(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167600
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】ウエーハの加工方法及びレーザー照射装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20231116BHJP
B23K 26/351 20140101ALI20231116BHJP
B23K 26/067 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
H01L21/78 B
H01L21/78 Q
B23K26/351
B23K26/067
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078897
(22)【出願日】2022-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】小田中 健太郎
【テーマコード(参考)】
4E168
5F063
【Fターム(参考)】
4E168AD02
4E168AD04
4E168CA06
4E168CB23
4E168DA04
4E168DA46
4E168DA60
4E168EA04
4E168EA07
4E168EA19
4E168EA20
4E168HA01
4E168JA12
4E168KA04
5F063AA05
5F063AA21
5F063CB02
5F063CB06
5F063CB12
5F063CB16
5F063CB22
5F063CB25
5F063CB26
5F063CB27
5F063CC38
5F063DD32
5F063DF06
5F063DF12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】分割予定ラインの幅方向の両側に、断面視で牙のような鋭角で深い溝が形成されず品質が悪化しないウエーハの加工方法を提供する。
【解決手段】方法は、機能層除去工程及びデバイスチップ生成工程を含む。機能層除去工程において、レーザー光線を発振する発振器と、レーザー光線を集光して分割予定ラインの幅よりも小さいスポットを分割予定ラインに位置付ける集光器と、発振器と集光器との間でスポットを細長く成形するスポット成形部と、スポットを加工方向に複数分岐してスポット長辺を分割予定ライン幅方向に、短辺を加工方向に位置付ける分岐生成部と、を有するレーザー照射装置を用いて機能層を除去することと、分岐生成部を作動して複数に分岐したスポット長辺を分割予定ライン幅方向にすれ違うように移動して加工領域を拡張することと、を繰り返し実施して分割予定ラインに積層された機能層を除去する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の上面に機能層が積層され複数のデバイスが分割予定ラインによって区画されて形成された表面を有するウエーハを個々のデバイスチップに分割するウエーハの加工方法であって、
分割予定ラインに積層された機能層を除去し半導体基板を露出させる機能層除去工程と、
半導体基板が露出した分割予定ラインを切断して個々のデバイスチップを生成するデバイスチップ生成工程と、を含み、
該機能層除去工程において、
レーザー光線を発振する発振器と、該発振器が発振したレーザー光線を集光して分割予定ラインの幅よりも小さいスポットを分割予定ラインに位置付ける集光器と、該発振器と該集光器との間に配設され該スポットを細長く成形するスポット成形部と、該スポットを加工方向に少なくとも2個分岐してスポットの長辺を分割予定ラインの幅方向に位置付けると共に、短辺を加工方向に位置付ける分岐生成部と、を含み構成されたレーザー照射装置を用いて分割予定ラインにレーザー光線を照射して機能層を除去する除去ステップと、
該分岐生成部を作動して少なくとも2個に分岐したスポットの長辺を分割予定ラインの幅方向にすれ違うように移動して加工領域を拡張する拡張ステップと、を備え、
該除去ステップと該拡張ステップとを繰り返し実施して分割予定ラインに積層された機能層を除去するウエーハの加工方法。
【請求項2】
該機能層除去工程を実施する前に、レーザー光線を照射して分割予定ラインの幅を規制する2条の溝を形成する幅規制溝形成工程を実施する請求項1に記載のウエーハの加工方法。
【請求項3】
該機能層除去工程及び該幅規制溝形成工程の前に、ウエーハの表面に保護膜を被覆する保護膜被覆工程が含まれる請求項1又は2に記載のウエーハ加工方法。
【請求項4】
該デバイスチップ生成工程は、切削ブレードによる分割予定ラインの切断、レーザー光線による分割予定ラインの切断、プラズマエッチングによる分割予定ラインの切断、のいずれかを含む請求項1に記載のウエーハの加工方法。
【請求項5】
半導体基板の上面に機能層が積層され複数のデバイスが分割予定ラインによって区画されて形成された表面を有するウエーハの該機能層を、レーザー光線照射手段によって分割予定ラインに沿って除去するレーザー照射装置であって、
該レーザー光線照射手段は、
