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特開2023-168812コミュニケーション支援システム、コミュニケーション支援方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168812
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】コミュニケーション支援システム、コミュニケーション支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20231121BHJP
【FI】
G06F3/01 560
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080146
(22)【出願日】2022-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】598121341
【氏名又は名称】慶應義塾
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】志水 信哉
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 愛
(72)【発明者】
【氏名】中尾 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】クンツェ カイ
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA61
5E555BA01
5E555BB01
5E555BC04
5E555CA41
5E555CA42
5E555CB67
5E555CB69
5E555DA24
5E555FA00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コミュニケーションで生じるストレスの増大を抑制する。
【解決手段】コミュニケーション支援システム100は、ストレス情報を取得するストレス情報取得部2と、互いにコミュニケーションを行う者の一方である推定対象のストレスの度合いの変化量を推定するストレス変化量推定部1と、ストレス変化量に応じた刺激を推定対象のコミュニケーションを行う者の他方である刺激対象に、皮膚感覚を通じて与える刺激印加部4と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いにコミュニケーションを行う者の一方である推定対象のストレスの度合いの変化量を推定するストレス変化量推定部と、
前記変化量に応じた刺激を前記推定対象のコミュニケーションを行う者の他方である刺激対象に、皮膚感覚を通じて与える刺激印加部と、
を備えるコミュニケーション支援システム。
【請求項2】
前記刺激は、前記変化量に応じたリズムの刺激であって前記刺激対象の話す速度を遅くする刺激、である、
請求項1に記載のコミュニケーション支援システム。
【請求項3】
前記刺激は、温度の刺激であって前記推定対象のストレスの度合いが高い場合に前記刺激対象の体温を下げる刺激、である、
請求項1又は2に記載のコミュニケーション支援システム。
【請求項4】
互いにコミュニケーションを行う者の一方である推定対象のストレスの度合いの変化量を推定するストレス変化量推定ステップと、
前記変化量に応じた刺激を前記推定対象のコミュニケーションを行う者の他方である刺激対象に、皮膚感覚を通じて与える刺激印加ステップと、
を有するコミュニケーション支援方法。
【請求項5】
請求項1に記載のコミュニケーション支援システムとしてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コミュニケーション支援システム、コミュニケーション支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電話やビデオチャットなどの普及により、物理的に離れていてもリアルタイムにコミュニケーションすることが可能になってきている。近年では、ワークライフバランスを考慮した新しいワークスタイルの実現として、在宅勤務などリモートワークを前提として、ビデオ会議システムを用いたコミュニケーションが増大している。コミュニケーション相手の情報として声しかなかった電話と比べて、ビデオ会議システムでは、お互いの映像を送り合うことで表情などの非言語情報の交換が可能となるため、円滑なコミュニケーションを実現できる。
【0003】
カメラの解像度やフレームレートが向上し、高画質な映像を通信できるようにはなってきているが、対面のコミュニケーションと比べて非言語コミュケーションの手掛かりを十分に提示するのが難しい。そのため、チャットやリアクションアイコンなどを使って、不足する情報を明示的に提示する手段をシステムが提供している場合がある。
【0004】
また非言語コミュケーションの手がかりを提示する技術として、表情等から認識した感情や心理状態、発話速度等の様々な情報をAI技術と組み合わせて可視化することで、円滑なコミュニケーションを実現するシステムが提案されている(非特許文献1、非特許文献2又は非特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Ezzaouia Mohamed, Aurelien Tabard, and Elise Lavoue. 2020. “Emodash: A Dashboard Supporting Retrospective Awareness of Emotions in Online Learning.” International Journal of Human-Computer Studies 139 (July): 102411.
【非特許文献2】Sun Wei, Yunzhi Li, Feng Tian, Xiangmin Fan, and Hongan Wang. 2019. “How Presenters Perceive and React to Audience Flow Prediction In-Situ: An Explorative Study of Live Online Lectures.” Proc. ACM Hum.-Comput. Interact., 162, 3 (CSCW): 1-19.
