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特開2023-168285半導体製造加工で使用されるキャビネット用の熱管理システムおよび装置
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  • 特開-半導体製造加工で使用されるキャビネット用の熱管理システムおよび装置 図1
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  • 特開-半導体製造加工で使用されるキャビネット用の熱管理システムおよび装置 図6A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168285
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】半導体製造加工で使用されるキャビネット用の熱管理システムおよび装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20231116BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
H01L21/205
H01L21/31 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023078092
(22)【出願日】2023-05-10
(31)【優先権主張番号】63/341,898
(32)【優先日】2022-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アンキト・キムティー
(72)【発明者】
【氏名】スダンシュ・ビヤニ
【テーマコード(参考)】
5F045
【Fターム(参考)】
5F045BB08
5F045EB03
5F045EE01
5F045EE02
5F045EE04
5F045EJ01
5F045EK01
5F045EK24
(57)【要約】
【課題】半導体製造加工で使用されるキャビネット用の熱管理システムおよび装置を提供する。
【解決手段】半導体製造プロセスで使用されるキャビネットは、貯蔵ベッセルがその中に配置される内部空間を有するハウジングを備え、貯蔵ベッセルは、半導体製造加工に使用される材料を収容し、その材料は、設定温度で維持される。本明細書に開示される熱管理システムおよび装置は、ハウジング上に配置され、キャビネット上の1つ以上の位置に位置付けられ、キャビネットの外部にあってキャビネットに隣接する外部熱エネルギー源から内部空間および貯蔵ベッセルへの熱伝達を低減する断熱材を備える。断熱材の使用は、外部熱エネルギー源からキャビネット内部の貯蔵ベッセルへの熱エネルギーの望ましくない伝達を軽減または除去し、それによって貯蔵ベッセルおよびその内容物の設定温度に影響を与えず、それによって半導体製造中の貯蔵材料の効果的かつ効率的な使用を促進するように機能する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製造で使用されるキャビネットであって、
前面パネル、後面パネル、上面パネル、底面パネル、および側面パネルを備えるハウジングであって、半導体製造で使用するためのガス、固体、または液体原材料をその中に含む貯蔵ベッセルの配置を収容するために前記ハウジング内に内部貯蔵空間が配置され、前記貯蔵ベッセルが設定温度で維持される、ハウジングと、
前記ハウジングパネルのうちの1つ以上の表面上に配置された断熱材であって、前記キャビネットの外部からで、かつ前記キャビネットに隣接する熱エネルギー源からの、前記キャビネット内部貯蔵空間内への、および前記貯蔵ベッセルへの熱エネルギーの伝達を低減するように、前記断熱材が位置付けられる、断熱材と、を備える、キャビネット。
【請求項2】
前記断熱材が、前記外部熱エネルギー源に隣接する位置で、前記1つ以上のハウジングパネル上に位置付けられる、請求項1に記載のキャビネット。
【請求項3】
前記断熱材が、前記外部熱エネルギー源と前記貯蔵ベッセルとの間に介在される、請求項1に記載のキャビネット。
【請求項4】
前記断熱材が、前記1つ以上のハウジングパネルの外側表面上に配置される、請求項1に記載のキャビネット。
【請求項5】
前記断熱材が、前記1つ以上のハウジングパネルの前記表面に付与されるコーティングである、請求項1に記載のキャビネット。
