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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016785
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】偏光板及びこれを含む光学表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20230126BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20230126BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20230126BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
G02B5/30
B32B7/023
B32B27/00 Z
G02F1/1335 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116967
(22)【出願日】2022-07-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0097416
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】リ, デ ギュ
(72)【発明者】
【氏名】ソ, ジン ア
(72)【発明者】
【氏名】ホン, ヒョン ア
(72)【発明者】
【氏名】リ, ウン ファ
(72)【発明者】
【氏名】チョ, ジャン ヒョン
【テーマコード(参考)】
2H149
2H291
4F100
【Fターム(参考)】
2H149AA02
2H149AB04
2H149AB05
2H149AB16
2H149AB23
2H149AB26
2H149BA02
2H149BA13
2H149CA03
2H149CA04
2H149FA02X
2H149FA03W
2H149FA05X
2H149FA12X
2H149FA12Y
2H149FC02
2H149FC03
2H149FC05
2H149FC06
2H149FD01
2H149FD25
2H149FD30
2H149FD35
2H149FD46
2H149FD47
2H149FD48
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA30X
2H291FA40X
2H291FA94X
2H291FA95X
2H291FA96X
2H291FB02
2H291FC05
2H291FC08
2H291FD08
2H291HA11
2H291HA15
2H291LA21
2H291LA27
2H291PA59
2H291PA79
4F100AA02B
4F100AA03B
4F100AA07B
4F100AA08B
4F100AA19B
4F100AA21B
4F100AA25B
4F100AA27B
4F100AA34B
4F100AG00B
4F100AK01B
4F100AK01D
4F100AK21A
4F100AK25B
4F100AK41B
4F100AK42C
4F100AR00A
4F100AR00C
4F100AR00D
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100BA22B
4F100BA22D
4F100CA02B
4F100DE03B
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4F100EH462
4F100EH46B
4F100EJ37A
4F100GB48
4F100JA05B
4F100JK06
4F100JK07B
4F100JK12C
4F100JL13B
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4F100JN00D
4F100JN10A
4F100JN18B
4F100YY00B
(57)【要約】
【課題】光学パターン又は光学パターンを含むパターン層を含まなくても、明暗比及び/又は輝度を改善することができる偏光板を提供する。
【解決手段】偏光子、及び前記偏光子の一面に順次積層された第1光学機能性層及び第1保護層、を含み、前記第1光学機能性層は、樹脂層、及び針状形マイクロ粒子、を含み、前記樹脂層は、ガラス転移温度(Tg)が-70℃から-15℃で、25℃での貯蔵弾性率が1×10-3MPaから9×10-1MPaで、前記針状形マイクロ粒子は前記第1光学機能性層の面内方向において配向され、前記偏光子の光吸収軸を0゜としたとき、前記偏光子の光吸収軸に対する前記針状形マイクロ粒子の長手方向の配向角度の平均値は-10゜から+10゜で、前記配向角度の標準偏差は15゜以下である偏光板を構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光子、及び前記偏光子の一面に順次積層された第1光学機能性層及び第1保護層、を含み、
前記第1光学機能性層は、樹脂層、及び針状形マイクロ粒子、を含み、
前記樹脂層は、ガラス転移温度(Tg)が-70℃から-15℃で、25℃での貯蔵弾性率が1×10-3MPaから9×10-1MPaで、
前記針状形マイクロ粒子は前記第1光学機能性層の面内方向において配向され、前記偏光子の光吸収軸を0゜としたとき、前記偏光子の光吸収軸に対する前記針状形マイクロ粒子の長手方向の配向角度の平均値は-10゜から+10゜で、前記配向角度の標準偏差は15゜以下である、偏光板。
【請求項2】
前記第1光学機能性層は明暗比又は輝度改善層である、請求項1に記載の偏光板。
【請求項3】
前記針状形マイクロ粒子は、平均アスペクト比が5から60である、請求項1に記載の偏光板。
【請求項4】
前記針状形マイクロ粒子は、長さが10μmから30μmで、直径が0.5μmから2μmである、請求項1に記載の偏光板。
【請求項5】
前記針状形マイクロ粒子は、前記樹脂層に比べて屈折率が高い、請求項1に記載の偏光板。
【請求項6】
前記針状形マイクロ粒子は、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、ベーマイト(Boehmite)、ホウ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸マグネシウム水和物、チタン酸カリウム、ガラス、及び合成樹脂のうち1種以上で形成される粒子を含む、請求項1に記載の偏光板。
【請求項7】
前記針状形マイクロ粒子は表面改質される、請求項1に記載の偏光板。
【請求項8】
前記針状形マイクロ粒子は、シランカップリング剤、界面活性剤、及び油脂類のうち1種以上で表面改質される、請求項7に記載の偏光板。
【請求項9】
前記針状形マイクロ粒子は、前記第1光学機能性層中に1重量%から30重量%含まれる、請求項1に記載の偏光板。
【請求項10】
前記樹脂層は粘着層である、請求項1に記載の偏光板。
【請求項11】
前記樹脂層は、非複屈折性樹脂を含む組成物で形成される、請求項1に記載の偏光板。
【請求項12】
前記樹脂層は、(メタ)アクリレート系樹脂、及びポリエステル系樹脂のうち1種以上を含む、請求項11に記載の偏光板。
【請求項13】
前記組成物は硬化剤をさらに含む、請求項11に記載の偏光板。
【請求項14】
前記第1光学機能性層は、厚さが100μm以下である、請求項1に記載の偏光板。
【請求項15】
前記第1保護層は位相差フィルムを含む、請求項1に記載の偏光板。
【請求項16】
前記第1保護層は、ハードコーティング層、散乱層、低反射層、極低反射層、プライマー層、耐指紋性層、反射防止層、及びアンチグレア層のうち1種以上を含む機能性層をさらに含む、請求項15に記載の偏光板。
【請求項17】
前記第1光学機能性層と前記第1保護層との間に第2光学機能性層をさらに含む、請求項1に記載の偏光板。
【請求項18】
前記第2光学機能性層は、樹脂層、及び針状形マイクロ粒子、を含む、請求項17に記載の偏光板。
【請求項19】
前記第2光学機能性層の前記針状形マイクロ粒子の長手方向は、前記第1光学機能性層の前記針状形マイクロ粒子の長手方向に対して85゜から95゜の配向角度をなす、請求項18に記載の偏光板。
【請求項20】
請求項1から請求項19のいずれか1項の偏光板を含む、光学表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光板及びこれを含む光学表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、バックライトユニットから出る光が光源側偏光板、液晶パネル、及び視認側偏光板の順に透過することによって作動する。光源から出射される光は、バックライトユニットを通過しながら拡散されて出射された後、光源側偏光板に入射する。よって、光源側偏光板、液晶パネル、及び視認側偏光板を通過しながら、正面から側面に行くほど明暗比が減少するという問題がある。
