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特開2023-168245疑似グルーミング実行個体判別システム、グルーミング情報収集システム、分類モデル生成システム、データセットの生成方法、及び、疑似グルーミング実行個体判別方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168245
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】疑似グルーミング実行個体判別システム、グルーミング情報収集システム、分類モデル生成システム、データセットの生成方法、及び、疑似グルーミング実行個体判別方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 13/00 20060101AFI20231116BHJP
   A01K 29/00 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
A01K13/00 E
A01K29/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068380
(22)【出願日】2023-04-19
(31)【優先権主張番号】P 2022079382
(32)【優先日】2022-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(71)【出願人】
【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(74)【代理人】
【識別番号】100150865
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 司
(72)【発明者】
【氏名】矢用 健一
(72)【発明者】
【氏名】野上 大史
(57)【要約】
【課題】家畜への疑似グルーミングを行うグルーミング装置において、これを使用した家畜の特定をより正確にするためのデータの収集や、これに基づいた家畜の特定方法の提供。
【解決手段】家畜への疑似グルーミングを行うグルーミング部と、前記グルーミング部による家畜への疑似グルーミングの実行の有無を検知するグルーミング実行検知センサ22と、家畜に取り付けられ、家畜の動き若しくは振動に基づく情報を検知する家畜状態検知センサ31と、グルーミング実行検知センサ22によって所得される疑似グルーミングの実行の有無の情報と、家畜状態検知センサ31によって取得される家畜の動き若しくは振動に基づく情報と、家畜の個体識別情報と、を対応付けて記憶する記憶装置12と、を備える、グルーミング情報収集システム1。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家畜への疑似グルーミングを行うグルーミング部による家畜への疑似グルーミングの実行の有無を検知するグルーミング実行検知センサと、
家畜に取り付けられ、家畜の動き若しくは振動に基づく情報を検知する家畜状態検知センサと、
前記疑似グルーミングの実行の最中若しくはその前後における、前記家畜の動き若しくは振動に基づく情報の変化に基づいて、疑似グルーミングが実行された家畜を判別する個体判別部と、
を備える、疑似グルーミング実行個体判別システム。
【請求項2】
前記個体判別部が、前記グルーミング部に対して所定範囲内にいる家畜を判別する接近家畜判別部を備えている、請求項1に記載の疑似グルーミング実行個体判別システム。
【請求項3】
前記接近家畜判別部が、カメラによって取得された前記グルーミング部付近の画像に基づいて家畜の識別を行い、前記画像に基づいて前記グルーミング部に対する家畜の距離に関する情報を取得し、当該距離に関する情報も使用して、疑似グルーミングが実行された家畜であるか否かの判別を行う、請求項2に記載の疑似グルーミング実行個体判別システム。
【請求項4】
前記接近家畜判別部が、カメラによって取得された前記グルーミング部付近の画像に基づいて家畜の識別を行い、前記画像に基づいて家畜の姿勢を判別し、当該姿勢の情報も使用して、疑似グルーミングが実行された家畜であるか否かの判別を行う、請求項2に記載の疑似グルーミング実行個体判別システム。
【請求項5】
家畜への疑似グルーミングを行うグルーミング部による家畜への疑似グルーミングの実行の有無を検知するグルーミング実行検知センサと、
家畜に取り付けられ、家畜の動き若しくは振動に基づく情報を検知する家畜状態検知センサと、
前記グルーミング実行検知センサによって所得される疑似グルーミングの実行の有無の情報と、前記家畜状態検知センサによって取得される家畜の動き若しくは振動に基づく情報と、家畜の個体識別情報と、を対応付けて記憶する記憶装置と、
を備える、グルーミング情報収集システム。
【請求項6】
前記疑似グルーミングの実行の有無の情報と、前記家畜の動き若しくは振動に基づく情報と、の対応付けが、時刻情報を介して行われる、請求項5に記載のグルーミング情報収集システム。
【請求項7】
前記グルーミング部に対して所定範囲内にいる家畜を判別する接近家畜判別部を備えており、
前記対応付けて記憶する処理を、所定範囲内にいる家畜に対して行う、請求項5に記載のグルーミング情報収集システム。
【請求項8】
前記接近家畜判別部が、カメラによって取得された前記グルーミング部付近の画像に基づいて前記グルーミング部に対する家畜の距離に関する情報を取得し、当該距離に関する情報を使用して、前記所定範囲内にいる家畜であるか否かの判別を行う、請求項7に記載のグルーミング情報収集システム。
【請求項9】
前記グルーミング部の使用可能性を判別する使用可能性家畜判別部を備えており、
前記使用可能性家畜判別部が、カメラによって取得された前記グルーミング部付近の画像に基づいて家畜の姿勢を判別し、当該姿勢の情報に基づいて前記グルーミング部の使用可能性を判別し、
前記対応付けて記憶する処理を、前記グルーミング部の使用可能性がある家畜に対して行う、請求項5に記載のグルーミング情報収集システム。
【請求項10】
家畜に取り付けられ、前記グルーミング部に対して所定範囲外であるか否かを判別する遠近センサを備え、
前記グルーミング部に対して所定範囲外である場合には、前記家畜状態検知センサをオフとし、前記グルーミング部に対して所定範囲内である場合には、前記家畜状態検知センサをオンとする、請求項5に記載のグルーミング情報収集システム。
【請求項11】
請求項5から10の何れかに記載のグルーミング情報収集システムによって収集されたデータに基づいて、疑似グルーミングを受けた家畜を判別する個体判別システムであって、
前記疑似グルーミングの実行の最中若しくはその前後における、前記家畜の動き若しくは振動に基づく情報の変化に基づいて、疑似グルーミングが実行された家畜を判別する個体判別部を備える、疑似グルーミング実行個体判別システム。
【請求項12】
請求項11に記載の個体判別システムによって判別されたデータに基づいて、