【請求項6】
前記断熱材が、前記1つ以上のハウジングパネルの前記表面に取り付けられる予備成形材料である、請求項1に記載のキャビネット。
【請求項7】
前記断熱材が均一な厚さを有する、請求項5に記載のキャビネット。
【請求項8】
前記断熱材が、前記キャビネットの少なくとも2つのパネル上に配置される、請求項1に記載のキャビネット。
【請求項9】
前記キャビネットが第2のキャビネットに隣接して位置付けられ、かつ前記キャビネットおよび前記第2のキャビネットの隣接する外側表面の間にエアギャップが存在する、請求項1に記載のキャビネット。
【請求項10】
アセンブリであって、
互いに隣接して位置付けられる第1のキャビネットおよび第2のキャビネットを備え、前記第1および第2のキャビネットの各々が、半導体製造で使用するためのガス、固体、または液体原材料をその中に含む貯蔵ベッセルの配置を収容するための内部貯蔵空間を含み、前記貯蔵ベッセルが設定温度に維持され、前記第1および第2のキャビネットの隣接する外側表面の間にエアギャップが設けられて、前記第1または第2のキャビネットのうちの一方から前記第1または第2のキャビネットのうちの他方への熱エネルギーの伝達を低減する、アセンブリ。
【請求項11】
前記エアギャップが少なくとも5mmである、請求項10に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記エアギャップが少なくとも10mmである、請求項10に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記第1のキャビネットおよび前記第2のキャビネットの前記隣接する外側表面の間に介在される断熱材を備える、請求項10に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記断熱材が、前記第1または第2のキャビネットのうちの少なくとも1つの前記外側表面上に配置される、請求項13に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記断熱材が、コーティングとして付与される非予備成形絶縁材、および取り付けによって付与される予備成形絶縁材の群から選択される、請求項13に記載のアセンブリ。
【請求項16】
半導体製造に使用される外部熱エネルギー源に隣接して位置付けられるキャビネット内に配置される貯蔵ベッセルの設定温度を維持する方法であって、前記貯蔵ベッセルが半導体製造に使用される材料を備え、前記方法が、前記外部熱エネルギー源に隣接して位置付けられる前記キャビネットの表面に断熱材を付与することを含む、方法。
【請求項17】
前記付与する工程中に、前記断熱材が、前記外部熱エネルギー源から前記貯蔵ベッセルへの熱エネルギーの伝達を防止する前記キャビネット上の位置において、前記キャビネットの内部または外側表面に付与される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記付与する工程中に、前記断熱材が、非予備成形材料の形態で付与されるか、または予備成形材料の形態で付与される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記外部熱エネルギー源と前記断熱材との間にエアギャップを設ける工程をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記エアギャップが少なくとも5mmである、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示されるシステムおよび装置は、半導体製造加工で使用されるキャビネットに関し、より具体的には、半導体製造加工において使用されるような内容物の温度制御を最適化するように、このようなキャビネット内の内容物の熱管理の改良度を提供するように構成されたシステムおよび装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造加工中のガス、液体、固体などの異なるタイプの材料の使用が知られている。ガスまたは液体は、半導体製造加工の異なる段階の間に使用される酸または他のタイプの化学物質の形態であってもよく、特定の半導体製造加工工程を効果的に実行する目的で加熱または冷却された状態で提供されてもよい。こうしたガス、液体、および固体は、キャビネットの形態で1つ以上の筐体内に位置する1つ以上の容器またはベッセルに貯蔵されることが知られている。キャビネット内に配置されたこうした容器またはベッセルは、容器またはベッセル内の材料を、使用のために所望の制御された加熱温度または冷却温度に維持する目的で、適切な加熱装置または冷却装置を使用することができる。キャビネットの配置位置は様々であるが、多くの場合、その中に他の材料を貯蔵している他のキャビネットの近くにあるかまたは隣接しており、さらに、半導体製造加工中に使用される反応器または反応チャンバの近くに位置することができる。
