(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168422
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】高アスペクト比構造の測定のための中赤外分光法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/3563 20140101AFI20231116BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20231116BHJP
G01N 21/00 20060101ALN20231116BHJP
【FI】
G01N21/3563
H01L21/66 J
G01N21/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】34
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023158217
(22)【出願日】2023-09-22
(62)【分割の表示】P 2021543260の分割
【原出願日】2020-01-23
(31)【優先権主張番号】62/797,668
(32)【優先日】2019-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/741,734
(32)【優先日】2020-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン デイビッド ワイ
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナン シャンカー
(72)【発明者】
【氏名】ヅァン グオロン ベラ
(57)【要約】
【課題】中赤外波長における半導体構造の高スループット分光測定を実行する方法およびシステムを提供する。
【解決手段】フーリエ変換赤外(FTIR)分光計は、2.5マイクロメートルから12マイクロメートルの波長範囲に及ぶ1つ以上の測定チャネルを含む。FTIR分光計は、複数の異なる入射角、方位角、異なる波長範囲、異なる偏光状態、またはこれらの任意の組み合わせで対象を測定する。高い輝度および小さい照明スポットサイズを達成するために、照明光がレーザ維持プラズマ(LSP)光源によって提供される。FTIR測定は、ウェハの表面に垂直な方向から軸外で実行される。スターリング冷却器がFTIR分光計の検出器から熱を取り出す。1つ以上の分光計測定チャネルによって実行される測定が、中赤外FTIR分光計チャネルによって実行される測定と組み合わせられる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測システムであって、
2.5マイクロメートルから12マイクロメートルの範囲に及ぶ波長を含む第1の量の広帯域照明光を生成するレーザ維持プラズマ光源を含む少なくとも1つの照明源と、
前記レーザ維持プラズマ光源で生成された前記第1の量の広帯域照明光を受光し、前記広帯域照明光を第1の光学光路と第2の光学光路に分割し、前記第1の光学光路は固定された光学経路長とし、前記第2の光学光路は可動光学要素の位置を変化させてその光学経路長を変化させることで、時間とともに変化するスペクトルを有する一定量のFTIR照明光を生成する干渉計と、
前記一定量のFTIR照明光を前記干渉計から測定対象の試料の表面上のFTIR測定スポットへ、1つ以上の入射角、1つ以上の方位角、またはこれらの組み合わせで案内するFTIR照明光学サブシステムであって、前記試料の前記表面上の前記FTIR測定スポットのサイズが、50マイクロメートル未満である、FTIR照明光学サブシステムと、
前記一定量のFTIR照明光に応じて、前記試料の前記表面上の前記FTIR測定スポットから一定量のFTIR収集光を収集するFTIR収集光学サブシステムと、
入射光に対して感受性を有する表面を有する少なくとも1つのFTIR検出器であって、前記少なくとも1つのFTIR検出器が、前記一定量のFTIR収集光を検出し、前記検出されたFTIR収集光を示すFTIR出力信号を生成する、少なくとも1つのFTIR検出器と、
前記FTIR出力信号および前記一定量のFTIR照明光の前記時間とともに変化するスペクトルに基づいて、測定対象の前記試料の関心のある第1のパラメータの推定値を生成するように構成されたコンピューティングシステムと
を含む、中赤外フーリエ変換赤外分光計
を備えることを特徴とする計測システム。
【請求項2】
請求項1に記載の計測システムであって、前記少なくとも1つの照明源が、2マイクロメートルから20マイクロメートルの波長範囲に及ぶ照明光を生成することを特徴とする計測システム。
【請求項3】
請求項1に記載の計測システムであって、前記中赤外フーリエ変換赤外分光計が、前記少なくとも1つの照明源と測定対象の前記試料との間の光学経路内の偏光要素、測定対象の前記試料と前記FTIR検出器との間の光学経路内の偏光要素、またはこれら両方を含むことを特徴とする計測システム。
【請求項4】
請求項1に記載の計測システムであって、前記少なくとも1つの照明源が、前記第1の量の広帯域照明光を生成する赤外スーパーコンティニウムレーザ光源を含むことを特徴とする計測システム。
【請求項5】
請求項1に記載の計測システムであって、前記少なくとも1つの照明源が、前記第1の量の広帯域照明光を生成する量子カスケードレーザ光源のセットを含むことを特徴とする計測システム。
【請求項6】
請求項1に記載の計測システムであって、前記少なくとも1つの照明源が、前記第1の量の広帯域照明光を生成する熱照明源またはグローバ照明源を含むことを特徴とする計測システム。
【請求項7】
請求項1に記載の計測システムであって、前記中赤外フーリエ変換赤外分光計が、前記一定量のFTIR照明光を前記FTIR測定スポットに集束させ、前記FTIR測定スポットからの前記一定量のFTIR収集光を収集する反射型対物レンズを含み、前記一定量のFTIR照明光が、前記反射型対物レンズの瞳の第1の部分を覆い、前記一定量のFTIR収集光が、前記第1の部分から空間的に分離した前記反射型対物レンズの前記瞳の第2の部分を覆うことを特徴とする計測システム。
【請求項8】
請求項1に記載の計測システムであって、前記1つ以上の入射角が、垂直入射角を含まないことを特徴とする計測システム。
【請求項9】
請求項1に記載の計測システムであって、前記1つ以上の入射角が、5度から40度の入射角の範囲内にあることを特徴とする計測システム。
【請求項10】
請求項1に記載の計測システムであって、前記少なくとも1つのFTIR検出器が、スターリング冷却器によって冷却されることを特徴とする計測システム。
【請求項11】
請求項1に記載の計測システムであって、
一定量の照明光を前記少なくとも1つの照明源から測定対象の前記試料の前記表面上の測定スポットへ、1つ以上の入射角、1つ以上の方位角、またはこれらの組み合わせで案内する照明光学サブシステムと、
前記一定量の照明光に応じて、前記試料の前記表面上の前記測定スポットから一定量の収集光を収集する収集光学サブシステムと、
入射光に対して感受性を有する表面を有する少なくとも1つの検出器であって、前記少なくとも1つの検出器が、前記一定量の収集光を検出し、前記検出された収集光を示す出力信号を生成し、前記コンピューティングシステムが、前記出力信号に基づいて、測定対象の前記試料の関心のある第2のパラメータの推定値を生成するようにさらに構成されている、少なくとも1つの検出器と
を含む、第2の計測サブシステム
をさらに備えることを特徴とする計測システム。
【請求項12】
請求項11に記載の計測システムであって、前記関心のある第1のパラメータおよび前記関心のある第2のパラメータが、同じ関心のあるパラメータであることを特徴とする計測システム。
【請求項13】
請求項11に記載の計測システムであって、前記一定量の照明光が、前記一定量のFTIR照明光とは異なる波長を含むことを特徴とする計測システム。
【請求項14】
請求項11に記載の計測システムであって、前記FTIR測定スポットおよび前記測定スポットが、同一の場所に配置されていることを特徴とする計測システム。
【請求項15】
請求項11に記載の計測システムであって、前記一定量の収集光の前記検出および前記一定量のFTIR収集光の前記検出が、同時に行われることを特徴とする計測システム。
【請求項16】
請求項11に記載の計測システムであって、前記中赤外フーリエ変換赤外分光計の光学経路および前記第2の計測サブシステムの光学経路が、反射型対物レンズを含むことを特徴とする計測システム。
【請求項17】
請求項11に記載の計測システムであって、前記第2の計測サブシステムが、分光エリプソメータ、分光反射率計、散乱計、X線ベースの計測サブシステム、またはハイパースペクトルイメージングベースの計測システムのうちのいずれかであることを特徴とする計測システム。
【請求項18】
2.5マイクロメートルから12マイクロメートルの範囲に及ぶ波長を含む、第1の量の広帯域照明光をレーザ維持プラズマ光源により生成することと、
前記第1の量の広帯域照明光を第1の光学光路と第2の光学光路に分割し、前記第1の光学光路は固定された光学経路長とし、前記第2の光学光路は可動光学要素の位置を変化させてその光学経路長を変化させることで、時間とともに変化するスペクトルを有する一定量のFTIR照明光を生成することと、
前記一定量のFTIR照明光を測定対象の試料の表面上のFTIR測定スポットへ、1つ以上の入射角、1つ以上の方位角、またはこれらの組み合わせで案内することであって、前記試料の前記表面上の前記FTIR測定スポットのサイズが、50マイクロメートル未満である、案内することと、
前記一定量のFTIR照明光に応じて、前記試料の前記表面上の前記FTIR測定スポットから一定量のFTIR収集光を収集することと、
前記一定量のFTIR収集光を検出し、前記検出されたFTIR収集光を示すFTIR出力信号を生成することと、
前記FTIR出力信号および前記一定量のFTIR照明光の前記時間とともに変化するスペクトルに基づいて、測定対象の前記試料の関心のある第1のパラメータの推定値を決定することと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、前記1つ以上の入射角が、垂直入射角を含まないことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法であって、
前記一定量のFTIR照明光、前記一定量のFTIR収集光、またはこれら両方を偏光させること
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項18に記載の方法であって、測定対象の前記試料が、3次元NAND構造またはダイナミックランダムアクセスメモリ構造を含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項18に記載の方法であって、
一定量の照明光を測定対象の前記試料の前記表面上の測定スポットへ、1つ以上の入射角、1つ以上の方位角、またはこれらの組み合わせで案内することと、
前記一定量の照明光に応じて、前記試料の前記表面上の前記測定スポットから一定量の収集光を収集することと、
前記一定量の収集光を検出し、前記検出された収集光を示す出力信号を生成することと、
前記出力信号に基づいて、測定対象の前記試料の関心のある第2のパラメータの推定値を決定することと
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、前記関心のある第1のパラメータおよび前記関心のある第2のパラメータが、同じ関心のあるパラメータであることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項22に記載の方法であって、前記一定量の照明光が、前記一定量のFTIR照明光とは異なる波長を含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項22に記載の方法であって、前記FTIR測定スポットおよび前記測定スポットが、同一の場所に配置されていることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項22に記載の方法であって、前記一定量の収集光の前記検出することおよび前記一定量のFTIR収集光の前記検出することが、同時に行われることを特徴とする方法。
