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特開2023-168332洗浄および表面処理のための原子状酸素およびオゾン装置
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  • 特開-洗浄および表面処理のための原子状酸素およびオゾン装置 図1A
  • 特開-洗浄および表面処理のための原子状酸素およびオゾン装置 図1B
  • 特開-洗浄および表面処理のための原子状酸素およびオゾン装置 図2
  • 特開-洗浄および表面処理のための原子状酸素およびオゾン装置 図3
  • 特開-洗浄および表面処理のための原子状酸素およびオゾン装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168332
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】洗浄および表面処理のための原子状酸素およびオゾン装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20231116BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20231116BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
H01L21/316 A
H01L21/205
H01L21/304 645D
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023140187
(22)【出願日】2023-08-30
(62)【分割の表示】P 2021516781の分割
【原出願日】2019-08-28
(31)【優先権主張番号】62/735,594
(32)【優先日】2018-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ウー バンキウ
(72)【発明者】
【氏名】ダガン イーライ
(57)【要約】
【課題】酸素洗浄チャンバ、および基板を原子状酸素洗浄する方法を提供する。
【解決手段】この酸素洗浄チャンバおよび基板を原子状酸素洗浄する方法は、原子状酸素をインシトゥ(その場)で発生させて基板の表面の材料を酸化することを提供する。この原子状酸素洗浄チャンバは、チャンバ本体、チャンバリッド、チャンバ本体およびチャンバリッドによって画定された処理容積、1つまたは複数のUV放射源を含むUV放射発生装置、処理容積内に配されたペデスタル、ならびにガス供給アセンブリを含む。ペデスタルは、UV放射発生装置からペデスタルの上面までの距離に対応する処理位置を有する。ガス供給アセンブリは、オゾン発生装置に接続されてペデスタルの上面の上にオゾンを供給するように構成されている。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ本体と、
チャンバリッドと、
前記チャンバ本体および前記チャンバリッドによって画定された処理容積と、
1つまたは複数の紫外線(UV)放射源を含むUV放射発生装置と、
前記処理容積内に配されたペデスタルであって、前記UV放射発生装置から前記ペデスタルの上面までの距離に対応する処理位置を有するペデスタルと、
前記ペデスタルの前記上面の上にオゾンを供給するように動作可能なガス供給アセンブリと
を備える、原子状酸素洗浄チャンバ。
【請求項2】
前記ガス供給アセンブリが、
前記チャンバリッドに形成されたプレナムであって、オゾン発生装置に接続されるように構成されたプレナムと、
前記プレナムに結合されたシャワーヘッドであって、前記ペデスタルの前記上面の上にオゾンを供給するための複数のチャネルを有するシャワーヘッドと
を備える、請求項1に記載のチャンバ。
【請求項3】
前記ガス供給アセンブリが、
前記チャンバ本体に形成されたガス入口を備え、前記ガス入口が、
オゾン発生装置に接続されるように構成されたマニホールドと、
前記ペデスタルの前記上面の上にオゾンを供給するための複数のチャネルを有するフローガイドと
を有する、請求項1に記載のチャンバ。
【請求項4】
前記1つまたは複数のUV放射源が、波長約240ナノメートル(nm)~約310nmの放射を発射するように構成された、請求項1~3のいずれか1項に記載のチャンバ。
【請求項5】
移送チャンバに結合された1つまたは複数のサービスチャンバおよび1つまたは複数の原子状酸素洗浄チャンバと、
