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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167589
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】受信装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/462 20110101AFI20231116BHJP
   H04N 21/442 20110101ALI20231116BHJP
   H04B 1/16 20060101ALI20231116BHJP
   H04H 20/24 20080101ALI20231116BHJP
   H04H 20/26 20080101ALI20231116BHJP
   H04H 40/18 20080101ALI20231116BHJP
   H04H 60/82 20080101ALI20231116BHJP
【FI】
H04N21/462
H04N21/442
H04B1/16 G
H04H20/24
H04H20/26
H04H40/18
H04H60/82
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078883
(22)【出願日】2022-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅内 哲也
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 充志
【テーマコード(参考)】
5C164
5K061
【Fターム(参考)】
5C164FA11
5C164TA05S
5C164TA08S
5C164UB41P
5C164UC27P
5C164YA24
5C164YA25
5K061BB10
5K061BB15
5K061BB17
5K061CC45
(57)【要約】
【課題】衛星放送の受信品質が低下しても視聴を継続できるようにする。
【解決手段】受信装置1は、BS放送を受信する放送受信部11と、放送同時配信を受信する配信受信部12と、出力機器15への出力を、放送受信部11で受信したBS放送と、配信受信部12で受信した放送同時配信との間で切り替える切替部13と、配信受信部12と切替部13を制御する監視・制御部14と、を有する。監視・制御部14は、BS放送の受信品質を示すデータが、第1閾値Th1未満になると、出力機器15への出力を、BS放送から放送同時配信に切り替える。放送同時配信への切り替え後に、受信品質を示すデータが、第2閾値Th2以上になると、出力機器15への出力を、放送同時配信からBS放送に切り替える。第2閾値Th2は、第1閾値Th1よりも受信品質が良くなる側にオフセットした値に設定されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送衛星を利用した放送と、インターネット回線を利用した放送同時配信の両方を受信可能な受信装置であって、
前記放送衛星を利用した放送を受信する放送受信部と、
前記インターネット回線を利用した放送同時配信を受信する配信受信部と、
出力機器への出力を、前記放送受信部で受信した放送と、前記配信受信部で受信した配信との間で切り替える切替部と、
前記配信受信部と前記切替部を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記放送受信部で受信した放送の受信品質を示すデータが、第1閾値未満になると、前記出力機器への出力を、前記放送から前記放送同時配信に切り替え、
前記放送同時配信への切り替え後に、前記受信品質を示すデータが、第2閾値以上になると、前記出力機器への出力を、前記放送同時配信から前記放送に切り替え、
前記第2閾値は、前記第1閾値よりも前記受信品質が良くなる側にオフセットした値に設定されている、受信装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記放送を前記出力機器に出力している間、前記配信受信部による前記放送同時配信の受信を停止させており、
前記制御部は、
前記放送を前記出力機器に出力しているときに、前記受信品質を示すデータが前記第2閾値未満になると、前記配信受信部による放送同時配信の受信を開始し、
前記制御部は、
前記受信品質を示すデータが第3閾値以上になると、前記配信受信部による放送同時配信の受信を停止し、
前記第3閾値は、前記第2閾値よりも前記受信品質が良くなる側にオフセットした値に設定されている、請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記放送を前記出力機器に出力している間、前記配信受信部による前記放送同時配信の受信に帯域制限をかけており、
前記制御部は、
前記放送を前記出力機器に出力しているときに、前記受信品質を示すデータが第2閾値未満になると、前記帯域制限を解消し、
前記制御部は、
前記受信品質を示すデータが第3閾値以上になると、前記配信受信部による放送同時配信の受信の帯域制限を開始し、
前記第3閾値は、前記第2閾値よりも前記受信品質が良くなる側にオフセットした値に設定されている、請求項1に記載の受信装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記放送を前記出力機器に出力している間、前記配信受信部による前記放送同時配信の受信に帯域制限をかけており、
前記制御部は、
前記放送を前記出力機器に出力しているときに、前記受信品質を示すデータが第4閾値未満になると、前記帯域制限を解消し、
前記制御部は、
前記受信品質を示すデータが第3閾値以上になると、前記配信受信部による放送同時配信の受信の帯域制限を開始し、
前記第3閾値は、前記第2閾値よりも前記受信品質が良くなる側にオフセットした値に設定されており、
前記第4閾値は、前記第1閾値と前記第2閾値の間の値に設定されている、請求項1に記載の受信装置。
【請求項5】
前記第1閾値は、前記放送衛星を利用した放送の受信限界を規定する下限値よりも、前記受信品質が良くなる側にオフセットした値に設定されている、請求項1から請求項4の何れか一項に記載の受信装置。
【請求項6】
前記受信品質を規定するデータは、C/N、MER、BERのうちの少なくともひとつである、請求項5に記載の受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星放送と、インターネット回線を利用した放送同時配信の受信が可能な受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
衛星放送は降雨減衰による影響を受けやすく、豪雨災害等の場合に放送が一時的に受信できない可能性がある。降雨減衰に対する補償の手段には階層伝送が挙げられるが、階層伝送は伝送容量が小さく限られており、画質も十分とは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-162211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、放送経由の情報とインターネット経由の情報を切り替える方式を開示する。
降雨減衰により衛星放送の受信品質が低下したときに、放送衛星を利用した放送を、インターネット回線を利用した放送同時配信に切り替えることが考えられる。この場合、降雨減衰に起因する受信不良を回避することができる。
しかし、特許文献1のように、インターネット回線に常時接続して、放送同時配信を衛星放送に並行して受信すると、定額制でないインターネット接続サービスを利用する場合には、利用者の負担が大きくなる。