【請求項27】
計測システムであって、
2.5マイクロメートルから12マイクロメートルの範囲に及ぶ波長を含む、第1の量の広帯域照明光を生成するレーザ維持プラズマ光源を含む1つ以上の照明源と、
前記レーザ維持プラズマ光源で生成された前記第1の量の広帯域照明光を受光し、前記広帯域照明光を第1の光学光路と第2の光学光路に分割し、前記第1の光学光路は固定された光学経路長とし、前記第2の光学光路は可動光学要素の位置を変化させてその光学経路長を変化させることで、時間とともに変化するスペクトルを有する一定量のFTIR照明光を生成する干渉計と、
前記一定量のFTIR照明光を前記干渉計から測定対象の試料の表面上のFTIR測定スポットへ、1つ以上の入射角、1つ以上の方位角、またはこれらの組み合わせで案内するFTIR照明光学サブシステムであって、前記試料の前記表面上の前記FTIR測定スポットのサイズが、50マイクロメートル未満である、FTIR照明光学サブシステムと、
前記一定量のFTIR照明光に応じて、前記試料の前記表面上の前記FTIR測定スポットから一定量のFTIR収集光を収集するFTIR収集光学サブシステムと、
入射光に対して感受性を有する表面を有する少なくとも1つのFTIR検出器であって、前記少なくとも1つのFTIR検出器が、前記一定量のFTIR収集光を検出し、前記検出されたFTIR収集光を示すFTIR出力信号を生成する、少なくとも1つのFTIR検出器と、
前記FTIR出力信号および前記一定量のFTIR照明光の前記時間とともに変化するスペクトルに基づいて、測定対象の前記試料の関心のある第1のパラメータの推定値を生成するように構成されたコンピューティングシステムと
を含む、中赤外フーリエ変換赤外分光計
を備えることを特徴とする計測システム。
【請求項28】
請求項27に記載の計測システムであって、前記1つ以上の入射角が、垂直入射角を含まないことを特徴とする計測システム。
【請求項29】
請求項27に記載の計測システムであって、前記中赤外フーリエ変換赤外分光計の測定チャネルが、前記中赤外フーリエ変換赤外分光計の、照明経路、収集経路、またはこれら両方に偏光要素を含むことを特徴とする計測システム。
【請求項30】
請求項27に記載の計測システムであって、
一定量の照明光を前記1つ以上の照明源から測定対象の前記試料の前記表面上の測定スポットへ、1つ以上の入射角、1つ以上の方位角、またはこれらの組み合わせで案内する照明光学サブシステムと、
前記一定量の照明光に応じて、前記試料の前記表面上の前記測定スポットから一定量の収集光を収集する収集光学サブシステムと、
入射光に対して感受性を有する表面を有する少なくとも1つの検出器であって、前記少なくとも1つの検出器が、前記一定量の収集光を検出し、前記検出された収集光を示す出力信号を生成し、前記コンピューティングシステムが、前記出力信号に基づいて、測定対象の前記試料の関心のある第2のパラメータの推定値を生成するようにさらに構成されている、少なくとも1つの検出器と
を含む、第2の計測サブシステム
をさらに備えることを特徴とする計測システム。
【請求項31】
請求項30に記載の計測システムであって、前記関心のある第1のパラメータおよび前記関心のある第2のパラメータが、同じ関心のあるパラメータであることを特徴とする計測システム。
【請求項32】
請求項30に記載の計測システムであって、前記一定量の照明光が、前記一定量のFTIR照明光とは異なる波長を含むことを特徴とする計測システム。
【請求項33】
請求項30に記載の計測システムであって、前記FTIR測定スポットおよび前記測定スポットが、同一の場所に配置されていることを特徴とする計測システム。
【請求項34】
請求項30に記載の計測システムであって、前記一定量の収集光を前記検出することおよび前記一定量のFTIR収集光を前記検出することが、同時に行われることを特徴とする計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載の実施形態は、計測システムおよび方法に関し、より詳細には、半導体構造の改善された測定のための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本特許出願は、米国特許法第119条の下で、2019年1月28日に出願された米国仮特許出願第62/797,668号の優先権を主張し、同出願の主題は、その全体を本明細書に引用して援用する。
【0003】
論理デバイスおよびメモリデバイスなどの半導体デバイスは、通例、試料に適用される一連の処理ステップによって製作される。半導体デバイスの様々な特徴および複数の構造レベルは、これらの処理ステップによって形成される。例えば、とりわけ、リソグラフィは、半導体ウェハ上にパターンを生成することを含む、1つの半導体製作プロセスである。半導体製作プロセスのさらなる例としては、化学機械研磨、エッチング、堆積、およびイオン注入が挙げられるが、これらに限定されない。複数の半導体デバイスが単一の半導体ウェハ上で製作され、その後、個々の半導体デバイスに分離され得る。
【0004】
より高い歩留まりを促進するべくウェハ上の欠陥を検出するために、半導体製造プロセスの最中の様々なステップにおいて計測プロセスが用いられる。光計測技法は、サンプルの破壊のリスクを伴うことなく高スループットの可能性をもたらす。散乱測定および反射率測定の実装形態ならびに関連分析アルゴリズムを含む多数の光計測ベースの技法が、限界寸法、膜厚、組成、重ね合わせ、およびナノスケール構造の他のパラメータの特徴を決定するために一般的に用いられている。
【0005】
フラッシュメモリアーキテクチャは2次元浮遊ゲートアーキテクチャから完全に3次元の幾何構成へ移行しつつある。いくつかの例では、膜スタックおよびエッチングされた構造が非常に深い(例えば、深さ最大6マイクロメートル)。このような高アスペクト比構造は膜およびCDの測定に課題を生み出す。これらの構造の孔およびトレンチの形状を規定する限界寸法を測定する能力は、所望の性能レベルおよびデバイス歩留まりを達成するために重要である。
【0006】
多くの光学技法は、照明光の小部分のみが高アスペクト比構造の底部へ到達し、検出器へ上方反射することができるため、低い信号対雑音比(signal-to-noise ratio、SNR)という欠点がある。それゆえ、多くの利用可能な高スループット計測技法は、高アスペクト比構造のCDおよび膜測定を確実に実行することができない。限界寸法小角X線散乱測定(critical dimension, small angle X-ray scatterometry、CD-SAXS)、垂直入射反射率測定、および散乱測定が、高アスペクト比構造のための測定解決策として探求されているが、開発は依然として現在進行中である。
【0007】
断面走査電子顕微鏡(scanning electron microscopy、SEM)は、インライン計測に適さない低スループットの破壊的技法である。原子間力顕微鏡(atomic force microscopy、AFM)は、高アスペクト比構造を測定するその能力に限界があり、比較的低いスループットを有する。CD-SAXSは、半導体産業によって必要とされる高スループット能力を達成することをいまだ実証されていない。モデルベースの赤外反射率測定(model based infrared reflectometry、MBIR)が高アスペクト比DRAM構造の計測のために用いられているが、本技法は、より短い波長によってもたらされる分解能を欠いており、半導体計測にとっては測定スポットサイズが大きすぎる。MBIRのさらなる説明が、ゴスタイン(Gostein)らによる、「Measuring deep-trench structures with model-based IR」、Solid State Technology,vol.49,no.3,Mar.1,2006において与えられている。同文献はその全体を本明細書に引用して援用する。
【0008】
光学的CD計測は、現在のところ、比較的小さいスポット(例えば、50ミクロン未満、またはさらに、より好ましくは、30ミクロン未満)内のミクロンスケールの深さおよび横方向寸法を有する構造の詳細なプロファイルを高スループットで測定する能力を欠いている。本明細書に完全に記載されているものとして引用して援用する、米国特許第8,860,937号は、高アスペクト比構造の特徴決定に適した赤外分光エリプソメトリ技法を記載している。しかし、記載されている技法は、紫外および赤外波長にわたる測定のための長い測定時間、波長安定性限界、ならびに動作時の限られた範囲の赤外波長という欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0103209号
【特許文献2】国際公開第2018/128995号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
要約すれば、現在進行中の特徴サイズの低減および構造特徴の深さの増大が、光計測システムに対して難しい要求を課している。光計測システムは、ますます複雑になる対象のための高い精度および正確性の要求を、コスト効率の良さを維持するために高スループットで満たさなければならない。この文脈において、広帯域照明およびデータ収集の速度ならびに赤外波長の範囲が、高アスペクト比構造に適した光計測システムの設計における重大な性能制約の問題として表面化した。それゆえ、これらの制約を克服するための改善された計測システムおよび方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
中赤外波長における半導体構造の高スループット分光測定を実行するための方法およびシステムが本明細書において提示される。本明細書において説明される半導体デバイスの分光計測のための方法およびシステムは、高アスペクト比(high aspect ratio、HAR)構造、大横方向寸法構造、またはこれら両方の測定に適用される。説明される実施形態は、半導体デバイスのための光学的な限界寸法(critical dimension、CD)、膜、および組成の計測を可能にする。
【0012】
一態様では、半導体計測システムは、高アスペクト比半導体構造の高スループット測定に適したフーリエ変換赤外(Fourier Transform Infrared、FTIR)分光計を含む。いくつかの実施形態では、FTIR分光計は、2マイクロメートルから20マイクロメートルの波長範囲に及ぶ、1つ以上の測定チャネルを含む。1つ以上のFTIR測定チャネルは、並行に(すなわち、波長範囲全体にわたるサンプルの同時測定)、または順次に(すなわち、波長範囲全体にわたるサンプルの順次測定)動作可能である。
【0013】
さらなる態様では、FTIR分光計は、複数の異なる入射角、方位角、異なる波長範囲、異なる偏光状態、またはこれらの任意の組み合わせで対象を測定する。
【0014】
さらなる態様では、FTIR計測システムは、高い輝度および小さい照明スポットサイズを達成するために、レーザ維持プラズマ(laser sustained plasma、LSP)照明源を含む。
【0015】
別のさらなる態様では、FTIR分光測定は、測定結果への裏面反射の影響を低減するために、ウェハの表面に垂直な方向から軸外で実行される。
【0016】
別のさらなる態様では、FTIR計測システムは、偏光状態に応じた対象応答を測定するための回折偏光子および検光子を含む。
【0017】
別のさらなる態様では、FTIR分光計は、外部液体窒素供給および取り扱い機器の必要性を軽減するためのスターリング冷却されたセンサを含む。
【0018】