疑似グルーミングが実行されたと判別された家畜の動き若しくは振動に基づく情報を教師データとして、機械学習によって、分類モデルの生成を行う、分類モデル生成システム。
【請求項13】
請求項12に記載の分類モデル生成システムによって生成された前記分類モデルを使用して、家畜の動き若しくは振動に基づく情報の入力に対して、疑似グルーミングの実行の有無を推定するグルーミング実行推定部を備える、疑似グルーミング実行個体判別システム。
【請求項14】
家畜への疑似グルーミングを行うグルーミング部による家畜への疑似グルーミングの実行の有無を検知するグルーミング実行検知センサによって所得される疑似グルーミングの実行の有無の情報と、
家畜に取り付けられ、家畜の動き若しくは振動に基づく情報を検知する家畜状態検知センサによって取得される家畜の動き若しくは振動に基づく情報と、
を取得し、
前記疑似グルーミングの実行の最中若しくはその前後における、前記家畜の動き若しくは振動に基づく情報の変化に基づいて、疑似グルーミングが実行された家畜を判別する、疑似グルーミング実行個体判別方法。
【請求項15】
家畜への疑似グルーミングを行うグルーミング部による家畜への疑似グルーミングの実行の有無を検知するグルーミング実行検知センサによって所得される疑似グルーミングの実行の有無の情報と、
家畜に取り付けられ、家畜の動き若しくは振動に基づく情報を検知する家畜状態検知センサによって取得される家畜の動き若しくは振動に基づく情報と、
家畜の個体識別情報と、
を対応付けて記憶する、データセットの生成方法。
【請求項16】
請求項15に記載のデータセットの生成方法によって取得されたデータセットに基づいて、疑似グルーミングを受けた家畜を判別する個体判別方法であって、
前記疑似グルーミングの実行の最中若しくはその前後における、前記家畜の動き若しくは振動に基づく情報の変化に基づいて、疑似グルーミングが実行された家畜を判別する、疑似グルーミング実行個体判別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家畜への疑似グルーミングを行うグルーミング装置において、これを使用した家畜の特定をより正確にするためのデータの収集(そのためのシステム)や、これに基づいた家畜の特定方法(そのためのシステム)に関する。
【背景技術】
【0002】
家畜の生産現場では農家数の減少、農場一戸あたりの飼養頭数の増加に伴い、頭数あたりの従事者の少人数化が進んでいる。家畜の健康を管理するためには健康悪化の兆候を早期に発見することが重要であるが、このように省力化が進む状況下で、多頭数の群から個々の健康悪化を早期に発見することは困難である。この問題を解決する手段として、家畜の健康状態を示す指標を個体ごとに「見える化」し、疾病の兆候を、人工知能(AI)を活用して自動的に検知・判断することで、異常を早期に発見して死廃事故や経済損失を回避できるスマート畜産技術の開発が求められている。
ここで、回転するブラシ等を利用したグルーミング装置の利用が家畜の健康増進に有用であることが知られており、グルーミング用自動回転ブラシは多くの大規模経営農場で採用され普及している技術である。装置を使用する欲求は食欲や睡眠欲など生存に不可欠な欲求よりも生体にとっての優先度が低いため、健康悪化に伴っていち早く装置の利用が減少することが予想できる。このため、群飼において各個体がいつどれぐらい装置を利用したかを把握できれば、家畜の健康管理に非常に有効な情報となり得る。
このような、家畜への疑似グルーミングを行うグルーミング装置において、これを使用した家畜のデータを取得することに関する技術が、特許文献1や2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6449028号公報
【特許文献2】特表2015-514400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1や2等の従来の技術では、グルーミング装置を利用している個体の識別を、RFIDに基づいて行っている。グルーミング装置付近に設置したリーダによって、家畜に取り付けたRFタグを読み取ることで、当該家畜がグルーミング装置を利用していると判断しているものである。
しかしながら、複数の家畜がリーダの読み取り範囲内に存在する場合等において、グルーミング装置を利用した個体の識別の精度が低下(ひいては、健康悪化の判別等の精度が低下)するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、家畜への疑似グルーミングを行うグルーミング装置において、これを使用した家畜の特定をより正確にするためのデータの収集(そのためのシステム)や、これに基づいた家畜の特定方法(そのためのシステム)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(構成1)
家畜への疑似グルーミングを行うグルーミング部による家畜への疑似グルーミングの実行の有無を検知するグルーミング実行検知センサと、家畜に取り付けられ、家畜の動き若しくは振動に基づく情報を検知する家畜状態検知センサと、前記疑似グルーミングの実行の最中若しくはその前後における、前記家畜の動き若しくは振動に基づく情報の変化に基づいて、疑似グルーミングが実行された家畜を判別する個体判別部と、を備える、疑似グルーミング実行個体判別システム。
【0007】
(構成2)
前記個体判別部が、前記グルーミング部に対して所定範囲内にいる家畜を判別する接近家畜判別部を備えている、構成1に記載の疑似グルーミング実行個体判別システム。
【0008】
(構成3)
前記接近家畜判別部が、カメラによって取得された前記グルーミング部付近の画像に基づいて家畜の識別を行い、前記画像に基づいて前記グルーミング部に対する家畜の距離に関する情報を取得し、当該距離に関する情報も使用して、疑似グルーミングが実行された家畜であるか否かの判別を行う、構成2に記載の疑似グルーミング実行個体判別システム。
【0009】
(構成4)
前記接近家畜判別部が、カメラによって取得された前記グルーミング部付近の画像に基づいて家畜の識別を行い、前記画像に基づいて家畜の姿勢を判別し、当該姿勢の情報も使用して、疑似グルーミングが実行された家畜であるか否かの判別を行う、構成2に記載の疑似グルーミング実行個体判別システム。
【0010】
(構成5)
家畜への疑似グルーミングを行うグルーミング部による家畜への疑似グルーミングの実行の有無を検知するグルーミング実行検知センサと、家畜に取り付けられ、家畜の動き若しくは振動に基づく情報を検知する家畜状態検知センサと、前記グルーミング実行検知センサによって所得される疑似グルーミングの実行の有無の情報と、前記家畜状態検知センサによって取得される家畜の動き若しくは振動に基づく情報と、家畜の個体識別情報と、を対応付けて記憶する記憶装置と、を備える、グルーミング情報収集システム。
【0011】
(構成6)