レーザー光線を発振する発振器と、該発振器が発振したレーザー光線を集光して分割予定ラインの幅よりも小さいスポットを分割予定ラインに位置付ける集光器と、該発振器と該集光器との間に配設され該スポットを細長く成形するスポット成形部と、該スポットを加工方向に少なくとも2個分岐してスポットの長辺を分割予定ラインの幅方向に位置付けると共に短辺を加工方向に位置付ける分岐生成部と、を含み構成されたレーザー照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板の上面に機能膜が積層されて複数のデバイスが分割予定ラインによって区画されて形成された表面を有するウエーハを個々のデバイスチップに分割するウエーハの加工方法及び半導体基板の上面に機能層が積層され複数のデバイスが分割予定ラインによって区画されて形成された表面を有するウエーハの該機能層を、分割予定ラインに沿って除去するレーザー照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の複数のデバイスが、分割予定ラインによって区画されて表面に形成されたウエーハは、切削ブレードを回転可能に備えたダイシング装置によって個々のデバイスチップに分割され、携帯電話、パソコン等の電気機器に利用される。
【0003】
また、特に、Low-k膜と称する低誘電率絶縁膜が半導体基板の上面に機能層として積層されて複数のデバイスが形成されたウエーハにおいては、該ウエーハの分割予定ラインを切削ブレードで切削すると、該切削ブレードの切削箇所から該Low-k膜が雲母の如く剥離して、デバイスを損傷させるという問題がある。
【0004】
そこで、本出願人は、分割予定ラインに積層されたLow-k膜を、レーザー光線の照射により除去して半導体基板を露出させ、その後、切削ブレードで、Low-k膜が除去された分割予定ラインを切削することで、該Low-k膜が剥離しないようにする技術を提案している(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来技術として示す
図7から理解されるように、ウエーハ200に形成された分割予定ライン210の幅に応じたスポット径P0を有するレーザー光線LB0を、分割予定ライン210の長手方向に沿う加工方向(図面に垂直な方向)に沿って任意のパス数だけ繰り返し照射し、該分割予定ライン210に積層されたLow-k膜からなる機能層220を除去して半導体基板が露出する溝230を形成すると、分割予定ライン210の幅方向の両側に、図示のように断面で見たときに牙のような鋭角で深い溝232、232が形成されてしまい、その溝230の形状に起因して、個々に分割されるデバイスチップの抗折強度が低下して品質が悪化するという問題が生じた。
【0007】
本発明は、上記事実に鑑みなされたものであり、その主たる技術課題は、分割予定ラインの加工方向に沿ってレーザー光線を照射することにより、該分割予定ラインに積層された機能層を除去して半導体基板を露出させる場合であっても、分割予定ラインの幅方向の両側に、断面で見たときに牙のような鋭角で深い溝が形成されず品質が悪化しないウエーハの加工方法、及びレーザー照射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、半導体基板の上面に機能層が積層され複数のデバイスが分割予定ラインによって区画されて形成された表面を有するウエーハを個々のデバイスチップに分割するウエーハの加工方法であって、分割予定ラインに積層された機能層を除去し半導体基板を露出させる機能層除去工程と、半導体基板が露出した分割予定ラインを切断して個々のデバイスチップを生成するデバイスチップ生成工程と、を含み、該機能層除去工程において、レーザー光線を発振する発振器と、該発振器が発振したレーザー光線を集光して分割予定ラインの幅よりも小さいスポットを分割予定ラインに位置付ける集光器と、該発振器と該集光器との間に配設され該スポットを細長く成形するスポット成形部と、該スポットを加工方向に少なくとも2個分岐してスポットの長辺を分割予定ラインの幅方向に位置付けると共に、短辺を加工方向に位置付ける分岐生成部と、を含み構成されたレーザー照射装置を用いて分割予定ラインにレーザー光線を照射して機能層を除去する除去ステップと、該分岐生成部を作動して少なくとも2個に分岐したスポットの長辺を分割予定ラインの幅方向にすれ違うように移動して加工領域を拡張する拡張ステップと、を備え、該除去ステップと該拡張ステップとを繰り返し実施して分割予定ラインに積層された機能層を除去するウエーハの加工方法が提供される。
【0009】
該機能層除去工程を実施する前に、レーザー光線を照射して分割予定ラインの幅を規制する2条の溝を形成する幅規制溝形成工程を実施することが好ましい。また、該機能層除去工程及び該幅規制溝形成工程の前に、ウエーハの表面に保護膜を被覆する保護膜被覆工程が含まれるようにしてもよい。さらに、該デバイスチップ生成工程は、切削ブレードによる分割予定ラインの切断、レーザー光線による分割予定ラインの切断、プラズマエッチングによる分割予定ラインの切断、のいずれかを含むようにしてもよい。
【0010】