【0005】
また、降雨に起因する衛星放送の受信品質の低下の程度には振れがある。そのため、放送衛星を利用した放送と、インターネット回線を利用した放送同時配信との切り替えが頻繁に起こる場合も想定される。かかる切り替えが頻繁に起こると、利用者に煩わしさを感じさせる可能性もある。
【0006】
本発明は、前記した問題点に鑑み創案されたもので、降雨減衰などに起因して衛星放送の受信品質が低下した時に、利用者の負担を抑えつつ、インターネット同時配信に切り替えて視聴を継続できる受信装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、実施形態の一態様として、放送衛星を利用した放送と、インターネット回線を利用した放送同時配信の両方を受信可能な受信装置であって、前記放送衛星を利用した放送を受信する放送受信部と、前記インターネット回線を利用した放送同時配信を受信する配信受信部と、出力機器への出力を、前記放送受信部で受信した放送と、前記配信受信部で受信した配信との間で切り替える切替部と、前記配信受信部と前記切替部を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記受信品質を示すデータが、第1閾値未満になると、前記出力機器への出力を、前記放送から前記放送同時配信に切り替え、前記放送同時配信への切り替え後に、前記受信品質を示すデータが、第2閾値以上になると、前記出力機器への出力を、前記放送同時配信から前記放送に切り替え、前記第2閾値は、前記第1閾値よりも前記受信品質が良くなる側にオフセットした値に設定されている、構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、衛星放送の受信品質が低下した時に、利用者の負担を抑えつつ、インターネット同時配信に切り替えて視聴を継続できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る受信装置を採用した放送システムの概略構成図である。
図2図1の受信装置での処理を説明するタイミングチャートである。
図3図1の受信装置での処理を説明するフローチャートである。
図4】受信品質と2つの閾値との比較により、BS放送と放送同時配信を切り替える場合のタイミングチャートである。
図5図1の受信装置での変形例1にかかる処理を説明するフローチャートである。
図6図1の受信装置での変形例2にかかる処理を説明するタイミングチャートである。
図7図1の受信装置での変形例2にかかる処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、放送システム100の受信装置1に適用した場合を例に挙げて説明する。
図1に示すように、放送システム100では、放送衛星BSが、アップリンク主局MSから放送衛星BSに向けて送信(アップリンク)された電波を受信する。放送衛星BSは、受信した電波を周波数変換したのち、地上に向けて再送信する。
さらに、放送システム100では、放送局に設置された同時配信サーバSVが、インターネット回線INに、放送同時配信のIPストリーミング信号を出力する。
【0011】
アンテナ20(BSアンテナ)は、放送衛星BSから地上に向けて再送信(ダウンリンク)されたBS放送の信号(放送波)を受信する。
アンテナ20は、受信したBS放送の信号を、より低い周波数に変換する周波数変換を行って、生成したBS-IF(中間周波数)の信号を生成する。生成されたBS-IFの信号は、受信装置1に入力される。ここで、BS-IFは、BS周波数から局部発振周波数を引いた値である。
【0012】
放送システム100は、放送衛星BSを利用したBS放送と、インターネット回線INを利用した放送同時配信の両方を受信可能な受信装置1を備える。
受信装置1は、放送受信部11と、配信受信部12と、切替部13と、監視・制御部14(制御部)と、を有する。
【0013】
放送受信部11は、BS放送を受信するものである。放送受信部11は、図示しない入出力ポートを介してアンテナ20に接続されている。放送受信部11には、アンテナ20からBS-IFの信号が入力される。
放送受信部11は、入力されたBS-IFの信号を、映像・音声のベースバンド信号(例えば、HDMI信号:登録商標、以下、表記を省略)に変換して、切替部13に出力する。なお、本明細書では、映像・音声のベースバンド信号の一例として、HDMI信号を例示した。映像・音声のベースバンド信号は、HDMI信号に限定されるものではない。
さらに、放送受信部11は、BS放送の受信品質を示すデータを算出する。具体的には、放送受信部11は、入力されたBS-IFの信号のC/Nを算出する。ここで、C/Nとは、Carrier(キャリア:信号)とNoise(ノイズ:雑音)の比である。
本実施形態では、放送受信部11に入力される信号(BS-IFの信号)のC/Nを、BS放送の受信品質を数値で示すデータとして採用している。以下、BS放送の受信品質を、受信品質(C/N)とも表記する。
【0014】
配信受信部12は、放送同時配信を受信するものである。配信受信部12は、図示しない入出力ポートを介してインターネット回線INに接続されている。配信受信部12におけるインターネット回線INとの接続態様は、有線、無線の何れでも良い。
配信受信部12には、同時配信サーバSVが出力したIPストリーミング信号が入力される。
配信受信部12は、インターネット回線INを介して受信したIPストリーミング信号を、映像・音声のベースバンド信号(HDMI信号)に変換して、切替部13に出力する。
【0015】
切替部13は、出力機器15への出力を、放送受信部11で受信したBS放送と、配信受信部12で受信した放送同時配信との間で切り替えるものである。切替部13は、当該切替部13に接続された出力機器15に、配信受信部12から入力されたHDMI信号と、放送受信部11から入力されたHDMI信号のうちの一方を出力する。出力機器15は、例えば、文字・画像などの映像情報と、音声情報を出力可能なテレビである。
出力機器15に出力されるHDMI信号は、監視・制御部14の指示に基づいて、配信受信部12から入力されたHDMI信号と、放送受信部11から入力されたHDMI信号との間で切り替えられる。ここで、「BS放送を選択」とは、放送受信部11から入力されたHDMI信号が出力機器15に出力されるように切替部13を設定することを意味する。「放送同時配信を選択」とは、配信受信部12から入力されたHDMI信号が出力機器15に出力されるように切替部13を設定することを意味する。
【0016】
監視・制御部14(制御部)は、配信受信部12と切替部13を制御するものである。監視・制御部14(制御部)は、BS放送の受信品質を監視する。監視・制御部14は、図示しない記憶部に記憶されたプログラムに規定された処理を実行する機能ブロックである。
監視・制御部14は、放送受信部11で算出されるBS放送の受信品質を示すデータ(C/N)を、予め決められた時間間隔で取得する。監視・制御部14は、取得したC/Nと閾値との比較により、BS放送の受信品質を確認する。監視・制御部14は、確認した受信品質に基づいて、配信受信部12による放送同時配信の受信を制御する。監視・制御部14は、出力機器15に出力されるHDMI信号を、受信品質に基づいて、配信受信部12から入力されたHDMI信号と、放送受信部11から入力されたHDMI信号との間で切り替える。
【0017】