別のさらなる態様では、1つ以上の分光計測定チャネルによって実行される測定が、高アスペクト比構造の特徴を決定するために、中赤外FTIR分光計チャネルによって実行される測定と組み合わせられる。いくつかの実施形態では、測定されるスペクトルは、真空紫外、紫外、可視、近赤外、および中赤外波長を含む。これらの実施形態のうちのいくつかにおいては、複数の分光計測定チャネルによる半導体構造の測定が、同じアライメント条件を用いて高スループットで同時に実行される。このように、波長誤差などの、機械誤差が全ての測定波長にわたって一様に補正される。これらの特徴は、個々に、または組み合わせて、高いスループット、精度、および正確性を有する、高アスペクト比構造(例えば、1マイクロメートル以上の深さを有する構造)の高スループット測定を可能にする。他の実施形態では、中赤外FTIR分光計および1つ以上の追加の測定チャネルが対象を順次に測定する。概して、1つ以上の追加の測定サブシステムと組み合わせて動作する中赤外FTIR分光計は、対象を、複数の異なる入射角、方位角、異なる波長範囲、異なる偏光状態、またはこれらの任意の組み合わせで測定し得る。
【0019】
上述のことは概要であり、それゆえ、必然的に、詳細の単純化、一般化、および省略を包含しており、したがって、当業者は、概要は単なる例示にすぎず、決して限定的なものではないことを理解するであろう。本明細書において説明されるデバイスおよび/またはプロセスの他の態様、発明の特徴、および利点は、本明細書に明記される非限定的な詳細な説明において明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】半導体製作プロセスのエッチステップにおいてハードマスク材料として用いられる2つの非晶質炭素膜の消光係数のプロットを示す図である。
【
図2】
図1に示される2つの非晶質炭素膜から反射された光の百分率のプロットを示す図である。
【
図3】様々な測定シナリオにおいて期待される3シグマ測定精度を予測するシミュレーション結果を示すチャート185を示す図である。
【
図4】エリプソメータおよび反射率計による測定対象のシリコン基板187の上に配置された非晶質炭素層186を示す図である。
【
図5】入射角に応じたs偏光照明光に対するp偏光照明光の反射率を示す図である。
【
図6】反射モードにおける半導体構造の広帯域中赤外フーリエ変換赤外(FTIR)分光測定を実行するための例示的な計測システム100を示す図である。
【
図7】透過モードにおける半導体構造の広帯域中赤外フーリエ変換赤外(FTIR)分光測定を実行するための例示的な計測システム250を示す図である。
【
図8】半導体構造の、複合された、広帯域、中赤外FTIR分光測定、分光エリプソメトリ測定、および分光反射率測定を実行するための例示的な計測システム100を示す図である。
【
図9】基板上に配置された膜層にほぼ垂直入射で入射するが、特に垂直入射を回避する照明を示す図である。
【
図10】基板上に配置された膜層に垂直入射で入射する照明を示す図である。
【
図11】垂直入射を回避するためのシュヴァルツシルト対物レンズを含む赤外分光反射率計を示す図である。
【
図12】斜め入射を達成するための軸外非隠蔽対物レンズを含む赤外分光反射率計を示す図である。
【
図13】測定されている構造内への低い光侵入性という欠点がある例示的な高アスペクト比NAND構造400を示す図である。
【
図14】本明細書において説明されるとおりの1つ以上の構造の中赤外FTIR分光測定を実行する方法500を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、添付の図面に例が示された、背景例、および本発明のいくつかの実施形態を詳細に参照する。
【0022】
中赤外波長における半導体構造の高スループット分光測定を実行するための方法およびシステムが本明細書において提示される。一態様では、半導体計測システムは、高アスペクト比半導体構造の高スループット測定に適したフーリエ変換赤外(FTIR)分光計を含む。いくつかの実施形態では、2マイクロメートルから20マイクロメートルの波長範囲に及ぶ1つ以上の測定チャネルを含むFTIR分光計が、半導体構造の測定を実行するために採用される。1つ以上のFTIR測定チャネルは、並行に(すなわち、波長範囲全体にわたるサンプルの同時測定)、または順次に(すなわち、波長範囲全体にわたるサンプルの順次測定)動作可能である。
【0023】
さらなる態様では、FTIR分光測定は、測定結果への裏面反射の影響を低減するために、ウェハの表面に垂直な方向から軸外で実行される。別のさらなる態様では、FTIR計測システムは、高い輝度および小さい照明スポットサイズを達成するために、レーザ維持プラズマ(LSP)照明源を含む。別のさらなる態様では、FTIR計測システムは、偏光状態に応じた対象応答を測定するための回折偏光子および検光子を含む。別のさらなる態様では、FTIR分光計は、外部液体窒素供給および取り扱い機器の必要性を軽減するためのスターリング冷却されたセンサを含む。別のさらなる態様では、1つ以上の分光計測定チャネルによって実行される測定が、高アスペクト比構造の特徴を決定するために、中赤外FTIR分光計チャネルによって実行される測定と組み合わせられる。いくつかの実施形態では、測定されるスペクトルは、紫外、可視、近赤外、および中赤外波長を含む。これらの実施形態のうちのいくつかにおいては、複数の分光計測定チャネルによる半導体構造の測定が、同じアライメント条件を用いて高スループットで同時に実行される。このように、波長誤差などの、機械誤差が全ての測定波長にわたって一様に補正される。これらの特徴は、個々に、または組み合わせて、高いスループット、精度、および正確性を有する、高アスペクト比構造(例えば、1マイクロメートル以上の深さを有する構造)の高スループット測定を可能にする。
【0024】
広範囲の照明波長(例えば、190ナノメートルから20マイクロメートル)に及ぶ単一の計測システムの複数の分光計測定チャネルを用いて高アスペクト比構造を測定することによって、複雑な3次元構造の正確な特徴決定が可能になる。概して、比較的長い波長は構造内へ深く侵入し、比較的大きいピッチを有する構造を測定する際の高い回折次数の抑制をもたらす。比較的短い波長は、比較的短い波長がアクセス可能な構造(すなわち、上部レベル層)ならびに比較的小さいCDおよび粗さ特徴に関する正確な寸法情報を提供する。いくつかの例では、より長い波長は、粗さに対するより長い波長のより低い感度のゆえに、比較的粗い表面または界面を有する対象の寸法特性の測定を可能にする。
【0025】
いくつかの実施形態では、本明細書において説明される半導体デバイスの分光計測のための方法およびシステムは、高アスペクト比(HAR)、大横方向寸法構造、またはこれら両方の測定に適用される。これらの実施形態は、HAR構造を有する半導体デバイス(例えば、NAND、VNAND、TCAT、DRAM等)のため、および、より一般的には、測定されている構造内への低い光侵入性という欠点がある複雑なデバイスのための光学的な限界寸法(CD)、膜、および組成の計測を可能にする。HAR構造は、多くの場合、HARのためのエッチプロセスを容易にするためのハードマスク層を含む。本明細書において説明されるように、用語「HAR構造」は、2:1または10:1を超え、100:1以上もの高さになり得るアスペクト比によって特徴付けられる任意の構造を指す。
【0026】
より具体的には、中赤外FTIR分光測定ベースの測定チャネルを含む半導体計測システムは、現在十分に測定されていない、いくつかのクラスの半導体構造の高スループットの特徴決定を可能にする。測定は、1)3次元半導体パッケージの限界寸法の測定、2)FTIRを用いたエピタキシャル膜層の測定、3)DRAM製造において採用された高アスペクト比構造、特に、ストレージノードの測定、4)非晶質炭素膜などの厚い不透明層の測定、ならびに5)チャネル孔、タングステン凹部、および3次元NAND製造における他の重要な計測課題の測定を含む。
【0027】
加えて、中赤外FTIR分光測定ベースの測定チャネル、およびより短い波長範囲内で動作する少なくとも1つの分光反射率測定チャネルを含む半導体計測システムは、現在十分に測定されていない、いくつかの台頭しつつあるクラスの半導体構造の高スループットの特徴決定を可能にする。これらの測定は、1)シリコン貫通ビアの限界寸法および形状の測定、2)DRAMキャパシタ構造の限界寸法および形状の測定、3)シリコン/炭化ケイ素エピタキシおよび組成の測定、4)3次元NANDハードマスク層において採用された膜(例えば、非晶質炭素層)の測定、ならびに5)3次元NANDタングステン凹部およびチャネル孔プロファイルの測定を含む。
【0028】
図1は、3次元NAND構造のための製作プロセスのエッチステップにおいてハードマスク材料として用いられる2つの非晶質炭素膜の消光係数のプロットを示す。プロット線181は、非晶質炭素膜Aのための波長に応じた消光係数を示し、プロット線182は、非晶質炭素膜Bのための波長に応じた消光係数を示す。膜Aの消光係数は、200ナノメートルから2200ナノメートルの波長範囲全体を通じて比較的高い値を維持する。それゆえ、膜Aは近IRスペクトル領域を通じて強い吸収性を有する。
【0029】
図2は、反射率計によって測定されたときに12,500オングストロームの厚さを有する、膜Aから反射された光の百分率のプロット線184、および膜Bから反射された光の百分率のプロット線183を示す。膜Aから反射された光の百分率は、200ナノメートルから2200ナノメートルの波長の範囲全体を通じて極めて低くとどまる。
図2に示されるように、入射光のおよそ0.05%を収集するために必要とされる最小波長はおよそ2000ナノメートルである。およそ1800ナノメートル未満では、収集される信号の量は事実上測定不可能である。
【0030】
図1および
図2は、半導体製造において採用された重要な材料の分光測定を実行するために短赤外光(例えば、1400ナノメートルから3000ナノメートル)および中赤外光(例えば、3000ナノメートルから20マイクロメートル)を採用することの重要性を示す。
【0031】
加えて、反射率計およびエリプソメータの構成は、高消光比材料を測定したときに、異なる有効性を実証する。
図3は、様々な測定シナリオにおいて期待される3シグマ測定精度を予測するシミュレーション結果を示すチャート185を示す。分光反射率計構成および分光エリプソメータ構成の両方における、2つの異なる厚さ(15,000オングストロームおよび20,000オングストローム)における非晶質炭素層の膜厚測定がシミュレートされる。加えて、照明波長の2つの異なる範囲が考慮される。1つのシナリオでは、950ナノメートルから2200ナノメートルの範囲にわたる照明波長を用いてSEおよびSR測定がシミュレートされる。別のシナリオでは、950ナノメートルから2500ナノメートルの範囲にわたる照明波長を用いてSEおよびSR測定がシミュレートされる。
図3に示されるように、SR構成はSE測定と比べて著しくより大きい測定精度を達成する。加えて、拡大された範囲の照明波長において実行される測定もまた、より大きい測定精度を達成する。
【0032】
反射率計は垂直入射またはその付近で動作するため、それは、厚い、または深い構造の測定を実行する際には、エリプソメータを上回る「経路長」の利点を有する。
図4は、シリコン基板187の上に配置された非晶質炭素層186を示す。エリプソメータ構成では、照明光188は比較的大きい角度(例えば、40度よりも大きい入射角)で膜186に入射する。光は空気膜界面において屈折し、0よりも著しく大きい屈折角で膜186を通って伝搬する。同様に、膜186の底面において反射された光はその屈折角で膜186を通って伝搬し、空気膜界面において屈折し、SEシステムの検出器へ伝搬する。対照的に、反射率計構成では、照明光190は比較的小さい角度(例えば、垂直入射反射率測定の場合については0の角度)で膜186に入射する。垂直入射においては、光は膜186を通って伝搬し、膜186の底面から後方反射する。反射光191はSR検出器へ伝搬する。
図4に示されるように、膜186を通る照明光および反射光の光学経路長はSE構成の方がSR構成よりも長い。膜186内のこの追加的な光学経路長は測定信号の追加的な吸収および損失をもたらす。この理由のために、非晶質炭素層などの、厚い、吸収性の高い材料の測定のためには、比較的小さい角度のSR構成が、比較的大きい角度のSE構成よりも好ましい。
【0033】
図5は、入射角に応じたs偏光照明光に対するp偏光照明光の反射率を示す。プロット線192はs偏光の反射率を示し、プロット線193はp偏光の反射率を示す。
図5に示されるように、選択された偏光は測定感度に影響を及ぼす。また、