また、上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、半導体基板の上面に機能層が積層され複数のデバイスが分割予定ラインによって区画されて形成された表面を有するウエーハの該機能層を、レーザー光線照射手段によって分割予定ラインに沿って除去するレーザー照射装置であって、該レーザー光線照射手段は、レーザー光線を発振する発振器と、該発振器が発振したレーザー光線を集光して分割予定ラインの幅よりも小さいスポットを分割予定ラインに位置付ける集光器と、該発振器と該集光器との間に配設され該スポットを細長く成形するスポット成形部と、該スポットを加工方向に少なくとも2個分岐してスポットの長辺を分割予定ラインの幅方向に位置付けると共に短辺を加工方向に位置付ける分岐生成部と、を含み構成されたレーザー照射装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明のウエーハの加工方法は、半導体基板の上面に機能層が積層され複数のデバイスが分割予定ラインによって区画されて形成された表面を有するウエーハを個々のデバイスチップに分割するウエーハの加工方法であって、分割予定ラインに積層された機能層を除去し半導体基板を露出させる機能層除去工程と、半導体基板が露出した分割予定ラインを切断して個々のデバイスチップを生成するデバイスチップ生成工程と、を含み、該機能層除去工程において、レーザー光線を発振する発振器と、該発振器が発振したレーザー光線を集光して分割予定ラインの幅よりも小さいスポットを分割予定ラインに位置付ける集光器と、該発振器と該集光器との間に配設され該スポットを細長く成形するスポット成形部と、該スポットを加工方向に少なくとも2個分岐してスポットの長辺を分割予定ラインの幅方向に位置付けると共に、短辺を加工方向に位置付ける分岐生成部と、を含み構成されたレーザー照射装置を用いて分割予定ラインにレーザー光線を照射して機能層を除去する除去ステップと、該分岐生成部を作動して少なくとも2個に分岐したスポットの長辺を分割予定ラインの幅方向にすれ違うように移動して加工領域を拡張する拡張ステップと、を備え、該除去ステップと該拡張ステップとを繰り返し実施して分割予定ラインに積層された機能層を除去することから、分割予定ライン上における加工領域を徐々に拡張しながら加工することができ、分割予定ラインの幅方向におけるスポットの両側でのレーザー加工が集中することなく分散されて、分割予定ラインの両側に牙のような鋭角な溝が形成されることない。したがって、当該溝に対してデバイスチップ生成工程を実施しても、デバイスチップの抗折強度が低下してデバイスチップの品質が悪化するという問題が解消される。
【0012】
また、本発明のレーザー照射装置は、半導体基板の上面に機能層が積層され複数のデバイスが分割予定ラインによって区画されて形成された表面を有するウエーハの該機能層を、レーザー光線照射手段によって分割予定ラインに沿って除去するレーザー照射装置であって、該レーザー光線照射手段は、レーザー光線を発振する発振器と、該発振器が発振したレーザー光線を集光して分割予定ラインの幅よりも小さいスポットを分割予定ラインに位置付ける集光器と、該発振器と該集光器との間に配設され該スポットを細長く成形するスポット成形部と、該スポットを加工方向に少なくとも2個分岐してスポットの長辺を分割予定ラインの幅方向に位置付けると共に短辺を加工方向に位置付ける分岐生成部と、を含み構成されていることから、分割予定ライン上における加工領域を幅方向に徐々に拡張しながら加工することができ、分割予定ラインの幅方向におけるスポットの両側でのレーザー加工が集中することなく分散する加工が実施でき、分割予定ラインの両側に牙のような鋭角な溝が形成されることない加工を実現できる。したがって、上記した溝に対するデバイスチップ生成工程を実施しても、デバイスチップの抗折強度が低下してデバイスチップの品質が悪化するという問題が解消される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】
図1に示すレーザー照射装置に配設されたレーザー光線照射手段の光学系の概略を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態において加工されるウエーハ、及び該ウエーハにレーザー加工を施す態様を示す斜視図である。
【
図4】(a)幅規制溝形成工程の実施態様における側面図、(b)(a)に示す実施態様の平面図、(c)(b)のA-A断面を拡大して示す断面図である。
【
図5】(a)機能層除去工程の実施態様における側面図、(b)(a)に示す実施態様の初期状態を示す平面図、(c)機能層除去工程が完了した状態を示す平面図、(d)(c)のB-B断面を拡大して示す断面図である。
【
図6】デバイスチップ生成工程の実施態様を示す一部拡大断面図である。
【
図7】従来技術において機能層を除去する際の態様を示す一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に基づいて構成されるウエーハの加工方法、及び該ウエーハの加工方法の機能層除去工程を実現するのに好適なレーザー照射装置に係る実施形態について、添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0015】