前記疑似グルーミングの実行の有無の情報と、前記家畜の動き若しくは振動に基づく情報と、の対応付けが、時刻情報を介して行われる、構成5に記載のグルーミング情報収集システム。
【0012】
(構成7)
前記グルーミング部に対して所定範囲内にいる家畜を判別する接近家畜判別部を備えており、前記対応付けて記憶する処理を、所定範囲内にいる家畜に対して行う、構成5又は6に記載のグルーミング情報収集システム。
【0013】
(構成8)
前記接近家畜判別部が、カメラによって取得された前記グルーミング部付近の画像に基づいて前記グルーミング部に対する家畜の距離に関する情報を取得し、当該距離に関する情報を使用して、前記所定範囲内にいる家畜であるか否かの判別を行う、構成7に記載のグルーミング情報収集システム。
【0014】
(構成9)
前記グルーミング部の使用可能性を判別する使用可能性家畜判別部を備えており、前記使用可能性家畜判別部が、カメラによって取得された前記グルーミング部付近の画像に基づいて家畜の姿勢を判別し、当該姿勢の情報に基づいて前記グルーミング部の使用可能性を判別し、前記対応付けて記憶する処理を、前記グルーミング部の使用可能性がある家畜に対して行う、構成5から8の何れかに記載のグルーミング情報収集システム。
【0015】
(構成10)
家畜に取り付けられ、前記グルーミング部に対して所定範囲外であるか否かを判別する遠近センサを備え、前記グルーミング部に対して所定範囲外である場合には、前記家畜状態検知センサをオフとし、前記グルーミング部に対して所定範囲内である場合には、前記家畜状態検知センサをオンとする、構成5又は6に記載のグルーミング情報収集システム。
【0016】
(構成11)
構成5から10の何れかに記載のグルーミング情報収集システムによって収集されたデータに基づいて、疑似グルーミングを受けた家畜を判別する個体判別システムであって、前記疑似グルーミングの実行の最中若しくはその前後における、前記家畜の動き若しくは振動に基づく情報の変化に基づいて、疑似グルーミングが実行された家畜を判別する個体判別部を備える、疑似グルーミング実行個体判別システム。
【0017】
(構成12)
構成11に記載の個体判別システムによって判別されたデータに基づいて、疑似グルーミングが実行されたと判別された家畜の動き若しくは振動に基づく情報を教師データとして、機械学習によって、分類モデルの生成を行う分類モデル生成システム。
【0018】
(構成13)
構成12に記載の分類モデル生成システムによって生成された前記分類モデルを使用して、家畜の動き若しくは振動に基づく情報の入力に対して、疑似グルーミングの実行の有無を推定するグルーミング実行推定部を備える、疑似グルーミング実行個体判別システム。
【0019】
(構成14)
家畜への疑似グルーミングを行うグルーミング部による家畜への疑似グルーミングの実行の有無を検知するグルーミング実行検知センサによって所得される疑似グルーミングの実行の有無の情報と、家畜に取り付けられ、家畜の動き若しくは振動に基づく情報を検知する家畜状態検知センサによって取得される家畜の動き若しくは振動に基づく情報と、を取得し、前記疑似グルーミングの実行の最中若しくはその前後における、前記家畜の動き若しくは振動に基づく情報の変化に基づいて、疑似グルーミングが実行された家畜を判別する、疑似グルーミング実行個体判別方法。
【0020】
(構成15)
家畜への疑似グルーミングを行うグルーミング部による家畜への疑似グルーミングの実行の有無を検知するグルーミング実行検知センサによって所得される疑似グルーミングの実行の有無の情報と、家畜に取り付けられ、家畜の動き若しくは振動に基づく情報を検知する家畜状態検知センサによって取得される家畜の動き若しくは振動に基づく情報と、家畜の個体識別情報と、を対応付けて記憶する、データセットの生成方法。
【0021】
(構成16)
構成15に記載のデータセットの生成方法によって取得されたデータセットに基づいて、疑似グルーミングを受けた家畜を判別する個体判別方法であって、前記疑似グルーミングの実行の最中若しくはその前後における、前記家畜の動き若しくは振動に基づく情報の変化に基づいて、疑似グルーミングが実行された家畜を判別する、疑似グルーミング実行個体判別方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、家畜への疑似グルーミングを行うグルーミング装置において、これを使用した家畜の特定をより正確にするためのデータの収集(そのためのシステム)や、これに基づいた家畜の特定方法(そのためのシステム)を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る実施形態1のグルーミング情報収集システムが設置される場所の概要を示す図
図2】実施形態1のグルーミング情報収集システムの構成の概略を示すブロック図
図3】実施形態1のグルーミング情報収集システムの処理動作の概略を示すフローチャート
図4】取得データの一例を示す図
図5】家畜に取り付けられるセンサユニットの処理動作の一例の概略を示すフローチャート
図6】実施形態2の個体判別システムの処理動作の概略を示すフローチャート
図7】取得データの一例を示す図
図8】取得データの一例を示す図
図9】取得データの一例を示す図
図10】個体判別システムの処理動作の別の例の概略を示すフローチャート
図11】機械学習による推定を行う個体判別システムの概念説明図
図12】グルーミング情報収集システムの別の例の構成の概略を示すブロック図
図13】所定範囲内にいる家畜を判別する(疑似グルーミングを実行している可能性のある家畜を絞り込む)処理の別の例の概略を示すフローチャート
図14】所定範囲内にいる家畜を判別する(疑似グルーミングを実行している可能性のある家畜を絞り込む)処理のさらに別の例の概略を示すフローチャート
図15】カメラで家畜の識別をしていることを示す図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。
【0025】
<実施形態1>
図1は、実施形態1のグルーミング情報収集システムが設置される場所(牧場)の概要を示す図であり、図2は、実施形態1のグルーミング情報収集システム1の構成の概略を示すブロック図である。
本実施形態のグルーミング情報収集システム1は、家畜(本実施形態では牛を対象)への疑似グルーミングを行うグルーミング装置2において、これを使用した家畜の特定をより正確に行うためのデータの収集を行うシステムである。
【0026】
グルーミング装置2は、家畜への疑似グルーミングを行うグルーミング部である回転ブラシ21を備えた装置であり、本実施形態におけるグルーミング装置2の基本的な構成は、特許文献1で開示されているグルーミング装置と同様のものである。即ち、回転するブラシ21が首振り可能に吊り下げられており、家畜が回転ブラシ21に対して接触することで回転ブラシ21が揺動すると、回転のスイッチが入り、家畜が回転ブラシ21から離れると回転が止まるように構成されているものである。グルーミング装置2自体は、任意の装置を利用することができるため、ここでのこれ以上の説明を省略する。
