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▶ ケーエルエー−テンカー コーポレイションの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168349
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】計量ターゲットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 9/00 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
G03F9/00 H
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023143885
(22)【出願日】2023-09-05
(62)【分割の表示】P 2021505203の分割
【原出願日】2018-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エルシャルミ リラン
(72)【発明者】
【氏名】ボルコビッチ ロイエ
(57)【要約】
【課題】プロセスオーバレイ誤差を低減又は解消する計量ターゲットを提供する。
【解決手段】計量ターゲットは、別様にセグメント化された周期構造を一対(又は複数対)有するものとし、例えばある周期構造はセグメント化無し、対をなす別の周期構造はデバイス様セグメント化とする。計量ターゲット製造方法は、先行層所在周期構造作成直後且つ現行層所在周期構造作成前に先行層所在周期構造から計量計測結果を導出し、導出した計測結果を用い現行層作成の一部分たるリソグラフィ段階(群)を調整する(ステップ120)ものとする。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期構造がウェハのうち少なくとも先行層及び現行層に備わる計量ターゲットの製造方法であって、
先行層所在周期構造の作成直後、現行層所在周期構造の作成に先立ち、前記先行層所在周期構造から計量計測結果を導出し、これにより導出した計量計測結果を生成し、
導出した前記計量計測結果を用い、少なくとも、現行層作成の一部分たるリソグラフィ段階を調整し、
前記計量ターゲットが少なくとも2対の周期構造を備え、少なくとも1対が前記先行層、他の少なくとも1対が前記現行層内にあり、各対にて、ある周期構造がデバイス様セグメント化で以てセグメント化されており、他の周期構造がセグメント化されておらず、導出した前記計量計測結果は前記少なくとも1対の前記先行層の周期構造に関する前記デバイス様セグメント化された構造のオーバレイ計測結果と前記セグメント化されていない構造のオーバレイ計測結果を含む、
計量ターゲットの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の計量ターゲットの製造方法であって、前記計量ターゲットは、二通りの計測方向それぞれに沿い2対又は3対の周期構造を有する撮像ターゲットとして構成される、計量ターゲットの製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の計量ターゲットの製造方法であって、前記計量ターゲットは、少なくとも一通りの計測方向に沿い2個の横並び格子オーバ格子周期構造を有するスキャタロメトリターゲットとして構成される、計量ターゲットの製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の計量ターゲットの製造方法により製造される計量ターゲットのターゲットデザインファイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体計量の分野、より具体的にはプロセスオーバレイ誤差の解消又は低減に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造におけるノードサイズが縮小されるにつれ、プロセスオーバレイ誤差の影響がかつてなく顕著になってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0076205号
【特許文献2】米国特許出願公開第2012/0244461号
