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特開2023-168056基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168056
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20231116BHJP
   H01L 21/22 20060101ALI20231116BHJP
   H01L 21/324 20060101ALI20231116BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/22 511B
H01L21/22 501N
H01L21/22 511Q
H01L21/324 T
H01L21/68 N
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079683
(22)【出願日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久田 拓
(72)【発明者】
【氏名】八島 司
(72)【発明者】
【氏名】辻村 新
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131AA03
5F131BA03
5F131BA04
5F131BA19
5F131CA06
5F131DA02
5F131DA22
5F131DA42
5F131DB52
5F131DB62
5F131DB78
5F131KA23
(57)【要約】
【課題】基板処理のステップ毎に処理条件に合う基板の位置を設定することにより、基板の品質を均一に近づけることが可能な技術を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの基板を支持可能な支持部と、前記基板の支持位置を設定可能なレシピを記憶する記憶部を備え、前記レシピにおいて、設定された前記支持位置が予め定められた基準位置となるように前記支持部を昇降制御可能な制御部と、を備える技術。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの基板を支持可能な支持部と、
前記基板の支持位置を設定可能なレシピを記憶する記憶部を備え、前記レシピにおいて、設定された前記支持位置が予め定められた基準位置となるように前記支持部を昇降制御可能な制御部と、
を備える基板処理装置。
【請求項2】
前記レシピは少なくとも1つのステップを有し、前記ステップで前記支持位置を設定する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記基板の温度を測定可能な温度センサを備え、
前記制御部は、前記支持位置が前記基準位置としての前記温度センサの測定位置となるように前記支持部を昇降制御する、請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記レシピ実行時における前記支持部の昇降動作は、前記レシピに定められた制御モードにより指定する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記基板の温度を測定可能な温度センサを備え、
前記制御部は、前記支持位置が前記基準位置としての前記温度センサの測定位置となるように前記支持部を昇降制御し、
前記制御モードは、前記支持部の昇降動作を制御可能な昇降モード、前記基板の温度を測定可能な温度測定モード及び前記基板の温度を予め設定された条件に従い監視を継続する温度監視モードの少なくとも1つを有する、請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記昇降モードでは、前記支持位置を指定可能であり、指定された前記支持位置が前記基準位置となるように前記支持部を昇降動作させる、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記昇降モードでは、指定された前記支持位置が前記基準位置に最も短い時間で移動するように前記支持部の昇降動作の制御を行う、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記温度測定モードでは、全ての前記支持位置あるいは特定の前記支持位置を指定可能であり、指定された前記支持位置が前記基準位置となるように前記支持部を昇降動作させ、前記温度センサにより前記基準位置において前記支持位置の前記基板の温度測定を行う、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記温度測定モードにおいて全ての前記支持位置が指定された場合、全ての前記支持位置が前記基準位置となるように前記支持部の昇降動作と前記基板の温度測定を繰り返す、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記温度測定モードにおいて全ての前記支持位置を指定した場合、最も温度の高い前記支持位置を前記記憶部で記憶する、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記温度測定モードにおいて全ての前記支持位置を指定した場合であって、指定された前記支持位置に前記基板が支持されていない場合は、前記支持位置をスキップする、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記温度監視モードでは、前記温度測定モードで記憶させた前記支持位置が前記基準位置に移動するよう前記支持部を昇降動作させ、前記基準位置において前記温度センサで前記支持位置の前記基板の温度監視する、請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記温度監視モードでは、前記基板の温度の閾値を設定可能であり、前記温度センサによる前記基板の温度測定結果が前記閾値を上回る又は下回る場合、次のステップに遷移する、請求項12に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記温度監視モードでは、監視時間を設定することが可能であり、前記温度監視が前記監視時間を経過した場合、前記レシピで設定された時間経過処理を実行する、請求項12に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記基板の処理状況を表示することが可能な表示部を有し、