本発明のウエーハの加工方法は、半導体基板の上面に機能層が積層され複数のデバイスが分割予定ラインによって区画されて形成された表面を有するウエーハの分割予定ラインに積層された機能層を除去し半導体基板を露出させる機能層除去工程と、半導体基板が露出した分割予定ラインを切断して個々のデバイスチップを生成するデバイスチップ生成工程と、を少なくとも含む。
図1には、本発明のウエーハの加工方法の機能層除去工程、さらには、後述する幅規制溝形成工程を実施するのに好適なレーザー照射装置1が示されている。
【0016】
レーザー照射装置1は、図示のような環状のフレームFに保護テープTを介して保持されたウエーハ10にレーザー加工を施す装置である。レーザー照射装置1は、基台2上に配設され、ウエーハ10にレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段7を少なくとも備えている。
【0017】
レーザー照射装置1は、上記したレーザー光線照射手段7に加え、ウエーハ10を保持する保持手段3と、保持手段3に保持されたウエーハ10を撮像して位置合わせ工程を実行する位置合わせ手段6と、保持手段3をX軸方向に移動するX軸移動手段4aと、保持手段3をY軸方向に移動するY軸移動手段4bと、基台2上のX軸移動手段4a、Y軸移動手段4bの側方に立設される垂直壁部5a及び垂直壁部5aの上端部から水平方向に延びる水平壁部5bからなる枠体5と、各作動部を制御する制御手段100と、を備えている。
【0018】
保持手段3は、X座標及びY座標で特定されるXY平面を保持面としウエーハ10を保持する手段であり、
図1に示すように、X軸方向において移動自在に基台2に搭載された矩形状のX軸方向可動板31と、Y軸方向において移動自在にX軸方向可動板31に搭載された矩形状のY軸方向可動板32と、Y軸方向可動板32の上面に固定された円筒状の支柱33と、支柱33の上端に固定された矩形状のカバー板34とを含む。カバー板34にはカバー板34上に形成された長穴を通って上方に延びるチャックテーブル35が配設されている。チャックテーブル35は、支柱33内に収容された図示を省略する回転駆動手段により回転可能に構成される。チャックテーブル35の上面には、通気性を有する多孔質材料から形成され、X座標及びY座標で特定されるXY平面を保持面とする円形状の吸着チャック36が配設されている。吸着チャック36は、支柱33を通る流路によって図示しない吸引手段に接続されており、吸着チャック36の周囲には、ウエーハ10をチャックテーブル35に保持する際にフレームFを把持する4つのクランプ37が等間隔で配置されている。
【0019】
X軸移動手段4aは、モータ42aの回転運動を、ボールねじ42bを介して直線運動に変換してX軸方向可動板31に伝達し、基台2上にX軸方向に沿って配設された一対の案内レール2A、2Aに沿ってX軸方向可動板31をX軸方向に移動させる。Y軸移動手段4bは、モータ44aの回転運動を、ボールねじ44bを介して直線運動に変換し、Y軸方向可動板32に伝達し、X軸方向可動板31上においてY軸方向に沿って配設された一対の案内レール31a、31aに沿ってY軸方向可動板32をY軸方向に移動させる。
【0020】
枠体5の水平壁部5bの内部には、上記のレーザー光線照射手段7を構成する光学系、及び位置合わせ手段6が収容されている。水平壁部5bの先端部下面側には、該レーザー光線照射手段7の一部を構成し、レーザー光線をウエーハ10に照射する集光器71が配設されている。位置合わせ手段6は、保持手段3に保持されるウエーハ10を撮像して、ウエーハ10の位置や向き、レーザー光線を照射すべきレーザー加工位置等を検出する撮像手段であり、前記の集光器71に対して図中矢印Xで示すX軸方向で隣接する位置に配設されている。
【0021】
図2には、上記のレーザー光線照射手段7の光学系の概略を示すブロック図が示されている。レーザー光線照射手段7は、レーザー光線LBを発振する発振器72と、発振器72の繰り返し周波数を所望の周波数に調整する繰り返し周波数調整部70と、発振器72が発振したレーザー光線LBの出力を調整するアッテネータ73と、アッテネータ73を通過した直線偏光のレーザー光線の偏光方向を回転する第1の1/2波長板74と、第1の1/2波長板74によって偏光方向が回転しS偏光に調整されたレーザー光線LB1(一点鎖線で示す)を第1の経路Q1に導くと共にP偏光に調整されたレーザー光線LB2(破線で示す)を第2の経路Q2に導く第1のビームスプリッター75と、第1の経路Q1に導かれたレーザー光線LB1と第2の経路Q2に導かれたレーザー光線LB2とを選択的に集光経路Q3に導く第2のビームスプリッター78とを備えている。
【0022】
第1の経路Q1には、第1のビームスプリッター75から導かれたレーザー光線LB1を通過又は遮断する第1のシャッター76aと、レーザー光線LB1のスポット形状を細長に成形するスリット76dが形成されたスポット成形部76cと、レーザー光線LB1の光路を変更する反射ミラー76bとが配設されている。