図5に示されるように、p偏光の反射率は、SE測定において採用された典型的な角度範囲(例えば、40度よりも大きいAOI)内で著しく減少する。減少は、特に、ブルースター角の近くで激しい。
図5に示されるように、p偏光の反射率の著しい減少を回避するためには、小角度の反射率測定構成(例えば、40度未満のAOI)が好ましい。
【0034】
図6は、半導体構造(例えば、膜厚、限界寸法、重ね合わせ等)の広帯域中赤外FTIR測定を実行するための例示的な計測システム100を示す。いくつかの例では、1つ以上の構造は、少なくとも1つの高アスペクト比(HAR)構造または少なくとも1つの大横方向寸法構造を含む。
図6に示されるように、計測システム100は、垂直入射またはほぼ垂直入射の、広帯域FTIR分光計として構成されている。しかし、概して、計測システム100はまた、分光反射率計、分光エリプソメータ、散乱計、またはこれらの任意の組み合わせなどの追加の測定チャネルも含み得る。
【0035】
計測システム100は、ウェハ115に入射する照明光109のビームを生成する照明源101を含む。さらなる態様では、一定量の照明光は、少なくとも9マイクロメートルに及ぶ範囲の波長を含む広帯域照明光である。一例では、広帯域照明光は、2.5マイクロメートル未満の波長および12マイクロメートル超の波長を含む。いくつかの例では、広帯域照明光は、少なくとも400ナノメートルから12,000ナノメートルに及ぶ範囲内の波長を含む。いくつかの例では、広帯域照明光は、少なくとも150ナノメートルから20,000ナノメートルに及ぶ範囲内の波長を含む。いくつかの実施形態では、12,000ナノメートルを超える波長を含む広帯域照明光が採用され得る。いくつかの例では、広帯域照明光は最大20,000ナノメートルの波長を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、照明源101は、紫外、可視、近赤外、および中赤外スペクトルにおける照明光を放射する広帯域レーザ維持プラズマ(LSP)光源(レーザ駆動プラズマ源としても知られている)である。LSP光源101のポンプレーザ102は連続波であるか、またはパルス状であり得る。
図6に示される実施形態では、単一のLSPポンプレーザ光源102が採用されている。しかし、概して、LSP光源101は、異なる波長範囲にわたって光子を励起し、これにより、プラズマスペクトルの部分またはプラズマスペクトル全体の明るさおよびパワーを高めるために、1つを超えるLSPポンプレーザ光源を採用し得る。LSP光源は、120ナノメートルから20,000ナノメートルの波長範囲全体にわたってアーク灯よりも著しく大きい放射輝度を生み出すことができる。
図6に示されるように、LSPポンプレーザ光源102を制御するための制御信号138がコンピューティングシステム130から通信される。それに応じて、LSPポンプレーザ光源102はその光出力を調整し、その結果、コマンド信号138に従ってLSP光源101の出力を調整する。
【0037】
図6に示されるように、LSPポンプレーザ光源102は、集束光学素子104によって焦点107に集束させられるポンプ光103を生成する。集束させられたポンプ光は、プラズマチャンバ105によって包含されたプラズマ106を維持する。プラズマ106は、真空紫外から中赤外の波長範囲にわたる広帯域スペクトル光を生成する。プラズマチャンバ105は、照明光109が通過する出口ポート108を含む。いくつかの実施形態では、プラズマチャンバ105は、プラズマ106によって生成された2.5マイクロメートル超の波長を透過させるために、フッ化カルシウムまたはフッ化マグネシウムから構築されている。他のいくつかの実施形態では、プラズマチャンバ105は1つ以上の出口ポート(例えば、出口ポート108)を含む。いくつかの実施形態では、出口ポート108は、2マイクロメートルから20マイクロメートルの波長範囲に及ぶ光を透過させるために、ダイヤモンドから構築されている。他のいくつかの実施形態では、出口ポート108は、中赤外領域内で透過させるために、シリコン、ゲルマニウム、セレン化亜鉛、または硫化亜鉛から構築されている。他のいくつかの実施形態では、出口ポート108は、185ナノメートルから2.5マイクロメートルの波長範囲に及ぶ光を透過させるために、溶融シリカから構築されている。他のいくつかの実施形態では、出口ポート108は、120ナノメートルから5マイクロメートルの波長範囲に及ぶ光を透過させるために、フッ化カルシウムから構築されている。他のいくつかの実施形態では、プラズマチャンバ105は、深紫外から近赤外を透過させる少なくとも1つの出口ポート、および中赤外を透過させる少なくとも1つの出口ポートを含む。いくつかの実施形態では、LSPポンプレーザ光源102は連続波レーザである。他のいくつかの実施形態では、LSPポンプレーザ光源102はパルスレーザである。
【0038】
概して、照明源101は、単一の光源、または複数の広帯域または離散波長光源の組み合わせである。照明源101によって生成される光は、紫外から中赤外(例えば、真空紫外から中赤外)の連続スペクトルまたは連続スペクトルの部分を含む。概して、照明光源101は、LSP光源、スーパーコンティニウムレーザ光源、赤外スーパーコンティニウム光源、量子カスケードレーザのセット、赤外ヘリウム-ネオンレーザ光源、アーク灯(例えば、キセノンアーク灯)、重水素ランプ、熱光源(例えば、グローバ光源)、量子カスケードレーザ光源、任意の他の好適な光源、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0039】
図6に示されるように、コリメート光学素子121がプラズマ106からの光109をコリメートし、コリメートされた光をFTIR干渉計120(例えば、マイケルソン干渉計)へ案内する。他のいくつかの実施形態では、集束光学素子(図示せず)がプラズマ106からの光を収集し、収集光を照明源視野絞り(図示せず)へ集束させる。照明源視野絞りは、安定した光源サイズおよび位置を規定する。照明源視野絞りを通過した光はコリメート光学素子121によってコリメートされ、FTIR干渉計120へ案内される。
【0040】
FTIR干渉計120は、照明光を2つの異なる光学経路に細分するビームスプリッティング要素を含む。いくつかの実施形態では、第1の光学経路は、固定された光学経路長を有し、その一方で、第2の光学経路は、第2の光学経路の光学経路長を変更する可動光学要素を含む。2つの光学経路は再結合される。結果として生じる波の干渉パターン(すなわち、インターフェログラム)は、可動光学要素の任意の特定の位置における光学経路長の差(すなわち、光路差)に依存する。それゆえ、可動光学要素の位置に応じて、一部の光源波長は激しく(または完全に)減衰させられ、他の光源波長は減衰を伴わずに透過される。このように、可動光学要素の位置は任意の所与の時点におけるFTIR干渉計の出力スペクトルを規定する。可動光学要素の位置が変化するのに従って、FTIR干渉計の出力スペクトルも変化し、測定は、照明波長の変化する組み合わせにわたって実行される。
【0041】
図6に示されるように、FTIR干渉計120を制御するための制御信号139がコンピューティングシステム130から通信される。それに応じて、FTIR干渉計120は1つ以上の可動光学要素の位置を制御し、それが、結果として、コマンド信号139に従ってFTIR干渉計120のスペクトル出力を調整する。
【0042】
図6に示されるように、回折偏光子122が、FTIR干渉計120によって透過された照明光を収集し、特定の偏光状態を有する光を透過させる。いくつかの実施形態では、回折偏光子122はワイヤグリッド偏光子である。いくつかの実施形態では、偏光子122は、時間に応じて異なる偏光を透過させる動的偏光子(例えば、回転偏光子)である。これらの実施形態では、測定が、経時的に、異なる偏光状態を用いて実行される。
図6に示される実施形態は回折偏光子122を含むが、概して、FTIR測定は、照明ビーム経路内の偏光子122および収集ビーム経路内の対応する検光子126を用いて、または用いずに実行され得る。
【0043】
図6に示されるように、任意選択的な照明光学素子123が偏光子122からの光を調節する。一例では、任意選択的な照明光学素子123はビームサイズを増大または減少させる。別の例では、任意選択的な照明光学素子123はビームコリメーションの状態を変更する。別の例では、任意選択的な照明器光学素子123は、偏光子122からのより高次の回折光を遮断する第2の照明視野絞り(図示せず)を含む。
【0044】
ビームサンプラ124が、照明視野絞りから出た光の部分を抽出し、光を反射型対物レンズ125へ案内する。好ましい実施形態では、ビームサンプラ124は、ハーフミラー(例えば、照明光109のビームフットプリントの50%を抽出するために位置付けられたミラー)である。この好ましい実施形態では、ビームサンプラ124は完全に反射性である。これは、中赤外光(すなわち、20マイクロメートルに至るまでの波長を有する光)を、高い効率をもって反射する材料(例えば、金、銀等)の使用を可能にする。しかし、概して、ビーム分割器124は、任意の好適なビームサンプリング光学要素であり得る。
図6に示されるように、ビームサンプラ124は照明光109の部分109Aを反射し、照明光109Aを対物レンズ125に向けて案内する。照明光109の残りの部分109Bは検出器141へ伝搬する。検出器141は、照明光109Bの条件(例えば、強度、位置、強度分布等)、および代理として、測定対象のサンプルに向けて案内される照明光109Aの条件を示す出力信号156を生成する。このように、コンピューティングシステム130は、照明源101、干渉計120、偏光子122、および照明光109Aの条件を所望の仕様に変更するための照明光学素子123のうちのいずれかを制御するための制御信号(例えば、制御信号138)を生成する。
【0045】
反射型対物レンズ125は照明光109Aをウェハ115上の照明スポット117の上に集束させる。反射型対物レンズ125はまた、入射照明光109Aに応じてウェハ115から反射された光129も収集し、収集光129を検光子126へ案内する。収集光129は、ビームサンプラ124、検光子126、および収集光学素子127を通過する。一例として、ビームサンプラ124がハーフミラーである場合には、収集光129はビームサンプラ124から空間的に隔てられており、収集光129はビームサンプラ124によって減衰させられない。いくつかの実施形態では、収集光学素子127は収集光129を検出器128の能動感知面上に集束させる。他のいくつかの実施形態では、収集光学素子127は収集光129を収集視野絞り(図示せず)に集束させる。追加の光学要素(図示せず)が収集視野絞りからの光を収集し、光を検出器128の能動感知面上へ案内する。
【0046】
いくつかの実施形態では、検出器128は、2から12マイクロメートルの範囲内の任意の波長を含む中赤外光に対して感受性を有する。いくつかの実施形態では、検出器128は、2から20マイクロメートルの範囲内の任意の波長を含む中赤外光に対して感受性を有する。いくつかの実施形態では、検出器128はHgCdTeセンサを含む。いくつかの実施形態では、検出器128の光感応センサは液体窒素の温度に冷却される。加えて、いくつかの実施形態では、検出器128は、熱を能動感知要素から伝達して除去するために採用されるスターリング冷却器を含む。
【0047】
検出器128は、照明光109に対するウェハ115上で測定される構造の光学的応答を示す検出信号135を生成する。検出器128は検出信号135をコンピューティングシステム130へ通信する。検出信号135は、FTIR干渉計120によって生成された既知のスペクトルに対するウェハ115の応答と共に変化する。コンピューティングシステム130は、FTIR干渉計120によって生成された既知のスペクトルに基づいて検出信号135を処理するためにフーリエ変換を採用する。このように、コンピューティングシステム130は、各波長における測定対象の反射率(すなわち、測定対象のスペクトル応答)を決定する。その結果、コンピューティングシステム130は、測定されたスペクトル応答に基づいて測定対象に関連付けられた関心のあるパラメータ155の値を決定する。
【0048】