つまり、監視・制御部14は、放送を出力機器に出力している間、配信受信部12による放送同時配信の受信を停止させている。そして、監視・制御部14は、放送を出力機器15に出力しているときに、受信品質を示すデータが第2閾値Th2未満になると、配信受信部12による放送同時配信の受信を開始し、受信品質を示すデータが第3閾Th3値以上になると、配信受信部12による放送同時配信の受信を停止している。なお、第3閾値Th3は、第2閾値Th2よりも受信品質が良くなる側にオフセットした値に設定されている。
【0018】
本実施形態では、C/Nと比較される閾値として、3つの閾値(第1閾値Th1、第2閾値Th2、第3閾値Th3)が用意されている(図2参照)。
第1閾値は、出力機器15への出力をBS放送から放送同時配信に切替える判断に用いられる閾値である。
第2閾値は、出力機器15への出力を放送同時配信からBS放送に切替える判断と、
放送同時配信への切替準備の開始判断に用いられる閾値である。
第3閾値は、放送同時配信の受信終了、または受信制限(帯域制限)の開始の判断に用いられる閾値である。
【0019】
図2に示すように、本実施形態では、第1閾値Th1は、BS放送の受信限界となるC/N(所要C/N)よりも、受信品質が良くなる側の値に設定されている。第2閾値Th2は、第1閾値Th1よりも受信品質が良くなる側の値に設定されている。第3閾値Th3は、第2閾値Th2よりも受信品質が良くなる側の値に設定されている。
よって、C/Nにおける閾値(第1閾値Th1~第3閾値Th3)は、以下の関係で設定されている。
Th3>Th2>Th1>所要C/N
【0020】
ここで、放送受信部11で算出されるBS放送の受信品質には揺らぎがあり、C/Nの値にも大凡±1dB程度の振れがある。
そのため、第1閾値Th1は、所要C/Nの値よりも、受信品質が良くなる側に少なくとも1.0dB程度離れた値に設定されていることが好ましい。なお、所要C/Nの値は、映像規格に応じて異なる。
【0021】
本実施形態では、第2閾値Th2を、放送同時配信からBS放送に切替える判断と、放送同時配信への切替準備の開始判断の2つの用途に用いている。
受信装置1では、BS放送の受信品質が良好で、放送同時配信への切替が必要ない間、配信受信部12による放送同時配信の受信を停止している。そのため、配信受信部12による放送同時配信の受信には、インターネット回線INへの接続を確立して、同時配信サーバSVがインターネット回線INに出力したIPストリーミング信号を受信する必要がある。
本実施形態では、インターネット回線INへの接続確立に要する時間を考慮して、第2閾値Th2の値を設定しており、放送同時配信を受信して切替部13に出力可能になるまでの時間を確保している。これにより、BS放送から放送同時配信に切り替えた際に、放送同時配信の出力が間に合わなくなる可能性を低減させている。
【0022】
本実施形態では、放送同時配信からBS放送への切り替え(復帰)を判断する第2閾値Th2を、第1閾値Th1よりも放送品質が良くなる側にオフセットした値に設定している。
降雨減衰時には上空の雨雲などの状況に応じて、BS放送の受信品質に揺らぎが生じる。
第2閾値Th2と第1閾値Th1との差が小さいと、出力機器15への出力が、BS放送と放送同時配信との間で頻繁に切り替わる現象、いわゆるチャタリングが発生する可能性がある。本実施形態では、チャタリングの発生を防ぐことができるようにするために、第2閾値Th2は、第1閾値Th1よりも受信品質が良くなる側に少なくとも1dB、より好ましくは2dBオフセットした値に設定している。
【0023】
本実施形態では、放送同時配信の受信終了を判断する第3閾値Th3を、第2閾値Th2よりも放送品質が良くなる側にオフセットした値に設定している。
放送同時配信からBS放送への切り替えと同時ではなく、BS放送への切替後に放送同時配信を受信終了するようにするためである。
放送同時配信からBS放送への切替後に、受信品質の揺らぎにより、C/Nが第2閾値Th2よりも受信品質が悪い側の値となる可能性がある。かかる場合、同時配信の受信と終了を繰り返す可能性がある。本実施形態では、かかる事態の発生を防ぐために、第3閾値Th3を、第2閾値Th2よりも受信品質が良くなる側に少なくとも1dB、より好ましくは2dBオフセットした値に設定している。
【0024】
以下、図3のフローチャートを参照して、受信装置1の動作を説明する。
前記したように、放送受信部11(図1参照)には、BS放送を受信したアンテナ20から、BS-IFの信号が連続的に入力される。放送受信部11は、入力されたBS-IFの信号を、HDMI信号に変換して切替部13に出力する一方で、入力されたBS-IFの信号のC/Nを算出する。
【0025】
監視・制御部14は、図3のフローチャートの手順に従って、C/Nと閾値とを比較して、比較結果に応じた処理を実施する。
具体的には、監視・制御部14は、予め決められた時間間隔で、BS放送の受信品質を示すC/Nを、放送受信部11から取得する(ステップS101)。
監視・制御部14は、ステップS101で取得したC/Nと、第3閾値Th3と、を比較する(ステップS102)。第3閾値Th3は、放送同時配信の受信終了の判断に用いられる閾値である。
放送同時配信を受信していない段階で、降雨減衰などにより受信品質(C/N)が第3閾値Th3以下まで低下した場合には、ステップS102の判断は肯定されて、ステップS103の処理に移行する。
ステップS103において監視・制御部14は、ステップS101で取得したC/Nと、第2閾値Th2と、を比較する。第2閾値Th2は、放送同時配信からBS放送への切替判断と、放送同時配信の受信準備の開始判断に用いられる閾値である。
放送同時配信を受信していない段階で、降雨減衰などにより受信品質(C/N)が第2閾値Th2未満まで低下した場合には、ステップS103の判断は肯定されて、ステップS104の処理に移行する。
【0026】
ステップS101で取得したC/Nが、第2閾値Th2未満(C/N<Th2)である場合(ステップS103、Yes)、監視・制御部14は、切替部13から出力機器15に出力されているのが、BS放送であるか否かを確認する(ステップS104)。
切替部13から出力機器15に出力されているのが、BS放送である場合(ステップS104、Yes)、監視・制御部14は、放送同時配信が、配信受信部12で受信されている否かを確認する(ステップS105)。
放送同時配信を受信していない段階で、降雨減衰などにより受信品質(C/N)が第2閾値Th2未満まで低下した最初の時点では、放送同時配信の受信が行われていない。ステップS105では、放送同時配信の受信準備が必要であるかを確認している。
【0027】
放送同時配信の受信が行われていない場合(ステップS105、No)、監視・制御部14は、放送同時配信の受信準備を開始する(ステップS106)。
具体的には、監視・制御部14は、配信受信部12とインターネット回線INとの接続を確立して、配信受信部12が、同時配信サーバSVがインターネット回線INに出力したIPストリーミング信号を受信できるようにする。
これにより、受信装置1では、放送同時配信のHDMI信号を、衛星放送のHDMI信号に代えて、切替部13から出力機器15に出力する準備が完了することになる。
【0028】
一方、放送同時配信の受信が行われている場合(ステップS105、Yes)、ステップS106の処理がスキップされる。既に、放送同時配信の受信準備が完了していることになるからである。
【0029】
続いて、監視・制御部14は、ステップS101で取得したC/Nが、第1閾値Th1より小さいか否かを確認する(ステップS107)。第1閾値Th1は、第2閾値Th2よりも受信品質が悪い側の値に設定されている。
