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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168885
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/00 20060101AFI20231121BHJP
   C08L 101/16 20060101ALN20231121BHJP
【FI】
C08L67/00 ZBP
C08L101/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080259
(22)【出願日】2022-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521067751
【氏名又は名称】ニューライト テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】千葉 俊輔
【テーマコード(参考)】
4J002
4J200
【Fターム(参考)】
4J002BB122
4J002CF181
4J002EJ066
4J002EV066
4J002EW066
4J002FD076
4J002GC00
4J002GK01
4J002GL00
4J002GN00
4J002GQ00
4J200AA04
4J200BA12
4J200DA16
4J200DA17
4J200DA18
4J200DA24
4J200DA28
4J200EA07
(57)【要約】
【課題】脂肪族ポリエステル系重合体を含みながら弾性率等の機械的特性に優れる組成物を提供する。
【解決手段】組成物Iは、重合体Bと、化合物Cと、を含む。重合体Bは脂肪族ポリエステル系重合体である。重合体Bと化合物Cとの合計100質量部に対して、化合物Cの含有量は0.01~20質量部である。化合物Cは以下の要件1を満たす。
要件1:重合体Bの、温度210℃及び荷重2.16kgfの条件で測定されるメルトマスフローレートをMFR(B)とし、
重合体Bと化合物Cとの合計100質量部に対して化合物Cを0.5質量部含む混合物Xの、温度210℃、荷重2.16kgfで測定されるメルトマスフローレートをMFR(X)とした時に、MFR(X)/MFR(B)が2.0以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合体Bと、化合物Cと、を含む組成物であって、
前記重合体Bは脂肪族ポリエステル系重合体であり、
前記重合体Bと前記化合物Cとの合計100質量部に対して、前記化合物Cの含有量は0.01~20質量部であり、
前記化合物Cは以下の要件1を満たす、組成物。
要件1:前記重合体Bの、温度210℃及び荷重2.16kgfの条件で測定されるメルトマスフローレートをMFR(B)とし、
前記重合体Bと前記化合物Cとの合計100質量部に対して前記化合物Cを0.5質量部含む混合物Xの、温度210℃、荷重2.16kgfで測定されるメルトマスフローレートをMFR(X)とした時に、MFR(X)/MFR(B)が2.0以下である。
【請求項2】
前記要件1におけるMFR(X)/MFR(B)が0.8以下である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記化合物Cは(C1)式で表される化合物から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
Ph-X-(Ph … (C1)
ただし、aは1又は2であり、Phは(C2)式で表され、
【化1】

は、独立に、t-Bu基以外の炭素数1~5のアルキル基からなる群から選択され、hは1~3の整数、iは1~3の整数、jは0~3の整数、h+i+jは5以下、少なくとも1つのOH基のオルト位には必ず1つ以上のt-Bu基が存在し、
Phは(C3)式で表され、
【化2】

mは0~3の整数、nは0~3の整数、pは0~3の整数であり、m+n+pは5以下であり、Rは独立にt-Bu基以外の炭素数1~5のアルキル基からなる群から選択され、
Xは、-O-C(=O)-、-(O=)C-O-、-C(R-、-S-、-O-、環を構成する炭素数が6~14である2価又は3価の芳香族炭化水素基、及び
【化3】

からなる群から選択され、
は、独立に、水素原子、及び、炭素数1~5のアルキル基からなる群から選択され、
構造式中の*は結合手を表す。
【請求項4】
MFR(X)/MFR(B)が0.8以下である第1の化合物Cと、
MFR(X)/MFR(B)が0.8超1.0以下である第2の化合物Cと、を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
前記重合体Bが50質量%超を占める、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項6】
前記重合体Bは、150℃以上の融点を有するポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系重合体である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項7】
前記化合物Cの分子量が5000以下である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項8】
ポリオレフィン系重合体Aと、重合体Bと、化合物Cと、を含む組成物であって、
前記重合体Bは脂肪族ポリエステル系重合体であり、
前記重合体Aと前記重合体Bと前記化合物Cの合計100質量部に対して、前記化合物Cの含有量は0.01~20質量部であり、
前記化合物Cは以下の要件1を満たす、組成物。
要件1:前記重合体Bの、温度210℃及び荷重2.16kgfの条件で測定されるメルトマスフローレートをMFR(B)とし、
前記重合体Bと前記化合物Cとの合計100質量部に対して前記化合物Cを0.5質量部含む混合物Xの、温度210℃、荷重2.16kgfで測定されるメルトマスフローレートをMFR(X)とした時に、MFR(X)/MFR(B)が2.0以下である。
【請求項9】
前記要件1におけるMFR(X)/MFR(B)が0.8以下である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記化合物Cは(C1)式で表される化合物から選択される、請求項8又は9に記載の組成物。
Ph-X-(Ph … (C1)
ただし、aは1又は2であり、Phは(C2)式で表され、
【化4】

は、独立に、t-Bu基以外の炭素数1~5のアルキル基からなる群から選択され、hは1~3の整数、iは1~3の整数,jは0~3の整数、h+i+jは5以下、少なくとも1つのOH基のオルト位には必ず1つ以上のt-Bu基が存在し、
Phは(C3)式で表され、
【化5】

mは0~3の整数、nは0~3の整数、pは0~3の整数であり、m+n+pは5以下であり、Rは独立にt-Bu基以外の炭素数1~5のアルキル基からなる群から選択され、
Xは、-O-C(=O)-、-(O=)C-O-、-C(R-、-S-、-O-、環を構成する炭素数が6~14である2価又は3価の芳香族炭化水素基、及び
【化6】

からなる群から選択され、
は、独立に、水素原子、及び、炭素数1~5のアルキル基からなる群から選択され、
構造式中の*は結合手を表す。
【請求項11】
MFR(X)/MFR(B)が0.8以下である第1の化合物Cと、
MFR(X)/MFR(B)が0.8超1.0以下である第2の化合物Cと、を含む、請求項8又は9に記載の組成物。
【請求項12】
ポリオレフィン系重合体A及び重合体Bとの合計を100質量部としたときに、前記オレフィン系重合体Aを50質量部超含む、請求項8又は9に記載の組成物。
【請求項13】
前記重合体Bは、150℃以上の融点を有するポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系重合体である、請求項8又は9に記載の組成物。
【請求項14】
前記化合物Cの分子量が5000以下である、請求項8又は9に記載の組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
脂肪族ポリエステル系重合体は、化石資源を用いることなく、再生可能資源により合成が可能な環境負荷の低い樹脂であり、かつ、成形加工性、機械的特性に優れる樹脂である。このため、これまで、各種包装材料、ボトルなどの各種容器、食品用包装材料、容器のキャップ、文具、日用雑貨、カーペットやソファ用の繊維、自動車用内外装材、電気・電子機器部品、ビルや住宅の内装材などの建築材料などに、脂肪族ポリエステル系重合体を添加することで、環境負荷を低下させられる。近年これらの物品に対して、加熱および光による脂肪族ポリエステル系重合体の劣化による機械的特性の低下の改良が要求されることが多い。
【0003】
そこで、これらの要求にこたえるための一手段として、特許文献1に記載されるように、脂肪族ポリエステル系重合体に、フェノール系酸化防止剤、ホスホナイトまたはホスファイトおよびチオ相乗剤のような既知の安定剤混合物を配合する方法が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2011-526317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、脂肪族ポリエステル系重合体は、フェノール系酸化防止剤、ホスホナイトまたはホスファイトおよびチオ相乗剤のような既知の安定剤により、より加熱による分子量の低下が促進されることがある。したがって、脂肪族ポリエステルに、フェノール系酸化防止剤、ホスホナイトまたはホスファイトおよびチオ相乗剤のような既知の安定剤を配合した組成物を、特定の型のキャビティ内へ導入し、型を冷却して組成物を固化させても、脂肪族ポリエステル系重合体の分子量の低下により、弾性率等の機械的特性が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、脂肪族ポリエステル系重合体を含みながら弾性率等の機械的特性に優れる組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]重合体Bと、化合物Cと、を含む組成物であって、
前記重合体Bは脂肪族ポリエステル系重合体であり、
前記重合体Bと前記化合物Cとの合計100質量部に対して、前記化合物Cの含有量は0.01~20質量部であり、
前記化合物Cは以下の要件1を満たす、組成物。
要件1:前記重合体Bの、温度210℃及び荷重2.16kgfの条件で測定されるメルトマスフローレートをMFR(B)とし、
前記重合体Bと前記化合物Cとの合計100質量部に対して前記化合物Cを0.5質量部含む混合物Xの、温度210℃、荷重2.16kgfで測定されるメルトマスフローレートをMFR(X)とした時に、MFR(X)/MFR(B)が2.0以下である。
【0008】
[2] 前記要件1におけるMFR(X)/MFR(B)が0.8以下である、[1]に記載の組成物。
【0009】
[3]前記化合物Cは(C1)式で表される化合物から選択される、[1]又は[2]に記載の組成物。
Ph-X-(Ph … (C1)
ただし、aは1又は2であり、Phは(C2)式で表され、
【化1】