【0023】
第2の経路Q2には、第1のビームスプリッター75から導かれたレーザー光線LB2を通過又は遮断する第2のシャッター77aと、レーザー光線LB2の光路を変更する反射ミラー77bと、が配設されている。
【0024】
集光経路Q3には、分岐生成部79と、集光レンズ71aを含む集光器71が配設されている。分岐生成部79は、入射される直線偏光のレーザー光線の偏光方向を回転する第2の1/2波長板79aと、入射されるレーザー光線の出力が1/2になるように2本のレーザー光線に分岐して2個のスポットを任意の方向に離間して形成するウオラストンプリズム79bとを備えている。ウオラストンプリズム79bは、入射した光をお互いに直交した2つの直線偏光状態に分離する偏光プリズムとして一般的に知られているものであり、詳細な説明は省略する。分岐生成部79は、制御手段100に接続され、第2の1/2波長板79aを矢印R1で示す方向に、ウオラストンプリズム79bを矢印R2で示す方向に、それぞれ任意の角度だけ精密に回転させることができるように、図示を省略する回転駆動手段が配設されている。
【0025】
制御手段100は、コンピュータにより構成され、制御プログラムに従って演算処理する中央演算処理装置(CPU)と、制御プログラム等を格納するリードオンリメモリ(ROM)と、検出した検出値、演算結果等を一時的に格納するための読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)と、入力インターフェース、及び出力インターフェースとを備えている(詳細についての図示は省略)。制御手段100には、位置合わせ手段6、繰り返し周波数調整部70、分岐生成部79、さらには、第1のシャッター76a、第2のシャッター77a、X軸移動手段4a、Y軸移動手段4b等が接続され(
図2においては、一部の接続は省略されている。)、位置合わせ手段6によって撮像された画像データにより検出された情報は、適宜のメモリに記憶されると共に、図示を省略する表示手段に表示される。
【0026】
本実施形態のレーザー照射装置1は、概ね上記したとおりの構成を備えており、当該レーザー照射装置1を使用して実施される本実施形態のウエーハの加工方法の機能層除去工程、及びデバイスチップ生成工程について以下に説明する。なお、以下に説明するウエーハの加工方法においては、機能層除去工程の前に、レーザー光線を照射して分割予定ラインの幅を規制する2条の溝を形成する幅規制溝形成工程も実施される。
【0027】
本実施形態のウエーハの加工方法において加工されるウエーハ10は、例えば、
図3に示すようなウエーハ10である。ウエーハ10は、半導体基板(例えばシリコン(Si)からなる基板)の上面に機能層16が積層され複数のデバイス12が分割予定ライン14によって区画されて形成された表面10aを有するウエーハであり、例えば、直径が200mm、厚みが700μm、機能層16の厚みが10μm、分割予定ライン14の幅が70μmである。機能層16は、ウエーハ10に形成されるデバイス12の処理能力を向上すべく半導体基板の表面にSiOF、BSG(SiOB)等の無機物系の膜やポリイミド系、パリレン系等のポリマー膜である有機物系の膜からなる低誘電率絶縁体被膜(Low-k膜)等の機能膜を積層したものであって、該膜の構成は、デバイス12の種類に応じて適宜調整される。また、本実施形態のウエーハ10は、図示のように、開口部を有する環状のフレームFに粘着テープTを介して支持されている。
【0028】
なお、本発明のウエーハの加工方法において必須の構成ではないが、以下に説明するウエーハの加工方法を実施するに際しては、ウエーハ10の表面10aに対し、機能層除去工程、及びデバイスチップ生成工程において飛散するデブリ、切削屑等がウエーハ10の表面10aに付着することを防止すべく、適宜の保護膜を被覆する保護膜被覆工程を実施することが好ましい。該保護膜は、例えば、液状樹脂をウエーハ10の表面10a上に滴下してウエーハ10を高速回転することにより拡散して被覆したり、ウエーハ10の形状に対応する形状で形成された樹脂製の保護シートを被覆したりすることにより実現される。
【0029】
上記したウエーハ10を用意したならば、レーザー照射装置1のチャックテーブル35にウエーハ10を載置し、図示を省略する吸引手段により吸引すると共にクランプ37によって把持することによりウエーハ10を保持する。次いで、X軸移動手段4a、Y軸移動手段4bを作動して、
図1に示す位置合わせ手段6の直下に位置付ける。次いで、該位置合わせ手段6によってウエーハ10を撮影し、図示を省略する回転駆動手段によりチャックテーブル35を回転して、所定の分割予定ライン14の方向をX軸方向に整合させると共に、該分割予定ライン14と直交する分割予定ライン14をY軸方向に整合させる。さらに、加工すべき分割予定ライン14のXY座標によって規定される位置情報を制御手段100に記憶する。
【0030】
ここで、本実施形態では、機能層除去工程を実施する前に、レーザー光線をウエーハ10に照射して分割予定ライン14の幅を規制する2条の溝を形成する幅規制溝形成工程を以下のように実施する。