ステップS101で取得したC/Nが、第1閾値Th1より小さい場合(ステップS107、Yes)、現時点のBS放送の受信品質が、放送同時配信への切替が必要な品質であることになる。よって、監視・制御部14は、出力機器15への出力を、BS放送から放送同時配信に切り替える(ステップS108)。具体的には、切替部13に対して、放送受信部11からのMDMI信号に代えて、配信受信部12からのHDMI信号を出力機器15に出力させる指令を出力する(放送同時配信選択)。
【0030】
なお、ステップS107とステップS108との間に、放送同時配信の受信準備が完了しているか否かを確認するステップを追加して、放送同時配信の受信準備が完了していない場合に、ステップS108をスキップするようにしても良い。
放送同時配信の受信準備が完了していない状態とは、一例として、同時配信サーバSVへの接続と認証が完了しておらず、出力機器15への同時配信信号(映像・音声)の出力ができない状態を意味する。
【0031】
一方、ステップS101で取得したC/Nが、第1閾値Th1よりも大きい場合(ステップS107、No)、現時点のBS放送の受信品質が、BS放送から放送同時配信への切替を必要とする品質ではないことになる。かかる場合には、ステップS108の処理がスキップされる。これにより、今回のC/Nの取得タイミングでの処理が終了することになる。
【0032】
このように、BS放送を出力機器15に出力しているときに、降雨減衰などにより受信品質(C/N)が低下した場合には、受信品質(C/N)が第2閾値Th2よりも悪化した時点で、BS放送から放送同時配信への切り替え準備が開始される。そして、受信品質(C/N)が第1閾値Th1よりも悪化した時点で、BS放送から放送同時配信への切り替えが行われる。
【0033】
なお、前記したステップS104において、切替部13から出力機器15に出力されているのが、BS放送でない場合(ステップS104、No)、切替部13から出力機器15に、放送同時配信が出力されていることになる。
かかる場合、現時点が、BS放送から放送同時配信への切替後であって、BS放送への復帰を待っている時点ということになる。この時点で、C/Nが第2閾値Th2よりも小さいということは、BS放送の受信品質が、放送同時配信からBS放送への切替(復帰)に必要な品質でないことになる。かかる場合には、ステップS105からステップS108の処理は必要ないので、スキップされる。これにより、今回のC/Nの取得タイミングでの処理が終了することになる。
【0034】
放送同時配信への切り替え後に、C/Nが新たに取得されると(ステップS101)、取得されたC/Nと第3閾値Th3との比較が実施される(ステップS102)。
放送同時配信への切り替え直後のC/Nは、通常、第3閾値Th3よりも大きい値になることはない。かかる場合、ステップS102の判断は肯定されて、ステップS103の処理に移行する。
【0035】
監視・制御部14は、ステップS101で取得されたC/Nと、第2閾値Th2と、を比較する(ステップS103)。
放送同時配信への切替後に実施されるステップS103の処理では、第2閾値Th2は、放送同時配信からBS放送への切り替え(復帰)の判断に用いられる。
放送同時配信への切り替え後に受信品質が改善されて、ステップS101で取得した受信品質(C/N)が、第2閾値Th2以上になると(C/N≧Th2)、ステップS103の判断は否定されて(ステップS103、No)、ステップS109の処理に移行する。
【0036】
ステップS109は、放送同時配信からBS放送への切り替え(復帰)の判断ステップである。
監視・制御部14は、配信受信部12が放送同時配信を受信中であるか否かを確認する(ステップS109)。配信受信部12が放送同時配信を受信している場合(ステップS109、Yes)には、監視・制御部14は、出力機器15への出力を、放送同時配信からBS放送に切り替える。具体的には、切替部13に対して、配信受信部12からのHDMI信号に代えて、放送受信部11からのHDMI信号を出力機器15に出力させる指令を出力する(BS受信選択)。
【0037】
BS放送から放送同時配信への切替後は、配信受信部12が、放送同時配信の受信を継続する。よって、C/Nが第2閾値Th2よりも大きく、かつ配信受信部12が放送同時配信を受信している場合(ステップS109、Yes)、現時点が、放送同時配信からBS放送への切り替え(復帰)を待っている時点ということになる。この時点で、C/Nが第2閾値Th2よりも大きいということは、BS放送の受信品質が、BS放送への切替(復帰)が可能な受信品質であるということになる。かかる場合には、放送同時配信からBS放送に切り替えられることになる(ステップS110)。
【0038】
一方、配信受信部12が放送同時配信を受信していない場合(ステップS109、No)には、監視・制御部14は、ステップS110の処理をスキップする。
現時点が、BS放送から放送同時配信への切替後であって、BS放送への切り替え(復帰)を待っている時点ではない、ということになるからである。これにより、今回のC/Nの取得タイミングでの処理が終了することになる。
【0039】
そして、次回以降のC/Nの取得のタイミングで、ステップS101で取得した受信品質(C/N)が、第3閾値Th3以上になると(C/N≧Th3)、ステップS102の判断は否定されて(ステップS102、No)、ステップS111の処理に移行する。
ステップS111は、放送同時配信からBS放送への切替後の放送同時配信の受信停止を判断するステップである。
監視・制御部14は、配信受信部12が放送同時配信を受信中であるか否かを確認する(ステップS111)。配信受信部12が放送同時配信を受信している場合(ステップS111、Yes)には、監視・制御部14は、配信受信部12による放送同時配信の受信を終了する(ステップS112)。
【0040】
ここで、放送同時配信からBS放送への切替後の段階では、配信受信部12での放送同時配信の受信が継続している。よって、C/Nが第3閾値Th3よりも大きく、かつ配信受信部12が放送同時配信を受信している場合、現時点が、放送同時配信からBS放送への切替後の放送同時配信の受信を継続している時点ということになる。この時点で、C/Nが第3閾値Th3よりも大きいということは、BS放送の受信品質が、放送同時配信への切り替えを必要としない良好な受信品質であるということになる。かかる場合には、通信量の増大を防ぐために、配信受信部12での放送同時配信の受信を終了することになる(ステップS112)。
【0041】
一方、配信受信部12が放送同時配信を受信していない場合(ステップS111、No)には、監視・制御部14は、ステップS112の処理をスキップする。
現時点が、放送同時配信からBS放送への切替後の放送同時配信の受信を継続している時点ではない、ということになるからである。これにより、今回のC/Nの取得タイミングでの処理が終了することになる。
【0042】
このように、監視・制御部14(制御部)は、BS放送を出力機器15に出力している間、配信受信部12による放送同時配信の受信を停止させる。
監視・制御部14は、BS放送を出力機器15に出力しているときに、受信品質を示すデータ(C/N)が、第2閾値Th2未満になると、配信受信部12による放送同時配信の受信を開始する。
監視・制御部14は、放送受信部11で受信したBS放送の受信品質を示すデータ(C/N)が、第1閾値Th1未満になると、出力機器15への出力を、BS放送から放送同時配信に切り替える。
監視・制御部14は、放送同時配信への切り替え後に、受信品質を示すデータ(C/N)が、第2閾値Th2以上になると、出力機器15への出力を、放送同時配信からBS放送に切り替える。
【0043】
次に、図2のタイミングチャートを用いて、受信装置1の動作を説明する。