【特許文献3】国際公開第2014/205274号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、プロセスオーバレイ誤差を解消又は低減することでデバイスオーバレイを改善(低減)する効率的且つ経済的な方法及び機構を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の簡略な概要では本発明についての初期的理解を図っている。本概要は、本発明の根幹要素を必ずしも特定せず技術的範囲も限定しないが、専ら後続する記述への序章としては役立つものである。
【0006】
本発明の一態様により提供されるのは、周期構造がウェハのうち少なくとも先行層及び現行層に備わる計量ターゲットをリソグラフィ調製に際し利用するプロセス制御方法であって、先行層所在周期構造の作成直後に、現行層所在周期構造の作成に先立ち、先行層所在周期構造から計量計測結果を導出し、導出した計測結果を用い、少なくとも、現行層作成の一部分たるリソグラフィ段階を調整するプロセス制御方法である。
【0007】
本発明のこれらの、付加的な及び/又はその他の諸態様及び/又は長所については、後続する詳細記述中で説明され、恐らくはその詳細記述から推量可能であり、及び/又は、本発明の実施により学習可能である。
【0008】
本発明の諸実施形態についてより良好な理解を図りそれをどう実施すればよいかを示すため、以下、全体を通じ対応諸要素又は諸部分に同様の符号が付されている添付図面を、純粋に例示手段として、参照することにする。
【0009】
添付図面は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】本発明の幾つかの実施形態に係るプロセス制御方法の上位模式ブロック図である。
図1B】本発明の幾つかの実施形態に係るプロセス制御方法の上位模式ブロック図である。
図2A】本発明の幾つかの実施形態に係り計量ターゲットに適用可能な設計原理の上位模式図である。
図2B】本発明の幾つかの実施形態に係り計量ターゲットに適用可能な設計原理の上位模式図である。
図2C】本発明の幾つかの実施形態に係り計量ターゲットに適用可能な設計原理の上位模式図である。
図3】本発明の幾つかの実施形態に係り本件開示の計測方法に関連する作成後計量ターゲットの上位模式図である。
図4】本発明の幾つかの実施形態に係り本件開示の計測方法に関連する作成後計量ターゲットの上位模式図である。
図5】本発明の幾つかの実施形態に係るプロセス制御方法を用いるべく横並び印刷しうるよう設計された計量スキャタロメトリ(散乱計測法)ターゲットの上位模式図である。
図6A】本発明の幾つかの実施形態に係る生産システムの上位模式図である。
図6B】本発明の幾つかの実施形態に係る生産システムの上位模式図である。
図7A】本発明の幾つかの実施形態に係る生産システムの上位模式図である。
図7B】本発明の幾つかの実施形態に係る生産システムの上位模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の記述では本発明の様々な態様が述べられている。説明目的にて具体的な構成及び細部を説明し本発明の一貫理解を図っている。とはいえ、本件技術分野に習熟した者(いわゆる当業者)にはやはり明らかな通り、本発明を本願提示の具体的細部抜きで実施してもよい。更に、本発明を曖昧化させないため周知特徴を省略又は単純化したところがある。図面への具体的参照との関連では、図示事項が例示であり専ら本発明についての例証的議論を目的としていること、並びにそれらの提示理由が本発明の諸原理及び概念的諸側面についての最有用且つ理解容易な記述と思しきものの提供であることを、強調しておく。その関連で、本発明の基礎的理解に必要な以上に詳細に本発明の構造的細部を示す試みはせず、本明細書を図面と併用することで、本発明の幾つかの形態をどのように実施すればよいかをいわゆる当業者向けに明らかにしている。
【0012】
本発明の少なくとも1個の実施形態を詳説するのに先立ち、後掲の記述中で説明され又は図面中に描出されている諸部材の詳細構成及び配置により本発明の用途が限定されないことを、理解されたい。本発明は、様々なやり方で実施又は実行されうる他の諸実施形態にも開示諸実施形態の組合せにも適用することができる。やはり理解されたいことに、本願にて採用されている表現法及び用語法は記述目的のものであり、限定として解されるべきではない。
【0013】