図6は、反射モードで動作する中赤外FTIRベースの計測システムの一実施形態を示す(すなわち、照明光は、ウェハから収集される光と同じ側でウェハに提供される)。他の実施形態では、中赤外FTIRベースの計測システムは、透過モードで動作するように構成されている(すなわち、照明光は、ウェハから収集される光と反対側でウェハに提供される)。
【0049】
図7は、透過モードで動作する中赤外FTIRベースの計測システムの一実施形態250を示す。同様の符号が付された要素は、
図6を参照して説明されたものと類似している。
図7に示されるように、照明光109を反射型対物レンズ125Aへ案内するためのビームサンプラ124が採用されている。いくつかの実施形態では、ビームサンプラ124は開放絞りミラーである。反射型対物レンズ125Aは、
図6に示される反射型対物レンズ125を参照して説明されたように、照明光109をウェハ115上の照明スポット117の上に集束させる。
【0050】
図7に示されるように、反射型対物レンズ125Bが、入射照明光109に応じてウェハ115を通して透過された光129を収集し、収集光129を検光子126へ案内する。収集光129は、検光子126および収集光学素子127を通過する。いくつかの実施形態では、収集光学素子127は収集光129を検出器128の能動感知面上に集束させる。他のいくつかの実施形態では、収集光学素子127は収集光129を収集視野絞り(図示せず)に集束させる。追加の光学要素(図示せず)が収集視野絞りからの光を収集し、光を検出器128の能動感知面上へ案内する。
【0051】
さらなる態様では、本明細書において説明されるとおりの中赤外FTIR分光計を組み込んだ計測システムはまた、中赤外を下回る(例えば、2マイクロメートル未満)、または中赤外内(例えば、2から20マイクロメートル)の1つ以上の異なる波長範囲内で動作する1つ以上の追加の測定チャネルも含む。いくつかの実施形態では、中赤外FTIR分光計および1つ以上の追加の測定チャネルは対象を同時に測定する。他の実施形態では、中赤外FTIR分光計および1つ以上の追加の測定チャネルは対象を順次に測定する。概して、1つ以上の追加の測定サブシステムと組み合わせて動作する中赤外FTIR分光計は、対象を、複数の異なる入射角、方位角、異なる波長範囲、異なる偏光状態、またはこれらの任意の組み合わせで測定し得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、中赤外FTIR分光計は、硬X線計測サブシステム、軟X線計測サブシステム、分光エリプソメータ、分光反射率計、ハイパースペクトルイメージングサブシステム、散乱計サブシステム、またはこれらの任意の組み合わせと組み合わせて動作する。
【0053】
いくつかの実施形態では、中赤外FTIR分光計は、190ナノメートルから2500ナノメートルの波長範囲内で動作する広帯域分光計チャネルと組み合わせて動作する。いくつかの実施形態では、中赤外FTIR分光計は、190ナノメートルから2500ナノメートルの波長範囲内で動作する広帯域分光計チャネルおよび120ナノメートルから190ナノメートルの波長範囲内で動作する別の分光計チャネルの両方と組み合わせて動作する。
【0054】
図8は、
図6を参照して説明されたとおりの中赤外FTIR分光計、分光反射率計(spectroscopic reflectometer、SR)測定チャネル、および分光エリプソメータ(spectroscopic ellipsometer、SE)測定チャネルを含む計測システム100を示す。同様の符号が付された要素は、
図6を参照して説明されたものと類似している。
図8に示される実施形態では、FTIR、SR、およびSE分光計の測定スポットは同一の場所に配置されている。他のいくつかの実施形態では、測定スポットは同一の場所に配置されていない。
【0055】
図8に示されるように、LSP照明源101は追加の出口ポート110および112を含む。出口ポート110は光をSR測定チャネルへ透過させ、出口ポート112は光をSE測定チャネルへ透過させる。出口ポート110および112は、中赤外範囲未満の(例えば、2.5ナノメートル未満の)光を透過させる材料から構築され得る。いくつかの実施形態では、出口ポート110および112は、溶融シリカ、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム等から構築されている。
図8に示される実施形態では、出口ポート112は真空紫外光透過材料から構築されている。いくつかの実施形態では、出口ポート112は、190ナノメートルから2,500ナノメートルの範囲にわたる照明波長を透過させる。別の例では、出口ポート112は、120ナノメートルから2,500ナノメートルの範囲にわたる照明波長の全体または部分を透過させる。加えて、出口ポート110は、120ナノメートルから2,500ナノメートルの範囲にわたる照明波長の全体または部分を透過させる。
図8に示される実施形態では、LSP照明源101は、高い輝度および小さい照明源スポットサイズを有する、真空紫外光から中赤外光(すなわち、120ナノメートルから20マイクロメートル)の範囲にわたる波長を有する照明光を生成する。
【0056】
図8に示されるように、光学要素161が、出口ポート110を通して透過されたSR照明光111を収集し、SR照明光111を、SR照明光111を偏光構成要素163へ案内する任意選択的なミラー162に向けて案内する。他のいくつかの実施形態では、集束光学素子(図示せず)が、出口ポート110を通して透過されたSR照明光111を収集し、収集光を照明源視野絞り(図示せず)に集束させる。照明源視野絞りは、安定した光源サイズおよび位置を規定する。照明源視野絞りを通過した光は偏光構成要素163へ案内される。いくつかの実施形態では、偏光構成要素は、偏光子、補償子、またはこれら両方であり、任意の好適な市販の偏光構成要素を含み得る。偏光構成要素は固定されているか、または異なる固定位置へ回転可能であることができる。
図8に示されるSR照明サブシステムは1つの偏光構成要素を含むが、SR照明サブシステムは1つを超える偏光構成要素を含み得る。
図8に示されるように、任意選択的な照明光学素子164が偏光構成要素163からの光を収集し、ビームサンプラ165へ案内されるSR照明光111を調節する。一例では、任意選択的な照明光学素子164は照明光111のビームサイズまたはビーム発散度を変更する。別の例では、任意選択的な照明光学素子164はSR照明光111を照明視野絞り(図示せず)に集束させる。ビームサンプラ165が、照明視野絞りから出た光の部分を抽出し、光を反射型対物レンズ125へ案内する。いくつかの実施形態では、ビームサンプラ125はダイクロイックフィルタである。他のいくつかの実施形態では、ビームサンプラ125はフリップインミラーである。反射型対物レンズ125は照明光111をウェハ115上の照明スポット117の上に集束させる。反射型対物レンズ125はまた、入射照明光111に応じてウェハ115から反射されたSR収集光118も収集し、収集光118を検光子167へ案内する。収集光118はビームスプリッタ165を通過し、ビームサンプラ166から検光子167、および収集光学素子168に向かって反射する。一例では、ビームサンプラ166はダイクロイックフィルタである。他のいくつかの実施形態では、ビームサンプラ166はフリップインミラーである。他のいくつかの実施形態では、ビームサンプラ165および166は、SR照明光111およびSR収集光118を抽出するためにそれらの中へ位置を変え、FTIR測定のためにSR照明光111およびSR収集光118の外へ位置を変える。いくつかの実施形態では、収集光学素子168は収集光118を検出器169の能動感知面上に集束させる。他のいくつかの実施形態では、収集光学素子168は収集光118を収集視野絞り(図示せず)に集束させる。追加の光学要素(図示せず)が収集視野絞りからの光を収集し、光を検出器169の能動感知面上へ案内する。
【0057】
いくつかの実施形態では、検出器169は、120ナノメートルから2.5マイクロメートルの範囲内の任意の波長を含む真空紫外、深紫外、紫外、可視、および近赤外光に対して感受性を有する。いくつかの実施形態では、検出器169は、紫外および可視光(例えば、190ナノメートルから860ナノメートルの波長を有する光)に対して感受性を有する電荷結合素子(charge coupled device、CCD)である。しかし、概して、他の2次元検出器技術(例えば、位置敏感型検出器(position sensitive detector、PSD)、光起電力検出器等)も企図され得る。検出器169は、入射光を、入射光のスペクトル強度を示す電気信号に変換する。
【0058】
図8に示されるように、検出器169は、照明光111に対するウェハ115上で測定される構造の光学的応答を示す検出信号136を生成する。検出器169は検出信号136をコンピューティングシステム130へ通信する。
【0059】
図8に示されるように、SE照明光113が出口ポート112を介してプラズマチャンバ105から引き出される。任意選択的なSE光源光学素子140が照明光113を調節し、SE照明光学素子入口ポート142へ向け直す。SE照明光113は、任意選択的な光学フィルタ143、偏光構成要素144、視野絞り145、開口絞り146、および照明光学素子147を通過する。1つ以上の光学フィルタ143は、照明サブシステムからの、光レベル、スペクトル出力、またはこれら両方を制御する。いくつかの例では、1つ以上のマルチゾーンフィルタが光学フィルタ143として採用される。偏光構成要素144は、照明サブシステムから出る所望の偏光状態を生成する。いくつかの実施形態では、偏光構成要素は、偏光子、補償子、またはこれら両方であり、任意の好適な市販の偏光構成要素を含み得る。偏光構成要素は固定されているか、または異なる固定位置へ回転可能であることができる。
図8に示される照明サブシステムは1つの偏光構成要素を含むが、照明サブシステムは1つを超える偏光構成要素を含み得る。視野絞り145は照明サブシステムの視野(field of view、FOV)を制御し、任意の好適な市販の視野絞りを含み得る。開口絞り146は照明サブシステムの開口数(numerical aperture、NA)を制御し、任意の好適な市販の開口絞りを含み得る。LSP照明源101からの光は照明光学素子147を通して案内され、斜角αでウェハ115上の1つ以上の構造に集束させられる。照明サブシステムは、分光エリプソメトリの技術において知られている任意の種類および構成の光学フィルタ143、偏光構成要素144、視野絞り145、開口絞り146、および照明光学素子147を含み得る。
【0060】
図8に示されるように、照明光113のビームは、ビームが照明源101からウェハ115へ伝搬するのに従って、光学フィルタ143、偏光構成要素144、視野絞り145、開口絞り146、および照明光学素子147を通過する。ビーム113は測定スポット117の上のウェハ115の部分を照明する。
【0061】
いくつかの例では、ウェハ115の表面上に投影される一定量の照明光113のビームサイズは、試料の表面上で測定される測定対象のサイズよりも小さい。例示的なビーム整形技法が、ワン(Wang)らによる米国特許出願公開第2013/0114085号において詳細に説明されている。同出願の内容はその全体を本明細書に引用して援用する。一態様では、LSP照明源の使用は、計測システム100の全測定チャネル上における非常に小さい照明スポットサイズを可能にする。いくつかの実施形態では、LSP照明源は、およそ100マイクロメートルのサイズを有するプラズマを生成する。この小さなサイズの照明源が、今度は、およそ10倍の倍率をもってウェハ上に投影される。それゆえ、原理上、いくつかの実施形態では、およそ10マイクロメートルの照明スポットサイズが達成される。これは、照明光を、照明開口を通過させることによって、さらにサイズを低減され得る。例えば、100マイクロメートルの光源サイズが、照明開口を用いて50マイクロメートルに低減され得、これが、今度は、およそ10倍の倍率をもってウェハ上に投影され得る。それゆえ、原理上、いくつかの実施形態では、およそ5マイクロメートルの照明スポットサイズが達成される。いくつかの実施形態では、ビームアポディゼーション光学素子が、ウェハにおける照明スポットサイズを低減するために用いられる。しかし、照明開口の使用による減衰は光子の損失という代償を伴う。いくつかの実施形態では、照明光は、著しいビームアポディゼーションを伴うことなく(例えば、アポディゼーションによる10%未満の光子損失)、50マイクロメートル以下の照明スポットサイズをもってLSP光源からウェハ上に投影される。いくつかの実施形態では、照明光は、著しいビームアポディゼーションを伴うことなく(例えば、アポディゼーションによる10%未満の光子損失)、25マイクロメートル以下の照明スポットサイズをもってLSP光源からウェハ上に投影される。本明細書において説明されるように、スポットサイズは、照明スポットの範囲の最も長い方向に沿った距離によって定義される。例えば、円形照明スポットのサイズは円の直径によって定義される。別の例では、楕円形照明スポットのサイズは、長軸に沿って楕円を横切る距離によって定義される。
