(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168252
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】窒化ガリウム系装置及びその試験方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20231116BHJP
H01L 21/338 20060101ALI20231116BHJP
H01L 29/41 20060101ALI20231116BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20231116BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20231116BHJP
H01L 21/337 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
H01L21/66 F
H01L29/80 F
H01L29/44 Y
H01L21/88 Z
H01L27/04 T
H01L29/80 H
H01L29/80 C
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071999
(22)【出願日】2023-04-26
(31)【優先権主張番号】63/340,888
(32)【優先日】2022-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/863,069
(32)【優先日】2022-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500262038
【氏名又は名称】台湾積體電路製造股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Taiwan Semiconductor Manufacturing Company,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.8, Li-Hsin Rd.6, Hsinchu Science Park, Hsinchu, TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100182143
【弁理士】
【氏名又は名称】赤川 誠一
(72)【発明者】
【氏名】ライ イー-アン
(72)【発明者】
【氏名】游 本傑
(72)【発明者】
【氏名】陳 建宏
(72)【発明者】
【氏名】謝 正祥
【テーマコード(参考)】
4M104
4M106
5F033
5F038
5F102
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
【課題】窒化ガリウム系装置及びその試験方法を提供する。
【解決手段】複数の層と、ゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極と、フィールドプレートと、複数の導線と、を有するトランジスタと、それぞれ第1の金属パターンと第2の金属パターンを有し、且つゲート電極、ソース電極、ドレイン電極のうちの少なくとも1つ、又は複数の導線のうちの少なくとも1つをシミュレートするために用いられる複数の試験構造と、を含む半導体装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ少なくとも1つのIII-V族化合物材料を有する複数の層と、前記層のうちの少なくとも一つに動作可能に結合されるゲート電極と、前記ゲート電極の第1の側に設けられるソース電極と、前記ゲート電極の第2の側に設けられるドレイン電極と、前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間に設けられるフィールドプレートと、前記ゲート電極、前記ソース電極及び前記ドレイン電極の上に設けられる複数の導線と、を含むトランジスタと、
それぞれ第1の金属パターンと第2の金属パターンを有し、前記ゲート電極、前記ソース電極及び前記ドレイン電極のうちの少なくとも1つ、又は前記導線のうちの少なくとも1つをシミュレートするための複数の試験構造と、
を含む半導体装置。
【請求項2】
前記試験構造は、それぞれ前記トランジスタに隣接するように設けられる請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
各前記試験構造は、対応する前記第1の金属パターンと対応する前記第2の金属パターンが短絡するか否かに基づいて、前記トランジスタに欠陥が発生したか否かを検出するように配置される請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記試験構造における第1の試験構造に対応する前記第1の金属パターン又は対応する前記第2の金属パターンに接続されるチャージポンプを更に含み、
前記チャージポンプは、少なくとも1つのIII-V族化合物材料から形成され、且つ接続された前記第1の金属パターン又は接続された前記第2の金属パターンに650ボルト(V)以上の電圧を供給するように配置される請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1の試験構造は、前記第1の試験構造に関連する異常電流-電圧曲線が存在するか否かに基づいて、前記トランジスタに欠陥が発生したか否かを検出するように配置される請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
それぞれ少なくとも1つのIII-V族化合物材料を有する複数の第1のトランジスタを含む第1の半導体結晶粒と、
それぞれ前記少なくとも1つのIII-V族化合物材料を有する複数の第2のトランジスタを含む第2の半導体結晶粒と、
前記第1の半導体結晶粒と前記第2の半導体結晶粒の傍らに設けられる試験構造と、
を含み、
前記試験構造は、第1の金属パターン及び第2の金属パターンを有し、且つ前記第1の半導体結晶粒及び前記第2の半導体結晶粒のうちの1つ又は複数の特徴をシミュレートするように配置されて、少なくとも1つの前記第1の半導体結晶粒又は前記第2の半導体結晶粒に欠陥が発生したか否かを確認する半導体装置。
【請求項7】
前記第1の金属パターンは第1の板を有し、前記第2の金属パターンは第2の板を有し、且つ前記第1の板の第1の部分と前記第2の板の第2の部分は互いに少なくとも一部が垂直に重なる請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1の金属パターンと前記第2の金属パターンは、それぞれ前記第1の半導体結晶粒又は前記第2の半導体結晶粒のゲート電極と前記第1の半導体結晶粒又は前記第2の半導体結晶粒のフィールドプレートと、前記第1の半導体結晶粒又は前記第2の半導体結晶粒のソース/ドレイン電極と前記第1の半導体結晶粒又は前記第2の半導体結晶粒のフィールドプレートと、前記第1の半導体結晶粒又は前記第2の半導体結晶粒のゲート電極と前記第1の半導体結晶粒又は前記第2の半導体結晶粒のソース/ドレイン電極、又は、前記第1の半導体結晶粒又は前記第2の半導体結晶粒の導線とフィールドプレートをシミュレートする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項9】
少なくとも1つのIII-V族化合物材料を有する複数の層を含むトランジスタを形成する工程と、
第1の金属パターン及び第2の金属パターンを含み、前記トランジスタの1つ又は複数の特徴をシミュレートするように配置される試験構造を形成する工程と、
前記試験構造に関連する電流-電圧曲線に異常挙動が存在するか否かを検出する工程と、
異常挙動の存在を検出したことに応じて、トランジスタに欠陥があることを確認する工程と、
を含む半導体装置の試験方法。
【請求項10】
前記第1の金属パターンは第1の基部と複数の第1の突出部を有し、前記第1の突出部は前記第1の基部から外部へ延び、前記第2の金属パターンは第2の基部と複数の第2の突出部を有し、前記第2の突出部は前記第2の基部から外部へ延び、前記第1の突出部は、それぞれ0.25ミクロン(μm)~6μmの範囲内にあるピッチで隣接する前記第2の突出部の間に横方向に設けられる請求項9に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
過去の数十年に、シリコン系電子装置(例えば、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect-Transistors;MOSFETs))は、非常に成功となり、且つ現在の電力適用(power application)(例えば、AC/DC電源、DC/DC電源及びモータ制御)の標準を表し、その範囲が数十ワットから数百更に数キロワットまでである。このようなシリコン系電子装置の、例えばオン抵抗RDS(ON)、電圧定格、スイッチング速度、パッケージング及び他の属性等のキーパラメータは、絶えずに進歩している。しかしながら、現在、これらのシリコン系電子装置は、性能がこれらの材料及びプロセスの基礎となる物理学により決定された理論的限界に近いため、その進歩速度が遅くなる。
【発明の概要】
【0002】
本開示の幾つかの実施例によれば、それぞれ少なくとも1つのIII-V族化合物材料を有する複数の層と、複数の層のうちの少なくとも一つに結合されるゲート電極と、ゲート電極の第1の側に設けられるソース電極と、ゲート電極の第2の側に設けられるドレイン電極と、ゲート電極とドレイン電極との間に設けられるフィールドプレートと、ゲート電極とソース電極とドレイン電極との間に設けられる複数の導線と、を有するトランジスタと、第1の金属パターン及び第2の金属パターンを有し、且つゲート電極、ソース電極及びドレイン電極のうちの少なくとも1つ、又は複数の導線のうちの少なくとも1つをシミュレートするための複数の試験構造と、を有する半導体装置である。
【0003】
本開示の幾つかの実施例によれば、少なくとも1つのIII-V族化合物材料を有する複数の第1のトランジスタを含む第1の半導体結晶粒と、少なくとも1つのIII-V族化合物材料を有する複数の第2のトランジスタを有する第2の半導体結晶粒と、第1の半導体結晶粒と第2の半導体結晶粒の傍らに設けられる試験構造と、を含み、試験構造は、第1の半導体結晶粒及び第2の半導体結晶粒の1つ又は複数の特徴をシミュレートするように配置されて、第1の半導体結晶粒及び第2の半導体結晶粒に欠陥が発生したか否かを確認する半導体装置である。
【0004】
本開示の幾つかの実施例によれば、少なくとも1つのIII-V族化合物材料を有する複数の層を含むトランジスタを形成工程と、第1の金属パターン及び第2の金属パターンを含み、トランジスタの1つ又は複数の特徴をシミュレートするように配置される試験構造を形成する工程と、試験構造に関連する電流-電圧曲線に異常挙動が存在するか否かを検出する工程と、異常挙動を検出した場合、トランジスタに欠陥があることを確認する工程と、を含む半導体装置の試験方法である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
以下の実施形態を読むときに、添付図面を組み合わせて、本開示の観点を明確に理解するようにする。注意すべきなのは、業界の標準仕様では、様々な特性が比率で描画されない。実際には、明確に議論できるために、様々な特性のサイズは、任意に増減されることができる。
【
図1】各実施例による窒化ガリウム系集積回路を示すブロック図である。
【
図2】各実施例による
図1に示す窒化ガリウム系集積回路の窒化ガリウム系装置と複数の試験構造を示す例示的なレイアウトである。