【0003】
視認側偏光板に明暗比又は視認性改善層を含ませ、正面及び側面での明暗比又は視認性を改善する方法が検討されている。明暗比又は視認性改善層は、所定の陽刻又は陰刻の光学パターンを低屈折層と高屈折層の界面に備えることによって、光が透過するとき、パターンで屈折されて出射されることによって明暗比及び視認性を改善する。
【0004】
しかし、パターンを備える明暗比又は視認性改善層は、パターン製造過程を必須的に含む。また、低屈折層と高屈折層の2個の層を必ず含まなければならない。パターン製造工程には、パターンロールに特定のピッチを有するパターンを刻印した後、これをフィルムに転写するハードモールディング(hard molding)方式及びソフトモールディング(soft molding)方式が使用されている。ところが、パターン製造工程中にパターンロールに微細な不良が発生すると、転写されるフィルムに即時に不良が反映され、製品化が困難になり得る。よって、偏光板の製造を複雑にし、追加の費用がかかり、偏光板が厚なるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第2018-0047569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、光学パターン又は光学パターンを含むパターン層を含まなくても、明暗比及び/又は輝度を改善することができる偏光板を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、光学パターン又はパターン層を含まないので、偏光板の製造工程を改善することができ、薄型化した偏光板を提供することにある。
【0008】
本発明の更に他の目的は、層間剥離強度に優れた光学機能性層を含む偏光板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態は偏光板に関する。
【0010】
1.偏光板は、偏光子、及び前記偏光子の一面に順次積層された第1光学機能性層及び第1保護層、を含み、前記第1光学機能性層は、樹脂層、及び針状形マイクロ粒子、を含み、前記樹脂層は、ガラス転移温度(Tg)が-70℃から-15℃で、25℃での貯蔵弾性率(Storage modulus)が1×10-3MPaから9×10-1MPaで、前記針状形マイクロ粒子は前記第1光学機能性層の面内方向において配向され、前記偏光子の光吸収軸を0゜としたとき、前記偏光子の光吸収軸に対する前記針状形マイクロ粒子の長手方向の配向角度の平均値は-10゜から+10゜で、前記配向角度の標準偏差は15゜以下である。
【0011】
2.1において、前記第1光学機能性層は、明暗比又は輝度改善層であってもよい。
【0012】
3.1または2において、前記針状形マイクロ粒子は、平均アスペクト比が5から60であってもよい。
【0013】
4.1から3において、前記針状形マイクロ粒子は、長さが10μmから30μmで、直径が0.5μmから2μmであってもよい。
【0014】
5.1から4において、前記針状形マイクロ粒子は、前記樹脂層に比べて屈折率が高くてもよい。
【0015】
6.1から5において、前記針状形マイクロ粒子は、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、ベーマイト(Boehmite)、ホウ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸マグネシウム水和物、チタン酸カリウム、ガラス、及び合成樹脂のうち1種以上で形成される粒子を含んでもよい。
【0016】
7.1から6において、前記針状形マイクロ粒子は表面改質されてもよい。
【0017】
8.7において、前記針状形マイクロ粒子は、シランカップリング剤、界面活性剤、及び油脂類のうち1種以上で表面改質されてもよい。
【0018】
9.1から8において、前記針状形マイクロ粒子は、前記第1光学機能性層中に1重量%から30重量%含まれてもよい。
【0019】
10.1から9において、前記樹脂層は粘着層であってもよい。
【0020】
11.1から10において、前記樹脂層は、非複屈折性樹脂を含む組成物で形成されてもよい。
【0021】
12.11において、前記樹脂は、(メタ)アクリレート系樹脂、及びポリエステル系樹脂のうち1種以上を含んでもよい。
【0022】
13.11または12において、前記組成物は硬化剤をさらに含んでもよい。
【0023】
14.1から13において、前記第1光学機能性層は、厚さが100μm以下であってもよい。
【0024】
15.1から14において、前記第1保護層は、位相差フィルムを含んでもよい。
【0025】
16.15において、前記第1保護層は、ハードコーティング層、散乱層、低反射層、極低反射層、プライマー層、耐指紋性層、反射防止層、及びアンチグレア層のうち1種以上を含む機能性層をさらに含んでもよい。
【0026】
17.1から16において、前記第1光学機能性層と前記第1保護層との間に第2光学機能性層をさらに含んでもよい。
【0027】
18.17において、前記第2光学機能性層は、樹脂層、及び針状形マイクロ粒子、を含んでもよい。
【0028】
19.18において、前記第2光学機能性層の前記針状形マイクロ粒子の長手方向は、前記第1光学機能性層の前記針状形マイクロ粒子の長手方向に対して85゜から95゜の配向角度をなしてもよい。
【0029】
本発明の他の実施形態は光学表示装置に関する。
【0030】
該光学表示装置は、本発明の偏光板を含む。
【発明の効果】
【0031】
本発明の一実施形態によると、光学パターン又は光学パターンを含むパターン層を含まなくても、明暗比及び/又は輝度を改善することができる偏光板を提供することができる。
【0032】
本発明の一実施形態によると、光学パターン又はパターン層を含まないので、偏光板の製造工程を改善することができ、薄型化した偏光板を提供することができる。
【0033】
本発明の一実施形態によると、層間剥離強度に優れた光学機能性層を含む偏光板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一実施形態に係る偏光板の断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る針状形マイクロ粒子のTEM写真である。
図3】本発明の一実施形態に係る針状形マイクロ粒子の長手方向の概略的断面図である。
図4】偏光子の光吸収軸を90゜としたときの、本発明の一実施形態に係る第1光学機能性層の針状形マイクロ粒子の配向角度の分布を示す図である。
図5A】本発明の一実施形態に係る第1光学機能性層の針状形マイクロ粒子の配向状態を示す図である。
図5B】本発明の一実施形態に係る偏光子の光吸収軸を90゜としたときの、針状形マイクロ粒子の角度の実際の測定結果を示す図である。
図6】本発明の他の実施形態に係る偏光板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
添付の図面を参照して、実施形態に対して本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は、様々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施形態に限定されない。図面において、本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、明細書全体にわたって同一又は類似する構成要素に対しては同一の符号を付した。
【0036】
本明細書において、「上部」と「下部」は、図面における垂直方向を基準にして定義したものであり、視る角度によって「上部」が「下部」に、「下部」が「上部」に変更されてもよく、「上(on)」と称されるものは、直上のみならず、間に他の構造を介在した場合も含むことができる。その一方で、「直接上(directly on)」、「直上」、「直接的に形成」又は「直接接して形成」と称されるものは、間に他の構造を介在しないことを意味する。
【0037】
本明細書において、「面内位相差(Re)」は、波長550nmでの値であり、下記の式Aで表される。
【0038】
<式A>
Re=(nx-ny)×d
(式Aにおいて、nx、nyは、波長550nmにおける保護層の遅相軸(slow axis)方向、進相軸(fast axis)方向の屈折率で、dは、保護フィルムの厚さ(単位:nm)である。)
【0039】
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。
【0040】
本明細書において、「屈折率」は、波長380nmから780nm、具体的に550nmで測定された値であってもよい。
【0041】