【0031】
幅規制溝形成工程を実施するに際しては、
図2に基づいて説明した第1のシャッター76aを、破線で示す第1のシャッター76a’の位置に移動して第1の経路Q1を閉じ、第2のシャッター77aを、実線で示す第2のシャッター77aの位置に移動して第2の経路Q2を開いた状態とする。そして、X軸移動手段4a、Y軸移動手段4bを作動して、所定の分割予定ライン14におけるレーザー加工開始位置を、レーザー光線照射手段7の集光器71の直下に位置付ける。
【0032】
上記した状態で、レーザー光線照射手段7の発振器72を作動して、機能層16及びウエーハ10の半導体基板に対して吸収性を有する波長のレーザー光線LBを照射すると、アッテネータ73を通過したレーザー光線LBの偏光方向が第1の1/2波長板74によって回転されP偏光に調整されたレーザー光線LB2が、第1のビームスプリッター75を介して、第2の経路Q2側に導かれる。なお、第1の経路Q1は、第1のシャッター76a’によって閉じられていることから、第1のビームスプリッター75を介して第1の経路Q1側に漏れた漏れ光は、該第1のシャッター76a’によって遮断される。そして、第2の経路Q2側に導かれたレーザー光線LB2は、反射ミラー77bにより光路が変更され、第2のビームスプリッター78を介して分岐生成部79に導かれる。この分岐生成部79に導かれたレーザー光線LB2は、
図2に基づき説明したように、分岐生成部79を構成する第2の1/2波長板79aのR1で示す回転によって直線偏光の偏光方向が回転されてウオラストンプリズム79bに至り、第2の1/2波長板79aの回転に追随するウオラストンプリズム79bの矢印R2で示す回転により、
図4(a)、(b)に示すように、出力が1/2ずつになるようにP偏光LB2aとS偏光LB2bとに分岐して、直径が5μmのスポットP1及びスポットP2を形成して、
図3に示すように集光器71から分割予定ライン14上の機能層16に照射される。
【0033】
上記した2つのスポットP1とスポットP2との幅方向の間隔は、分割予定ライン14上の機能層16を除去する幅(60μm)に対応して、分岐生成部79の回転によって設定されるものであり、例えば、
図4(b)に示すように、スポットP1’、スポットP2’の位置から矢印R3、R4の方向に移動させてスポットP1とスポットP2との幅方向の間隔を所望の幅に調整することができる。
【0034】
上記した状態において、繰り返し周波数調整部70によって発振器72から発振されるレーザー光線LBの繰り返し周波数を調整し、発振器72からレーザー光線LBを発振すると共に、上記のX軸移動手段4aを作動して、チャックテーブル35と共にウエーハ10をX軸方向における矢印X1で示す方向に移動して、分割予定ライン14に対して、P偏光LB2aとS偏光LB2bとを繰り返し照射(例えばパス数=3回)する。これにより、
図4(b)に加え
図4(c)に示すように該機能層16を除去すると共に半導体基板15に至る2条の溝18a、18bを形成する。なお、本実施形態では、
図4(b)に示すように、分割予定ライン14の幅70μmに対して、内幅が50μm、外幅が60μmになるように加工される。
【0035】
上記したレーザー加工を、レーザー光線照射手段7、X軸移動手段4a、Y軸移動手段4b、及び図示を省略するチャックテーブル35の回転駆動手段を適宜作動して、ウエーハ10の表面10aに形成された全ての分割予定ライン14に対して実行し、全ての分割予定ライン14上に、上記した2条の溝18a、18bを形成する。以上により、幅規制溝形成工程を実施する。
【0036】
なお、上記した幅規制溝形成工程におけるその他のレーザー加工条件は、例えば以下のとおりである。
波長 :355nm
繰り返し周波数 :1000kHz
平均出力 :0.8W
パルス幅 :10ps
加工送り速度 :300mm/秒
【0037】
上記した幅規制溝形成工程を実施したならば、以下に説明する機能層除去工程を実施する。該機能層除去工程は、分割予定ライン14に積層された機能層16を除去し半導体基板15を露出させる工程であり、まず、
図2に基づき説明した第2のシャッター77aを破線77a’で示す位置に移動して第2の経路Q2を閉じる。次いで、第1のシャッター76aを実線で示す位置に移動して、第1の経路Q1を開かれた状態とする。この状態にすることで、発振器72から発振されたレーザー光線LBは、第1の1/2波長板74によって偏光方向が調整された直線偏光のうち、偏光方向がS偏光に調整されたレーザー光線LB1が第1のビームスプリッター75から第1の経路Q1に導かれる。第1の経路Q1に導かれたレーザー光線LB1は、反射ミラー76bを経てマスクとして機能するスポット成形部76cに導かれ、スポット成形部76cに形成されたスリット76dによって、短辺と長辺を有する細長形状のスポット形状に成形される。このように成形されたレーザー光線LB2は、第2のビームスプリッター78を介して、集光経路Q3に配設された分岐生成部79及び集光器71に導かれる。
【0038】