【0003】
そのような材料容器またはベッセルを内部に備えるキャビネットは、キャビネット内の温度に影響を与える特定の外部熱源または状態、例えば、他の隣接するキャビネットから、反応器または反応チャンバから、または他の隣接する装置またはシステムからの影響を受ける可能性があることが知られている。こうした外部熱状態は、キャビネット内に配置された容器またはベッセルに貯蔵された材料の温度にも影響を与え、こうした容器またはベッセルに貯蔵された材料を所望の制御温度または設定温度に維持する能力を損なう。
【0004】
したがって、システムおよび装置が、キャビネット内に配置される容器およびベッセルに貯蔵される材料を備えるキャビネットに対する外部熱状態の影響を軽減または防止し、それによって、こうした材料が所望の制御温度または設定温度にあることを確実にして、半導体製造加工における材料の効果的な使用を促進するように構成されることが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
半導体製造プロセスで使用される材料を備えるキャビネットで使用する、例示的な熱管理システムおよび装置が本明細書に開示される。一実施例では、こうしたキャビネットは、前面パネル、背面パネル、上面パネル、底面パネル、および側面パネルを備えるハウジングを備える。その中に貯蔵ベッセルの配置を収容するためのキャビネットハウジング内に配置された内部貯蔵空間があり、貯蔵ベッセルまたは容器は、半導体製造に使用されるガス、固体、または液体原材料の配置をその中に収容するように構成される。一実施例では、貯蔵ベッセルは、設定温度に維持される。一実施例では、断熱材は、ハウジングパネルのうちの1つ以上の表面上に配置される。断熱材は、キャビネットの外部からで、かつキャビネットに隣接する熱源からキャビネット内部貯蔵空間への、および貯蔵ベッセルへの熱エネルギーの伝達を低減するように位置付けられる。一実施例では、断熱材は、外部熱エネルギーが貯蔵ベッセルの温度に影響を与えることを除去または軽減する場所に位置付けられる。一実施例では、断熱材は、1つ以上のハウジングパネルの外側表面に沿って配置される。一実施例では、断熱材は、コーティングの形態で非予備成形材料として提供されてもよく、またはシートもしくはパネルの形態で予備成形された材料の形態で提供されてもよい。一実施例では、断熱材は、均一な厚さを有する。一実施例では、断熱材は、キャビネットの少なくとも2つ以上のパネル上に配置される。
【0006】
一実施例では、互いに隣接して位置付けられる2つ以上のキャビネットのアセンブリが存在してもよい。一実施例では、1つ以上のキャビネット間の熱管理は、隣接するキャビネットの隣接する外側表面間の空気絶縁ギャップの形態で提供されてもよい。一実施例では、空気絶縁ギャップは、少なくとも約5mm、および少なくとも約10mmであってもよい。一実施例では、キャビネットは、キャビネットのうちの1つ以上に貯蔵される材料の設定温度に対する外部熱状態の影響を除去または軽減する目的で、1つ以上のキャビネットのうちの1つ以上の表面、例えば、外側表面上に配置される上記に開示されている断熱材を備えることができる。
【0007】
一実施例では、半導体製造に使用されかつ外部熱源の近くに配置されるキャビネットの外部熱状態の影響を低減、軽減、または除去する方法は、断熱材がキャビネット表面と外部熱エネルギー源との間に介在されるように、断熱材をキャビネットの表面に付与することを含む。一実施例では、付与する工程は、キャビネットの表面上に非予備成形材料を付与して、それによって断熱材の層を形成することを含むことができる。一実施例では、付与する工程は、断熱材の予備成形シートまたはパネルをキャビネットの表面に取り付けることを含むことができる。一実施例では、本方法は、キャビネットの1つ以上の表面と外部熱源との間に空気絶縁ギャップを提供することを含んでもよく、キャビネットの1つ以上の表面は、断熱材を備えてもよい。