本明細書において、樹脂層の「貯蔵弾性率」は、storage modulusである。樹脂層用組成物を離型フィルム上に塗布し、95℃で4分間乾燥した後、厚さを50μmにすることによって樹脂層を形成した。形成した樹脂層を厚さ500μmに積層し、直径8mmの円形に切断することによって試験片を準備した。試験片を用いて貯蔵弾性率測定機(ARES、Adcanced Rheometry Expansion System、TA instruments社)で0℃から100℃の温度範囲で昇温(10℃/min)しながら、25℃の貯蔵弾性率を測定した。
【0042】
本明細書において、数値範囲の記載時、「XからY」は、「X≦そして≦Y」を意味する。
【0043】
本発明の発明者は、光学パターン又は光学パターンを含むパターン層を含まなくても、正面及び側面での明暗比及び/又は輝度を改善することができる偏光板を提供する。本発明の一実施形態に係る偏光板は、光学パターン又はパターン層を含まないので、偏光板の製造工程を改善することができ、薄型化した偏光板を提供する。本発明の一実施形態に係る偏光板は、層間剥離強度に優れた光学機能性層を含む。
【0044】
本発明の一実施形態に係る偏光板は、偏光子、及び前記偏光子の一面に順次積層された第1光学機能性層及び第1保護層、を含み、前記第1光学機能性層は、樹脂層;及び針状形マイクロ粒子;を含み、前記樹脂層は、ガラス転移温度(Tg)が-70℃から-15℃で、25℃での貯蔵弾性率が1×10-3MPaから9×10-1MPaで、前記針状形マイクロ粒子は前記第1光学機能性層の面内方向において配向され、前記偏光子の光吸収軸を0゜としたとき、前記偏光子の光吸収軸に対する前記針状形マイクロ粒子の長手方向の配向角度の平均値は-10゜から+10゜で、前記配向角度の標準偏差は15゜以下である。
【0045】
以下、本発明の一実施形態に係る偏光板について図1を参考にして説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る偏光板の断面図である。
【0046】
図1を参照すると、偏光板は、偏光子10、第1保護層30、第1光学機能性層20、第2保護層40及び第3保護層50を含んでもよい。
【0047】
偏光子10の一面、特に偏光子10の上部面は、偏光板を光学表示装置に適用させたとき、偏光子に対する内部光の光出射面になってもよい。よって、第1光学機能性層20及び第1保護層30は、偏光子10に対する内部光の光出射面に積層されてもよい。しかし、本発明はこれに限定されず、第1光学機能性層20は、偏光子10の内部光に対する光入射面に積層されてもよい。
【0048】
好ましくは、第1光学機能性層20及び第1保護層30は、偏光子に対する内部光の光出射面に積層されてもよく、この場合、本発明の効果がさらによく実現され得る。「内部光」は、バックライトユニットなどの光源から出射され、偏光子を介して出射される光を意味する。
【0049】
[第1光学機能性層]
第1光学機能性層20は、偏光板に含まれ、明暗比及び/又は輝度改善層として機能してもよい。好ましくは、第1光学機能性層20は、明暗比改善層として機能してもよい。
【0050】
第1光学機能性層20の上部面、すなわち、第1光学機能性層20の光出射面及び光入射面は、それぞれ図1に示すように、全体的に平面であり、パターン化されていない。第1光学機能性層20は、下記で説明する針状形マイクロ粒子を含有し、針状形マイクロ粒子のうち少なくとも1個は、第1光学機能性層の面内方向において、針状形マイクロ粒子の長手方向が偏光子の光吸収軸に対して配向角度-10゜から+10゜で配向されて整列され、配向角度の標準偏差は15゜以下である。このため、偏光板の正面及び側面での明暗比及び/又は輝度を改善することができる。よって、本発明の一実施形態は、光学パターン又はパターン層を含まないので、偏光板の製造工程を改善することができ、薄型化した偏光板を提供することができる。
【0051】
図2は、本発明の一実施形態で使用された針状形マイクロ粒子のTEM写真である。図2を参照すると、針状形マイクロ粒子は、所定の断面及び長さを有する針状形の粒子である。図3を参照して、針状形マイクロ粒子を詳細に説明する。
【0052】
図3を参照すると、針状形マイクロ粒子は、長さL及び所定の直径Dを有し、直径Dが長さL全体で均一でなく、その代わりに、針状形マイクロ粒子の両末端に行くほど直径Dが減少する形状の粒子であってもよい。厚さが非均質性の針状形マイクロ粒子が光学的異方性を示すことによって、偏光子から入射する光は、針状形マイクロ粒子を通過するとき、互いに異なる方向に出射されてもよい。
【0053】
図3は、針状形マイクロ粒子の直径が両末端に行くほど減少する場合を示した図である。しかし、針状形マイクロ粒子の製造方法によっては、一端側では直径が均一であり、一端とは反対側の他端にのみ直径が減少する場合もある。
【0054】
針状形マイクロ粒子は、長さがマイクロメートル単位の値を有する粒子を意味してもよい。針状形マイクロ粒子において、長さLは、マイクロメートル単位の値を有する。ここで、「マイクロメートル単位の値」は、長さLが最小1μm以上であることを意味する。これは、本発明の一実施形態において、針状形マイクロ粒子の配向が容易であり、明暗比及び輝度の改善に役立つ。長さLがナノメートル単位の値を有する針状形ナノ粒子は、本発明の一実施形態において配向自体が容易でないので、本発明の効果を得ることが容易ではない。
【0055】
針状形マイクロ粒子の長さLは、好ましくは、10μmから30μm、好ましくは15μmから28μmであってもよい。針状形マイクロ粒子の長さLが上記範囲であると、本発明の一実施形態における針状形マイクロ粒子の配向が容易であり、明暗比及び輝度の改善に役立つ。
【0056】
針状形マイクロ粒子の直径Dは、0.5μmから2μm、好ましくは1μmから2μmであってもよい。針状形マイクロ粒子の直径Dは上記範囲であると、アスペクト比が増加し、側面拡散効果を奏し得る。
【0057】
針状形マイクロ粒子は、平均アスペクト比が5から60、具体的には、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、例えば、10から60であってもよい。針状形マイクロ粒子の平均アスペクト比が上記範囲であると、本発明の一実施形態に係る偏光板の明暗比及び輝度を改善することができる。好ましくは、平均アスペクト比が10から50であってもよい。
【0058】
ここで、「平均アスペクト比」は、針状形マイクロ粒子のそれぞれに対して測定されたアスペクト比の平均値を意味し、「アスペクト比」は、針状形マイクロ粒子の最大直径に対する長手方向の長さの比を意味する。
【0059】
第1光学機能性層の面内方向において針状形マイクロ粒子が配向されており、偏光子の光吸収軸を0゜としたとき、偏光子の光吸収軸に対する針状形マイクロ粒子の長手方向の配向角度の平均値は-10゜から+10゜で、配向角度の標準偏差は15゜以下である。
【0060】
第1光学機能性層の面内方向において、針状形マイクロ粒子は、所定の配向角度で配向されている。ここで、「配向角度」は、偏光子の光吸収軸を0゜としたとき、針状形マイクロ粒子の長手方向がなす角度を意味する。球形粒子は、長手方向自体がないので、配向角度が存在しない。
【0061】
本発明は、針状形マイクロ粒子の配向角度の平均値が-10゜から+10゜でありながら、配向角度の標準偏差を15゜以下にすることによって、偏光子から入射する光が針状形マイクロ粒子を通過するとき、互いに異なる方向に出射される。このため、偏光板の正面と側面での明暗比及び輝度を改善することができる。偏光子の光吸収軸は、偏光子のMD(machine direction)であってもよい。
【0062】
配向角度の平均値及び標準偏差は、図4及び図5を参照して説明する。
【0063】
図4は、基準に対して偏光子の光吸収軸を90゜としたとき、基準に対して針状形マイクロ粒子の長手方向がなす角度の分布を示す図で、図5Aは、本発明の一実施形態に係る第1光学機能性層の針状形マイクロ粒子の配向状態を示し、図5Bは、本発明の一実施形態に係る第1光学機能性層に対して実際に測定された針状形マイクロ粒子の角度の分布を示す結果である。
【0064】
針状形マイクロ粒子の角度の平均値を求めた後、得られた平均値から90゜を差し引いた値が本発明の一実施形態に係る針状形マイクロ粒子の配向角度の平均値である。例えば、計算された平均値が80゜の場合、配向角度の平均値は-10゜で、計算された平均値が100゜の場合、配向角度の平均値は+10゜である。標準偏差は、分布を通じて通常の方法で計算して得ることができる。
【0065】
針状形マイクロ粒子の配向角度の平均値は、好ましくは、-10゜、-9.5゜、-9゜、-8.5゜、-8゜、-7.5゜、-7゜、-6.5゜、-6゜、-5.5゜、-5゜、-4.5゜、-4゜、-3.5゜、-3゜、-2.5゜、-2゜、-1.5゜、-1゜、-0.5゜、0、+0.5゜、+1゜、+1.5゜、+2゜、+2.5゜、+3゜、+3.5゜、+4゜、+4.5゜、+5゜、+5.5゜、+6゜、+6.5゜、+7゜、+7.5゜、+8゜、+8.5゜、+9゜、+9.5゜、+10゜、例えば、-4.0゜から+4.0゜で、配向角度の標準偏差は、0゜、0.5゜、1゜、1.5゜、2゜、2.5゜、3゜、3.5゜、4゜、4.5゜、5゜、5.5゜、6゜、6.5゜、7゜、7.5゜、8゜、8.5゜、9゜、9.5゜、10゜、10.5゜、11゜、11.5゜、12゜、12.5゜、13゜、13.5゜、14゜、14.5゜、15゜、好ましくは0゜から8.5゜、さらに好ましくは5゜から8.5゜であってもよい。針状形マイクロ粒子の配向角度の平均値と標準偏差が上記範囲であると、本発明の効果がさらに改善され得る。