は、独立に、t-Bu基以外の炭素数1~5のアルキル基からなる群から選択され、hは1~3の整数、iは1~3の整数、jは0~3の整数、h+i+jは5以下、少なくとも1つのOH基のオルト位には必ず1つ以上のt-Bu基が存在し、
Phは(C3)式で表され、
【化2】

mは0~3の整数、nは0~3の整数、pは0~3の整数であり、m+n+pは5以下であり、Rは独立にt-Bu基以外の炭素数1~5のアルキル基からなる群から選択され、
Xは、-O-C(=O)-、-(O=)C-O-、-C(R-、-S-、-O-、環を構成する炭素数が6~14である2価又は3価の芳香族炭化水素基、及び
【化3】

からなる群から選択され、
は、独立に、水素原子、及び、炭素数1~5のアルキル基からなる群から選択され、
構造式中の*は結合手を表す。
【0010】
[4]MFR(X)/MFR(B)が0.8以下である第1の化合物Cと、
MFR(X)/MFR(B)が0.8超1.0以下である第2の化合物Cと、を含む、[1]から[3]のいずれか一項に記載の組成物。
【0011】
[5]前記重合体Bが50質量%超を占める、[1]~[4]のいずれか一項に記載の組成物。
【0012】
[6]前記重合体Bは、150℃以上の融点を有するポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系重合体である、[1]~[5]のいずれか一項に記載の組成物。
【0013】
[7]前記化合物Cの分子量が5000以下である、[1]~[6]のいずれか一項に記載の組成物。
【0014】
[8]ポリオレフィン系重合体Aと、重合体Bと、化合物Cと、を含む組成物であって、
前記重合体Bは脂肪族ポリエステル系重合体であり、
前記重合体Aと前記重合体Bと前記化合物Cの合計100質量部に対して、前記化合物Cの含有量は0.01~20質量部であり、
前記化合物Cは以下の要件1を満たす、組成物。
要件1:前記重合体Bの、温度210℃及び荷重2.16kgfの条件で測定されるメルトマスフローレートをMFR(B)とし、
前記重合体Bと前記化合物Cとの合計100質量部に対して前記化合物Cを0.5質量部含む混合物Xの、温度210℃、荷重2.16kgfで測定されるメルトマスフローレートをMFR(X)とした時に、MFR(X)/MFR(B)が2.0以下である。
【0015】
[9]前記要件1におけるMFR(X)/MFR(B)が0.8以下である、[8]に記載の組成物。
【0016】
[10]前記化合物Cは(C1)式で表される化合物から選択される、[8]又は[9]に記載の組成物。
Ph-X-(Ph … (C1)
ただし、aは1又は2であり、Phは(C2)式で表され、
【化4】

は、独立に、t-Bu基以外の炭素数1~5のアルキル基からなる群から選択され、hは1~3の整数、iは1~3の整数,jは0~3の整数、h+i+jは5以下、少なくとも1つのOH基のオルト位には必ず1つ以上のt-Bu基が存在し、
Phは(C3)式で表され、
【化5】

mは0~3の整数、nは0~3の整数、pは0~3の整数であり、m+n+pは5以下であり、Rは独立にt-Bu基以外の炭素数1~5のアルキル基からなる群から選択され、
Xは、-O-C(=O)-、-(O=)C-O-、-C(R-、-S-、-O-、環を構成する炭素数が6~14である2価又は3価の芳香族炭化水素基、及び
【化6】