【0027】
グルーミング情報収集システム1は、図2に示されるように、
各家畜(牛C1等)に取り付けられる加速度センサ31、送受信部32と、
グルーミング装置2に取り付けられる加速度センサ22及び、グルーミング装置2若しくはその近傍に設置される送受信部23と、
加速度センサ22のデータ及び送受信部23からのデータを取得して、これらのデータを対応付けて記憶する処理を行うマイコン11と記憶部12を備える情報処理装置10と、
を備えている。
【0028】
家畜(牛C1等)に取り付けられる加速度センサ31は、家畜の動作や姿勢の変化に基づく加速度の変化を取得するものである。即ち、“家畜の動き若しくは振動に基づく情報を検知する家畜状態検知センサ”として機能する。
家畜には、加速度センサ31で取得したデータを送信するための送受信部32も取り付けられている。
本実施形態では、加速度センサ31と送受信部32は首輪に取り付けられているが、家畜の動き若しくは振動を取得可能な任意の取り付け方法で家畜に取り付け可能である(牛の場合には、首輪若しくは耳標に取り付けることが実用的である)。
【0029】
本実施形態における、グルーミング装置2に取り付けられる加速度センサ22は、回転ブラシ21の傾きを検知可能な個所に取り付けられることで、回転ブラシ21の揺動状態(即ち、家畜による使用状態)を検知するものである。即ち、“グルーミング部(回転ブラシ21)による家畜への疑似グルーミングの実行の有無を検知するグルーミング実行検知センサ”として機能する。
【0030】
グルーミング装置2(グルーミング部)またはその近辺には、家畜に取り付けられた送受信部32と通信する送受信部23が設置される。
送受信部23の側では、各家畜に取り付けられている送受信部32との通信の電波強度を判別可能であり、これにより、各家畜がグルーミング装置2に対してどの程度の距離範囲にいるのかを、マイコン11等において、ある程度の精度をもって判別することができる。即ち、これらによって“グルーミング部に対して所定範囲内にいる家畜を判別する接近家畜判別部”として機能する。
なお、送受信部23及び送受信部32は無線で情報を必要な距離で送受信できる任意の方式の送受信機を用いることができる。
【0031】
情報処理装置10は、グルーミング装置2またはその近辺に設置され、加速度センサ22からのデータ及び送受信部23からのデータ(各家畜の加速度データ)を取得して、これを記憶する装置である。
なお、ここでは情報処理装置10が専用的な装置として構成されて、オンサイト(グルーミング装置2またはその近辺)に設置されるものを例としているが、情報処理装置10をPCやサーバーといった汎用の情報処理装置によって構成するものであっても勿論よい。また、送受信部32や送受信部23として、加速度センサ31からのデータや加速度センサ22からのデータを、インターネット等を介して送受信できる送受信装置を用いること等により、情報処理装置の設置場所(データの保存場所)も任意の場所であって良い。
【0032】
なお、各家畜には、それぞれ個体を識別する個体識別情報が割り当てられており、各加速度センサ31からのデータが、何れの個体の加速度データであるかが判別可能に構成されており、データの記録時には、個体識別情報と対応付けて記録される。
個体識別情報としては、例えば、家畜が牛である場合には、耳標に付されている個体識別番号を利用するものであってもよいし、給餌、搾乳、哺乳などの際の個体識別に用いられるシステム(RFID等)をそのまま利用するものであってもよい。また、これとは別のIDを利用するもの(例えば送受信部32の装置としての識別子(MACアドレス等)やネットワーク機器として割り当てられる識別子(IPアドレス等)を利用するもの等)や、本システムで独自のIDを割り当てるようなものであってもよい。個体識別情報としてのIDを独自に割り当てる等した場合においても、牛のように既存の個体識別番号を持っている場合には、これらを相互に対応付けるようにすると良い。
【0033】
図3は、グルーミング情報収集システム1(マイコン11)の処理動作の概略を示すフローチャートである。ここでは、説明の簡略化のため、各家畜のうちの1頭がグルーミング装置2の所定範囲内に入ってから範囲外へ出るまでの処理の流れを説明する。
ステップ301では、電波強度が所定値以上となっている送受信部32の有無を判別する。前述のように、グルーミング装置2に対して家畜が所定範囲内にいるか否かを判別しているものとなる。
電波強度が所定値以上となっている送受信部32があった場合、即ち、グルーミング装置2の所定範囲内にいると判断される家畜がいる場合には、ステップ302~305のループ処理へと移行する。
【0034】
ステップ302~305のループ処理は、該当の家畜がグルーミング装置2の所定範囲内にいると判断される間、実行される処理である。
ステップ302では、当該家畜の個体識別情報と加速度データを受信して、これらと時刻情報を対応付けて記憶部12に記憶する。
続くステップ303では、加速度センサ22からのデータに基づいて、回転ブラシ21の傾きが所定値以上であるか否かを判別する。即ち、家畜によって疑似グルーミングが実行されているか否かを判別しているものである。
回転ブラシ21の傾きが所定値以上である場合には、ステップ304へと移行して、回転ブラシのオン期間(疑似グルーミングの実行期間)である旨の情報を時刻情報と対応付けて記憶部12に記憶する。
ステップ305では、電波強度が所定値未満であるか否か(即ち、家畜が所定範囲外に出たか否か)を判別し、所定値未満である場合には処理を終了する。一方、所定値以上である場合(即ち、家畜が所定範囲内にいる場合)には、上記のステップ302~304の処理を繰り返すことにより、加速度センサ31から得られるデータを蓄積しつつ、回転ブラシのオン期間(疑似グルーミングの実行期間)を判別、取得する処理が実行される。
当該ステップ302~305の処理により、“グルーミング実行検知センサによって所得される疑似グルーミングの実行の有無の情報と、家畜状態検知センサによって取得される家畜の動き若しくは振動に基づく情報と、家畜の個体識別情報と、を対応付けて記憶する”処理と、“疑似グルーミングの実行の有無の情報と、家畜の動き若しくは振動に基づく情報と、の対応付けが、時刻情報を介して行われる”処理が行われることになる。
また、家畜が所定範囲内にいると判断される場合に上記処理が実行されるものであるため、“前記対応付けて記憶する処理を、所定範囲内にいる家畜に対して行う”ものとなる。
【0035】
図4には、本実施形態のグルーミング情報収集システム1によって取得されるデータの一例を示した。
図中の3本のグラフは、加速度センサ(3軸)31から取得された3軸加速度データを示し、上部の黒いバーは回転ブラシのオン期間(ブラシの傾斜が所定角度以上となっている期間)を示す(Tsはブラシの回転開始時点、Teはブラシの回転終了時点)。