【非特許文献3】Duan Wen, Naomi Yamashita, and Susan R. Fussell. 2019. “Increasing Native Speakers’ Awareness of the Need to Slow Down in Multilingual Conversations Using a Real-Time Speech Speedometer.” Proc. ACM Hum.-Comput. Interact., 171, 3 (CSCW): 1-25.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような技術では、通常のコミュニケーションでは存在しなかった情報が視覚的に提示されるため、例えばアイコンタクトを取ることが難しい場合がある。また、提示された情報を理解するために認知的な負荷がかかる場合もある。その結果コミュニケーションが阻害されてしまい、ストレスが増大してしまう場合があった。
【0007】
上記事情に鑑み、本発明は、コミュニケーションで生じるストレスの増大を抑制する技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、互いにコミュニケーションを行う者の一方である推定対象のストレスの度合いの変化量を推定するストレス変化量推定部と、前記ストレス変化量に応じた刺激を前記推定対象のコミュニケーションを行う者の他方である刺激対象に、皮膚感覚を通じて与える刺激印加部と、を備えるコミュニケーション支援システムである。
【0009】
本発明の一態様は、互いにコミュニケーションを行う者の一方である推定対象のストレスの度合いの変化量を推定するストレス変化量推定ステップと、前記ストレス変化量に応じた刺激を前記推定対象のコミュニケーションを行う者の他方である刺激対象に、皮膚感覚を通じて与える刺激印加ステップと、を有するコミュニケーション支援方法である。
【0010】
本発明の一態様は、上記のコミュニケーション支援システムとしてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、コミュニケーションで生じるストレスの増大を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態のコミュニケーション支援システムの概要を説明する説明図。
図2】実施形態におけるストレス変化量推定部のハードウェア構成の一例を示す図。
図3】実施形態におけるストレス変化量推定部の備える制御部の構成の一例を示す図。
図4】実施形態における刺激制御部のハードウェア構成の一例を示す図。
図5】実施形態における刺激制御部の備える制御部の構成の一例を示す図。
図6】実施形態のコミュニケーション支援システムが実行する処理の流れの一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態)
図1は、実施形態のコミュニケーション支援システム100の概要を説明する説明図である。コミュニケーション支援システム100は、コミュニケーションを行う者同士の間で、コミュニケーションによって生じるストレスの増大を抑制する。
【0014】
コミュニケーション支援システム100は、ストレス変化量推定部1、ストレス情報取得部2,刺激制御部3及び刺激印加部4、を備える。ストレス変化量推定部1は、互いにコミュニケーションを行う者の一方である推定対象のストレス度の変化量(以下「ストレス変化量」という。)をストレス情報に基づき推定する。
【0015】
ストレス度はストレスの度合いである。ストレス変化量は、例えば、予め定められたストレス度(以下「基準ストレス度」という。)からのストレス度の変化量である。基準ストレス度は、予め定められたストレス度であればどのようなストレス度であってもよく、例えばコミュニケーションの開始の前の推定対象のストレス度であってもよい。
【0016】
なおストレス変化量は、ストレス度の変化量であればよいので、必ずしも基準ストレス度からの変化量である必要は無い。ストレス変化量は、例えばストレス度の時系列における隣接する2つのサンプル間のストレス度の変化量であってもよい。なお、ストレス変化量は、正又は負の値で表現されることで、変化後のストレス度が基準ストレス度等の変化前の値よりも高いか否かと、ストレス度の変化の大きさと、を表現可能な量である。