別様な具体的宣明がない限り、後掲の議論から明察される通り、明細書の随所にあり「処理」、「計算」、「算出」、「判別」、「拡張」、「導出」等の語を利用している具体的議論は皆、コンピュータ若しくは情報処理システム又はそれに類する電子情報処理装置の動作及び/又はプロセスであり、その情報処理システムのレジスタ及び/又はメモリ内で物理量例えば電子量として表現されているデータを操作し、及び/又は、その情報処理システムのメモリ、レジスタその他の情報格納、伝送又は表示装置内で物理量として同様に表現される他のデータへと変換するもののことを、指すものと認められる。ある種の実施形態によれば、照明テクノロジを、可視域内電磁輻射、紫外線或いは更に短波長の輻射例えばX線により、恐らくは粒子ビームによってさえも、構成することができる。
【0014】
本発明の諸実施形態は、プロセスオーバレイ誤差を解消又は低減することでデバイスオーバレイを改善(低減)する効率的且つ経済的な方法及び機構を提供し、それにより半導体製造及び計量の技術分野に改善をもたらすものである。
【0015】
半導体ノードサイズが縮小され続けているため、開示諸実施形態では、そのオーバレイの変動を低減し、オンプロダクトオーバレイ(OPO)に影響するプロセス変動の制御を改善している。具体的には、開示諸実施形態では、フィーチャ(外形特徴)サイズ依存性を有するオーバレイシフトを引き起こしかねない入来プロセスに関わるオーバレイ変動を、低減又は解消している。その制御を改善するため、開示諸実施形態では、個別のリソグラフィプロセス段階に先立ち計測結果を確定し、それらウェハ単位の計測結果をフィードフォワードすることで、リソグラフィツール例えばスキャナにおけるウェハ別オーバレイ制御を改善している。以下、そうしたターゲット設計、計測及び制御を可能にする諸概念について開示する。
【0016】
プロセスオーバレイ誤差を低減又は解消するためプロセス制御方法、計量ターゲット及び生産システムを提示する。計量ターゲットは、例えばある周期構造ではセグメント化無し、それと対をなす別の周期構造ではデバイス様セグメント化、といった具合に、セグメント化の様相が異なる一対(又は複数対)の周期構造を有するものとする。プロセス制御方法は、先行層所在周期構造の作成直後に、現行層所在周期構造の作成に先立ち、先行層所在周期構造から計量計測結果を導出し、導出した計測結果を用い現行層作成の一部分たるリソグラフィ段階(群)を調整するものである。生産システムは、リソグラフィツール(群)及び計量ツール(群)を統合し、層毎プロセス調整が可能な生産フィードバックループの態にしたものである。
【0017】
図1A及び図1Bは、本発明の幾つかの実施形態に係るプロセス制御方法100の上位模式ブロック図である。本プロセス制御方法では、周期構造214がウェハ90のうち少なくとも先行層210A及び現行層210Bに備わる計量ターゲット210(図2A図2C及び図3図5に描かれているターゲットを参照)を、リソグラフィ調製に際し利用する。本方法の諸段階は、後述のシステム250(例えば図6A図6B図7A及び図7B参照)との連携で実行することができ、必須ではないが方法100を実施するようそのシステムを構成することができる。方法100は、少なくとも1個のコンピュータプロセッサ、例えば制御ユニット240、計量モジュール230又はリソグラフィモジュール220(図6A図6B図7A及び図7B参照)内のそれにより、少なくとも部分的に実施することができる。ある種の実施形態は、コンピュータ可読格納媒体を備え、そのコンピュータ可読格納媒体で以てコンピュータ可読プログラムを体現し、方法100の関連諸段階を実行するようそのコンピュータ可読プログラムを構成した、コンピュータプログラム製品を備える。ある種の実施形態は、本件開示の個別計量ターゲット210のターゲットデザインファイルを備える。方法100は、その順序如何を問わず、以下の諸段階で構成されうる。
【0018】
方法100では、設計段階にて、セグメント化周期構造1個及び非セグメント化周期構造1個の対が少なくともその先行層に備わることとなるよう、計量撮像及び/又はスキャタロメトリターゲットを設計することができる(段階105)。注記されることに、実施形態によっては、そのセグメント化周期構造をデバイスピッチにてセグメント化されたものとする一方、その非セグメント化周期構造をデバイスピッチ以外で部分的又は全面的にセグメント化されたもの、例えばより大スケールな大きさでセグメント化されていてそれらデバイスと同様のプロセス誤差を被らないものと、することができる。実施形態によっては、相異なる周期構造214A,214Bのレイアウトスタイルに差異を設けること、例えばセグメント化特性のパラメタのうち1個又は複数個(例.ピッチ、CD即ち限界寸法、恐らくはパターン)及び/又は周期構造特性のパラメタのうち1個又は複数個(例.ピッチ、CD即ち限界寸法、恐らくはパターン)に差異を設けることができる。