なお、ここでは説明の簡略化のため、家畜1頭を対象とした説明としたが、「電波強度が所定値以上となっている送受信部32」が複数ある場合(即ち複数の家畜が所定範囲にいる場合)には、そのそれぞれに対して、図3で説明した趣旨の処理が並列的に実行され、各家畜の加速度データが取得・保存されるものである。例えば、図1に示されるように、グルーミング装置を使っている牛C1の他、牛C2も近くにいる場合、牛C2の加速度データも取得・保存されることになる。
【0036】
本実施形態のグルーミング情報収集システム1によれば、家畜への疑似グルーミングを行うグルーミング装置において、これを使用した家畜の特定をより正確に行うことを可能とするためのデータの収集を行うことができる。
【0037】
なお、本実施形態では、疑似グルーミングの実行の有無の情報が時刻情報と共に記録され、また、家畜の動き若しくは振動に基づく情報も時刻情報と共に記録されることにより、両者の対応付け(同期)が、時刻情報を介して行われるものを例としたが、本発明をこれに限るものではなく、両者の対応付けが可能な任意の記録方式とすることができる。例えば、家畜の動き若しくは振動に基づく情報のそれぞれ(例えば個々の加速データ)に対して、疑似グルーミングの実行の有無を示す情報(フラグ)を対応付けて記憶させるようなものであってもよい(時刻情報は必須のものではない)。
【0038】
また、本実施形態では、「グルーミング部に対して所定範囲内にいる家畜を判別する接近家畜判別部」として、送受信部の電波強度が所定値以上であることを判別するものを例としたが、本発明をこれに限るものではない。例えば、距離センサを備えさせるものや、カメラによって取得された画像から所定範囲内にいる家畜を判別するもの、あるいはGPSレシーバを各家畜に取り付けるセンサユニットに設けるようにするもの等であってもよい。GPSを利用することで、正確な時刻情報を得ることもできるため、データ間の同期もとりやすくなる。
【0039】
図12には、「グルーミング部に対して所定範囲内にいる家畜を判別する接近家畜判別部」の別の例として、カメラによって取得された画像から所定範囲内にいる家畜を判別するグルーミング情報収集システム1´の構成の概略を示すブロック図を示した。実施形態1(図2)と同様の構成については同一の符号を使用し、ここでの説明を省略する。
グルーミング情報収集システム1´は、グルーミング部である回転ブラシ21の付近を撮影するカメラ24と、カメラ24によって取得された画像の画像認識を行う画像認識部13を備えている。
図13は、所定範囲内にいる家畜を判別する(疑似グルーミングを実行している可能性のある家畜を絞り込む)処理の概略を示すフローチャートである。
ステップ1301では、画像認識部13において、カメラ24によって取得された回転ブラシ21の付近の画像における家畜の存在(検出)の有無を判別する。
家畜が検出されたら、当該家畜の個体識別処理が画像認識部13によって行われる(ステップ1302)。個体識別処理は、例えば家畜がホルスタインである場合には牛の模様(斑紋)のパターン認識によって行う。即ち、画像認識部13には予め家畜を判別するためのデータ(学習済みモデルなど)が備えられており(勿論、個体識別情報との紐づけがなされている)、これを使用して家畜の個体識別が行われる。模様による判別が難しい家畜のような場合には骨格に基づく判別等、任意のパターン認識に基づいて判別を行うものであって良い。
続くステップ1303では、画像認識部13において、回転ブラシ21と家畜の間の距離が所定値以下であるか否かを判別し、所定値以下であった場合には該当の家畜を「所定範囲内」と判別し(ステップ1304)、所定値より離れていた場合には該当の家畜を「所定範囲外」と判別する(ステップ1305)。当該処理もパターン認識に基づいて行われる。例えばブラシと家畜に重なりがあるかどうかを判別すること等によって判別される(この際に、ブラシもパターン認識によって認識するものであってもよいが、カメラやブラシは基本的には固定的に設けられているものであるため、ブラシについては画像内の所定の範囲をブラシとして認識するように予め設定しておくもの等であってよい)。
ステップ1306では、家畜の存在(検出)の有無を判別し(ステップ1301と同様の処理)、家畜が検出される限り上記の処理を繰り返し、家畜が検出されなくなったら処理を終了する。
なお、複数の家畜が検出されている場合には、そのそれぞれに対して、上記説明した趣旨の処理が並列的に実行され、各家畜について「所定範囲内にいるか否か」が判別される。例えば、図15(a)の例では、家畜C1が回転ブラシ21に対して「所定範囲内」であると判別され、家畜C2は回転ブラシ21に対して「所定範囲外」であると判別される。これによって、より精度の高い判別をすることができる。
図13の処理は、図3におけるステップ301や305の処理に置き換わるものであり、図13の処理によって「所定範囲内」にいると判断された家畜に対して、図3のステップ302~304の処理によって各家畜の加速度データが取得・保存される。
なお、図3のステップ301や305の処理も併せて実行しつつ、電波強度が一定値以上である範囲内の家畜(ただし、所定範囲外と判別される家畜)についても家畜の加速度データを取得・保存する(疑似グルーミングを実行していない家畜のデータも蓄積することでデータの豊富化を行う)ものであってもよい。
【0040】
図14は、図12のグルーミング情報収集システム1´によって実行される、所定範囲内にいる家畜を判別する(疑似グルーミングを実行している可能性のある家畜を絞り込む)処理のさらに別の例の概略を示すフローチャートである。なお、図13と同様の処理概念となるものについては、同一の符号を使用し、ここでの説明を省略する。
図14の処理は、例えば、伏臥している家畜は、疑似グルーミングを実行しているものではない(ブラシに届かない)と判断できるため、所定範囲内にいる家畜の判別(疑似グルーミングの実行可能性のある家畜の絞り込み)を、家畜の姿勢に基づいて行うものである。
ステップ1301~1302の処理によって、家畜の検出及び個体識別が行われた後に、家畜の姿勢(立位であるか否か)を判別する処理が行われる(ステップ1403)。当該処理は、画像認識部13におけるパターン認識によって行われる。即ち、画像認識部13には予め家畜が立位であるか否かを判別するためのデータ(学習済みモデルなど)が備えられており、これを使用して家畜の姿勢の判別が行われる。
家畜が立位である場合には該当の家畜を「所定範囲内」と判別し(ステップ1304)、立位でない場合には該当の家畜を「所定範囲外」と判別する(ステップ1305)。なお、ここでは「立位であるか否か」を判断の基準にしているが、姿勢の種別はグルーミング部の構成の別等に応じて適宜定められるものである。