【0017】
ストレス情報は、推定対象のストレス度を示す情報である。ストレス情報は、推定対象のストレス度を示せばどのような情報であってもよい。心拍はストレスに影響されるので、ストレス情報は、例えば推定対象の心拍を示してもよい。表情はストレスに影響されるので、ストレス情報は、例えば推定対象の表情を示してもよい。
【0018】
ストレス情報が推定対象の心拍を示す場合、ストレス情報は、例えば推定対象に取り付けられた心拍計による心拍の測定の結果である。ストレス情報が推定対象の表情を示す場合、ストレス情報は、例えば推定対象の表情を撮影する撮影装置による表情の撮影の結果である。
【0019】
ストレス情報取得部2は、ストレス情報を取得する。ストレス情報取得部2は、ストレス情報を取得すればどのようなものであってもよい。ストレス情報取得部2は、ストレス情報が推定対象の心拍を示す場合には、例えば推定対象に取り付けられた心拍計である。ストレス情報取得部2は、ストレス情報が推定対象の表情を示す場合には、例えば推定対象の表情を撮影する撮影装置である。
【0020】
刺激制御部3は、刺激印加部4の動作を制御して、互いにコミュニケーションを行う者の他方である刺激対象に対する刺激であってストレス変化量に応じた刺激を、刺激印加部4に与えさせる。念のため説明しておくと、推定対象のコミュニケーションの相手が刺激対象であり、刺激対象のコミュニケーションの相手が推定対象である。
【0021】
刺激印加部4は、触感や温感等の皮膚感覚を通じて刺激対象に刺激を与える。刺激印加部4が刺激対象に与える刺激は、ストレス変化量に応じた刺激である。したがって、刺激印加部4は、ストレス変化量に応じた刺激を、皮膚感覚を通じて刺激対象に与えるものである。
【0022】
刺激印加部4は、皮膚感覚を通じて刺激対象に刺激を与えるものであればどのようなものであってもよい。刺激印加部4は、例えば肩たたき器等の刺激対象に触れることと触れないこととを繰り返す装置であってもよい。刺激印加部4は、例えば刺激対象に振動を与える装置であってもよい。刺激印加部4は、例えば刺激対象に電気刺激を与える装置であってもよい。刺激印加部4は、例えば刺激対象に対して温度変化を与える装置であってもよい。刺激印加部4は、例えば刺激対象に対して送風する装置であってもよい。刺激印加部4は、例えば刺激対象に対して温度変化を与えるとともに送風する装置であってもよい。
【0023】
<皮膚感覚を通じて刺激対象に刺激を与えることの意義>
ここで皮膚感覚を通じて刺激対象に刺激を与えることの意義について説明する。
【0024】
視覚を通じて推定対象のストレス度を示す技術の場合、刺激対象は、非言語コミュケーションの手がかりとして、通常のコミュニケーションでは存在しなかった情報を視覚的に取得する必要が生じる。そのため、例えばアイコンタクトを取ることが難しい場合や、提示された情報を理解するために認知的な負荷がかかる場合があり、刺激対象のストレス度は増大してしまう場合がある。
【0025】
一方、コミュニケーション支援システム100であれば、非言語コミュケーションの手がかりとして、刺激対象は皮膚感覚に対する刺激を受ければよく、視覚を通じて手がかりを得る必要はない。そのため、視覚を通じて推定対象のストレス度を示す技術よりも、ストレス度の増大を抑制することができる。
【0026】
図2は、実施形態におけるストレス変化量推定部1のハードウェア構成の一例を示す図である。ストレス変化量推定部1は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ91とメモリ92とを備える制御部11を備え、プログラムを実行する。ストレス変化量推定部1は、プログラムの実行によって制御部11、入力部12、通信部13、記憶部14及び出力部15を備える装置として機能する。
【0027】
より具体的には、プロセッサ91が記憶部14に記憶されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムをメモリ92に記憶させる。プロセッサ91が、メモリ92に記憶させたプログラムを実行することによって、ストレス変化量推定部1は、制御部11、入力部12、通信部13、記憶部14及び出力部15を備える装置として機能する。
【0028】