【
図3】各実施例による窒化ガリウム系装置を示す横断面図である。
【
図4】各実施例による試験構造がそれぞれ窒化ガリウム系装置をシミュレートすることを示す幾つかの配置である。
【
図5】各実施例による試験構造がそれぞれ窒化ガリウム系装置をシミュレートすることを示す幾つかの配置である。
【
図6】各実施例による試験構造がそれぞれ窒化ガリウム系装置をシミュレートすることを示す幾つかの配置である。
【
図7】各実施例による試験構造がそれぞれ窒化ガリウム系装置をシミュレートすることを示す幾つかの配置である。
【
図8】各実施例による試験構造がそれぞれ窒化ガリウム系装置をシミュレートすることを示す幾つかの配置である。
【
図9】各実施例による試験構造がそれぞれ窒化ガリウム系装置をシミュレートすることを示す幾つかの配置である。
【
図10】各実施例による窒化ガリウム系装置の欠陥を識別するための試験装置を示すブロック図である。
【
図11】各実施例による高電圧チャージポンプを示す回路図である。
【
図12】各実施例による
図11のチャージポンプに動作可能に結合された高電圧クロック発生器(high-voltage clock generator)を示す回路図である。
【
図13】各実施例による
図11のチャージポンプによるダイオード接続トランジスタ(diode-connected transistor)を示す横断面図である。
【
図14】各実施例による窒化ガリウム系装置の欠陥を識別するための方法を示す例示的なフローチャートである。
【
図15】各実施例による窒化ガリウム系装置及びその1つ又は複数の対応する試験装置を製造する方法を示す例示的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の開示内容は、本開示の異なる特性を実施するための多くの異なる実施例又は実例を提供する。以下、本開示を簡略化するために、部材及び配置の特定の例について説明する。勿論、これらは例に過ぎず、制限的なものではない。例えば、以下の説明では、第1の特性は第2の特性の上方又は上に形成されることは、第1の特性が第2の特性と直接接触するように形成される実施例を含むことができ、また、第1の特性が第2の特性に直接接触しないように追加の特性が第1の特性と第2の特性との間に形成されてもよい実施例を含むこともできる。なお、本開示は、様々な例では、符号及び/又は文字を繰り返して参照することができる。この重複は単純化及び明確化を目的とし、且つそれ自体では議論された様々な実施例及び/又は構成の間の関係を示すものではない。
【0007】
なお、説明の便宜上、本明細書では、「~の下方にある」、「~の下にある」、「下部」、「~の上方にある」、「上部」などの空間相対用語を使用して、図中に示す1つの部材又は特性と1つまたはより多くの他の部材又は特性との関係を説明することができる。空間相対用語は、図に示されている方向以外、装置が使用又は操作する際に異なる方向をカバーすることができる。装置は、別の方向(90度回転又は他の方向)を取ることができ、且つ本文に使用される空間相対記述子も同様にそれに応じて解釈されることができる。
【0008】
III族-V族(又はIII-V族)半導体化合物材料はシリコンに比べて優れた材料特性を有するため、一般的にIII-V族半導体化合物材料がシリコンの代替材料の1つであると考えられる。例えば、窒化ガリウム(GaN層)系材料は様々な電子及び/又は光電応用において広く研究されている。窒化ガリウム系材料は、一般的に窒化ガリウム(GaN)及びその合金を指し、例えば、窒化アルミニウムガリウム(aluminum gallium nitride;AlGaN)、窒化インジウムガリウム(indium gallium nitride;InGaN)及び窒化アルミニウムインジウムガリウム(aluminum indium gallium nitride;AlInGaN)である。特に、窒化ガリウム系材料は、ワイドバンドギャップ半導体であり、他の半導体(例えばシリコン又はガリウム砒素)に比べて、窒化ガリウム系材料はより高い温度で電気的性能を保持することができる。シリコンに比べて、窒化ガリウム系材料は、より高いキャリア飽和速度を更に有する。また、窒化ガリウム系材料は、ウルツ鉱型結晶構造(wurtzite crystal structure)を有し、それは硬質材料であり、高い熱伝導性を有し、且つ他の従来の半導体(例えばシリコン、ゲルマニウム及びガリウム砒素)よりはるかに高い融点を有する。したがって、窒化ガリウム系材料は高電圧及び高電力の応用に用いることができる。
【0009】
窒化ガリウム系光電及び電子装置は巨大な商業的重要性を有するが、これらの装置の品質及び信頼性は一般的にその中に形成された1つ又は複数の半導体層における高い欠陥レベル(detect level)の影響を受ける。これらの欠陥は、例えば、(1)窒化ガリウム系半導体層と非窒化ガリウム基板(substrates)の格子不整合(mismatch)、非窒化ガリウム基板例えばシリコン、サファイア又は炭化シリコン、(2)エピタキシャル過成長層(epitaxially-overgrown layers)の融合前縁(coalescence front)、(3)熱膨張不整合、(4)不純物、及び(5)傾斜境界に由来する。エピタキシャル成長層に発生する欠陥はそれに悪影響を与える。これらの影響は、電子・光学装置の性能を犠牲にすることを含む。
【0010】
幾つかの技術を提供して窒化ガリウム系装置(例えば、窒化ガリウム系高電圧装置)における幾つかの欠陥を識別するが、これらの技術は依然として相当数の欠陥を効果的に識別することができない。例えば、窒化ガリウム系高電圧装置は、一般的に横方向装置として形成され、そのドリフト領域(drift region)を増大させる(それに応じてその降伏電圧を向上させる)。したがって、シリコン系高電圧装置に比べて、窒化ガリウム系高電圧装置の様々な部材のサイズ(例えば装置特徴の間の間隔/ピッチ)は一般的に大きく形成される。すなわち、欠陥が十分に小さく且つこれらのピッチが相対的に広い装置特徴の間に存在する場合、いかなる従来の技術を使用しても欠陥を検出することができない。したがって、従来の窒化ガリウム系高電圧装置又はこのような装置における欠陥を検出する技術は多くの方面で完全に満足できるものではない。
【0011】
本開示は、窒化ガリウム系集積回路の各実施例を提供し、該窒化ガリウム系集積回路は、窒化ガリウム系装置及び1つ又は複数の試験構造を有する。この試験構造は窒化ガリウム系装置を個別にシミュレートすることができ、それにより窒化ガリウム系装置の欠陥を効果的で正確に検出することができる。本開示の一態様によれば、幾つかの試験構造は、それぞれ千鳥配置された(alternately arranged)構造に形成することができる。例えば、試験構造は、第1のパターン及び第2のパターンを有することができ、その各部分は横方向に互いに隣接して設けられる。(例えば、検出対象の窒化ガリウム系の間隔に比べて、明らかに小さい間隔を有する)。本開示の別の態様によれば、幾つかの試験構造は、個別に金属-絶縁体-金属導体(metal-insulator-metal、MIM)構造に形成することができる。例えば、試験構造は、第1のパターン及び第2のパターンを有することができ、その各部分は垂直に互いに重なる。任意の千鳥配置された構造又はMIM構造において、第1のパターンと第2のパターンはシミュレートされた装置特徴と同時に製造することにより、窒化ガリウム系装置の類似又は異なる装置特徴をシミュレートすることができる。このように、窒化ガリウム系装置の装置特徴が製造過程において欠陥が発生した場合、このような欠陥も同時に形成された試験構造に存在する可能性が高い。従来技術(例えば、窒化ガリウム系装置の様々な電気的特性関係(electrical characteristics)を測定する)は欠陥を効果的に検出することができない可能性があり、欠陥(より小さいサイズで)は、ピッチが相対的に広い装置特徴の間のピッチに存在する可能性があるからである。対照的に、開示された試験構造のパターンは、柔軟に配置されたサイズ及び外形(profile)を有し、これらの欠陥を迅速に検出することができる。また、試験構造のパターンは任意の装置特徴と同時に形成することができるため、試験構造により欠陥の位置及び/又はタイプを正確に確認することができる。
【0012】
図1は、種々の各実施例による窒化ガリウム系集積回路100を示すブロック図である。理解すべきなのは、
図1のブロック図は説明の目的のために簡略化される。したがって、窒化ガリウム系集積回路100は任意の様々な他の素子(例えば、機能)ブロックを有することができ、何れも本開示の範囲内にある。
【0013】
後述するように、窒化ガリウム系集積回路100は、窒化ガリウム系材料から形成された複数の(例えば電子)部材を有し、例えば、窒化ガリウム(GaN)及びその合金、例えば窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)及び窒化アルミニウムインジウムガリウム(AlInGaN)である。これらの構成要素としては、例えば、トランジスタ、抵抗器、コンデンサ、ダイオードなどを含むが、これらに制限されない。このような窒化ガリウム系材料は、窒化ガリウム系集積回路100の基板として用いられる非窒化ガリウム系材料、例えばシリコン、サファイア及び/又は炭化ケイ素にエピタキシャル成長することができる。窒化ガリウム系集積回路100はシステムシングルチップ(system-on-a-chip,SoC)アーキテクチャ又は複数のSoC(multi-SoC)アーキテクチャとして実現することができる。したがって、窒化ガリウム系集積回路100は単一の基板又は複数の基板に形成することができる。
【0014】
図に示すように、窒化ガリウム系集積回路100は少なくとも1つの窒化ガリウム系装置(又は回路)102及び少なくとも1つの試験構造104を有する。窒化ガリウム系装置102と試験構造104は、環状構造(例えば、隔離構造として実現される)106で囲まれてもよい。幾つかの実施例において、窒化ガリウム系装置102は窒化ガリウム系高電圧装置を有することができ、それは以上に列挙された窒化ガリウム系材料から形成された複数の能動部材(active components)を有する(以下の
図3に更に検討する)。例えば、窒化ガリウム系装置102は40ボルトを超える電圧範囲(例えば、約600ボルトの電圧)で動作を維持することができるが、窒化ガリウム系装置102は任意の様々な他の電圧範囲で動作することができ、何れも本開示の範囲内にある。試験構造104は第1の導電(例えば金属)パターン及び第2の導電(例えば金属)パターンを有することができ、それぞれ1つ又は複数の窒化ガリウム系装置102(例えば金属)部材をシミュレートする(以下の
図4~
図9において更に検討する)。
【0015】
図1の例示的なブロック図において、窒化ガリウム系装置102と試験構造104は互いに隣接して設けられ、例えば、窒化ガリウム系装置102と試験構造104はそれぞれ同じ半導体結晶粒に形成される。しかしながら、理解すべきなのは、窒化ガリウム系装置102と試験構造104の実際の状況(realestate)を異なるように配置することができ、何れも本開示の範囲内にあることである。例えば、試験構造104は同じ半導体結晶粒(例えば、個片(singulated)又は切断(cut)結晶粒)に存在しない可能性がある。窒化ガリウム系装置102はウェハ(wafer)の上方の特定の結晶粒に形成されるが、対応する試験構造104はウェハの上方の一本又は複数本の切断線(scribe line)に沿って形成することができる。切断線(切り欠き又はフレームと呼ばれることがある)はウェハ中の1つの領域であり、ウェハプロセスが終了する時に単一の結晶粒を分割する又は他の方式で分離するために用いられる。したがって、試験構造104は示される窒化ガリウム系装置102(第1の結晶粒に形成される)の導電部材をシミュレートすることに加えて、試験構造104も別の窒化ガリウム系装置(第2の結晶粒に形成される)の導電部材をシミュレートするように配置することができる。このような実施例において、試験構造104は個片の結晶粒に存在しなくてもよい。また、