前記移送チャンバに収容されたロボットであって、前記1つまたは複数のサービスチャンバと前記1つまたは複数の原子状酸素洗浄チャンバとの間で基板を移送するために使用されるロボットと
を備え、前記1つまたは複数の原子状酸素洗浄チャンバがそれぞれ、
チャンバ本体と、
チャンバリッドと、
前記チャンバ本体および前記チャンバリッドによって画定された処理容積と、
1つまたは複数の紫外線(UV)放射源を含むUV放射発生装置と、
前記処理容積内に配されたペデスタルであって、前記UV放射発生装置から前記ペデスタルの上面までの距離に対応する処理位置を有するペデスタルと、
前記ペデスタルの前記上面の上にオゾンを供給するように動作可能なガス供給アセンブリと
を備える、システム。
【請求項6】
前記ガス供給アセンブリが、
前記チャンバリッドに形成されたプレナムであって、オゾン発生装置に接続されるように構成されたプレナムと、
前記プレナムに結合されたシャワーヘッドであって、前記ペデスタルの前記上面の上にオゾンを供給するための複数のチャネルを有するシャワーヘッドと
を備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記ガス供給アセンブリが、
前記チャンバ本体に形成されたガス入口を備え、前記ガス入口が、
オゾン発生装置に接続されるように構成されたマニホールドと、
前記ペデスタルの前記上面の上にオゾンを供給するための複数のチャネルを有するフローガイドと
を有する、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記1つまたは複数のUV放射源が、波長約240ナノメートル(nm)~約310nmの放射を発射するように構成された、請求項5~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
基板を原子状酸素洗浄する方法であって、
1つまたは複数の表面を有する基板を、原子状酸素洗浄チャンバの処理容積内に配されたペデスタルの上面に配置することであって、前記ペデスタルの前記上面が、前記原子状酸素洗浄チャンバの紫外線(UV)放射発生装置から離れており、前記1つまたは複数の表面の第1の表面が前記UV放射発生装置の方へ向けられている、配置することと、
前記処理容積にオゾンを流入させ、前記基板の前記第1の表面の上にオゾンを供給することと、
前記UV発生装置から前記オゾンに向かって、波長約240ナノメートル(nm)~約310nmの放射を発射することと
を含む、方法。
【請求項10】
オゾン流が、前記原子状酸素洗浄チャンバのチャンバ本体に配されたガス入口のマニホールド全体にわたって供給され、前記ガス入口のフローガイドの複数のチャネルを通って流れ、前記処理容積内の前記基板の前記第1の表面の上に供給される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
オゾン流が、前記原子状酸素洗浄チャンバのチャンバリッドに配されたプレナム全体にわたって供給され、前記プレナムに結合されたシャワーヘッドの複数のチャネルを通って流れ、前記処理容積内の前記基板の前記第1の表面の上に供給される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記基板の第2の表面を配置し、前記処理容積への前記オゾンの流入、前記オゾンの供給および前記放射の発射を繰り返すことをさらに含む、請求項9~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記UV放射発生装置からの距離が約7ミリメートル(mm)~約30mmである、請求項9~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記オゾンが、約50sccm~約20000sccmの流量で前記原子状酸素洗浄チャンバの前記処理容積に流入される、請求項9~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記処理容積内の圧力が約0psi~約15psiである、請求項9~15のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は一般に、機器を洗浄するための装置および方法に関する。より詳細には、本開示の実施形態は、酸素洗浄チャンバ、および基板を原子状酸素洗浄する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの洗浄では、基板の表面から汚染物質を除去し、それによって表面を清浄にしておくことがしばしば望ましい。洗浄しない場合には、半導体デバイス性能に否定的な影響を与える汚染物質が存在する可能性がある。基板などの半導体デバイス、フォトマスクフォトレジストストリップ、チャンバ部品の清浄性は、製品歩留り、チャンバ使用可能時間および顧客コストに影響を与える。