前記温度測定モードと前記温度監視モードで指定された前記支持位置の前記基板の温度測定結果をモニタ表示する、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記表示部では、前記温度測定モードと前記温度監視モードにおいて指定された前記支持位置の前記基板の温度測定結果をリアルタイムあるいは履歴情報としてグラフ表示する、請求項15に記載の基板処理装置。
【請求項17】
基板を支持する支持部の前記基板の支持位置を設定するレシピを実行する工程と、
設定された前記支持位置が予め定められた基準位置となるように前記支持部を昇降する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項18】
基板を支持する支持部の前記基板の支持位置を設定するレシピを実行する手順と、
設定された前記支持位置が予め定められた基準位置となるように前記支持部を昇降する手順と、
を有するコンピュータによって基板処理装置に実行可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板が搬入及び搬出されるロードロック室を有する基板処理装置が従来から知られている。基板処理装置のロードロック室は、室内の雰囲気を大気状態と真空状態とに入れ替える機能を有している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-99711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、基板処理装置では、基板を処理するレシピの実行時において、基板の位置を固定したまま複数のステップを実行することがある。
【0005】
本開示は、基板処理のステップ毎に処理条件に合う基板の位置を設定することにより、基板の品質を均一に近づけることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、少なくとも1つの基板を支持可能な支持部と、前記基板の支持位置を設定可能なレシピを記憶する記憶部を備え、前記レシピにおいて、前記処理条件で設定された前記支持部の位置が予め定められた基準位置となるように前記支持部を昇降制御可能な制御部と、を備える技術が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、基板処理のステップ毎に処理条件に合う基板の位置を設定することにより、基板の品質を均一に近づけることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態に係る基板処理装置の概略構成図である。
図2】本開示の一実施形態に係る基板処理装置の概略縦断面図である。
図3】本開示の一実施形態に係る基板処理装置のロードロック室の概略縦断面図である。
図4】本開示の一実施形態に係る基板処理装置の制御部の構成を示す図である。
図5】本開示の一実施形態に係る基板処理装置のレシピステップの設定を示す図である。
図6図5におけるレシピステップでの基板支持具の制御モードを示す図である。
図7】本開示の一実施形態に係る基板処理装置の温度測定モードのフローを示すフローチャートである。
図8】本開示の一実施形態に係る基板処理装置の温度監視モードのフローを示すフローチャートである。
図9】本開示の一実施形態に係る基板処理装置の表示部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の一実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0010】
本実施形態に係る基板処理装置10は、図1及び図2に示されるように、大気搬送室(EFEM:Equipment Front End Module)12と、大気搬送室12に接続され、基板収納容器であるポッド27-1~27-3を載置する載置部としてのロードポート29-1~29-3と、圧力制御される予備室としてのロードロック室14A、14Bと、真空搬送室としての搬送室16と、基板100に対する処理を行う処理室18A、18Bとを備えている。また、処理室18Aと処理室18Bとの間は、境界壁20によって遮られている。本実施形態では、基板100として例えばシリコンウェーハ等の半導体装置を製造する半導体ウェーハが使用される。
【0011】
本実施形態では、ロードロック室14A、14Bの各構成(ロードロック室14A、14Bに付随する構成も含む)がそれぞれ同様の構成となっている。このため、ロードロック室14A、14Bを「ロードロック室14」と総称する場合がある。なお、本実施形態のロードロック室14は、本開示における容器の一例である。
【0012】
また、本実施形態では、処理室18A、18Bの各構成(処理室18A、18Bに付随する構成も含む)がそれぞれ同様の構成となっている。このため、処理室18A、18Bを「処理室18」と総称する場合がある。
【0013】
ロードロック室14と搬送室16との間には、図2に示されるように、隣り合う室を連通する連通部22が形成されている。この連通部22は、ゲートバルブ24によって開閉されるようになっている。
【0014】
搬送室16と処理室18との間には、図2に示されるように、隣り合う室を連通する連通部26が形成されている。この連通部26は、ゲートバルブ28によって開閉されるようになっている。
【0015】
大気搬送室12には、ロードポート29-1~29-3にそれぞれ載置されたポッド27-1~27-3とロードロック室14との間において、基板100を搬送する大気側搬送装置としての大気ロボット30が設けられている。この大気ロボット30は、大気中にて同時に複数枚の基板100を搬送可能に構成されている。
【0016】
ロードロック室14には、基板100が搬送及び搬出されるようになっている。具体的には、ロードロック室14には、大気ロボット30によって未処理の基板100が搬入され、搬入された未処理の基板100が真空ロボット70によって搬出されるようになっている。一方、ロードロック室14には、真空ロボット70によって処理済みの基板100が搬入され、搬入された処理済みの基板100が大気ロボット30によって搬出されるようになっている。
なお、基板を搬送する大気ロボット30及び真空ロボット70を「搬送ロボット」と総称する場合がある。