【0062】
対照的に、グローバ光源などの熱照明源の最小スポットサイズはおよそ2,000マイクロメートルであり、これが、今度は、およそ10倍の倍率をもってウェハ上に投影される。それゆえ、原理上、およそ200マイクロメートルの照明スポットサイズがグローバ光源によって達成される。照明開口の使用によってスポットサイズのさらなる低減が達成され得るが、LSP光源に匹敵するスポットサイズを達成することは光子の多大の損失を必要とする。この理由のために、FTIR分光法に基づく半導体計測のためには、LSP光源を採用することが好ましい。
【0063】
計測システム100はまた、1つ以上の構造と入射照明ビーム113との間の相互作用によって生成された光を収集するように構成された収集光学サブシステムを含む。収集光114のビームが収集光学素子148によって測定スポット117から収集される。収集光114は、収集光学サブシステムの収集開口絞り149、偏光要素150、および視野絞り151を通過する。
【0064】
収集光学素子148は、ウェハ115上に形成された1つ以上の構造からの光を収集するための任意の好適な光学要素を含む。収集開口絞り149は収集光学サブシステムのNAを制御する。偏光要素150は所望の偏光状態を分析する。偏光要素150は検光子または補償子である。偏光要素150は固定されているか、または異なる固定位置へ回転可能であることができる。
図8に示される収集サブシステムは1つの偏光要素を含むが、収集サブシステムは1つを超える偏光要素を含み得る。収集視野絞り151は収集サブシステムのFOVを制御する。収集サブシステムはウェハ115からの光を取り込み、光を、収集視野絞り151上に集束させられるよう、収集光学素子148および偏光要素150を通して案内する。いくつかの実施形態では、収集視野絞り151は検出サブシステムの分光計のための分光計スリットとして用いられる。しかし、収集視野絞り151は検出サブシステムの分光計の分光計スリット152またはその付近に配置されていてもよい。
【0065】
収集サブシステムは、分光エリプソメトリの技術において知られている任意の種類および構成の収集光学素子148、開口絞り149、偏光要素150、および視野絞り151を含み得る。
【0066】
図8に示される実施形態では、収集光学サブシステムは光を検出サブシステムの分光計へ案内する。検出サブシステムは、照明サブシステムによって照明された1つ以上の構造から収集された光に応じて出力を生成する。
図8に示される実施形態では、収集光114は分光計スリット152を通過し、回折要素153に入射する。回折要素153は、入射光の波長を検出器154の感光面において空間的に分離するように構成されている。一例では、検出器154は、真空紫外および紫外(例えば、120ナノメートルから400ナノメートルの波長を有する光)に対して感受性を有する電荷結合素子(CCD)である。別の例では、検出器154は、深紫外から近赤外(例えば、190ナノメートルから950ナノメートルの波長を有する光)に対して感受性を有する電荷結合素子(CCD)である。別の例では、検出器154は、近赤外センサ(例えば、850ナノメートルから2500ナノメートルの波長を有する光に対して感受性を有する)である。
【0067】
計測システム100はまた、VUV、DUV、可視、近赤外、および中赤外照明に対するウェハ115のスペクトル応答を含む、検出信号135、136、および137を受信するように構成されたコンピューティングシステム130を含む。さらに、コンピューティングシステム130は、検出信号135、136、および137に基づいて、測定される構造の関心のあるパラメータの値の推定155を決定する。測定信号135、136、および137を同時に収集することによって、測定時間が低減され、全てのスペクトルが、同じアライメント条件を用いて測定される。共通の補正を全てのスペクトルデータセットに適用することができるため、これは、波長誤差がより容易に補正されることを可能にする。
【0068】
別の態様では、本明細書において説明される中赤外FTIR分光計は、下に横たわる基板の底部からの反射によって生成された測定信号を排除するために、軸外照明、収集、またはこれら両方を採用する。
【0069】
図9は、基板187上に配置された、膜層186に入射する照明188を示す。
図9に示されるように、照明はほぼ垂直入射で配置されているが、特に、垂直入射(AOI=0度)は回避する。入射光の部分は膜186の表面から反射し、別の部分191は膜186と基板187との間の界面から反射する。これらの反射は望ましく、反射率測定技法に基づいて膜186の厚さを推定するために収集されなければならない。しかし、加えて、入射光188の部分189が基板187に侵入する。光188の部分190が基板の底部(例えば、ウェハの裏面)から反射し、基板187および膜186を通って伝搬する。光190は望ましくなく、膜186の測定を汚染する。
図9に示されるように、収集開口192が、基板187の裏面から反射された望ましくない光190を遮断するためにうまく採用されている。これは、照明の0でない入射角が、膜186の上面および底面から反射された光と基板187の底部から反射された光190との間の空間分離を作り出すおかげで可能になっている。
【0070】
対照的に、
図10は、基板187上に配置された、膜層186に入射する照明194を示す。
図10に示されるように、照明は垂直入射で配置されている。入射光の部分は膜186の表面から反射し、別の部分は膜186と基板187との間の界面から反射する。加えて、入射光194の部分195が基板187に侵入する。光195の部分196が基板の底部(例えば、ウェハの裏面)から反射し、基板187および膜186を通って伝搬する。光196は望ましくなく、膜186の測定を汚染する。
図10に示されるように、照明の0の入射角は、膜186の上面および底面から反射された光と基板187の底部から反射された光187との間の空間分離を作り出さないため、収集開口193は、基板187の裏面から反射された望ましくない光196を遮断することができない。
【0071】
それゆえ、いくつかの実施形態では、0でない入射角で本明細書において説明されるとおりの中赤外FTIR測定および分光反射率測定を実行することが好ましい。このように、裏面反射から生成された光を測定から効果的に遮断することができる。いくつかの実施形態では、
図9を参照して説明され、また、
図11の実施形態に示されるように、斜照明が、裏面反射に対する測定感度を低減するために採用される。他のいくつかの実施形態では、垂直照明が採用されるが、収集開口絞りもしくはその付近またはその複合における収集経路内の隠蔽マスク223が、
図12の実施形態に示されるように裏面反射が測定光学素子内へ通されないよう開口数上の中心光線を遮断するために採用される。このアプローチは垂直照明入射を可能にするが、中心を隠蔽された瞳、光損失、およびアルゴリズムの複雑さなどの、あり得る不利点を抱える。他のいくつかの実施形態では、隠蔽223は照明経路内に配置されている。
【0072】
図11は、別の実施形態における750ナノメートルから2600ナノメートルの波長範囲に及ぶ1つ以上の測定チャネルを含む赤外分光反射率計を示す。一態様では、赤外分光反射率計200は、垂直入射を回避するためのシュヴァルツシルト対物レンズを含む。本明細書において説明されるとおりのシュヴァルツシルト対物レンズは、
図6および
図8を参照して説明されたとおりのFTIR測定チャネル内の対物レンズとして採用され得る。
図11に示されるように、赤外分光反射率計200は、偏光子204、対物レンズ201、検光子210、および分光計212を含む。
図11に示されるように、コンピューティングシステム130から受信されたコマンド信号に応じて照明源202によって光ビームが生成される。照明源202からの光は、任意選択的なビーム形成光学素子203によって、照明光ビーム220を生成するよう調節される。照明光ビーム220は偏光子204へ案内される。図示のように、偏光子204へ案内される照明光は照明源202から入射するが、概して、システム100の照明源のうちのいずれかからの光が、偏光子204へ案内される照明光ビームを生成するために組み合わせられ得る。このように、照明光のスペクトル成分は、複数の照明源から放射された光の組み合わせとして構成することができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、偏光子204は、偏光要素を照明光ビーム220の光軸の周りに選択的に回転させるように構成されている。概して、偏光子204は、当技術において知られている任意の偏光要素、および偏光要素を回転させるためのシステムを含み得る。例えば、偏光子204は、回転アクチュエータに機械的に結合された偏光要素を含み得る。一例では、偏光要素はロションプリズムであり得る。別の例では、偏光要素はビームディスプレーサを含み得る。偏光子204は、システム200内で、回転活動状態または回転非活動状態のどちらかで動作するように構成されている。1つの例では、偏光子204の回転アクチュエータは非活動状態であり得、これにより、偏光要素は、照明光220の光軸の周りの回転が固定されたままとどまる。別の例では、回転アクチュエータは偏光要素を、照明光の光軸の周りに選択された角周波数ωpで回転させ得る。
【0074】
他のいくつかの実施形態では、偏光子204は、照明光ビーム220の光軸の周りの固定偏光角を有するように構成されている。
【0075】
図11に示されるように、照明光ビーム220は、回転アクチュエータが偏光要素を選択された角周波数ω
pで回転させる間に偏光子204を通過する。このように、偏光子204は、ビームサンプラ206に向けて案内される偏光ビーム221を生成する。ビームサンプラ206は偏光ビーム221の部分221Bを対物レンズ201に向けて案内する。偏光ビーム221の残りの部分221Bは、ビームダンプ(図示せず)、または
図6を参照して説明されたとおりのビーム条件に関するフィードバックをコンピューティングシステム130に提供するための検出器(図示せず)に向けて案内される。
【0076】
図11に示される実施形態では、対物レンズ201は、反射光学要素のみを含むシュヴァルツシルト型対物レンズである。
図11に示されるシュヴァルツシルト対物レンズは、光が対物レンズ201に進入し、出ていくことを可能にするための、光軸OAと整列した開口部(例えば、孔)を有する凹面鏡208を含む。入射する光は開口部を通過し、凸面鏡207から凹面鏡208に向かって反射する。反射光は凹面鏡208によってウェハ212の表面に集束させられる。偏光ビーム221は、対物レンズ201によって入射角の範囲にわたってウェハ212の表面に集束させられるが、0の入射角(すなわち、ウェハ212の表面に垂直)では集束させられない。いくつかの例では、偏光ビーム221は5から40度の入射角の範囲内でウェハ212の表面に集束させられる。他のいくつかの例では、偏光ビーム221は5から25度の入射角の範囲内でウェハ212の表面に集束させられる。いくつかの例では、偏光ビーム221の部分は20度未満の入射角でウェハ212の表面に集束させられる。他のいくつかの例では、偏光ビーム221の部分は15度未満の入射角でウェハ212の表面に集束させられる。いくつかの例では、偏光ビーム221は小さい入射角でウェハ212の表面に集束させられ、小さい照明スポットをもたらす。いくつかの例では、もたらされた照明スポットは直径が20マイクロメートル未満である。他のいくつかの例では、もたらされた照明スポットサイズは直径が10マイクロメートル未満である。