【0066】
一実施形態において、針状形マイクロ粒子のうち少なくとも90%、例えば、95%から100%は、配向角度が-10゜から+10゜になるように配向されて整列されている。針状形マイクロ粒子の配向角度が上記範囲であると、均一な明暗比及び視認性の改善効果を得ることができる。
【0067】
針状形マイクロ粒子は、樹脂層に比べて屈折率が高くてもよい。これを通じて、本発明の一実施形態に係る偏光板の側面での明暗比及び輝度の改善効果をさらに高めることができる。
【0068】
針状形マイクロ粒子と樹脂層との間の屈折率差は、0.8以下、具体的には、0超過、0.01、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、好ましくは0.5以下、さらに好ましくは0.15から0.25であってもよい。針状形マイクロ粒子と樹脂層との間の屈折率差が上記範囲であることで、偏光板の明暗比及び輝度の改善効果をさらに高め、樹脂層の光学特性も改善することができる。
【0069】
針状形マイクロ粒子は、屈折率が1.5から2.2、具体的には、1.5、1.55、1.6、1.65、1.7、1.75、1.8、1.85、1.9、1.95、2.0、2.05、2.1、2.15、2.2、好ましくは1.6から1.8、さらに好ましくは1.65から1.7であってもよい。針状形マイクロ粒子の屈折率が上記範囲であることで、下記で説明する樹脂層に比べて適正な屈折率を有し、偏光板の明暗比及び視認性の改善に役立つことができる。
【0070】
針状形マイクロ粒子は、酸化チタン(例:TiO)、酸化ジルコニウム(例:ZrO)、酸化亜鉛(例:ZnO)などの金属酸化物、炭酸カルシウム(CaCO)、ベーマイト(Boehmite)、ホウ酸アルミニウム(例:AlBO)、ケイ酸カルシウム(例:CaSiO、wollastonite)、硫酸マグネシウム(MgSO)、硫酸マグネシウム水和物(例:MgSO・7HO)、チタン酸カリウム(例:KTi17)などの金属化合物、ガラス、及び合成樹脂のうち1種以上で形成された粒子であってもよい。好ましくは、針状形マイクロ粒子を炭酸カルシウム(CaCO)で形成することによって、本発明の効果を容易に実現することができ、製造が容易になり得る。
【0071】
針状形マイクロ粒子は、表面改質されていない状態で樹脂層内に含まれてもよい。しかし、表面改質された針状形マイクロ粒子は、下記で説明する有機素材の樹脂層との相溶性及び粒子の分散性をさらに高め、第1光学機能性層の光学特性を改善することができ、粒子の凝集を防止できるので、本発明の効果を容易に実現することができる。針状形マイクロ粒子の全体の表面積のうち50%以上、例えば、60%から100%、60%から95%が表面改質されてもよい。範囲で、相溶性及び分散性の改善効果を得ることができる。
【0072】
一実施形態において、針状形マイクロ粒子は、シラン系化合物、界面活性剤、及び油脂類(Oil)のうち1種以上で表面改質されてもよい。好ましくは、針状形マイクロ粒子は、(メタ)アクリロイルオキシ基又は(メタ)アクリレート基を有するシラン系化合物で表面処理されることによって、下記で説明する(メタ)アクリレート系樹脂層のマトリックスとの相溶性及び分散性が良好になり得る。
【0073】
(メタ)アクリロイルオキシ基又は(メタ)アクリレート基を有するシラン系化合物は、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、好ましくは、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、及び3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランのうち1種以上を含むことができる。
【0074】
表面改質された針状形マイクロ粒子と樹脂層との間の屈折率差は、0.8以下、具体的には、0超過、0.01、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、好ましくは0.5以下、さらに好ましくは0.15から0.25になってもよい。表面改質された針状形マイクロ粒子と樹脂層との間の屈折率差が上記範囲であることで、偏光板の明暗比及び輝度の改善効果をさらに高め、樹脂層の光学特性も改善することができる。
【0075】
表面改質された針状形マイクロ粒子は、屈折率が1.5から2.2、具体的には、1.5、1.55、1.6、1.65、1.7、1.75、1.8、1.85、1.9、1.95、2.0、2.05、2.1、2.15、2.2、好ましくは1.6から1.8、さらに好ましくは1.65から1.7であってもよい。表面改質された針状形マイクロ粒子の屈折率が上記範囲であることで、下記で説明する樹脂層に比べて適正な屈折率を有し、偏光板の明暗比及び視認性の改善に役立つことができる。
【0076】
針状形マイクロ粒子は、第1光学機能性層の1重量%から30重量%、具体的には、1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、25重量%、26重量%、27重量%、28重量%、29重量%、30重量%、好ましくは4重量%から15重量%含まれてもよい。針状形マイクロ粒子の含有量が上記範囲であることで、本発明の一実施形態に係る偏光板の明暗比及び輝度の改善効果を得ることができ、過量で含まれると、ヘイズが高くなり得る。
【0077】
針状形マイクロ粒子は、第1光学機能性層の上部面の最も外側、又は下部面の最も外側に配置されてもよい。好ましくは、針状形マイクロ粒子は、第1光学機能性層、好ましくは、樹脂層内に均一に配置されてもよい。
【0078】
一実施形態において、針状形マイクロ粒子は、樹脂層内に含浸させて、第1光学機能性層20を形成してもよい。
【0079】
第1光学機能性層20、具体的には樹脂層は、第1保護層30と第2保護層40との間に積層され、粘着層として第1保護層30と第2保護層40とを互いに粘着させてもよい。もちろん、樹脂層は、第2保護層40を用いることなく、第1保護層30と偏光子10とを互いに粘着させてもよい。また、第1光学機能性層20、具体的には樹脂層は、粘着力のない非粘着層であってもよい。
【0080】
樹脂層は、ガラス転移温度(Tg)が-70℃から-15℃で、25℃での貯蔵弾性率が1×10-3MPaから9×10-1MPaである。ガラス転移温度と25℃での貯蔵弾性率が上記範囲を満たすとき、第1光学機能性層20、具体的には樹脂層は、層間剥離強度に優れ、第1保護層30と第2保護層40(又は偏光子10)とを互いに粘着させることができる。また、ガラス転移温度と25℃での貯蔵弾性率が上記範囲を満たすとき、偏光子10の両面に互いに異なる積層構造が積層されることによって発生する偏光板のカーリング(curling)を減少させることができる。
【0081】
具体的には、樹脂層は、ガラス転移温度が-70℃、-69℃、-68℃、-67℃、-66℃、-65℃、-64℃、-63℃、-62℃、-61℃、-60℃、-59℃、-58℃、-57℃、-56℃、-55℃、-54℃、-53℃、-52℃、-51℃、-50℃、-49℃、-48℃、-47℃、-46℃、-45℃、-44℃、-43℃、-42℃、-41℃、-40℃、-39℃、-38℃、-37℃、-36℃、-35℃、-34℃、-33℃、-32℃、-31℃、-30℃、-29℃、-28℃、-27℃、-26℃、-25℃、-24℃、-23℃、-22℃、-21℃、-20℃、-19℃、-18℃、-17℃、-16℃、-15℃、好ましくは、-65℃から-15℃であってもよく、25℃での貯蔵弾性率は、具体的には、1×10-3MPa、2×10-3MPa、3×10-3MPa、4×10-3MPa、5×10-3MPa、6×10-3MPa、7×10-3MPa、8×10-3MPa、9×10-3MPa、1×10-2MPa、2×10-2MPa、3×10-2MPa、4×10-2MPa、5×10-2MPa、6×10-2MPa、7×10-2MPa、8×10-2MPa、9×10-2MPa、1×10-1MPa、2×10-1MPa、3×10-1MPa、4×10-1MPa、5×10-1MPa、6×10-1MPa、7×10-1MPa、8×10-1MPa、9×10-1MPa、好ましくは、1×10-2MPaから5×10-1MPa、1×10-1MPaから5×10-1MPaであってもよい。
【0082】