からなる群から選択され、
は、独立に、水素原子、及び、炭素数1~5のアルキル基からなる群から選択され、
構造式中の*は結合手を表す。
【0017】
[11]MFR(X)/MFR(B)が0.8以下である第1の化合物Cと、
MFR(X)/MFR(B)が0.8超1.0以下である第2の化合物Cと、を含む、[8]~[10]のいずれか一項に記載の組成物。
【0018】
[12]ポリオレフィン系重合体A及び重合体Bとの合計を100質量部としたときに、前記オレフィン系重合体Aを50質量部超含む、[8]~[11]のいずれか一項に記載の組成物。
【0019】
[13]前記重合体Bは、150℃以上の融点を有するポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系重合体である、[8]~[12]のいずれか一項に記載の組成物。
【0020】
[14]前記化合物Cの分子量が5000以下である、[8]~[13]のいずれか一項に記載の組成物
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、脂肪族ポリエステル系重合体を含みながら機械的特性に優れる組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0023】
(組成物I)
実施形態にかかる組成物Iは、重合体Bと、化合物Cとを含み、オレフィン系重合体Aを含んでもよい。
【0024】
<重合体B>
重合体Bは脂肪族ポリエステル系重合体である。
【0025】
脂肪族ポリエステル系重合体とは、脂肪族多価カルボン酸成分と脂肪族多価アルコール成分との重縮合体、又は、脂肪族ヒドロキシカルボン酸の重縮合体の構造を有し、繰り返し単位の主鎖は、芳香族炭化水素構造を含まない。
【0026】
脂肪族ポリエステル系重合体の例は、ヒドロキシカルボン酸又はラクトンの重合体、ジオールとジカルボン酸の重縮合体、及びそれらの共重合体が挙げられる。重合体Bが共重合体の場合、コポリマーの配列の様式は、ランダム共重合体、交替共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれの様式でもよい。
【0027】
また、これらは、少なくとも一部が、キシリレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート等のような多価イソシアネートや、セルロース、アセチルセルロース、エチルセルロース等のような多糖類等の架橋剤で架橋されたものでもよい。さらに、これらは、少なくとも一部が、線状、環状、分岐状、星形、三次元網目構造等のいずれの構造をとってもよく、何ら制限はなく、ポリオレフィン系樹脂との共重合体や、ポリオレフィン系樹脂とのグラフト重合体であってもよい。
【0028】
また、この重合体Bは、単独又は組合せて用いることが可能である。
【0029】
ヒドロキシカルボン酸としては、炭素数が2~18のヒドロキシカルボン酸が挙げられ、好ましくは炭素数6以下であり、炭素数が4のヒドロキシカルボン酸が最も好ましい。具体的には、グリコール酸、L-乳酸、D-乳酸、D,L-乳酸、3-ヒドロキシブチレート、3-ヒドロキシバレレート、3-ヒドロキシプロピオネート、4-ヒドロキシブチレート、4-ヒドロキシバレレート、5-ヒドロキシバレレート、3-ヒドロキシペンテノエート、3-ヒドロキシヘキサノエート、3-ヒドロキシヘプタノエート、3-ヒドロキシオクタノエート、3-ヒドロキシノナノエート及び3-ヒドロキシデカノエート等が挙げられる。
【0030】
また、ラクトンとしては、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン、ラウロラクトン等が挙げられる。
【0031】
ジオールとしては、炭素数が2~10のジオールであることが好ましい。中でも炭素数2~4の脂肪族ジオール、又は、炭素数5乃至6の脂環式ジオールであることがより好ましい。具体的には、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,16-ヘキサデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメチロール、1,4-シクロヘキサンジメチロール等が挙げられる。
【0032】
ジカルボン酸としては、炭素数が2~12の脂肪族ジカルボン酸であることが好ましい。中でも炭素数2~6の脂肪族ジカルボン酸、又は炭素数5乃至6の脂環式ジカルボン酸であることがより好ましい。具体的には、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,16-ヘキサデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸、ダイマー酸及びその水添物、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等が挙げられる。また、これらのジカルボン酸は炭素数1~4のアルキルエステル、酸無水物等の誘導体であってもよい。
【0033】
上記脂肪族ポリエステル系重合体のうち、ポリ乳酸やポリブチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート-コ-ブチレンアジペート)、ポリカプロラクトン、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)、ポリグリコール酸を用いることが好ましい。
【0034】
重合体Bとしてポリ乳酸を用いる場合、ポリ乳酸としてはそれを構成している乳酸成分中のL体の比率が94モル%以上のものであることが好ましい。L体の比率をこのような範囲とすることにより融点の低下を防ぐことが可能となる。
【0035】
(ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系重合体)
重合体Bは150℃以上の融点を有するポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系重合体であることができる。
【0036】
ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系重合体とは、ポリヒドロキシアルカノエートすなわちヒドロキシアルカン酸の重縮合体(ポリエステル)であって、かつ、(1)式で示される3-ヒドロキシアルカネートの繰り返し単位を必ず含む。(1)式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~15のアルキル基、シアノ基、炭素原子数1~18のアミノ基、炭素原子数1~11のアルコキシ基(アルキルオキシ基)、炭素原子数1~20のアミド基、炭素原子数6~12のアリール基、又は、炭素原子数1~9の1価の複素環基である。これらの基は、置換基を有していてもよい。特に、組成物に含まれる重合体B以外の成分(例えば、重合体A)との相溶性の観点から、Rは、炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~20のアミド基、又は、炭素原子数6~8のアリール基が好ましい。
【0037】
[-O-CHR-CH-CO-]…(1)
【0038】
ハロゲン原子の例は、F、Cl、Br、及びIである。
【0039】
炭素原子数1~15のアルキル基は直鎖状でも分岐状でもよい。アルキル基の炭素原子数は、1~8が好ましく、1~4がより好ましい。アルキル基の例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル墓、ペンチル基、イソペンチル基、2-メチルブチル基、1-メチルブチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、3-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、1-メチルペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、3,7-ジメチルオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル墓である。
【0040】
炭素原子数1~18のアミノ基の例は、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ベンジルアミノ基、ジベンジルアミノ基である。
【0041】
アルキルアミノ基の例は、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、ドデシルアミノ基、イソプロピルアミノ基、イソブチルアミノ基、イソペンチルアミノ基、sec-ブチルアミノ基、tert-ブチルアミノ基、sec-ペンチルアミノ基、tert-ペンチルアミノ基、tert-オクチルアミノ基、ネオペンチルアミノ基、シクロプロピルアミノ基、シクロブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、シクロヘプチルアミノ基、シクロオクチルアミノ基、1-アダマンタミノ基、2-アダマンタミノ基である。
【0042】
ジアルキルアミノ基の例は、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジイソペンチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、メチルブチルアミノ基、メチルイソブチルアミノ基、ジシクロプロピルアミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基である。
【0043】
アリールアミノ基の例としては、アニリノ基、1-ナフチルアミノ基、2-ナフチルアミノ基、o-トルイジノ基、m-トルイジノ基、p-トルイジノ基、1-フルオレンアミノ基、2-フルオレンアミノ基、2-チアゾールアミノ基、p-ターフェニルアミノ基である。
【0044】
アルキルアリールアミノ基としては、N-メチルアニリノ基、N-エチルアニリノ基、N-プロピルアニリノ基、N-ブチルアニリノ基、N-イソプロピルアニリノ基、N-ペンチルアニリノ基である。
【0045】
炭素原子数1~11のアルコキシ基の例は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペントキシ基である。
【0046】
「アミド基」とは、カルボン酸アミドから窒素原子に結合した水素原子1個を除いた基を意味する。炭素原子数1~20のアミド基の例は、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオンアミド基、ブチルアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基等の-NH-C(=O)-Rで表される基(ただし、Rは、水素原子、又は、1価の有機基)、及び、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基、ジペンタフルオロベンズアミド基のように-N(-C(=O)-R)(-C(=O)-R)で表される基(ただし、R はそれぞれ独立に、水素原子、又は、1価の有機基)である。有機基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい、アルキル基、アルコキシ基、アリール基であることができる。なかでも、アミド基は、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオンアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基が好ましい。
【0047】
炭素原子数6~12のアリール基の例は、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基であり、なかでも、フェニル基、トリル基、キシリル基がより好ましい。
【0048】
炭素原子数1~9の1価の複素環基のヘテロ原子の例は、N、O、及び、Sであり、飽和していても不飽和であってもよく、ヘテロ原子が単数であっても複数であっても異種のヘテロ原子を有していてもよい。このような複素環基の例は、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、ピペリジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、チアゾリル基が挙げられる。
【0049】
重合体Bの繰り返し単位は、1又は複数種の(1)式で示される3-ヒドロキシアルカノエートのみからなってもよく、1又は複数種の(1)式で示される3-ヒドロキシアルカノエート、及び、1又は複数種の他のヒドロキシアルカノエートを有してもよい。
【0050】
重合体Bは、(1)式で示される3-ヒドロキシルカノエートの繰り返し単位を、ヒドロキシアルカノエートの全繰り返し単位(100モル%)に対して50モル%以上含むものが好ましく、より好ましくは70モル%以上である。
【0051】
(1)式で示される3-ヒドロキシアルカノエートの例は、Rが水素原子またはC2n+1で表されるアルキル基であって、nは1~15の整数である場合、n=1である3-ヒドロキシブチレート(以降、3HBと記載することがある)、n=2である3-ヒドロキシバリレート(以降、3HVと記載することがある)、n=3である3-ヒドロキシヘキサノエート(以降、3HHと記載することがある)、n=5の3-ヒドロキシオクタネート、n=15である3-ヒドロキシオクタデカネート、Rが水素原子である3-ヒドロキシプロピオネートである。
【0052】
(1)式で表される1種の繰り返し単位のみを有する重合体Bの例は、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)(以降、P3HBと記載することがある)である。
【0053】
(1)式で表される複数種の繰り返し単位のみを有する重合体Bの例は、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート)(以下、P3HB3HHと記載することがある。)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバリレート)(以下、P3HB3HVと記載することがある)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシプロピオネート(以下P3HB3HPと記載することがある)である。
【0054】
(1)式で示される3-ヒドロキシアルカノエート以外の他のヒドロキシアルカノエートの例は、(2)式で示される繰り返し単位(式中、Rは水素原子またはC2n+1で表されるアルキル基で、nは1以上15以下の整数であり、mは、2~10の整数である。)である。
【0055】
[-O-CHR-C2m+1-CO-]…(2)
【0056】
(1)式および(2)式の繰り返し単位を含む重合体Bの例は、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-4-ヒドロキシブチレート)(例えば下式(P3HB4HB))である。
【0057】
融点を高くする観点から、重合体Bの繰り返し単位が、(1)式で示される3-ヒドロキシアルカノエートの中でも3-ヒドロキシブチレートを少なくとも含むことが好ましい。
【0058】
重合体Bは、3-ヒドロキシブチレートの繰り返し単位を、ヒドロキシアルカノエートの全繰り返し単位(100モル%)に対して50モル%以上含むものが好ましく、より好ましくは70モル%以上である。
【0059】
重合体Bは2種以上のエステルの繰り返し単位を有してもよく、例えば、上記のように2種の繰り返し単位を有するジ-ポリマー、3種の繰り返し単位を有するトリ-コポリマー、及び、4種の繰り返し単位を有するテトラ-コポリマーであってもよい。
【0060】
例えば、トリ-コポリマーの例は、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシバリレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)(以下、(P3HB3HV3HH)と記載することがある。)である。
【0061】