複数の家畜が検出されている場合には、そのそれぞれに対して、上記説明した趣旨の処理が並列的に実行され、各家畜について「所定範囲内にいるか否か」が判別される。例えば、図15(b)の例では、家畜C1が立位と判別されて、回転ブラシ21に対して「所定範囲内」であると判別され、家畜C2が立位ではなく(横伏臥位であり)、回転ブラシ21に対して「所定範囲外」であると判別される。これによって、より精度の高い判別をすることができる。
図14の処理は、図3におけるステップ301や305の処理に置き換わるものであり、図14の処理によって「所定範囲内」にいると判断された家畜に対して、図3のステップ302~304の処理によって各家畜の加速度データが取得・保存される。
なお、図3のステップ301や305の処理も併せて実行しつつ、電波強度が一定値以上である範囲内の家畜(ただし、所定範囲外と判別される家畜)についても家畜の加速度データを取得・保存する(疑似グルーミングを実行していない家畜のデータも蓄積することでデータの豊富化を行う)ものであってもよい。
また、図13の処理概念と図14の処理概念を合わせた処理としてもよい。
上記の説明及び図12~15からも理解されるように、カメラ24と画像認識部13は、「グルーミング部に対して所定範囲内にいる家畜を判別する接近家畜判別部」として機能し、また、「グルーミング部の使用可能性を判別する使用可能性家畜判別部」としての機能も有しているものである。
【0041】
実施形態1では、グルーミング部に対して所定範囲内にいる家畜を対象としてデータの取得を行うものを例としているが、本発明をこれに限るものではない。例えば、農場内の全ての箇所において情報の取得ができるように送受信網を構築し、全ての家畜からデータを取得するようにしてもよい。その際においても、グルーミング部に対して所定範囲内にいる家畜を判別することで、グルーミング部に対して所定範囲内にいる家畜であるか否かを示す情報(或いは、グルーミング部の使用可能性がある家畜であるか否かを示す情報)を対応付けて記憶させるとよい。
また、全ての箇所において情報の取得ができるような送受信網を構築するのではなく、各家畜に取り付ける装置に記憶装置を備えさせて常時(若しくは定時、随時)データをログさせておき、後で(送受信部23の通信圏内に来た際などに)これを情報処理装置10で取得するようにしてもよい。この場合、ログしたデータであることを示すフラグを用いること等により、「グルーミング部に対して所定範囲内にいた際のデータであるか否か」を判別することができる(所定範囲内にいる際は、データのログをするのではなく、図3の処理によって情報処理装置でデータを取得する)。
【0042】
実施形態1では、基本的には、グルーミング部に対して所定範囲内にいる家畜を対象としてデータの取得を行うものである。所定範囲外の家畜のデータの取得を行わない場合、所定範囲外にいる際には加速度センサ31の動作の必要はない。従って、所定範囲外にいる際には加速度センサ31をオフとすることで、省電力化を図るようにしてもよい。
図5は、このような家畜に取り付けられたセンサユニットの処理動作の概略を示すフローチャートである。
この場合の家畜に取り付けられたセンサユニットには、加速度センサ31、送受信部32の他にマイコン等が備えられ、当該マイコンにおいて図5の処理が実行される。
ステップ501では、送受信部23との間の電波強度が所定値以上であるか否かを判別し、所定値以上である場合(グルーミング部に対して所定範囲内にいる場合)に加速度センサ31をオンとし、識別情報の送信及び加速度データの送信を行う(ステップ502,503)。
ステップ504では、電波強度が所定値未満であるか否かを判別し、所定値以上である場合にはステップ503の加速度データの送信処理を続け、所定値未満となったら、加速度センサをオフとする(ステップ504:Yes→ステップ505)。
送受信部等によって、“家畜に取り付けられ、前記グルーミング部に対して所定範囲外であるか否かを判別する遠近センサ”が構成され、また、図5の処理によって“グルーミング部に対して所定範囲外である場合には、家畜状態検知センサをオフとし、グルーミング部に対して所定範囲内である場合には、家畜状態検知センサをオン”とする機能が構成されるものである。
なお、ここでは、家畜に取り付けられたセンサユニットの側で、電波強度が所定値以上であるか否かを判別するものとして説明したが(ステップ501、504)、ステップ501や504の処理において、情報処理装置10側からの、加速データの送信要求の有無に基づく判断をするものとしてもよい(結果として、「グルーミング部に対して所定範囲内」であるか否かを判別していることに変わりはない)。
また、ここでは、電波強度が所定値未満であるか否かによって、グルーミング部に対して所定範囲外であるか否かを判別するものを例としたが、本発明をこれに限るものではない。前述のごとく、距離センサやGPSレシーバを家畜に取り付けるセンサユニットに設けるもの等であってもよい。
【0043】
実施形態1では、疑似グルーミングの実行の有無の情報と、家畜の動き若しくは振動に基づく情報を対応付けるものとして説明したが、さらに多くの情報を対応付けるものであっても構わない。
後の実施形態で説明する判別や推定において、より多くのパラメータが対応付けられていることで、その精度を高めることができる可能性がある。
対応付ける情報としては、例えば家畜に関する情報や環境に関する情報等が挙げられる。家畜に関する情報としては、例えば、性別や種別、月齢などの情報である。例えば牛のように個体識別情報にこれらの情報が既に紐づけられている場合には、これを利用することで各情報が相互に対応付けられる。ブラシに対する家畜の動きは、家畜の体格(ブラシに対する相対位置等)に相関する場合があり、性別や種別、月齢などの情報が、ブラシ使用時の家畜の動きと相関を有し得るものである。また、環境に関する情報としては、例えば気象情報が挙げられる。気温や湿度等が家畜の動きに影響を与える可能性があり、また、降水があると電波強度への影響があるため、後の実施形態で説明する判別や推定の結果に影響を与えるパラメータであり得るものである。
【0044】
実施形態1では、グルーミング装置の例として、揺動する回転ブラシを備え、家畜の接触によるブラシの揺動によって回転のオン・オフが行われるものを例としたが、本発明のシステムの適用をこれに限るものではなく、任意の構成のグルーミング装置に適用することができる。即ち、グルーミング装置を家畜が利用している状況を判別可能なセンサ(基本的にはグルーミング実行部のオン・オフを判別するセンサ)等を設けることができる任意のグルーミング装置に本発明のシステムを適用することが可能である。
グルーミング装置の別などに伴い、疑似グルーミングの実行の有無を検知するグルーミング実行検知センサも適宜適切なものが選択可能である。実施形態では加速度センサを利用するものを例としているが、家畜が疑似グルーミングを実行しているとみなし得る状態の変化を検知可能な任意のセンサを用いることができる。例えば、グルーミング実行部のオン・オフを直接的に判別することができるセンサ(装置の電流や電圧の変化等に基づくオン・オフの検知をするセンサ等)の他、本実施形態のように、家畜が疑似グルーミングを実行していることを間接的に取得可能なセンサ(例えば、圧力、温度、音、振動、回転などの変化を検知できるセンサ等)を用いることができる。