【0003】
大部分の基板洗浄技法は、紫外線(UV)放射にさらされた酸素含有洗浄剤を利用して基板の表面を酸化させる。他の酸素含有洗浄剤との比較において、原子状酸素は、より大きなスループットのために基板の表面がより高速度で洗浄されるような、最も高い反応速度および酸化能力を有する。しかしながら、原子状酸素の寿命は短く、形成されると原子状酸素はO2および酸素含有洗浄剤の他の分子と結合する。
【0004】
したがって、本技術分野では、改良された酸素洗浄チャンバ、および基板を原子状酸素洗浄する方法が求められている。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態では、原子状酸素洗浄チャンバが提供される。この原子状酸素洗浄チャンバは、チャンバ本体と、チャンバリッドと、チャンバ本体およびチャンバリッドによって画定された処理容積と、1つまたは複数の紫外線(UV)放射源を含むUV放射発生装置と、処理容積内に配されたペデスタルと、ガス供給アセンブリとを含む。ペデスタルは、UV放射発生装置からペデスタルの上面までの距離に対応する処理位置を有する。ガス供給アセンブリは、ペデスタルの上面の上にオゾンを供給するように動作可能である。
【0006】
別の実施形態では、システムが提供される。このシステムは、移送チャンバに結合された1つまたは複数のサービスチャンバおよび1つまたは複数の原子状酸素洗浄チャンバを含む。移送チャンバにはロボットが収容されており、このロボットは、この1つまたは複数のサービスチャンバとこの1つまたは複数の原子状酸素洗浄チャンバとの間で基板を移送するために使用される。この1つまたは複数の原子状酸素洗浄チャンバはそれぞれ、チャンバ本体と、チャンバリッドと、チャンバ本体およびチャンバリッドによって画定された処理容積と、1つまたは複数の紫外線(UV)放射源を含むUV放射発生装置と、処理容積内に配されたペデスタルと、ガス供給アセンブリとを含む。ペデスタルは、UV放射発生装置からペデスタルの上面までの距離に対応する処理位置を有する。ガス供給アセンブリは、ペデスタルの上面の上にオゾンを供給するように動作可能である。
【0007】
さらに別の実施形態では、基板を原子状酸素洗浄する方法が提供される。この方法は、1つまたは複数の表面を有する基板を、原子状酸素洗浄チャンバの処理容積内に配されたペデスタルの上面に配置することを含む。ペデスタルの上面は、原子状酸素洗浄チャンバの紫外線(UV)放射発生装置から離れている。この1つまたは複数の表面の第1の表面がUV放射発生装置の方へ向けられる。オゾンが処理容積に流入され、オゾンは基板の第1の表面全体にわたって供給される。UV発生装置からオゾンに向かって、波長約240ナノメートル(nm)~約310nmの放射が発射される。
【0008】
上に挙げた本開示の特徴を詳細に理解することができるように、そのうちのいくつかが添付図面に示されている実施形態を参照することによって、上に概要を簡潔に示した本開示がより具体的に説明されている場合がある。しかしながら、添付の図面は例示的な実施形態を示しているにすぎず、したがって、本開示は他の等しく有効な実施形態を受け入れることができることから、添付図面を、範囲を限定するものと考えるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本明細書に記載された一実施形態による原子状酸素洗浄チャンバの略横断面図である。
図1B】本明細書に記載された一実施形態による原子状酸素洗浄チャンバのチャンバ本体の略断面図である。
図2】本明細書に記載された一実施形態による原子状酸素洗浄チャンバの略横断面図である。
図3】本明細書に記載された一実施形態によるシステムの略図である。
図4】本明細書に記載された一実施形態による、基板を原子状酸素洗浄する方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にするため、可能な場合には、これらの図に共通する同一の要素を示すのに同一の参照番号を使用した。別段の断り書きがない限り、1つの実施形態の要素および特徴を他の実施形態に有益に組み込み得ることが企図される。
【0011】