上述のように、重合体Bは、(1)式で示される3-ヒドロキシアルカノエートの繰り返し単位の中でも3-ヒドロキシブチレートを含むことが好ましい。全ヒドロキシアルカノエートのエステル繰り返し単位100モルに対して、3-ヒドロキシブチレートの繰り返し単位の割合XXは、90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましく、98.0モル%以上であることが更に好ましい。
【0062】
割合XXは、通常、100モル%以下であり、99.9モル%以下であることが好ましく、99.8モル%以下であることが好ましい。
【0063】
コポリマーの配列の様式は、ランダム共重合体、交替共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれの様式でもよい。
【0064】
重合体Bは、(1)式及び(2)式以外の他のエステル繰り返し単位を有してもよいが、当該他のエステル繰り返し単位の主鎖は芳香族炭化水素構造を含まない。すなわち、重合体Bは脂肪族ポリエステルである。ただし、当該他のエステル繰り返し単位の主鎖の炭素に芳香族炭化水素基を有する基が結合していることは可能である。
【0065】
重合体Bにおける繰り返し単位の構成比は、L.Tripathi.,M.C.Factories,11,44(2012)に記載されているように、1H-NMRや13C-NMR等のNMR測定結果から算出して求めることができる。
【0066】
また、重合体Bは、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系重合体の2種以上の重合体の混合物であってもよい。
【0067】
重合体Bの重量平均分子量(Mw)は、1万~100万であることができ、2万~80万であることが好ましく、より好ましくは3万~60万である。重量平均分子量(Mw)を1万以上とすることにより、衝撃強度及び引張伸びに優れた成形体を得ることが可能となる。また、重量平均分子量を50万以下にすることにより、オレフィン系重合体A中での分散性が良好となる。重量平均分子量は、40万以下でもよく、30万以下でもよく、20万以下でもよく、10万以下でもよい。なお本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、GPCにより、標準ポリスチレンを分子量標準物質として用いて測定される。
【0068】
重合体Bは、熱可塑性樹脂であり、結晶性であることが好適である。
【0069】
JIS K7210-2014に従って、温度190℃又は170℃および荷重2.16kgfの条件で測定される重合体Bのメルトマスフローレート(MFR(B))は、好ましくは0.1g/10分以上、200g/10分以下である。MFR(B)は、1g/10分以上でもよく、3g/10分以上でもよく、5g/10分以上でもよく、7g/10分以上でもよく、8g/10分以上でもよく、10g/10分以上でもよく、20g/10分以上でもよい。MFR(B)は、150g/10分以下でもよく、100g/10分以下でもよい。
【0070】
重合体Bの融点(Tm)は150℃以上であり、155℃以上、160℃以上、165℃以上、170℃以上、または、175℃以上であってもよい。重合体Bの融点(Tm)は、220℃以下であることができ、200℃以下であってもよく、190℃以下であってもよい。
【0071】
重合体Bの融点(Tm)は、JIS K7121に準拠した示差走査熱量計(DSC)測定により求められる結晶の融解に基づく主ピークの位置により測定される。
【0072】
ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系重合体は、微生物が生産したものであってもよいし、石油または植物原料から誘導された化合物(例えば環状ラクトンなど)由来のものであってもよい。
【0073】
ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系重合体は、微生物から生産されたもののようにヒドロキシアルカネートの各繰り返し単位がD体(R体)のみからなってもよいが、D体(R体)及びL体(S体)の混合物から誘導されたもののようにヒドロキシアルカノエートの繰り返し単位がD体(R体)及びL体(S体)を両方含むものでもよい。
【0074】
微生物から生産されたポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系重合体において、(1)式の繰り返し単位は下式のように表すことができる。(BI-1)式中、nは重合度を表す。
【化7】
【0075】
そして、例えば、微生物から生産されたポリ-(3-ヒドロキシブチレート)は以下のような構造を有する。(BI-2)式中、nは重合度を表す。
【化8】
【0076】
また、微生物から生産されたポリ-(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート)は以下のような構造を有する。(BI-3)式中、m及びnは重合度を表す。
【化9】
【0077】
また、微生物から生産されたポリ-(3-ヒドロキシブチレート-co-4-ヒドロキシブチレート)は以下のような構造を有する。(BI-4)式中、m及びnは重合度を表す。
【化10】
【0078】
重合体Bは、生分解性を有することができる。
【0079】
例えば、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系重合体は、Alcaligenes eutrophusにAeromonascaviae由来のPHA合成酵素遺伝子を導入したAlcaligeneseutrophus AC32株(ブダペスト条約に基づく国際寄託、国際寄託当局:独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)、原寄託日:平成8年8月12日、平成9年8月7日に移管、受託番号FERMBP-6038(原寄託FERMP-15786より移管))(J.Bacteriol.,179,4821(1997))等の微生物によって産生することができる。
【0080】
(化合物C)
化合物Cは以下の要件1を満たす。
要件1:重合体Bの、温度210℃及び荷重2.16kgfの条件で測定されるメルトマスフローレートをMFR(B)とし、
重合体Bと化合物Cとの合計100質量部に対して化合物Cを0.5質量部含む混合物Xの、温度210℃、荷重2.16kgfで測定されるメルトマスフローレートをMFR(X)とした時に、MFR(X)/MFR(B)が2.0以下である。
【0081】
MFR(X)/MFR(B)は、1.5以下でもよく、1.0以下でもよく、0.9以下でもよく、0.8以下でもよい。
【0082】
MFR(X)/MFR(B)は、化合物Cの種類毎に定まる値である。また、MFR(X)/MFR(B)は、化合物Cの種類に加えて、重合体Bに応じても変化しうる。
【0083】
MFR(X)及びMFR(B)は、光を一切遮断したシリンダ内で測定されるメルトマスフローレートである。シリンダ内の滞留時間は5分とすることができる。
【0084】
化合物Cは、MFR(X)/MFR(B)が2.0以下を示す単一の化合物であってもよく、MFR(X)/MFR(B)が2.0以下を示す化合物の2種以上の混合物であってもよい。
【0085】
化合物Cの添加により重合体Bの劣化が起きると、MFR(X)はMFR(B)よりも大きくなる。化合物Cの添加により重合体Bの劣化が抑制されると、MFR(X)はMFR(B)よりも小さくなる。すなわち、MFR(X)/MFR(B)が2.0以下とは、化合物Cが、脂肪族ポリエステル系重合体Bの加熱による劣化を大きく起こしにくい化合物であることを意味する。
【0086】
また、MFR(X)/MFR(B)が0.8以下とは、化合物Cが、脂肪族ポリエステル系重合体Bの加熱による劣化を十分抑制できる化合物であることを意味する。
【0087】
各化合物Cの分子量は、特に限定されるものではないが、好ましくは5000以下である。
【0088】
化合物Cは、前記MFR(X)/MFR(B)を満足する化合物であれば、特に限定されるものではないが、好ましくは、芳香族化合物、または、脂肪族化合物であってよい。化合物Cは、例えば、1又は複数種の芳香族化合物、1又は複数種の脂肪族化合物、並びに、1又は複数種の芳香族化合物及び1又は複数種の脂肪族化合物の組み合わせから選択される。
【0089】
(芳香族化合物)
芳香族化合物は、無置換化合物、1置換化合物、2置換化合物及び3置換以上の多置換化合物などがあり、1置換化合物及び2置換化合物としては、アルキルベンゼン系化合物、イソアルキルベンゼン系化合物、フェノール系化合物、ベンジルアルコール系化合物、アニソール系化合物、カルボニルベンゼン系化合物、アニリン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ニトロベンゼン系化合物、スチレン系化合物、サリチル酸系化合物、トルイジン系化合物などが挙げられ、芳香族多環化合物としては、ビフェニル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、フェノールフタレイン系化合物などが挙げられ、それら1置換化合物、2置換化合物及び3置換以上の多置換化合物は多環又は縮合環構造を形成していてもよい。
【0090】
芳香族化合物の例を以下に示す。
【0091】
<アルキルベンゼン系化合物、イソアルキルベンゼン系化合物>
トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、エチルベンゼン、クメン、p-シメン。
【0092】
<フェノール系化合物>
フェノール、ジブチルヒドロキシトルエン、ビスフェノールA、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、エストラジール、オイゲノール、トリヒドロキシベンゼン、メトキシフェノール、トリニトロフェノール、フェノールフタレイン、5-ヒドロキシトリプタミン、4-(2-アミノエチル)ベンゼン-1,2-ジオール、4-[1-ヒドロキシ-2-(メチルアミノ)エチル]ベンゼン-1,2-ジオール、2-イソプロピル-5-メチルフェノール系化合物、4-ヒドロキシフェニルアラニン、ジエチルスチルベストロール、L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、2-ヒドロキシ安息香酸メチル、プロポフォール系化合物、サリチル酸系化合物。
【0093】
<フェノール系酸化防止剤>
1,3,5-トリス(3,5-ジ-tertブチル-4-ヒドロキシベンジール)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(アデカスタブAO-20)、
4,4’,4“,-(1-メチルプロパニル-3-イリデン)トリス(6-tertブチル-m-クレゾール)(アデカスタブAO-30)、
6,6’-ジ-tertブチル-4,4‘-ブチリデンジ-m-クレゾール(AO-40)(C101)、
ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tertブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](アデカスタブAO-60)(Irganox1010)、
3,9-ビス[2-[3-(3-tertブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(アデカスタブAO-80)、
2,4,6-トリス(3‘,5’-ジ-tertブチル-4‘-ヒドロキシベンジル)メシチレン(C103)(アデカスタブAO-80)、
2,2‘-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール](アデカスタブLA-31RG)、
2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-(ヘキシルオキシ)フェノール(アデカスタブLA-46)、
6,6‘,6’‘-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイル)トリス(3-ヘキシルオキシ-2-メチルフェノール)、
2,2‘-メチレンビス(6-シクロヘキシル-p-クレゾール)、
N,N‘-(ヘキサン-1,6-ジイル)ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンアミド)、
2,4,6-トリス(3‘,5’-ジ-tert-ブチル-4‘-ヒドロキシベンジル)メシチレン、
2,2‘,6,6’-テトラ-tert-ブチル-4,4‘-ジヒドロキシビフェニル、ガルビノキシルフリーラジカル、
ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンサン][オキサリルビス(アザンジイル)]ビス(エタン-2,1-ジイル)、
4-(ヘキシルオキシ)-2,3,6-トリメチルフェノール、
2-メチル-4,6-ビス[(n-オクチルチオ)メチル]フェノール、
2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、2,4-ビス[(ドデシルチオ)メチル]-6-メチルフェノール、
6-tert-ブチル-2,4-キシレノール、
3,6-ジヒドロキシベンゾノルボルナン、
2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェノール、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル、
4,4‘-チオビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)(C102)、
2,5-ビス(1,1,3,3-テトラメチルブチル)ヒドロキノン、4,4‘-ブチリデンビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)、
3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
ビス[3-[3-(tert-ブチル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル]プロパン酸]2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3,9-ジイルビス(2-メチルプロパン-2,1-ジイル)(Sumilizer GA80)、
2,2‘-メチレンビス[6-(1-メチルシクロヘキシル)-p-クレゾール]、
3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル、
1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、
4-[[4,6-ビス(n-オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、
2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル、
トリエチレングリコールビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオナート]、
2,4,6-トリス(2,4-ジヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
3,3‘,5,5’-テトラ-tert-ブチル-4,4‘-スチルベンキノン、
3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチル、4,6-ジ-tert-ブチルレソルシノール、
3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-N‘-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパノイル]プロパンヒドラジド、4,4‘-ジヒドロキシ-3,3’,5,5‘-テトライソプロピルビフェニル、
2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、2,2‘-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-エチルフェノール)、