【0008】
本明細書に開示される熱管理システム、デバイス、および方法は、外部熱源によって生成される外部熱状態がキャビネット内に配置されたベッセル内に貯蔵された材料の設定温度に及ぼし得る影響を低減、軽減、または除去するように特別に構成されており(ベッセル内に貯蔵された材料が半導体製造加工中に使用される)、それによって、材料が、半導体製造加工中に効果的に使用されるための所望の適切な温度であることを保証する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書に開示されている半導体製造加工で使用されるキャビネット用の熱管理システムおよび装置のこれらおよびその他の特徴および利点は、添付図面に関連して考慮されるとき、以下の詳細な説明を参照することによってより良く理解され、認識されるであろう。
【0010】
図1図1は、本明細書に開示される熱管理システムおよび装置を含む3つのキャビネットの正面図である。
図2図2は、その中に配置される材料容器またはベッセルを示す、図1の1つのキャビネットの正面図である。
図3図3は、放射線および伝導の形態で外部熱状態にさらされる本明細書に開示される熱管理システムおよび装置を含む3つのキャビネットの正面図を代表的に示す。
図4図4は、放射線および伝導の形態で外部熱状態にさらされ、隣接するキャビネット内からの外部熱状態にもさらされる本明細書に開示される熱管理システムおよび装置を含む3つのキャビネットの正面図を代表的に示す。
図5図5は、本明細書に開示される熱管理システムおよび装置を含む2つのキャビネットのアセンブリの斜視正面図を代表的に示す。
図6A図6Aは、本明細書に開示される熱管理システムおよび装置を含む3つのキャビネットのアセンブリの第1斜視正面図を代表的に示す。
図6B図6Bは、本明細書に開示される熱管理システムおよび装置を含む図6Aの3つのキャビネットのアセンブリの第2斜視正面図を代表的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に開示される半導体製造加工で使用されるキャビネット用の熱管理システムおよび装置は、一般に、キャビネットの内部に1つ以上の容器またはベッセルに貯蔵された材料に対して、キャビネットの外部の熱状態の影響からの熱保護の改良度を提供するように構成される。一実施例では、本システムまたは装置は、外部熱状態に隣接したキャビネットの1つまたは複数の所望の表面に沿って位置付けられた断熱材の形態であってもよく、外部熱状態は、放射、伝導、または対流の形態であってもよい。一実施例では、断熱材は、キャビネットが外部熱状態源から距離をおいて位置付けられる空気であってもよく、および/またはキャビネットに取り付けられ得るか、もしくはそうでなければキャビネットに付与され得る断熱特性を有する材料であってもよい。
【0012】
図1は、互いに隣接して位置付けられる多数のキャビネット102を含むアセンブリ100を示し、キャビネットは、半導体製造加工中に使用される1つまたは複数の材料をその中に貯蔵するために使用される。図示した一実施例では、アセンブリ100は3つのキャビネット104、105、106を備え、それらは互いに隣接して位置付けられ、中央キャビネット105と端部または外側キャビネット104および106は、中央キャビネットのそれぞれ対向する側に直列に配置される。一実施例では、キャビネット102は、側面108および110および底部構造112を有する筐体107内に配置される。一実施例では、端部キャビネット104および106は、中央キャビネット105の隣接する対向する側の面から離れて位置付けられ、その間に空気絶縁ギャップ114を提供し、中央キャビネット105と外側キャビネット104および106との間の外部熱エネルギーの望ましくない伝達を軽減するように動作する。一実施例では、空気絶縁ギャップ114に加えて、またはその代わりに、中央キャビネット105の対向する側面と外側キャビネット104および106との間に、および/または端部キャビネット104および106の側面と、筐体の対向するそれぞれの側面108および110との間に、断熱材が介在され得る。
【0013】