【0017】
また、ロードロック室14の室内には、基板100を支持する基板支持具としてのボート32が設けられている。図3に示されるように、ボート32は、複数枚(例えば10~30枚)の基板100を所定間隔(詳細には、上下方向に所定間隔)で多段に支持すると共に、基板100を水平に収容するように形成されている。具体的には、このボート32は、上板部34と下板部36とが複数(例えば3つ)の支柱部38によって接続された構造となっている。
【0018】
また、支柱部38の長手方向内側には、基板100を支持する複数(例えば10~30個)の支持溝40が所定間隔(詳細には、上下方向に所定間隔)でそれぞれ平行に形成されている。なお、本実施形態の支持溝40は、本開示における支持部の一例である。また、支持溝40は、基板100のスロットと言い換えてもよい。ここで本開示における支持部には、ボート、支柱部、支持溝を含む構成を含めてもよい。また、ボート、支柱部、支持溝のいずれかの組み合わせを支持部としてもよい。また、本開示における支持部には、載置台や載置台の支持部を含めてもよい。
【0019】
また、ボート32は、金属材料、好ましくは、熱伝導性に優れる金属材料(例えば、鉄、銅、アルミニウム)によって構成されていてもよいし、炭化ケイ素や石英等で構成されてもよい。
【0020】
ロードロック室14を構成する天板部15Aには、ロードロック室14の内部と連通するガス供給管42が接続されている。ガス供給管42には、上流側から順に不活性ガス(例えば窒素ガスや希ガス)を供給する図示しないガス供給源、ガス供給バルブ43が設けられている。
【0021】
また、天板部15Aには、例えば冷却液循環流路等の図示しない冷却機構が設けられている。この冷却機構によって、ボート32に支持された基板100が冷却されるようになっている。具体的には、処理室18での処理後に熱をもった処理済み基板100が上記冷却機構によって冷却される。
【0022】
ロードロック室14を構成する底板部15Bには、ロードロック室14の内部と連通する排気管44が接続されている。排気管44には、下流側に向ってバルブ45、排気装置としての真空ポンプ46が設けられている。
【0023】
ここで、ゲートバルブ24、28により連通部22、26を閉塞した状態で、ガス供給バルブ43を閉塞した状態にする。この状態で、バルブ45を開放すると共に真空ポンプ46を作動させると、ロードロック室14の内部が真空排気され、ロードロック室14の内部を真空圧化(もしくは減圧化)させることができる。また、ゲートバルブ24、28により連通部22、26を閉塞した状態で、バルブ45を閉塞又はその開度を小さくすると共にガス供給バルブ43を開放し、ロードロック室14の内部に不活性ガスを導入することにより、ロードロック室14の内部を大気圧化させる。このようにロードロック室14は、ボート32を収容して基板100を処理することができる。
【0024】
ロードロック室14を構成する外周壁部15Cには、図3に示されるように、基板100をロードロック室14内に搬入及び搬出するための開口部102が設けられている。具体的には、開口部102は、外周壁部15Cの大気ロボット30側に設けられている。大気ロボット30は、開口部102を介して基板100をボート32に支持させ、開口部102を介して基板100をボート32から取り出すようになっている。
【0025】
また、外周壁部15Cには、開口部102を開閉するためのゲートバルブ104が設けられている。
【0026】
また、外周壁部15Cには、窓部106が設けられている。この窓部106は、赤外線が透過可能な材料で形成されている。窓部106を形成する材料としては、例えば、ゲルマニウムが挙げられる。
【0027】
窓部106の室外側には、温度センサ110が設けられている。言い換えると、温度センサ110は、ロードロック室14の外側に配置されている。この温度センサ110は、ロードロック室14内のボート32で支持された基板100の温度を非接触で測定可能なセンサ、すなわち非接触温度センサである。具体的には、温度センサ110は、ボート32の支持溝40で支持された処理済みの基板100の温度を非接触で測定する。この温度センサ110は、放射温度計であり、基板100から放射される赤外線の強度を測定することで基板100の温度を測定する。より具体的には、温度センサ110は、窓部106を通して基板100の外周面から放射される赤外線の強度を測定して基板100の温度を測定している。
なお、本実施形態では、非接触温度センサである温度センサ110として放射温度計を用いているが、パイロメータを用いてもよい。
【0028】
ボート32で支持された基板100の温度測定時には、温度測定対象の基板100が温度センサ110の温度の測定位置となるように、後述するコントローラ120によって昇降装置50が制御される。ボート32は、昇降装置50によって上下方向に昇降可能とされている。また、ボート32は、昇降装置50によって上下方向を軸として回転可能とされている。具体的には、ボート32で支持された温度測定対象の基板100が温度センサ110の温度測定位置となるように、コントローラ120が昇降装置50を制御してボート32の昇降位置及び回転角度を調整する。
【0029】
また、温度センサ110は、ボート32が昇降することによりボート32の最上段の支持溝40に支持された基板100から最下段の支持溝40に支持された基板100まで温度測定が可能な位置に配置されている。なお、本実施形態では、図3に示されるように、温度センサ110は、外周壁部15Cの下部側に配置されている。これにより、ボート32が最も高い位置まで上昇した際に、最下段の支持溝40で支持された基板100の温度が温度センサ110により測定可能となっている。
【0030】
ロードロック室14の底板部15Bには、このロードロック室14の内外を連通する開口部48が形成されている。ロードロック室14の下方には、開口部48を介してボート32を昇降及び回転させる昇降装置50が設けられている。
【0031】
昇降装置50は、ボート32を支持する支持軸としてのシャフト52と、このシャフト52を囲うように設けられた伸縮自在な図示しないベローズと、これらシャフト52及びベローズの下端が固定される固定台56と、シャフト52を介してボート32を昇降させる昇降駆動部58と、この昇降駆動部58と固定台56とを接続する接続部材60と、ボート32を回転させる回転駆動部62と、を備えている。
【0032】