一実施形態において、第1光学機能性層20は、PETフィルムに対する剥離強度が600gf/25mm以上、具体的には、600gf/25mm、650gf/25mm、700gf/25mm、750gf/25mm、800gf/25mm、850gf/25mm、900gf/25mm、例えば、600gf/25mmから900gf/25mmであってもよい。第1光学機能性層20のPETフィルムに対する剥離強度が上記範囲であることで、偏光板の信頼性に優れ、層間剥離が発生しなくなり得る。
【0083】
樹脂層は、ガラス転移温度と25℃での貯蔵弾性率の範囲を実現することができ、粘着性を示す樹脂を含む樹脂層用組成物で形成されてもよい。好ましくは、針状形マイクロ粒子による偏光板の明暗比の改善及び輝度の改善効果に影響を与えることを防ぐために、樹脂は、非複屈折樹脂を含む組成物で形成されてもよい。この場合、樹脂層も非複屈折である場合がある。例えば、樹脂は、(メタ)アクリレート系樹脂、ポリエステル系樹脂、好ましくは(メタ)アクリレート系樹脂を含んでもよい。
【0084】
一実施形態において、樹脂層は、熱硬化型樹脂を含む樹脂層用組成物で形成されてもよい。
【0085】
一実施形態において、樹脂層は、熱硬化型樹脂層用組成物で形成されてもよい。
【0086】
樹脂層のガラス転移温度と25℃での貯蔵弾性率の範囲は、当業者に知られている通常の方法で実現されてもよい。一例を挙げると、樹脂層のガラス転移温度と25℃での貯蔵弾性率の範囲は、下記で説明する樹脂のガラス転移温度、硬化剤の含量、単量体の種類及び/又は含量などを調節することによって実現されてもよい。
【0087】
樹脂層は、屈折率が1.4から1.6、具体的には、1.4、1.43、1.45、1.47、1.49、1.5、1.53、1.55、1.57、1.59、1.6、好ましくは1.45から1.57、さらに好ましくは1.47から1.50であってもよい。樹脂層の屈折率が上記範囲であることで、偏光板の明暗比及び輝度の改善効果をさらに高めることができる。
【0088】
以下では、(メタ)アクリレート系樹脂を含む樹脂層用組成物に対して説明する。
【0089】
(メタ)アクリレート系樹脂は、アルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体、及び水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系単量体、アミン基を有する(メタ)アクリル系単量体、脂環族基を有する(メタ)アクリル系単量体、及びヘテロ脂環族基を有する(メタ)アクリル系単量体のうち1種以上を含む架橋性官能基を有する(メタ)アクリル系単量体、を含む単量体混合物から形成されてもよい。
【0090】
アルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体は、非置換のC1からC10のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含んでもよい。具体的には、アルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、及びデシル(メタ)アクリレートのうち一つ以上を含んでもよいが、これに限定されない。これらは、単独で含まれてもよく、又は2種以上混合して含まれてもよい。
【0091】
水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体は、一つ以上の水酸基を有するC1からC20のアルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体、一つ以上の水酸基を有するC3からC20のシクロアルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体、及び一つ以上の水酸基を有するC6からC20の芳香族基を有する(メタ)アクリル系単量体のうち一つ以上を含んでもよい。具体的には、水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体は、一つ以上の水酸基を有するC1からC20のアルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体であることが好ましく、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、及び1-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのうち一つ以上を含んでもよい。これらは、単独で含まれてもよく、又は2種以上混合して含まれてもよい。
【0092】
カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系単量体は、(メタ)アクリル酸を含んでもよい。
【0093】
アミン基を有する(メタ)アクリル系単量体は、アミノアルキル(メタ)アクリレートを含んでもよい。
【0094】
(メタ)アクリレート系樹脂は、上記単量体混合物を使用して当業者に知られている通常の重合方法、例えば、溶液重合、懸濁重合などで製造されてもよい。
【0095】
(メタ)アクリレート系樹脂は、ガラス転移温度が-15℃から-70℃、好ましくは-15℃から-65℃であってもよい。(メタ)アクリレート系樹脂のガラス転移温度が上記範囲であることで、本発明の一実施形態に係る樹脂層がガラス転移温度に容易に到達し得る。
【0096】
樹脂層用組成物は、樹脂を硬化できる硬化剤をさらに含んでもよい。硬化剤は、樹脂層に粘着性を付与し、樹脂層が上述したガラス転移温度と25℃での貯蔵弾性率に容易に到達し得る。
【0097】
硬化剤は、イソシアネート系硬化剤、エポキシ系硬化剤、アジリジン系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤、及び金属キレート系硬化剤のうち一つ以上を含んでもよい。
【0098】
イソシアネート系硬化剤は、2官能以上、例えば、2官能から6官能のイソシアネート系硬化剤を含んでもよい。具体的には、イソシアネート系硬化剤は、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などの脂環族基を有するイソシアネート硬化剤、3官能のトリメチロールプロパン修飾トルエンジイソシアネート付加物、3官能のトルエンジイソシアネートトライマー、トリメチロールプロパン修飾キシレンジイソシアネート付加物などを含む3官能のイソシアネート硬化剤、6官能トリメチロールプロパン変性トルエンジイソシアネート;及び6官能イソシアヌレート変性トルエンジイソシアネートのうち一つ以上を含んでもよいが、これに限定されない。好ましくは、イソシアネート系硬化剤として、脂環族基を有するイソシアネート系硬化剤を使用することによって、樹脂層の屈折率を容易に調節することができる。
【0099】
硬化剤は、(メタ)アクリレート系樹脂100重量部に対して0.1重量部から10重量部、好ましくは、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10重量部、より好ましくは0.2重量部から5重量部含まれてもよい。硬化剤の含有量が上記範囲であることで、樹脂層が粘着性を容易に示すことができる。
【0100】
樹脂層用組成物は、(メタ)アクリレート系樹脂及び硬化剤以外に、各種添加剤をさらに含んでもよい。
【0101】
一実施形態において、針状形マイクロ粒子の分散を容易にするために、添加剤として分散剤を含んでもよい。分散剤としては、当業者に知られている通常の分散剤、例えば、DISPERBYK 180(Alkylol ammonium salt of copolymer with acidic groups)又はこれと同種系列を使用できるが、これに限定されない。
【0102】
第1光学機能性層20は、厚さが100μm以下、具体的には、0μm超過、5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μm、55μm、60μm、65μm、70μm、75μm、80μm、85μm、90μm、95μm、100μm、好ましくは0μm超過50μm未満、さらに具体的には5μmから15μmであってもよい。第1光学機能性層20の厚さが上記範囲であることで、偏光板の硬度が確保され得る。
【0103】
第1光学機能性層20は、光透過率が90%以上、具体的には、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、好ましくは90%から100%であってもよい。第1光学機能性層20は、ヘイズが30%以下、具体的には、0%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、好ましくは0%から30%、さらに具体的には10%から25%であってもよい。第1光学機能性層20の光透過率およびヘイズが上記範囲であることで、第1光学機能性層20は、偏光板に適用可能であり、白濁度が低いので、明暗比及び輝度の改善効果を提供するのに役立つ。
【0104】
