42とを有している。本変更例では、各溝部42の長さ方向の寸法が溝部41の長さ方向の寸法の半分程度に設定されている。
【0071】
複数の溝部50は、例えば、溝部51と、溝部51よりも長さ方向の寸法の小さい溝部52とを有してもよい。本変更例の複数の溝部50は、3つの溝部51と、2つの溝部52とを有している。本変更例では、各溝部52の長さ方向の寸法が溝部51の長さ方向の寸法の半分程度に設定されている。
【0072】
この構成では、注入路15rの長さ方向において、溝部41,42,51,52のうち溝部41,51のみが設けられる部分が形成される。このように溝部41,51のみが設けられる部分では、溝部41,42,51,52の全てが形成される部分に比べて、注入路15rの管壁を構成する上壁31u及び下壁33dにおける剛性を高めることができる。
【0073】
図10に示した変更例において、溝部41,42,51,52の数、配置、長さは適宜変更することができる。
・上記実施形態では、複数の溝部40の幅方向の寸法が互いに等しくなるように形成し、複数の溝部50の幅方向の寸法が互いに等しくなるように形成したが、これに限定されない。例えば、複数の溝部40の幅方向の寸法を個別に設定するようにしてもよい。例えば、複数の溝部50の幅方向の寸法を個別に設定するようにしてもよい。
【0074】
・上記実施形態では、複数の溝部40の深さ方向の寸法が互いに等しくなるように形成し、複数の溝部50の深さ方向の寸法が互いに等しくなるように形成したが、これに限定されない。例えば、複数の溝部40の深さ方向の寸法を個別に設定するようにしてもよい。例えば、複数の溝部50の深さ方向の寸法を個別に設定するようにしてもよい。
【0075】
・上記実施形態では、各溝部40,50の平面形状を、Y軸方向に沿って延びる長方形状に形成したが、これに限定されない。各溝部40,50の平面形状は、任意の形状に形成することができる。例えば、各溝部40,50の平面形状は、注入口15全体の形状や作動流体Cの流れる方向などに応じて適宜変更することができる。
【0076】
・例えば図11に示すように、各溝部40,50を、XY平面において、X軸方向及びY軸方向の双方と交差する方向に延びるように形成してもよい。例えば、各溝部40を、X軸方向及びY軸方向の双方と交差する第1方向に延びるように形成し、各溝部50を、X軸方向及びY軸方向の双方と交差するとともに第1方向と交差する第2方向に延びるように形成してもよい。この場合には、溝部40と溝部50とが平面視において互いに交差するように形成される。このため、本変更例では、溝部40と溝部50とが、平面視において、互いに部分的に重なるように形成される。本変更例では、例えば、複数の溝部40が第1方向とXY平面において直交する第3方向に沿って並んで設けられるとともに、複数の溝部50が第2方向とXY平面において直交する第4方向に沿って並んで設けられている。
【0077】
・例えば図12に示すように、各溝部40を、X軸方向及びY軸方向の双方と交差する第1方向に延びるように形成し、各溝部50を、Y軸方向に沿って延びるように形成してもよい。この場合には、溝部40と溝部50とが、平面視において、互いに部分的に重なるように形成される。
【0078】
・上記実施形態及び上記各変更例では、各溝部40,50を、未封止部21及び封止部22の両方に形成するようにしたが、これに限定されない。例えば、上記実施形態及び上記各変更例における各溝部40,50を、封止部22に設けないようにし、未封止部21のみに設けるようにしてもよい。
【0079】