昇降駆動部58は、複数の基板100が多段に積載される方向にボート32を昇降させるように構成されている。
【0033】
ベローズの上端は、ロードロック室14を構成する底板部15Bに形成された開口部48の周囲に固定されている。
【0034】
回転駆動部62は、複数の基板100が多段に積載される方向を軸としてボート32を回転させるように構成されている。具体的には、回転駆動部62は、シャフト52を軸としてボート32を回転させるようになっている。
【0035】
搬送室16には、ロードロック室14と処理室18との間で基板100を搬送する真空側搬送装置としての真空ロボット70が設けられている。真空ロボット70は、基板100を支持して搬送する基板搬送部72と、この基板搬送部72を昇降及び回転させる搬送駆動部74とを備えている。
【0036】
基板搬送部72には、アーム部76が設けられている。このアーム部76には、基板100が載置されるフィンガ78が設けられている。なお、アーム部76には、上下方向に所定間隔で複数のフィンガが設けられてもよい。また、アーム部76が複数段積層されてもよい。また、フィンガ78は、略水平方向に伸縮自在に構成されている。
【0037】
ロードロック室14から処理室18への基板100の移動は、真空ロボット70によって、連通部22を介してボート32に支持された基板100を搬送室16内に移動させ、続いて、連通部26を介して処理室18内へ移動させることにより行われる。
【0038】
また、処理室18からロードロック室14への基板100の移動は、真空ロボット70によって、連通部26を介して処理室18内の基板100を搬送室16内に移動させ、続いて、連通部22を介してボート32に支持させることにより行われる。
【0039】
処理室18には、第1処理部80と、この第1処理部80よりも搬送室16から遠い位置に配置された第2処理部82と、この第2処理部82と真空ロボット70との間で基板100を搬送する基板移動部84と、が設けられている。
【0040】
第1処理部80は、基板100を載置する載置台92と、この載置台92を加熱するヒータ94とを備える。
【0041】
第2処理部82は、基板100を載置する載置台96と、この載置台96を加熱するヒータ98とを備える。
【0042】
第1処理部80及び第2処理部82は、基板100を同様に処理できるように構成されている。
【0043】
基板移動部84は、基板100を支持する移動部材86と、境界壁20近傍に設けられた移動軸88とにより構成される。移動部材86は、移動軸88を軸として回転及び昇降自在に設けられている。
【0044】
また、基板移動部84は、移動部材86を第1処理部80側へ回転させることで、この第1処理部80側において真空ロボット70との間で基板100を授受する。このようにして、基板移動部84は、真空ロボット70によって搬送された基板100を第2処理部82の載置台96に移動させ、また、載置台96に載置された基板100を真空ロボット70へ移動させる。
【0045】
基板処理装置10は、図4に示すように、制御部としてのコントローラ120を備えている。このコントローラ120は、CPU(Central Processing Unit)121A、RAM(Random Access Memory)121B、記憶部121C、I/Oポート121Dを備えたコンピュータとして構成されている。
【0046】
RAM121B、記憶部121C、I/Oポート121Dは、内部バス121Eを介して、CPU121Aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ120には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。また、コントローラ120には、例えば、上位装置との通信を行うための通信部124が接続されている。
【0047】
記憶部121Cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶部121C内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ120に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。また、プロセスレシピを、単に、レシピともいう。本開示においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。RAM121Bは、CPU121Aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。なお、本実施形態では、RAM121Bと記憶部121Cを「記憶部」と総称する場合がある。
【0048】
I/Oポート121Dは、搬送系コントローラ130及び複数のプロセス系コントローラ140等に接続されている。搬送系コントローラ130は、基板100の搬送を制御するコントローラであり、ロードポート29-1~29-3、大気ロボット30、真空ロボット70及び昇降装置50等を制御する。
【0049】
プロセス系コントローラ140は、処理室18における基板100の処理を制御するコントローラである。本実施形態では、処理室18が2つ設けられているため、それぞれの処理室18に対応してプロセス系コントローラ140が2つ設けられている。これにより、処理室18毎に独立して成膜処理を行うことが可能となる。
【0050】
CPU121Aは、記憶部121Cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶部121Cからレシピを読み出すように構成されている。CPU121Aは、読み出したレシピの内容に沿うように、搬送系コントローラ130に、大気ロボット30、真空ロボット70、昇降装置50及び基板移動部84による基板100の搬送動作、ゲートバルブ24、ゲートバルブ28及びゲートバルブ104の開閉動作等を制御することが可能なように構成されている。
【0051】
また、CPU121Aは、読み出したレシピの内容に沿うように、プロセス系コントローラ140に、温度制御コントローラ142、ガスの流量制御コントローラ144及び圧力制御コントローラ146を制御させることが可能なように構成されている。温度制御コントローラ142は、処理室18内を加熱するヒータ94及びヒータ98の温度調節動作を制御することが可能なように構成されている。ガスの流量制御コントローラ144は、処理室18内に供給されるガスの流量調節動作を制御することが可能なように構成されている。圧力制御コントローラ146は、処理室18内における圧力の調節動作を制御することが可能なように構成されている。