降雨減衰のない晴天時には、BS放送の受信品質(C/N)は、第3閾値Th3よりも大きい値となる。
例えば豪雨などの発生により、降雨減衰が生じると、C/Nが低下する(時刻t1から時刻t2)そして、C/Nの低下が継続して、第2閾値Th2よりも低くなると(時刻t3)、監視・制御部14が、配信受信部12による放送同時配信の受信を開始する(図3:ステップS106)。これにより、配信受信部12とインターネット回線INとの接続が確立されて(時刻t4)、配信受信部12が、同時配信サーバSVがインターネット回線INに出力したIPストリーミング信号を受信できるようになる。
【0044】
C/Nの低下が継続して、C/Nが第1閾値Th1よりも低くなると(時刻t5)、出力機器15への出力が、BS放送から放送同時配信に切り替えられる。
これにより、C/Nがさらに低下して、BS受信限界のC/Nよりも小さくなっても(時刻t6から時刻t7)、出力機器15(テレビTV)には、放送同時配信が出力されているので、テレビTVの視聴者は、降雨減衰の影響を大きく受けることなく、視聴を継続できることになる。
【0045】
そして、受信品質の改善によりC/Nが上昇して、C/Nが、第2閾値Th2よりも大きくなると(時刻t8)、出力機器15への出力が、放送同時配信からBS放送に切り替えられる。C/Nがさらに上昇して、C/Nが、第3閾値Th3よりも大きくなると(時刻t9)、配信受信部12とインターネット回線INとを接続を遮断して、配信受信部12による放送同時配信の受信を終了する。
このように、放送同時配信を受信している期間が、C/NがBS受信限界よりも低い受信不良期間と、その前後に限られる。よって、定額制でないインターネット接続サービスを利用する場合には、利用者の負担を低減できる。
また、局所的な豪雨によりC/Nが低下した場合、C/Nが第2閾値Th2よりも低くなった地域にある受信装置1が、BS放送から放送同時配信に切り替えて放送を受信する。そして、C/Nが回復して第3閾値Th3よりも高くなると、受信装置1が、放送同時配信からBS放送に切り替えて放送を受信する。
これにより、例えば豪雨の地域が経時的に移動した際に、放送同時配信で放送を受信する受信装置1の数が増え続ける可能性を低減できる。そして、同時配信サーバSVへの負荷が経時的に増加する可能性を低減できるので、情報を必要としている地域への情報の提供を継続できる。
【0046】
[比較例]
図4は、受信品質(C/N)と2つの閾値ThA、ThBとの比較により、BS放送と放送同時配信を切り替える場合のタイミングチャートである。
図4では、閾値ThBが、放送同時配信の受信/受信終了の判断に用いられる閾値である。閾値ThAが、BS放送と放送同時配信の切替の判断に用いられる閾値である。閾値Bのほうが、閾値ThAよりも受信品質が良い側の値となっている。
【0047】
受信品質(C/N)には揺らぎ(振れ)がある。そのため、図4に示す受信品質の回復局面で、受信品質(C/N)が、閾値ThAの上下に振れる場合が起こり得る。図4の場合には、時刻t1において放送同時配信からBS放送に切り替わるものの、直後の時刻t2においてBS放送から放送同時配信に切り替わり、さらに時刻t3において、放送同時配信からBS放送に切り替わる。この時刻t1から時刻t4の間は、出力機器15への出力がBS放送と放送同時配信との間で頻繁に切り替わる状態(チャタリング)であり、放送を視聴する視聴者に対する負荷や、出力機器15への負荷が懸念される。
【0048】
本実施形態では、BS放送から放送同時配信への切り替え判断に用いる第1閾値Th1と、放送同時配信からBS放送への切替判断に用いる第2閾値Th2とが、異なる値となっている(図2参照)。そして、第2閾値Th2は、受信品質の揺らぎを考慮して、第1閾値Th1よりも受信品質が良くなる側の値に設定されている。
そのため、第1閾値Th1付近で受信品質(C/N)に揺らぎが生じても、第1閾値Th1よりも受信品質が良い側に位置する第2閾値Th2を超えない限り、放送同時配信からBS放送への切り替え(復帰)が行われることがない。よって、本実施形態の受信装置1では、図4に示す比較例の場合のような、出力機器15への出力がBS放送と放送同時配信との間で頻繁に切り替わる現象(チャタリング)が起こり難くなっている。
【0049】
さらに、図4では、放送同時配信の受信開始/受信終了の判断に、同じ閾値ThBを用いている。ここで、放送同時配信の受信開始を判断したのち、放送同時配信を出力機器15に出力できる状態にするまでには、インターネット回線INへの接続を確立して放送同時配信を受信するまでの時間が必要である。
そのため、放送同時配信の受信開始/受信終了の判断に、同じ閾値ThBを用いていると、BS放送から放送同時配信への切り替えタイミングまでに、放送同時配信の受信準備が完了しない場合が起こりうる。かかる場合、放送画面に、いわゆる白味と呼ばれる真っ白な画面が出てしまう。
【0050】
本実施形態では、放送同時配信の受信開始の判断と、同時配信の受信終了の判断に、異なる閾値を用いている。そして、受信品質の揺らぎを考慮して、放送同時配信の受信終了の判断に用いる第3閾値Th3の方が、放送同時配信の受信開始の判断に用いる第2閾値Th2よりも、受信品質が良い側の値に設定されている。そのため、放送同時配信の受信開始を判断したときの受信品質(C/N)よりも高い受信品質(C/N)になるまで、放送同時配信を受信できる状況が確保される。そのため、図4に示す比較例の場合のような、BS放送から放送同時配信への切り替えタイミングまでに、放送同時配信の受信準備が完了しない事態の発生が生じにくくなっている。
【0051】
[変形例1]
前記した実施形態では、配信受信部12が、受信不良の前後の所定期間の間、インターネット回線INに接続して、放送同時配信を受信する場合を例示した。すなわち、受信不良の期間と、受信不良の前後の所定期間を除き、配信受信部12とインターネット回線INとの接続が遮断される場合を例示した。
配信受信部12とインターネット回線INとの接続を遮断する態様に変えて、受信不良の期間と、その前後の所定期間とを除き、配信受信部12によるIPストリーミング配信の受信に帯域制限をかけるようにしても良い。
そして、監視・制御部14は、放送を出力機器に出力している間、配信受信部12による放送同時配信の受信に帯域制限をかけている。そして、監視・制御部14は、放送を出力機器15に出力しているときに、受信品質を示すデータが第2閾値Th2未満になると、帯域制限を解消し、受信品質を示すデータが第3閾値Th3以上になると、配信受信部12による放送同時配信の受信の帯域制限を開始している。なお、第3閾値Th3は、第2閾値Th2よりも受信品質が良くなる側にオフセットした値に設定されている。
【0052】
変形例1の場合のフローチャートに示すように(図5参照)、変形例1にかかる処理では、ステップS205、S206、S211、S212が、前記した実施形態のフローチャート(図3参照)と相違する。
変形例1の場合には、ステップS205において、監視・制御部14が、帯域制限中であるか否かを確認する。帯域制限中でない場合には、ステップS206において監視・制御部14が、配信受信部12による放送同時配信の受信に帯域制限をかける。
また、受信品質(C/N)が第3閾値Th3以上であって(ステップS202、No)、帯域制限がかけられていない場合(ステップS211、No)には、ステップS212において監視・制御部14が、配信受信部12による放送同時配信の受信に帯域制限をかける。
【0053】
これにより、インターネット回線INを介した放送同時配信の受信に速度制限がかけられて通信量が抑制されるので、定額制でないインターネット接続サービスを利用する場合には、利用者の負担を低減できる。