図1において各窒化ガリウム系装置に対応する1つの試験構造104のみを示したが、理解すべきなのは、窒化ガリウム系集積回路100は1つの窒化ガリウム系装置に対応して任意の数の試験構造を有してその欠陥を検出することができ、同時に依然として本開示の範囲内にある。
【0016】
幾つかの実施例において、試験構造104の第1及び第2の導電パターンは窒化ガリウム系装置102の導電性部材と同時に形成することができる。更に、第1及び第2の導電パターンは窒化ガリウム系材料の上又は内部に形成されてもよく、窒化ガリウム系装置102における窒化ガリウム系材料の能動部材と同時に形成されてもよい。試験構造104の電気的特性(例えば、第1のパターンと第2のパターンとの間に断線又は短絡があるかどうか)を検査することにより、試験構造104は第1のパターンと第2のパターンとの間に欠陥が存在するか否かを確認することができ、これにより、窒化ガリウム系装置102の対応する導電性部材又はその間に欠陥も存在する可能性があるか否かを効果的で正確に確認することに役立つ。より更に、試験構造104の第1及び第2の導電パターンの間隔は窒化ガリウム系装置102における導電部材の間隔より明らかに小さいように形成することができる。したがって、試験構造104はその試験構造104に形成された欠陥(窒化ガリウム系装置102に存在する可能性もある)を検出する感度を向上させることができる。
【0017】
幾つかの実施例において、試験構造104の第1の導電パターンと第2の導電パターンは千鳥配置された構造又は金属-絶縁体-金属導体(MIM)構造に形成することができる。千鳥配置された構造に形成される場合、第1の導電パターンと第2の導電パターンはそれぞれ基部と基部から外部に延在する複数の突出部を有することができる。第1の導電パターンと第2の導電パターンのそれぞれの突出部は、千鳥配置されている。換言すれば、第1の導電パターンの各突出部は第2の導電パターンの隣接する突出部の間に横方向に設けられ、且つ配置可能(configurable)なピッチを有する。このピッチは0.25ミクロン(μm)及び約6μmの範囲内にあってもよく、他の範囲を使用してもよい。一般的には、誘発可能な欠陥のサイズに応じてピッチを配置することができる。MIM構造に形成される場合、第1の導電パターンと第2の導電パターンはそれぞれ第1の部分と第2の部分を有し、互いに少なくとも一部が垂直に重なる。
【0018】
幾つかの実施例において、以下の表に示すように、試験構造104の第1の導電パターンと第2の導電パターンは窒化ガリウム系装置102の導電部材の少なくとも7種の組み合わせをシミュレートすることができる。簡単に言えば、導電部材はゲート電極(gate electrode;G)、フィールドプレート(field plate,FP)、オーミックコンタクト(ohmic contact;Ohmic)、pドープ窒化ガリウム領域(p-GaN)及びメタライズ層(metallization layer;M1)の導線を有することができる。更に、試験構造104の第1の導電パターンと第2の導電パターンは千鳥配置された構造又はMIM構造に形成することができる。千鳥配置された構造に形成される場合、第1の導電パターンと第2の導電パターンの各部分との間のピッチは約0.25ミクロンから約6ミクロンに配置されてもよく、試験構造104の占める面積と窒化ガリウム系装置102の面積との比率は約1%~約10%に配置されてもよく、MIM構造に形成される場合、試験構造104の占める面積と窒化ガリウム系装置102の面積との比率は約1%~約10%に配置されてもよい。以下、これらのシミュレートされた導電部材の組み合わせの詳細について、
図3に示す例示的な窒化ガリウム系装置に基づいて説明する。
【表1】
【0019】
図2には、複数の試験構造104A、104B、104C、104D、104E、104F、104G、104H、104I、104N、104K、104L、104M、104N、104O、104Pが窒化ガリウム系装置102の傍らに設けられている例示的なレイアウトである。図に示すように、試験構造104A~104Pは窒化ガリウム系装置102を囲むリングとして配置されてもよい。窒化ガリウム系装置102の装置周囲に16個の試験構造が形成されるが、理解すべきなのは、窒化ガリウム系装置102の装置周囲に任意の数の試験構造が形成されることができる。また、窒化ガリウム系装置102の装置周囲に形成された試験構造は、任意の様々な他の配置に配置することができ、何れも本開示の範囲内にある。様々な実施例によれば、各試験構造104A~104Pは第1の導電パターン及び第2の導電パターンを有することができ、第1の導電パターン及び第2の導電パターンはそれぞれ上記表に列挙された窒化ガリウム系装置102の導電部材をシミュレートする。例えば幾つかの試験構造104A~104P(例えば、104Aと104B)は窒化ガリウム系装置102の類似の導電性部材(例えば、G/FP)をシミュレートすることができるが、それぞれ異なるピッチを有する。
【0020】
図3は、各実施例による窒化ガリウム系集積回路100として実現可能な窒化ガリウム系装置102の例である窒化ガリウム系装置300を示す図である。窒化ガリウム系装置300は、能動素子(active element)(例えば、トランジスタの能動チャンネル)として用いることができる少なくとも1つの窒化ガリウム系材料(例えば、窒化ガリウム、窒化アルミニウムガリウム、窒化インジウムガリウム、窒化アルミニウムインジウムガリウム等)を有する。また、窒化ガリウム系装置300は非窒化ガリウム基板(例えば、シリコン)に形成することができる。このように、窒化ガリウム系装置300は非窒化ガリウム基板にエピタキシャル成長された1つ又は複数種の窒化ガリウム系の材料を有し、それは窒化ガリウム系の材料層又は他の窒化ガリウムの層の界面に幾つかの上記欠陥が存在する可能性がある。
【0021】
幾つかの実施例において、窒化ガリウム系装置300は高電圧レベル(high voltage level)で動作可能なパワートランジスタとして実現することができる。例えば、窒化ガリウム系装置300は高電子移動度トランジスタ(high electron mobility transistor;HEMT)であってもよく、高電流密度、高降伏電圧(HEMTは損傷を与えたり、及び/又は不規則な電流挙動(irregular current metal haviors)を示したりすることなく、高ゲート及び/又はドレイン電圧に耐えることができる能力)、及び低オン抵抗を有し、窒化ガリウム系装置300は約40ボルト~約650ボルトの電圧範囲内で操作を維持することができる。したがって、「パワー(power)HEMT300」と呼ばれることがある。以下に議論される二次元電子ガス(two-dimensional electron gas;2DEG)は一般的にこのようなHEMTにおける電荷キャリアとして使用される。
【0022】
図3の横断面図に示すように、パワーHEMT300は、基板310と、基板310に形成される第1のIII-V化合物(例えば、1種または複数種の窒化ガリウム系材料を有する)層312と、第1のIII-V化合物層312に形成される第2のIII-V化合物(例えば、1種または複数種の窒化ガリウム系材料を有する)層314と、を有する。
【0023】
理解すべきなのは、
図3のパワーHEMT300は説明的な例であるため、パワーHEMT300は任意の様々な他の層を含むことができ、何れも本開示の範囲内にある。例えば、パワーHEMT300は更に基板310と第1のIII-V化合物層312との間のバッファ層及び遷移層を有することができる。バッファ層は高抵抗率層を定義してパワーHEMT300の降伏電圧(例えば、約650ボルトに達する)を向上させることができる。幾つかの実施例において、バッファ層は1種又は複数種の窒化ガリウム系材料(例えば、窒化ガリウム、窒化アルミニウムガリウム、窒化インジウムガリウム、窒化アルミニウムインジウムガリウムなど)を有する。遷移層は基板310と上部被覆層(例えば第1のIII-V化合物層312)との間の格子構造及び熱膨張係数が徐々に変化することを促進することができる。幾つかの実施例において、遷移層は徐変する(graded)アルミニウム-窒化ガリウム(AlXGa(1-X)Nを有し、xはアルミニウム-ガリウム成分中のアルミニウム含有量比であり、0<x<1)層を有する。幾つかの実施例において、徐変する窒化アルミニウムガリウム層は基板310に隣接する下層から第1のIII-V化合物層312に隣接する上層までの複数の層を有し、且つそれぞれ減少する比率xを有する。
【0024】
基板310は、半導体基板である。幾つかの実施例において、半導体基板310は、例えば、シリコン、炭化珪素、ヒ素化インジウム、リン化インジウムなどの化合物半導体、又は炭化珪素ゲルマニウム、リン化ガリウム砒素又はリン化ガリウムインジウムなどの合金半導体などの材料で製造される。基板310は、半導体基板に様々なドーピング領域、誘電体特性、または多層内接続(multilevel interconnects)を有してもよい。
【0025】
第1のIII-V化合物層312及び第2のIII-V化合物層314は、周期律表におけるIII-V族からなる化合物である。しかしながら、第1のIII-V化合物層312と第2のIII-V化合物層314は組成が互いに異なる。幾つかの実施例において、第1のIII-V化合物層312は、窒化ガリウム(GaN)層(GaN層312ともいう)を有する。GaN層312は様々なプロセスによりエピタキシャル成長することができ、有機金属化学気相成長(metal organic chemical vapor deposition;MOCVD)を含むが、これらに制限されず、金属有機物気相エピタキシャル(metal organic vapor phase epitaxy,MOVPE)とも呼ばれ、適切な窒素含有及びガリウム含有前駆体を使用する。例えば、ガリウム含有前駆体の例として、トリメチルガリウム(trimethlgallium;TMG)、トリエチルガリウム(triethylgallium gallium;TEG)又は他の適切な化学前駆体である。窒素前駆体の例としては、フェニルヒドラジン、ジメチルヒドラジン、t-ブチルアミン、アンモニア等の適当な化学前駆体が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0026】
幾つかの実施例において、第2のIII-V化合物層314は窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層(AlGaN層314とも呼ばれる)を有する。AlGaN層314は適切なアルミニウム、窒素及びガリウムの前駆体を使用することができ、MOCVDによりエピタキシャル成長する。アルミニウム前駆体は、トリメチルアルミニウム(trimethylaluminum gallium;TMA)、トリエチルアルミニウム(triethylaluminum gallium;TEA)、又は適当な化学前駆体を有する。ガリウム含有前駆体の例としては、トリメチルガリウム(TMG)、トリエチルガリウム(TEG)等の適当な化学前駆体が挙げられる。窒素前駆体の例としては、フェニルヒドラジン、ジメチルヒドラジン、t-ブチルアミン、アンモニア等の適当な化学前駆体が挙げられる。AlGaN層314は、障壁層と称されてもよい。なお、基板310とGaN層312との間に存在する遷移層については、図示を省略している。