2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、
アクリル酸2-tert-ブチル-6-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニル(Sumilizer GM)、
ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、
2-メルカプトベンゾイミダゾール、
アクリル酸1‘-ヒドロキシ[2,2’-エチリデンビス[4,6-ビス(1,1-ジメチルプロピル)ベンゼン]]-1-イル(Sumilizer GS)、
2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)(Sumilizer MDP-S)、
4,4‘-チオビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)(Sumilizer WX-R)。
(UVA)
2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシベンゾフェノン(Sumisorb130)、
2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(Sumisorb200)、
2-[2-ヒドロキシ-3-(3,4,5,6-テトラヒドロフトダリミド-メチジル)-5-メチルフェニル]ベンゾトリアゾール(Sumisorb250)、
2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(Sumisorb340)、
2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1,1-ジメチルプロピル)フェノール(Sumisorb350)、
3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ安息香酸2,4-ジ-tert-ブチルフェニル(Sumisorb400)(C100)、
2-(5-tert-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(TinuvinPS)、
C7-C9-アルキル-3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]プロピオンエーテル(Tinuvin99-2)、
ブメトリゾール(Tinuvin326)、
2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(アルファ,アルファ-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール(Tinuvin900)、
2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール(Tinuvin928)、
2-[4-([2-ヒドロキシ-3-ドデサイロキシプロピル]オキシ)-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン(Tinuvin400)、
2-[4-([2-ヒドロキシ-3-トリデサイロキシプロピル]オキシ)-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン(Tinuvin400)、
2-[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]-2-ブチルプロパン二酸ビス[1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル](Tinuvin144)、
2,2‘-チオジエチルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート](Irganox1035)、
オクチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロ肉桂酸(Irganox1135)、
2,4-ビス[(ドデシルチオ)メチル]-6-メチルフェノール(Irganox1726)
4-ヒドロキシ安息香酸フェニル、
2,6-ジ(tert-ブチル)-4-(メトキシカルボニル)フェノール、
3,5-ジ-tert-ブチルフェノール、
3,3‘,5,5’-テトラ-tert-ブチル-2,2‘-ジヒドロキシビフェニル、
2,6-ジイソプロピルフェノール、
2,4,6-トリ-tert-ブチルフェノール、
イソシアヌル酸トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)、
2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、
2,2‘-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、
2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-(オクチルオキシ)フェノール、
2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-(イソオクチルオキシ)フェノール、
2,4-ジ-t-ペンチルフェニル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエ-ト、
モノ(ジ,トリ)(α-メチルベンジル)フェノール(ANTAGE SP)、
ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ACCEL PZ)、
ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(ACCEL EZ)、
ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(II) (ACCEL EZ)、
4-フェノキシフェノール、
4,4‘-ジヒドロキシジフェニルエーテル、
4-(4-ヒドロキシフェノキシ)安息香酸、
DL-チロニン、
2-[(ジフェニルホスホリル)メチル]フェノール、
2,5-ジヒドロキシフェニル(ジフェニル)ホスフィンオキシド。
【0094】
<アミン系化合物>
N,N‘-ジ-sec-ブチル-1,4-フェニレンジアミン、
N-(1,3-ジメチルブチル)-N‘-フェニル-1,4-フェニレンジアミン、
4,4‘-ビス(アルファ,アルファ-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、
4-イソプロピルアミノジフェニルアミン、
6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン、
N-フェニル-1-ナフチルアミン、
N,N‘-ジフェニル-1,4-フェニレンジアミン、
N,N‘-ジ-2-ナフチル-1,4-フェニレンジアミン、
N,N‘-1,3-フェニレンジマレイミド、
デカン二酸1-メチル10-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)、
ポリ[[6-[(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル]-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]-ヘキサン-1,6-ジイル-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]、
6-(2-ベンゾトリアゾリル)-4-tert-オクチル-6‘-tert-ブチル-4’-メチル-2,2‘-メチレンビスフェノール(JAST-500)、
ジフェニルアミンと2,4,4-トリメチルペンテンの反応生成物(ANTAGELDA)、
ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)、
2,2‘-(1,4-フェニレン)ビス(4H-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)。
【0095】
<リン系化合物>
亜りん酸トリ-p-トリル、
亜りん酸トリフェニル、
亜りん酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)(Irgafos168)、
3,9-ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
亜りん酸トリ-o-トリル、
2-tert-ブチル-6-メチル-4-{3-[(2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-6-イル)オキシ]プロピル}フェノール(SumilizerGP)、
3,9-ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン(アデカスタブPEP-36)、
2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-6-[(2-エチルヘキサン-1-イル)オキシ]-12H-ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン(アデカスタブHP-10)、
トリスノニルフェニルホスフィト(アデカスタブ1178)、
テトラアルキル(C12-15)-4,4‘-イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、(アデカスタブ1500)、
亜りん酸ジフェニル(2-エチルヘキシル)(アデカスタブC)、
ジフェニルイソデシルホスファイト(アデカスタブ134A)、
トリクレジルホスファイト(JP-3CP)、
トリラウリルホスファイト(JP-312L)、
トリス(トリデシル)ホスファイト(JP-333E)、
ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト(JPM-313)、
テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト(JPP-100)、
4,4‘-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェニルジトリデシルホスファイト)(JPH-1200)、
ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト(JPP-88-1)、
ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(JPP-88-2)、
ビス(デシル)ペンタエリスリトールジホスファイト(JPE-10)、
トリステアリルホスファイト(JP-318E)、
水添ビスフェノールA・ペンタエリスリトールホスファイトポリマー(JPH-3800)、
トリフェニルホスフィン(JC-263)。
【0096】
(脂肪族化合物)
脂肪族化合物は、非環式または環式のアルキル系化合物であり、ヘテロ原子を含有していてもよく、飽和または不飽和でもよい。前記脂肪族化合物は、例えばリン酸系化合物、アミン系化合物、有機イオウ化合物などが挙げられる。
【0097】
前記脂肪族化合物の例を以下に示す。
<イオウ系化合物>
ジエチルジチオカルバミン酸ニッケル、
ペンタエリトリトールテトラキス[3-ラウリルチオプロピオナート]、
3,3‘-チオジプロピオン酸ジドデシル、
3,3‘-チオジプロピオン酸ジテトラデシル(SumilizerTP-M)、
ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル(II)、
3,3‘-チオビスプロピオンサンジトリデシル(アデカスタブAO-503)、
2,2-bis[[3-(dodecylthio)-1-oxopropoxy]methyl]propane-1,3-diyl bis[3-(dodecylthio)propionate](Sumilizer TP-D)。
【0098】
<アミン系化合物>
コハク酸ジメチル・1-(2ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジン重縮合物(Tinuvin111FDL)、
N,N‘,4,7-テトラキス{4,6-ビス[N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2-イル}-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン(Tinuvin111FDL)、
デカン二酸ビス[2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)ピペリジン-4-イル](Tinuvin123)、
2,4-ビス[N-ブチル-N-(1-シクロヘキシロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ]-6-(2-ヒドロキシエチルアミン)-1,3,5-トリアジン(Tinuvin152)、
ビス(2,2,6,6―テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(Tinuvin770DF)、
セバシン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)(Tinuvin292)、
1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)(アデカスタブLA-52)、
ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)=3,4-ビス{[(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)オキシ]カルボニル}ヘキサンジオアート(アデカスタブLA-57)、
炭酸=ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-ウンデシルオキシピペリジン-4-イル)(アデカスタブLA-81)、
メタクリル酸1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル、(アデカスタブLA-82)、
メタクリル酸2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル、(アデカスタブLA-87)、
2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニルステアレート、(アデカスタブLA-40MP)。
【0099】
<リン酸系化合物>
亜りん酸トリオクチル、
亜りん酸トリス(2-エチルヘキシル)、
亜りん酸トリイソデシル、
亜りん酸トリオレイル、
亜りん酸トリヘキシル、
亜りん酸トリブチル、
亜りん酸トリス(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロピル)、
3,9-ジオクタデカン-1-イル-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン。
【0100】
(化合物Cのなかで特に好適な化合物)
化合物Cは、(C1)式で表される化合物から選択されることが好適である。
【0101】
Ph-X-(Ph … (C1)
ただし、aは1又は2であり、Phは(C2)式で表され、
【化11】
【0102】
は、独立に、t-Bu基以外の炭素数1~5のアルキル基からなる群から選択され、hは1~3の整数、iは1~3の整数,jは0~3の整数、h+i+jは5以下、少なくとも1つのOH基のオルト位には必ず1つ以上のt-Bu基が存在し、
Phは(C3)式で表され、
【化12】
【0103】
mは0~3の整数、nは0~3の整数、pは0~3の整数であり、m+n+pは5以下であり、Rは独立にt-Bu基以外の炭素数1~5のアルキル基からなる群から選択され、
Xは、-O-C(=O)-、-(O=)C-O-、-C(R-、-S-、-O-、環を構成する炭素数が6~14である2価又は3価の芳香族炭化水素基、及び
【化13】