また、帯域制限を解消すると、BS放送から放送同時配信への切り替えを滞りなく行える。帯域制限が掛けられている間も、同時配信サーバSVへの接続と認証が完了した状態で保持されている。よって、インターネット回線INへの接続確立と、これに続く放送同時配信の受信から始める場合に比べて、放送同時配信への切り替えに要する時間を短縮できると共に、切り替えに伴って放送の中断が発生する可能性を低減できる。
なお、ステップS201~S204、S207~S210の処理は、前記したステップS101~S104、S107~S110の処理と同じである。
【0054】
このように、監視・制御部14(制御部)は、BS放送を出力機器15に出力している間、配信受信部12による放送同時配信の受信に帯域制限をかけている。
監視・制御部14は、BS放送を出力機器15に出力しているときに、受信品質を示すデータ(C/N)が、第2閾値Th2未満になると、帯域制限を解消する。
監視・制御部14は、受信品質を示すデータ(C/N)が、第3閾値Th3以上になると、配信受信部12による放送同時配信の受信の帯域制限を開始する。
【0055】
[変形例2]
前記した実施形態では、放送同時配信の受信準備の判断に用いる閾値と、放送同時配信からBS放送への切り替え判断に用いる閾値とが、同じ閾値(第2閾値Th2)である場合を例示した。
例えば、図6に示すように、放送同時配信の受信準備の判断に用いる閾値と、放送同時配信からBS放送への切り替え判断に用いる閾値を、異なる閾値(第4閾値Th4、第2閾値Th2)としても良い。
この場合において、第2閾値Th2は、第1閾値Th1と第3閾値Th3の間の値であれば良い。ここで、前記したチャタリングを生じさせないようにする必要がある。受信品質(C/N)の振れを考慮すると、第2閾値Th2は、第1閾値Th1よりも1dB、より好ましくは2dB、受信品質が良くなる側の値であることが好ましい。さらに、第2閾値Th2は、第4閾値Th4と第3閾値との間の値であることが好ましい。
【0056】
なお、受信装置1が、配信受信部12によるIPストリーミング配信の受信に帯域制限をかける仕様である場合には、第4閾値Th4を、第1閾値Th1により近い値に設定しても良い。これは、帯域制限を解消すると、BS放送から放送同時配信への切り替えを滞りなく行えるので、インターネット回線INへの接続確立と、これに続く放送同時配信の受信から始める場合に比べて、放送同時配信への切り替えに必要な時間が短いからである。
なお、この場合にも、受信品質(C/N)の振れを考慮すると、第4閾値Th4は、第1閾値Th1よりも1dB、より好ましくは2dB、受信品質が良い側の値であることが好ましい。
【0057】
つまり、監視・制御部14は、放送を出力機器15に出力している間、配信受信部による放送同時配信の受信に帯域制限をかけている。そして、監視・記制御部14は、放送を出力機器に出力しているときに、受信品質を示すデータが第4閾値Th4未満になると、帯域制限を解消し、受信品質を示すデータが第3閾値Th3以上になると、配信受信部12による放送同時配信の受信の帯域制限を開始する。第3閾値Th3は、第2閾値Th2よりも受信品質が良くなる側にオフセットした値に設定されており、記第4閾値Th4は、第1閾値Th1と第2閾値Th2の間の値に設定されている、
【0058】
図7は、放送同時配信からBS放送への切り替え判断に用いる第2閾値Th2が、放送同時配信の受信準備の判断に用いる第4閾値Th4と、放送同時配信の受信終了の判断に用いる第3閾値Th3との間の値である場合の処理を説明するフローチャートである。
図7に示すように、変形例2の処理のフローチャートの場合、ステップS303、S304が、前記した実施形態のフローチャート(図5参照)と相違する。
変形例2の場合には、ステップS303において、監視・制御部14が、ステップS301で取得した受信品質(C/N)と、第2閾値Th2とを比較する。
第2閾値Th2は、放送同時配信からBS放送への切り替えの判断に用いられる閾値である。受信品質(C/N)が第2閾値Th2よりも大きい場合(ステップS303、No)には、受信品質(C/N)が、放送同時配信からBS放送への切り替え(復帰)させることができる受信品質ということになる。
かかる場合には、ステップS310の処理に移行して、現時点において、出力機器15に放送同時配信が出力されているか否かが確認されることになる。
【0059】
また、受信品質(C/N)が第2閾値Th2よりも小さい(C/N<Th2)場合には(ステップS303、Yes)、ステップS304の処理に移行して、監視・制御部14が、ステップS301で取得した受信品質(C/N)と、放送同時配信の受信準備の判断に用いる第4閾値Th4とを比較する。
そして、受信品質(C/N)が第4閾値Th4よりも小さい(C/N<Th4)場合(ステップS304、Yes)、ステップS305の処理に移行する。受信品質(C/N)が第4閾値Th4よりも大きい(C/N≧Th4)場合(ステップS304、No)、今回のC/Nの取得タイミングでの処理が終了することになる。
【0060】
これにより、放送同時配信の受信準備を開始する判断に用いる第4閾値Th4と、放送同時配信からBS放送への切り替え判断に用いる第2閾値Th2とが異なる値となるので、放送同時配信の受信期間をより細かく制御できる。これにより、定額制でないインターネット接続サービスを利用する場合には、利用者の負担の低減が期待できる。
なお、ステップS301、S302、S305~S313の処理は、前記したステップS101、S102、S104~S112の処理(図3参照)と、それぞれ同じである。
【0061】
このように、放送同時配信の受信準備を開始する判断に用いる閾値と、放送同時配信からBS放送への切り替え判断に用いる閾値を異なる値にした場合には、これらの閾値が同じ値である場合の図3の処理に比べて、処理プロセスが複雑化する。そのため、放送同時配信の受信期間をより細かく制御する必要性が少ない場合には、放送同時配信の受信準備を開始する判断に用いる閾値と、放送同時配信からBS放送への切り替え判断に用いる閾値を同じ値にした方が、処理プロセスを規定するプログラムを簡略化できるといえる。
【0062】
このように、監視・制御部14(制御部)は、BS放送を出力機器15に出力している間、配信受信部12による放送同時配信の受信に帯域制限をかけている。
監視・制御部14は、BS放送を出力機器15に出力しているときに、受信品質を示すデータ(C/N)が、第4閾値Th4未満になると、帯域制限を解消する。
監視・制御部14は、放送受信部11で受信したBS放送の受信品質を示すデータ(C/N)が、第1閾値Th1未満になると、出力機器15への出力を、BS放送から放送同時配信に切り替える。
監視・制御部14は、放送同時配信への切り替え後に、受信品質を示すデータ(C/N)が、第2閾値Th2以上になると、出力機器15への出力を、放送同時配信からBS放送に切り替える。
監視・制御部14は、受信品質を示すデータ(C/N)が、第3閾値Th3以上になると、配信受信部12による放送同時配信の受信の帯域制限を開始する。
なお、変形例2では、監視・制御部14が、配信受信部12による放送同時配信の受信に帯域制限の開始と帯域制限の解消を制御する場合を例示した。監視・制御部14が、配信受信部12による放送同時配信の受信の停止と受信の開始を制御するようにしても良い。
【0063】
[変形例3]
前記した実施形態では、受信品質を示すデータとして、C/Nを用いる場合を例示した。
受信品質を示すデータとして、放送受信部11で算出されるMERやBERを採用しても良い。
【0064】
(a)MER(Modulation Error Ratio)は、デジタル信号の変調誤差比である。MERは、値が大きくなるほど受信品質が良くなり、値が小さくなるほど受信品質が悪くなる。