【0052】
コントローラ120は、外部記憶装置(例えば、ハードディスク等の磁気ディスク、CD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ)123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶部121Cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本開示において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶部121C単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いてもよい。
【0053】
コントローラ120を構成する記憶部121Cには、基板100の処理条件としてボート32における支持溝40の位置を設定可能な少なくとも一つのステップを有するレシピが記憶可能とされている。ここで支持溝40の位置(以下では、適宜「支持位置」ともいう)とは、ボート32に上下方向に所定間隔で配置される複数の支持溝40の「番号」を指す。例えば、本実施形態では、複数の支持溝40のうち、最も下方の支持溝40を1段目(1番)の支持溝40という。また、コントローラ120は、レシピによる基板100の処理実行時において、処理条件で設定された支持溝40の位置(支持位置)が予め定められた基準位置となるようにボート32を昇降動作させる制御を行うことが可能とされている。具体的には、コントローラ120は、レシピによる基板100の処理実行時において、処理条件で設定された支持溝40の位置(番号)が上記基準位置としての温度センサ110の測定位置となるようにボート32を昇降動作させる制御を行うことが可能とされている。ここで温度センサ110の測定位置とは、温度センサ110から照射される赤外線の上下方向の位置を指している。また、コントローラ120は、昇降装置50を制御することによってボート32を昇降動作させる。
【0054】
また、レシピのステップ実行時におけるボート32の昇降動作は、図5に示されるように、ステップに定められた制御モードにより指定が可能とされている。この制御モードは、図6に示されるように、ボート32の昇降動作を制御可能な昇降モード、支持溝40に支持された基板100の温度を測定可能な温度測定モード及び基板100の処理条件で設定された支持溝40によって支持された基板100の温度の監視を継続する温度監視モードの少なくとも1つを有している。なお、本実施形態では、制御モードが、昇降モード、温度測定モード及び温度監視モードを有しているが、本開示はこの構成に限定されない。
【0055】
昇降モードでは、支持溝40の位置を指定可能である。そして、指定された支持溝40の位置が温度センサ110の測定位置となるようにボート32を昇降動作させる。具体的には、コントローラ120は、指定された番号の支持溝40が温度センサ110の測定位置に移動するように、昇降装置50を制御してボート32を昇降動作させる。また、昇降モードでは、指定された番号の支持溝40が測定位置に最も短時間で移動するようにボート32の昇降動作の制御を行うことが可能とされている。
【0056】
温度測定モードでは、全ての支持溝40の位置あるいは特定の支持溝40の位置を指定可能である。指定された番号の支持溝40が温度センサ110の測定位置に移動するように、昇降装置50を制御してボート32を昇降動作させる。そして、温度センサ110により測定位置において指定された番号の支持溝40に支持された基板100の温度測定を行うことが可能とされている。
【0057】
また、コントローラ120は、温度測定モードにおいて全ての支持溝40の位置(番号)が指定された場合、全ての番号の支持溝40が測定位置となるようにボート32の昇降動作と基板100の温度測定を繰り返す。
【0058】
さらに、コントローラ120は、図7に示されるように、温度測定モードにおいて全ての支持溝40の位置(番号)を指定した場合、最も温度の高い番号の支持溝40をRAM121Bで記憶する。
【0059】
また、コントローラ120は、温度測定モードにおいて全ての支持溝40の位置(番号)を指定した場合であって、指定された番号の支持溝40に基板100が支持されていない場合は、基板100を支持していない支持溝40をスキップすることが可能なように構成されている。なお、支持溝40が基板100を支持しているか、否かについては、基板100をボート32に支持させるときの位置情報に基づいて判定される。なお、位置情報については、記憶部121Cに記憶される。
【0060】
温度監視モードでは、温度測定モードでRAM121Bに記憶させた支持溝40の位置(番号)が温度センサ110の測定位置に移動するようボート32を昇降動作させる。そして、図8に示されるように、測定位置において温度センサ110で支持溝40に支持された基板100の温度を監視可能とされている。
【0061】
また、温度監視モードでは、基板100の温度の閾値を設定可能である。温度監視モートでは、温度センサ110による基板100の温度測定結果が閾値を下回る場合、次のステップに遷移可能とされている。
【0062】
さらに、温度監視モードでは、監視時間を設定することが可能である。支持溝40で支持された基板100の温度センサ110による温度監視が監視時間を経過した場合、図8に示されるように、ステップで設定された時間経過処理を実行可能とされている。
【0063】
入出力装置122は、図9に示されるように、基板100の処理状況を表示することが可能な表示部122Aを有している。この表示部122Aには、温度測定モードと温度監視モードで指定された番号の支持溝40で支持された基板100の温度測定結果をモニタ表示することが可能とされている。さらに表示部122Aでは、温度測定モードと温度監視モードにおいて指定された番号の支持溝40で支持された基板100の温度測定結果をリアルタイムあるいは履歴情報としてグラフ表示することが可能とされている。また、入出力装置122は、操作部122Bを有している。この操作部122Bを操作することにより、支持溝40に指示された基板100を指定して、その温度情報を閲覧することができる。
【0064】
(半導体装置の製造方法)