例えば図13に示すように、封止部22の形成前の注入口15において、各溝部40,50を、封止部22となる部分に設けないようにしてもよい。本変更例では、封止部22となる部分が、注入路15rの長さ方向の中間部に設けられている。本変更例の各溝部40,50は、注入路15rの長さ方向の中間部に設けられていない。本変更例の各溝部40,50は、液管14に向かってY軸方向に沿って延びるとともに、注入路15rの長さ方向の中央部で分断されるように形成されている。具体的には、本変更例の各溝部40は、Y軸方向において封止部22となる部分よりも第1開口端15A側に設けられた溝部43と、Y軸方向において封止部22となる部分よりも第2開口端15B側に設けられた溝部44とを有している。本変更例の各溝部50は、Y軸方向において封止部22となる部分よりも第1開口端15A側に設けられた溝部53と、Y軸方向において封止部22となる部分よりも第2開口端15B側に設けられた溝部54とを有している。これら溝部43,44,53,54は、封止部22の形成後に、封止部22には設けられておらず、未封止部21のみに設けられる。
【0080】
この構成によれば、封止部22に溝部40,50が設けられないため、封止部22における注入口15の剛性が低下することを好適に抑制できる。
・上記実施形態及び上記各変更例では、各溝部40,50を、注入口15の長さ方向において、第1開口端15Aから液管14に向かって延びるように形成したが、これに限定されない。
【0081】
例えば図14に示すように、各溝部40,50を、注入口15の長さ方向において、第1開口端15Aから第2開口端15B側に離れた位置から液管14に向かって延びるように形成してもよい。
【0082】
図15に示すように、注入口15に多孔質体80を設けるようにしてもよい。多孔質体80は、例えば、金属層32の壁部32wに設けられている。本変更例の注入口15では、2つの壁部32wのそれぞれに多孔質体80が設けられている。各多孔質体80は、例えば、壁部32wと一体に形成されている。
【0083】
本変更例の多孔質体80は、金属層32の上面から窪む有底孔81と、金属層32の下面から窪む有底孔82と、有底孔81と有底孔82とが部分的に連通して形成された細孔83とを有している。有底孔81は、金属層32の上面から金属層32の厚さ方向の中央部にかけて窪むように形成されている。有底孔82は、金属層32の下面から金属層32の厚さ方向の中央部にかけて窪むように形成されている。有底孔81,82の深さは、例えば、25μm~100μm程度とすることができる。
【0084】
有底孔81,82の内面は、例えば、開口側(金属層32の上下面側)から底面側にかけて円弧状に連続する形状に形成されている。有底孔81,82の内側面は、断面視において、円弧状に湾曲した曲面に形成されている。有底孔81,82の底面は、例えば、円弧状に湾曲した曲面に形成されている。有底孔81,82の底面は、例えば、有底孔81,82の内側面と連続して形成されている。有底孔81,82の底面の曲率半径は、有底孔81,82の内側面の曲率半径と等しくてもよいし、有底孔81,82の内側面の曲率半径と異なっていてもよい。
【0085】
なお、有底孔81,82の内面を、断面形状が半円形や半楕円形となる凹形状としてもよい。ここで、本明細書において、「半円形」とは、真円を二等分した半円のみではなく、例えば、半円よりも円弧が長いものや短いものも含む。また、本明細書において、「半楕円形」とは、楕円を二等分した半楕円のみではなく、例えば、半楕円よりも円弧が長いものや短いものも含む。また、有底孔81,82の内面を、底面側から開口側に向かうに連れて拡がるテーパ形状としてもよい。また、有底孔81,82の底面を金属層32の上面と平行な平面に形成し、有底孔81,82の内側面を底面に対して垂直に延びるように形成してもよい。
【0086】
図16に示すように、有底孔81,82は、例えば、平面視円形状に形成されている。有底孔81,82の直径は、例えば、100μm~400μm程度とすることができる。なお、有底孔81,82の平面形状を、楕円形や多角形等の任意の形状とすることができる。
【0087】