上記したように、レーザー光線照射手段7を設定したならば、X軸移動手段4a、Y軸移動手段4bを作動して、所定の分割予定ライン14におけるレーザー加工開始位置を、レーザー光線照射手段7の集光器71の直下に位置付ける。そして、繰り返し周波数調整部70によって所望の繰り返し周波数に調整されたレーザー光線LBを発振器72から発振する。第1の経路Q1を経て分岐生成部79に導かれたレーザー光線LB1は、分岐生成部79を構成する第2の1/2波長板79aの回転によって直線偏光の偏光方向が回転され分岐生成部79を構成するウオラストンプリズム79bに至る。ウオラストンプリズム79bに至ったレーザー光線LB1は、
図5(a)に示すように、出力が1/2になるようにP偏光LB1aとS偏光LB1bとに分岐される。該分岐されたP偏光LB1a及びS偏光LB1bは、集光器71によって集光されて、分割予定ライン14の幅よりも小さいスポットP3、P4で分割予定ライン14上に照射される。該スポットP3、P4は、ウエーハ10の分割予定ライン14上の加工方向に離れた位置で照射される。分割予定ライン14上に照射されるP偏光LB1a及びS偏光LB1bにより形成されるスポットP3とスポットP4は、
図5(b)に示すように、長辺が分割予定ラインの幅方向(Y軸方向)に位置付けられると共に、短辺が加工方向(X軸方向)に位置付けられる。初期状態では、
図5(b)に示すように、スポットP3とスポットP4はいずれも分割予定ライン14の幅方向の中央に位置付けられ、両者は平行になるように位置付けられる。なお、本実施形態においては、スポットP3とスポットP4の各々の寸法は、短辺が6μm、長辺が45μmになるように設定されている。特に、長辺の長さは、2条の溝18a、18bの外幅(60μm)よりも小さい寸法、より好ましくは、内幅(50μm)よりも小さい寸法になるように設定される。また、スポットP3とスポットP4とのX軸方向の間隔は250μmに設定される。
【0039】
所定の分割予定ライン14に対し、上記したP偏光LB1a及びS偏光LB1bを照射しながら、X軸移動手段4aを作動して、
図5(b)に矢印X1で示す方向に加工送りすることにより、スポットP3、スポットP4によって分割予定ライン14上の機能層16を除去する除去ステップが実施される。なお、本実施形態の1回の除去ステップでは完全に機能層16が除去されないようにレーザー加工条件が設定されており、該スポットP3とスポットP4とにより形成される溝19(
図5(d)を参照)が、該機能層16を完全に除去し半導体基板15を露出させる所望の深さになるように繰り返し該除去ステップを実施する(例えばパス数=8回)。
【0040】
ここで、本実施形態の機能層除去工程では、上記の除去ステップを実行すると共に、以下に説明する拡張ステップも併せて実行する。上記したように、初期状態のスポットP3及びスポットP4は、いずれも分割予定ライン14の幅方向の中央に位置付けられており、加工方向(X軸方向)で離れた位置で、Y軸座標が一致するように、すなわち分割予定ライン14の幅方向にすれ違わないように位置付けられている。この状態から、1回の除去ステップを実行する度に、分岐生成部79のウオラストンプリズム79bを僅かに回転させると共に、これに追随するように第2の1/2波長板79aを回転させて、レーザー光線LB1から2個に分岐したスポットP3、スポットP4の長辺を分割予定ラインの幅方向においてすれ違うように、すなわち、
図5(c)に矢印R5、及びR6に示す方向に微小な距離で移動させる。本実施形態では、1回の除去ステップを実施する毎に、スポットP3を矢印R5で示す方向に1μm、スポットP4を矢印R6で示す方向に1μmずつ移動し、上記の除去ステップによりレーザー加工される領域を、Y軸方向に2μmずつ拡張する。本実施形態では、この拡張ステップを8回の除去ステップの間に挟み7回繰り返して、1本の分割予定ライン14に対して合計8回の除去ステップを実行する。上記したレーザー光線照射手段7、X軸移動手段4a、Y軸移動手段4b、図示を省略するチャックテーブル35の回転駆動手段を作動して、上記の除去ステップ及び拡張ステップを、ウエーハ10に形成された全ての分割予定ライン14に対して実行し、全ての分割予定ライン14上に
図5(d)に示すように、半導体基板15が露出した溝19を形成する。なお、本実施形態の1回の除去ステップにおける加工深さは1.5μmであることから、最終的に形成される溝19の形状は、
図5(d)に示すように、幅が60μm、深さが12μmとなる。本実施形態では、上記したように、機能層除去工程の前に幅規制溝形成工程を実施していることにより、分割予定ライン14に形成される溝19の幅を、確実に60μmで形成することができる。
【0041】
本実施形態の機能層除去工程におけるレーザー加工条件は、例えば以下のとおりである。
波長 :355nm
繰り返し周波数 :200kHz
平均出力 :3.0W
パルス幅 :10ps
加工送り速度 :200mm/秒
【0042】
上記したように、機能層除去工程を実施したならば、半導体基板15が露出した分割予定ライン14を切断して個々のデバイスチップを生成するデバイスチップ生成工程を実施する。デバイスチップ生成工程は、例えば、図示を省略する周知のダイシング装置を使用して実施することができる。例えば、