本明細書に記載された実施形態は、酸素洗浄チャンバ、および基板を原子状酸素洗浄する方法に関する。この酸素洗浄チャンバおよび基板を原子状酸素洗浄する方法は、原子状酸素をインシトゥ(その場)で発生させて基板の表面の材料を酸化することを提供する。
【0012】
図1Aは、原子状酸素洗浄チャンバ100の略横断面図である。一実施形態では、原子状酸素洗浄チャンバ100が、基板を原子状酸素洗浄する方法400に対して利用される。原子状酸素洗浄チャンバ100は、チャンバ本体102およびチャンバリッド104を有する。原子状酸素洗浄チャンバ100は処理容積106を含む。処理容積106は、チャンバ本体102およびチャンバリッド104によって画定された空間である。処理容積106は、原子状酸素洗浄チャンバ100内で基板101を支持するためのペデスタル110を有する。ペデスタル110は、ステム112によって支持されている。ペデスタル110は、チャンバ本体102を通って延びるステム112によって処理容積106内に移動可能に配されており、ステム112は、(図示の)処理位置と移送位置との間でペデスタル110を移動させるリフトシステム(図示せず)に接続されており、移送位置は、チャンバ本体102内に形成されたスリットバルブ114を通した処理容積106への基板移送および処理容積106からの基板移送を容易にする。処理位置は、紫外線(UV)放射発生装置156からペデスタル110の上面120までの距離116に対応する。
【0013】
図1Aに示されているとおり、原子状酸素洗浄チャンバ100はガス供給アセンブリ122を含む。ガス供給アセンブリ122は、ガス入口124、酸素含有ガス源126、オゾン(O3)発生装置128および流量制御装置130を含む。オゾン発生装置128は、第1の導管132を介して酸素含有ガス源126と流体連結している。オゾン発生装置128は、酸素含有ガスからオゾンを発生させること、ならびにそのオゾンを一定の圧力および濃度に維持することができる。第2の導管134を介してオゾン発生装置と流体連結した、質量流量制御(MFC)装置などの流量制御装置130は、オゾン発生装置128からのオゾンの流量を制御する。原子状酸素洗浄チャンバ100は制御装置118を含む。制御装置118は、中央処理ユニット(CPU)、メモリおよびCPUの支援回路を含む。制御装置118は、原子状酸素洗浄チャンバ100に対する、基板101を原子状酸素洗浄する方法400などの動作パラメータおよび動作の制御を可能にする。
【0014】
図1Bは、ガス入口124およびガス出口140を有するチャンバ本体102の略断面図である。ガス入口124は、マニホールド142およびフローガイド144を含む。マニホールド142は、第3の導管136を介してオゾン発生装置128に接続されている。オゾン流は、マニホールド142全体にわたって供給され、フローガイド144の複数のチャネル146を通って流れ、ペデスタル110の上面120の上に供給される。ガス出口140はチャンバ本体102に配されている。図1Aを参照すると、UV放射発生装置156は、チャンバリッド104に結合された1つまたは複数のUV放射源158を含む。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、この1つまたは複数のUV放射源158のうちの少なくとも1つのUV放射源158が低圧水銀ランプである。処理容積106内の圧力を制御し、副生物を処理容積106からガス出口140を通し第4の導管141を介して排出するために、ガス出口140にはポンプ138が結合されている。
【0015】
図2は、一実施形態による原子状酸素洗浄チャンバ200の略横断面図である。原子状酸素洗浄チャンバ200はガス供給アセンブリ202を含む。ガス供給アセンブリ202は、酸素含有ガス源126、オゾン(O3)発生装置128および流量制御装置130を含む。さらに、図2に示されているとおり、ガス供給アセンブリ202は、チャンバリッド104に形成されたプレナム204およびプレナム204に結合されたシャワーヘッド206を含む。シャワーヘッド206は複数のチャネル208を有する。オゾン流は、プレナム204全体にわたって供給され、シャワーヘッド206の複数のチャネル208を通って流れ、ペデスタル110の上面120の上に供給される。シャワーヘッド206には、1つまたは複数のUV放射源158を含むUV放射発生装置156が結合されている。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、この1つまたは複数のUV放射源158のうちの少なくとも1つのUV放射源158が低圧水銀ランプである。処理容積106内の圧力を制御し、副生物を処理容積106から第4の導管141を介して排出するために、チャンバ本体102の出口154にはポンプ138が結合されている。制御装置118は、原子状酸素洗浄チャンバ200に対する、基板101を原子状酸素洗浄する方法400などの動作パラメータおよび動作の制御を可能にする。