複数の有底孔81は、例えば、金属層32の厚さ方向と直交する平面方向の一方向(ここでは、Y軸方向)に沿って並んで設けられている。複数の有底孔81は、例えば、Y軸方向に沿って所定の間隔を空けて設けられている。複数の有底孔82は、例えば、金属層32の厚さ方向と直交する平面方向の一方向(ここでは、Y軸方向)に沿って並んで設けられている。複数の有底孔82は、例えば、Y軸方向に沿って所定の間隔を空けて設けられている。本変更例の複数の有底孔81,82は、Y軸方向に沿って一直線上に並んで設けられている。各有底孔81は、平面視において、有底孔82と部分的に重複するように設けられている。各有底孔81は、平面視において、Y軸方向に隣接する2つの有底孔82の各々と部分的に重複するように設けられている。各有底孔81は、Y軸方向に隣接する2つの有底孔82を連通するように形成されている。また、各有底孔82は、平面視において、Y軸方向に隣接する2つの有底孔81の各々と部分的に重複するように設けられている。各有底孔82は、Y軸方向に隣接する2つの有底孔81を連通するように形成されている。有底孔81と有底孔82とが平面視で重複する部分において、有底孔81と有底孔82とは部分的に連通して細孔83を形成している。なお、図16では、金属層31が透視的に描かれている。
【0088】
図15に示すように、有底孔81,82は、例えば、注入路15rの内面を構成する壁部32wの側面から離れて設けられている。このため、有底孔81,82は、X軸方向において注入路15rと離れて設けられている。すなわち、有底孔81,82は、壁部32wの幅方向の中間部に設けられている。有底孔81,82は、注入路15rに直接接続されていない。有底孔81,82は、注入路15rに直接連通されていない。
【0089】
本変更例の溝部40,50は、多孔質体80と注入路15rとを連通するように形成されている。本変更例の溝部40は、有底孔81と注入路15rとを連通するように形成されている。溝部40は、例えば、上壁31uの内面31Aに形成されるとともに、壁部32wの内面31Aに形成されている。図16に示すように、各溝部40は、例えば、1つの有底孔81と注入路15rとを連通するように形成されている。各溝部40は、例えば、平面視において、X軸方向及びY軸方向の双方に交差する方向に延びるように形成されている。各溝部40は、例えば、第1開口端15A側から各有底孔81に向かって延びるように形成されている。図15に示すように、本変更例の溝部50は、有底孔82と注入路15rとを連通するように形成されている。溝部50は、例えば、下壁33dの内面33Aに形成されるとともに、壁部33wの内面33Aに形成されている。図16に示すように、各溝部50は、例えば、1つの有底孔82と注入路15rとを連通するように形成されている。各溝部50は、例えば、平面視において、X軸方向及びY軸方向の双方に交差する方向に延びるように形成されている。各溝部50は、例えば、各有底孔82から液管14(図3参照)に向かって延びるように形成されている。このように、本変更例の注入口15では、有底孔81,82と細孔83と溝部40,50とが互いに連通している。そして、これら有底孔81,82と細孔83と溝部40,50とが連通して形成された空間が三次元的に広がっている。なお、図15及び図16は、封止前の注入口15を示している。また、図15は、図16の15a-15a線に対応する位置の注入口15の断面を示している。
【0090】
この構成によれば、注入口15を通じて流路16内に作動流体Cを注入する際に、注入口15の内面に設けた溝部40,50により毛細管力が生じるとともに、注入口15に設けた多孔質体80により毛細管力が生じる。これら溝部40,50及び多孔質体80による毛細管力により、作動流体Cをループ型ヒートパイプ10の内部に引き込みやすくなる。これにより、溝部40,50や多孔質体80が設けられていない場合に比べて、作動流体Cをループ型ヒートパイプ10の内部に容易に注入することができる。
【0091】
なお、本変更例において、有底孔81は第1有底孔の一例、有底孔82は第2有底孔の一例である。
・上記実施形態では、溝部40と溝部50とを、平面視において互いに重ならないようにしたが、これに限定されない。例えば、溝部40と溝部50とを、平面視において互いに重なるように設けてもよい。例えば、溝部40の全体が平面視において溝部50と重なるように形成されていてもよい。例えば、溝部40と溝部50とを、平面視において互いに部分的に重なるように設けてもよい。
【0092】