図6に示すように、高速回転する切削ブレード9(先端部のみを示している)を分割予定ライン14に沿って形成された溝19に位置付けてウエーハ10の分割予定ライン14を完全に切断する深さまで切込み送りして、ウエーハ10をX軸方向に加工送りすることにより切断する切削加工を実施する。該切削加工を、全ての分割予定ライン14に形成された溝19に沿って実施することにより、ウエーハ10のデバイス12が個々のデバイスチップに分割されて、本実施工程のデバイスチップ生成工程が完了する。以上により、本発明の機能層除去工程、デバイスチップ生成工程を含むウエーハの加工方法が完了する。なお、本発明のデバイスチップ生成工程は、上記したダイシング装置の切削ブレード9によって分割予定ライン14に沿って分割することに限定されず、例えば、レーザー光線による分割予定ラインの切断、プラズマエッチングによる分割予定ラインの切断、のいずれかにより実施されるものであってもよい。
【0043】
上記したウエーハの加工方法が実施されたウエーハ10は、次の工程、例えばピックアップ工程を実施するピックアップ装置に搬送されるか、又は複数のウエーハ10を収容するカセットに収容されて、別の加工装置に搬送される。
【0044】
本実施形態のウエーハの加工方法によれば、繰り返し実施される除去ステップを実施する際に照射される少なくとも2個のスポットP3、P4の長辺を、分割予定ライン14の幅方向にすれ違うように移動する拡張ステップを含むことにより、分割予定ライン14上における加工領域を徐々に拡張しながら加工することができ、分割予定ライン14の幅方向におけるスポットの両側でのレーザー加工が集中することなく分散されて、分割予定ライン14の両側に牙のような鋭角な溝が形成されることない。したがって、当該溝19に対するデバイスチップ生成工程を実施しても、デバイスチップの抗折強度が低下してデバイスチップの品質が悪化するという問題が解消される。
【0045】
また、上記した実施形態のレーザー照射装置1を、機能層除去工程を実施するレーザー照射装置として採用することにより、分割予定ライン14上における加工領域を徐々に拡張しながらレーザー加工することができ、分割予定ライン14の幅方向におけるスポットの両側でのレーザー加工が集中することなく分散する加工が容易に実施でき、分割予定ライン14の両側に牙のような鋭角な溝が形成されることない加工を実現できる。したがって、上記した溝19に対するデバイスチップ生成工程を実施しても、デバイスチップの抗折強度が低下してデバイスチップの品質が悪化するという問題が解消される。
【0046】
本発明は、上記した実施形態に限定されない。上記したウエーハの加工方法では、機能層除去工程を実施する前に、分割予定ライン14の幅を規制する2条の溝18a、18bを形成する幅規制溝形成工程を実施しているが、当該幅規制溝形成工程を省略してもよい。幅規制溝形成工程を省略する場合は、上記した第2の経路Q2を省略してもよく、上記した各構成のうち、少なくとも、発振器72と、集光器71と、発振器72と集光器71との間に配設されたスポット成形部76cと、分岐生成部79と、を備えていればよい。
【0047】
また、上記した実施形態では、機能層除去工程においてレーザー光線LB1をウオラストンプリズム79bに導くことによって2個のスポットP3、スポットP4に分岐するようにしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第2の1/2波長板79aとウオラストンプリズム79bとの間の経路上に、回折格子素子(DOE)を配設して複数の干渉縞を形成することで、例えば、4つのスポットを形成する4分岐、8つのスポットを形成する8分岐と、分岐数を多くすることが可能であり、分割予定ライン14上におけるレーザー加工の集中をより細かく分散させることができる。
【符号の説明】
【0048】
1:レーザー照射装置
2:基台
3:保持手段
31:X軸方向可動板
32:Y軸方向可動板
33:支柱
34:カバー板
35:チャックテーブル
36:吸着チャック
37:クランプ
4a:X軸移動手段
4b:Y軸移動手段
5:枠体
5a:垂直壁部
5b:水平壁部
6:位置合わせ手段
7:レーザー光線照射手段
70:繰り返し周波数調整部
71:集光器
72:発振器
73:アッテネータ
74:第1の1/2波長板
75:第1のビームスプリッター
76a:第1のシャッター
76b:反射ミラー
76c:スポット成形部
76d:スリット
77a:第2のシャッター
77b:反射ミラー
78:第2のビームスプリッター
79:分岐生成部
79a:第2の1/2波長板
79b:ウオラストンプリズム
9:切削ブレード
10:ウエーハ
10a:表面
12:デバイス
14:分割予定ライン
15:半導体基板
16:機能層
18a、18b:溝
19:溝
100:制御手段
200:ウエーハ
210:分割予定ライン
220:機能層
230:溝
232:深い溝
P1、P2:スポット
P3、P4:スポット
Q1:第1の経路
Q2:第2の経路
Q3:集光経路
LB0、LB、LB1、LB2:レーザー光線
LB1a:P偏光
LB1b:S偏光
LB2a:P偏光
LB2b:S偏光