からなる群から選択され、
は、独立に、水素原子、及び、炭素数1~5のアルキル基からなる群から選択され、
構造式中の*は結合手を表す。
【0104】
(C2)式について
少なくとも1つのOH基は、Xと結合する結合手に対して、パラ位に配置されていることができる。hは1又は2であってもよい。
【0105】
OH基のオルト位には1つ又は2つのt-Bu基が存在することができる。iは1又は2であってもよい。
【0106】
jは0又は1であってもよい。h+i+jは5以下、4以下、3以下、3であってよい。
【0107】
(C3)式について
m=1以上の場合、少なくとも1つのOH基のオルト位には1つ又は2つのt-Bu基が存在することが好適である。m=1以上の場合、少なくとも1つのOH基は、Xと結合する結合手に対してパラ位に配置されていることができる。mは1であっても2であってもよい。m+n+pは5以下、4以下、3以下、3であってよい。
【0108】
m=0の場合、nは1以上であることができ、2以上であってもよい。m=0の場合、Xと結合する結合手に対してパラ位に少なくとも1つのt-Bu基が存在することができる。nは2であってよい。m+n+pは5以下、4以下、3以下、2以下、2であってよい。
【0109】
(Xについて)
(C3)式のm=0の場合、Xは、-O-C(=O)-及び-(O=)C-O-の内、-(O=)C-O-であることが好適である。
【0110】
Xの芳香族炭化水素基において、環を構成する炭素原子には水素原子又は炭化水素基が結合していることができる。環を構成する炭素原子に結合する炭化水素基の炭素数は1~5であることができる。芳香族炭化水素基の環を構成する炭素数は6であってよく、その場合、a=2、かつ、Xのベンゼン環の環を構成する1位の炭素原子に(C2)の結合手が、3位及び5位の炭素原子に(C2)及び(C3)の結合手が結合していることができる。
【0111】
(C1)式の化合物の例は以下である。
【化14】