【0019】
図1Bに模式的に描かれているプロセス制御方法100では、プレリソグラフィオーバレイ計測(例.110~114のうち何れか)を付加することで、そのプロセスの実行中、例えば先行ポストプロセス工程80後に、プロセスオーバレイの計測が行われており、その計測結果120を後続のリソグラフィ工程85へとフィードフォワードすることで、例えばNZO(非ゼロオフセット)が例えば質メリット又はエラーバーに関し補正されている。後続して、通常の計量計測87例えば現像後検査(ADI)を実行することができる。中間計測を、先行ポストプロセス工程80前後のターゲットレイアウト間オーバレイ差に基づくものにすることで、後に例示する通り、オーバレイに対するプロセスの影響を指し示し少なくとも部分的に定量することができる。
【0020】
プロセス制御方法100では、先行層所在周期構造の作成直後、現行層所在周期構造に先立ち、先行層所在周期構造から計量計測結果を導出し(段階110)、導出した計測結果を用い、少なくとも、現行層作成の一部分たるリソグラフィ段階を調整する(段階120)。
【0021】
例えば、導出される計量計測結果を、少なくとも、相異なる2個の先行層内周期構造に関するオーバレイ計測結果を含むものとすることができる(下記諸例参照)。とりわけ、それら相異なる2個の周期構造を別様にセグメント化すること、例えばある周期構造をデバイスピッチにてセグメント化する(下記参照;周期構造214A)一方、別の周期構造をセグメント化せずにおく(下記参照;周期構造214B)ことができる。プロセスオーバレイ誤差は構造サイズ及び精細セグメント化により概ね決まるので、計量ターゲット210が作成され終わる前でも、整列された2個の構造間のオーバレイのシフトを解明しプロセスオーバレイ誤差を算出すること、恐らくは補正又は低減することができる(図1B参照)。
【0022】
プロセス制御方法100では、更に、先行層所在周期構造にエッチング段階を適用した後、現行層所在周期構造の作成に先立ち、先行層所在周期構造から計量計測結果を導出する(段階112)ことができる。導出される計量計測結果を、少なくとも、エッチング段階前及び後の先行層内周期構造に関するオーバレイ計測結果を含むものと、することができる。
【0023】
実施形態によっては、計量ターゲット210を、2個、3個又はより多数の層で構成された撮像ターゲットとすることができる。例えば、撮像ターゲット210をウェハ90のうち少なくとも3個の層(210A,210B,210C;例えば図3及び図4参照)で構成し、それら3個の層のうち第1層の作成後と当該3個の層のうち第2層の作成後とにプロセス制御方法100を実行してもよい(段階114)。
【0024】
実施形態によっては、計量ターゲット210を、少なくとも2個の格子オーバ格子ターゲット(210D,210E;図2C図5図7A及び図7B参照)を備え、それらの先行層210Aが計量計測結果導出に備えウェハ90上に横並び作成されたスキャタロメトリターゲットと、することができる。
【0025】
注記されることに、下記図面のうち複数個に発する諸要素をどのような可作動組合せにて組み合わせもよく、ある種の要素がある図面に描かれる一方で別の図面に描かれていないとしても、それは単に説明目的で働くものであり、限定となるものではない。
【0026】
図2A図2Cは、本発明の幾つかの実施形態に係り計量ターゲット210に適用可能な設計諸原理の上位模式図である。計量ターゲット210は少なくとも2個の対212をなす周期構造214を備えており、そのうち少なくとも1対が先行層210Aに、他の少なくとも1対が現行層210C内に所在している。各対212では、ある周期構造214Aがデバイス様セグメント化で以てセグメント化されており、他の周期構造214Bがセグメント化されていない。計量ターゲット210が、二通りの計測方向それぞれに沿い2対又は3対の周期構造を有する撮像ターゲットを構成していてもよい(例えば図3及び図4参照)。計量ターゲット210が、少なくとも一通りの計測方向に沿い2個の横並び格子オーバ格子周期構造を有するスキャタロメトリターゲットを構成していてもよい(例えば図2C図5図7A及び図7B参照)。