制御部11は、ストレス変化量推定部1が備える各種機能部の動作を制御する。制御部11は、例えばストレス変化量を推定する処理を行う。
【0029】
入力部12は、マウスやキーボード、タッチパネル等の入力装置を含んで構成される。入力部12は、これらの入力装置をストレス変化量推定部1に接続するインタフェースとして構成されてもよい。入力部12は、ストレス変化量推定部1に対する各種情報の入力を受け付ける。入力部12には、例えばストレス情報が入力される。
【0030】
通信部13は、ストレス変化量推定部1を外部装置に接続するための通信インタフェースを含んで構成される。通信部13は、有線又は無線を介して外部装置と通信する。外部装置は、例えばストレス情報取得部2である。通信部13は、ストレス情報取得部2との通信によってストレス情報を取得する。外部装置は、例えば刺激制御部3である。通信部13は、刺激制御部3との通信によって、推定したストレス変化量を刺激制御部3に送信する。
【0031】
記憶部14は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などのコンピュータ読み出し可能な記憶媒体装置を用いて構成される。記憶部14はストレス変化量推定部1に関する各種情報を記憶する。記憶部14は、例えば入力部12又は通信部13を介して入力された情報を記憶する。記憶部14は、例えば推定されたストレス変化量を記憶する。記憶部14は、例えば基準ストレス度を記憶する。
【0032】
出力部15は、各種情報を出力する。出力部15は、例えばCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示装置を含んで構成される。出力部15は、これらの表示装置をストレス変化量推定部1に接続するインタフェースとして構成されてもよい。出力部15は、例えば入力部12又は通信部13に入力された情報を出力する。
【0033】
図3は、実施形態におけるストレス変化量推定部1の備える制御部11の構成の一例を示す図である。制御部11は、ストレス変化量推定実行部111、入力制御部112、通信制御部113、記憶制御部114及び出力制御部115を備える。
【0034】
ストレス変化量推定実行部111は、入力部12又は通信部13の取得したストレス情報に基づき推定対象のストレス変化量を推定する。入力制御部112は、入力部12の動作を制御する。通信制御部113は、通信部13の動作を制御する。記憶制御部114は記憶部14の動作を制御する。すなわち記憶制御部114は、例えば情報を記憶部14に記録する。記憶制御部114は、例えば記憶部14が記憶する情報を読み出す。出力制御部115は出力部15の動作を制御する。
【0035】
図4は、実施形態における刺激制御部3のハードウェア構成の一例を示す図である。刺激制御部3は、バスで接続されたCPU等のプロセッサ93とメモリ94とを備える制御部31を備え、プログラムを実行する。刺激制御部3は、プログラムの実行によって制御部31、通信部32及び記憶部33を備える装置として機能する。
【0036】
より具体的には、プロセッサ93が記憶部33に記憶されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムをメモリ94に記憶させる。プロセッサ93が、メモリ94に記憶させたプログラムを実行することによって、刺激制御部3は、制御部31、通信部32及び記憶部33を備える装置として機能する。
【0037】
制御部31は、刺激制御部3が備える各種機能部の動作を制御する。制御部31は、例えば通信部32を介して刺激印加部4の動作を制御する。制御部31は、例えば通信部32を介して、ストレス変化量に基づく動作を刺激印加部4に実行させる。
【0038】
通信部32は、刺激制御部3を外部装置に接続するための通信インタフェースを含んで構成される。通信部32は、有線又は無線を介して外部装置と通信する。外部装置は、例えばストレス変化量推定部1である。通信部32は、ストレス変化量推定部1との通信によってストレス変化量推定部1の推定したストレス変化量を取得する。外部装置は、例えば刺激印加部4である。通信部32は、刺激印加部4との通信によって、刺激印加部4の動作を制御する制御信号を刺激印加部4に送信する。
【0039】