【0027】
半導体基板310上に形成される材料によって、異なる層のバンドギャップ(bandgaps)が異なる。GaN層312とAlGaN層314との間のバンドギャップの不連続性及びピエゾ効果により、GaN層312中に非常に薄い高移動度誘電体電子層316が形成される。薄層316は二層の接合された導電性二次元電子ガス(two dimensional electron gas;2DEG)領域に近づくのに役立つ。薄層316(2DEG領域316とも呼ばれる)は、電荷(charge)が装置を流れることを可能にする。このバリア層、例えばAlGaN層314は、ドーピングされても、ドーピングされなくてもよい。2DEG領域はゲートバイアスがゼロのゲートの下方に存在するため、大部分の窒化物装置は一般的にオンモード装置又は空乏モード(depletion mode)装置である。
【0028】
また、パワーHEMT300は、AlGaN層314の上方にドープGaN領域320を有する。幾つかの実施例において、フォトレジスト層のようなマスク層(mask layer)はブランケットドープ(blanKet doped)のGaN領域に形成される。被覆型ドープGaN層はドープIII-V族化合物層であってもよく、例えばp型ドープGaN層(ドープGaN層とも呼ばれる)である。適当なアルミニウム、窒素及びガリウム前駆体を用いてMOCVDによりドープGaN層をエピタキシャル成長させることができる。アルミニウム前駆体としては、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリエチルアルミニウム(TEA)、又は適当な化学前駆体を含む。ガリウム含有前駆体としては、トリメチルガリウム(TMG)、トリエチルガリウム(TEG)等の適当な化学前駆体が挙げられる。窒素前駆体の例としては、フェニルヒドラジン、ジメチルヒドラジン、t-ブチルアミン、アンモニア等の適当な化学前駆体が挙げられる。次に、マイクロイメージプロセスによりマスク層をパターニングしてドープGaN層に複数の特徴及び特徴により定義された複数の開口を形成する。マスク層のパターンは、所定の集積回路パターンに従って形成される。マイクロイメージプロセスは、フォトレジストの塗布、露光(exposing)、露光後のベーク、及び現像を含んでもよい。次に、エッチングプロセスを実行してドープGaN領域320を定義する。
【0029】
ドープGaN領域320を形成した後、ドープGaN領域320及びAlGaN層314の上方に誘電体層322を形成する。誘電体層322は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、炭化シリコン、低誘電率誘電体材料またはこれらの組み合わせからなる。堆積プロセスにより誘電体層322を形成することができ、例えば原子層堆積(atomic layer deposition;ALD)プロセス、化学気相成長(chemical vapor deposition;CVD)プロセス又は物理気相成長(physical vapor deposition;PVD)プロセスである。誘電体層322の厚さは、約300オングストロームから約3000オングストロームの範囲内である。
【0030】
次に、誘電体層322をパターニングすることにより、誘電体層322に複数のオーミックコンタクト領域を定義する。例えば、オーミックコンタクト領域はAlGaN層314の第1の部分と第2の部分を露光してそれぞれソース電極330とドレイン電極332を形成することができる。幾つかの実施例において、誘電体層を選択的にエッチングして洗浄することによりオーミックコンタクト領域を定義する。エッチングプロセスの例としては、スパッタエッチング、反応性ガスエッチング、化学エッチング、イオンミリング(ion milling)等を含む。
【0031】
オーミックコンタクト領域を定義した後に(パターニングされた)誘電体層322上にオーミック金属層を形成してオーミックコンタクト領域を充填する。オーミック金属層は、誘電体層322上に析出している。堆積プロセスとしては、スパッタ堆積、蒸発、化学気相成長(CVD)等が挙げられる。オーミック金属の例としては、Ta、TaN、Pd、W、WSi2、Ti、Al、TiN、AlC、AlSiCu、Cu等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。オーミック金属層の厚さは、2000~5000オングストロームの範囲である。次にオーミック金属層の堆積後アニール(post deposition annealing)を行うことにより、オーミック金属と隣接するAlGaN層314との間に任意の所望の反応を引き起こす。幾つかの実施例において、オーミック金属層は約800℃から約900℃のアニール温度範囲内で、急速熱アニール(rapid thermal annealing;RTA)により形成される。
【0032】
次に、一部のオーミック金属層を除去してソース電極330及びドレイン電極332を形成する。除去プロセスは、一又は複数のエッチングプロセスを実行することを含む。ソース電極330及びドレイン電極332は、それぞれAlGaN層314にオーミックコンタクトにより接続されている。幾つかの実施例において、ソース電極330及びドレイン電極332はAlGaN層314に直接接続される。したがって、ソース電極330とドレイン電極332はそれぞれ「オーミックコンタクト330」と「オーミックコンタクト332」と呼ばれる場合がある。
【0033】
次に、誘電体層322に第1のフィールドプレート340を形成する。第1フィールドプレート340を形成するプロセスは、誘電体層322上にフィールドプレート金属層を形成すること及びフィールドプレート金属層をパターニングすることを含む。堆積プロセスによりフィールドプレート金属層を形成することができ、例えばALDプロセス、CVDプロセス又はPVDプロセスである。パターニングプロセスは、一つ又は複数のエッチングプロセスを実行することを含む。フィールドプレート340は、TiN、Ti、Al、AlCu、Cu等の適当な金属により形成されてよい。フィールドプレート340の厚さは、約100オングストロームから約1200オングストロームの範囲内である。フィールドプレート340はドープGaN領域320に隣接して設けられ、且つフィールドプレート340はオーミックコンタクト332に向かって延伸する。フィールドプレート340は、ドープGaN領域320を覆っていない。フィールドプレート340はオーミックコンタクトのうちの1つ、例えばオーミックコンタクト330に電気的に接続することができる。
【0034】
次に、誘電体層322の上方に別の誘電体層350を形成する。また、誘電体層350は、フィールドプレート340とオーミックコンタクト330~332とを覆う。誘電体層350は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、炭化シリコン、低誘電率誘電体材料、またはこれらの組み合わせからなる。堆積プロセスにより誘電体層350を形成することができ、例えばALDプロセス、CVDプロセス又はPVDプロセスである。誘電体層350の厚さは、約500オングストロームから約5000オングストロームの範囲内である。
【0035】
誘電体層350を形成した後、誘電体層322及び350を貫通する開口を形成することにより、少なくとも一部のドープGaN領域320を露光させる。開口を形成するプロセスはマスク層を形成することを含み、例えば誘電体層350に形成されたフォトレジスト層、及びマイクロイメージプロセスによりマスク層をパターニングすることにより、誘電体層350に複数の特徴及び特徴により定義された少なくとも1つの開口を形成する。マスク層のパターンは所定の集積回路パターンに基づいて形成され、マスク層の開口位置は開口の位置と基本的に同じである。マイクロイメージプロセスは、フォトレジストの塗布、露光、露光後のベーク、及び現像を含むことができる。次に、エッチングプロセスを行ってドープGaN領域320を露光する開口を形成する。
【0036】
開口を形成してドープGaN領域320を露光させた後、開口内にゲート電極(例えば、ゲート金属積層(gate metal stack)として形成される)334を形成してドープGaN領域320に接続する。ゲート電極334はドープGaN領域320に形成され且つソース電極とドレイン電極(例えば、オーミックコンタクト330~332)との間に横方向に挿入される。幾つかの実施例において、ゲート電極334は導電性材料層を含み、例えばゲート電極として用いられる金属層であり、バイアス電圧(voltage bias)とチャンネル(channel)との電気的結合に用いられるように配置される。ゲート電極334の金属層は、Ti、Mo、Pt、Cr、W、Ni、Al、AlCu、AlSiCu、Cuまたはその他の適当な材料を含む。幾つかの他の実施例において、ゲート電極334は異なる組成を有する可能性がある。例えば、ゲート電極334は金属層とドープGaN領域320との間に挿入された1つ又は複数の接合分離特性(junction isolation features)を含む。接合分離特徴はn型ドープ半導体層及び窒化アルミニウム(aluminum nitride;AlN)層を有し、ダイオードとして配置されることができる。
【0037】
次に、ワークの上方に別の誘電体層360を形成し、例えば、誘電体層350とゲート電極334を覆う。誘電体層360は、エッチングストップ層として配置されることができる。誘電体層360は、酸化物、SiNなどの適当な材料で製造することができる。適切な気相成長プロセス(例えば、CVD)又は他の方法を用いて誘電体層360を堆積することができる。窒化シリコン(SiN)の例として、アモルファスSiN、四窒化三シリコン、モノ窒化二シリコン及びモノ窒化シリコンが挙げられる。幾つかの実施例において、誘電体層360は約100オングストロームから約1000オングストロームの範囲内の厚さに堆積される。
【0038】
幾つかの実施例において、第2のフィールドプレートは誘電体層360に形成される。第2フィールドプレート370を形成するプロセスは、誘電体層362上にフィールドプレート金属層を形成することとフィールドプレート金属層をパターニングすることを含む。堆積プロセスによりフィールドプレート金属層を形成することができ、例えばALDプロセス、CVDプロセス又はPVDプロセスである。パターニングプロセスは、一つ又は複数のエッチングプロセスを実行することを含む。フィールドプレート370は、TiN、Ti、Al、AlCu、Cu等の適当な金属により形成されてよい。フィールドプレート370の厚さは、約100オングストロームから約1200オングストロームの範囲内である。フィールドプレート370はゲート電極334の一部の上方に設けられ、且つフィールドプレート370はオーミックコンタクト332に向かって延伸する。フィールドプレート370はオーミックコンタクトのうちの1つ、例えばオーミックコンタクト330に電気的に接続することができる。
【0039】
フィールドプレート340/370を導入することにより電流崩壊効果を調整することができ、且つゲート電極334とドレイン電極332との間の電界を再分配することができる。ゲート電極334とドレイン電極332との間にフィールドプレート340/370を形成することにより、電界強度の最大領域がドレイン電極332に消耗し、ゲート電極334とドレイン電極332との間の電界ピークを低減し、これにより、窒化ガリウム系装置300の降伏電圧を大幅に向上(増加)させる。
【0040】
パワーHEMT300は、前記装置部材の上方に設けられた複数のメタライズ層を更に含んでもよい。例えば