キャビネット間のこのような断熱材の形状、タイプ、および配置場所は、キャビネット内に配置される材料の特定の温度などの要因に依存しうる。例えば、キャビネットの1つに貯蔵された材料が、隣接する容器に貯蔵された材料よりも高い(例えば、約30℃を超える)温度で維持される場合、断熱の使用が望ましく、断熱のタイプは、温度差の程度に依存する。例えば、温度差が十分に高い(例えば、約50℃より高い)場合、空気絶縁ギャップの使用は十分ではなく、キャビネットの1つ以上の表面に付与される断熱材の使用が望まれうる。一実施例では、空気絶縁ギャップが外部熱状態に対処するのに有用である場合、空気絶縁ギャップは、約5mmより大きく、約5~100mm、約8~20mm、または特定のキャビネット間隔の制約に応じて100mmより大きくてもよい。空気絶縁ギャップの特定のサイズは、様々な差要因に応じて変動しうるが、その変動は、本明細書に開示される熱管理システムおよび装置の範囲内であることが意図されることを理解されたい。
【0014】
図1に図示した例では、キャビネット102は、1つ以上のキャビネットの外側表面のうちの1つ以上に沿って配置される断熱材を備えるように構成される。一実施例では、断熱材は、キャビネットの外側裏面および外側上面に沿って配置される(図3~6Bを参照して以下によりよく説明される)。本実施例の断熱材の特定の配置位置は、キャビネットの背面および上部に沿って外部熱状態を生成する外部熱源の位置による。一例の断熱材の特定の配置位置が開示されているが、例えば、1つ以上の外部熱源の位置および関連する外部熱状態に応じて、キャビネット上の他の断熱材の配置位置は、本明細書に開示される熱管理システムおよび装置の範囲内であると理解されたい。
【0015】
本明細書に開示される使用に適した断熱材の例は、スプレー、ブラシ、またはその他の手段によってコーティングとして付与されて、キャビネットの表面上に断熱層を形成することができる、非予備成形材料を含む。断熱コーティング層を形成するのに適したこのような非予備成形材料の例は、パーフルオロアルコキシ(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素高分子材料、およびポリオキシメチレン(POM)などの断熱特性を有する他の高分子材料を含む。適切な断熱材はまた、キャビネットの表面に機械的にまたは接着剤などによって付着される材料のシートまたはプレートの形態で予備成形され提供されるものを含む。こうした予備成形された断熱材の例としては、例えば、オープンポアフォームなどのフォームの形態でありうるか、またはそうでない場合があり、シリコーンゴムなどのシリコーンが挙げられる。断熱材を形成するのに有用な材料のいくつかの特定の例が説明されているが、断熱特性を有する他の材料を使用して断熱材を形成してもよく、そのような他の材料はすべて、本明細書に開示されるシステムおよび装置の範囲内であると理解されたい。断熱材の特定の厚さは、使用される断熱材の種類、キャビネットへの外部熱源の近接、および外部熱源から放射される外部熱エネルギーの範囲などの要因に応じて変化する可能性があり、変化するであろう。一実施例では、断熱材は、約0.5mm~100mm、約5mm~50mm、および約10mm~30mmの厚さを有してもよい。
【0016】
図2は、図1に図示したような例示的なキャビネット120を示し、これは、キャビネット120の内側の内容を示すために、キャビネットから取り除かれた前面パネルまたはドア(図1に示す)を有するハウジング121を含む。キャビネットハウジング121は、金属材料など、劣化することなく高温に耐えることができる構造的に硬い材料から作製されてもよい。キャビネットハウジング121は、対向する側壁またはパネル122および124を含み、各々が、キャビネットハウジングの底面パネルまたは基部126から、キャビネットハウジング121の上面パネルまたはルーフ128まで延在する。キャビネットは、キャビネットハウジングの前面を覆い、取り外し可能でもよく、ヒンジアセンブリなどを使用して開閉するように構成されてもよいドア(図1に示す)を含む。キャビネットハウジング121はまた、2つの側壁122と124との間に挟み込まれ、基部126からルーフ128まで延びる、後壁またはパネル130を含む。一実施例では、異なる構造壁、ドア、基部、およびルーフはすべて、金属材料など、同じ構造的に硬い種類の材料から作製されることが好ましい。
【0017】