第1光学機能性層20は、以下で説明する方法で製造されてもよい。
【0105】
一実施形態において、第1光学機能性層20は、第1保護層30にコーティング層として形成されてもよい。第1光学機能性層20は、スロットダイコーティング、マイクログラビアコーティング、ギャップロール(Gap Roll)、バー(Bar)コーティング方法で製造されてもよい。具体的には、本発明の針状形マイクロ粒子の配向角度及び標準偏差は、光学機能性層用組成物を形成するとき、組成物の粘度(25℃で100cPから400cP)、コーティング時の圧力(25℃で0.1mPaから0.4mPa)などの調節を通じて実現され得るが、これに限定されない。第1光学機能性層用組成物は、樹脂層用組成物に針状形マイクロ粒子を含ませて調整されてもよい。
【0106】
図6に示したように、第1光学機能性層20の上部面、すなわち、第1光学機能性層20の内部光の光出射面には、第2光学機能性層60がさらに積層されてもよい。
【0107】
第2光学機能性層60は、樹脂層、及び針状形マイクロ粒子、を含んでもよい。第2光学機能性層60をさらに含むことによって、本発明の偏光板は、上、下、左、右側面での視認性の改善効果をさらに奏し得る。
【0108】
第2光学機能性層60の針状形マイクロ粒子は、第1光学機能性層20の針状形マイクロ粒子と同一の長さL、直径D、及びアスペクト比を有してもよく、第1光学機能性層20と同一の樹脂層と針状形マイクロ粒子との屈折率差、針状形マイクロ粒子の屈折率の範囲、及び第1光学機能性層中の針状形マイクロ粒子の含量で含まれてもよい。
【0109】
第2光学機能性層60の針状形マイクロ粒子の長手方向は、第1光学機能性層20の針状形マイクロ粒子の長手方向に対して実質的に直交してもよい。これによって、本発明の偏光板は、上、下、左、右への光の拡散効果をさらに奏し得る。「実質的に直交」は、85゜から95゜、好ましくは90゜を意味する。
【0110】
第2光学機能性層60の樹脂層は、第1光学機能性層20の樹脂層と同一のガラス転移温度、25℃での貯蔵弾性率の範囲を有することができ、実質的に同一の組成物で形成されてもよい。
【0111】
第2光学機能性層60は、第1光学機能性層20で説明した厚さの範囲を有してもよい。
【0112】
[第1保護層]
第1保護層30は、第1光学機能性層20の内部光の光出射面に積層され、第1光学機能性層20を支持してもよい。
【0113】
第1保護層30は、光透過率が90%以上、例えば、90%から100%であってもよい。第1保護層30の光透過率が上記範囲であることで、第1保護層30は、入射光に影響を与えずに入射光を透過させることができる。
【0114】
第1保護層30は、透明基材を含んでもよい。透明基材は、第1光学機能性層20と異なる屈折率を有してもよい。透明基材は、第1光学機能性層20に比べて屈折率が高くてもよく、屈折率が低くてもよい。好ましくは、透明基材は、第1光学機能性層20樹脂に比べて屈折率が高くてもよい。これを通じて、偏光板の明暗比及び輝度の改善に役立つことができる。
【0115】
透明基材は、光入射面、及び光入射面と対向する光出射面、を備える、光学的に透明な樹脂フィルムを含んでもよい。透明基材は、単一層の樹脂フィルムからなってもよいし、樹脂フィルムが複数個積層されてもよい。樹脂は、トリアセチルセルロース(TAC)などを含むセルロースエステル系樹脂、非晶性環状ポリオレフィン(COP)などを含む環形ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを含むポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、非環形-ポリオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂などを含むポリアクリレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、及びポリ塩化ビニリデン系樹脂のうち1種以上を含んでもよいが、これに限定されない。好ましくは、透明基材は、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを含むポリエステル系樹脂を含むことによって、偏光板の明暗比及び輝度の改善効果をさらに高めることができる。
【0116】
透明基材は、無延伸フィルムであってもよいが、樹脂を所定の方法で延伸させた所定範囲の位相差を有する位相差フィルム又は等方性光学フィルムであってもよい。
【0117】
一実施形態において、透明基材は、Reが0nm以上60nm以下、具体的には40nmから60nmの等方性光学フィルムであってもよい。透明基材のReが上記範囲であることで、偏光板の視野角を補償し、画像品質を良好にすることができる。「等方性光学フィルム」は、nx、ny、nz(nzは、波長550nmでの厚さ方向の屈折率を意味する)が実質的に同じ値のフィルムを意味し、「実質的に同一」は、完全に同一である場合のみならず、多少の誤差を含む場合も含む。
【0118】
他の実施形態において、透明基材は、Reが60nm以上である位相差フィルムであってもよい。例えば、透明基材は、Reが60nmから500nm、60nmから300nmであってもよい。例えば、透明基材は、Reが6,000nm以上、8,000nm以上、具体的には10,000nm以上、さらに具体的には10,000nm超過、さらに具体的には10,100nmから30,000nm、10,100nmから15,000nmであってもよい。透明基材のReが上記範囲であることで、偏光板の虹ムラの視認を防止することができ、第1樹脂層を介して拡散された光の明暗比及び視認性の改善効果がさらに大きくなり得る。
【0119】
透明基材は、ヘイズが30%以下、具体的には2%から30%であってもよい。透明基材のヘイズが上記範囲であることで、透明基材が偏光板に適用され得る。
【0120】
透明基材の厚さは、5μmから200μm、例えば、30μmから120μmであってもよい。透明基材の厚さが上記範囲であることで、透明基材が偏光板に使用され得る。
【0121】
第1保護層30は、透明基材及び透明基材の少なくとも一面に積層された機能性層をさらに含むことができる。機能性層は、ハードコーティング層、散乱層、低反射層、極低反射層、プライマー層、耐指紋性層、反射防止層、及びアンチグレア層のうち1種以上を含むことができる。
【0122】
好ましくは、第1保護層30は、機能性層として反射防止層を含むことができ、この場合、第1保護層30は、反射率が5%以下、具体的には、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、例えば、0.1%から3%、例えば、0.2%以下になってもよい。第1保護層30の反射率が上記範囲であることで、本発明の効果を容易に実現することができる。「反射率」は、当業者に知られている通常の方法で測定され得る。
【0123】
第1保護層30は、ヘイズが30%以下、具体的には、1%から30%、2%から20%であってもよい。第1保護層30のヘイズが上記範囲であることで、第1保護層30は、偏光板に適用可能であり、白濁度が低いので、偏光板の明暗比及び輝度の改善効果を提供するのに役立つことができる。
【0124】
第1光学機能性層20と第1保護層30の積層体は、ヘイズが30%以下、具体的には、0%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、例えば、1%から30%、2%から20%になってもよい。第1光学機能性層20と第1保護層30の積層体のヘイズが上記範囲であることで、第1光学機能性層20と第1保護層30の積層体は、偏光板に適用可能であり、白濁度が低いので、偏光板の明暗比及び視認性の改善効果を提供するのに役立つことができる。
【0125】
[偏光子]
偏光子10は、液晶パネルから入射した光を偏光させた後、第1光学機能性層20に透過させることができる。偏光子10は、第1光学機能性層20の内部光の光入射面に積層されてもよい。
【0126】
偏光子10は、ポリビニルアルコール系フィルムを一軸延伸して製造されるポリビニルアルコール系偏光子を含んでもよい。
【0127】
偏光子10は、厚さが5μmから40μmになってもよい。偏光子10の厚さが上記範囲であることで、偏光子10が光学表示装置に使用され得る。
【0128】
[第2保護層]
第2保護層40は、偏光子10の内部光の光入射面に積層されてもよい。第2保護層40は、偏光子10と第1光学機能性層20との間に積層されるが、これは省略されてもよい。
【0129】
第2保護層40は、光透過率が90%以上、例えば、90%から100%であってもよい。第2保護層40の光透過率が上記範囲であることで、第2保護層40は、入射光に影響を与えずに入射光を透過させることができる。
【0130】