次に、基板処理装置10を用いた半導体装置の製造方法、すなわち、基板100の処理手順について説明する。なお、基板処理装置10の各構成部は上記のようにコントローラ120によって制御される。
【0065】
まず、大気ロボット30によって、ポッド27-1~27-3に収納されている基板100を、大気搬送室12内に搬出する。
【0066】
次に、ロードロック室14内を大気圧化したのち、ゲートバルブ104を開放する。具体的には、ガス供給管42のガス供給バルブ43を開き、不活性ガスをロードロック室14内へ供給する。このようにして、ロードロック室14内を大気圧化した後、ゲートバルブ104を開放する。
【0067】
次に、ロードロック室14内に基板100を搬入する。具体的には、大気ロボット30によって、大気搬送室12内に搬入された基板100をロードロック室14内に搬送し、室内のボート32の支持溝40に基板100を載置する。これにより、基板100がボート32によって支持される。
【0068】
次に、ゲートバルブ104を閉塞した後、ロードロック室14内を真空圧化する。具体的には、ボート32が所定枚数の基板100を支持した後、排気管44のバルブ45を開き真空ポンプ46によって、ロードロック室14内を排気する。このようにして、ロードロック室14内を真空圧化する。なお、このとき、搬送室16及び処理室18は真空圧化している。
【0069】
次に、基板100をロードロック室14から処理室18へ搬送する。具体的には、まず、ゲートバルブ24を開く。このとき、昇降駆動部58は、ボート32に支持された基板100が真空ロボット70で取り出せるようにボート32を昇降させる。回転駆動部62は、ボート32の基板取り出し口が搬送室16側を向くように、このボート32を回転させる。
【0070】
真空ロボット70は、アーム部76のフィンガ78をボート32方向へ延伸し、これらフィンガ78に基板100を載置する。フィンガ78を収縮した後、アーム部76を処理室18側に向くよう回転させる。次いで、フィンガ78を延伸し、ゲートバルブ28が開かれた連通部26を介して、基板100を処理室18内へ搬入する。
【0071】
処理室18において、フィンガ78に載置された基板100は、処理部80の載置台92に載置される、又は、処理部80側で待機する移動部材86に受け渡される。移動部材86は、基板100を受け取った後、処理部82側へ回転して載置台96にこの基板100を載置する。
【0072】
そして、処理室18において、基板100に例えばアッシング処理等の所定の処理を行う。これらの所定の処理において、ヒータにより加熱されたり、処理によって生じる反応熱などにより加熱されたりすることで、基板100の温度は上昇する。
【0073】
次に、処理後の基板100を処理室18からロードロック室14へ搬送する。処理室18からロードロック室14への基板100の搬送(搬入)は、基板100を処理室18に搬入させた動作とは逆の手順で行われる。このとき、ロードロック室14内は真空圧化状態が維持されている。
【0074】
ロードロック室14へ処理済みの基板100が搬入され、ボート32に基板100が所定の間隔で多段に支持されると、ゲートバルブ24を閉塞し、ロードロック室14内を大気圧化する。具体的には、ガス供給管42のガス供給バルブ43を開き、不活性ガスをロードロック室14内へ供給する。このようにして、ロードロック室14内を不活性ガスにより大気圧化させる。ここで、ボート32及びボート32により支持された基板100は、上記冷却機構と、ロードロック室14内に供給された不活性ガスによって冷却される。ロードロック室14での基板100の冷却は、所定時間行われる。なお、供給される不活性ガスは、冷却を促進させるため、予めガス供給管42の前段において冷却されていてもよい。
【0075】
また、ボート32への処理済みの基板100の装填(載置)が完了すると、ボート32を、冷却を行う位置まで上昇又は下降させる。本実施形態では、ボート32を最も高い位置まで上昇させた状態で冷却を行うことにより、冷却機構による冷却を促進させている。
【0076】
次に、基板100が所定時間冷却された後、コントローラ120は、図7に示されるように、温度センサ110による基板100の最高温度測定を開始する。まず、支持溝40の番号(以下、適宜「スロット番号」、「スロット位置」という)を初期化する(ステップS150)。
【0077】
次に、1番(最下段)の支持溝40(以下、適宜「スロット」という)における基板100の有無を判定する(ステップS152)。1番の支持溝40に基板100が有りの場合、ステップS154に移行し、基板100が無しの場合、ステップS164に移行する。
【0078】
ステップS154では、ステップS152で基板100が有りと判定された番号の支持溝40が温度センサ110の測定位置に移動するようにボート32を昇降動作させる。本実施形態では、スロット位置が測定位置に合うようにボート32を下降させる。
【0079】
次に、ステップS156では、温度センサ110によって支持溝40に支持された基板100の温度を測定する。
【0080】
次に、ステップS158では、ステップS156で測定した基板100の温度と一時記憶部であるRAM121Bに記憶された基板温度とを比較し、ステップS156で測定した基板温度が、RAM121Bに記憶された基板温度を超える場合は、ステップS160へ移行する。一方、ステップS156で測定した基板温度が、RAM121Bに記憶された基板温度以下の場合は、ステップS164へ移行する。
【0081】
ステップS160では、RAM121Bに記憶されたスロット番号をステップS156で測定したスロット番号に更新保存する。
【0082】
次にステップS162では、ステップS160で更新したスロット番号に関連付けてRAM121Bに記憶された測定温度を更新保存する。
【0083】
ステップS164では、スロット番号を更新する。
【0084】
次にステップS166では、更新した番号のスロットの有無について判定する。更新した番号のスロットが有りの場合、ステップS152に戻り、次の番号の支持溝40に支持された基板100の温度測定を行う。一方、更新した番号のスロットが無しの場合、基板100の温度測定を終了する。ここで、全てのスロットに基板100が支持されている場合には、全てのスロットに支持された基板100の温度測定が終了するまで温度測定が続行される。
【0085】
全ての基板100の温度測定が終了すると、温度測定モードが温度監視モードに切り替わり、温度監視が開始される。