キャビネット120は、内部空間132内に所望の内容物を収容するようにサイズ設定される。一実施例では、半導体製造プロセス中にガス、液体、または固体の体積を収容するための貯蔵ベッセルまたは容器134は、内部空間132に配置され、容器またはベッセルは、例えば、加熱ジャケットなどを使用して、その中に配置された材料の制御温度または設定温度への加熱を容易にするように構成することができる。一実施例では、加熱制御装置135は、容器またはベッセル134の内容物を所望の設定温度に維持することを容易にするために、空間132内のキャビネット内に配置されてもよい。ポンプ、弁、パイプなどの流体処理要素136はまた、容器またはベッセル134から、例えば、半導体製造加工に使用される反応器または反応チャンバへの、キャビネットの外の場所への内容物の輸送を可能にするために、空間132内のキャビネット内に配置されてもよい。これは、半導体製造加工に使用されるキャビネットおよびその内容物の一例示的実施形態であり、参照のために提供される。キャビネットおよび半導体製造加工に使用されるこうしたキャビネットの内容物は、開示および図示されるものとは異なる構成とすることができ、本明細書に開示される熱管理システムおよび装置は、こうしたキャビネットの内容物に対する外部熱状態の影響を除去または軽減することを目的として、こうした異なる構成のキャビネットおよび内容物のすべてと併せて使用されることを理解されたい。
【0018】
図3は、筐体206内に配置された、本実施例では3つのキャビネット202、203、および204であるキャビネットの例示的なアセンブリ200を示す。本実施例におけるキャビネットは、キャビネットの内側に配置される容器またはベッセルに貯蔵されたガス、液体、または固体材料を含み、容器またはベッセル内の材料は、半導体製造装置加工で使用するための所望の設定温度で貯蔵される。筐体206は、対向する側壁208および210を含み、その各々は、筐体206から分離しているかまたはその一部でありうる基部または床212から垂直に延在する。半導体製造加工に使用される反応チャンバ214は、筐体206内のキャビネットの上方に距離をおいて位置付けられる。本実施例では、端部キャビネット202および204は、筐体のそれぞれの側壁208および210に対して側壁と共に位置付けられる。中央キャビネット203は、中央キャビネット203の側面と端部キャビネット202および204の隣接する側面との間に空気絶縁ギャップ216があるように配置される。
【0019】
図3は、キャビネットの内部の温度に影響を与えうる熱条件を生成する例示的な外部熱源を示す。反応チャンバ214は、キャビネットから外部に放射熱エネルギー218を放射し、これは3つのキャビネット202、204、および206すべてに伝達される。さらに、反応チャンバ214は、伝導性熱エネルギーを筐体側壁208および210に放射し、熱エネルギー220は、端部キャビネット202および204の隣接する側壁に伝導的に伝達される。したがって、本実施例では、3つのキャビネットすべてが、放射熱エネルギー218の形態で反応チャンバ214からの外部熱エネルギーにさらされ、2つの端部キャビネット202および204は、伝導性熱エネルギー220の形態で反応からの外部エネルギーにさらされる。このような実施例では、こうした外部熱がキャビネット200の内容物に与える影響を除去または軽減するために、3つのキャビネットの上部の外側表面に沿って、かつ筐体側壁208および201に隣接している端部キャビネット202および204の側壁の外側表面に沿って、(外部放射熱エネルギーに対処するために)上記に開示された断熱材を配置することが望まれうる。本実施例では、中央キャビネット203の側壁と端部キャビネット202および204の側壁との間の開放空間によって提供される空気絶縁ギャップ216は、反応チャンバ214によって生成される外部熱放射および伝導エネルギーの影響を除去または軽減するのに十分でありうる。しかしながら、熱反応器によって生成される外部熱状態の範囲に応じて、中央キャビネット203の側壁の外側表面および/または中央キャビネットに隣接する端部キャビネット202および204の外側表面に沿って、断熱材が提供されてもよい。
【0020】