【0027】
図2Aに模式的に描かれているのは対212をなすセグメント化周期構造214A及び非セグメント化周期構造214Bであり、周期構造214Aのセグメント化が例えばデバイス様セグメント化で以て行われている。対212は、独立な計量ターゲット210としても、及び/又は、より複雑な計量ターゲット210内の要素(群)としても用いうる。図2Bに模式的に描かれているのは撮像計量ターゲット210の概要であり、先行層210A内には二通りの計測方向(X及びYと表記)に沿い対212が、また現行層210B内には各対同様に規則的周期構造(例.セグメント化されたもの又はセグメント化されていないもの)が備わっている。撮像計量ターゲット210が、二通りの計測方向(X,Y)それぞれに沿い周期構造214の対212を2個超備えていてもよく、例えば撮像計量ターゲット210にて各計測方向に沿い先行層210A内に更に2個の対212を設け、作成された構造の計測をエッチング段階の前後に行えるようそれらを構成してもよい(例えば図3及び図4参照)。図2Cに模式的に描かれているのはスキャタロメトリ計量ターゲット210の概要であり、少なくとも一通りの計測方向に沿い2個の横並び格子オーバ格子周期構造210D,210Eを有している。先行層210Bに所在しターゲット210D,210Eを構成している格子(周期構造)を別様に(例.デバイスピッチを呈するセグメント化周期構造214Aと、セグメント化されていないかデバイスピッチより大きなピッチにてセグメント化されている非セグメント化周期構造214Bとに)セグメント化してもよい。
【0028】
本件開示の計量ターゲット210のターゲットデザインファイル及び計量計測も同様に本件開示の一部分である。注記されることに、本件開示の計量ターゲット210は、図2A図2Cではマスクパターンとして非限定的要領で描かれているが、本件開示の方法200により計測されるプロセス誤差を含め、OPC(光近接補正)修正及びプロセス特性が原因で、実際に印刷されるターゲットがこのマスクデザインとは異なるものになることがある。
【0029】
図3及び図4は、本発明の幾つかの実施形態に係り本件開示の計測方法100に関連する作成後計量ターゲット210の上位模式図である。ある非限定的な例によれば、計量ターゲット210が三組の周期構造、即ち先行層210A、エッチング後先行層210B及び現行層(例.レジスト)210Cを有するTAIM(三重AIM(先進撮像計量))ターゲットによって構成される。各層内には各計測方向(例.X及びY,スキャナ軸に対応)に沿った周期構造対があり、それらが対応するオーバレイ計測結果の導出に用いられる。注記されることに、複数の照明及び集光方式を用い、正確性及び性能の改善を図ることができる。比較的大きなターゲットピッチにすることが、撮像信号分析に十分な情報を得るため求められる。オーバレイは従来方法に従い算出でき、また先行層構造の撮像オーバレイは、本件開示のターゲット構造例えば対212をなす相異なる周期構造に従い設計された修正版アルゴリズムを用い算出することができる。
【0030】
図3及び図4中に模式的に描かれているように、プロセス誤差が原因で周期構造の構成諸部分又は全体が印刷されないことやエッチング除去されることがある。対応するセグメント化周期構造214A及び非セグメント化周期構造214Bを別様に作成して用いることで、随伴するプロセス誤差を指し示すことができ、現行層210Bが印刷される前でもその少なくとも部分補正を行うことができる。
【0031】
図5は、本発明の幾つかの実施形態に係るプロセス制御方法100を用いるべく横並び印刷されるよう設計された計量スキャタロメトリターゲット210D,210Eの上位模式図である。計量スキャタロメトリターゲット210D,210Eは少なくとも1個の層210A例えば先行層内の周期構造を共有するよう構成することができ、それらからは、別様にセグメント化された周期構造の計測によりプロセス誤差を導出することができる(図2C図7A及び図7Bも参照)。実施形態によっては、撮像オーバレイの結果とスキャタロメトリオーバレイの結果との間の相関を、NZO(非ゼロオフセット)及び/又はエラーバー推定に係る質メリットとして用いることができる。
【0032】