【0086】
ステップS170では、温度監視の時間が設定されて時間監視が開始される。なお、温度監視の時間は、記憶部121Cに記憶されている情報から取得される。
【0087】
次にステップS172では、温度を監視する対象の基板100が支持されているスロットのスロット番号がRAM121Bに格納されたスロット番号から取得される。なお、温度監視モードにおいて、RAM121Bに格納されているスロット番号は、温度測定モードにおいて格納された最高温度の基板100を支持するスロットのスロット番号である。
【0088】
次にステップS174では、ステップS172で取得したスロット番号のスロットが温度センサ110の温度測定位置に合うようにボート32を上下方向に昇降動作させる。
【0089】
次に、ステップS176では、温度センサ110によってステップS172で取得したスロットに支持された基板100の温度を測定する。
【0090】
ステップS178では、ステップS176で測定した温度が記憶部121Cに記憶された閾値(Temp)を下回っているか否かを判定する。ステップS176で測定した温度が記憶部121Cに記憶された閾値を下回っている場合は、ステップS180に移行する。一方、ステップS178で測定した温度が記憶部121Cに記憶された閾値以上の場合は、ステップS182に移行する。
【0091】
ステップS180では、時間監視が終了する。これにより、温度監視が終了する。すなわち、温度監視モードが終了する。
【0092】
ステップS182では、ステップS170で設定した温度監視の時間を経過しているか否かを判定する。ステップS170で設定した温度監視の時間を経過していない場合は、ステップS176へ戻る。なお、ステップS182からステップS176へ戻る場合には、所定時間経過後に戻ることが好ましい。一例として、1秒経過後にステップS182からステップS176へ戻ってもよい。一方、ステップS170で設定した温度監視の時間を経過している又は同じ場合は、ステップS184へ移行する。
【0093】
また、少なくともステップS182において、監視対象の基板100が十分に冷却されたと判定されるまでの間、ガス供給管42からの不活性ガスの供給は継続されることが望ましい。この場合、排気管44のバルブ45を開度を小さくした状態で開き、真空ポンプ46によって、ロードロック室14内の圧力が一定に維持されるように継続的に排気を行う。
【0094】
ステップS184では、温度監視時間を経過した場合に行う処理の有無を判定する。処理有りの場合は、ステップS186へ移行する。一方、処理無しの場合は、温度監視が終了する。すなわち、温度監視モードが終了する。
【0095】
ステップS186では、予め設定された時間経過処理(Action)が実行される。なお、時間経過処理としては、例えば、次のステップへの遷移やレシピの終了等が挙げられる。この処理の実行後、温度監視が終了する。すなわち、温度監視モードが終了する。
【0096】
温度監視モードが終了した後は、ロードロック室14から大気側へ冷却済みの基板100を搬出する。具体的には、ゲートバルブ104が開いたロードロック室14から、大気ロボット30を用いて大気搬送室12に基板100を搬出する。このようにして、基板100の搬送動作を完了する。また、冷却済みの基板100が大気搬送室12に搬送されることで、半導体装置である基板100の製造が完了する。
【0097】
次に、本実施形態に係る作用について説明する。
ロードロック室から搬出される基板の温度が変動すると、基板が高温な状態で大気と反応し望まない酸化を生じさせたり、装置や部品を破損させたりすることがある。そのため、ロードロック室内の処理済みの基板の温度を把握することが求められている。
【0098】
本実施形態では、レシピによる基板処理実行時において、処理条件で設定された支持溝40の位置が予め定められた基準位置となるようにボート32を昇降動作させる制御を行うため、ステップ毎に処理条件に合った最適な基板位置を設定することが可能となる。具体的には、コントローラ120は、処理条件で設定された支持溝40の位置が温度センサ110の測定位置となるようにボート32を昇降動作させる制御を行うため、基板単位での温度測定が可能となる。このように本実施形態では、温度測定対象の基板を含むエリアの温度を測定することで測定対象基板の推定温度を測定する従来の方法と比べて、最適な位置で基板処理を行うことで基板100の品質を均一に近づけることが可能になる。すなわち、ロードロック室14から搬出される基板100の温度のバラつきを抑制し、温度のバラつきによる影響(酸化度合いのバラつき、等)を低減することができる。このように基板100の品質が均一に近づくことで、対象ステップにおける処理時間の短縮が可能となり、基板100の生産効率の向上に貢献できる。
【0099】
さらに、本実施形態では、ステップの実行時におけるボート32の昇降動作がステップに定められた制御モードにより指定が可能とされている。このようにステップの処理に合わせたボート32の昇降動作を制御することで、基板100の品質を均一に近づけることが可能になる。また、不良基板の発生を防ぐことも可能になる。
【0100】
また、本実施形態では、制御モードがボート32の昇降モード、基板100の温度を測定する温度測定モード及び指定の基板100の温度を監視する温度監視モードの少なくとも1つを有している。このようにボート32を制御するモードを複数設定することにより、効率の良い基板処理を行うことができる。これにより、基板100の生産効率の向上に貢献できる。
【0101】
また、本実施形態では、昇降モードにおいて支持溝40の位置(スロット番号)を指定可能であり、指定された支持溝40が温度測定位置(基準位置)となるようにボート32を昇降動作させる。このようにステップの処理内容に合わせてスロット位置を調整することで基板100に対して処理ガスが均一に流れるよう調整することが可能となり、基板100の品質をより均一に近づけることができる。
【0102】
また、本実施形態では、昇降モードにおいて指定された支持溝40の位置(スロット番号)が温度測定位置(基準位置)に最も短い時間で移動するようにボート32の昇降動作の制御を行うことが可能である。このため、ボート32の移動時間を短縮することが可能となり、基板100の生産効率の向上に貢献できる。
【0103】