【0016】
図1Aおよび図2を参照すると、UV放射発生装置156は、UV放射を発生させる1つまたは複数のUV放射源158を含む。UV放射源158は、波長約240nm~約310nmの放射を発射するように構成されたランプ、LEDエミッタまたは他のUVエミッタとすることができる。基板101の表面の上に供給されたオゾンはこの放射にさらされ、酸素ガス(O2)と原子状酸素(O)とに転化する。この酸素ガスおよび原子状酸素は、基板101の表面の炭化水素などの無機材料を酸化し、副生物として二酸化炭素(CO2)と水(H2O)を生成する。ポンプ138は、この副生物を処理容積106から排出する。
【0017】
他の酸素含有洗浄剤との比較において、原子状酸素は、より大きなスループットのために基板101の表面がより高速度で洗浄されるような、最も高い反応速度および酸化能力を有する。一例を挙げると、原子状酸素は、基板101の表面のSO2を即座にSO3に酸化することができ、それによって、SO3を、続く水洗浄ステップにより容易に取り除くことができる。基板101を原子状酸素洗浄することによるSO2の除去は、ヘイズ欠陥(haze defect)の蓄積を減速させる。しかしながら、原子状酸素の寿命は短く、形成されると原子状酸素はO2および他の分子と結合する。UV放射発生装置156が発生させた放射がインシトゥ(その場)でそのオゾンを原子状酸素に転化させるような態様で、オゾン発生装置128は、処理容積106にオゾンを連続的に供給することができる。処理容積内でのインシトゥ(その場)原子状酸素発生は、高濃度の原子状酸素を基板101の表面に供給する。UV放射発生装置156からペデスタル110の上面120までの距離116は、基板101の表面に供給される原子状酸素の濃度を制御する。
【0018】
図3は、基板を原子状酸素洗浄する方法400に対して利用されるシステム300の略図である。以下で説明するシステムは例示的なシステムであり、他の製造業者のシステムを含む他のシステムを本開示の諸態様とともに使用すること、および他の製造業者のシステムを含む他のシステムを本開示の諸態様を達成するように変更することができることを理解されたい。システム300は、移送チャンバ306に結合された1つまたは複数のサービスチャンバ304と、原子状酸素洗浄チャンバ301のうちの1つまたは複数の原子状酸素洗浄チャンバ301とを含む。別の実施形態では、システム300は、移送チャンバ306に結合された1つまたは複数の処理チャンバ302を含む。この1つまたは複数のサービスチャンバ304は、ガス抜き、配向、クールダウン、前処理/前洗浄、後アニールなどのうちの少なくとも1つに対して適合されている。この1つまたは複数の処理チャンバ302は、急速熱処理(RTP)、エピタキシャル(EPI)堆積、化学気相堆積(CVD)、プラズマ化学気相堆積(PECVD)、物理的気相堆積(PVD)などのうちの少なくとも1つに対して適合されている。移送チャンバ306は、サービスチャンバ304、処理チャンバ302および原子状酸素洗浄チャンバ301間で基板を移送するために使用されるロボット308を収容している。
【0019】
図4は、基板を原子状酸素洗浄する方法400の流れ図である。説明を容易にするため、図4は、図1A図1Bおよび図2を参照して説明される。しかしながら、原子状酸素洗浄チャンバ100および原子状酸素洗浄チャンバ200以外の原子状酸素洗浄チャンバを方法400とともに利用することができること、ならびにシステム300以外のシステムを方法400とともに利用することができることに留意されたい。
【0020】
任意選択の操作401で、原子状酸素洗浄チャンバ301に基板101を移送する。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、原子状酸素洗浄チャンバ301は原子状酸素洗浄チャンバ100である。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、原子状酸素洗浄チャンバ301は原子状酸素洗浄チャンバ200である。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、システム300のロボット308が、処理チャンバ302またはサービスチャンバ304から原子状酸素洗浄チャンバ301に基板101を移送する。