記憶部33は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などのコンピュータ読み出し可能な記憶媒体装置を用いて構成される。記憶部33は刺激制御部3に関する各種情報を記憶する。記憶部33は、例えば通信部32を介して入力された情報を記憶する。記憶部33は、例えば、ストレス変化量に応じた刺激印加部4の制御の規則を示す情報(以下「制御規則情報」という。)を記憶する。記憶部33は、例えば刺激印加部4の制御の履歴を記憶してもよい。制御部31は、制御規則情報に基づき、通信部32を介して取得したストレス変化量に応じた制御を、通信部32を介して、刺激印加部4に対して行う。
【0040】
図5は、実施形態における刺激制御部3の備える制御部31の構成の一例を示す図である。制御部31は、刺激印加制御部311、通信制御部312及び記憶制御部313を備える。
【0041】
刺激印加制御部311は、通信部32の取得したストレス変化量に基づいて刺激印加部4の動作を制御する。より具体的には、刺激印加制御部311は、制御規則情報に基づき、通信部32を介して取得されたストレス変化量に応じた制御を、通信部32を介して、刺激印加部4に対して行う。
【0042】
通信制御部312は、通信部32の動作を制御する。記憶制御部313は記憶部33の動作を制御する。すなわち記憶制御部313は、例えば情報を記憶部33に記録する。記憶制御部313は、例えば記憶部33が記憶する情報を読み出す。
【0043】
図6は、実施形態のコミュニケーション支援システム100が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。ストレス情報取得部2が推定対象のストレス情報を取得する(ステップS101)。次にストレス変化量推定部1がステップS101で得られたストレス情報に基づいて、推定対象のストレス変化量を推定する(ステップS102)。次に刺激制御部3が刺激印加部4の動作を制御して、ステップS102で推定されたストレス変化量に応じた刺激を、刺激対象に与えさせる(ステップS103)。すなわち、ステップS103では、刺激印加部4が、ストレス変化量に応じた刺激を、皮膚感覚を通じて刺激対象に与える。
【0044】
このように構成された実施形態のコミュニケーション支援システム100は、推定対象のストレスに応じた刺激を、皮膚感覚を通じて刺激対象に与える。そのためこのように構成されたコミュニケーション支援システム100は、推定対象と刺激対象との間のコミュニケーションで生じるストレスの増大を抑制することができる。
【0045】
(変形例)
<ストレス変化量に応じた刺激の例>
なお、上述したようにコミュニケーション支援システム100は、ストレス変化量に応じた刺激を刺激対象に与える。ストレス変化量に応じた刺激は、例えば単にストレス変化量と予め1対1に対応付けられた刺激であってもよい。このような場合、コミュニケーション支援システム100は、視覚を通じて推定対象のストレス度を示す技術よりも、ストレス度の増大を抑制することができる。
【0046】
なお、ストレス変化量に応じた刺激は、必ずしも単にストレス変化量と1対1に対応付けられた刺激である必要はない。ここで、ストレス変化量の他の例を説明する。
【0047】
ストレス度と話す速度とは相関を有しており、ストレス度が高い人ほど話す速度が速い傾向にある。また、話し相手の速度がストレス度の高い話し方であるほど、聞き手のストレス度も高まる。
【0048】
ところで、人間は生体反応として、動作の速度を、外部から皮膚感覚を通じて印加されたリズムに合わせようとする。その結果、外部から皮膚感覚を通じて印加されたリズムが遅い場合には、話す速度も遅くなる。
【0049】
コミュニケーション支援システム100は、このような複数の相関を利用してコミュニケーションによって生じるストレスの増大を抑制するシステムである。刺激対象に対し、そのコミュニケーション相手である推定対象が感じているストレス度に応じた刺激を、皮膚感覚を通じて与えると、上述した相関によれば、刺激対象の話す速度が刺激に応じて変化する。
【0050】
具体的には、ストレス変化量に応じたリズムの刺激であって刺激対象の話す速度を遅くする刺激が与えられると刺激対象の話す速度は遅くなる。ストレス変化量に応じたリズムの刺激であって刺激対象の話す速度を遅くする刺激は、例えば遅いリズムの刺激である。ストレス変化量に応じたリズムは、例えばストレス度の値が基準ストレス度よりも高い場合にはストレス変化量の大きさが大きいほど遅い、という条件を満たすリズムである。