【0045】
実施形態1では、グルーミング装置が1つだけ設置されているような図示としているが、グルーミング装置が複数設置されても良い点は勿論である。
【0046】
<実施形態2>
実施形態2は、実施形態1のグルーミング情報収集システム1によって収集されたデータに基づいて、疑似グルーミングを受けた家畜を判別する個体判別システムである。
前述したように、送受信部の電波強度に基づくなどして、グルーミング装置の近くにいる家畜を判別することは可能であるが、複数の家畜がグルーミング装置の近くにいる場合、何れの家畜がグルーミング装置を使っているのかを精度よく判別することは、従来は難しいものであった。
これに対し、本実施形態の個体判別システムは、実施形態1のグルーミング情報収集システム1や別の例として説明したグルーミング情報収集システム1´等によって収集されたデータを使用することで、グルーミングを受けた家畜の判別精度を高くすることができるものである。
個体判別システムは以下で説明する処理を実行できる情報処理装置(以下で説明する処理を実行する個体判別部として機能し得るもの)であればよく、実施形態1の情報処理装置10(或いは情報処理装置10´)で構成されるものや、PCやサーバー等の任意の情報処理装置で構成することができる。
【0047】
図6は、本実施形態の個体判別システムの処理動作の概略を示すフローチャートである。
なお、当該処理は、複数の家畜がグルーミング装置の近くにいると判別され、何れの家畜がグルーミングを受けている家畜かを判別するための処理であり、グルーミング装置の近くにいると判別された家畜が1頭だけの場合には、図6の処理を要することなく、当然にその1頭がグルーミングを受けている家畜と判別される。
【0048】
図6のループ1の処理は、グルーミング装置の近くにいると判別された各個体のデータ(実施形態1で取得されたデータ)に対して、それぞれステップ601~604の処理を行うものである。
図7には、一例として、同時刻帯においてA~Dのデータが取得された場合を示している。即ち、グルーミング装置の近くに4頭の家畜が存在していることにより、これらの加速度データがそれぞれ取得され、また、TsからTeの間において、回転ブラシ21が動作したと判別されたデータである。
この場合、図6のループ1の処理では、データA~Dに対して、それぞれステップ601~604の処理が行われるものである。
【0049】
ステップ601では、疑似グルーミング実行の始期であるTsの前後において、加速度が所定値以上変化しているかを判別する。加速度の変化が所定値以上であった場合にはステップ602へと移行して、該当個体(該当データに対応する個体)の判定ポイントを加算する。
ステップ603、604の処理は、ステップ601、602の処理と同様の処理であり、疑似グルーミング実行の終期であるTeの前後において、加速度が所定値以上変化しているかを判別し、判定ポイントの加算を行う。
【0050】
グルーミング装置の近くにいると判別された各個体のデータに対して、それぞれステップ601~604の処理を実行したら、ループ1の処理を終了する。
ループ1の処理後のステップ605では、判定ポイントが最大の個体を、疑似グルーミングを受けた家畜として判別する。
以上の処理により、“疑似グルーミングの実行の前後における、家畜の動き若しくは振動に基づく情報の変化に基づいて、疑似グルーミングが実行された家畜を判別する”の機能が構成される。
【0051】
家畜が、疑似グルーミングを実行する場合の前後の動作を考察すると以下のようになる。
1.グルーミング装置に近づく(歩行等から停止)
2.使用中、回転ブラシに体を押し付ける(その間、首など体を動かす)
3.グルーミング装置から離れる(停止から歩行等)
即ち、グルーミング実行の最中やその前後において、体動の変化が生じるものである。従って、この変化を加速度データとして取得し、疑似グルーミング実行の期間と突き合わせることで、疑似グルーミングを受けた家畜の特定が可能となる。
例えば、図8図7の一部を拡大したもの)にも示されるように、データAにおいては、疑似グルーミング実行の終期であるTeの前後において、加速度の変化が見られる一方、データBにはほとんど変化は見られない。
また図7に示されるように、疑似グルーミング実行の始期であるTsの前後においても、データAでは加速度の変化がみられる一方、データB~Dには変化がほとんど見られない。
従って、ループ1の処理の結果、データAに該当する個体には、判定ポイントが2ポイント付与され、データB~Dに該当する個体には、判定ポイントが付与されない。
これにより、データAに該当する個体が、疑似グルーミングを受けた家畜として判別されるものである。
【0052】
以上のごとく、本実施形態の個体判別システムによれば、実施形態1のグルーミング情報収集システム1によって収集されたデータを使用し、疑似グルーミング実行の期間と突き合わせて加速度データを解析することにより、高い精度にて疑似グルーミングを受けた家畜の判別行うことができる。即ち、各個体の体調変化を把握するための指標としての、各個体がいつどれぐらい装置を利用したかに関する情報をより正確に把握できるようになる。
これにより、家畜の健康悪化の早期発見を可能とし得るものであり、疾病の予防・早期治療に利用する仕組みを新たに創出することもできる。特に、子牛の哺乳育成時および周産期の疾病による母牛の損耗率は5%近くに達しているのが現状であるが、この仕組みにより、子牛の哺育期から離乳期(損耗率5-10%)および周産期(5%)における損耗の大幅低減(目標50%低減)の実現や、畜産農家の大幅な利益向上が期待できる。
【0053】
図9は、図7と同様に、同時刻帯においてA~Dのデータが取得された場合の、別の例である。
この例においては、疑似グルーミング実行の始期であるTsの前後、或いは、疑似グルーミング実行の終期であるTeの前後において、加速度の変化の違いを明確に読み取ることができない。
一方で、疑似グルーミング実行の期間中においては、加速度データの変化の仕方(加速度の上下の変化の回数)には相違がある。家畜は、自分ではグルーミングし難い箇所である顔や頭の近辺や首等を好んでブラシに当てる傾向があり、疑似グルーミング実行の期間中において頭や首の動きが多くなる傾向となる。従って首輪や耳標に取り付けられている加速度センサ31によって、この間における頭や首の動きが、加速度の上下の変化の回数となって取得されているものである。
よって、これを利用することで、より高い精度で疑似グルーミングを受けた家畜の判別行うことが可能となる。
【0054】
図10は、そのような処理動作の概略を示すフローチャートである。
ループ1内の処理は図6と同様であるため、説明及びフローチャートの記載を省略する。
ループ1に続くステップ1001では、判定ポイントが最大の個体が1つであるか否か(即ち、疑似グルーミングを受けた家畜の判別ができるか否か)を判別し、1つである場合には、ステップ605へと移行して、判定ポイントが最大の個体を、疑似グルーミングを受けた家畜として判別する。