また、本実施形態の温度測定モードでは、全ての支持溝40の位置(スロット番号)あるいは特定の支持溝40の位置(スロット番号)を指定可能であり、指定された支持溝40が基準位置となるようにボート32を昇降動作させ、温度センサ110により温度測定位置において支持溝40に支持された基板100の温度測定を行う。このように指定された支持溝40で支持された基板100の温度を測定することが可能なため、正確な基板100の温度を求めることができる。
【0104】
さらに、本実施形態では、温度測定モードにおいて全ての支持溝40の位置(スロット番号)が指定された場合、全ての支持溝40の位置が温度測定位置(基準位置)となるようにボート32の昇降動作と温度センサ110による基板100の温度測定を繰り返す。このため、ボート32に支持された全ての基板100の温度を測定することが可能であり、正確な基板の温度を求めることができる。
【0105】
本実施形態では、温度測定モードにおいて全ての支持溝40の位置(スロット番号)を指定した場合、最も温度の高い基板100を支持する支持溝40の位置を記憶部121Cで記憶する。このため、最も高い温度の基板100を支持する支持溝40を把握することができ、他のステップでこの支持溝40に支持された基板100に着目して基板処理を行うことが可能となる。これにより、基板100の品質をさらに均一に近づけることができる。
【0106】
本実施形態では、温度測定モードにおいて全ての支持溝40の位置(スロット番号)を指定した場合であって、指定された支持溝40に基板100が支持されていない場合は、基板100を支持していない支持溝40をスキップ可能である。このため、ボート32の昇降動作時間と、温度センサ110による温度測定時間の短縮を行うことが可能となり、生産効率の向上に貢献できる。
【0107】
本実施形態の温度監視モードでは、温度測定モードでRAM121Bに記憶させた支持溝40の位置(スロット番号)が温度センサ110による温度測定位置(基準位置)に移動するようボート32を昇降動作させ、温度測定位置において温度センサ110で支持溝40に支持された基板100の温度を監視可能である。このため、固定された支持溝40を温度監視するのではなく、監視対象の基板100を支持する支持溝40が自動で設定されるため、誤った設定を回避することができる。
【0108】
本実施形態の温度監視モードでは、基板100の温度の閾値を設定可能であり、温度センサ110による基板100の温度測定結果が閾値を上回る又は下回る場合、次のステップに遷移可能である。このように基板100の測定温度が監視温度に到達した時点で、次のアクションに移ることが可能となるため、当該ステップの無駄な残時間を費やすることなく処理が可能となり、処理時間の短縮、生産効率の向上に貢献することができる。
【0109】
本実施形態の温度監視モードでは、基板100の監視時間を設定することが可能であり、支持溝40で支持された基板100の温度センサ110による温度監視が監視時間を経過した場合、ステップで設定された時間経過処理を実行可能である。このように基板100を温度監視する監視時間を設けることで、基板100の温度が閾値を超える前に次のステップ若しくはレシピを終了することが可能となる。
【0110】
本実施形態では、入出力装置122が基板100の処理状況を表示することが可能な表示部122Aを有しており、温度測定モードと温度監視モードで指定された支持溝40で支持された基板100の温度測定結果を表示部122Aに表示することが可能である。このため、レシピ実行中に特定の支持溝40の温度を確認することにより、基板温度が異常となった場合の対応が可能となり、不良基板の発生を抑えることが可能となる。
【0111】
本実施形態の表示部122Aでは、温度測定モードと温度監視モードにおいて指定された支持溝40で支持された基板100の温度測定結果をリアルタイムあるいは履歴情報としてグラフ表示をすることが可能である。このため、指定された基板100での温度変化の可視化によって、より良い製品のレシピ調整に貢献できる。
【0112】
<他の実施形態>
本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上述の実施形態では、温度センサ110がロードロック室14の外周壁部15Cの下部側に配置されているが、本開示はこの構成に限定されない。温度センサ110によってボート32に支持された全ての基板100の温度を測定可能であれば、温度センサ110をロードロック室14のどの位置に設けてもよい。なお、外周壁部15Cの温度センサ110を設ける部位には、窓部106を設ける。
【0113】
また、上述の実施形態では、ロードロック室14の室内において基板100を所定時間冷却した後で、温度センサ110による基板100の温度測定をしているが、本開示はこの構成に限定されない。例えば、ロードロック室14の室内に基板100を搬入し、基板100を冷却する前に、温度センサ110による基板100の温度測定をしてもよい。
【0114】
また、上述の実施形態では、温度センサ110がロードロック室14の外側に配置されているが、本開示はこの構成に限定されない。例えば、温度センサ110がロードロック室14の内側に配置されてもよい。
【0115】
また、上述の実施形態では、ロードロック室14内においてボート32で支持された基板100のうち、最高温度の基板100の温度が閾値を下回ると、基板100が十分に冷却されたと判定して基板100をロードロック室14から搬出する構成としているが、本開示の技術は、この構成に限定されない。例えば、基板100を加熱処理する処理室において基板支持具で支持された基板100のうち、最高温度の基板100を温度測定モードで求め、最高温度の基板100を監視し、この基板100の温度が閾値を超える(上回る)前に、加熱処理を終了する構成としてもよい。基板100の温度が閾値を超える前に加熱処理を終了することで、基板100の温度が閾値を超えるものと比べて、閾値を超える前の正常な基板100の状態を維持したまま次の工程に移ることが可能となり、異常基板の発生を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0116】
10 基板処理装置
32 ボート(支持部の一例)
100 基板
110 温度センサ
120 コントローラ(制御部の一例)
121B RAM(記憶部の一例)
121C 記憶部(記憶部の一例)
122A 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9