第2保護層40は、透明基材を含んでもよい。透明基材は、光入射面、及び光入射面と対向する光出射面、を備える、光学的に透明な樹脂フィルムを含んでもよい。透明基材は、単一層の樹脂フィルムからなってもよいが、樹脂フィルムが複数個積層されてもよい。樹脂は、トリアセチルセルロース(TAC)などを含むセルロースエステル系樹脂、非晶性環状ポリオレフィン(COP)などを含む環形ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを含むポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、非環形-ポリオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂などを含むポリアクリレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、及びポリ塩化ビニリデン系樹脂のうち1種以上を含んでもよいが、これに限定されない。好ましくは、透明基材は、非晶性環状ポリオレフィン(COP)などを含む環形ポリオレフィン系樹脂を含んでもよい。
【0131】
透明基材は、無延伸フィルムであってもよいが、樹脂を所定の方法で延伸させた所定範囲の位相差を有する位相差フィルム又は等方性光学フィルムであってもよい。
【0132】
一実施形態において、透明基材は、Reが0nm以上60nm以下、具体的には、40nmから60nmの等方性光学フィルムであってもよい。透明基材のReが上記範囲であることで、偏光板の視野角を補償し、画像品質を良好にすることができる。「等方性光学フィルム」は、nx、ny、nz(nzは、波長550nmでの厚さ方向の屈折率を意味する)が実質的に同じ値のフィルムを意味し、「実質的に同一」は、完全に同一である場合のみならず、多少の誤差を含む場合も含む。
【0133】
他の実施形態において、透明基材は、Reが60nm以上である位相差フィルムであってもよい。例えば、透明基材は、Reが60nmから500nm、60nmから300nmであってもよい。例えば、透明基材は、Reが6,000nm以上、8,000nm以上、具体的には10,000nm以上、さらに具体的には10,000nm超過、さらに具体的には10,100nmから30,000nm、10,100nmから15,000nmであってもよい。透明基材のReが上記範囲であることで、偏光板の虹ムラの視認を防止することができ、第1樹脂層を介して拡散された光の明暗比及び視認性の改善効果がさらに大きくなり得る。
【0134】
第2保護層40、特に透明基材の厚さは、5μmから200μm、例えば、30μmから120μmであってもよい。透明基材の厚さが上記範囲であることで、第2保護層40が偏光板に使用され得る。
【0135】
第2保護層40は、本発明の偏光板から省略されてもよい。
【0136】
[第3保護層]
第3保護層50は、偏光子10の内部光の光入射面に積層されてもよい。
【0137】
第3保護層50は、光透過率が90%以上、例えば、90%から100%であってもよい。第3保護層50の光透過率が上記範囲であることで、第3保護層50は、入射光に影響を与えずに入射光を透過させることができる。
【0138】
第3保護層50は、透明基材を含んでもよい。透明基材は、光入射面、及び光入射面と対向する光出射面、を備える、光学的に透明な樹脂フィルムを含んでもよい。透明基材は、単一層の樹脂フィルムからなってもよいが、樹脂フィルムが複数個積層されてもよい。樹脂は、トリアセチルセルロース(TAC)などを含むセルロースエステル系樹脂、非晶性環状ポリオレフィン(COP)などを含む環形ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを含むポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、非環形-ポリオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂などを含むポリアクリレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、及びポリ塩化ビニリデン系樹脂のうち1種以上を含んでもよいが、これに限定されない。好ましくは、透明基材は、非晶性環状ポリオレフィン(COP)などを含む環形ポリオレフィン系樹脂を含んでもよい。
【0139】
透明基材は、無延伸フィルムであってもよいが、樹脂を所定の方法で延伸させた所定範囲の位相差を有する位相差フィルム又は等方性光学フィルムであってもよい。
【0140】
一実施形態において、透明基材は、Reが0nm以上60nm以下、具体的に、40nmから60nmの等方性光学フィルムであってもよい。透明基材のReが上記範囲であることで、偏光板の視野角を補償し、画像品質を良好にすることができる。「等方性光学フィルム」は、nx、ny、nz(nzは、波長550nmでの厚さ方向の屈折率を意味する)が実質的に同じ値のフィルムを意味し、「実質的に同一」は、完全に同一である場合のみならず、多少の誤差を含む場合も含む。
【0141】
他の実施形態において、透明基材は、Reが60nm以上である位相差フィルムであってもよい。例えば、透明基材は、Reが60nmから500nm、60nmから300nmであってもよい。例えば、透明基材は、Reが6,000nm以上、8,000nm以上、具体的には10,000nm以上、さらに具体的には10,000nm超過、さらに具体的には10,100nmから30,000nm、10,100nmから15,000nmであってもよい。透明基材のReが上記範囲であることで、偏光板の虹ムラの視認を防止することができ、第1樹脂層を介して拡散された光の明暗比及び視認性の改善効果がさらに大きくなり得る。
【0142】
第3保護層50、特に透明基材の厚さは、5μmから200μm、例えば、30μmから120μmであってもよい。透明基材の厚さが上記範囲であることで、第3保護層50が偏光板に使用され得る。
【0143】
第3保護層50は、本発明の偏光板から省略されてもよい。
【0144】
本発明の光学表示装置は、本発明の偏光板を含む。
【0145】
一実施形態において、本発明の光学表示装置は、液晶パネルに対して本発明の偏光板を視認側偏光板として含んでもよい。「視認側偏光板」は、液晶パネルに対して画面側、すなわち、光源側と対向して配置される偏光板である。
【0146】
一実施形態において、液晶表示装置には、集光バックライトユニット、光源側偏光板、液晶パネル、及び視認側偏光板が順次積層され、視認側偏光板は、本発明の一実施形態に係る偏光板を含んでもよい。「光源側偏光板」は、光源側に配置される偏光板である。液晶パネルは、VA(vertical alignment)モード、IPSモード、PVA(patterned vertical alignment)モード又はS-PVA(super-patterned vertical alignment)モードを採用できるが、これに限定されない。
【0147】
以下、本発明の好ましい実施例を通じて、本発明の構成及び作用をさらに詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、本発明の理解を促進するためのものに過ぎなく、本発明の範囲が下記の実施例に限定されることはない。
【0148】
[実施例1]
(1)上部面に反射防止層が形成されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(DSG-17(Z)PET80、大日本印刷株式会社、反射率:0.2%)を準備した。
【0149】
針状形マイクロ粒子としてCaCO粒子の混合物(長さ:10μmから30μm、直径:0.5μmから2.0μm、Whiscal A、MARUO CALCIUM社、屈折率:1.68)を準備し、KBM503(3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン)を含むメチルエチルケトン溶液に添加し、常温条件で反応させることによってCaCO粒子を3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランで表面改質した。
【0150】
粘着剤樹脂(サイデン化学株式会社)にメチルエチルケトン及び表面改質されたCaCO粒子を添加し、ホモジナイザーを使用して4時間にわたって分散させた後、イソホロンジイソシアネートを粘着剤樹脂100重量部に対して0.2重量部で添加し、500rpmで15分間撹拌することによって樹脂層用組成物を製造した。製造した樹脂層用組成物に針状形マイクロCaCO粒子を加えることによって第1光学機能性層用組成物を製造した。
【0151】
ポリエチレンテレフタレート(PET)の下部面(プライマー層がある)に光学機能性層用組成物をアプリケーターを使用してコーティングし、乾燥オーブンを用いて90℃で4分間乾燥及び熱硬化させ、第1光学機能性層(表面改質されたCaCO粒子の屈折率:1.68、樹脂層の屈折率:1.47、表面改質されたCaCO粒子は樹脂層中に配向される)を形成した。
【0152】