図3において、パワーHEMT300はワークに堆積された層間誘電体(inter-layer dielectric;ILD)層380を含む。ILD層380は、ソース電極330、ドレイン電極332、ゲート電極334、フィールドプレート340、370を覆うことができる。ILD層380は、誘電体材料からなる。幾つかの実施例において、ILD層380は低誘電率材料で製造され、例えば酸化物、フッ化石英ガラス(fluorinated silica glass;FSG)、SiLK
TM、SiN又は他の適切な誘電材料である。幾つかの実施例において、アニールプロセスを実行してILD層380の電気絶縁特性を改善することができる。また、ILD層380、例えば炭素ドープ酸化物又はホウ素/リンドープ酸化物をドープすることにより、その工程カバレッジ及びアニール特性を改善することができる。ILD層380の表面は平坦化されている。ILD層380を平坦化するプロセスには、化学的機械平坦化(chemical mechanical polishing/planarization;CMP)プロセスを実行することがある。
【0041】
ILD層380には、パワーHEMT300は更に複数のメタライズ層(例えば、M1)を含むことができ、各メタライズ層は複数の導線、例えば、導線382を含み、金属間誘電体(inter-metal dielectric、IMD)層384に埋め込まれる。導線382は、Ti、Mo、Pt、Cr、W、Ni、Al、AlCu、AlSiCu、Cu等の適当な材料からなる。IMD層384は、ILD層380と同様の材料から形成することができる。IMD層384はコンデンサの特徴を分離して支持するために用いられ、例えば平行誘電金属線である。
【0042】
再び上記表を参照し、開示された試験構造(
図1及び
図2の104)の第1及び第2の導電パターンは対応するGaN系装置(
図1及び
図2の102)の1つ又は複数の導電性部材をシミュレートすることができる。以下、シミュレーションのGaN系装置の代表的な例としてパワーHEMT300を用いて、表中でシミュレートした導電部材の各組み合わせについて説明する。理解すべきなのは、パワーHEMT300は説明的な例として提供されるため、開示された試験構造でシミュレートしたGaN系装置の導電性部材を他の方式で配置することができ、何れも本開示の範囲内にある。
【0043】
例えば、第1の導電パターンと第2の導電パターンはそれぞれゲート電極(G)334と第1のフィールドプレート(FP)340と同時に形成することができ、それによりゲート電極334と第1のフィールドプレート340との間のある箇所に欠陥が存在する可能性があるか否かを誘発する。例えば、欠陥はゲート電極334と第1のフィールドプレート340との間に横方向に挿入された誘電体層322、AlGaN層314又はGaN層312の何れかの一部の内部、上に存在できるか、何れかの一部に電気的に結合することができる。このような第1の導電パターンと第2の導電パターンとは、千鳥配置された構造とすることができる。すなわち、第1の導電パターンはゲート電極334と同時に形成され、第2の導電パターンは第1のフィールドプレート340と同時に形成され、第1の導電パターンは複数の突出部を有することができ、且つ第2の導電パターンの複数の突出部と千鳥配置される。異なる突出部間の横方向のピッチは、約0.25μm~約6μmの範囲内に配置されてよい。このように、欠陥が第1の導電パターンと第2の導電パターンとの間に存在し、そのサイズが0.25ミクロン以上であれば、欠陥を検出することができる。また、シミュレートされた窒化ガリウム系装置102が占める領域に比べて、第1及び第2の導電パターン(すなわち、試験構造104)が占める領域は相対的に小さくてもよく、例えば、幾つかの実施例において、比率は約1%~約10%である。
【0044】
別の例において、第1の導電パターンと第2の導電パターンはそれぞれ第1のフィールドプレート(FP)340と第2のフィールドプレート(FP)370と同時に形成することができ、それにより第1のフィールドプレート340と第2のフィールドプレート370との間のある箇所に欠陥が存在する可能性があるか否かを誘発する。例えば、欠陥は第1のフィールドプレート340と第2のフィールドプレート370との間の誘電体層350/360の一部の内部、上に存在できるか、一部に結合することができる。このような第1の導電パターンと第2の導電パターンとは、千鳥配置された構造とすることができる。すなわち、第1の導電パターンは第1のフィールドプレート340と同時に形成され、第2の導電パターンは第2のフィールドプレート370と同時に形成され、第1の導電パターンは複数の突出部を有することができ、且つ第2の導電パターンの複数の突出部と千鳥配置される。異なる突出部間の横方向のピッチは、約0.25μmから約6μmの範囲内に配置されてよい。このように、欠陥が第1の導電パターンと第2の導電パターンとの間に存在し、そのサイズが0.25ミクロン以上であれば、欠陥を検出することができる。また、シミュレートされた窒化ガリウム系装置102が占める領域に比べて、第1及び第2の導電パターン(すなわち、試験構造104)が占める領域は相対的に小さくてもよく、例えば、幾つかの実施例において、比率は約1%~約10%である。
【0045】
別の例において、第1の導電パターン及び第2の導電パターンはそれぞれオーミックコンタクト(Ohmic)330/332及び第1のフィールドプレート(FP)340と同時に形成されてもよく、それによりオーミックコンタクト330又は332のうちの1つと第1のフィールドプレート340との間のある箇所に欠陥が存在する可能性があるか否かを誘発する。例えば、欠陥は第1のフィールドプレート340とオーミックコンタクト332との間の誘電体層322、AlGaN層314又はGaN層312の何れか1つの一部の内部、上に存在できるか、何れか1つの一部に結合することができる。このような第1の導電パターンと第2の導電パターンとは、千鳥配置された構造とすることができる。すなわち、第1の導電パターンはオーミックコンタクト332と同時に形成され、第2の導電パターンは第1のフィールドプレート340と同時に形成され、第1の導電パターンは複数の突出部を有することができ、且つ第2の導電パターンの複数の突出部と千鳥配置される。異なる突出部間の横方向のピッチは、約0.25μm~約6μmの範囲内に配置されてよい。このように、欠陥が第1の導電パターンと第2の導電パターンとの間に存在し、そのサイズが0.25ミクロン以上であれば、欠陥を検出することができる。また、シミュレートされた窒化ガリウム系装置102が占める領域に比べて、第1及び第2の導電パターン(すなわち、試験構造104)が占める領域は相対的に小さくてもよく、例えば、幾つかの実施例において、比率は約1%~約10%である。
【0046】
別の例において、第1の導電パターン及び第2の導電パターンはそれぞれオーミックコンタクト(Ohmic)330/332及びpドープ窒化ガリウム領域(p-GaN)320と同時に形成することができ、それによりオーミックコンタクト330又は332のうちの1つとpドープ窒化ガリウム領域320との間のある箇所に欠陥が存在する可能性があるか否かを誘発する。例えば、欠陥はpドープ窒化ガリウム領域320とオーミックコンタクト330との間の誘電体層322、AlGaN層314又はGaN層312の何れか1つの一部の内部、上に存在できるか、何れか1つの一部に結合することができる。このような第1の導電パターンと第2の導電パターンとは、千鳥配置された構造とすることができる。すなわち、第1の導電パターンはオーミックコンタクト330と同時に形成され、第2の導電パターンはpドープ窒化ガリウム領域320と同時に形成され、第1の導電パターンは複数の突出部を有することができ、且つ第2の導電パターンの複数の突出部と千鳥配置される。異なる突出部間の横方向のピッチは、約0.25μmから約6μmの範囲内に配置されてよい。このように、欠陥が第1の導電パターンと第2の導電パターンとの間に存在し、そのサイズが0.25ミクロン以上であれば、欠陥を検出することができる。また、シミュレートされた窒化ガリウム系装置102が占める領域に比べて、第1及び第2の導電パターン(すなわち、試験構造104)が占める領域は相対的に小さくてもよく、例えば、幾つかの実施例において、比率は約1%~約10%である。
【0047】
別の例において、第1の導電パターン及び第2の導電パターンはそれぞれ導線(M1)382及びフィールドプレート試験(FP)340/370と同時に形成されてもよく、それにより導線382とフィールドプレート340/370との間のある箇所に欠陥が存在する可能性があるか否かを誘発する。例えば、欠陥はILD層380の一部の内部に存在する可能性があり、この部分は導線382のうちの1つとフィールドプレート370との間に垂直に挿入される。このような第1の導電パターン及び第2の導電パターンはMIM構造とすることができる。すなわち、第1の導電パターンは導線382と同時に形成され、第2の導電パターンはフィールドプレート370と同時に形成され、互いに少なくとも一部が垂直に重なる。また、シミュレートされた窒化ガリウム系装置102が占める領域に比べて、第1及び第2の導電パターン(すなわち、試験構造104)が占める領域は相対的に小さくてもよく、例えば、幾つかの実施例において、比率は約1%~約10%である。
【0048】
別の例において、第1の導電パターン及び第2の導電パターンはそれぞれ第1のフィールドプレート(FP)340及び第2のフィールドプレート(FP)370と同時に形成されてもよく、フィールドプレート340とフィールドプレート370との間のある箇所に欠陥が存在する可能性があるか否かを誘発する。例えば、欠陥は誘電体層350/360の一部に存在する可能性があり、この部分はフィールドプレート340とフィールドプレート370との間に垂直に挿入される。このような第1の導電パターン及び第2の導電パターンはMIM構造とすることができる。すなわち、第1の導電パターンは導線382と同時に形成され、第2の導電パターンはフィールドプレート370と同時に形成され、互いに少なくとも一部が垂直に重なる。また、シミュレートされた窒化ガリウム系装置102が占める領域に比べて、第1及び第2の導電パターン(すなわち、試験構造104)が占める領域は相対的に小さくてもよく、例えば、幾つかの実施例において、比率は約1%~約10%である。
【0049】
別の例において、第1の導電パターン及び第2の導電パターンはそれぞれオーミックコンタクト330/332及びフィールドプレート(FP)370と同時に形成されてもよく、それによりオーミックコンタクト330~332とフィールドプレート(FP)370との間のある箇所に欠陥が存在する可能性があるか否かを誘発する。例えば、欠陥は誘電体層350/360の一部の内部に存在する可能性があり、この部分はフィールドプレート370とオーミックコンタクト332の間に垂直に挿入される。このような第1の導電パターン及び第2の導電パターンはMIM構造とすることができる。すなわち、第1の導電パターンはオーミックコンタクト330/332と同時に形成され、第2の導電パターンはフィールドプレート370と同時に形成され、互いに少なくとも一部が垂直に重なる。また、シミュレートされた窒化ガリウム系装置102が占める領域に比べて、第1及び第2の導電パターン(すなわち、試験構造104)が占める領域は相対的に小さくてもよく、例えば、幾つかの実施例において、比率は約1%~約10%である。
【0050】
開示された試験構造(例えば、
図1の104)の第1及び第2の導電パターンは対応する窒化ガリウム系装置の導電部材と同時に形成され、理解すべきなのは、第1及び第2の導電パターンのサイズ及び外形はより柔軟に配置することができる。これは第1の導電パターン及び第2の導電パターンが一般的に窒化ガリウム系集積回路(例えば、