・上記実施形態における溝部40,50の横断面形状は、適宜変更することができる。例えば、各溝部40,50の内面を、底面側から開口側に向かうに連れて拡がるテーパ形状としてもよい。各溝部40,50の内面を、開口側から底面側にかけて円弧状に連続する形状に形成してもよい。各溝部40,50の内面を、断面形状が半円形や半楕円形となる凹形状としてもよい。各溝部40,50の底面を金属層31の内面31Aと平行な平面に形成し、各溝部40,50の内側面を底面に対して垂直に延びるように形成してもよい。
【0093】
・上記実施形態では、複数の溝部40,50を、X軸方向において所定の間隔を空けて設けるようにしたが、これに限定されない。
例えば図17に示すように、複数の溝部40を連なって形成するようにしてもよい。本変更例の複数の溝部40は、注入口15の幅方向(ここでは、X軸方向)に沿って連続して形成されている。各溝部40の内面は、例えば、横断面形状が半楕円形状又は半円形状となる凹形状に形成されている。本変更例の各溝部40の内面の横断面形状は、半円弧状に形成されている。複数の溝部40の内面の横断面形状は、複数の溝部40の半円弧がX軸方向に沿って連続する形状に形成されている。
【0094】
同様に、複数の溝部50を連なって形成するようにしてもよい。本変更例の複数の溝部50は、注入口15の幅方向(ここでは、X軸方向)に沿って連続して形成されている。各溝部50の内面は、例えば、横断面形状が半楕円形状又は半円形状となる凹形状に形成されている。本変更例の各溝部50の内面の横断面形状は、半円弧状に形成されている。複数の溝部50の内面の横断面形状は、複数の溝部50の半円弧がX軸方向に沿って連続する形状に形成されている。本変更例の各溝部50は、平面視において、各溝部40と重なるように形成されている。
【0095】
次に、図18及び図19に従って、本変更例のループ型ヒートパイプ10の製造方法について説明する。
まず、図18(a)に示す工程では、平板状の金属シート91を準備する。金属シート91は、最終的に図17に示した金属層31となる部材である。金属シート91は、例えば、銅、ステンレス、アルミニウム、マグネシウム合金等から構成されている。金属シート91の厚さは、例えば、50μm~200μm程度とすることができる。
【0096】
続いて、金属シート91の下面にレジスト層92を形成し、金属シート91の上面にレジスト層93を形成する。レジスト層92,93としては、例えば、感光性のドライフィルムレジスト等を用いることができる。
【0097】
次いで、図18(b)に示す工程では、レジスト層92を露光及び現像して、金属シート91の下面を選択的に露出する複数の開口部92Xを形成する。開口部92Xは、図17に示す複数の溝部40に対応するように形成される。
【0098】
次に、図18(c)に示す工程では、開口部92X内に露出する金属シート91を、金属シート91の下面側からエッチング(ハーフエッチング)する。これにより、金属シート91の下面に、図中左右方向に沿って連なる複数の溝部40が形成される。金属シート91のエッチングには、例えば、塩化第二鉄溶液を用いることができる。
【0099】
続いて、レジスト層92,93を剥離液により剥離する。これにより、図18(d)に示すように、複数の半円弧が連続した内面からなる凹部、つまり複数の溝部40を内面31Aに有する金属層31を形成することができる。
【0100】
次に、図19(a)に示す工程では、図18(a)~18(d)に示した工程と同様の方法により、金属層33を形成し、図7(a)~図7(d)に示した工程と同様の方法により、金属層32を形成する。
【0101】
続いて、図19(b)に示す工程では、所定温度(例えば、900℃程度)に加熱しながら積層した金属層31~33をプレスすることにより、固相接合にて金属層31~33を接合する。以上の工程により、図17に示した構造体を製造することができ、本変更例のループ型ヒートパイプ10を製造することができる。
【0102】
・上記実施形態のループ型ヒートパイプ10では、内層金属層を、単層の金属層32のみにより構成するようにした。すなわち、内層金属層を単層構造とした。しかし、これに限定されない。例えば、内層金属層を、複数層の金属層が積層された積層構造としてもよい。この場合の内層金属層は、金属層31と金属層33との間に複数層の金属層が積層されて構成される。