(b)BER(Bit Error Rate)は、伝送した1、0の信号がどれだけ誤ったのかを示すビット誤り率であり、下記式で表わすことができる。
BER=誤りビット数/伝送ビット数 (1)
上記式(1)から、降雨減衰の影響で誤りビット数が多くなると、BERの値が大きくなる。BERは、値が大きくなるほど受信品質が悪くなり、値が小さくなるほど受信品質が良くなる。
そのため、受信品質を示すデータとしてBERを用いる場合には、図2に示すグラフは上下反転することになる。
【0065】
MERやBERを用いても、3つの閾値との比較によりBS放送の受信品質を確認して、放送同時配信の受信/受信停止を制御することができる。
これにより、例えば降雨減衰によりBS放送の受信品質が低下すると、出力機器15への出力が、放送衛星BSを利用したBS放送から、インターネット回線を利用した放送同時配信に切り替えられるので、降雨減衰に起因する受信不良を回避しつつ、放送の視聴を継続できる。そして、受信品質が回復すると、出力機器15への出力が、放送同時配信からBS放送に切り替えられるので、定額制でないインターネット接続サービスを利用する場合には、利用者の負担を低減できる。
さらに、BS放送と放送同時配信の切り替えに、異なる2つの閾値(第1閾値Th1、第2閾値Th2)を用いているので、チャタリングが発生する可能性を低減できる。
【0066】
[変形例4]
前記した実施形態では、受信品質と、予め決められた閾値(第1閾値Th1、第2閾値Th2、第3閾値Th3)とを比較する場合を例示した。これらの閾値(第1閾値Th1、第2閾値Th2、第3閾値Th3)を変更できるようにしても良い。
【0067】
受信装置1の動作様式に、固定回線モード1、固定回線モード2、モバイル回線モード1、モバイル回線モード2、降雨対応放送優先モードが、用意されており、これら各モードの閾値が異なる場合を例に挙げて説明する。
ここで、固定回線モード1は、定額制のインターネット接続サービスなどの、通信料の増加がある程度許容できる場合の動作様式であり、放送の受信安定性を優先するモードである。
固定回線モード2は、定額制のインターネット接続サービスであるものの、通信速度が遅く通信確立までに時間がかかる場合の動作様式である。モバイル回線モード1は、通信量を削減しつつ安定性も確保したい場合の動作様式である。モバイル回線モード2は、安全性を犠牲にしても通信量を削減したい場合の動作様式である。降雨対応放送有線モードは、降雨時にBS放送の受信を優先する場合の動作様式である。
下記表1には、動作様式毎の閾値(第1閾値Th1、第2閾値Th2、第3閾値Th3)が例示されている。
【0068】
【表1】
【0069】
固定回線モード2の第2閾値Th2は、固定回線モード1の第2閾値Th2よりも、受信品質が良い側に1.0dBオフセットした値に設定されている。これは、固定回線モード2の通信速度が、固定回線モード1の通信速度よりも遅く、通信確立までの必要時間が、固定回線モード1よりも長くなるからである。これにより、固定回線モード2では、固定回線モード1の場合よりも早いタイミングで、放送同時配信の受信準備が開始される。
また、固定回線モード2の第3閾値Th3は、固定回線モード1の第3閾値Th3よりも、受信品質が良い側に1.0dBオフセットした値に設定されている。
【0070】
これは、固定回線モード2の第2閾値Th2のみを受信品質が良い側に1.0dBオフセッとした値に設定すると、第2閾値Th2と第3閾値Th3との差が小さくなる結果、受信品質の揺らぎに起因して、放送同時配信の受信/受信停止が頻繁に発生する可能性がある。かかる事態の発生を防ぐために、固定回線モード2の第2閾値Th2と同じ分だけ、第3閾値Th3の値を、固定回線モード1の第3閾値Th3よりも受信品質が良くなる側にオフセットさせている。
【0071】
モバイル回線モード1では、第1閾値Th1が、固定回線モード2の場合よりも、受信品質が悪くなる側にオフセットした値に設定されている。さらに、放送同時配信の受信開始/終了の判定に用いられる第2閾値Th2が、第1閾値Th1に追従させて受信品質が悪くなる側にオフセットした値に設定されている。
これにより、固定回線モード2の場合よりも受信品質が悪化しないと、放送同時配信の受信準備と、BS放送から放送同時配信への切替が行われないので、通信量の低減が期待できる。
【0072】
モバイル回線モード2では、放送同時配信の受信開始/終了の判定に用いられる第2閾値Th2と、放送同時配信の受信終了の判定に用いられる第3閾値Th3が、モバイル回線モード1よりも受信品質が悪くなる側にオフセットした値に設定されている。
これにより、モバイル回線モード1の場合よりも受信品質が悪化しないと、BS放送から放送同時配信への切替が行われないので、通信量の低減が期待できる。さらに、第2閾値Th2にあわせて第3閾値Th3が設定されているので、放送同時配信の受信期間の最適化が可能である。
【0073】
降雨対応放送優先モードでは、放送同時配信の受信開始の判断、および放送同時配信からBS放送への切り替えの判定に用いられる第2閾値Th2と、放送同時配信の受信終了の判定に用いられる第3閾値と、BS放送から放送同時配信への切り替え判断に用いられる第1閾値Th1が、モバイル回線モード2よりも受信品質が悪くなる側にオフセットした値に設定されている。
これにより、通信量の低減が期待できる。
【0074】
[変形例5]
前記した実施形態では、受信品質(C/N)と閾値(第1閾値Th1、第2閾値Th2、第3閾値Th3)とを単純に比較する場合を例示した。
前記したように、受信品質には揺らぎがあり、C/Nの値にも大凡±1dB程度の振れがある。そこで、放送受信部11で算出した受信品質を、単純に閾値と比較するのではなく、受信品質(C/N)移動平均を求めて、移動平均と閾値とを比較するようにしても良い。
【0075】
具体的には、放送受信部11において受信品質(C/N)は、所定時間毎に繰り返し算出されている。監視・制御部14が、現時点を含む過去n回(例えば、3回)のC/Nの平均値を算出し、算出したC/Nと閾値とを比較しても良い。かかる場合、受信品質の揺らぎ(振れ)が平準化されるので、各閾値の差(第1閾値Th1と第2閾値Th2との差、第2閾値Th2と第3閾値Th3との差)を小さくできる。これにより、放送同時配信の受信期間をより短縮して、定額制でないインターネット接続サービスを利用する場合には、利用者の負担低減が期待できる。
【0076】
以下、実施形態にかかる受信装置1の作用・効果を、構成と共に列挙する。
(1)受信装置1は、放送衛星BSを利用したBS放送(放送)と、インターネット回線INを利用した放送同時配信の両方を受信可能である。
受信装置1は、BS放送を受信する放送受信部11と、放送同時配信を受信する配信受信部12と、出力機器15への出力を、放送受信部11で受信したBS放送と、配信受信部12で受信した放送同時配信との間で切り替える切替部13と、配信受信部12と切替部13を制御する監視・制御部14(制御部)と、を有する。
監視・制御部14は、放送受信部11で受信したBS放送の受信品質を示すデータ(C/N)が、第1閾値Th1未満になると、出力機器15への出力を、BS放送から放送同時配信に切り替える。
監視・制御部14は、放送同時配信への切り替え後に、受信品質を示すデータ(C/N)が、第2閾値Th2以上になると、出力機器15への出力を、放送同時配信からBS放送に切り替える。
第2閾値Th2は、第1閾値Th1よりも受信品質が良くなる側にオフセットした値に設定されている。
【0077】