図1の100)全体の能動装置の一部として配置されないためである。逆に、第1の導電パターン及び第2の導電パターンを窒化ガリウム系集積回路(例えば、
図1の102)における能動装置の導電部材をシミュレートするように配置することにより、欠陥が窒化ガリウム系装置の任意の層の内部、その上に存在するか、任意の層に結合するか否かを誘発する。
【0051】
図4、
図5、
図6、
図7、
図8及び
図9は本開示の各実施例によれば、それぞれ開示された試験構造の第1及び第2の導電パターンの様々な例示的なレイアウト400、500、600、700、800及び900を示す。
【0052】
例えば、
図4、
図5、
図6のレイアウト400~600は千鳥配置された構造に形成された第1の導電パターン及び第2の導電パターンを示す。
図7~
図9のレイアウト700~900はMIM構造に形成された第1の導電パターン及び第2の導電パターンを示す。
【0053】
図4のレイアウト400において、第1の導電パターンは基部410と基部410から外部に延伸する複数の突出部412を含み、且つ第2の導電パターンは基部420と基部420から外部に延伸する複数の突出部422を含む。突出部412の基部410からの最遠端と基部420はピッチ「S0」を隔てる。同様に、突出部422の基部420からの最遠端と基部410はピッチ「S0」を隔てる。具体的には、突出部412と突出部422は千鳥配置される。例えば、突出部412は(例えば、横方向に)ピッチ「S1」で対応する一対の突出部422の間に挿入される。幾つかの実施例において、ピッチS0/S1は約0.25ミクロン及び6ミクロンの範囲内に配置されてよい。レイアウト400は更に接続パッド(connection pads)(又は試験端)430と440を含み、それぞれ第1の導電パターンと第2の導電パターンに接続される。接続パッド430~440は試験システムの各プローブに電気的に接続することができ、それにより第1の導電パターン及び/又は第2の導電パターンに欠陥が存在するか否かを検出し、且つ以下により詳細に説明する。
【0054】
図5のレイアウト500において、第1の導電パターンは基部510と基部510から外部に延伸する複数の突出部512を含み、且つ第2の導電パターンは基部520と基部520から外部に延伸する複数の突出部522を含む。突出部512の基部510からの最遠端と基部520とはピッチ「S0」を隔てる。同様に、突出部522の基部520からの最遠端と基部510とはピッチ「S0」を隔てる。具体的には、突出部512と突出部522は千鳥配置される。例えば、突出部512は(例えば、横方向に)ピッチ「S1」で対応する一対の突出部522の間に挿入されてもよい。幾つかの実施例において、ピッチS0/S1は約0.25ミクロン及び6ミクロンの範囲内に配置されてよい。レイアウト500は更に接続パッド(又は試験端)530と540を含んでもよく、それぞれ第1の導電パターンと第2の導電パターンに接続される。接続パッド530~540は試験システムの各プローブに電気的に接続されてもよく、それにより第1の導電パターン及び/又は第2の導電パターンに欠陥が存在するか否かを検出し、且つ以下により詳細に説明する。
【0055】
図6のレイアウト600において、第1の導電パターンは基部と基部610に結合された複数の円形部分612A、612B及び612Cを含み、第2の導電パターンは基部620と基部620に結合された複数の円形部分622A、622B及び622Cを含む。円形部分612A~612C、622A~622Cは、複数の同心円を形成していてもよい。具体的には、円形部分612A~Cと622A~Cは千鳥配置される。例えば、ここでの1つの円形部分612A~Cは(横方向に)ピッチ「S1」で対応する一対の円形部分622A~Cの間に挿入される。幾つかの実施例において、ピッチS1は約0.25ミクロン及び6ミクロンの範囲内に配置されてよい。レイアウト600は更に接続パッド(又は試験端子)630と640を含んでもよく、それぞれ第1の導電パターンと第2の導電パターンに接続される。接続パッド630~640は試験システムの各プローブに電気的に接続されてもよく、それにより第1の導電パターン及び/又は第2の導電パターンに欠陥が存在するか否かを検出し、且つ以下により詳細に説明する。
【0056】
図7のレイアウト700において、第1の導電パターンは基部710を含み、第2の導電パターンは基部720を含み、基部710と基部720はそれぞれ少なくとも一部が互いに垂直に重なる。基部710と基部720は類似のサイズ(例えば、面積)を有することができ、且つ両者は何れも矩形又は正方形に形成することができる。基部710と基部720は互いに横方向にずれてもよく、それにより接続パッド730と接続パッド740はそれぞれ基部710と基部720に接続されてもよい。幾つかの実施例において、接続パッド730~740は個別に貫通孔構造として実現されることができる。接続パッド730~740は試験システムの各プローブに電気的に接続されてもよく、それにより第1の導電パターン及び/又は第2の導電パターンに欠陥が存在するか否かを検出し、且つ以下により詳細に説明する。
【0057】
図8のレイアウト800において、第1の導電パターンは基部810を含み、第2の導電パターンは基部820を含み、基部810と基部820はそれぞれ少なくとも一部が互いに垂直に重なる。基部810と基部820はそれぞれ異なるサイズ(例えば、面積)を有することができ、大きいサイズは小さいサイズ(頂部から観察する時)を囲む。基部810及び基部820は、矩形又は正方形に形成されてもよい。レイアウト800は更にそれぞれ基部810と基部820に接続される接続パッド830と接続パッド840を含む。幾つかの実施例において、接続パッド830~840は個別に貫通孔構造として実現されることができる。接続パッド830~840は試験システムの各プローブに電気的に接続されてもよく、それにより第1の導電パターン及び/又は第2の導電パターンに欠陥が存在するか否かを検出し、且つ以下により詳細に説明する。
【0058】
図9の配置900において、第1の導電パターンは基部910を含み、第2の導電パターンは基部920を含み、基部910と基部920はそれぞれ少なくとも一部が互いに垂直に重なる。基部910と基部920はそれぞれ異なるサイズ(例えば、面積)を有することができ、大きいサイズは小さいサイズ(頂部から観察する場合)を囲む。基部910と基部920とは、円形に形成されてよい。配置900は更にそれぞれ基部910と基部920に接続される接続パッド930と接続パッド940を含む。幾つかの実施例において、接続パッド930~940は個別に貫通孔構造として実現されることができる。接続パッド930~940は試験システムの各プローブに電気的に接続されてもよく、それにより第1の導電パターン及び/又は第2の導電パターンに欠陥が存在するか否かを検出し、且つ以下により詳細に説明する。
【0059】
図10は、各実施例による窒化ガリウム系装置の種々の欠陥を検出するための試験システム1000を示す簡略化されたブロック図である。このような試験対象の窒化ガリウム系装置は1つ又は複数の試験構造と同時に製造することができる。したがって、試験システム1000は試験構造に欠陥が存在するか否かを検出することができ、それによりそのシミュレートされた窒化ガリウム系装置にも欠陥が存在するか否かを推定する。一方では、試験構造及び窒化ガリウム系装置は個片結晶粒(singulated die)に集積回路を形成することができる。他方で、試験構造及び窒化ガリウム系装置は異なる個片結晶粒に形成することができ、試験構造は後に窒化ガリウム系装置を有する集積回路から除去することができる(例えば、窒化ガリウム系装置が欠陥試験を通過した後)。
【0060】
図に示すように、試験システム1000は少なくとも1つのコントローラ1010及び1つの信号発生器1020を含み、互いに動作可能に結合される。単独のブロックとして示されるが、信号発生器1020はコントローラ1010に組み合わせることができ、何れも本開示の範囲内にある。様々な実施例において、コントローラ1010は複数の試験信号を確認することができ、これらの試験信号は支持部材1060に置かれた試験対象の窒化ガリウム系装置1050に用いられる。例えば、試験信号はそれぞれ窒化ガリウム系装置1050をシミュレートする試験構造の第1の導電パターン及び第2の導電パターンに印加された正電圧及び接地電圧を含むことができる。開示されたチャージポンプにより、電圧を100ボルト(例えば、約650ボルト)より高く設定することができ、これに対して、以下に
図11~12について検討する。試験信号を配置する時、信号発生器1020はこれらの試験信号を窒化ガリウム系装置1050に印加して欠陥を識別することができる。
【0061】
試験システム1000は更にプローブカード1030を含んでもよく、プローブカード1030を複数のプローブ1040を支持するように配置する。操作において、プローブカード1030を幾つかのプローブ1040が窒化ガリウム系装置1050の対応する試験構造に接触するまで移動する。この動作は、
図10の縦矢印で示されている。顕微鏡又は拡大率を有する視覚表示装置のようなアライメント装置情報(alignment apparatus)を用いてX及びY方向にチップを移動してプローブ1040を置くことができ、例えば、上記試験構造の1つ又は複数の接続パッド(試験端子)に置く。プローブ1040が試験端子と電気的に接触した後、上記試験信号を試験構造(それは最終的な窒化ガリウム系装置1050の一部ではないかもしれない)に印加して欠陥を識別することができる。図示しないが、試験システム1000は複数の(例えば、電圧及び/又は電流)モニタを含むことにより試験信号を印加した後にそれらの試験構造の応答(response)を監視することができる。モニタは、試験信号が印加される試験端子と同じ又は異なる端子を介して、試験構造と電気的に接触してもよい。
【0062】
本開示の各実施例によれば、
図11は100ボルトより高い高電圧チャージポンプ1100を出力することができる回路図を示し、
図12は高電圧クロック発生器1200の回路図を示し、高電圧クロック発生器1200はチャージポンプ1100が高電圧を有するクロック信号(及びそれに対応する逆方向クロック信号)を提供することができる。
【0063】
まず
図11を参照し、チャージポンプ1100は、複数(例えば五つ)の窒化ガリウム系トランジスタ1102A、1102B、1102C、1102D及び1102Eと、複数(例えば四つ)のコンデンサ1104A、1104B、1104C及び1104Dと及び負荷コンデンサ1106を有する。チャージポンプ1100は入力電圧Viを受信し、且つViの電圧レベルをポンピング(pump)する又は他の方式で増加させて出力電圧Voとすることができる。具体的には、各窒化ガリウム系トランジスタ1102A~Eはゲートとソース(source;S)を互いに接続し(更にダイオードとして使用する)、且つドレインを対応するコンデンサ1104A~Dのうちの1つに接続することができ、ドレイン(drain;D)も次段(stage)の窒化ガリウム系トランジスタ1102A-Eに接続される。各コンデンサ1104A~Dの他端は、高電圧クロック信号を受けるように構成されている。また、隣接するコンデンサ(例えば1104Aと1104B)はそれぞれ逆の高電圧クロック信号、例えばHV-CLKとHV-CLKBを受信するように配置される。
【0064】