図6A図6B図7A及び図7Bは、本発明の幾つかの実施形態に係る生産システム250の上位模式図である。生産システム250は、その諸層を作成することでウェハ90を調製するよう構成された少なくとも1個のリソグラフィツール220と、先行層周期構造の作成直後に、計量ターゲット210の現行層210Cに所在する周期構造214の作成に先立ち、計量ターゲット210の先行層210Aに所在する周期構造214から計量計測結果を導出するよう、構成された計量ツール(群)230と、導出された計測結果を用い、少なくとも、計量ターゲット210の現行層210Cの作成の一部分たるリソグラフィ段階に関しリソグラフィツール(群)220を調整するよう、構成された制御ユニット240(独立であっても、リソグラフィツール(群)220の一部分であっても、及び/又は、計量ツール(群)230の一部分であってもよい)とを、備えている。
【0033】
計量ターゲット210は、少なくとも2個の対212をなす周期構造214を備え、対212のうち少なくとも1個が先行層210A、他の少なくとも1個が現行層210B内にあり、各対212にて、ある周期構造がデバイス様セグメント化で以てセグメント化され、他の周期構造がセグメント化されていないものと、することができる。
【0034】
例えば、図6A及び図6Bには、それぞれ、撮像ターゲット210の作成をリソグラフィツール220により層毎に行うことが描かれており、図6A中に模式的に描かれている如く先行層(第1層)210Aの作成後に計量ツール230によりもたらされる計測結果を用いることで、図6B中に模式的に描かれている如く、後続する現行層(第2層)210Bの作成パラメタ群をリソグラフィツールにより調整することができる。注記されることに、計測及び作成調整手順を相応に調整することで、撮像ターゲット210を構成する層を2個超とすることができる。
【0035】
また例えば、図7A及び図7Bには、それぞれ、スキャタロメトリターゲット210の作成をリソグラフィツール220により層毎に行うことが描かれており、図7A中に模式的に描かれている如く先行層(第1層)210Aの作成後に計量ツール230によりもたらされる計測結果を用いることで、図7B中に模式的に描かれている如く、後続する現行層(第2層)210Bの作成パラメタ群をリソグラフィツールにより調整することができる。注記されることに、計測及び作成調整手順を相応に調整することで、スキャタロメトリターゲット210を構成する層を2個超とすることができる。2個のスキャタロメトリターゲット210を横並びに設けることで、本件開示の手順を実施するのに十分な周期構造を、少なくとも先行層210A内で提供することができる。
【0036】
有益なことに、本件開示の手順により、諸構造のオーバレイのポストリソグラフィ計測に依拠する従来型計量方法の短所が克服される。従来方法が、専らフィードバック型オーバレイ制御しか提供せず、ウェハ毎変動故にプロセス窓を制御する能力が貧弱となっていたのに対し、開示諸実施形態によれば、デバイス内デバイス構造の様々な集合を表現すること、ダイ内実デバイスフィーチャの状態を正確に反映すること、従ってよりタイトなオーバレイバジェット下での動作及びオンプロダクトオーバレイ(OPO)を実現することができる。従来方法が、(計量計測が同様の構造を対象にして同様の個所にて行われないためプロセス負担、パターン密度又は収差野の違いがあることから)ダイ内実デバイスフィーチャの状態を正確に反映する能力の面で劣っていたのに対し、開示諸実施形態を構造別要領にて用いることで、空間差別化的オーバレイ計測を行うことができる。本件開示には作成中にリソグラフィプロセスを調整する能力があるので、合計誤差を減らすことや作成,計量手順双方の正確性及び精度を増強することもできる。
【0037】
以上、本発明の諸実施形態に係る方法、装置(システム)及びコンピュータプログラム製品のフローチャート描写及び/又は部分図を参照して本発明の諸態様を述べてきた。理解し得るように、それらフローチャート描写及び/又は部分図の各部分、並びにそれらフローチャート描写及び/又は部分図の諸部分の組合せを、コンピュータプログラム命令群により実施・実現することができる。それらコンピュータプログラム命令を汎用コンピュータ、専用コンピュータその他、プログラマブルデータ処理装置のプロセッサに供給してマシンを構築すること、ひいてはコンピュータその他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサによりそれらの命令を実行することで、そのフローチャート及び/又は部分図若しくはその諸部分にて特定されている諸機能/諸動作を実施・実現する手段を、生み出すことができる。