【0077】
集束させられた偏光ビーム221の、ウェハ212との相互作用は、反射、散乱、回折、透過、または他の種類のプロセスのうちのいずれかによって放射の偏光を変更する。ウェハ212との相互作用後に、変更された光222は対物レンズ201によって収集され、ビームサンプラ206へ案内される。ウェハ212からの光は凹面鏡208によって収集され、凸面鏡207に集束させられ、そこで、それは入射する光と同じ孔を通ってシュヴァルツシルト対物レンズからビームサンプラ206に向かって出ていく。ビームサンプラ206は、変更された光222を検光子210に向けて透過させるように構成されている。
図11に示される実施形態では、検光子210は、変更された光ビーム222が検光子210および任意選択的なビーム集束光学素子211を通過して分光計212へ至る間に、変更された光ビーム222の光軸の周りの回転が固定されたままとどまる偏光子要素を含む。分光計212において、異なる波長を有するビーム成分は、異なる検出器へ異なる方向に(例えば、プリズム分光計では)屈折させられるか、または(例えば、回折格子分光計では)回折される。検出器はフォトダイオードの線形アレイであり得、各フォトダイオードは異なる波長範囲内の放射を測定する。分光計212によって受光された放射は偏光状態に関して分析され、偏光子212によって通過させられた放射の分光計によるスペクトル分析を可能にする。これらのスペクトル228はウェハ212の構造特性の分析のためにコンピューティングシステム130に渡される。
【0078】
図12は、別の実施形態における750ナノメートルから2600ナノメートルの波長範囲に及ぶ1つ以上の測定チャネルを含む赤外分光反射率計を示す。一態様では、赤外分光反射率計300は、斜め入射を達成するための軸外非隠蔽対物レンズレンズ301を含む。本明細書において説明されるとおりの軸外非隠蔽対物レンズは、
図6および
図8を参照して説明されたとおりのFTIR測定チャネル内の対物レンズとして採用され得る。
【0079】
図12に示されるように、赤外分光反射率計300は、
図11を参照して説明される赤外分光反射率計200と類似している。しかし、シュヴァルツシルト対物レンズの代わりに、軸外非隠蔽対物レンズ301が採用されている。入射する光は凸面鏡307から凹面鏡308に向かって反射する。反射光は凹面鏡308によってウェハ312の表面に集束させられる。偏光ビーム221は対物レンズ301によって入射角の範囲にわたってウェハ312の表面に集束させられる。いくつかの例では、偏光ビーム221は5から40度の入射角の範囲内でウェハ312の表面に集束させられる。他のいくつかの例では、偏光ビーム221は5から25度の入射角の範囲内でウェハ312の表面に集束させられる。いくつかの例では、偏光ビーム221の部分は20度未満の入射角でウェハ312の表面に集束させられる。他のいくつかの例では、偏光ビーム221の部分は15度未満の入射角でウェハ312の表面に集束させられる。偏光ビーム221は小さい入射角でウェハ312の表面に集束させられ、小さい照明スポットをもたらす。いくつかの例では、もたらされた照明スポットは直径が20マイクロメートル未満である。他のいくつかの例では、もたらされた照明スポットサイズは直径が10マイクロメートル未満である。いくつかの例では、
図12に示されるマスク223などの、中心隠蔽を有する照明マスクが照明瞳またはその付近に配置されている。
【0080】
集束させられた偏光ビーム221の、ウェハ312との相互作用は、反射、散乱、回折、透過、または他の種類のプロセスのうちのいずれかによって放射の偏光を変更する。ウェハ312との相互作用後に、変更された光222は対物レンズ301によって収集され、ビームサンプラ206へ案内される。ウェハ312からの光は凹面鏡308によって収集され、凸面鏡307に集束させられ、そこで、それはコリメートされ、対物レンズ301からビームサンプラ206に向かって出ていく。他のいくつかの例では、
図12に示されるマスク223などの、中心隠蔽を有する収集マスクが収集瞳またはその付近に配置されている。
【0081】
軸外非隠蔽対物レンズの例示的な実装形態が、ランポルディ(Rampoldi)らによる米国特許出願公開第2016/0139032号において詳細に説明されている。同出願の内容はその全体を本明細書に引用して援用する。
【0082】
概して、
図11および
図12を参照して説明される反射型対物レンズは、軸外照明、収集、またはこれら両方が、中赤外FTIR測定、SR測定、またはこれら両方のために実施されるときには、
図6および
図8に示される反射型対物レンズ125の例示的な実施形態である。
【0083】
図6、
図8、
図11、および
図12に示されるように、図示された測定チャネルは照明側に偏光子、および収集側に検光子を含む。しかし、概して、いずれの測定チャネルも、サンプルの偏光反射率、サンプルの非偏光反射率、またはこれら両方の測定を実行するために、照明偏光子、収集検光子、照明補償子、収集補償子を任意の組み合わせで含んでもよく、または含まなくてもよいことが企図される。
【0084】
いくつかの実施形態では、本明細書において説明される計測システムの1つ以上の測定チャネルは、波長および入射角の異なる範囲に加えて、異なる方位角においてウェハを測定するように構成されている。いくつかの実施形態では、本明細書において説明されるとおりの中赤外FTIR分光計を含む計測システムは、計測対象に対して0および90度の方位角においてウェハの測定を実行するように構成されている。いくつかの実施形態では、計測システムは、同時に、1つ以上の波長範囲、1つ以上のAOI範囲、および1つ以上の方位角にわたってウェハ反射率を測定するように構成されている。
【0085】
別のさらなる態様では、ウェハ平面上に投影される照明視野絞りの寸法が、測定対象の性質に基づいて、得られる測定正確性および速度を最適化するように調整される。
【0086】
別のさらなる態様では、照明視野絞りの寸法は、測定適用物ごとの所望のスペクトル分解能を達成するように調整される。
【0087】
いくつかの例では、例えば、サンプルが非常に厚い膜または回折格子構造である場合には、入射平面と垂直な方向にウェハ平面上に投影される照明視野絞りは、スペクトル分解能の増大を達成するために視野サイズを低減するように調整される。いくつかの例では、例えば、サンプルが薄膜である場合には、入射平面と垂直な方向にウェハ平面上に投影される照明視野絞りは、スペクトル分解能を失うことなく測定時間の短縮を達成するために視野サイズを増大させるように調整される。
【0088】
いくつかの実施形態では、コンピューティングシステム130は、測定される構造のスペクトル応答を示す信号(例えば、信号135、136、137、またはこれらの任意の組み合わせ)を受信するように構成されている。コンピューティングシステム130は、プログラム可能な照明視野絞り(例えば、照明視野絞り145)へ通信される制御信号を決定するようにさらに構成されている。プログラム可能な照明視野絞りは制御信号を受信し、所望の照明視野サイズを達成するよう照明開口のサイズを調整する。
【0089】
いくつかの例では、照明視野絞りは、以上において説明されたように測定の正確性および速度を最適化するように調整される。別の例では、照明視野絞りは、分光計スリットによる画像のクリッピング、および測定結果の対応する劣化を防止するように調整される。このように、照明視野サイズは、測定対象の画像が分光計スリットの下を埋めるように調整される。一例では、照明視野絞りは、照明光学素子の偏光子スリットの投影が計測システムの分光計スリットの下を埋めるように調整される。
【0090】
図6に示されるように、複数のポートを有する単一のLSP光源がSE、SRおよびFTIR測定のための照明光を提供する。別の実施形態では、照明光をSE、SR、およびFTIR測定チャネルに提供するための別個の照明源が採用される。
【0091】
図6に示されるように、SE、SR、およびFTIR測定チャネルは、ウェハにおいて同一の場所に配置された焦点を有する。他のいくつかの実施形態では、SE、SR、およびFTIR測定チャネルはウェハにおいて同一の場所に配置されていない。
【0092】
図14は、少なくとも1つの新規の態様における分光測定を実行する方法500を示す。方法500は、本発明の、それぞれ、
図6、
図9、および
図10に示される計測システム100、200、および300などの計測システムによる実施に適している。一態様では、方法500のデータ処理ブロックは、コンピューティングシステム130、または任意の他の汎用コンピューティングシステムの1つ以上のプロセッサによって実行される事前にプログラムされたアルゴリズムを介して実施され得ることが認識される。本明細書において、計測システム100、200、および300の特定の構造的態様は限定を示さず、単なる例示としてのみ解釈されるべきであることが認識される。
【0093】
ブロック501において、2.5マイクロメートルから12マイクロメートルの範囲に及ぶ波長を含む第1の量の広帯域照明光が1つ以上の照明源によって生成される。
【0094】
ブロック502において、第1の量の広帯域照明光から時変スペクトルを有する一定量のFTIR照明光を生成する。
【0095】
ブロック503において、一定量のFTIR照明光を測定対象の試料の表面上のFTIR測定スポットへ、1つ以上の入射角、1つ以上の方位角、またはこれらの組み合わせで案内する。試料の表面上のFTIR測定スポットのサイズは50マイクロメートル未満である。
【0096】
ブロック504において、一定量のFTIR照明光に応じて、試料の表面上のFTIR測定スポットから一定量のFTIR収集光を収集する。
【0097】
ブロック505において、一定量のFTIR収集光を検出し、検出されたFTIR収集光を示すFTIR出力信号を生成する。
【0098】
ブロック506において、FTIR出力信号および一定量のFTIR照明光の時変スペクトルに基づいて、測定対象の試料の関心のある第1のパラメータの推定値を決定する。
【0099】
さらなる実施形態では、システム100、200、および300は、本明細書において説明される方法に従って収集された分光測定データに基づいて実際のデバイス構造の測定を実行するために採用された1つ以上のコンピューティングシステム130を含む。1つ以上のコンピューティングシステム130は分光計に通信可能に結合され得る。一態様では、1つ以上のコンピューティングシステム130は、測定対象の試料の構造の測定に関連付けられた測定データを受信するように構成されている。
【0100】
本開示全体を通じて説明される1つ以上のステップは、単一のコンピュータシステム130、または、代替的に、複数のコンピュータシステム130によって実施され得ることを認識されたい。さらに、システム100の異なるサブシステムは、本明細書において説明されるステップの少なくとも部分を実施するのに適したコンピュータシステムを含み得る。したがって、上述の説明は、本発明に対する限定として解釈されるべきでなく、単なる例示として解釈されるべきである。
【0101】
加えて、コンピュータシステム130は、当技術において知られている任意の仕方で分光計に通信可能に結合され得る。例えば、1つ以上のコンピューティングシステム130は、分光計に関連付けられたコンピューティングシステムに結合され得る。別の例では、分光計は、コンピュータシステム130に結合された単一のコンピュータシステムによって直接制御され得る。
【0102】
計測システム100のコンピュータシステム130は、有線および/または無線部分を含み得る伝送媒体によってシステムのサブシステム(例えば、分光計および同様のもの)からデータまたは情報を受信および/または獲得するように構成され得る。このように、伝送媒体はコンピュータシステム130とシステム100の他のサブシステムとの間のデータリンクの役割を果たし得る。
【0103】