図4は、上述の図3に示したものと同様の筐体206内に配置されたキャビネット200、例えば、キャビネット202、203、および204の例示的なアセンブリを示す。ここでの相違点は、キャビネットの1つ、例えば、中央キャビネット203は、その中に配置され高温で操作される容器またはベッセル、または他の要素230を含むことである。本実施例では、中央キャビネット要素230は、容器またはベッセル、または端部キャビネット202および204のうちの一方または両方に貯蔵されている他の要素が操作される温度よりも高い高温で操作される。したがって、本実施例では、中央キャビネット203はまた、端部キャビネット202および204に対して放射される外部熱エネルギー231の供給源でもある。したがって、本実施例では、反応チャンバ214によって生成される放射熱エネルギー218および筐体206によって伝達される伝導性熱エネルギー220に加えて、端部キャビネット202および204は、中央キャビネット203から放射される対流性または放射エネルギー231の影響を受ける。このような例では、図3について上記で論じたような断熱材の使用に加えて、中央キャビネット203に隣接する端部キャビネット202および204の側壁の外側表面に沿って、また、中央キャビネット203の側壁の外側表面に沿っても、断熱材を提供することが望まれうる。それによって、中央キャビネット203によって提供される熱エネルギーが、端部キャビネット202および204の内部の内容物の温度に影響を与えることを除去または軽減する。本実施例は、本明細書に開示されるシステムおよび装置によって熱管理が必要な外部熱状態の供給源が、隣接するキャビネットに貯蔵されている内容物の温度の違い、つまり、隣接するキャビネット内の内容物の温度差に起因する場合がある状況を説明するのに有用である。したがって、本明細書に開示される熱管理システムおよび装置は、断熱材の使用およびキャビネットの表面上のその戦略的な配置位置を通して、こうした状況に対処するように構成され、外部熱エネルギーの潜在的なすべての供給源に対応するのに有用である。
【0021】
図5は、半導体製造加工に使用される特定の温度で液体または流体を貯蔵するために、その中に容器またはベッセルを収容するように構成される、上述のタイプの2つのキャビネット302および303のアセンブリ300を示す。一実施例では、キャビネット302および303は、上面306、側面308、および裏面310を有し、各々が、その中に配置される、例えば、上記に開示されるように取り付けられるかまたは被覆される、断熱材312を有する。一実施例では、キャビネットドア314は、断熱材を含んでもよいし、含まなくてもよい。図示する本実施例では、キャビネットドア314は、断熱材を含まない。本実施例では、互いに隣接しないキャビネット側面は、特定の配置環境、およびこうした表面に隣接した何らかの外部熱エネルギーの存在の有無に応じて、その上に配置された断熱材を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0022】
図6Aおよび6Bは、半導体製造加工に使用される特定の温度で液体または流体を貯蔵するために、その中に容器またはベッセルを収容するように構成される、上述のタイプの3つのキャビネット402、403、および404のアセンブリ400の異なる斜視図を示す。一実施例では、キャビネット402、403および404は、上面406、側面408、および裏面410を有し、各々が、その中に配置される、例えば、上記に開示されるように取り付けられるかまたは被覆される、断熱材412を有する。一実施例では、キャビネットドア414は、断熱材を含んでもよいし、含まなくてもよい。図示する本実施例では、キャビネットドア414は、断熱材を含まない。
【0023】
半導体製造加工で使用される外部熱状態がキャビネットに与える影響を除去または軽減するための熱管理システムおよび方法のいくつかの例示的実施形態は上記で詳細に開示されたが、当業者は、本明細書に開示される例示的なシステムおよび方法の意図および目的から実質的に逸脱することなく、多くの修正が例示的実施形態において可能であると容易に理解するであろう。例えば、断熱材の使用が、キャビネットの外側表面に沿って配置されているとして開示されているが、こうした断熱材は、追加的または代替的に、キャビネットの内側表面に沿って配置されてもよい。また、断熱材は、1つ以上の壁またはキャビネットのパネルの実質的な全表面に沿って配置されているとして開示または図示されているが、特定の使用用途によって求められ得る場合に応じて、断熱材は壁またはパネルの部分的表面に沿ってのみ配置され得ることを理解されたい。したがって、熱管理システムおよび装置のこうした全ての修正は、以下の特許請求の範囲に定義される本開示の範囲内に含まれることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
【外国語明細書】