【0038】
それらコンピュータプログラム命令は、また、そこからコンピュータその他のプログラマブルデータ処理装置或いはその他の装置に指令して特定要領で機能させることができるコンピュータ可読媒体内に格納できるので、それら命令群をコンピュータ可読媒体内に格納することで、フローチャート及び/又は部分図若しくはその諸部分にて特定されている機能/動作を実施・実現する命令群が組み込まれた製品を、生産することができる。
【0039】
それらコンピュータプログラム命令を、コンピュータその他のプログラマブルデータ処理装置或いはその他の装置上にロードし、そのコンピュータその他のプログラマブルデータ処理装置或いはその他の装置上で一連の動作ステップを実行させることでコンピュータ実施プロセスをもたらすこと、ひいてはそのコンピュータその他のプログラマブル装置上で実行される命令群により、そのフローチャート及び/又は部分図若しくはその諸部分にて特定される諸機能/諸動作を実現するためのプロセスを提供することもできる。
【0040】
上掲のフローチャート及び図面には、本発明の様々な実施形態に係るシステム、方法及びコンピュータプログラム製品の潜在的諸実現形態のアーキテクチャ、機能及び動作が描かれている。その関係で、そのフローチャート又は部分図の各部分にて、特定されている論理機能(群)を実現するための可実行命令1個又は複数個で構成されたコードのモジュール、セグメント又は部分が表されていることがある。これも注記すべきことに、幾つかの代替的実現形態によれば、その部分に記されている諸機能を、図中に記されている順序とは異なる順序で生起させることができる。例えば、相連続する態で示されている二部分が、実際にはほぼ同時に実行されることも、それらの部分がときとして逆の順序で実行されることもあり、これは関わる機能により左右される。やはり注記されることに、それら部分図及び/又はフローチャート描写の各部分、並びにそれら部分図及び/又はフローチャート描写中の諸部分の組合せは、指定されている諸機能又は諸動作を実行する専用ハードウェアベースのシステムでも、専用ハードウェアとコンピュータ命令との組合せでも、実施・実現することができる。
【0041】
上掲の記述における実施形態は本発明の一例又は実現形態である。「ある実施形態」、「一実施形態」、「ある種の実施形態」又は「幾つかの実施形態」なる様々な表現が、必ずしも全て同じ実施形態を指すわけではない。本発明の様々な特徴がある単一の実施形態の文脈に沿い述べられもしているが、それらの特徴が個別に提供されることも何らかの好適な組合せで提供されることもありうる。逆に、本願では本発明が明瞭化のため個々別々の実施形態の文脈に沿い述べられもしているが、その発明が単一実施形態の態で実施されることもありうる。先に開示した色々な実施形態から本発明のある種の実施形態へと諸特徴を取り入れてもよいし、先に開示されている他の諸実施形態からある種の実施形態へと諸要素を取り入れてもよい。本発明の構成要素がある特定の実施形態の文脈に沿い開示されていることを以て、それらの用途が当該特定の実施形態のみに限定されるものと解すべきではない。更に、理解し得るように、本発明は様々なやり方で実行又は実施することができ、また本発明は上掲の記述にて概括されたものとは異なる何らかの実施形態にて実現することもできる。
【0042】
本発明はそれらの図面や対応する記述により限定されない。例えば、図示されているボックス又は状態それぞれをフローが通り抜ける必要はないし、図示及び記述されているそれと厳密に同じ順序で通り抜ける必要もない。本願にて用いられている技術用語及び科学用語の意味は、別様に定義されているのでない限り、本発明が属する分野でいわゆる当業者が理解する通り通例に従い理解されるべきである。ある有限個数の実施形態を基準にして本発明を述べてきたが、それらを本発明の技術的範囲に対する限定事項として解すべきではなく、寧ろ好適な諸実施形態のうち幾つかの例として解すべきである。他の潜在的変形、修正及び応用もまた本発明の技術的範囲内とする。従って、本発明の技術的範囲は、これまでに述べられたものではなく、別項の特許請求の範囲及びその法的等価物により限定されるべきである。
【符号の説明】
【0043】
100 プロセス制御方法、210A 先行層、210B 現行層。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B