【0051】
このようなストレス変化量に応じたリズムの刺激であって刺激対象の話す速度を遅くする刺激が刺激対象に与えられる結果、刺激対象の話を聞く推定対象は、刺激対象のストレス度が低いと感じ、推定対象自身のストレス度もまた軽減される。
【0052】
さらに、推定対象のストレス度が軽減されるため推定対象者の話す速度が遅くなるため、推定対象の話を聞く刺激対象は、推定対象のストレスが下がったと感じ、刺激対象自身のストレスが軽減される。
【0053】
このような刺激を与えるコミュニケーション支援システム100は、刺激対象に明示的にストレス度を通知することなく、コミュニケーションにおける刺激対象と推定対象とのストレス度を軽減することができる。
【0054】
なお、刺激は必ずしもリズムを伴う刺激である必要はない。例えば、推定対象のストレス度が高い場合、推定対処の話を聞く刺激対象は、推定対象のストレス度の高さを感じ、心拍が上昇する場合がある。その結果、刺激対象の体温が上昇する場合がある。
【0055】
そこで、刺激対象の体温を下げる温感刺激が刺激対象に対して与えられれば、刺激対象の心拍が下がり、ストレス度が軽減される。コミュニケーション支援システム100は、このようにして、コミュニケーションにおける刺激対象と推定対象とのストレス度を軽減してもよい。すなわち、刺激対象に与えられる刺激は、温度の刺激であって推定対象のストレス度が高い場合に刺激対象の体温を下げる刺激である。
【0056】
なお、ストレス度が高いか否かの判定は、ストレス変化量が所定の値より大きいか否かによって判定される。このようなストレス度が高いか否かの判定は、例えば刺激印加制御部311が実行する。
【0057】
なお、刺激は必ずしもリズムを伴う刺激だけである必要は無いし、温度の刺激であって推定対象のストレス度が高い場合に刺激対象の体温を下げる刺激だけである必要もない。刺激対象には、リズムを伴う刺激と、温度の刺激であって推定対象のストレス度が高い場合に刺激対象の体温を下げる刺激とが与えられてもよい。
【0058】
なお、ストレス変化量推定部1、ストレス情報取得部2、刺激制御部3及び刺激印加部4のそれぞれは必ずしも1つの筐体で構成される必要はない。ストレス変化量推定部1、ストレス情報取得部2、刺激制御部3及び刺激印加部4のそれぞれは、ネットワークを介して通信可能に接続された複数台の情報処理装置を用いて実装されてもよい。この場合、ストレス変化量推定部1、ストレス情報取得部2,刺激制御部3及び刺激印加部4のそれぞれが備える各機能部は、複数の情報処理装置に分散して実装されてもよい。
【0059】
なお、ストレス変化量推定部1、ストレス情報取得部2、刺激制御部3及び刺激印加部4のそれぞれは必ずしも互いに異なる筐体で構成される必要は無い。ストレス変化量推定部1、ストレス情報取得部2、刺激制御部3及び刺激印加部4の一部又は全部は1つの装置として実装されてもよい。したがって、例えばコミュニケーション支援システム100は1つの装置として実装されてもよい。
【0060】
なお、ストレス変化量推定部1、ストレス情報取得部2、刺激制御部3及び刺激印加部4それぞれの各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0061】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0062】
100…コミュニケーション支援システム、 1…ストレス変化量推定部、 2…ストレス情報取得部、 3…刺激制御部、 4…刺激印加部、 11…制御部、 12…入力部、 13…通信部、 14…記憶部、 15…出力部、 111…ストレス変化量推定実行部、 112…入力制御部、 113…通信制御部、 114…記憶制御部、 115…出力制御部、 31…制御部、 32…通信部、 33…記憶部、 311…刺激印加制御部、 312…通信制御部、 313…記憶制御部、 91…プロセッサ、 92…メモリ、 93…プロセッサ、 94…メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6