計測システム100のコンピュータシステム130は、有線および/または無線部分を含み得る伝送媒体によって他のシステムからデータまたは情報(例えば、測定結果、モデリング入力、モデリング結果、基準測定結果等)を受信および/または獲得するように構成され得る。このように、伝送媒体は、コンピュータシステム130と他のシステム(例えば、計測システム100に搭載されたメモリ、外部メモリ、または他の外部システム)との間のデータリンクの役割を果たし得る。例えば、コンピューティングシステム130は、データリンクを介して記憶媒体(すなわち、メモリ132または外部メモリ)から測定データを受信するように構成され得る。例えば、本明細書において説明される分光計を用いて得られたスペクトル結果は、永久的または半永久的メモリデバイス(例えば、メモリ132または外部メモリ)内に記憶され得る。この点に関して、スペクトル結果は、搭載されたメモリから、または外部メモリシステムからインポートされ得る。さらに、コンピュータシステム130は伝送媒体を介してデータを他のシステムへ送信し得る。例えば、コンピュータシステム130によって決定された測定モデルまたは推定パラメータ値171が通信され、外部メモリ内に記憶され得る。この点に関して、測定結果は別のシステムへエクスポートされ得る。
【0104】
コンピューティングシステム130は、パーソナルコンピュータシステム、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、イメージコンピュータ、並列プロセッサ、または当技術において知られている任意の他のデバイスを含み得るが、これらに限定されない。概して、用語「コンピューティングシステム」は、メモリ媒体からの命令を実行する、1つ以上のプロセッサを有する任意のデバイスを包含するよう広義に定義され得る。
【0105】
本明細書において説明されるものなどの方法を実施するプログラム命令134は、電線、ケーブル、または無線伝送リンクなどの伝送媒体を通じて伝送され得る。例えば、
図1に示されるように、メモリ132内に記憶されたプログラム命令134はバス133を通じてプロセッサ131へ伝送される。プログラム命令134はコンピュータ可読媒体(例えば、メモリ132)内に記憶される。例示的なコンピュータ可読媒体としては、リードオンリーメモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気もしくは光ディスク、または磁気テープが挙げられる。
【0106】
いくつかの例では、測定モデルは、KLA-Tencor Corporation,Milpitas,California,USAから入手可能なSpectraShape(登録商標)光学限界寸法計測システムの要素として実施される。このように、モデルが作成され、スペクトルがシステムによって収集された直後の使用に備えている。
【0107】
他のいくつかの例では、測定モデルは、例えば、KLA-Tencor Corporation,Milpitas,California,USAから入手可能なAcuShape(登録商標)ソフトウェアを実施するコンピューティングシステムによってオフラインで実施される。得られた訓練済みモデルは、測定を実行する計測システムによってアクセス可能であるAcuShape(登録商標)ライブラリの要素として組み込まれ得る。
【0108】
別の態様では、本明細書において説明される半導体デバイスの分光計測のための方法およびシステムは、高アスペクト比(HAR)構造、大横方向寸法構造、またはこれら両方の測定に適用される。上述の実施形態は、Samsung Inc.(韓国)、SK Hynix Inc.(韓国)、Toshiba Corporation(日本)、およびMicron Technology,Inc.(米国)等の様々な半導体製造業者によって製造されている、垂直NAND(V-NAND)構造などの、3次元NAND構造、ダイナミックランダムアクセスメモリ構造(DRAM)等を含む半導体デバイスのための光学的な限界寸法(CD)、膜、および組成の計測を可能にする。これらの複雑なデバイスは、測定される構造内への低い光侵入性という欠点がある。
図13は、測定される構造内への低い光侵入性という欠点がある例示的な高アスペクト比NAND構造400を示す。本明細書において説明されるとおりの同時スペクトル帯域検出を有する、広帯域能力、および広範囲のAOI、方位角、もしくはこれら両方を有する分光エリプソメータは、これらの高アスペクト比構造の測定に適している。HAR構造は、多くの場合、HARのためのエッチプロセスを容易にするためのハードマスク層を含む。本明細書において説明されるように、用語「HAR構造」は、2:1または10:1を超え、100:1以上もの高さになり得るアスペクト比によって特徴付けられる任意の構造を指す。
【0109】
さらに別の態様では、本明細書において説明される測定結果は、能動的フィードバックをプロセスツール(例えば、リソグラフィツール、エッチツール、堆積ツール等)に提供するために用いることができる。例えば、本明細書において説明される測定方法に基づいて決定された測定パラメータの値をリソグラフィツールへ、所望の出力を達成するようリソグラフィシステムを調整するために通信することができる。同様に、エッチパラメータ(例えば、エッチ時間、拡散率等)または堆積パラメータ(例えば、時間、濃度等)が、能動的フィードバックをエッチツールまたは堆積ツールへそれぞれ提供するために測定モデル内に含まれ得る。いくつかの例では、測定されたデバイスパラメータ値および訓練済み測定モデルに基づいて決定されたプロセスパラメータに対する補正が、リソグラフィツール、エッチツール、または堆積ツールへ通信され得る。
【0110】
本明細書において説明されるように、用語「限界寸法」は、構造の任意の限界寸法(例えば、底部限界寸法、中央部限界寸法、上部限界寸法、側壁角度、格子高さ等)、任意の2つ以上の構造の間の限界寸法(例えば、2つの構造の間の距離)、および2つ以上の構造の間の変位(例えば、重ね合わせ格子構造の間の重ね合わせ変位等)を含む。構造は、3次元構造、パターニング構造、重ね合わせ構造等を含み得る。
【0111】
本明細書において説明されるように、用語「限界寸法適用物」または「限界寸法測定適用物」は任意の限界寸法測定を含む。
【0112】
本明細書において説明されるように、用語「計測システム」は、限界寸法計測、重ね合わせ計測、焦点/線量計測、および組成計測などの測定適用物を含む、任意の側面における試料の特徴を決定するために少なくとも部分的に採用される任意のシステムを含む。しかし、このような専門用語は、本明細書において説明されるとおりの用語「計測システム」の範囲を限定しない。加えて、計測システム100は、パターニングされたウェハおよび/またはパターニングされていないウェハの測定のために構成され得る。計測システムは、LED検査ツール、エッジ検査ツール、裏面検査ツール、マクロ検査ツール、または(1つ以上のプラットフォームからのデータを同時に要する)マルチモード検査ツール、ならびに限界寸法データに基づくシステムパラメータの校正から恩恵を受ける任意の他の計測または検査ツールとして構成され得る。
【0113】
任意の半導体処理ツール(例えば、検査システムまたはリソグラフィシステム)内の試料を測定するために用いられ得る半導体測定システムのための様々な実施形態が本明細書において説明されている。用語「試料」は、本明細書において、当技術において知られている手段によって処理され得る(例えば、印刷される、または欠陥のために検査される)ウェハ、レチクル、または任意の他のサンプルを指すために使用される。
【0114】
本明細書で使用するとき、用語「ウェハ」は、概して、半導体または非半導体材料で形成された基板を指す。例としては、単結晶シリコン、ヒ化ガリウム、およびリン化インジウムが挙げられるが、これらに限定されない。このような基板は、半導体製作施設において一般的に見出され、および/または処理され得る。場合によっては、ウェハは基板のみを含み得る(すなわち、ベアウェハ)。代替的に、ウェハは、基板上に形成された異なる材料の1つ以上の層を含み得る。ウェハ上に形成された1つ以上の層は、「パターニングされてもよく」、または「パターニングされなくてもよい」。例えば、ウェハは、繰り返し可能なパターン特徴を有する複数のダイを含み得る。
【0115】
「レチクル」は、レチクル製作プロセスの任意の段階におけるレチクル、あるいは半導体製作施設における使用のために解放されていてもよい、または解放されていなくてもよい完成したレチクルであり得る。レチクル、または「マスク」は、概して、その上に形成された実質的に不透明な領域を有し、パターン状に構成された実質的に透明な基板として定義される。基板は、例えば、非晶質SiO2などの、ガラス材料を含み得る。レチクルは、リソグラフィプロセスの露光ステップの間に、レジストで覆われたウェハの上方に配置され得、これにより、レチクル上のパターンがレジストに転写され得る。
【0116】
ウェハ上に形成された1つ以上の層は、パターニングされてもよく、またはパターニングされなくてもよい。例えば、ウェハは、繰り返し可能なパターン特徴を各々有する複数のダイを含み得る。このような材料層の形成および処理が、完成したデバイスを最終的にもたらす。多くの異なる種類のデバイスがウェハ上に形成され得、ウェハという用語は、本明細書で使用するとき、当技術において知られている任意の種類のデバイスが製作されるウェハを包含することを意図される。
【0117】
1つ以上の例示的な実施形態では、上述の機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせの形態で実施され得る。ソフトウェアの形態で実施される場合には、機能は1つ以上の命令またはコードとしてコンピュータ可読媒体上に記憶されるか、またはそれを通じて伝送され得る。コンピュータ可読媒体は、1つの場所から他所へのコンピュータプログラムの転送を容易にする任意の媒体を含むコンピュータ記憶媒体および通信媒体の両方を含む。記憶媒体は、汎用または専用コンピュータによってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体であり得る。例として、限定ではなく、このようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMまたはその他の光学ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、またはその他の磁気記憶デバイス、あるいは所望のプログラムコード手段を命令またはデータ構造体の形態で搬送または記憶するために用いることができ、汎用もしくは専用コンピュータ、または汎用もしくは専用プロセッサによってアクセスされ得る任意の他の媒体を含むことができる。また、任意の接続もまた、コンピュータ可読媒体と相応に呼ばれる。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(digital subscriber line、DSL)、あるいは赤外線、無線、およびマイクロ波などの無線技術を用いて、ウェブサイト、サーバ、または他のリモートソースから伝送される場合には、このとき、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、あるいは赤外線、無線、およびマイクロ波などの無線技術が媒体の定義に含まれる。ディスク(disk)およびディスク(disc)は、本明細書において使用するとき、コンパクトディスク(compact disc、CD)、レーザディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(digital versatile disc、DVD)、フロッピーディスク、およびブルーレイディスクを含む。ここで、ディスク(disk)は通例、データを磁気的に再現し、その一方で、ディスク(disc)はレーザを用いてデータを光学的に再現する。上述のものの組み合わせもまた、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0118】
いくつかの特定の実施形態が説明目的のために上述されたが、本特許文書の教示は一般的適用性を有し、上述された特定の実施形態に限定されない。したがって、上述の実施形態の様々な特徴の様々な変形、応用、および組み合わせが、請求項において規定されるとおりの本発明の範囲から逸脱することなく実施され得る。