【0103】
・上記実施形態の注入口15を、ループ型ヒートパイプ10以外の形状のヒートパイプに適用してもよい。例えば、注入口15を、扁平型のヒートパイプに適用してもよい。
以上の様々な実施の形態をまとめると、以下のようになる。
(付記1)
作動流体を注入する注入口を有するヒートパイプであって、
前記注入口は、
第1外層金属層と、
第2外層金属層と、
前記第1外層金属層と前記第2外層金属層との間に設けられた単層又は複数層の内層金属層と、
前記第1外層金属層と前記第2外層金属層と前記内層金属層とにより画定されるとともに、前記作動流体が内部を移動する注入路と、を有し、
前記第1外層金属層は、前記第2外層金属層と対向し、前記注入路の内面を構成する第1内面を有し、
前記第1外層金属層の前記第1内面は、1つ又は複数の第1溝部を有するヒートパイプ。
(付記2)
前記第2外層金属層は、前記第1外層金属層と対向し、前記注入路の内面を構成する第2内面を有し、
前記第2外層金属層の前記第2内面は、1つ又は複数の第2溝部を有する付記1に記載のヒートパイプ。
(付記3)
前記第2溝部は、平面視において、前記第1溝部と重ならないように設けられている付記2に記載のヒートパイプ。
(付記4)
前記第2溝部は、平面視において、前記第1溝部と部分的に重なるように設けられている付記2に記載のヒートパイプ。
(付記5)
前記注入口は、未封止部と、前記未封止部に連結する封止部とを有し、
前記第1溝部は、前記封止部には設けられておらず、前記未封止部のみに設けられている付記1から付記4のいずれか1つに記載のヒートパイプ。
(付記6)
前記注入口は、多孔質体を有し、
前記多孔質体は、前記内層金属層の一方の面側から窪む第1有底孔と、前記内層金属層の他方の面側から窪む第2有底孔と、前記第1有底孔と前記第2有底孔とが部分的に連通して形成された細孔とを有し、
前記第1溝部は、前記第1有底孔と前記注入路とを連通するように形成されている付記1から付記5のいずれか1つに記載のヒートパイプ。
(付記7)
前記内層金属層は、前記内層金属層を厚さ方向に貫通する貫通孔と、前記注入口の幅方向において前記貫通孔の両側に設けられた一対の壁部とを有し、
前記注入路は、前記一対の壁部と前記第1外層金属層と前記第2外層金属層とにより画定されており、
前記多孔質体は、前記壁部に設けられている付記6に記載のヒートパイプ。
(付記8)
前記作動流体を気化させる蒸発器と、
前記作動流体を液化する凝縮器と、
前記蒸発器と前記凝縮器とを接続する液管と、
前記蒸発器と前記凝縮器とを接続する蒸気管と、
前記作動流体が流れるループ状の流路と、を更に有し、
前記注入路は、前記流路に連通するように設けられている付記1から付記7のいずれか1つに記載のヒートパイプ。
(付記9)
前記注入口は、前記液管に接続されており、
前記液管は、多孔質部を有し、
前記第1溝部は、前記液管に向かって延びるとともに、前記液管の前記多孔質部とは離間している付記8に記載のヒートパイプ。
(付記10)
前記第1外層金属層は、複数の前記第1溝部を有し、
前記複数の第1溝部は、前記注入口の幅方向において、互いに連続して形成されている付記1から付記9のいずれか1つに記載のヒートパイプ。
【符号の説明】
【0104】
C 作動流体
Cv 蒸気
M1 電子機器
10 ループ型ヒートパイプ
11 蒸発器
12 蒸気管
12r,13r,14r,16 流路
13 凝縮器
14 液管
15 注入口
15r 注入路
15w 管壁
21 未封止部
22 封止部
31 金属層
31A 内面
31u 上壁
31w 壁部
32 金属層
32w 壁部
32X 貫通孔
33 金属層
33A 内面
33d 下壁
33w 壁部
40,41,42,43,44 溝部
50,51,52,53,54 溝部
60 多孔質部
80 多孔質体
81 有底孔
82 有底孔
83 細孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19