一方、ループ1の処理では、疑似グルーミングを受けた家畜の判別ができなかった場合、ループ2への処理へと移行する。
【0055】
ループ2の処理は、グルーミング装置の近くにいると判別された各個体のデータ(実施形態1で取得されたデータ)に対して、それぞれステップ1002の処理を行うものである。
ステップ1002では、Ts-Teの期間(疑似グルーミング実行の期間)中において、加速度が所定値以上変化した回数を判別し、この回数を該当個体(該当データに対応する個体)の判定ポイントに加算する。即ち、疑似グルーミング実行の期間中において頭や首の動きが最も多かった個体に対して、より大きな判定ポイントが付与されるものである。
ループ2の処理後のステップ605では、判定ポイントが最大の個体を、疑似グルーミングを受けた家畜として判別する。
以上の処理により、“疑似グルーミングの実行の最中における、家畜の動き若しくは振動に基づく情報の変化に基づいて、疑似グルーミングが実行された家畜を判別する”の機能が構成される。
【0056】
このように、疑似グルーミングの実行の前後及びその最中における、家畜の動き若しくは振動に基づく情報の変化に基づいて、疑似グルーミングが実行された家畜を判別することで、より高い精度の判別を行うことができる。
【0057】
なお、判定ポイントの数値の付与方法は、各システムの設計思想に基づくなどして任意に定めることができる。例えば、図6の処理では「加速度の変化が所定値以上」である場合に1ポイント加算するものを例としているが、加速度の変化の大きさに応じた数値(加速度の変化量に所定の係数をかける等)を、判定ポイントとするもの等であってもよい。また、判定ポイントを使用するのではなく、対象となるデータの中で最も加速度の変化の大きいものを、疑似グルーミングが実行された家畜として判別するようなものであってもよい。
図10の処理では、「加速度が所定値以上変化した回数」を判定ポイントして加算するものを例としているが、これについてもこれとは異なるもの(例えば、加速度の変化の大きさに応じた数値)としてもよい。
何れにしても、疑似グルーミングの実行の前後及びその最中との関係において、加速度データの変化を抽出することで、疑似グルーミングを受けた家畜をより正確に判別することができるものであり、加速度データの変化の抽出方法は適宜適切なものを採用することができる。
なお、図10の処理にけるステップ1001の処理を行わないものであってもよい。ステップ1001を行わない場合、疑似グルーミングの実行の前後及びその最中の両方における加速度データの変化が加味された上で、疑似グルーミングを受けた家畜の判別が行われることになる。
また、ループ1とループ2の実行順が逆のものであってもよい、即ち、疑似グルーミングの実行の最中の家畜の動きに基づく判別を先に行い、疑似グルーミングの実行の前後の家畜の動きに基づく判別を後に行うものであってもよい。
【0058】
<実施形態3>
実施形態3は、実施形態1及び2のシステムによって収集、判別されたデータに基づいて機械学習によって分類モデルを生成する分類モデル生成システム、及び、家畜の動き若しくは振動に基づく情報の入力に対して、疑似グルーミングの実行の有無を推定する疑似グルーミング実行個体判別システムである。
分類モデル生成システム又は疑似グルーミング実行個体判別システムは以下で説明する処理を実行できる情報処理装置(以下の分類モデル生成部やグルーミング実行推定部として機能し得るもの)であればよく、PCやサーバー等の任意の情報処理装置で構成することができる。
【0059】
図11は、本実施形態の分類モデル生成システム(上段側)と個体判別システム(下段側)の概念説明図である。
分類モデル生成システムでは、分類モデル生成部101において、実施形態1及び2のシステムによって収集、判別されたデータセットDSに基づいて、教師あり学習によって、分類モデルCMの生成を行う。
前述のように、実施形態1のシステムによって収集されたデータに基づいて、実施形態2のシステムによって、疑似グルーミングを受けた家畜が判別される。即ち、疑似グルーミングを受けた家畜の加速度データと、それ以外の家畜の加速データのデータセットが得られることになる。加えて、疑似グルーミングを受けた家畜の加速度データにおいては、単に、疑似グルーミングを受けている最中の家畜の加速度データとういうだけではなく、疑似グルーミング実行の前後における家畜の加速度データ(の変化)が含まれているものである。
分類モデル生成部101は、これを教師データとして、教師あり学習によって、分類モデルCMの生成を行うものである。
なお、教師あり学習のアルゴリズムは、任意のアルゴリズムを用いることができる(基本的には分類問題に適した学習アルゴリズムが用いられる)。
【0060】
疑似グルーミング実行個体判別システムのグルーミング実行推定部102では、学習によって生成された分類モデルCMを使用して、家畜の動き若しくは振動に基づく情報(加速度データ)の入力に対して、疑似グルーミングの実行の有無を推定し、これを出力する。なお、単なる疑似グルーミングの実行の有無だけでなく、疑似グルーミングが実行された期間(時間)を推定することも可能である。
【0061】
以上のごとく、本実施形態の分類モデル生成システム及び疑似グルーミング実行個体判別システムによれば、実施形態1のシステムによって収集されたデータセットを教師データとして学習した分類モデルが生成され、これによって、加速度データのみに基づいて、疑似グルーミングの実行の有無を推定することが可能となる。
【0062】
なお、実施形態においては、「家畜の動き若しくは振動に基づく情報」として、家畜(牛)の体の動き(例えば首を動かす動きなど)を加速度センサによって取得するものを例としているが、これに替えて、家畜の体に生じる振動を振動センサ等によって取得するものとしてもよい。
回転ブラシに体を押し付けた家畜の体には、回転するブラシとの接触による微細な振動が生じるため、この振動やこれに基づく音波を振動センサや音波センサによって取得する(即ち、家畜状態検知センサとして、振動センサや音波センサを用いる)ことで、疑似グルーミングを受けた家畜の判別や推定を行うものである。その処理概念は、上記説明したものと同様のものとすることができる。
【符号の説明】
【0063】
1...グルーミング情報収集システム
12...記憶部(記憶装置)
13...画像認識部(使用可能家畜判別部)
21...回転ブラシ(グルーミング部)
22...加速度センサ(グルーミング実行検知センサ)
23...送受信部(接近家畜判別部)
24...カメラ(使用可能家畜判別部)
31...加速度センサ(家畜状態検知センサ)
32...送受信部(遠近センサ)
101...分類モデル生成部
102...グルーミング実行推定部
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