例えば降雨減衰によりBS放送の受信品質が低下すると、放送衛星BSを利用したBS放送が、インターネット回線を利用した放送同時配信に切り替えられるので、降雨減衰に起因する受信不良を回避しつつ、放送の視聴を継続できる。
第2閾値Th2は、第1閾値Th1よりも受信品質が良い側の値であるので、BS放送を放送同時配信に切り替えたときよりも受信品質が良くならないと、放送同時配信からBS放送への切り替えが行われない。受信品質には振れ(揺らぎ)があるので、第1閾値Th1のみで、BS放送と放送同時配信との切り替えを行う場合には、BS放送と放送同時配信が頻繁に切り変わる現象(チャタリング)が生じる可能性がある。BS放送から放送同時配信に切り替える第1閾値Th1と、放送同時配信をBS放送に切り替える第2閾値Th2とを用意することで、チャタリングが発生する可能性を好適に抑制できる。
【0078】
(2)監視・制御部14(制御部)は、BS放送を出力機器15に出力している間、配信受信部12による放送同時配信の受信を停止させている。
監視・制御部14(制御部)は、BS放送を出力機器15に出力しているときに、受信品質を示すデータ(C/N)が、第2閾値Th2未満になると、配信受信部12のインターネット回線INへの接続を確立して、放送同時配信の受信を開始する。
監視・制御部14(制御部)は、受信品質を示すデータ(C/N)が、第3閾値Th3以上になると、配信受信部12とインターネット回線INとの接続を切断して放送同時配信の受信を停止する。
第3閾値Th3は、第2閾値Th2よりも受信品質が良くなる側にオフセットした値に設定されている。
【0079】
受信品質が、放送同時配信の出力機器15への出力、および放送同時配信の受信準備を必要としない品質である間は、インターネット回線INを介した放送同時配信の受信を停止する。
これにより、定額制でないインターネット接続サービスを利用する場合には、利用者の負担を低減できる。
また、放送同時配信への切り替えのための準備期間を確保できるので、BS放送から放送同時配信への切り替えをスムーズに行える。
さらに、BS放送の受信品質が、放送同時配信への切り替えを必要とする品質まで低下したのち、受信品質が、放送同時配信の受信を必要としない品質まで復帰すると、インターネット回線INを介した放送同時配信の受信を停止する。このことによっても、定額制でないインターネット接続サービスを利用する場合には、利用者の負担を低減できる。
また、放送同時配信からBS放送に切り替える閾値と、配信受信部12による放送同時配信の受信開始の閾値が同じであることによって、処理のプログラムを簡素化できる。
【0080】
(3)監視・制御部14(制御部)は、BS放送を出力機器15に出力している間、配信受信部12による放送同時配信の受信に帯域制限をかけている。
監視・制御部14(制御部)は、BS放送を出力機器15に出力しているときに、受信品質を示すデータ(C/N)が、第2閾値Th2未満になると、帯域制限を解消する。
監視・制御部14(制御部)は、受信品質を示すデータ(C/N)が、第3閾値Th3以上になると、配信受信部12による放送同時配信の受信の帯域制限を開始する。
第3閾値Th3は、第2閾値Th2よりも受信品質が良くなる側にオフセットした値に設定されている。
【0081】
受信品質が、放送同時配信の出力、および放送同時配信の出力準備を必要としない品質である間は、インターネット回線INを介した放送同時配信の受信に帯域制限がかけられる。
これにより、インターネット回線INを介した通信料を、帯域制限をかけない場合に比べて抑制できる。よって、定額制でないインターネット接続サービスを利用する場合には、利用者の負担を低減できる。
また、帯域制限を解消すると、BS放送を放送同時配信に速やかに切り替えることができる。インターネット回線INへの接続確立と、これに続く放送同時配信の受信を最初から始める場合に比べて、放送同時配信への切替に要する時間を短縮できると共に、切り替えに伴って、視聴の中断が発生する可能性を低減できる。
さらに、受信品質が、放送同時配信への切り替えを必要とする品質まで低下したのち、受信品質が、放送同時配信の受信を必要としない品質まで復帰すると、インターネット回線INを介した放送同時配信の受信に帯域制限がかけられて、インターネット回線INを介した通信量が抑制される。このことによっても、定額制でないインターネット接続サービスを利用する場合には、利用者の負担を低減できる。
また、放送同時配信からBS放送に切り替える閾値と、配信受信部12による放送同時配信の受信開始の閾値が同じであることによって、処理のプログラムを簡素化できる。
【0082】
(4)監視・制御部14(制御部)は、BS放送を出力機器15に出力している間、配信受信部12による放送同時配信の受信に帯域制限をかけている。
監視・制御部14(制御部)は、BS放送を出力機器15に出力しているときに、受信品質を示すデータ(C/N)が、第4閾値Th4未満になると、帯域制限を解消する。
第4閾値Th4は、第1閾値Th1よりも受信品質が良くなる側にオフセットした値に設定されている。
監視・制御部14(制御部)は、受信品質を示すデータ(C/N)が、第3閾値Th3以上になると、配信受信部12による放送同時配信の受信の帯域制限を開始する。
第3閾値Th3は、第2閾値Th2よりも受信品質が良くなる側にオフセットした値に設定されている。
【0083】
帯域制限を解消すると、BS放送から放送同時配信への切り替えを滞りなく行えるので、インターネット回線INへの接続確立と、これに続く放送同時配信の受信を最初から始める場合に比べて、放送同時配信への切り替えに必要な時間が短くなる。よって、放送同時配信の受信準備を開始する判断に用いる第4閾値Th4を、BS放送を配信同時配信への切り替えに用いる第1閾値Th1に、より近づけることができる。
よって、放送同時配信の受信期間をより短くできるので、定額制でないインターネット接続サービスを利用する利用者の負担の低減が期待できる。
【0084】
(5)第1閾値Th1(第1閾値)は、放送衛星BSを利用したBS放送の受信限界を規定する下限値(BS受信限界)よりも、受信品質が良くなる側にオフセットした値に設定されている。
このような構成により、降雨減衰などに起因する受信不良により、放送衛星BSを利用したBS放送が視聴できなくなる前に、放送同時配信に切り替えることができる。
【0085】
(6)受信品質を規定するデータは、C/N、MER、BERのうちの少なくともひとつである。
これらのデータは、衛星放送を受信する放送受信部で生成する既存の情報である。受信品質を示すデータを新たに規定して受信品質を算出するプロセスを、別途用意する必要が無い。既存の衛星放送の受信装置に、上記した機能を組み込むだけで良いので、受信装置の作成コストの低減が期待できる。
【0086】
以上の通り、本発明の実施形態および変形例を説明した。本発明は、上記した実施形態および変形例に限定されるものではない。発明の技術的思想の範囲内で適宜変更可能である。また、実施形態の態様と変形例の態様は、必ずしも独立に用いられる必要は無い。実施形態の態様と変形例の態様を組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0087】
1 :受信装置
11 :放送受信部
12 :配信受信部
13 :切替部
14 :監視・制御部(制御部)
15 :出力機器
20 :アンテナ
100 :放送システム
BS :放送衛星
IN :インターネット回線
MS :アップリンク主局
SV :同時配信サーバ
図1
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図3
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図7