2,4-Di-tert-butylphenyl3,5-di-tert-butyl-4-hydroxybenzoate (sumisorb 400)
【0112】
【化15】

4,4'-Butylidenebis(6-tert-butyl-m-cresol)
【0113】
【化16】

4,4'-Thiobis(6-tert-butyl-m-cresol)
【0114】
【化17】

2,4,6-Tris(3',5'-di-tert-butyl-4'-hydroxybenzyl)mesitylene
【0115】
【化18】

スミライザーGP(C104)
【0116】
(化合物Cが2種の化合物の混合物である場合)
組成物が化合物Cを2種以上含む場合、MFR(X)/MFR(B)が0.8以下である第1の化合物(単数でも複数でもよい)と、MFR(X)/MFR(B)が0.8超1.0以下である第2の化合物(単数でも複数でもよい)とを組成物が含んでもよい。
【0117】
第1の化合物の例は、(C1)式で表される化合物である。
【0118】
第2の化合物の例は、Sumilizer GM,Sumirizer GS,Sumilizer GA80,Irganox1010,SumilizerGP,Sumilizer TP-D,Sumilizer TP-M,Irgafos168,カルボジスタTCC-NP(環状カルボジイミド)である。
【0119】
第2の化合物を2種以上用いることも好適であり、そのような組み合わせの例は、Sumilizer GA80とSumilizer TP-Dとの組み合わせ、Irganox1010とSumilizer TP-Dとの組み合わせである。
【0120】
(MFR(X)/MFR(B)が2.0超となる化合物C’)
組成物は、MFR(X)/MFR(B)が2.0超、1.5超、又は1.0超となる化合物C’を含まないことが好適である。
【0121】
<オレフィン系重合体A>
オレフィン系重合体Aとは、炭素原子数2以上10以下のオレフィンに由来する構造単位を50質量%以上含有する重合体である(ただし、オレフィン系重合体の全量を100質量%とする)。炭素原子数2以上10以下のオレフィンの例は、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンである。
【0122】
オレフィン系重合体Aは、炭素原子数2以上10以下のオレフィン以外の単量体に由来する構造単位を含有していてもよい。炭素原子数2以上10以下のオレフィン以外の単量体の例は、スチレンなどの芳香族ビニル単量体;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸エステル;酢酸ビニルなどのビニルエステル化合物;1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)などの共役ジエン;及び、ジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネンなどの非共役ジエンである。
【0123】
オレフィン系重合体Aは、エチレン系重合体、プロピレン系重合体、及びブテン系重合体からなる群から選択される少なくとも1つであることができ、これらの内の任意の2種以上の組み合わせであってもよい。
【0124】
エチレン系共重合体とは、エチレンに由来する構造単位を50質量%以上含有する重合体であり、その例は、エチレン単独重合体、エチレン-1-ブテン共重合体、エチレン-1-ヘキセン共重合体、エチレン-1-オクテン共重合体、及び、エチレン-1-ブテン-1-ヘキセン共重合体である。エチレン系共重合体は、2以上のエチレン系共重合体の組み合わせであってもよい。
【0125】
プロピレン系共重合体とは、プロピレンに由来する構造単位を50質量%以上含有する重合体であり、その例は、プロピレン単独重合体、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-1-オクテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ヘキセン共重合体、及び、プロピレン-エチレン-1-オクテン共重合体である。プロピレン系共重合体は、2種以上のプロピレン系共重合体の組み合わせであってもよい。オレフィン系重合体Aがプロピレン系共重合体であることは好適である。
【0126】
ブテン系共重合体とは、1-ブテンに由来する構造単位を50質量%以上含有する重合体であり、その例は、1-ブテン単独重合体、1-ブテン-エチレン共重合体、1-ブテン-プロピレン共重合体、1-ブテン-1-ヘキセン共重合体、1-ブテン-1-オクテン共重合体、1-ブテン-エチレン-プロピレン共重合体、1-ブテン-エチレン-1-ヘキセン共重合体、1-ブテン-エチレン-1-オクテン共重合体、1-ブテン-プロピレン-1-ヘキセン共重合体、及び、1-ブテン-プロピレン-1-オクテン共重合体である。ブテン系共重合体は、2種以上のブテン系共重合体の組み合わせであってもよい。
【0127】
上記のオレフィン系重合体Aは、公知の重合用触媒を用いた公知の重合方法を用いて製造することができる。
【0128】
JIS K7210-2014に従って温度230℃又は190℃、荷重2.16kgfの条件で測定されるオレフィン系重合体Aのメルトマスフローレート(MFR)は、好ましくは0.1g/10分以上200g/10分以下である。
【0129】
(添加剤)
組成物は、必要に応じて、添加剤を含んでもよい。添加剤としては、安定剤、防菌剤、防黴剤、分散剤、可塑剤、難燃剤、粘着付与剤、着色剤、金属粉末、有機粉末、無機繊維、有機繊維、有機及び無機の複合繊維、無機ウィスカー、及び、充填剤からなる群から選択される少なくとも一種であることができる。
【0130】
安定剤の例は、滑剤、老化防止剤、熱安定剤、耐光剤、耐候剤、金属不活性剤、紫外線吸収剤、光安定剤、及び、銅害防止剤からなる群から選択される少なくとも一種である。耐光剤の例はヒンダードアミン系耐光剤である。
【0131】
着色剤の例は、酸化チタン、カーボンブラック及び有機顔料からなる群から選択される少なくとも一種である。金属粉末の例はフェライトである。
【0132】
有機粉末の例はタンパク質である。無機繊維の例は、ガラス繊維及び金属繊維である。有機繊維の例は、炭素繊維及びアラミド繊維である。無機ウィスカーの例はチタン酸カリウムウィスカーである。
【0133】
充填剤の例は、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスフレーク、アスベスト、マイカ、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、ハイドロタルサイト、カオリン、けい藻土、グラファイト、軽石、エボ粉、コットンフロック、コルク粉、硫酸バリウム、フッ素樹脂、セルロースパウダー、及び、木粉からなる群から選択される少なくとも一種である。
【0134】
組成物は、上記の添加剤を1種のみ含んでもよく、2種以上の組み合わせを含んでもよい。
【0135】
<組成物Iの組成>
重合体Bと化合物Cとの合計100質量部に対して、化合物Cの含有量は0.01~20質量部である。化合物Cの含有量は、15質量部以下、10質量部以下、7質量部以下、5質量部以下、3質量部以下、2質量部以下、1質量部以下であってよい。
【0136】
前記重合体Bが組成物Iの50質量%超を占めることができ、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上を占めることができる。
【0137】
組成物Iの全体に占める、重合体Bと化合物Cとの合計の割合は50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上であってよい。
【0138】
組成物Iは、オレフィン系重合体Aを含んでいてもよい。オレフィン系重合体Aは、組成物Iの40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、10質量%以下であってよい。
【0139】
組成物Iにおいて、オレフィン系重合体Aが分散相を形成し、重合体Bが連続相を形成していることができる。分散相(島部)の平均円相当径は、10nm~400μmであることができる。
【0140】
本実施形態の組成物Iによれば、化合物Cを含んでいることにより機械的特性、例えば、弾性率に優れる。弾性率の例は、曲げ弾性率、及び、引張弾性率である。この理由は明らかでは無いが、化合物Cにより、溶融混練時の脂肪族ポリエステル系樹脂の熱分解を抑制できることに起因すると考えられる。
【0141】
特に、組成物Iが、(C1)式で表される化合物Cを含むと、効果が高い。
【0142】
(組成物II)
実施形態にかかる組成物IIは、ポリオレフィン系重合体Aと、重合体Bと、化合物Cと、を含む。重合体Bは脂肪族ポリエステル系重合体である。
【0143】
重合体Aと前記重合体Bと前記化合物Cの合計100質量部に対して、前記化合物Cの含有量は0.01~20質量部である。
【0144】
前記化合物Cは以下の要件1を満たす。
【0145】
要件1:前記重合体Bの、温度210℃及び荷重2.16kgfの条件で測定されるメルトマスフローレートをMFR(B)とし、
前記重合体Bと前記化合物Cとの合計100質量部に対して前記化合物Cを0.5質量部含む混合物Xの、温度210℃、荷重2.16kgfで測定されるメルトマスフローレートをMFR(X)とした時に、MFR(X)/MFR(B)が2.0以下である。
【0146】
すなわち、本実施形態に係る組成物IIが組成物Iと異なる点は、ポリオレフィン系重合体Aを必須とする点であり、それ以外については、組成物Iで説明した全ての事項は組成物IIに適用可能である。
【0147】
以下では、組成物Iと異なる点について説明する。
【0148】
(オレフィン系重合体Aについて)
組成物IIにおいて、オレフィン系重合体A及び重合体Bの合計100質量部に対して、オレフィン系重合体Aの含有量は50質量部超であってよい。オレフィン系重合体Aの含有量は60質量部以上、70質量部以上、80質量部以上、90質量部以上であってよい。
【0149】
組成物IIの全体に占める、重合体Aと重合体Bと化合物Cとの合計の割合は20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上であってよい。
【0150】
前記重合体Aが組成物IIの50質量%超を占めることができ、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上を占めることができる。
【0151】
(化合物C)
組成物Iと同様に、MFR(X)/MFR(B)が0.8以下である第1の化合物Cと、MFR(X)/MFR(B)が0.8超1.0以下である第2の化合物Cと、を含むことが好適である。
【0152】
組成物IIも、MFR(X)/MFR(B)が2.0超、1.5超、1.0超となる化合物C’を含まないことが好適である。
【0153】
(効果)
本実施形態の組成物IIによれば、化合物Cを含んでいることにより機械的特性に優れる。機械的特性の例は、曲げ弾性率、及び、引張伸びである。この理由は明らかでは無いが、化合物Cにより、溶融混練時に脂肪族ポリエステル系樹脂のみならずオレフィン系重合体の熱分解をも抑制できることに起因すると考えられる。
【0154】
組成物IIにおいて、重合体Bが分散相を形成し、オレフィン系重合体Aが連続相を形成していることができる。分散相(島部)の平均円相当径は、10nm~400μmであることができる。
【0155】
(組成物の製造方法)
組成物I及びIIは、各原料成分を溶融混練することにより得ることができる。
【0156】
混練温度(混練機の設定温度)を150~300℃とすることが好ましく、170℃~280℃とすることがより好ましい。210℃以上で加工することも可能である。
【0157】
組成物Iは、重合体B、化合物C、及び、必要に応じて添加される、添加剤、オレフィン系重合体A等を溶融混練して得ることができる。
【0158】
組成物IIは、オレフィン系重合体A、重合体B、化合物C、及び、必要に応じて添加される添加剤の全てを一度に溶融混練して製造することができる。
【0159】
組成物IIは、一部のオレフィン系重合体A、全部の重合体B、一部または全部の化合物C、及び、必要に応じて添加される添加剤の一部または全部を先ず溶融混練して予備組成物を製造する第1工程と、その後、予備組成物と、残部のオレフィン系重合体A、残部の化合物C、及び、必要に応じて添加される添加剤の残部とを溶融混練する第2工程とにより製造してもよい。第1工程でオレフィン系重合体を一切添加しなくてもよい。
【0160】
組成物IIの化合物CがMFR(X)/MFR(B)が0.8以下である化合物Cを含む場合、当該化合物Cを第1工程で添加することが好適である。
【0161】
組成物IIの化合物Cが、MFR(X)/MFR(B)が0.8以下である第1の化合物Cと、MFR(X)/MFR(B)が0.8超1.0以下である第2の化合物Cとの混合物である場合には、第1工程において、第1の化合物C及び第2化合物Cを全て添加してもよく、第1工程において、第1の化合物Cの一部または全部を添加し、第2工程において第2の化合物Cの一部又は全部を添加してもよい。
【0162】
(組成物の成形体の製造方法)