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる操作402で、ペデスタル110上に基板101を配置する。1つまたは複数の表面を有する基板101の第1の表面がUV放射発生装置156の方へ向けられる。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、紫外線(UV)放射発生装置156からペデスタル110の上面120までの距離116が約7ミリメートル(mm)~約30mmである。操作403で、処理容積106にオゾン流を供給する。一実施形態では、オゾンガスを、約50sccm~約20000sccmの流量で処理容積106に流入させる。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、原子状酸素洗浄チャンバ301内の圧力が約0psi~約15psiである。オゾン流は、処理容積106内の基板101の第1の表面の上に供給される。操作404で、UV放射発生装置156が放射を発射する。処理容積106内の基板101の第1の表面の上に供給されたオゾン流はこの放射にさらされ、酸素ガス(O2)と原子状酸素(O)とに転化する。この酸素ガスおよび原子状酸素は、基板101の第1の表面の炭化水素などの有機材料を酸化し、副生物として二酸化炭素(CO2)と水(H2O)を生成する。操作405で、この副生物を処理容積106から除去する。任意選択の操作406で、基板101の後続の表面に対して操作403および操作404を繰り返す。方法400の終わりに、システム300のロボット308は、原子状酸素洗浄チャンバ301から処理チャンバ302またはサービスチャンバ304に基板101を移送することができる。
【0021】
要約すると、本明細書には、原子状酸素洗浄チャンバ、および基板を原子状酸素洗浄する方法が記載されている。他の酸素含有洗浄剤との比較において、原子状酸素は、より大きなスループットのために基板の表面がより高速度で洗浄されるような、最も高い反応速度および酸化能力を有する。それぞれの原子状酸素洗浄チャンバは、UV放射発生装置が発生させた放射がインシトゥ(その場)でそのオゾンを原子状酸素に転化させるような態様で処理容積にオゾンを連続的に提供するオゾン発生装置を含む。処理容積内でのインシトゥ(その場)原子状酸素発生は、高濃度の原子状酸素を基板の表面に供給する。
【0022】
以上の説明は本開示の例を対象としているが、本開示の基本的範囲を逸脱することなく、本開示の他の例およびさらなる例を考案することができ、本開示の範囲は、下記の請求項によって決定される。
図1A
図1B
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-09-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ本体と、
チャンバリッドと、
前記チャンバ本体および前記チャンバリッドによって画定された処理容積と、
1つまたは複数の紫外線(UV)放射源を含むUV放射発生装置と、
前記処理容積内に配されたペデスタルであって、前記UV放射発生装置から前記ペデスタルの上面までの距離に対応する処理位置を有するペデスタルと、
前記ペデスタルの前記上面の上に前記チャンバ本体のガス入口からオゾンを供給し、前記チャンバ本体のガス出口に対して副生物を供給するように動作可能なガス供給アセンブリと
を備え、
前記1つまたは複数の紫外線(UV)放射源は、前記ガス入口と前記処理容積内のチャンバリッドの下側との間に配置される、原子状酸素洗浄チャンバ。
【請求項2】
前記ガス供給アセンブリが、
前記チャンバリッドに形成されたプレナムであって、オゾン発生装置に接続されるように構成されたプレナムと、
前記プレナムに結合されたシャワーヘッドであって、前記ペデスタルの前記上面の上にオゾンを供給するための複数のチャネルを有するシャワーヘッドと
を備える、請求項1に記載のチャンバ。
【請求項3】
前記ガス供給アセンブリが、
前記チャンバ本体に形成されたガス入口を備え、前記ガス入口が、
オゾン発生装置に接続されるように構成されたマニホールドと、
前記ペデスタルの前記上面の上にオゾンを供給するための複数のチャネルを有するフローガイドと
を有する、請求項1に記載のチャンバ。
【請求項4】
前記1つまたは複数のUV放射源が、波長約240ナノメートル(nm)~約310nmの放射を発射するように構成された、請求項1に記載のチャンバ。
【請求項5】