(2)ポリビニルアルコール系フィルムを60℃で3倍に延伸し、ヨードを吸着させた後、40℃のホウ酸水溶液で2.5倍に延伸することによって偏光子(厚さ:13μm、光透過率:44%)を製造した。
【0153】
製造した偏光子の上部面にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社、厚さ:80μm)を接着し、偏光子の下部面に環状オレフィンポリマー(COP)フィルム(日本ゼオン株式会社)を接着し、PETフィルム-偏光子-COPフィルムの順に積層された積層体を製造した。
【0154】
(3)積層体のうちPETフィルムと光学機能性層とを合わせ、PETフィルム(反射防止層を含む)(第1保護層)-第1光学機能性層-PETフィルム(第2保護層)-偏光子-COPフィルム(第3保護層)が順次積層された偏光板を製造した。第1光学機能性層の面内方向においてCaCO粒子が配向されており、配向角度の平均値は+1.2゜で、配向角度の標準偏差は7.2゜であった。
【0155】
[実施例2]
実施例1における第1光学機能性層の構成を下記の表1のように変更したことを除いては、実施例1と同一の方法で実施例2の偏光板を製造した。
【0156】
[実施例3]
実施例1における粘着剤樹脂(サイデン化学株式会社)を変更し、第1光学機能性層の構成を下記の表1のように変更したことを除いては、実施例1と同一の方法で実施例3の偏光板を製造した。
【0157】
[実施例4]
実施例3における第1光学機能性層の構成を下記の表1のように変更したことを除いては、実施例1と同一の方法で実施例4の偏光板を製造した。
【0158】
[実施例5および実施例6]
実施例1における第1光学機能性層の構成を下記の表1のように変更したことを除いては、実施例1と同一の方法で実施例5および実施例6の偏光板を製造した。
【0159】
[実施例7]
針状形マイクロ粒子としてCaCO粒子の混合物(長さ:10μmから30μm、直径:0.5μmから2.0μm、Whiscal A、MARUO CALCIUM社、屈折率:1.68)を準備し、分散剤DISPERBYK 180(Alkylol ammonium salt of copolymer with acidic groups)を含むメチルエチルケトン溶液に添加し、常温条件で2時間にわたって1000rpmで撹拌した。その後、実施例1のように粘着剤樹脂及び硬化剤を使用して第1光学機能性層用組成物を製造し、実施例1と同一の方法で実施例7の偏光板を製造した
【0160】
[比較例1]
実施例1における粘着剤樹脂(サイデン化学株式会社)を粘着剤樹脂(日本合成化学工業株式会社、PHS210)に変更したことを除いては、実施例1と同一の方法で比較例1の偏光板を製造した。
【0161】
[比較例2]
実施例1における粘着剤樹脂(サイデン化学株式会社)を粘着剤樹脂(サイデン化学株式会社、982-S8)に変更したことを除いては、実施例1と同一の方法で比較例2の偏光板を製造した。
【0162】
[比較例3]
実施例1におけるCaCO粒子の代わりに等方性球形粒子(日興リカ株式会社、MSP080、Silicone beads、直径:0.8μm)を使用したことを除いては、実施例1と同一の方法で比較例3の偏光板を製造した。
【0163】
[比較例4]
実施例1における第1光学機能性層の構成を下記の表1のように変更したことを除いては、実施例1と同一の方法で比較例4の偏光板を製造した。
【0164】
[参照例1]
実施例1における光学機能性層を用いることなく、PETフィルム-偏光子-COPフィルムが順次積層された参照例1の偏光板を製造した。
【0165】
実施例及び比較例で製造した偏光板に対して視野角測定用モデルを製造し、下記の表1の物性を評価した。
【0166】
[光源側偏光板]
ポリビニルアルコールフィルムを60℃で3倍に延伸し、ヨードを吸着させた後、40℃のホウ酸水溶液で2.5倍に延伸することによって偏光子を製造した。偏光子の両面に基材層としてトリアセチルセルロースフィルム(厚さ80μm)を偏光板用接着剤(Z-200、日本合成化学工業株式会社)で接着させ、偏光板を製造した。製造した偏光板を光源側偏光板として使用した。
【0167】
[視認側偏光板]
視認側偏光板として、実施例及び比較例で製造した偏光板を使用した。
【0168】
[液晶表示装置用モジュール]
液晶パネル(PVA液晶モード)の下部面に光源側偏光板を粘着させ、液晶パネルの上部面に視認側偏光板を粘着させた。このとき、視認側偏光板のうち反射防止層を液晶パネルの上部面から最外側に位置させた。光源側偏光板の下部にバックライトユニットを配置し、液晶表示装置用モジュールを製造した。
【0169】
下記の物性を評価し、その結果を下記の表1に示した。
【0170】
(1)樹脂層の貯蔵弾性率(単位:MPa):樹脂層用組成物を離型フィルム上に塗布し、95℃で4分間乾燥した後、厚さを50μmにすることによって樹脂層を形成した。樹脂層を厚さ500μmに積層させ、直径8mmの円形に切断することによって試験片を準備した。試験片を用いて貯蔵弾性率測定機(ARES、Adcanced Rheometry Expansion System、TA instruments社)を使用して0℃から100℃の温度範囲で昇温(10℃/min)しながら、貯蔵弾性率を25℃で測定した。
【0171】
(2)樹脂層のガラス転移温度(単位:℃):(1)と同様の方法で樹脂層を形成し、樹脂層15mg(on 6mm Al Pan)を作り、窒素雰囲気(50mL/min)で20℃/minの昇温速度で180℃まで昇温してから-100℃まで冷却させた後、10℃/minの昇温速度で100℃まで昇温しながら樹脂層のガラス転移温度を測定した。ガラス転移温度は、Discovery(TA instruments社)を使用して測定した。
【0172】
(3)明暗比及び相対明暗比(単位:%):LED光源、導光板、液晶表示装置用モジュールを組み立て、1辺エッジ型LED光源を含む液晶表示装置(実施例及び比較例の液晶表示装置用モジュールの構成を除いて、Samsung TV(55インチ、モデル名:UN55KS8000F)と同一の構成)を製造した。EZCONTRAST X88RC(EZXL-176R-F422A4、ELDIM社)を用いて球面座標系で側面(0゜、60゜)からそれぞれの明暗比を測定した。明暗比は、ブラックモードでの輝度に対するホワイトモードでの輝度の比で計算した。相対明暗比は、{(実施例、比較例、参照例1の明暗比)/(参照例1の明暗比)}×100で計算した。相対明暗比は、100%超過、好ましくは115%以上であることが好ましい。
【0173】
(4)鉛筆硬度:実施例及び比較例で製造した偏光板をガラス板に積層し、反射防止層面に対して鉛筆硬度テスター(コアテック株式会社、CT-PC2)を使用してASTM D3502方法で評価した。
【0174】
(5)剥離強度(単位:gf/25mm):実施例及び比較例で製造した偏光板を偏光子のMD×TD(150mm×25mm)の大きさに裁断し、アクリル系粘着層を介してガラス板に積層することによって試験片を製造した。その後、試験片に対して、剥離強度測定機Texture Analyzer TA-XT Plus装備(Stable Micro System社)を使用して第1保護層と第2保護層との間の剥離強度を測定した。剥離強度測定条件は、剥離温度25℃、剥離角度180゜、剥離速度300mm/minであった。
【0175】
(6)配向角度の平均値及び標準偏差:実施例及び比較例で製造された第1光学機能性層用組成物をPETフィルムにアプリケーターを用いて6mpmの速度でコーティングし、90℃で4分間乾燥した後で光学機能性層を形成した。光学顕微鏡(オリンパスMX61L、500倍率(10×50))を用いて第1光学機能性層の表面に焦点を合わせ、高さを調節することによって第1光学機能性層の表面イメージを格納し、FIJIプログラム(Method:Fourier Components、N bis:90゜、Histogram start:0゜、Histogram end:180゜入力)を実施し、第1光学機能性層の配向角度の平均値及び配向角度の標準偏差を得た。
【0176】
【表1】
【0177】
表1に示すように、本発明の一実施例に係る偏光板は、光学パターン又は光学パターンを含むパターン層を含まないが、光学機能性層のない参照例1の偏光板に比べて明暗比を改善した。また、本発明の一実施例に係る偏光板は、粒子を含む比較例3及び比較例4に比べて明暗比を改善した。また、本発明の一実施例に係る偏光板は、比較例1及び比較例2に比べて層間剥離強度に優れ、信頼性に優れていた。
【0178】
その一方で、本発明の構成を満たさない比較例の偏光板は、本発明の全ての効果を得ることができなかった。
【0179】
本発明の単純な変形及び変更は、この分野で通常の知識を有する者によって容易に実施可能であり、このような変形や変更は、いずれも本発明の領域に含まれるものと見なすことができる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6