射出成形法、押出成形法、真空成形法、圧空成形法、プレス成形法、発泡成形法、ブロー成形法、回転成形法などの公知の樹脂の成形方法を用いて、所要の形状を有する上記の組成物の成形体を得ることができる。
【0163】
また、上記の組成物を、他の樹脂、金属、紙、皮革等の他の材料と張り合わせ、多層構造体をえることができる。
【0164】
本発明の組成物の成形体の表面には、表面処理を施してもよい。表面処理の方法としては、エンボス処理、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾン処理等の方法が挙げられる。
【0165】
上記の組成物は、樹脂材料として広く利用できる。
【0166】
本発明の樹脂組成物の用途としては、繊維材、外構部材、家具及び室内装飾部材、家部材、玩具部材、園芸部材、自動車部材、包装材が挙げられる。繊維材として、例えば、衣料用ファブリック部材、インテリア用ファブリック部材、産業用繊維部材などが挙げられ、外構部材として、例えば、カーポート部材、フェンス部材、門扉部材、門柱部材、ポスト部材、サイクルポート部材、デッキ部材、サンルーム部材、屋根部材、テラス部材、手すり部材、シェード部材、オーニング部材などが挙げられ、家具及び室内装飾部材として、例えば、ソファ部材、テーブル部材、チェア部材、ベッド部材、タンス部材、キャブネット部材、ドレッサー部材などが挙げられ、家電部材として、例えば、時計用部材、携帯電話部材、白物家電部材、などが挙げられ、玩具部材として、例えば、プラモデル部材、ジオラマ部材、ビデオゲーム本体部材などが挙げられ、園芸部材として、例えば、プランター部材、花瓶部材、植木鉢用部材などが挙げられ、自動車部材として、例えば、バンパー材、インパネ材、エアバッグカバー材などが挙げられ、包装材としては、例えば、食品用包装材、繊維用包装材、雑貨用包装材などが挙げられる。さらに、その他の用途としては、例えば、モニター用部材、オフィスオートメーション(OA)用機器部材、医療用部材、排水パン、トイレタリー部材、ボトル、コンテナー、除雪用品部材、各種建築用部材などが挙げられる。
【実施例0167】
以下、本発明について実施例及び比較例を用いて説明する。実施例及び比較例で使用したオレフィン系重合体A、脂肪族ポリエステル系重合体B、化合物Cを下記に示す。
【0168】
(1)重合体A
(A-1)プロピレン単独重合体
MFR(230℃、2.16kg荷重):7g/10分
融点(Tm):163℃
【0169】
(2)重合体B
(B-1)ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)
構造式:(BI-3)式
コモノマー(3HH)成分の含有量(モル%):0.4モル%
重量平均分子量(Mw):397800
MFR(190℃、2.16kg荷重):8g/10分
MFR(B-1)(210℃、2.16kg荷重):171g/10分
融点(Tm):175℃
【0170】
(3)化合物C
(C-1)2,4-Di-tert-butylphenyl 3,5-di-tert-butyl-4-hydroxybenzoate
(商品名)Sumisorb 400:住化ケムテック社製
Cas No:4221-80-1
分子量:438
MFR(X)(210℃、2.16kg荷重):104.9g/10分
MFR(X)/MFR(B-1):0.61
【0171】
(C-2)2,2-bis[[3-(dodecylthio)-1-oxopropoxy]methyl]propane-1,3-diyl bis[3-(dodecylthio)propionate]
(商品名)Sumilizer TP-D:住友化学社製
Cas No:29598-76-3
分子量:1162
MFR(X)(210℃、2.16kg荷重):146.4g/10分
MFR(X)/MFR(B-1):0.86
【0172】
(C-3)2-[1-(2-Hydroxy-3,5-di-tert-pentylphenyl)ethyl]-4,6-di-tert-pentylphenyl acrylate
(商品名)Sumilizer GS:住友化学社製
Cas No:123968-25-2
分子量:549
MFR(X)(210℃、2.16kg荷重):162.2g/10分
MFR(X)/MFR(B-1):0.95
【0173】
(C-4)Pentaerythritol tetrakis(3-(3,5-di-tert-butyl-4-hydroxyphenyl)propionate)
(商品名)Irganox 1010:BASFジャパン社製
Cas No:6683-19-8
分子量:1178
MFR(X)(210℃、2.16kg荷重):149.5g/10分
MFR(X)/MFR(B-1)v:0.87
【0174】
(C-5)3,9-Bis{2-[3-(3-tert-butyl-4-hydroxy-5-methylphenyl)-propionyloxy]-1,1-dimethylethyl}-2,4,8,10-tetraoxaspiro[5.5]undecane
(商品名)Sumilizer GA-80:住友化学社製
Cas No:90498-90-1
分子量:741
MFR(X)(210℃、2.16kg荷重):153.8g/10分
MFR(X)/MFR(B-1):0.90
【0175】
(C-6)Bis(2,2,6,6-tetramethyl-4-piperidyl) sebacate
(商品名)Tinuvin 770DF:BASFジャパン社製
Cas No:52829-07-9
分子量:481
MFR(X)(210℃、2.16kg荷重):403.4g/10分
MFR(X)/MFR(B-1):2.36
【0176】
各重合体及び組成物の物性は下記に示した方法に従って測定した。
【0177】
(1)メルトマスフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS K7210-2014に規定された方法に従って測定した。測定温度は230℃又は210又は190℃、荷重は2.16kgとした。溶融混練されるシリンダは金属製であり、樹脂に対して光は照射されない。
上記のMFR(X)は、重合体B-1と化合物C-1~C-6のいずれかとの合計100質量部に対して化合物C-1~C-6の当該いずれかを0.5質量部含む混合物Xの、温度210℃、荷重2.16kgfで測定されるメルトマスフローレートである。
MFR(B-1)は、重合体B-1の、温度210℃及び荷重2.16kgfの条件で測定されるメルトマスフローレートである。
【0178】
(2)重量平均分子量(Mw)
重量平均分子量(Mw)を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定結果に基づき算出した。GPCの測定において、測定装置としてウォーターズ社製GPC-150Cを用い、ポリマー濃度0.05重量%のオルトジクロロベンゼン溶液を用い、カラムとして混合ポリスチレンゲルカラム(東ソー(株)社製PSKgelGMH6-HT)を使用し、測定温度を135℃とした。
【0179】
(3)重合体の融点(Tm)
JIS K7121に規定された方法に従って、測定した。測定温度は-50℃~200℃もしくは、-50℃~250℃で、昇温速度は10℃/分で測定した。
【0180】
(4)重合体Bのコモノマー成分の含有量
コモノマー成分の含有量は、重合体Bのヒドロキシアルカノエートの全エステル繰り返し単位の数に対する、3-ヒドロキシブチレート以外の他の繰り返し単位(3-ヒドロキシヘキサノエート(3HH)又は4-ヒドロキシブチレート(4HB))のモル比のことである。
【0181】
コモノマー成分の含有量は、L.Tripathi.,M.C.Factories,11,44(2012)に記載されている1H-NMRスペクトルを使用する方法で求めた。
〔測定条件〕
機種:Bruker AVANCE600
プローブ:10mmクライオプローブ
測定温度:135℃
パルス繰り返し時間:1秒
パルス幅:45°
積算回数:700回
磁場強度:600MHz
【0182】
(5)引張伸び(UE)
東洋機械金属製SI30III型射出成形機を用い、成形温度220℃、金型温度50℃で射出成形を行い、厚さ2mmの引張試験片を得た。該試験片の中央部に該試験片の長手方向に25mmの間隔を空けて、該試験片の幅方向に沿って全幅にわたり2本の平行な標線を付した後、引張試験機により温度23℃、引張速度50mm/分で該試験片が破断するまでその長手方向に引っ張った。該試験片が破断した時の標線間距離の初期の標線間距離(25mm)に対する割合で定義される引張伸び(単位:%)を算出した。
【0183】
(6)曲げ弾性率(FM)
東洋機械金属製SI30III型射出成形機を用い、成形温度220℃、金型温度50℃で射出成形を行い、厚さ4mm、幅10mm、長さ80mmの大きさの曲げ試験片を得た。測定条件はJIS-K-7171に従い、23℃における曲げ弾性率(単位:MPa)を測定した。
【0184】
(7)引張弾性率
東洋機械金属製SI30III型射出成形機を用い、成形温度220℃、金型温度50℃で射出成形を行い、厚さ2mmの引張試験片を得た。引張試験機により温度23℃、引張速度50mm/分で該試験片を長手方向に引っ張った。測定条件は、JIS-K-7139に従い、引張比例限度内における引張応力とこれに対応するひずみの比から、引張弾性率(単位:MPa)を測定した。
【0185】
(実施例A;組成物I)
(実施例A1)
99.9質量%の重合体(B-1)と、0.1質量%の化合物(C-1)とを混合し、15mm二軸押出機KZW15-45MG(テクノベル製)を用いて、シリンダ設定温度:165℃、スクリュー回転数:500rpm、押出量:約4kg/時間の条件で、溶融混練し樹脂組成物(Q-1)を得た。
【0186】
(実施例A2)
重合体(B-1)を99.5質量%、化合物(C-1)を0.5質量%とする以外は、実施例A1と同様として、樹脂組成物(Q-1)を得た。
【0187】
(実施例A3)
重合体(B-1)を99質量%、化合物(C-1)を1質量%とする以外は、実施例A1と同様として、樹脂組成物(Q-1)を得た。
【0188】
(比較例A1)
重合体(B-1)を100質量%とし、化合物(C-1)を添加しない以外は実施例A1と同様として、樹脂組成物(Q-1)を得た。
【0189】
得られた樹脂組成物の引張弾性率及び曲げ弾性率を測定した。結果を表1に示す。
【0190】
【表1】
【0191】
(実施例B;組成物II)
(実施例B1)
第1工程:18.8質量%の重合体(A-1)と、80.0質量%の重合体(B-1)と、1.0質量%の化合物(C-1)と、0.2質量%の化合物(C-2)とを混合し、15mm二軸押出機KZW15-45MG(テクノベル製)を用いて、シリンダ設定温度:215℃、スクリュー回転数:500rpm、押出量:約4kg/時間の条件で、溶融混練し樹脂組成物(Q-1)を得た。
【0192】
第2工程:樹脂組成物(Q-1)を6.25質量%と、93.75質量%の重合体(A-1)とを混合し、15mm二軸押出機KZW15-45MG(テクノベル製)を用いて、シリンダ設定温度:215℃、スクリュー回転数:500rpm、押出量:約4kg/時間の条件で、溶融混練し組成物を得た。前記組成物の引張伸び(UE)と曲げ弾性率(FM)を評価した。
【0193】
(実施例B2)
第2工程で、樹脂組成物(Q-1)を6.25質量%と、93.75質量%の重合体(A-1)と、0.3質量部の化合物(C-3)とを混合した以外は、実施例1と同様にした。
【0194】
(実施例B3)
第2工程で、樹脂組成物(Q-1)を6.25質量%と、93.75質量%の重合体(A-1)と、0.3質量部の化合物(C-3)と、0.9質量部の化合物(C-2)と、0.3質量部の化合物(C-4)とを混合した以外は、実施例1と同様にした。
【0195】
(比較例B1)
第1工程:18.8質量%の重合体(A-1)と、81.2質量%の重合体(B-1)とを混合し、15mm二軸押出機KZW15-45MG(テクノベル製)を用いて、シリンダ設定温度:215℃、スクリュー回転数:500rpm、押出量:約4kg/時間の条件で、溶融混練し樹脂組成物(Q-3)を得た。
【0196】
第2工程:樹脂組成物(Q-3)を6.25質量%と、93.75質量%の重合体(A-1)とを混合した以外は、実施例B1と同様にした。
【0197】
(比較例B2)
第1工程:19.0質量%の重合体(A-1)と、80.0質量%の重合体(B-1)と、1.0質量%の成分(C-6)を混合し、15mm二軸押出機KZW15-45MG(テクノベル製)を用いて、シリンダ設定温度:215℃、スクリュー回転数:500rpm、押出量:約4kg/時間の条件で、溶融混練し樹脂組成物(Q-4)を得た。
【0198】
第2工程:樹脂組成物(Q-4)を6.25質量%と、93.75質量%の重合体(A-1)とを混合した以外は、実施例B1と同様にした。
【0199】
各組成物の最終組成及び評価結果を表2に示す。表2のMFR(X)は、重合体B-1と化合物C-1~C-4のいずれかとの合計100質量部に対して化合物C-1~C-4の当該いずれかを0.5質量部含む混合物Xの、温度210℃、荷重2.16kgfで測定されるメルトマスフローレートである。
MFR(B-1)は、重合体B-1の、温度210℃及び荷重2.16kgfの条件で測定されるメルトマスフローレートである。
【0200】
【表2】