前記ペデスタルは、前記処理位置と移送位置との間で前記ペデスタルを移動させるように動作可能であるステムに接続されている、請求項1に記載のチャンバ。
【請求項6】
移送チャンバに結合された1つまたは複数のサービスチャンバおよび1つまたは複数の原子状酸素洗浄チャンバと、
前記移送チャンバに収容されたロボットであって、前記1つまたは複数のサービスチャンバと前記1つまたは複数の原子状酸素洗浄チャンバとの間で基板を移送するために使用されるロボットと
を備え、前記1つまたは複数の原子状酸素洗浄チャンバがそれぞれ、
チャンバ本体と、
チャンバリッドと、
前記チャンバ本体および前記チャンバリッドによって画定された処理容積と、
1つまたは複数の紫外線(UV)放射源を含むUV放射発生装置と、
前記処理容積内に配されたペデスタルであって、前記UV放射発生装置から前記ペデスタルの上面までの距離に対応する処理位置を有するペデスタルと、
前記チャンバリッドに形成されたプレナムから、複数のチャネルを有する前記プレナムに接続されたシャワーヘッドを介して、前記ペデスタルの前記上面の上にオゾンを供給するように動作可能なガス供給アセンブリと
を備え、
前記1つまたは複数の紫外線(UV)放射源は、前記処理容積内の前記シャワーヘッドの下側に接続されている、システム。
【請求項7】
前記プレナムは、オゾン発生装置に接続されるように構成される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記ガス供給アセンブリが、
前記チャンバ本体に形成されたガス入口を備え、前記ガス入口が、
オゾン発生装置に接続されるように構成されたマニホールドと、
前記ペデスタルの前記上面の上にオゾンを供給するための複数のチャネルを有するフローガイドと
を有する、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記1つまたは複数のUV放射源が、波長約240ナノメートル(nm)~約310nmの放射を発射するように構成された、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記ペデスタルは、前記処理位置と移送位置との間で前記ペデスタルを移動させるように動作可能であるステムに接続されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
前記1つまたは複数のサービスチャンバは、ガス抜き、配向、クールダウン、前洗浄及び後アニール処理のうちの少なくとも1つに対して適合されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項12】
基板を原子状酸素洗浄する方法であって、
1つまたは複数の表面を有する基板を、原子状酸素洗浄チャンバの処理容積内に配されたペデスタルの上面に配置することであって、前記ペデスタルの前記上面が、前記原子状酸素洗浄チャンバの紫外線(UV)放射発生装置から離れており、前記1つまたは複数の表面の第1の表面が前記UV放射発生装置の方へ向けられている、配置することと、
前記チャンバ本体のガス入口から前記処理容積にオゾンを流入させ、前記オゾンが前記基板の前記第1の表面の上に供給され、副生物が前記チャンバ本体のガス出口に向かって流れるようにすることと、
前記UV発生装置から前記オゾンに向かって、波長約240ナノメートル(nm)~約310nmの放射を発射することと
を含む、方法。
【請求項13】
オゾン流が、前記原子状酸素洗浄チャンバのチャンバ本体に配されたガス入口のマニホールド全体にわたって供給され、前記ガス入口のフローガイドの複数のチャネルを通って流れ、前記処理容積内の前記基板の前記第1の表面の上に供給される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記基板の第2の表面を配置し、前記処理容積への前記オゾンの流入、前記オゾンの供給および前記放射の発射を繰り返すことをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記UV放射発生装置からの距離が約7ミリメートル(mm)~約30mmである、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記オゾンが、約50sccm~約20000sccmの流量で前記原子状酸素洗浄チャンバの前記処理容積に流入される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記処理容積内の圧力が約0psi~約15psiである、請求項12に記載の方法。
【外国語明細書】