このように、第1のクロック周期にHV-CLKは低電圧であり且つHV-CLKBは高電圧であり、コンデンサ1104Aはダイオードに接続されたトランジスタ1102Aを介して入力電圧Vi(例えば100ボルト)にブリッジ接続され、且つコンデンサ1104Aを同じ電圧に充電する。換言すれば、ノードX1を約100ボルトに充電する。第2の(次の)クロック周期にHV-CLKは高電圧且つHV-CLKBは低電圧となるように繰り返して、回路を再構成することにより、コンデンサ1104Aはダイオードに接続されたトランジスタ1102Bにより、高電圧のHV-CLK、次段のコンデンサ1104Bに直列接続される。これによりノードX1とノードX2の電圧を倍増させ、すなわち、元の供給(supply)の電圧(100ボルト)とコンデンサの電圧(100ボルト)との和にする。この原理に基づいて、チャージポンプ1100は五段を含み、出力電圧を約500ボルトまで増加することができる。
【0065】
次に
図12を参照し、クロック発生器1200は一対の高電圧トランジスタ(例えば高電圧HEMTs)1202及び1204を含み、高電圧レベルを有する供給電圧(HVDD、例えば約100ボルト)と接地(VSS)との間に接続される。また、トランジスタ1202と1204はそれぞれ抵抗1212と1214によりHVDDに接続される。トランジスタ1202はクロック信号(CLK)によってゲート制御(gated)されるように配置され、トランジスタ1204は逆方向のクロック信号(CLKB)によってゲート制御されるように配置される。このように、トランジスタ1202と1204は交互にオン/オフにすることができる。したがって、HV-CLKとHV-CLKBはそれぞれトランジスタ1202と1204のドレインの出力とすることができる。
【0066】
図13は、チャージポンプ1100(
図11)において実施されるダイオード接続トランジスタ1300(例えば1102A~E)を示す断面図である。ダイオード接続トランジスタ1300は、基板1310と、基板1310上のチャンネル層1320と、チャンネル層1320上の能動層1330とを含む。チャンネル層1320と能動層1330はそれぞれGaN層312とAlGaN層314(
図3)と基本的に類似することができるため、説明を省略する。このような窒化ガリウム系材料を使用すると、その顕著に低い寄生容量(parasitic capacitance)のため、ダイオード接続トランジスタ1300はより高い周波数で動作することができる(シリコン系トランジスタと比較する場合)。ダイオード接続トランジスタ1300もチャンネル層1320の上のソース電極1340及びドレイン電極1350、及び能動層1330の上のゲート電極1360を含む。幾つかの他の実施例において、ソース電極1340及びドレイン電極1350は能動層1330の上に形成される。ソース電極1340とゲート電極1360は短絡接続され、ソース電極1340とゲート電極1360は共にダイオード接続トランジスタ1300の第1の端子(例えば陽極)として用いられ、ドレイン電極1350は第2の端子(例えば、ダイオード接続トランジスタ1300の陰極)として用いられる。
【0067】
現在、
図14を参照し、各実施例による窒化ガリウム系装置の欠陥を識別するための例示的な方法1400のフローチャートを説明する。本明細書に開示されるように、試験構造は、第1の導電パターン及び第2の導電パターンを含むことができ、それぞれ窒化ガリウム系装置の導電部材をシミュレートすることができる。試験システムにより試験構造の1つ又は複数の特性を検査することに基づいて窒化ガリウム系装置における欠陥を識別することができる。したがって、以下の
図14に対する検討は上記幾つかの図(例えば、
図3のパワーHEMT300、
図4~9に示された第1の導電パターン及び第2の導電パターンのレイアウト400~900、
図10の試験システム1000、
図11のチャージポンプ1100など)を結合して行う。方法1400に示す実施例は単なる例示である。したがって、理解すべきなのは、省略、再順序付け及び/又は任意の操作を添加することができ、何れも本開示の範囲内にある。
【0068】
方法1400は操作1402から始まり、操作1402では窒化ガリウム系装置をシミュレートする1つ又は複数の試験構造を形成する。
図4のレイアウト400を例として、試験構造の第1の導電パターンと第2の導電パターンは窒化ガリウム系装置の導電部材(例えばそのゲート電極とフィールドプレート、その異なるフィールドプレート、そのオーミックコンタクトとフィールドプレート、又はそのオーミックコンタクトとドープ窒化ガリウム領域)をシミュレートし、且つ第1の導電パターンと第2の導電パターンは互いに横方向に交差する突出部412と422を有するように形成することができる。
図7のレイアウト700を別の例として、試験構造の第1の導電パターンと第2の導電パターンは窒化ガリウム系装置の導電部材(例えばそのゲート電極とフィールドプレート、その異なるフィールドプレート、そのオーミックコンタクトとフィールドプレート、又はそのオーミックコンタクトとドープ窒化ガリウム領域)をシミュレートし、且つ第1の導電パターンと第2の導電パターンは互いに垂直に重なる対応部分710と720に形成することができる。
【0069】
方法1400は操作1404に進み、試験信号を試験構造に印加する。レイアウト400の例を継続し(同時に
図10の試験システム1000を参照する)、1つのプローブ1040は接続パッド430を介して正電圧を第1の導電パターン(即ち、基部410及び突出部412)に印加することができ、もう1つのプローブ1040は接続パッド440を介して接地電圧を第2の導電パターン(即ち、基部420及び突出部422)に印加することができる。試験システム1000は第1の導電パターン及び第2の導電パターンが呈する特性(例えば、IV曲線)を監視することができる。レイアウト700の例(同時に
図10の試験システム1000を参照する)を継続し、1つのプローブ1040は接続パッド730を介して正高電圧(例えば500ボルト)を第1の導電パターン(例えば基部710)に印加することができ、もう1つのプローブ1040は接続パッド740を介して接地電圧を第2の導電パターン(即ち、基部720)に印加することができる。試験システム1000は第1の導電パターン及び第2の導電パターンが呈する特性(例えば、IV曲線)を監視することができる。
【0070】
次に、方法1400は操作1406に進み、任意の異常特徴(又は挙動)を検出したか否かを確認する。異常特徴を検出しなければ、方法1400は操作1408に進んで、窒化ガリウム系装置が欠陥試験を通過したことを確認することができる。他方では、方法1400は操作1410及び1412に進んで、欠陥を更に識別することができる。
【0071】
例えば、レイアウト400に配置された第1の導電パターン及び第2の導電パターンの特性を監視する場合、試験システム1000は第1の導電パターンと第2の導電パターンとの間の開回路(又は無限抵抗値)を検出することが望ましく、例えばそれらは互いに電気的に分離される。幾つかの状況において、試験システム1000は、第1の導電パターンと第2の導電パターンとの間の無限抵抗値を確実に検出し、且つ窒化ガリウム系装置が欠陥試験を通過したことを確認することができる(操作1408)。幾つかの他の状況において、試験システム1000は、有限抵抗値を検出する可能性があり、この有限抵抗値に基づいて異常特性を検出することを確認することができる。試験システム1000は、第1の導電パターンと第2の導電パターンとの間の接続経路が隣り合う突出部412、422の間に形成された欠陥によるものであることを確認することができる(操作1410)。次に、第1の導電パターン及び第2の導電パターンは窒化ガリウム系装置のどの導電性部材をシミュレートし、試験システム1000はそれらのシミュレートされた導電性部材の間に存在する可能性のある欠陥を識別することができる(操作1412)。
【0072】
別の例において、レイアウト700に配置された第1の導電パターン及び第2の導電パターンの特性(又は挙動)を監視する場合、試験システム1000は第1の導電パターンと第2の導電パターンとの間に十分に高い降伏電圧があることを検出することを予期することができ、第1の導電パターン及び第2の導電パターンは例えばそれぞれ窒化ガリウム系装置のゲート電極とフィールドプレートをシミュレートする。幾つかの状況において、試験システム1000は、第1の導電パターンと第2の導電パターンとの間の非常に高い降伏電圧を確実に検出し、且つ窒化ガリウム系装置が欠陥試験を通過したことを確認することができる(操作1408)。幾つかの他の状況において、試験システム1000は、顕著に低い降伏電圧を検出する可能性があり、この降伏電圧に基づいて異常特性の検出を確認することができる。試験システム1000は、降伏電圧の低下が基部710と基部720との間に形成された欠陥によるものであることを確認することができる(操作1410)。開示されたチャージポンプ1100の助けによって、第1の導電パターン又は第2の導電パターンのうちの1つに高電圧(例えば、500ボルトより高い)を印加することができる。このように、欠陥が第1の導電パターン又は第2の導電パターンの何れかと接触しなくても、依然として低下した降伏電圧を検出することができる。次に、第1の導電パターン及び第2の導電パターンは窒化ガリウム系装置のどの導電性部材をシミュレートし、試験システム1000はそれらのシミュレートされた導電性部材の間に存在する可能性のある欠陥を識別することができる(操作1412)。
【0073】
図15は、各実施例による対応する一つ又は複数の試験構造を窒化ガリウム系装置と同時に製造するための例示的な方法1500を示すフローチャートである。例えば、方法1500の少なくとも幾つかの操作(又は工程)を実行することにより、1つ又は複数の試験構造及び窒化ガリウム系装置を製造し、製作する又は形成することができる。説明すべきなのは、方法1500は単なる例示であり、本開示を限定するものではない。したがって、理解すべきなのは、
図15の方法1500の前、間及び後に追加の操作を提供することができ、且つ他の幾つかの操作についてここで簡単に説明する。幾つかの実施例において、方法1500の操作は幾つかの以上の図面を結合して検討することができる(例えば、
図1~2の窒化ガリウム系集積回路100、
図3のパワーHEMT300、
図4~9に示された第1の導電パターンと第2の導電パターンのレイアウト400~900など)。
【0074】
方法1500は操作1502から始まり、操作1502は基板上の第1の領域と第2の領域を定義する。例えば、基板(例えば310)を提供することができる。基板310には、第1の領域と第2の領域を定義してそれぞれ窒化ガリウム系装置とそれに関連する試験構造を形成することができる。
図1を例として、窒化ガリウム系装置102は基板310の第1の領域に設けられてもよく、且つ試験構造104は基板310の第2の領域に設けられてもよく、第2の領域は第1の領域を囲む。
図2の別の例において、窒化ガリウム系装置102は基板310の第1の領域に設けられてもよく、且つ試験構造104A~Pは基板310の第2の領域に設けられてもよく、第2の領域は第1の領域を囲む。
【0075】
次に、方法1500は操作1504に進み、基板の第1の領域と第2の領域の上に複数の層を形成し、各層は以上に列挙された少なくとも1つの窒化ガリウム系材料を有する。パワーHEMT300(
図3)を代表的な例として、GaN層312とAlGaN層314は順に基板310に堆積し、第1の領域と第2の領域を覆う。以上のように、基板310の上方に1つ又は複数の他の窒化ガリウム系層を形成することができる。例えばバッファ層は、降伏電圧を増加させるための高抵抗率層及び遷移層を定義し、バッファ層はGaN層312と基板310との間に基板310と上部被覆層との間の格子構造及び熱膨張係数が徐々に変化することに役立つ構造を形成することができる。幾つかの実施例において、バッファ層は1種又は複数種の窒化ガリウム系材料(例えば、GaN、AlGaN、InGaN、InAlGaN等)を含み、且つ遷移層は徐変するアルミニウム-窒化ガリウム(AlXGa(1-X)N)を含む。
【0076】
次に方法1500は操作1506に進み、第1の領域の上に窒化ガリウム系装置のために複数の導電部材を形成し、第2の領域の上に試験構造のために第1の導電パターン及び第2の導電パターンを形成する。幾つかの実施例において、窒化ガリウム系装置の導電部材と試験構造の導電パターンは同時に形成することができるが、それぞれ基板上の第1の領域と第2の領域にある。このように、試験構造の導電パターンは窒化ガリウム系装置の導電部材をシミュレートすることができる。また、導電部材は窒化ガリウム系装置を必要な機能に適用させるサイズ及び外形に形成することができるが、試験構造の導電パターンは異なるサイズ及び外形を意図的に形成することができ、試験構造の欠陥検出の感度を向上させる。
【0077】
例えば、試験構造の第1の導電パターンと第2の導電パターンはそれぞれその対応する窒化ガリウム系ゲート電極(例えば、
図3の334)とフィールドプレート(例えば、
図3の340)をシミュレートすることができる。ゲート電極334とフィールドプレート340は互いに横方向に分離することができるが、第1の導電パターンと第2の導電パターンは千鳥配置された構造に形成することができ、そのそれぞれの突出部は互いに横方向に交差する(例えば、
図4のレイアウト400)。
【0078】
例えば、試験構造の第1の導電パターンと第2の導電パターンはそれぞれその対応する窒化ガリウム系導線(例えば、
図3の382)とフィールドプレート(例えば、
図3の370)をシミュレートすることができる。導線382とフィールドプレート379は互いに垂直に重なっていなくてもよく、又は限られた部分が互いに重なってもよいが、第1の導電パターンと第2の導電パターンはMIM構造に形成されてもよく、その大部分が互いに重なっている(例えば
図7のレイアウト700)。
【0079】
本開示の一態様は、それぞれ少なくとも1つのIII-V族化合物材料を有する複数の層と、幾つかの層のうちの少なくとも一つに動作可能に結合されるゲート電極と、ゲート電極の第1の側に設けられるソース電極と、ゲート電極の第2の側に設けられるドレイン電極と、ゲート電極とドレイン電極との間に設けられるフィールドプレートと、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極の上に設けられる複数の導線と、を含むトランジスタと、それぞれ第1の金属パターンと第2の金属パターンを有し、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極のうちの少なくとも1つ、又は幾つかの導線のうちの少なくとも1つをシミュレートするための複数の試験構造と、を含む半導体装置を開示する。
【0080】
幾つかの実施例において、幾つかの試験構造は、それぞれトランジスタに隣接して設けられる。
【0081】
幾つかの実施例において、第1の金属パターンは第1の基部と複数の第1の突出部を有し、幾つかの第1の突出部は第1の基部から外部へ延び、第2の金属パターンは第2の基部と複数の第2の突出部を有し、幾つかの第2の突出部は第2の基部から外部へ延びる。
【0082】
幾つかの実施例において、幾つかの第1の突出部は、それぞれ隣接する幾つかの第2の突出部の間に一定のピッチで横方向に設けられる。
【0083】
幾つかの実施例において、ピッチは約0.25ミクロン(μm)~約6μmの範囲内にある。
【0084】
幾つかの実施例において、第1の金属パターンは第1の板を有し、第2の金属パターンは第2の板を有し、且つここで第1の板の第1の部分と第2の板の第2の部分は互いに少なくとも一部が垂直に重なる。
【0085】
幾つかの実施例において、トランジスタは基板上の第1の領域を占め、且つ各試験構造は基板上の第2の領域を占め、且つここで第2の領域と第1の領域との比率は10%以下である。
【0086】
幾つかの実施例において、各試験構造は対応する第1の金属パターンと対応する第2の金属パターンが短絡するか否かに基づいて、トランジスタに欠陥が発生したか否かを検出するように配置される。
【0087】
幾つかの実施例において、半導体装置は、幾つかの試験構造における第1の試験構造に対応する第1の金属パターン又は対応する第2の金属パターンに接続されるチャージポンプを更に含み、チャージポンプは、少なくとも1つのIII-V族化合物材料から形成され、且つ接続された第1の金属パターン又は接続された第2の金属パターンに650ボルト(V)以上の電圧を供給するように配置される。
【0088】
幾つかの実施例において、第1の試験構造は、第1の試験構造に関連する異常電流-電圧曲線が存在するか否かに基づいて、トランジスタに欠陥が発生したか否かを検出するように配置される。
【0089】
本開示の別の態様は、半導体装置を開示する。半導体装置は第1の半導体結晶粒を含み、第1の半導体結晶粒は複数の第1のトランジスタを含み、各第1のトランジスタは少なくとも1つのIII-V族化合物材料を有する。半導体装置は第2の半導体結晶粒を含み、第2の半導体結晶粒は複数の第2のトランジスタを含み、各第2のトランジスタは少なくとも1つのIII-V族化合物材料を有する。半導体装置は試験構造を含み、第1の半導体結晶粒と第2の半導体結晶粒の傍らに設けられる。試験構造は、第1の金属パターン及び第2の金属パターンを有し、且つ第1の半導体結晶粒及び第2の半導体結晶粒のうちの1つ又は複数の特徴をシミュレートするように配置されて、少なくとも1つの第1の半導体結晶粒又は第2の半導体結晶粒に欠陥が発生したか否かを確認する。
【0090】
幾つかの実施例において、第1の金属パターンは第1の基部と複数の第1の突出部を有し、幾つかの第1の突出部は第1の基部から外部へ延び、第2の金属パターンは第2の基部と複数の第2の突出部を有し、幾つかの第2の突出部は第2の基部から外部へ延びる。
【0091】
幾つかの実施例において、幾つかの第1の突出部は、それぞれピッチで隣接する幾つかの第2の突出部の間に横方向に設けられる。
【0092】
幾つかの実施例において、ピッチは約0.25ミクロン(μm)~約6μmの範囲内にある。
【0093】
幾つかの実施例において、第1の金属パターンは第1の板を有し、第2の金属パターンは第2の板を有し、且つ第1の板の第1の部分と第2の板の第2の部分は互いに少なくとも一部が垂直に重なる。
【0094】
幾つかの実施例において、第1の金属パターンと第2の金属パターンは個別に、第1の半導体結晶粒又は第2の半導体結晶粒のゲート電極、又は、第1の半導体結晶粒又は第2の半導体結晶粒のフィールドプレートをシミュレートする。
【0095】
幾つかの実施例において、第1の金属パターンと第2の金属パターンは個別に、第1の半導体結晶粒又は第2の半導体結晶粒のゲート電極と第1の半導体結晶粒又は第2の半導体結晶粒のフィールドプレートと、第1の半導体結晶粒又は第2の半導体結晶粒のソース/ドレイン電極と第1の半導体結晶粒又は第2の半導体結晶粒のフィールドプレートと、第1の半導体結晶粒又は第2の半導体結晶粒のゲート電極と第1の半導体結晶粒又は第2の半導体結晶粒のソース/ドレイン電極、又は、第1の半導体結晶粒又は第2の半導体結晶粒の導線とフィールドプレートをシミュレートする。
【0096】
本開示の別の態様は、半導体装置の試験方法を開示する。該方法は、複数の層を含み、各層は少なくとも1つのIII-V族化合物材料を有するトランジスタを形成することを含む。該方法は、第1の金属パターン及び第2の金属パターンを含み、トランジスタの1つ又は複数の特徴をシミュレートするように配置される試験構造を形成することを含む。該方法は試験構造に関連する電流-電圧曲線に異常挙動が存在するか否かを検出することを含む。該方法は異常挙動の存在を検出したことに応じて、トランジスタに欠陥があることを確認することを含む。
【0097】
幾つかの実施例において、第1の金属パターンは第1の基部と複数の第1の突出部を有し、幾つかの第1の突出部は第1の基部から外部へ延び、第2の金属パターンは第2の基部と複数の第2の突出部を有し、幾つかの第2の突出部は第2の基部から外部へ延び、幾つかの第1の突出部は、それぞれピッチで隣接する幾つかの第2の突出部の間に横方向に設けられ、ピッチは約0.25ミクロン(μm)~約6μmの範囲内にある。
【0098】
幾つかの実施例において、第1の金属パターンは第1の板を有し、第2の金属パターンは第2の板を有し、且つ第1の板の第1の部分と第2の板の第2の部分は互いに少なくとも一部が垂直に重なる。
【0099】
本明細書で使用される用語「約」及び「およそ」は一般的に前記値のプラスマイナス10%を指す。例えば、約0.5は0.45及び0.55を含み、約10は9~11を含み、約1000は900~1100を含む。
【0100】
前述の内容は、いくつかの実施例の特性を概説し、当業者が本開示の内容及び各態様をより良く理解させることができる。当業者にとって、本明細書で開示する内容は、本明細書で紹介される実施例を実行するための同一の目的、及び/又は同一の利点を達成するための他のプロセス及び構造を設計又は修正するための基礎として容易に使用されるできることを理解すべきである。当業者は、このような等価構造は本開示の精神及び範囲から逸脱するものではなく、本明細書で様々な変化、置換、及び変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0101】
100 窒化ガリウム系集積回路
102 窒化ガリウム系装置
104、104A、104B、104C、104D、104E、104F、104G、104H、104I、104J、104K、104L、104M、104N、104O、104P 試験構造
106 環状構造
300 窒化ガリウム系装置/パワーHEMT
310 基板
312 第1のIII-V化合物層/GaN層
314 第2のIII-V化合物層/AlGaN層
316 薄層
320 ドープGaN領域
322 誘電体層
330 ソース電極/オーミックコンタクト
332 ドレイン電極/オーミックコンタクト
334 ゲート電極
340、370 フィールドプレート
350、360 誘電体層
380 層間誘電体層
382 導線
384 金属間埋め込み誘電体層
400、500、600、700、800、900 レイアウト
410、420、510、520、610、620、710、720、810、820、910、920 基部
412、422、512、522 突出部
430、440、530、540、630、640、730、740、830、840、930、940 接続パッド
612A、612B、612C、622A、622B、622C 円形部分
1000 試験システム
1010 コントローラ
1020 信号発生器
1030 プローブカード
1040 プローブ
1050 窒化ガリウム系装置
1060 支持部材
1100 チャージポンプ
1102A、1102B、1102C、1102D、1102E 窒化ガリウム系トランジスタ
1104A、1104B、1104C、1104D コンデンサ
1200 クロック発生器
1202、1204 高電圧トランジスタ
1212、1214 抵抗
1300 ダイオード接続トランジスタ
1310 基板
1320 チャンネル層
1330 能動層
1340 ソース電極
1350 ドレイン電極
1360 ゲート電極
1400、1500 方法
1402、1404、1406、1408、1410、1412、1502、1504、1506 操作
D ドレイン電極
G ゲート電極
M1 メタライズ層
S ソース電極
S0、S1 ピッチ
Vi 入力電圧
Vo 出力電圧
X1、X2、X3、X4 ノード